PandoraPartyProject

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『祓い屋』燈堂一門

 彷徨える魂を導く灯火

『祓い屋・燈堂一門』

 希望ヶ浜に存在する祓い屋の一門。
 燈籠の明かりの様に、迷える魂を導くのが燈堂の教えである。

 夜に迷わぬように――

『夜妖憑き』と『祓い屋』
 狼の夜妖に取り憑かれ、満月の夜に暴れてしまうだとか。
 刀に魅入られ辻斬りをしてしまうだとか。
 そういった、怪異(夜妖)に取り憑かれた人や物の総称を『夜妖憑き』といいます。

 希望ヶ浜内で夜妖憑き問題が起きた際は専門家として『祓い屋』が対応しています。
 夜妖憑きの中には問題を起こさず普通に生活している者や、その能力を使い祓い屋や掃除屋、始末屋として人々の為に活躍している人も少なからず居ます。
『燈堂一門』
 燈堂一門は『希望ヶ浜』にある祓い屋の一組織です。
 希望ヶ浜南部に居を構える燈堂家は『夜妖憑き』専門の祓い屋です。

 本来なら交わる事の無かった夜妖と人間の結びを断ち切り、元の道へ還すことを役割としています。
 そして、何代にも渡って夜妖に傷つけられた者を受入れ、送り出して来た受け皿でもありました。
 特に現在の当主である燈堂暁月は夜妖憑きとなった子供達を多く保護しています。

 祓い屋の仕事を手伝ってくれるローレットのイレギュラーズにはとても友好的です。




祓い屋『燈堂一門』第一部(これまでのお話)[▼]

『燈堂家見取り図』

『本邸間取り図』(第一部開始時)

『スポット紹介』
『南棟』
 大きな正門を潜ると旅館のような佇まいの南棟が見えます。
 燈堂一門の門下生や管理人の生活の場所です。
 泳げそうな大浴場と、温泉のお食事処の様な食堂があります。
 大広間や客室は南棟にあります。
 イレギュラーズは客室に泊ることが多いようです。

『東棟』
 女子棟と男子棟、管理人棟に分かれています。
 個室が与えられているため、繊細な子でも馴染みやすいでしょう。
 小さな子供達は管理人棟で過ごしています。
 洋室と和室両方あり、渡り廊下で南棟と繋がっています。

『西棟』
 道場や修練場がある場所です。
 祓い屋や掃除屋としての鍛錬を行います。
 一時的な門下生として戦闘の訓練を受けることもできるでしょう。
 逆に幼い子供達に技を教える事も出来ます。
 
『本邸』
 敷地の奥には当主である暁月の本邸があります。
 基本的に門下生は許可無く立ち入る事が出来ません。
 広い和風建築の家で中庭があります。地下には座敷牢があります。

『神聖な敷地』
 代々続く燈堂家の敷地は霊脈の上に存在します。
 この地の守り神たる白蛇と狐との契約により強固な結界が張られています。
 其れは夜妖憑きや小さな怪異達を外界から守る役割も担っています。

『燈堂家当主』燈堂 暁月

 燈堂 暁月(とうどう あかつき)(第一部)
 希望ヶ浜学園の教師。燈堂 廻の保護者。
 性格は優しくもあり厳しくもある。良き指導者。
 裏の顔は夜妖憑きを祓う事を生業とする『祓い屋』燈堂一門の当主。
 燈籠の明かりの様に、迷える魂を導くのが燈堂の教えである。
 祓い屋燈堂一門は古くから希望ヶ浜に存在し、夜妖関連で身寄りの無い者などを門下生として養い指導する受け皿として機能していた。副次的に戦闘の後片付けをする掃除屋も受入れている。

 腰に差している日本刀は妖刀『無限廻廊』の分霊。曰く『なまくら』とのこと。本霊は……

 かつて恋人を夜妖憑きとして斬った。
 祓えなかった後悔は、未だに暁月の中で燻っている。

 未練と後悔
 暁月は強力な夜妖『獏馬』を追っていた。
 何人もの人に憑き喰らって来た悪性怪異。
 その中にはかつての恋人も含まれる。
 夜妖憑きとなった恋人を祓えなかった後悔は未だに暁月の中に燻っているのだ。

 死闘の末、獏馬を追い詰める事に成功した暁月。
 されど、偶然にその場へ居合わせた青年に獏馬は取り憑こうとする。
 暁月は青年の命一つで大勢の命が救えるならと覚悟の上でこれを斬った。
 だが、一瞬の迷いに獏馬は善と悪の属性に別たれ、悪の夜妖は何処かへ消え去り。
 残ったのは瀕死の重傷を負った青年と善の獏のみ。

 不可抗力とはいえ暁月の迷いにより、記憶を失い夜妖憑きとなってしまった青年に『燈堂 廻』の名を与え彼の保護者になったのだ。

『掃除屋』燈堂 廻

 燈堂 廻(とうどう めぐり)(第一部)
 希望ヶ浜学園大学に通う穏やかな性格の青年
 中高生の様な童顔だが成人している
 表向きはカフェ・ローレットのアルバイター
 裏の顔は戦闘の『後片付け』を担当する『掃除屋』

 希望ヶ浜に来る前の記憶が無く、本当の名前や誕生日、年齢は不明
 酒好きだが強くない。絡み酒

 優しく穏やかだが『掃除』に関する事柄になると打って変わって近寄りがたい雰囲気になる
 それは、『獏の夜妖憑き』という性質故のものだった。
 自分が吐いた血で汚れてしまう。
 無意識に生命力を吸ってしまうかもしれない。
 心配してくれる人達を傷つけたくないから。
 そんな思いから、掃除をしている姿は見られたくないのだという。
『獏の夜妖憑き』
 廻は獏の夜妖憑きである。
 獏は共存代償として生命力を消費し続けるのだ。
 己自身で賄える内は良いが、枯渇すれば死に至るもの。
 普通の生活を送るには何ら問題は無い。
 しかし、獏の『思食み』の能力等を使うと生命力が消費される。
 つまり掃除屋として働くことは命を削るということなのだ。
 それを回避するために他者から生命力を貰い受け命を繋いでいる。
 生命力が枯渇してくると、夜妖の性質に意識が引っ張られてしまう。
 無意識の内に他者の傷口を啜った事があり、掃除をする時は気を張っている為、近寄りがたい雰囲気になるのだ。

『共存代償』
 獏の夜妖憑きの共存代償は生命力だ。
 廻の中の生命力が枯渇すれば他者から供給する必要がある。
 生命力譲渡の方法は傷口を啜るなどの方法があるらしい。
『思い』の大きさによって吸収される生命力が違う。
 誰にでも出来る傷口の接触は効果が限定的なのだ。
 ただし、例外がある。
 名を与えた支配者である燈堂 暁月と、
 廻と想いを繋げた相手が与える生命力はより多くの効果をもたらす。
『座敷牢の戦い』
 暗き途を一つの明かりが降りていく。
 木の階段は足を乗せる度に軋んだ音を立てた。
 黒い羽織袴を着た男の後ろには、白い布を被った者が付いてくる。
 赤い紐でお互いを結び、はぐれないように階段を降りていくのだ。

 新月の夜には廻の夜妖憑きの性質が強くなり暴走してしまう時がある。
 だから暁月と共に座敷牢に入り、危険を回避するのだ。

 獏自身の罰は『暴食』だが、月が巡る間に食べた夜妖の性質によって僅かにそちらへ寄ってしまうらしい。
 憤怒の時は凶暴に、色欲の時は甘えん坊に。強欲や暴食の時は欲張りに。
 怠惰の時は寝ているし、嫉妬の時は絡み酒のようになる。どれも性格が少し尖るだけだが。
 廻の罰『傲慢』の時は生命力の譲渡を受付けない。それが一番厄介なのだ。

その他の住人

『護蛇』白銀
 暁月をサポートする『右腕』ともよべる青年です。
 その正体はこの地を守る『白蛇』の怪異そのもの。燈堂家を守る『家憑き』です。
 この地に燈堂が居を構えた時から存在するらしく青年の姿は仮初めのものです。
 弱き者達(夜妖憑きや怪異など)を守る為、結界を張っています。
 家憑きという性質から燈堂の敷地から離れる事が出来ません。
 外に用事がある時は相方の黒曜を使います。
 料理が得意で子供達が成長していくのを楽しみにしています。
 
「お帰りなさい。さあ、温かいご飯が出来ていますよ」
「暁月さんも廻も。随分と汚れましたね。先にお風呂に行ってらっしゃいな」
『番犬』黒曜
 暁月をサポートする『左腕』とも呼べる青年です。
 黒狼の夜妖憑きです。暁月より体格が良く力仕事はお手の物。
 一見無愛想に見えますが、身内にはとことん優しい兄貴分です。
 自分を拾ってくれた暁月、温かいご飯を作ってくれた白銀には頭が上がりません。
 彼は狼憑きなので耳が4つあります。狼耳尻尾は任意で隠すことが出来ます。

「何? 高いところにボールを飛ばした? 仕方ないな。取ってやる」
「なあ、暁月。廻が廊下に落ちてたぞ。しかも、熱あるぞこいつ」
『守狐』牡丹
 幼い見た目をした金狐の夜妖憑きで、白銀と同じ燈堂を守護する者です。
 燈堂の土地に憑いた白蛇と血に憑いた金狐は互いに手を取り合って子供達を守っています。
 白銀と違い、土地に縛られている訳では無いため外にも自由に出かける事が出来ます。
 特に幼子が大好きで、母の様にあやす姿がみられます。
 卓越した治癒術の持ち主です。
 
「おうおう、よう泣く子じゃのう。よしよし、今、白銀がミルクを作っておるからのう」
「何じゃ、暁月。その怪我は……! 動くでない。今、治してやるから」
『門下生』と『管理人』と『子供達』
 燈堂一門には合わせて20~50人ほどの門下生と管理人と子供達が居ます。
 門下生の中には湖潤・狸尾、湖潤・仁巳、煌星 夜空、剣崎・双葉などが居ます。
 彼等は祓い屋や掃除屋として一人前になるために修行しています。

 門下生や施設のお世話をする管理人も存在します。
 管理人は燈堂の外に出る事が出来ない夜妖憑きや良性の怪異の受け皿になっています。
 料理や掃除、庭師やお風呂番など様々な仕事があります。

 小さな子供たちも居ます。
 夜妖関連(特に夜妖憑きの事件)で身寄りの無くなってしまった子供達を保護し、里親の元へ送り届ける役割も担います。
 そのまま門下生となる子も居るようです。

宿敵・悪性怪異――『獏馬』

 燈堂の宿敵

『悪性怪異・獏馬』

 夢に移ろう悪夢<ナイトメア>の名を持って闇駆ける。
 魂を喰らう者――

 獏馬(ばくま)(第一部)
 夜夢を駆け、記憶と魂を喰らう、悪性怪異。燈堂の宿敵。
 普段は夢の中に潜んでおり、見つけるのが困難。
 しかし、取り憑かれた人は記憶と魂を食べられ死に至る。

 暁月に追い詰められ、善と悪の夜妖に分かれた。
 善の夜妖は廻に憑き『あまね』と名が与えられる。
 悪の夜妖は何処かへ消え去り、消息不明。

 澄原龍成(すみはらりゅうせい)(第一部)
 悪性怪異『獏馬』の夜妖憑き。
 澄原晴陽の弟
 廻の事を気に入っている。
 それは雨の降る裏路地で優しさを貰ったから。
 廻と分かれた直後に『獏馬』の夜妖憑きとなる。
 目的は、廻を暁月から救う事。
 暴走の果てに廻を夢の中に誘拐する。


第一部のあらすじ

 これまでのおさらいです。
・舞台は練達国の再現性東京にある希望ヶ浜。
・希望ヶ浜の一区画にある『燈堂一門』のお話です。

・燈堂一門は人が夜妖に取り憑いた事件を解決する事を生業とした、夜妖憑き専門の戦闘集団です。
・夜妖憑きを祓うから『祓い屋』と呼ばれています。
・燈堂家は悪い夜妖憑きを祓って、良い夜妖憑きを保護しているよ。
 当主は暁月。廻は掃除家をお手伝いしているんだ。

・廻は記憶喪失で、暁月に保護された経緯があるよ。
・イレギュラーズは祓い屋のお仕事を手伝うことがあります。
 悪い夜妖を祓って、人々を助ける大切なお仕事です。

 →再現性東京2010:希望ヶ浜怪談『赤い夕焼け』
 →再現性東京2010:希望ヶ浜怪談『黒い影』
 →再現性東京2010:青色の約束
・廻の掃除の力は実は僕(あまね)の能力だったんだ。
 僕(あまね)の能力は、廻の生命力を使うんだけど、
 消費が激しいから、廻はよく倒れたり血を吐いたりするよ。
 生命力は他人から貰う事が出来きるけど、心配だね。

 →再現性東京2010:祓い屋
 →<マジ卍台風>ダークグレイの暴雨
・暁月さんは漠馬という悪い夜妖憑きを追っています。
 でも、仕留め損ねて悪と善に分かれてしまいました。
 その時に重傷を負って記憶喪失になった僕(廻)を保護してくれました。

 →月灯の誓い

・近頃、僕達、善と悪の獏馬が近づいてるよ。
 夢の中で会話ができるぐらいまでになったんだ。
 元々同じ存在だから引かれあうんだね。
 でも、それは燈堂に不吉な気配が迫っているって事でもあるんだ。

 →夢の回廊
・龍成は廻を探してるよ。何だか怖いね。
・実は龍成は獏馬の夜妖憑きだったんだ。
・過去に龍成は廻と会ったことがあるみたい。
 雨の日に、怪我を負っていた龍成へ優しくした廻。
 やさぐれていた龍成はとても嬉しくて、廻に一目惚れしちゃったんだ。
 そして、そのすぐ後に龍成は悪の獏馬と出会うよ。

 →二つの出会い
・龍成は暁月に『お前の大事な物を奪いに来た』と宣言したよ。
 これからどうなるんだろう。目が離せないね。

 →<祓い屋>勿忘草の囁き

・どうしよう!? 廻が倒れちゃったんだ
 →<グラオ・クローネ2021>月夢のプレリュード

 ――み い つ け た。
 ざわりと耳元で声が響いて、廻の視界は真っ黒に塗りつぶされた。
 奈落の夢に落ちて行く。
「ねぇ……廻君、どうしたの。ねぇ……廻君、廻君! 起きて……、起きてよぉ!」
 月は雪雲に隠れて暗い影を落とし、シルキィの涙声が冷たい空気を震わせていた。
・廻の意識は龍成に連れ去られたみたい。
 急いで助けに行かなくちゃ!

 →黒夢の檻

 廻はぐったりと椅子にもたれ掛かり、薄く開かれたアメジストの瞳は虚ろ。
 その椅子の後ろに立っているのは澄原龍成だ。

「俺が廻を救ってやるよ。あいつから解放してやる」
・今度は夜妖が燈堂家に攻めてきたよ
 眠ってる皆を守らなきゃ!

 →燈堂家防衛戦
 ――獏馬が『身体』側に、何も仕掛けて来ない筈がないのだ!
 眠ってしまう仲間達の命を守る――それが、イレギュラーズに託された使命。
「怯むんじゃねえぞ! お前ら! くそっ、キリがねぇ」
 燈堂の敷地内にある広大な中庭が夜妖で埋め尽くされている。
 ならば、取る途は、この地の死守だ。
 長い夜が始まる――
・夢の中に潜ったイレギュラーズ達。
 獏馬のテリトリーでの戦闘は熾烈を極めたよ。

 →<祓い屋>月匂追い、糸廻り
・愛無が悪の獏馬に「しゅう」と名前をつけたよ。
 「しゅう……」
 名を与える事は、其れだけで呪術的な意味を成す。
 あまねの対となる名前。輪を描く言葉。愛無が付けた名だ。

・みんなが頑張ったお陰で廻は無事に夢の中から戻って来たよ。よかったね。
・でも、廻の様子が変なんだ。飛び出していっちゃった!
 どうしよう!?

 →帰還、そして――
「――――嫌、だっ!」
 静まり返った和リビングに、突然廻の声が響き渡った。
 首筋を押さえながら、走り出す廻。
 引き留めるイレギュラーズを置き去りに。
 裸足で玄関を抜け、広い中庭へと飛び出す廻。
 その表情は険しく悲痛に歪み――――
・廻が首を押さえて苦しんでいるよ。
 獏馬が廻を通して干渉してるんだ。

 →血の刻印より
 ブラッディ・レッドの鮮血が月明かりにぬるりと光る。
 白い首筋から流れる赤。
 刻まれた刻印が焼けるように熱を持っていた。
 燈堂廻の視界に赤き魔法陣が浮かび上がる。
「な、に……これ」
 己の血を媒介に組み上がっていく魔法陣。
・獏馬と龍成が燈堂家に攻めて来たんだ!
 決着の時だ!

 →<祓い屋>夢喰の咎
「だから歯を食いしばれ、澄原龍成。貴方のそのふざけた歪み、壊してやるッ──!!!!」
 サクラが、ラクリマが、眞田が、昼顔が、エルが、リュコスが、イレギュラーズが叫んだ言葉。
 目の前の男達は自分を『生かす』為に居るのだと、龍成は『ようやく理解した』のだ。
「………………は? な、っ」
「――生きていて下さい。それが、私の願いだ」
 ボディの言葉が染みこんでいく。イレギュラーズの言葉が反芻する。
 大凡初めて触れた『人のあたたかさ』に龍成はくしゃりと顔を顰めたのだ。

 廻り巡り――
 双別の軛は相成った。
 獏馬という悪性怪異は『しゅう』と『あまね』に別たれる。
 それは悪性と呼べぬ代物。其処に存在するだけの弱い怪異だ。
・獏馬と龍成を無力化する事に成功したよ!
 監視の為に、二人は燈堂家に住む事になったんだ。

 →<祓い屋>春花に囲まれて
 燈堂家には二つの要石が置かれている。これは燈堂が代々守って来た大切なものだ。
 獏馬が倒され、一帯が焦土となれば要石もイレギュラーズも只では済まない。
「だから、皆の力を合わせて悪性怪異『獏馬』の力を無力化したんだ」
 廻に憑いている夜妖『あまね』と獏馬は元々同じ存在。別たれてしまった二人の力を等分する『双別の軛』の術式は成功した。
 ――イレギュラーズは勝利したのだ!
・獏馬と龍成は大人しくなって、段々仲良くなってるよ。
 龍成は廻の看病を献身的に行ったんだ。
 みんな無事で良かったねぇ。

 →青いシャツとおねだり
 頭の芯がぼうと熱を帯びて瞼が重い。
 身体中を覆う倦怠感と発熱に、廻は布団の中で苦しげに身じろぐ。
 湿気を孕んだ布団が妙に冷たいような気がして、廻は青いシャツの襟を引っ張った。
 少し撚れて柔らかくなったシャツは、其れでも丈夫な造りをしているのが分かる。
 元々は暁月が着ていたもので、少し廻には大きいサイズだ。
 だから、パジャマには丁度良いと廻は好んでこれを着る。
 特に体調が悪い時や心細い時にはこのシャツを着ると暁月が傍に居るような気がして安心するのだ。
 記憶の無い廻にとって暁月は拠り所であり、絶対に安心出来るあたたかな存在でもあるからだ。

 ふと、襖が開く音に顔を向ける廻。
「あ、悪ぃ。起こしたか?」
 様子を見に来たであろう龍成が心配そうな顔をして入って来る。
「ううん。起きてたよ」
「水と……食いたいって言ってたチョコ持って来たぞ」
「ありがと」
 上半身を起こした廻は容器に乗せられたチョコを嬉しそうに見つめた。
「ほら、あーん」
「あー……んっ、ぅ……んふふ、おいひ」
 目を細め美味しそうにチョコを頬張る廻。
 のどを詰まらせないか心配そうに見つめる龍成。
 始めは最悪だった二人の関係も、今は仲の良い友人同士に落ち着いている。
 一緒にチョコを食べながら和やかに時間が過ぎていくのを、廻は嬉しいと思った。
これまでのお話(第一部)






祓い屋『燈堂一門』第1.5部(これまでのお話)[▼]

間奏のお話
 第1.5部は外伝のようなお話となります。
 一部と二部の間で奏でられた曲。
 登場人物などは第一部からの引き継ぎとなります。
 詳しくは第1.5部のあらすじをご確認下さい。

第1.5部のあらすじ

 これまでのおさらいです。

・獏馬と龍成を無事に無力化させることができました。
 監視のため二人とも燈堂の本邸で暮らしています。
・龍成は廻が二ヶ月半ぐらい寝込んでいる間に献身的な看病をしたよ。
 だから、すこし打ち解けて仲良くなっているみたい
・ROOがはじまったようだね

 →Rapid Origin Online
「そういえば、君達は忙しい時期じゃないのかい?」
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境Rapid Origin Online――通称『R.O.O』のエラーによる暴走のニュースは記憶に新しい。
・ROOではアバターを自由に作れるから、ねこみみや、女の子にもなれるぜ。

 →ねことらっぷ
 流雨が頭を撫でる感触が不思議で心地よくて、本物の猫でなくて良かったと思った。本物の猫だったらゴロゴロと喉が鳴ってしまうに違いない。しかし、そちらに気を取られて尻尾の制御は出来なかった。
「わわっ!」
 尻尾が勝手に流雨の手に絡むのを照れくさそうに捕まえる廻。
「まだ、尻尾が上手く操作できなくて……」
 顔を真っ赤にした廻が視線を逸らす。
「その頭撫でるの、俺には絶対させてくれねーのに。俺にも撫でさせろ」
「やだ」
 即答された龍成が羨ましそうな目で流雨とホワイティを見つめる。

 確かに友人であるボディ・ダグレを呼び出した。
 だが、目の前に居るのはエメラルドグリーンの瞳が愛らしい、胸の大きな少女ではないか。胸が大きい。
 いや、ボディも胸が大きい事は大きいが。
 このデイジー・ベルは龍成が知っている筋肉ムキムキのマッチョではない。
 つまり。
「ボディ……、お前」
・何だかROOの事件から希望ヶ浜の人達が不安になってるみたいです。
 SNSやマスメディアでは行方不明になった人が居ると噂になっています。
 その『異世界に連れて行かれたのではないか』という思いや願いが夜妖や、真性怪異『建国さん』の力を強くしているのだとか。
 その裏世界の調査に僕達も行くことになりました。
 そして、燈堂の敷地にも『建国さん』の社があります。

 →<半影食>紫紺の残響
「『建国さん』が此方に浸食してきてるんだろう?」
「はい。彼方様の領域が『父上』を封じている『無限廻廊』に干渉しています」
「……私の力が弱まっている、か」
「はい。獏馬の力を封じた時よりも、ずっと。父上が『動かない』のは廻を玩具にして戯れているからです。廻が壊れるのが先か、父上が飽きるのが先かですね。まあ、特異運命座標は頑丈ですから、まだ当面は大丈夫でしょうけど」

・弱まりだした暁月さんの力。
 →<半影食>深紅の桎梏
 無限廻廊の座には、壁なんて全く見えない程、無数の呪符が散りばめられていた。
 暁月は壁に近づき、徐に呪符の一枚を引っ張る。それは簡単にぺりりと剥がれた。
「剥がして大丈夫なのか? それ」
「んー、剥がれるって事はもうこの呪符は駄目なんだよ。あー、こっちも駄目か」
 →狭間の緑奏
・三年前の事件とは
 暁月さんが恋人の詩織さんを斬ったとされる事件です。
 その時に現場に居たのは、門下生の湖潤・仁巳と、獏馬でした。
 真相はまだ分かりません。

・獏馬とのお別れ
 龍成から愛無さんへ、獏馬は依代を移ります。

 もう自分は必要無い。龍成はしゅうが居なくても歩いて行ける。それが嬉しいと思えるのはしゅうにも愛無が居てくれるから。お互い依存していたけれど。此処で終わる事ができる。
「じゃあ、さようなら。龍成」
「ああ、今までありがとな。じゃあ……またな」
 龍成は『また』と言ってくれるのだ。再会を願ってくれるのだ。
 あんなに辛そうだった龍成が。笑顔で手を振ってくれる。

・晴陽との和解
「嘘だろ!? 俺の事出来損ないの弟って思ってたんじゃねぇのかよ」
「龍成、私は貴方のことをそんな風に見た事は一度も無いですよ」
 真っ直ぐな瞳が俺を射貫く。この目だ。いつも俺を見ていた目。でも、不思議と嫌な感じはしない。
 嘘だろう。姉ちゃんはいつも俺を睨んでいたとおもっていたのに。
・暁月の精神不安
 少しずつ暁月の精神が不安定になっていってるんだ。
 暁月の精神不安は封呪『無限廻廊』を綻ばせる。
 それは、燈堂の本家深道、もう一つの分家周藤にとっても一大事なんだ。
 だって、封呪『無限廻廊』が壊れたら、燈堂に奉っている真性怪異邪神『繰切』が暴れ出すと言われてるからだよ。
 だから、深道や周藤から調査の為に刺客(周藤日向)が送られて来たんだ。

 →<祓い屋>薄紫の涼風
・廻と愛無とシルキィが一つ屋根の下で暮らすよ
 獏馬の成れの果て。しゅうとあまねは離れる事が出来ない。
 お互いを補い合わなければ、何方とも消えてしまう。
 自ずと愛無と廻も近くに居なければならないと言う事だ。

「一緒に住むって言った時……きっと、ちょっと、本気だったんだ」
「はい」
 ゆっくりと流れて行く風に花弁が舞い上がった。
「だから。『そうなったら嬉しい』って言ってくれて嬉しかったよぉ」
 満月の度に廻は傷付いていく。シルキィには何も出来ないけれど、せめて傍には居てあげたいから。
「もしも燈堂の皆や、キミが良ければ。わたしも暫く、ここにいても良いかなぁ……?」
 首筋から頬に掛けて血が上っていくのが分かる。
 廻の返答を待つ時間に、鼓動は何回鳴っただろう。返って来る答えを予想出来る程には、廻と思い出を育みともに過ごしたと自惚れているけれど。それでも他人に期待を曝け出す事は何時だって怖い。
「はい。勿論ですよ。僕はシルキィさんが大好きなので、すごく嬉しいです」
 手を取った廻がシルキィを優しく見つめる。陽だまりみたいなシルキィと一緒に暮らせるなんて夢の様だと廻は微笑んだ。
 →明日も空があると思ってた
・日常が崩れて行く
 窓の外は真っ暗な空――
 ある人は空が割れたと言った。
 マザーの機能不全。異常事態。
 高校の時の後輩である澄原晴陽を心配して澄原病院へと向かう暁月。

 →SOUNDONLY
・音声だけが届いて
 ログアウト不可になった龍成の声だけが届いたよ。
 苦しそうに逃げている様子が覗える。
 テアドールという人物にゲーム内で殺されているみたい。
 →孤独の残穢
・クロウ・クルァク
 繰切の前身である『クロウ・クルァク』の調査をしたよ。
 何でラサの場所が分かったかというと、ROOでクロウ・クルァクが出て来たからだよ。
 情報の逆輸入だね!
 皆で力を合わせて、残穢と戦って、壺を手に入れたよ。
 アーマデルが壺を残穢から託されたよ。
 →<神異>琥珀の月が廻り
・ROOのクロウ・クルァクと白鋼斬影
 こっちにも少し出てるね。
 二人は繰切になる前だから二柱の真性怪異だよ。
 相棒って感じで仲良しだね。
 現実世界では二柱が喰らいあって一つになったといわれているから。
 こんな世界線もあったのかなって思うよね。







 →双彩が交わる
・龍成と結弦
 龍成はテアドールに何度も殺されていたよ。
 それを助けたのが、ROOの暁月達。
 こっちでは廻は記憶喪失じゃないから、『神路結弦』という名前だよ。
 結弦は大変な目にあって暁月に拾われたみたい。
 ――全てを忘れてしまった廻さんが羨ましい。
 自死を選ぶ程の辛い事から救ってくれた暁月の事が、結弦は大好きみたい。


 →<Closed Emerald>蒼金の語り部
・ようやく龍成と再会
 ゲームの中で行方不明になっていた龍成と再会出来たよ。
 まだログアウト不可のままだけど、所在が分かって良かったね。
 事態が落ち着くまでROOの燈堂家に居候するみたい。
・結弦と廻
 結弦は辛い過去を忘れて笑っている廻が
 とても羨ましくて、少し喧嘩をしたんだ。
 自分と同じ存在なのにってね。

 でも、過去を忘れているのは廻のせいじゃない。
 僕(あまね)が廻の過去を持ってるからなんだ。
 廻の命を救うために暁月の妖刀の力と記憶が必要だった。
 その事を廻は知らないんだ。

 それでも、廻は結弦の辛い気持ちを受入れて
 一緒に泣いたんだ。
 仲直りして良かったね。
 →<ダブルフォルト・エンバーミング>受難曲アゲート
・龍成を助け出すために
 イレギュラーズは龍成達を助け出す為に、練達を救う為に一生懸命戦ったよ。
 ROO側から、そして現実側からも。
 沢山の人が協力して、頑張ったんだ。

 →<ダブルフォルト・エンバーミング>テアドール・ネフライト
・別離と再会
 皆を助ける為に龍成の亡霊とも言えるロボット『竜二』は頑張ったんだ。
 最初は敵として出会って、最後は死んでしまった彼は、もしかしたら龍成が辿るはずだった可能性の一つだったのかもしれないね。

 全てが終わったあと龍成は――帰るかと、呟いた。
 →<Scheinen Nacht2021>アメジストの軌跡

・大人になるにつれて甘え方が下手になっていく
 春先より確実に『蝕まれている』顔にそう問いかける。
「そうだね。元気だ……と言っても君には隠せないからなぁ。なんとかって所かな」
 冗談めかして笑う暁月にアーリアは頬を膨らませた。
「一応ずーっと私、二人を……っていうか、何でも背負いこむどこかの先生を心配してるんですけど」
「ありがとう、ごめんね」
 この謝罪は「この話はここでお終い」という意味合いのものだ。容易に弱音を吐かない暁月の精一杯の甘えでもある。子供の様に泣きついてしまいたい衝動は誰にだってあるものだ。けれど、それを包容力のあるアーリアには見せられない。時折、恋人にそうしていたように、弱々しく縋ってしまいそうになるからだ。
 それを察してアーリアは御猪口を高く上げた。
「今日は皆が帰った後も居座ります! こたつでもう、べろんべろんになるまで飲み明かしちゃうんだから! とびきりのお酒、よろしくね?」
「はいはい」
これまでのお話(第1.5部)






祓い屋『燈堂一門』第二部(これまでのお話)[▼]

物語は深く

『祓い屋』第二部

 宿敵『獏馬』の無力化と、その依代『澄原龍成』を止める事に成功したイレギュラーズ。
 監視の目的で獏馬と龍成は燈堂家に住むことになった。

『しゅう』と名を与えられた獏馬は、縁の深い人物の姿を取る。
 その縁の深い人物とは暁月の恋人『朝倉詩織』のものだった。
 姿は同じなのに恋人ではない。恋人は生きていない。
 元を辿れば詩織が死んだ原因は『獏馬』であるのに――

 複雑な思いを抱えた暁月の『精神不安』は、真性怪異『繰切』の封印にも支障をきたす。

第二部人物紹介

 燈堂 暁月(とうどう あかつき)(第二部)
 燈堂 暁月(p3n000175)
 希望ヶ浜学園の教師。燈堂 廻の保護者。
 性格は優しくもあり厳しくもある。良き指導者。
 裏の顔は夜妖憑きを祓う事を生業とする『祓い屋』燈堂一門の当主。
 腰に差している日本刀は妖刀『無限廻廊』の分霊。曰く『なまくら』とのこと。本霊は……

 かつて恋人を夜妖憑きとして斬った。
 祓えなかった後悔は、未だに暁月の中で燻っている。

 恋人が夜妖憑きとなった原因『獏馬』と一緒に住むようになった。
 その為、精神不安が大きくなり、真性怪異『繰切』の封印が綻びている。
 また、暁月を助ける為に廻が繰切と契約を結んだ事も精神不安に拍車を掛ける。
 表面上は穏やかだが、内面は複雑な思いを抱えているのだ。


 燈堂 廻(とうどう めぐり)(第二部)
 燈堂 廻(p3n000160)
 希望ヶ浜学園大学に通う穏やかな性格の青年
 中高生の様な童顔だが成人している
 表向きはカフェ・ローレットのアルバイター
 裏の顔は戦闘の『後片付け』を担当する『掃除屋』

 暁月の役に立つために――
 真性怪異『繰切』と契約を交し、巫女となった。
 満月の夜に座敷牢の奥、無限廻廊の座へ降りて『月祈の儀』を行う。
 暁月や燈堂に居る家族の為に、人身御供となっている。


 澄原 龍成(すみはら りゅうせい)(第二部)
 澄原 龍成 (p3n000215)
 獏馬と共に廻を攫い、燈堂家に奇襲を掛けてきた青年。
 やり方は間違っていたが、廻を暁月から救う為に行動していた。
 第一部の戦いでイレギュラーズに敗れ、監視の名目で燈堂家に住むようになる。

 燈堂家に住みだしてからは改心し、意識不明だった廻の看病を積極的に行っていた。
 しゅうとあまねが生命力のコントロールを覚えたのも龍成が協力したからなのだ。

 また、『しゅう』に名を与えた恋屍・愛無が彼を引き取った為、獏馬の夜妖憑きでは無くなった。
 ROOのログアウト不可事件に巻き込まれ、三ヶ月ほど装置に取り残されていた。
 今は、親友のボディと一緒に燈堂家の離れに住んでいる。


 夜妖『獏馬』のしゅうとあまね(第二部)
 宿敵『獏馬』の成れの果て。
 しゅうとあまね。お互いに離れる事は出来ない存在。

 燈堂家の監視下に置かれる事となったしゅう。
 喰らった中で一番縁の深い人物『朝倉詩織』の姿を取る。
 暁月がこの姿を見ると複雑な顔をするので、普段はぬいぐるみの姿で居る。

 しゅうは龍成から愛無へと依代を変えた。
 朝倉詩織(あさくらしおり)
 暁月の恋人で故人。
 祓い屋として暁月と切磋琢磨し育ってきた。
 門下生としては優秀だったとされる。
 高校時代は暁月、澄原 晴陽鹿路 心咲とよく一緒に遊んでいた。
 後輩である晴陽や心咲を可愛がっていたのは暁月というより、主に詩織の方だ。
 明るく快活な性格で、よく笑い怒って、場の空気を沸かせていた。
 成人してからは多少落ち着き、誰しもが認める暁月の恋人であった。

 しかし、『獏馬』に憑かれ壊れていった。
 記憶が抜け落ち、暴走した詩織を暁月が殺したのだ。
 門下生である湖潤・仁巳を人質に取り、彼女を救う為に暁月は詩織を斬った。
 それでも獏馬は祓えず、彼女は謝罪と愛を囁いて死んだ。

登場するイレギュラーズ(第二部)

 アーリア・スピリッツ
 アーリア・スピリッツ (p3p004400)
 ゆるふわへべれけお姉さん。希望ヶ浜では教師として赴任している。
 燈堂の面々にとって頼れるお姉さん的存在。
 いつも彼らを見守り、時に手を差し伸べる『導く者』である。
 普段のおっとりな雰囲気からは想像もつかない程、苛烈に怒ることも。
 それはいつだって誰かを心配してのこと。

 端からみれば穏やかな大人の女性である。
 されど、その内面は良い大人の女になりたい(なりきれない)不器用ないじらしさを持つ。
 暁月にとってその不器用ないじらしさは親しみを覚えるもの。
 完璧では無い歪さが愛おしいのだ。死なないで欲しいと願う程には。
 廻にとってはとても頼れるお姉さんである。
 そういう側面しか見せたくなかったというのもあるだろう。

 暁月が暴走した際には、命がけで懐へ飛び込み、その身体で刀を受け止めた。
「泣き叫びたくて、甘えたくて、救って欲しくて、止めて欲しくて!
 顔にそう書いてあるんだから、ちゃんと口にしなさいよ!
 信じなさいよ! 貴方自身を、貴方を信じる人達を!!
 無限廻廊が真っ暗な堂々巡りじゃなく、沢山の光に溢れたものであることを!
 光が見えないなんて言わせないんだから――!!」


 恋屍・愛無(こいしかばね・あいな)
 恋屍・愛無(p3p007296)
 獏馬の夜妖憑きでイレギュラーズ。

 廻にとって大切な人であり、相方のような存在。
 獏馬のしゅうとあまねは、お互いを補わないと生きて行けない。
 その依代たる愛無と廻も傍に居なければならない制約を受ける。
 代わりにしゅうとあまねを介し、廻の生命力を犠牲にして、力を行使できる。

 一昔前は、自分の周りにこんなにも人が集まり、心を通わせるなんて思ってもみなかった。
 自分は化け物で、本当の所は、違うのかもしれないけれど。
 この場所に居ると、少しだけ温かいと思うのだ。

 人間というものを知れば知るほど、自分との違いに戸惑う事も多い。
 名を与えた子であるしゅうを見ていると、それを実感してしまう。
 いっそ食べてしまえばこの戸惑いは解消するのだろうか。
 けれど、守りたいと思う気持ちは事実で。

 廻が泥の器にされてしまった事件において。
 その仕掛人である『葛城春泥』に只ならぬ匂いを感じている。


 シルキィ
 シルキィ (p3p008115)
 蚕蛾の旅人で希望ヶ浜学園では養護教諭。

 ふんわり和やかな雰囲気を纏わせる癒し系。
 戦闘では意外と容赦無く糸を繰り出す可愛い一面も。

 廻の大切な人であり、あたたかな陽だまりのような存在。
 今は燈堂家の離れで廻、シルキィ、愛無の三人で住んでいる。
 穏やかな日々に見えるけれど、廻が月祈の儀で自分を犠牲にしていることを知り、何も出来ない自分に歯がゆさを覚える。

 廻にとっての幸せの象徴。
 シルキィも廻と一緒に居て心地よいと思っているようだ。
 胸に抱く気持ちが同じであればいいと――

 獏馬の夢の廻廊にて、廻の過去を知る。
 廻の夢石を託されたシルキィはこの記憶を胸に戦いへ赴く。



 アーマデル・アル・アマル
 アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
 旅人で希望ヶ浜学園では高等部学生。
 スタイリッシュエクストリーム帰宅部(名乗る度に微妙に違う)

 毒と病を司る『一翼の蛇』の加護を受けし暗殺者。
 褐色の肌が美しい少年。

 ROOのNPC蛇巫女アーマデルのオリジナル故に、クロウ・クルァク、白銀との縁が深い。
 同じ蛇の加護を受けているからか、燈堂家を取り巻く一連の事件が他人事では無いように思うのだ。

『神』としての繰切の在り方を肯定しているが、友人の廻が辛い思いをするのは苦しい。
 ROOでそうであったように、出来れば己が巫女として代わってやりたいと願う。
 されど、現実世界のアーマデルは一翼の蛇の加護を既に受けているのだ。

 毒壺を持ち帰り、砂の国最後の巫女に似ているアーマデルは自ら望み『繰切の巫女』となった。
 繰切自身がそれを了承したのだ。
 廻が泥の器にされてしまったので、月祈の儀を引き継ぐことになった。


 ボディ・ダクレ
 ボディ・ダクレ(p3p008384)
 科学者が男の死体で作成した戦闘用アンデッド『屍機』
 頭部は運動装置である『匣』に挿げ替えられている。
 アンデッドとして完成した瞬間に召喚されたので、人工知能は殆どの事を学習していなく、知能は子供に近い。

 澄原病院で起きたある事件が切欠で、『痛み』を感じるようになる。
 それが何なのか、確かめる為に『屍機』としての行動から逸脱していくようになった。
 内部的なエラーが再び大きく振れたのは、『澄原龍成』に怒りを感じた時だ。
 ――生きていて欲しい。
 拳に込めた想いは、龍成の蛮行を打ち砕いたのだ。

 殴り合った龍成とは、友人から親友へ。
 掛け替えの無い大切な人となった。
 現在は燈堂家の離れで一緒に住んでいる。

 何の因果か女性の姿へと変身出来る様になった。


 時尾 鈴(ときお すず)
 時尾 鈴 (p3p009655)
 燈堂一門の門下生でありイレギュラーズ。

 一年前の1月22日。
 ビルの狭間で発生する夜妖に追いかけられていた所を暁月に助けて貰う。
 その縁が切欠で、燈堂の門下生となった。
 だから、誕生日は拾われた日。

 助けてくれた暁月の事を慕っており、傍に居たいと願う。
 廻達が離れに移り住む際に、代わりに本邸へと引っ越している。
 暁月は鈴の事を家族だと思っており、廻と同じように可愛がっている。
 お茶を淹れるのが上手。
 最近は白銀に暁月の好物を教えて貰い、料理を始めているようだ。


 咲々宮 幻介(ささみや げんすけ)
 咲々宮 幻介(p3p001387)
 旅人で希望ヶ浜学園では暁月と同じ教師として赴任している。
 祖国では始末人として名を馳せた侍。

 とある大きな依頼で失敗し、刺客に追われる日々の中召喚される。
 暁月と同じく大切な人を亡くし傷を背負って生きて居る。
 その為、今の暁月が他人とは思えず手を差し伸べたいと思っているのだ。

 普段は飄々としているが、仕事であれば善人でも悪人でもーー神でも悪魔でも、情け容赦無く斬り捨てる無情さを併せ持つ。
 垣間見える私生活はだらしなく、逆に暁月に心配されてしまうことも。
 それでも暁月の親友として支え、時に叱咤して共に歩んで行こうと思っている。


 エル・エ・ルーエ
 エル・エ・ルーエ(p3p008216)
 冬が大好きなふんわり可愛い少女。
 龍成の友人で、ROOでは毎日のように遊んでいた。

 燈堂にもよく遊びにきていて、本家筋の深道佐智子とも仲が良い。
 この所、繰切分体と遭遇することが度々あり、悪い神様ではないのではと思っている。
 されど、分体といえど相手は真性怪異である。侵食がエルに牙を剥く。
 燈堂と関わっていく中で、自分はどうすればいいのだろうと常に悩んでいる。
 それでも、少女は笑顔を降り注ぐのだ。



 ヴェルグリーズ
 ヴェルグリーズ(p3p008566)
 別れの精霊にして剣の精霊を自称する精霊種。
 放浪癖があり暇があれば混沌の各所へ足を延ばしている。
 最近では希望ヶ浜の燈堂家へもよく顔を見せるようになった。

 暁月達へと関わる様になったのは、因果的なものがあるだろう。
 ROOでの自身を元としたNPC『妖刀廻姫』を依代としたのが
 燈堂の地下に奉られる『繰切』の半身『白鋼斬影』だったからだ。
 されど、妖刀廻姫は対になる鞘を有していなかった。
 その為、因果は歪められ全てを断ち斬る力を与えるかわりに、絶対に斬り離せず別れ得ぬ業罪の応報へ導くものとなったのだ。
 そのROOで起ったヒイズルの事件に関わる内に、暁月の様子がおかしい事を心配して希望ヶ浜へも来るようになる。

 暁月が精神崩壊し暴走した際には、相棒と共に星の奇跡を越した。
 その奇跡は暁月の持つ妖刀と封呪の力を正常に戻すに至る。
 そして、奇跡の余波で神々廻絶空刀が生まれ落ちた。


 祝音・猫乃見・来探 (しゅね・ねこのみ・きたん)
 祝音・猫乃見・来探 (p3p009413)
 猫が大好きな小さくて可愛い少年。
 燈堂の情報屋兼御庭番の白雪と友達。
 あまり人に懐かない白雪が祝音には懐いたのだ。

 燈堂の難しい家の事とかは分からない。
 けれど、友人である白雪が困っているのなら助けたい。
 全部解決して、白雪と一緒に縁側でのんびり日向ぼっこをする。
 そんな純粋な思いから戦いに挑む。

 最近、白雪がウォーカーで普通に会話出来ると知った。驚きと嬉しさに顔がほころんでしまう。



 チック・シュテル
 チック・シュテル (p3p000932)
 真白の翼を持つ儚く美しい少年。
 その歌声は繊細で揺らめく灯火のよう。

 星降る夜に偶然燈堂家のパーティに呼ばれたのが切欠。
 廻から貰ったクッキーが嬉しくて、怪我をした彼を気遣う姿も見られた。
 暁月が暴走した際に葛城春泥によって泥の器にされてしまった廻を心配している。

 繰切ともクリスマスに出会うが、奉られている神である事も知らず
 燈堂に住んでいる子供だと思っていたらしい。
 何度か会う内に繰切の悪性と善性を知った。
 廻に対する酷い行いはいけないこと。
 でも、可愛がっている姿も知ってるから。
 先入観に囚われず、繰切に歩み寄りたいと思っている。

 繰切が自らの意思で封印に収まった事実を受け入れてはいるが、
 一緒に『楽しいこと』を共有出来なくなってしまったので、寂しく感じている。
 もしまたいつか姿が見られた時は、
 廻や灰斗達と沢山楽しい時間を過ごせたらと思っている様子。

 灰斗については様々な理由が織り重なり、「ほっとけない」と強く感じた子らしい。
 友人の繰切の子であるというのも勿論ではあるが、同じ灰色の髪を持つ事と何よりも
「生まれたばかりなのに、つらい目に合わせたくない」
 という、自分の境遇に重ねて抱いた想いが最大の理由。
 友達として沢山の『楽しさ』や幸せを教え、共に知り、分かち合えたら嬉しい、と感じている。



 國定 天川 (くにさだ てんせん)
 國定 天川 (p3p010201)
 希望ヶ浜で様々な仕事を請け負う万屋。
 元の世界では刑事であったようだ。

 大切な妻子を失った悲しみを抱え、復讐鬼となった過去を持つ。
 暁月の過去を見て、彼の苦しみを知った天川。
 その来歴から暁月の現状に共感し、『手を出す』と決意した。
 一度決めたからには、信念を曲げることは無い剛毅な性格。

 知り合ったばかりなんて、関係無い。
 己が救うと決めたからにはそれを実行する。
 それが國定 天川という男だ。

 暁月が暴走した際には、熱い思いをぶつけ
 同じ業を背負う者として心を通わせた。
 暁月は天川の事をとても頼れる兄貴分だと思っているようだ。
 兄の居ない暁月にとって、天川は自分の前を往く数少ない存在なのだろう。


 ラズワルド
 ラズワルド(p3p000622)
 ゆるふわ猫耳おにいさん。瞳は琥珀色と空色。
 名付け親の某旅人曰く『ターキッシュアンゴラ似』の白くふわふわの毛を持った猫科の大型獣。

 執着する事を避け、近づき過ぎるとふらりと居なくなるマイペースで気まぐれな猫のような人。
 そんな彼が、廻の傍が心地よいと、燈堂家に出入りするようになった。
 お酒を飲みながら、一緒に寝転べば、楽しい気分で充たされるのだ。

 暁月が暴走した事件で廻を捨てようとした事を受けて、無意識に暁月を嫌っている。
 好きと無関心しか無いラズワルドにとって、嫌いの感情は心が落ち着かないのだ。
 裏を返せば、それは廻への執着でもあるのだろう。
 執着していない、などと否定するには、遅すぎるほどに懐いている。

 繰切がその気まぐれな性格と見た目が好みだという理由で「愛らしい猫」と称している。


 紫桜
 紫桜(p3p010150)
 旅人で再現性九龍城に住んでおり、桜神教の神として信者に崇められている。
 人の姿と、かつての神の姿を取ることが出来る。

 元の世界で人から神になった存在。
 与えられたものを同じように返した日々。それは、人の業を背負う事と同義である。
 それでも、紫桜は人々を愛し神としてあり続けた。

 ――同じものを返す方が楽だった。
 鏡のように向こうから来るものを返す方が喜ばれたのだ。
 されど、この混沌へ来て蛇神『繰切』と出会い。
 自身が彼を深く求めている事を知った。己から湧き出る渇望を知った。
 受動的だった紫桜が、自ら繰切の愛を欲したのだ。

 無限廻廊の封印が強化され、繰切と容易に会えなくなり寂しい思いを抱えている。



NPCや関係者(第二部)

 燈堂家の周辺
『三妖』

白銀(しろがね)
 暁月に従う白蛇の夜妖。繰切の息子。
 結界を張り巡らせているため燈堂の敷地から離れる事が出来ない。現在、イレギュラーズに触発されて繰切に対して反抗期らしい。

黒曜(こくよう)
 黒狼の夜妖憑き。
 暁月より体格が良く力仕事はお手の物。一見無愛想に見えるが、優しい兄貴分。自分を拾ってくれた暁月、温かいご飯を作ってくれた白銀には頭が上がらない。

牡丹(ぼたん)
 幼い見た目をした金狐の夜妖憑きで、白銀と同じ燈堂を守護する者。
 特に幼子が大好きで、母の様にあやす姿がみられる。
 卓越した治癒術の持ち主。

『双猫』と『夜妖たち』

黒夢(くろむ)
 旅人で燈堂家の情報屋。
 暁月達の為に各地を飛び回っている。
 とても優しい性格。

白雪(しらゆき)
 旅人で黒夢の弟。
 普段は燈堂家で普通の猫のフリをしている。
 小さな夜妖を狩る仕事をしていて、兄弟共に優しい性格をしている。

雨水(うすい)
 燈堂に棲む水の夜妖(精霊)。
 暁月に拾われてから、水場の管理を任されている。
 主にお花の水やりとか。お風呂場のお掃除とか。


『門下生』

湖潤・狸尾(こうるい・りお)
 燈堂一門の門下生。掃除屋の仕事をしている。
 人好きのする性格で、門下生の中でも一目置かれている存在である。

湖潤・仁巳(こうるい・ひとみ)
 燈堂一門の門下生。狸尾の妹。  暁月に拾われ、詩織の人質にされてしまった事をとても悔やんでいる。
 自分にもっと力があれば。その後悔と執着を恋心として認識して、暁月へと想いを寄せている。

煌星 夜空(きらほし よそら)
 燈堂一門の門下生。仁巳の親友。
 祓い屋としての修行をしながら、情報屋としても活躍しているらしい。
 シルキィの保健室によく遊びに来る。

剣崎・双葉(けんざき・ふたば)
 燈堂一門の門下生。笑い上戸。
 車両事故で重傷を負った際夜妖憑きになってしまう。
 身寄りの無い自分を拾ってくれた暁月を尊敬し、役に立ちたいと思って居るのだ。

『神々廻と灰蛇』

神々廻絶空刀(ししばぜっくうとう)
 ヴェルグリーズと星穹の起こした奇跡の余波により生まれ落ちた命。
 妖刀無限廻廊の分霊の側面も持つ。
 同じ日に生まれた灰斗とは対になる存在である。

灰斗(はいと)
『蛇神』繰切の『楽しい』という想いから、生まれ落ちた神の子。
 生まれたばかりで悪にも善にも成る可能性があった少年をイレギュラーズが正しい方向へと導いた。
 同じ日に生まれた神々廻絶空刀とは対になる存在。


 深道と周藤
『深道(本家)』

深道朝比奈(みどうあさひな)
 暁月の実妹。深道の現当主。
 当主ではあるが、実権は佐智子や貴昭など、深道の中で力のあるものが握っている。
 それでも、負けん気の強さで、上に立つ者として日々鍛錬している。
 暁月とはとても仲が良い。

深道佐智子(みどうさちこ)
 柔和な見た目で人当たりが良さそうに見えるが、深道の実権を握る内の一人。いつも朗らかに微笑み、子供達には「御婆様」と親しまれている。
 笑顔の裏には筋の通った精神性や厳しさが覗える。
 夫の貴昭との間に子供を沢山設けた。末子の明煌の事は特に気に掛けている。

深道和輝(みどうかずき)
 暁月の従兄弟。夜妖憑きでない一般人。
 子供の頃に暁月と喧嘩をして彼の強さと脆さを知る。そこからは彼を支えられるように尽力してきた。
 暁月にとって家庭を築いて普通に生きている和輝は『幸せの象徴』である。

深道夕夏(みどうゆうか)
 暁月の従姉妹。黒蛇の夜妖憑き。
 白蛇と尊ぶ深道にとって黒蛇の夜妖憑きは忌避される存在だった。
 朝比奈と常に比較され育ったので対抗心が強い。葛城春泥にそそのかされ、廻を刺した経緯がある。
 現在は和解しともに食事をするまでになった。


『周藤(もう一つの分家)』

周藤夜見(しゅうどうよみ)
 暁月の実弟。周藤家の当主。
 深道の家に生まれた子供は分家である燈堂や周藤に養子へ出される事がある。
 暁月のようになるため、日々鍛錬に励んでいる。

周藤日向(しゅうどうひなた)
 暁月の従兄弟。和輝、夕夏の実弟。
 兄姉に向けられていた期待を一身に背負う少年。無限廻廊の綻びの調査の為、先だって燈堂へやってきた。
 イレギュラーズや燈堂の人々と交流を深める内に考えを改めた。健気に頑張る姿に心を打たれる者も多い。


 その他
『深道の相談役』
葛城・春泥(かつらぎ・しゅんでい)
 深道に古くから関わっている相談役。深道の人々にとても信頼されている。
 しかし、暁月や龍成に黒印の呪いを掛けたり、廻を『泥の器』にしたりと不可解な行動が見える。

『尋ね人』
笹木 誠司(さかきせいじ)
 黒夢が探している人物。まだ所在は掴めていない。

 家系図
『深道の子供達』

 深道家(みどうけ)の血筋の子供のうち、
『神隠し』に遭った(特異運命座標になった)者は当主候補に選ばれる。
 その上で、夜妖を御する力を持った者、つまり夜妖憑きが、上に立つ資格を得るのだ。




燈堂家の謎(第二部開始時点)

 真性怪異『繰切』
 燈堂家の地下に鎮座する蛇神。水神でもあり、病毒の神でもある。
 その前身は『クロウ・クルァク』だと推察される。
 クロウ・クルァク時代よりも信仰は薄れて、無限廻廊を簡単に突破できる程の力は残っているだろうと目されている。
 では、何故留まり続けるのか。それは謎に包まれたまま。
 留まる代わりに廻を巫女に置き、月に一度の満月の夜に『月祈の儀』を執り行っている。

 封呪『無限廻廊』
 燈堂家の地下には封呪『無限廻廊』という巨大な封印がある。
 真性怪異『繰切』を封じているもので、燈堂家はその無限廻廊を守護する役割がある。
 無限廻廊が壊れると、繰切が復活して、多くの命が失われると言われている。
 暁月の精神不安により封呪に綻びが見られる。

 月祈の儀
 無限廻廊が綻んでいても、繰切が暴れ出さない為の契約。
 月に一度の満月の夜、燈堂家の地下に降りて廻を人身御供として捧げる。

 ――凡ゆる苦痛に苛まれる。
 ある時は毒が廻の身体を蝕み、またある時は冷たい水の中に投げ込まれる。
 全身が痺れて呼吸が出来ない時もあれば、刻まれた文様が炎のように熱を発する事もあった。
 常に首や手脚には蛇が巻き付き、廻の柔らかい肌を締め上げた。
 苦痛に泣き叫び、胃の中の物を吐いても。
 廻はそれに抗い、耐え抜いた。
 それが自分が暁月の役に立てる唯一の方法だから。存在意義だから。
 どれだけ辛くとも耐えて見せた。

 けれど、恐怖に震える身体を優しく撫でる繰切の手には縋ってしまう。
 それが繰切には愉快なのだ。

第二部のあらすじ

燈堂 廻(p3n000160)
「こんにちは、燈堂廻です。いよいよ、祓い屋『燈堂一門』第二部が始動します」
燈堂 暁月(p3n000175)
「練達国、再現性東京、希望ヶ浜の『燈堂家』を中心としたお話だよ。
 第一部は宿敵『獏馬』とその依代『澄原龍成』との戦いだったけど。
 イレギュラーズのお陰で、獏馬は無力化され、龍成も仲間になったんだ」
燈堂 廻(p3n000160)
「第二部は、いよいよ物語の核心に迫るお話です。
 燈堂家の地下に奉られた真性怪異『繰切』を封印する結界『無限廻廊』が綻びているんです。その原因は暁月さんの精神不安。僕が代わりに『繰切』と契約を結んでしまった事も気に病んでるみたい」
 →大丈夫だと君は笑った
・恋人と同じ顔をした仇敵
 僕達獏馬は暁月の恋人『朝倉詩織』の形を取っている。
 それが、暁月には嫌な気持ちにさせてしまう。
 恋人は死んだのに、同じ顔をしている。

「いずれ、本家の深道と、もう一つの分家周藤が此処へ来るだろう」
「私が結界を綻ばせてしまった『原因』を排斥しようとするだろう」

・繰切と廻が交わした契約
「大丈夫ですよ。暁月さん。僕は『月祈の儀』をしますよ」
 ――満月の晩に我が元へその身を捧げ。さすれば、この脆く頼り無い揺り籠の中に留まろうぞ。
 綻んだ封呪『無限廻廊』から真性怪異『繰切』が出てこない為の契約。
 繰切の望むまま、全てを受入れるという儀式だ。
 →<祓い屋>綻刃を負い
・暁月の精神不安の原因
 一年ほど前から徐々に無限廻廊の綻びが見え始め、ここの所更に進行しているのだという。
「原因は何なのでしょう」
 燈堂の地下に奉られている真性怪異『繰切』を封じている『無限廻廊』。それが壊れる事があれば深道三家は滅んでしまうと言い伝えられている。
 だから、封呪の鍵となる妖刀『無限廻廊』を宿らせ、守り手として置くのだ。
 地と血。双方の無限廻廊が合わさる事で強固な結界として機能するはずのもの。
 それが解け掛かっているのは、どうしてなのか。
「調査して原因を突き止め、それを排除しなければなりませんね」
 深道三家に連なる数千の命を守るのが使命。されど、可愛い孫を心配する気持ちも大きいのだ。
「僕はその原因を知ってるかも」
 本家深道の相談役『葛城春泥』は言った。
「燈堂には養子が居るじゃない? 『廻』だっけ。あの子のせいなんじゃないかなって思うよ。この前、ちょっと調べたんだよね」

・廻が刺された
 大変なんだ! 廻が刺されたんだよ!

 深道夕夏の暴走により廻は後から刺された。
「和輝兄さん。廻を見つけたんよ。こいつを殺せば暁月兄さんは元に戻るんよね? 葛城先生が言ってたもんね。無限廻廊が綻ぶ原因は『廻』だって。だから、私……皆を救う為なら殺せるよ。大丈夫、見てて。出来たらめっちゃ褒めて欲しいな」
 無限廻廊が壊れること。それは深道三家にとって世界が滅ぶのと同義。
 一族郎党全てが無くなってしまうと幼い頃から刻み込まれてきた。
 →<祓い屋>綻刃を負い
・不可解な夜妖
 何処か人為的に集められたような大量の夜妖。
 一人の青年にこれ程までの夜妖が集まるものなのかな?
 もしかして、引き寄せられている?
 疑問を抱えたまま、暁月達はそれを撃退するよ。

・廻は入院してたよ
 大怪我を負った廻は澄原病院に入院していたよ。
 退院するかしないかの時に、ドラゴンが来襲したんだ。
 廻は日常が崩れる事に、怯えて落ち込んでしまったよ。
 →本霊の在処
・本霊は廻の中
 燈堂当主の証である妖刀『無限廻廊』の本霊は廻の中にあるよ。
 僕(あまね)が廻の命を繋ぐ為に、妖刀と廻の記憶を必要としたんだ。
 本霊を抜くと廻の命が危ないよ。
 だから、絶対に奪われちゃいけないんだ。
 でも……もし僕よりもっと強い力があれば、廻は本霊無しでも生きていられるかもしれない。
 →<祓い屋>記憶の夢路
・夢の中に記憶を探しに
 暁月や廻、それに繰切の記憶を探しに夢の中へ潜ったよ。
 そこで見たものは暁月の苦悩。
 廻と暁月の歪な関係性。雁字搦めになっている様子もあった。
 それと繰切の来歴も少し分かったよ。

・繰切の悪性と善性
 少しずつ繰切に善性が発生しているよ。
 それは、イレギュラーズが禍ツ神だと思っていないからだよ。
 廻にも苦痛を与えるだけじゃなく、アドバイスを受けて寵愛しているみたい。
 でも、依然として深道三家とそれに連なる人々は繰切を禍ツ神だと思い込んでいるよ。信仰しているって事だね。
 それが人々の安寧に繋がるからね。
 →侵食の黒
・電話越しの声
「あなたはまた、『私から大切な人を奪う』のですか。もう、止めて下さい」
 澄原晴陽は弟の龍成を心配するあまり、感情をぶつけてしまうよ。
 晴陽も悪気があるわけじゃないよ。でも、二人の関係は少しナイーブなんだ。
 暁月は晴陽の親友の鹿路 心咲と、先輩の朝倉詩織を斬り殺したから。
 今度は龍成も危ない目に遭うんじゃないかって心配したみたい。
 →侵食の黒
・呪いが広がる
 葛城春泥が『肩に手を置いて』暁月に呪いを掛けたよ。
 どうやら、龍成にもその呪いが出現しているみたい。

 黒い虚ろが暁月の背に広がる。
 蝕まれる。
 綻んだ糸が、引き延ばされた一糸が、ぷつりと切れた――
 →崩壊
・崩れ落ちる
 小さい頃から一生懸命、燈堂を守る為に頑張って来た暁月。
 誰に理解されなくてもと、必死だったんだ。
 それは、常に誰かを守る為だった。

 でも。とうとう、崩壊の時が来てしまった。

 →危険を冒して
・「解呪顕現――妖刀無限廻廊」
 暁月は廻から妖刀の本霊を抜いてしまうよ。
 これは命に関わる問題だ。
 早く戻さないと廻が死んじゃうよ!
 繰切の神力があれば、何とかなるかもしれないけど、
 僕(あまね)の力じゃどうしようも出来ないんだ。
 助けて、イレギュラーズ!
 →月は陰り
・灰紫の影が地面を覆い尽くす
「――繰切を殺せばいい」
 暁月は怪異を集め繰切にぶつけようとしているよ。
 失敗しても自分が封呪『無限廻廊』に取り込まれ封印が強固になるだけだって思ってるんだ。
 廻もそれで助かるって思ってる。
 そんな悲しい事言わないでよ!
 廻は暁月が居ないと駄目なんだから!

 お願いだよ。
 暁月を止めて欲しい。助けて!
これまでのお話(第二部)






祓い屋『燈堂一門』第三部(これまでのお話)[▼]

第三部人物紹介

 燈堂 暁月(とうどう あかつき)(第三部)
 燈堂 暁月(p3n000175)
 希望ヶ浜学園の教師。燈堂 廻の保護者。
 性格は優しくもあり厳しくもある。良き指導者。
 裏の顔は夜妖憑きを祓う事を生業とする『祓い屋』燈堂一門の当主。
 当主としての重責やその他多くの精神不安が重なり、精神崩壊を起こし暴走したが、イレギュラーズの活躍と星の奇跡によって救われた。
 その後は元気な笑顔を見せるようになり、安定しているようだ。
 しかし、廻を煌浄殿に預けることを心配している。

 煌浄殿の主である深道明煌とは幼い頃には仲が良かった。
 彼の右目を貰い受けている。


 深道 明煌(みどう あきら)(第三部)
 深道 明煌(p3n000277)
 深道本家にある『煌浄殿』の主。
 暁月の叔父。深道佐智子の末の子。

 優しそうな印象を受けるが、何か底知れぬものを感じる。
 幼少時代は暁月と仲が良く一緒に遊ぶこともあった。
 右目は失っており、暁月に嵌められている。

 自分のテリトリー(本殿)に他人を入れるのを嫌う。
 佐智子、三蛇、白灯の蝶以外は基本的に受付けない。
 暁月は煌浄殿に来ることは無いし、廻は暁月から預かっているから特別。


 燈堂 廻(とうどう めぐり)(第三部)
 燈堂 廻(p3n000160)
 希望ヶ浜学園大学に通う穏やかな性格の青年
 中高生の様な童顔だが成人している
 表向きはカフェ・ローレットのアルバイター
 裏の顔は戦闘の『後片付け』を担当する『掃除屋』

 暁月の暴走の裏で葛城春泥によって泥の器にされてしまった。
 泥の器は穢れを孕み、廻の命を脅かす。
 その穢れを祓う為、燈堂の本家にある煌浄殿へ預けられることになった。

 煌浄殿の主、深道明煌の支配下に置かれている。
 浄化の儀式は心身に負担が多く、泣いている事もしばしば。

 澄原 龍成(すみはら りゅうせい)(第三部)
 澄原 龍成 (p3n000215)
 獏馬と共に廻を攫い、燈堂家に奇襲を掛けてきた青年。
 やり方は間違っていたが、廻を暁月から救う為に行動していた。
 第一部の戦いでイレギュラーズに敗れ、監視の名目で燈堂家に住むようになる。

 燈堂家に住みだしてからは改心し、意識不明だった廻の看病を積極的に行っていた。
 しゅうとあまねが生命力のコントロールを覚えたのも龍成が協力したからなのだ。

 また、『しゅう』に名を与えた恋屍・愛無が彼を引き取った為、獏馬の夜妖憑きでは無くなった。
 ROOのログアウト不可事件に巻き込まれ、三ヶ月ほど装置に取り残されていた。
 今は、親友のボディと一緒に燈堂家の離れに住んでいる。


 夜妖『獏馬』のしゅうとあまね(第三部)
 宿敵『獏馬』の成れの果て。
 しゅうとあまね。お互いに離れる事は出来ない存在。

 廻から剥がされたあまねは、春泥に無理矢理記憶の夢石を吐かされた。
 しゅうとあまねは同化し、数年ぶりに元の獏馬となった。
 そして、思い出したのだ。明煌を知っているということを。

 朝倉詩織(あさくらしおり)
 暁月の恋人で故人。
 祓い屋として暁月と切磋琢磨し育ってきた。
 門下生としては優秀だったとされる。
 高校時代は暁月、澄原 晴陽鹿路 心咲とよく一緒に遊んでいた。
 後輩である晴陽や心咲を可愛がっていたのは暁月というより、主に詩織の方だ。
 明るく快活な性格で、よく笑い怒って、場の空気を沸かせていた。
 成人してからは多少落ち着き、誰しもが認める暁月の恋人であった。

 しかし、『獏馬』に憑かれ壊れていった。
 記憶が抜け落ち、暴走した詩織を暁月が殺したのだ。
 門下生である湖潤・仁巳を人質に取り、彼女を救う為に暁月は詩織を斬った。
 それでも獏馬は祓えず、彼女は謝罪と愛を囁いて死んだ。

登場するイレギュラーズ(第三部)

 アーリア・スピリッツ
 アーリア・スピリッツ (p3p004400)
 ゆるふわへべれけお姉さん。希望ヶ浜では教師として赴任している。
 燈堂の面々にとって頼れるお姉さん的存在。
 いつも彼らを見守り、時に手を差し伸べる『導く者』である。
 普段のおっとりな雰囲気からは想像もつかない程、苛烈に怒ることも。
 それはいつだって誰かを心配してのこと。

 端からみれば穏やかな大人の女性である。
 されど、その内面は良い大人の女になりたい(なりきれない)不器用ないじらしさを持つ。
 暁月にとってその不器用ないじらしさは親しみを覚えるもの。
 完璧では無い歪さが愛おしいのだ。死なないで欲しいと願う程には。
 廻にとってはとても頼れるお姉さんである。
 そういう側面しか見せたくなかったというのもあるだろう。

 暁月が暴走した際には、命がけで懐へ飛び込み、その身体で刀を受け止めた。
「泣き叫びたくて、甘えたくて、救って欲しくて、止めて欲しくて!
 顔にそう書いてあるんだから、ちゃんと口にしなさいよ!
 信じなさいよ! 貴方自身を、貴方を信じる人達を!!
 無限廻廊が真っ暗な堂々巡りじゃなく、沢山の光に溢れたものであることを!
 光が見えないなんて言わせないんだから――!!」

 廻が煌浄殿に預けられしばらくしたある日。
 暁月の右目は明煌のものだと告げられ動揺した。
 昔は仲が良かったらしいが何があったのだろうと考えを巡らせる。


 恋屍・愛無(こいしかばね・あいな)
 恋屍・愛無(p3p007296)
 獏馬の夜妖憑きでイレギュラーズ。

 廻にとって大切な人であり、相方のような存在。
 獏馬のしゅうとあまねは、お互いを補わないと生きて行けない。
 その依代たる愛無と廻も傍に居なければならない制約を受ける。
 代わりにしゅうとあまねを介し、廻の生命力を犠牲にして、力を行使できる。

 一昔前は、自分の周りにこんなにも人が集まり、心を通わせるなんて思ってもみなかった。
 自分は化け物で、本当の所は、違うのかもしれないけれど。
 この場所に居ると、少しだけ温かいと思うのだ。

 人間というものを知れば知るほど、自分との違いに戸惑う事も多い。
 名を与えた子であるしゅうを見ていると、それを実感してしまう。
 いっそ食べてしまえばこの戸惑いは解消するのだろうか。
 けれど、守りたいと思う気持ちは事実で。

 廻が泥の器にされてしまった事件において。
 その仕掛人である『葛城春泥』に只ならぬ匂いを感じている。

 英霊巳道との戦いの最中、結界の中に居る春泥に斬りかかった。
 その為、深道の人々からは倦厭されている。
 戦う直前に聞いた「僕の子供」という言葉が引っかかっている。


 シルキィ
 シルキィ (p3p008115)
 蚕蛾の旅人で希望ヶ浜学園では養護教諭。

 ふんわり和やかな雰囲気を纏わせる癒し系。
 戦闘では意外と容赦無く糸を繰り出す可愛い一面も。
 廻にとっての幸せの象徴。
 シルキィも廻と一緒に居て心地よいと思っているようだ。
 胸に抱く気持ちが同じであればいいと――

 廻の大切な人であり、あたたかな陽だまりのような存在。
 燈堂家の離れで廻、シルキィ、愛無の三人で住んでいる。

 現在は廻が煌浄殿に預けられているので寂しい思いをしている。
 お揃いのペリドットのペンダントでたまに会話をしているようだ。


 アーマデル・アル・アマル
 アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
 旅人で希望ヶ浜学園では高等部学生。
 スタイリッシュエクストリーム帰宅部(名乗る度に微妙に違う)

 毒と病を司る『一翼の蛇』の加護を受けし暗殺者。
 褐色の肌が美しい少年。

 ROOのNPC蛇巫女アーマデルのオリジナル故に、クロウ・クルァク、白銀との縁が深い。
 同じ蛇の加護を受けているからか、燈堂家を取り巻く一連の事件が他人事では無いように思うのだ。

『神』としての繰切の在り方を肯定しているが、友人の廻が辛い思いをするのは苦しい。
 ROOでそうであったように、出来れば己が巫女として代わってやりたいと願う。
 されど、現実世界のアーマデルは一翼の蛇の加護を既に受けているのだ。

 毒壺を持ち帰り、砂の国最後の巫女に似ているアーマデルは自ら望み『繰切の巫女』となった。
 繰切自身がそれを了承したのだ。
 廻が泥の器にされてしまったので、月祈の儀を引き継ぐことになった。

 楊枝 茄子子(やなぎえだ なすこ)
 楊枝 茄子子(p3p008356)
 天義出身で現在は練達に居を置く『羽衣教会』の会長をしている。
 自分を旅人だと偽り翼を手に入れる為に頑張る宗教の布教を欠かさない。

 愛嬌のある見た目と立ち振る舞いからは想像出来ないが、性格は悪辣で自己中心的である。
 黒い感情は内心に仕舞い、何も分かってない小物を演じているのだ。
 また、特技は本当は分かってないのにいかにも分かってそうな雰囲気を醸し出すはったりである。

 廻との出会いはマジ卍台風の嵐の夜。
 皆が飛んで行くと冗談めかして笑う茄子子に廻は驚かされたのだ。
 その後、無事に開催された希望ヶ浜学園の体育祭では陽気にフォークダンスを踊って笑い合った。
 そこから幾度も燈堂の問題に首を突っ込み手を差し伸べてきた。
 廻はそんな茄子子の明るさに助けられている。

 メイメイ・ルー
 メイメイ・ルー(p3p004460)
 幻想王国の北部、鉄帝と隣接した険しい山岳地帯の出身。
 食べる事や物語を読むことが好きな心優しい少女。
 恥ずかしがりやで引っ込み思案であったが、最近は声は小さいながらも自然と想いを言葉にできるようになってきた。
 それは、大切に想う人が居るから。
 自らを戒めていた『こころ』ときちんとお別れができたから。
 だから、メイメイの『からだ』は本来の姿へと成長することができた。

 廻のことを気に掛け、弟のように可愛がっている。
 二人が寄り添う姿は幼い姉弟が手を繋いで歩いているような、そんな微笑ましさがある。
 廻が寂しくないようにと煌浄殿にもよく通っていたようだ。
 その弟分を想う気持ちが、『正しい道』へと繋がった。

 ボディ・ダクレ
 ボディ・ダクレ(p3p008384)
 科学者が男の死体で作成した戦闘用アンデッド『屍機』
 頭部は運動装置である『匣』に挿げ替えられている。
 アンデッドとして完成した瞬間に召喚されたので、人工知能は殆どの事を学習していなく、知能は子供に近い。

 澄原病院で起きたある事件が切欠で、『痛み』を感じるようになる。
 それが何なのか、確かめる為に『屍機』としての行動から逸脱していくようになった。
 内部的なエラーが再び大きく振れたのは、『澄原龍成』に怒りを感じた時だ。
 ――生きていて欲しい。
 拳に込めた想いは、龍成の蛮行を打ち砕いたのだ。

 殴り合った龍成とは、友人から親友へ。
 掛け替えの無い大切な人となった。
 現在は燈堂家の離れで一緒に住んでいる。

 何の因果か女性の姿へと変身出来る様になった。
 最近龍成といると、エラーを吐いて顔が赤くなる。
 大切な人である事は分かる、けれど、顔が赤くなる理由は分からない。


 レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン
 レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)
 旅人の復讐鬼。銀糸の髪に白磁の肌、金銀妖瞳の美しい麗人。
 元の世界に居たときから医者をやっている。

 双子の妹が殺され復讐という名の枷をその身に宿した。
 復讐の過程で人である事を止め、その身は化け物──吸血鬼と化した。
 愛故に、全てを壊す。
 復讐を果たした瞬間に無辜なる混沌へと召喚された。

 歪で一途な愛を貫こうとした龍成に共感し、そして戦い。
 姉貴分としてその背を支えることに決めた。
 その龍成がROOで攫われた時は気が気では無かった。
 更にその一連の事件の首謀者が己の復讐相手である事を知る。
 ROOで己の半身から託された想いを胸に前へと突き進む。

 最近龍成が医療の道を進む事を知り、姉貴分として嬉しくなった。


 時尾 鈴(ときお すず)
 時尾 鈴 (p3p009655)
 燈堂一門の門下生でありイレギュラーズ。

 一年前の1月22日。
 ビルの狭間で発生する夜妖に追いかけられていた所を暁月に助けて貰う。
 その縁が切欠で、燈堂の門下生となった。
 だから、誕生日は拾われた日。

 助けてくれた暁月の事を慕っており、傍に居たいと願う。
 廻達が離れに移り住む際に、代わりに本邸へと引っ越している。
 暁月は鈴の事を家族だと思っており、廻と同じように可愛がっている。
 お茶を淹れるのが上手。
 最近は白銀に暁月の好物を教えて貰い、料理を始めているようだ。


 咲々宮 幻介(ささみや げんすけ)
 咲々宮 幻介(p3p001387)
 旅人で希望ヶ浜学園では暁月と同じ教師として赴任している。
 祖国では始末人として名を馳せた侍。

 とある大きな依頼で失敗し、刺客に追われる日々の中召喚される。
 暁月と同じく大切な人を亡くし傷を背負って生きて居る。
 その為、今の暁月が他人とは思えず手を差し伸べたいと思っているのだ。

 普段は飄々としているが、仕事であれば善人でも悪人でもーー神でも悪魔でも、情け容赦無く斬り捨てる無情さを併せ持つ。
 垣間見える私生活はだらしなく、逆に暁月に心配されてしまうことも。
 それでも暁月の親友として支え、時に叱咤して共に歩んで行こうと思っている。


 エル・エ・ルーエ
 エル・エ・ルーエ(p3p008216)
 冬が大好きなふんわり可愛い少女。
 龍成の友人で、ROOでは毎日のように遊んでいた。

 燈堂にもよく遊びにきていて、本家筋の深道佐智子とも仲が良い。
 繰切が強い封印の中に入ってしまったことを寂しいと思っている。
 封印によって侵食は緩やかになったけれど何か良い方法は無いかと探っている。

 佐智子と話す内に、彼女が春泥の養子である事を知る。
 愛無を攫い、廻達に呪いを掛けた春泥をエルは嫌っているので複雑な思いがある。


 カイト
 カイト(p3p007128)
 旅人で希望ヶ浜では教師をしている。
 元の世界で役割から脱走したオリジナルの『穴埋め』に製造された量産個体の一人。
 鉄騎種に近い『サイボーグ』にあたる。
 無辜なる混沌へ召喚された後、此方の世界へ来ていた『本物』と再会した。
 しかし、既にカイトには本物への執着は無くなっていた。

 芝居がかった言い回しと皮肉めいた皮を被り本心を覆い隠す。
 己を盤上の駒と見なし、ヒーローたちをサポートする役を好む。
 縁の下の力持ちであったり、優秀な指揮官であったりするのだ。


 すみれ
 すみれ(p3p009752)
 名家に生まれ、親の寵愛の下何一つ不自由なく育った鬼の人。
 永遠の愛を手に入れ、元いた世界では夫との新婚生活を満喫していた。
 しかし待ちに待った結婚式の真っ最中に混沌世界へ召喚される。
 常にウェディングドレス姿なのは、式中に召喚されたため、
 そして、元の世界へ戻れたらすぐ式を再開できるようにしているため。

 周藤日向と出会ったのは影響と干渉の狭間。異世界探索で夜妖と戦っていたときだ。
 迷子になっていた日向は美しいすみれの姿に憧れた。
 交流を続けて行く中で、少年の役目と葛藤、そして成長をすみれは見守る。

 煌浄殿に預けられた廻の傍に通っている日向を心配している。
 なぜなら、煌浄殿の主である深道明煌に血で許しを付けられたからだ。
 当の本人に会った時も、意地悪そうな言葉が耳に残っている。


 ヴェルグリーズ
 ヴェルグリーズ(p3p008566)
 別れの精霊にして剣の精霊を自称する精霊種。
 放浪癖があり暇があれば混沌の各所へ足を延ばしている。
 最近では希望ヶ浜の燈堂家へもよく顔を見せるようになった。

 暁月達へと関わる様になったのは、因果的なものがあるだろう。
 ROOでの自身を元としたNPC『妖刀廻姫』を依代としたのが
 燈堂の地下に奉られる『繰切』の半身『白鋼斬影』だったからだ。
 されど、妖刀廻姫は対になる鞘を有していなかった。
 その為、因果は歪められ全てを断ち斬る力を与えるかわりに、絶対に斬り離せず別れ得ぬ業罪の応報へ導くものとなったのだ。
 そのROOで起ったヒイズルの事件に関わる内に、暁月の様子がおかしい事を心配して希望ヶ浜へも来るようになる。

 暁月が精神崩壊し暴走した際には、相棒と共に星の奇跡を越した。
 その奇跡は暁月の持つ妖刀と封呪の力を正常に戻すに至る。
 そして、奇跡の余波で神々廻絶空刀が生まれ落ちた。


 星穹(せら)
 星穹(p3p008330)
 記憶を無くし忍集団『暦』の師走に拾われ指南を受けた忍の一人。
 諜報や暗殺を得意としていた。
 性格は現実主義かつ冷淡。  但し痛む心がないわけではなく、変えようのない現実を恨み、己の無力と非才を嘆くことも。  暁月が精神崩壊し暴走した際には、相棒と共に星の奇跡を越した。
 その奇跡は暁月の持つ妖刀と封呪の力を正常に戻すに至る。
 そして、奇跡の余波で神々廻絶空刀が生まれ落ちた。

 肩から指先までがない為に、普段は朧夜と呼ばれる紺色の義手を使用している。
 現在は空の子育てのため練達に住まいを置いている。
 記憶が無い為、子育てには四苦八苦しているらしい。
 星穹の親代わりの師走にとって空は孫のような存在だろう。

 先日、無幻星鞘の自我が目覚め、微睡み揺蕩っている気配を感じる。


 祝音・猫乃見・来探 (しゅね・ねこのみ・きたん)
 祝音・猫乃見・来探 (p3p009413)
 猫が大好きな小さくて可愛い少年。
 燈堂の情報屋兼御庭番の白雪と友達。
 あまり人に懐かない白雪が祝音には懐いたのだ。

 燈堂の難しい家の事とかは分からない。
 けれど、友人である白雪が困っているのなら助けたい。
 全部解決して、白雪と一緒に縁側でのんびり日向ぼっこをする。
 そんな純粋な思いから戦いに挑む。

 最近、白雪がウォーカーで普通に会話出来ると知った。驚きと嬉しさに顔がほころんでしまう。

 英霊巳道との戦いの前後で煌浄殿の呪物『八千代』と出会う。


 チック・シュテル
 チック・シュテル (p3p000932)
 真白の翼を持つ儚く美しい少年。
 その歌声は繊細で揺らめく灯火のよう。

 星降る夜に偶然燈堂家のパーティに呼ばれたのが切欠。
 廻から貰ったクッキーが嬉しくて、怪我をした彼を気遣う姿も見られた。
 暁月が暴走した際に葛城春泥によって泥の器にされてしまった廻を心配している。

 繰切ともクリスマスに出会うが、奉られている神である事も知らず
 燈堂に住んでいる子供だと思っていたらしい。
 何度か会う内に繰切の悪性と善性を知った。
 廻に対する酷い行いはいけないこと。
 でも、可愛がっている姿も知ってるから。
 先入観に囚われず、繰切に歩み寄りたいと思っている。

 繰切が自らの意思で封印に収まった事実を受け入れてはいるが、
 一緒に『楽しいこと』を共有出来なくなってしまったので、寂しく感じている。
 もしまたいつか姿が見られた時は、
 廻や灰斗達と沢山楽しい時間を過ごせたらと思っている様子。

 灰斗については様々な理由が織り重なり、「ほっとけない」と強く感じた子らしい。
 友人の繰切の子であるというのも勿論ではあるが、同じ灰色の髪を持つ事と何よりも
「生まれたばかりなのに、つらい目に合わせたくない」
 という、自分の境遇に重ねて抱いた想いが最大の理由。
 友達として沢山の『楽しさ』や幸せを教え、共に知り、分かち合えたら嬉しい、と感じている。
 もしも繰切や白銀、灰斗の三人で家族旅行出来る様になったら案内したいと繰切に微笑んだ。

 廻が煌浄殿に預けられる際には寂しい想いを押して帰って来る希望を信じて送り出す。
 灰斗とも交流を深め、深道の祭りでは一緒に縁日を回った。
 その時出会ったのが優しそうだが暗い瞳の明煌と樋ノ上セイヤだった。
 圧の強いセイヤに圧倒されながらも友人となる。


 國定 天川 (くにさだ てんせん)
 國定 天川 (p3p010201)
 希望ヶ浜で様々な仕事を請け負う万屋。
 元の世界では刑事であったようだ。

 大切な妻子を失った悲しみを抱え、復讐鬼となった過去を持つ。
 暁月の過去を見て、彼の苦しみを知った天川。
 その来歴から暁月の現状に共感し、『手を出す』と決意した。
 一度決めたからには、信念を曲げることは無い剛毅な性格。

 知り合ったばかりなんて、関係無い。
 己が救うと決めたからにはそれを実行する。
 それが國定 天川という男だ。

 暁月が暴走した際には、熱い思いをぶつけ
 同じ業を背負う者として心を通わせた。
 暁月は天川の事をとても頼れる兄貴分だと思っているようだ。
 兄の居ない暁月にとって、天川は自分の前を往く数少ない存在なのだろう。

 明煌に対しては、暁月が苦しんでいた時に手を差し伸べなかったと気に入らない様子だ。


 ラズワルド
 ラズワルド(p3p000622)
 ゆるふわ猫耳おにいさん。瞳は琥珀色と空色。
 名付け親の某旅人曰く『ターキッシュアンゴラ似』の白くふわふわの毛を持った猫科の大型獣。

 執着する事を避け、近づき過ぎるとふらりと居なくなるマイペースで気まぐれな猫のような人。
 そんな彼が、廻の傍が心地よいと、燈堂家に出入りするようになった。
 お酒を飲みながら、一緒に寝転べば、楽しい気分で充たされるのだ。

 暁月が暴走した事件で廻を捨てようとした事を受けて、無意識に暁月を嫌っている。
 好きと無関心しか無いラズワルドにとって、嫌いの感情は心が落ち着かないのだ。
 裏を返せば、それは廻への執着でもあるのだろう。
 執着していない、などと否定するには、遅すぎるほどに懐いている。

 繰切がその気まぐれな性格と見た目が好みだという理由で「愛らしい猫」と称している。

 廻が煌浄殿に預けられることが気に入らない。
 それでも、廻が死んでしまうのは嫌だから仕方なく納得している。
 大丈夫だと笑う廻に「本当の言葉だけ頂戴」と甘えた。


 紫桜(しおう)
 紫桜(p3p010150)
 旅人で再現性九龍城に住んでおり、桜神教の神として信者に崇められている。
 人の姿と、かつての神の姿を取ることが出来る。

 元の世界で人から神になった存在。
 与えられたものを同じように返した日々。それは、人の業を背負う事と同義である。
 それでも、紫桜は人々を愛し神としてあり続けた。

 ――同じものを返す方が楽だった。
 鏡のように向こうから来るものを返す方が喜ばれたのだ。
 されど、この混沌へ来て蛇神『繰切』と出会い。
 自身が彼を深く求めている事を知った。己から湧き出る渇望を知った。
 受動的だった紫桜が、自ら繰切の愛を欲したのだ。

 無限廻廊の封印が強化され、繰切と容易に会えなくなり寂しい思いを抱えている。
 今度、一緒に美味しいものを食べたいと思っている。


 ムサシ・セルブライト
 ムサシ・セルブライト(p3p010126)
 旅人で自称『宇宙の保安官さん』。
 宇宙連邦に任命されて辺境の惑星に向かう途中に事故に遭遇、気がついたら無辜なる混沌へ召喚された。

 その身に焔と熱い闘志を宿している。
 様々な依頼を経て『命』の重さを改めて実感し、守りたいと強く思うようになった。
 命を奪おうとする者、命を捨てようとする者。
 そんな存在がいたなら、面前と立ち向かって止める。

 時に拳を、時には差し伸べる手を。
 救える命に手が届くのであれば。
 宇宙保安官はいつでも全力全開で戦うのだ。

 暁月が暴走した際は友情の拳で殴り、その後手を開いて握手を交した。
 その時のあたたかな掌のぬくもりを暁月は忘れないだろう。
 明煌の周りをぐるぐるとまわり、よく頭を鷲づかみにされている。


 杜里 ちぐさ(もり ちぐさ)
 杜里 ちぐさ(p3p010035)
 旅人の猫又の少年。
 若い夫婦に迎えられた仔猫は『ちぐさ』と名付けられ、やがて妖怪の猫又に変幻した。
 猫だった時は完全室内飼いだったため世間知らず。

 怖がりで強がりで甘えん坊。
 されど、無辜なる混沌での出会いや経験がちぐさを成長させた。
 天真爛漫な猫又少年は廻と友達になり、彼が抱える悩みを解決したいと思うようになった。
 あったかい廻のことをママっぽくて心地よいと感じている。

 深道三家の闇や問題は底知れぬ怖さがあるが、廻や暁月の笑顔が見たいから一生懸命頑張っている。
 明煌については少し怖いという印象と優しい大きな手が好きという感情がある。
 暁月の事を語る明煌の暗い瞳が心配で、何処かパパっぽいと思っている。
 春泥のことは本能的に怖いらしい。


 ヤツェク・ブルーフラワー
 ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)
 旅人で『英雄の友』を自称するお節介屋のロマンスグレー。
 ギターを手に銀河を渡り歩く風来坊の吟遊詩人。

 飄々とした人格を演じ、己の真面目な望みを隠して立ち振る舞う。
 それは世界を渡り歩く上で身につけた処世術だ。
 けれど、根はロマンチストで世の悪を正し弱者を守る騎士願望の持ち主。

 そんな彼が何の因果か燈堂の問題に首を突っ込んだのだ。
 いつものお節介癖もあったのかもしれない。
 されどヤツェクは長年培ってきた知識と機転で燈堂並びに深道三家の光明を与えた。
 信仰を覆す土壌をネットの海に流したのだ。
 小さな雫はやがて大きな波となって広がっていくだろうとヤツェクは確信している。

 ジェック・アーロン
 ジェック・アーロン(p3p004755)
 旅人でガスマスクを着用しなければ生きられないような荒廃した世界からやってきた。
 混沌に来て数年はガスマスクも外れず流動食で生活していた。
 明煌とは実方眞哉と夜妖退治をした際にその存在を知り、ミアンとも仲良くなって、それからもみじ狩りに行ったり星を見に行ったり、温泉に行ったりして交流を深めていった。
 明煌はジェックの傍が心地良いと思っている。
 口下手な自分の言葉に静かに耳を傾けてくれるからだ。
 途中で翼が生えた時は夜妖かと思って自分と近いと少し嬉しくなり、でも眩しい輝きを持っているから違うのだと悲しくなった。
 今はその差違も個性だと思えるようになった。
 ジェックには色んなことを話せるし、『一番の友達』だと思っている。

NPCや関係者(第三部)

 燈堂家の周辺
『三妖』

白銀(しろがね)
 暁月に従う白蛇の夜妖。繰切の息子。
 結界を張り巡らせているため燈堂の敷地から離れる事が出来ない。現在、イレギュラーズに触発されて繰切に対して反抗期らしい。

黒曜(こくよう)
 黒狼の夜妖憑き。
 暁月より体格が良く力仕事はお手の物。一見無愛想に見えるが、優しい兄貴分。自分を拾ってくれた暁月、温かいご飯を作ってくれた白銀には頭が上がらない。

牡丹(ぼたん)
 幼い見た目をした金狐の夜妖憑きで、白銀と同じ燈堂を守護する者。
 特に幼子が大好きで、母の様にあやす姿がみられる。
 卓越した治癒術の持ち主。

『双猫』と『夜妖たち』

黒夢(くろむ)
 旅人で燈堂家の情報屋。
 暁月達の為に各地を飛び回っている。
 とても優しい性格。

白雪(しらゆき)
 旅人で黒夢の弟。
 普段は燈堂家で普通の猫のフリをしている。
 小さな夜妖を狩る仕事をしていて、兄弟共に優しい性格をしている。

雨水(うすい)
 燈堂に棲む水の夜妖(精霊)。
 暁月に拾われてから、水場の管理を任されている。
 主にお花の水やりとか。お風呂場のお掃除とか。


『門下生』

湖潤・狸尾(こうるい・りお)
 燈堂一門の門下生。掃除屋の仕事をしている。
 人好きのする性格で、門下生の中でも一目置かれている存在である。

湖潤・仁巳(こうるい・ひとみ)
 燈堂一門の門下生。狸尾の妹。  暁月に拾われ、詩織の人質にされてしまった事をとても悔やんでいる。
 自分にもっと力があれば。その後悔と執着を恋心として認識して、暁月へと想いを寄せている。

煌星 夜空(きらほし よそら)
 燈堂一門の門下生。仁巳の親友。
 祓い屋としての修行をしながら、情報屋としても活躍しているらしい。
 シルキィの保健室によく遊びに来る。

剣崎・双葉(けんざき・ふたば)
 燈堂一門の門下生。笑い上戸。
 車両事故で重傷を負った際夜妖憑きになってしまう。
 身寄りの無い自分を拾ってくれた暁月を尊敬し、役に立ちたいと思って居るのだ。

八雲樹菜(やくもじゅな)
 燈堂一門の門下生。中庭の花の手入れを担当している。
 戦う能力は無いけれど、朗らかな笑顔で皆を癒す。
 格好いいブレンダに憧れている。


『神々廻と灰蛇』

神々廻絶空刀(ししばぜっくうとう)
 ヴェルグリーズと星穹の起こした奇跡の余波により生まれ落ちた命。
 妖刀無限廻廊の分霊の側面も持つ。
 同じ日に生まれた灰斗とは対になる存在である。

灰斗(はいと)
『蛇神』繰切の『楽しい』という想いから、生まれ落ちた神の子。
 生まれたばかりで悪にも善にも成る可能性があった少年をイレギュラーズが正しい方向へと導いた。
 同じ日に生まれた神々廻絶空刀とは対になる存在。


 深道と周藤
『深道(本家)』

深道朝比奈(みどうあさひな)
 暁月の実妹。深道の現当主。
 当主ではあるが、実権は佐智子や貴昭など、深道の中で力のあるものが握っている。
 それでも、負けん気の強さで、上に立つ者として日々鍛錬している。
 暁月とはとても仲が良い。

深道佐智子(みどうさちこ)
 柔和な見た目で人当たりが良さそうに見えるが、深道の実権を握る内の一人。いつも朗らかに微笑み、子供達には「御婆様」と親しまれている。
 笑顔の裏には筋の通った精神性や厳しさが覗える。
 夫の貴昭との間に子供を沢山設けた。末子の明煌の事は特に気に掛けている。

深道和輝(みどうかずき)
 暁月の従兄弟。夜妖憑きでない一般人。
 子供の頃に暁月と喧嘩をして彼の強さと脆さを知る。そこからは彼を支えられるように尽力してきた。
 暁月にとって家庭を築いて普通に生きている和輝は『幸せの象徴』である。

深道夕夏(みどうゆうか)
 暁月の従姉妹。黒蛇の夜妖憑き。
 白蛇と尊ぶ深道にとって黒蛇の夜妖憑きは忌避される存在だった。
 朝比奈と常に比較され育ったので対抗心が強い。葛城春泥にそそのかされ、廻を刺した経緯がある。
 現在は和解しともに食事をするまでになった。


『周藤(もう一つの分家)』

周藤夜見(しゅうどうよみ)
 暁月の実弟。周藤家の当主。
 深道の家に生まれた子供は分家である燈堂や周藤に養子へ出される事がある。
 暁月のようになるため、日々鍛錬に励んでいる。

周藤日向(しゅうどうひなた)
 暁月の従兄弟。和輝、夕夏の実弟。
 兄姉に向けられていた期待を一身に背負う少年。無限廻廊の綻びの調査の為、先だって燈堂へやってきた。
 イレギュラーズや燈堂の人々と交流を深める内に考えを改めた。健気に頑張る姿に心を打たれる者も多い。


 その他
『深道の相談役』
葛城・春泥(かつらぎ・しゅんでい)
 深道に古くから関わっている相談役。深道の人々にとても信頼されている。
 しかし、暁月や龍成に黒印の呪いを掛けたり、廻を『泥の器』にしたりと不可解な行動が見える。

 実は深道佐智子の『養母』だったことが語られる。
 煌浄殿の先々代深道輝一朗の内縁。

笹木 誠司(さかきせいじ)
 英霊巳道との戦いの際、花丸と再会。
 娘の成長ぶりに感動した。
 英霊との戦いで深道と関わり、しばらく調査の為出入りすることに。

 家系図
『深道の系譜』

 深道家(みどうけ)の血筋の子供のうち、
『神隠し』に遭った(特異運命座標になった)者は当主候補に選ばれる。
 その上で、夜妖を御する力を持った者、つまり夜妖憑きが、上に立つ資格を得るのだ。

 ここには書かれていないが、深道輝一朗の内縁が葛城春泥である。
 そして、葛城春泥は深道佐智子の養母でもある。



深道三家の謎(第三部開始時点)

 真性怪異『繰切』
 燈堂家の地下に鎮座する蛇神。水神でもあり、病毒の神でもある。
 その前身は『クロウ・クルァク』だ。
 クロウ・クルァク時代よりも信仰は薄れて、無限廻廊を簡単に突破できる程の力は残っているだろうと目されている。
 では、何故留まり続けるのか。
 それは『白鋼斬影』との約束があるから。
 戦う中でお互いを愛してしまったクロウ・クルァクと白鋼斬影は共に在る事を願った。
 そして、『繰切』となったのだ。

 深道の人々が繰切は『悪神』であると信じている。
 人の心の安寧のために願いのために、繰切は悪神であろうとした。
 
 封呪『無限廻廊』
 燈堂家の地下には封呪『無限廻廊』という巨大な封印がある。
 真性怪異『繰切』を封じているもので、燈堂家はその無限廻廊を守護する役割がある。
 無限廻廊が壊れると、繰切が復活して、多くの命が失われると言われている。

 泥の器
 廻が春泥に掛けられた呪い。
 体内に入り込んだ泥の器は穴だらけで穢れた毒をまき散らすもの。
 それを封じる事が出来ても穢れで満たされた器は身体を蝕む。
 されど、浄化によりこれを神の杯に転じることができれば『神を呼び降ろす』事も可能であろうといわれている。

 煌浄殿


 深道本家の母屋から少し離れた場所に『煌浄殿』がある。
 深道 明煌(p3n000277)が主人である。
 強力な夜妖等が封じられている。
 一の鳥居、二の鳥居、二ノ社、二ノ社社務所、三の鳥居、本殿等がある。
 基本的に明煌の許しが無ければ立ち入る事は出来ない。
 深道の者と一緒ならば、二ノ社までは出入りする事ができるが、本殿に入る事は許されない。
 立ち入った場合、狭間に迷い込み戻れなくなるらしい。

 明煌と廻、三蛇、真と実、白灯の蝶が本殿に住んでいる。
 本殿には禊の蛇窟もある。また、とても危険な夜妖も封じられているという噂だ



『煌浄殿の住人』

深道海晴(みどうかいせい)
 明煌の従兄弟。先代の煌浄殿の主の息子。
 元々は海晴が煌浄殿を継ぐはずだった。
 現在は二ノ社の社務所に住み明煌の代わりに煌浄殿の雑務を担当している。

胡桃屋ミアン(くるみやみあん)
 煌浄殿の呪物のうちの一人。
 再現性山梨でご神体と祀られていた夜妖。
 暴走していた力を明煌が封じてくれた。
 現在は力の無いただの少女。
 けれど、実方眞哉と静かに過ごせる今が幸せなのだ。

実方眞哉(さねかたしんや)
 煌浄殿の呪物のうちの一人。
 元々、煌浄殿二ノ社の雑務を担当するバイトだった。
 現在は海晴とミアンと共に呪物の回収を担当している。

八千代(やちよ)
 煌浄殿の呪物のうちの一人。
 元々獰猛な獣だったらしい。
 多くの命を奪ったから。彼らの分まで、今度は命を見守る者になりたいらしい。

樋ノ上セイヤ(ひのえせいや)
 煌浄殿の呪物のうちの一人。
 部屋に連れ込んで可愛い服や美しい衣装で着飾って遊ぶ性質を持つ。
 人間の形をしているのは、疑似餌的なもので本体は部屋の空間そのもの。
 いつ何処に現れるのか、主人である明煌意外予想が出来ない。
 良い声でなく廻でよく遊んでいる。

詩乃(しの)
『英霊』巳道の成れの果て。
 イレギュラーズと戦い力の殆どを失い精霊になったのだ。
 巳道であった頃の記憶も曖昧で、童子のように振る舞う。
 仮初めの主である明煌は怖いのでちょっと苦手

シジュウ
 煌浄殿の呪物の一人。
 一の鳥居の近くにある狛犬が本体である。
 二体で一つの身体として顕現するため、多腕なのが特徴。
 真っ白でもふもふの大型犬の姿にもなれる。この時は多腕ではなく二体に分れる。
 始まりと終わりの獣。<始と終>が本来の名前。
 性格はとても人なつっこく、大型犬そのもの。
 煌浄殿に入り込む不届き者を捕まえたり、迷子を捜索したり有能な番犬。

ナガレ
 煌浄殿の呪物の一人。
 古い『煙管』に魂が宿り夜妖となったもの。
 揺蕩う<流>の名を持つ。
 その名故に各地を転々としていたが、煌浄殿に封じられ留まる事となる。
 性格は温厚で常に微笑みを浮かべている。

ルカ
 煌浄殿の呪物の一人。
 思いを形に残す『蓄音機』に魂が宿った夜妖。
 其処に流れる歌から名を取って『流歌』と呼ばれていた。
 ルカの歌は人々を癒した。反対に狂気に陥れる事もあった。
 その特性を悪用した集団から回収されて煌浄殿へとやってきた。
 とても耳が良く、煌浄殿の中ならどんな音も聞き漏らさない。
 そして、それをレコードに出力する能力を持つ。
 明煌と廻しか知らないような話を呪物の皆が知っているのはルカが教えているから。
 例えば、シジュウには『明煌のお菓子』を教えてあげた。

ヤツカ
 煌浄殿の呪物の一人。
 封じられている呪物ではなく、煌浄殿の一部。封じる者。
 何者をも逃がさない『鎖枷』の概念を宿した精霊。
 おそらく煌浄殿にある最古の『呪物』であると言われている。
 その名を<八束>という。蛇を表す八を束ね封ずる意味を持つ。
 廻が行ういくつかの浄化の儀式の際、ヤツカの枷を嵌める。
 深道の人々はヤツカの枷に絶対的な信頼を置いているからだ。
 二ノ社の儀式、禊の蛇窟での儀式共に廻の動きを封じ、それ故にその命を守るものとなる。

ヒジリ
 煌浄殿の呪物の一人。
 元の名は聖(くしび)という。
 半月型の『和櫛』に魂が宿り付喪神(精霊)となった夜妖。
 性格は嫉妬深く神経質で怒りっぽい。
 明煌の事を愛しており、後から来て特別扱いされる廻の事が憎い。
 どうにかして廻を陥れようと日々画策しているらしい。
 新たな閃き。それは廻を苛めれば、明煌に構って貰えるということだ。
 不敵な笑いを浮かべたヒジリは『明煌の縄』の締め付けに胸を高鳴らせた。

コキヒ
 煌浄殿の呪物の一人。
 縁を断ち切る『糸切り鋏』に魂が宿った夜妖。
 漆黒の鋭い刃と持ち手に巻かれた深い血の色から<深緋>と呼ばれるように。
 中性的な見た目で性別は不明だが、立ち振る舞いは無垢な子供のよう。
 元は縁起りで有名な神社に祀られていたご神体。
 人々の様々な願いを受けて力を宿した。
 されど、無垢な魂の中に入り込むのは怨嗟や憎悪、それに懇願だ。
 その辛い思いはコキヒの中に溜り、やがてコキヒ自身も怨嗟に変わってしまった。
 誰かの縁は切れても、自分の糸は切れない。
 悪しき存在となってしまったコキヒの悪性を断ってくれたのが明煌だ。

チアキ
 煌浄殿の呪物の一人。
 人々の姿を映し出した『鏡』に魂が宿った夜妖。
 姿をそのまま反射するだけだった鏡が人々のほんの僅かな願いによりカタチを持った。
 <千晶>という名は幾千もの願いの輝きだ。
 彼女が煌浄殿に封じられたのはコウゲツよりも前なのは確実だという。
 封じられてからの殆どを呪物殿の中で眠っているチアキを見た事のない呪物も多かった。
 前回起きたのは明煌が煌浄殿を継いだ時だ。
 優しく微笑み、言葉を交す事もなかったチアキを明煌さえ忘れていてしまっていた。
 されど、つい先日彼女は眠りから覚めた。
 呪物殿を出て道の真ん中で佇んでいたチアキを明煌は訝しげに睨んだのだ。

『三蛇と白灯の蝶』

シルベ
 明煌に憑いている三匹の蛇の内の一人。漢字は<標>  縄の能力を明煌に与えている。縄は赤い事が多い。
 普段は明煌の影に潜んでおり、何かあれば出てくる。
 明煌の感情の揺れによって縄が発露するのはシルベが呼応するためだ。
 自分の手足を動かすように自在に操る事が出来る。
 安心して寝られる時は無意識に動かすことがあり、稀に一緒に寝ている人物に絡んでいる。

ヤナギ
 明煌に憑いている三匹の蛇の内の一人。漢字は<楊>
 釘の能力を明煌に与えている。
 普段は明煌の影に潜んでおり、何かあれば出てくる。
 シルベのように明煌の感情に呼応することはない。
 明煌が明確に敵と対峙し、ヤナギを使う時に白蛇は牙を釘として主に与える。

シンシャ
 明煌に憑いている三匹の蛇の内の一人。漢字は<辰砂>
 血刀の能力を明煌に与えている。
 普段は明煌の影に潜んでおり、何かあれば出てくる。
 普段の性格は明るくムードメーカー。
 三蛇の中で最も陽気である。
 しかし、一度戦闘に入れば獰猛な獣となって明煌に血刀の力を与える。

真珠
 明煌に憑いている白灯の蝶。
 いつも其処に居て何処にも居ない揺らめく幻影。
 明煌が心を許す人以外は傍に近寄らない。
 暁月と廻、佐智子と三蛇の傍には飛んでいるが、他の人が掴もうとすると霧散する。


『廻の付き人』

真と実
 あまねの代わりと称して連れて来られた青年二人。
 夜妖憑きだったが、人格と記憶を奪われてしまったらしい。
 情緒を取り戻す為に廻の傍に付き人として預けられた。浄化の儀式で心身共に疲労している廻のお世話をする。廻を親のように慕っている。


第三部のあらすじ

燈堂 廻(p3n000160)
「いよいよ、祓い屋『燈堂一門』第三部(最終章)となります」
燈堂 暁月(p3n000175)
「練達国、再現性東京、希望ヶ浜の『燈堂家』を中心としたお話だよ。
 第一部は宿敵『獏馬』とその依代『澄原龍成』との戦いだったけど。
 イレギュラーズのお陰で、獏馬は無力化され、龍成も仲間になったんだ」
燈堂 廻(p3n000160)
「第二部は、燈堂家の地下に奉られた真性怪異『繰切』を封印する結界『無限廻廊』が綻びている事が判明しました。その原因は暁月さんの精神不安。当主としての重責や僕が代わりに『繰切』と契約を結んでしまった事も気に病んでしまって。とうとう暴走してしまったんです。」
燈堂 暁月(p3n000175)
「でも、星の奇跡とイレギュラーズの強い想いが私を止めてくれた。
 誰も死なずに、朝を迎えることが出来て、本当に感謝しているよ。」
「暁月が笑顔を取り戻した一方、廻は『葛城春泥』に穢れを孕む『泥の器』へと変えられてしまったんだ。
 泥の器を浄化するには、燈堂の本家深道の『煌浄殿』に入らないといけないんだって。
 そこで、廻の中の穢れを浄化してもらうんだ」
「第三部(最終章)は、廻を本家深道へ送りだす所から始まるよ」
 →<祓い屋>別たれる道
・廻の嫁入り
 廻の中の穢れを祓う為に、本家深道へ送り出す日だよ。
 一度、繰切の巫女の役目を終えて、煌浄殿へ行く為に、形式上の結婚式をしたんだ。
 廻はとてもきれいな白無垢を着ていたよ。
 でも、やっぱり皆と離ればなれになるのは寂しいみたい。

 →別たれる道と嫌な予感
・嫌な予感
 それに何だか嫌な予感がしているみたい
 悲しそうな廻の表情(心象風景)が気になるね。



 →仮初めの契約
・絶対服従の印
 廻は煌浄殿の主『深道明煌』と出会うよ。
 なんと、明煌は暁月に顔も声もそっくりなんだ!

 仮初めの契約だけど、明煌の血と魔力で編んだ赤い紐は、絶対に外しちゃだめなんだって。
 これで、廻は『呪物』として明煌の支配下におかれることになったよ。
 明煌に命令されると、絶対に逆らえないんだ。

 どうしよう、僕(あまね)が廻の中から祓われちゃったよ!
 →<祓い屋>導きの灯火
・英霊巳道との戦い
 深道の人達にイレギュラーズの強さを証明するために英霊巳道と戦う事になったよ。
 小さな夜妖達を倒す為に現れた英霊巳道はとても強かった。
 でも、イレギュラーズは力を合わせて勝利したよ!
 やっぱりローレットのイレギュラーズは強いんだって深道の人達も納得したんだ。
 だから、瞬く間に信仰が変わっていく。

 イレギュラーズなら深道三家の悲願である繰切を倒せるんだって。
 それとね、暁月の右目は明煌のものなんだって。びっくりだね。
 過去に何があったんだろう?

 →夜に堕ちる
・明煌と廻、真と実
 廻は泥の器にされて、その穢れを祓う為に浄化の儀式をしているよ。
 でも、すごく心身に負担が掛かるんだ。
 僕(あまね)が居なくなって廻はとても寂しい思いをしてる。
 だって、ずっと一緒だったからね。
 明煌はそんな廻に僕(あまね)が居なくてもいい、ありのままで居ていいんだよって言ってくれたよ。
 心身共に弱ってる廻は明煌に縋ってしまうんだ。
 そんなとき、春泥が連れて来た『真と実』と出会うよ。

 →<夏祭り2022>アクアマリンが零れる
・海と花火
 明煌が廻を連れて暁月達の所へやってきたよ。
 久しぶりの再会に明煌と暁月は少し気まずいみたい。
 昔は仲がよかったらしいんだけど、何があったのかな?

 廻はすこし痩せたみたい。心配だね。
 皆と遊べて廻はとてもうれしかったみたいだね。
 でも、遅くなって明煌にお仕置きされたよ。

 →<祓い屋・外伝>ひとときの夢
・思い出を紐解く
 暁月と明煌が幼い頃に訪れた青灯の花畑にいく機会があったよ。
 幼い頃は仲が良かったのに、今は何だかぎくしゃくしてるみたい。

 →<祓い屋・外伝>もみじ狩り
 だから、皆でもみじ狩りに行ってきたんだ。
 また昔みたいに仲良くなれたらいいなと暁月は思ってるみたい。
 明煌はまだ心を開いていない感じかも。

 →交ざりゆく糸
・喧嘩と仲直り
 明煌は自分の知らない暁月との思い出を楽しそうに話す廻にイライラしてしまうよ。
 廻も明煌のやつあたりに反抗して、喧嘩しちゃったんだ。
 前までは恐怖でしかなかった明煌が、少しずつ仲良くなったと思った矢先だったよ。

 廻は泣きながら抜け出して、煌浄殿で迷子になるよ。
 いつの間にか呪物のテリトリーに入ってしまって攻撃されそうになったんだ。
 でも、それを助けてくれたのが明煌だよ。
 自分の代わりに攻撃されてしまった明煌の看病を廻はずっとしてたよ。
 看病が終わったら今度は廻が熱を出して。

 何だかんだ、仲直りしたんだ。
 →双子星の軌跡
 →<祓い屋・外伝>煌浄殿の主
 →<Scheinen Nacht2022>雪灯の香り
・少しずつ歩み寄る
 お互いのことを少しずつでも知っていきたい。
 イレギュラーズと関わり、明煌と暁月のわだかまりが少し解けたよ。
 でも、明煌はやっぱり暁月との距離を測りかねてるみたい。
 何でなんだろう? 何かあったのかな?

 →<祓い屋・外伝>待雪草が咲いて
・廻の容態が悪化
 明煌の不在中に葛城春泥がやってきて、廻の左脚が動かなくなったんだ。
 何だかどんどん悪くなってる気がするよ。心配だね。

・暁月のため
 明煌は暁月を大切に想っていたみたい。
 だから、右眼も暁月にあげたんだって。
 でも、暁月は燈堂に行ってしまって悲しかったみたい。
 暁月を助けたい思いから春泥の計画(廻を泥の器すること)に加担したんだ。
 けれど、廻も大切になってしまって後悔しているみたい。

 →<グラオ・クローネ2023>GelatoallaVaniglia
・寂しさ
 暁月は明煌と廻が仲よさそうにしているのを見て少し寂しいと思ってしまったよ。
 昔はあんなに仲がよかったのに、自分にはまだぎこちない明煌の気持ちが分からなかったんだ。

 →<祓い屋・外伝>君が生まれた日
・すれ違い
 暁月は廻の容態がよくないことを明煌に問いただすよ。
 本当に浄化は進んでいるのか。
 それと、暁月の恋人が亡くなる遠因となった獏馬についても教えてほしいと言ったんだ。
 でも、明煌は暁月を煌浄殿から追い出してしまったんだ。

・向き合いたい
 明煌は暁月を燈堂の重責(最終的な人柱)から解放したいと思っているよ。
 だから、赤の他人だった廻を犠牲にしてもいいと最初は思ってた。
 暁月以外は必要なかった。それを変えたのはイレギュラーズなんだ。
 明煌の心に寄り添って、叱咤して、信頼してくれたから明煌は少し前を向けた。
 それで、廻も大切な人になって八方塞がりになってしまったときに、助けてと言えるようになったんだ。

 →<0と1の裏側>前に進むための夜<祓い屋・外伝>
・前に進むため
 ――このままでは、暁月も廻も死んでしまう。
 明煌は意を決して暁月と向き合うことを決めたよ。
 お話をしてる途中で夜妖の空間になってしまってびっくりしたね。
 そこに居たのは、小さい頃の暁月と、詩織だったんだ。
 もちろん二人とも本物じゃない。でも、明煌は小さい暁月を殺す度に辛そうにしてたよ。

・未練と執着
 小さい暁月を自分の手で殺した。
 助けたかったのに、殺してしまった精神ダメージは計り知れなかったみたい。
 でも、イレギュラーズが声を掛けてくれた。励ましてくれた。
 だから明煌は折れずに前を向けたんだよ。守りたいものを間違えるなと改めて心に刻んだんだ。イレギュラーズのおかげだね。

・心の内側
『封呪』無限廻廊が壊れないように暁月は自分の身を捧げるつもりだと告げるよ。
 でも、明煌はそれが許せないと怒ったよ。
 お互い言いたい事を全部さらけ出して、ちゃんとぶつかり合ったんだ。
 自分の弱音を出せない暁月が、死にたくないと吐露した。
 明煌は暁月も廻も死なせないと強く決意したんだ。

 →神代の記憶
・クロウ・クルァクと白鋼斬影
『繰切』という名前はクロウ・クルァクと白鋼斬影が合わせた名前なんだ。
 元々は別々の神様だったんだよ。

 ずっと昔にクロウ・クルァクは北の大地(ヴィーザル)を追放されて、砂漠の都(ハージェス)に下ったんだ。
 そこで人と共に栄華を極めたんだけど、やがて衰退してしまい、今の燈堂家がある場所へやってきたんだ。
 クロウ・クルァクは異邦の悪い神様として扱われ、白鋼斬影と戦うことになるよ。
 すごく激しい戦いだったんだ。洪水が起ったりね。

 戦う中でお互いを認め合い、クロウ・クルァクと白鋼斬影は一つの神様になったんだ。
 悪い『繰切』を封じているから人々は安心できるという信仰が生まれたんだね。

 →<祓い屋>正しき道
・澱みを正す
 明煌は春泥に逆らって周藤に来たよ。
 周藤には昔から人々の苦悩を預かるすごく大きな夜妖『藤宮』が居るよ。
 ずっと穢れを蓄積していた藤宮を解放するために明煌達は戦ったんだ。
 その結果、藤宮の穢れは祓われ、レイラインは正常になったんだ。

 でも、ずっと澱んでいたレイラインを急に元に戻すと激流になっちゃうよね。
 周藤のイレギュラーズが頑張ったのと同時に、燈堂に居たイレギュラーズも頑張ったんだ。
 春泥の策略で穴が開いたレイラインから穢れが出て来てね。それをみんなでやっつけたんだ!

・離却の秘術
 一方、ROOへダイブしたヴェルグリーズたちは妖刀廻姫と対峙していたよ。
 妖刀廻姫はROOのクロウ・クルァクから離却の秘術を預かっていたんだ。
 離却の秘術があれば、現実でも白鋼斬影を引き剥がせるんだって。
 でも、妖刀廻姫は戦えば死んでしまうかもしれない。
 ヴェルグリーズたちは言葉を尽くして妖刀廻姫から離却の秘術を譲り受けたよ。

・廻が行方不明
 メイメイはとても胸騒ぎがして、一人で廻のログイン装置がある場所へ行くよ。
 ログイン装置の前に居たのは春泥だった。
 ROOの内部を写した映像には明煌と暁月と廻が楽しそうに遊んでいるのが見えるよ。

 誰にも教えていない秘密を春泥はメイメイに話すよ。
 繰切を二柱に分けて、廻に白鋼斬影を降ろす。その為に泥の器にしたんだって。
 それで、無限廻廊も全部壊すんだって言ったんだ。
 とっても怖い計画だね。

 春泥はそのままメイメイを眠らせて、廻を何処かへ連れていってしまったんだ。
 →剥がれ落ちる記憶
・伸ばしても消えていく
 春泥に連れ去られた廻は『泥の器』から『神の杯』にされてしまったよ。
 どんどん記憶が抜け落ちて、廻の意識は希薄になってしまったんだ。
 文字通り、空っぽにされてしまった。
 どうしよう、とても心配だね。

・暁月の憤りと明煌の決意
 ROOからログアウトしたら廻が居なくなっていた。
 暁月にしてみたらビックリだよね。とっても怒っている暁月を宥めたのは明煌だよ。暁月も廻の命には別状は無いって聞いて一安心。

 明煌の口から春泥の目的を聞かされた暁月はびっくりしたよ。だって、繰切を倒して『封呪』無限廻廊を壊すだなんて、暁月からしたら家が崩壊するようなものだからね。
 出来ないという暁月に、明煌は絶対に全員救ってみせると言い放つよ。随分頼もしくなったね。
 →<祓い屋>結実の蛇
・白鋼斬影が降ろされ
 春泥が複製した離却の秘術で繰切がクロウ・クルァクと白鋼斬影に分けられたよ。
 白鋼斬影を降ろされた廻は、真っ白で長い髪になって、神様みたいになちゃったんだ。

・繰切の暴走、その余波
 繰切(クロウ・クルァク)が何だか苦しみだしたよ。闇の力が強まっているんだ。
 同じく廻(白鋼斬影)も暴走してしまっている。
『封呪』無限廻廊が燈堂家ごとイレギュラーズを飲み込んだんだ! 大変!
 春泥は白鋼斬影を降ろす代償の一部を肩代わりしていたよ。こっちも暴走してるんだ。

・最後の戦い
 輝一朗が願った、深道の子供達を人柱の役目から解放する。
 その大願を叶える為に春泥は突き進んでいた。
 繰切を神逐し、『封呪』無限廻廊を解いて、廻と春泥を助ける。
 ここで、決着をつけよう!
これまでのお話(第三部)

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