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白灯の蝶
登場人物一覧
名前:真珠
種族:夜妖
性別:不明
年齢:不明
特徴:白く灯る半透明の蝶。集団であったり個であったりする。
設定:
明煌に憑いている白灯の蝶。
いつも其処に居て何処にも居ない揺らめく幻影。
集団で明煌の周りを漂っていることもあれば、部屋の隅に一匹だけ仄かに灯っているときもある。
明煌がもう少し光が欲しいと思った時に、そっと照らしてくれる。
手で包むと少し温かいような気がする。明煌が心を許す人以外は傍に近寄らない。
暁月と廻、佐智子と三蛇の傍には飛んでいるが、他の人が掴もうとすると霧散する。
この白い蝶が何時から居たのか、明煌は覚えていない。
物心ついた時には既に明煌の周りをひらひらと舞っていた。
明煌が決して迷子にならないのは、この蝶が帰る道を教えてくれるからだ。
幼い明煌は絵本の中に出て来た大きな真珠が美しく輝いていたのを見て、自分の周りに舞っている蝶の名前を真珠に決めた。
話さないし意思の疎通が出来ているのか不明だが、明煌を見守る灯火であるのだろう。
戦闘時は敵の視界を攪乱するのに便利である。
集団で敵へ飛んで視界を覆うのだ。
ジュリエットがこの蝶を見かけたのは夏祭りの夜。
明煌の周りを舞っている蝶が気になって聞いてみたのだ。
「いつも俺の周りを舞ってるんだけど、特に害は無いよ。一般人には見えもしないしね」
「幻想的で綺麗ですね……あら?」
白灯の蝶はジュリエットの肩に止まりゆるゆると翅を広げる。
「おや、珍しい。あまり俺以外には懐かないんだが。君の美しい髪を仲間だと思ったのかな?」
ジュリエットの髪は透き通るような白で、虹色が毛先に向かって広がっていた。
「ふふ……可愛いですね。あ、あれ? わわ?」
次々と蝶が集まりジュリエットを覆っていく。
わさわさの毛糸玉みたいになってしまったジュリエットに明煌は目を細めた。
「やっぱり、仲間だと思ってるんだね。このままじゃ、君まで消えてしまいそうだ。
ほら、おいで真珠。その人は連れて行っちゃいけないよ」
手を伸ばした明煌の指先に蝶が一匹止まる。その瞬間ジュリエットを覆っていた蝶がふわりと消えた。