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きっと救いだった
きっと救いだった
登場人物一覧
- 笹木 花丸の関係者
→ イラスト
名前:笹木 誠司
種族:ウォーカー
性別:男
年齢(或いは外見年齢):46
一人称:私
二人称:君(きみ)
口調:だね。かな。だろう。
特徴:薄墨色の髪、アイリスの瞳。
設定:笹木 花丸の育ての親にして師匠。
元の世界では無手戦闘の達人として様々な事件を解決してきた何でも屋。
汚れ仕事も引き受けるが、外道に落ちる心算はないらしい。
母親を亡くした幼い花丸の下に現れ、彼女を自身の娘として育て上げた。
かつて、男には妻子が居た。
惚れ込んだ女は花屋の娘だった。
穢れを知らぬ純情な笑顔に男の心は救われたのだ。
殺伐とした事件の柵から解放されて、花屋の娘と会うときだけは心が安らぐ。
花屋の娘とて若き好青年の好意に気付かなかった訳ではない。
けれど、彼が見て居るのは花に囲まれた美しい自分なのでは無いか。
重たい花を運び、手を荒れさせていると知られれば幻滅されるのではないか。
そんな不安を余所に。
――いいや。君の手はとても美しい。真摯に花と向き合ってる証拠だよ。
これからは私の傍で笑顔を咲かせてくれないか。
薔薇の花束を持って言うものだから。ドラマみたいと笑ってしまった。
繭の中みたいな幸せな時間が過ぎて行った。
黒い雨が降っている。
灰色の硝煙と銃声。遠くで誰かが助けを求める声が聞こえた。
男はその場に立ち尽くしている。
見慣れた間取りも、お気に入りのソファも、妻子の笑顔も、全て、壊れた家の中。
絶望が目の前に広がっていた。
声にならない慟哭は、床を打ちつける。
今日の朝までは、共に歩む未来を思い描けていたはずなのに。
幾ばくかの年月が過ぎ去って。
悲しみが胸を灼かなくなった頃、娘によく似た少女を見つけた。
その、少女の笑顔は――