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『番犬』黒曜
登場人物一覧
名前:『番犬』黒曜
種族:ウォーカー(夜妖憑き)
性別:男性
年齢:23歳
一人称:俺
二人称:呼び捨て
口調:だな、だろ、なのか?
「何? 高いところにボールを飛ばした? 仕方ないな。取ってやる」
「なあ、暁月。廻が廊下に落ちてたぞ。しかも、熱あるぞこいつ」
特徴:黒狼の夜妖憑き。狼憑きなので耳が4つある。狼耳尻尾は任意で隠すことが出来る。
設定:
暁月をサポートする『左腕』とも呼べる青年。暁月より体格が良く力仕事はお手の物。
一見無愛想に見えるが身内にはとことん優しい兄貴分。
自分を拾ってくれた暁月、温かいご飯を作ってくれた白銀には頭が上がらない。
眞田が廻を心配して尋ねてくる内に仲良くなった。
最初は番犬の如く警戒をされていたけれど、今ではメッセージアプリでやり取りする程にまでなったらしい。
口数は多くないけれど、近況報告等をしているようだ。
異世界から帰って来た廻を本邸まで連れて来たのは眞田だった。
廻を軽々と持ち上げているあたり以外と力持ちなのだと黒曜は彼の背を叩く。
「最近どうなの? 燈堂君。ちょっと顔色悪かったけど」
「んー、満月の夜に大切な儀式があるとは聞いてる。そのあと二、三日は寝込むな」
「そうなんだ……心配だな」
考え込む眞田に黒曜も掛ける言葉が見つからない。
黒曜自身も『月祈の儀』がどういうものかは把握していないのだ。
おそらく、暁月も詳しくは知らないのだろう。
廻はそれを語らない。儀式にはそういう掟があるのかもしれなかった。
ただ、廻がどんどん人間では無くなってしまうように思えた。
儀式を重ねる度、夜妖に近づいているとでも言うのか。考えても答えは出てこない。
長い沈黙が続く。他人と居る時のような気まずさは無い。
ただ、窓の外に見える空を二人して眺めていた。
リビングの襖が開いて廻が入って来る。
「もう、大丈夫? 燈堂君」
「はい。ありがとうございます。連れて帰ってくれて」
眞田と黒曜の後ろに正座した廻を、二人はわしわしと撫で回した。
「無茶をするなよ廻」
「そうだよ。程々にね」
「はわ、はい……」
めしゃめしゃになった髪を手で押さえて、廻は「えへへ」と笑った。
この時だけは、流れる空気は穏やかで。
噛みしめるように、眞田は目を細めた。