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陽光に焦がれ
登場人物一覧
名前:シルキィ
一人称:わたし
二人称:~君、~ちゃん
口調:だねぇ、だよぉ、だよねぇ?
特徴:学園の同僚。廻が陽だまりだと思う存在。
設定:
やあ、シルキィ先生。お仕事お疲れ様。
いつも廻の事を気に掛けてくれてありがとう。
実際助かっているんだよ。学園で倒れた時は君が見て居てくれるからね。
あまり事情を他人に知られたくないだろうから、知っている人が傍に居てくれるのは心強いと思う。
廻は君の事を大切に思っている。
見ていて分かるよ。大切で壊したく無い、守りたいという想いが伝わってくる。
少し妬いてしまうぐらいだ。ああ、君達の仲を邪魔する意味じゃないよ。安心してくれたまえ。
それに私と廻の関係は特殊でね。あれには私が居なければ生きて行けないという枷がある。
不可抗力ではあったけど私の判断が廻を夜妖憑きに貶めた。
瀕死の重傷を負ったのは真実だ。だけど、負わせたのは私なんだよ。
夜妖に憑かれかけた廻を斬った。
当時、赤の他人だった廻の命一つで大勢の命が救われるなら、という決断をしたんだ。
だけど、躊躇してしまった。
その一瞬の隙に漠は分たれ、悪の夜妖は何処かへ去り、善の獏『あまね』が残った。
祓う事もできた。でも、あまねは廻の命を救って欲しいと言ったんだ。
せっかく手に入れた宿主を失いたくなかったのかもしれない。
だが、その代償は大きくてね。
死にかかった命を繋ぎ止めるのに必要だったものがある。
――廻の記憶と莫大な生命力。
廻がこれまでの全てを失う代わりに。命を繋ぐ漠の生存本能だね。
まあ、それで廻の中にあまねが定着する一ヶ月。大変だったんだ。
夜妖の性質と共存するための時間が必要でね。
暗い地下の座敷牢で服従を刻み、足りない生命力を注いだ。
月が一周して。地下から出てきた廻は、陽だまりを『初めて』手のひらに感じて、泣いたんだ。
それは尊いものを噛み締めるような情景だった。
暗い地下で焦がれていたのだろう。陽光を。
だから、廻が陽だまりの様だという君は、彼にとって大切な人なんだろうね。
尊くあたたかい太陽のような存在。
だからこれからも仲良くしてやってほしい。
あれは儚いだろう。
今にも消えてしまいそうな。そう、夜妖に近しい存在だ。
だからしっかりと、君の糸を結んでいてくれないか。
もし、廻が道に迷ってしまった時に、その糸を辿れば帰ってこられるように。
絆を。心を。強く。