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黒蛇の炎
登場人物一覧
- 恋屍・愛無の関係者
→ イラスト
名前:深道夕夏(みどうゆうか)
種族:ウォーカー(夜妖憑き)
性別:女性
年齢:22
一人称:私
二人称:あんた、君、~さん、~ちゃん、呼び捨て
口調:よ、わ、よね? 関西弁が混ざる
特徴:黒蛇の夜妖憑き。暁月の従姉妹。和輝の妹、日向の姉。
設定:
深道家(みどうけ)の血筋の子供のうち、
夕夏の場合は兄が一般人だった為、夜妖憑きである事を両親から強く望まれたのだ。
その願いが叶ってか、夕夏は神隠しに遭い、夜妖憑きになった。
黒蛇の夜妖と契約したのだ。
幼い夕夏に黒蛇との契約を持ちかけたのは『葛城・春泥』だった。
白蛇を尊ぶ深道家において、黒蛇憑きは倦厭される。
両親は夕夏が『黒蛇』憑きと知って嘆いたという。
これでは、神隠しにあっても意味が無い。当主になれる道は無いのだと。
しばらくして、朝比奈が『白蛇』と契約し、深道の当主となった。
兄の和輝が同じ年の暁月と比べられ嫉妬の渦に飲まれたように。
夕夏もまた、朝比奈と比べられる事となる。
和輝と暁月は和解したが、夕夏と朝比奈はその性質からも相反するようになる。
夕夏は当主になることを望まれて育ってきた。
その両親からの希望が絶望に変わる瞬間は思い出したくも無い光景だ。
苛立ちをぶつけるように、夕夏は剣の修練に打ち込んだ。
「そうそう。その調子だよ。君はどこまで強くなれるかな?」
時折現れる春泥は口の端を上げて嗤った。
「お前のせいで……ッ!」
「いやいや、君が望んだんだよ? 強い夜妖と契約したいって。でも、僕知らなかったんだよねぇ。深道家が黒蛇を倦厭してるなんてさ。何でかな? 同じ蛇なのにさ?」
「煩い!」
これ以上、深道三家の事を詮索されたくなくて夕夏は春泥を追い払う。
「あ、そうそう。燈堂がさ、今やばいんだって。佐智子が話してるのを聞いたんだけど。暁月が壊れ掛かってるって。大変だよね。廻ってのが夜妖になり掛かってて? そいつが繰切と手を組んで悪さしてるみたい?」
何もかもが信じられなくて、常に苛立ちを覚えていた。
「廻……そいつが燈堂に仇成す者か」
「そうそう。聞いた話じゃ多分そう」
踵を返し夕夏は歩き出す。燈堂へ向けて怒りのままに。
「――ふふ、君はどこまで強くなれるかな?」
春泥はわざと情報を混線させる。強者を作り上げるには痛みは重要なスパイスだから。
闇に春泥の嗤い声が響いた。