SS詳細
その髪を梳かせて
登場人物一覧
名前:ヒジリ
種族:夜妖
性別:男性
外見年齢:20歳ほど
一人称:僕
二人称:君、呼び捨て、明煌
口調:だね、だよ、かも?
特徴:長く美しい黒髪と赤い瞳。女性と見紛う程の中性的な美青年。
設定:
煌浄殿の呪物の一人。
元の名は聖(くしび)という。
半月型の『和櫛』に魂が宿り付喪神(精霊)となった夜妖。
性格は嫉妬深く神経質で怒りっぽい。
明煌の事を愛しており、後から来て特別扱いされる廻の事が憎い。
どうにかして廻を陥れようと日々画策しているらしい。
二ノ社から本殿へと帰る廻を自分の呪物殿に連れて行ったこともある。
廻を傷つけてはならないという命令の隙間を縫うために考えを巡らせた結果。
明煌がいつも廻にしているような事であれば大丈夫だと閃いたのだ。
とりあえず手首に縄を掛け廻の様子を伺う。
不思議そうな顔でヒジリを見つめる廻は慌てる素振りすら見せない。
「特別扱いされてるからって、余裕な顔して! 腹立つ!」
バチンと廻の頬を叩けば、少し怯えた表情になった。
ヒジリはニンマリと笑って、何度も廻を叩いた。傷が付かない程度に。
しかし、それも長くは続かなかった。
殺気を感じ後ろを振り向けば、明煌が蔑んだ目で自分を見ていたのだ。
「……ヒジリはさ、それが『大事な預かり物』だって知っててやってる?」
「だって! こいつばっか特別扱いしてる! こいつにしてるみたいに僕も愛してよ!」
面倒くさそうに溜息を吐いた明煌は『縄』でヒジリの身体を締め上げ天井から吊す。
「ヒジリにはキツいお仕置きが必要みたいだね」
「えっ、嘘……ちょ、降ろして! 待って行かないで!」
藻掻けば藻掻く程、縄はヒジリの身体を締め付けた。
「お前が望んだ通りだよ」
蔑んだ目のまま明煌は廻を回収して呪物殿の扉を閉める。
夜妖であるヒジリはそれで怪我を負う事はないけれど。
新たな閃きを得てしまった。
廻を苛めれば、明煌に構って貰えるということだ。
不敵な笑いを浮かべたヒジリは『明煌の縄』の締め付けに胸を高鳴らせた。