SS詳細
獏馬からしゅうへ
登場人物一覧
- 恋屍・愛無の関係者
→ イラスト
名前:恋屍・愛無
一人称:僕
二人称:~君
口調:だ、だろう?(言い切り)
特徴:獏馬(しゅう)の名付け親。まだ少し距離感が掴めない。というか表情が読めないのでしゅうは悩んでいる。
設定:
今日は愛無が来る日だ。あまねの波が廻から生命力を『吸い取る』方へ傾いているから愛無を呼び出した。
廻は愛無やシルキィが来ると特に喜ぶから生命力の譲渡もスムーズになる。
僕としても愛無達が居ると龍成が廻に構いに行かなくなるので嬉しい。一石二鳥というやつだろう。
玄関のチャイムが鳴る前に足音で分かる。これは愛無の足音だ。
「いらっしゃい。待ちくたびれちゃった」
「お邪魔するよ。連絡感謝する。待って居たのかね? 何か用でも?」
「用って程でも無いけど……」
アルバムをちょっとだけ見て欲しいな、なんて。こういうのってどう切り出せばいいのかな。
龍成の時みたいにくっ付いて甘えてとか出来ないし。
「えっと、その……」
「ところで、この前あげたアルバム、写真とか増えたかね」
「あっ! う、うん! これ見てよ! 龍成と一緒に撮ったんだよ。こっちはね廻だよ。愛無喜ぶでしょ」
真白いアルバムが埋まって行く度に、愛無との距離が縮まるような気がして。
僕は沢山の写真を撮った。僕と龍成。それに愛無が喜ぶから廻の写真も沢山。
「ほう。良く撮れているな。この写真とかはとても良いと思う」
愛無が指差したのは廻とあまねが起きられる様になって燈堂本邸に住んでる人達全員で撮った写真。
暁月、廻、白銀、黒曜、龍成、あまねと僕。タイマーで全員映ってる。
嬉しくて誇らしくて口元が緩んでしまう。
「良い子、良い子」
「なっ……何!?」
急に頭を撫でてくるものだから、びっくりしてアルバムを落としてしまった。
「ん? こうして欲しくて待ってたのでは無いのか?」
「ち、違うよ! ばか!」
見て欲しかっただけだし。別に撫でて欲しいとか思ってなかったし。
何なの。もう。すごく恥ずかしい。
「うちの家訓はらぶあんとぴーすだ。良い子は褒めるものだろう? それで、ママと呼んでくれる決心はついたかね。パパでも構わないが」
「愛無は愛無でしょ! それに愛無だって、名前呼んでくれないし」
「……呼んでほしいのかね?」
普段無表情なのにこういう時だけ嬉しそうなの、本当何なの!
すごく釈然としないけど。でも、ちょっとだけ仲良くなれた気がする。
おまけSS『アルバムの中身』
「ところでこの写真、もう一枚無いのかね?」
「どれ? 廻の寝顔? いいよ。あげる」
「良いのかね。こんなに無防備な写真を……」
「まあ、愛無なら良いんじゃ無い。廻ならそう言うでしょ」
「あとで確認しよう。それとこれもいいかね?」
「それって。僕と愛無のやつ?」
「親子水入らずってやつだ」
「……好きにすれば」