PandoraPartyProject

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崩壊


 どうすればよかったのだろう。
 私がもっと強ければ。
 世界は変わったのだろうか。


 深道の子として生まれた私は。
 年の離れた妹が、次の燈堂当主として召し抱えられるであろう事を知った。
 燈堂といえば、東京にある深道の分家。禍ツ神である蛇神『繰切』を奉っている場所だ。
 そこへ可愛い妹をやるぐらいなら、自分が燈堂の当主として、立派に役目を果たしてみせる。
 最初はそんな猛勇だったように思う。
 燈堂当主を継いだ時に、初めて人を殺めた。
 前当主である大叔父を妖刀『無限廻廊』の継承と共に斬り殺したのだ。
 ほんの十歳の時だった。

 ――守らなければ。
 当主を継いだ自分の苦悩は、従兄弟である和輝には理解出来なかったのだろう。
 羨ましいのだと罵る和輝と、喧嘩をしたのを、昨日の事の様に思い出す。
 私からすれば、成長し、妻子に恵まれた和輝の方が、羨ましい限りであった。

 ――守らなければ。誰に理解されなくとも。
 平穏な日々と、夜妖憑きを祓う狭間で。
 少しずつ、何か大切なものが、乖離していったのかもしれない。

 ――守らなければ。誰に理解されなくとも。この手で全てを。
 そう思っていたはずなのに。
 最愛の恋人を。守らねばならない一番大切なものを。
 この手自ら、斬り殺した。その感触は今でも鮮明に思い出せる。
 脳内にこびりついて離れない詩織の最期の言葉。

 どうすればよかったのだろう。
 私がもっと強ければ。
 世界は変わったのだろうか。

「すまない。廻」
 この刀を抜くということは。全てを終わらせる事と同義。
 君を連れて往くことを、許してほしい。
 それが許されないのなら、どうか、どうか。
 私を――殺してほしい

 ああ、詩織。
 君はあの時、こんな気持ちだったんだな。ようやく、君の想いを理解できたよ。
 遅くなってごめん。もうすぐ行くから待っていてほしい。

「解呪顕現――妖刀無限廻廊」



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