シナリオ詳細
<グラオ・クローネ2021>月夢のプレリュード
オープニング
●
弓を引き絞った様な細い月がインク・ブルーの空に浮かぶ。
悴む手に息を吐いた。
雪がちらつく夜の街は少しだけ甘い匂いに包まれる。
早く君に会いたくて。
随分と早く着いてしまった。
どんな服装で来るだろうか。どんな表情をしているだろうか。
君の笑顔を想像するだけで、顔が火照るようだ。
時間が近づくにつれて鼓動が高鳴っていく。
君に伝えたい言葉があるんだ。
ずっと言えなかった。負担になるんじゃないかって思ってた。
だって、こんな感情初めてだったから。
早く会いたい。でも、少しだけ怖くもある。
君の言葉が怖い。
何て返してくれるだろう。
断られたらと思うと夜も眠れないんだ。
だけど。勇気を出すよ。
きっともっと。君を好きになる――
人混みの中に君を見つけた。
たったそれだけで、胸がいっぱいになる。
「お待たせしましたわね。マリィ」
「ううん。今来たところだよ。ヴァリューシャ」
マリア・レイシス(p3p006685)は愛おしげに目を細める。
差し出された手をヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)が取れば随分と冷えていた。
「まあ。マリィったら、こんなに手を冷たくして! もう! こうしてポケットにつっこみますわ!」
強引に両手を左右のポケットに入れられるマリア。
じんわりと温かくなっていく指先と。比例して高鳴っていく鼓動。
この心地よさがもう少しだけ続きますように。
勇気が出るまで。あと――
●
「やあ、廻君。随分と早いね」
「愛無さんこそ」
待ち合わせ場所に三十分も早く着いた恋屍・愛無(p3p007296)と『掃除屋』燈堂 廻(p3n000160)はお互いの顔を見合わせ笑い合う。時間まで近くのベンチに座り街行く人を見つめる。
「……初めて会ったときのこと、覚えてますか?」
「黒い影を食ったときだろうか。もちろん昨日の事の様に思い出せるよ」
茹だるような夏の夜。化物たる愛無にとってこの希望ヶ浜は『縁の無い街』だと思っていた。
それが、夏を終え、秋を過ぎ、冬を越え、春の蕾が訪れる頃なっても、まだこうして足しげく通う事になろうとは思ってもみなかったと、愛無は視線を廻へと流す。
「随分と、長く居座ったものだ。僕にしては珍しい。君が居たからだよ。廻君」
「……ふふ。嬉しいです」
ふわりと笑って愛無を見つめる廻。
「お待たせだよぉ~! ふたりとも」
手を振りながらベンチに走ってくるのはシルキィ(p3p008115)だ。
「いえ。僕達が早く着いてしまって。時間は大丈夫ですよ」
「遅れたかと思ったよぉ~。走ったらぽかぽかになっちゃった。ちょっと休憩だよぉ~」
ベンチに腰掛けるシルキィ。
「……」
会話も無く、ゆったりと流れる時間。無理に話していなくてもいい。取り繕わなくてもいい。
それが涙が出るほどに心地よくて。廻は二人の手を握る。
「希望ヶ浜の外ではバレンタインの事をグラオ・クローネと言うそうですね」
大樹ファルカウと最初の少女との御伽噺。
――太古の昔。大樹と共に生きた少女は色を、味を、五感を持たなかった。
それは押し付けられた原罪であり、少女の咎ではなかったけれど。
大樹は彼女の人生を憐れみ天に願った。彼の大樹とて完全に取り払う事など出来はしない呪い。
けれど、ほんの僅かにだが、願いは叶った。彼女の舌は甘みを感じ。指先に感触を覚え。
何も映さなかった彼女の瞳は明暗を。世界を知った。
黄金に輝く王冠でさえ灰色(グラオ・クローネ)に見えるけれど。それでも、少女は幸せだった。
「永遠に傍に居るとは限らない。明日消えてしまうかもしれないからこそ、傍に居てくれてありがとうと大切な人に感謝の気持ちを込めた贈り物をする日なのだそうだ」
「そうだねぇ~」
愛無の説明にこくこくと頷くシルキィ。
「じゃあ、僕もいつもお世話になってる二人に感謝を込めた贈り物をしないとですね。カラオケに行ったら渡しますね」
「それは、楽しみだ」
「えへへ~」
ふんわりとした空気が三人のまわりに漂う。幸せな時間。
「今日、夢を見たんです。何かに追いかけられる夢です」
アメジストの瞳を揺らし廻が心細そうな声で紡ぐ。
「真っ暗な所を我武者羅に逃げて逃げて逃げて。ちょっと不安だったんですけど。今日こうして二人に会えて安心しました」
繋がれた手を握って、温もりを確かめ合う。不安を拭うように。
「そろそろ行きましょうか。今日はうんと楽しみましょうね!」
屈託の無い笑顔を愛無とシルキィに向けた。
- <グラオ・クローネ2021>月夢のプレリュード完了
- GM名もみじ
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2021年02月27日 22時10分
- 参加人数33/30人
- 相談5日
- 参加費50RC
参加者 : 33 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(33人)
サポートNPC一覧(2人)
リプレイ
●
奏でるは旋律。夜の明かりが窓の外で煌めいている。
祝音の家はまだ物が少ない。伽藍とした空間にひとりきり。
キッチンからは甘い香り。ミルクチョコにアーモンドやナッツを詰めて。
溶かしたチョコはフルーツでフォンデュにしてしまおう。
チョコを食みながらテレビに視線を送る。映るのは猫の愛らしい姿。
「猫番組だ……やった……猫さん、可愛いな」
煌めく祝音の瞳。今度猫を撫でに出かけてみるのも悪くないだろう。
四音とアルエットはローズピンクのカーペットの上に座っていた。
アルエットを膝の間に抱え、後ろから頬をすり寄せる。
うっとりと細められるアルエットの瞳。唇の上に乗せられるチョコレィト。
次は四音の唇へと伸ばされる指先。チョコと一緒に触れた唇の感触に胸が高鳴る――
「ふっ、完璧な計画ですね。全てイメージ通りです。きっとうまくいくことでしょう」
四音は妄想の中でアルエットとの蜜月を反芻していた。あとは実践するのみ。いざ!
「どうしたの? 四音さん?」
「あ、あのですね。アルエットちゃん……家に遊びに、きません、か?」
もじもじと頬を染める四音にアルエットは天使の笑みを浮かべる。
「……私が欲しい愛は、遮那君の愛以上に強い愛です」
朝顔は遮那の隣で強く言い放った。一番の愛を与えるから。一番の愛を返して欲しい。
誰かと平等の愛では足りない。満足出来ない。誰かと一緒では嫌だから。
「私が遮那君にこれから教えます。遮那君が子供だからではなく。貴方が私に向ける愛がそうであって欲しいから。遠いと貴方が言うなら私が近づきます。体も心も隣に行けるように。共に歩むなら、片方が頑張るのは可笑しいから」
朝顔は遮那の心が先に進んでいってしまうようで焦燥感を覚えるのだろう。それは、遮那とて同じこと。すれ違いながら進んで行く道もあるのかもしれない。辿り着く先は光に溢れまだ見えないけれど。
「……まぁ、そんな事は置いといて。グラオ・クローネだから、チョコ作ってきたんです。
ほら、私があーんってしてあげますから!」
「チョコか? うむ、あーんとするのが習わしだからな。あーん」
鹿ノ子は一口サイズのハート形の生チョコレートを遮那に手渡す。
「これなら仕事の合間の糖分補給として一口で食べられるので、手や口を汚すこともなく効率的かなと!」
形の大きな物や見た目の豪華な物でも良かったけれど。グラオ・クローネ自体は特別な日なのだろう。
けれど、鹿ノ子が感謝や好意を伝えるのは特別ではないから。
「それこそ日常に溶け込むくらいのことにしたいので!」
「ふふ、ありがとう鹿ノ子。お返しをせねばな。何か欲しいものはあるか?」
「うーん、物は要らないので、こうして元気でいてくださいッス。僕がそばにいるときは、ありのままの遮那さんで、笑っていてくださいッス」
鹿ノ子の笑顔に同じように微笑む遮那。生チョコを一口食んで甘さを噛みしめる。
「沢山の”ありがとう”と”だいすき”を、あなたに! はっぴーぐらお・くろーねッス! 遮那さん!」
チョコを貰ったらあーんとするのが礼儀だと教えて貰ったから。
遮那は甘いくちどけを一粒とって鹿ノ子の唇にそっと乗せた――
天香の門を潜るのは何度目だろうかとタイムは目を細める。
辿る道中には名残雪が地面を濡らしていた。
「綺麗なピンク色の花が沢山咲いていたの」
「梅だな。この時期は美しい。そろそろ満開になるだろう。庭で良ければ共に見られるぞ」
「本当? ご一緒していいかしら?」
「もちろんだ。所でその手に持っているものは……」
「そうそう今日はグラオ・クローネでしょう? わたし達も折角だから楽しまないとね」
幻想で有名な店の限定商品を遮那の掌に置くタイム。じっと見つめる琥珀の瞳に首を傾げる。
「あーんはしないのか?」
「な、何言ってるのっ。どこで覚えたの? こういうのは誰にでも言ってはいけないわ。本当に大切な人にお願いしてね……!」
「そうなのか!? あーんするのが礼儀ではないのか……」
照れたように赤い頬を掻く遮那にタイムはくすりと微笑んだ。
いつものように側仕えの仕事を終えたルル家はチョコを抱え、遮那の執務室の襖を開ける。
視線を上げれば、どうやら机の上で眠っているらしい遮那を見つけた。
「お疲れですね……」
とはいえ、執務室で寝てしまえば風邪を引くやもしれぬと、ルル家は遮那の肩を揺する。
「遮那くーん、駄目ですよ。ちゃんとお布団で寝ましょうね」
「……ん、ああ、ルル家か。すまぬ。少し寝ていたようだ」
そのまま肩を貸し、寝室まで連れて行くルル家。布団へ横たわる遮那の頭を撫でて目を細めた。
「おやすみなさい、遮那くん……」
渡せぬチョコは残念だったけれど。今はゆっくりと寝てほしいから。
「今日チョコを渡せなかったのは残念ですが……明日にでもお渡ししましょう」
威降は朝からそわそわと落ち着かない様子だった。
「お店側とはいえ好きな女性を部屋に呼ぶとは我ながら大胆だなと思いますが……」
今日はバレンタイン。無辜なる混沌のグラオ・クローネなのだ。少しぐらい問題無いだろう。
風来堂古書店の呼び鈴が鳴る。
「いらっしゃい、月羽さん」
紡をリビングルームに招き入れた威降は、温かいお茶と共に微笑んだ。
「今日はどうもありがとうございます。実は月羽さんに渡したいものがあって。
……え? 月羽さんもですか?」
紡は威降に包みを手渡す。リボンを解くと甘い香りが広がった。
「……チョコレートだ。家族以外で初めて貰った。どうしよう凄いうれしい」
威降は照れた様に頬を染めて、赤薔薇の一輪花を紡の手に乗せる。
「あ、それじゃ俺からも……はい、どうぞ」
今の気持ちはシンプルに。けれど、その一輪に乗せる思いは大きい。
「来年は……両手いっぱいの花束を贈れるよう頑張りますね」
彼の笑顔に紡も一緒に微笑んだ。
「お茶を淹れたよ。何を読んでるの」
シラスは本に意識を落とすアレクシアに話しかける。
カップから立籠める湯気に視線を上げた。
「ありがとう……読み掛けの本だったから続きが気になって」
窓の外はまだ寒いけれど、部屋の中は温かい。陽光差し込む緩やかな昼下がり。
何の予定も無い時間は、逆に何をしていいか分からなくなる。
お互い、忙しなく駆け足で世界を飛び回っているから。
だから手持ち無沙汰を隠すために文字を追っていた。
きっと、シラスも同じ気持ちだったのだろう。交わる視線にアレクシアはくすりと笑う。
戦闘や窮地の時であれば自然とお互いの距離が分かる。考えていることさえも。
けれど、『日常の過ごし方』は少しだけ経験不足だ。
「ねえ、手をつないでいたい」
シラスのお願いにぱちりと目を瞬かせたアレクシアは『いいよ』と微笑む。
本は片手でもめくれるから。少しだけわがままを言った。
「こうしてると何だかほっとするよ」
「うん。まだ少しそわそわとはするけれど、たまにはこういうのもいいなって思うよ」
さらさらとした肌のぬくもりに二人は笑い合った。
アークライト家のキッチンではリゲルとポテトがグラオ・クローネのお菓子作りに勤しんでいた。
リゲルのカラーリングをイメージした髪飾りがポテトの髪に揺れる。
クッキーにマフィン、パウンドケーキに生チョコ、トリュフ。
「これだけあれば、ノーラもソレイユも大喜びだな」
「ああ。後は何を作ろうかな……あ、クッキー荒熱とれたかな」
皿にならべられたチョコクッキーはしっとりを焼き上がっていた。
「焼き色も良い感じだし……リゲル、味見してみないか?」
「ええと……あ、あーん」
差し出されたクッキーを照れくさそうに慌てて食むリゲル。
「どう? 美味しい?」
「……美味い。幾らでも食べれてしまうぞ」
リゲルがあーんさせてくれた事にびっくりするポテト。
代わりに差し出されたクッキーに目を丸くする。
今日はいつもより甘くて胸が高鳴る出来事がいっぱいだ。
「あーん」
口の中に広がる優しい味。蕩けるような時間はパステルカラーに煌めいて――
炬燵の上に並ぶ杯。二つ並んだ陶器に揺れる日本酒を注ぐ蜻蛉の指先。
思い返せば色々とあった。死の予兆に震えた夜もあったのだ。必死だったのだ。
「生きとってくれて、ありがとう」
紡ぐ言葉は何処か寂しげで十夜は月へと視線を逸らす。
「やから、そろそろ……お月さんへ帰ろうと思うん。……なんて、うちの居場所なんてあらへんけど」
日本酒が注がれた杯が十夜の前に置かれる。
去って行く白い指先。紡がれるは蜻蛉の『本音』なのだろう。
「もし、そうなったら止めてくれる?」
ざわりと十夜の心の奥が蠢いた。蜻蛉の言葉が頭の中で反芻する。
背水。後ろは逃げられぬ海だ。ああ、なんてなんて。ずるいのだろう。
「……ずるいねぇ、お前さん」
「ずるいんはお互い様よ。またいつもみたいに逃げる?」
真っ直ぐに十夜を見つめる蜻蛉の瞳。
望まなければ失わないのに。目の前の月の君は『逃げ道』を塞ぐのだ。
否。蜻蛉の言葉で迷うのならば。それは、もう自分自身が逃げられなくなった証拠だ。
――逃がしたくないと。思ってしまった。
「ここに――俺の側に、いてくれ。……月より居心地は悪いかもしれんが」
吐き出す言葉は掠れ、滲む汗が首を伝う。
「──初めから言うてるやない、側にいる……て」
待ちわびた言葉。頬を流れていく月の涙を、臆病な男の指が掬い取った。
グラオ・クローネに彩られる町並みが通り過ぎて行く。
フェルディンとクレマァダはゆっくりと夜景の見える高台へ登っていた。
機微には疎いフェルディンとて今日が何の日で、隣の彼女と過ごす時間が何を意味するかは分かっているつもりだ。けれど、クレマァダと自分では身分が違うのだとも実感するのだ。
隣のクレマァダも眉を寄せ緊張気味に歩いて居る。
カバンの中のチョコを渡せばいだけなのに。それが出来ない。
「チョ……っと冷えて来たのう! 座って暖かいものでも飲まんか!」
感謝の気持ちを伝える日なのに。震える手は。怯えた心は勇気を持たない。
なんと弱い女なのだろう。だって、そんなもの今まで知らなかった。知らずに生きてきた。知らずに生きて行くはずだった。司祭として。
なのに。あの日、クレマァダは天空神殿に呼ばれ、たった一人の『人間』になってしまった。
「いけませんね、ボクは。貴女からチョコレートを頂けたら、とても嬉しいだろうな――などと、思ってしまって」
フェルディンの言葉に顔を上げる。司祭としてではなく。一人の少女として求められること。
フェ……
フェルディ……
……
それがどんなに嬉しくあっただろう。クレマァダは震えながら白い息を吐き。
「フェル!!」
顔に紅葉を散らしながらチョコの箱を押しつけるクレマァダ。
「ま、待って! クレマァダさん!」
押しつけられたチョコを大切に抱え、走り去っていく少女の背を追いかけるフェルディン。
感謝を伝えるから。だから、貴女の傍に――
この瞬間をどれだけ待ちわびただろう。
マリアは自分の唇に指を当てた。未だ残るヴァレーリヤのぬくもりに震える心。
「なんだかまだ、頭がふわふわしていますわ……」
ヴァレーリヤはマリアの胸にすり寄る。お互いの間に流れる鼓動は張り裂けそうな程強くて。
「……ぁ、えっと。少し散歩でもするかい? ここは夜景も綺麗みたいだよ!」
「そ、そうですわね! 二人で、一緒に……」
差し出された手を取って、ヴァレーリヤはマリアに視線を上げる。彼女の顔は赤く染まって普段より可愛らしい。
「飲み物でも買って行こう! 私はホットチョコレートにしようかな……君はどうする?」
「私は、そうですわね。ジンジャーティーにしようかしら」
温かい飲み物を手にベンチに座る。
目の前に広がる夜景は美しい。この明かり一つ一つに誰かの生活があり、好きという気持ちや思い出があるのだろう。誰かが紡いできた思いの欠片。
「いつか誰かが、私達の気持ちが夜を照らすのを見て、こんな風に語らうのかしら」
寄せられたヴァレーリヤの頭。二人の関係が変わって不安なのはマリアだけではないのだろう。
「今まで以上に仲良く素敵な思い出が作れればいいな……」
「ええ……勿論」
触れあう場所から温もりが伝わってくる。高鳴る鼓動と情動にマリアはヴァレーリヤの頬に指を添え、柔らかい肌に唇を落とした。ゆっくりと離れて行くマリアの顔にヴァレーリヤの鼓動が高鳴る。
「えへへ……大好きだよ……」
照れくさそうに笑うマリアの頬にヴァレーリヤも同じようにキスをして。
「ふふ、知っていましてよ。ねえマリィ、私達、ずっとお互いを好きでいましょうねっ!」
「勿論さ! その……この後お家で一緒に過ごさない?」
灰王冠の夜に紡がれるのは、二人だけの秘密の物語――
「こうして、リュティスと出掛けるのも幾度目になるか」
「もう数えられないくらいは一緒に出かけたでしょうか?」
ホットチョコレートをリュティスに手渡したベネディクトは夜景の見えるベンチに腰掛ける。
メイドたる役目として自分が買いに行かなければという少女の視線に苦笑いして。
「女性の前では多少なりとも格好を付けたくなる物なんだ、特に男という生き物は」
「ふむ、そういうものなのですね」
大人しくリュティスはホットチョコレートの甘さを口の中に流し込む。
温かくて甘い香りが口の中に広がった。男心というものは難しい。
「ここ最近、よく考えるんだ。元の世界に居たあの頃も幸せだったが
──君と共に居る今もそれに等しい物だと」
ベネディクトが背負わねばならない枷は、忘れてはならない大罪。それでも。
「俺は、幸せなのだと……口にしても良いのだろうか」
「そうですね。幸せだと口にしてはいけないということはないと思います」
誰よりも前を向かねばならないベネディクトは、過去に追いかけられ苛まれている。それは自分自身で背負った咎なのかもしれない。忘れる事は罪なのではないかとベネディクトは思うのだろう。
「もし御主人様が自身を許せないのであれば、私が許しましょう。これまで御主人様の行いを見てきた私が言うのです。信じて頂けないでしょうか?」
リュティスの言葉にベネディクトは視線を上げる。彼女の言葉は優しく響いた。
「……ああ、そうだな。ありがとう」
答えにはまだ届かない。
けれど、この場が『幸せ』であることには違いないのだとベネディクトは微笑んだ。
ブラウンライトに照らされたBAR『luna piena』のソファー席にいるのは鬼灯と行人だ。
「グラオクローネに大の男が二人……いや、章殿もおられるので正しくいえば三人だが酒を飲むというのはなかなか面白い光景だとわれながら思うのだが」
「恋人同士のイベント、って訳でもないだろう」
カランとグラスの中の氷が揺れる。
日々を忙しくしている冒険者だからこそ、こうして平和な日常が大切なのだと行人は思うのだ。
「っていうか。章姫ちゃんと二人でなくて良いのか? ま……こういう日だ、少しくらい気分が落ち着いている奴が居たっていい。だろう?」
「まあな」
「お酒って美味しいの? 鬼灯くん、旅人さん」
鬼灯の腕の中に居る章姫が、鬼灯の持つライトに煌めくグラスを撫でる。
「ああ、美味しいよ。章殿はジュースを貰おうね」
さて、何を話そうか。行人の旅の話は酒の肴には丁度いいだろうか。色々な所を回り美味しい食べ物美味しい酒を楽しむのもまた旅の醍醐味なのだろう。
「あれはそう、雪の降る寒い日だった──」
わくわくと身を乗り出す章姫に微笑みながら、鬼灯は行人の言葉に耳を傾ける。
ブラウンライト照らす落ち着いた店内に行人の声が優しく響いていた。
「よおよお、急だけど時間あった?」
眞田は廻へと手を上げる。少しだけでも二人で話したいと思ったから此処へ呼び出したのだ。
こんな日は何処も浮かれていて元いた世界と変わらないと眞田は笑う。
「ココア好き? あとチョコも。ほら今日バレンタインじゃん?」
「はい。大好きですよ。ありがとうございます」
温かいココアを受け取りベンチに座る廻と眞田。
「……俺最近考えてたんだけどさ。意外と、自分の思ってた以上に燈堂君のこと大切なのかも」
照れくさそうに視線を逸らす眞田に廻は目を細めた。
「……あ、変な意味じゃなくてさ! 知り合ったのも割と最近なのに、ってこと。……やっべえ、俺も浮かれてる感じ? こんな寒い中寒い事言ってごめん! ココアもう一本買ってくる!」
「眞田さん。大丈夫ですよ。寒いことなんかじゃないです。嬉しいです」
立ち上がり掛けた眞田の手を取って、落ち着いてと座らせる。
「僕も眞田さんの事、大切な友達って思ってますから」
「そ、そう? 良かったぁ……俺だけじゃなかった」
大人になると友達を作る事が難しいと思うようになる。だから、少しだけ気恥ずかしいけれどこうして言葉に出す事が大切なのだろう。この後の予定が開いてるならカラオケにでも誘おうか。
●
廻達は繁華街のカラオケに入って行く。
地下にあるVIPルームは綺麗な花が飾られ、落ち着いたライトが絨毯を照らしていた。
VIPルームの手前にはカクテルコーナーがあり、カラオケ店というよりホテルのラウンジの装い。
「廻さんとカラオケなのです! 所でカラオケってなんですか?」
キョロキョロと辺りを見渡すラクリマに廻は歌を歌う所だと教える。
「歌? こんな狭い所で?」
「カラオケ、というのは初めて、で……よく、分からなくて……」
廻の後ろからちょこんと顔を出すのはメイメイだ。不安げな表情を見せる彼女を安心させるように廻は優しくメイメイの頭を撫でる。
「俺、カラオケって初めて!」
その後ろからはイーハトーヴが顔を覗かせた。
「大丈夫ですよ。怖い所じゃないですから」
部屋に入ってドリンクを頼んだ後、廻が遠慮がちにマイクを取る。
「えっと……、皆さん。砂の国で大きな戦いがあったとおもうんですけど。
無事に帰ってきてくれて嬉しいです。改めて……お帰りなさい」
服の下に隠してはいるが、傷を負っている者も居る。そんな中、バレンタインに集まってくれた『友人』達に廻は薄らと涙を浮かべた。
「いぇーいカラオケ!!」
「よっし! 何歌おうかなぁ!」
希望ヶ浜に馴染みがあるシルキィと眞田が先陣を切って端末を操作していく。
曲が流れ出せば、音の大きさにメイメイが目を見開いた。
メイメイは隅に置かれているタンバリンを取り出して、シャンシャンと鳴らす。
「とにかく知ってる歌を探して、このりもこんという奴で数字を入れたらいいのですよね?」
ラクリマは遠い記憶にある人づてに聞いたカラオケの知識でこの場に臨んだ。
「え? 今は数字いれなくていい? え?」
これが再現性東京にある別の年代の街なら、分厚い番号帳を捲ってタイトルや歌手名で探しているのかも知れない。されど此処は希望ヶ浜。端末はタッチパネルだ――!
「とにかく知ってる歌を探すのです! あれ? ……聖歌ない? 馬鹿な! なぬゆえないのだ!!!!」
ぐぬぬと拳を握りしめるラクリマ。
「そうだ、ねえ、廻。君はどんな歌を歌うの? 俺、君の好きな曲を覚えて帰りたいな」
イーハトーヴは端末を手に廻の元へやってくる。
「僕は暁月さんがよく歌ってくれたのとか。牡丹さんが歌ってくれたのとか。あと、テレビで流れてたアニソンなんかも好きですよ」
希望ヶ浜で流行のアニメソングをタッチする廻。最近、何処でも流れている歌は、イレギュラーズでも耳にしているだろう。イーハトーヴも街頭で流れるこの曲を知っていた。
「ふふ。うん、わかってるよ、オフィーリア。そのためには、今日は潰れないよう気を付けなくちゃね。お友達の好きな歌、忘れず連れて帰りたいもの」
そこへやってくるハニートースト。
「こ、これが、ハニトー……なんという、わがままスイーツ……」
メイメイがキラキラした瞳でパーティサイズのハニートーストを見つめる。羊耳がぴこぴこと揺れてなんと愛らしいのだろう。
「わわ! すごい。ところでこれ、どこから食べたらいいんだろう……? ここかな? あっ!」
イーハトーヴの手に蜂蜜とアイスが溶け出す。
「め、廻、これ、どうしたらいいの!?」
「あわわ。おしぼりをっ」
慌てておしぼりでイーハトーヴの手を拭いていく廻。その隣にはラクリマが悪戦苦闘していた。
「ふふ、ラクリマさんもですか?」
「いや、これは。ち、違うのです!」
「じゃあこっちの分けてるやつをどうぞ」
皆との思い出を残すため、メイメイはaPhoneを取り出す。
こんなに大勢で歌を歌うのは何だかむず痒いとラクリマはカクテルを煽った。
「人の歌聞きながらの酒はうめぇ!」
酔えば、どんな所だって楽しいと思えるから。タンバリンを鳴らし合いの手を入れていく。
「あの……これ、は、わたしから。えと、希望ヶ浜風に……ハッピーバレンタイン、です、ね。廻さま」
「わぁ、ありがとうございます。メイメイさん。可愛い羊型のチョコですね!」
嬉しそうに微笑む廻の裾を引いて耳元で告げるメイメイ。
「わたしも、ついてます、から」
心がざわめく予感に。友達を守りたいと思うのはきっと不思議な事じゃないから。
イシュミルを誘ったのだけど、断られたアーマデルはもやもやとした胸の内を抱えながらカラオケに来ていた。この世界の歌は全然知らないので、専らの聞き役。それに、食べ役だ。
テーブルの上に並ぶのはポテトにケチャップとレモンかける、唐揚げにもレモン。グラウクローネ限定プチチョコシュータワーだ。
「そうだ。廻殿にお土産だ、チョコが入ってるらしい塩バタークッキー」
「わぁ! ありがとうございます」
アーマデルにとって友達とよべる人は存在しなかった。だから、きっと廻は初めての友達。
分からないなりに、廻にプレゼントを送りたいと思ったのだ。
「廻殿はどんなお菓子が好きなんだ?」
「僕は、リーフパイとかチーズのおつまみとかチョコやクッキーも好きですよ」
微笑む廻にアーマデルの心も嬉しいと感じる。これが友達というものなのだろうか。
「食べ放題だって聞いてやってきたっす!! え? 食べ放題じゃない……? でもご飯は並んでる?」
首を傾げた千種は廻の隣に腰掛けて手を差し出す。
「ちゃんとお話しするのは初めてっすね~。よろしくっす!」
何度か見かけた事はあるけれど、こうしてゆっくりと話しをするのは初めてだった。
「コースってすごいっすね……!? どんどんご飯がでてくるっす……
廻くんは何か食べたいものあるっすか? どれでも食べていいらしいすよ!」
千種は廻の皿に料理を山盛りにしていく。
「細いしたくさん食べた方がいいんじゃないかな~! ほら、山盛り食べるっす! 食べないと歌えないっすよ! あと、あとこれあげるっす! ――元気が出るように」
千種の笑顔と共にコロンと掌に転がった一粒の飴。
「遅くまで歌うのはいいが、カクテルがあるからってあまり飲みすぎるなよ? 歌うんだから、喉に優しいやつにしておくといい」
「はぁい。竜真さんは歌わないんですか?」
竜真は既に赤くなった廻の頬をむにむにと引っ張る。
「俺は……こう、なんだ。時代が違うのかもしれないが、知ってる歌が少なくてな。廻の知ってる曲で、なにか歌いやすいものがあれば聞かせてくれないか」
流行の歌も分からないけれど。廻が歌うなら、その声が聞きたいからと竜真は言葉を紡ぐ。
「――御機嫌よう、廻さん」
VIPルームの外にあるカクテルコーナーで酒を選んでいた廻に話しかけるのはアンジェリカ。
「ふふっ、皆で過ごすバレンタインデー楽しいようですね? その顔を見れば誰だってわかりますよ」
カクテルを揺らしながらアンジェリカは耳元で囁く。
「それで、チョコレートはどうでしたか?
廻さんの事です。きっと色んな人から貰えたんじゃないんですか?」
「ええっ? えっと」
くすくすと笑うアンジェリカに頬を染めて動転する廻。
「何て、御免なさいね。廻さんを見ているとついついからかったりしたくなるもので……
それはそれとして、廻さん。私からもバレンタインのチョコレートです」
「良いんですか? ありがとうございます!」
自分が送る側になるなんてこの世界にくるまで思ってもみなかった。心境の変化に僅かな戸惑いはあれど、誰かに送りたいと思う気持ちの方が大きかったから。そうさせたのは隣に居る廻だからなのだろうか。
「ふふ、こっちに居たのねぇ」
アーリアはVIPルームを賑やかな若者達に任せ、カクテルコーナーに来ていた。
カラフルなカクテルを傾け、アーリアは廻にバレンタインのプレゼントを取り出す。
「これは廻君の分で、こっちは暁月さんの分よ。帰ったら渡してくれるかしら?
ふふ。沢山チョコを貰うでしょうし、合間に飲んでちょうだいなぁ」
花の香りがするウィスキー『サヴォア・ディア・ユー』を廻に手渡すアーリア。
アーリアは廻の向こう側に愛無を見つけて目を細めた。
「じゃあ、私は戻るわねぇ」
踵を返しVIPルームへ戻っていくアーリア。
「……あ、愛無さんもお酒を選びに来たんですか?」
「まあ、そんな所かな」
廻の隣に寄り添う愛無。
例えば、廻が獏馬の尻尾であるあまねを介し、影響を受ける事があるのだろうかと愛無は思案する。
無意識の内に操られてしまう可能性はあるのだろうか。確証のない可能性は不安を煽るのだ。
一つだけ言えることは、廻の精神的不安は避けるべきであろう。
愛無が傍に居ることで廻は安心する。それは、廻自身が言葉にしたものだから。
信頼されているのだと思う。こっそりと手を握り温もりを確かめる。
「君が何に追われようが、僕が守ってみせよう。僕はずっと君の傍にいるよ。それに、シルキィ君やアーリア君もいる。他の皆もだ。だから、安心してくれたまえ」
「愛無さん……」
それに。
「僕は君の事が好きになったよ」
前とは少し違う、今の愛無の気持ち。不思議な気持ち。
――けれど。大切な人(ルウナ)を喰らった自分が触れてしまっても良いのかとも思うのだ。
打ち明けてしまえば、楽になれるのだろうか。泣いて縋れば抱きしめてくれるだろうか。
幻滅され嫌われてしまったら。廻まで失ってしまったら。
「愛無さん? どうしました? 顔色が悪いです」
「……いや、何でも無い」
負い目を感じるのだ。眩しすぎる程の微笑みに。
二人の前を灰銀の髪をした男が通り過ぎて行く。この先の洗面所に向かうのだろう。
ふと視線を上げれば、廻や愛無と同じアメジストの瞳が暗く光っているように見えた。
「あ、僕お手洗い行って来ますね」
「ああ……」
咄嗟に気を付けてと言いかけ、愛無は口を噤む。
何故か得体の知れぬ違和感――嫌な予感が首筋を駆け抜けた。
――――
――
カラオケの帰りは駅まで皆で歩く。アーリアに愛無、竜真、シルキィが一塊になる。
「燈堂の家まで送っていこうか。夜道を一人で歩かせるのは心配だからな」
「そんな……小さい子供みたいに」
竜真の言葉に呆れたように眉を下げる廻。けれど、その優しさに安心する。
「これは俺の我儘なんだ。君をできる限り。一緒にいられそうな時は傍で守りたいっていう」
「竜真さんって……過保護なんですね」
「……そうか? 昔からの、変わらないところだよ」
守るべき者の傍に居たいと思うのは、失ってしまう怖さを知っているから。
駅に着けばシルキィとは路線の違う電車に乗ることになる。
少しだけ話したくて。シルキィは廻の袖を引いた。
それに自然と着いて行こうとする竜真と愛無を「二人はこっちよぉ」なんてアーリアが引き留める。
残されたのはシルキィと廻の二人だけ。シルキィのペリドットの瞳が廻を見つめた。
「もったいぶっちゃってごめんねぇ? はい、バレンタインのチョコレート!」
差し出されたのはピンクの小包。白いリボンが掛けられて可愛らしい。
シルキィの頬は赤く染まり、胸は今にも破裂しそうな程、鼓動を打つ。
「ありがとうございます。シルキィさん。嬉しいです。開けても良いですか?」
「うん、いいよぉ」
包みを開けば地球、そして月と太陽をイメージしたカラフルなチョコレート。少しだけ歪だけど、思いのこもったシルキィの手作りチョコが見えた。
「……ね、廻君。一緒にお菓子やチョコを作ってお泊まりさせて貰ったり、こうやって皆でカラオケに行ったり。とっても、楽しかったねぇ」
「はい。すごく、すごく楽しくて。本当に、嬉しくて……これも皆に出会えたから。愛無さんやシルキィさんに出会えたからです」
燈堂という家の外、希望ヶ浜という街は廻を受入れなかった。けれど、イレギュラーズは違う。廻を異端として扱わず等身大として接してくれた。それが何より嬉しかった。
「だからっ……ありがとうございます」
「うん。わたしも嬉しいよぉ」
無くしたくないもの。大切な思い出。大切な友達。守りたい人。守られたい人。
それらを噛みしめるように廻は言葉を紡ぐ。
電車が来るまで、もう少し。もう少しだけ一緒に居たいと願うのはシルキィと廻、両方の思いだ。
されど。
月明かりが陰る。暗き夢の狭間から呼ぶ声がする。
――み い つ け た。
ざわりと耳元で声が響いて、廻の視界は真っ黒に塗りつぶされた。
奈落の夢に落ちて行く。
「廻君?」
「……」
シルキィに寄りかかるように廻の上半身が傾ぐ。崩れ落ちそうになる廻を支えながらシルキィは必死に声を掛け続けた。きっと良くない事が起こったのだとシルキィは直感的に悟る。
廻とシルキィの様子に駆けつけた愛無が手を差し出した。地面に倒れ込む寸前で竜真が抱え上げる。
心配そうに見つめるアーリアとシルキィ。
「ねぇ……廻君、どうしたの。ねぇ……廻君、廻君! 起きて……、起きてよぉ!」
月は雪雲に隠れて暗い影を落とし、シルキィの涙声が冷たい空気を震わせていた。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
お疲れ様でした。如何だったでしょうか。
灰王冠の夜に、甘い思い出をお届けしました。
そして、月夢のプレリュードが鳴り響きます――
GMコメント
もみじです。バレンタイン(グラオ・クローネ)の日。
ゆっくりと楽しみましょう。
●目的
バレンタイン(グラオ・クローネ)を楽しむ。
●ロケーション
希望ヶ浜。整備された現代日本の町並みが広がります。
高台の広場、バー、カラオケなど。自宅でゆっくりもOK。
A:広場
異国情緒溢れる見晴らしの良い高台の広場です。デートスポット。
昼は青空。夕方はオレンジ色に。夜には美しい夜景が広がります。雪がちらつくかも。
外はまだ寒いけれど、二人一緒にくっついているだけで温かいですね。
小さな出店もあり、簡単な軽食やホットドリンク、お酒があります。
○ホットチョコレート、ココア、コーンポタージュなど
温かい飲み物であたたまりましょう。
B:BAR『luna piena』
ブラウンライトに照らされた室内に、ジャズが流れるお洒落なバーです。
本日は貸し切りなので店内では気兼ねなく寛げます。
カウンター席とゆったりとしたソファ席があります。
アルコールはもちろん、フードにもこだわっているので、どれも逸品です。
○アルコール
・アデプト・マティーニ
・アラウンド・ザ・セフィロト
・ミサオフィズ
・シンロン
・シュペリアル
・カスパライズ
・アデプト・トーキョー
・夜妖・オン・ザ・ビーチ
・他、ウィスキーにワインや各種果実酒、各種スピリッツ類、日本酒等
各種定番のカクテルにリキュールとフレッシュジュースを使ったオリジナルまで。
ノンアルコールやフードもあります。
C:カラオケ
繁華街にあるカラオケ。廻が広いVIPルームを予約しました。
日が暮れてから集合です。
ハニートースト、カラフルなカクテル。飲み放題。
簡単なお食事コースでお腹を満たし。歌ったり。
近くの人とこっそりおしゃべりしたり。
D:自宅
ゆっくり自宅でバレンタイン(グラオ・クローネ)を楽しみたい人向け。
チョコを作ったり、お家でチョコを渡したり。
国家や部屋の様子があれば分かりやすいです。
●プレイング書式例
強制ではありませんが、リプレイ執筆がスムーズになって助かりますのでご協力お願いします。
一行目:出来る事から【A】~【D】を記載。
二行目:同行PCやNPCの指定(フルネームとIDを記載)。グループタグも使用頂けます。
三行目から:自由
例:
C
【歌廻】
今日はカラオケで遅くまで歌います。
ちょっとはしゃいじゃうかも。カクテルとかも飲んだり!
寂しいときはあまねと一緒に歌ったりしてたんですよ。
あ。そうだ。忘れないうちにバレンタインのお菓子渡しておきますね。
こう見えてお菓子作るの好きなんです。
ふふ、楽しいなぁ。大学生っぽいのちょっと夢だったんですよね。
あ、ちょっとお手洗い行って来ますね。
●NPC
○『掃除屋』燈堂 廻(p3n000160)
希望ヶ浜学園大学に通う穏やかな性格の青年。
裏の顔はイレギュラーズが戦った痕跡を綺麗さっぱり掃除してくれる『掃除屋』。
今回は【C】のカラオケにいます。
○『琥珀薫風』天香・遮那(p3n000179)
誰にでも友好的で、天真爛漫な楽天家でした。
義兄の意思と共に天香家を継ぎ、前に突き進んで行きます。
大戦を経て心の成長に伴い、身体も変化しようとしています。
最近どうやら声変わりが始まったようです。身長も少し伸びているらしい。
【D】の自宅で『ぐらおくろーね』を楽しんでいます。D以外には居ません。
他、『希望ヶ浜のバレンタイン』に来そうなNPCは現れる可能性があります。
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
●諸注意
描写量は控えます。
行動は絞ったほうが扱いはよくなるかと思います。
未成年の飲酒喫煙は出来ません。
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