シナリオ詳細
ローレット・トレーニングVI
オープニング
●深き森より
大樹ファルカウを頂くアルティオ=エルムは朝の清々しい空気に包まれている。
「明けましておめでとうございます。昨年は皆さんにはお世話に――ええ、とても……お世話になりましたね」
ファルカウの巫女にして深緑が誇る大魔導リュミエ・フル・フォーレは穏やかな笑みをイレギュラーズへと向けた。彼女の実妹カノン・フル・フォーレの一件が糸のように絡みつきラサと深緑を舞台にした事件があった事は記憶にも新しい。
イレギュラーズはそこで立ち止まることはなく海洋王国の国家事業――新天地(ネオ・フロンティア)に向けた新たな一歩に力を貸しているという事はリュミエも聞き及んでいた。閉鎖的な国とは言え各国の動向に関しては知っておいた方がいいというのは確かな事である。
「ええ、それで……折角の新年の記念ですので私達も皆さんに何かお礼を兼ねて、と考えたのですが」
「考え付かねぇから俺を呼んだってワケか」
首を傾いだリュミエの傍らでがりがりとい頭を掻いたのはディルク・レイス・エッフェンベルグその人だ。傭兵団『赤犬の群れ』を率いる傭兵であり事実上のトップである彼は深緑とは善き隣人でありたいと告げていた。その交流の中で、新年のあいさつを兼ねてアルティオ=エルムでイレギュラーズ達の力になれればとリュミエが勘案しディルクがその策を講じたのだそうだ。
「……イレギュラーズとの『合同訓練』の経験がある傭兵(おれ)達を頼るって言うのは間違いじゃない。勿論な、ローレットと深緑も善き友人であるという事を各国にアピールするいい機会にもなる」
「ええ。我々は閉鎖的であり、特異な文化も多い。それ故に、魔種に対しての対処なども皆さんと比べれば遅れをとることでしょう」
だからこその『合同訓練』。そして新年祝賀のパーティーなのだそうだ。
礼を兼ねての新年祝賀パーティー。そしてこれからも戦場に身を置くローレットとの交友をアピールするための『合同訓練』には善き隣人であるラサの傭兵団の協力のもとアルティオ=エルムの古代遺跡で行われる。
「古代遺跡でダンジョンアタックってのも面白そうじゃねぇか」
「ええ。新年祝賀のパーティーに関しては同胞たちにも準備を依頼しております。
のんびりとパーティーで過ごして頂き体を休めるのもまた訓練ですし、迷宮森林でのサバイバルやトレーニングもよいかと思います」
迷いの森――迷宮森林を探索することができるのもアルティオ=エルムの幻想種達の協力を得られるからだ。
点在する古代遺跡のダンジョンアタックや迷宮探索というのもまたとない機会だ。幻想王国で『穴掘り』をしているペリカ・ロズィーアンも幻想種であり、幼き日はこの古代遺跡での『穴掘り』を嗜んでいたともいう。
「気を付けていただきたいのが深緑は炎はあまり好みません。緑が多いから、というのおまります。
そして、大樹ファルカウは我々にとっての信仰の対象。『昇る』『害する』という行為はお気を付けください」
柔らかな笑みを浮かべたリュミエにディルクは「国家の特色だって考えろよ」と言った。自然と一体化することでこの世界に結び付き、独自の文化レベルで魔術的発展を遂げた幻想種の都たるアルティオ=エルム。
まだ謎深きこの場所で新年を祝賀するとともにトレーニングを楽しんでみるのもいいだろう。
「それでは、良き日になりますよう」
穏やかに微笑んだファルカウの巫女に傭兵団も協力するから声をかけろと堂々告げて、ディルクはイレギュラーズを激励した。
「それで?」
「ええ。……私も新たな可能性に賭けてみたくなった――それだけですよ」
なんて、イレギュラーズに面と向かって言う事は出来ないとリュミエは小さく笑った。
- ローレット・トレーニングVI完了
- GM名Re:version
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2020年01月19日 22時01分
- 参加人数924/∞人
- 相談10日
- 参加費50RC
参加者 : 924 人
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参加者一覧(924人)
リプレイ
●
賀正新年――
「深緑の年賀パーティー! つまり!!! 深緑の偉い方が出席してるという事ですね!! これは! 婚活チャンス!」
最悪リュミエもやむなしと思っていたルル家。深緑は共同体なのでそう言った地位などはあまりないが、イケメンでお金持ちならいるだろうと本日も婚活ファイヤーである。
「やっぱりこういう時には地酒を頼むに限るんだが、そういうのってここいらにはあるのかい?
ラサの傭兵達もいるし、ここいらで呑み比べっていうのもいいかもねぇ」
折角ならば新年パーティーだとシルヴィアが深緑産のワインやラサより持ち込まれた酒類を手に傭兵たちを探す。飲み比べならばと名乗りを上げたハウザーがにやりと笑った。
「あけましておめでとうございます、ファルカウ様!
僕のマ……母が深緑の出身なので、よくお話は聞いてたんです。『でっかくてすごいのよ!』って。大雑把な説明だなぁと僕も思うんですけど」
政宗のママもある意味ではあっている。確かに『でっかくてすごい』大樹ファルカウがっ護ってくれているのだ。
「リヴー! あーしらの故郷、じゃねーけど大森林の中入れるってよ! 行こーぜ! んで、食べよ! うまいもん!」
楽し気なマリネにオリヴァーはリネがしたいなら、と頷いた。故郷のあたりでは食べられないものは沢山あるからと片っ端から口にするマリネとは対照的にオリヴァーは確かめながら食べ続ける。
「折角なら深緑名物ゲテモノ料理とかあれば良かったのになー」
「ゲテモノが…出てこない、のは。良い事、じゃない……?」
ゲテモノは勿論なしだ。桜花は演奏をしたり歌ったり、そして食事を楽しみながらパーティーを眺めている。
「さて、おなじみのローレットトレーニングということで、今までのトレーニングに思いを馳せるとしましょう。
南の島では一人で看板持ってずっと待ちぼうけしてました。誰にも一緒に行こうぜって言わなかったから。
山ではまた待ちぼうけするかと思ってたらなんか一人来ました。ちょっと嬉しかったです。
砂漠とかそういうのはちょっとわかんないです。行き忘れてたとかそういうんじゃないです。はい」
フニクリは看板を持ち上げた。【遥か夏のカプリチオ御一行様】の看板、此処で掲げてますよ!
「皆さん、新年あけましておめでとうございます。
昨年は本当に色々なことがあって、大変だったと思います。
今年は良い年になるよう、心より願っております」
ナーザが準備したのは『オゾウニ』。元の世界に居た頃に振る舞われたという料理はナーザの知っている物に似せてある。白みそ、お餅、大根、鰹節。香りが周囲に漂えば幻想種達がおやと顔を見せる。
「折角の機会ですから、深緑の方との交流も深めておきたいですしね。
といいましても、あまりあれこれ飲み食いする方ではありませんので給仕などをお手伝いさせていただきたいのです。まあ、本職は仕立屋ですが、そういったことも多少は心得がありますので」
にこりと微笑んだオフェリア。ルドラへと手渡したカクテルの香りは何処までも甘い。
深緑の文化に疎い殻とメートヒェンは深緑茶を美味しく淹れるコツを幻想種へと問い掛けた。一応個人的に手に入れたからこそ研究なんかはしているけれど、と悩まし気なメートヒェンに幻想種達は穏やかに返してくれる。
「独自の文化が育まれた場所は、食事も特徴的で面白いねぇ。んん、これは蜂蜜酒かな?」
創はエリシルとロミルダを振り返る。木工細工を生業とする創からすれば深緑は縁深きものだ。
「美味しいですねぇ、変わったものを食べられるのは遠出の醍醐味ですっ」
自然豊かな所で育ったロミルダには心地の良い場所であり、冒険者であったエリシルにとってもどこかなじみ深い場所だ。
「いいねぇ、いい素材は想像力を高めてくれる」
「料理もいい。流石に土地柄と言うべきか、野菜類や果物の瑞々しさは群を抜くな」
食事も満足だと頷くエリシルにロミルダは嬉しそうに談笑をしつつ――どこか暗い面差しをちらりと覗かせる。
「さて、これを楽しんだら訓練にも行こう、準備はいいよね?」
「迷宮……うぅん、私だって特異運命座標の一員ですもの、大丈夫です」
食事をしたからには頑張るのだとロミルダはやる気を漲らせた。
「未成年が酒飲むんじゃねぇぞ」とイエロはシキへと云い放つ。チンピラなのに固い奴だな、とぼやきながらシキが用意したのはノンアルコールのドリンクとつまみだ。
「ったく……で? なんだよ、ちょっとは慣れたのかよ、人と話すのは」
「だっから、別に話すのが苦手なわけじゃねーよ……。ただ1人のが気楽っつか、周りに人がいることに慣れないってか……」
慣れないとぼやいたイエロに独り立ちするまで一緒に居てやるかとシキが溜息交らせた。そうしている時間が楽しいなんてイエロは口が裂けても言えないけれど。
●
「新年あけましておめでとうごぜーます。去年の暮は海洋で滅茶苦茶頑張りました……凄い疲れました……。
ですが実力不足を感じたのも事実……また海洋でのお仕事もあるかもしれませんし」
大号令という立派な海洋王国のお仕事が残ってるマリナさん。しっかり筋力トレーニングを行う事も重要だとやる気を絞り出したのでした。
ナインはのんびりとパーティーの様子を眺めている。深緑の美女や美少女と交友するのは絶好の機会だ。
「交流、良い事です。互いの理解が深まれば、無用な諍いも減ることでしょう」
賑やかな事は嫌いではないとアレックスは酒を片手に周囲を見回せば――ドレス姿で蜂蜜酒を手にしたラーテがひらりと手を振った。
「意外とスーツ似合ってんのな。まっ丁度いいや、一緒に飯食うぜ!」
「待て、意外ととはなんだ意外とは!」
聞き捨てならないと言ったアレックスを膝の上に乗せてほろ酔い気分でラーテはからから笑う。老成したアレックスにほろ酔いのラーテ。果たして先にどちらが赤くなるのだろう?
テーブルに並んだ菓子を見つめながらセティアはソフィアににんまりと笑った。パない位新年のあいさつがどういう意味があるかわかっていないが多分エモいのだ。
「えへへ、ことしもよろしくね」
「ええ、こちらこそよろしくね」
何となくお年玉に意識が言ったソフィア。対するセティアは「あのね、あっちいこ」と隅を指さし、ソフィアの手を掴もうとし――頬が赤くなる。掌を引っ付けるみたいに繋いで、ソフィアに任せるまま端へと歩き出した。
「木登りはNGか。まあ、トウゼンと言えばトウゼンだよね」
ファルカウを見上げながらイグナートは深緑の食文化や深緑独特の格闘技などの文化を調べたいと言った。魔術的素養の強い幻想種は鉄帝国などと比べれば肉体言語は薄いだろう。しかし、そっち方面に長けてる者もどこかに入るだろう。
「野菜メインで食べてるのかな?」
「お肉美味しい!」と傍で騒ぐ深緑の魔女フランツェルにイグナートは曖昧な表情を浮かべた。
「よ。お前もサボりか? 違う? ……まあ、気にすんな」
フルールの隣に腰かけたミーナへと夢見る様にフルールは「体に負荷をかけすぎては良くないわ」とにんまり笑った。訓練なんか今の所は興味がないと言ったミーナにフルールは小さく笑った。
「おねえさんばかりおはなしさせちゃだめね。私は花が好き、すももの花が一番好き。それから実も」
好きなものは少しだけ。それを指折り数えて少ないけれどご容赦してねと彼女は笑った。
「今から新年会デス」
ルーキスはそう言った。そして、ゆっくりと盃上げて彼女は叫んだ。
「新年早々トレーニング何てやってられるかーー!」
祝いの席は酒と肴を楽しみながらのんびりするのがいいのだとルーキスはルナールに絡み酒。
珍しく酔っているなとルナールは酒を配る。「色々口を滑らす前に寝よう、な?」とルーキスをコートで包むがルナールの言葉空しく恋人は大騒ぎだ。
「新年トレーニング断固反対?」
首を傾げたマリス・テラ。どうにも燃費が悪い彼女はひたすらもぐもぐもぐ。
「消化不良」
『あんだけ食えばそうもなんだろ』
その様子に鈴音がくすくすと笑って尻尾をぴこり。ご飯タイムなテラが何所までも可愛いのだ。
「やっぱりテラちゃんはたくさん食べますのね、見ていて好きですにゃ♪」
そんな鈴音の隣で「稲荷寿司を持ってきててよかったかな?」とふらふらと歩き回っていた飛鳥は雪乃と共にちょこんと座る。
「あ、お稲荷さんですぅ! 懐かしいのですわ♪ やはり食べなれている物は美味しいですぅ~♪」
いつの間にか巻き込まれた新年会。雪乃は西洋の酒も中々だと嬉しそうに目を細めた。
酒盛りというのは沢山の人が居るからこそが一番だ。こうして過ごすのだって、中々に悪くはない。
「うわーい! パーティーだー! とつげきーーー!
……も、もうたべられないよ……どこかで、ちょっと休憩しよーっと」
オカカはお腹がパンパンなのだと美味しそうな料理をとりあえず角に突き刺した料理は後で食べようとお昼寝場所を探しに出発だ。
「依頼とかやってるとさぁ……疲れるよねぇ……イライラするし……ストレスたまるし……キレたくなるし……」
呟いてリリーは眠りの中へ。眠りを邪魔されたら文字通りギルティだ。
●
「皆さん、注目! 注目して下さいまし!
鉄帝国の司祭にしてイレギュラーズのヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ!
素敵な時間をパーティーを開いてくれたお礼に、これから得意の炎の魔術でキャンプファイヤーを……あっ、どうして止めますの? 離して、離して下さいまし!!
テロリスト、何のことですの!? 私はただ、お礼をしたかっただけなのにーー!!!」
鉄帝国が誇る司祭(テロリスト)ヴァレーリヤによる一発芸なのであった。
「おー、ここが深緑! すごいなー、機械もあんまり使わずどうやってこうやって家とか作ってたんだろう?」
ルルは瞳を輝かせる。成程、工業ではなく木々の発達で作られた街なのだとルルは住みやすい場所を作れればと笑みを浮かべた。技術はみんなで共有してからこそなのだと父の教えをルルは体現し続ける。
情報網をしっかりと構築しておくべくステラは挨拶を行っていた。深緑、ローレット、そのどちらに拘ることなく人脈を構成する事こそ必要なのだとコツコツと稼ぎ続ける。
「さすがにダメって言われてるのに燃やす真似はしないからね!?」
趣味とは分別を持って居るからこそ趣味なのだと余興がてらに占いを提案した。通称『先輩』と呼ばれるカンテラ周りを漂う小さな光の珠。王の眷属らしい所見せてくださいという無茶振り(?)と共に先輩が齎したのは――
「努力すれば為せる? なんか普通じゃないですかね……?」
その騒がしさに向くりと頭を上げたルーティエはいつの間にか年が明けてしまっていたと呟いた。
「まーいつも通りのんびりトレーニングしつつパーティーで飯でも食うか……」
ティアはぱちりと瞬いた。その胸元のロザリオも此度の訓練には好意的なようである。
「またトレーニングか」
『サブクラスを取得できたのだし良い機会じゃ無いか?』
「それもそうだね。深緑やラサにはお世話になってるし友好関係をこれからも保っていきたいね」
それを見詰めてマスターデコイは深緑と口にした。自身も人造と言えど精霊の一種、魔術的に特異な発展を告げた深緑は精霊との繋がりを深く感じて歩き回りたいと心も踊った。
情報を征する者が戦場を征す。リュグナーは「ほう、これは中々興味深い」と呟き他のイレギュラーズの訓練の様子を眺め続ける。
友人たちと過ごす時間はとても素晴らしいものだとエクスマリアは感じていた。一人きりなのには意味は――
「否……一人、ではない、か。お前はじめとして、大勢、居る、な」
大樹ファルカウを見上げてそう、呟いた。ファルカウは生きている。その大いなる幹に背を預けて、周囲の草花へと目を向けた。心穏やかにあるだけ、只、それだけで幸福なのだ。
「私は訓練とかよくわからないし、整備とかもお手伝いできるとは思えないわ……。
けれど、そんなみんなのやることの準備や、後片付けのくらいならできると思うの! だから、そういう風にみんなをお手伝いしたいわ!」
何だって手伝うわ、とヴァイスは嬉しそうに訓練中の仲間達に気を配り続ける。
助手兼ボディーガードのヨハンと共にゼフィラは迷宮森林の探索へと考古学者として踏み出した。
「あれが大樹ファルカウか……。いやぁ、近くで見ると確かに感じ入るものがあるね」
「あわわ、教授! うっかりバレちゃいます!」
冗談だと揶揄う様に笑ったゼフィラにヨハンはこくこくと頷き続けた。
「腹ペコだから沢山色々と食べたいな?」とサンドウィッチを手にしたナバールにリディアはにんまりと頷いた。
「野菜や果物もいいのですけど、新年ですよ? お祝いですよ? お酒ないんですか。
リディアさんお子様だからお酒は詳しくないだろうけど、ワインとかおいしそうだから色々飲み比べましょう」
そう言ったミルフィーナにリディアは飲めないけれど美味しいらしいですよ、と記憶を辿る。深緑にも美味しいお酒はある、ということで――「あの、飲み過ぎないで下さいよ?」
リディアの忠告を聞きながらもしもミルフィーナが転んでしまったらきっちりとフォローを入れようと誓ったナバールなのだった。
●
「それでは頑張ってくださいね」
可愛いメイドさんアンジェリーナはメイドとしてそう言った。謎のレース会場で裏方として飲み物を用意していたのである。
「誰よりも先にお神輿をゴールの古代遺跡に奉納できたチームは、その年度の祝福を受けるとともにRCキャンペーンに当選すればいいなってっ!」
名付けてスーパー神輿レーシング!
ヨハナの煩悩バリバリのセリフとと共に古代遺跡からよーいどん! ……因みに言い出しっぺは実況席でのんびりなのだ。
「諸君! ゴッドである!本来は担がれる方であるが、よかろう!
此度はこの大いなるシャインを形としたハンドメイド・シュラインを古代遺跡へとデリバリーだ!」
ゴッドこと豪斗は髪として焦る事無くゴッド式ファルカウウォークを見せつけた。
「おみこしワッショーイ!ヾ(≧▽≦)ノ
たのしいおみこしでレースしたら、もっとたのしい! きゅーあちゃんも、はでにたのしくがんばるよ!(>ヮ<)」
Q.U.U.A.はわっしょいわっしょいと運び続ける。おみこし五段重ねがずんずん進む。
どうしてこうなった、とマテリアは言った。ダークネスクイーンとアレクシエルと共に神輿レーシング。因みにマテリアはご神体なのだそうだ。
「総統さんを上に乗せて、マテリアちゃんのお神輿を引っ張ればいいのね? やるからには本気で挑んで優勝を目指さないと!」
何の因果かわかっていないがアレクシエルはそれを了承した。
(飛行してるだけの僕は訓練になっているのだろうか……?)
御者たるダークネスクイーンはそれを気にすることなくアレクシエルにまたがってわっしょいわっしょい。ガックンガックンすぎて総統の足腰がピンチなのです! 続きは称号で!
「この頑張って夜なべして作った『ハイパーかわいいエナちゃん号(等身大エナちゃん人形付き)』に敵う相手など居ないでしょう! きっと! たぶん!!」
そう言ったエナちゃん。可愛さを再現した人形と極限まで軽量化したボディが最高級だとエナは誇っている――だが、エナは方向音痴なのだった。
神輿レースでの怪我人が出たならばアクセルが対応しようとそれを見守っている。
「ごくり……どいつもこいつもいい面構えで神輿を背負ってやがるぜ……
オイラも負けてらんねーな! こういった勝負で小細工は無粋ってもんだぜ!」
飾り付けたガトリングを背負ってのそのそとワモンは行く。どうやら彼に怪我の心配はなさそうだ。
「わぁ みんな はやいわねぇ」
瞬いたポムグラニット。のんびりとした彼女は弁当のおやつ代わりのバナナを食べながら行く人たちを見送っている。
「しかしここは何処で御座いましょうか!!!! どこを見ても樹! 樹! 樹!! 樹!!!
もしや、これは、これは――ビリケツ、というやつなのでは!!!
ゴールは! ゴールは何処で御座いますかああああああああ!!!!!」
大騒ぎのカンベエを見送っているポムグラニット。どうやら此処は正規ルートらしい。
運搬性能生かして走っていたパティリアだが、ショートカットできるかと木々を越えて着地!
「ぐわー!? 着地したら神輿の重みで腰がー!?」
パティリアの腰が危機である。なんてことだろうか。頑張れパティリア!
「みんな がんばって」
「『まらそん』みたいだよね! わくわくしちゃう。がんばってー!!」
アルナはテレジアの霊水を手にしながら給水は此方で、と声をかけた。
●
どんな危機にも屈さずに褒め合う、らしい。
「そうだな、まずは……うん、笑顔が……素敵だよな。見てて和むし、俺は……好きだな。
それに普段の服装も似合ってて……可愛いし、服選びのセンスもきっと凄く良いと思うんだ、うん」
零が淡々と褒め続ければアニーは何時もじゃんけんで負けるからと今日は買ってみせると指折り数える。
「えとね、零くんは、とっても優しいひと。
普段は穏やかだけど、恐ろしい戦場では勇気を振り絞って前に立ってくれて、戦う姿はほんとにかっこいいの!
それだけじゃないよ! 戦いながらも私を庇いながら常に守ってくれる零くんは私だけのヒーローなんだから!」
ちょっぴり告白なのではと焦るアニー。頬に赤みが昇ってきてたのは零も同じ。
「というかそうだよ、今までもそうだけど優しいんだよアニーは!
其処も正直好きというか良いと! 俺は思うぞ! うん!」
甘酸っぱいのです。両者ともにいちごのように頬がかあと赤らんだ。
「リリーはな、ちっちゃいけど甲斐甲斐しくあーんしてくれたり、撫でてくれたり、もふもふしてくれたりするんだぞ! 色んな場所に連れて行って、一緒にいろんな景色を見て一緒に幸せな気持ちになるんだ!」
「カイトさんはね、このまえのかいよーのたたかいもがんばってたし、かっこいいし、もふもふだし、とってもだいすきなんだー! これからもいっぱいいっしょにいろんなところいって、いっぱいいろいろたのしむの!」
指折り数えるリリーとカイト。照れた方が負けとは言うけれど、どちらもあまあまラブラブ。照れることなんてないのだとすりすりしながら褒め合い続ける。
これは訓練とイーリンは自分に言い聞かせた。一方でこんな機会を与えてくれてアーリアさん有難うとウィズィは叫び出しそうな衝動を抑える。
「ウィズィ! 貴方のその負けず嫌いで真っ直ぐなところ、素敵よ!」
青い瞳も素敵よ、まるで空みたいな色をしてて。快活な貴方にピッタリ! 抱きしめてくれる腕の力強さも相手に安心感を与えちゃうと思うのよ!」
「私はイーリンの……その瞳が好き。手が好き。踵が好き。未来を諦めない貴女の全てが好き。貴女の中に眠る強い炎が好き」
恋心を全開に。イーリンはと言えば戦闘スタイルなどを語っているがウィズィからは真直ぐな愛情が向けられる。
「苦しくても光に向かって足掻く姿が好き! 水底から浮かび上がる荒々しい尾びれが、谷底から駆け上がる力強い前足が……貴女を形作る熱意が、凄く誇らしい! イーリンを作るすべてが……好き!!」
褒めるなんてお安い御用。ヒィロはにんまり笑って美咲へと指折り好きな所を言い続ける。
「余裕に満ちたお姉さんなところに、お酒のカッコいい飲み方。
ボク向けの素敵なカクテル教えてくれるのも嬉しいし、ぽふぽふしてもらうのがすごーく気持ちよくてすぐ抱き着いちゃうの、もうバレてるかな……?」
「何よりも、物事を良い方向に楽しく考えていける明るさね。
その明るさと素直さから来る笑顔は、まごうことなきお日様級!」
撫でると抱き着き返してくれるのだって可愛いとお日様みたいなヒィロを見ればさらに出る褒め言葉。そこまで行けばもう恥ずかしさは次元を超えた。美咲はヒィロに飛び付いて赤面隠すようにもふもふ。
勝利を確信しているミディーセラはにんまり笑ってアーリアの事を褒め続ける。
「まずあの綺麗な髪。つい触りたくなりますし、ぎふとで色が変わる様子なんてつい時間を忘れて眺めてしまいます
真剣な表情をしている時の横顔も好きで……照れて伏し目がちになるところも。
とっても可愛らしい笑顔だって忘れていませんとも。いつだって心が温かくなりますわ」
「ふわふわの尻尾が好き、アーリアさんって呼ぶ声が好き、飲んだまま一緒に寝てくれる所が好き!」
ああ、負けてしまう――アーリアは捨て身の攻撃へと転じた。
「私の部屋で(ピーー)な時みでぃーくんが(ピーー)で(ピーー)を(ピーー)してくれる時の(ピーー)な表情が好き!!」
思わず照れたミディーセラ。やり切ったアーリア姉さんですが。そこのところ詳しくお聞きしましょうか。
何時もの通りの蛍と珠緒。好きな所の褒め合いと聞いて、最初から蛍の頬は赤らんでいる。
「いつも隣で優しく微笑んで思いも思い出も分かち合ってくれる所とか
ちょっとしたことにも一緒に感動して新鮮に喜んでくれる可愛い所とか
よく吐血して守ってあげたくなるけど実はとっても頼りになるしっかり者さんな所とか――他にも他にも……!」
いろいろと並べる蛍に珠緒はぱちりと瞬いた。好きな所ですねと淡々と珠緒は口にする。
「お仕事で関わる方々に対し、常に真摯に向き合うところ、恐ろしい敵に対しても、勇気をもって立ち向かう姿。
珠緒を様々な場所へ導いてくださる行動力。様々経験の少ない珠緒に、常々新たな喜びを与えてくださる気遣い。
あっ、丁寧に整えられた真っ直ぐな黒髪も常々素敵だと思います」
嗚呼、そんなに褒められたらと蛍はすぐ様にノックダウンしたのでした。
「お任せください。人類の事ならおはようからおやすみ、揺り篭から墓場まで褒め尽くします。
それで何から語れば? 酸素を吸入し二酸化炭素を排出するあたり?
それとも近くに座すればじわりと体温を感じ取れること? 光を弾く髪1本1本の輝きと複雑な動きでしょうか。口を開くのに合わせ豊かに、そしていずれも今限りとなる表情でしょうか」
それが誰かの事ではないと言うのだからイースリーには驚きが感じられる。うそれはユゥリアリアもだっただろうか。どんな相手でも褒められるとにこにこしながら彼女から醸される誘惑の気配。
「例えば荒れた手を褒めるときはその手を両手で取り、立派に仕事をしてきた、職人のような御手ですわねー」
そんな風に彼女に褒められてどきりとしない者がいるだろうか? ピリムはうんうんと頷いてイースリーやユゥリアリアを褒めた。
「ユゥリアリアたその脚はすべすべしていて触り心地がよさそうですー。
勿論、イースリーたそは若々しくて可愛らしい足でこれからの成長が楽しみですー」
……足の事ばかりだ。
――以下はキドーと千尋が褒め合う様子なのです。
「っベーわ千尋さん。マジっべー、半端ねー。髪型とかマジキマッててヤベーっすわ。モヒカンの次ぐらいにCOOL。千尋さん一回モヒカンにしてみません? マジ似合うと思う。いやホント男ぶりが増すと思うやれ」
じゃあ次はモヒカンで。
「俺が人を褒めるっつったらそう、RAPだね。
check! 1! 2! 1! 2! hide and seek! 姿を見せなよbehind you!
アイツは非道? アイツはキドー! ローレットに吹く一陣の風!
裏の仕事はコイツに任せな! 握ったククリで相手を括る!
ヤベェ爆弾bombbomb投げりゃ 汚ぇ花火がドンドン上がる!
darkでfoulなartsがdopeでgameなfeelのcoolなwars!」
以下略。ラップ!? と慌てるキドーに構う事ない千尋なのだ。
ラップバトルの傍らでは今年一年、世界をより良くするために力を付けたいと鳴は瞑想を続ける。
(自然と一体になる位に気を研ぎ澄ませれば、また違う力の道が見つかるかもしれないの――!)
●
ロレトレ! 新要素!
粉砕チャレンジ! 巨岩を素手で粉々にできればナーガボーナス確定!?
期待度:★★★★
今回はナーちゃんの力そのものでドッカンするとイワさんの真ん中へ――パッカーン!!
●
「はーい、秋宮史之だよ、イザベラ女王陛下ばんざーい! ふう、俺的お仕事終わり。それじゃ、みんなのためにごはんつくろっか」
どこでもイザベラ・パニ・アイス女王陛下の名が響けば史之がいるぞ、という勢いで彼はゴリョウ自慢のコメでのおにぎりを作っていた。梅、昆布、オカカ、食感が良い胡麻鮭にジャコワカメ、マヨシーチキンとシンプルな塩おにぎり。おいしくなーれと唱えながら作ればきっと思いも伝わることだろう。
クラリーチェはお煮しめの準備。具沢山で見目鮮やかにとクラリーチェが用意したのは鶏肉、人参、シイタケ、ゴボウ、レンコン、こんにゃく、筍、里芋、絹サヤを一本ずつ味付けして煮詰め続ける。
「よーし、それじゃボクはデザートをいっぱい作っちゃうぞ☆
そうだなー、火を使わないのだったら、ミルクや果物を使った冷たいデザートに挑戦してみよう!」
ミルキィが作成するのはパーティー用のヒンヤリフルーツパフェだ。どうせならどどんとお城のようなものでもいいだろう。
ノースポールは配膳をお手伝い。必要と在ればその翼で飛んでいくと彼女は胸を張る。
「ふふーっ、モノを運ぶのは得意ですのでお任せください!」
沢山運んだあとは料理を食べよう。そう思うとお腹の虫はきゅるると鳴いてついつい笑みがこぼれた。
パーティーの料理ならば華のあるものがよさそうだが、とグレイシアはルアナと共に調理に勤しむ。
「そうだな……パーティーらしく、ローストビーフ等を用意したいところだが……」
おじさまのご飯はおいしいからなあとルアナがにんまりと笑みを浮かべてグレイシアをじっと見つめる。
その瞳は「私も食べられる?」とあからさまな程に問い掛けて来た。
「皆が食べられる量を用意するつもりだが、ルアナの分は別に用意しておくとしよう」
「やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! お手伝い頑張るね! お皿とか準備したらいい?」
お手伝いを名乗り出た――けれど、グレイシアの云うマッシュポテトとはルアナは知らないのだった。
「新しい年を無事迎えられたすから、ウォーカーさん達から教わった餅つきとかいうのボクやってみるっす」
ゴリョウの手を借りてレッドは蒸したお米を手に「アッツアッツ!?」
ハンマーで何度も叩くと聞いた旅人たちの伝統行事。よいせ、よいせ、とどっすんぺたぺたどっすんぺたぺた。
これがなかなかに辛いのだ。誰か「交代して欲しいっすー」と両手が痛くなってきたが餅の為だ! もうひと踏ん張り!
「ボクが思うに新緑は閉鎖的すぎると思うんだよね。
もっと積極的に異文化交流すべきだよ。特にウォーカーと異世界交流しようね」
という訳で――とセララは『地球』のお菓子のご紹介。
今回はイチゴパフェを作るとセララは近くに居た深緑の幻想種の少女アルナスに氷魔法のお願い。
深緑ミルクでアイスを作って生クリームといちごを飾ればスイーツの王様いちごパフェの完成だ。
「うわー! すごい!」
元気に喜ぶアルナスにセララもえへんと胸を張った。
携帯品の魔力コンロで揚げ物用のお鍋をセット。フォルテシアは脂の温度が適温に上がれば衣付けした魚をからりと揚げていく。揚げ物は慎重に、慎重に、だ。
「グフフ……年越しとはめでたいものじゃ。ワシのような歳になると殊更よ。
さらに今年は、このような風光明媚な場所で新年を迎えることができた。うむ、なんとめでたい事か」
料理を見詰めながら何が合うだろうかと周辺住民たちにも相談する。樽を用意し誰でものめのめと大二は大盤振る舞いだ。
炊き出しを行うゴリョウは他国の食事を知ることも訓練だと魔力コンロを使用しながらキノコの炊き込みご飯を作る。キノコは深緑産、そして米は自慢の混沌米『夜さり恋』だ。
香りとうまみを存分に引き立てた逸品ならば、米の良さも深緑に広がること間違いなしだ。
「良い匂いだな……よし、飲もう」
ことほぎは満足げににいと笑った。しかし、問題はタバコの火が付かない事だ。火を使う事は推奨されない深緑ではやはり煙草を吸う場所は存在しない。
(やべー所に来ちまったな……)
やけ酒と共に口にしたキノコご飯はラサより持ち込まれた地酒によくあっていた。
「わあ、美味しそう。リュミエ様にもおすすめのものを聞いたけれどイレギュラーズの作るものもいいな~」
パーティー会場からひょこりと顔を出したアイリスははらぺこ。おいしそうな香りが鼻先を擽っていい気持ちなのだ。
料理をする暇もなかったから、と鶫は燻製の用意する。金網にアルミホイル、スモークチップに蓋で人気のある肉から準備。チーズやナッツとおつまみセットのような者を作るのだってまた良いだろう。
「ああ、オリーブオイルも燻しませんか? 結構おいしいですよ」
料理は家で作ってきて配膳するのもアリだろうとシャルは幽魅と共に会場内を回る。折角ならば温まる様にと幽魅が作成したのはお雑煮だ。
「おかわりは……沢山……ありますので……ゆっくり食べて……ください……」
お雑煮作成に集中できるのもシャルと、そして偶然出会ったレイリーのおかげだろう。
配膳という並行作業は中々に骨が折れるとレイリーもせっせと料理を運び続けている。
(ここに並ぶ食事はどれも美味しそうだな……あとは甘味はないだろうか……)
シャルが作っていた料理に興味を引いたルツ。器用に料理を作ると言うのも凄いな、とルツは笑みを溢した。
「調理関連の技能がなくても、できることはあるのですよ。ええ、特に。ここは私の生まれ故郷なのですから」
食べられる野草の知識や自然会話を駆使することで様々な食事を調達できるとサンは花の香りを料理に纏わせながら調理のお手伝いだ。
「……メニューは深緑産の蜂蜜、ミルク、薬草を中心に作りますメェ……。
美味しく健康になりたい方向けに、苦くない薬草カクテル……蜂蜜漬けレモンを添えて……」
ムーは伊藤ぢ式の全年齢向けのバーを開いてパーティー参加者をもてなした。
響子が準備するのは特製お弁当。カロリー、色合い、旬の野菜を取り入れて、肉や魚もしっかりと準備。だし巻き卵は甘さ控えめと様々に詰められたそれに鼻先擽られながらエルが用意したのはマカロニサラダだ。
ハムとレタスとマヨネーズのシンプルなサラダと共に熱したフライパンにバターと生クリームチーズを入れてマカロニを入れて混ぜ合わせて完成させたマカロニ&チーズはムーのカクテルともぴったりだ。
閠は飲食店での接客経験を生かして自作エプロンを身に着けての配膳係。鈴を鳴らしていったり来たり。狭い所もすいすいと素早く運ぶ事こそが重要なポイントだ。
「生食用のおにくを用意しましょう。あとベーコンなら持ち込みも可能でしょうから最高です。ところでホイップクリームはおにくに入りますよ」
ルンルンと笑ったもつ。ソースにカスタードクリームを使ってお肉をたくさんたくさんプレゼントだ。メイドとして手伝おうと料理の配膳や皿とフォーク、ナイフの準備などをシルフィナは担う。
「料理が出来上がるのを横で見てたらいいか?」
じい、とソフィリアの手元を眺めていた誠吾。ソフィリアは「うちも食べ鵜だけじゃないという所を、誠吾さんに教えてあげるのです!」と自慢げに言った。
一緒に料理してくれないのかとぱちりと瞬くソフィリアの視線を受け止めて誠吾は彼女の指示に従って野菜を切り続ける。ソフィリアの肉の香草焼きの付け合わせにぴったりだ。
「刃物の扱いは手慣れたもの。何せ武器を選ばない女ですからね!
というわけで、野菜の下拵えだってそれなりに出来ちゃう私です」
ふふん、とゼフィーは小さく笑う。じゃがいもとにんじん、玉ねぎにブロッコリー、お肉も勿論忘れずに。
ゼファーと同じく芋や根菜、そしてブロックベーコンを入れた冬野菜のスープを作る霞。魔力こんりょの使い心地は十分だ。
「温かい物ってほっと息抜きになると思うのよね。初めての料理だけどうまくいくかしら? きっとうまくいくわ」
リュテスはそれに頷く。きっと、うまくいくだろうと料理に合わせた呈茶で皆をもてなし続ける。
そうする事こそがメイドの本懐だとその表情も心なしか満足そうだ。
せっせと準備するスープは食欲を擽る匂いを漂わせる。その香りは実に酒を飲んだ後によさそうだとシャッファはホタテのマリネやアドカボと刺身のサラダを完成させていく。
「楽しく飲まないとね♪」
●
「こんな時期だからこそのトレーニング、いや、トレーニングって何時でもすることだよな?
ということは筋肉は何時もそばにいるってことなのだな。だから鍛えることは筋肉絵の感謝であり己を見つめなおすチャンスかもしれない」
クライムの事を凝視してからオーガストは「何を言っているのですか」と言った。此処まで筋肉に侵食されているだなんてとオーガストは痛む頭を押さえる。大根降ろすまで鍛えませんからと溜息を交らせるが、きっとオーガストが明日は寝込むのだ。ぐすん。
訓練! 大自然! そうなればアメリアはやる気十分だった。
武器を構えて素振りを頑張る様にぶんぶんと振り回し続けている。
メイド道を究めるためのトレーニングを必死に励むのだとアーデルトラウトは炊事を極めるために超重量の選択紋を運ぶトレーニングをし続ける。
「ええ、大は小を兼ねるといいますので……大きなものをこなせれば小さいものなど些細なものでしょう」
アニエルはぱちりと瞬く。混沌における調査活動においては国や地域ごとにフィールドワークを行う事は大事だ。専門からは些か離れている物のデータを充実させることは積極的に行うべきかとアニエルは歩き出した。
とりあえずは深緑を案内してもらおうとニアは周囲を見回しながら歩いていた。自身の中であるのは護るという言葉の大きさだ。
(……やっぱり、あたしは弱いからね)
時間一杯実践訓練をして、もっともっと、高め続けた、と。そう思った。
「サブクラスという新たな力が解放された。と、なればやることは1つだろう?
ざ ん げ ハ ン マ ー だ」
聖剣使いというよりもハンマー使いになっているハロルドがからからと笑った。無暗矢鱈に殴り続けるのはカオスだが、それ以上に統計を見ながら探し続けるのだから脅威である。
「も――燃え……尽きた……ぜ……」
深緑でのトレーニングだから今日はカグツチはお留守番だと焔は戦場で武器を亡くしても生きていくという体術の訓練を復習がてらチャレンジ。それでも随分と訛ったと感じる体術は――
「う、う……この状態をお父様に見られたら怒られて、あの猛特訓に……」
ぞっとした焔。父に怒られない程度にはもう少し体術の精度を上げておく必要がありそうだ。
「森の国か……空の民であった私は下から眺めるくらいしか見たことは無かったけれど、こうして来てみると巨大だね」
新鮮だと言ったルシ。ジェーリーはあまり森に来る機会はないからと不思議だと周囲を見回した。
「さぁさ、迷子にならない様に手を繋ぎましょ?」
穏やかに微笑んだジェーリーにルシは大きく頷いた。
「ジェーリーも気分が乗っているように見えるよ、ああそうだね、存分にエスコートしよう! 敬愛なるおばあちゃんの願いであるからね?」
落ちる木の葉を撃ってジェックは樹から離れるなら大丈夫だと許可の許で落ち葉を狙う。勿論、木は傷つけてはいけない事から色々と意識をする部分も多くなるのだ。
●
鍛冶屋として除夜の鐘を作ろうとサイズは大みそかからズレてもいいなと準備した。
「今年もよい一年であるように祈りを込めて鳴らしてほしいんだ」
それに答えたのはトリーネ。108回はお正月に泣いたけれど金は鳴らしていないとぴょこりと跳ねる。
「よーし、じゃあ私は自分自身で突くわね! 助走よーし、目標よーし! いざ――――こけーーー!」
反動で空を飛んだ。除夜の鐘は強敵だ。反動で吹っ飛んだ事に対して翼を広げてトリーネは威嚇し続ける。
煩悩払うらしい。宗派が違うとかこの際こまけぇことはいいんだよとプリーモは弾丸でどーん!
サイズが予備の金を取り出す。スキルで貫通して見事に穴が開いたがイレギュラーズの煩悩はすごいのだ。
「さて、と、ガッツリトレーニングとか僕のガラじゃないしね。
特別目標とか煩悩がある訳でもないんだけど、無心に鐘でも突かせて貰おうかな」
遼人が静かに鐘を突く。ローレットには日々の生活を保守してもらってる恩があるとイベントにも参加を続けているのだそうだ。
「『俺はともかく、お前は煩悩の塊だから五百回ぐらい叩いた方が良いんじゃないか』」
「おい、何を言ってるんだ貴様。俺は天使だぞ」
『おいおい、何言ってんだてめぇ。俺はどう見たって真面目の良い子ちゃんだろうが』
稔と虚は同じ言葉を履いてから喧嘩を始める。強靭な足腰等でのマッスルにも繋がると無心に鐘を突く。
「脱不幸ーーーー!!!今年はとーーーーっても大きな幸せがワタシの周りに訪れて欲しいデスよぉーーーー!!!」
美弥妃はそう叫んだ。力の限りの勢いなのである。さあ、結果としてぶつけるだけぶつけたが……。
「しかし、煩悩ねぇ。美味いもの食いたいとか、もっと金が欲しいとか、そういうのを祓うって感じでいいのか?」
過剰な欲を亡くすという事か、とイーディスは納得しながら思いっきり鐘をついた。
「あの鐘を打って音を出すデスか。面白い遊びがあるデスね」
レミファは笑みを浮かべてから射撃でアタック。眺めていたティーザは異世界でこれがあるとは思わなかったと遠慮なくゴーンと響かせる。
「煩悩を払うというのは大切だ。剣を振るう上でそれは邪魔なものでしかなく(以下省略)」
エヴァ・クルス教祖のジルベルト。まさに煩悩なのであるが――「ハァァァァ!!!! 嗚呼! ロリショタをぺろぺろしたい! ロリッ娘のあの未成熟な肢体を思う存分舐めまわしたい!! ショタッ子のあの可愛らしい肢体を思う存分くんかくんかしたい!!!」
「鐘を叩くのってあるところでは伝統行事なんでしょ? なら一度は体験してみたかったんだよね!」
ラナーダが鐘を見上げる。それに頷いたシュラは「鐘を突くだなんて急ですねぇ」と呟くが、ちから仕事ならば遠慮しないと思いきり――その音に驚いたとシュラが横を見ればラナーダの意識は飛んでいた。
ゆっくりと鐘と向き合ったアンゼリカ。僭越ながらと穏やかな笑みを浮かべ――
「お姉様! ヴェルフェゴアお姉様! 愛しています! 愛しております!
このワタクシに! お姉様の! 愛の鞭を! 下さいまし!」
「イーゼラー様イーゼラー様イーゼラー様イーゼラー様イーゼラー様イーゼラー様」
煩悩を払えないネメアーとアンゼリカ。もはや凄い勢いなのだ。鐘を叩いても煩悩を払えてなさそうである。
その分をトンファーで殴るセルティ。ヨシトは無意識下の煩悩って言うのもあるからと合唱一礼、そして鐘をついて、合唱一礼。
「……新しい年が佳い年でありますように」
練達で大流行。『イレギュラーソウル』をメルトリリスとプレイするアランは実は3までクリア済だ。
「いざ! ら、らめぇっ! あ、あらんちゃんら、らめぇ!!!!! そ、そんなぁ! ぎゃぴぃっ、んんん!!! ク、クリアできないよお!」
「泣き言言うな! 何で盾使わねぇ!」
ぎゃぴいと涙を流すメルトリリスにアランは探索もアイテムを拾えと指示し続ける。
適切な行動をしなければクリアできないとびしばしと指示するアランは突然立ち上がると――
「よし、メルト。ゲームばっかしててもしょうがねぇ。
実際動いてボスぶちのめすイメージトレーニングするぞ、ついて来い!!」
待ってよお、とアランをとりあえず追い掛けた。
「初めて着るのじゃが、なかなか可愛い服じゃのう?」
ニルはくるりと回って見せる。ブーナッドと呼ばれる民族衣装と化粧品が入った籠を腕にして武器商人に声をかけたニル。
「うン、いつもより露出は控えめだからその分上品な女性らしさが前に出てるね。化粧も大人っぽくしてみようか」
折角ならば武器商人のギルドで使用されてるサヨナキドリで展開しているパーリッシュフェアリーを使用してニルへと化粧を施した。ニルが売り子として商品を販売し続ける。
「さて、化粧品は如何かのう?」
ぎこちない動きで販売するニルへと売れ筋のマニキュアと口紅で勇気を一つ。さあ、行ってらっしゃいと送りだした。
「いやいやこれはこれは……深緑とこれほどの交流が持てるとは。
イレギュラーズになった時は困惑したものですが、これは大きい。オラクルなる商人がいなくなったのも追い風ですね。
うんうん、これは商人としては垂涎の状況。しっかり繋ぎを作りたいものですね」
ジョーは幻想製のアクセサリーはどうだろうかと幻想種達に紹介する。リュミエを始めとして美しい幻想種達皆もきっと喜んでくれることだろう。
「やむを得ず大剣を狭い場所で使うことになった時、結構危なかったのよね。
だから今日は洞窟とか迷宮の中で大剣を使う練習をしたいわ。誰かにお願いしてみましょう」
迷宮の木々を傷つけぬようにと動くことを傭兵に習うコレット。大剣の振り回し方なら教えようと傭兵たちは楽し気にコレットへと胸張った。
「大人数での訓練とは、吾輩が騎士団にいた頃を思い出しますなぁ。
これはあくまで吾輩の自論ですが、訓練で出せる力以上は、実践では発揮できぬと思うのですぞ。故に、こういった訓練を真剣に行うのが重要なのですな」
うんうんと頷くダグラス。実践に近い訓練はこっそりと罠を仕掛けた礼久の協力による所もあるのだろう。
とりあえず周辺に対人地雷を巻きまくった飛鳥。此処は地雷地帯。とっても注意です。
●
深い森の奥で祈りを捧ぐはローラント。世界の安寧を願い底に住まう者たちの健やかなる生活を願う。
今、世界は大いなる危機に晒されている――森の賢者は祈り、そして心を痛めていた……が。
「……♪」
ローラントに気付いたアルペストゥスは翼を揺らしジャンプ。そしてがじがじ。がじがじ。
なんだか楽しくなってきたのだ。
がじがじ。
「はははは、くすぐったいじゃないかやめ、待っ、そのままでは本当に行けない食い込む裂けてしまう」
ファルカウの麓にてナハトラーベは手を組み合わせる。神妙な表情で彼女が口にしたのは祝詞だろうか。
「――――――――」
いや、違う。つまようじの事を話している。焼き鳥の櫛の話もしている。つまるところは美味しいものを食べてご馳走様、なのだそうだ。
グレイス・ヌレ海域での戦いでS級の実力を思い知ったレイヴンは重傷の体を引き摺ってリハビリを敢行した。
今使える技がどんなものかをヴェッラはしっかり確認しておこうと丸太を用いてシャドウステップを踏んだ。
何事も必要なのは技の精度だ。実践は何があるかは分からない以上ルーティンをしっかりしておくのもまた、必須の技能だと言う様に丸太を増やして戦闘訓練を続けていく。
年が明けた所で気を抜くとクセになるのが怖いと常日頃から身体を動かす大事さを葵は痛感していた。
目標地点を決めてからボールをドリブルして走る。出来る限りボールを足元から離さない事こそがスポーツとしての訓練だ。
「……っしもう1往復! もう少し足元を気にした方がいいな」
大樹ファルカウの根元にどしりと座り貴道はそのエネルギーに身を預けつつ瞑想を行った。何があっても微動だにせず――そう、雨が降ろうが槍が降ろうがツタが身体に巻きつこうが犬にしょんべん引っかけられようが誰かに悪戯されようが、である。
「HAHAHA、流石は深緑ってとこか。いい緑だ、世話になるぜ。まあ、座るくらいなら見逃してくれるだろ?」
静寂の中、迷走続ける貴道と同じように正座を師、利き手とは逆の位置に置いた鞘に納めた刀を振る舞うは姫喬。
「燕黒家伝統の剣術『八雲開闢』。剣舞の型、別天津神(ことあまつかみ)さて!」
鋭いき剣の舞いは猫鮫姫に更なる練度を与え続ける事だろう。
「またまた来たか、ローレットトレーニング。
これで何度目だったか……まぁ、今回もキッチリと利用させてもらうさ」
そう言った黒羽はやることはシンプルだと穴を掘った。そして埋める。また掘った。そして、埋めた。
いざって時に身体が動かないようではしょうがないと穴を掘っては埋めるを繰り返し続けるのだ。
「正義の騎士アルテミス、参りますっ!」
名乗りを上げて、一刀両断。傭兵たちを相手取り世界の平和を守るべくアルテミスは戦い続ける。
さて、それも休憩だと泉で汗を流して居れば――『騎士の責務』はしっかりと傭兵と水浴びしているアルテミスを引き合わせたのでした。
「大地に根付くという感覚は、生まれが生まれである以上、自分にとっては希薄だ。
だからこそ、自然と生きる深緑の世界を肌で感じてみたくもあるということ。
自然とともにあるということは、自身も自然であるということなのか。
自然であるということ作為を嫌い、無為であるということか。人は、あるがまま、今を生きられるものなのか。ただ、あるがままでよいのか」
――そう言ってファルカウの傍で瞑想していた竜也は寝落ちした。成程、ぽかぽか陽気が気持ちいいのだ。
「……トレーニング? 前にもしたけど、何が楽しいのか分からなかった。
たくさんのひとが楽しそうにしていたけど、なんでなのか分からない」
騒々しいのは嫌いなのだとミレニアは目を閉じてぽかぽか陽気の中でゆっくりと眠りに落ちていく。
そうしているのはクリュエルも同じであった。草木の香りに温かさが心地よくてつい眠りに落ちていってしまう……。
「閉鎖的故に今までわたしが手を出せなかったここの魔導書とかを触れるチャンスなのよ!
図書館とかそういうのない!? ……あ、これももちろんトレーニングよ! 魔術の研鑽って言うね!」
リーゼロッテの心は騒めいた。ローレットって最高だ。色々と勉強する機会に触れることができるのだから。
それはアルメリアも一緒。故郷は健在だけれども、もっともっと勉強して、知識を高めたい。
「……あ、そうだわ。リュメイ様にも謁見しにいかいないと」
●
年末年始はたっぷりいっぱい休んで力をみなぎったとドスコイマンモスとレベルマックスを連れてリュカシスは筋肉を虐め続ける。
「ウオオオオ!!!! みんな!!!! 走るぞ!!!!!!!
力こそ!!!! パワーーーーーー!!!!!!!
動物達にも負けない!!!! 唸れ!!!!! ボクの機動力!!!!!」
「マンモスッ!」←ドスコイマンモス
「ひひーん!」←レベルマックス
その隣を逃げるべくスィムが走っていた。そして、とりあえずフィオナはスクワットをし続ける。
その様子をちら、と見てからアンナはこの後は長旅があるから走らなくてはと考えた。年末年始食べ過ぎたわけでは決してないとアンナは走る。
「……走るのは良いけど、いつまでやれば良いのでしょうか」
ドスコイマンモスと馬が隣を奔っているのを何となく微妙な気持ちで見送りながら……。
ネイアラも走った。躍るには体力が必要だと走るネイアラは「みだらな恰好はしていないからね?」と小さく笑う。
自分自身を受け入れてくれなかった気がするこの森は今になっては大らかだ。
「………………!」
ヒュウヒュウとシンジュゥは息をした。持久力を付けたいと言えど大変だ。
「よ、よく考えましたら、『俺』、あのとき、倒れてしまっておりました……!
自分がっ、ど、どれだけ走ったのか、覚えておりませんっ……」
シンジュゥの視線を受け止めてツクモは「がんばっていらっしゃいます。シンジュゥ様は前のシンジュゥ様のひゃくばいくらい!」と身振り手振りを合わせて鼓舞し続ける。
「よ、よかっ――」
「しっかりしてくださいシンジュゥ様―――!?」
足場の悪い砂浜はこれほどまでに脅威であるかとカイルは認識した。どれくらい負荷があるかを認識する事もまたトレーニングだ。走る時間も限られるため意義のある者にしたいとかイルは走り始める。
「ガッハッハ! ひたすら走るってのも悪くないな!」
ひたすら走るガングを追い掛けるのはアストラムと彩華。鍛錬とかダイエットとか色々あるのである。
とにかく走り続けるのは詩業。もう無理を超える事こそが大事なのだと足を披露し続ける。
持久力向上のために走るフィーアを追い掛ける様に自己鍛錬が手っ取り早いとひつぎは走った。
鮮やかな緑の中で走ることは心も引き締まる思いだ。
「あ、ヤベェ。やっぱ体力落ちてんなコリャ。てか、皆速すぎねぇか!? 畜生、負けてられっか……!」
負けず嫌いのようにクリスティアンが唇を噛み締める。軽々と走るギンコはへばらない様にと一番後ろを走るのは性に合わないとクリスティアンに振り返る。
「先に行くぜ!」
それを追い掛けたッシュ。此処に来てからあまり運動をして居なかったけれど、と足が絡む思いに辛いと唇を噛み締める。
「うむ、こういう時は初心に帰って訓練だ!」
そう笑った千尋は混沌世界に来て体力がレベル1の効果を受けて落ちた物だと眉を顰めた。しかし、ならばこその鍛錬だ。
「俺は召喚されたての新米だ。ぶっちゃけ何したら良いのか分からん!」
ざんげの説明は全て流して聞いたランスロットはトレーニングを『最高の頃の自分』に合わせて行い――「わあああああああ!? 陛下ああああ!?」
●
「前回のトレーニングでは大罪討伐のご祝儀で史上最高人数……とか言ってたら今回は普通にそれを超えるのかよー。
管理する側としては頭が痛い限りだけど、来てしまったものはしょうがないー。
ボクも特異運命座標としてよりはローレットの職員として動いて、この難事を乗り切るしかなかろ―」
頑張る受付嬢はクロジンデ。しっかりとトレーニング参加者の名簿を作るために頑張り中なのである。
「幾つになってもこういう場所に来るのってワクワクするな!」
折角だから手を繋ごうかとクリムはェクセレリァスをちら、と伺った。二人とも飛べるし足元が平たんでなくても平気だとは思うがこういう機会にイチャイチャするのも悪くないかとェクセレリァスも考えた。「あ、「あはは。さ、流石に私も生娘じゃないんだしこれくらいだと何ともないよ! ないからね!?」
尾がうねうねしているのは照れているのだろうかとェクセレリァスは首を傾げた。
「トレーニング? こんな大自然の世界樹のど真ん中でですか!?
はぁ……いつもなら気合入れてやるんですけどーちょっとリカちゃん凹み気味というか…こないだの戦争で地獄のど真ん中に放り込まれてちょっとー戦いは暫く勘弁っていうかー……他の皆さんなら燃えるんでしょうけどねー」
利香はぐったりとファルカウに凭れ掛かっていたが――クーアを見つけて置きあがる。
「え? なんなのです利香さん? 私は何も悪さをするつもりはないのですよ、今のところは。
……何故追い回してくるのです今回まだ何もやってないのですよ利香さーん!?」
真面目だったけれど、「まだ」だったり「今の所」だったり。何をともあれ、猫は追い掛けられるとついつい逃げてしまうのだ。
「遺跡探索! お宝探し! これに乗らなきゃ冒険者の名が廃るってもんだ!
しっかし、親睦会も兼ねてるんだっけ? なら冒険慣れしてないPTにお邪魔させてもらおうかね。
《臨時PT募集!当方熟練の探索者!》ってね」
ヴィンスは周囲を見回した。さてさてパーティー募集中だ。でかいお宝の為に未知をいざ!
「可愛い猫だね……おいで、おいでー」
ヨゾラは猫を探し続けた。可愛い猫が居ないかを探して歩き回っていたのだ。
猫用おやつをがじがじと齧る様子を見ながら猫に挨拶を続けていく。
「ねこー、ねこー……」
其処を横切ったのがアベルであった。その後ろできょろきょろと周囲を見回しているのが華蓮である。
「皆訓練に一生懸命だわね、私はそのお手伝いが出来たら嬉しいのだわ」
そう笑って、『おべんとう』を手に、皆の支援をできればとレジャーシートを広げ休憩地点として笑みを浮かべて待っている。
「ふっふっふー! 大樹ファルカウ……こんな素敵な木があるならやることは一つですよっ!
そう……あやとりです!大樹の下でのんびりと余暇……こほん。トレーニングをする…素敵すぎる計画です。
あやとりをして指のトレーニングをするのですっ。梯子、山……タワーなどなどっあやとりの多彩な技を身に着けてみせます!!」
別に余暇でもいいのです。ルルリアはのんびりとあやとりしながら過ごし続ける。ぐーたらと過ごすのだってたまにはいいのだ。
「もうすぐグラオクローネだね。混沌にきて、もう短くない時間が過ぎた。
お世話になった人もたくさんいる。だから今回はそんな人たちに渡すためのチョコレートを作っていきたいね」
ムスティスラーフはグラオクローネまではまだまだ時間があるからと、美味しいチョコレート作りを幻想種に教わっている。炎の代わりに魔的に溶かすその様子は中々に幻想的だ。
●
Q、何で迷宮探索?【迷宮舞踏】の所にお邪魔しちゃ駄目だったの?
あんな真面目に迷宮踏破しようとしてるグループに我々みたいなのが大量に押しかけたらご迷惑になるでしょ!
というか、その時間もなかったしね!
――そう言ったロベリア。激しく反省して逃走したのだそうだ。
「ええ、ここからは私が説明します……皆様には迷宮探索をしてもらいます。そして行ける所まで行ってもらい、何らかの成果を上げてもらいます。ええ、ぶっちゃけ、捨て駒ですし面子とか色んな意味で不安感しかありませんがそれでもやっていただきます」
穏やかに告げる蛍。リペアはそれを見て楽しそうだねと首を傾いだ。とにもかくにもお腹がすくのだ。
「大人しくついていかなきゃね、グラトニー……?」
こんなことだろうと信っていたと朝姫はぼやいた。何をするでもみんな纏めて居ればいいだろうと思ったんだろうとどこかを見て毒づいている。
「……えっ? 火気厳禁だから火系統の攻撃は駄目です? な、何故じゃ! 妾の存在意義の半分が消失するんじゃが!?」
妾は松明かえ、とタマモが慟哭する。それとは対称的にアンズはどやっとしながら立って居た。
「フフフ……この中で一番最初に生まれたのに……『何かRPするのメンドクサイ』という理由で放置されほぼ3周年……ようやく依頼に参加出来たわ!
フフフ……流れが来てる! ここで活躍すればきっと背後も動かそうという気になってくれるはず! 何としても活躍しなくてはフフフ…うふフフフ!」
こういうちょっぴりアホな子は可愛いものだ。だが、可哀想な事にRPめんどくさかったらしょうがないね……。
「……うん、ちょっと背後の方はお馬鹿さん疑惑出てきたわね……どう考えても40人はやり過ぎよ……。
でもこれも何かの縁ね、私は鬼城桜華。皆さんよろしくね。今一パッとしない戦績だけど一緒に協力していこうとは思ってるわ」
宙に向けて応援してくれる桜華。その言葉だけでいろいろ救われる気がするのです。
「……過去最高に酷いGAよね、これ。正直ここまで酷いのは初めて見るわ。ともあれ、やるからには頑張るしかないわ
……と思っていたのだけどね、ええ……武器の調達が……間に合わなかったの……」
ユ、ユニさん……ノービスでもいいんですよ……?
「なんて事なの……姉様とのイチャイチャGAと聞いてたのに……騙されたの! 訴訟を起こすの! 損害賠償を請求なの!具体的にはぱんつを寄越すの!」
鈴鹿は怒っていた。こんな与太誰も得しないと鈴鹿は拗ねる様に探索を続けていく。
「私はお兄ちゃんと甘々ラブラブレッスンするからって参加したのに……詐欺だわ! 大体、いつも思うのだけど『特攻野郎BAKA』って……字面酷いと思うの! 私達、女性が大部分なのだからここは『特攻乙女YANDERE』とかカッコ可愛いと思うのだけど?」
「……えっっ!? 聖奈、師匠との甘々えっちぃGAやるって聞いたからここに来たのですけど! これ詐欺だよね、由奈ちゃん! キルロード家の横暴だァ!? ズルいのです!」
死聖LOVE会こと由奈と聖奈は大騒ぎした。こんなの横暴だと騒ぐだけ騒ぎ続ける。
「オーホッホッホ! 今回も集まりましたわね!
キルロード家のコネクションで集めましたわ、皆様! ロレトレ特別編「特攻野郎B(BAKA)チーム」ですわ!
……シャラップ! 私だって……本当は姉妹とほのぼのなGAしたかったですわ!」
ガーベラは地団駄を踏んだ。ロレトレだからって頑張りすぎちゃったのが駄目だったと涙も溢れる。
「ガーベラ様! 諦めてはなりませんわ! ええ、貴女のメイド、ダールベルグ・デイジーです!
フフフ、ついこの前のSSで設定が生えたばかりのキルロード家のメイド長ですわ。りぱくるNM様ありがとうございます!」
ダークベルグさん、PPPちゃんにはGMとNMって言うのがいるから覚えてくれると嬉しいですわ! そしてあなたの言う通りお嬢さまの振袖は来てました。
「ガーベラ姉様! 泣きやんで! やいやい! さっきから黙って聞いてれば好きかって言って!
依頼に行けるレギュラー陣の癖に生意気だ! 僕達放置組なんかこれ大体一年振りくらいの依頼参加だよ!
しかも末っ子のナデシコなんて今回が初参加依頼なのに『キルロード家の末っ娘』ってくらいしか設定無い位の放置っぷりで悲しみ背負ってるだぞ!」
拗ねたアネモネ。サルビアは堂々と頷いた。「ですが、諦めてはいけません。愛を持って接すれば皆様、仲良くなれるはずなのです! ラブ&ピースです!」――そして吐血なのである。お、お身体大丈夫ですか!?
「オーホッホッホ! ガーベラ様、情けないですわね! それでも私と同じ金髪ドリルお嬢様枠かしら!」
あの高笑いが聞こえません事よー! とリアナは大きな声で笑った。ドリルでいろいろ吹き飛ばしてやるという勢いだ。
「うう……お姉ちゃん達慰めてくれてありがとう。でもいいんだ……所詮俺は背後に『クラス:ドールを見つける為にはオールドワンがいなければ!』なんて理由で生まれて見つからなかったら設定も書いてもらえず放置された要らない子なんだ……」とナデシコは悲しんでいる。正直言えばその慟哭芸はとてもおいしいと思います。
「ハイハイ、ぐだぐだやってないでさっさと迷宮探索に逝ってくる! ったく、何でうち等がこんな事せにゃならんのだ……」
マナは溜息を交らせた。多分きっと、日が暮れた頃に「何の成果も得られませんでしたー!」と叫ぶことになるのだろう。
「なぁ、三奈……何だこの小芝居って思わねェ? そもそもこれただ単に迷宮探索するだけのGAだろう? 何でこんな入る前の会話が主になってるんだ?」
「姉さん……それは簡単な話です。このGAメンバー。私達含めて大半がクソザコすぎてここで喋っておかないすぐに戦闘不能になって出番がなくなるからです」
双葉に三奈はそう言った。その言葉に双葉は雑魚だったのかと絶望した様に呟く。
「フォォォ! 未知なる物がある迷宮! 今からワクワクドキドキでありますよ!」
さっさと行くぞと言わんばかりのスカサハが走り出す。その背を見詰めながら剣斗は豪快に笑った。
「ハッハッハッ! これは愉快だ! まさか武器も防具も渡されず迷宮を踏破して来いなどまるで使い捨ての駒の様な扱いではないか!」
――それは、結構怖ろしいかもしれない。決死の覚悟である。
「……フッ、静まれ。レギュラー陣に放置組……程度が知れるぞ。
……確かに俺は『復讐鬼キャラしんどい……もう無理ィ……』と放置された口だ。
だが、俺よりも悲惨な奴等がやる気を出してるんだ。見ろ、作ったはいいが『絵を受理してもらえない』『育成費用が出せない』『そもそも設定作っただけで満足』……そんな理由で放置されてた奴等だ、顔つきが違う」
レイスは淡々とそう言った。大騒ぎの特効Bチームだ。
「……えっ? これが通常運転なのここ……? ちょっとついていけないんだけど……私」
「……あっ、うん知ってた……こういう突拍子もない事やるよね…ここの人達。沙織伯母さん……何事も諦めが肝心だよ」
沙愛那のやさぐれた表情に沙織は「ええ……」と小さく呟く。
「沙愛那ちゃん……ちょっとやさぐれてない?」
慌てた様にそっと声をかける沙織。無茶振りなのは重々承知でも、進まねばならないのだ。
沙愛那がお父さんお母さんとお怒りなのだが、パンをもぐもぐと食べる玲。無理は禁物よ、と柔らかに笑う。それを見た直斗はぎゅ、と玲を抱き締めた。家族だんらんを此処で使うのは、と文句言いつつ玲がそう言ってくれるのならば行くしかないのだ。
「ほら、直斗はいつまで愚痴ってるの! 玲はいつまでご飯もぐもぐしてるの!
うちの姪っ子がいつの間にか疲れ切った中年みたいになっていた件……」
●
「久方ぶりのローレットトレーニングか……さて此度は深緑とはな。
大樹ファルカウ、そして首都たるアルティオ=エルムのなんと美しい事か……」
見上げれば何処までも美しい大樹が見える。ライハは小さく息を吐き幻想種達と触れあいたいと周囲を見回すが――にんまり笑っていたアルナスという幻想種は余りや国は立たなさそうなのだ。
●
今日はアオイとリアとピクニック(シオン談)。
「って、おい! ピクニックじゃねーから!!
あくまで、森林探索っていう体だからな! 遊びに来てんじゃねーぞ!」
凄い勢いでお怒りのリアさんである。その叱る声も物ともせずにお昼寝にバリエーションが出せるとやる気十分のシオンは何処で寝ても気持ちよさそうと樹を指さしてはそわそわと。
「リアの教会のシスターにお弁当持たせてもらったしたべよー……!
アオイから卵焼きもらう……! リアからは…たこさんウインナー……!
おいしー……! 流石シスター……! デザートにいちごとかも入ってるし……!!」
こう言う時間も大事にするのは良い事か、とリアは小さくため息をついた。
「トレーニングか……。なら『鬼ごっこ』をしよう!」
マルベートはティルを振り返る。ティルが逃げてマルベートが追い掛ける――けれど、マルベートの表情は何かを企んでいるようで……
「捕まえたら罰ゲームとして、私の館の地下室でみっちり一晩過ごしてもらおう。逃げられないようにベッドの上で縛り付けて、舌の上で転がすようにじっくりと愛してあげよう。ふふっ……おっと、涎が」
「――――まずい! 逃げなきゃ!」
何時も通りの王子魂で輝かんばかりのクリスティアン。カッコイイポーズを身に付けることができれば依頼の際の技にも箔が付くと彼は右手を胸元、左手を差し出すように、指先までこだわって。
「見たまえ! これが『プリンス☆フラッシュ』だ!」
きらりと光るクリスティアンにラヴィエルは「ンンッ」と言った。
「れはもはやローレット・トレーニングではない……俺とお前のラブみのぶつかりあい!!」
本当にラブみがぶつかっていたのは分からない! だが、彼から愛が溢れている事は分かった。
「わあ! 笑顔が輝いて! 素晴らしいですね、とってもかっこいいです!」
ミラが瞳をきらりと輝かせ、同じようにポーズをとってみる。それを見ていたアメルもロックを伝えられるようにとポーズを取った。
「ふむふむ! よくわかんないね!! とりあえず芸術点? とかなんか色々足してあーだこーだのリゼちゃん的フィーリングで決めよう! こんな謎のポージングを眺めてるだけでトレーニングになるかは永遠の謎だけどまぁいいか! ローレットパワーできっと強くなるんだろうね!」
そうなのです。リーゼロッテは不思議そうだけれど、ローレットパワーで何とかなるのです。
SpiegelⅡは必殺技にキメ台詞があると気合が入るとレジーナを見遣る。
「我(わたし)のそれは暗殺の類なのだけれども、叫んでいたら暗殺にならないわよ」
「え……? レジーナさんが暗殺……? その派手な技の数々で暗殺なのですか」
首を傾げるその様子にレジーナは頷いた。暗殺令嬢を見ればレジーナの豪奢な恰好も頷けるというもの。
それはそれとしてトレーニングの一環として付き合うのも悪くはナイトレジーナはにんまりと笑った。
「何処まで自身が動けるか、も大切だけど連携や支援を養う事もローレットに携わる以上重要よ」
アリシアは深緑のダンジョンで戦闘スタイルを確認するのだって大事だとくるりと振り返る。
旅人とは言え長耳の種であるイージアはこうして深緑に居るのは心地いいと目を細めた。
「こういうダンジョンには罠が付き物ですからね」
栞の忠告へとアリシアは頷く。その隣でセフィは首を傾ぐ。「灯りさえあったら私の力、生かせそう?」と仲間達を振り返る。
「遺跡やダンジョンが多数、と聞いたら潜らずにはいられないだろう……たぶん」
颯太は不測の事態があることは避けたいと気を配り続けた。藍はその言葉に大きく頷く。
「こういった遺跡にも、まだお宝が残っているのでしょうか?」
お宝もあるだろうが、きっと罠もある。それにも注意すると恐る恐ると進み続ける。
「アタイもラドバウで戦うときにかっこいい決めポーズとかしたいぞ!
どんなのがいいか……機械の四肢をアピールして練達のアニメのスーパーロボットみたいにビシッと決めたり、パルスちゃんみたいにかわいくスマイルで決めるのもいいな」
カッコイイポーズを決めるぞとモモカはポーズをとってみる。
それにううんと悩まし気なユーリエ。例えば間一髪に駆けつけて、敵の攻撃を防ぎポーズ!
「これ以上仲間を傷つけることは許さない!」
真剣なまなざしで言ったはいいがちょっぴり恥ずかしいのだった。
「ふむ、ポーズのう、色々試してみるかのー」
瑞穂はそのまま荒ぶるポーズ! そして、フィーバータイムなのである。案外いい気がしてきた。
天才魔女ことノコリットは最初だから折角だしとポージング。カッコよさとはつまるところは爆発なのだ。
「火花と共にカッコイイポーズよ! アタシの大事な魔女帽子に火花が飛ぶかもしれないけどそんなことは些細なことね! アタシの頭部が物理的に燃えるーッ!」
危ないのです。だれかノコリットちゃんの頭部を護って!
「カッコいいポーズ……ですか? よぅし、見てください! かわいいポ、……ポォ~ズ……」
まだまだ照れが強いジェリーなのである。そこへと勢いよく飛び込んできたのはRoad=Roller。
「私だァァァ!!! ロードローラーだァッ!!! 今回の企画は我ァが鋼の肉体を見せびらかすにはい~い機会だァ……元ボディビルダーとしては絶ェェェッ対見逃せないィ! ぶるんぶるるんぶるるるるん!!! ききーっ!」
実にダイナミックなのである。それを見ていたザ・ギフトが「わ~お!」と手を合わせて笑った。
「ハ~イ! 君への御届け物だヨ~!」
こんな感じでどうかなとウィンク一つ。その様子に薔薇三姉妹がきゃっきゃと楽し気にしているのだ。
「姉様さまたち見ててね~! 紅の『カッコイイポーズ』ゥ! えへへ、どう? どうかな?」
「ふふ、そうね。可愛らしいわ。とってもいいポーズよ……白薔薇!?」
慌てたように横を見る黒薔薇。紅薔薇の可愛さが世界一だとくらりとしてついつい目の前が真っ暗になったのだ。
「あ、危ない所でした……紅薔薇ちゃんの素晴らしいポーズをこの目にしっかりと焼き付けないと!」
●
「羽根突き。ムクロジの種子に羽を付けたものを羽子板で打つ日本の正月に行われてきた伝統的な遊戯
一年の厄をはね、子供の健康と成長を願うらしい。それとムクロジは漢字だと無患子、子供が患うことが無いようにという意味らしいぞ」
成程、詳しいウェールは迷宮森林の中でエネミーを探しながらも羽根つきをしないかと幻想種達も遊びに誘った。
羽子板に無患子の種でできた羽根。準備をしっかりしたアンファングはウェールが悲しまないようにとしっかりと丈夫なものを用意していた。「……くっくっく。我、パーさんは保護結界係である」と堂々と言ったパーフェクト・サーヴァント。アンファングと手分けしてしっかり森林を守っている。
「エクストリーム?な羽根突きはやったことないですにゃ。父上も昔はオンゲ? とやらで凄い辻ひーらーだったらしいですにゃ」
怪我をしたのなら対応して見せるとアステールが羽根付きを続ければ、日向は「タンマ!」といった。
身体がうまく動かない=混沌肯定である事を受け入れる日向は出来る限りの勝利をもぎ取りに行く。
「こういった密林だと平地とまた違うしやり辛いから、遊びと言ってもいいトレーニングになりそう!」
アクセルは半分飛ぶようにして羽子板(と呼んでいる装飾性の高いラケット)を手に小さな木の実を追い掛ける。
「魔力撃羽子板スマッシュっきゅ!」
勢いの良いレーゲン。保護結界内で破壊を試す事はないのだとしっかりと幻想種達に告げて置いたからこそ全力で羽根つきを楽しめるのだ。
「こちらは羽根つきちゅーですかー? 交ぜてもらってもよいでしょーかー?
ほー、皆様なかなかにド派手ですねー。これが、えくすとりーむ羽根つき……」
きょとりとしたルーシー。エクストリームというだけあって派手だ。対するリックが体重を乗せてばーんと打ち返してくる。
「ハッピーニューイヤー! 元気ですかお前らー!
何だかんだで海洋が騒がしいこの時期。俺から提案する修行はこれ!海洋の実家でガキの頃よく遊んでた、羽根つきってゲームだ。ただ羽根を打ってればいいってもんじゃない。ラリーを続けるには相手の気持ちを汲まなきゃいけないからな」
晴明は絆こそ大事だと堂々と言った。勿論、彼の実家にも大いなる影が覆う可能性はあるのだ。訓練が終われば酒と肴を用意してあると笑った。それは楽しみだとトカムは目を細める。
(去年は後悔の年だった。大切な者を失って、どうすりゃいいかって答えは未だに自分の中で導き出しちゃいねぇ。
だが、空っぽになっても歩み続けるのはこうして仲間がそばに居てくれるからだ。
そんな日々に甘え続けていながらも、ちゃんと独り立ちしなきゃいけないって事は分かってる。だから……カッ飛ばしてくぜ、今年は!)
やる気は十分。嗚呼、けれど中々に難しいのだ。それを眺めながらも昔はテニス部の王子様――ではなく助っ人をしていた姉ケ崎春樹先生は羽を打ち返し続ける。
「俺が勝ったら、敗者には墨の代わりにギフトでモザイクを付けてみせよう。
フッフ、新年も他人様にご迷惑がかからない範囲でBL街道をつっ走ってやるぜ!」
「普段から筆を握ってる身だ。罰ゲームでの顔の落書きにも、俺なりの美意識をもって挑んでくぜ。……おい、くすぐってぇよ。ちったぁ加減しろ!?」
モザイクを書かれながらベルナルドは変化球を放ってやるからな、と仲間達をびしりと指さした。
何時か笑癒える気が来たなら――アネモネだってこの輪に入ってくれればいいのに、と、そう思う。
「えっ。墨を塗れるのは羽付きで勝った者だけですって? って、待ってください!
その豪速球は羽付きの打ち方と違っ……えーい! 無茶苦茶でも今年こそは皆様のノリに食らいついてまいります。スマーッシュ!」
普段ならば遠慮しがちのクロサイト。遠慮している訳にはいかないと服が乱れようとも懸命なる羽根付きに興じ続ける。勿論、クロサイトが言った通り墨を入れて心の距離を縮めるのだが十三は左目のレンズは避けて欲しいと乞うた。
ちなみに神秘の力で光る羽子板を手にしているのである。誰かー、ルールでOKか教えてあげて!
「子供っぽい遊びも手を抜かずにやるから、俺は結構好きだぜ。
十三さんのそのエキセントリック羽子板はどうかと思うけどな!?」
「だめ?」
「いや……いや!?」
慌てる最年少ピュアエル。そりゃ慌てるだろうと周りは笑うが、皆の癖とか趣向を学んで合わせて良ければ今年も活躍間違いなしなのだ!
●
「めっちゃ寒いわ!!!!!!!! 私!!! 熱帯から亜熱帯気候が住処なの!!!
雪って何よ!!!!!!!! 極地で降るものでしょ!!!!!!」
全裸であるロザリエルは震えていた。とてつもなく寒いのだ。植物として火に怯えるなんて意識が低いと叱咤しながら土へと潜りゆく。
「深緑の弱点が、情報の伝わりにくさだとおっしゃるので解決策として水運ルートの、開拓を考えましたの」
ノリアの提案を受けてリュミエはおまかせいたしますと穏やかに笑みを浮かべた。森を傷つける事無く小さな水路を張り巡らせて森へと水を行き渡すのだ。
「インフラ整備は国の根幹。深緑が豊かになれば、隣接するラサにも恩恵は色濃いはずだ。
とは言え、今日明日でどうにかなるものでもないから、最終的に集めた情報や物資を現地に提供し、後を託す事になるかな」
悩まし気に告げるラダにそれならばラサ側も力を貸さないわけにはいかないと傭兵たちは大きく頷いた。
コネクションを使用しての情報収集をしっかりと行いつつ外への扉が開く様にとラダは考えた。
「早速現地調査ですの!」
「じゃあ現場監督は任せな」
堂々と言ったエイヴァン。イレギュラーズだけではなくラサの傭兵たちの力も借りるとなればしっかりと統率しなくてはならない。
「木材で小舟位作ってみるか。おら、男ども手伝えよ」
「じゃあ木々を気を付けない様に注意して掘る班も必要だな?」
大いなる自然との共存を思えば木々を傷つけるのは避けたいのだとチャロロは懸命に水の流れを考えながら作業を進め行く。
白紅は困っている人が居たら手を貸すと周囲を見回した。作業をしていれば疲れるだろうから休憩所を作ろうかと暖かい焚火と料理を振る舞うと白紅は汁粉などを作り続ける。サポートも立派な運河整備だ。
マヘルは労働がメインなのも分かるけれど、と絵に描くのも目的であるとその風景を眺め続ける。
「ああ、偶には悪くもないかもね」
「力仕事は得意じゃないけど、考えながら仕事をする、なら貢献できると思うから」
運河のルートを考える様に地図に線を引いていく。先程、ノリアが言っていた通り荷を乗せて運べるくらいにはしたいと考え続ける。経年劣化や雨で崩れそうな所は補強しつつ……
「やることが……やることが多い……!」
その大変な状況を緩和するのは瑠璃篭。先導し、役者として口車を堪能してくださいと堂々たる演説を響かせる。
「両国の民を扇動して運河の開拓に手を貸して頂きますわ。人足は数。せいぜい励んでもらいましょう?」
手八丁口八丁、煙に巻いて扇動するのもまた訓練のひとつなのだろうか。
「川はな、すぐに荒れてしまうようやけど。しっかり手入れとけば恵みの宝庫やねんで。
例えば上流が氾濫しても、整備しとけばすぐに海まで水は流れていく。
やけど、肥沃な土は残してってくれるんや、底にな。それを使えば作物はもっと育つ。それに川魚とかの恵みやってばっちりやさかい」
メリットを口にしながら穴を掘り続ける水城。その隣で愛は何時もの如くポーズを取った。
『大地も揺動する愛と正義の使者! 魔法少女インフィニティハート、ここに見参!』
さて、真顔になって水と大地の戦い。微力ながら手伝いましょうとインフィニティハートはせっせせっせと穴を掘り続ける。
「ちょっくら山に籠っているうちに、えらく時世が変わったもんだなぁ。
俺にできることといえば体を動かすことくらいだ。それが人の役に立つってんなら、いくらでも手伝うぜ」
指示を頼むとタツミは笑みを浮かべた。水浴びをしたいけれど、と考えながら汗をかいて運河を作る。
「ただッ!! ひたすらにッ!! 掘り進むのみッ!!」
リンダスがやる気を溢れさせ、巫女は地道にやるしかないのだと整備の前に検分を続けていく。
アリシャはふら~と訪れてトークと言えば自分、自分と言えばトークなのだと静かな空間でにこにこ楽し気に話し始めた。
少しずつ形になっていくのは嬉しいと佐里は嬉しそうに目を細め、生態系を壊すことなくと気を配るコルウィンは土地改良などは好まぬ幻想種もいるだろうと気を配りながら進めていく。
「足場が悪い事も大した障害ではないな?」
人で不足を聞いてきたと無銘とアスタは運河整備に精を出す。Meerは精霊の声を聴いてみて水源や地形を確認しようと目を伏せった。
「深緑ならいろんな声が聞けそうだから楽しみ!」
きっと、様々な精霊たちが返事をしてくれるだろう。それを見つめて征斗は「うーん」と呟いた。
「来世の発展の為……とはいえ、どっから手を付けるもんかね……」
ファミリアーを飛び交わせて、動物たちの様子を伺いながら調査を続けていく。
「森かぁ……森はなほれ……いるだべ? アレが。
おらは……おら、もしもっちゅったら自分を押さえられる自信がねえ……」
珪化樹は虫は居ないだろうかと緊張し続けている。
「迷宮森林にはまだ未開の地が広がっていると聞く。ならば未知を求めて彷徨うのもまた一興だろう」
運河整備よりもさらに奥には木々が大いに茂っている。アカツキは植物で縄を作り、モンスターに襲われぬようにと気を配る。
無用な殺生は必要ではない。さて、この先には何があるだろうか――
●
「深緑は緑が多くて、散歩するだけでも癒されるわ……」
エンヴィは絶望した。悲鳴が聞こえたのだ。それは聞き覚えがあって――クラリーチェも同じだろうか。
「故郷でのトレーニング……とのことですが、新年早々ですしゆっくりしたいですね」
なんて言っている場合でもなかったかとクラリーチェは恐る恐る周囲を散策し、見た。
血だまりの中に沈んでいる夏子が! 慌て、口元を抑えた。因みに今のクラリーチェのクラスは葬儀屋だ。
「ク、クラリーチェさん、逃げましょう……サメ……スティアさん、また……なのね……」
もはやローレット・トレーニングではなくて『シャーク・トレーニング』ではないかとヘルモルトは考えていた。犠牲者は……いる。夏子を見て溜息を漏らす事しか出来ないが。
「スティア様、いってらっしゃいませ。責任は製造者にあります」
叫び声が聞こえる。あらすじをお教えしよう。
幻想種達の幸せの切欠が勝ち取れたことを噛み締める夏子。
幻想種達に笑みを浮かべて軟派な言葉をかける夏子を誰かが引っ張る――そこには鋭い眼光が!
二度あることは三度あるけれど、古代遺跡でサメがこんにちは何てないと思っていた。スティアは「どうしええええ」と叫び逃げようとしてヘルモルトに掴まれる。
「遺跡でサメって中々ファンタジックよね。流石に私もこんなところでサメを見るとは思わなかったわ」
綾女の言葉にはきっと全イレギュラーズと幻想種が同意した。まさかこんなところにいるなんて……。
「……サメ!? サメですぅ!? こんな森の中にサメがいるですぅ!? どういうことですかぁ!?
やめてくださいミーネは食べてもおいしくないですぅ!! さっさとどっか行けですぅ!! ミーネの歌を聞きやがれですぅ!!」
その時、ヴィルヘルミーネは気付いてしまった。皆歌を聞くと逃げてしまうのに鮫は近寄ってきてくれる。
鮫、歌を聞いてくれる!? 本当に!?
嬉しそうに笑ったヴィルヘルミーネ。逃げて、鮫は大口を開いているの!
「どうなってますのあれは海の生き物ではなくて!?」
ライアーは走り出した。足を止めてはサメに潜㎡号されてしまうのだ。さっきのヴィルヘルミーナみたいに!
慌てて逃げながらも落ち着いて鮫を迎撃している特異運命座標に驚きを禁じ得ない。
「何でいるだよサメがぁー!!??」
まさにB級映画なのである。要は叫ぶ。魔砲で出来たCGじゃなければ此れは何なのか、と。
「に、ににににに逃げなきゃ! 走れー!
どどどどうしようサメっておやつのパンとか食べるかな!? 投げてみよう! だめかな!?
あ、あたしは美味しくないよ!? あああ――――PPP使えないよー!?」
慌てるフランはとりあえずおやつのパンを投げてから要にこっちに逃げてと叫んだ。
「ひえ……に、逃げなきゃ……!!! はあっはあっ……逃げれたかな……? 大丈夫そう……かな……?」
足を止めたシリルの背中へとエラが逃げてと叫ぶ。その瞬間に鮫の尾を踏んだのだった。
「森林生息のサメって聞いてませんよ!!」
「森にサメ!? 森を泳ぐのかな、すごい、すごい!
銀の森では見たことなかったよ、外に出れば何でもあるんだね!」
銀の森でもスティア(召喚士)が居れば鮫出るかもしれませんね……。ソアはサメって美味しいらしいと嬉しそうにににこにこ。その言葉に依狐は「森の珍味?」と瞳をきらりと輝かせた。いやあ……森の珍味と言えば……そうかもですが……。
「新田さん。先日はお世話になりました。……皆さんざわついていますが、一体何か――きゃー!? サメー!?」
楪の穏やかな笑みも凍りだす。それはそうだろう。サメは初めてですか、と寛治は笑みを浮かべた。初めてじゃない方が珍しいのだ。
「楪さん、あなたはまだ若い……まずはこの世界に慣れることです」
製造物責任者であるスティアを犠牲(デコイ)にして逃げましょうとこれまたひどい事を言う。そしてスティアを前へと突き飛ばしたのだった。
「ひえー!?」
「……飼い犬が噛んで遊ぶための玩具のように、サメの口に嵌まり続けるくらいでちょうどいいでしょう」
任せてくださいとアンジェラががぶがぶされている。その様子に涼太は「どんなスキルで宙を飛んでるんだろな」と鮫を観察していた。それは誰も分からないのできっと混沌生物とか言う神様の悪戯なのだと思います。
「どうして鮫が!? スティアさんが罠を踏んだから?ああ……アルティオ=エルムは不思議ですね。
摩訶不思議です。鮫というものまでもがギミックのひとつとなっている――奥が深いというか」
何とも言えない現実逃避をしながらリースリットは逃げていた。そして、脳裏に過ったのは起動したスティアさえ犠牲になれば――
「皆が犠牲に! やったー、私が襲われるのが遅くな――ちがう!
なんとかしようにもこれ私が呼んだわけじゃないんだよ、ということで諦めようね、サクラちゃん!」
人が餌になっても私が無事ならうれしいよね、サクラちゃん!
「無理! 強い! サメ強すぎる! 何この子! 魔種!? 魔種なの!?
スティアちゃんなんとかして! スティアちゃんのクラス、サメマスターでしょ!
それといつも通りだからわかってると思うけど後でお仕置きだからね!」
それでもファイヤーシャークじゃなくて安心したサクラだった。天義の貴族って……。
――血生臭い鮫は傍に置いておいて、美しき森の中を歩くのも楽しみだとLumiliaの足取りは軽い。
森に湖、木々の合間から毀れる陽気が何所までも心を満たしてくれるのだ。
練習は余り見せてはならないから――つい皆が眠ってしまう様な子守唄を奏でよう。
フルートの音色が響けば小鳥たちはうっとりと寄り添い合った。
その音色に混ざる様に、ブランジュも楽器を弾き鳴らす。新年を祝うと言うのはあまり習慣にはなかったが、こうした訓練に混ざれるのは嬉しいのだと穏やかな時を過ごし続ける。
ちょこりと座ったリイン。今回は殴らないよ!
その傍らでは心身ともに鍛えなければと瑠璃が「お願い筋肉」と祈りをささげた。力を貸してほしいのだ――筋肉なら、きっと……!
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「年始早々何故か紙を作っているわけだがなんとやら。
……そもそも紙漉きながら器用に寝てそうなのなんでだろうな」
リオンはさらさらと白い紙を作り続けた。その様子を見ながら公はごくり、と息を飲む。
「なるほど、これが白紙行動。時に死者をも出すという危険な……、なんか違う!?
植物資源が豊富な新緑なら、そりゃ製紙産業も盛んだよね。和紙っぽいものまで作れるとは思わなかったけどやってみようか!」
白紙とは死者を――出すのかは分からないが、紙を漉く事は心を落ち着かせるような気さえしてくる。
そう、とりあえずなんかだべればいい気がするとでも言えば白紙、否、白死を免れることができるとプラックは口にした。
「かみをすく……ああ、神を好く!すなわち崇敬する神様への愛を語りあおうと、そういう試みなワケですね!」
それを大いなる勘違いと呼ぶまいな。クレッシェント・丹下は嬉しそうであった。嬉々として五穀豊穣の女神の話を続けている。お米も紙も白い方がいいのです。色々と。
「ローレットトレーニングには白紙はつきものと聞いたので紙を漉くことにしたのである。
深緑であれば緑豊か故、原料には事欠くまい木を切ることを厭うとはいえ全く木を切らぬという事はあるまい。間伐材とか……あるであろ? な?」
百合子の言葉に応える様に悠は頷いた。良ければ自分から準備しようという事だ。
「とりあえず紙を漉くなら原材料とか必要だよね、確か主に水と植物由来の繊維。
……という訳で、水の提供をしよう。頭の木の葉でいいなら繊維の提供もできるかな。後は飾りとして閉じ込める花びらとかも、欲しい人には提供しよう」
いかがだろうか、と悠は首を傾げる。素材由来で変なものが出来たって責任は取らないという悠。何かあったって美少女力で誤魔化せばいいのだ……多分。
「えっと、はい。お役にたてそうな気がしましたので、ええと、紙を漉くための繊維は、出せます。
花とか葉っぱ、でいいんですよね。自分の花、色が無いんで。多分紙は作りやすいんじゃないかな」
総提案するクリファセフィラ。悠とクリファセフィラを合わせればなんと! 紙が出来そうなのだ!
豪快に笑った美少女は現地の幻想種達の指導の下でせっせと白紙作成を頑張り続ける。
「僕は木を叩いて繊維を取り出す作業のお手伝いをしようかな。
体力のいる作業だろうし……こういう単純作業は結構すきなんだ」
それでも、見ている限りこうしたゴワゴワしたものが紙になるだなんて、とヨルンは驚いた様に声を漏らす。
紙漉き職人の先生にお願いします、と材料を用意するヴェルヘルミナ。何を使うかが大事だとも考えている。
神を漉くと言いうのが何かはルチアには分からないが種族美少女の強さの根源に迫りたいと考えていた。
因みに――何をするか浮かばなくってライムは困っていた。知り合いは不参加だ。どうしよう、そうだ、紙を作ろう!
ある意味で凄い判断である。何をするかわからないから紙を作る。紙を作ることに意義を見出す礼拝は木の枠が重たいと困った顔をしていた。
「完全に白紙も美しいですが花を漉き込んで模様とか作ってみたいですね」
「まあ、それは素敵です。けれど、均一にするのが難しい……けれど、楽しいですね」
こんな機会はめったにないからとミュリエルは黙々と紙を漉く。年末年始をこうして紙を作成するので過ごすと言うのも面白い事だとアルクはぼんやりと考えた。
器具を持ち帰ろうとするアルクに駄目と叱る精霊を見つめながらトウゴはせっせと器具や材料の運搬をする。
過去の厄ネタを嬉々として掘り返しそうだったから大人しくしていようとカイトは口を噤んでいた。
薬品の調合なら経験あっても紙を漉くのは初体験のアクア。出来上がった紙には美少女(色んな意味がある)を書こうと決めて紙を漉く。
「あ、乾くの待つ間にお菓子でもどうかしら? ようかんとかどら焼きとか、クッキーとか」
アクアの提案を聞きながらマカライトはちゃぷちゃぷ、ちゃぷちゃぷと淡々と紙を作り続ける。
因みに、アクアの瑕疵をつまんでいたAliciaは美少女たち(二つの意味で!)に愛の言葉を綴っていた。菓子を齧るアクアにウィンク一つ。デートに持ち込みたいという下心はバリバリだ。
「カノン、そんなにはしゃがなくてもいいのよ?
それにお姉ちゃんちょっと疲れたんだけど……あぁ皆さん、今日はよろしくお願いいたしますね?」
マテリアが溜息をついたらカノンは面白いと姉の手を引っ張った。
「カノンは紙をすいた事がないので、とても気になります!」
さあ、一緒にやりましょうと瞳輝かせる彼女に引き摺られてマテリアも早速紙作りにチャレンジです。
「………いや心死ぬわこんなん」
単純作業は飽きてしまうのだ……。
「繊維を解す事は『ざぐり』というらしい?」とアリエールは教わった通りに作業をし続ける。
これがまたなかなか難しいのだ。どうして紙を作ってるのかは分からないが難しい事にチャレンジするのも必要だろう。のんびりと見つめていたクローネは教えて貰えればありがたいのですが、と首を傾いだ。
「こんなに手間かけて作ったら勿体なくて何も書けない、クレイジーだぜ」
折角だから一筆とならないのが割とクレイジーなのだとパーシーが手を上げる。その隣で大欠伸のマーヴィンとこの紙は最高だぜとアレクシスが笑う。
「この紙でハンバーガーを包んだら3倍高く売れるぜ!」
カントリーが見えてくる気がしているティモシー。これがトロトロになるなんてと驚いた顔を見せたバリーにロードリックは細かい作業は自動小銃の整備に通じるものがあると小さく呟いた。
息を潜めるレヴォイドはふわふわとした繊維に驚く戮の様子を眺めている。工程を理解しながらゆっくりと作業する戮は面白いと言う様に瞳を輝かせた。
戒機は雑用をしながらも何かこの場をよく理解していないような雰囲気さえ醸し出していた。
「うぅ……水が冷たい……なんで私がこんなこと……」とぼやくメアリー。
独りぼっちになりたくないというプッチーマンは「ボクのプチプチをお使い」とサッとメアリーに渡す。
その様子を眺めていたシエスタ。これがローレットトレーニングというものか、と改めて何だか認識する。
「これがローレットの勇者製造機なのですね!」という感想はあっているのか間違っているのか。
「単純な工程に見えて、その実は繊細に満ちている。職人の仕事ね」
そう言ったパトリシアにレンジスは様々なノイズを感じて苛立つと言う様に溜息を交らせた。
迅は「えーと、均一になるように木枠を縦横に揺するんでしたっけ」と悩まし気に枠を持った。
どう動かせばいいのかというのも中々に難しいのだ。均等にしっかりと紙にすると云うのはこれほど難しいのか。
白い紙を作ろうとしても何かが混じってしまうとカシエは花柄を漉こうと準備をするが……「むむむ」
中々に難しけれど此処であきらめるわけにはいかない。具体的にはこれでお金の節約に繋がる筈なのだ。
「無心になってくるな……ハッ……禅……これが禅か!」
成程、そういう判断もあるのだろうか。フランクははっとした様に手元の紙を眺めていた。
「森の中で白紙作りとか、なんかすごく貴重な体験だよねー、正宗くん。」
「タンニ ホカニ ヤルコトガ ナイダケデハ……」
そこはツッコんではいけない所なのかもしれないコリーヌはなんだかんだで結構な労働だよね、と笑いながらふと、思いつく。
「……イレギュラーズが漉いた紙ですって言って売ったら高く売れるかな……?」
「これ深緑産の商売になりそうですにゃ?」
きょとりとした紗恵がこてんと首を傾いだ。成程、確かに良い商売だ。
「どう、でしょう……? 上手にできるかな……」
メイメイはざぶざぶと無心に紙を作り続ける。ざぶざぶ、しゃかしゃか。白紙とは、奥が深いのだとぼんやりとも考える。
「えと、うまく言えませんが、簡単な気持ちで手を出してはいけない、ような。そんな気もしました。…しました」
――――
――
―「……いやちょっとまつであ~~る!」
グリモー・アールは叫んだ。生産された白い紙を持った幻想種の大群にお前を白紙に入れ替えてやる特化蹴られているのだそうだ。いやいや、ドスライクのボンキュッボーンを見ていただけなのにと叫ぶ。これぞ正に、スケベ心で大惨事!
一心不乱にグリモーの中の白紙を作るのは鬼気迫る結美であった。
「私、このトレーニングが終わったらお手紙一杯書くんだ……
お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお姉ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん」
●
フェレスは見つめていた。出来る事ならば、Erstineがディルクに挨拶するラブロマンスを目にしたいのだ。
「ディ、ディルク様」と声をかけたそれを見守ってからフェレスは姿を消す。
「よぉ。訓練に来たのか?」
「はい。目標をしっかり立て、そして努力を積み重ねられるように、と。
……あ、あなたのように強くなっていつかまた赤犬の群れの門を叩くのが、一番の目標なのです」
ちゃんと、見て居てくださいね、と視線を送ればディルクは揶揄う様に笑った。
練達製の商品を手にしたリアナルは魔導ポットや魔導レンジは如何だろうかと『大人の玩具』や子供の玩具も含めていろんなもの販促活動を行っていた。
「ラサを通じて商道が通じればいずれ練達との道も開くだろう」
そうして自身の目的を果たすのも良い事だとグリムペインは執筆活動を行っていた。自伝は趣味ではないというが、自分を広げるためにはこれが一番手っ取り早いと紙とペンを手に取った。
手を繋いでくるくると。アメジスト、アクアマリンにガーネット、エメラルド、そしてダイヤモンドたちはパーティーの照明のようにくるくると回り続ける。
嘗ては深緑の幻想種とも仕事で関与したことがあるシャスラにとっては感慨深い。ザントマンによる一件で出会った幻想種は息災であろうかとシャスラはのんびりと考えながら古代遺跡へと足を運んだ。
「またトレーニングか。あんまり依頼に参加しない僕にとっては有難いね。
スキル構成変えて物理型になったから動き方考えないとね」
妖樹やアーサーのようにこれからの戦法を考える者たちだっていた。
「はいはーい♪ 呼ばれて飛び出て輪廻さんよん♪」
死聖からのお願いだなんて、とリンネはにんまり笑う。新しい戦い方で本気を見せあう戦闘狂たち。
穏やかな笑みを浮かべた死聖は変化したその身体での戦闘方法に気付いたからと試したいと集中し続ける。
「フフ、さあ、これが僕の新しい力だよ♪」
「見事だ死聖。これがお前の本気か……! ああ、今のお前は俺より圧倒的に強いだろう」
ゲーティア・レプリカを手にしたリアムは笑み浮かべて嬉々として戦い続ける。自信の攻撃を避ける死聖に気が高揚してきたのだろう。
それを眺めていた信政は小さく舌を打った。この世界に来てから1からと鍛え直すのは萎えて諦めるものだが――
「リアムのヤツは元からとして、まさかのエロい姉ちゃんや普段姫騎士の同人誌描いてる死聖まであぁとはな……オメェら本性隠してたな?」
ああ、そう思えばすこしばかり苛立つのだ。溜息交らせて信政は弁当用意してっからなとぶっきらぼうに言った。
「ハイハイ! いつも元気なコータクンもバリバリ参加するぜ!
アウトドアでもインドアでも、ゲームは任せろー!」
手を上げた洸汰。通せんぼで札に集まる他人をガード。ひっかけっぽい読み札に掛かって見せるかと罠対処してみせるとお手つきしないように必死に対処。
「闇市は 依頼の余録で 程ほどに」
札を読む大地。詠み手の彼は不正やお手付きがないかを霊魂操作でしっかりとチェックしていた。
読み札はいろいろだ。広い視野と反射神経、そして一瞬の判断力も鍛えられるのだとマヤは真剣な顔で眺め続ける。
それでも、札にパンツ率が多いのはちょっぴりきになるのだ……。
「サマー×ティー 解釈違いだ 戦争だ」
面白い札ばかりだとルルゥはじいと見つめてぱちりと取った。シュペと見ればメダリオンかそれとも――となれば難しくってお手付きだ。
心ときめく宝石と乙女のぱんつ、ギルオスシュート!!!!!!!、イザベラ派ソルベ派、あなたはどっち?
練達製 困ったときの 合言葉、ザントマン 長いお耳が大好物、絶望の 青の果てには 何がある?
「子ロリババア 産めよ増えよ 地に満ちよ」
「――!」
反応が遅れた。瞬間記憶で読むよりも早い『お手付き』をしたメリーが笑みを浮かべたが――それに笑みを浮かべて禁止したのは読み手の大地だった。
「正々堂々? アハハハッ! 勝つためには手段なんか択ばないわ!」
●
「うむ、せっかく来たのだから観光に行かねば。……迷宮探索ツアー?」
カナタは不思議そうな顔をした。表情はワクワクし尻尾は何よりも雄弁だ。
モンスター知識を使用して迷宮へといざ参らんと歩き出す。
「オウ、面白そうな事してんな。おれさまも混ぜろよ」
グドルフは目の前のゴーレムにほくそ笑む。誰が一番長く潜っていけると聞かれればもちろん自分と自信をもって彼は言うだろう。
最強の傭兵であり最強の山賊――グドルフの名を覚えて帰れとゴーレムへと攻撃放つ。
「はぇー、これが迷いの森ですか。踏み込みがいがありますねぇ。ひひひひひっ」
やはり本領発揮するのは今ここかとエマは探索と警戒に力を割いた。五感を研ぎ澄まし森林には似つかわしくない存在を探知し続ける。
「今日はよろしく。ペリカ。木々の匂いよりも土埃にまみれた迷宮のほうが僕らにとっては居心地がいい、違わないか?」
「そうさねぇ……確かに、こっちの方が『楽しい』もんだねぃ」
にんまり笑ったペリカにアトは大きく頷いてから周囲を見回しびしりと指さした。
「おい、こら、カップル共!いちゃついてるんじゃねーぞ!! 晴れ着が全部泥まみれになって帰ってくることを覚悟しろよ!!」
勢いは良かった。モンスター知識を使用してしっかりと迷宮の仮装を目指し続ける。
「妙に熱い果実とか、動物系モンスターとかそのあたりはあるんですかね? ひひっ」
「どうなんだろうか。みんなでどこまで行けるかのダンジョンアタックか……どこまで行けるか楽しみだな」
何にせよ新しい事ばかりだとポテトは葵花模様の着物を身に纏いノーラの手をぎゅっと握り占めた。
精霊たちが前を行くのを追い掛けて、ゆっくりと周囲を見回し続ける。
ピクニックみたいだとノーラは袴姿でダッシュしようとしてその手をギュッ握られた。
「おお?」
パチリ、と瞬いた。ノーラの傍でシルヴァーナは配給係。ポテトに色々と食糧の工面を頼んだ彼女は「流石はお姉さま! 頼もしいですわ!」と瞳を輝かしたが――
「シルヴァーナおばs……お姉さんはママとも仲良しだな!」
幼い少女とは時に残酷なのだ。因みにシルヴァーナお嬢様。天義はアークライト家より家出したばかりなのだそうです。
「迷宮の中にお正月故に妾のファミリアー、このネズミさんを解き放つのじゃー」
晴れ着を見に纏うと歩きづらいのだというデイジーはお神籤引いて行き先を決めるのもまた一興と小さく笑う。
迷宮の中でのキャンプも胴だろうかと餅を持参したと袋の中の鏡餅を持ち上げて見せた。
新年早々からのダンジョンというと神那は不思議そうに周囲を見回す。和装というのも危ないと言えばそうなのだろうが彼女は慣れているから問題ないかと足元を確かめた。
「ふふふ♪ 迷宮探索なら書庫の皆と良くやってますからね!」
楽し気なねねこは自身も新たな戦い方を身に着けた事を忘れていたといつもと違う戦闘スタイルに僅かに戸惑う様な顔を見せた。
「いいえ、ネクロフィリアは何時もの通りです!」
霊魂たちがきっと協力してくれるとやる気は十分なのである。
心構えは四季折々の美しさを体現するが為にあるのだと沙月は目を伏せる。前線辺りで突出しない様に迷宮の奥を目指さんと只、静かに足を進める。
「成程、人の手が加えられていないと言うのは何処までも恐ろしいものですね」
何処に何があるか。それこそが迷宮探索と認識するように静かに息を吐く。
「アルティオ・エルムの迷宮森林には、古代の遺跡が多数ある……という話でしたね
古代――古代ですか。確か鉄帝国にも古代の文明の遺物があるという」
アリシスは幻想種達にも覚えのない代物なのだろうかと遺跡の中を見回した。
『シャイネンナハトの聖女の伝承』よりもさらに古いのか。リュミエも知らぬ時代なのか、そう考えればこの迷宮は興味深い。
「……いつか、またこの迷宮に挑む事にならなければいいのだけれど……」
「迷宮探索はやりたいときにやるのがいいんもんだわさ」
アリシスに笑ったのは『穴掘り』を精力的に行うペリカその人だ。(先程、アルナスとフランツェルに「サバ呼んだって本当です?」と揶揄われてきたからか口数が多く若作りの雰囲気だ)
「さて、ペリカ隊長。地下何階まで潜れるかのダンジョンアタックなんですが、ここの迷宮には?」
青い着物に身を包んだリゲルにペリカは「赤子の頃にねぇ!」と揶揄う様に言う。しかし、慣れぬ格好で挑むならば油断は禁物だ。
此度の迷宮へは全員が晴れ着を着用するというローカルルールが存在していた。ペリカも勿論その一人だ。
「今回は有名なリゲルさんとも一緒だし、物語の勇者みたいで格好良いし、一度一緒してみたかったんだ!」
浅黄色の羽織を羽織ってシャルレィスは心躍る探索にいざマイラン。巴の眼帯装備で暗視対策もばっちりだ。
目標は最下層。この迷宮は何処まで続くか。無謀ならば撤退はしっかり考えていると前衛進むシャルレィスは緊張と共に好奇心で突き進む。
「アンデッドなんかもいるんだろうか? ペリカ隊長が『赤ん坊』の頃に作った記録を塗り替えたいな」
リゲルが小さく笑えばポテトも大きく頷いた。言うじゃないかとペリカはからからと笑って見せる。
「可能な限り歩む訓練か。普段は壁役故、肉の量には自信が在る。
されど迷宮の云々には疎く、我等『物語』のホイップクリームは正しく流動。ならば委ねるように。適応せねば成らぬ。Nyahaha!!!」
兎に角体力がある限り進んで見せようとオラボナは笑った。その持ち前のフィジカル活かしでずんずん進む彼はみなぎるケイオスで耐えて見せんと堂々と歩み続ける。
サイバーゴーグルを使用して視界を確保したジルはチョークで迷宮の壁に矢印を付けた。生える植物たちとその様子をチェックすれば図鑑に載っていないものもあるのだろう。
「この植物は地上には生えてない物っすね」
「ええ。そういうものを見つけるのも素敵ね。教会に来る子供たちに良いお土産話ができそうだわ。
こんな本格的な迷宮に潜るのは初めてだわ。ちょっと楽しくなるわね」
メリンダは回復は不要よと柔らかに微笑みながらずんずんと進んでいく。シスターは臆することなく迷宮を進んでいく。
迷宮の為に戦う事できるだろうかと涼は瞑想しながら助けを呼ぶ声を探す。死亡フラグ何て全て無に帰して目指すは踏破だ。
「折角じゃから、何か記念に持ち帰りたいのぅ。結乃、足元にはちゃんと気を付けるのじゃぞ」
人数が多ければ安全に勧めるとにんまり笑った華鈴に結乃はこくりと頷いた。「たからものとか、あったらいいのになぁ」ときょろきょろと周囲を見回して、華鈴と共に探索なのである。
「迷宮ですか、成程」とハイネは言った。蝙蝠を索敵役として進む彼女に指示をするのはラルフ。
「ハイネ、報告と補給を頼む」
出来る限り知識を供給するために魔物を討伐するが為に進むラルフの隣でロゼットが尾を揺らす。
流石に迷宮の中で炎を禁じられては光源に困るというもの。松明を手にロゼットはじっくりと確かめる様に進んでいく。
オリーブは顔まで覆う兜の中であっても過酷な環境鬼適応できていた。深呼吸し、拳を固める。暗闇や苛烈な光にも対応するとオリーブはずんずんと進み続けた。
古代迷宮の完全制覇目指して進む真。市松模様の着物に帽子、そしてサイバーゴーグルとなれば中々におしゃれだろうと焼きおにぎりと軟水を手にいざ進む。
「俺は旅人だからね。冒険も水泳も逃走も得意だよ。無理はしないさ」
「さて、ダンジョントライアルか。腕が鳴るな!
体力には自信があるからな、どんどん行くぜ行こうぜ! 荷物持ちと戦闘は任せろ」
やる気十分のエレンシアは大剣を手にぐんぐんと前へ前へと進んでいく。彼女を癒すのはエリシア。前線を退いたと言えども力は衰えぬと癒しを送る。
「皆と一緒に迷宮探索なんて……心が躍るね。わたしも、精一杯戦うよ!」
氷彗は白く透き通る刀を握りしめ氷の精霊としての力を振り絞る。
「クッ……ハァ……体力ももう少し付けた方がいいかもしれませんね」
やはり迷宮探索とは難しいのだとクーデンが溜息を交らせる。励ますのは尾を揺らしたヌルだ。大丈夫怖くないとするする進むが――「ぴゃ!? ちょちょちょちょちょ~とびっくりしただけだよ!?」
「攻めながら、立ち続ける。前衛の基本だけれど、私の課題ね」
これは良いご縁だと頷きながらリディアは力、経験共に不足しているからと試して、動いて、戦うべく走り続ける。
「俺の眼や耳を誤魔化そうってのは……そう簡単にはいかねぇぜ!」
ピットは走る。警戒を怠らないままで耳と目をしっかりと駆使して迷宮の中を確認し続ける。
ピットの傍らから、楽しむ様に迷宮構造を確認するリウィルディア。文字列や壁面の違いを確認する彼女は豪華なメンバーだと楽し気に目を細める。
「ふむ、着いて来いとは言われたが我はもう貴様の所有物ではないのだぞ……それよりこの男、雰囲気がかつてに戻っているか……」
小さくぼやいたはシュタイン。彼と同じ様にエネミーサーチを駆使するネリは「ぴぴぴ」と周囲を探す。
「……そうね、なんだかたくさんモンスターがいるみたい。食べれる子はいるかしら?」
ジュルナット中々難しいんだなあと小さくぼやいた。森籠りが役に立ったか。まだまだ、ダンジョンは奥へ奥へと進んでいる。
「さあ、前に進もうカ」
●
薄暗い木陰でとりあえずは瞑想しようと睦月は目を閉じる。
これからの活動に備えるというキャロも自身をセルフプロデュース。ボイストレーニングや基礎体力のための運動をして今後の為にも今からコツコツとだ。
「わあ、大っきい木です! せっかくですから私も地下ダンジョンとかに潜ってみたいですねー!」
ライムはそう言った。何か良いものがあれば魔力の増加にも役立ちそうだとライムは嬉しそうに進んでいく。
「そうだなぁ……魔種対策か。んー、特別魔種用に何か……ってなると難しいんだけど」
ローレットを紹介するとなればステラは悩まし気に深緑国内を見回した。
「まぁ防衛手段が何かあったほうがいいって感じかな? 閉鎖的で、それによって守ってたようなトコだもんね」
姉妹揃ってダンジョンアタックとアウロラとミラーカは進む。
「迷宮といえば冒険、冒険といえば迷宮ですよね! ちょっと怖いですがワクワクです!」
「お姉ちゃんとしてばっちりアウロラをサポートしてあげるわ!」
やる気十分のミラーカにアウロラは大きく頷いた。
トレーニングは有難いとティリーは走り込みに徹していた。今回は深緑でのトレーニングなんだなと槐は周囲を見回した。
「古代遺跡に隠ってひたすら特訓、だな! ……煩悩とか払われそうじゃん、ほら。古代遺跡って。俺の選択に過ちは無いっ!! 相棒を担いで突撃だー!!」
片中ついで突撃していく槐。その背を見送ってリディアは小鳥を先行させて森林探検へと歩き出す。
何も戦うだけがローレットの仕事ではないと言うのはまさにその通りである。
それでも力を欲するのは悪い事ではない。昴はスナイパーとしての立ち回りを気を付けて鍛錬へと励んだ。
至極単純だとイリスはダッシュ。さあ――魔法少女よ! 明日へ駆けろ!
魂の調和が悪いのだと白は見学に徹していた。迷宮森林の走り込みをとアレンツァーは突風のように気紛れに只、ひたすら走り続ける。
「この深緑のお守り、旧き森の護りにはよくよく御加護を貰って世話になってるからな。
信心より実利的な礼にはなるが、一つ参拝させてもらうかね」
グレンは郷に入っては郷に従えと正しい作法を勉強する。それに気軽に声をかけたのはナンパという口実を添えて、だ。
「ばかー!!! なんで900人もいるのよ!しかもこんな森の中で!!! 極端すぎるわイレギュラーズ!!!」
リズはそう叫んだ。その声を聴きながらアニーヤは深緑に入るのは初めてだったと農業の手伝いへと向かう。
「さてここはメタ的な愚痴やどうすればもっと冒険に出れるかを語りつつ、交流を促す場ではある
嗚呼、小生は話すのが得意ではない。故に聞き役に徹しよう」
そうやって言った聖にいい機会だわ、とミシャは頷く。
「私も召喚されてしまったけどあまり活躍はできてないわね……
まあ、元いた世界でも裏方みたいなものだったし……でもあの子にまた会えたのはうれしかったわ」
にんまりと笑ったミシャ。それに頷くピエリスは雇われメイドとして呈茶スキルを活かし続ける。
「あたしもなんだかんだいってここじゃあんまり戦えてないのよさ……
攻撃力にはちょっと自信あるんだけどね、命中回避をもうちょいどうにかしたい感じだわね……」
難しいというリルカにみしゃは「いろんなものとの両立ってのは難しい物ね」と唸った。
今は鈴音は無辜なる混沌のひとつであると目を閉じた。リラックス、そしてメカざんげチックな神様をイメージし続ける。
「今回は深緑、深緑……てことは森? ……さーて、なにしようね!? 全然決めてなかった!」
ティスルはどうしようと周囲を見回した。テスト飛行かな、と高速での飛行を行い続ける。
「呼んだ理由は分かっているかって、あんたに呼ばれた時点で嫌な予感しかしてないわよ。しかも素手での殴り合いですって?」
そうアニーは呟いて竜祢は見つめた。火力を加減する事だとびしりと指さした竜祢にアニーは溜息をついた。
昔話を口にするシュテルンの横顔を見ながらタントはにこりと微笑んだ。
「シュテのね、とっても大切な人の、歌、だった気がする。その人にまた会える、するかな……?
……会えたら、いーな! たぶん、きっと! そしたら、タントにも、しょーかい、するよ!」
「お会いできるときは、ええ、是非! そのときは絶対、わたくしはお傍におりますわよ!」
不安で騒めく心を抑える様に、シュテルンはタントを見る。そっと、手を繋いで――二人でなら、楽しめる筈。
●
伝令役として只管に走り込みをする屍。物資の運搬を行う屍の隣で小雷は観光しようと周囲を見回した。
「幻想とはやっぱり食べ物や服飾品が違うのかな?」
そうした違いを感じるのも楽しいと小雷は調査に赴き、ヤナギは遺跡に怪物がいる可能性を感じ取り、討伐へと向かった。
ファルカウを信仰する大聖堂アンテローゼに向かったコーデリアを快く――そしてドヤ顔で司祭フランツェルは迎え入れた。
「ようこそ! どうぞ勉強していってね?」
迷宮森林と言えば楽しそうだとどらが探すのは相棒となってくれる可愛くて賢い生き物だ。梟や鳥たちもいいだろうが、どらが気に入る動物はどこかにいるだろうか?
「新年! 明けマシておメデ砲デス!!!」
あれはオジョ・ウ・サン。空飛ぶ疑似餌チャン! 楽し気なウツボカズラ、そしてその中から新たな疑似餌ちゃんが!
「ヒャッハー! あけおめー! ですぞー!」
大騒ぎのベンジャミン。空に花火を上げて彼の傍で王虎は『自身を知ることが強くなる道でアル』と鍛錬をし続ける。何かを掴んでみる事こそ大事なのだと『じじい』をビビらせるために鍛錬し続ける。
ベニーは野外サバイバル訓練と洒落込みましょうとルンルンと罠の作成などをし続ける。
「ねえ、若様。たまにはこういう風に外の世界を知るのも悪くないだろ?」
ヴォルペは深緑巡りというのも楽しいと歩き出す。シェルマの意思を尊重したヴォルペの言葉にシェルマはちらりと見る。
「まあ、悪くはないな」
お前が居ればそれでい何て言えないけれど、と二人揃ってゆっくりと歩き出す。
サクラは「あの、城火さんは皆さんのように訓練には参加しないですか?」と伺った。
「あぁ、あたしは賭ける事が全てだし運は訓練のしようがないからね」
にこりと笑った綾花。新年の運試しをしてみないかとAからKまでのトランプ13枚の束をシャッフルして裏面で提示するから好きなのを選んで欲しいと小さく笑った。さあ、結果は如何に?
「トレーニングね! それなら美味しそうなモンスターでも探そうかしら」
フィリアは自信より早いモンスターは居るのだろうかと尻尾で仕留めて調理してもよさそうな場所まで持っていこうとにい、と笑った。
「深緑なる森の国……最近までは閉鎖的だったと聞いて居ましたが、これもイレギュラーズの活躍ですね」
フルールはそう言った。そうして、此処で楽しむことができるのは嬉しいとディアナはリュミエに魔法を享受して欲しいとファルカウへ向かう。
一人いろんなところを見て回る無量。訓練を行う場など様々な場所で未来への羨望と現状満たせぬ飢餓感を得続ける。どれもこれも強くなるためには必要だと自身を高めるべく歩み出した。
あっちへふらふらこっちへふらふらノエミは森の中でリフレッシュ。ルーイが花を食べない様にとノエミは注意し続ける。
最近はたるんでるだろうかとカイトはやる気を漲らせる。妹の事もあってからローレットに来てから最近はリースリットの同人誌や令嬢のヒモやパンツに首ったけだ。
「いけない! あの時の俺を呼び覚ますんだ。――妹一人、いや、好きな人一人、そして好きな同人誌一冊さえ守れず何が騎士か!」
凄まじい宣言を聞いた気がしたが、アウローラは気にせず観光を楽しんでいた。ウォルも同じように色々と見たり聞いたり、訓練も出来ると歩き出す。
「この国は……食べてもいい人間がいなさそうで……つまらないわ……」
溜息を交らせたレミア。けれど、寝るのには適していると蜷局を巻いて眠りの中へ――
植物が多い土地は医療に携わるステラにとっては薬草などで宝の山なのである。ミドリは「Pi……」と土に埋もれ続けている。
「シャドプロのお仕事でここまで来たけど……こんな服装するなんて聞いてないよ!? これじゃあ、痴女じゃん!」
ミリヤムは叫んだ。深緑ミルク工房のイメージガールとしてやってきたけど騙されたと叫び出す。
「それにそのこは!?」
「そしてこの子は……多分記憶失う前にお友達だった子かな? この前、偶々会ってスカウトしてきたのだ!」
ジェーンがにっこり。ファンドマネージャーから許可は得たからこの格好でOKなのだと堂々たる様子で背を押せばクリティは幼馴染なのだと言った。
「えっと……お、美味しい『深緑ミルク工房』のミルクは如何ですかー?」
クリティは思った。こんな破廉恥な恰好が――アイドル?
婚約者との訓練で居たたまれなかった栄龍。集中できないままに薫子の一撃を喰らって早々にダウンしていたのだが――
「え?」
目を開ければ目の前には薫子。膝枕されている、と気づいた時、栄龍は口をパクパクと何度も繰り返した。
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さる貴族の邸宅にメイドとして派遣されてきたヒロイン【瑪瑙 葉月:名前変換可】
毎日を怠惰に過ごす名門貴族の兄弟たちはヒロインを見てゲームを思いつく。
――『最初にあの女をオトした奴が勝ち』!
しかし、ヒロインにも秘密があって……?
長男、ブーケは部屋に籠り怪し気な仕事をしているという噂が立って居た。
「ふふ、もう来たらアカンよ、って言うてあげたのに悪い子やんなぁ。
深入りしたら戻れななるって分かってるのにそうしてるんなら、もう優しゅうしてあげられんわ」
そっと、葉月の手首をつかむ。その白い腕に痕を残してやろうか。それとも、首のリボンをきつく結んで曖昧な拘束を与えてやろうかと壁に押し付けた体は只、ぼんやりと見上げるだけだった。
次男、夕陽は庭仕事が好きな貴族らしからぬ青年であった。
「ごめんね葉月ちゃん。こげな遊びに付き合わせて。
大丈夫、俺はわかっとるけん勘違いせんよ。俺を選ぶっていえば終わることやし」
そう穏やかに告げる夕陽。たくさんの知識を語り続ける彼に「楽しいですよ」と葉月は微笑んだ。
長女、こるりはアイドルユニットコンテュールの大ファンである。
少女趣味の彼女は「女の子同士だもんね。恥ずかしくないよ」とにこりと微笑む。
「ねえねえ、こっちの服も着てみない?」とずいずいと押してくるこるり(強火)に葉月は「駄目です!」と首を振った。
私は犬、次女、ライカ。わんと言った頭がちょっぴり楽しい電波らりらりるんたったなまっどさいえんちすと。
「葉月ちゃんは犬がすき? 猫? それともゾウさん? ほら、お薬つくるです。科学の力ってすごいです!」
「ライカ様、その変な薬、ご主人様たちのに混ぜてないですよね?!」
三男、ルフナ。兄弟の中では幼いものの、態度は誰よりも大きいのだ。
「君は馬鹿なの?! いつもそうやってふにゃふにゃアホヅラ晒してあっちこっちへフラフラしてさ。
危機感とかないわけ? ほんっと、信じらんない……ホラ、手。こっち」
そうやって手を差し出すルフナにありがとう、と葉月は柔らかに笑みを浮かべた。
実は葉月は敵対貴族の末娘。情報収集に入り込んだが―――……
●
「召喚されて2年、随分人も増えたよね。
いや俺はゲームで戦うのは得意だけど本当に剣持ってドーンとか魔法ヴァーみたいなのは苦手だからサーカス騒動も天義のヤバい時もずっとバイトしてたんだけど」
なお、このセリフは一息だ。彰人はこの世界の事をざっくりと紹介しようと教鞭をとった。
「ざっくり言うと空中神殿でざんげさんに会った=世界を救う可能性を持つ。
俺らは何したって空操パンドラってものが溜まるから、それ溜めてヤバい魔種が世界滅ぼそうとしてるのを防ぐ。盗賊退治から孤児院を燃やすまで、ローレットは善悪構わず仕事受けるから好みの仕事を選べばいいと思う――し、ゲームとか同人誌とかも普通にあるから俺達みたいなのも安心!」
それを聞きながら首を傾げたのはグランディア。イレギュラーズになっての初めての経験がこのトレーニングである。
「あ、おれも質問。特異点としてローレット経由で依頼受けるのは分かったけど……解決方法等が複数ある時、例えば『戦闘で倒しても良い』が『説得や根回し次第では戦闘を避けれる』とかで一緒に行く人達の間で意見割れたらどうすれば良い?」
「私のことはカズ……いえ、ミーティアって呼んで頂戴!」
数子こと、ミーティアがにんまり笑う。確かにそれは難しい問題なのだろう。これだという解決がグランディアの問いには存在していないが――妥協点を見つけることもまた、必要なのかもしれない。
「さて、私からの話だ。初回となる今回は初歩中の初歩。『ハイルール』についてだ。
ハイルールとは依頼に参加する上での必要最低限守るべき事である。
1、成功に対しての尽力
2、味方同士での戦闘の不許可
3、ローレットに対して被害を与える事への禁止
極端に言えば『仲良く平和』にやろうと言う事だな」
しっかりと解説するベルフラウにグランディアは頷く。ハイルールやギルド条約があるからこそイレギュラーズ達の仕事は回っていると言っても過言ではない。
ミーティアは深緑とはどのような所なのだろうと問い掛けた。幻想種の郷ともいえるこの場所は巨樹ファルカウと迷宮森林により構成されている。元より魔術的な発展を遂げたこの共同体は『国』として存在を認知されているが王は存在せずファルカウを信仰することで成り立っているのだそうだ。
「今回のわれは、わが魔剣に見合う戦闘スタイルを模索中だよ」
大樹ファルカウにやってきたばかりのウサーシャ。兎と誰ぞが居れば「われウサーシャだよ!? 兎じゃないよ!?」と慌てた声が返ってくる。
「なんでまぁ先達の方々、色々教えてください。具体的には『今の世界情勢』とかご教授頼みますぜ。
代わりにイカサマの方法教えるから! え、ダメ?? ……じゃあなんでもしますからお願いします!!!」
依頼のルールはハイ・ルールを把握していればいいだろう。あとはプレイングを、そう、がっつり600文字埋めると良いと天の声がささやいている。
ニコラスの祖の問い掛けに応えたのはベルフラウ。現状では絶望の青と呼ばれる水溜り――そう称するが簡単に言えば外洋だ――を越える事を目標と掲げる海洋王国を支援している。そこに横やりを入れて来たのが鉄帝国だ。鉄帝国も一筋縄ではいかず、スラムの周辺を壊し再開発しようとしているショッケンという男の暗躍が仕事として舞い込んできていた。
「一応ちょくちょく冒険にも行きはじめてはいるが……
最近は海洋に関する大きな事件があったりとその辺りの情勢についてもっと知りたくなってな。
練達って国には行った事があるけど、他の国については全然知らないし、これから大きな事件に関わる事もあるかもしれないから、その辺りを色々勉強出来たらと思うぜ」
そう笑ったハルラ。幻想王国という場所にローレットは存在しており、其処から様々な場所へと仕事で訪れることとなるだろう。ゆっくりじっくりローレットの、具体的にはゲームサイトの世界観などをチェックしてね。
「まあ、初心者の方向けの講習があるとは有難いことですね。
出身世界では新兵で此方に来てから『少しの間』に、まあ『少々』の実戦は経験致しましたが……他者に語れる様な実学や経験則も持たない未熟者」
そうは言っても一線級のヘイゼルなのである。聴くばかりでは、と彼女も何か考えることはあるようだ。
「パンドラは減らす方が実は難しいのです。ですので、復活は積極的に使用して継続戦闘を心がけた方が良いのです」
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YO! オレはDusty 苗字はJasper
生まれはDirty Back Streetドブん中 気が付きゃカオスティック これなんてドラマティック!?
でもオッケイ 知ってるさこの展開
So! ここから始まるのさオレの伝説! まさにオレこそ 人呼んでD・J!
――ダスティの歌を聞け!
歌声響く中、ルチアーノはひたすら走り込み。飛行は使わず障害物に慣れるように真直ぐ真直ぐ。
(充実した活動はできなかったし、自分への抱負も特に無いけれど
ポーがいつも笑っていられるように、僕が出来ることがあれば協力したいな)
彼の頭に浮かぶのは何時だってノースポールなのだ。
「ヨランダ姐さんに鍛え直してもらえるなんて感謝じゃわ……」
にんまりと笑った紋華。琉菲はスクワット1000回を行った後に逆立ちでヨランダから逃げるというハードな内容を科されていた。
「紋華の前で恥ずかしい恰好は見せられねェ……」
「良い度胸じゃないか! バテたらアタシがシバくからね!!」
ヨランダがずんずんと迫ってくる。良い所を見せたいと言うならもうちょっと頑張ればいいんじゃないかとヨランダが琉菲をぐ、と締め上げた。
「菲兄ぃよう頑張ったなあ……」
たーのしーと絵里はお友達とお散歩中。もっともっと『お友達』を集めないといけないのだ。
「はー、楽しいなー。もっと楽しくするためにももっともっと『お友達』を集めないといけないよね? もっともっともっともっと。あはー」
不穏な言葉とラップを聞きながらシュリエはその聴力が察知するものが特別面白い物ばかりなのだと気づいた。森林の中も流石は迷宮だ。日向ぼっこスペース目指していざ進む。
「くっ……わらわはここまでのようにゃ……! 先に進めにゃ……!」
そう言ってごそごそとお昼寝準備。うん、寝るのも大事なのです。ぐー。
トレーニングだけれど休息だって必要だとアレクシアとシラスはのんびりとパーティー会場に向かっていた。
「シラス君はどんなのがいいかなあ? お野菜は未だそんなに好きじゃないだろうから程々に……?」
「この辺りの料理って何でも緑色のイメージだけど、今日は頑張る。苦手な野菜を克服するつもりでちゃんと残さずに食べてみせようかな!」
そう、きっと野菜だってバランスよく食べたならば背丈だって伸びるはずだ。料理を選びに行ったアレクシアと同じだった背丈も少し差が出来てきたんだ。そう思えば食欲がむくむくとわいてくる気がした。
新年を祝う事も中々なかったと芒は新年祝賀のパーティーで振る舞われる料理を眺めている。
「芒さんは関東の出身だからお雑煮は角餅にすまし汁。
それに鶏肉とほうれん草、三つ葉、ナルトにユズの皮を添える感じだよ。
芒さんの実家は焼鳥屋だから鶏は一から捌いて炭火で焼いた自慢の一品だね」
成程、それはとても……おいしそうだ。
夜会服に身を包んでいたエアル。その目的は深緑の美味しい果物を銀河連合にデータで贈ることなのだそうだ。
「ワレワレの惑星はお金のない社会なんでもぐもぐ……」
宇宙調査員として頑張って色んなデータを届けたい。もぐもぐ……。
「毎度恒例の訓練に来たつもりが、新年を祝うパーティーに出ることになるとはなあ」
そう呟くセージにディアナは「こうやって見ればローレットって大組織なのね」と驚いた様に瞬いた。セージの世界での正装という着物に身を包むディアナへと彼は手を差し伸べる。
「迷子になんてならないわよ? 子どもじゃないんだから」
人が集まる所を物陰から眺めるヴァイオレット。「誰も彼もまぁ楽しそうに」と特異な者たちの行う新年祝賀は実に興味深いと目を細める。
「ヒヒッ、やはりこの世界に住まう者は、ワタシの理外をゆくようですな」
同じように物陰に居たビジュ。黙々とイレギュラーズのサポートに徹するビジュは自身の外見を気にする様に静かに息を潜めた。
まだまだこの世界に来たばかりというドゥー。この国の景色は何処までも美しくて、そして見る者全てが新鮮だ。
「うう、眠い……」と月雲はそう呟いた。ダンジョンって面白いのかな、とぼんやり気分で歩き出して。
その後、迷子が見つかったのでした。
「お互い慣れてねぇんだから、あんま奥まで行くなよ?」
「分かってるわよ。別に、全部攻略しようって訳じゃないんだから」
エイシュにルピナスはつん、と返した。それでも疲れてきてしまったからとルピナスはエイシュに「私みたいな美少女をおんぶできるならうれしいでしょ」とさらりと返す。
「おい」とため息を漏らしたエイシュ。ルピナスの手に握られた財布は彼の物だったのだろう。
●
ファルカウに昇ってはならないと言われるとウィリアムはついつい上りたくなる――と手を掛けて……。
下に立って居たアルナスと目が合った。「なにしてるの?」と首を傾げたまだまだ幼く、そして穏やかな幻想種。
「いやあ、俺は別に怪しい者じゃないぜ?そう、これはだな。ローレットからの依頼で……あっ、あんなところに魔種が!」
こうなれば最早脱兎である。ウィリアムが逃げるその背を首を傾げながらアルナスは見送った。
「ならば俺は! 倒立歩行で迷宮に挑む! ふふふ、これは良いトレーニングになるぞぉ!
筋肉を躍動させて深い底へと突き進む。これぞさす……いや、RO☆LE☆TO☆RE☆!」
ユルリッヒは凹凸ある地形を何とも言えぬ倒立歩行で進んでいった。負けぬ、負けぬぞと勢いつけてずんずんと。
鶴は一人で歩けるようにと目を閉じたままうろうろと進んでいる。長い棒きれを手にして緊張したまま進む鶴の足取りはおぼつかない。
「なん、目ぇ閉じて歩きよん人がおるんやけどー、なになにー。
ひとりでできるもんってことかいな、うっわ、えらいじゃんね、小さいのにしっかりしとんじゃんね!」
カルトが笑みを浮かべクマのぬいぐるみを連れ歩けば、それを追い掛けるアニュスが「め、めぇぇえ」とぬいぐるみたちを追い掛ける。
「尾行ですやな、見守り隊ですわー、話しかけも同行もせんけどつかず離れずお茶の間に映像をお届けすわ。
あっ、転んだ。かわいそう。かわいそう。あー、こら、勝手に甘やかすなしー!」
転んだ鶴の許へと走り寄ったアニュス。めぇ、と小さく声を漏らしてタオルを差し出された事に気付いて鶴は首を傾いだ。
「わたしもまだまだだし、折角のトレーニングだもの、頑張らないといけないわね。
……そんなイメージが無い? こう見えてやる時はやるわよ?
で、何から始めるのかしら。……黙座、ね。良いわ、こんなに綺麗な森だもの、騒ぐような鍛錬は似合わないものね」
キツネは遺跡外側での鍛錬に挑む。それを眺めるウォリアは熱はないとはいえ炎は炎であると静かに言った。
「オレは余り近寄らない方が特に深緑の者達にとっては心穏やかに在れる事だろう」
精神の統一からしっかりと自身を鑑みると目を伏せる。
「ふむ、これが深緑ですか。中々に面白いですね? 古代遺跡のダンジョンアタックにでも行ってみましょうか」
気軽に様々な人と交流しながらいざ、と進むきり。ダンジョン攻略は皆の夢である。
「まぁ、まぁ! 古い遺跡が残っているんですのね? わたし、元の世界では走り回って沢山の遺跡を壊してしまって人々が悲しむ姿を見ていたので……元気に残っている姿を見ると、嬉しくなりますわ!」
壊しませんわよと慌てるザヴィーは温かな炎ことウォリアで暖を取ろうとして仲間だったと大いに慌てた。
呼吸を意識したトレーニングを行うとセリアは寝袋と耳栓を用意。眼を閉じて無我の境地へ――寝ているのでは?
何時もの如く我儘に彷徨うショゴス。空腹だ、空腹なのだ。テケリ・リと嘲笑う腹の虫を黙らせるためにすべてを貪らねばならないのだとゆらりゆらりと歩き回った。
「『三眼』とは何か? それは物理的に目がある事ではなく心の第三の瞳を開くことにより解放と真理の理を理解しより世界を理解する事にあるのです。
この説法をヒトに説きより次の段階である高度な生命体を目指す宗教なのでございます。決して本当にお金とか名声の為ではございません。ええ これっぽちも。
ヒトは信じる者は救われるのです。えぇ、決して悪いようにはしません。信じなさい……信じなさい…。」
淡々とティアブラスは語り続ける。真の仲間達()との布教であった。
「特ニしたいトいう事ジャないんデスけどネ」
Dark絡み手もティアブラスの行動は面白かった。運動は苦手、だからこそ訓練をする気はないけれど、説法を聞き布教活動を手にするのは別に苦ではないのだそうだ。
「また訳のわからない事に付き合わされるのか……仕方ない」
無鎧はため息ついた。阿呆ことティアブラスの変な行動へのブレーキ役が必要なのだ。戦闘の合同訓練がしたいがこれもこれ……なのかもしれない。
普通に訓練がしたいんだけれど、とエレムは溜息を漏らした。
「三眼教? あぁウチは興味ないよ、そんなことよりもこういう所でみんな集まったんだからさ。
普通に無鎧と一緒に戦闘の基本戦術とか連携の練度を高めてもいいと思うんだよね」
なご、とティエルは小さく言った。故郷である深緑でのんびりする事も手伝ってついつい眠りの中へ。
ラニットは目を伏せた。イレギュラーズになって早くも数か月。瞬く刹那であれど戦乱の気配は迫りくる。
(決して戦うことが得意ではなかった故、まずは心を落ち着け戦いの覚悟を決めねば。
あの者の中には炎が宿るのか、私のような雨の獣とは相反する者だ。
しかし、炎と水、相容れない筈の者がこうして同じ運命を持つ――混沌というものは、美しく興味深いな)
●
「遺跡……! ちょっと興味あるかも。暗いかな? 行けるところまで行ってみよう」
歩き出すネムは緊張を抱えて迷宮へ。
刀は澄んだ空気の中で素振りをしようと棒をしっかりと握り占め、ノワはのんびりと過ごして眠ってしまってもいいよね、と眠りの中へ。折角だから仲間の手伝いをしようとブルーは考える。
電動アシスト車椅子で出来るだけ進み、迷宮の中での遺失物を見つけるシャルロッテ。こうした自然の多い場所には馴染みもないが居心地は悪くない。
「初めてこんな大きな木を見たんだあ」とレニンスカヤはファルカウを見上げた。Софияは「素晴らしきは生命に溢れる深緑が森、ですの」と神聖なる迷宮森林を歩む。
「――キェェェェェェ―――!」
赤丹(偽)を試し続ける小夜。それを眺めていたマリアは普通の筋肉トレーニングへ。腹筋、背筋、腕立て、色んな部位を鍛えるのだ。
鴉丸が飛び回り、クラウジアはお雑煮などを楽しめばいいだろうかと首を傾ぐ。
「久々の家族作りの時間あるな!!!!! 片っ端からまだ見ぬ弟と妹を求めるある!!!!!」
テンションUP中の龍。求めるのは妹? それとも弟?
「ファルカウはお茶の産地らしいですね……」
普段は紅茶を入れている美由紀。他のお茶にも興味があると呈茶を訓練。そんな彼女の隣で広報として走り回るハッピー。
「パーティーがはじまるよーー!!!!!!!!!!!」
顔を上げてぱちりと瞬いたフィーネ。森は懐かしい、と周囲を見回し歩き続けて歌い、演奏をする。今は聞いて居るのは森だけだから――響かせてみよう。
「私死んでるはずなんですが……」と智子は愕然とした。新年のどんちゃん騒ぎに巻き込まれる者がいないかとホレイショーは見て回る。トレーニングでの怪我などにも対応すると医師はこんな日でも大忙しだ。
何時もと同じ様に、とテレンスはトレーニングに勤しんだ。全ては赤染の腕の名のもとに――
幟を立てた出張鍛冶屋さんをしているトゥヨウ。馬車と戦車に資材を積み込んでの様々な場所のお手伝いだ。
天義に身を置いていたカンナからすれば深緑は新鮮だと不思議そうに周囲を見回した。
「血の臭いも薄い良い土地です……いえ天義がそういう血生臭い国家とかそういう訳ではなく、私の生きた経験が原因なだけでかの国も良い国ですよ。なんだか完全に言葉を間違えた気がします……! カンナ、反省です」
「天義って血生臭いのかしら」とミスティルはカンナの言葉を聞きながら首を傾いだ。
それはさておいての訓練は走り込みだと巨大な森を走り続ける。
「私! ぼっちじゃん!」と秋奈は叫んだ。鼻歌を歌いながらつまみ食いをちょっぴりしてたらバレてしまったのだと手をワキワキ。
「ユリーカちゃんがいたら――あ」
居たと秋奈とユリーカの視線がかちあった。
お日様に向かってミュールは「脱ちっぱい」を叫んだ。その隣美しい森の中でスーは踊り続ける。こうした場所でダンスの特訓というのも大切だとケガなきようおにとひらりひらりと踊り続ける。
「木が沢山! これが森ってものなんだね」
ルナリアは木陰でのんびりとお昼寝するのも気持ちよさそうだと猫の姿で丸くなる。
同じように喧騒から離れたルクトは瞑想しながら――zzz……。
里帰りに来たはずなのにどうして野菜と戦っているのだろうとウィリアムは頭を抱え、ハンナが笑う。
「農業実験から脱走する野菜なんて! まあ、訓練にはなるけど!」
「じゃあシャハルがざっくり叩いた後に私がトドメを刺していくわね! 頑張りましょう!」
暴れ回る野菜を必死に戦うウィリアムにハンナは子供の頃に戻ったみたいですねと笑った。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!!!!」
オッターは叫んだ。森の中の都市、木々に囲まれた場所で楽しく言った。
その声響く中、古代遺跡へ向かうラース。こういうのは経験もあるからと地図を正確に記すところからいざ、探索開始だ。
「さあ、堅実に進もうか。誰か見つけたら情報の統合模した方がいいね」
冒険は一人では行えないのだと、しっかりと地を踏み締めて。
敵国の人間が居ないかと纏は目立たぬように訓練の酔おう酢を眺めていた。何だあれは、と目を凝らす。叫ぶ者がいる――珍妙な訓練か。謎のポーズをとる者たちも居た、あれは……珍妙な生き物か?
纏は懸念は不要だっただろうかと首を傾げたのだった。
「……ど、独占欲です。笑わないでください、ね?」
二人きりだから、とアイラが呟く言葉にラピスは笑う。こっちへ来てくださいと抱き締めたら暖かい。
「ねぇ、ラピス。約束をしませんか? 二人だけの、特別な!」
「うん。約束しよう」
ラピスは笑う。ラピスとアイラの二人だけの特別――死が二人を別つとしても、この手を。
●
折角のパーティーならば酒という酒を飲んで見せるとヴォルグは杯を傾ける。やはり酒というのは良いものだ。
羽目を外したって許されるだろうと一気に酒を飲み干していく。
パーティーの参加者を見回したガヴィは酌をしようと柔らかに笑みを浮かべてヴォルグの傍へ。
「えっ、のんびりパーティー楽しんでいいの?」
本当に、とミディは不思議そうに周囲を見回した。活動実績として数えられるのならば食事をしてのんびりしてと楽しみたいと期待に胸を膨らませる。
パーティーでご飯を食べシャラもどこか手持無沙汰。両親は居なかったと溜息を交らせながら彼女が見つけたのはグレモリーの姿であった。
人間観察に専念しているランドルフ。見取稽古というやつを行うかと会場から歩き出す。ふらりとパーティーに混ざった庚ものんびりと過ごしている様だ。
スィフィーは深緑は興味があったけれどなかなか踏み入れることができなかったとパーティーの様子を眺め演奏を交える。
「ろーれっと、とれーにんぐ……うぅ、人が、いっぱい……
知り合いさん探すの、大変そうです……あれ、これ、迷子でしょうかっ」
清は緊張した様に周囲を見回した。人見知りを克服するために必死だ。
ルカは折角のパーティーだからと楽しんでみたいと向かうが……正直リュミエとは顔を合わせ辛いと頬を掻いた。妹であるカノンを斃したのは紛れもなくローレットなのだから。
「……よっ、リュミエサン。相変わらず一部以外は細っけぇな! 肉食えよ、肉!」
その隣に居たディルクへと鹿ノ子は良ければ稽古をつけてくれないかと声をかけた。ディルクの戦闘スタイルを真似ているという彼女は是非それを見たいと乞うが気紛れな赤犬は「気が向いたらな」と小さく笑う。はて、彼の気を引くにはどうするべきか――
「すまないが。道を尋ねたい」
愛無はディルクをじっと見上げた。彼は傭兵としてランクを付けるなら特Sだ。戦いたいと心は踊るがこの状態では無謀だろうか。愛無のそれを感じ取ったかディルクは「面白れぇな」と小さく笑うだけだ。
挨拶をしようかと達哉はこの様な素敵な会を用意してくれたのだと深緑の幻想種へと礼を言う。とんでもないと微笑んだのはリュミエであった。
お腹いっぱいになるまでご飯を堪能して、両人たちに美味しかったとお礼を言いたいと零は皿の上にたんまり乗った様々な種類の料理に笑みを溢す。
「ふふ……トレーニングと称してこんなに沢山の人々が。まだ私の力は全然戻ってませんけど、この空間なら何をしても経験になって元の力が戻るって某緑髪の同人作家さんが言ってましたから大丈夫ですよね……!」
そう言ったアイリス。コートを開く準備をいそいそとしているのだ。
「これがうわさの! ろーれっと! とれーにんぐ! ボク知ってるよ、ろーれっとのつよさのひみつなんだよね!」
リオーレは嬉しそうに強くなれると爺を振り返る。坊ちゃまを応援する爺は会場のお菓子に向かう坊ちゃまに涙したのだった。
一口一口噛み締める様に食べる。それが零時にとっては当たり前じゃなくかけがえのない事だと知っている。だからこそ、お腹いっぱいになるまで食べると――「ち、違うよ!? 食いしん坊な事は認めるけどそれだけじゃないからね!?」
「困りました……私の得意な炎魔法が使えないなんて……」
愕然としたフィア。確かに炎を好まないと言うのはこの森林を壊さぬ為なのだろうということは分かる。だが、パーティー会場の料理を確保するのはインドア派の自分には難易度が高いと彼女は慌てた。
●
「ベアトはちょぉ初心者だった!」とベアトリーチェはそう言った。
とりあえずは力の使い方を勉強しようかと様々な基礎知識を身に着ける。
さあ、パンツを奪うぞとバンティは走り出した。どうして……。
サバイバルを頑張るぞとファレルは息を潜める。お師さまに怒られぬために頑張ってトレーニングを重ねなければならないのだ。
「昔、お師さまと一緒にいた頃と比べれば、こんなこと屁のカッパだよ」
どこかで技を試したい者はいないかとソリッドはぶたやろうとしてハァハァと息を漏らしていた。どなたかドMはお探しではありませんか?
召喚されて以来のアルティオ=エルムだと五月雨は懐かしそうに目を細めた。
森に潜って気侭な訓練の途中であるニコラス。獣とジャレたり皮での寒中水泳も新年の禊になると大自然を楽しみ続け――ソニックエッジを放てばソリッドが反応を見せた。
「日向さんは元居た世界で、ずっと戦っていたんですよね……」
「あァ、ロクなもんじゃなかったぜ? 俺様の元居た世界は」
アルヴァの問い掛けに日向はそうやって毒吐いた。彼がどうして戦うことができるのかと胸に沸き立った言葉に日向は「戦わないと死ぬんだよ」と吐き捨てる――けれどアルヴァは守る為だろうと日向は溜息を漏らした。
思う様に戦えないと言うのがドロシーの本音だった。それでも、色彩感覚を刺激するこの森で、訓練をしたいとカラーマジシャンとして色彩を味方に付ける。
ローレットの恒例行事か、とアドルフは呟いた。精霊種たる自身はこの森に居れば何処か落ち着く気がして深く息を吐く。
折角だからと川のせせらぎに身を任せるマリリン。お出かけは楽しみだとナディアは幻想種に頼まれて森より食事に使用する花を摘みに森へと訪れた。料理の準備はやはり手がかかるという事なのだろう。
「合同トレーニングとは中々に面白いな。強い奴と訓練できる機会なんざ貴重だからな」
そう言ったファルケは赤犬の群れに頼み込み傭兵たちに徹底的に戦闘訓練を仕込んでもらう。ハードではあるがそれを超えるのもまた必要なのだ。
緑を傷つける事は深緑との間に更なる不和を産むかもしれないとアンウォルフは考えた。だからこそ、緑を守りながらのんびりと遺跡へ向かおうと足を運ぶ。その傍らでアドネは堂々たるファルカウを眺めていた。
(これが幻想種の信仰の対象――ファルカウ、か……)
訪れた以上は祈りを捧げようと目を伏せる。見識を広めるのだって大事なのだ。
「熱砂の恋心のアレとか好きは好きでも推しの好きなら大丈夫かもしれなかった訳でしょ?
だからほら、夢小説書きます。今でも軽薄だけど本命にはカッコいいところを見せる系の男と生真面目な幻想種女子流行ってるの?
かわんねぇわーー。私もめちゃくちゃ書いたけどかわんねぇわーー。今の私の流行は普段はそんな事感じさせないけど滅茶滅茶拗らせてる系男子と無感情系女子の両片思いです」
マグダレーナは叫んだ。フランツェルは「私も書く」とにょっきり。アンソロジーが出来上がりそうなのである。
「トレーニングか! 傭兵の連中も来るんだってな、面白い!」
アンゼルは筋肉の良さを広めようとやる気を十分に漲らせる。動物を射かけた清音。森の中での狩猟というのもやはり必要な事だ。
「こないにファウカルの大樹に近づかせてくれはるなんて、滅多にない機会やねぇ。やっぱり、イレギュラーズいう立場は相当なんやねぇ」
折角の機会だとウィルフリードはカルネとの会話できればうれしいと面白おかしいイレギュラーズ達を見回した。
「面白そうな仕事を紹介してくれるらしーのは聞いてるからな。ここいらで俺もそろそろ大斧振り回しときたいところだねぇ」
堂々と言ったウィルフリードにカルネは「うん。また紹介するから来てよ」と頷いた。
ナイフ捌きや気配遮断お練度を上げるべくアイゼルネは息を潜めて訓練を続ける。深緑の辛い物を食べてみたいとトレーニング前にご飯に向かうメイはその存在には全く気付いていないようだ。
「組手か、いつもは剣ばかり振ってるが、これも良い鍛練になりそうだ。ナターシャ、よろしく頼むな」
フレイがそう言えばナターシャはゆっくりと頷いた。
「お互いのいい経験になるでしょう。いざ尋常に」
●
休むのも訓練の内なんだよね、とシエルは森林浴したいなあと空気も美味しい場所でのんびりと。
貴族であったという経歴もあった事で、外でのお昼寝はある意味で憧れなのだ。
新年あけてのトレーニング。赤犬との手合わせをしたいものだと紫月はちらりと彼を見遣る。どうやらのらりくらりと交わしているようで――手合わせまでは中々遠そうである。
「今日はね! 日輪殿のおべんとを食べるんだよ! うれしいね! わ~! たくさん作ってくれたの! うれしい! ありがと~!」
にんまりとしたウタに寿は作りすぎてしまったんです、と肩を竦めた。美味しい美味しいと一つ一つを手に取るものだから嬉しくなって寿の頬がかあと赤くなっていく。
「ファルカウの安全……確認。ヨシ!」
「ファルカウの安全……二重確認。ヨシ!」
どこかで見たようなポーズのンクルスと麻衣。安全靴のヘルメットで、ヨシッ!
「トレーニングの安全……確認。ヨシ!」
「トレーニングの安全……二重確認。ヨシ!」
きっとヨシ! なのである。
「……まさか、文人さんまで此方に召喚されていたとは。
ふふふ、ようこそこの地へいらっしゃいましたね! 文人さん! いれぎゅらぁずの先達として、この華綾が色々と手解きして差し上げましょう!」
そうやって胸を張った華綾に文人は頬を掻く。名を連ねる事になるとは、と特異運命座標となった事を彼は実感する。手解きされるのも中々新鮮だと笑う文人に華文はいざ!
新兵であるからと迅牙は熟練者の動きを蓄積――としようとして省電力モードで転寝してしまっていたと頭を垂れた。様々なデータの蓄積を行う様に頭を働かせる中、彼の体には鳥たちが止まり続ける。
合同訓練というのは欲は分からないというイクスエータは観光を使用と旅行者レーダーで様々な善きものを探し続ける、思い切り楽しめるのだからとても幸せだ。行商たちの店や料理などを楽しめるのならば訓練だって悪くはない。
生きている人がいっぱいだとかんなは周囲を見回した。こういうのは懐かしいと言うのだろうか、とゆっくりと歩き出す。
「さて……肉体労働は苦手なので瞑想でもしますかね。
精神修練ですよ精神修練……決して寝ているわけでは無いのです。
この世界の魔力……竜脈についてはまだ理解が遠い、私の術式と馴染ませるためにも集中的に行うとしましょう」
そうやって目を閉じた晴久。決して、寝ている訳ではないのです。
「……どこ行っても知らないところですって?! 当然ですわ! 私は『旅人』ですのよ! どこも知らないところに決まってるの!
あそこでは運河を整備してるし、あそこは迷宮に潜る用意をしているみたいだし……あそこは……サメ? ……サメ??」
ビヴラはううんと小さく悩んだ。鮫の事は、気にしないでおこう……。
大自然の中で瞑想するルリ。魔術の深奥に触れたいのだ。
「ここはどこ……時間が……いったいどうすれば……ダメだ…細かいことを考えているヒマはない」
フュルヒテゴッドはそう言った。もう、これもトレーニングだ。寝ながら何か時間に追われて頑張るのだって……。
素振りをする祐介は眠りに落ちていく様子を眺めていたのだった。
●
真面目に鍛錬、良い響きだとシュリセルは実戦形式で学ぶ方がいいのだろうかと進んでいく。
一撃、一閃、一瞬の攻めに重点を、紗夜は無駄なきようにと高みを目指すが為にユースティアへと踏み込んだ。
先手を取り、取られ。繰り返しの鍛錬の中でユースティアが唇を噛んだ。何処までも集中力を高め、小さな気のゆるみさえ許さぬと攻め続ける――
どすどすとリューは走った。その様子を見送って一番奥までどれくらいかかるだろうかと拓哉は一について、よーいどん! モンスターと出会ったならば一撃与えて逃げると決めて何処までも走り続ける。
「新年のお祝い、素敵ですね。何かこう盛り上げられる事を……ううん」
初季は小さく唸った。魔法の使い方をしっかりと計画的に行わねばならないと鴉を呼び出して共に宙へと。ファルカウはとても美しくどこまでも立派だ。
「迷宮探索か。ふむ、普通の戦とはまた趣が違うのだろう。
中々に楽しそうではないか。ローレットに来ての初陣がそれというのは些か趣はないが……」
雷華は演習として自身が渡り合える場所で戦おうと決めていた。
バイクで走ってもいいだろうかとリコシェットはとこまでも進んでいく。誰にも止められぬように、誰よりも早く。
「私も、誰かのヒーローに慣れたら、いいな」
リコシェットは笑い、ずんずんと進んでいく。
そうして真面目に戦う者も居れば、のんびりと何かを食べながら散策するのだって悪くはない。
「何か大切な事を忘れている気もするけれど――」とタイムは小さく唸った。鮫がいたのだって、きっと気のせいだ。
素振りをする紡。森の中を歩むフィオーレは空気が美味しく空はきれいだとゆっくりと麻衣下駄。
「だけど、私は深緑でみる空ははじめてなんだ。空の因子を宿した精霊だから、かな。
……私は今、とても幸せだ。彼らに空の祝福がありますように」
行く宛てなくふらりふらりと歩いていた澪音。活気ある場所は嫌いじゃないけれど――けれど。
「為る様にしか、為らないと言うのに」
さて、賑やかな方に向かおうか。
「傭兵より来たる魔術商人・バトバヤル。お招きに応じ参上した。心遣い、心より感謝する」
バオトバヤルはそう言って頷いた。酒を飲むのは控えて、と思っていたが高い酒を飲むのだって悪くはない。
美味い酒に心が踊りだせば、べろべろになって倒れるのも今日という日は赦されるだろう。
突然、人手が欲しいと連れてこられたトルテは荒事の類は苦手だと食事の配膳などを行っていた。
「良い一年の始まりに相応しいイベントに出来たらええな!」
一人でぼんやりだなんてとっても寂しいではないか。
利一はファルカウへと祈りを捧げる。それならばとアンテローゼ大聖堂で一人、祈りを捧げれば背後ではにんまり顔の司教が見ていた。
●
「あーこれはなんか反応が出てますね。多分酸性ですよ。
第四類石油類とは混載したら爆発してヤバいですね。
これは……ph(ペーハー)17……興味深い……すごい酸性だ……」
灰は植物を見詰めつつ何かしら頭のよさそうなオーラを醸し出した。それっぽいフィールドワークを続けつつとりあえず植物を採取しよう。
文はファルカウについて学んでみたいと顔料や書物、製図と言った植物を使用したものをじいと見つめる。
「古代遺跡、迷宮森林、ファルカウ。子供たちはどんな昔話を聞いて育つのかな」
その物語が描かれた紙にも興味あるのだと文は瞳を輝かせた。
「さあ、ついにこの時が来たのです! 私はこれでも幻想種なのです!迷宮森林なんて庭みたいなものなのです!! さあ、森林探索に乗り出すのですよ!!!」
びしっと指さしたアトゥリ。クランベルは「はーい!」と準備万端に歩き出す。
しかし……どうやらアトゥリは迷った模様。クランベルは「もー、仕方ないなあ」と手軽に摘まめる食事類を準備し続ける。
「イレギュラーズ皆もいろんなところでうろうろしてるし、気付いてくれるよ」
顔を上げたクランベルとアトゥリの向こう側に流星の如き煌めく光線が飛んでいた。
それはダーク=アイの目からビームであった。褪せも流れず鳥や虫を落とさずビームを出すだけだ。
「ふむ……久々の鍛錬の刻。とはいえ吾輩の肉体に訓練は無意味である。
では何をするか? 何も思いつかぬ。暇な化け物と思われて苦痛であるもの故な」
ロロとカレンはフィールドワーク中。どこにでも幽霊は存在するのだとにんまりするカレンにロロはゆっくりと首を振った。
「トレーニングだ! 筋肉だ!! そして筋肉だ!! 絶好の筋トレ日和!
楽しみながら体力も増える、正に一石二鳥だ!
太陽の下で筋トレに励むぞ! コケコッコォォォォオオオオオオオ!!!!!!」
クック=ドゥルドゥーの勢いのいい叫びであった。
「えっと、わたしが普通に斬りかかってヴァン君が避けるってのをやっていくね。
それでだんだんと速く斬っていくから頑張って避けてね!」
メアトロがにこりと笑えば、ヴァンは「よろしくお願いしますね」と頷いた。
「僕だって大分戦えるようになってきたとこ、お姉さんに見せたいんです。
……えと、その。なので……格好いいとこ、見せたいなって」
そう言ったヴァンにメアトロは微笑んだ。全部避けたら褒めて欲しいな、なんて――小さく呟いて。
邪魔にならない様にこっそりついていくのですとリオはのんびり歩き続ける。そうすると、なんとイベント戦の要領でチロロン♪とレベルアップできるのだ。
大自然の中で読書を楽しむ冥利は今後の戦闘に役立ちそうな知識を身に着けたいと魔法教本を眺め続ける。どうせならば自然も救いたいし、と元気なさそうな草木にも回復魔法を試してみようと新たな魔術を試して見せた。
魔物を切り捨てて雪之丞はちら、とみる。果実か肉か。川があれば魚も獲れるだろう森の恵みたち。
きっと、魔物が元気なのも恵みを共有しているからなのだろう。逡巡し更なる高みを目指す為にと意志をしっかりと持ち直した。
「こういうのはインスピレーションやメンタリティ的なものでもあり合理性は捨ておきます!」
そう言ったエルヴィラはファルカウの近くで瞑想し続ける。ファミリアーや攻撃の性能に変化があるかどうかという統計を取るのもまた新たな可能性なのだ。
「ここまで5度のローレットトレーニングを得て……わたくしも皆勤賞を維持ですの。
毎度必ず布教活動を行っておりましたが終ぞ信者の増えることはありませんでしたわ…………。
工夫を凝らし、手を替え品を替え………何の成果も得れませんでしたわ。ともなれば押してだめなら引いてみろ。というやつですの。わたくしらしくもありませんが粛々と静かに教義だけは大量に刷って持って歩きますわ」
そう言ったヴェルフェゴア。中々に難しい事なのだ。宗教というのは……。
「あっ、アンジュちゃん! いきなり走ると危ないよ!」
慌てるパーシャを見詰めながらみるくは鰯を遊ばせるだなんて子供っぽいと目を細めた。
エンジェルいわしは室内外だからこそ、目いっぱい外で遊ぶ機会は中々ないというパーシャ。
「じゃーん! いわしのおやつ一号! ペンギンジャーキー!
こっちおいで! おやつだよ! 来た来た! へへへへ~、いわし捕まえたっ。アンジュの勝ち~!」
もはや鬼ごっこではないと言ったみるくとパーシャにアンジュは首を傾げて笑った。
●
ヒーローショーで『ザントマン事件』で心に傷を負った深緑の民の心身を癒す催しが行われているそうだ。
「うわー! やめろー! このままじゃどこかわからないところに連れていかれちゃうー!
でも、こんなところに都合よく助けにきてくれる人なんて……!」
叫ぶ風牙。攫われる彼は悪の組織を見詰めて驚いた様に声を漏らす。
その隣では「きゃあ、たすけて!」とアンジェリカが『囚われの儚い乙女』として自己暗示をかけ続ける。
「喚いても誰も助けには来ないぞ! この世に正義の味方はいないのだ」
覆面にネオファボス・バッジ。悪の怪人ガン・ウルフ・大佐はその傍らに覆面ロリババアを連れていた。
黒い目出し帽に黒いスーツに黒いシャツ。ぎらりと輝く眼光は悪役、チンピラというより『本物』だ。
「オラオラオラァ、正義なんてモンはくそくらえだぜ!」
演技スキルもフル活用。義弘がどん、とステージを踏み締める。
その攻撃を受けてピンチを演出する正義の味方『ファントム』は手にしたスティッキより蝶を呼びハンマーへと変化させる。
「どんなに辛い時でも諦めてはいけません! ローレットは貴方の危機に駆けつけます!」
びしり、と指さすファントム。アンジェリカは「皆、ヒーローを応援するのよ!」と叫ぶ。
「天が呼ぶ地が呼ぶ森が呼ぶッ! 大樹ファルカウの膝元で、悪事は絶対許さないッ!」
大立ち回りをする様にファントムを助けに現れたのが亜リューズ。苦戦をしても、と膝をついても諦めないと亜リューズが唇を噛み締めた。
「待ってろよ! 必ず助けるからなッ!」
ボーンはその後ろにBGMを奏でた。白髪黒目でやや色白の無精ひげを生やした30代前半の男は楽師として奏で続け、ファントムの攻撃をより華麗に演出する。
「ヒーロー! 頑張って! あの悪い人達をやっつけて、捕まった人達を助けられるのはあなた達しかいないわ!」」
負けないで、と叫ぶ舞は細かく敵陣営の説明やヒーローの説明を付け加える。より分かりやすくヒーローショーに没入できることだろう。
「イケイケ、僕らのヒーロー! フォルカウの平和を守るんだ!
悪は滅びて正義は必ず勝つんだ~♪それこそ僕らのヒーロー♪」
歌うニーナ。背後ではボーンのBGMが鳴らされる。子供達も楽し気にいけいけと何度も同じように繰り返した。
「くっ……最後に勝つのは、やはり正義か」
ガン・ウルフ・大佐と共に義弘が撤退していく。さて、子供達に夢と勇気を与えたのだ。
(……今回起こった事件で……多かれ少なかれ……心身ともに傷ついた人はきっと多いはず……
……今こそ…僕のギフトが役に立つ時……傷ついた人々を癒す為に……
小さな悩みでも……誰かに話すことで楽になることも……きっとあるから……)
グレイルはザントマン事件でも心の傷となっただろうそれを憂う様に癒し続ける。ヒーローショーを経てから食事の場へと行く人々にも癒しを与えるのもまた、イレギュラーズの大きな責務だろう。
「私の事は殴って蹴っても良い。抵抗しないから。ただ、この手を離さないで。
『月白風清、精神の穢れを祓い給え。激濁揚清、精神の淀みを流し給え。その総て我が引き受ける』」
そっと、声をかけた京司。そうして話す事だって必要な事なのだ。慰問というものもイレギュラーズの責務なのだから。
体の疲れを解すのだって必要なのだと希佳はにこりと笑う。マットや布団を敷いてよし、と立ち上がった。
「よーし、希佳ちゃんの『ほぐしや 帆呉』アルティオ=エルム店、本日限定開店だよー! 疲れてる人、どこか調子が悪いなーって人はお越しあれ!」
その傍らでは菖蒲が優しい香を振りまいた。森林の草花を用いたポプリが心地よく香りを醸し出す。
(……あわよくば金髪色白青の素敵なハーモニア男性に『優しいんですね』なんて言われてそのままお付き合いが始まってゴールイン! 婚活!!)
――そんな、下心がちょっぴりあるのだけれども。
「おかわりはお気軽に申し付けてください」
彼者誰はフルーツを潰してミルクと砂糖を砕いて氷を混ぜて作ったスムージーをドリンクとして配り続ける。
スムージー以外にも訓練として料理を様々作ったイレギュラーズ達もいる。彼者誰はほっと落ち着くみそ汁を用意して穏やかに笑みを浮かべた。
\鉄帝少女戦記がでーるぞー/×2
\今度は魔法少女でヒロインだー/×2
\萌えりこめる!/×2
\かーちゃんたちにはないしょだぞー(ただし父親がいう)/×2
ハイデマリーは低く言った「全員粛清してやろうか」と。本日も奏でられるは魔法少女ミュージック。
辛いこともある鉄帝道(鉄帝道) 鋼のボディがほしいの(機械種)
綺麗なワタシに大変身 みてなさい! さい? さい! さい?
あ、録画しときましたんで。
斧を振り抜くゲンリー。何時間も何時間も降り続ける。
「……来るべき日、来るんじゃろうかのう。
キャラクター切替で儂が選択されるのは、ロレトレがある時斧の素振りじゃ。
早く、鋭く、そして何度何時間振るっても鈍ることなく。いつか、来るべき日に備えての」
悲しいドワーフである。哀愁さえ感じさせるのだ。
「……来るべき日、来るんじゃろうかのう。
儂の出番は、ロレトレがある時と、人数無制限の決戦がある時だけじゃ。
儂の装備や経験値に回るべき原資は、『ファンド』なる絵に使われていると聞く。
まあ、儂は取り回しの悪いドワーフじゃ。これも時代の流れかもしれんの」
そう、なんだ……。それも時代の流れですね……。
●
「お昼寝。何という素晴らしい響きなのだろう。ねことして、これは参加せずにはいられないな」
くわっとした汰磨羈。猫らしくぽかぽか日当たりのいい場所で丸くなっては深い深い眠りの中。
効率の良い眠りもまた、必要な事なのです。それは与一もなのである。すやぁと眠る与一の近くで千鳥はお気に入りの枕とぬいぐるみ、深緑ミルク工房のホットミルクを用意していい感じのぽかぽかを一心に受けて眠りへと落ちる。
「来る海洋の遠征に向けての用意が必要だよね。
特に不測の事態がある事が予想されるけど、対応力を上げるには何をすればいいのかしらー……こういう時こそ傭兵さん達にサバイバルの事を教えてもらったりとかかなぁ」
悩ましげなイリスにシルフォイデアは頷いた。勿論鍛錬はまじめに――だが、採取や森林訓練というのに興味があるシルフォイデアは海洋、深緑とところ変われば鍛錬の内容も変わるのだと頷いた。
迷宮の中をガチサバイバル中の一悟。確かにサバイバル訓練というのは尤も必要になることだ。
しかし――ここは『迷宮森林』。外からの侵入者には脅威となる森なのだ。
「しっかし、一番高そうな木に登って出口でも目指せばいいのか……?」
水路を作るイレギュラーズが居る中、湖の中でお休み中のたい焼きが居るのもローレットらしい。
海戦の傷が深いのだとベークはお昼寝中。水の中の方が食べられないでしょ……だって、水の中だとふにゃふにゃたい焼きに見えるもの。
「ふわっと……ふあぁ……う…ぐ…ぐーぐー……」
森の中でのお昼寝スポット。穏やかな陽だまりが心地よいとココロは目を瞑る。
風の声に耳を傾けたならば、呼吸が徐々に整って意識は遠く遠く――どさ、とその身体は樹より落ちたのだった。
「ごろごろ日向ぼっこしてるだけで経験になるって深緑はすごいねぇ?」
睡眠も立派な訓練だろうかと昼寝を楽しむラズワルドは傭兵たちの持ち込みの酒を煽り甘えた目で周囲を見回した。
リュミエも体を休めるのも訓練だと言っていたとコゼットはふかふかの芝生にお花畑に、と最高な睡眠場所を探して探検していた。
水の音や木の葉の擦れる音が心地よくて、周囲では鍛錬励むローレットの冒険者の声も聞こえて、ああ、だんだん眠くなってきてしまった……。
「えへへ、ちょっとぽかぽかしてきちゃった……」
「すぅ……むにゃ……やっぱり深緑の森林は心地いいわぁ……。
『ふるーつさんど』も持ってきたし、もぐもぐしながらおやすみする……ぐぅ……」
セリカは眠り続ける。お昼寝組を支え続けるジークフリートはさて、と自身のギフトでもふりと包み込んだ。
「私のギフトならば気持ちよく眠れるだろうからね。
折角のおめでたい席なのだから、最後まで幸せな気持ちでいてもらいたいものだからね」
そのもこもこの毛並みはベストスポットではないか。ミカエラは昼寝場所ととして素晴らしいと頷いた。
「……たまにはワシも、邪念なしにゆっくりしたいんじゃよ?」
陽が心地よくて素晴らしい。大いなる自然を感じて、あとはもふもふと感じられるのは最高ではないか。
「たくさん寝ちゃいました! よし! 本気出してこれからがんばるぞ! ……あっ……このロケーション……すごく眠い……」
ダナンディールはうとうととし続ける。嗚呼、だって、眠いじゃないか。
ハンモックにごろりと転がった焔珠は休むのも訓練だと虫除け万全、おてんとうさまに感謝でおやすみなさい。
「わあ、どうしたの此処。みんな眠っているね。
ははぁ……休むのも訓練か。確かに! ……うん、そうだね。俺も眠らせて貰おうかな。修行も良いけど、たまにはゆっくりしたいしね」
のんびりと横になった威降。温かなあ場所を探しているルアは「んぁー、こんなときにも訓練とか無しじゃ、無し!
儂も昼寝に付き合うぞ、うむ」とにんまりと笑って自堕落こそ今は必要だとクッションの上へと転がった。
Thusxyは大きな木の根元にちょこりと座った。何時も眠っているからお昼寝ってどうすればいいんだろうという疑問も浮かんでくる。それを眺めていた織は訓練と聞いて居たから面倒なのは避けたかったと大きな木の枝に腰かけた。
「……っと、此処ならよさそうだ」
織が見下ろせばその木の根元ではオウルニィトがうとうととしている。めんどくさいからテキトーにこたつのなかで、というのがオウルニィトの過ごし方だ。
「ふあ……そう毎回毎回トレーニングなんてしてられないよね~。身体を休めるのもトレーニングのうち、なんてよく言ったものだね!」
うんうんと頷いた依。その言葉にヘルメスは「通常の昼寝よりもこうした場所の方が効果が高いのだろうか?」と悩まし気に呟いた。日当たりが良い所に適していると草のベッドに寝転んでみるが意外に悪くはないのだ。
「う~ん、何をしようか悩んで歩き回っていたら……疲れてきちゃったなぁ」
呟くショーンはこころの隣に座ってうとうとと眠りの中へ。誰かが隣に来たけれど、と瞼を押し上げたこころは首を傾ぐ。
「にゃぁ……?」と瞬けば、傍らの体温が暖かくって――此の儘眠りに落ちていってしまうのだ。
「えへへ、寝るだけで修行になるなんて不思議だね」
ビーナスがころころと笑えば、世界は「便利なものだなぁ」と笑った。遠慮なく昼寝を堪能する事がトレーニングになるのだから最高だろうと彼はジョークを交える。陰陽丸はにゃーん、と野性を忘れたように丸まった。
●
「えへへ、お兄ちゃんたち、お疲れ様! 疲れたら私に言ってね、私が看病してあげるから!」
イ=モウトはにこにこ。看病イベントだって得意だし、その辺の動物をバラして作った料理でお兄ちゃんに精を付けると微笑んでいる。
「ここはとってもいい匂い。素敵な所ですね……」と尾を揺らした陰陽丸をちらりと見てから柘榴はうんと伸びをした。
「……よし、琥珀! 今日は寝るぞ! 体を休めることもいいことだ! ちょうどいい木もあるしな!」
「そうだよね! 柘榴ちゃんはいっつもトレーニングしてるし、たまには1日ゆっくりお休みしよ! ……肩、借りてもいい? えへへ、おやすみっ」
その隣へと寄り添って、琥珀は嬉しそうににこりと笑う。二人でなら休息もさらに楽しいものだ。
左之助はぐっすりと、ぐっすりと。木陰にもたれて眠り続ける彼はその後――寝過ごしたと慌てるのだろう。
「アリスだ」
舞妃蓮はそう言った。訓練なので寝る、と舞妃蓮はゆっくりと目を閉じる。
銃の点検をしながらごろごろとするVeMP49。眠る必要を感じないが休息だって必要だ。
「深緑……いいところよね」
久しぶりに歌が歌いたいとアーリヤは人気のない所で気侭に歌う、素敵な場所で、うとうとと眠りに誘う声が響き渡った。
「歌を聞きながら寝るだけで修業になるなんてそりゃぁ、いい」とバストは木の上で眠りについた。
「森の中って地元を思い出すから落ち着くんよね。
木々は自然と人を癒せる、その力には少し尊敬を覚えるわ。修行中の身やけど、わてもヒーラーやから。師匠も深緑出身らしいしなぁ」
くすくすと笑った惑。小声でひっそりと話す惑の声を聴きながらクリスハイトは最適な場所だと毛布を手繰り寄せた。
「気合い入れてお昼寝するぞー! けっしてさぼっているわけじゃないんだから。強くなるためだから!」
クリスハイトのやる気を聞いて、寝てもいいのだとヴィクトールは深い深い夢の中。
「この国、ラサにはどんな動物がいるのかしら?
熱い砂漠の国みたいだし、あんまり毛がもふもふしている動物はいないのかしら。ああ、でも、ラクダさんとか……そういう子はいるのかな」
ラヴが探したのはパカダクラのような動物たちだった。モフモフとした兎たちはきっとどこかで寝ているのだろう。それから、それから、と様々な動物を探していく。
動物たちのいる所は眠りやすい。全力で戦い全力で休み。それこそ必要な事だと竜胆は動物たちの誘いに乗る様に古木の根元で座禅を組んだ。
ヒーリングリズムを奏でながらゆっくり、ゆっくりと、繰り返す奏。木々のざわめきと共にどこか眠くなってくる。好きな事を好きなだけ、という穏やかさも必要なのだと彼女は笑みを溢した。
奏でるヒーリングリズムを聞きながらカラフルな茸や面白い石を拾い上げてイトは笑う。
「このキノコ食べれないかな?」と首を傾ぐイト。ほとんど移動していないうちに、何だか眠たくなってくるのだ。
アルテミアは飲み物やクッキーを用意していた。のんびりするならば喉も乾くだろうしとアフタヌーンティーのセットを傍らに、風や水の音を耳にする。眠りに落ちていく仲間を見つめて口遊んだのは妹に謳った歌。どうか、穏やかな眠りが訪れますように。
●
スノウは脳みそを求めてうろうろ。その様子を眺めていたリリアーヌは基礎訓練を反復して行おうと飽きがこない様にとタイムを観測しながら早駆けを心がけた。
「フリーランニングみたいで面白いですね。今後趣味にできそうです」
トレーニングに疲れた人いればLoveがマッサージするとじいと待ち続けている。その傍らでリョーコは木々の合間を縫ってトレーニングを頑張ると宙を飛び続けた。
「よし、りんご。……む? ゴールド? ドリル。 ん? ルーレット?」
ワントンはしりとりをしているその相手は実はくすくす笑った精霊なのだ。
新春SP探索隊! ――という事で卵丸は聞き耳しながらダンジョンの中を進んでいく。
フィーゼはこんなこともあろうかと、と様々な準備を整えていた。因みに、今二人の前には宝箱があるのだ。
「明けてみましょう」
「う、うん――――――!? ………卵丸、何も見てない。見てないんだぞ」
宝箱に詰まっていたパンツはぎっしり。卵丸は顔を真っ赤にして顔を逸らした。
深緑に訪れることができた折角の機会をゲオルグは新年祝賀のパーティーを楽しみながら精霊たちとのコミュニケーションを取りたいと考えた。ファルカウほどの存在になればコミュニケーションは中々に至難の業だろうが辺りに飛ぶ精霊たちは皆ゲオルグに好意的な反応を示している。
深緑と言えば神秘的なスキルが学べるとカレンは様々な魔術に興味を示していた。
「私は久しぶりの森だし楽しんで飛んでいこうかしら。
あっちへひらり、こっちへひらり、捕まえてごらんなさーい、なんでね」
ふわふわと宙を泳ぐオデットを追い掛けてルチアはジェットパックで――いざ、空へ!
陽性の庭かもしれないけれど、田舎育ちをなめるなよ、と推進力で勢いつけて――「うっ!?」
「ルチア!?」
落ちました。
訓練で無茶をする者が居る事位、ユウもセシリアも分かっていた。
折角ならば怪我人への救護班として立ち回ることもいいだろう。
頭の上の同居人と共に古代遺跡の探索(散歩)を楽しむシフト。初めて訪れる場所である以上は自身の所有するスキルを駆使して鍛錬に挑む事もいいだろう。
「平凡な生活をしていただけで、他の者の様に強さを求めた事は無い。
しかし、昨今の状況を鑑みるに本機にも全体的なアップデートが必要であると考えた。であれば、この機会を利用すべきである」
何事も成長だ。シフトに応える様に頭の上の同居人はにゃあと応えて見せた。
どこまでも迷宮を走り抜けて回避専念。何所まで行けるだろうかとシグルーンはよーい、どん!
幻想種達から探検の心得を聞いてからポシェティケトは歩き出す。
「どうもありがとう。森に暮らすかたの知恵、ね」
土のにおい、草の種類、風の向き。深緑は心地よいとクララシュシュルカ・ポッケと共に歩む道は素晴らしい。ああ、けれど、暖かだから――つい、眠たくなってしまうのだ。
「今回はギルドのメンバーで遠そ――じゃなくて、古代遺跡探索だ。
古代遺跡って浪漫が溢れてて良いよなァ。冒険って感じだろ?
遺跡探索はトラップやらあるから危険予知能力が鍛えられそうだな」
くるりと振り返ったレイチェル。魔眼を駆使して進む彼女と共にレストとシグがいざ、行かん! 迷宮探索。
「さて……私は皆の剣となろう。それぞれの癖に合わせなければ、協力は難しくなるのがな?」
そう言ったシグ。剣。剣となり、その動きに合わせるというのは中々に至難の業だ。
目を凝らし、警戒を行うシグに「進むぞ」とレイチェルが静かに返す。植物たちと意思を疎通させながらレストは楽し気に『遠足ガイド』を行った。
「もしもし、はじめまして~。ご機嫌いかがかしら~?」
植物たちの言葉は分かりやすい。あっちに何がいるよ、こっちに何がいるよと確りと教えてくれるのだから。
「エンドレス ドーナツ デリバリー!」
迷宮探索中のイレギュラーズへの差し入れは疲れた時にはやっぱり甘い物のドーナツ。
フェスタは謎解きで頭を使うならば糖分補給のドーナツ。歩き回って小腹が空いたらドーナツ。
ドーナツは如何ですかと声を張る。エンドレスドーナツなのだ。
迷宮の入口に陣取っていたナイジェルは安否がわからぬ者がいるのは教義に反すると只管祈り続けていた。
●
散策でもしようかと歩き出したクロバ。彼と言えば幻想種に見境なく声をかけて――
「まぁ取材とかするのに良い顔はするけどさ!! そこ! 浮気言うな! 名声の濫用と言ってもらおうか!」
……成程? 取材目的は魔力運用についてだ。魔的な事で言えば幻想は長けてるともいえるだろう。
「彼女を悲しませないために、俺はもっともっと強くならないといけないから」
手には幻想で流行のイチゴのタルト。勿論ルドラの分もあるのだとドラマはリュミエの許へと走り寄った。
「ご無沙汰しております! それで……折角の機会ですので……魔法の稽古をつけていただきたいのです」
「私が――ですか?」
大魔導はぱちりと瞬いた。頷くドラマに少しであれば、と大魔導はその神秘を身へと宿した。
「この前の戦いで見せた大魔術……凄かったな。
地脈を介して皆を助けた術。奇跡と呼んでもいいくらいだ……大地を魔力が流れ、広がり、白い花が咲き誇る。それはまるで地上の星空のようだったろう」
ウィリアムは幻想種が羨ましいとリュミエに行った。星の魔術師である彼は魔術的な素養のある幻想種が羨ましい。その永い命のひとかけらである叡智を授けて欲しいと、リュミエに教えを乞うた。
「リュミエ様、私の心を震わせてくれるような素晴らしい物語などご存知ないですか?」
朗らかに微笑んだ四音は興味深い物語はないものかと口遊む。
「悲劇、喜劇、恋愛劇に復讐劇。ああ、楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ。くふふふふふ」
「深緑にも様々な物語が眠っていますよ、どうぞ、あなたの欲求を満たせますように」
ラサで助けた相手も気になるけれど、と行人はリュミエへと挨拶と共にお願いに訪れた。精霊と共に旅をする行人はファルカウへと遣わす精霊へと声をかけさせてほしいと、そう言った。
「私は構いません。けれど、精霊とは気紛れなものです」
「はい。声が届けば、と思います。精霊さまとも友人になりたい――と」
その様子を見詰めていたのはミミ。ふらふらと宙を踊る様に飛ぶ彼女は安全確認に気を配り続けた。
昏い、と暁蕾は思った。単身でこの世界に喚ばれた彼女を慈しみ愛してくれたライラ。
彼女は魔種となり――そして、その命を討った。彼女の故郷のこの森はそんな悲しみも隠してくれるだろうか。
目を伏せ、祈る。願わくばその行先が幸福でありますように――
ニーニアは折角だからとリュミエやディルクにも挨拶しておきたいと考えていた。
幻想の貴族や王族とも関わって来なかったからか緊張に口をぱくりと動かす。
「えっと、とりあえず、郵便屋さんとしてローレットの一員として、何かあったら頼ってく、ください。
依頼の手紙等、ある時は配達は任せて……くださいです!」
「ええ、よろしくお願いいたしますね」
みどりのなかを舞い遊ぶ精霊たちをゆびさきに招いて、エーリカは一目でもいいから会いたいと会場に足を運ぶ。
「巫女様」とリュミエを呼んだ。長く世界を見詰めて来た彼女の長耳はやはり自分と同じであったか。
「巫女さま、巫女さま、黒いかみと、氷のようなひとみをもった永く生きた幻想種のことを、知りませんか」
「私達は永遠を生きる――私が識る人と貴方の求め人が同じであるかは分かりません。
けれど、エーリカさん。貴女が追い掛ければ、きっと、出会う事は出来るのでしょうね」
折角の新年だからとパーティーを楽しんでいたハイドは穏やかに笑みを浮かべる。
訓練は毎回賑やかだか盛況な様子は心も踊るというものだ。
「明けましておめでとうございます。
今年もまた、愉しく……刺激的日々が特異運命座標の皆さんへ訪れます様に」
成否
大成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
お疲れさまでしたイレギュラーズの皆さん!
今回は900人超えという事で! 前回は白紙の方も全員だったのですが、白紙の方が200名近くいて流石に断念でした。
プレイング記載していただいた方は全員描写させていただいております。
(それでも抜けがある場合は申し訳ございませんがファンレターにてご指摘ください!)
これからの冒険頑張ってくださいね!
※以下、YAMIDEITEIの補足です※
なんかまた最高数更新したような気がします。
開始二年六か月過ぎて謎の第二全盛期を迎えてる気がするPPPちゃん。
新規様も割合増加傾向で、とても良い感じですね!
という訳で……
人数ボーナス924人につき46点
プレイングボーナスを37点でお送りします。
白紙以外全員描写の上!
あと1000には足りなかったけど欲しがりさん達にSP1をあげます。
1000には足りなかったけどオマケですよ。今回だけですよ!
シナリオ、お疲れ様でした。
GMコメント
Re:versionです。
新年あけましておめでとうございます。2020年も皆様と楽しんでいけますと幸いです!
特別な企画を出す時だけお邪魔する第6弾です。
以下詳細です。
●任務達成条件
・真面目(?)に面白く(?)トレーニングしましょう。
・新年を祝いましょう
・楽しく過ごしましょう
●成功度について
難易度Easyの経験値・ゴールド獲得は保証されます。
一定のルールの中で参加人数に応じて獲得経験値が増加します。
それとは別に500人を超えた場合、大成功します。(余録です)
まかり間違って800人を超えた場合、更に何か起きます。(想定外です)
万が一もっとすごかったらまた色々考えます。
尚、プレイング素敵だった場合『全体に』別枠加算される場合があります。
又、称号が付与される場合があります。
●プレイングについて
下記ルールを守り、内容は基本的にお好きにどうぞ。
【ペア・グループ参加】
どなたかとペアで参加する場合は相手の名前とIDを記載してください。できればフルネーム+IDがあるとマッチングがスムーズになります。
『レオン・ドナーツ・バルトロメイ(p3n000002)』くらいまでなら読み取れますが、それ以上略されてしまうと最悪迷子になるのでご注意ください。
三人以上のお楽しみの場合は(できればお名前もあって欲しいですが)【アランズブートキャンプ】みたいなグループ名でもOKとします。これも表記ゆれがあったりすると迷子になりかねないのでくれぐれもご注意くださいませ。
●重要な注意
このシナリオは『夏あかねSD』が執筆担当いたします。
このシナリオで行われるのはスポット的なリプレイ描写となります。
通常のイベントシナリオのような描写密度は基本的にありません。
また全員描写も原則行いません(本当に)
代わりにリソース獲得効率を通常のイベントシナリオの三倍以上としています。
あけましておめでとうございます!さあ、トレーニングだ!全員集合!
この機会に宜しければ是非ご参加下さいませ。
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