PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ローレット・トレーニングXII

完了

参加者 : 731 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●2023年がやってきた
「明けましておめでとうなのです!」
 明るく元気に微笑んだのはユリーカ・ユリカであった。
「と、言うわけで毎年恒例新年のイベントがやってくるのです!
 しかも今回はぱわーあっぷなのです! とっても強くなってローレットも飛躍の年なのです」
 にまりと笑ったユリーカにショウは「飛躍?」と問うた。目線を資料に落としていたプルーは「スモーキーグレイね。胸が高まれば、それだけで世界が色彩を変えてしまいそう」と言った。
「ローレットトレーニングに参加して、景品をゲット?」
「はいなのです。鉄帝の動乱に、これから来る七罪とのバトルを見越し、しっかりと準備をしておく算段なのです。
 皆さんのトレーニングに感謝を籠めて、お年玉をローレットから配布するのです!」
 にんまりと笑ったユリーカ。ショウとプルーは顔を見合わせて――「許可は取った?」と問うた。
「ギクッ」
「景品って何処から出るんだい?」
「ギクッッ……そ、それは兎に角トレーニングなのです!」

 2022年の幕開けは苛烈であった、アドラステイアの中層攻略が行われた。
 やっとの事でR.O.Oの終焉を迎えた練達には竜が襲来し再現性東京の日常にも大きな変化が訪れた。
 その竜の影が逃げ果せたのは深緑であったという。
 新たな友誼を結んだ覇竜領域の亜竜集落。亜竜種たちとの新たな冒険はハプニングの連続であった。
 そんな彼らと追いかけた竜の影は深緑に消え、迷宮森林は茨に閉ざされた。
 ラサと協力し、深緑の攻略作戦を行ったイレギュラーズは妖精郷を経由してアンテローゼ大聖堂へと至った。
 アルティオ=エルムを前にして襲い来る冠位暴食。退けた玲瓏の息吹と、ついに相対した冠位怠惰。
 深緑の茨をついに解き放ったイレギュラーズが招かれたのは穏やかな風の吹くシレンツィオであった。
 シレンツィオの深海に存在したのは竜宮と呼ばれた欲の園。
 悪神との戦いを経たイレギュラーズはついに平穏を手にしたかのように思われたが――
 鉄帝国の上空に存在したアーカーシュ島の探索、そしてアーカーシュを越えた後に訪れた突如なる鉄帝国の動乱。
 吹き荒れた旋風がイレギュラーズたちをも巻き込んで六つの覇道を歩まんとさせる。
 六つに別たれた道を進むイレギュラーズ達はフローズヴィトニルと呼ばれた厳しい寒さと共に2023年を迎えることになったのだ。
 此れより訪れる波乱。しかし、それに備えて鍛錬するもよし、しばしの急速を楽しむもよし。

「ローレットではボク達が例年と同じパーティーをしているのですよ。レオンも呼んできたので皆で新年のお祝いをするのです!」
「鉄帝はパルスの新年ライブにラド・バウ新春ファイトだったかい? いつも通りの日常を送るようだね。ああ、ベデクト近くでの鍛錬も良さそうだ」
「寒すぎて凍えてしまいそうなのです……。幻想では王様がやっぱり貴族達を呼んでパーティーを開いて居るみたいなのです!
 ラサでも酒場でパーティーだってフィオナさんが言って居たのですよ。
 それから、海洋王国もクルーズなんか楽しそうなのです。シレンツィオで新年祝賀パーティーも楽しいと思うのですよ」
 思い思いに楽しむ事が出来る。訓練をするのも良し、何処かの国家でパーティーに参加するのも良い。
 幻想王国やラサ、海洋王国ではパーティーが行われ、天義では有事に備えた騎士団訓練や礼拝が行われているそうだ。
 勿論、自宅でのんびりと過ごすことも良い。
 練達では新年祝いをイベント仕掛けで楽しんでいる。初売りから始まって、再現性東京は目まぐるしく初詣に悲鳴を上げる音呂木神社や新年だから酒盛りだと騒ぐ声も聞こえた。
 酒盛りと言えば妖精卿の『彼女』だ。「めでたいから一杯飲むのー! オエエエ」と大晦日から一大事であったらしい。
 カムイグラでも霞帝の新年祝賀会が行われ、双子巫女の演舞や初詣の用意などで忙しない正月を送っている。
 深緑は建て直しの年だが例年よろしくファルカウの吉兆占いを行っているそうである。
 どこの国家でも新年祝賀のパーティーや、イベントが行われている。イレギュラーズの参加であれば皆が歓迎してくれるだろう。
「訓練しても良いですし、何処かの国でパーティーに参加したって良いと思うのです。
 なんだってオールオッケーなトレーニングの開幕なのですよ! もし行き先に迷ったらローレットにも来て下さいね!」
 トレーニング指南なら頑張るのですと拳を突き出したユリーカの頭をぽんと叩いて「出来るのか?」と笑ったギルドマスター・レオンは「今年もよろしく」と軽い挨拶をイレギュラーズ達へと告げ――

「で、ユリーカ」
「ぎ、ぎえ……」
 ……『お年玉』の話が突如として降って沸いた。

GMコメント

 Re:versionです。
 新年あけましておめでとうございます。佳境の2023年も元気いっぱいよろしくお願いいたします!
 特別な企画を出す時だけお邪魔する第12弾です。(前回よりパワーアップだ!)
 以下詳細です。

●任務達成条件
・真面目(?)に面白く(?)トレーニングしましょう。
・新年を祝いましょう
・楽しく過ごしましょう

●成功度について
 難易度NORMALの経験値・ゴールド獲得は保証されます。
 一定のルールの中で参加人数に応じて獲得経験値が増加します。
 それとは別に700人を超えた場合、大成功します。
 まかり間違って1000人を超えた場合は更に!?

●シナリオ参加おまけ(※1/6追記!)
 当シナリオでは参加者に景品(お年玉)が配られます。

・お年玉:SRC10

 また、それ以外に別途『抽選で景品』も配られます!
 抽選景品は参加人数に応じて当選個数が増加します!

・抽選景品内容
 種別:アクセサリ
 レアリティ:アーティファクト

 名前:叡智たるツァラトゥストラ
 フレーバー:かく語りき。
 補正値性能:HP-100、AP-100、【スロット2】【シナリオ時、自身を含めR2範囲内の味方に『エキスパート(弱)』を付与します。同名アイテムと効果は重複しません】

●プレイングについて
 下記ルールを守り、内容は基本的にお好きにどうぞ。
 また、当シナリオは多数のお客様が参加される事が見込まれますので書式が設定されています。
 書式間違いは希望した国家に参加できない可能性がある他、描写が行われない可能性がありますので必ず遵守してくださる様にお願いいたします。
 
【書式】

1行目:【国家】
2行目:【参加チーム(同行者指定)】
3行目:フリー

(例:
【希望ヶ浜】
【音呂木さんちに行く会】
 ひよのの家に遊びに行って初詣を手伝うぜ! )

★国家
 以下からご選択ください。
 ※どの国家を選択しても本シナリオでは名声は【幻想】に入ります。
 ※どのシチュエーションでも首都等ではNPC達が新年祝賀会を開催しています。
 ※自由にトレーニングや観光を行ってみてください!何すればいいの!?の場合はローレットへ!

【ローレット】何すればいいの!?なあなたにお勧め!ユリーカと新年のお祝いパーティーを!
【幻想】幻想王国で自由な場所に行けます。
【鉄帝】鉄帝国及びヴィーサル地方で自由な場所に行けます。(が現状は結構シビアです)
【海洋】海洋王国及びシレンツィオで自由な場所に行けます。
【天義】聖教国で自由な場所に行けます。(※アドラステイア内部は不可)
【練達】練達(セフィロト)で自由な場所に行けます。
【ラサ】ラサで自由な場所に行けます。
【深緑】アルティオ=エルムで自由な場所へ行けます。(ファルカウには登れません)
【豊穣】カムイグラで自由な場所へ行けます。ただし、自凝島はNGです。
【希望ヶ浜】再現性東京希望ヶ浜で自由な場所へ行けます。
【妖精郷】「お酒を飲むの!新年のお祝いなの!」と言う事で妖精郷で自由に過ごしていただけます。
【覇竜】亜竜集落でお正月を思いのままに楽しんでいただけます。危険なことはNGです。

 ※各国家のNPCにつきましては可能な限り登場させますが【不可】の場合もございます。
 各国代表者レベルになりますとご期待に添えない場合もございます事をご了承くださいませ。

★ペア・グループ参加
 どなたかとペアで参加する場合は相手の名前とIDを記載してください。できればフルネーム+IDがあるとマッチングがスムーズになります。
 『レオン・ドナーツ・バルトロメイ(p3n000002)』くらいまでなら読み取れますが、それ以上略されてしまうと最悪迷子になるのでご注意ください。
 三人以上のお楽しみの場合は【どうして見たの】みたいなグループ名でもOKとします。これも表記ゆれがあったりすると迷子になりかねないのでくれぐれもご注意くださいませ。

●重要な注意
 このシナリオは『夏あかねSD』が執筆担当いたします。
 このシナリオで行われるのはスポット的なリプレイ描写となります。
 通常のイベントシナリオのような描写密度は基本的にありません。
 また全員描写も原則行いません(本当に)。返却予定日も運営都合で勝手ながら数日程度変更されることがあります。
 代わりにリソース獲得効率を通常のイベントシナリオの三倍以上としています。

 あけましておめでとうございます!
 この機会に宜しければ是非ご参加下さいませ。

  • ローレット・トレーニングXII完了
  • GM名Re:version
  • 種別イベント
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年01月20日 01時21分
  • 参加人数731/∞人
  • 相談7日
  • 参加費50RC

参加者 : 731 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(731人)

アルエット(p3n000009)
籠の中の雲雀
リーゼロッテ・アーベントロート(p3n000039)
暗殺令嬢
ディルク・レイス・エッフェンベルグ(p3n000071)
赤犬
ハウザー・ヤーク(p3n000093)
凶頭
シュペル・M・ウィリー(p3n000158)
イルナス・フィンナ(p3n000169)
砂漠の幻想種
天香・遮那(p3n000179)
琥珀薫風
建葉・晴明(p3n000180)
中務卿
ファレン・アル・パレスト(p3n000188)
フィオナ・イル・パレスト(p3n000189)
メープル・ツリー(p3n000199)
秋雫の妖精
イヴ・ファルベ(p3n000206)
光彩の精霊
ハイペリオン(p3n000211)
神翼獣
アンドリュー・アームストロング(p3n000213)
黒顎拳士
澄原 水夜子(p3n000214)
澄原 晴陽(p3n000216)
刃桐 雪之丞(p3n000233)
テアドール(p3n000243)
揺り籠の妖精
珱・琉珂(p3n000246)
里長
アウラスカルト(p3n000256)
金嶺竜
エフィム・ネストロヴィチ・ベルヴェノフ(p3n000290)
歯車卿
アウレオナ・アリーアル(p3n000298)
白雨
夢見 ルル家(p3p000016)
夢見大名
アルプス・ローダー(p3p000034)
特異運命座標
サンティール・リアン(p3p000050)
雲雀
ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)
騎兵隊一番翼
生方・創(p3p000068)
アートなフォックス
エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)
波濤の盾
十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
グレイシア=オルトバーン(p3p000111)
勇者と生きる魔王
Suvia=Westbury(p3p000114)
子連れ紅茶マイスター
エーリカ・メルカノワ(p3p000117)
夜のいろ
クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者
ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)
旅人自称者
ドラマ・ゲツク(p3p000172)
蒼剣の弟子
シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)
炎の守護者
ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)
防戦巧者
フェルディン・T・レオンハート(p3p000215)
海淵の騎士
シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)
私のイノリ
クロム・S・ハーベンス(p3p000234)
戦場歩き
キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)
社長!
エマ(p3p000257)
こそどろ
ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
セララ(p3p000273)
魔法騎士
零・K・メルヴィル(p3p000277)
つばさ
オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)
鏡花の矛
ルアナ・テルフォード(p3p000291)
魔王と生きる勇者
クラサフカ・ミハイロヴナ・コロリョワ(p3p000292)
あやしい香り
ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
Lumière Stellaire
日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)
無敵鉄板暴牛
鶫 四音(p3p000375)
カーマインの抱擁
ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)
祝呪反魂
レッド(p3p000395)
赤々靴
アリシス・シーアルジア(p3p000397)
黒のミスティリオン
亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
郷田 貴道(p3p000401)
竜拳
志屍 志(p3p000416)
天下無双のくノ一
サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)
キミと、手を繋ぐ
嶺渡・蘇芳(p3p000520)
お料理しましょ
ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
ロジャーズ=L=ナイア(p3p000569)
同一奇譚
ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)
穢翼の死神
ラズワルド(p3p000622)
あたたかな音
ソフィラ=シェランテーレ(p3p000645)
盲目の花少女
アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000668)
ツクヨミ
メルトアイ・ザ・ベルベットムーン(p3p000674)
悦楽種
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
八田 悠(p3p000687)
あなたの世界
グドルフ・ボイデル(p3p000694)
マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔
辰巳・紫苑(p3p000764)
死と共に歩く者
フォルテシア=カティリス=レスティーユ(p3p000785)
天嬢武弓
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
コラバポス 夏子(p3p000808)
八百屋の息子
フアン・バウティスタ・オエステ(p3p000842)
Aguila
清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
伏見 行人(p3p000858)
北辰の道標
イリス・アトラクトス(p3p000883)
光鱗の姫
シルフォイデア・エリスタリス(p3p000886)
花に集う
ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)
虹色
チック・シュテル(p3p000932)
赤翡翠
ルウ・ジャガーノート(p3p000937)
暴風
シグルーン・ジネヴィラ・エランティア(p3p000945)
混沌の娘
リリー・シャルラハ(p3p000955)
自在の名手
トリーネ=セイントバード(p3p000957)
飛んだにわとり
シズカ・ポルミーシャ・スヴェトリャカ(p3p000996)
悪食の魔女
クォリエル・クォンタイズ・クィジナート(p3p001026)
お気楽極楽羽鳥天
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
ナズナサス(p3p001053)
お前も愛を知らせてやろうか!
ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
武器商人(p3p001107)
闇之雲
バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)
終わらない途
ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)
想星紡ぎ
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
マルク・シリング(p3p001309)
軍師
ゲンリー(p3p001310)
鋼鉄の谷の
ミア・レイフィールド(p3p001321)
しまっちゃう猫ちゃん
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
アト・サイン(p3p001394)
観光客
イルミナ・ガードルーン(p3p001475)
まずは、お話から。
海音寺 潮(p3p001498)
揺蕩う老魚
ガーグムド(p3p001606)
爆走爆炎爆砕流
ナハトラーベ(p3p001615)
黒翼演舞
DexM001型 7810番機 SpiegelⅡ(p3p001649)
ゲーミングしゅぴちゃん
アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)
無限円舞
ジークフリート(p3p001713)
特異運命座標
クロジンデ・エーベルヴァイン(p3p001736)
受付嬢(休息)
レーゲン・グリュック・フルフトバー(p3p001744)
希うアザラシ
スクアーロ=ケトス=グランガチ(p3p001753)
蒼海の守人
弥狐沢 霧緒(p3p001786)
傾国邪拳士
ウォリア(p3p001789)
生命に焦がれて
ポシェティケト・フルートゥフル(p3p001802)
謡うナーサリーライム
リカナ=ブラッドヴァイン(p3p001804)
覇竜でモフモフ
エリシル・ルクレツィア・クラッド(p3p001810)
異界の神の守護騎士志望
クリム・T・マスクヴェール(p3p001831)
血吸い蜥蜴
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
Dark Planet(p3p001915)
闇惑星
グレイル・テンペスタ(p3p001964)
青混じる氷狼
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)
紅炎の勇者
カレン=エマ=コンスタンティナ(p3p001996)
妖艶なる半妖
マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)
黒鎖の傭兵
梔子(p3p002050)
絲斬
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド
極楽院 ことほぎ(p3p002087)
悪しき魔女
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
アイリス・アニェラ・クラリッサ(p3p002159)
傍らへ共に
Lily Aileen Lane(p3p002187)
100点満点
リンドウ(p3p002222)
イエスマスター
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
ナイン(p3p002239)
特異運命座標
ジルーシャ・グレイ(p3p002246)
ベルディグリの傍ら
セティア・レイス(p3p002263)
妖精騎士
カレン・クルーツォ(p3p002272)
夜明けの蝶
メルナ(p3p002292)
太陽は墜ちた
美面・水城(p3p002313)
イージス
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花
ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃
浅木 礼久(p3p002524)
海賊淑女に愛をこめて
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)
救いの翼
無鎧(p3p002545)
黒金の大鬼
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
片翼の守護者
十夜 蜻蛉(p3p002599)
暁月夜
オジヴァン・ノクト・パトリアエ(p3p002653)
民誘う勇猛
マリス・テラ(p3p002737)
Schwert-elf
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
シャルロット・D・アヴァローナ(p3p002897)
Legend of Asgar
マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
記憶に刻め
ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)
アネモネの花束
那須 与一(p3p003103)
紫苑忠狼
クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日のフルール
エレム(p3p003737)
虹の騎士
藤野 蛍(p3p003861)
比翼連理・護
赤羽・大地(p3p004151)
彼岸と此岸の魔術師
妖樹(p3p004184)
彷徨う銀狐
ロスヴァイセ(p3p004262)
麗金のエンフォーサー
美音部 絵里(p3p004291)
たーのしー
シュリエ(p3p004298)
リグレットドール
クロサイト=F=キャラハン(p3p004306)
悲劇愛好家
エト・アステリズム(p3p004324)
想星紡ぎ
Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)
シュレーディンガーの男の娘
京 千鳥(p3p004351)
緋色の
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
シラス(p3p004421)
超える者
桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻
彼者誰(p3p004449)
決別せし過去
メイメイ・ルー(p3p004460)
祈りと誓いと
斉賀・京司(p3p004491)
雪花蝶
黒星 一晃(p3p004679)
黒一閃
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
Tricky・Stars(p3p004734)
二人一役
ジェック・アーロン(p3p004755)
冠位狙撃者
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)
流星と並び立つ赤き備
ライハ・ネーゼス(p3p004933)
トルバドール
アベリア・クォーツ・バルツァーレク(p3p004937)
願いの先
ヴィルヘルミナ・ヴィント・アルトマイアー(p3p004940)
ティアブラス(p3p004950)
自称天使
ティエル(p3p004975)
なぁごなぁご
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
サクラ(p3p005004)
聖奠聖騎士
新道 風牙(p3p005012)
よをつむぐもの
イースリー・ノース(p3p005030)
人護知能
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
久住・舞花(p3p005056)
氷月玲瓏
ライム マスカット(p3p005059)
グリーンスライムサキュバス
エマ・ウィートラント(p3p005065)
Enigma
イズベルガ・エヴァルト(p3p005068)
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)
天翔鉱龍
観月 槐(p3p005186)
佐伯 昴(p3p005187)
特異運命座標
リディア=フォン=ユーベルヴェーク(p3p005189)
ジーニアスムーブ
美咲・マクスウェル(p3p005192)
玻璃の瞳
カティア・ルーデ・サスティン(p3p005196)
グレイガーデン
クリス・エフェルビルグ(p3p005212)
沁入 礼拝(p3p005251)
足女
すずな(p3p005307)
信ず刄
紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)
真打
エリシア(p3p006057)
鳳凰
メルディナ・マルドゥーネ(p3p006099)
虚空繋ぐ聖女
岩倉・鈴音(p3p006119)
バアルぺオルの魔人
如月=紅牙=咲耶(p3p006128)
夜砕き
ガーベラ・キルロード(p3p006172)
noblesse oblige
クライム(p3p006190)
ロゼッタ(p3p006250)
敬虔なる信徒
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
ロレイン(p3p006293)
Melting・Emma・Love(p3p006309)
溶融する普遍的な愛
ジオドリク(p3p006361)
フロストサウンド
水瀬 冬佳(p3p006383)
水天の巫女
パーシャ・トラフキン(p3p006384)
召剣士
パーフェクト・サーヴァント(p3p006389)
完璧な執事を目指す執事
ピット(p3p006439)
砂塵の中の狙撃手
陽・サン(p3p006440)
平和への祈り
龍宮・巫女(p3p006441)
龍神の巫女
No.9(p3p006484)
シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)
ロクデナシ車椅子探偵
レニンスカヤ・チュレンコフ・ウサビッチ(p3p006499)
恩義のために
クラウジア=ジュエリア=ペトロヴァー(p3p006508)
宝石の魔女
アイラ・ディアグレイス(p3p006523)
生命の蝶
矢都花 リリー(p3p006541)
ゴールデンラバール
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹
白薊 小夜(p3p006668)
永夜
ネクタル・S・ライム(p3p006674)
サキュバスライム?
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
ハッピー・クラッカー(p3p006706)
爆音クイックシルバー
ヨルン ベルクマン(p3p006753)
特異運命座標
ノエル(p3p006760)
ヨシト・エイツ(p3p006813)
救い手
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘
カンナ(p3p006830)
彷徨人
閠(p3p006838)
真白き咎鴉
茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)
音呂木の蛇巫女
ルチア・アフラニア・水月(p3p006865)
鏡花の癒し
シャルティエ・F・クラリウス(p3p006902)
花に願いを
エルウィン・ロンド・ラースケス(p3p006912)
元聖騎士
プリス・ラトレイア(p3p006913)
サレリア・ハールフェルト(p3p006914)
観察者
蘭 彩華(p3p006927)
力いっぱいウォークライ
ガヴィ コレット(p3p006928)
旋律が覚えてる
アリル・スウェイス(p3p006929)
エレイン・クフィス(p3p006930)
クレセア・セディール(p3p006931)
フェルティス・ラウアール(p3p006932)
アレイス・ナルディン(p3p006933)
イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)
キラキラを守って
アンジュ・サルディーネ(p3p006960)
世界の合言葉はいわし
リリアーナ(p3p006985)
ソア(p3p007025)
愛しき雷陣
リック・ウィッド(p3p007033)
ウォーシャーク
ノーティガル(p3p007038)
ティーナ=レイフィード(p3p007050)
The Third Eye
冬越 弾正(p3p007105)
終音
王 虎(p3p007117)
雷武
一条 佐里(p3p007118)
砂上に座す
カイト(p3p007128)
雨夜の映し身
アリア・テリア(p3p007129)
いにしえと今の紡ぎ手
ハンナ・シャロン(p3p007137)
風のテルメンディル
京極・神那(p3p007138)
サブマリン小太刀
ディアナ・リゼ・セレスティア(p3p007163)
月光ミセリコルデ
クレア・カドラ(p3p007165)
タツミ・ロック・ストレージ(p3p007185)
空気読め太郎
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
生イカが好き
ネーヴェ(p3p007199)
星に想いを
アウローラ=エレットローネ(p3p007207)
電子の海の精霊
鬼城・桜華(p3p007211)
子鬼殺し
物部・ねねこ(p3p007217)
ネクロフィリア
アンジェラ(p3p007241)
働き人
エダルド・ウーベリィッツ(p3p007258)
砂咲く冒険家
セルティ・ジーヴェン(p3p007265)
トンファー最強説
ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
運命砕き
レイリー=シュタイン(p3p007270)
ヴァイス☆ドラッヘ
メリエッタ(p3p007272)
光輝なる者
雪村 沙月(p3p007273)
月下美人
鹿ノ子(p3p007279)
琥珀のとなり
恋屍・愛無(p3p007296)
終焉の獣
シュラ・シルバー(p3p007302)
魔眼破り
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)
ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海
ピリム・リオト・エーディ(p3p007348)
復讐者
ルクト・ナード(p3p007354)
蒼空の眼
アルヴィ=ド=ラフス(p3p007360)
航空指揮
ラピス・ディアグレイス(p3p007373)
瑠璃の光
アドルフ・ウェンダール(p3p007377)
虚ろたる影
マリリン・ラーン(p3p007380)
氷の輝き
ナディア・ランベアト(p3p007383)
淑女
ファルケ・ウェンダール(p3p007385)
砂に笑う筋肉
糸巻 パティリア(p3p007389)
跳躍する星
コルウィン・ロンミィ(p3p007390)
靡く白スーツ
アンウォルフ・バルドリック(p3p007392)
アドネ・アダラード(p3p007396)
マグダレーナ・ティーメ(p3p007397)
夢女子
大神・達哉(p3p007400)
南雲・零(p3p007409)
アンゼル・アウグスト(p3p007412)
ジョーカー・ピース(p3p007415)
ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)
咲き誇る菫、友に抱かれ
日車・迅(p3p007500)
疾風迅狼
ニコラス・コルゥ・ハイド(p3p007576)
名無しの
時任 零時(p3p007579)
老兵は死せず
運び屋(p3p007591)
紅楼夢・紫月(p3p007611)
呪刀持ちの唄歌い
ゼファー(p3p007625)
祝福の風
久留見 みるく(p3p007631)
月輪
ンクルス・クー(p3p007660)
山吹の孫娘
天之空・ティーザ(p3p007693)
白狼剣士
小刀祢・剣斗(p3p007699)
新時代の鬼
レミファ=ソラージット(p3p007739)
特異運命座標
ウルリカ(p3p007777)
高速機動の戦乙女
ヴィクトール=エルステッド=アラステア(p3p007791)
懐中時計は動き出す
Meer=See=Februar(p3p007819)
おはようの祝福
エリス(p3p007830)
呪い師
アッシュ・ウィンター・チャイルド(p3p007834)
Le Chasseur.
タイム(p3p007854)
女の子は強いから
ティエンシェ(p3p007879)
蠍追人
ビヴラ・スキアレイネ(p3p007884)
異端審問少女
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛
リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)
黒狼の従者
蔵音 アステール(p3p007937)
お外はワクワクしますのにゃ
黒影 鬼灯(p3p007949)
やさしき愛妻家
アムネシア(p3p007957)
礼拝型汎用機βカスタム
ミンティ・セレーニア(p3p007959)
特異運命座標
Sperlied=Blume=Hellblau(p3p007964)
『霧笛の魔女』の弟子
バルガル・ミフィスト(p3p007978)
シャドウウォーカー
エステル(p3p007981)
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
小金井・正純(p3p008000)
ただの女
竈屋 シズヱ(p3p008015)
竈屋の看板ババア
リサ・ディーラング(p3p008016)
特異運命座標
ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)
薄明を見る者
カスミ・スリーシックス(p3p008029)
愛しき影と共に
流星(p3p008041)
水無月の名代
エレン(p3p008059)
豊穣神(馬)
奏多 リーフェ 星宮(p3p008061)
お嬢様の恋人
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
シルキィ(p3p008115)
繋ぐ者
フィラ・ハイドラ(p3p008154)
クリスタル・ティナ(p3p008155)
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
九重 伽耶(p3p008162)
怪しくない
アルトゥライネル(p3p008166)
バロメット・砂漠の妖精
翁(p3p008177)
特異運命座標
松元 聖霊(p3p008208)
それでも前へ
エルシア・クレンオータ(p3p008209)
自然を想う心
問夜・蜜葉(p3p008210)
乱れ裂く退魔の刃
エル・エ・ルーエ(p3p008216)
小さな願い
鵜来巣 冥夜(p3p008218)
無限ライダー2号
クシュリオーネ・メーベルナッハ(p3p008256)
血風妃
フィナ=フォルトゥナ(p3p008257)
鉛筆転がしの
雨紅(p3p008287)
愛星
宇喜多 那由多(p3p008295)
自称まっどさいえんてぃすと〜
古野 萌乃(p3p008297)
名状し難い軟泥状のもの
リーディア・ノイ・ヴォルク(p3p008298)
氷の狼
胡桃・ツァンフオ(p3p008299)
ファイアフォックス
チェレンチィ(p3p008318)
暗殺流儀
長谷部 朋子(p3p008321)
蛮族令嬢
リディア・T・レオンハート(p3p008325)
勇往邁進
源 頼々(p3p008328)
虚刃流開祖
イルリカ・アルマ・ローゼニア(p3p008338)
ローゼニアの騎士
シュテム=ナイツ(p3p008343)
久遠の孤月
一条 夢心地(p3p008344)
殿
碧紗(p3p008350)
物理型お嬢様
マルカ(p3p008353)
Sweeper
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
カイン・レジスト(p3p008357)
数多異世界の冒険者
夜式・十七号(p3p008363)
蒼き燕
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師
テルル・ウェイレット(p3p008374)
料理人
マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)
涙を知る泥人形
ボディ・ダクレ(p3p008384)
アイのカタチ
ルネ=エクス=アグニス(p3p008385)
書の静寂
シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)
天下無双の貴族騎士
Nil・Astrum・Fine(p3p008413)
無星
観月 四音(p3p008415)
いのちをだいじに
ココア・テッジ(p3p008442)
鋼鉄の冒険者
村上 朱鷺子(p3p008445)
はじめての日を終えて
しにゃこ(p3p008456)
可愛いもの好き
紅迅 斬華(p3p008460)
首神(首刈りお姉さん)
天雷 紅璃(p3p008467)
新米P-Tuber
クロエ・ブランシェット(p3p008486)
奉唱のウィスプ
トニトルス(p3p008489)
雷竜再臨
観音打 至東(p3p008495)
アザー・T・S・ドリフト(p3p008499)
聖なるかな?
マッチョ ☆ プリン(p3p008503)
彼女(ほし)を掴めば
ヲルト・アドバライト(p3p008506)
パーフェクト・オーダー
リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)
神殺し
ミズキ・フリージア(p3p008540)
いつか貴方に届く弾丸
浅蔵 竜真(p3p008541)
黎 冰星(p3p008546)
誰が何と言おうと赤ちゃん
クレマァダ=コン=モスカ(p3p008547)
海淵の祭司
カジミェシュ・ボレスワフ・タルノフスキ(p3p008553)
シャノ・アラ・シタシディ(p3p008554)
魂の護り手
アルテラ・サン(p3p008555)
シガー・アッシュグレイ(p3p008560)
紫煙揺らし
三國・誠司(p3p008563)
一般人
ヴァールウェル(p3p008565)
妖精医療
ヴェルグリーズ(p3p008566)
約束の瓊剣
アヤメ・フリージア(p3p008574)
死神小鬼
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
只野・黒子(p3p008597)
群鱗
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
ラムダ・アイリス(p3p008609)
血風旋華
グリーフ・ロス(p3p008615)
紅矢の守護者
希紗良(p3p008628)
鬼菱ノ姫
オニキス・ハート(p3p008639)
八十八式重火砲型機動魔法少女
ミヅハ・ソレイユ(p3p008648)
流星の狩人
蓮杖 綾姫(p3p008658)
悲嘆の呪いを知りし者
アルフィンレーヌ(p3p008672)
みんなの?お母ちゃん
Binah(p3p008677)
守護双璧
笹木 花丸(p3p008689)
堅牢彩華
イミナ(p3p008692)
ただの
ライ・リューゲ・マンソンジュ(p3p008702)
あいの為に
玄緯・玄丁(p3p008717)
蔵人
花榮・しきみ(p3p008719)
お姉様の鮫
節樹 トウカ(p3p008730)
散らぬ桃花
鬼ヶ城 金剛(p3p008733)
ちびっ子鬼門守
黒野 鶫(p3p008734)
希望の星
武者小路 近衛(p3p008741)
一期一振
赤酸漿・燐緋(p3p008749)
眠れる大鬼
星影 向日葵(p3p008750)
遠い約束
鹿嶺 鮎香(p3p008776)
特異運命座標
日向寺 三毒(p3p008777)
まなうらの黄
ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)
無銘クズ
海紅玉 彼方(p3p008804)
扇動者たらん
八重 慧(p3p008813)
歪角ノ夜叉
不動 狂歌(p3p008820)
斬竜刀
フラーゴラ・トラモント(p3p008825)
星月を掬うひと
明星・砂織(p3p008848)
カードデュエラー
ライ・ガネット(p3p008854)
カーバンクル(元人間)
ルーキス・ファウン(p3p008870)
蒼光双閃
赤羽 旭日(p3p008879)
朝日が昇る
goodman(p3p008898)
グッドルッキングガイ
クンプフリット・メーベルナッハ(p3p008907)
砂翔ける曲芸師
グレイシア・ラ・ヴォルラース(p3p008910)
天翔る
金枝 繁茂(p3p008917)
善悪の彼岸
晏雷(p3p008919)
迷子の迷子のお爺ちゃん
艮 悪羅(p3p008937)
怨讐鬼
イロン=マ=イデン(p3p008964)
善行の囚人
隠岐奈 夜顔(p3p008998)
必殺の銃弾
幻夢桜・獅門(p3p009000)
竜驤劍鬼
ハリエット(p3p009025)
暖かな記憶
越智内 定(p3p009033)
約束
阿瀬比 彗星(p3p009037)
禁忌の双盾
阿瀬比 瑠璃(p3p009038)
禁忌の双盾
ユイユ・アペティート(p3p009040)
多言数窮の積雪
首塚 あやめ(p3p009048)
首輪フェチ
オラン・ジェット(p3p009057)
復興青空教室
ラクロス・サン・アントワーヌ(p3p009067)
ワルツと共に
ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)
人間賛歌
マグナ・ザ・バッドラック(p3p009114)
銃謳無尽《ガンパレードマーチ》
結月 沙耶(p3p009126)
怪盗乱麻
アデル・マルブランシュ(p3p009130)
幻想ギャル
トスト・クェント(p3p009132)
星灯る水面へ
溝隠 瑠璃(p3p009137)
ラド・バウD級闘士
チヨ・ケンコーランド(p3p009158)
元気なBBA
トキノエ(p3p009181)
恨み辛みも肴にかえて
オウェード=ランドマスター(p3p009184)
黒鉄守護
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
ウルフィン ウルフ ロック(p3p009191)
復讐の炎
ジュリエット・ラヴェニュー(p3p009195)
ゴーレムの母
胡蝶(p3p009197)
黒水・奈々美(p3p009198)
パープルハート
アイザック(p3p009200)
空に輝くは星
ラーディス=シュハ(p3p009201)
砂漠を駆ける
リースヒース(p3p009207)
黒のステイルメイト
アウレリア=ネモピレマ(p3p009214)
大海に浮かぶ月
ゲンゾウ(p3p009219)
特異運命座標
アルヤン 不連続面(p3p009220)
未来を結ぶ
アウレウス(p3p009222)
金色の煙霞
マリカ・ハウ(p3p009233)
冥府への導き手
クルル・クラッセン(p3p009235)
森ガール
リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)
花でいっぱいの
蜂八葉 黒丸(p3p009239)
けだもの
アレイドスピーア(p3p009241)
クラウドラゴン
バク=エルナンデス(p3p009253)
未だ遅くない英雄譚
星影 昼顔(p3p009259)
陽の宝物
スティーリア・ツンドレアス・シャンデル(p3p009288)
零度戦姫
藤袴(p3p009289)
猫とたわむれ
ウルズ・ウィムフォクシー(p3p009291)
母になった狼
コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)
慈悪の天秤
リュリュー(p3p009320)
美しい脚
エーミール・アーベントロート(p3p009344)
夕焼けに立つヒト
佐藤・非正規雇用(p3p009377)
異世界転生非正規雇用
ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)
微笑みに悪を忍ばせ
テリオス=スィスィア(p3p009396)
砂漠の冒険者
エドワード・S・アリゼ(p3p009403)
太陽の少年
ファニアス(p3p009405)
ハピネスデザイナー
耀 澄恋(p3p009412)
六道の底からあなたを想う
祝音・猫乃見・来探(p3p009413)
優しい白子猫
物部 支佐手(p3p009422)
黒蛇
ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)
月夜の魔法使い
神倉 五十琴姫(p3p009466)
白蛇
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
もこねこ みーお(p3p009481)
ひだまり猫
形守・恩(p3p009484)
柳暗花明の鬼
メイ・ノファーマ(p3p009486)
大艦巨砲なピーターパン
ラクシャス・ティール(p3p009490)
シリス・ルーア(p3p009491)
仁藤・鉄泉(p3p009492)
葛籠 檻(p3p009493)
蛇蠱の傍
ナナ(p3p009497)
自分を失った精霊種
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)
挫けぬ笑顔
耀 英司(p3p009524)
諢帙@縺ヲ繧九h縲∵セ?°
ルナ・ファ・ディール(p3p009526)
ヴァルハラより帰還す
郷田 京(p3p009529)
ハイテンションガール
Я・E・D(p3p009532)
赤い頭巾の魔砲狼
青燕(p3p009554)
蒼穹の翼
ルブラット・メルクライン(p3p009557)
61分目の針
ブライアン・ブレイズ(p3p009563)
鬼火憑き
マナ(p3p009566)
太陽の恵み
セチア・リリー・スノードロップ(p3p009573)
約束の果てへ
昼子 かぐや(p3p009597)
ガンカタ巫女
新妻 始希(p3p009609)
記憶が沈殿した獣
宵待月 弦佳(p3p009619)
ノア=サス=ネクリム(p3p009625)
春色の砲撃
アナト・アスタルト(p3p009626)
殺戮の愛(物理)天使
白妙姫(p3p009627)
慈鬼
ダリル(p3p009658)
勇猛なる狩人
ヴィリス(p3p009671)
黒靴のバレリーヌ
カカリカ=クリコ(p3p009675)
特異運命座標
ソニア・ウィーピング・ウィロー(p3p009677)
ティーデ・ティル・オーステルハウス(p3p009692)
羽根撃ちの
サルヴェナーズ・ザラスシュティ(p3p009720)
砂漠の蛇
山本 雄斗(p3p009723)
命を抱いて
望春 ばに(p3p009739)
特異運命座標
アリス・アド・アイトエム(p3p009742)
泡沫の胸
ルビィ・コランダム(p3p009743)
特式空戦機巧少女・甲型
すみれ(p3p009752)
薄紫の花香
トルテ・ブルトローゼ(p3p009759)
鮮血の薔薇姫レベル42
御子神・天狐(p3p009798)
鉄帝神輿祭り2023最優秀料理人
ハビーブ・アッスルターン(p3p009802)
何でも屋
キルシェ=キルシュ(p3p009805)
光の聖女
ハク(p3p009806)
魔眼王
皿倉 咲良(p3p009816)
正義の味方
藤野 天灯(p3p009817)
不眠ノ燭
佐藤 美咲(p3p009818)
無職
星芒 玉兎(p3p009838)
星の巫兎
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標
朔(p3p009861)
旅人と魔種の三重奏
ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)
開幕を告げる星
ミリアム・リリーホワイト(p3p009882)
白い影
成龍(p3p009884)
洪水の蛇
倉庫マン(p3p009901)
与え続ける
ウルファ=ハウラ(p3p009914)
砂礫の風狼
ユール(p3p009966)
機械仕掛けの羊
囲 飛呂(p3p010030)
君の為に
ミソラ・アベンチュリア(p3p010031)
新たな可能性
ウテナ・ナナ・ナイン(p3p010033)
ドラゴンライダー
杜里 ちぐさ(p3p010035)
明日を希う猫又情報屋
フィノアーシェ・M・ミラージュ(p3p010036)
彷徨いの巫
柊木 涼花(p3p010038)
絆音、戦場揺らす
イラリカ ハラス(p3p010039)
宝石吐き
彷徨 みける(p3p010041)
おしゃべりしよう
稀瀬乃 セン(p3p010066)
影渡り
ミザリィ・メルヒェン(p3p010073)
レ・ミゼラブル
ルルディ・グリムゲルデ(p3p010092)
銀の兎
アレン・ローゼンバーグ(p3p010096)
茨の棘
ムサシ・セルブライト(p3p010126)
宇宙の保安官
出オチちゃん(p3p010131)
また死んでおられるぞ
ベルトア・ウル・アビスリンク(p3p010136)
死を謳う者
リュビア・イネスペラ(p3p010143)
malstrøm
ヴェルミリオ=スケルトン=ファロ(p3p010147)
陽気な骸骨兵
志岐ヶ島 吉ノ(p3p010152)
手向ける血の花
クー・クティノス・ツァラレーヴ(p3p010187)
悪夢の断片
ロリ☆ポップ(p3p010188)
おかし大明神
ニャンタル・ポルタ(p3p010190)
ナチュラルボーン食いしん坊!
國定 天川(p3p010201)
決意の復讐者
プラハ・ユズハ・ハッセルバッハ(p3p010206)
想い、花ひらく
ヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム(p3p010212)
凶狼
メリーノ・アリテンシア(p3p010217)
そんな予感
ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)
航空猟兵
ファニー(p3p010255)
猪市 きゐこ(p3p010262)
炎熱百計
刻見 雲雀(p3p010272)
最果てに至る邪眼
カフカ(p3p010280)
蟲憑き
メリッサ エンフィールド(p3p010291)
純真無垢
襲・九郎(p3p010307)
フレジェ
雷光殲姫専用 異能拡張兵装 スレイプニール(p3p010314)
マリアの決戦兵装
綾辻・愛奈(p3p010320)
綺羅星の守護者
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
セス・サーム(p3p010326)
星読み
ガイアドニス(p3p010327)
小さな命に大きな愛
ヒューバート・クリアブルーム(p3p010334)
異世界ヒーロー
浮舟 帳(p3p010344)
今を写す撮影者
アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(p3p010347)
アーリオ・オーリオ
炎 練倒(p3p010353)
ノットプリズン
ジェラルド・ヴォルタ(p3p010356)
戦乙女の守護者
秦・鈴花(p3p010358)
未来を背負う者
ジュート=ラッキーバレット(p3p010359)
ラッキージュート
月瑠(p3p010361)
未来を背負う者
風花(p3p010364)
双名弓手
ムエン・∞・ゲペラー(p3p010372)
焔王祈
曉・銘恵(p3p010376)
初めてのネコ探し
ライオリット・ベンダバール(p3p010380)
青の疾風譚
オルレアン(p3p010381)
特異運命座標
紲 暁蕾(p3p010390)
緋を紲ぐ者
シャールカーニ・レーカ(p3p010392)
緋夜の魔竜
秋霖・水愛(p3p010393)
雨に舞う
鯤・玲姫(p3p010395)
特異運命座標
头 禡賜黎(p3p010397)
錆縅
藤宮 美空(p3p010401)
aerial dragon
尹 瑠藍(p3p010402)
ラビット(p3p010404)
弱さゆえの強さ
荒御鋒・陵鳴(p3p010418)
アラミサキ
アンリ・マレー(p3p010423)
亜竜祓い
カーリン・ラーザー(p3p010424)
龍魔術師
優雨(p3p010426)
レオナ(p3p010430)
不退転
小鈴(p3p010431)
元ニートの合法のじゃロリ亜竜娘
リリア=リザイア(p3p010432)
あらぶるりゅう
ヴュルガー(p3p010434)
フラッチェ
呂・子墨(p3p010436)
豪放磊落
紲・桜夜(p3p010454)
紲家
紲 蝋梅(p3p010457)
紲一族のお母さん
煉・朱華(p3p010458)
未来を背負う者
紲 六合(p3p010461)
桜龍
劉・紫琳(p3p010462)
未来を背負う者
萊 連理(p3p010469)
亜竜種給仕
ジルベール(p3p010473)
切り裂きジル
紲 白虎(p3p010475)
ドラゴニュート
琥珀(p3p010478)
蛍(p3p010479)
藍 瑞冰(p3p010485)
藍染霹靂
アルフィオーネ・エクリプス・ブランエトワル(p3p010486)
ライブキッチン
燦火=炯=フェネクス(p3p010488)
希望の星
李・蔚蓝(p3p010492)
青嵐
リスェン・マチダ(p3p010493)
救済の視座
シッコク(p3p010498)
剣 恋香(p3p010516)
サイボーグ・ドラゴンガール
燈・六花(p3p010530)
シズリ&
ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)
指切りげんまん
琅・冬栴(p3p010532)
はじめての日を終えて
マリエッタ・エーレイン(p3p010534)
死血の魔女
スースァ(p3p010535)
欠け竜
祭・藍世(p3p010536)
桜花絢爛
クラリス・クロシェット(p3p010545)
Cavaliere Rosa
香 月華(p3p010546)
月華美人
ビスコッティ=CON=MOS(p3p010556)
メカモスカ
フロイント ハイン(p3p010570)
謳う死神
夢野 幸潮(p3p010573)
敗れた幻想の担い手
リドニア・アルフェーネ(p3p010574)
たったひとつの純愛
フレデリカ=K=ガーヴェ(p3p010580)
日輪の従者
レイン・レイン(p3p010586)
玉響
フーガ・リリオ(p3p010595)
君を護る黄金百合
板谷 辰太郎(p3p010606)
“蠅”を拒み“蛆”であり続ける
紅 彗(p3p010611)
紅の渡り鳥
朱雀院・美南(p3p010615)
不死身の朱雀レッド
テア・アナスタシス(p3p010620)
特異運命座標
月季(p3p010632)
黒き流星
水天宮 妙見子(p3p010644)
ともに最期まで
エリカ・フェレライ(p3p010645)
名無しの暴食
有原 卮濘(p3p010661)
崩れし理想の願い手
火野・彩陽(p3p010663)
晶竜封殺
アザレア・ラビエル(p3p010678)
イチゴ(p3p010687)
一護一会
セレナ・夜月(p3p010688)
夜守の魔女
雑賀 千代(p3p010694)
立派な姫騎士
ギュスターブくん(p3p010699)
銀花(p3p010701)
銀の花の聖女
リエル(p3p010702)
メイ・カヴァッツァ(p3p010703)
ひだまりのまもりびと
姜 蝴蝶(p3p010704)
毒蛾
ラエル・モカ・ベリアノーザ(p3p010709)
供物番
シルト・リースフェルト(p3p010711)
騎士を名乗るもの
佐倉・望乃(p3p010720)
貴方を護る紅薔薇
フォルエスク・グレイブツリー(p3p010721)
燼灰の墓守
三鬼 昴(p3p010722)
修羅の如く
フロラ・イーリス・ハスクヴァーナ(p3p010730)
お嬢様(鉄帝)
フローレンス ポー(p3p010733)
骸骨姫
ヴァル・ド・ルクス(p3p010734)
光明戦姫
島風型駆逐艦 一番艦 島風(p3p010746)
島風の伝令
柳田 瑠璃(p3p010754)
普通の女子高生
オレリア(p3p010777)
機動回収班
灰燼 火群(p3p010778)
歩く禍焔
大江山 伊吹(p3p010779)
酒天童子
シェンリー・アリーアル(p3p010784)
戦勝の指し手
丑三 縁(p3p010789)
常田・円(p3p010798)
青薔薇救護隊
チェルハ 03(p3p010803)
地平線の彼方
玄野 壱和(p3p010806)
ねこ
紫葉 真緒(p3p010810)
狗神憑き
トール=アシェンプテル(p3p010816)
つれないシンデレラ
大和型戦艦 二番艦 武蔵(p3p010829)
ラグナロク(p3p010841)
剣の精霊
滅導騎獣弐式 戦乱蹂躙疾駆 ヴァルレイン(p3p010842)
赤き騎士の馬
ルトヴィリア・シュルフツ(p3p010843)
瀉血する灼血の魔女
弥多々良 つづら(p3p010846)
鳴動する幼大山
陰房・一嘉(p3p010848)
特異運命座標
多次元世界 観測端末(p3p010858)
観測中
獅子若丸(p3p010859)
百獣剣聖
芳(p3p010860)
(自称)ぬくもりの精霊種
瀬能・詩織(p3p010861)
死澱
マリオン・エイム(p3p010866)
晴夜の魔法(砲)戦士
ヰニイ(p3p010878)
Media Naranja
若宮 芽衣子(p3p010879)
定めし運命の守り手
リリーベル・リボングラッセ(p3p010887)
おくすり
ルエル・ベスティオ(p3p010888)
虚飾の徒花
雪風(p3p010891)
幸運艦
piru(p3p010897)
神憑り
E・E ・R・ I・E(p3p010900)
からっぽのイリー
人吉 仁美(p3p010901)
マルコキアス・ゴモリー(p3p010903)
ミアス(p3p010916)
夜摩 円満(p3p010922)
母なるもの
リリアム・エンドリッジ(p3p010924)
記憶なき竜人
戦踏姫 補助23型特 鶴翼(p3p010927)
大葉 飛雄馬(p3p010930)
特異運命座標
幽火(p3p010931)
君の為の舞台
プエリーリス(p3p010932)
ヴィオラ・エルホワイト(p3p010933)
メテオール・エアツェールング(p3p010934)
物語領の猫好き青年
シャーヴィ(p3p010935)
猫型配膳ロボット
コメート・エアツェールング(p3p010936)
物語領の兄慕う少女
ミニマール・エアツェールング(p3p010937)
物語領の愛らしい子猫

リプレイ

●ローレットI
「はい!
 今年も新年ロレトレの季節がやってまいりましたという訳でユリーカちゃんの新年パーティに参加だよ!
 配信もするから自宅でぬくぬくしてる君たちも一緒にロレトレ気分が味わえるゾ!」
 練達から機材を持ち込んだ『新米P-Tuber』天雷 紅璃(p3p008467)の宣言からスタートするローレットトレーニング。
「いやあ、今年もまた新年を祝うときが来たんだね」
『特異運命座標』ジークフリート(p3p001713)は日頃の生活を楽しむのも大事だと認識している。戦いに明け暮れてばかりでは何も得られないからだ。
 のんびりと昼寝をしたり、食事をしたり。そんな当たり前を過ごすのもローレットトレーニングだ。
「ふむ、激動のうねりが続くからこそ地力の引き上げは不可欠なのであろう。
 然り、なればこそ此度の催しは意義あるものにもなろう。
 されど、息がつけぬ走りはいずれ歩み以下のものと成り果てる故、休止を挟むもまた道理。
 ――何が言いたいといえば、新年であるに日常を過ごすもつまらぬというもの。此度のパーティーを楽しもうぞ」
『民誘う勇猛』オジヴァン・ノクト・パトリアエ(p3p002653)は仲間達を見て活躍を思い描けば酒も進むというものだと口許に笑みを浮かべる。
「うぼぁー!」
『受付嬢』クロジンデ・エーベルヴァイン(p3p001736)は叫んだ。
「ローレット・トレーニングは回を追うごとに纏まりがn……自由度を増して行き、既に各国ごとの会場に集まってすらいねー。
 国? 地域? 自体も増加して行ってるしーその上で名声的にお偉いさん方と会う人も増えて通さねばならぬ事務処理はさらに加速。
 去年みたいに仕事を後回しの魔女して、パーティーに逃げるのすらむりぽな状況」
 受付嬢は頭を抱えていた。もういっそ酒でも入れてくれ。何もかも分からない状況だから。
「当機はこちらに来て、間もなく、何をしていいかわからないのでぱーてぃの運営のお手伝いを行いたい所存でございます。
 お手伝いをしている際にこの世界の事をいろいろ教えていただけると嬉しく思うのです」
 淡々と告げた戦踏姫 補助23型特 鶴翼(p3p010927)へと笑みを浮かべて答えたのはユリーカ・ユリカ(p3n000003)であった。
「はい! 折角の新年を楽しく盛り上げるのです!」
 新年という言葉を聞いてぱちりと瞬いたのは『神憑り』piru(p3p010897)。
「のう、己れはまだまだ此処に来たばかりなのだがやりたいことがある。
 新年というのは日の出が拝まれ祝われるというだろう? 己れは己れこそが崇め奉られるべきだと思っているのだ!」
 つまり、何を云いたいのかと言えば――「打ち上げられたいのだ、打ち上げられ、己れが初日の出になり、花火になり、太陽になり、神になる!!」
 そう叫んだpiruがどうなったのかは……さて、明日のpiruならば知っているだろう。
「パーティ楽しみ! 美味しいものいっぱいあるかなぁ?」
 ウキウキとした様子の『記憶なき竜人』リリアム・エンドリッジ(p3p010924)の前に運ばれてきたのは洗井……ではなく『浣熊』
「とあるセレブが「アライグマ美味しかった」と言ったらしく、わたしも洗井さ…失敬。
 アライグマ(的な混沌の生物)を食べてみたいと思ったのでした。
 よって洗…んん゛っ、アライグマをはじめとしたジビエ料理会を開催いたします!」
 にこやかに微笑んだ『薄紫の花香』すみれ(p3p009752)が〆た洗井落雲……じゃなかった、アライグマさんを実食しましょうとセクシーバナー姿で呼び込みをしている。肉が何故か喜んでいる。
「……ふむ、流石にアライグマを調理、実食するのは初めてです。
 ……まあ、何とかなるでしょう。こう見えても自分はこの手の事は得意ですので。ジビエもそれなりに出来るつもりです」
 まじまじとマルコキアス・ゴモリー(p3p010903)にギュスターブくん(p3p010699)は「こんにちは、ぼく、ギュスターブくん」とご挨拶。
「アライグマのお鍋をするらしいね、ぼくにも一口ちょうだい。ポン酢持って行っちゃお」
 獲物は一応イタチ科の範疇のようだ。食べる専門ではあるが、獲物は自分で得ておかねばいけないと『黒翼演舞』ナハトラーベ(p3p001615)は遠方から一気に近付いて『食材』を攫って持ってきていた。
「――」
 もぐもぐと口を動かしながら供給を待つナハトラーベ。『二人一役』Tricky・Stars(p3p004734)のように調理を見学する者も居る。
「わあいアライグマ。ブランシュアライグマ初めて。
 ていうか食えるんですよ?人間のあくなき食への探求はとてつもないなーと思わされるですよ。まあ食うですよ」
 誰が浣熊を食べたがったのだろうと考えつつ『後光の乙女』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)は一口食べてみて美味しいような、不味いようなジビエらしい味わいに首を傾げた。もう少し調理に気を配れば美味しく頂けるのだろうか――?
「未知なる食材との遭遇……? なんぞ! 面白そうではないか!!
 そして意外と美味しそうじゃの。ほれ、昔は狸も鉄砲で撃って食べとったんじゃろ?
 なら、アライグマも食べられるじゃろ! 見た目似とるし!」
 からからと笑ったのは『ナチュラルボーン食いしん坊!』ニャンタル・ポルタ(p3p010190)。念のために病院には予約を入れておいたという徹底ぶりだ。毒消し(多分)もして置けば何とか食せる筈だろう。
 シンプルな塩焼きも捨てがたいと指折り数えるニャンタルに「マジ?アライグマの肉って食えるの??」と驚愕したのは『理想のにーちゃん』清水 洸汰(p3p000845)。
「ステーキ? 焼肉? 煮込みー?」
 肉ばっかりでは健康には慣れないだろうと洸汰は適当な野草も摘んできていた。ザッソウムシャムシャゴーストビットのお陰で草もとても美味しいのだ。
「そうですね……焼く以外はどんな風に食べるのがいいですかね? 寒いですし鍋料理でしょうか。ジビエを美味しく食べるには臭みを取るのが重要ですので下処理はしっかりしましょう」と提案したのは『溶けない結晶を連れて』ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)。
 森暮らしをしていたこともあり、ジョシュアにとってジビエはご馳走の一つである。
「洗井……こほん。アライグマのお料理ですか。
 珍味の類かと思いましたが案外美味なようです。知人の猟師から分けて頂いた獲物を持ってきてみました」
『旋律が覚えてる』ガヴィ コレット(p3p006928)は丁寧に下処理をして串焼き、シチュー、カツレツ、タタキを作ろうとしたが――奇妙な義務感を覚えてセクシーバニーガール姿だった。これも屹度、浣熊への供養なのだ。
「皆さん! というわけで大物を獲って来ましたよ!
 えっへん、褒めて欲しいのです! 見てくださいこの立派な洗……アライグマ!
 私は豪快に丸焼きを試してみようと思います! こんな集まりでもない限り試せないでしょうからね!」
 上手に焼けましたと叫ぶのは『力いっぱいウォークライ』蘭 彩華(p3p006927)。勿論彼女もバニーガール姿である。
 謎の義務感だが、ちゃんと浣熊を供養することだって、きっと、必要なのだ。屹度……。
 あまり食べたことのない『蒼穹の翼』青燕(p3p009554)は射撃で捉えられた浣熊を眺めている。
 害獣駆除の一環だと『赤頭巾の為に』リーディア・ノイ・ヴォルク(p3p008298)はしっかりと浣熊を仕留めて会場へとやって来ていたが。
「…うん、命を頂くんだもんな。よし、血抜きと解体手伝うぜ!
 リーディアも抱えて……えっ、肉だけでいい? 俺平気なのになー空は俺の味方だし。しょうがねぇか」
 ――という青燕の提案に首を振った。若くて元気だと笑ったリーディア。何故か会場で女子達がバニーガール姿だが……突っ込みは不要なのだろうか。
「任務中には食べれないことも多い、しっかりと頂いておこうか」
 穏やかなリーディアの前で『小さな願い』エル・エ・ルーエ(p3p008216)が「あらい ぐまさんを狩りました。えへん」と胸を張っている。
「鹿や猪は食べたことはあるけれど、どんな味なんだろう? 兎肉も一応用意したよ」
 肉が好きだという『錆縅』头 禡賜黎(p3p010397)は浣熊の買いたいならば任せて欲しいと進言した。浣熊が怯えている。
『洪水の蛇』成龍(p3p009884)はじい、と浣熊を眺めてから「何故かオタクに優しいギャルとか好きそうな感じがしますぞこのアライグマ、何故でしょう」と呟く。
 アヒル、鴨、カラス、ガチョウ、鳩、雀、雉、鶏、豚、鼠、ヤク、ロバ、山羊、羊、犬、卯、熊、鹿、蛙、蛇、蠍、エトセトラ……様々食べてきたがオタクに優しいギャルが好きそうな浣熊は初めてだ。
「ん~! おいしいかも!」
 本当に食べれるのか不安だったが、食べてみれば涎が溢れ出す『美しい脚』リュリュー(p3p009320)。何とも『浣熊』は不思議な味わいなのだ。
「他の動物の料理も食べれるの?ジビエっていうのね! もぐもぐ、あっ食べたことない味ね! でもおいしい~!! くぅるるる♪」
 嬉しそうなリュリューの傍で『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)はすくりと立ち上がった。よく見れば彼女はミニ丈のプリーツスカートとルーズソックスを着用している。
「生足を露出しなければならないだなんて、恥ずかしさで足取りも覚束ない程ですけれど……これはきっと、食とは他者の命を奪う行為だと自覚せよというメッセージ。
 即ち、命奪われる事はその恥辱よりも遥かに苦しい事なのだから、自身が恥辱で済む身である事に感謝して自然の恵みを大切にせよという先人の訓えに違いないのです!」
 でも、えっちなら何でも大丈夫なんですよ。その浣熊。
 エルシアは目を伏せる。自然の恵みへの感謝を供え。全裸で生まれる自身等が自然の姿に戻ることを羞恥とする傲慢さを捨て去るべく過ごし続ける。
「アライグ……マ?
 それ本当にアライグマなの?? なんだか私の知っているアライグマとは何だか違う気がするのだけれど???
 と、ともあれ調理をして行きましょうか。
 それにしても……、なんで水着バニーを着て調理しないといけないのよ」
 誰の趣味なのかと唇を尖らせた『プロメテウスの恋焔』アルテミア・フィルティス(p3p001981)。心なしか浣熊の毛並みが良くなってお肉が艶やかになっている気がする。
「これってやっぱり――」
「ふむ、このアライグマ。愛らしいように見えてかなり……煩悩に溢れた顔ではないか? 気のせいか?」
 ラサのスパイスを駆使して臭みを取る『冥焔の黒剣』リースヒース(p3p009207)。馬車には再現性東京のカレールーや白米も用意している。
「成程。鍋で初めて、〆をカレーにすればよい、か……。
 中々野趣あふれる味。見よ、アライグマの霊が幸せな顔で浮かんでいる。
 ――ほらこの辺り。もう少し右だ」
 そこには『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)が立っていた。彼女は首を振る。「……仲間ではない」と何度も繰り返した。。
「ところで。一部の者がこちらをジッと見ている気がするが――違うぞ、私はアライグマでは無い。
 確かに、『伝説の勇者妖精アライグマ』などという称号を持ってはいるが。あれはただの言いがかりだ。
 全てはどこぞの翻訳が悪い! ……おい。誰だ、いまタヌキと言った奴は!?」
 素晴らしいバニー姿の女子達に話を懸命に逸らした汰磨羈だが、物言わぬ洗……浣熊は『着ないんですか!?』とも言いたげであった。
「洗井……えふん、げほん、げほん! とにかくアライグマには思うところがあるでな アライグマを食って厄落としとするかのぅ……」
 解体された『井』を眺めて目つきの怪しい『怪しくない』九重 伽耶(p3p008162)は可食部を取り分けている。この人数ならばまだまだ必要だろう。
『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)は絶滅の道を辿ることは好ましくないと浣熊の乱獲は控えようとだけ口にしていた。井もそう思っている事だろう。
「しかし、オタクに優しいギャルとか好きそうとか洗井とか……皆様は何を言ってるのでしょうか……?」
 マルコキアスは悩ましげに首を捻ったのであった。

●ローレットII
 普段ならばこういうトレーニングは『スルー』するのだが、思うところがあると『“蠅”を拒み“蛆”であり続ける』板谷 辰太郎(p3p010606)は訓練に励んでいた。
 殺さなくてはならない相手が出来た。別人のように変わってしまった彼女を思えばこそ、その恥を汲み取って確実に命を奪わねばならない。
 技術を得て、そうしてその命を絶つまで――刃を研ぎ澄ませ、献身することこそが求められるのだ。

「懐かしいっすね、いつもこの時期はあの人と一緒だったのがもう遠い昔の記憶みたいっす」
 一人寂しく酒で――なんていう新年も味気ない。持ち物は最小限、ストレッチは念を入れ、お気に入りのランニングシューズをメンテナンスして。
『夢幻の如く』ウルズ・ウィムフォクシー(p3p009291)はスタート地点はローレット、地続きの国を統べて巡り終えたらゴールだと書き置きだけを残しておく。
「一回やってみたかったんすよね、徒歩で全国巡り……どんなお酒に出会えるっすかねぇ。
 先輩! 明けましておめでとう、そしていってきますっす」

 ――別に知り合いと都合が合わなかったわけじゃないとひょっこりと顔を出した『灰想繰切』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)。
 アレコレ食べ物を食べるのは食べるが、百合の間には挟まらないと決めている。一人ならばカラフルに光る飲み物が現れる事はないはず、無い筈だったのだ。
 イシュミルが居ないのだから――どうして、光ったのかアーマデル君、はい、解答ボタン。早かった!
 世話になっている場所に顔を出すのだと『希望の星』黒野 鶫(p3p008734)は祭の空気を味わう。喧噪に溢れるその場所には料理が並べられ立食パーティー形式で好きに食べても良いそうだ。
 手伝いを申し出れば、同じように暇をしているという『航空指揮』アルヴァ=ラドスラフ(p3p007360)が「どうせ酔い潰れた奴が居るんだろう」と声を掛ける。
「おいユリーカ暇すぎて死にそうだからなんか仕事寄越せ手伝うことはないか俺が出来ることの範囲内ならやらないこともないぞ。
 ……あれ、そういやユリーカってもう二十歳になったんだっけ? え、お前そのビジュアルでお酒飲めるの? えっ……」
「ボクも大人のレディーなのですよ?」
「えっ……」
 何とも敗北した気持ちになったアルヴァ。不思議そうな顔をして居た『星に想いを』ネーヴェ(p3p007199)はお酒は弱いからとジュースをちびちびと飲んでいた。
 寝不足ではあるが、祭りには参加しておきたかった。
(あまいものは……まだ、"彼"の事を思い出してしまうから…うまく、喉を通らない気が、して。
 他人に元気ではない姿を、見せたくないから…飲み物だけで、楽しみましょう)
 耳と目だけでもお祝い事は楽しめるのだと、ネーヴェは穏やかな心地でユリーカと肩を組んだ『ゴールデンラバール』矢都花 リリー(p3p006541)を眺めていた。
「……ふーん……やはりないないだねぇ……いつ出発する……? あたいも同行するよぉ……。
 だって年末ボーナスもなかったのにお年玉まで渋るとかさぁ……労基も許さないしあたいらも許さないんだよねぇ……」
 又この時期が来たのだと『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)は喧噪のローレットを眺めた。
 ユリーカを擁護する形でお年玉を確保し、許可を取ろうと励ます。
「合法にすれば良いんだ」
「合法なのです!?」
「ああ、そうだよ。俺に免じて……とまでは言えなくとも。
 あんまり怒らないでやってくれないか。その分、成果が出せるよう頑張るからさ? イレギュラーズの皆へのご褒美、頼むよ」
 ローレットの金庫破り常習犯ユリーカはもっと言ってやれと言いたげに拳を振り上げていた。
「ほ、ほら、このトレーニングでイレギュラーズ鍛えればもっと色々仕事回るだろうし、先行投資ってやつだよな!?
 ユリーカさん情報屋だから、コミュニケーションの指南とか行けそうだし!」
 懸命にユリーカをサポートする『点睛穿貫』囲 飛呂(p3p010030)。現在彼女はレオン・ドナーツ・バルトロメイに詰められている最中だった。
「た、助けて下さるのですか」
「う、うん……」
 それにしてもレオンとユリーカはやけに親密だ、と少し拗ねた飛呂だが、実は二人の関係性が親子(ユリーカの父が没した後の父代わりであり、兄代り)にも似ていると知って何となく愉快な心地にもなるのだった。
 そんなレオンの傍に寄り添っていたのは『蒼剣の秘書』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)。蒼剣の秘書たる華蓮はレオンのお世話役をしていたのだ。
 そう、決して自慢ではないのだ。『蒼剣の秘書』であることを自慢したいわけじゃない。けれど、自分がそうです! そうなのです! と叫んで回りたい……気持ちは――まあ、「お世話するのだわ!」と隠しておこう。
「見つけたにゃ! ショウー!」
 ぴょこんと跳ねたのは『少年猫又』杜里 ちぐさ(p3p010035)。
「改めて、今年もよろしくお願いします、にゃ! あ、僕食べ物とお酒持ってくるからショウは座っててにゃ」
 うきうきとしたちぐさにショウは「ありがとう」と頷く。今年も彼と一緒に過ごせる事が嬉しくてちぐさは尾をゆらりと揺らがせた。
「……ねえねえ、この前のパーティの時みたいにお膝乗っていいかにゃ? ダメかにゃ?」
「子供扱いだと怒らないかい?」
 揶揄う彼の了承に膝の上に乗ってからちぐさは大丈夫にゃと笑ったのだった。
 今日はパン屋もお休み。『お昼寝ひなたぼっこ』もこねこ みーお(p3p009481)は「うさぎ年だけどねこもよろしくなのですにゃ」とご挨拶。
「はいなのです!」
 笑顔のユリーカにみーおは並んだ料理を眺めては眸を煌めかせる。
「みーおはやっぱりパンが気になりますにゃ、もちもちふわふわですにゃ。
 のんびりもちもち食べて、飲んで、楽しみますにゃー!」
 沢山食べれば眠くなってきてしまう。ローレットの外で待っている猫たちにミルクを分け与えていれば、もふもふがとても暖かくて、つい、微睡みの淵へと落ちていった。
 今回のパーティーの主役は自分ではないからと『戦場歩き』クロム・S・ハーベンス(p3p000234)は穏やかにイレギュラーズ達の様子を眺める。
「よーわかんないけどパーティするっていうからアタシもいく!
 ごはん、たべる! じゅーす、のむ! あとみんなと適当におしゃべりして最高! って感じ。いえい!」
 浣熊以外にも沢山の料理が準備されていると『黒き流星』月季(p3p010632)にんまりと笑みを浮かべた。
 配膳を手伝っているのは『特異運命座標』テア・アナスタシス(p3p010620)である。ユリーカは「お手伝いありがとうなのですよ」とにんまり笑顔だ。
「さあ、新年のお祝いを! しましょう!」
 鱈腹お食べと言わんばかりにユリーカの皿へと料理を積み上げていくのは『銀の花の聖女』銀花(p3p010701)であった。
「すごくお腹が空く匂いがする。これ、どれでも食べていいの?
 えへへ、やった。お肉にお魚、うわっ口の中でパチパチする水だ。うん、びっくりしたけど甘くて美味しいね」
 普段は供物整理をして居る『供物番』ラエル・モカ・ベリアノーザ(p3p010709)ではあるが今日という日は休んでイベントを楽しめば良いと声を掛けられた。ラエルの中での正月と言えば、真っ白な餅が置かれていたり子供が泣いている――というものだが此処ではどうやら違うらしい。
 食べて、飲んで、寝るのが『救いの翼』ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)の目的だ。皆で騒ぐのも一興だと『一般人』三國・誠司(p3p008563)は並んだ料理に手を伸ばした。
 折角ならばパーティーに参加しておこうかと考えた『特異運命座標』ナイン(p3p002239)。可愛い後輩の企画なのだ、元気な顔を何時見れなくなるか分からない――と告げたナインにユリーカが不安そうな表情を見せた。
「ユリーカ。大人になったね。綺麗になったと思う。かわいいね」
「シグルーンさんもとっても変わったと思うのですよ」
 ローレットを始めて訪れた時より、うんと変化したのは『混沌の娘』シグルーン・ジネヴィラ・エランティア(p3p000945)も同じかとユリーカを見て笑う。
「あ、ユリーカさん明けましておめでとうございます! 今年も一年よろしくお願いします。
 それにしてもユリーカさん……早速レオンさんにこってりしぼられたんですか?
 私たちのために色々してくれるのはうれしいですが、あまり無茶はしすぎないようにしてくださいね?」
 ないないバールを手にしているのはお見通し。『純真無垢』メリッサ エンフィールド(p3p010291)の笑顔を見てユリーカは「皆さんの笑顔のために頑張るのです」と勢い良く振りかぶったのだった。
「フフ、今年も来ちゃったわ♪ あけましておめでとう、プルーちゃん」
 微笑んだ『月香るウィスタリア』ジルーシャ・グレイ(p3p002246)にプルー・ビビットカラー(p3n000004)は「ご機嫌よう」と頷いた。
 グラスを触れ合わせて新年を挨拶を行ったジルーシャはプルーの指先に飾られたネイルの色彩が愛おしくて堪らない。沢山の思い出とシャイネンナハトの――そこまで考えてにやけた彼をプルーは可笑しそうに揶揄った。
 静かに酒を仰ぐのは『死を謳う者』ベルトア・ウル・アビスリンク(p3p010136)と『夕焼けに立つヒト』エーミール・アーベントロート(p3p009344)。
「人の金で飲む酒は最高だぜ~~~~~!!!!」
『鬼火憑き』ブライアン・ブレイズ(p3p009563)が叫べば、幾人もが同意する。人の金で食べる食事も勿論最高なのだ。
「新年のお祝いパーティーですわね!
 とりあえず飲んで食べて騒いでテキトーな方としけこめばいいんですの?
 あ、風紀上しけこむのはなし? KENZENな範囲で? はい」
 しょん、とした宵待月 弦佳(p3p009619)はこの際、飲み比べをしましょうと提案する。酒の在庫は無数に存在し、飲み比べを楽しめそうである。
 面倒事を姉に押し付けたという『星の巫兎』星芒 玉兎(p3p009838)はのんびりと酒を飲んでいた。酔えはしないが酒の舌触りは嫌いではないのだと盃をくい、と煽れば心地良さが体内を巡った。
 賑やかな様子を楽しんでいる『影渡り』稀瀬乃 セン(p3p010066)に弦佳が「飲み比べ致しませんこと?」と声を掛ける。平時は影に潜んでいるセンも賑やかな空気には巻込まれてしまったようだ。
「あー、何よアンター! 逃げんじゃないわよー!
 一緒に寝ゲロするぐらい飲むじゃんよー、さっさとこっち来なさいよー!
 あっはっはー、今日はとことん飲むわよユリーカ!
 タダ酒なんだから、カッ食らわないと損ってもんでしょ、損!
 ほら、グラス空いてるわよー、ほら飲んで飲んで! 杯を乾すと書いて、カンパーイ!」
「ぎゃあー助けて欲しいのです!」
『ハイテンションガール』郷田 京(p3p009529)に掴まったユリーカがばたばたと脚を動かしている。京の勢いに飲まれたら本当に潰されてしまう。危機感をきちんと持てる女ユリーカ・ユリカなのだった。

●幻想I
「混沌に来てもう6回目の新年なのですね」
 そう呟いたのは『旅人自称者』ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)。新年を過ごすと言えばローレットで野事だったが今年は幻想王国を見て見ようと街へと繰り出した。
 この6年で最も多く関わったのは幻想。顔を知っている民も多いが、それだと見て回りたい新年の様子にもノイズが入る。
 今回はお忍びでの探索と洒落込もうではないか。
 偶には一人で街歩きを楽しんでいるのは『剣の精霊』ラグナロク(p3p010841)。新規開店のドーナツを購入し、『魔法騎士』セララ(p3p000273)へのお土産にするのである。
 一方のセララはと言えば、頭痛がしていそうな護衛騎士を伴にしてフォルデルマン三世を外に連れ出そうと考えていた。こっそりと抜け出して一緒に出店を回るのだ。
 チョコバナナや焼きそば。フォルデルマンが楽しみにしているが――先ずは王城から抜け出すスニーキングミッションが必須だろうか?
『ロクデナシ車椅子探偵』シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)はと言えば、何時もトレーニングで読書を行って居たが軍師ともあれば起因ある事があれば対応するべきだろう。
「そうだな……資料検索をして、今後はバックヤードから仲間達を支える術でも学ぼうか。
 政治……仲間のケア……戦術ではなく戦略を立てる事を学ぶ……それからこれは、料理か……」
 料理を学ぶことだって、立派に仲間達を支えることに貢献するだろうとシャルロッテは敢て、料理を学ぶこととしたのだった。
 自身の領地でのんびりと過ごす『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)はふと物思う。
「アーベントロート領だからこれ、リーゼロッテが処刑されてたらここもダメになってたんだよね。
 ……それと、こうしてローレット・トレーニングで行ける場所を考えてみると、鉄帝だけじゃなくて無辜なる混沌中がちょっとアレだよね。いつまで動乱が続くかわからないけど、オイラ達ができることをするためにも今は英気を養わないとね」

「私の布教活動、さあ、手伝って下さいね」
 淡々と告げたのは『自称天使』ティアブラス(p3p004950)。彼女に同意したのは『闇惑星』Dark Planet(p3p001915)であった。
 今日は皆で布教活動なのだと『黒金の大鬼』無鎧(p3p002545)と『虹の騎士』エレム(p3p003737)は護衛役として街を征く。
「布教勝負ですか? 良いでしょう良いでしょう」
 胸を張るのはアルテラ・サン(p3p008555)。「やってみるでアル!」と大仰に頷く『雷武』王 虎(p3p007117)もやる気は十分だ。
 何故自分が布教活動の手伝いをしているのかをクライム(p3p006190)は理解していないが、それも又、何かの縁なのだろう。

 \あけましておめぺりおん!/

 明るい挨拶と共にやって来たのは『緋色の鷹翼』カイト・シャルラハ(p3p000684)。
 ハイペリオンハウスに座していた『神翼獣』ハイペリオン(p3n000211)は音楽を奏で、一緒に踊り、甘い菓子を食べる――のは何時も通りだろうかと首を傾げた。
「折角『新年』なのですし、それらしいことをしてみましょう。
 ええと……あっ、かがみもち!」
 頭に蜜柑を乗せペリオン様。そんなハイペリオンに瞳を輝かせたのは『うそつき』リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)。
「あけましておめでとーーーーーーーーハイペリオン!!!!!!」
 有り難いほどのもふもふが目の前に存在している。冬でもハイペリオンはとっても暖かいのだ。
 参道は中央を酒、初日の出を向かえる『太陽の翼』澄恋(p3p009412)は花手水改め四葉の白詰草手水を済ませてからお賽銭を納め――『スウウウウ――――』していた。
「ああ〜ハイペリオン様おはようございましたお久しぶりでスゥー!
 今年もハイペリオニウムで肺を満たせたため大吉間違いなし
 眼前が七色に煌きもふりもふられ多幸感に呑まれるこの懐かしい感覚……嗚呼っ良き一年の確定演出に違いありません!」
 スウウウ――――と吸っていたカイトはこれこそ神聖なのだと笑みを浮かべる。水でお清めをして、心ゆくまでハイペリオン吸いを楽しみ今年の幸運を祈るのだ。
「コャー」
『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)は丁寧に明けましておめでとうございますとハイペリオンに挨拶をした。
「やはりわたしとしてもおめでたい行いをした方がよろしいのかしら~? 傘を回すやつの玉を炎にしたバージョンとかならできるけれども」
 ゆくゆくはハイペリオンランドを観光名所にすることこそが目的なのである。『剣の麗姫』アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)はと言えば、この地はハイペリオンランドと言うよりも『神翼庭園ウィツィロはハンマーの聖地』という認識だ。
(今年も一欠片の幸運と偶然で新しいクラスが見つかりますように──
 ……ついでに難解な条件のクラスが少なくありますように。
 それとパッシヴが……いや、これは拝む対象が違うような気がしてきたわ。この辺りにしておきましょう)
 祈る対象がちょっと違うキモしたがハイペリオンをふかふかして楽しむだけでも幸せな心地になれるのであった。

●幻想II
 散歩をしながらの見回りも重要な仕事でトレーニングだ。『彷徨う銀狐』妖樹(p3p004184)は雪の積もった幻想の街をのんびりと歩む。
 美味しいご飯はあるだろうかと掌で舌がぺろりと見える。『傍らへ共に』アイリス・アニェラ・クラリッサ(p3p002159)は華やぐ街を見回した。
 当たり前の日常だからこそ、当たり前に領地で過ごすのは『妖艶なる半妖』カレン=エマ=コンスタンティナ(p3p001996)。
 ギルドの庭の手入れをする『白き寓話』ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)は雪化粧にあわせて整えたいと白く染まった庭園を眺めていた。
 皆との対話は穏やかな心地となる。それが幸せと呼ぶ瞬間なのだろうか。
 主人が出掛けた事で、領地の書類整理をしているのはソニア・ウィーピング・ウィロー(p3p009677)だった。
 領地の視察も重要な仕事だと『月光ミセリコルデ』ディアナ・リゼ・セレスティア(p3p007163)はバルツァーレク領に存在する自身の領地に赴いた。
 昨年は様々な困難があった。此度は領地でのんびりと過ごすのも良いだろうと『盲御前』白薊 小夜(p3p006668)は疲れを癒やす。
「……新年おめでとう、ございます。シロ、クロ」
 居候先にしている廃教会が雪で埋もれてしまわないように『真白き咎鴉』閠(p3p006838)はせっせと雪かきをしていた。
「普段通り過ごせるって、幸せなことなんだな」
 呟いた『暖かな記憶』ハリエット(p3p009025)はシャワーを帯びて鏡を見て、驚いた――何てことが増えた日々を思い出す。
 鏡に手を当てれば嘆息するしかない。仕事をすれば報酬が貰える.それに変わりはない。暖かいベッドで眠ることだって出来るのだ。
(召喚前には、自分はいつかのたれ死ぬと思っていたんだけどな)
 傷だらけの自分は、どうやら今には満足しているようだ。

「よう、ヒーロー。あけましておめでとうございます。新年一発目の運試し、どうだい?」
 揶揄うように声を掛けたのは『怪人暗黒騎士』耀 英司(p3p009524)。対する『宇宙の保安官』ムサシ・セルブライト(p3p010126)はぴしりと背筋を伸ばした。
「おお、英司さん!あけましておめでとうございます、でありますよ!
 一年の計は元旦にあり。最初からフルスロットルで相手させてもらうでありますとも!
 始めは軽い格闘ではあったが、徐々に熱が入っていく。英司にとってムサシは青い部分もあるが、それ故に眩しいヒーローだと認識出来ていた。
「ハ、正月太りでもしたかい!?」
「そっちこそ、体を鈍らせてないでありますよね!」
 混沌へと訪れてムサシが憧れたヒーローとの手合わせだ。自然の心も高揚する。
「この力を何のために使う!」
「この力…命を守り救うために使い続ける!!
 今の自分は、誰かを照らす光。そうありたいと思っているでありますから!」
 眩いねえと笑った英司にムサシは勢い良く飛び込んだ。

「今年は新年の予定もないしまたJBシリーズを見直すマラソンでもするか……。
 ん? 外が騒がしいな。兎が逃げた? まぁ暇だし手伝ってやるか……」
 やれやれと肩を竦めた『導きの戦乙女』ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)は「ん!?」と驚天する。
「うさぎちゃん達が逃げ出しちゃったなんてたいへーん! オッケ―分かった、みんなで手分けして捕まえよう!」
 凶暴なジャイアントバニー(略してJB)が混じって居る事に恐れ戦くブレンダに気付かぬまま『ジャック・バニー』タイム(p3p007854)はウサギを集めている。
「なんや兎さんが逃げ出したって言うから小屋に戻す手伝いしに来たんやけど……、めちゃくちゃ体の震えが止まらん。
 おかしい、相手はただの兎。あの映画にいたモンスターとは違うはずや。そう、こんなもん慣れとるわ!
 のんびりしてる兎さん捕まえるくらいちょちょいのちょい、ばつん――ばつん? ば、馬鹿な! 俺のローラーシューズのローラーが!? うわあああああ!」
 何かが起っている。好戦的な兎さんが『無視できない』カフカ(p3p010280)に向けて飛び込んできたのだ。
 ウサギはもふもふして居てとっても可愛いものだと認識していた『黒靴のバレリーヌ』ヴィリス(p3p009671)は首を振る。
「私の知ってる兎は『フゥン?』とか『ハァ?』とか言わないものー! それになんだか赤く汚れてるのは見間違いよね!?」
「フウン?」
 迫ってくる。凶暴な兎。『ノームの愛娘』フラン・ヴィラネル(p3p006816)は突然ブレンダに肩を掴まれた。
「……あれは!
 いざという時のカフカ殿とフラン殿!困ったときは盾にしよう! 私たちの仲だろう? な?」
「!? ええ!?」
 カフカが狙われている内に逃走するのだと二人揃って走り出す。
「ジャイアントバニーことJBって子もいるんだって……さっきのアレ、そうだよね……ひぃ! 出た! JB! あっタイムちゃんかぁ~」
「え? どう言うこと?」
 首を傾げるタイムは未だあの惨状は見ていないのだろう。ウサギを集めているタイムと別れ、可愛らしいウサギを抱き上げたフランの下へと『忠犬』すずな(p3p005307)が走り寄ってくる。
「おやおや? タイムさん? まだそんな数しか捕まえてないんですか?
 私の方がたくさん捕まえちゃってますよ?????? これは今日の賄い一品頂きですね」
 と煽っていたのは少し前の話だ。
「――ってうん? なんですかこの嫌な気配は。どこかで感じたような……ハッ! まさか、居るというのですか――あの生物が!
 に、逃げなければ……! あっ!!!!!!
 フランさん! カフカさん! たすけて!!!!!! タイムさん、じゃなかった、JBが! JBの気配が!!!!!!」
 死屍累々。手を伸ばすすずなにフランは「こっちにこないでー!」と逃亡し始める。
「まさかリアルJBに遭遇するとはな……まさか映画も本も」
 ブレンダも、ヴィリスも何処かに消えてしまった。タイムは「あれが噂の、あ、フランちゃん、後ろ」と言ってから意識が途切れたのだった――

 猫は良いなあとのんびり過ごしているのは『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)。炬燵は暖かく猫たちも嬉しそうである。
「メテオ兄様、どこいったんですのー!?」
 きょろきょろと『物語領の愛らしい子猫』ミニマール・エアツェールング(p3p010937)を抱きかかえて探すのは『物語領の兄慕う少女』コメート・エアツェールング(p3p010936)。
 ミニマールは「ふにゃあ」と鳴き声を漏すだけだ。猫――の振りをしているミニマールをコメートは可愛がっていた。
「あっ、いた! メテオ兄様ー!」
 呼び掛けられて振り向いたのは『物語領の猫好き青年』メテオール・エアツェールング(p3p010934)。
「2人とも、特に変わりはないですか?」
「ええ、物語領に特に異常はありませんわ」
 あ、いや、と言い淀んだメテオールに本当は自身等のことを聞いたのだろうとコメートは気付きながらも笑みを浮かべた。
「かまくら……というものを作り、中に七輪をいれれば温かくなり、もちを焼くと良いらしいですね」
「かまくら? ……ええ、幻想でもそういうものを見かけます。
 七輪で焼いたもち…おいしいけどよく噛んで食べないと危ないのですわ」
 他の猫たちも興味深そうに見てくるだろう。かまくら作りというトレーニングに三人で取り掛かる。
 ふと、寝正月も何だからと散歩をしていたヨゾラは「僕も混ぜてー!」と手を振った。四人でならば、楽しく過ごせるはずだ。うさぎ年にぴったりな友人もコメートやメテオールに紹介したい。かまくらが出来たら次の予定を話し合おうではないか。

●幻想III
 しんと静まっていたサリュー地方にやって来た『蒼剣の弟子』ドラマ・ゲツク(p3p000172)はサリュー秘蔵の書物の閲覧許可を貰っていたのだと思い出した。
「こちらのお屋敷での戦いは本当に、骨が折れる思いでしたよもう。
 あのいけすかない魔術師もいなくなりましたし、平和も平和万々歳です!
 ……梅泉君一派は雇い主不在ですが、元気にやっているのでしょうか?」
 そういえば、パーティーにも顔を出すと言っていた。閲覧許可を得ている本をそそくさと移動させようとするドラマの背後に――?

 ――誰が呼んだか山賊峠。『山賊』グドルフ・ボイデル(p3p000694)は何もしても良いと言うなら山賊狩りも一興だと立っていた。
「おらおら、ビビってんのかカスども! 久々にこの最強の山賊、グドルフさまが相手してやるぜ。てめえらのカネで、いい年越しを迎えてやるからよ!」
 悪党共が夢の跡。自分以外の山賊は不要であり、山賊という悪が減り、グドルフは宵越しの金を得て、鍛錬にもなる。詰まりは一石三鳥なのだと彼は笑うのだった。

 新年がやって来た。黒狼隊の屋敷では『黒狼の従者』リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)がおせち料理へと挑戦している。
 新年に作るものではないと聞いたときは驚いたが、年末に準備をしていなかったのだから年始に用意するべきなのだろう。
「最近はわりと好きな物を入れて良いみたいですが……できる限り和風の物を作ってみましょう。
 卵焼きや煮物くらいは作れますからね。焼き魚も良いのでしたっけ? ……鯛や鰤がオススメとか。ふむ……
 余ったスペースにはローストビーフやエビフライを詰めておきましょう。形は違えどなんとなく縁起は良さそうので良いでしょうか?」
 主人は何と云うだろうと想像してから夕飯を楽しみにしていて欲しいと口添えして。

「くっくっくっく……漆黒の闇より使徒として契約を果たしに来た。
 黒きサタンの衣を纏う者、此処に。幼き若葉達のお相手は九つの命を持つ黒き獣がやってくれるそうだし。
 我は新しき世界を迎える時にふさわしい行い、塵芥のデストロイをするとしよう。
 窓枠の隅、棚の上とかは幼き若葉では気づかず、若葉を育む者は師走から見逃すことがあるからな……我がしっかりと始末しよう」
 そう告げるは『完璧な執事を目指す執事』パーフェクト・サーヴァント(p3p006389)。詰まりは孤児院へサンタしに行き隊の活動なのである。
『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)が中心となるが、主な目的はアドラステイアの決戦が終われば子供達を保護する場所を作っておきたいという事なのだが――
「ウェールさんだけだとデカいおじちゃん怖い……とか言われそうなのでレーさんが参上っきゅ!
グリュックに着せるサンタ服は当然ミニスカを用意するっきゅ!
 男が多いから目の保養的にしょうがない事っきゅ……真面目な事じゃなければウェールさんのサンタ服をミニスカに変えたかったきゅ」
 油断するのがわるいっきゅ、と告げる『希うアザラシ』レーゲン・グリュック・フルフトバー(p3p001744)はウェールを可愛くしようとしたのだろう。
 マスコット枠のレーゲンは子供達の遊び相手をし、孤児院とのやりとりが円滑になるように時を使う。
 子供たちへと『お話会』をする『お外はワクワクしますのにゃ』蔵音 アステール(p3p007937)は子供受け逸そうな即興の演目を語り、心を揺さぶっていた。
 嬉しそうなその顔を見るだけで喜ばしいものである。可愛らしい者達が子供の相手をする中、人相に自信はないという『散らぬ桃花』節樹 トウカ(p3p008730)は荷物の積み下ろしを担当していた。
 花びらを散らせば子供達は「お兄ちゃん怖くない」とトウカにも酔ってきてくれる。菜園のアドバイスをしていた『記憶が沈殿した獣』新妻 始希(p3p009609)はついでに夕飯の用意をしようと白菜と豚バラ肉でミルフィーユ鍋を提案していた。
「豚バラが金銭的にきついなら鶏肉をミンチにしてロールキャベツとかも良さそうです?」
(ご飯はよく噛んで食べましょう。お餅は喉につまらないよう少しずつ細かく食べてね――)
 そんな思いの花弁が舞い散る中、食卓を如何に豪勢にするかを考えるサンタさん達なのであった。

『宝石の魔女』クラウジア=ジュエリア=ペトロヴァー(p3p006508)は「新年祭じゃな!」と微笑んだ。
「儂のアトリエでテキトーに祝って騒ぐのじゃー。……といっても下戸ゆえ、ぼーんやりとする感じが多いのじゃろうが。
 ちと年末までのしばらく、色々と立て込んでおったからのう。今年はもっと動けるとよいのう、うむ」
 そんなクラウジアの傍でのんびりと過ごしているのは『特異運命座標』カカリカ=クリコ(p3p009675)であった。
「……今年はお世話になっている魔女さんの所で新年会だね。妹もいたら良かったのに、とは思うけど詮無きことかな」
 ぱちくりと瞬きながら図鑑を手にのんびりと過ごす。それも良い時間なのだ。

●幻想IV
「ふふん、今日は先輩の邸宅でお茶会です♪」
 メイドさんですよと微笑んだ『紫苑忠狼』那須 与一(p3p003103)は早速給仕のために『紅矢の守護者』天之空・ミーナ(p3p005003)の手製のクッキーをセッティングしていた。
 陽気なBGMでやってきたのはシャーヴィ(p3p010935)であった。
「初めてのご利用ありがとうございますニャン!
 ぼくは猫型配膳ロボットのシャーヴィだニャン!
 ご注文の品をお届けしましたニャン! ご注文の品を受け取ったらタッチパネルの完了ボタンを押してね!」
 最近、練達でもよく見られる配膳ロボット――なのだろうか淡々とシャーヴィは対処している。
「……あ、このスコーン美味しい」
 方丈土産の御身自慢中を手にしてやって来た『からっぽのイリー』E・E ・R・ I・E(p3p010900)はゆっくりと皆の意見に耳を傾けることに決めていた。
 そう、此度の集まりは戦術についての話し合う機会である。何も分からないけれど、とちょこりと座ったのは『普通の女子高生』柳田 瑠璃(p3p010754)。どうかやばそうな人が居ませんように――と緊張しながら周りを見回した。
「わぁ、なんか楽しそうなお茶会が開かれてる! 私も参加したい!」
 近くに居た『誰か』の姿を借りて参加する『サキュバスライム?』ネクタル・S・ライム(p3p006674)は背筋をぴんと伸ばして戦術についての討論を待っている。
「さ、勉強の時間よ」
 講師役として立っていたのは『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)。暖炉のある邸宅で茶菓子を摘まみながら皆で戦術を組み立てるのだ。
「ひひひ。お菓子につられちゃいました。いえいえ、私もお勉強させていただきます。はい!」
 菓子を掴んでいた『こそどろ』エマ(p3p000257)は「エマ、戦術の基本は?」とイーリンに声を掛けられて背筋をぴんと伸ばす。
「戦術の基本ですか。ええっと……適切な戦い方を覚えて実行すること、ですかね。
 そしてそれには、とにかく機動――すなわち移動が大事です。どこかの誰かが言っていました。移動こそが戦術だと。
 相手の間合いを外しこちらの間合いを押し付けるのも、壁を乗り越え相手の虚を突くことも、とにかく戦いにおいて適切なポジションを取ることはみな移動によってなしえることでして、えひひひ」
「そうね」と頷いたイーリンが『矜持の星』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)の口へと菓子を運ぶ。
「えっと……イーリン先生、戦うときに気をつけることは、なんですか?」
 イーリンに教導を求める『人魔の間で揺れる魂』Lily Aileen Lane(p3p002187)。手土産の東京ゴリラを茶請けにしながらメモを書き、相槌を打っている。
 相手の能力が不明なのか、数で負けているのか、地形不利なのか。原因を追及することが大切だとイーリンは告げる。
「大規模戦闘でも同じ。どんな戦いでも『強み』で戦わない人間は居ないの」
「……随分と色んな戦術があるんだな」
 サポート役を担うことの多い『海賊淑女に愛をこめて』浅木 礼久(p3p002524)は驚いたように頷いた。
 コミュニケーションが怠いからと余り戦場に出てこなかった彼ではあるが、護りたい人のためならば斯うして学ぶ機会も必須だろう。
「そうだな……戦術って程でもないが、基本の基本を話そうか。
 生き残る為に大切なことさ。それは、よく視るってことさ。敵の動きだけじゃない、敵が何をできるか」
 ミーナは敵も味方も関係なくよく見ることこそが一番大切だと告げた。何を補うにしても、それは必須の技能だ。
「戦術、でして……?」と首を傾げたのは『開幕を告げる星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)。
「効率よくずどーんする方法は色々知ってますけども……
 例えば敵を一直線上に並ぶような感じの位置取りをしたり、ある程度離れてる2人の敵に対しては、どちらか片方に詰め寄って貫通で両方ともずどーんすることを狙ったり。とかでして!」
 そんなルシアの話を聞きながら『白い影』ミリアム・リリーホワイト(p3p009882)は駒を動かし「はいはい、なるほどねぇ?」と皆に分かり易いように練達謹製『プロジェクター』を思わせるサポートで解説を続けていく。
「なる、ほど。どれも正しく、重要なことばかり、だ。正直言って、マリアから更に出せる意見は……ふむ。
『考える』ことと、『考えない』こと。相反することだが、どちらも必要、だ。
 敵の倒し方、殺し方、或いは生かし方。自身の強みを発揮する術、仲間の強みを活かす術。
 それらを考えて、考えて、考えて、思考を止めないこと。考えられる限りを突き詰めることで、活路は見える」
 こくこくと頷くエクスマリア。
「……しかし、中々興味深いものですね、戦いの中で見出した、皆様なりの答え。当機にも、いつか答えが見出せるのでしょうか」
 E・E ・R・ I・Eはそう呟きながら茶菓子を頬張った。

●幻想V
 ――目を覚ませば知らない天井に清潔な寝具。ゆっくりと身体を起こしてから『水底にて』ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)は息を吐く。
「ここは……?」
 少しずつ、鮮明になっていく記憶。貫かれた腹に泣いているルル家、怒るシキと見守るリア。それからリンドウの顔が朧気に思い出される。
「そう……ですか。皆様、無事に新年を迎えられたのですね。
 ……どうして、自分はあんな事をしたのか……少しだけわかりました。なんだかんだで、私はまだ”普通の人間”の感性を捨てきれていないんですね」
 自分という存在が、どれ程許されないものなのかを分かって居る。
 それでも、まだ――あと少しだけでも、生きていたいだなんて。
 破滅主義者『だった』自分を思って唇が吊り上がった。
「……どんな顔をしているんでしょうかね、私は」

 果ての迷宮へと踏み込んだ『観光客』アト・サイン(p3p001394)はその血と向き直った。
(僕がこの混沌に呼ばれた理由。それはこの果ての迷宮を踏破するためにほかならないと僕は考えている。
 僕の人生はダンジョンを攻略するためにあり、人生を捧げても攻略する価値のあるダンジョンがここにある――改めて浅い階層に足を踏み入れてみよう)
 その地に初めてイレギュラーズが踏み入れた頃と比べれば随分と経験の差も出ている。
 だからこそ、自分が何処まで行けるのかを確かめたいのだ。ただ、真っ直ぐに、己を高めて限界を見据えるが為に。

「トレーニングって言ってももう大分強いですものねえ……かといって飲み食いするのももうマンネリですし?
 そういうワケじゃないケド、ま、トレーニングなら仕方ないわよねえ? クーア♪」
 男漁り――失礼、魅了の術を掛けに行くのだと出掛ける『雨宿りの雨宮利香』リカ・サキュバス(p3p001254)に「付き合いましょう」と『雨宿りのこげねこメイド』クーア・M・サキュバス(p3p003529)は頷いた。
「クーアにはもっともっと穢れて貰わないと…♪
 というわけで早速路地裏で誘惑しないとねえ……っていってもま、すぐに人が来ないからスキンシップでもして遊びましょう?」
「新たに得た魔眼の具合も確かめたいところでしたしね。にひひ♪」
 二人はまるで些細な悪戯でもするように笑い合ったのだった。

『召剣士』パーシャ・トラフキン(p3p006384)と『海軍士官候補生』アンジュ・サルディーネ(p3p006960)、それから『月輪』久留見 みるく(p3p007631)の三人娘。
「去年はみるくちゃんのお家にお邪魔してしまったし、今年は私の家でお正月を過ごすと約束したんです。
 ふたりとも、いらっしゃい! お父さんもお母さんも、歓迎してくれてるよ」
 嬉しそうなパーシャに「こんにちは」と礼をするのはみるく。「お邪魔します!」と微笑んだのはアンジュである。
「あ、ウォランスだ! 元気? メッチャ太ったね」
 トラフキン家のエンジェルいわしのウォランスと戯れるアンジュ。緊張しながらも挨拶をしていたみるくがぐるりと振り向いた。
「本日はお日柄もよく──って、アンジュ! どこをほっつき歩いてるのよ!」
 顔を赤らめたみるくを連れてパーシャがやって来た部屋は可愛らしく少女らしい。アンジュは「かわいいー!」と叫んで勢い良く飛び込んだ。

「ユリーカが囮になってくれている今の内ですわよ! 上手く行けば分け前ももらえるということですし、頑張りましょうねマリィ。
 たくさん手に入ったら、革命派の皆に美味しいものを食べさせてあげましょう!」
 ――何てことを言っているんだ。『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)はローレットの金庫を空っぽにしようとしていた。
 抜き足差し足忍び足。あくどいことを言っているヴァレーリヤに「そうだね、ヴァリューシャ!」としているのは『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)。
「ふふ! やはり囮と言えばユリーカ君だよね! そうだね! そうだね! たくさんゲットして革命派の皆に美味しい物を振る舞おう」
 倉庫に何てことをするつもりなのだ。それでも二人はこそこそと進んでいる。
「マリィ、そっちも誰もいませんわよね?今のうちにいきますわよ! バールで金庫をこじ開けて……ふぎぎぎぎ、か、固いですわ!
 ちょっと手伝って下さいまし! せーーーのっ!」
「うおー! まかせて! ぱ、ぱわー! パワーを込めるよ! 開けー! ふふん! 私達にかかれば金庫如きこんなものだよ! 無敵すぎて世界に謝罪しなくては……」
 ――そんな二人の後ろには黒い影が存在していたのだった。

「イヤ斡旋してもらった仕事が失敗続きだからご機嫌伺いとかそんな。
 あっこれツマラナイモノですがお納めクダサイ。看守のミナサマの分もありますんでハイ」
 そんな『悪しき魔女』極楽院 ことほぎ(p3p002087)にローザミスティカは「良いんだよ」とことほぎを見て笑った。
「面白い話を聞かせてくれるんだろう?」
「まあ。幻想じゃ暗殺令嬢の件が落着したと思ったら黄金双竜の方がきな臭いだとか。
 鉄帝は皇帝が負けて魔種が頂点に立っちまったモンだから内乱で乱痴気騒ぎだとか。
 竜宮は落ち着いたとも聞くが……他はまー似たり寄ったりで、どこもかしこも混沌としてきたってカンジ?
 まーオレ以外からも情報は拾ってるだろーケド、イレギュラーズからみたハナシってのもなんかの足しにはなんだろ」
「面白いじゃないか。話し相手をしてくれるだけでアンタはアタシにとっての良い駒だからねえ」
 そう言いながらもことほぎの事を心配していたのだろう。ローザミスティカは「外は危険だから気をつけるんだよ」と言い含めた。

 何時もは酒を飲みながら過ごしているが今年は演技の練習をするのが『あいの為に』ライ・リューゲ・マンソンジュ(p3p008702)の目的だ。
 地雷系ファッションを身に纏った新しい『嘘』の姿。感受性が強すぎる女の子の演技をして人の多い場所を練り歩くのだ。
「えぇ~? 私別に男受け狙いとかじゃなくてぇ~好きな服を着てるだけっていうか?
 やーん、私、カシオレくらいしか飲めないんです~♪」
 そんな在り来たりなものでも男性を釣れば『こちらのもの』なのである。

 肩慣らしに獲物を狩ろうかと『老いぼれ』バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)は一人で森に入っていた。
 一挙手一投足、慎重に確実に獲物を狙う。命のやりとりは真剣なものだ。
「ふぅ、鹿を仕留めるのにやっぱり時間喰っちまったな。歳はとりたくないもんだ」
 狙いは頸動脈だったが、どうやらずれていない。状態も悪く無さそうだ。
「これなら皮も頭も良さそうな値段で売れるだろ。……まあそこは本題じゃなくメインはやはり肉だ。
 内臓は処理して、その後はどうするか。やはりシンプルに焼くか、どっかの料理店に持ち込むのも良さそうだな」
 ローレットでもジビエ料理を楽しんでいるというのだから其方に顔を出してみるのも良いかも知れない。

●幻想VI
「新年明けましておめでとうございます。縁起物の木彫りをお持ちしましたので、よろしければお収めください」
 掌サイズの木彫りのウサギを差し出したのは『アートなフォックス』生方・創(p3p000068)。
『羽根撃ちの』ティーデ・ティル・オーステルハウス(p3p009692)がデザインし、創が彫り異界の神の守護騎士志望』エリシル・ルクレツィア・クラッド(p3p001810)に装飾を願った逸品だ。
「三人で丹精込めて作らせていただきました。どうか、貴方様に一年、幸運がありますように」
 久方振りにノミを握ったわけだが、良いものになったとエリシルは認識していた。
「木彫りっちゃ木彫りだが、彫金細工も施してあります。見栄えは十分かと存じます」
 自信満々に告げたティーデにフォルデルマン三世は有り難うと頷いた。
 捜が探すのはガブリエルだ。バルツァーレク卿にも、と三人で作成した物がある。
「果たして今年一年、どのような年になるだろうな……」
 そう呟き食事を取るエリシルに「お嬢様のところに行ってくる」とティーデは告げた。視線の先には昨年、父と娘という不可避な関係性で大きく立場の揺らいだ娘が居る。
 余り晴れの日――という気分ではないと『暗殺令嬢』リーゼロッテ・アーベントロート(p3n000039)は感じていた。
 ある意味で喪中とでも言うべきか、幼馴染みが亡くなり父親は『アレ』だった訳ではあるが暗殺令嬢は落ち込んでばかりで居るような娘ではない。
 鬱憤を晴らすかのように華やかにパーティーを過ごす予定なのだ。
 ふと、リーゼロッテの前に見えたのは『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)……ではなく『ツクヨミ』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000668)であった。
「ツクヨミ、と言いましたか。女王様と外見が瓜二つ。
 世界には同じ顔が3人いると言いますが、アナタもその類です?」
 首を傾いだのは『ゲーミングしゅぴちゃん』DexM001型 7810番機 SpiegelⅡ(p3p001649)。
「シュピーゲルさん。折角ですし食事の方を見て回りますか。
 普段は口に出来ないようなものが沢山ありそうです。
 巫女は清貧を尊ぶものと思われがちですが、神の依代というお役目の性質上結構生活水準的には贅沢なのですよね」
「はぁ、食事ですか。シュピはあまり興味が無い分野ですが。
 ……確かに。来たのに何も戦果を得られなければ、送り出していただいた整備員の皆々様に顔向けできませんな」
 こくこくと頷いたシュピーゲルにツクヨミは「早速参りましょう」と提案をして。
 刃桐 雪之丞(p3n000233)は幾度と轡を並べた相手に誘われ、断る理由もないとパーティー会場に訪れた。
 クリスチアンを喪失したサリューの人々の顔つなぎは頼まれたからには確りと熟したいと彼は考えていた。
「梅泉一家の皆様が今後もお屋敷に居住できるよう、お力をお貸し寝返るか聞きに行きたいのです」
『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)はプランを雪る雪之丞へと提案する。
(クリスチアン……彼は、少なくともサリューにとっては良い領主だったのでしょうね。
 何度か訪れた時にも悪い評判は全く聞かなかった位。代官が派遣されるにせよ、誰かが当主を継ぐにせよ。人々に落ちる陰は深く、長く続く筈)
『氷月玲瓏』久住・舞花(p3p005056)は背筋をぴんと伸ばして礼を言った。
「……雪之丞さん。来てくださって、本当にありがとうございます」
「変な話だが、むしろ礼を言いたい。
 ……世は常にままならぬものだが、此度の勝利はさしもの俺も苦かった故」
 そんな彼を連れてこれからサリューに向かう事になる。演説は寛治に任せ、出来る限りのサポートを行なうと舞花は決めていた。
「ローレットの新田寛治です。非公式ですが、リーゼロッテお嬢様の使者としてご認識いただいて構いません。
 サリューは今後、当主に近い名代が来るか、アーベントロート直轄となるでしょう。
 私はクリスチアンとは『盟友』とでも言うべき間柄でした。彼はお嬢様を救うため、その命を賭したのです」
 ――サリューにて青年はそう語ったという。

「リーゼロッテ様、明けましておめでとうじゃよ! 今年も宜しくじゃよ!」
 堂々と声を掛けたのは『黒鉄守護』オウェード=ランドマスター(p3p009184)。蒼薔薇のカフスが心を落ち着かせてくれたようでもある。
「今日はゆっくりと休みながら楽しむがいい! ワシも出来る事ならやろうと思っている!」
 何だって言いつけてくれと胸を張ったオウェードに「有り難うございます」とリーゼロッテは頷いた。
 のんびりと過ごしている『溶融する普遍的な愛』Melting・Emma・Love(p3p006309)はリーゼロッテを見付けて手を振った。
「……はあ、やれやれ。挨拶一つとっても腹の探り合いばかりで気疲れしますねえ……。
 ま、私の言えたことではないのですが……ククッ」
 フィッツバルディ派貴族とへの挨拶回りを行って居た『微笑みに悪を忍ばせ』ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)はくつくつと喉を鳴らして笑う。
 貴族達が山のように居る空間でリーゼロッテは一人立っている。
「お嬢様。本年もよろしくお願いします。
 年が明けまして何かと忙しいかと思います。
 我(わたし)にお手伝い出来ることがございましたら、どうぞお気軽にお声掛け下さいませ」
 美味しい甘味処を見付けたのだと告げるレジーナはリーゼロッテを気遣う。
 一曲を伴に出来れば、彼女の気も少しは晴れるだろうか。賑やかに過ごす事でつぼみが花開くような笑顔を見せてくれるだろうとシャンパングラスを捧げて「酔っては如何ですか」と囁いた。
「暫くご迷惑をおかけするかも知れませんけれど。
 棘の痛みにずっとべそをかいていたら、きっと笑われてしまうでしょう?」
 気丈な彼女の笑みにレジーナは頷いて。

●鉄帝I
「ハッピーニューイヤー! みなさん、明けましておめでとうございます!
 お祝いする気分じゃない、ですか? いえいえ! たとえ去年が不幸でも!
 今年はきっとハッピーですよ! なぜなら、そのためにわたしたちが来たからです! たとえば、探し人や失くし物は無いですか?」
 にっこりと微笑んだのは『鉛筆転がしの』フィナ=フォルトゥナ(p3p008257)。何だって幸せにしてみせるつもりなのだ。
「新年、あけましておめでとうだね!
 今年も青空の精霊種、嵐を呼ぶ魔法(砲)戦士マリオンさんをよろしくだね!」
 にんまりと笑顔を浮かべたのは『嵐を呼ぶ魔法(砲)戦士』マリオン・エイム(p3p010866)。
 新年が明けても鉄帝国内は未だ動乱の最中でアル。男性モードに身を切り替えて修行の一環として国内を見回る。
 今年もマリオンは懸命に人命救助に駆け回るのだ。
 サングロウブルクで帝政派の者達と一緒に訓練をする『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)は統治が助けになるだろうと考えていた。
 そうして共に過ごすことで親交を深めることが出来る。それぞれの立場からどの様に感じているかを識る事が出来るだろうというのが此度の狙いだ。
「他にもイレギュラーズに求める役割と行動、逆に自力で行いたい事項、他勢力への認識、不足している物資の内容……聞きたい事は沢山あります。
 もしかしたらそういった事をしている時間は無いかもしれませんけど、やれる事をやれるだけやってみます」
 やる気十分のオリーブを慕う者達が幾人も増えてくる。寒々しい冬だが、それを乗り越えるだけの地力を派閥に付けてやりたいものだ。
「お久しぶりですっ! みなさんお元気でしたか!」
 ボーデクトンやユージヌイなどの縁ある土地での挨拶を行った『無敵鉄板暴牛』リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)は村々を訪ねて歩きドスコイマンモスと共に挨拶巡りの行群だ。
 鉄帝国では寒さも情勢も厳しいが、それもいつかは落ち着いてくれるはずだと願わずには居られない。
 各地を回る『カーマインの抱擁』鶫 四音(p3p000375)は怪我人の世話は任せて欲しいとは口にしていた――が、成程、死体の処理の方こそが得意な事であろうか。
 南部戦線で『通行止め』解・憂炎(p3p010784)は訓練に励んでいる。
 まるで何時もと変わらない一日だが、その一日が大切に思えてくるのはアウレオナ・アリーアル(p3n000298)の姿を認めたからだろうか。
(僕に感情は無かった。解・憂炎という名前もでっち上げた名前だ。本当の僕と言う物は誰にもわからない)
 ――どうすれば彼女に並ぶことが出来るのだろうか。声を掛け、彼女に問い掛けるべき、なのだろうか。
「てやー!」
 訓練だね、と笑ったアウレオナ。一緒に汗を流して鍛錬をするのは楽しい。彼女は山ごもりだった。
 憂炎に抱かれている気持ちは良く分からないが、戦う事は出来るはずだと刃を振り降ろす。汗を流し、鍛錬をすればそこに友好的な感情が屹度芽生えるはずなのだ。
 この寒さでは体調を崩す者も多いだろうと銀の森で情報を得てから『妖精医療』ヴァールウェル(p3p008565)は見て回る。精霊達に手伝って貰えば直ぐにでも体調不良者の下へと向かえるはずだ。
 ギア・バジリカにやってきたのは『炎の守護者』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)。
 持ち込んだのは保存食や飲み水等だった。それらは僅かであり、大きく何かに影響を与えるわけではないのだろうが乾パンや水を入れれば食べられるおかずは難民の憩いにもなる筈だ。
(派閥は違えど、人道を重んじる気持ちはいっしょだ。ひとりでも多くの人がこれで救われるなら……。
 あとは慰問のために子どもたちに絵本でも読んであげようかな。なるべく希望に満ちた内容のやつを……)
 どんな絵本を鞄に入れていただろうかとチャロロはふと、考えて。毛布を運んできた『善行の囚人』イロン=マ=イデン(p3p008964)はアミナへと『良い人へのお年玉』として健康のお守りを届けていた。
「善き人にはお年玉を。ワタシが学んだ善行の一つです。ワタシにとって上司のような人だとしても、そこは変わりませんので」
「わあ、ありがとうございます!」
 にんまりと微笑んだアミナも新年から懸命に『弱者救済』を行って居るようだ。
『人護知能』イースリー・ノース(p3p005030)はと言えば「つらく苦しい時ほどに形なき信念と信仰が心の支えとなる。私自身よく覚えのある事です」と語りかける。
「私はこちらの宗派でこそありませんが、あなた方の幸福を望みます。
 けれど、できる事は少ない。しかし、少なくともできる事があるのです」
 イロンと共に細やかな差し入れと、仕事の手伝いを。傷病人の手当や介護も又大事な用事の一つである。春まで心と体を温める一女になるようにと、そう願わずに入られまい。
「この国の人達が苦労しているのは聞いているからね。その人達へ少しでも支援を、というのは、とても良い子だと思うよ」
 良い子達を手伝いに来たのは『都市伝説“プリズム男”』アイザック(p3p009200)だった。詰め込んだ毛布や食料。木馬には頑張って遅れとアイザックは声を掛ける。
 よい子達に幸運を与える事こそが重要な任務なのだ。
『竜剣』シラス(p3p004421)は自警団を結成した革命派の難民達を見て「良い面構えじゃないか」と頷いた。
 クラースナヤ・ズヴェズダーとの連携で更に良くなっていくはずだと『願いの先』リア・クォーツ(p3p004937)も尽力している。
「難民キャンプの人たちに稽古を付けると聞いたけど、なるほどねえ」
『愛を伝えるひと』シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)は自分の身は自分で守ることは大切だと頷いた。
「取りあえず腕っぷしを見せろよ、かかってきな」
 シラスは実力を見定めてやろうと考えた。襲ってくるのはチンピラなどではなく、怪物達だ。
 讃える人間を選別するのは大切なはずだろう。リア自身も人を護るという気持ちが難民の中に湧いてくることが必要だと考えていた。自分たちが、此処を離れたとき――無事に全てが収まるように。
「守りたいという意志があれば誰にだってわたしが訓練をつけてあげる。
 私もさ、元は処刑人の仕事してて、命をたくさん奪ってきたよ。
 でもみんなを守れる力が欲しいと思ったその時から、少しは変われた気がするの」
 人のためだと思えば、強くなれる。心持ちだって変わるのだと彼女は微笑んで。
 シキを一瞥してからリアは「生きたいという願い事に罪はないわ」と犯罪者や賞金稼ぎの者にも声を掛けた。
 誰かと生きる為に戦うならば、その行ないに嘘は無い筈だからだ。
 訓練中に怪我をした者達を支えるのは『革命の医師』ルブラット・メルクライン(p3p009557)の仕事だ。
「一体何時になったら、世の悲劇の終わりが見えてくるのだろうか?」
 ……なんて、患者の前で無関係の言葉を零してしまうのは良くないと首を振る。何時終わるのだろう、そう考えずには居られない。
 それでもルブラットは自身の使命のために懸命に前を向き戦い続けるのだ。
 城塞バーデンドルフ・ラインに設けられたBar・バルバラにてお留守番をしているのは『咎人狩り』ラムダ・アイリス(p3p008609)であった。
「いや、ほら皆が出払っているタイミングで攻められたりしたら大変じゃない?」――とは言いつつも宴会の最中なのである。
 ラムダは秘宝種であることから嗜好品の類いには関係はない。だが、そう言う空気を感じ取るのもまた悪くはないのだ。

「わざわざご足労頂き申し訳ありません。早速ですがこちらを」
 独立島アーカーシュで『歯車卿』エフィム・ネストロヴィチ・ベルヴェノフ(p3n000290)は新年早々から仕事に励んでいた。
 アルマスクのインフラ、特に食料や燃料などについての調達計画書。
 ラジオのスケジュールと、ラド・バウ試合のCMにねじ込む計画書。
 アルマスクと近隣村落、それから旧街道の疎通による流通回復の計画書。
 その後に南部ザーバ派との通商回復の計画書――机上は戦場のように騒がしいが、これも喜ばしいと言うべきだろうか。
「いつまでも新年気分でいるわけにはいかないからね。作戦と作戦の合間に、出来ることを進めていかないと」
 おとがいに手を当てて悩ましげにそう言ったのは『浮遊島の大使』マルク・シリング(p3p001309)。
「机の上もまた戦場ですね、歯車卿」
 揶揄うように笑って、出来る限りの分担をマルクは考えた。迅速に作戦展開できるように立案しておくのも大事なことなのである。
「私はアーカーシュ・ポータル…いわゆる空中港の様子見スねー
 情勢やらセレンディの盾が発動中やらで派閥関係者ぐらいしか居ませんが…将来的にはここにも多くの人が出入りするようになるでしょう」
 グロース将軍始め様々な新皇帝派による襲撃が何時あるかは分からないと『合理的じゃない』佐藤 美咲(p3p009818)は偵察を行って居た。
「こういう細かい所、鉄帝人は苦手でスからねー……外から来た私が見ないと仕方ないでしょう。ふぅ……これだから鉄帝は」
 大雑把な鉄帝人達は美咲が面倒を見てやらねばダメなのだろう。

●鉄帝II
「明けましておめでとう!!
 うむ! 新年を特異運命座標の皆と迎えるのは、此度が初めてとなるな。
 厳しい寒さが続いている中、こうして活気に満ち溢れているのは良い事だ! 俺も皆に倣い、全力で楽しむとしよう!!」
 ラド・バウでは毎年恒例の新春イベントが行なわれている。ならば、心躍らせ強者と手合わせするのもまた良しだ。
『緋を紲ぐ者』紲 暁蕾(p3p010390)は堂々と名乗り上げ、己の力量を確かめるべく参戦する。
『燼灰の墓守』フォルエスク・グレイブツリー(p3p010721)は「新年初ファイトとしよう」と意気込んだ。
 ラド・バウは満員御礼。その警備も必要だろう。『侠骨の拳』亘理 義弘(p3p000398)はチケットもなしに飛び込んでくる不届き者を見逃さぬ為に目を光らせる。
「いま内紛みたいな状況だし? 行けねえ場所も多いと思うんだけどさ。
 でもまぁ、この先なんかギアバシリカみたいに起動しちゃったり、戦いの余波で壊されちまったり、そういうのって正直結構あると思うんだよな……」
 だからこそ、今のうちにある風景を覚えておきたいと『抗う者』サンディ・カルタ(p3p000438)はモテる為にガイドを買って出ることにした。
「どうせならラドバウ闘士の暇な人とかいたら一緒に行こうぜ。アンドリュー以外で!!!」
 筋肉がムキリと光った。隣でマイケルがギエエエと叫んでいる。
「筋トレは良いぞ! 一に筋トレ、二に筋トレだ! ううむ、カイトお前の筋肉もなかなかいいぞお! よし、俺と筋肉バトルだ!」
 叫んだ『黒顎拳士』アンドリュー・アームストロング(p3n000213)。何時も通りの(筋肉的)日常がやって来た。
 良い筋肉に必要なのは良い食事。カイトの筋肉のためには良質なタンパク質が必要なのだ。
「いやぁ、ラドバウとはいえ『新年早々普通の筋トレ』は絶対華が無いっての!!!!
 折角だから餅つきとかフィジカル使いそうなおめでたい事を、って思ったんだが――
 よく考えたら闘士って結構そういうイベント開いたら人集められるモンか? 肉体美系とか絶対需要あるって。あ、そこ大胸筋で反応しない。なんなら何に反応したよお前!!!!」
 びしりと指差したのは『雨夜の映し身』カイト(p3p007128)。最早アンドリューの謎の空気感には慣れて来て仕舞ったような気がするのだった。

「ゲブラーさんと私達の故郷である鉄帝が大変な事にー!?
 こんな状況で他の国でのんびり正月を楽しもうなんて思えませんよ! アヤメ、ちょっと手伝って下さい!」
 慌てる『いつか貴方に届く弾丸』ミズキ・フリージア(p3p008540)は『死神小鬼』アヤメ・フリージア(p3p008574)と共に炊き出しを行って居た。
「こんな時の為に、速さに特化した私の足はあるんですから!」
「貴方達の事もちゃんと認識していますよ。これ、お供物として置いて大丈夫ですか?」
 霊術士であるアヤメは霊魂達へも気を配る。ミズキは正直二人だけではただのエゴなのだと分かって居ながらも炊き出しを行ない続けた。
「それでも誰かの生きる糧になってくれたらって思うんです、だから全力で頑張りますよ!」

「お祭り気分はまたの機会だ。
 去年はバルナバスの野郎に不覚を取った、これで奴への借りは二つになっちまった――必ず返す、俺は絶対に諦めないぜ?」
 まだまだ地下が足りないと、ただ一人、ひたぶるに、ひたぶるに……研ぎ澄ます。
『喰鋭の拳』郷田 貴道(p3p000401)は精神修練だって必要だと跋扈する悪辣なる者達を相手取る。
 トレーニングだからなあと頷いた『機械仕掛けの羊』ユール(p3p009966)。
 ヴィーザル出身とも鳴れば雪には慣れている。だが、不慣れな者に雪中進軍の手解きをするのも悪くはないだろう。
「トレーニングですか? 兵器である私にはあまり意味がないような気もしますが……。
 遊んでもいい? ふむ……。では折角の機会ですし、何かしてみましょう。
 それで……貴方は一体何者なんですか? とらぁ……? それしか喋られないのでしょうか……」
「とらぁ……」
 目の前のとらぁ君に『マリアの決戦兵装』雷光殲姫専用 異能拡張兵装 スレイプニール(p3p010314)は不思議そうな表情をしながら接していた。

『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)は「いやー新年早々運営大変であったなー!」とイベント、こと『Pretty VS Pudding』の成功を祝っている。
「それにしても、まさかあんなことになるとは思っておらなんだな。
 ほら、美少女組が優勢だった時にプリン組から選プリン剣・プリンカリバーに目覚め鏡餅を両断しようとしたのは肝が冷えたわ」
 ――凄まじいことが起こっている気がするが、気のせいだろうか。PvPお疲れ様と声を掛けたのは『亜竜祓い』レオナ(p3p010430)。
「正直私自身はあまり仕事をしていないが、こういう形で交流させて貰えて嬉しく思う。
 まぁその分ちょくちょく扱いが酷かった気がするが……鍛錬にはなったし己の力量も不足している事が把握できたし上々だ。
 個人的には二人が話している内容があまり理解できてないのだが……最終戦は飛んでくる砲弾を躱すなり防ぐなりで精一杯であったからな。数発被弾した時は死ぬかと思ったぞ、運良くEXFしてなければ橙の役目を放棄するところだった」
 汗を拭うような仕草を見せたレオナが傍を一瞥すれば怯えた様子で『与え続ける』倉庫マン(p3p009901)が「ネチョネチョはいやだ」を繰り返している。そんな倉庫マンの傍をどすどすと歩いたのは『プリン・ガーディアン』マッチョ ☆ プリン(p3p008503)。
「シカシ、本当に波乱に満ちた祭リだったな!
 マサカ戦いからは一線を引き引退シタ伝説の美少女『傾国』ガ現れるとは……。
 その威圧ダケで一国を征服したと言ウ逸話、本当でも可笑しくナイ強サだった!
 途中で何かを見て満足シタ様に帰ってイッタが……プリンカリバーの出現とイイ、超えるベキ壁は多いナ!」

「パパもママも、今日はお仕事お休みなの……? え……新年はお仕事みんなないのね?」
 きょとんとしているのは『銀の兎』ルルディ・グリムゲルデ(p3p010092)。母である『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)が暖炉で焼いたマシュマロを手渡してくれる。
「マシュマロかぁ、俺のイメージだとキャンプだったが……ルルには丁度いいんじゃないか?
 俺も甘い物は好物だしな。っと、ルルは気を付けて食えよ?それにルーキスは火傷するなよー」
「ああ、ビスケットに挟むのもいいし、コーヒーに溶かすなんて手もあるかな。熱いから火傷には気を付けてねー」
 そんな二人の様子を眺めてから『Schwert-elf』マリス・テラ(p3p002737)は「おお、これがりあじゅーなる巣窟」と言った。
『寂しい独り身の恨みつらみが聞こえて来そうだなぁ』
「ふははは余り物は私の物」
『おーい真面目に食い尽くされんぞ良いのかファミリー!』
 大暴れの『二人』を見てからルーキスは「そのきなこ餅はおにーちゃんが食う」と取り上げる。
「え」
『それがいい』
「え?」
 ぱちくりとしているマリスとテラ。そんな様子を微笑ましそうに眺めているのはルーキスだ。
「今年も宜しくね、愛しの家族達」

 故郷へと里帰りをしている『魂の護り手』シャノ・アラ・シタシディ(p3p008554)は新年の祝いように狩りをするのだが――例年とは少し違っていた。
「今年、寒過。他、大変、事、多。仕方、無」
(訳:今年は寒すぎる、大変なことは他にも多い。仕方ないか)
 ――と、言うわけで今のところシタシディを脅かす存在は確認されていないが寒さだけでも十分、不安になる頃合いなのだ。

●鉄帝III
『空の守護者』ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)は魔法少女がアイドルのように歌って踊って配給を行なうイベントを行って居た。民への安心と娯楽の供給が今は大切だ。
「しかし、魔法少女部隊は軍である。全員で動くのは得策ではないだろう。人気で割り振りして立ち回って拡散するか?
 ……とりあえず少なすぎてもあれですから12人くらいにわけて、更にスタッフとして立ち回るチームも作ろう」
 ハイデマリーはふと、どうしてこうなった、と呟かずには居られなかった。
「パルスちゃん」
 手を振った『電子の海の精霊』アウローラ=エレットローネ(p3p007207)に「いらっしゃい、アウローラちゃん!」とパルスが微笑んだ。ラド・バウは何時も通り楽しげなのだ。
「あけましておめでとう、お祝いをラドバウにいるみんなとやるよー。ヴァイス☆ドラッヘ! 新年でも只今参上!」
 にっこりと微笑んだのは『ヴァイスドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)。此度は新年からエクササイズで身体を動かすライブである。
 観客と一緒に身体を動かすことで、いざという時に動けるようになりストレス発散にも繋がっている。
「最後はダンス! 私の歌に合わせて、楽しく踊るのよ!」
『征天鉱龍』ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)はと言えば練達のアニメ主題歌や出身世界の流行歌ならば歌えると舞台に上がった。
 レイリーが『動』ならばェクセレリァスは『静』だ。舞台演出上映えるならばと空を飛び、勢いでライブパフォーマンスをしたが観客達は嬉しそうに手を振っている。
 流れでどうにかなる――のだから、思う存分に歌い、観客達を楽しませれば良いのである。
 今日はパルスもライブをしている。つまりはパルス始めの日なのだと『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)は心を躍らせる。
「今年も無事に開催出来てよかったよ、これがないと年が明けたって感じがしないもんね。
 まぁ、今年はラド・バウ側でライブ運営のお手伝いなんだけど――新年ライブ用の振袖の着付けとかもやっちゃうよ!
 ……と思ったけど、やれるの?
 だって、パルスちゃんの着付けをするってことは、パルスちゃんに着物を着せるってことで
 パルスちゃんのお着替えを手伝うってことで、えっと、だって、その、そんな。やっぱり耐えられる気がしないんだけど! 誰か代わりに! えっ、他に出来る人がいない?」
 ――焔ちゃんはやく、なんて呼ばないで。焔は叫びながらパルスの下に特攻していったのだった。
 ゼラーへのお願い。『オフィーリアの祝福』イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)はファントムナイトに願った事を思い出してから、折れないようにラド・バウに訪れた。
 自身に出来る事はラド・バウの巡回だ。困っている人に声を掛け、思う存分に楽しむことこそが目的だ。
 こういう時だからこそ、支え合うことが必要なのだとイーハトーヴは知っているのだから。
「今の私はラド・バウ派ってヤツの頭数に入ってるみたいですし? 其れなら、ちょっとばかり顔を出して来るとしましょうか」
 結局の所は『トレーニング』ではあるが、『凛気』ゼファー(p3p007625)は「此れが此の国の人間のテンションなのかしらねえ」と笑った。
「オーケー、オーケー。じゃ、此れからA級やらB級やらの闘士が入り乱れる模擬戦が始まりますからね。ほら、其処の野次馬達! 見て行って損はないわよ!」
 どうせやるなら楽しく騒がしく。拳を振るうなら観客がいる方が良い。チケットは希望そのもの。配られれば皆が喜び勇んでやってくるのだ。
『豊穣神(馬)』エレン(p3p008059)も走り込みをした後に腕自慢達と勝負をするのだと意気込んでいた。
 手合わせをしてから感想戦までにも洒落込みたいとエレンは考えている。
「そしてあわよくば我が農村のメンバーとして……え? 現状、場所はあるのか? ……うん……領地もらってからの話なんだなこれが……まだ遠い話なのだ」
 それでも未来に向けての話しをするのは心も明るくなると言うものである。
「寒い。しかし新年が明けてこれほど平和な時間があるとはな……。さて、どうしようかな。特段同行者がいる訳でも無し、鉄帝の事情もさほどよろしくなし。
 ……まあ、ラド・バウで大人しく鍛錬していようか。
 B級だなんだと言われても、未だに上位層の影も見えてこないからな。少しでもやる気は出さなければ。本当に、なんだったんだろうなあの人は。A級おそるべし……」
 そうぼやいた『蒼き燕』夜式・十七号(p3p008363)。適当な闘士と共に手合わせをするチャレンジマッチが開催されているらしい。其方に参加するのも良いだろう。

「Hide and seekしましょ。おにさんこちら、てのなるほうへ――見つけられるものならね。
 シーズンなんて関係ないの、今日も明日も楽しいハロウィン、でしょ? トリック・アンド・トリート!」
 にんまりと微笑んだのは『トリック・アンド・トリート!』マリカ・ハウ(p3p009233)。

 喧噪が過ぎ去った後の帝政派にて『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)は「爺ちゃん」と声を掛けた。
「今は大変だと思うけれど新年でちょっとくらいは休みを取った方がイイだろうからね!
 それなりのお年だし体調に気を配って欲しいよね。爺ちゃんでしょう?」
「心配するでない」
「バイル閣下もちょっとは休みなよ。ヴェルス陛下が居ない間に宰相まで倒れたらゼシュテル全体が傾いちゃうよ?」
 揶揄うイグナートにバイルはくつくつと喉を鳴らして笑った。茶を入れ、肩を揉んでくれるイレギュラーズには好意的だったのだろう。

 街を歩く『医神の傲慢』松元 聖霊(p3p008208)は患者である子供や妊婦、老人達にも気を配っていた。
「だいぶしんどかったろ、とりあえず食いもんと身体をあっためられそうなもんだ。
 本当は……ここじゃなくて俺の診療所で診てやりてぇがこの国を移動するのも大変だろうからな」
「どう、お礼をすれば……」
「あ? 治療費だぁ? んなもんお前らが気にすることじゃねぇよ、どうしてもってんなら元気になって働いて返しに来な。それくらいは俺も生きてっからよ」
 聖霊が軽やかに告げれば幼い子供の母親は有り難うございますと何度も頭を下げる。

 幸いにして喧嘩相手には困らないのだと『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)は新皇帝派、賞金稼ぎ、脱獄犯にその他ごろつき大勢を相手に鍛錬していた。
 ついでに、本当のついでのついでに。『陛下』ではなく、元・陛下を探している。
(ああいやだ。なんてこと……貴方がいないと私、寂しいようです)
 ――全く以て度し難い。一人で食べたディナーが味気なかったことだってとても度し難くて堪らないのだ。

『陽気な歌が世界を回す』ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)はアーカーシュにと御ずれた皆の為に演奏を行って居た。
 此処には食事があり、安全な場所ではあるが家からは遠い。流れ者でさえも郷愁を感じるというのに、他の者達はどれ程にストレスを感じているだろうか。
 だからこそ、希望と安らぎを謳う。政治が得意というわけではないからこそ、歌でその心を救うのだ。
「大丈夫、全ての道は、家路に続く。おれ達を信じてついてきてくれ。
 悲しいまま、終わらせはしない。不幸なまま、逝かせはしない――さあ、ショーはまだ続くぞ!」

 南部戦線の拠点にやって来た『Le Chasseur.』アッシュ・ウィンター・チャイルド(p3p007834)はアンチマテリアル担ぎ出す。
「然し、兵の質を保つのは実戦だけでなく、質の高い訓練を重ねておくことだとも聞きます。
 ゆえに、手合わせなど致しましょう。屹度、わたしも学ぶことが多くある筈ですから。
 何より、本来は人との戦いは本来的に素人ですので……胸を借りるつもりでお願いいたします」
 ザーバ達は精鋭揃いだ。だからこそ、自身を高めるためにこの場所で戦うと、そう誓ったのだ。

「僕は鳳自治区に行くとしようかな。クロユリー・アレイスターの襲撃は退けたけど、本人を倒したわけじゃないからね。
 いつまた襲撃があるか分かったもんじゃないし、その時に僕達イレギュラーズが力を貸せるとも限らない」
 これからも何らかの襲撃が起る可能性があると『特異運命座標』時任 零時(p3p007579)は考えていた。
 防衛戦力はしっかりと訓練しておいても損はないはずである。

 ヴィーザルの生まれでもある『籠の中の雲雀』アルエット(p3n000009)は寒さには慣れている。
 それでも今年の寒波は激しく寒々しい。『二花の栞』ジェラルド・ヴォルタ(p3p010356)は気遣う様に彼女に声を掛けた。
「アルエットは慣れたか? 辛い事が多い土地だろうけどよ、何かあったら言えよ?
 ……ま、今はダチと楽しもうぜ! ヴィーサルの街にはまだまだ色んな店があるだろうしな?」
 白い息を吐いたアルエットへと「アンタの好みってあんま知らねぇなぁと思ってよ-」と呟く。
「私のすきなもの? そうね、『アルエット』はかわいいものが好き、ふわふわで女の子らしいもの。
 ……だけどね、私は可愛いものも格好いいものも好き。パパやママ、お兄ちゃんみたいな格好いいのも好きなの」
 女と言えば可愛いものが好きという印象だったジェラルドにアルエット――カナリーは悪戯っ子のように笑った。
「意外だった? でも、ジェラルドさんの前では『アルエット』を演じなくてもいいでしょう?
 だからね、ジェラルドさんが好きな格好いいもの教えてほしいな。私はきっとそれが大好きよ」

 何だかんだで年明けもグレイヘンガウス領に懸かりきりだったと『毀金』ヴィクトール=エルステッド=アラステア(p3p007791)は窓の外を眺めた。
 何時ものアパートではなく鉄帝の『友人』の邸宅で手伝いをし、年を越したのだろう。
(――願わくば、私と、私の周りの人々に安寧を。時計の針が止まるような、そんな穏やかな毎日を)
 ひりつくような痛みが肉と鉄の境目に感じられた。叶うことのない祈りを捧げてからヴィクトールは寝所に潜り込んだ。

 銀の森へとやって来た『いにしえと今の紡ぎ手』アリア・テリア(p3p007129)は里帰りだとエリスとオリオンに挨拶をした。
「今後のことを考えると、この銀の森をもっと深く知っておきたいなあ。
 今まで自分にまつわる物事の為に探索していたけど、今回は古代兵器のことや当時の事が分かりそうな所に足を延ばして探索してみようっと! うう……寒いなあ」
 後でエリスに温かいココアを入れて貰おうと考えてからアリアは探索する。何処かに自分の『ヒント』がある事を願って。
「エリス様ー!」
 手を振った『ウォーシャーク』リック・ウィッド(p3p007033)は嬉しそうに語りかける。銀の森の精霊達は楽しそうにしているとエリスに伝えられるだけでホッと胸が安らいだ。
「ここがソアの故郷か。実に美しい場所だね」
『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)が見回せば『猛獣』ソア(p3p007025)はにんまりと笑う。
「ねえ、狩りに行こう」
 腹を空かせている冬眠しない獲物が狙い目なのだとソアはそう言った。鉄帝国は皆、腹を空かせている。それは獣も同じだろう。
 冬の森は雪に閉ざされているが空気はよく済んでいた。小川の水も心地良く木の実は宝石のようだった。
 太っている獣は何処かに居ないだろうかとソアはマルベートと共に狩りをする。それは獣らしく純粋で自由、高貴で高尚な饗宴んのようでもある。
「眠くなっちゃった」
「そうだね。そうだ。お互いの毛繕いも忘れずにしておこうか。身だしなみはいつだって大事なんだよ。
 ほらほら、くすぐったがらないで。じっくりと隅々まで綺麗にしてあげるからね」
「やーん、こしょばいよ。ふふー、ボクもしてあげる」

 ――さあ、赤ずきん。お前は今どこに居る? 何を考えている?
 そう呟いてから『復讐の炎』ウルフィン ウルフ ロック(p3p009191)は怒りと憎悪をその肉体の中に溢れさせる。
 己の肉体の中でそうした感情を昇華させることもまた、重要な鍛錬なのだ。

●海洋I
 ザア――と音を立て波は寄せては返す。水上を移動する『幸運艦』雪風(p3p010891)にとって朝焼けの美しい時間は嘗て自身が過ごした星を思い出した。
 一人で斯うしていれば孤独感に苛まれる。それはこれまで雪風が感じてきた痛み、麻痺するほどの恐ろしさでもある。
(これは、仕方が無い事。私が私で居るための儀式なのです。
 生きているという実感と共に、生きてしまっている……今日も一人、誰もいない海の上で、私は私でなくてはならないのだから)
 堂々と水上にやって来たのは大和型戦艦 二番艦 武蔵(p3p010829)であった。
「戦艦、武蔵である!!
 まずは初日の出を拝み、新年祝いに祝砲、そして訓練である!!
 古来より一年の計は元旦にありというが、ここでフネとしての戦闘勘を研ぎ澄ませておきたいというところだ。
 最近の情勢ではどこで戦うか分かったものではないからな!!」
 のんびりと休むために『泳げベーク君』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)は『だいのじ』だった。
 可能性的なあれそれがまた減ってきたのは気のせいではないはずだ。おやつに間違えないで貰う為には敢て人目似付かない場所を探すチャレンジも必要なのである。

「はぁ~~~~~モスカモスカやー、モスカおーんーーどーーー」
 とっても真面目に『クソデカボイス』で謳っているのは『メカモスカ』ビスコッティ=CON=MOS(p3p010556)。
「なんだか面白そうじゃないですか! 私もご一緒させてくださーい!」
 にっこり笑顔の『勇往邁進』リディア・T・レオンハート(p3p008325)は新年が踊るものだったかは分からないが「ちょちょいのちょいっ!」と振り付けを始める。
「……嘘でしょ?」
『海淵の騎士』フェルディン・T・レオンハート(p3p000215)の唇は震えていた。
 命懸けで護った国の文化は間違っていないのかと問い質したくもなる。極めて冷静を装って傍を見れば――『海淵の祭司』クレマァダ=コン=モスカ(p3p008547)は「御主ィ!」と叫んだ。
「……我は思うのですが、物事はどんな形であれ人の記憶に残らねばなりません。
 それは歌であれ、伝説であれ「正しい」かは後から決められることなのです。
 ただ、本当に正しいことを覚えておいてほしいかは。そう望む人が決めるのでしょう。
 だから我は、モスカはモスカの事を覚えておいて欲しい。
 今は皆が知っているとしても。遠い未来、どこかに歌の一片が残りますようにと――願いを込めてェェエエエ」
 こぶしが聞いている。
「その歌がどう必要なのか。その歌でなければいけない理由はなんじゃ。
 どうあってもその歌を流すのか? クソたわけにもほどがあらんか?」
「まぁまぁ、クレマァダさん
ビスコッティちゃんも、アレで一生懸命なようですから……」
 口がお悪い祭司長を宥めるフェルディン。諫められながらも「認知はせんぞ!」とクレマァダは叫ぶ。
「まぁ、とりあえず……ボク達も踊りましょうか。モスカの事を、皆に覚えていてもらう為に――」
「我は踊らんぞ! フェルディンが踊ろうと言わん限り……い、言った……?」
 そんな愉快な兄と『姉候補』を見詰めてからリディアはこんな兄は元の世界では見られなかったなあと改めて思うのであった。

「どうも、嬢ちゃん。…あー…まあ、何だ。今年もよろしく頼むぜ」
 ぎこちなく言ったのは『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)。らしくなさと妙な気恥ずかしさが彼の中を支配している。
 ころころと笑ってから縁側に腰掛けていた『暁月夜』蜻蛉(p3p002599)は「今年も宜しゅうお願いします」と丁寧に頭を下げる。
「こやってお話しとると、出逢うた頃を懐かしく思います。……はい、どうぞ」
 彼女の言う通り、最初に並んで酒を呷ったのもこの場所。あれから五年もたてば、随分と未来へと辿り着いたと感じる。
 ふと――横から視線を感じる。
「…どうかしたかい? 新年早々、くたびれたおっさんの顔なんて縁起が悪いモン眺めなさんな」
「別に怪しい事なんて、考えとりませんし。
 ……あら、こんなところに白髪。どこかの面倒なおなごに手を焼いて、苦労してるんやわ」
 毒を孕んだ言葉に縁は参ったと言わんばかりに肩を竦めて見せた。

 新年の挨拶を行ってから『物理型お嬢様』碧紗(p3p008350)は領地の観察をしているが――領地の見回りだけで全てが終わってしまいそうなのである。
 散歩を行ない海洋王国を見て回る『お嬢様の恋人』奏多 リーフェ 星宮(p3p008061)。涼やかな風がこの温暖な国にも吹いている。
「今回はどうするかな? 依頼とかも最近まともに行けてないしなぁ……。
 ひとまず、カヌレの手伝いができるなら手伝おうかな?
 書類整理ぐらいは手伝えるだろうし、早めに終わればまた一緒に遊びに行けるかもだし」
 そう呟いた『穢翼の死神』ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)がやって来たコンテュール邸。
 兄であるソルベ卿はカヌレの護衛をティアに頼み海洋の新年会へと彼女を誘って欲しいと乞うたのだった。
 少し懐かしの海洋王国。宴の席に訪れた『放逐されし頭首候補』火野・彩陽(p3p010663)はゆっくりと酒を飲み、食事をし心ゆくままに楽しむ。
「ゆっくりやっとこうか。今日くらいはゆっくりしていいと思うよ。
 皆、な。で、ゆっくり休んで明日からまたがんばろ。おー」
 どうしようかな、と行き先に迷っていた『光鱗の姫』イリス・アトラクトス(p3p000883)はシレンツィオの新年祝賀パーティーに『花に集う』シルフォイデア・エリスタリス(p3p000886)を誘いやって来た。
「まぁ今後の事を考えるとこうやってちょくちょく顔を売ったり繋いだりするのは打算として有用としても、こういう機会があるとどうしてもね、やっぱり楽しい方がいいなぁ、ってなっちゃうのよね。
 ……折角平和になったことだし、楽しめるうちに楽しんでおくのがいいというのが身に染みついてしまっているというか」
 そんな難しいことを考える姉を一瞥してからシルフォイデアはぱちりと瞬いた。厄介事はないだろうが、何かあっても姉に押し付けられるからと言う打算的な考えを胸に今日は義姉妹水入らずで楽しもう。

●海洋II
「しっかしココに来んのも久しぶりだナー」
 ごろりとベッドに転がってみた『ねこの料理人』玄野 壱和(p3p010806)はホテルのシェフ達がおせち料理を作ると聞き身体を起こした。
 折角ならばシェフに交じって茶屋を始めるために培った調理スキルをお披露目したいのだ。
「どこかと思えば……臨時で救護本部を設営していたホテルですか。
 復興も進んでいるようですし……少しぐらい、羽根を伸ばしても良いでしょう」
 豪勢なおせちを眺めている『瀉血する灼血の魔女』ルトヴィリア・シュルフツ(p3p010843)。
「おせちがそもそもわからないですがとりあえず焼いた肉を入れておけばいいんじゃないでしょうか?」
 そんな提案をして見せたのは『おい、パイ食わねえか』シルト・リースフェルト(p3p010711)。何も分からないがパーティーは大歓迎なのだという彼は折角だからこそ皆で楽しみたいと意気込んだ。
「おせちパーティー! 混沌世界にもおせちはあるんですね! あ、再現性東京があるから、そこから伝わったのでしょうか? もしくは豊穣?
 んー、僕の好きなおせちは伊達巻き、海老、赤貝や数の子ですね。
 ごはんのおかずにもなりますから、ぱくぱくいけちゃいます。逆に苦手なものは……特にないですね!」
 接客スキルを活かして酌をしながら楽しむ『青薔薇救護隊』常田・円(p3p010798)は今年は激動になりそうだと今を楽しむことにしていた。
 円に酌を受けてから食べる担当の『歩く禍焔』灰燼 火群(p3p010778)は「伊達巻きとか好きだけど」と頬張る。
 彼が作ろうとすると黄色0割茶色0割黒色10割になりやすいのだ。難儀なのだと告げながらシェフ達の作成したおせちに舌鼓を打つ。
「おせち料理には様々な意味があるのですよね。
 ふむふむ、五穀豊穣、不老長寿、子孫繁栄……全部食べたら、色々なご利益がありそうです」
 にこりと微笑んだ『雪の花嫁』佐倉・望乃(p3p010720)は晴れ着姿。皆のお勧めはどれも美味しいものばかりだ。
「好きなおせちっテ? んー、黒豆と、金柑と、栗きんとんの"きんとん"部分だけ食ってたイ。そんな人生」
 甘いものばかりを告げた壱和がからからと笑う。
「まぁ、"ねこ"はこういうの苦手らしいんだけどナ。
 なんつーか、基になってるモノがモノだから所謂縁起物? と相性良くなくてナ。んな事より早く食おうゼ。折角の催しだしサ」
 こうして呼ばれるのは仲間担ったみたいで嬉しいと『雨に舞う』秋霖・水愛(p3p010393)は笑みを浮かべる。
「私のギフトを使ったら青薔薇隊のみんなの好きなおせちコレクションの本ができるよ! 意味も書こうね。
 私はかまぼこが好きだよ。こうやってねー、こう切るとウサギさんー!
 これがあやめで、こうやって切って動かすと王冠になるんだよ。お正月のお料理本見て覚えたんだ」
 嬉しそうに笑う水愛の手許をまじまじと見詰めたのは『グルメ・ドラゴニア』アルフィオーネ・エクリプス・ブランエトワル(p3p010486)。
 彼女の傍にはそっくりな『みんなの?お母ちゃん』アルフィンレーヌ(p3p008672)が断っている。
「驚くほど、そっくりだけど、わたしたち赤の他人なの。彼女、ウォーカーだし。でも、気が合うのよ。
 この間、村のシャイネンナハトパーティーの準備も手伝ってくれたし。ね、そういうことだから、同室で」
「アルフィオーネ、あなたおせちを知らないのでしょ? あれよ、あの、正月に食べる縁起の良い奴」
 楽しげな仲間達を一瞥しながら「料理にひとつひとつの願いが籠められているのは素敵ですね」と仲間達の好きな料理を試食してみる『救済の視座』リスェン・マチダ(p3p010493)。
「この栗きんとんは……金色だから、金運の上昇の願いを込めているんですか。なるほど。
 ナルちゃんは、お金持ちになりたいですか?」
 首を傾いだ羽リスには少し難しかっただろうか。リスェンにとってはナルちゃんがずっと元気で居てくれることが一番の喜びなのだ。
 家族以外とおせちを食べるのは初めてなのだと『茨の棘』アレン・ローゼンバーグ(p3p010096)は嬉しそうに重箱を眺める。ホテルのスタッフが良ければと空の重箱に皆で好きなものを作成し詰め込む許可をくれた。
 今日は折角の一泊だ。「ジュースで良い?」と給仕をするアレンが混んでいるという伊達巻きがそっと取り置かれていた。
「すごい、豪華だねぇ! おめでたい雰囲気すごく出てていいなぁ。あ、忘れてた。あけましておめでとう~。初めての人も多いけど、今年もどうぞよろしくね」
 朗らかに微笑んだ『星灯る水面へ』トスト・クェント(p3p009132)。里芋も田作りも好きだが、やはり此処は伊達巻きだと食べながらそれぞれの意味に耳を傾ける。
「あら、この伊達巻、美味しいじゃないですか、ふふ。……ふむ、少しだけ、手遊びでも」
 そう告げてキッチンに立ったルトヴィリアは故郷のパンを作る。
 生地を作り網目状に組み込んだものと、揚げた生地の中にジャムを詰め込んで帰りのお土産にもぴったりな逸品の完成だ。
「どれも美味しそうでわくわくしますね~。
 私は貝や魚が好きだからハマグリを煮たのとかが好きです。ハマグリには夫婦円満の意味があるんだって。
 フーガさんと望乃さんを見てるとなんだか微笑ましくなっちゃいます」
 にんまりと微笑んだ『金魚草組』クロエ・ブランシェット(p3p008486)。おめかししてお泊まりして、シレンツィオの決戦でも世話になった場所だからこそ、思い入れが深い。
 皆が楽しんでいる様子に納得しながら――予算は『頑張った』『雪の花婿』フーガ・リリオ(p3p010595)。
「正直おいらは『おせち』ってどんなものかよく分かってねーんだ。
 みんな、の好きな者を食べてみると『おせち』の良さが分かるのかもしれねえ。
 栗きんとんってやつ、美味いかも……望乃にあーんされると、もっと美味い、かも」
 ぼそりと呟かれて、望乃はぱちりと瞬く。
「フーガは、栗きんとんがお好みでした?
 こっちの栗金団、甘くて美味しいですよ……はい、あーん」
 あーん、と栗きんとんを口に運んで貰ったフーガが嬉しそうに笑うが――
「おお、のろけのろけ。こういう時に用意した一発ネタの人体爆発しそうでしないを披露すべきかー??
 まぁ爆発するのは俺なのだけど――祝いに一発、いっとく???」
 揶揄うように笑った火群の唇が吊り上がり――どぉん、と大きな音が立った。

●海洋III
「えー……だって、たくさんお土産持って帰ったら喜ばれるかなって……」
 山ほどお土産を用意していた『天嬢武弓』フォルテシア=カティリス=レスティーユ(p3p000785)に『一ノ太刀』エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)は「買いすぎだっつーの!」と叫んだ。
 両親の腕は一杯一杯だが、喜んでくれるだけでも幸せというものだろう。

「おー、なんだかここももう懐かしく感じちゃうね。寒ーい寒ーい鉄帝の厳冬から来ると、ここはもうパラダイスだよねパラダイス!」
 シレンツィオにて『瑠璃の刃』ヒィロ=エヒト(p3p002503)は『玻璃の瞳』美咲・マクスウェル(p3p005192)へと甘えていた。
 浜辺を追いかけっこし、波のかけ合いっこし、、美咲さんが寛いでる浮き輪を押したり引いたりしながら絶景を探し――そんな幸せばかりが溢れている。
 コンテュール・ビーチなら一般人はおらず楽しみやすい。
「ホテルのお食事でお腹いーっぱいになったら、お部屋でぐてーってゆったりしながら、ぼけっと夜景を見てるふりしてこっそり美咲さんを眺め続けていたいな……」
「ふふ、そうね。今年もこうして、お仕事と楽しみと両方全力でいきましょ。世界中を飛び回るイレギュラーズだもの、混沌全てを楽しんでいかなきゃね!」
「元気と美咲さん成分を満タンまでチャージして、また頑張るぞー!!!! えへっ」

『しろがねのほむら』冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)は『若木』寒櫻院・史之(p3p002233)の背中を眺めていた。
「死者はね、忘れ去られた時ほんとうに死ぬんだ。だから覚えているってことが大事だと謂うんだよ。
 俺は忘れないし語り継ぐよ。悲しくもまっすぐな純情の魔種がいたことをね」
 トルタの墓参りにやって来た。睦月は自身があったことはなかったが史之が成長した切っ掛けは紛れもなく彼女なのだと知っている。
(今のこの二人の幸せも、きっとあなたという通過儀礼なくしてありえなかった。
 ――僕たちが結婚して1年たちました。まだぎこちないけれどおおむね良好な関係を気づいています。
 ねえトルタ提督、あなたは何がしたかったのかな。愛しい人へ反旗を翻して、魔種になって、それでも己の心を見失わなかったあなたに、聞いてみたい。もう詮無いことだけれど)
 唇を噤んだ睦月を振り返ってから史之は「カンちゃん」と手招いた。
「豊穣で聞いたけんだど、死者はお供え物の匂いを食べるんだって。だったらこの花開いた芳醇な香りに、貴女が包まれますように……立派だったよ貴女は」

『狐です』長月・イナリ(p3p008096)は久々に海洋観光をしていた。個人的には温泉にもハマっている。
 温泉地巡りというものも楽しそうである。観光地の温泉は知名度が高いが故に面白みがない。泉質が良かったり、特徴的だったりするのに来客者が少ない場所だったり、食事が良かったり、そんな面白みがある温泉巡りをするために一人で見て回るのだ。
「ある程度まとまったら仲間達に配っておきたいわね。さて、どんな温泉に出会えるかしらね?
 海が近いから塩化物泉かしらね? 食事は新鮮な魚がメインかしらね?何にしても楽しみだわね♪」

 シレンツィオは楽しげな空気が漂っている。いつの間にやらリゾート地になっていた事に『愛しき影と共に』カスミ・スリーシックス(p3p008029)は驚きを隠せずに居た。
 一通り回って、美味しいものを色々と食べるのが目的だ。折角ならば正月らしいものも楽しみたい。
 豊穣側からの文化流入でそうした飾りなどは所々で見られた。
「あのあの……っ!一杯食べる所も好きなのですが、少しは遠慮して…貴方が食べたもののカロリー、全て私に来るので……!」
 愛しい影がどんな自分でも愛してくれるかも知れないが――それでも、乙女心があるのだ。

 こういう時だからこそ、浜辺や海を確り清掃しておきたいと『蒼海の守人』スクアーロ=ケトス=グランガチ(p3p001753)は豊穣と海路が繋がってから浮かれる仲間達に一言もの申した。
(海を照らす日差しと、穏やかな波の音。
 豊穣と繋がり、竜宮と繋がり……商機を見逃さぬ敏い者達によって、かつての絶望の青は賑やかなものになっていた)
 と、言えども浜辺の清掃はあまり必要は無さそうだ。あの海は、気付けば美しく澄んでいた。
 潮騒が聞こえる場所で『繋ぐ者』シルキィ(p3p008115)は一人で立っていた。
「あけましておめでとうだよぉ、シャルロットちゃん。今日は色々話したい事があるんだ。聞いてくれる?
 ……わたしね、自分がだんだん大人になっていくのを感じてるんだ。虫としてじゃなくて、ヒトとしてねぇ。
 わたしは、キミと絆を繋いだ時のわたしのままなのかなって。
 変わっていく事が嬉しいのか悲しいのか、分からなくなって。
 たった一つの願いの為に、命をかけられていたわたしじゃなくなってるんじゃないかって……。……えへへ、変な話だよねぇ?」
 困ったように笑ったシルキィの惑いに応える声はない。それでも、ただ優しい風が吹いていた。

 シレンツィオ・リゾート無番街にて派遣会社ルンペルシュティルツのスタッフ研修を行なっているのは『社長』キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)。
 スタッフを死なない程度に訓練し、イレギュラーズのトレーニングも兼ねるというのだから一石二鳥だ。
「オラァ野郎共!ローレットの先生方が鍛えに来てくれたぞ! 腹の底から声ェ出して感謝しやがれ!」
 パワハラじゃないですと言うキドーの紹介を受けて顔を見せたのは『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)。瑠璃にとっては戦い方を転向したばかり、自身も学ぶこともあると考えてやって来たらしい。
(どこかで見たような顔の方も多いですが、更生して働いているのでしたらとやかくは申しません。それはそれとして今後も生き残るため、己の分を知って弁えることの重要性を理解しておくのは大事なことですよね)
 そう、彼等は皆改心したばかりなのだ。指をパッチンと鳴らしオフェンシブビットを呼び出した『特異運命座標』レミファ=ソラージット(p3p007739)。
「ドーモ、研修生=サン。イレギュラーズ=レミー、デス。
 あなた達がトレーニングをつけて欲しいという人たちデスね。
 死ぬ気で立ち上がる、その心意気やよしデス。根性があればなんでもできる、軍でもそう教えてるデスからね」
 ――但し、鉄帝での話しなのはご愛敬。レミーは超遠距離を得意とする。近付けば皆の勝ちだと宣言した事で、接近戦を行なわんと研修生達が賑わいを見せた。
「久しぶりに海に行きたかったから……キドーのお手伝い……鍛えればいいの……? やるなら、陸式がいいよね……多分……」
 こてりと首を傾いだのは『玉響』レイン・レイン(p3p010586)であった。基礎体力を付け、メンタルの強化を考える。
 海に入ってから、御重たい神輿を担いで上下運動をして欲しいと言う中々にハードな訓練を穏やかな表情でオーダーするレインに男達が驚愕を浮かべている。
「体力作りは無駄だと思うか? ならば、何処まで出来るか試してやろう。
 戦闘訓練指導と聞いて馳せ参じた。俺は戦うことしか脳がないから持って来いだろ」
『切り裂きジル』ジルベール(p3p010473)は戦闘へとのめり込みすぎないようにと感情を封じ、只管に遠距離から魔力の砲撃を放ち続ける。それを目の当たりにし、急いで体力作りに行く者も、黒焦げになって手当を受ける者も山のように居る。
「成程、面白い」
 敵情視察とは何のことやらと誤魔化すように笑った『酔狂者』バルガル・ミフィスト(p3p007978)はスタッフ研修は大事だと向き直る。
「教育は大事ですからねぇ。えぇえぇ。さあ、全員でどうぞ……。
 これは遊びじゃない? ははっ、ご冗談を。その程度の力量でそう言います?」
 揶揄うバルガルに研修生が飛び掛かるが直ぐさまに転倒する。眺めていた『ノブレス・オブリージュ』シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)は「成程」と頷いた。
「これは中々だな。さて、共に動けるか?」
「はい。最悪の場合は護って下さるんですよね? ……なんだか、とても怖い人達ですが」
 不安そうにシューヴェルトを見遣った『弱さゆえの強さ』ラビット(p3p010404)は「頑張ります」と両手に力を込める。
「……さて。『平和を欲するなら戦いに備えよ』とは先人の言ですが。
 私自身のトレーニングにもなるでしょう。頑張ります――さあ、殺す気で掛かってきなさい」
 やっぱり怖いのではとラビットが振り向いた先で『つまさきに光芒』綾辻・愛奈(p3p010320)は侮られていた。
 女と言うだけで屈強な男達は侮るのだろう。愛奈は淡々と彼等に向き直る。
「誰から落とすか、どこに戦力を割り振るか。
 組織的な戦闘を行えるように。貴方達はチンピラではなく……これから『軍隊』」にならねばなりません。シレンツィオの平和、よろしくお願いしますね」
 いつの間に社長になっていたんだと笑った『蛮族令嬢』長谷部 朋子(p3p008321)はキドーの為にも研修に一役買う。
「オラァひよっこ共! まずは整列! キビキビ動けッッッ!! 全体気をつけ! そして注目!!
 あたしがお前達を指導する訓練官の長谷部朋子だ!
 お前達がゴブリンの手足として最低限動けるように扱いてやるのがあたしの役目だが……オイ、そこのお前。今なんで笑った? ふんッッ!!!」
 ――腹パンで男が蹲る。
「……とこのように、今のお前達は雑魚だ。クソ雑魚だ。クソ雑魚ナメクジだ。
 そんなお前達を少しはマシな蛆虫にしてやるために尽力しよう。わかったら返事ィ!!!!」
 はい、と大声を上げた男達が不憫になったのは、気のせいではないだろう。

●海洋IV
『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)は言う。
「竜宮幣と一緒に 舞を 奉納ですの。わたしも 作法などに くわしくは ないですけれど。
 ……感謝の気持ちを 真摯に あらわせば わるくは おもわれないでしょう」
 テーマは海と陸の交わりへの感謝。それは愛しい人との出会いに思いを馳せつつ、互いの理解に対しての経緯を表現するという事だ。
 何時までも彼の――『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)の傍に居たいと、乙女心は美しい舞となる。
「気が付いた時には手元にかなりの数の竜宮幣があったからな、こういう機会があるならちょうどいい」と告げたのは『波濤の盾』エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)。舞と言えば乙女達だと考える彼は折角ならばチャーハンでも作ろうかと調理場へと向かう。
 ゴリョウはと言えば、基本の米、酒(酢)、塩、水を中心にしたシャリに、縁起のいい魚を重ねた新春に相応しい神饌を作成している。
 ゴリョウの発案に乗って『絶海』ジョージ・キングマン(p3p007332)は獲物を手に手土産にしていた。大物を持っていけば料理も又増える筈だ。調理係が忙しそうに奔走している。
「そして皆に提供する料理……う~ん……料理……私、混沌に来てから大分マシにはなったと思うけど未だ味というのがピンと来てないよ……」
 ゴリョウの料理を学ぶことにした『革命の用心棒』ンクルス・クー(p3p007660)。しっかりと学んだ後は皆で料理を頂き、後片付けまでばっちりと。
「折角頂いた竜宮幣ですが、大事に仕舞い込んでいるのもそれはそれで勿体ないですし……
 奉納という形を取れるなら、それが一番だと思いまして。なので、お返しします。決戦から少し経って、平穏を取り戻した竜宮の様子も見ておきたいですね」
 平穏になったからこそ手放せるのだと『暗殺流儀』チェレンチィ(p3p008318)は穏やかに微笑んだ。ゴリョウの料理も楽しめるというのだから素晴らしい催しだ。
「ご姉妹も竜宮も、昨年は色々と大変でしたもんね。改めて今年のために祈るってのは良さそうっす」
 うんうんと頷いたのは『歪角ノ夜叉』八重 慧(p3p008813)。皆の為に会場設営などで奔走する慧はふと、気付く。頭に違和感――それは『竜宮うさみみ』だ。
「えっこれ付けて写真取るのが流行なんすか……? なら付けてたほうが……観光地として盛り上げるためにはいいんすかね……???」
 流されているのは屹度、気のせいではないのだ。
「マール達は?」
「あっちで舞ってるぞ」
 エイヴァンに指差されて『ただの死神』クロバ・フユツキ(p3p000145)は頷いた。
 成程、『新年良い事ありますように、竜宮の力もこの奉納でいい方向に働いてくれますように』とマール・ディーネーも同じように願っているのだろう。クロバ自身の願いは強いて言えばマール達が沢山の思い出を作れるように、と言うことかと思ってからふと、考える。
「何かお願いあった?」
「あぁ、一つあったな。……広い世界を見せたい奴もいる、そしてそれを一緒に語りたい人がいるんだ」
 過ぎた願いだろうかと問えばマールは「素敵な願いじゃん!」と声を弾ませた。
「去年は俺の知り合いも世話になったことだし、マール達竜宮城の面々に新年の挨拶がてら参加させてもらうぜ」
 本音は旨い飯と酒にありつける――というところだが『劇毒』トキノエ(p3p009181)は無病息災を祈りこの地にやって来た。
 何をするにも健康第一、なのである。竜宮嬢達も同じように奉納の舞を踊っている。
「今年は皆が苦しむことなく魔種の被害にあうこともなく、弱き者が救われる世界でありますように……と。
 む? もっと自分の為にも願え? と言われても……私は自分に欲があまりないからな……。
 これまでずっと自分を犠牲にしてきたが故……強いて願うなら……無事に今年も生きていられること、だろうか」
 自分のことも祈ろうよ、と声を掛けられた『奪うは人心までも』結月 沙耶(p3p009126)が驚いたような表情を見せる。折角なのだから、我儘だって良いと竜宮嬢達が誘いの声を掛けた。
「あけましておめでとうございます!
 一緒に踊ったり、みんなで美味しいご飯作ったり食べたりするの、すっごく楽しいと思うの!
 マールお姉さんとメーアお姉さんも一緒に楽しもうね!」
 にんまり笑顔の『リチェと一緒』キルシェ=キルシュ(p3p009805)の傍でリチェルカーレもぷいぷいと踊っている。
 踊りが終われば美味しいご飯が舞っている。だからこそ、ルシェは楽しく踊りをマールやメーアと踊りたいのだと手を差し伸べた。
「あけましておめでとー!今年はきっともっと素敵な年になりますように! 竜宮幣の奉納ってお賽銭みたいな感じかな?」
 竜宮の皆の様子を聞く『おはようの祝福』Meer=See=Februar(p3p007819)の傍にはお世話焼くとして『『霧笛の魔女』の弟子』Sperlied=Blume=Hellblau(p3p007964)も断っている。
「今日という佳き日に。お初にお目にかかります。メーア坊ちゃんの補佐をしております、シュペルリートと申します。坊ちゃんがご迷惑をお掛けしませんでしたでしょうか?」
 淡々と告げるシュペルリートにメーアが唇を尖らせる。新年を祝う歌を口遊むメーアを眺めながらシュペルリートは食事の準備を始める。

 ――夜明けへ漕ぎ出す船のように♪ 目覚めた世界に僕らは立って♪
   昨日という熱を胸にいだいて♪ 今日という願いを握りしめて♪ 明日という星を目指し歩こう♪

 その歌声に遭わせて踊るのは『レディ・ガーネット』海紅玉 彼方(p3p008804)。舞は踊り、踊りと言えばアイドル、と言うわけで、舞に込められた願いが海全体に行く事を願って踊り続ける。
 迷子センターの取り纏めをしているのは『救い手』ヨシト・エイツ(p3p006813)。シレンツィオから案内されてやって来た子供達をサポートし、竜宮嬢達に相手をして欲しいと頼む。
(……なお、子供らの性癖が歪む音がする気はするが気にしないこととする。将来不知による排斥や敵対に至らなければ大体ヨシ!)
 ――屹度、凄い勢いで性癖が歪んで言って居るが、それは仕方が無い事なのだ。
 祭のパトロールをしている『靡く白スーツ』コルウィン・ロンミィ(p3p007390)は不届き者が居ないようにと破落戸や酔っ払いを『適切』に対応するべく気を配っていた。
 竜宮の警備員……のような感じだが、屹度気のせいではないのだろう。ちょっと怖いお兄さんなのだ。
「ふむふむ、竜宮城……浦島太郎の話を読んでる時は思いもしませんでしたが確かに実は娯楽施設ってのはある意味現実的に面白いですね」
 亀を助けたら辿り着いた先が歓楽街でした、とは中々面白いと竜宮幣を手に『ネクロフィリア』物部・ねねこ(p3p007217)は笑う。
 料理も出てくる為、魚を『解剖』する役目は任せて欲しいとねねこは穏やかに微笑んだ。
「あら素敵な祭りですわね。それでは私もシャンパン・ゴールドを奉納しましょう」
 アルコールといえば己だというように『アーリオ・オーリオ』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(p3p010347)はにっこりと微笑む。酒も料理にはぴったりだ。
『超合金おねーさん』ガイアドニス(p3p010327)はお料理班として炭水化物以外を――と考え、目の前に『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)を見付けた。
「ン。フリック 新鮮野菜 沢山 提供。ギフト 色々 植エテ来タリ エイラ号 積ンデ来タ。
 竜宮ダト 珍シイ食材モ アル 思ウ。料理 材料使用シテクレタラ 嬉シイ。
 果実酒 純米酒 フルーツジュース等 飲物モ 積ンデキタ。一緒ニ ドウゾ」
 フリークライの鳥たちは食材と勘違いされたくはないためにしっかりとフリックの家主アピールをしている。
「お野菜と果物の数々、使わせてもらうのだわー!
 海鮮サラダも取り揃えつつも、地上のお野菜でのサラダも用意!
 竜宮のヒト達にも地上のヒト達にも、慣れ親しんだ味も、新鮮な味もお楽しみいただけるかと!」
『鉄帝うどん品評会2022『金賞』受賞』御子神・天狐(p3p009798)が手をぱしんと叩く。
「さぁさぁ寄ってらっしゃい見てらっしゃい! なんなら食べて満足してらっしゃい!
 麺狐亭出張サービスin竜宮! うどん屋さんの天狐流竜宮チャーハンを食べて行くが良いぞ!!
 しかしやはりお祭り事というのは楽しく煌びやかで派手でなくてはならんな!
 ――そこでワシは新商品を拵えてきたぞ! そう! その名も!
 『 聖 夜 竜 宮 ボ ン バ ー チ ャ ー ハ ン 』!」
 ――なんて……?

「あ、オイラの分のイカチャーハン作るのもたのむな! これチャーハンのレシピだぜー!」
 ゴリョウや天狐の料理が食べられるとは新年早々素晴らしいのだと『生イカが好き』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)は頷いた。竜宮幣を奉納してから鱈腹食べられるのだ。
「美味しいチャーハンが食べられると聞いてきた。……え、違う?」
 確かにとても美味しそうなチャーハンが食べられそうだ。『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639)は竜宮幣を手にやって来た。
「祈願すること……今だと……鉄帝の状況の収束……? や、これは私たちの手で何とかすることだからお願いするのは違うかな……」
 悩ましげなオニキスの上を駆けていくのは『跳躍する星』糸巻 パティリア(p3p007389)。皆の為に食材を運んでいるのだ。
「って拙者は別に竜宮嬢を目指してる者ではないでござるよ!?
 やめるでござる! 裏方のニンジャであってゲイシャではないでござる! うわー着飾らせようとしないでほしいのでござるー!!!」
「竜宮にはずっと行ってみたかったのよね~。新年明けて初デート」
 ニコニコとしている『甘やかなる毒花』リリーベル・リボングラッセ(p3p010887)は『虚飾の徒花』ルエル・ベスティオ(p3p010888)と共に竜宮幣を舞と共に奉納することとなった。
「私ちゃん達が共に在れるすべての幸いに感謝をのせて踊りましょうか。
 新年ですもの、華やかに、美しくね? ノリアちゃんさまの美しい尾の流れを目の端に入れながら舞わせて頂きますわ!」
「2人みたいに綺麗に踊れるかしら?
 陸と海の架け橋だなんて、とても素敵だわ。少しでもお手伝いができたらなあって思うの~」
 今年は平和になりますように。そう祈り、奉納を行なう『いのちをだいじに』観月 四音(p3p008415)。
 自身はまだ駆け出しのイレギュラーズだ。それでも、世界が平和であるようにと祈らずには居られない。
「竜宮幣を奉納するお祭りがあると聞いて!
 実は私もいっぱいあるんですよね!今回の分奉納してもまだ5枚も持ってますよ!
 ………これ、どうしましょうか……」
 遠い目をする『立派な姫騎士』雑賀 千代(p3p010694)は乙姫達と一緒に奉納した後に食事を取るのだと張り切ったが――働かざる者喰うべからずと、何故か竜宮で働く者達に声を掛けられる。
「豊穣出身故、こういった奉納は身近なものなのだ。
 海洋の任務はあまり参加出来なかったが……フリーパレットを見送ったもののひとりとして、少しぐらい感じることもあるというものよ。なにより──ゴリョウ殿の美味い飯が食えるのなら、参加せざるを得ないな!」
 大きく頷いたのは『鳴動する幼大山』弥多々良 つづら(p3p010846)であった。配膳も大切な仕事だ。
「こちらの仕上げ、OKです。給仕お願いします」
『肉壁バトラー』彼者誰(p3p004449)は生地と餡だけ家で作ってきた『肉まん』を打ち粉した台を使って改めて作り直し蒸し焼きに。
 軽食を用意して配膳の準備を整えれば、食事は無数にテーブルに犇めいた。
「何か楽しそうなことやってるなー?
 新年祝い、舞、ふーん……って、踊るんだよな!? 私そう言うの好きなんだぜっ!」
 アクロバティックな舞を見せてやると『紅の渡り鳥』紅 彗(p3p010611)は胸を張った。
「何故か1枚だけ竜宮幣があって困ってたのよねぇ。いい機会だし使ってしまいましょう♪」
 にんまり笑顔の『炎熱百計』猪市 きゐこ(p3p010262)は料理をするのよね、と首を傾げる。舞の後は皆で新年を祝うのだ。
「ふふ~♪ こう見えても味には煩い方よ! ……食べる方だけど。
 ま、まぁどこかで料理には火が大事とも聞いたことがあるわ! その辺の火力はまっかせなさい!魔術の炎で十分以上の火力をご提供してやるわよ!」
 ゴリョウがいれば料理の質が上がるという安心感もある。きゐこは調理場に立ち、指示を聞きながら圧倒的火力で調理を開始した。
「何!? 寿司を食べてよいのか! ならばわしもついていかざるをえまい。本当によいのか?
 とにかくありがたいのう、ありがたいのう! 新年早々ついておるわ!」
 色が似ているからと言うわけではないが『慈鬼』白妙姫(p3p009627)が好んでいるのは白身の魚だ。ブリやエンガワが美味しい――が、赤身も嫌いではないと嬉しそうに食事を頬張る。
 ゴリョウが寿司くいねぇ! と声を掛けてくれたのだから此処で食べなければ胃袋も泣き出してしまうのだ。『悪食の魔女』シズカ・ポルミーシャ・スヴェトリャカ(p3p000996)は「さあ……行くぞ竜宮城、食料庫の貯蔵は十分か……!」と意気込んだ。
「んん……お寿司美味しいなあ……」
 シズカの伴でやって来た『特異運命座標』ミンティ・セレーニア(p3p007959)は「食材を食べ尽くしてはいけませんよ」と声を掛ける。
「あ、この寿司は本物やわぁ、豊穣でもこの質はなかなかあらへんえ?」
『特異運命座標』鹿嶺 鮎香(p3p008776)は美味しいと頷いた。勢いの良いシズカを見ながら寿司をのんびりと食べ続ける。
 酒を呷りながら新年を祝い料理を嗜む『森ガール』クルル・クラッセン(p3p009235)も何処か楽しげだ。
「折角の正月だ、奉納用だけじゃなく飲んで浴びれるぐらいは準備しておかないとな――軍の経費の中に上手い具合にしれっと入れておけば問題ない」
 と、言いながら後々コンテュールのお嬢様に「どうしてわたくしを呼びませんのー!」と拗ねられたのは、エイヴァン曰く面倒くさいことなのだ。

●天義I
 新年の挨拶に訪れたのは『『蒼熾の魔導書』後継者』リドニア・アルフェーネ(p3p010574)。
 目の前にはシェアキム六世が鎮座している。
「陛下に置かれましては、今年も良き行いをする事をアルフェーネ家を代表して申し上げます。陛下と神のご加護が我らにあらんことを」
 実家に帰ればアルフェーネの家督を継ぐために学ばねばならない。
 が、イレギュラーズとしてまだまだ完遂したいことがあるのだ。アルフェーネの当主になることはあと少しだけ後ろにしようか。

『紫煙揺らし』シガー・アッシュグレイ(p3p008560)と『鬼菱ノ姫』希紗良(p3p008628)は騎士団の訓練へと参加していた。
「キサ、沢山の人が剣術の訓練をする様子を見るのは初めてであります」
「あぁ、軍や大きな道場に入らなければ、この規模の訓練なんてしないだろうからねぇ」
 希沙良の剣は『清之介殿』に教わったものだった。それも今は疑わしき存在になって終ったのだから心苦しい。
「アッシュ殿はどのような訓練をして来られたでありますか?」
「剣術の訓練なら、師匠から一通り学んで……後は実戦だったかな。元々が護衛手段としての習得だった事もあって、実戦で使える物を学ぶ必要があったからなぁ」
「ほぁぁ……。キサは神使になって初めて実践に赴いたでありますよ」
 話しながらも騎士達を見たらつい身体が疼いた。見学だけではどうしようもない。
 是非手合わせして欲しいとシガーが騎士へと声を掛ければ希沙良は「是非に是非に!」とその言葉を後押ししたのだった。

 これから忙しくなる前に先祖の墓参りをしようと『夜砕き』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)は天義にやって来ていた。
 一升瓶には酒を。菊の花束を故郷の村に建てられた墓へと供える。影に潜み、人々を脅威から守ることこそが忍びの務め。
(魔種は世界の敵でござる――此度の戦も先が見えぬ道行、拙者とイレギュラーズにどうかご加護を)

 天義の聖職者や騎士達と語り合うのは『未だ遅くない英雄譚』バク=エルナンデス(p3p009253)。信ずるものが違えども、それに対しての思いは変わらない。
 信ずるものへの理解を深めるためにも己以外の視点は肝要なのだ。
「さて儂が思うに、人によってはこういった形で語り学ぶ事自体が叛逆となるのではないか、という点について語りたい。
 確かに信仰する物が発した言葉そのものに従うが良く、我らの思考が混じった答えとなるのは良からずというのも分かろう。
 されども今我々が信じている教義自体、かの先人達が歪めたやかもしれぬ事も考えねばならぬ。故に儂はそれを加味し考えるが良いと思っているが、汝らはどう思う?」
 聖職者達は腰を据えてバクと語らう。教義自体が歪んでいる可能性――それは今、この国を騒がせている神託にも似ていたからだ。

 一介の旅人として街を見て回るのは『零度戦姫』スティーリア・ツンドレアス・シャンデル(p3p009288)。
(絶え間無く争いがあったというこの世界。混沌に来る前では見慣れた光景だったが……軍から離れてみるとまた感慨も変わるものだな。
 ここで何があったのか、如何なる脅威に襲われ、そして今こうして立ち上がろうとしているのか。
 我はあまりにも多くの事を知らなさ過ぎるな……此方の世界では新兵であるがゆえに仕方のない事であるが……)
 嘗ては軍司令官であったスティーリアにとって、その立場から離れれば視点が変わるのだと新鮮な心地で過ごし続けるだけだった。

「ういうい、お正月恒例のトレーニングのお時間っスね。ウチはいつも通りっスね、お掃除するっスよ。今回は今まで行ったことない天義行ってみましょーか」
 天義にやって来た『Sweeper』マルカ(p3p008353)。正月から訓練をしている者達が出したゴミをお掃除することが目的だ。
「…何スか? ゴミのような成績の落第騎士も一緒に捨てたい?
 ナマモノは別料金っスよ。それこそトレーニングすればいいじゃないっスか。ウチらで鍛えてもいっスけど?それも別料金っスけどね」

『聖奠聖騎士』サクラ(p3p005004)はにんまりと微笑んだ。
「折角なのでゲストをお呼びしました! じゃじゃーん! 本場の竜、アウラスカルトちゃんです! よろしくね!
 若手の騎士達はまだ未熟だから出来るだけ手加減してね! イレギュラーズはそれなりに本気で戦って大丈夫だよ!」
 何処か不安げな表情を見せたのは『金嶺竜』アウラスカルト(p3n000256)。
「な、何を、どうすればいい。我のことは隠しておいたほうがよいとおもうが……」
「ああああのあの! あそこにいるのはドラゴンさん???」
 大慌ての『ひだまりのまもりびと』メイ(p3p010703)が不安そうに視線を右往左往させる。
「あわわわわわ。皆、ドラゴンさんに挑むですか? というかドラゴンさんとお友達なサクラさんて一体」
 勿論の事ながらメイにアウラスカルトとの面識はない。目の前の竜は非常に恐ろしいものにも映っているだろう。
 皆で強くなりましょうと言いたかった『聖女頌歌』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)。目の前には何故かアウラスカルトがいた。
「私は悪くないよ! あ、でも、竜と戦えることは滅多にないし、良い経験にはなるのかな? イルちゃんもせっかくだし、戦ってみる?」 
 イル・フロッタが怯えてぶんぶんと首を振っている。アウラスカルトはと言えば「か、かかってこい人間ども」と踏ん反り返っていた。
「じゃじゃーんじゃないわよじゃじゃーんじゃ! 特別ゲストがスペシャルすぎるわよ!?
 でもま、やるしかないわねぇ。頑丈なスティアちゃん前よろしくね、はいどーん」
「ががーん!?」
 アーリアに背中を押された『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)は驚いたように振り返る。
「人風情が竜たるを案ずるか! 不遜と知れ! 訓練だと言うか!
 矮小なる人の子が抱くに能わぬその傲慢、万死に値する!」
 ――「私達の一発が、皆の起爆剤になると思ってね。……起爆したのはアウラスカルトちゃんでしたぁ」とアーリアは揶揄うように笑ったのだった。
 サクラはアウラスカルトとの模擬戦を思い切り楽しんでいる様子でもある。それで、いいのだろうか――?

●深緑I
「キエエエェェェーッ!」
 起き抜け即座に木刀を掴んで立木を滅多打ちにする『刹那一願』観音打 至東(p3p008495)。これこそ早朝トレーニングだ。
 朝から新年祝賀会が始まるという。深緑の者達は皆揃い踏みだと聞き『呪い師』エリス(p3p007830)は挨拶へと赴いた。
 フィナリィが本を書いたと耳にした『白銀の戦乙女』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)がリュミエ・フル・フォーレに問えば「彼方の書棚に手付かずの本らしきものがあったかと」と紹介される。
(どんな内容が書かれているんですかね、魔術の研究とかお茶のレビュー本とかですかね?
 これで自分をモチーフにした恋愛小説とかだったらシャレにならないんですが。まあそういう内容じゃないことを祈りましょう――何にせよ、後生には残しますが)
 多種多様なフィナリィの本が見つかったのは……彼女の努力の賜だったのだろうか。

 ファルカウでの吉兆占いに訪れたのは『深き森の狩人』ミヅハ・ソレイユ(p3p008648)であった。
「やっぱ年の初めは御神籤からだよな! こーゆーの練達しかないと思ってたけど深緑にも似たような文化があってよかったぜ。
 さーて今年の運勢は…っと。何が占えるんだろ、仕事とか戦いの運は興味無いんだよなー。
 ほら、戦いは運じゃ決まらないし。経験が大事なんだぜ。他に気になるものは…あ、恋愛運とかすごく気になるぜ。恋愛運」
 そう呟いてから、恋愛も経験が大事なのではないかと神官に言われミヅハは「そ、それは……くっ、一理ある……!」と仰け反ったのであった。
 皆で餓えた若いこども(若木)達の様子を見にやって来た『太陽の恵み』マナ(p3p009566)は「なんだかこの冬は寒いみたい」と声を掛けた。
「さいしょの冬がこんなきびしいなんて、たいへんだけど。
 でも、その分みんなきっとつよくてとーーーっても大きな木になるから!
 だからみんな、寒さに負けないでね。応援してるから!」
 雪はとっても綺麗だけれど、とても寒い。ここにもちらちらと降ってきていては耐えられない若木も居るだろう。
「……でもね、終わらない冬はないんだよ。
 木も草も、どうぶつさんたちも。みんないっしょ。ともだちだから。みんなで春にまた会おうね」
 あの頃より状況は良くなっただろうかと周囲を見回した『秩序の警守』セチア・リリー・スノードロップ(p3p009573)。
「それは良いことよね、皆、元気そうで……だけど……1番関わりたい奴は今、寝ているのよねー……」
 寂しいとからしくない、と考えるセチアはフランツェル・ロア・ヘクセンハウスへと「ねぇクェイスってファルカウの何処らへんに眠っていると思う?」と問い掛けた。
「多分ね、普通に声を掛ければ聞こえていると思うのよ」
「……そっか。クェイスー! 明けましておめでとうよ!
 っても眠っているんだもの、ちょっと寂しいんじゃないかしら?
 さっさと原初の魔種とやらを倒して、貴方を叩き起こして色々と付き合って貰うんだから覚悟しなさいよね!」
 荒れた森の様子を眺めに来た『木漏れ日の優しさ』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)は精霊達も少し怯えた様子なのだと気付いた。
 それは寒さからの事なのだろう。傷付いた森に吹いた風は諫早や冷たい。
「……どうか傷ついた森ができるだけ早く元の青さを取り戻しますように。
 あぁ、新年? そういえばおめでたいのだったわよね、うーん。じゃあ林檎で乾杯ってことにしておく? なんてね!」
 精霊達はそうしようとオデットに提案した。
 森の動物たちに歌ってあげたいのだと『盲目の花少女』ソフィラ=シェランテーレ(p3p000645)は迷宮森林を訪れていた。
 大変なことがあった後だ。傷を癒やし、動物たちに音楽を聴かせて安らぎを与えてやりたい。
 幻想種達に問い掛ければ動物たちの食事についての教示を得ることも出来た。其れ等を与えれば屹度――心の安らぎを与えられるはずだ。
 特段したいことはないけれど、散歩をしようと森を歩むのは胡蝶(p3p009197)。
 エリラナ・ユオリーの声に気付いて誇張は顔を上げた。行商人である『何でも屋』ハビーブ・アッスルターン(p3p009802)はラサ産のチョコレートを販売している。
「ラクダのミルクを使ったホワイトチョコを、高山の銀嶺の形に仕上げたものだ。
 万年雪は永遠の象徴。そしてチョコはグラオ・クローネの愛の象徴。
 時期的にはちと早めだが、早い内に用立てるほど愛の証になるとは思わないかね?」
 白銀の世界で白銀の商品を思う存分楽しむのである。久しぶりの商人ギルドだと『オリーブのしずく』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)も心を躍らせる。
「雪降る深緑で新年初売り、だよ! 今回は『銀色市』銀雪のような銀色のものを売ってるよ。寄ってらっしゃい見てらっしゃい。
 幻想貴族も愛用しているかも? な銀食器。毒が触れると黒く変色するから毒殺避けに使われてたんだね。ちょっと奮発して家族や恋人にどうかな?」
 良く切れる包丁は――人に向けてはいけない、なんて揶揄って。
「はぴーーー!!にゅーーーー!!!いやーーーーー!!!
 雪降る深緑でも元気なわし!!チヨ婆じゃ!!! 今日はフラーゴラちゃんの誘いで『銀色市』なる催しにために深緑へ出張じゃよ!!!」
 元気いっぱいすぎる『元気なBBA』チヨ・ケンコーランド(p3p009158)は装飾品を販売していた。幻想種は『べっぴんさん』が多い。それ故に販売することも出来るだろう。
「雪の結晶の首飾りや耳飾り、銀色の飾り櫛がよぉく似合うじゃろうて!!
 ――事前の宣伝はわしらサヨナキドリに任せておけぃ!」
 客入りは上々なのである。

『深緑魔法少女』リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)は『しまっちゃう猫ちゃん』ミア・レイフィールド(p3p001321)にファルカウ案内をする。
「何もない所だけどゆっくりしていってね。今なにか作るから」
 お腹をぐうと鳴らしてから「と、とりあえず……まずはご飯にするの、深緑のご飯をミアにご馳走するの……にゃ!」と告げたミアは尾をゆらゆらとしている。
 お野菜中心の料理を作ったリディアだが――「にゃああああっ!? ミアは白いけど、兎さんじゃない……のっ! 猫さん……なのっ!」
 どうやらミアは肉八坂の方が好きなのだそうだ。
 必要最小限だけ火を使ってセージ香る白身魚の白ワイン煮込みを作ればくんくんと彼女は鼻を鳴らす。
「家に幻想種以外の人をあげるの初めてだけど、家で過ごすのがこんなに楽しいのは両親と逸れてからは初めてじゃないかな。
 ミアちゃん今日は泊まっていくでしょ? 一緒に寝ましょ?」
 そんな彼女に「今日は、ミアの最上級……純白毛並に包まれて眠るといいの。幸せな初夢を約束するの……にゃ♪」とミアは自信満々に言った。

 ただ、特別な日であるわけではないがカロンの墓を作った『優穏の聲』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)はその地を訪れていた。
 ふわふわ羊のジークとねこたんと共に殺風景なその場所にひとにぎりの灰と共に苗木や花の種を植えて行く。
「変化を嫌っていたカロンではあるが、ここに新しく芽吹く命くらいは大目に見てくれるのでは無いだろうか。
 それに、用が終わってすぐ帰るというのも味気ない。ここの所は戦いばかりでゆっくりする暇もなかったから、今日はねこたんやジークとここでのんびりしよう」
 サンドウィッチを囓れば、どこからから「それくれにゃあ」と聞こえた気がしたのだった。

 トキ、トキと呼んだのは『闇之雲』武器商人(p3p001107)であった。
「あれから行けてなかったから、まあ挨拶がてら?」と答えたのは『雪花蝶』斉賀・京司(p3p004491)である。
「ああ、なるほど。"彼ら"に会いに来たのか。そうだね、キミは人間だもの。
 会える内に会った方がよかろう。酒は新年っぽさを出すならやはり米酒かな」
「それじゃあ、今は眠ってる彼らと僕たちで乾杯。新年、迎えられたよ」
 酒を呷り、楽しむ京司はこてりと武器商人の肩へと頭を乗せる。
「……商人も最近は忙しそうだったよな。少しは気は緩められたかい?」
「なんだい、心配してくれたの。我(アタシ)の養い子は可愛いね」
 可愛いね、と笑いかけ乍らも人間が儚い存在だと知っているからこそ、長生きしておくれと願わずには居られなかったのだ。

 偶には帰郷しなくてはならないと言う『悲劇愛好家』クロサイト=F=キャラハン(p3p004306)についてやって来た二人。
 実家に帰るだけでも大仰な態度のクロサイトに『鳥籠の画家』ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)と『ラッキー隊隊長』ジュート=ラッキーバレット(p3p010359)は何処か不安げだ。
「俺は幸運の女神様に一族まるっと嫌われてるけどよ、和解できたらひょっとして新しいラブからのブライドみたいなラッキーがあるかもしれないし?
 よそのご家庭っつーか夫婦事情が気になる訳よ。
 だからクロサイト君の里帰りに誘われた時も、ついて行く! って即答した訳だけど……軍隊とドンパチやるなんて話は聞いてねーんですけどぉ?!」
「我が愛しの妻ジャネットは強い夫にしか興味が無いのです。ですからほら、あの様に、夫達で編成した軍隊で私達を返り討ちにしようとしている訳で。
 ……夫"達"とはどういう事かって? 我が家は一妻多夫制なもので、ジャネットの夫は私も含めて47人いるのですよ」
「つーかあの軍人ぜんぶクロサイトと同じ、ジャネットちゃんの旦那さんなのかよ。ひえぇ、超ハーレムぅ!」
 驚くジュートに穏やかに微笑んだクロサイトは行きましょうと振り返る。
「深緑の景観は緑豊かで、画家にとっては何処もかしこも絵の題材になる最高の場所だ。
 ただ、寝泊まりする場所がネックでな。深緑のハーモニアは気難しいのが多くて、滞在の拠点が探しにくい。
 だからクロサイトの里帰りに付き合ってるってだけで、夫婦がどうとかそういう野暮な話は考えてねぇよ。
 そもそも、俺には付き合う相手なんざ――、あり得ん話はこれくらいにして戦闘準備だ」
 ――頭にあの聖女が浮かんだのは気のせいだとベルナルドは己に言い聞かせたのだった。

●ラサI
 暇だからと手を付けた商売が楽しくて堪らないと『砂漠を駆ける』ラーディス=シュハ(p3p009201)は各国の様子を眺めていた。
 斯うした後方活動もまた、国家を支える重要な役目なのだろう。
 初売りを覗きに来た『砂漠の冒険者』テリオス=スィスィア(p3p009396)は市場の熱気から活力を得る。眺めているだけでも飽きが来ないというものだ。

「乾杯ですっ♪」
 ラサの新年会は楽しげだ。『砂上に座す』一条 佐里(p3p007118)は日本酒やワインを態々持ち込んでいた。
 欠伸を噛み殺した『赤犬』ディルク・レイス・エッフェンベルグ(p3n000071)は寝正月をぐうたらと過ごしていた。
 彼が遅刻するのは何時ものことだ。宴会場では新年と言えば酒だと『手向ける血の花』志岐ヶ島 吉ノ(p3p010152)が楽しげに酒を呷っている。
「――というわけで酒だ!! そして近くにいるやつに絡む!!
 そうして酒の席というのは盛り上がり新たな縁も結ばれようというもの!
 何なら新年会の後にもう一件いくのも悪くは無いか! 付き合ってくれそうな酒好きはどこぞにいないものかな!」
 戦火が収まっているならば元旦くらいは無礼講なのである。
「どうぞどうぞ」
 佐里が酌をすれば吉乃は頷く。ちょっと飲み過ぎては居るが――赤ら顔で酒の酩酊を楽しむのも楽しみでなのだ。
「新年の喜びとラサの更なる発展を願って」
『舞祈る』アルトゥライネル(p3p008166)は穏やかにそう言った。酒は飲まないが酌をして回るのも重要な社交なのだ。
 深緑から幻想、天義、周辺諸国では騒乱続き。今の所ラサが平和なのは良いが――と口にした『天穿つ』ラダ・ジグリ(p3p000271)をファレン・アル・パレスト(p3n000188)とフィオナ・イル・パレスト(p3n000189)の兄妹が何処か不安そうな表情を見せた。
「どうか、したのか?」
「……いや、ちょっと気になることがあるんスよね」
「ああ、そうだな」
 悩ましげな彼等にラダは首を傾げる。ラサの流行などを聞きたいとは思ったが、何やら訳ありではありそうだ。寒さで防寒具が売れては居るが何か別のものが流通していると言うが……?
『探す月影』ルナ・ファ・ディール(p3p009526)は案の定、肉を食うだけ喰って暴れたいと叫んでいる『凶頭』ハウザー・ヤーク(p3n000093)の姿を認める。
「普段ならんな面倒クセェのに巻き込まれんのはごめんだが。こっちも事情が変わってな。
 ……部族の行方が知れねぇ。いつか、なんかしらケリをつけることになるかもしれねぇ。
 それによ。好いた雌を守れるくれぇにゃ勘と脚を鈍らせねぇでおかねぇといけねぇからよ」
「……いい話じゃねェか。手合わせするか」
 盛り上がるはうざーをつい、ついと引っ張って『光彩の精霊』イヴ・ファルベ(p3n000206)が外に出ろと言ったのはご愛敬。
 そんな宴会の様子をのんびりと眺めているのは『蒼空の眼』ルクト・ナード(p3p007354)。酒の席は見世物がアルト良いと聞いたことがある。
「良ければ踊り子の座を拝命しよう」
 空を飛ぶ事が多いルクトだが地上で踊るのも悪くはない。アンコールがあれば酒盛りが終わるまで踊り続ける乃も吝かではないのだ。思えば彼女も今年を生き延びれば20歳になる。今のうちから酒宴の空気になれておくのも悪くはないという事だろう。
 ラサでの新年会を楽しんでいるのは『デザート・プリンセス』エルス・ティーネ(p3p007325)である。ディルクが居ないからどんどん酒を飲んでいる彼女を横目に『隠者』回言 世界(p3p007315)は過ごしていた。
 ジュースを飲みながら、甘味を摘まむ。寧ろ、ラサの主要人物の会話に耳を傾けるだけでも楽しいとでも言うところだろうか。
「イヴさんは何か食べたいものでもある? ふふ、イヴさんも楽しんで貰えたなら嬉しいのよ。
 はぁ~やっぱりお酒は美味しい~ ふぇ? もー私のお酒を勝手に取り上げるのはだ……れ…………ディルク様?」
 非常に困惑した表情のディルクがエルスから酒瓶を奪い青ざめていた。不可避のイベントが勃発している。
『竜撃』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)はくつくつと笑った。ファレンに挨拶をし、フィオナにも「美人になった」と揶揄ってからラサの面々との盃を組み合わせていたルカはエルスがディルクに気付いて居ないことを愉快そのものに感じていたのだ。
(アニキの顔――)
 だが、一番に面白かったのは『ディルクが来ると酔っ払ってしまうエルス』と言う現象を知っているからに他ならない。
「まさかそれ一本開けてねぇだろうな?
 実に、実に、実に不本意だが、回避不可能イベントとかじゃああるまいな?
 おい、イルナス。何とかしろ。ハウザー、笑うんじゃねえ。てめえ!
 ああ、もうめんどくせえな。毎度毎回!」

「どこまで行っても空と砂……世界にゃ、こんな場所もあるんじゃの。
 豊穣でありゃ、ちっと歩きゃあ、森か山に行き着くもんじゃが」
 さくさくと砂を踏み締めるのは『黒蛇』物部 支佐手(p3p009422)。その傍らには『白蛇』神倉 五十琴姫(p3p009466)の姿があった。
「ほいで、街かオアシスは見えたかいの? そろそろ水が尽きそうなんじゃが
 ……訂正じゃ。もう水は無いけえ、早めに見つけんと野垂れ死にじゃぞ」
「オアシス? そんなものは見えんが?
 そなた……道を分かってて進んでいたのではないのか? 水がないじゃと? わし、干からびてしまうんじゃが???」
 空の水筒をひっくり返した支佐手は「しゃあないじゃろ」と肩を竦めた。
「さっきの商人の話では、南に歩けばすぐに着くって話じゃったんじゃけえ。
 ほれ、さっさと歩きんさい。こんなところで干物になりたかないじゃろ」
「しゃあないじゃろ。じゃあないんじゃが!? 死んでしまうじゃろ!
 えーん。支佐のばかものー! あとで氷菓子! 氷菓子を奢ってくれないと許さないのじゃー!」
 拗ねる五十琴姫に「さっさと歩くしかないのう」と彼は軽い調子で言ったのだった。

 ――アカデミア後に来た『黒のミスティリオン』アリシス・シーアルジア(p3p000397)は静かに足元を見下ろした。
 ブルーベルの記憶が再現したこの場所。リュシアンは最後に意地を張らず此処に逢いに来てくれれば良いのだけれど。
 そう呟いて、名を刻んだ勿忘草のアクセサリを供える。
(……ファルベライズの一件からあと少しで二年。
 間違いなく、この砂漠の何処かに構えた工房で、博士は再起と準備を進めていた筈。
 そろそろ、何らかの動きが観測されてもおかしくない頃合いでしょう。
 ――決着を付ける時は、そう遠くなさそうですね、リュシアン。ジナイーダ……ブルーベルと仲良く、ね)

●豊穣I
「鶏嵐の一件もあったことだ……こういった機会にちゃんと遊びに来ておく事も悪くはないだろう。
 帝に黄龍に瑞に……我らが『友』」
 友と呼び掛ければ、霞帝は嬉しそうに笑みを浮かべた。『戮神・第四席』ウォリア(p3p001789)がそう告げてくれただけでも喜ばしいと瑞神までもが手をパチリと叩いている。
「……今回はオマケ付きだが。おい、勝手に石炭を喰うな。相変わらず風情の無い……」
「ふむ、オマケとは友人か」
 黄龍の問い掛けにウォリアが一瞥したのは『赤き騎士の馬』滅導騎獣弐式 戦乱蹂躙疾駆 ヴァルレイン(p3p010842)であった。
「………戮神の同胞以外に、友?
 いや……変わったなとは思っていたが、まさか『友』とは……悪夢か?
 早く帰って石炭が喰いたい。今持っているだろう、よこせ」
「あら、ふふ」
 揶揄うように笑った瑞神にヴァルレインは不思議そうに其れ等を眺めていた。人の概念の中で過ごしているからか随分とウォリアは『人臭く』なったものだと感じながら。
『散華閃刀』ルーキス・ファウン(p3p008870)はぴしりと背筋を伸ばし霞帝や『中務卿』建葉・晴明(p3n000180)に挨拶をしていた。
「豊穣の新年行事といえば餅つき。そう、餅つきです!!
 普段は刀を振るっている身ですが、杵の扱いも勿論心得ています!
 幼少時より培ったこの杵捌き、今こそお見せしましょう!! うおぉぉぉ!!」
 愉快だと笑う霞帝。そんな朗らかな主上へと『善悪の彼岸』金枝 繁茂(p3p008917)は「明けましておめでとう御座います」と挨拶をした。『三途』を手土産に、宴会の席へと参加する。
(帝の新年祝賀会に参加だ。なんせ今年最初の双子の晴れ姿! 演舞が行われるんだから特等席で見なくちゃな!
 aPhoneのカメラでしっかり録画を……いや待て、せっかく二人が真剣に踊っているのに、カメラを向けるような不心得な姿勢で見るのは失礼ではなかろうか……?
 見る側も姿勢を正し、真剣に二人の一挙手一投足を注視し向き合うべきではないか……? そうだ、記録するのではなく記憶する……脳に、魂に焼き付けるのだ、二人の舞を!)
 百面相中の『よをつむぐもの』新道 風牙(p3p005012)を見て双子巫女が不思議そうな顔をしたのは――言うまでもないのだ。
「他所では動乱が続いているが、今年の豊穣が平穏であればいいな」
『水無月の名代』流星(p3p008041)は『迷子の迷子のお爺ちゃん』晏雷(p3p008919)と共に霞帝の元へと挨拶に訪れていた。
 晏雷から見て龍成は非常に微笑ましい。孫や曾孫を見ている気持ちになってつい、笑顔が浮かんでくるのだ。
「たとえ何かあろうとも、その平穏を守るのがぼくらのお勤めだけれども。暦が優しい時間を過ごせるような世界であれば良いねえ」
 ふと、二人が振り向けば頭領の姿が見える。『やさしき愛妻家』黒影 鬼灯(p3p007949)は誕生日祝いをしたことを思い出しながら喜ばしいと微笑む章姫を腕に抱いていた。
「あけましておめでとうなのだわ帝さん! いっぱいお話しましょ!」
「あけましておめでとう。ついに先月あったばかりだが構わんだろう?」
 霞帝と共に酒を呷る鬼灯は「一緒が良いのだわ」と拗ねる章姫に甘酒を手渡した。昨年は様々な事があった。それ故良い一年だったとは言えないが――
「帝さん帝さん、大丈夫? 疲れてらっしゃらない?」
「ああ、大丈夫だ。章姫」
 彼の笑みは何時でも朗らかであるからこそ、国家君主だと言えるのかも知れない。

「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
 せっかくですし、お茶を点てさせて頂ければ思います。茶道具も持っていますので……」
 茶を点てた『月下美人』雪村 沙月(p3p007273)はつづりとそそぎへとチョコカステラを手土産にしていた。
 背筋をピンと伸ばしたつづりと、チョコカステラに夢中になるそそぎ。二人の予定を晴明に確認してあったこともあり、休息時間を共に過ごす事が出来たのだ。
「おいしい」
「このカステラもっと食べたい」
 そんな二人に沙月は笑みを深めた。

「お祝い事の伝統的なお菓子とか縁起物とか…ご存知ですか? あちらこちら、お店を回ってみましょう……!」
『あたたかい笑顔』メイメイ・ルー(p3p004460)はぱちくりと瞬いた。瑞神や黄龍の為の御神饌を選びはかなりの人出の中で選ぶ事になりそうだ。
「わ、わ、新年だけあって、すごい人出です、ね。えと、あの、晴明さま、お手を、よろしいですか。迷子にならないように、しないと……。」
 何時ものお出かけの時の『ワクワク』に温かな胸の鼓動を感じながら見上げるメイメイへ「手で構わないか」と晴明は問うた。腕でも、何でも貸すと彼は穏やかに微笑み、共に商品を選ぶ。
 可愛らしい干支ウサギの印の入ったどら焼きはこしあんと粒あんの両方だ。晴明は「余分に買った」と2種類をそれぞれ取り出し「何方が好みだ?」と問い掛けたのだった。



 最近は鉄帝で戦いに明け暮れていた。『筋肉こそ至高』三鬼 昴(p3p010722)は故郷である豊穣の山でのんびりと過ごすことにしたのだ。
 果物を採集し、山を歩き、日当たりの良い場所で昼寝をする。慣れ親しんでいる場所だからこそ、心地良く過ごせるという者だ。
 夕飯を食べ、寝床を作ってから星を眺める。この自由気ままな生活が明日へと繋がっているはずなのだ。

「はつもうでって言うのがあるんだって! 神様へご挨拶をする?
 で、願い事をする? みたいな! 折角だから行ってみようよ!
 人がいっぱい! 豊穣は服装もだいぶ違うんだね! ああいうの着てみたいなあ!」
 貸し出しもあるんだってと嬉しそうに笑った蛍(p3p010479)へと琥珀(p3p010478)は「わかった」と頷いた。
 拒否すれば蛍は拗ねてしまうから。ドラゴニアの二人は慣れない作法で初詣に興ずる。
「どんな願い事をするんだ?」
「なーいしょ!」
 蛍は一杯沢山のものを見たいと願った。琥珀と共に居たい。それから可愛い服を着て、ご飯も堪能して――そんな欲張りさんの傍で琥珀が願ったのは変わらない日常を、傍に居る蛍が征く場所に己も一緒に、という優しいものだった。

(初詣、か。神頼みをする気は……いや、自分への宣誓ってんならやっても悪ィこた無ェな。ちぃと邪魔してこうかね)
 本殿へと手を合せた『瞑目の墓守』日向寺 三毒(p3p008777)は考える。護れたものに、護れなかったもの。それらは無数に存在している。
(感傷に浸れるのは生きているからだ。理不尽に屈して、それすら出来なくなっちまう奴を一人でも減らしてェ……。
 この身一つで全部を守るっつーのは烏滸がましいが、特異運命座標ってェのは顔突き合わせて、知恵出し合って、何かを成し得る。だからオレは未だオマエのとこにゃ行けねェな、凪)
 ……さァて、帰るか。そう言い残して一人その場を後にして。

●豊穣II
「今日はお正月恒例……らしい。
 羽根つきで遊んでいきましょう。やり方はプラハちゃんが詳しいって」
 にっこりと笑った『魔女断罪』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)。ご指名を受けた『フラッチェ』プラハ・ユズハ・ハッセルバッハ(p3p010206)はこの国には正月遊びとして羽が付いた弾を撃ち合う遊びがあると紹介する。
 ピンクの桜色の羽子板を手にしているプラハにココロはホタテの飾りが可愛らしい板を握り「がんばりましょうね」と微笑んだ。勿論、墨と筆、硯が準備されている。
「任せろ」
 反応の高さを活かし素早く『ガチ』る『フラッチェ』ヴュルガー(p3p010434)にココロとプラハは不満の顔を見せる。
「はいヴュルガーさん、ガチるのは大人げないんじゃないかな?」
「何本気になってるんです?」
 何事も本気でと、言われて育ったという青年が謝罪している最中、羽根がポトリと落ち――彼の顔には墨で丸が書かれたのだった。

「外様の聖職者が外様のカミサマに祈るってのもなんだか皮肉めいた話しよねぇ。
 ……ま、この国の恒例行事みたいなものだから、そんな気にしなくて良いのだろうけど」
『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)の傍ではどことなく懐かしい空気を感じながら朔(p3p009861)が初詣に赴いていた。
「朔……これってどうすればいいの?
 サイセンバコ……? えっ、金要るの!? あったかしら……」
 ――どうやら彼女は作法を知らないようだ。朔が驚けば「そ、そりゃ、そうでしょ」とコルネリアが視線を逸らす。
「えぇと、ここに銅貨入れて……まぁ朔の見て真似ればいけるでしょ。願い事、願い事ねぇ……そんな大層なもの無いけれど、平和を祈るにゃ対価が少ないわよね」
 朔は何を願っただろうか。今年も程々に、と願い駆けてふとコルネリアが無事に過ごせますようにと祈りを捧げ直す。
「そうねぇ、とりあえず横に居る若者が、少しでも、アタシよりは長く生きてくれますよーに。
 アタシのエゴだとしても、コイツが特異運命座標だからでも、生きる事を手放さないで欲しい……もうちょい金いれとこかしら?」
 彼女のそんな様子がついおかしくて、朔が笑ってしまったのは、秘密なのである。

「遮那君! 明けましておめでとう御座います! 今年も宜しくお願いしますねと初詣行きませんか!?」
「あけましておめででとう向日葵、今年もよろしくお願いするぞ」
 穏やかな笑みを浮かべた『琥珀薫風』天香・遮那(p3n000179)はにんまり笑顔の『偽りの無い心』隠岐奈 朝顔(p3p008750)に答えた。
「初詣、ですか。そうですね、行きましょう。
 去年は色々なことがありましたからね……今年は平穏に過ごせたらいいですね……」
『涙の約束』鹿ノ子(p3p007279)の髪が靡く。特異運命座標としては寧ろ戦いが激化するかも知れない。それでも、だ。
 この豊穣だけは少しでも平和が続けば良いと、そう願わずには居られないのだ。
 朝顔は遮那との沢山の思い出を作りたい、彼の最愛になりたい、なんて沢山な願いがあるがその中でも唯の一つだけを選んだ。
 ――『遮那君が悲しむ事が1つでも少なく、1つでも多く喜びがありますように』。神様、どうか、どうか、この願いだけは叶えて下さい。
「遮那君。何をお願いしたのか、良かったら教えてくれませんか」
(……私は皆の幸せを願っておるよ。
 兄上も姉上も忠継も灯理も居なくなってしまった、だからこれ以上なくさないように)
 取りこぼさぬように、苦悩があれども前を向けるように。遮那は導くものとして、願ったのは――強くなりたい、だと真っ直ぐに告げて。

(新年であるな。吾とて休息くらいは取る。剣の修業も鍛錬と休養を繰り返して向上してゆくもの。
 ――とはいえ、剣以外には無趣味の吾は何をしたものか……)
 悩ましげであった『百獣剣聖』獅子若丸(p3p010859)は何をするか迷っていた『毒蛾』姜 蝴蝶(p3p010704)へと誘いを掛けた。
「私だけでは何をすれば良いのか分からず困り果てるところでしたよ。神社巡り、是非ご一緒させてください」
 どうせならば武運を司る神社をぶらぶらと過ごすのも良い。
「祈りをするもの、と言えど私には縁が遠いように感じてしまうのですが……」
 そういうものだと考えれば悪くはないか。願い事は少しは自分について分かるように――だろうか。
 巫女達が配っていた甘酒を二人で楽しめばその暖かさが心地良い。

「うむ、うむ。新たな年を迎えたのう。実にめでたい!
 麿は殿的存在として、民たちに餅を振る舞うことにしようかの」
 うさぎの耳飾りを付けて月で餅つきを行なう『ムーンラビット』のように『殿』一条 夢心地(p3p008344)は杵を握り軽やかにジャンプする。
「軽やかにジャンプ! 回転! バク転!からの~ほい! ほい! ほい! ほい!
 ほい! ほい! ほい! ほい! ほい! ほい! ほい! ほい! ほい! ほい! ほい! ほい! ほい」(以下エンドレス)
 揚げ屋の窓よりその様子を眺めていた『傾国邪拳士』弥狐沢 霧緒(p3p001786)はごろんと転がった。
「寝正月とはよくぞいったもので、生物は美味を貪ってごろんごろんしとればあっという間にモッチモチのタップタプになるのじゃ。モッチモチのタップタプじゃぞ。
 ちなワラワは肉がついてても骨皮筋衛門でもどんなんでも美味しくいただけます」
 そんなことを言いながら運ばれてきた食事に夢中になる。彼女は未だ知らないのだ――正月の宴が終われば、体重計が非情なる数字を告げることを。
 今は食事だけを楽し見続けている。未来なんて知らないのだ。

●豊穣III
「今年も新しい年、迎える……出来たね。
 嬉しいことは、勿論。……つらいと思うことも、あった。でも、皆大事な思い出達……ばかり。
 これから先、頑張っていく中で。大切な人達との思い出、もっと紡ぐ……していけたら、嬉しいな」
 呉服屋で選んで貰った着物で『燈囀の鳥』チック・シュテル(p3p000932)はのんびりと初詣に向かっていた。
(……どうかこの先も。出会った友達や、『家族』の様な子達と暖かな日々を、紡いで行けます様に)
 作法は学んできているその通りに祈れば心がすうと澄み渡るような気がした。

「前も言った気がするのだけれど、この国の神を信仰していない私が参拝して怒られないのかしらね。
 豊穣といい、鏡禍の故郷といい、懐の広い神も居たものよね」
 そう紡いだのは『高貴な責務』ルチア・アフラニア(p3p006865)。お正月と言えば初詣なのだと『守護者』水月・鏡禍(p3p008354)は嬉しそうに笑みを浮かべる。
「豊穣といい、鏡禍の故郷といい、懐の広い神も居たものよね。
 郷に入っては……ということで、十字は切らず二礼二拍手一礼をするわね」
「はい」
 ――『どうか自分の恋人が幸せでいられるように、そして永遠に一緒にいられるように』
 熱心に祈ってから鏡禍は「運試しってのもありですよね」とお神籤を引く提案をした。
 恋愛運に注目し、その結果が良いものだったことにほっと胸を撫で下ろすのだった。

 彼女は和服が似合うと『こころのそば』ラピス・ディアグレイス(p3p007373)は『生命の蝶』アイラ・ディアグレイス(p3p006523)と共にやって来た。
「僕と君とが今年も穏やかに過ごせるように……だけだと、ちょっと平凡すぎるかな。
 ひとつ、思い浮かんだことはあるんだけど、これは君も大変なことだから、おいそれと願うのも……」
「ラピスはいい案がおありで? ……ボクも、たいへんなこと? はっ。もしかして病院を建てるとかですか?!
 魔法の力があれば簡単ではあるでしょうが治療道具が……え、違う?」
 ラピスはそっと耳打ちをした。みるみるうちにアイラの頬が紅色に染まっていく。
「い、いや、そ、そ、それは……興味が無いと言えばまあ、嘘にはなりますが
 だ、だって、ラピスったら! ……い、いえ、悪い気はしませんが。うーん。少しだけ頑張ってみましょうか。だって、ボクたちももう大人ですものね」
「……ほら、真っ赤になっちゃったじゃないか。でも、そろそろ……うん。そんなことを考えちゃって」
 揶揄うラピスにアイラは「まずはお酒を飲めるようになってから、です」と手を取った。大人をもう少しだけ、満喫させて欲しいのだ。

「久々に来ましたが流石に新年ともなると中々の賑わいですね!
 明将殿に洛星殿もよろしくお願いします!
 ふふふ、拙者はこれでも幻想や豊穣で喫茶店の店長をやっていたのです!
 販売や列整理はお手の物ですよ! 大船に乗ったつもりで任せて下さい!いざ、タイタニック!」
 沈んでいる、と『涙と罪を分かつ』夢見 ルル家(p3p000016)の言葉に思わず口を挟み掛けたのは御狩・明将であった。
 その傍には相羽良・洛星の姿も見える。助っ人のルル家に「助かります」と微笑んだのは『燻る微熱』小金井・正純(p3p008000)。
「それにしても、ふむ。巫女服が良くお似合いです。可愛らしい。
 どうです?色々やることが落ち着いたら、天香家だけではなくて星の社でも働きませんか?」
「純ちゃんほど堂に入ってはいませんが、色んな衣装を着てますから中々のものでしょう!
 う、イレギュラーズに天香のお仕事、領地経営もあるのでこれ以上お仕事を増やすのはちょっと……!」
 冗談ですと笑った正純は後でお茶を入れて休憩しましょうと穏やかな笑みを浮かべたのだった。

「明けましておめでとう、エト。一年の区切り、新たな年の幕開け。例えるなら、新しい世界へ踏み出す一歩。
 それを祝福して、良い門出となるように願う……そんな感じなのかも知れないな」
『寄り添う星』ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)は「あけましておめでとう?」と首を傾げる『貴方を想う』コルク・テイルス・メモリクス(p3p004324)を見詰めた。
「年越しとか、新しい一年とか。不思議だけど、きっと希望に満ちているもの。ふふ。楽しいね、ウィルくん」
「ああ。楽しいな、エト」
 国家に遭わせて着用した晴れ着。何時もと違う彼の姿がコルクにとっては嬉しくて。
「……ふふ。似合ってるよ、とっても! 少しまわりの女の子の視線が痛いのが、妬けちゃうとこではあるけれど」
「……それは、こっちの台詞でもあるんだぞ? あんまり、他所の男の目に留まらせたく無いんだけどな……」
 そんな二人は顔を見合わせて笑い合った。今年の目標はお互い無事に過ごすこと、それから――
「……お前と、ちゃんと家族になれますように……ってさ」
 そんな彼にコルクは丸い瞳をして「素敵ね」と囁いた。

「よし! 初詣に行きましょう! 折角の新年! 何かそれっぽいこともしておかなきゃですものね♪」
 それで祈るのが『沢山の首が刈れますように』という『首神(首刈りお姉さん)』紅迅 斬華(p3p008460)。るんるん気分の彼女は今日もとても楽しそうである。
 やはりこの地は落ち着くのだと『猫とたわむれ』藤袴(p3p009289)は猫と伴にのんびりとひなたぼっこを楽しんでいる。
 新年初めの散歩を楽しむのは『厄斬奉演』蓮杖 綾姫(p3p008658)。そうした空気も程良く心を落ち着ける。
「んー、買い出しをしようかな?」
 市に向かいながらウォーキングでもしようかと『守護双璧』Binah(p3p008677)は首を捻った。何かの際に手を差し伸べるだけの準備も必要だろうか。
 豊穣の温泉地も賑わっている。のんびりと温泉に浸かり疲労を取るのも『無星』Nil・Astrum・Fine(p3p008413)にとっての訓練だ。
 歌でも歌いながらのんびりと酒を呷る。それも喜ばしいことだと『呪刀持ちの唄歌い』紅楼夢・紫月(p3p007611)は白い息を吐いた。
(前に惚れ薬の依頼で僕が男ってことバレてるんだよな……幸い佐藤さんにはその時の記憶がないみたいだけど、一応警戒しておこう)
 温泉に誘われてやって来た『女装バレは死活問題』トール=アシェンプテル(p3p010816)はそそくさと熱湯風呂の入り口に『これより先トール湯! ライオン厳禁! 入るなよ! 絶対入るなよ!』と立て看板を設置した。
 今回こそトールの性別を認識するt前に『孤独の王』佐藤・非正規雇用(p3p009377)が旅行に誘ったのだが――
(旅行に誘ってしまうとは……結構大胆だったかな?
 でも、もし女の子だったら……でへへ……。いや、女の子に違いない!! 確率は1/2だしな!!)
 幾ら可愛らしい外見と言えどトールは男性だ。バレたら死活問題――と言うわけで、今のうちに男風呂に隠れるのだった。
 トールの思惑通り「うおお~!! ここで引いたら男が廃る、テラスタル!! 俺はリアルでは格闘タイプだぜ!!」と走り込んだ非正規雇用は熱湯風呂へと落ちていくのだった。

『恋(故意)のお呪い』瀬能・詩織(p3p010861)は義父母の墓標の前に立っていた。
 はっきりと顔を知られておらずとも、危険があるのは確かなこと。平時は踏み入れることはないが、新年位は刺客の手も緩むはずだ。
「御義父様、御義母様。新年、明けましておめでとう御座います。私は何とか生きておりますので、どうぞ御安心して冥福を」
 義父母の墓の手入れをし、挨拶を終えたならばそそくさとその場を後に為ねば鳴らない。
 後ろ髪を引かれると言えば確かだが、今は大切な人の待つ場所に向かい心を落ち着けるべきだろう。

●練達
「あー、久しぶりの練達! やっぱり此処の雰囲気が一番落ち着くわあ……!」
 ホット胸を撫で下ろしたのは『誘惑者』ノア=サス=ネクリム(p3p009625)。メタル・カオス・ワイバーンは点検修理に出した。遣ることもないから適当にふらつこうと歩き出すが――ふと、あのワイバーン達の襲撃から一年たったことを思い出す。
「……鉄帝国の街も早く安定すれば良いのだけれど……」
 呟いてから弟の暇潰し用のプラモデルや電子工作キットを買いに行こうとノアは街歩きを始めるのだった。
 ――社畜に休みなどない。『不眠ノ燭』藤野 天灯(p3p009817)は「初夢なんて見てたまるかってんですよ……」と呟いた。眠ったら明日が来てしまうのだ。
「改めて見てみると確かに言うとおり、旅人たちの楽園だな……あの辺もこの辺も俺の世界で見た物が多いな……。
 これでも本来の実力が20%ぐらいしか吐き出せないのがまた凄い所だな……」
『異世界ヒーロー』ヒューバート・クリアブルーム(p3p010334)は不思議そうに周囲を見回した。竜種の襲来からある程度は取り戻したのだろう。楽しげな新年を祝う声が聞こえてくる。

(……折角トレーニングって名目だし…学園ノアに行くだけじゃなんだか勿体無いよね……そうだ……今は冬休みに入ってるかもだけど……忙しい所はまだ学内に人がいるかも?
 ……戦闘系か魔術系の学部の所に行ってみようかな……
 そこでなら軽い模擬戦とかに応じてくれる人はいるだろうし……先生とか教授の中には……僕のこと知ってる人もいるはず……?)
 学園の者達がどれ位戦えるのかを知りたいと『青混じる氷狼』グレイル・テンペスタ(p3p001964)は冬休み中の『ノア』へと向かったのだった。

 怪談喫茶ニレンカムイにて『Enigma』エマ・ウィートラント(p3p005065)は従業員達の仕事を手伝っていた。
「さて、ご近所衆は来るやもしれんすから、下準備はあらかじめきておくとしても。
 ふむ、メニュー。お雑煮の一つも用意しておきんしょうか。ああ、あと宣伝にチラシも配りんしょうか。カフェ・ローレットに澄原病院に音呂木神社に……」
 行く場所はある意味山のようなのだ。

「ぼっちだよ、うさぁ……」
 そう呟いて故郷に戻ってきた『恩義のために』レニンスカヤ・チュレンコフ・ウサビッチ(p3p006499)はマザーに会いたかった。
「うさね、練達好きだよ。パパもママもここに住んでるし。うさは元気に帰ってこれるし。マザーって、ママって感じ!!
 ……? うさへんなこと言ったかな。あ、でもマザーも困ったことがあったら言ってね!」
 モニターを通して合う事の出来たマザー・クラリスは何処か不思議そうな顔をして居たが、そんな表情を見られるのも又、喜ばしいことなのかも知れない。

「ふッ、私のやることは変わりないっすね」
『蒸気迫撃』リサ・ディーラング(p3p008016)はきらりと眸を煌めかせた。
「そんな物この時間を使って領地にある機械共の修繕と改造の時間じゃヒャッハー!
 トレーニングの名がついてても休憩できる時間であるとはいえ、やっぱこういった仕事とかしている方が性に合うっすからねー!
 なんか住み着いている領民兼職人共を引き連れて、取引所の精算機から食料生産用のデカプラントの機械に至るまで直していけっすよ!ついでに余った時間と資材があれば、改造も楽しんでいくっすよー!
 改造が失敗したら? ……明日からの飯がなくなると思え!よっしゃしっかり直しに行くぞ!」

「ったく、新年早々からVRのテスターをやらせるってどうかと思うっスよ」
 ぼやいた『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)は別に予定もないし暇だったけどよ、と呟く。
「お、なるほど餅つきのシュミレーションっスか。これなら手軽で遊びや……ん?
 おい! 餅が臼から逃げようとしてんぞ! え、それを臼に戻すように杵に叩けと!?
 しかも左右のあちこちに飛び出してっ……違ぇこれ餅つきの皮を被ったモグラ叩きだ!」
 クソッタレと叫んだ葵。勢いの良すぎる餅が大暴れしていたのだった。

「はいはい、シャイネン…終わってた!
 えっもう新年もおしまい? えっ……新年(休み)が終わったから新春営業なんだよね?」
 困惑したのは『グレイガーデン』カティア・ルーデ・サスティン(p3p005196)。その目の前には微笑みバニーボーイルックで立っている『桜舞の暉剣』ヴェルグリーズ(p3p008566)の姿がある。
「バニーボーイ……そうかホストクラブだもんね。うん、ボーイならまあ、いいかな?
 ガールって言われたら冥夜の生え際の毛を30秒に10本のペースで引っこ抜いてるところだったけど」
「昇る日の出と輝くネオン! ホストクラブ『シャーマナイト』の新春営業だぜ!
 ってことで俺もバニーボーイになるぜ。甘酒も大盤振る舞いで金箔入りだ! 派手に行くぜぇ!」
 うさぎ年だからだと微笑んだ『覇竜相撲闘士』オラン・ジェット(p3p009057)。餅つきも心ゆくまで楽しむべきだ。枡! 臼! 米!
「しゃーーーーオラ! ぺったん! あんこ、醤油、海苔、きなこ、黒ゴマ、お汁粉、雑煮、各種取り揃えているぜ。
 冥夜サン餅も甘酒も足りねえ?! 炊飯器で米炊くの時間かかるんだよォ!」
 呼ばれた『カチコミリーダー』鵜来巣 冥夜(p3p008218)は「了解しました。さぁ皆さん、思い思いのおもてなしでお客様を楽しませましょう」と何故か白いシャンパンのてっぺんに蜜柑を載せてみせる。
 全力でこね回す冥夜とウインクをし、『お姫様』達を接客するヴェルグリーズ。
「お餅がつきあがるのにもすこーし時間がかかるからね。お気に入りのうさちゃんと一緒に甘酒やシャンパンを飲みながら待っててね。
 ああ、そうだ。……そうは言っても俺だってバニーボーイの一人、うさぎは寂しがりと相場は決まってるからね。
 可愛がってくれるご主人様はどこかな?俺のウィンクを受け取ってくれるレディは? 今年も全力でご奉仕するよ! 夢のようなひと時を! 今年もよろしくね!」
 きゃあ、と声が上がる。ヴェルグリーズの纏う空気の傍でカティアは餅を調理してレディ達に食べやすいように配っていたのだった。

 でっかい手斧を持っている『特異運命座標』メリーノ・アリテンシア(p3p010217)はシュペル・M・ウィリー(p3n000158)の下を目指していた。
「バスケットにいっぱいさんどうぃっちを詰めてきたの、しゅぺるちゃんあんまりちゃんとしたもの食べてなさそうだし。
 しゅーぺるちゃーん! とびらをーあけてー!!
 さんどいっちはねぇ、いっぱいあるのよ! だいじょうぶよー、よーちゃん、トマトのも持ってきたわぁ!
 開けて通してくれなきゃぐちゃぐちゃになっちゃうもの! しゅぺるちゃん、ちゃんと通してくれるでしょ?」
「めーちゃん……」
 共に向かうのは『祝呪反魂』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)だった。メリーノからのプレゼントの指輪はネックレスとして揺らいでいる。
「シュペル先生も何が好きなんだろな。塔を突破出来たらさ、聞いてみようか。めーちゃんも気になるだろ?
 シュペル先生、俺だー! 先生の弟子になるヨハンナだ! めーちゃんと来たぜ!」
 シュペルに押し掛けるのは二人だけではない。『数多異世界の冒険者』カイン・レジスト(p3p008357)は『陰陽鍛冶師』天目 錬(p3p008364)と共に押し掛けることにした。
 因みにシュペルちゃんは挑戦を許したわけでもお招きしたわけでもなく、常に押し掛けられる役割なのだ。
「一年の計はなんとやら、って言うしね。全霊で挑んでみようじゃないか!」
「鍛錬の成果を見せるついでに今年の運試しと行くか! ちゃんと見てろよシュペル!」
 見ているかは分からないが戦略を組んでカインと錬は二人で塔へのチャレンジを開始するのであった。

●???
『赤々靴』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)は空中神殿に訪れていた。
「ざんげさんハローっす。今年もよろしくー……なんて言ってもただ去年という昨日が過ぎただけ、ココは何年だろうが何日だろうがとかそんなの関係ないかもしれないっす」
「……そう」
 頷いたざんげにレッドは傍でのんびりさせてくださいと腰を下ろす。
 特に彼女と何かしたいわけではないが、共に過ごすというのも『今回限り』だったりするのだろうかと、ふと不安になったのだ。
「空中庭園の景色眺めながら……お酒ををオエエェ……!!」

●覇竜I
「姫にお会いするのも久しぶりですねー積もるお話もあるでしょうし、おせちを作ったそうですし楽しみですー」
 うきうきとフリアノンへとやって来た『龍魔術師』カーリン・ラーザー(p3p010424)は開口一番「何故」と呟いた。
 目の前には暴れ回るおせち。いや、おせちとは料理であった筈だ。
「カーリン!」と微笑む『亜竜姫』珱・琉珂(p3n000246)に「姫の料理って独特なんですねー。今度作るときは私も誘って下さいね-」と声を掛ける。
「何か耳に入った単語が凄――――――――く嫌な予感がしたからちょっと心配になって様子を見にきたんだけど、なんというか、うん。何が起きてるんだろう……」
 呆然としたのは『最果てに至る邪眼』刻見 雲雀(p3p010272)。何故か動き回るおせちに対して手伝うべきだろうかと問えば「是非!」と亜竜種達が声を揃える。
「何か切り口とか変になったらごめんね!」
「素晴らしい切り口だもの、教えて頂戴」
 瞳を輝かせた琉珂を見てから優雨(p3p010426)はぱちりと瞬いた。お出かけは好まず、領域(クニ)でのんびりとしていようと思ったが里は大騒ぎのようである。
「とりあえずよく判らないけれど、おせちが襲ってくるってどういう事なの……?
 琉珂さんが料理すると、もしかして食べ物が元気になったりするのかなぁ」
「それって素敵よね」
 嬉しそうな琉珂にそうかな、と『赤い頭巾の魔砲狼』Я・E・D(p3p009532)は首を傾げた。取りあえず戦いながらおせちを食べるしかない実情だ。おせちとの戦いになったとしてもお餅であれば『搗く』ようなもの。何も問題はないはずなのだ。
「えっ!? 琉珂ちゃんの作ったおせちがヤバイことになったの!? 大変だ、早くやっつけて美味しく食べよう」
 どうしてそうなったのかを『大艦巨砲なピーターパン』メイ・ノファーマ(p3p009486)はこの際聞かなかった。
 琉珂は「そうね、お腹空いたものね!」とメイを応援しながら未だに命名ブックを手放さない。
「おせちが動くウサ?」
 何を言って居るのかと『特異運命座標』望春 ばに(p3p009739)は「サメじゃあるまいし~」と手を振っていたが――「動いてるウサー!? 落ち着け、あたし落ち着けウサ……イレギュラーズになってこういうのは慣れたはずウサ……」と困惑を隠しきれない。
「ぎゃあ! 今斬ったのおせちじゃなくておもちウサ! 耳にべとついて取れないウサ……」
 本当に飛んでいると『洋服屋』ファニアス(p3p009405)は眸を煌めかせた。それでも倒さなくてはならないことは何となく『残念;』なのだ。
「うーん、でもたべれないものね。倒さないと……OK♪ 任せてちょうだいな♭」
 撃ち漏らしは全部食べちゃうぞ〒と意気込んでファニアスはおせちを迎撃し続ける。
「いやぁ……いや、これが覇竜のお正月とか言われたら絶対に誤解されるのじゃ!!」
 違う違うと首を振ったのは『元ニートの合法のじゃロリ亜竜娘』小鈴(p3p010431)。
 外の文化を受けて魔改造されている気がするが領域の平和は守りたいものである。
「えっ、マジでこれを食うのじゃ? おぬしら本気か? これが外の国での流儀なのじゃ?」
「え、小鈴は食べてくれないの?」
「琉珂?」
 里長の悲しげな表情には頭を抱えたくもなる。久しぶりの里帰り、美味しいものをお土産に持ってきた『あらぶるりゅう』リリア=リザイア(p3p010432)は驚いたようにぱちりと瞬いた。
 郷の皆に挨拶を行おうとすると大騒ぎそのものなのだ。それでも、平穏なお正月である事には間違いない。
 散歩から帰還した『紲家』紲・桜夜(p3p010454)の前をおせちがぴょんと跳ねた。
「美味しいおせちって言うのが食べられるって聞いてきたんだけど……。……え、何……またなの?
 豪華な分いつもより凄い事になってるのは朱華の気のせいかしら?」
「えへ……?」
「あーもうっ! しょうがないから朱華も付き合ってあげるわよっ! 琉珂も生み出しちゃった以上ちゃんと責任取ってよねっ!?」
『煉獄の剣』朱華(p3p010458)は酷い頭痛を感じたような――気がした。おせちを『大人しくする』とは頭で考えつつも、そもそもおせちは動かないものであり『大人しくする』という言葉が大いに間違っている気がするのは気のせいではない。
「なるほど、つまり活きがいいお料理ってことだね? いただきまーす!」
 朱華が大人しくした料理を楽しむのは『桜龍』紲 六合(p3p010461)である。ちゃんと食べて上げなくては可哀想だと考えてくれる六合に伊達巻きのテイラー新藤(仮)も嬉しそうだ。
「やっぱり、おせちっていろんなお料理をつまめるのが楽しいと思うんだよね!
 自分じゃ捕まえられなかった具を交換したりして、わいわい楽しめたらいいなー!」
「捕まえ――捕まえ……? ……予想はしていましたが。やはり動いていますね! 琉珂様のおせち料理が!
 今回は料理の本をお読みになったとのことでしたのでもしかしたら大丈夫かもと思っていましたが……。
 あっ……練達の料理漫画……それを参考にしたのですか……」
「面白かったのよ、紫琳」
 輝く笑顔の琉珂に『劉の書架守』劉・紫琳(p3p010462)は頭痛を感じた。「あっ、痛い!」と叫んだのは突如として黒豆が短機関銃のように飛び回っているからだ。
「ほう、動くおせちとは里長殿はこれまた面妖な物を作りだしたであるな」
『ノットプリズン』炎 練倒(p3p010353)は破式魔砲でおせちを打倒せんとし――跳ねた。
「おせちと言えど、この空は渡しません!」
 翼と尾を揺らした『aerial dragon』藤宮 美空(p3p010401)がおせちを捕まえるが為に『空中戦』を展開する。
 おせち決戦とは面妖な言葉ではあるがが、これもおせちを楽しく食べるためである。
「……ボクは食べ物が動いているのを見るのは初めてなんだが……。
 フリアノンの里長は、あの……そういうヤツなのかい? ううん、凄い才能だな」
 不安げなシズリを連れていた『シズリ&』燈・六花(p3p010530)は「シズリ、君は食べちゃ駄目だよ」と声を掛けるが、捕まえた伊達巻きを手にしている琉珂は「食べていいのよ」とにんまり笑顔である。
「……え、いいの? おいしい?」
「味には自信あるのよ、動くけど」
 どうして動くんだと叫び出したいのは『宝食姫』ユウェル・ベルク(p3p010361)だった。
「うっうっ……本当ならおかーさんの美味しいおせちを食べるはずが……
 うおー! さとちょーの作り出したモンスターを掃討するぞー!」
 おかーさんは『里長の為に頑張ってきてね』と優しく、言って居た。仕方がないのである。
「新年会、たくさん人も来るでしょうしおせちを……と思ったのが間違いだったわ
 だから! なんで! おせち作りに名付け本を持ってきてるのリュカァ!!
 目を離してる内にどうしてチャーリー高田(仮)やメアリー村松(仮)が産まれるのよ!」
 声を荒げる『秦の倉庫守』秦・鈴花(p3p010358)へと琉珂は「だってぇ」と呟いた。
「ワイバーンの卵伊達巻がなんかワイバーンみたいに暴れてるし!
 お話草のおひたしはなんかもう再現性大阪のおばちゃんみたいに騒がしいし!
 んもーなんなのよこれ! 全員で協力してお重に詰め込むわよ! リュカ、ゆえ、アタシは後ろから回るから正面と横頼んだわよー!」
「さとちょー!? 栗きんとんって何したらこんなスライムみたいに動くの!?
 んぎゃー! 昆布巻きが物理的に巻き付いてくるー!? 正面は任された!」
「あ、あのこ、名前決めてない」
「名前を決め忘れてた?そんなのいいから手伝ってよさとちょー!!!」
 大騒ぎの三人娘を見詰めながらうんうんと頷いたのは『青の疾風譚』ライオリット・ベンダバール(p3p010380)。
「ここは琉珂嬢のシマっスからね。別に餅や海老が狂気乱舞しても不思議じゃないっス。
 ……いや、例年はもっと落ち着いていた気もするっスけど。そうは言っても仕方がないっス。ここで会ったが100年目……ってやつっスね」
 まじまじと見詰めた料理。まともな料理は動くわけもないが――動いているのだから仕方がないのだ。
 ライオリットはごくん、と唾を飲んだ。勢い良く黒豆が飛び交い続けて居るのだ。
「おせちかぁ、めでたくっていいね。へー、琉珂は料理もできるのか、さすが里長」
 とは言ってみたものの『欠け竜』スースァ(p3p010535)は「なんで動いているのかわからない」と問うた。
 恐ろしい。目の前で黒豆がビュンビュン飛んでいる悍ましさ。動かなくなった者は全て食わねばならないというのが領域(クニ)出身の者の心構えだ。食糧が少ない地域に住んでいるが故の結論である。
「アタシ達の腹にも頑張ってもらおうな……」
 クリスタラードにベルゼーに。気がかりが多い中覇竜へと訪れた『恋揺れる天華』零・K・メルヴィル(p3p000277)は「おーす、琉珂」と新年の挨拶に訪れて――黒豆からは目を逸らした。
「つぅ訳で、お年玉って事でほれ、まぁ大した額じゃねぇが受け取ってくれ。流石に全員には渡せねぇから……内緒な?」
「わあい、ありが――あ、ううん」
 秘密と言われて口を押さえた琉珂はにんまりと笑顔だけで零に感謝を伝えている。背後を田作が飛んだのは気のせいではない。
「んー……????? あれこれ夢だよね……痛っ」
 田作に攻撃された。『特異運命座標』鯤・玲姫(p3p010395)は「玲ちゃんの寝正月は!?」と大慌て。一体何が起ったのかと聞きたいがフリアノンの住民は誰もが琉珂にどうしてと問いたかった事だろう。
「おせちが……立った!! すごい!!
 え、これお重に詰めるんですか! 自然に返してあげた方がよくないですか!」
「私の料理、自然で生きながらえれる?」
「分かりませんけど!? 追い込み漁ですね!! 琉珂さんえびがそっちいきましたよ!!
 ……待ってロスカつまみ食いしないで!! 燃やさないで!!! ウチてんてこ舞い!!」
『ドラゴンライダー』ウテナ・ナナ・ナイン(p3p010033)へと琉珂が「ロスカってエビ食べる?」と聞いている。
 出来れば、ちゃんと食べれるものか見定めて欲しいという『飼い主』の意見を尊重し琉珂はエビをぎゅうと握りしめた――勿論、そのエビのお味は最悪だったという。
「おせち、良いですねぇ美味しそうですねぇっ。
 私もお手伝いを……えっ、おせちが襲いかかって? おせちが空を飛んで? おせちが増殖して……? 何がなんだか分かりませんが何とかしないといけないなと思いました」
 自分はおせちでもおもちでもないと慌てる『聖なるかな?』アザー・T・S・ドリフト(p3p008499)は『おせちで負傷した』という凄まじく意味の分からない状況に陥った者達の治療を担当していた。
 おせちは美味しく食べる事が取りあえず正義なのである。
「琉珂、どうしてこんなに動くの? お雑煮も食べてみたいけど――あ、待って、調理場はダメよ!?」
 朱華の制止も聞かず走ってく琉珂を鈴花は羽交い締めし「駄目って言ったでしょうが!」と叫んだ。
「とりあえず酒だ酒!
 鍛えるのも大事だが、楽しめる時に楽しんでおくのも強くなるためには必須だと思うぜ?
 さぁて、今年一年も生き抜くために、まずは英気を養うとしようか」
 からからと笑った『桜花絢爛』祭・藍世(p3p010536)に琉珂が「酒造りも楽しそう」と呟いたのはきっと――気のせいではないのだった。

●覇竜II
「というわけでヴィル……握り飯太郎に覇竜の案内をと思いましたが……早速食料を集ってんじゃねーですよ!!」
『北辰より来たる母神』水天宮 妙見子(p3p010644)は叫んだ。
「お正月、つまりマイカスタムおせちの季節でございます。
 えっ!? 料理ですか? 私のギフトで今から集落の皆さんにもらいに行くのですよ。
 ちなみに貰えるのは高確率でおにぎりですが、低確率で高級食品も貰えますのでがんばりましょう!
 名前が漢字の古い家柄の方々はお金があるので狙い目ですよ。あ、どうも」
 ウキウキしている『たくさん燃えた』ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)。ポンコツ三連星の名を欲しいものにする握り飯太郎に妙見子は愕然と空の重箱を抱えていた。
「……は?お せちが空っぽ?
 流石に空の容器持って食べ物を入れていくのはバイキングか托鉢のお坊さんぐらいですのよ……
 あ、でも栗羊羹貰えるなら私もおひとつ……」
 重箱に動いていたおせちを装って貰う『自称・豪農お嬢様』フロラ・イーリス・ハスクヴァーナ(p3p010730)。
 妙見子は頭を抱えていたが亜竜種達の『お恵み』を受け入れて何度も頭を下げている。
「もー! 恥ずかしいのでやめてくださいまし!
 あぁ……すみません……おにぎりを恵んでいただいて……あぁ……すみませんすみません……フロラ様も便乗しないでくださいまし~!」
「持ってきましたのよ。一応。
 ……ふふふ……! 刮目せよ! 半分がチャーハンおにぎりで残りがホルモン焼きですわ!
 これがハスクヴァーナ家伝統(※まだ1代目)の迎春胃腸破壊おせちですわ~!」
 フロラの『迎春胃腸破壊おせち』によって『握り飯太郎』の胃はどうなってしまうのか――!

「ちょっと遅いけど、初日の出だね」と笑ったのは『友人/死神』フロイント ハイン(p3p010570)。
 暖かな衣服を着用していた『ドキドキの躍動』エドワード・S・アリゼ(p3p009403)は「ハイン、転ばないように手、繋いでいこうぜ?」とその手を握った。
「さあ――登頂! ……つってもまだ、空は暗いなぁ。 寒いなぁ……ハイン、くっついていようぜ」
「うん、でもくっつけば暖かくなる」
 ハインは秘宝種で栄養にはならない、けれど身体と温める役に立つと二人で身を寄せてスープを啜った。
「ハイン、去年はどうだった? オレは驚きがたくさんあった年だったかな。オレが今、ハインと二人でこうしてるなんてさ。」
「僕にとって去年は、多分、忘れられない年になるよ。奇跡的にも自我が芽生えて、いろいろなことを学んで、僕はどんどん変わった。
 エドワードは、僕に初めて友情を教えてくれた。エドワードは、僕に初めて恋慕を教えてくれた」
 大好きな君へ――次は何を教えてくれる?

 イレギュラーズになったのだから他の国を――とも思ったが、よく考えれば亜竜集落についても余り知らなかった『闇』シッコク(p3p010498)は集落を見回す。屹度自分以外にも闇竜が何処かに住んでいるだろう。それが学びになる事を願わずには居られない。
「な、なんだよみんな! いくら久しぶりだからってこんなに食べられないって!!
 お年玉!? なんだよそれ、みんな外の習慣に慣れ切って! そんな習慣ここにはなかっただろ!
 ……え?子供を大切にする習慣だから取り入れたって?」
 子供扱いするなよと拗ねるのは『はじめての日を終えて』琅・冬栴(p3p010532)。外の文化を楽しむ家族達はそんな冬栴を微笑ましそうに眺めるだけである。
「わぁっ! 此処も正月行事をやるようになったのですね! あたしが気づかないだけでやってたかもしれませんが!」
『イチゴちゃん、私達も思いっきり楽しんじゃいましょ~!』
『一護一会』イチゴ(p3p010687)へと精霊のメイちゃんが声を掛ける。練達で正月と言えば、と教えられた餅料理を皆に振る舞うと決めていた。
 焼くだけならば覇竜でも出来る筈だと、練達から様々な料理を持ち込んだ。ひょっとして、誰かが混じって居たりしないだろうか。
「双子の弟もゆっくりしてると良いんですが、いっつも怒ってばかりですし……?
 ……何故、今違和感を感じたんでしょうか? あたし」
『どうしたの、イチゴちゃん?』
 メイちゃんの問い掛けにイチゴはくびをこてりと傾いで。

 喫茶店にはクローズの看板を掛けて、『料理人』テルル・ウェイレット(p3p008374)は覇竜領域にやって来た。
 風景に目を向けて、流れる風に身を任せる。覇竜領域は危険が山のようにあるが、それでもその風景を目に映すだけでも喜ばしい。
 帰ったら覇竜領域で食べたものの味も、再現したい物だと考える。

「やってきたよ~、久しぶりの覇竜。未開の地を探検するのもいいんだけど~周りを見回すとお祝いモード。そっか、新年なら珍しいのがあるかも~。
 ということで助手! 今日は覇竜の新年文化を調査だ~!」
『自称まっどさいえんてぃすと〜』宇喜多 那由多(p3p008295)はえいえいおーと拳を振り上げる。未だ何も知らない場所を知るならば、馴染みのない場所の調査が一番だと『氷の輝き』マリリン・ラーン(p3p007380)も考えていた。
「美味しいよ~、ほら、あ~ん」
「毒味役!?」
 驚いたマリリンは独特な味、と呟いた。その料理はメモしてあると笑う那由多を追掛けて「はいは~い、じゃあ私はどうして暦が海洋と一緒か調べてみようかな」とマリリンは周囲を見回して。
 領域の人々の話を聞くだけでも新しい文化に触れられることが喜ばしいのである。

「明けましておめでとう、彗星。今年も宜しくね?」
 優しう声を掛けた『禁忌の双盾』阿瀬比 瑠璃(p3p009038)は「亜竜種っていうのに興味があるの。だから彼らと過ごせたら良いなって思って」と『禁忌の双盾』阿瀬比 彗星(p3p009037)へと提案した。
「獄人と同じように体格が良く角を持つ者が多いのね。…それでも彼らは差別される事は無かったように見える。それは……彼らがこの地で最も多い種族だから?」
 呟いた瑠璃に彗星ははっと息を呑んだ。
「もし、豊穣で獄人の方が極端に多かったら……なんてね」
「……まぁ色々考えたって所詮”もしも”だ。それに僕は……あの地であの状況だったからこそ、瑠璃とこうした関係になれたって思ってるから」
 だから、もしもなんて話したって意味はないのだと彗星は瑠璃の手を握った。
 瑠璃はそうね、と俯いてから笑う。ところで、この地では何が名物なのだろうとお腹が減ったと揶揄うように笑って。

 今年もまた生きて年を迎えられた、ってのは嬉しい限りだと『黒鎖の傭兵』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)は考えていた。
 但し敵方も動きが騒がしいと来ているから手放しでは喜べないのは次図長だ。
「本当にこの地に居るんだろうか……」
 資料を検索する。黄金を纏う竜は存在しているのだろうか。アウラスカルトではない、マカライトが熱望するその存在が――何処かに居て欲しいと、願わずには居られないのだ。

 入っても良い山を聞き走り込みをしているのは『『幻狼』灰色狼』ジェイク・夜乃(p3p001103)。
 曰く――トレーニングは大事さ。
 体を鍛えておかないといざって時に体が動きゃしない、ここぞとばかりこの時期にトレーニングをするのではなく、大事なのは常日頃トレーニングをして体を慣れさせることだ。
 だからこそ、俺はいざという時でも寸分違わず銃弾を当てることが出来る。
 そして、努力を人に見せるってのは俺の美学に反するし、こういうトレーニングは人知れずやるものだと思っている、との事である。
 ――皆が様々な場所で修行しているからこそ『自在の名手』リリー・シャルラハ(p3p000955)は努力したいと考えていた。自分一人で何処まで出来るか。
 覇竜での山ごもりトレーニングを開始する。
 只管に斧を振り自己研鑽に努めているのは『鋼鉄の谷の』ゲンリー(p3p001310)。もはや第一線は遠いが、それでも戦いは数だと考えている。
「世界は佳境に入り、上はより上を目指す。その時に生まれる空隙を埋めることこそ、今の儂の役回りよ。
 この老いぼれにできることは、若者共の旅立ちを、誰にも邪魔させない事じゃ」
 覇竜の国内の様子を見て回るのは『観測中』多次元世界 観測端末(p3p010858)であった。
 人々の暮らしの様子を眺めれば、以前よりも良くなっていることが見て取れる。
 危機の及ばぬ範囲での竜種についての捜索や情報蒐集を行なう『騎兵隊一番翼』レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)は竜に成り得る方法とはないのかと静かに考え倦ねる。
 人の手が余り及ばぬ場所で眠たいと欠伸を漏した『雷竜再臨』トニトルス(p3p008489)。この所は寒さで活動量も少し落ちている気がする――が、この地も何時か戦火に塗れるのだろうか。
 里帰りを兼ねて集落にやって来た『初めてのネコ探し』曉・銘恵(p3p010376)は炬燵を再現しドラネコたちと一緒にぬくぬくと暖まる。
「しゃおみー、ドラネコ達大好きだよ。これからも一緒にいてくれると嬉しいな……。
 トレーニング……ドラネコのお世話じゃ、だめ?
 ドラネコの毛並みを梳いてあげたり、お風呂に入れてあげたり……猫じゃらしやおもちゃでじゃらすよ、わああああ沢山来たー!」
 溢れんばかりのドラネコがぴょんぴょんと跳ねてやって来たことに銘恵は驚いたのであった。

「鏡開きか。私に任せてくれ。さぁ、やるぞ──!」
 のんびりと実家で過ごしていた『光明戦姫』ヴァル・ド・ルクス(p3p010734)はフィジカル50の暴力で――ばこん、と大きな音を立て。
「………すまない、散らかしてしまった」
 餅は粉々になったのだった。
 
●希望ヶ浜I
 正月にもなれば出店が並んでいる。食べ歩きも楽しいだろうかとのんびりと幽火(p3p010931)は街を散策していた。
「ゲームセンターは騒がしいけど様々なゲームの世界が人を呼ぼうとしているのを聞いているのは楽しいよね」
 家で遊ぶこととゲームセンターで楽しむことは良く似ていると言うのは『定めし運命の守り手』若宮 芽衣子(p3p010879)の談である。
『崩れし理想の願い手』有原 卮濘(p3p010661)は「正月を謳い、年明けを祝う。こんな日に私たちみたいなメタキャラ達は……なんでゲーセンにいるのかな?????」と頭を抱えた。真逆の芽衣子までが『敗れた幻想の担い手』夢野 幸潮(p3p010573)の味方だった。
「ゲーセンで無限レース編やるぞ!
 1号2号3号と占領してな、料金はローレットにツケといて……我の育てたこの車データを……あ、だめ?」
(レースするなら……私はバイク。ハンドリング、そしてすり抜け重視、かな)
 屹度、幸潮と卮濘は潰し合いをする。ならばその横をすり抜けることこそが勝ち筋なのだ。
「高速道路コース……ふん。ここはNPC車両も多いからな。速度だけ強くても勝てるわけじゃないんだぜ。
 幸潮も芽衣子もぶっ飛ばして私が一位になってやる!」
 全員置き去りにしてレーススタートと。幸潮は周りの目を眩ませるように叫び卮濘に叱られたのだった。
「ひゅー! 希望ヶ浜でゲームセンター荒らしだー! さー、遊ぶぞー。どんなゲームがあるのかな、かな?」
 そう、ゲーセンで動体視力を鍛えるトレーニング(だと、言い張って)をしているのは『たーのしー』美音部 絵里(p3p004291)である。
 何処に行こうかと迷っては居たが『おしゃべりしよう』彷徨 みける(p3p010041)は故郷に近い場所で過ごしたいと神社での初詣を終えてショッピングモールへと訪れた。
 因みにおみくじの結果は中吉である。正月では福袋が並んでおり、洋服やゲーム、雑貨とどれにしようか悩ましくもなる。
「うーん、色々回って疲れたけど楽しかった!
 そろそろ家に帰ろうっと。今年も良いこと沢山あると良いな……ちょっとでも頑張るよ!」
 年末年始は学園も図書館も閉鎖されてしまった。『星読み』セス・サーム(p3p010326)は籠りきりでスリープモードとなってのんびりと過ごしていた。緊急対応が必要な際のためにaPhoneは側に置いて、巨大ガンガゼぬいぐるみを膝においてぼんやりと過ごす日々だ。
 元気よくネットサーフィンをしている『クラウドラゴン』アレイドスピーア(p3p009241)は「今年はうさぎ年とやらだったか」と呟いた。
 最近はシレンツィオに存在する『竜宮』の画像も回ってくる。バニーガールの画像集めは中々精が出そうだ。
「新年といえば初売り、つまりmy new gear……ってことです!」
 マイニューギリありたい『奏でる言の葉』柊木 涼花(p3p010038)はウキウキとしながらショッピングモールを巡っていた。
 音楽の質を上げられれば支援だって良くなる――と信じて、装備を充実させたいのだ。
「ずっとアコギを使っていましたけれど、エレキギターもちゃんとしたものが欲しいんですよね。
 エフェクターボードとかも憧れますし、バチバチに歪みをかけた音でかっこよく、っていうのもできるようになれたら幅が広がりますから……!」
 ショッピングモールの一角ではバニーガールの餅つきイベントが行なわれていた。シャツにロングスカートという大人びた格好をしていた『彷徨いの巫』フィノアーシェ・M・ミラージュ(p3p010036)はスタッフに呼び止められる。
「兎……バニーガール……いやそういう格好をしたいわけでは……え?
 餅つきのイベントにうさぎ姿のスタッフが足りない? ま、まぁ我で良ければ……少しは、な」
 可愛く暖かいもふもふのうさみみフードコートを着せられて餅つきに興じることになるのだった。
『必殺の銃弾』隠岐奈 夜顔(p3p008998)はと言えば、中身確定だと確実に自分の好みのものが買えるからハッピーなのだと福袋を手に取った後、横をチラリと眺める。ランダムものだが、それもまた良し。普段は身に着けないものが出るだろうか。
「いやだって、恐らく女子が大勢並んでるんだぜ……? 一応男バレしないように誤魔化したいじゃん?」
 女装をし、街へと繰り出した夜顔は男性であれども着用できる衣服をゲットするために奔走していた。

●希望ヶ浜II
 ――部屋が暗い。電気は付いているのに。やはりLEDにするべきだろうかと『綾敷さんのお友達』越智内 定(p3p009033)は考えた。
 帰ってきた『彼女』は少しの休息を必要とし、主治医に病院に閉じ込められていた。会えずじまいだ。
(今までこの時期は何してたっけ。前の時はカフカくんとバイトして、その前は……水族館に行ったっけ。楽しかったなあ)
 ジャバーウォックの傷痕は未だ消えない。街も、人の心も。利己的な自分は、カフェローレットの『いつもの』席に居ない彼女に嘆息する。
 軽食を頼んでも「一口ちょーだい」とねだる君はいない。それを嗜めるひよのさんも、便乗してねだる花丸ちゃんも、今はいないのだ。

 ――話したいことがあるんだ。

(『いつもの』あの時間を、場所を、必ず。誰かじゃ駄目なんだ。僕がやるんだ。
 ……まずは蛍光灯から変えよう。君が話し出すその時に「部屋、暗いね」って言われない様に)

 教師として働いている『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)は新学期のための準備に取り掛かっていた。
 今からデスクを掃除し、授業の資料を作ることも立派なトレーニングである。
「特別授業の時間だ。貴様等、此度必要なのは粘土と絵具とその他よ。
 何? 忘れた? 忘れた奴は自前の粘土と絵具を使えばよろしい。
 つまりは脳味噌と臓物だ、キャンバスも悦ぶだろうよ! Nyahahahahahaha!!!」
『同一奇譚』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)は生徒達の作品を一つ一つ褒めて行く。新年から特別授業が行なわれているのだ。

 逢坂地区を訪れていた『蛇蠱の傍』葛籠 檻(p3p009493)は宵闇を切り裂いた先に存在する太陽に目を細めた。
 素足の先はきんと冷たく身体が芯から凍えて思わず冬眠(ねむ)ってしまいそうにもなる。
「……あけましておめでとうとかいうやつだろうな」
 それが『あいだ』というならば、愛に生きる龍はその道をひた進むしか有るまい。その背後に射干玉の娘が見えたような気がしたが――気のせい、だろうか。

 師匠には内緒で『お師匠が良い』リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)は新しいコートを探しにやって来た。
「もう18だし、そろそろボクも狩人として一人前になったって認めて貰いたいからね。まずは形から。
 どのコートにしようか? ……顔は隠せる様にしておきたいから、大きなフードは必須。
 武器を忍ばせておくポケットや長い袖も欲しいよね。色は……やっぱりボクの色と言えば血と同じ赤色でなくちゃね!」
 カッコイイ一人前の自分は師匠から離れて一匹狼になるのだろうか。それは、少し寂しい気がするとぼやいて。

 冬休みの課題も終わった。頭を使うことに着かれたならば少しは身体を動かそうと両親と共に初詣に出かけた『回帰方程式上のoutlier』ヰニイ(p3p010878)。
「結果は……中吉だけれど、まあ、まあ! 恋愛は『躊躇うな』ですって!」
 甘酒を飲みながら母と騒いでいるヰニイへと父は「まだ早いんじゃないか」と渋い表情を見せる。
「失礼しちゃうわ、もう直、来年度にはわたしだって二十歳の成人よ?
 でも、そうね。まだまだ甘えていたいお年頃でもあるから……あ、じゃがバター食べたい!」
 あからさまな『子供モード』を見ても父はにんまりと笑顔を浮かべてしまうのであった。

 ――本日は『蒼騎雷電』イルミナ・ガードルーン(p3p001475)は自室から。
「イルミナはですね……今年はのんびりゆっくりと過ごすことにしてるんスよ。
 なのでー、こうして誰にも会わず、外にも出かけず、お部屋のお布団でお雑煮を食べるという暴挙に出ているわけです……ふふん。
 …………うーん。でも。このお雑煮食べたら、新年の挨拶くらいには行きましょうかね、暁さんとか、クラスメイトの皆さんとか」
 寝正月も素晴らしいが、何となく寂しくなる気持ちも、少しばかりはあったりするのであった。

「明けましておめでとう、リンドウ。さぁ食べに行くわよ」
 正月はご馳走がある筈だという『死と共に歩く者』辰巳・紫苑(p3p000764)。『イエスマスター』リンドウ(p3p002222)は『マスター』をまじまじ見てからそう言う人だったなと頷いた。
「……という訳でリンドウと共に再現性東京内で色々食べたいわ。どっちにしろ、餅数個だけじゃ足りないから、色々食べ回る事確実よ」
『マスター』はこういう人だ。いつだって、食べ物と誰かを殺す事しか言わない。餅の無料配布を探し、餅つきにもリンドウは参加して紫苑へと手渡す。
「マスター、危険ですので餅を飲むように食べないで下さい。詰まる原因です」
「餅を詰まらせるって…リンドウ母親みたいね。大丈夫よ。
 キャラシに22って書いてあるけど、私は永遠の16歳よ? そんな老人みたいなオチが待っている訳が――」
 うえっほ、と言う声が出たのは、多分、気のせいなのだ。

「明けましておめでとう御座います。即ち神よ、無事に年を越せた事を最大限の感謝を……まぁそんな事はどうでも良く有りませんが、どうでも良くてですね。
 正 月 と い う 名 の 大 型 連 休 な ら ば 、 其 処 に 愛  が あ る は ず で す よ ね ? 」
 そう新しい愛(同人誌)との出会いが欲しかったのだ。『お前も愛を知らせてやろうか!』ナズナサス(p3p001053)はうっとりと笑みを浮かべる。
「あぁ……今年はどんな愛に出会えるのかしら? 今から楽しみでなりません……!」

「やっぱりこうして日本風に初詣をするのが落ち着くわねぇ。
 このお正月の神社ならではの人混みも、かえって“らしさ”を感じるっていうか……あ、珠緒さん、しっかり握っててね?」
 ぎゅっと手を繋ぐ『比翼連理・護』藤野 蛍(p3p003861)と『比翼連理・攻』桜咲 珠緒(p3p004426)。随分とこの場所には親しみを覚えてきた頃だ。
 蛍と一緒に新年を迎えられることが珠緒にとっては嬉しい。避けたり流したりも容易ではあるが、彼女の気遣いが嬉しいからこそ手をしっかりと握るのだ。
(珠緒くらいは我儘を言っていただける相手でありたいものです)
 手を繋ぎ、蛍はふと呟く。
「音呂木神社だっけ、ここも二礼二拍手一礼でいいのかしら」
「それで良いみたいですね」
 その通りに行なって、二人揃って祈りを捧げる。
(今年こそ珠緒さんと一つに結ばれますように……! 縁結びの神様、お願い!! ボクに勇気をちょうだい!)
(今年も二人で健やかに過ごせますよう。蛍さんの笑顔を、珠緒の手でより暖かなものにできますよう)
 ちら、と蛍の横顔を眺めた珠緒は「何をお願いしましたか?」と問うた。
「つい一生懸命拝んじゃったわ、あ、あはは……珠緒さん、今年もどうぞよろしくね」

●希望ヶ浜III
 音呂木神社は毎回の事ながら大騒ぎだ。着物を着用している『揺り籠の妖精』テアドール(p3n000243)は初詣は『知識(データベース)上』だけだと周囲を見回す。
『陽だまりに佇んで』ニル(p3p009185)はわくわくとしながら「ニルは豊穣でしか初詣ってしたことなくて」と告げた。
「お作法なら分かります。知識の上でですが」
「なら、一緒にしましょう!」
 手を打ち合わせて祈りを。昨年は様々な事に見舞われた。ニルは目を伏せて、深く祈る。
 たのしいこと、おいしいこと……もう一度あいたいひと――『ミニミス』や『レンブランサ』
 祈るニルの横顔を見詰めてからテアドールはその背を撫でた。
「テアドール様にとってもいい年でありますように。おみくじも引いてみませんか?」
「どんな運勢が出るか、楽しみですね」
 希望ヶ浜と言えば――と『知識の蒐集者』グレイシア=オルトバーン(p3p000111)が考えたのは初詣だ。
「身動きも儘ならんからな…逸れないよう、気を付けるとしよう」
「う、うん。毎年のことだけど、どうしてこんなに……」
 眉をハの字にした『絶望を砕く者』ルアナ・テルフォード(p3p000291)は晴れ着姿で何処か困った顔をしながら初詣の行列に並んでいた。
「さて、初詣は神に感謝をしつつ、願掛けをするものだったか……感謝はさておき……」
「感謝はしないの? ルアナ達もお願いたっぷりしとかなきゃ」
 ええと、ええと、とルアナは考え倦ねる。早く大人になりたい――なんて願えば彼はどんな顔をするだろうか。
「わりぃな、先生。新年早々呼び出しちまって。まずは新年あけましておめでとう。今年もよろしく」
「はい、宜しくお願いします」
 ぺこりと頭を下げた澄原 晴陽(p3n000216)に『決意の復讐者』國定 天川(p3p010201)は頷いた。
「神頼みってのは柄じゃないが、今日は一緒に初詣に行こう。先生は忙しさにかまけて初詣に行く機会はなさそうだし、いい機会だと思ってな。まぁ杞憂だったら悪い!」
「まあ……思いを馳せる程度で済ませているかもしれませんね」
 そりゃ、どうなんだと笑った天川は「はぐれないようにな」と笑って手を差し出した。随分と慣れてしまった事が可笑しくも感じながら手を握る。
「先生は何をお願いした?」
「平和と、龍成の健康を。天川さんは?」
「俺か? ――ふふ。内緒だ。さ、飯でも食いに行こう」
 晴陽らしい願いだと笑う。天川は彼女と彼女の家族が幸せであるようにと、そう祈ったのだった。
「エーレンくんじゃん! あけおめー!」
 にんまりと笑った『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)。偶然でも『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)と年始めに出会えたことは喜ばしい。
「咲良? ああ、あけましておめでとう。今年もよろしくな。
 巫女のアルバイトか。偶然だな。応援もかねて破魔矢の一つも買っていくか。武運と成長の願掛けだ。
 ……咲良、疲れているのか? こっちのお守りは注文してないぞ。きちんと注文した人に渡さねば――え? 違う?」
「これ、アタシからサービス! ……大丈夫! アタシが個人で買ってるもん! だから、貰ってって!!」
 お守りを押し付ける咲良は最近はエーレンも危ない依頼にばかり行っているからと、無事に帰ってきて欲しいと願った。
 懐に『お揃い』を仕舞い込んだのは少しだけの秘密。大好きで、大切な人とのおそろいは、何よりも嬉しいから。
「新年、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。みゃー」
 お年玉を貰ってきたという『祈光のシュネー』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)は音呂木神社に訪れていた。
 賽銭を入れてひよのをみつけてご挨拶。「祝音さんではないですか」と彼女が手を振れば祝音は「今年もよろしく。みゃー」と頷いた。
 境内には猫たちの姿もある。其れ等と過ごすのも又、幸せの時間なのだ。
 初詣客には学生達も居る。アーカーシュの制服を着ている『カーバンクル(元人間)』ライ・ガネット(p3p008854)を見付けて音呂木・ひよのは「あら、似合っていますね」と微笑んだ。
「かわいいですよ」
「似合ってる? そりゃどうも……おい、かわいいは余計だろ」
 くすくと笑う巫女に手を振ったのは『夜善の協力者』ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)。
「ひよの殿ー!明けましておめでとうですぞー!
 ささ、今年も吾輩手伝いに来ましたゆえー、初詣のラッシュを乗り切りましょうぞ! 今日の吾輩はひよの殿の言う事なんでも聞いちゃうマンでありますからに!
 馬車馬のごとくこきつかってくだされー! 参拝ラッシュが落ち着いたらお雑煮でも作ってきますからにー、皆さまと一緒に食べて新年をお祝いしましょうぞ!」
「では、早速!」
「ひ、ひよの殿ー!?」
 突如としてジョーイはそれはそれは『馬車馬』の如くこき使われることになった。その隣では拳骨を受けた『ネメシス司祭』楊枝 茄子子(p3p008356)が頭を押さえている。
「……おみくじに羽衣教会のやつ混ぜたら怒られた!! いいじゃん別に減るもんじゃないしむしろおみくじの総数は増えるし。あ、そうだ。
 今年は静羅川立神教を潰す予定だし、そしたらひよのくんも羽衣教会に入ろうぜ!
 そしたらおおむね解決だね! 羽衣教会は他宗教との掛け持ちもおっけーだよ! 音呂木がなんの宗教に属してるのかしらないけど!」
「ウチの宗派、結構根が深いですよ」
 ひよののその言葉に茄子子は「ん?」と首を傾いだのだった。
「ひよのの家に遊びに行って初詣を手伝……ハイィ! 仕事に戻りますう!」
 お前は違うと言いたげに首根っこを掴まれたのは『音呂木の巫女見習い』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)。まるで猫のようにぷらんと吊り下げられている。
「一緒にケーキを食べたじゃんよ! 年始のTV番組見ながらおぞーにを今度こそ食べてたり! す、すべて幻覚だった……?
 あっはい。手を止めてないで働きます。はい。今年は、今年から、はい。サボらずに頑張りますはい。夜妖のほうも? はい。変な事しません。頑張りますはい」
 パイセンは恐ろしいのだ。そんなパイセンの様子を笑ってみていたのは『なじみさんの友達』笹木 花丸(p3p008689)と『可愛いもの好き』しにゃこ(p3p008456)である。
「なんか抽選でいいものが手に入るっていうんでね!徳をためて行きましょう!
 ひよのさんの神社でも掃除していきましょうか!去年もしましたねそういえば……。
 もう実質神社のレギュラーキャラでよいのでは!? 可愛い巫女さんでバズり散らしていきましょう!」
「じゃあ、可愛い巫女さんとなって巫女服を着てデイリー業務をしましょうね」
「ええー? あっ! そういえば今年まだしにゃお年玉もらってないんですよ! チラチラ。
 ついでに初詣もしていきましょうか! 今年も一年可愛くあれますように! あと世界平和もね !一年平穏であってください! お願いします!」
 1億ゴールド欲しいーと叫んだ巫女しにゃこの首根っこをひよのが掴む。花丸は連行されていく『借りてきたハイエナ状態』のしにゃこを眺めながらお守りの販売をしていた。
(ううん、やっぱり忙しいなあ。毎年の事だけど初詣に来る人達がすごいね。もう何回も手伝いに来てはいるけど流石の花丸ちゃんもちょっと慣れそうにないかな)
 とは言えども弱音を吐いてなどいられない。まるっとお任せだと花丸は笑顔を崩さずにお手伝いを続けていく。
「明けましておめでとう! 今年もよろしくな! で、せっかくだしと音呂木神社に初詣に来たはいい、いいが……うん、そうだよな! 秋奈はいつも通り巫女見習いとしてこき使われてるよな! 安心した!」
 それで居て秋奈なのだというように『紫閃一刃』紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)は笑顔である。だが――
「えっ? オレも手伝え? ちょっ、いや、オレは秋奈の守護剣士で……えっ関係ない? 参拝客もイレギュラーズも多いから手が足りない? 弟子を任せたって言ったよね?
 いや、サボらないよう監視することと夜妖で変なことさせないと誓います、だからその、お慈h……アッハイテツダイマス(((;゚Д゚)))」
「ええ」
 にこりとしたひよのが恐ろしいと心に刻み込む紫電なのであった……。
 ――二礼二拍一礼を。5円を入れて畏申す。
『名無しの』ニコラス・コルゥ・ハイド(p3p007576)はどうか今年もひりつくギャンブルができますようにと初詣に祈る。
 甘酒を飲んでお神籤でも引いていこうかと笑うニコラスに「200円です」とひよのが良い笑顔をして待っていたのだった。

「去年も君とは色々あったねえ。あんまり無かった、って思えないから…退屈出来ないくらい色々あった。楽しかったって思えることが多いと良いねえ、今年も」
 お手をどうぞ、プリンセスと手を差し出すのは何時もの『ワルツと共に』ラクロス・サン・アントワーヌ(p3p009067)の仕草だ。
「昨年も色んなことがあったね、グラオ・クローネもしかり覇竜でも……行人君と出会ったのは学園祭の時だろう?
 それからだからもうあっという間に年月が経ったんだね。
 ……所で行人君私初詣の作法を知らないのだけれどどうしよう? 神様への挨拶なんだろう?
 失礼なことはしたくないからね、教えて欲しいのだけれど君の真似をすればいいのかい?」
「初詣の作法? ああ、それは一応あるけど……
 二回お辞儀をして、二回手を叩いて合わせてお願い事をして、最後にもういっかいお辞儀をする。
 っていうのが作法だけれども、あまり拘る必要はないさ。
 お願い事……祈りが大事だからね、作法が整ってないって目くじらを立てる狭量な連中じゃあない……」
 囁いた行人にアントワーヌは頷いた。願い事は『君のための王子でありたい』という彼女だから行人は彼女の願いを叶えてやって欲しいと祈る。
「あ、振り袖着てみない? 駄目かな?」
「振袖? いいよ、行人君もお揃いにしよう!」

 可愛い子供達、こと、ペコちゃんとウーロン君と初詣に参加していた『子連れ紅茶マイスター』Suvia=Westbury(p3p000114)は「着かれましたか? この後は『フクブクロ』を買いに行きましょうね」と笑った。
 茶葉や食材の入っているという福袋の中身が楽しみだと、先ずは神頼みである。
 初詣を遠巻きに眺めていた『アラミサキ』荒御鋒・陵鳴(p3p010418)は皆の平穏を護るべく歩き出す。
 遠目に参拝客を眺めていた『悪夢の断片』クー・クティノス・ツァラレーヴ(p3p010187)は愉快そうでもある。参拝客達の抱いた欲が自身にとっての糧であるかとでもいうように。

●希望ヶ浜IV
「無事に年を越せた……いや本当、1年に2回も竜種と戦う羽目になるなんて聞いてない。
 …僕は引きこもりだったはずなのに……でもまぁ、悪い事ばかりじゃなかったよね」
『陽の宝物』星影 昼顔(p3p009259)がはあ、と息をつく。適当な散歩をしているが、晴陽に聞けばセチアはもう冬休みなのだそうだ。
 人々が日常を取り戻したことが昼顔にとっては嬉しいが、居なくなってしまった人が居る事がどうしようもなく苦しくもある。
(まだ傷は癒えていないけれど、……この傷はいつか癒える時が来るんだろうか?)
 人が行ったり来たりとしている中で、浅蔵 竜真(p3p008541)は腰を据えて話したいと声を掛けた。
「音呂木神社は凄い人だそうだな。希譚……とかなんとか聞いたけど、あれは落ち着いたのかな。
 俺はほとんど関わってないからあまり詳しくは知ってはいない。晴陽さんは音呂木ともなにか接点がありそうだけど」
「それは水夜子が行って居ますね」
 晴陽は水夜子に調査を委ねているらしい。どうやら音呂木自体にも何かあるようだと晴陽は睨んでいるようでもある。
「真性怪異の話ししました?」
「水夜子君、明るすぎる」
『獏馬の夜妖憑き』恋屍・愛無(p3p007296)は笑みを浮かべていた澄原 水夜子(p3n000214)に言った。
「『真性怪異』なんてモノも、そう珍しくなくなってしまったしな。昨年度の澄原への報告書も、さぞ分厚くなりそうだ。
 一人で整理するのも大変だろうと一年の振り返りをしながら怪異について勉強してきたのだが……」
「ええ、ええ、してきたのです」
 どうやら晴陽は水夜子が自身が自分を道具だと認識している度し難い実情を受け入れているようでもある
(まあ、人というモノは不思議なものだ。枷がなければ生きられない。それが彼女達の「枷」なのかもしれない)
 ――彼女達の関係は、どうにも歪だと愛無は考えずには居られなかった。

「こたつに入ってのんびりするっ。歌合戦、煩悩108発聞いて動き出す。
 あったまパンパカパ~ン! 新春明けましておめでとうございます」
 にんまりと笑った『タコ助の母』岩倉・鈴音(p3p006119)は「正月なんだから未来のヴィジョンでも見えんかな~」と呟いた。
 初詣では今年ラスボスを撃破できますようにと祈り続けた。元の世界に戻るなら打倒すべきなのだとしっかりと決心する。
 再現性東京の散歩と初売りを楽しんでいたのは『乱れ裂く退魔の刃』問夜・蜜葉(p3p008210)であった。菓子の詰め合わせなどがたたき売りされている。
「練達の初売りっていうのに来てみたよ!そこで、ついに出会ってしまったんだ……!!」
『多言数窮の積雪』ユイユ・アペティート(p3p009040)はごくり、と息を呑んだ。

 \こたつ!!!/

 暖かくってたまらないのだ。こたつから尻尾が出て『妖怪こたたぬき』になろうとも、炬燵の魔力からは抜け出せまい。
「ふむふむ、こたつには蜜柑……うんうん、それは売り場にも飾ってあったねぇ……え!アイスもセットなの?
 ハッ!! ……ポカポカあったかい中、冷たいデザートとか……えっ、天才? なんて罪深いんだ……!! ウオオォ……!!」
「蜜柑。そうですね。まだ寒々しい季節なのでぽかぽかとした温かさが心地いいですね。体温低めの私の体にも熱が伝わってきます。
 そういえば文献では炬燵にはミカンが相性抜群と記載してありまして、おミカンはございますか?」
 問い掛けたのは『ぬくもり』ボディ・ダクレ(p3p008384)。栄養がある白い筋は剥かない派の人間だというボディに『働き人』アンジェラ(p3p007241)から蜜柑が差し出される。
 そう、アンジェラにとっては素晴らしい空間だ。存在意義を確かめるための場所であるとも言えよう。
「何気なく手を伸ばしたところにお菓子を用意し、気付かぬうちに空になったジュースがあれば追加し、ゲームが終わった人がいたらソフトの籠を持ってゆき……。
 完璧な自堕落生活をサポートしてみせましょう……流石にトイレまでは私にはどうにもできませんので寒い目に遭っていただく必要がありますが……」
 そんなアンジェラは皆の為に当たり前のように働くのであった。
「へへ……此処何だか落ち着きます……やっぱりおこたは偉大な人類の発明品……」
 ぬくぬくと炬燵を楽しむのは人吉 仁美(p3p010901)。最高の環境だとのんびりするのもまたトレーニング――なのかもしれない。
 突然の『職業訓練』染みたイベントに誘われたのは大葉 飛雄馬(p3p010930)。ドラゴンと戦うのは無理だと考えてやって来たのが練達の『炬燵』である。
「あ、すっげぇ楽だわこれ。俺ここで過ごす……」
「おこたニャーーーーー!」
 勢い良くこたつに飛び込んだのは『(自称)ぬくもりの精霊種』芳(p3p010860)。暖かくてふかふかお布団で、それでいて狭くて暗くて落ち着くのだ。
「それにおこたと猫の組み合わせは最高って、知り合いの猫ちゃんが言ってたニャ」というのは適当な言葉ではあるが如何にのんびりと身体を休めるかもトレーニングの一環なのである。
「はっおこたの外にご飯置いてたのニャ! ううっおこたから出たくないニャ~~~~~!」
 炬燵の魔力から逃れることもトレーニングであるのかもしれない。
「クハハハ! これがおこたか! 我の時代には無かったものだが……うむ! 快適だな!」
 酒を呷り、はあと息を吐いたのは『酒天童子』大江山 伊吹(p3p010779)。グラスを掲げたのは『凶狼』ヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム(p3p010212)。
「わーはっはっは!ここでおこたに入って寝転がってるだけで経験値貰えるとかザル過ぎてヘルちゃん笑いが止まらねぇのだ! ついでだからヘルちゃんはおこたの中でワインの飲み明かすのだ!」
 酔っ払いはおこたで寝転がって肝臓のトレーニングを楽しんでいる。
「ふっふっふ…この『おこた』は一見ただのおこたに見えますが、本当は夜妖が取り憑いた魔物おこたか、もしくは練達の最新技術によって開発されたおこた型決戦用超兵器とかそんな感じの何かですね! 多分間違いありません!! 私にはお見通しです!!」
 びしりと指差した『消費期限10秒系女子高生』出オチちゃん(p3p010131)は「いざ!」と戦おうとし――自身の最大HP以上の装備品によるHPロストでがくりと崩れ落ちたのだった。
 おこた――それは魔性である。『あなたの世界』八田 悠(p3p000687)は其の儘寝たら風邪を引きそうになる悪性にして、なければそれはそれでいて風邪を引く善性を備え持った炬燵に入って「ぬくい」と呟いた。
「新年限定ガチャとかイベントとかソシャゲは一杯あるよね。
 術とか吟遊のネタになるなってことでそこらへん欲しいな……ちなみに天井まではしない派」
 限定SSRをゲットするために、炬燵の中でガチャを回すのだ。
「くっくっく、トレーニングと称して経費でおこたに入りたい放題……相変わらずちょろ甘なのにゃ~。
 やりたい放題にゃ。セティアはソシャゲをしてる……あのリセマラってやつ、ある意味精神修行なんじゃないかにゃ?」
 魚の捌き方動画を眺めながらスナック菓子を摘まんでいるのは『リグレットドール』シュリエ(p3p004298)。
 名を呼ばれた『妖精騎士』セティア・レイス(p3p002263)は淡々と言った。
「ここはおこたの世界。おこた人生がはじまるところ。
 たぶんそういう夜妖とかがおこたいっぱいとかにしてるんだと思う割と。もしくはそういうアトラクションのビルとかかもだけど、謎だけど、たぶん。
 いっとくけど、千客万来だし相談とかも全然しないから。やること思いつかないって人は、ここでおこたはいろ。ソシャゲの無言団みたいの感じだからたぶん」
 その言葉に衝撃を覚えたのは『飛んだにわとり』トリーネ=セイントバード(p3p000957)。
「ここが……おこたの世界……!! 寒さもなくなる圧倒的な心地よさ……そして、うとうとしてしまう魔性の魔力……!
 これはちょっと刺激的が過ぎるのよー! こたつの上に避難しましょう。私はお正月を彩る机の置物。
 そんな気分で微動だにしないでおくわっ。これぞ精神修行。私のローレット・トレーニングよー!」
 勢い余ってポーズを取ったトリーネはもう一度おこたに戻りたいとすごすごと戻っていったのであった。

●希望ヶ浜V
「グラクロの為の試作会! イイよね楽しいよねグラオ・クローネ!
 送る相手は誰であれ、町中沢山甘い香りと陽気な雰囲気に満ちるのは気分がいいよね!」
 にんまり笑顔の『今を写す撮影者』浮舟 帳(p3p010344)はグラオ・クローネのためのチョコレート試作会に参加していた。
「おい知ってるか。恋をするとな、時々すっごい切なくなるが、時々すっごい熱くなる。らしいぜ!
 ボクにはチョコをあげる相手はいない。だけど食べることはできる……!」
 ぐっと親指を立てた『天翔る』グレイシア・ラ・ヴォルラース(p3p008910)。お毒味にお味見なら任せて欲しいと彼女は甘さなどの調整でアドバイスを送ることにした。失敗作も食べちゃうのがご愛敬――そのあと少し腹を下したのも屹度仕方が無い事なのだ。
「好き、を伝えたいのじゃがウチ、こういうの最近始めたばかりでの。教えてくれんかえ?」
『柳暗花明の鬼』形守・恩(p3p009484)へと勿論と頷いたのはグレイシア。恩は簡単に作れるという『ちよこぷりん』を作る。
『ぜらちん』とは何か。この半透明のものが、食べられる材料になるとはそれもまた、驚きだ。
 もしかすると食べられないものが出来てしまうかも知れないという不安を抱いていたのは『トンファー最強説』セルティ・ジーヴェン(p3p007265)。様子見をしながら皆のサポート役に回る。
「これは……こうで……これをですね……ええ、それで………ふぅ……とりあえずはだいじょう……ぶ……? それはダメです!!」
 そう、チョコは直火はダメなのである。
 味覚はダメだから試食役には向かないと告げた『流転の綿雲』ラズワルド(p3p000622)は調理担当を引き摺って参加していた。そんな引き摺られてきた『金色の煙霞』アウレウス(p3p009222)は「この稼ぎ時に」とぼやく。
 お手伝いくらいなら出来ると言うラズワルド。大好きな酒のために努力の人なのである。
「ガナッシュにリキュールを加えるだけなんで基本さえ掴めば楽勝っすから。ほら手伝ってください、センパイ。
 ブランデー、林檎ならカルヴァドス、桜桃ならキルシュ、オレンジキュラソーにコーヒーリキュール・
 ラム酒に漬けたフルーツを刻んで入れたり、変わり種だと日本酒、梅酒もいけるっすよ」
「ん、イイ香り。思ったよりお酒感あるし、意外と悪くないねぇ。
 食べ比べして香りの違いを楽しんだら試作会っぽくなるんじゃない?」
 チョコレートとはカカオの入ったお菓子だと直ぐに認識した『日輪の従者』フレデリカ=K=ガーヴェ(p3p010580)は直ぐに用意しようとし――施策会である事に気付いて指南側へと回った。
「皆様、大事なのは心です。相手を大切に思う心。それこそがチョコレートを作る先に最も重要な心構えなのです」
「成程。普段は食べる専門だが、作るのも面白そうだ」
『豪放磊落』呂・子墨(p3p010436)はチョコチップロッククッキーを作るべく、キッチンに立っている。
 バター、砂糖、卵、薄力粉、チョコチップにバニラエッセンス。これらを泡立て器でまぜまぜまぜ……美味しそうな匂いが薫り立つ。
「菓子…甘々…………試作? 当方 料理下手……」
 エプロンを渡された『島風の伝令』島風型駆逐艦 一番艦 島風(p3p010746)は「ゆ、湯煎……型使用…冷蔵……」とおろおろと周囲を見回す。
『刑天(シンティエン)』雨紅(p3p008287)はと言えば、練習は大事だと頷いた。
「皆さんの作ったものも食べてみたいので、お互い交換できれば嬉しいですね。勿論、単に味見してくださるのも大歓迎ですよ」
 雨紅が作るのはチョコヌガー。チョコを刻み、マシュマロとアーモンド入り、グラノーラ入りを作る。溶かし固めたらバー上にするのである。
 そんな皆のチョコレートを確認してから『遺言代行』赤羽・大地(p3p004151)はオランジェットを作った。
「我ながら少し気が早いとは思うけど、一度くらいはやっておいた方が本番でも淀みなく手が進むだろう。
 何よりも、自分の舌で『美味しい』とわかっているものなら、胸を張って贈ることができるしさ」
 淀みなく作ったのオランジェットと、余ったチョコレートをドライフルーツにかけたものも作成しておく。皆で試食するのも楽しいのだ。

●妖精郷I
「お酒! 飲めると聞いて! お酒! どこ! 料理もきっとあるよね!」
 ウキウキとしているのは『ドラゴニュート』紲 白虎(p3p010475)。酒妖精と不名誉に呼ばれる妖精女王の片割れがにんまり笑顔だ。
「あ、あけましておめでとう! 今年も宜しくね! んー? 私は旅人じゃないよ? 本物のドラゴニア!」
 角も本物なのねと楽しそうな妖精達に囲まれて思う存分に酒を楽しむ。
「まぁ、妖精って本当になんて小さい者たちかしら! お母さんの大きさに驚いたりしない? 大丈夫? 仲良くしてくれると嬉しいわ?」
 白虎の母でもある『紲一族のお母さん』紲 蝋梅(p3p010457)は戸惑いながらやって来た。
 小さな妖精の一人がもの凄い勢いで酒を飲んでいるのは――屹度、気のせいではない。
「お酒って飲んだ事がないのよね~、子供達も居ない事だし……遠慮なく行ってみましょうか!」
 酒を呷れば、案外不味くはないが酩酊が程良く回ってくる。余り量を飲みすぎると……危険かも知れない。
 酒が飲める場所として知られてしまったのは大凡あの妖精女王の行いのせいだが珍しい発泡のシードルを楽しめるのは喜ばしい。
『蛟』尹 瑠藍(p3p010402)は「新しい年に乾杯!」と笑みを浮かべる。
「フハハハハハ!! 酒ぞ! 食物ぞ! 甘味ぞ! 此度の我は飢えておるぞ!しかと食すぞ!
 しかし此処の住人らは割かし酒もいける口であるのじゃな! 天晴!
 であれば我も負けてられんな! よぅし見ておれ我の一気飲み……え、いや、我は子供なんじゃなくれっきとした堕天使で数千年、いやだから、呑んでいけないとかそんな物は我には通用せ……」
『輝きを目指して』ダリル(p3p009658)は「我の酒ェー!」と叫ぶ。うんと幼く滅入るストレリチアに酒を奪われたのはご愛敬なのだ。
「キンパツの兄さんも太っ腹だよなあー、今回はお年玉があるんだっけか。
 あの羽根のお嬢ちゃんが半泣きだったのは……ふへへ、お約束ってやつだねぃ」
 くつくつと笑ったのは『怨讐鬼』艮 悪羅(p3p008937)。大酒飲みのストレリチアが虹色を吐出しながらもバカバカと飲んでいる。
 それを見れば悪羅はストレリチアが茶か牛乳でも飲んでいるのではないかと見紛うばかりだと笑った。彼女と飲み比べは実に楽しそうである。
「宴か!
 酒に溺れる者たちを見て今年の行く末を占うのも良いだろう!ゆくぞ協奏馬たち、アルコールの入った声でアンコールをいただくのも悪くない! さあ歌を歌おう、新年を祝う祝福の歌だ!」
 奏で始めるのは『不運《ハードラック》超越』マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)である。
「ふふ、賑やかねえ。ひときわ賑やかなところへ鹿も混ぜてもらいましょう。楽しそうなご様子だから、ストレリチアのいるところはすぐに分かるのよ。
 お土産のお酒、たくさん。おつまみ、たくさん。準備はもちろん、たっぷりと。
 乾杯、乾杯。新しい日に、祝福を。お年明けのご挨拶もかねて祝杯傾けましょう」
『妖精の祝杯』ポシェティケト・フルートゥフル(p3p001802)はくすくすと笑った。穏やかな彼女のうっとりとした笑みは変わることはない。
「常春の世界でお昼寝なのじゃ!
 寝ることだって立派なトレーニングの一環じゃよ。より質のよい睡眠が元気を齎すのじゃ!」
 喧噪は感じるが暖かな春の花畑である。フィラ・ハイドラ(p3p008154)はごろりと転がって、他人の声を子守歌とする。
 賑やかな声音は心地良い。楽しげに笑う人々の声があればこそ良い夢が見られそうな気がして――

 ――トレーニングか、と独り言ちたのは『特異運命座標』オルレアン(p3p010381)。
 妖精郷を護ると『彼女』と約束した以上はその役目をオルレアンが手を抜くことはない。
 だが、妖精達にもいざという時の手解きをしておかねばならないとも考えた。
「では訓練を開始する、俺の話を聞け妖精達よ。いいか、まずは敵が来たら……。
 こら、話を聞け、俺の頭に花を咲かせるな。敵が来たら無理はせず、速やかに俺を……。
 そこ、酒盛りを始めるな。俺を呼べ……そして、万一お前達が敵に立ち向かうおい、俺の髪を弄るな、話を聞け」

(もう2年と半年ほど前。私が特異運命座標として目覚めて、最初の大きな争い。深緑、妖精郷での一件――)
 和やかなその場所に『紅矢の守護者』グリーフ・ロス(p3p008615)は訪れた。
「……今年も、来てしまいました。領地に、心ばかりの墓標を立てさせていただいているとはいえ、やはり、貴方たちの魂は、ここにいる気がするのね。
 ……貴方たちとの出会いが私にとっての、”ワタシ”が”私”となった、原点だから。……また会いに来ます」
 ――それで、恋は知ったのかい?
 そんな声が聞こえた気がしたがグリーフは首を振る。まだまだ、探す旅路の途中に立っているのだ。

「新年だからねー、色々友達にも会いたいけど。誘われちゃったからにはいかないとですね!」
 ――なんて笑った『秋雫の妖精』メープル・ツリー(p3n000199)はサイズの家出メープルシロップ入りの酒を飲みのんびりとしていた。
『爆音クイックシルバー』ハッピー・クラッカー(p3p006706)は「これが結婚してからの最初の活動……と言うことになるよね」と頷いた。
「まあ、全然パッシブなのんびりの過ごし方をする訳ですけれども!!」
 騒霊にだってお正月休みはあるのだとプレゼントを着用し穏やかな時間を過ごす。
『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)にとっては不思議なことだらけだ。有るときは恋人みたいで、あるときは夫婦のような。己の性別は不明だと告げて居るが愛おしい妻が二人一緒に居るのだ。
「おやおやサイズくん、あーんしてほしそうな顔してやるな。
 メープルさんが一肌脱いでやろうじゃないか、ふふーん♪」
 にんまり笑顔のメープル。ハッピーは隙を付くように背後から『酔ったフリ』をしてサイズへと抱き着いた。

「エーリカ、はやくはやく!」
 躊躇う『夜のいろ』エーリカ・メルカノワ(p3p000117)の手をとって、『雲雀』サンティール・リアン(p3p000050)は駆けだした。
 悴んだ掌だって、妖精郷の扉を開けば暖かに消えてしまう。深緑の雪のクッションに大の字で寝そべれば、その冷たさがひんやりとした。
「見えざるものに愛されたきみ。きみはそれをのろいだと嘆いていたかもしれないけれど。
 こころを交わせる存在を前に、何を怖がることがあるのさ! ――なんて。
 ふふふ! 僕なんかが言わなくっても、きみはもうちゃんとわかってるね」
 妖精の祝福を受けたこのひとは、『ひと』と『かれら』の境目に立っている。
 この地は、エーリカにとっては呪いで、サンティールにとっては祝福なのだ。
「ふう、ふう、まって、サティ。あなた、とってもあしがはやいんだもの……ちょっと、きゅうけい」
「ふふ」
 笑って倒れれば雪は暖かにも感じられる。春の園の扉に手を伸ばせば、もう少し。

●ローレットIII
 暖かな暖炉の前で読書を楽しんでいる『書の静寂』ルネ=エクス=アグニス(p3p008385)はその静寂も幸いの一つだと実感していることだろう。
「エエッ!? 今からでもトレーニングのスケジュールを立てるわけないじゃない! 馬鹿!」
 拗ねる『異端審問少女』ビヴラ・スキアレイネ(p3p007884)は寂しくもないのだとりんごジュースを煽る。
 外見が幼くとも実年齢が成人しているならば酒を飲むことは出来るが、ユリーカは悪戯っこのようにりんごジュースを差し出したのであった。
 訓練前の一仕事として厨房で料理を作る『特異運命座標』陰房・一嘉(p3p010848)。パーティーで皆と騒ぐのも悪くはないが、そのパーティーを支える人々と共に過ごすのも集団作業の訓練と言えるだろう。
(これが終わったならば次の訓練だ。やはり、基礎のフィジカルを高める為には、やはり筋トレだろう。
 鍛えれば鍛えるだけ、筋肉は噓をつかない。……断じて、個人的な趣味に走っているわけではないと、そう言わせ貰おう)
 パーティーと言われてもどうにも騒ぐのは不得手だと快適な寝床で寝息を立てることを諦めた『亜竜種給仕』萊 連理(p3p010469)は給仕や料理の下拵えを手伝うために動き回っていた。
「飲みすぎた方への介錯から迷子の道案内まで。
 いろんなことができますよ。メイドですので、えぇ。……介錯ですか? 文字通りですが」
「ちょっと危険なのです?」
 首を傾げたユリーカに「酔っ払いは床に転がしておくのが一番かと」と連理は頷いたのだった。
「ユリーカ、ナナ……じゃなくて私が手伝える事、ある? ユリーカ、明けまして、おめでと? 今年も宜しくね?」
 二年過ごした『自分を失った精霊種』ナナ(p3p009497)だって、皆を迎え入れる役割を出来る筈だと、そう考えている。
 ユリーカは何時だって最前線で情報屋になって、自分は戦えないと謙遜している。そんな姿が誇らしくて、彼女の手伝いをしたいとナナは考えていた。
「ゲヘヘ……俺様もとうとう還暦よぉ。だがイレギュラーズになったせいか、体調は全然下り坂って感じがしねぇなあ! 老いてますます盛んってとこだなぁ!」
 笑う『特異運命座標』ゲンゾウ(p3p009219)は「酒もってこい!」と叫ぶ。
「酒は百薬の長、飲めば飲むほど体力も気力も湧いてくる、特に新年一番たらふく飲んどきゃこの一年安泰ってぇもんよ! 限界まで飲み続ける、それが俺のトレーニングさぁ!」
 楽しんでるかと笑いかけるゲンゾウ。給仕をするのもまた、ユリーカのお手伝いになるのだろう。

 練達から持ち込んだ炬燵を設置して『夜守の魔女』セレナ・夜月(p3p010688)はその温もりを堪能する。
「年始はゆっくり過ごすのが定番だものね。こうして姉妹で過ごせるのも幸せ……」
 みかんはあるかしら、と問うたセレナを眺めて『未来への葬送』マリエッタ・エーレイン(p3p010534)はくすくすと笑った。
 どうにも炬燵に入ってから誰も出てこなくなった。そんな様子も愉快に見えて。皆のための飲み物や『お雑煮』を作ろうかとマリエッタは立ち上がる。
「「……あっちの方だと猫があったまるために炬燵で丸くなる、とも聞いた。ユーフォニーのドラ猫も丸くなったりしてな。セレナも暖まって来たらいいぞ。
 マリエッタ、みんなに振る舞うために料理をするなら量も多くなるだろうし私も手伝うぞ。
 ……ゆっくり休むより、何かしていないと私は気が済まないらしい」
 ゆっくりと立ち上がった『焔王祈』ムエン・∞・ゲペラー(p3p010372)。お世話を焼いてくれるの彼女達は宛らお姉さんだ。『ドラネコ配達便の恩返し』ユーフォニー(p3p010323)はマリエッタのお雑煮を楽しみながらドラネコが増えている――と炬燵を覗き込み。
「炬燵は人類の英知なのよ。冬場において、これほど極楽な家具は存在しないってくらい
 はあ、ぬくいわ……猫じゃないけど丸くなっちゃいそう。わたしは猫っぽくなんてないわ! ……ないわよね?」
「セレナさんがドラネコさんになってしまいました」
 くすくすとユーフォニーは笑ってから蜜柑の皮を剥く。
 酒を飲めばほわほわと視界が揺らぐ。『ライカンスロープ』ミザリィ・メルヒェン(p3p010073)は唇をつん、と尖らせて『スケルトンの』ファニー(p3p010255)を見詰めた。
「もう、むりしないでくださいね。じぶんをだいじにしてくださいね。じゃないとわたし、なきますからね……」
「なぁミザリィ……って、おまえ、ひょっとしなくても酔っぱらってるな?」
「いいえ、ぜんぜん……」
 目をくるりと回したミザリィに嘆息しながらファニーはその膝に彼女の頭を乗せて遣った。すれ違いが解消したのは良いが、公衆の面前ではいまいち恥ずかしいのだ。

 アドラステイアで保護した子供達を前に『八百屋の息子』コラバポス 夏子(p3p000808)は領地で面倒見るのは構わないけれど、と視線を合わせる。
「当人達がまた 遠慮がちというか 居た堪れないというか 落ち着かなさそうな雰囲気感じんだよね~」
 似た環境や同じ場所から保護しているが、ローレットで平和的な依頼に斡旋するためには実戦訓練や倫理観のテストが必要そうだ。
「なんかまあ 役に立ってるよ って思えるような何かあると 良いんじゃ~ないかとか そういうの思うんですよね。
 ウチでやっても良いんだけど なんか まあ ねえ?。
 出来たら女性連絡役とかつけてくれると、めちゃくちゃ助かんだけどどうかな~。きっとな~ ローレットならな~」
 にっこり笑ったユリーカに違う違うと夏子が首を振ったのは――屹度、仕方が無い事なのだ。

「ユリーカさん、今年も宜しくお願いします!」
 にこりと微笑んだ『サブマリン小太刀』京極・神那(p3p007138)が飲み物や食事の追加を持ってきたと声を掛ければユリーカはやったあと手を上げて喜ぶ。
 ――のんびりぼんやり、楽しげなローレットを眺めてから『宝石吐き』イラリカ ハラス(p3p010039)はこれが『新年』なのだと感じ取った。
 願わくば、新たな年も幸いに溢れるようにと。そう、考えずには居られない。
 2023年。混沌世界どうなるのだろうか。
 可能性(パンドラ)が齎す幸いを皆で謳歌できるよう、ただ、楽しむだけなのだ。

成否

大成功

MVP

すみれ(p3p009752)
薄紫の花香

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした!
 白紙の方以外の描写をさせて頂きました。
 MVPは一番に熱量の高いプレイングが多かった場所の発案者の方へ。おいしかった……?

 ※ファンレターは執筆者に届きませんので、何か誤植等が御座いましたら運営までお問い合わせ頂くか執筆GM(夏あかね)宛ファンレターにてご連絡ください。

 ※【お年玉】と【お土産(抽選アイテム)】につきましては後日追って配布させて頂きます。

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