PandoraPartyProject

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シビュラの託宣

 さあ、『神託』の刻は来た――!

 神を尊び、正義を重んじる聖教国ネメシス
 正義と理想を公に掲げ、それこそが行動理念であるとしたこの国は『理想と正義に殉じる者』の集いである。
 故、正義の代行者は『赦されざる悪』を根絶やしに為ねばならない。
 聖教国にとっては『魔種』こそ不倶戴天の敵――赦されざる存在であると考えられてきた。
 そして、同様に行き過ぎた正義は些細な悪であれど赦してはおけない。
 教義に反する者達の小さな嘘も、善意の不正も、『信仰を有さぬ者』も全ては『』となる。
 悪を断罪せよ。
 不正義を赦すべからず。

 筈、であった。
 大いなる災いと呼び誰もが口を噤んで恐れを成す冠位魔種『強欲』ベアトリーチェ・ラ・レーテの『月光劇場』
 冠位による侵攻では聖なる教えに殉ずるこの国の内部に『不正義(魔種)』と内通していたのだ。
 苛烈すぎる不正義の断罪に意を唱える声が大きくなる一方、苛烈な思想の儘、『国を糾弾する』者も現れた。
 一部の者達は国家の不正義を理由に『聖教国の偽りの星』こそが最大の悪だとし信仰を捨てた。
 それが港湾に『独立都市アドラステイア』の設立を赦す切欠ともなる。
 ……それでも光を求めるようにこの国は立ち直った、筈だった。

 ――恐れながら報告致します! 鉄帝との国境沿いに『冠位強欲』の影が。

 生も死も全てを欲する強欲の女の影は再来する。

 ――冠位が来ていなければ本来は鉄帝の悪を断罪していた筈だ!
 ――そう、我らは『神のご意志を遂行する者』なのだから!


 この国に深く根付く崇高なる神が降す神託として国を蝕み始めた――

『聖教国と聖教会』
 聖教国ネメシスは『神』への強き信仰を有する国家である。
 同様に、その信仰を支えるのが聖教国であり、国家その者の政務も聖教会が行って居る。
 イレギュラーズは『神が世界を救う為』に召喚した神の徒であると認識し、魔種は『神の意志に背く』存在であるとされている。

 聖教国(天義)では聖教会の中に大量の魔種との内通者を有していた過去が存在している。
 冠位強欲を撃破した際、その一派である執政官エルベルト・アブレウを追い出すことに成功し一先ずの安寧を得た――筈であった。
 しかし、不正義の内通者を国内中枢に有した事実は変わらず、信仰を捨てる者や懐疑的な者の数は知れず。
 復興を辿り、ある程度の落ち着きを得た天義ではあるが未だ『根深い懐疑の視線』からは逃れることができていないようである。
『聖騎士団』
 聖教国が有する『不正義を断罪する』騎士団である。
 彼等は神に力を授けられし、神の騎士を名乗り上げ『正義の代行者』としての強き信念を有している。
 これらは鉄帝に対抗する軍事力を国内に存在させる為の建前でもあるが国内統制には無くては鳴らない存在であった。

 普段は制服を有さず、騎士の証(身分証)となる分隊の紋章を身に着けることが多い。
 だが、緊急時には共通の制服を着用し神の意に従い剣を振るうのだという。
 身に纏う黒は『純粋なる黒衣』と呼ばれ神のために『悪』を断罪する際に被る穢れた魂を目立たせなくすると言う意味づけが存在しているそうだ。

ベアトリーチェと『月光劇場』[▼]

 関連シナリオ群:冥刻のエクリプス
 詳細まとめ: ユリーカレポート:月光事件

『冠位強欲』の暗黒の海

 フォン・ルーベルグには奇妙な噂が流れている――
 惜しまれなくなった聖人のみならず、ペットや、幼い子供、年老いた両親、果ては酷い悪党まで、それらは皆等しく『黄泉返る』のだ。
 この聖都には不似合いな禁忌。しかし、禁断の果実の甘美さは手放せるものではない。
 不正義と知りながら、禁忌としりながら国民達は『黄泉返った者達』を庇い立てる。扉に錠をして、柵を立て、カーテンを閉める。見つからないでと祈らずには居られない――この聖都では其れこそ『悪逆の徒』の仕業、『断罪されるべき存在』であると知りながら。
 読み返った者達は『月光人形』と呼ばれていた。それらは『冠位強欲』ベアトリーチェ・ラ・レーテの巻き起こす『月光劇場』の主要キャストである。
 生も死も呑み併せ、その全てを『強欲(てにいれる)為に』――

 遂に、舞台の幕が上がった
『冠位強欲』ベアトリーチェ・ラ・レーテの侵攻を食い止めるべく、イレギュラーズ達は己が蒐集した『可能性(パンドラ)』を奇跡へと返る決心とする。
 ギルド・ローレットにとっても初めての冠位魔種との戦闘だ。先の『サーカス事件』も『新生・砂蠍』さえも冠位魔種と直接的な戦闘は行なわれてこなかった。
 冠位との戦いはフォン・ルーベルグに未曾有の惨事を引き起した。
 大戦の終結後、残された傷は深く易く癒えるものではないのだろう――だが、紛れもなくイレギュラーズは勝利した。

 そして、その様子を見守っていたのはであり、原罪の1人である男なのだった――

登場人物

 ベアトリーチェ・ラ・レーテ
 原初の魔種の生み出した七罪の大魔種。『強欲』。
 先にイレギュラーズが立ち向かった<クレール・ドゥ・リュヌ>、<冥刻のイクリプス>事件で天義を恐怖の渦に落とした。
 無限に増殖・再生を繰り返す『暗黒の海』はまさに闇の母たる彼女の魔性の極致であり、数々の奇跡が重ならなければ勝利は決して無かった事だろう。
 最後は滅びかけて暴走した所をルスト・シファーに消し飛ばされた、が……?

 月光人形
 ベアトリーチェ・ラ・レーテによって作られた『黄泉返った』者達。
 死んだ当時の姿で出現し、本人記憶は曖昧ではあるが『無機質に記録をなぞっている』かのように本人を演じている。
 原罪の呼び声としてのアンテナ、クリミナルオファーの感染源。
 『偽りの星』(アストリア)と『執政官』エルベルト・アブレウ
 アストリアは魔種であることを隠し、枢機卿として天義を牛耳り、悪逆非道な性格で、富と権力を欲しいままにしていた。
 勿論、執政官であるアブレウはアストリアの『性質』に気付いた上で手を組んでいたのである。
 ベアトリーチェを利用しようと試み、クーデターを企てるも、アストリアはローレットのイレギュラーズによって倒され、アブレウは逃亡することとなる。
 アストリアの私兵『聖銃士』達はイレギュラーズ――特に3mの破壊神――によって消し飛ばされた過去がある……。
 また、二人が国内中枢にいたことに異議を唱えた者達が『アドラステイア』を作ったとされている。

 『不正義の家門』コンフィズリー
 名門とされたコンフィズリー家の『大罪』。詳細は語られていなかったが――シリウス=アークライトによって詳細がイレギュラーズへと 語られることとなった。

 シリウス・アークライトは天義において将来を嘱望された理想的な騎士である。
 彼が天義に蔓延る不正と不実、深刻な裏切りに気付いたのは偶然であった。些細な出来事から疑念を得たシリウスはすぐに秘密裏の調査を開始した。
 やがて、その不正義の根源が王宮執政官たるエルベルト・アブレウをはじめとする一派によるものと突き止めた彼は、知己の貴族であり、誰よりも信頼していたイェルハルド・フォン・コンフィズリーにこの事件を相談するに到る。
 だが、イェルハルドは消極的な姿勢を示した。若きシリウスはそれを『弱腰』であると反発した。イェルハルドは根深い問題の早期解決は現実的ではないと告げていたのだろう。
 シリウスの動きを掴んでいたアブレウ一派は彼を偽の任務で誘き寄せ暗殺することを企てた――だが、其れを食い止めたのはコンフィズリーの騎士達であり、イェルハルドであったのだ。
 当然、国賊とされたイェルハルドは断罪され、コンフィズリーの不正義として情報だけが残される。
 ……ベアトリーチェの一件を経て、コンフィズリーは再建の路を辿っている。イェルハルドの一人息子であったリンツァトルテ・コンフィズリーの手によって。

 『法皇』シェアキムと『騎士団長』レオパル
 聖教国の最高権力者である法皇シェアキム・ロッド・フォン・フェネスト六世とその側近であり『峻厳たる白の大壁』とも呼ばれた騎士団長レオパル・ド・ティゲール
 『冥刻のエクリプス』事件の際に冠位強欲ベアトリーチェの軍勢に対し、命さえ顧みずにイレギュラーズを支援した二人は、事件の終結後に宣言を行なった。
 ――コンフィズリーの名誉を回復せよ。ロストレインの不正義をその後継に灌げと命じよ。
   それはヴァークライトの娘にしても、アークライトの息子にしても同じ事だ。

 全てはこの国の再建のために。

 『見習い騎士』イルと『探偵』サントノーレ
 聖騎士団に所属している騎士見習いである少女イル・フロッタと、彼女と協力しながら捜査を行なう『元聖騎士』サントノーレ・パンデピス
 リンツァトルテとは旧知の仲であり、コンフィズリーの不正義や正義に反する『ベアトリーチェ』に関して嗅ぎ回っていた。
 現在はアドラステイアの対策に追われているが……?
 『天義の騎士』シリウス=アークライト
 リゲル=アークライト(p3p000442)の実父。
 天義の元騎士であり、、黄泉帰り事件の首謀に連なる者。コンフィズリーの不正義の詳細を知っていた『証人』でもある。
 ベアトリーチェに連なる魔種であったが反旗を翻し、イレギュラーズと共に彼女を追い立てた。
 息子の成長を実感しながら、冠位を退ける事に助力をし、息子を庇い死亡した。

 『反逆者』アシュレイ・ヴァークライト
 スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)の実父。
 天義の元騎士であり、『幼い少女』を断罪せねばならなかった一件にて、断罪することが出来ず不正義であるとされ断罪された。
 公的には死亡していたとされていたが、反転しており妻のエイルの『月光人形』と共に市中を蹂躙することとなる。
 『聖女』ジャンヌ・C・ロストレインとジルド・C・ロストレイン
 反転したイレギュラーズ『アマリリス(p3p004731)』とその父。
 聖女と呼ばれ自由を失った娘を不遇に思い、娘のように『不幸な人間』を産み出さぬようにと父は国家の在り方に疑問を示した。
 最後まで『聖女』を救うことに尽力していた守護騎士ジルドの傍に、娘は共に居ることを願いイレギュラーズによって討たれました。

 『束縛の聖女』アネモネ・バードゲージ
 天義に仕える異端審問官。その欲望は『束縛』
 表向きは両腕が不自由である代わりに神から力を与えられマテリアで様々な奇跡を起こす神官。
 異端審問官アネモネ・バードケージは、『黄泉還り』事件に関与の疑いがある、『黒衣の占い師』を『白』と断じる。その理由は『面白そうだから』。

懐疑の視線と『アドラステイア』[▼]

 関連シナリオ群:独立都市アドラステイア
 関連シナリオ群:オンネリネンの子供達

独立都市アドラステイア

 ――今日も誰かが渓から落ちる。

『冠位強欲』による大災を経て、天義東部の港湾警備都市『アスピーダ・タラサ』跡地に作られた独立都市。
 独自の神ファルマコンを掲げ高き塀で覆われたその場所では毎日『魔女裁判』が行なわれていた。
 各地の孤児をスカウトし続ける『オンネリネンの子供達』の尽力もあり、天義に異を唱える者や親を亡くした戦災孤児達は挙ってこの地へと集い『こどもばかりの都市』が出来上がる。
 まるで、地上の楽園であるかと云う様に信仰を強める子供たちは『偽りの星(アストリア)』を恨み、国があるべき姿に導かれることを願っているのだ。

 ――我らの神よ 今日も幸福を与え賜え

 祈りの鐘の音色を聞きながら、彼等は天義の滅亡を。
 そしてアドラステイアの発展を『狂気的』に祈るのだ。

『アドラステイアの最期』

 アドラステイアの神たる『ファルマコン』は言う。
「わたしが、命を喰らうとき。それは肉なるあらたな生き物として息をすることだろう。
 わたしが、命を作るとき。地のすべての獣、空のすべての鳥、地に這うすべてのもの、海のすべての魚はわたしのものとなる。
 地を滅ぼす濁流は、わたしが零した血潮の一筋よりつくられる。
 しかして、わたしを愛する者は救われるであろう。
 わたしはわたしを愛する者にわたしの血肉を分け与え、導くことが赦された。
 それこそが、終焉へと向かう方舟の主であるわたしのすべてだ」

 ――遂に行なわれたアドラステイア上層攻略作戦。
 アドラステイアの神とされた『ファルマコン』との接触が叶い、渓底には『魔女喰い』と呼ばれるファルマコンの分体までもが存在することが判明した。
 一方アドラステイアの柱となっていた闇ギルド『新世界』のギルドマスター・メビウスも追い詰め、攻略に王手をかける。
 ファルマコンは自身を終焉獣(ラグナヴァイス)と名乗り上げ、世界を破滅に導くことこそが自身の存在意義であると告げた。
 遂に、偽神の喉元にまで手が掛かった。天義を、否、混沌を襲う激しい寒波はアドラステイアとて例外では無く雪を降り積もらせた。
 激しい吹雪に見舞われるが、この機を逃せばアドラステイアとて反撃の一手を打つ可能性がある。
『殉教者の森』へと出掛けた子供達が帰還せぬうちに、作戦を成功させよう。
 それが誰かの命を救い、今まで散っていった『幼い魔女』達の魂を解放するために必要な『神殺し』である。

 ファルマコンは方舟。即ち、『神託の乙女(シビュラ)』の託宣によって選ばれし者が救われるために存在していたと――そう告げ終焉獣は消え失せたのだった。

『神託のかけら』獣のしるし[▼]

 ――『麗帝』ヴェルス・ヴェルク・ヴェンゲルズが敗北したらしい。

 鉄帝国の未曾有の事件に対し互いに顔色を伺う間柄であった聖教国と鉄帝国の間の膠着状態が動きを見せる。
 そも、聖教国が掲げているのは『神の意志に反する者の討伐』=魔種の討伐である。鉄帝国が『そうなってしまった』以上、攻め入るのがこの国の本来の在り方だ。
 鉄帝国と幻想王国の南部戦線(北部戦線)ほど小競り合いが活発で無くとも、隣接する聖教国も鉄帝国の『凍らずの港』や『資源の産出地』と程近い為、国土争いは度々行なわれていた過去がアル。
 ベアトリーチェ・ラ・レーテによる侵攻で国力に被害を受けた聖教国は鉄帝国に兵を送り込むことは無い――筈であったが、国境沿いを警備する者達から一報が入る。

 ――天義の聖騎士を名乗る者達が鉄帝国へと侵攻している!

 聖騎士団はアドラステイア討伐に向けて準備を整えている最中だ。国内に爆弾を抱えた状況で他国に手出しするわけがない。
 フェネスト六世は聖騎士を偵察へと送り込む。
 その結果――『国を食らう獣』が暴れ回り、『影の軍勢』が天義の国境沿いから鉄帝国に向けて進軍し全てを蹂躙せんとしていたのだった。
 其れはまるで月光劇場の再来だ。
 至急食い止めよとローレットと聖騎士団へと指令が降りる。致命者を名乗る者達は嘗ては不正義で断罪された者や月光人形を思わせた。
 大罪の『暗黒の海』を模したけだものたちが闊歩し、悪夢の『再演』は赤き月が照らす夜に始まった。
 歪なる赤き月が嗤うその時、『不吉』が新たに降り注ぐ事を感じながら。

殉教者の森/ハープスベルク・ライン

 鉄帝国と聖教国に跨がるようにして存在している国境線。
 聖教国が建設した『気高く聳え立つ聖塀』によって隔たれている事や騎士団による徹底抗戦によって国境沿い戦線は膠着・凍結状態であった。

 木々が密集し黒く見えるその地は、非常に薄暗く鬱蒼とした空気を有します。鉄帝国から流れ込む寒々しい空気により余り立ち入る者は多くはない。
 殉教者の森は鉄帝国側では、『ベーアハルデ・フォレスト』と呼ばれている。
 また、凍らずの港を望むことの出来る海岸線へ通じる街道は『ハープスベルク・ライン』と呼ばれ、巡礼者達が立ち寄る教会や宿場町が存在している。
 距離は幾分も離れるが『アドラステイア』へと通ずる路でもあり、嘗てはアスピーダ・タラサへの街道であったとされる。
 道を逸れると殉教者の森に迷い混むため、周辺住民は「街道から外れてはならない」と旅人達に厳しく言いつけるそうだ。

致命者

 ワールドイーターや影の兵を連れて歩く者達は自らをそう称していた。
 それは、過剰なる断罪や正義の遂行により『不正義』として処された者。
 それは、嘗ての『不正義』たる月光人形であった者。
 それは、魔女裁判により処され、アドラステイアの渓に落とされた者。
 そうした者達の姿を模している。彼等は皆『聖女たる存在:ルル』に従い、兵士達を連れ進軍しているが――?

汚泥の兵/影の軍勢(シャドウザード)

 殉教者の森~ハープスベルク・ライン付近に姿を見せた致命者が連れる兵士達。
 人間や動物、怪物等、様々な形状を取っています。ベアトリーチェ・ラ・レーテ(冠位強欲)が暗黒の海(権能)より産み出す者達に姿が似ている事が特筆される。
 それらは様々なスペックに分類されているようだが、決まって『生物をその中に取り込もうとする』動きを見せているようだが……?

ワールドイーター

 R.O.Oにて確認された『全てのデータを食う存在』ことワールドイーター。
 R.O.Oでワールドイーターを観測した理由として「『イレギュラーズが大量召喚されていなかったら』ベアトリーチェの暗黒に天義が呑まれていた」事に由来するのでは無いかと練達『実践の塔』塔主、佐伯 操(p3n000225)は推測している。
 観測された状況と同様に、全てを飲みくらい腹の中に『取り込んでしまおう』と考えているようだが……。

『神託のかけら』腐実の王国[▼]

 アドラステイア(旧アスピーダ・タラサ)への進軍を行なったイレギュラーズ達。懸念点であった天義と鉄帝の国境沿いである殉教者の森への『影の侵攻』は鳴りを潜めていた。
 現況把握のために騎士団は鉄帝国及び殉教者の森の偵察を行って居たが、アドラステイアへの進軍が行なわれている最中に事態は動いた。
 天義の法王であるシェアキム六世に神託が降りたのだという。
 天義聖堂や各地に保管されていた聖遺物は黒ずみ、天使は毒の涙を流す。銀は腐食し、木枯らしは国を揺らがした。

 ――仔羊よ、偽の預言者よ。我らは真なる遂行者である。
   主が定めし歴史を歪めた悪魔達に天罰を。我らは歴史を修復し、主の意志を遂行する者だ。

 その神託は天義国内を混乱させた。箝口令を敷き、その神託の意図を解明すべくシェアキム始めとした騎士団員達は動き出す。
 だが、その神託こそが始まりだというように新たな進軍が始まったのだ――

 天義に降りた新たな神託は『主が定めし歴史を歪めた悪魔達に天罰を。我らは歴史を修復し、主の意志を遂行する者だ』という国内を揺るがすものであった。
 箝口令が敷かれては居ますがシェアキムや騎士団を偽の預言者や歴史を歪めた悪魔であると糾弾するそれは大きな波紋を呼んでいる。
 少し前に発生していた――鉄帝国との国境沿いである『殉教者の森』に姿を見せた『ベアトリーチェ・ラ・レーテ』の暗黒の海と汚泥の兵達。致命者と呼ばれた人々。
 其れ等は歴史修復のための進軍であったと告げるかのようである。
 そして『此度』も歴史修復が行なわれる。聖女ルルは『預言者ツロ』と共に天義と幻想の国教へとその姿を現した。

 ――もしも。
 幻想にサーカスがやって来たときに、イレギュラーズが大量召喚されていなかったら?

 国は潰え、滅びが蔓延ったことだろう。朽ち行く王国を『魔こそ断罪すべき』とした天義は侵攻し、全てを統治する為に進むはずだ。

 故に、白き兵士達が進み始める。その歴史こそが正しい筈なのだ、と。
 正しい歴史通りに進まなければならないのだ、と。

港町エル・トゥルル

 天義のヴィンテント海域に面している美しい白亜の街。
 巡礼の旅で聖人が訪れたとされる由緒正しき場所です。中央部には『ガレサヤ・ピレア大聖堂』が存在し、聖遺物である『啓示の書の切れ端』が存在していました。
『啓示の書の切れ端』を中心に聖書や、それに連なるものが腐食、毒に侵され、腐り始めます。

遂行者
『聖女』ルル
『神託の乙女(シビュラ)』を名乗る少女。出自不明。
 正確な名前も不明。聖女ルルと呼ばれ、殉教者の森やエル・トゥルル付近でその姿が確認されている。


「チャームポイントは泣き黒子と舌の……んふふ、秘密。
 女の子は可愛く、悪辣で、神託に従順なくてはならないの――」

イラスト:くらい
マスティマ
 『遂行者』を名乗る人物の一人。詳細不明……

「神託を遂行せよ。偽りの存在を粛清せよ――」
イラスト:

これまでの物語

腐実の王国

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