PandoraPartyProject
翼無き者達
鉄帝国の動乱に天義による侵攻。
幻想王国ではアーベントロートの動乱が騒がせる。
漸く落ち着きを見せたシレンツィオでは海洋、豊穣、ラサが鉄帝への交易について話し合いを重ねている。
深緑はと言えば、冠位によって受けた傷を癒やすようにラサの支援を受けながらも日々を営んでいるらしい。
覇竜領域では相談役であった冠位暴食に対する対策として郷からの彼の追放を打ち出した。それでも現状を模索している――まだ、其方は解決しきっていない。
練達では、R.O.Oのシステムエラーから立ち直りつつある現状だが『R.O.Oの観測』内容が天義国境にエネミーとして出現したというのだから少々の騒ぎになっていた。
「分離した未来の姿なのだろうか。何にせよ……ワールドイーターの出方は暫く見ておくべきだろうな」
呟いたのは練達三塔『実践の塔』塔主、佐伯 操(p3n000225)であった。
希望ヶ浜での空調管理システムも誤作動はやや起こすが比較的安定してきた所である。
季節外れの台風が起きたときには希望ヶ浜では「マジ卍台風」だと揶揄われたこともあるが――現在は日常を取り戻し、マジ卍祭なども行なわれたようである。
「佐伯先生、そのぉ」
資料を抱えて顔を見せた陽田 遥 (p3n000155)に操は「どうした」と問うた。
遥はR.O.Oで『正義国』のログの取得を行って居たのである。
「その……R.O.Oの正義国での観測されたワールドイーターって世界を分離するでしょう。
『冠位強欲』ベアトリーチェ・ラ・レーテの暗黒の海を模倣したものだとします」
「ああ」
「本来なら、天義は強欲の闇に呑まれてたんですよね。
そう、『イレギュラーズが大量召喚されていなかったら』……。
その暗黒にあの国が呑まれていた事という意味合いでR.O.Oにワールドイーターが生まれたのでは」
「その可能性もある。それに、天義と鉄帝は本来ならば戦争状態が続いても可笑しくは無かったはずだからな。
運命の強制力とでも言うように何かがつじつまを合わせようとしているのかもしれないが――それ以上はログの取得も観測も出来ないか」
遥は「面目ねぇ」と呻いた。現実と仮想は違う。だからこそ、現実での『調査』を行なわねばならないのだろう。
「……ローレットに任せるしか無いな。ログだけは天義に渡せるように整えておいてくれ。
それと、今冬例年よりも厳しい冬が来る観測であると各国に通達を頼む」
「承知!」
走り去っていく遥を一瞥してから、ふと、操は外を見遣る。それから通知音を鳴らしたaPhoneを一瞥してから嘆息した。
どこもかしこも、問題は山積みだ。
11月11日 20時50分。
ここで、臨時ニュースをお送りします。
20時50分頃、東浦区中央センター街にて10代から20代とみられる男女の集団飛び降りが――
「……ああ、もしもし。晴陽か。静羅川が何か問題を起こしたようだが……。
ああ、まあ、佐伯製作所は希望ヶ浜の管理も仕事だからな。お前の方でも対応は――ああ、成程。
綾敷 なじみが姿を消した、か。ならばローレットを頼るしか無いな」
操は呟いてから頭を抱えた。本当にどこもかしこも問題は山積みなのだから。
――彼女の誕生日だった。
綾敷 なじみ(p3n000168)が生まれた日。
10歳までは、幸せだったその日。
11歳からは、楽しくなかったその日。
17歳のその日は、驚く程に楽しかった。
18歳のその日は、楽しくて堪らなかった。
『約束』していたから。
「ねえ、定くん」
「うん」
「またねえ」
11月11日 20時30分。
それが彼女と分れた時間。
11月11日 22時15分。
その日、彼女と連絡が取れなくなった。
※希望ヶ浜で綾敷 なじみ(p3n000168)が姿を消しました(長編シナリオ<灯狂レトゥム>が公開されました)
※鉄帝と天義の国境付近で『何か』が起こっているようです――
※不凍港ベデクト、鉄道網の調査の報告書が届いています――!
※アーベントロート動乱『Paradise Lost』が最終章を迎えています!
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