PandoraPartyProject

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真白の都に思いを馳せれば

 フローズヴィトニルと呼ばれる伝承の獣が居る。悪しき狼、寝物語の一つでもある。
 思い出しながらイル・フロッタ(p3n000094)は静かに息を吐いた。
「寒いか」
 問うたのは先輩でもあるリンツァトルテ・コンフィズリー(p3n000104)その人である。
 イルは彼に淡い恋心を抱いているが、どうにも伝わっていない。友人達の支援があってやっとの事で『ちょっとだけ伝わった』気がする程度なのだ。
「あ、だ、大丈夫です」
 天義騎士団に服装の規則はない。だが、真に神の御意志を遂行する際には黒衣を身に着けることとされていた。穢れを覆い隠す純粋な黒。その制服を身に纏ったのは天義東部に位置するアスピーダ・タラサ――アドラステイアでの戦いへの出陣の際だ。
 生憎、鉄帝国の事もあり、何も心配することなき素晴らしい年明けとは行かなかったか。
 鉄帝国には未曾有の大寒波、フローズヴィトニルが襲来し天義もその煽りを受けている。
 国内情勢はと言えば、革命派キャンプは襲撃を受け、独立島アーカーシュはアルマスク攻略作戦を立案していた。
 北辰連合は西方への攻略作戦を開始し、ラド・バウ、南部戦線、帝政派は地下道調査中でもあった。
 調査に進撃、それらの結果が国内の動乱へどのような影響を及ぼすか――隣国である天義も都度、偵察に赴いては現況把握に徹していた。
 天義と鉄帝国の国境沿いに調査に向かっていたリンツァトルテは調査からの帰還途中である。出迎えに来たイルと共に騎士団本部に向かい、報告を行う予定だ。
「先輩はお怪我は?」
「ああ……ありがとう。何もない、が――」
 国境沿いで見られた異質な影は一度は鳴りを潜めたと告げる。
「じゃあ、アイツらは一時的に、こう、悪戯しに来たってことですか?」
「そうだと嬉しいが、そうとも行かないだろうな。イルはどう思う?」
 問われてイルは「ええと」と慌てたように取り繕った。『先輩とグラオクローネを過ごす方法100選』を考えてたなんて言えば叱られてしまうからだ。
「……国境沿いは、アドラステイアにも近いですから、それとは別の場所を狙うとか」
「俺も同じ意見だ」
 正解したとイルはほっと胸を撫で下ろした。必死に考えてよかったと自然に浮かんだ笑みを彼が訝しんだのまでセットだ。
 気づけば騎士団本部に到着していた。二人きりのお散歩――ではないが、そうだと感じたのが恋する乙女である――が終わりを告げそうだといじけるイルを見下ろしてからリンツァトルテは彼女の名を呼んだ。
「さっきの考えには何か根拠が?」
「いえ! 何もありません! 勘です!」
「……そうか。俺も根拠はないがそんな気がしてる。聖女ルルと名乗った奴を見たが妙な気配がしたからだ。
 ワールドイーターというやつも、そうだ。アレは……そうだな、『ファルマコンにも似た気配がしてた』気がするが……確証がない」
 それでも嫌な予感がするのだとリンツァトルテは呟いてから、慌ただしくなり始めた騎士団本部の様子に気づき顔を上げる。
「コンフィズリー卿、調査報告を直ぐにと団長がお呼びです」
「承知した。イルは先に戻っていてくれ」
 走っていくリンツァトルテに「あ、は、はい」と頷いてからイルはふと違和感を覚え聖堂へと歩を向けた。
 聖なるかな――
 聖教国ネメシスは神を貴ぶ、神の御意志の遂行者の国である。
 聖堂のステンドグラスに陰りが帯びる。飾られていた聖遺物が黒ずんでいく。
「え――?」
 聖職者たちが悲鳴を上げ、喧騒に満ち溢れた。法王の許に新たな神託が降りたのだと誰かが叫ぶ。

 ――仔羊よ、偽の預言者よ。我らは真なる遂行者である。

 勘も馬鹿にできないか。騎士たちへの招集命令が下る。次なる『襲撃』が形を帯びてきたのだ。

 ※殉教者の森への進撃が静まりましたが、また新たな『襲撃』の予感がします……。

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