PandoraPartyProject
降りよ、幻想の帳よ
主は真実、正しい存在である。わたしたちが罪を犯したとき、主は必ず見て居る。
救済の光は天より雪ぎ、全てをきよめてくださることだろう。
疑うことは、罪である。すなわち、疑わず願うことこそがわたしたちに与えられた使命である。
願いなさい。祈りなさい。わたしたちの未来を開く光の再来を待ちなさい。
それは波となり、全てを覆い尽くす。
わたしたちがあるがままに生きて行く為に、主は全てを導いて下さるのだ。
――――聖ロマスの書 『天による叫び』
「ご機嫌は如何かな」
「最低に決まってんでしょ」
聖女ルルは『神の国』が作り出した幻想王国の王城に居た。それは王城と呼ぶには余りにも荒廃している。
脆く崩れ去りそうなその場所は本来ならばこうあるべき姿だと真っ先に『預言者ツロ』が用意したものだった。
「もしも――もしも、滅びの神託に抗うことがなければ、世界が『彼等』を導かなければ。
この地はサーカスの襲来により、享楽の最中に滅びたでしょう。元からズブズブよ、ズッブズブ。
腐りきった林檎が地面に落ちたって誰も気に止めるはずもなかったのにね」
ルルは薔薇の花を差し出すサマエルを見上げてから「女に薔薇を渡すだけの芸しか無いの？」と問うた。
「渡すと罵ってくれるだろう？」
「……うっわ……」
ルルは酷く苛立った様子でサマエルを眺めて居た。名前を呼ぶ事も躊躇うほどに、彼は捻じ曲がった性癖を有している。
其れがルルにとっては酷く悍ましいもののように思えて堪らないのだ。彼女もその辺りの感性は『普通の少女』だったのだろうか。
「それにしても、機嫌がいつにも増して悪いな。薔薇ではなく、キスの方が良かっただろうか」
「頼む、死んで」
軽やかな笑い声をわざとらしく上げたサマエルにルルは「ツロよ」と呟いた。預言者ツロはそろそろ『準備』を終えようというのだ。
混沌の各地に順々に種を撒いていくのだという。
先ずは幻想――そして海洋。海洋にはアドレが向かうと言って居たか。彼はマスティマ辺りと合流するだろうか。
「……私も海洋に行くんだったわ。マスティマと話している方が幾分か楽」
「ははは」
わざとらしい笑い声をあげる事だけで癪に障る男だ。サマエルを眺めながらルルはげんなりとしながら立ち上がった。
「幻想は滅びてなくてはならない」
「好機だろうに。竜は転た寝の最中だ。薔薇だって傷物だろう。子鹿は未だ坐したままかな？ 彼は平和主義だからね」
「分かって居るわ。好機よ。竜と薔薇が面倒ですもの。ただ、問題は『飾り』が案外使い物になった事」
飾り――即ちお飾り王フォルデルマンのことである。どうにも彼は幻想での内乱を経て、少しばかり持ち直した気配がある。
「だから聖女は此処を狙う、と」
「そうね。王城を帳で覆うには定着率を上げきるまで随分と時間が必要そうだけれど……一瞬でドカンよ。
まあ、その分妨害は多いでしょうから、失敗すれば次に行けば良い」
「次か。オススメは、そうだな――」
まるで悪戯を思いつくように彼と彼女は話続ける。
それが世界を滅ぼす算段だなんてまるで子供の思い描いた遊びのようで堪らない。
「ドＭはどうするの？」
「考えはあるさ。どうする。この戦いが終ったら結婚でもするか」
「するわけないでしょう、死になさいよ」
「聖女らしい言葉遣いは？」
「ご逝去下さいませ」
「ああ、忘れていた。――勿論、こちらも願い下げだ」
「はあ！？」
立ち上がったルルを笑いながらサマエルは歩き出す。彼の狙いは簡単だ。
――この国には『彼女』が居る。天義で学んだ大司教。……さて、彼女は『天義の使徒達の襲来』にどの様に動くだろうか。
「実に愉快だな」
呟くとともに、幻想へと帳が降りて行く。
ああ、けれど――それもまだ『不完全』だ。定着率が低すぎて現実への侵食も儘ならない部分が多い。
まだ定着せず帳が降りきらないその場所は『神の国』の内部で核を壊せば良い。
最も――『現実からの迷子』には注意した方が良いだろうが。
「さあ、始めようか、聖女よ」
「ええ、楽しみましょうね。今日だけは私の騎士になることを許してあげるわ、サマエル卿？」
※幻想各地に『帳』が降り始めました。神の国に渡り対抗しましょう――！
※天義騎士団が『黒衣』を纏い、神の代理人として活動を開始するようです――！
（特設ページ内で騎士団制服が公開されました。イレギュラーズも『黒衣』を着用してみましょう！）
※ヘスペリデスでの時が着実に過ぎていっています――
※領地に『覇竜領域』『シレンツィオ・リゾート』『浮遊島アーカーシュ』などの地方が追加されました！
【覇竜】ラドンの罪域、踏破終了！
【天義】シビュラの託宣、始動中