PandoraPartyProject
理想の紗幕を穿つもの
「グラキエスを倒したことで、俺たちは二つのものを手に入れた」
『ハーフボイルド探偵』ことスモーキーは指を二本立てて見せる。
「それは?」
小首をかしげるアーマデル・アル・アマル(p3p008599)。
「ひとつは、天義を中心に蔓延っていた『星灯聖典』を壊滅するという功績、だよな」
「ああ。その通り」
冬越 弾正(p3p007105)が頷く。
「グラキエスが死んだ後、彼から下賜されていた聖騎士たちの聖骸布は力を失った。ただの布きれだ。信徒たちも皆投降するだろう。だが、もう一つは何だ?」
「グラキエスの纏っていた『聖骸布のオリジナル』だ」
異端審問官メディカ――彼女は集まった大勢のイレギュラーズたちに説明を続けていた。
「『聖骸布』の力を大まかに述べるなら、『理想郷に干渉する力』。
これを用いてグラキエスは自らの母を作り出し、その信徒たちも失った仲間や家族、あるいは村といった環境を理想郷の中に作り出していました」
「それだけで満足出来ない子も、いたけれどねぇ」
アーリア・スピリッツ(p3p004400)がため息交じりに言うと、ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)が肩をすくめる。
「それで? 私達には不要なものだと思うんだが」
「確かに。しかしこう考えてみてはどうでしょうか? 『理想郷なんてない。こんなものは嘘だ』という願いを聖骸布に込めるのです。それは、理想郷に干渉し『穴を穿つ』ことができる」
集まったイレギュラーズの中に混じって、アンバー・キリードーンは深く頷いた。
「聖骸布のオリジナルには沢山の力が蓄えられていました。
おそらく、星灯聖典の信徒たちから集めた信仰心です。それが干渉するためのエネルギーになっていたのでしょう。おそらくは、その力を使ってグラキエスは自らの母を……」
ピリア(p3p010939)はそっとアンバーの背に手を当てる。
「うん、その気持ちは……わかるの」
失ったものを取り戻したい。それをいつまでも残しておきたい。そんな考えは、誰にだってあるものだ。
ピリアが声をあげ、周りに呼びかける。
「ルストは理想郷の紗幕の奥に隠れています。ここから……天義の地からでは手を出すことが出来ません。けれど、その紗幕を穿つ穴を開けられるなら話は別。皆さん、力を貸してください!」
ムサシ・セルブライト(p3p010126)とユーフォニー(p3p010323)は手を繋ぎ、そして空を見上げた。
聖骸布が天へと掲げられ、ぱたぱたと展開していく。
「グラキエスさん……いいえ、キリエスさん。これはあなたの想いを利用することになります。けれど」
「自分たちの未来のため。そして『今』を守り抜くために……! グラキエス、この理想郷を否定する!」
展開した聖骸布はまるで巨大な大砲の如き姿をとり、集まったイレギュラーズたちの想いを集約していく。
そして聖骸布に込められた、理想郷へ、神の国へ干渉する力が光となって天に放たれた。
『『――届け!』』
――そして、天に穴は穿たれる。
※天義での決戦にて、戦果報告が上がっています――!
※神の王国に対する攻撃が始まりました!!
※『プルートの黄金劇場』事件に大きな変化があった模様です……
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