PandoraPartyProject

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ロウライトとヴァークライト

 サクラ(p3p005004)は天義の聖騎士の家系であるロウライトに産まれた娘である。
 祖父ゲツガ・ロウライトは数多くの武功を収め、正義の遂行者としての道を歩み始めた。
 天義の騎士らしく正義を重んじる彼女は当初は『ロウライト』の娘である事を直隠し、ローレットで活動を行って居た。
 ――だが、今はその家門を受け入れ、サクラ・ロウライトとして歩む日々だ。
「サクラちゃん」
 そう、正義を重んじるロウライトは数多くの罪を裁き、正義を遂行した。
 その一つが目の前で微笑む親友スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)の父親を処したことである。
 祖父ゲツガ・ロウライトは『罪人の幼い子供を断罪することの出来なかったアシュレイ・ヴァークライト』を断罪した。
 彼はゲツガに斬られた訳ではない。渓底にその身を擲ったのだ。
 だが、ゲツガがアシュレイを捌いたことには変わりなく、サクラにとってもスティアとの間に存在した確執は確かなものだった。
 それさえ受け入れて親友となった二人の前に、同じ顔をした遂行者が現れる。
 一方はリスティア・ヴァークライト。もう一方は、オウカ・ロウライト
 彼女達は天義の古くからの家門であるヴァークライトと武功を収めその功績が認められて聖刀を拝命したロウライトを取り込んだ存在だった。
 互いが別々の道を歩んだ結果、リスティアは父アシュレイを継ぎ聖騎士に、オウカは正義を遂行し祈り聖職者となった。
 まるで鏡写しのような存在だ。
 その歴史ではゲツガはアシュレイを断罪せず、リスティアが父を処した。それがヴァークライトの汚名を雪ぐ事になるからだ。

「それで構わない。私は、父の罪をも受け入れて騎士として進む。
 だって、それで皆が救われる世界があるのなら。私は聖騎士としての職務を全うするだけだよ」

 朗らかに笑うリスティアにオウカは一線引いていた。正義を遂行するロウライトの娘は罪人を輩出したヴァークライトの娘を受け入れられなかった。
 親友のように振る舞えど、オウカとリスティアは『それ未満』であったのだ。
 それでも、スティアと出会った。サクラと出会った。
 考え方の変化が生まれてしまった。リスティアとオウカは惹き合うように生きている。
 アリアに言わせれば「バカみたいな依存」だ。彼女が愛しい人を想うことと大きく違うのは二人の間にあるのは余りにも細い友情の糸だけだったからだ。
 それでも、そんなにも頼りないものを大切に思えてしまうほどに自分たちは崖に立っていたのだろう。
「……ねえ、オウカちゃん」
「何?」
「イレギュラーズが来るね。アリアちゃんを守らなきゃ」
「分かってる。大丈夫だよ、リスティアちゃん。アリアちゃんは必ず守ろう」
 何時もよりも砕けた口調で、オウカはリスティアに返した。
「アリアちゃんはルスト様を守り抜けるかな」
「大丈夫だよ。私達より、アリアちゃんの方が生きていられる確率は高いもの」
 ――ルスト様が些細な嫌がらせをしなければ。オウカやリスティアのように推測しやすく、自らの力に直結した『神霊の淵』を有しているよりも、生き残れる。
 ああ、けれどルストはイレギュラーズの煽り文句に応えるようにアリアの『神霊の淵』がブローチである事を晒してしまった。
(ルスト様は、屹度言ってしまうから。アリアちゃんも私達も同じように終わりが来る)
 リスティアはそう実感しながらオウカの頬に触れた。
「オウカちゃん、あのね、私」
 ――もし、イレギュラーズに勝てたなら、親友って言って良いかな。
 微笑んだリスティアにオウカは応えやしなかった。

 そんなことを思い出したのは『オウカ・ロウライト』が『サクラ・ロウライト』に斬り伏せられたときだった。
 ぱきん、と弾けた音を立ててサクラの聖刀が欠けた。それはオウカの指輪が砕けた時と同時だっただろう。
 サクラ・ロウライトは聖刀の力を確かに顕現させた。それはリンツァトルテ・コンフィズリーに聖剣は応えてくれると告げたその証明であるかのように。
 オウカのその姿が蒼き炎のように転じ、掻き消える。その様子を、アリアとリスティアは静かに見詰めていた。
「……次は私かなあ」
 リスティアはなんとなくそう言った。騎兵隊にぐるりと取り囲まれ、今や窮地に立たされているのは彼女の側だ。
「スティアが言っていた事、今の私には良く分かるんだよ。『誰もが笑っていられる幸せな世界にしたい』って。
 ――けどね、それでも。過去は捨てられないんだ。忘れられないから、私達は藻掻いている。いっそ、何の柵もなく笑っていられたらいいのに」
 そんなことを言っていたって、終わりは直ぐに近いから。
「戦おっか。どちらかしか生き残れないんだ。何方が正しいかじゃないよ。何方が、強く信じられるか。
 ルスト様が騎兵隊ならばイーリンを殺せって言ってた。うん、それも正しいよね。
 私とオウカちゃんは互いが大事だったから、何方かを倒せば崩れるのと同じだ。
 私は今、崖っぷちに立ってる。後は飛び降りるか、皆殺しにして生き延びるか。どちらかだけ。
 ……ただの意地の張り合いなんだ。私は、それでも生きていたいと思えたから!」

 ※冠位魔種ルストとの戦いで『遂行者』オウカが撃破されました――!


 ※神の王国に対する攻撃が始まりました!!

 ※『プルートの黄金劇場』事件に大きな変化があった模様です……

これまでの天義編プーレルジール(境界編)終焉の兆し(??編)

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