PandoraPartyProject

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アリスティーデ大聖堂

 天義に存在する巨大都市テセラ・ニバスにはアリスティーデ大聖堂と呼ばれる場所があった。
 信仰のつどいの地。テセラ・ニバスに置ける人々の憩いの場所。美しいステンドグラスに照らされた『聖女』は真珠の涙を流すという。
 その地は今や帳によって鎖された。
 テセラ・ニバスは『リンバスシティ』へと変化し――日々『定着』を続けて居る。

「神の国は混沌世界のうつしみ。本来の歴史が動いて行く空間を作り出し、それを混沌に覆い被せることで歴史を修復する。
 実に傲慢な主にお似合いな能力だ。……限定的な効果ではあるけれど、それも『核』が存在すれば何度だってやり直せる」
 リンバスシティ内部のアリスティーデ大聖堂で『彼』はそう言った。
「聖遺物を作り出すことは出来るだろう」
「穢れたやつならね」
『彼』に唇を尖らせながら答えた『私』は手にしていた人形を放り投げる。
『私』の聖痕が刻まれた紛い物の聖遺物だ。
「それで良いんだよ、ルル。君はこのアリスティーデの『神託の乙女』だ」
「いやだわ、それってお空のあの女の真似事じゃない。……アレに手出し出来ないから地上に其れを再現されましたって?」
『私』の苛立った表情に『彼』は笑った。腹を抱えて笑うその笑顔は腹立たしい。
 何も知らないような、何も悪い事なんてしていないような、そんな表情をするこの男が私は嫌いだ。
 ――彼は、『私』達の上に立つ存在だ。『私』の上位互換。そんな風に思ってからは、どうしようもなく嫌いだった。
「主とて、イノリ様には逆らえないさ」
「……鬱陶しい。でも、この拠点はそろそろ捨てるわよ。
 イレギュラーズの奴ら、リンバスシティを好き勝手してくれたもの。
 定着率が下がってきてる。アイツらが此処に気付いたら此処を拠点にするはず。何せ、此処は神の国の何処へだっていけるのですから」
『私』はいっそ、こんな場所壊してしまいたかった。
 けれど、ああ――そんなことを『主』はするわけがない。
 あの方も、あの方に仕えている第一の使徒たるこの人も、傲慢なのだ。
「この場所を明け渡して彼等が来たくらいで何を臆する必要がある?」
「……それもそーね」
「我らは遂行者。正しき歴史に導く者だ。本来ならば滅びるべき偽の預言者と『イレギュラーズ』になど怯える必要は無いだろう」
『彼』が私の顎を掴んだ。痛いと叫んだって離すことは無い。ツラだけはいいこの男は私に言うのだ。
「聖女ルル、次に何をするか分かって居るね?」
トゥールンを手放したくせに……分かってるわ。
 そもそも、幻想という国が今存在しては意味が無いの。滅ぼさなくっちゃ。竜は鼾を掻いていて、薔薇は傷物、鹿はまだ座っている。なら、今だわ」
「そうだね、ルル。良い子だ」
「……トゥールンで失敗したアドレはどうするの?」
『彼』は背後に控えていた付き人の少年を見詰めてから微笑んだ。罰の悪そうな表情をしたアドレは怯えた様子で『彼』を見上げている。
「ツ、ツロさ――」
 頬を張った『彼』は「分かって居るね?」と問うた。
「……僕は、海洋へ。海は滅びるべきだった。海は、絶望であるべきだった。『豊穣』までの航路はないはずだった」
 アドレは彼に跪いてからそっとその手を取った。莫迦みたいな忠誠。反吐が出る光景。
「我らが預言者ツロの仰せのままに――」

 下らない――あーあ、世界滅びちゃえ!

「ルル」
「分かってる。大丈夫直ぐに準備するわ。サマエ――……ドMどこ? 一緒に行ってくるから」
 
 ――イレギュラーズがアリスティーデ大聖堂に辿り着いたとき、その中は蛻の空だった。
 その内部に残されていたのは『神の国』の各地に転移することの出来る転移陣。それから涙を流す女神像だけである。


 ※神の国に何か動きがあるようです――
 ※天義騎士団が『黒衣』を纏い、神の代理人として活動を開始するようです――!
 (特設ページ内で騎士団制服が公開されました。イレギュラーズも『黒衣』を着用してみましょう!)


 ヘスペリデスでの時が着実に過ぎていっています――
 ※領地に『覇竜領域』『シレンツィオ・リゾート』『浮遊島アーカーシュ』などの地方が追加されました!

これまでの覇竜編ラサ(紅血晶)編シビュラの託宣(天義編)

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