PandoraPartyProject
夜帳の向こう側
聖教国ネメシス――
「鉄帝国の動乱は終結したか」
目を伏せったシェアキム・ロッド・フォン・フェネスト六世へとリンツァトルテ・コンフィズリー(p3n000104)は頷いた。
長らくの『冬』は雪解けを迎え、小鳥のさえずり響く春がやって来た。
未曾有の災害は冠位憤怒の撃破を持って物語の幕を降ろすこととなったらしい。
「一安心、とは――言えぬか」
憂いを含んだシェアキムの言葉にリンツァトルテは渋い表情を見せる。
嘗て、青年は『不正義の家門』として迫害された過去を有する。故に、この国において『恐ろしきは人の声』であると知っていたのだ。
汚名を雪ぎ、聖騎士として隊を率いる程に成長した青年は教皇の憂いをよく理解していた。
「……神託ですね」
「ああ。サン・サヴァラン大聖堂の啓示の神託は我等を『偽の預言者』と断じている。
国民の耳にも入ったことだろう、テセラ・ニバスの変化は隠し通すことは出来まい。
……あれほど大規模な都市が一夜にして異言都市(リンバス・シティ)に変化したのだから」
嘆息するシェアキムにリンツァトルテは頷いた。
天義と幻想の国境沿いに存在する港町エル・トゥルルの火種は一先ずの沈静化を見せたかと思いきや、テセラ・ニバス――否、『異言都市』は未だ変容し続けて居る。
天義と鉄帝の国境沿いに存在した殉教者の森は正常化しているが、近郊のアドラステイア付近は復興の手が足りていないのが実情だ。
猫の手を、とローレットに求める事も出来ようが『同盟者』達は忙しなく過ごしているらしい。
イレギュラーズは鉄帝の動乱を終え、次は傭兵と商人の国――砂漠地帯『ラサ』にて流通する紅血晶の対応に追われているらしい。
それだけではない。以前よりその存在が確認されていた冠位暴食への対応のために『未知の領域』たる覇竜領域の探索・攻略にも乗り出したと聞いた。
「彼等も忙しなく過ごしているだろうが……」
「これ以上、手を拱いている訳にもいきますまい。何より、聖剣が『呼んで』居るのです」
リンツァトルテは帯刀する『聖剣』へと触れた。リンバス・シティを訪れた際に聖剣が共鳴していたのだ。対になる盾が存在している事は知っていたが――果たして。
自らが有する聖剣がこうも叫ぶのだから、見逃してはならぬ事態が何処かに潜んでいるはずだ。
この剣は、同盟者(イレギュラーズ)達と冠位強欲を斬り伏せたものなのだから。
「……コンフィズリーの聖剣の声に従うべきだ」
――仔羊よ、偽の預言者よ。我らは真なる遂行者である。
わたしの言葉が聞こえる者よ。光あるものよ。神はあなたがたをやみの力から救い出してくださった。
むなしき世界を耐え忍ぶ者よ。わたしたちは神のために『確定未来』を修正しなくてはならない。
「『確定未来』が何であるか。正しき歴史が示す意味を我々、聖教国は理解せねばならない。
此程の大規模な事件が起こせるのだ。それも、連続して。聖遺物が毒の焔に焼かれ、飲み水も変化が起きた――何を示すか、『我々が分からぬ』訳があるまい」
シェアキムは確信していた。
これは、単純な事件ではない。魔種が起こした、と言うには余りにも大きすぎる。
「『冠位魔種』に一度相対した我が国は、知っている。
嘗て冠位強欲の黒き気配が払い除けられたときに、何者が其処に立っていたのかを。
嘗て冠位強欲が為したあの強大な力が、どの様にこの国に変化をもたらしたのかを――!」
彼は偽の預言者ではない。
聖教国における最高責任者。国王にして、教皇。
神の声を聞き遂げし者だ。
「『冠位』と呼ばれる原罪の手先が聖教国を、否、混沌を脅かそうとしている。
コンフィズリー卿、そして、『同盟者』ローレットのイレギュラーズよ。
剣を抜け。純粋なる黒衣を纏い、神が為に『赦されざる悪』へと断罪の刃を振り下ろすのだ」
「御意」
傅いた青年は、ゆっくりと立ち上がる。
聖騎士達は黒を纏う。
白を纏いし『遂行者』達と対照的な黒き衣を。
神が為、不正義なる『赦されざる悪』を斬れ。
代理人よ。
罪と穢れより汝を護る染まらぬ黒をその身に纏い、神の名の元に遂行せよ。
「リンツァトルテ・コンフィズリー。これより聖剣の呼ぶ先へ――」
※天義騎士団が『黒衣』を纏い、神の代理人として活動を開始するようです――!
(特設ページ内で騎士団制服が公開されました。イレギュラーズも『黒衣』を着用してみましょう!)
※覇竜では『ラドンの罪域』攻略作戦が行なわれています――!