PandoraPartyProject

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アナンケ

「――なんだと、メイ・ミディアが死んだ!?」
 テュリム大神殿の深部が一角。神聖なりし第二聖道回廊にて、彼方まで届くような声が轟く。
 声の主はマスティマ。遂行者が一人。
 先の、テュリム大神殿の戦いは激戦足りえた。
 遂行者らの拠点たる地での死闘――
 結論だけ述べれば遂行者側の迎撃の大部分は仕損じた。マスティマ自身も、イレギュラーズによる壮絶な大攻勢を前に一時態勢を立て直さなければならない程に。
 しかし。一部では倒れ伏す遂行者も出るとは予想外だった。
 それがマスティマにとっても知古の一人たる遂行者メイ・ミディア……
「聖遺物の指輪も完全に破壊された。聖遺物殺しの剣があるとはな……」
「おぉ、なんたる事だ……これだけしか回収できなかったのか……! 殺したのはどこのどいつだ……!!」
「直接のトドメに至ったと言えるのは……桜咲 珠緒(p3p004426)藤野 蛍(p3p003861)に、エーレン・キリエ(p3p009844)、それから……サクラ(p3p005004)と言った所か」
 マスティマにメイの戦死を告げる『男』が差し出したのは――彼女が身に着けていた聖遺物だ。滅びのアークに汚染され、魔種の力となっていたモノ……しかしソレは原型留めず破壊されている。
 残っているのは欠片屑程度か。
 マスティマはソレを掌の上で眺めながら、肩を震わせようか――
 マスティマは傲慢だ。聖遺物『聖槍ロンギヌス』を原型とする彼は、己を至上最高の聖遺物と確然たる自信を持っている。神に愛された者すら貫いた己がそうでない筈はないと――尤も、彼と相対した一部のイレギュラーズは、そんな彼の心の在り方を『間違いから目を逸らしているだけ』と痛烈に断じたが。
 ……ともあれ話を戻そう。マスティマは先述の通り傲慢の塊であり、敵対者は屑であるとばかりに見下している――が。彼は遍く全てを敵視している訳ではない。
 従わなかった者は『愚か者』と見下す事もあるが……
 それぞれ志は異なれど遂行者として同士たるならば、一定の仲間意識に近しいモノを心中に抱いているのだ。カロル、アドレ、サマエル、テレサ、パーセヴァル、リーベ、オルタンシア、ナルシス、ファティマ、マルティーヌ、グラキエス、サク、氷聖――それから新参者たる山賊や大名とやらに関しても、少なからず。
 ただ一人。ツロについては不満な所はある。
 そもそもテュリム大神殿へ侵入されたのは奴の招致策が要因ではないか?
 その有り様がこれか――奴にしてみれば『君達の無能が原因だろう? それとも私に全ての面倒を見てほしかったかい?』などとほざきそうか。
「どこへ行く、マスティマ」
「やはりツロを殺してくる。奴の方針にはもう乗れん」
「それは冠位に弓引くも同然。やめておけ」
「そもそも私は奴が気に入らんのだ。ルストの名と威光の下に勝手をしおって!」
 ――刹那。マスティマの感情の昂りに伴いて仮面が割れる。
 激情と共に出でたその下は、滅びのアークそのもの。
 遂行者としての証である聖痕が浮かび上がっていた――
 同時。マスティマの内に内包されし神秘の圧が膨張する。
 正に全霊。聖槍ロンギヌスの超越の神秘にして魂とも言える『核』が晒されていたのだ。
 ……されど。マスティマに言を成す『男』は動じもせぬ。
 その者は遂行者の衣に身を包みし者……
 名を――ゲツガ・ロウライトと言った。
 サクラの祖父にて天義の聖騎士たる者――先日のツロの招致の一人であった者――
 だが。天義の聖騎士として長らく戦って来た老練なる者……ではない。
 なぜならばその身はあまりにも『若かった』のだから。
 まるでゲツガ・ロウライトの全盛期時代を彷彿とさせる……神の国には一部のイレギュラーズと近しい 姿を持つ 神の国由来の者がいるが、その類か――? それとも――
「いずれにせよ、身内で割れるのは本意ではあるまい」
「ツロを真に同志として見てよいならな!」
「今、仮に貴様がツロを排せとしてもそれは敵の利になるのみ。堪えろ」
「敵。敵、か。貴様にとっての敵とは一体誰の事だ?」
「無論――『神』に反する者だ」
 ゲツガらしき若き男は身を翻して大神殿を歩こうか。
 その歩みには一片の淀みも曇りもない。
 神の正義を第一とする騎士として動いていた時代、そのままの姿。
「何処へ行く」
「テュリム大神殿の外周は制圧された。
 これから『何か』あれば踏み込んでくる者もいよう――
 警戒に赴くのみ。貴様も、向ける刃の先は選ぶことだな」
 フンッ、とマスティマは吐き捨てるように呟こうか。
 ――テュリム大神殿は未だ荘厳あらたかなる気配を保っていた。
 イレギュラーズの進行があっても尚に。この地が真に陥落する事などあり得ないだろう。
 そうだ。我らこそが絶対だ――
 神の下へ至らんとする歩みは、必ず神によって裁かれる。
 かつて人が築かんとした神話の塔がどうなったか。
 このまま神を倒せると信じるのならば――
 可能性に溺れて滅ぶがいい。イレギュラーズよ。

 傲慢なりし遂行者。依然として魂は変わらぬ。
 多かれ少なかれルストを崇めている彼らは神の国深部の『絶対性』と『超越性』を目にしているのだから。
 あぁ遂行者テレサに至ってはルストの行いと力を『ネガ・ジェネシス』と称していたか――

 その意。テュリム大神殿の攻防を勝ち抜いたイレギュラーズ達も目にする時は近いだろう……

 ※『テュリム大神殿』での作戦の大部分が終了しました――


 ※プーレルジールでアイオンキャンプ&マナセの小旅行が行なわれているようです……?
 双竜宝冠事件が劇的に進展しています!


 ※プーレルジールで奇跡の可能性を引き上げるためのクエストが発生しました!

これまでの天義編プーレルジール(境界編)終焉の兆し(??編)

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