PandoraPartyProject

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崩落の王国

 セレスタン=サマエル・オリオール。その人の託してくれた盾と、そしてコンフィズリーの聖剣は対なる物だった。
 故に共鳴が更なる力を生み出した。満身創痍の男を追い詰めるに至った。理想郷は最早伽藍堂に跡形もなく。
 だからこそ――男が最後の最後に放った波は自らが止めるとゴリョウ・クートン(p3p002081)は盾を構えた。
 幾人もの仲間達と。
 別たれたあの人の笑顔を思い出しながら。波濤など、敵ではない。
「リヴァイアサンの大海嘯と比べりゃ数段劣るぜ冠位傲慢!
 俺ぁあんな奇麗な歌も歌えねぇし神威を受け止め大海嘯を止めるような神業も出来やしねぇさ!
 だがな! この背には今を生きる友達が居る! 死してなお俺を支えてくれる【聖遺】がある!
 ――聖盾よ! 我が友の正しさを! 奴は死してなお天罰なんぞに屈さずと! 俺とお前と皆で証明するぞッ!
 俺を踏み台にして飛び込み、その聖剣を突き立てろリンツ! そして行ってこい! イレギュラーズッ!」

 ――起動(レディ)・展開(オープン)
  『聖盾よ、我が友を守りたまえ(セイクリッド・テリトリィ・オリオール)』!

 その眩い光がルストの産み出す波濤をも弾き返した。その傍を、駆ける。セララ(p3p000273)が「リンツァトルテ!」と呼んだ。
 リンツァトルテは決意した。眩い光に、護りたい人を思い浮かべろと笑いかけられた事を思い出す。
 傍に彼女がいるのは、如何するべきか。ああ、まあ良いのだ。『共に』征けば良い。
「イル」
「はい、先輩。スティアとサクラが応援してくれましたし、ゴリョウも行けって行ってくれました。
 大丈夫です、セララも居ますし、みんながみんな、居ます。だから――!」
 だから、臆することは無かった。光を帯びていく剣からイルとセララが手を離した。リンツァトルテは『あの日』のように飛び込んだ。
 冠位強欲を斬ったあの暗黒に。
 暗く、死に満ちた暗黒の海に別れを告げたその日のように。
「――貴様の目論見、此処で終わりにする!」
 ルストの身体は一閃された。斜めに傷が走り男の軀を修復することは出来まい。
「マリエッタ――――!」
 呼ぶ。マリエッタ・エーレイン(p3p010534)を送り出すのはセレナ・夜月(p3p010688)アルム・カンフローレル(p3p007874)だった。
「ルスト。ああは言いましたが私、貴方を尊敬しているんですよ。人の扱い、悪意、傲慢さ……神、魔王というにふさわしい。
 だからこそ、私の夢と目的の為。正義に仇名す罪深き魔女だからこそ……冠位傲慢ルスト・シファー。
 貴方を超えて……誰もが成し得ない平和を掴む……今ここで宣言しましょう」
 マリエッタは『奇跡を願わない』。自己犠牲をして何かを為すワケじゃない。これは人間の意地だ。
 マリエッタは『自身のパンドラをベットして』何度もルストを殴りつけた。
「我は死血の魔女、聖血の奪い手、マリエッタ・エーレイン。アタシが理想郷の悉くを奪いつくし……私が未来を切り拓く!」
 血潮が力となる。ルストが叫ぶ。
「貴様――!」
「聖竜の力という奇跡さえも、この魔女が従えて見せましょう! 未来も、お前の死における勝利さえも!」
 吹いた風が魔女の身体を包み込む。癒やしの気配だ。その只中に楊枝 茄子子(p3p008356)が立っている。
「ルスト様は全て正しいよ。誰もが救われる究極の権能。信託の乙女よりも、その前任よりも、きっと本物の神様よりも素晴らしい。
 ――だけど、その正しさは私には必要ない。だからいらない」
 前任者がいるなら彼なんかより最も素晴らしかっただろう。やる事なす事、全肯定した上で茄子子は言った。
『個人的にお前がむかつくから殴りたい』と。
「これは、ルスト様に向ける回復じゃないよ。お前を傷付ける毒だ。ルスト様」
 くすりと笑った。『良い子』にルストが「貴様」と唇を震わせる。
「私が――この世界を終らせる」
「理想郷を終らせてどうなる? 貴様等にとって大した感慨のないくだらない世界が始まるだけだ」
 傷だらけだ。もはや『己を修復する』だけのこともない。だから、この時を待っていたのだ。
 もうすぐシェアキムが手に入るんだ。だから、大人しく『良い子』にしていろって?
(それってさ、違うじゃん。そんなのただの自己満足だ。今までの全てを否定することになる。
 私は良い子になるんだよ。世界を救うくらい良い子になるんだよ。
 ――死ぬ気で生きる。ルストの世界を滅ぼして、私が世界を救う。ああ、それってとっても良い子だ!)
 茄子子はにっこりと笑った。明るく、曇りない眼で、『良い子』として微笑んで。
「あぁ? 何言ってんのか分かんない。なんで会話が成立すると思ってんの? 神と人だぞ、ばぁか」
「貴様!」
 ミュラトールの杖が光を帯びた。癒やしの光が仲間を救う。同時に、転じた毒がルストを蝕んだ。
「世界、終っちゃうね。ま。いっか。これ、本物じゃないし」
 茄子子は微笑んだ。
「許さん、その所業――」
「は? 何て? あ、うーん、遊ぶ時間はおしまい。それじゃあ――『良い子でおやすみなさい』!」

 ――崩れ去っていく光に、外の光が見える。
 真白き都より響いた祝福に、手を伸ばす。全ての終わりを告げるように霧散して行く滅びのアークは、この清廉なる都市に静寂を齎した。

 ※別たれていた最後の『聖竜』の力が使用されました――
 ※『煉獄篇第一冠傲慢』ルスト・シファーを撃破し、イレギュラーズが勝利を収めました――!


 ※神の王国に対する攻撃が始まりました!!

 ※『プルートの黄金劇場』事件に大きな変化があった模様です……

これまでの天義編プーレルジール(境界編)終焉の兆し(??編)

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