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シナリオ詳細

<NF決戦>最終大突撃! 秘密結社ネオフォボス!

完了

参加者 : 379 人

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オープニング

●夢と希望を掴み取れ
 大軍勢が幻想辺境を取り囲んでいた。
 王直々に発行された大規模討伐依頼によって集められた幻想各地の冒険者たち。一目で数え切れないほどの人々の大部分を占めるのは、王とも少なからぬ縁を持つギルド・ローレットのイレギュラーズたちである。
 彼らが狙うは悪の秘密結社ネオフォボス!
 総帥ナンイドナイトメア率いる怪人たちによる幻想支配計画は数知れず、時には幼稚園馬車をハイジャックし時には町のパンを独り占めし時にはクリスマスに鮭を食えといってチキンを根こそぎ奪ったりした――彼らこそが大犯罪組織なのだ!
「入り口への道は皆さんが開いてくれたのです!
 周辺地域への救助も同時進行中。あとは、俺たちが敵の本丸……いや、悪のアジトをたたきつぶすのみなのです!」
 ローレットのギルドエンブレムが縫い込まれた旗を掲げ、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は大きく叫んだ。
「繰り返すのです! 依頼内容は秘密結社ネオフォボスの討伐! 人数問わず報酬支給! 皆さん、突撃なのです!」

●守れ僕らの希望と明日
 一方その頃アジト最深部。
 腕組みする黒き鎧の魔王が腕組みをして玉座についていた。
 近づくだけで脳が焼け焦げそうなほどの存在感。
 あふれ出る魔のオーラは彼が魔種であることを、そして強大な世界の敵であることを否応にも思わせる。
 そう、彼こそが……!
「「秘密結社ネオフォボス総帥――ナンイドナントメア様!」」
 度重なる強化改造によって恐ろしい知能と戦闘力をもった幹部怪人たちですら、彼の前には跪かずにいられない。
 幻想ナイル化計画担当、油圧ワニファラオ。
 幻想サバンナ化計画担当、バズーカライオン大佐。
 その他複数の幹部怪人たちが集まり、忠心深く膝を突く。
「……うむ……!」
 ただ一言。声を発しただけで空気が震えた。
 もし常人がこの場にいたならば、跪けと言われるまでも無く膝と額を地に着けてしまうことだろう。それほどの威圧と恐怖である。
「報告せよ」
「ハッ……!」
 怪人のひとりが前に出て頭を垂れた。
「幻想の王フォンデルマン三世はこのたびネオフォボスの討伐依頼を国全体へ布告。参加者にはその身分に問わず報償を出す模様。
 幻想の冒険者のみならず世界各国の傭兵やヒーロー、魔法少女や精霊たちが集結しこの地下アジト入り口を取り囲んでおります。
 ですが……ククッ」
 怪人がニヤリと笑い目を光らせた。
「入り口の様相に反して地下施設は広大かつ複雑。
 重要区画には対透過処理をはじめとする様々な防衛がなされ、ナンイドナイトメア様のお力によって生み出されたクローン戦闘員はほぼ無限に増え続けております。
 新たに強化改造された怪人たちもアジトのあちこちに配置し迎撃の構えをとり、このネオフォボス秘密基地に残存する全勢力をもって撃退する予定であります」
「よくやった……」
 カツン、と玉座の手すりを指で叩くナンイドナイトメア。
「今より王国大部隊迎撃作戦を開始する。
 全ての構成員はこの作戦に従事せよ」
「すべて……でございますか」
 他の幻想支配作戦を実行していた幹部怪人たちがぴくりと反応したが、しかし。
「考えてみるがいい。もし、我ら秘密結社ネオフォボスが滅亡回避の特異点であるローレット・イレギュラーズを倒したならば……どうなる」
「「おお……!!」」
 世界は薄氷の上にある。
 どの国も崩壊のトリガーを抱え、いつ滅び去ってもおかしくない。魔種は次々と生まれ人々は為す術なく蹂躙され、これまで幾度もあったといわれる国家滅亡をテレビゲームのコンテニュー画面のように繰り返していくだろう。
 それこそまるで遊戯のように行なわれる滅亡のサイクルを破壊し、食い止めることができるとされる『唯一の希望』。それが、運命特異点座標――イレギュラーズである。
 もしそんな彼らが倒されたなら、世界にきっと明日はない。
「『煉獄篇第五冠強欲』ベアトリーチェ・ラ・レーテが落ちた今、『強欲』頂点の座に君臨すべきはやはりあなた様しかおられません。我らネオフォボス――全存在を賭し、捧げまする!」
 膝をついたまま、深く頭を下げる一同。
 ナンイドナイトメアは頷き、そして手を突き出すよに翳した。
「ならば行けい! このアジトを奴らの墓場とするのだ!」

●進め未来への旗を掲げて
 かくして始まった秘密結社ネオフォボス討伐作戦!
 あなたはその大部隊のひとりとなり、正体不明のアジトへと突入する。
 幻想支配をもくろむ怪人たちとその総帥ナンイドナイトメアを倒すのだ!
 戦え、イレギュラーズ!
 負けるな、イレギュラーズ!

GMコメント

■■■最終決戦■■■
 秘密結社ネオフォボスを壊滅させるべく大作戦が開始されました。
 あなたは王直々の名が刻まれた依頼書を胸に、ネオフォボスのアジトへと突入を仕掛けます。
 突入後はいくつかの役割分担が必要になりますので、後に説明するプレイング書式とパート・グループタグの設定にはご注意ください。

●Danger!
 当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。

■■■プレイング書式■■■
 プレイングには以下の書式を守ってください。
・一行目:パートタグ
・二行目:グループタグ(無い場合は空白行)
・三行目:実際のプレイング内容

 書式が守られていない場合はお友達とはぐれたり、やろうとしたことをやり損ねたりすることがあります。くれぐれもご注意ください。

■■■パートタグ■■■
 【破壊】【戦闘】【最深】【最深】【ナンイドナイトメア】のうちから自分の決めた担当パートを選択し、記載してください。
 このシナリオ自体はハード扱いではありますが、役割によっては戦闘力に自信のない方やジブン戦闘は得意分野じゃないなあという方でも良い形で力を発揮できるでしょう。
 では各パートごとに解説していきましょう。

・共通フィールドデータ
 ネオフォボスのアジトは地下に存在していながら謎の空間技術により凄まじく広大です。
 天井が体育館ばりに高かったり軽く野球できるくらい広かったりはザラのようです。

●【破壊】パート
※実質EASY~NORMAL相当
 秘密結社ネオフォボスのアジトにはクローン戦闘員製造施設や組織運営に必要な機材や設備が沢山隠されています。
 これらを見つけ出し破壊するのも組織討伐依頼の重要なファクターであります。
 探索能力を駆使したり、武器を手にとって機材をたたき壊したり、阻止しようと襲いかかるクローン戦闘員を排除したりしましょう。
 戦闘員たちは一般市民に毛が生えた程度の戦闘力しか持っていないので、戦闘が苦手だなあという方でも充分に渡り合うことができるでしょう。

・クローン戦闘員とは
 秘密結社ネオフォボス、もとい総帥ナンイドナイトメアの力によって生み出された戦闘人形です。
 人間を模しておりたまに剣や棍棒やライフルを装備していますが、ほとんど喋らず倒すと泥のように溶けて消えてしまいます。

●【戦闘】パート
※実質NORMAL~HARD相当
 アジトの中には沢山の『怪人』が配置されています。
 仲間たちがアジトの破壊を十全に行なえるように戦闘部分を受け持つのがこのパートメンバーの重要な役割であります。

・『怪人』とは
 秘密結社ネオフォボスによって強化改造された人間たちです。
 種族は様々で獣種海種飛行種鉄騎種精霊種などなど――中にはウォーカーも混じっています。
 どれも常人と異なり油圧カッターやバズーカ砲といった道具と掛け合わされた改造がなされており、全員もれなく総帥の『原罪の呼び声(クリミナル・オファー)』によって狂気に落ちており、反転こそしないものの完全に総帥へ心棒しています。
 ちなみに倒すと『ネオフォボス万歳!』といった叫びをあげながら爆発四散します。

●【最深】パート
※実質HARD相当。キケン!
 アジト最深部には幹部怪人たちが待ち構えています。
 彼らは組織の中でもトップクラスに強化された存在であり戦闘員など言うまでも無く通常の怪人とは一線を画した鋭利な強さをそれぞれが持っているようです。
 彼らと渡り合えるのはいくつもの修羅場をくぐり抜けた猛者たちでなくてはならないでしょう。
 そして彼らとの戦いを引き受けるのはとても重要な役割であります。
 ナンイドナイトメアを倒すためには、彼らを引き受けておかねばならないのです。

・幹部怪人とは
 とても高レベルな怪人たちです。
 油圧ワニファラオ、バズーカライオン大佐、GAU8タカジェネラルなど全員[モノ][ドウブツ][役割]の命名規則で幹部名が与えられています。
 情報屋が調べ上げたところによると
 攻撃力がものすごく高いタイプ
 物理攻撃が硬すぎるタイプ
 HPが激ヤバに多いタイプ
 BSダメージと呪殺でねり殺してくるタイプ
 の四種類に大別されるそうです。
 「俺ならこのタイプをこうやって突破するぜ!」という具合に挑んでみましょう。

●【ナンイドナイトメア】パート
※実質難易度????? 推奨レベル不明。キケン! キケン!
 アジトの最後に待ち構えているのは総帥ナンイドナイトメアです。
 野球場一個分はあろうかというドーム状の部屋でただ一人戦うという彼の強さは計り知れません。
 しかも彼についての情報は全く分かっておらず、実際に年齢性別種族すら不明です。
 しかも嘘かホントか分からないこんな噂話があります。
 ウワサ1:66万6666年ぶりに目覚めた(すごく嘘っぽい)
 ウワサ2:カラテパワーは不在証明を超えている(ものすごく嘘っぽい)
 ウワサ3:ギフトを七つ持っている(どう考えても嘘)
 ウワサ4:死者をよみがえらせる(ベアトリーチェの例を出すまでも無く嘘)
 ですがここまでの噂がまことしやかに語られるほどに謎めいた人物であるのは確かであり、彼が強力な魔種であるということもまた確かな事実であります。
 間違ってもタイマンなんてはれない強さだとは思いますが、歴戦の勇者もといイレギュラーズがそれぞれの鋭利で個性的な強さを次々に叩き付けたならば、きっと大勝利を収めることができると信じています!
 ※追加情報:ネオフォボスは今回のために総帥専用高反応騎乗戦闘バイク『フォボスローダー』を玉座の隣に置いているという情報を掴みました。

■■■グループタグ■■■
 一緒に行動するPCがひとりでもいる場合は【仲良しコンビ】といった具合に二行目にグループタグをつけて共有してください。同行者のフルネームやIDを記載する必要はありません。
 念のため他のタグと被らないように、相談掲示板で「【○○】というグループで行動します」といった具合にコールしておくとよいでしょう。
 うっかり被った場合は恐らく判定時に気づくとは思うのですが、できるだけ被らないようにしてください。
 また、グループタグやパートタグを複数またぐ行動はできません。どこか一つだけにしましょう。

================================
(プレイングの例)
【戦闘】
【魁戦隊オトコギジャー】
秘密結社ネオフォボスだって? 幻想の平和は俺たちが守るぜ!
怪人なんてこわかねえ、俺の防御技術で攻撃なんてはじき飛ばしてやる!
いくぜ、俺の必殺! 漢気千手観音!
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  • <NF決戦>最終大突撃! 秘密結社ネオフォボス!Lv:10以上完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別決戦
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2019年10月22日 22時55分
  • 参加人数379/∞人
  • 相談7日
  • 参加費50RC

参加者 : 379 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(379人)

花房・てふ(p3p000003)
BBBA
夢見 ルル家(p3p000016)
夢見大名
アルペストゥス(p3p000029)
煌雷竜
アルプス・ローダー(p3p000034)
特異運命座標
ラノール・メルカノワ(p3p000045)
夜のとなり
サンティール・リアン(p3p000050)
雲雀
エンヴィ=グレノール(p3p000051)
サメちゃんの好物
シルヴィア・テスタメント(p3p000058)
Jaeger Maid
ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
グレイシア=オルトバーン(p3p000111)
勇者と生きる魔王
エーリカ・メルカノワ(p3p000117)
夜のいろ
レンジー(p3p000130)
帽子の中に夢が詰まってる
クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者
ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)
旅人自称者
透垣 政宗(p3p000156)
有色透明
シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)
炎の守護者
ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)
防戦巧者
クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)
安寧を願う者
キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)
社長!
焔宮 鳴(p3p000246)
救世の炎
ホロウ(p3p000247)
不死の女王(ポンコツ)
エマ(p3p000257)
こそどろ
ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
セララ(p3p000273)
魔法騎士
零・K・メルヴィル(p3p000277)
つばさ
ルアナ・テルフォード(p3p000291)
魔王と生きる勇者
ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
Lumière Stellaire
シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)
蒼銀一閃
日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)
共にあれ
リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)
無敵鉄板暴牛
鶫 四音(p3p000375)
カーマインの抱擁
Lumilia=Sherwood(p3p000381)
渡鈴鳥
ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)
祝呪反魂
レッド(p3p000395)
赤々靴
アリシス・シーアルジア(p3p000397)
黒のミスティリオン
亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
郷田 貴道(p3p000401)
竜拳
燕黒 姫喬(p3p000406)
猫鮫姫
巡離 リンネ(p3p000412)
魂の牧童
サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
シグ・ローデッド(p3p000483)
艦斬り
ラクタ(p3p000501)
外なる
銀城 黒羽(p3p000505)
ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
主人=公(p3p000578)
ハム子
ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)
穢翼の死神
歳寒松柏 マスターデコイ(p3p000603)
甲種標的型人造精霊
シエラ・バレスティ(p3p000604)
バレスティ流剣士
ヨハナ・ゲールマン・ハラタ(p3p000638)
自称未来人
オフェリア(p3p000641)
主無き侍従
アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)
双世ヲ駆ケル紅蓮ノ戦乙女
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
グドルフ・ボイデル(p3p000694)
モモカ・モカ(p3p000727)
ブーストナックル
フォルテシア=カティリス=レスティーユ(p3p000785)
天嬢武弓
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
コラバポス 夏子(p3p000808)
八百屋の息子
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
巡理 リイン(p3p000831)
円環の導手
羽瀬川 瑠璃(p3p000833)
勿忘草に想いを託して
シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)
死を齎す黒刃
清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
伏見 行人(p3p000858)
北辰の道標
イリス・アトラクトス(p3p000883)
光鱗の姫
冬葵 D 悠凪(p3p000885)
氷晶の盾
シルフォイデア・エリスタリス(p3p000886)
花に集う
ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
メートヒェン・メヒャーニク(p3p000917)
メイドロボ騎士
ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)
虹色
ルウ・ジャガーノート(p3p000937)
暴風
ジル・チタニイット(p3p000943)
薬の魔女の後継者
リリー・シャルラハ(p3p000955)
自在の名手
トリーネ=セイントバード(p3p000957)
飛んだにわとり
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
ヨハン=レーム(p3p001117)
おチビの理解者
御堂・D・豪斗(p3p001181)
例のゴッド
天裂(p3p001227)
ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)
想星紡ぎ
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
古木・文(p3p001262)
文具屋
マルク・シリング(p3p001309)
軍師
ゲンリー(p3p001310)
鋼鉄の谷の
クランベル・リーン(p3p001350)
悪戯なメイド
田中・E・デスレイン(p3p001381)
ゴブリン、マイ、イマジナリーフレンド
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
アト・サイン(p3p001394)
観光客
諏訪田 大二(p3p001482)
リッチ・オブ・リッチ
海音寺 潮(p3p001498)
揺蕩う老魚
シクリッド・プレコ(p3p001510)
海往く幻捜種
ナハトラーベ(p3p001615)
黒翼演舞
ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)
黒武護
七鳥・天十里(p3p001668)
アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)
無限円舞
クロジンデ・エーベルヴァイン(p3p001736)
受付嬢(休息)
レーゲン・グリュック・フルフトバー(p3p001744)
希うアザラシ
ノワ・リェーヴル(p3p001798)
怪盗ラビット・フット
クリム・T・マスクヴェール(p3p001831)
血吸い蜥蜴
ショゴス・カレン・グラトニー(p3p001886)
暴食
グレイル・テンペスタ(p3p001964)
青混じる氷狼
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)
紅炎の勇者
カレン=エマ=コンスタンティナ(p3p001996)
妖艶なる半妖
マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)
黒鎖の傭兵
ニーニア・リーカー(p3p002058)
辻ポストガール
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド
ウルマ・ゼーレ(p3p002098)
特異運命座標
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
アイリス・アニェラ・クラリッサ(p3p002159)
傍らへ共に
ミーシャ・キュイ(p3p002182)
ただの手品師だよ?
ナイン(p3p002239)
特異運命座標
セティア・レイス(p3p002263)
妖精騎士
カレン・クルーツォ(p3p002272)
夜明けの蝶
実験体37号(p3p002277)
鉄拳超制裁!
ラァト フランセーズ デュテ(p3p002308)
紅茶卿
美面・水城(p3p002313)
イージス
六車・焔珠(p3p002320)
祈祷鬼姫
ブーケ ガルニ(p3p002361)
兎身創痍
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
ニル=エルサリス(p3p002400)
ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃
円 ヒカゲ(p3p002515)
マッドガッサー
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)
救いの翼
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
片翼の守護者
ノーラ(p3p002582)
方向音痴
マテリア・ライク・クリスタル(p3p002592)
水晶の様な物体
アニー・K・メルヴィル(p3p002602)
零のお嫁さん
マリス・テラ(p3p002737)
Schwert-elf
コゼット(p3p002755)
ひだまりうさぎ
アレックス=E=フォルカス(p3p002810)
天罰
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
ダークネス クイーン(p3p002874)
悪の秘密結社『XXX』総統
マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
記憶に刻め
アンファング=ティガークロス(p3p002957)
素直じゃない虎
那須 与一(p3p003103)
紫苑忠狼
セイ(p3p003126)
ニャー(p3p003147)
にゃーはにゃーだにゃ!
枢木 華鈴(p3p003336)
ゆるっと狐姫
リナ・ヘルキャット(p3p003396)
ツンデレモドキ
クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日のフルール
ナイジェル=シン(p3p003705)
謎めいた牧師
アベル(p3p003719)
失楽園
藤野 蛍(p3p003861)
比翼連理・護
リーゼロッテ=ブロスフェルト(p3p003929)
リトルリトルウィッチ
レスト・リゾート(p3p003959)
にゃんこツアーコンダクター
ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095)
我が為に
ロゼット=テイ(p3p004150)
砂漠に燈る智恵
赤羽・大地(p3p004151)
彼岸と此岸の魔術師
ハイネ・フラウナハ(p3p004182)
月夜の華
妖樹(p3p004184)
彷徨う銀狐
秋空 輪廻(p3p004212)
かっこ(´・ω・`)いい
メル・ラーテ(p3p004228)
火砲少女
桜坂 結乃(p3p004256)
ふんわりラプンツェル
ルチアーノ・グレコ(p3p004260)
Calm Bringer
美音部 絵里(p3p004291)
たーのしー
シュリエ(p3p004298)
リグレットドール
錫蘭 ルフナ(p3p004350)
澱の森の仔
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
アルム・シュタール(p3p004375)
鋼鉄冥土
アニエル=トレボール=ザインノーン(p3p004377)
解き明かす者
ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼
ニア・ルヴァリエ(p3p004394)
太陽の隣
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
シラス(p3p004421)
超える者
桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻
無限乃 愛(p3p004443)
魔法少女インフィニティハートC
メイメイ・ルー(p3p004460)
祈りと誓いと
ハロルド(p3p004465)
ウィツィロの守護者
アメリア アレクサンドラ(p3p004496)
願いを受けし薔薇
梯・芒(p3p004532)
実験的殺人者
悪鬼・鈴鹿(p3p004538)
ぱんつコレクター
エナ・イル(p3p004585)
自称 可愛い小鳥
オカカ(p3p004593)
兎に角
シェリル・クリスフォード(p3p004598)
特異運命座標
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
大樹の精霊
シエラ・クリスフォード(p3p004649)
守護者の末裔
グランディス=ベルヴィント(p3p004661)
黄金の牙
黄・太極(p3p004664)
尸解仙
辻岡 真(p3p004665)
旅慣れた
黒星 一晃(p3p004679)
黒一閃
オーガスト・ステラ・シャーリー(p3p004716)
石柱の魔女
風巻・威降(p3p004719)
気は心、優しさは風
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
レオンハルト(p3p004744)
導く剣
ベルベット・パイソン(p3p004793)
不確定の蛇
ヴェルフェゴア・リュネット・フルール(p3p004861)
《月(ムーン)》
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)
流星と並び立つ赤き備
ヨランダ・ゴールドバーグ(p3p004918)
不良聖女
ライハ・ネーゼス(p3p004933)
トルバドール
アベリア・クォーツ・バルツァーレク(p3p004937)
願いの先
アレクシエル(p3p004938)
グレイト・マザー
サクラ(p3p005004)
聖奠聖騎士
新道 風牙(p3p005012)
よをつむぐもの
イースリー・ノース(p3p005030)
人護知能
マキーニ=ヴェルツ=ベアール(p3p005033)
勝負師
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
ミシャ・コレシピ・ミライ(p3p005053)
マッドドクター
久住・舞花(p3p005056)
氷月玲瓏
ライム マスカット(p3p005059)
グリーンスライムサキュバス
エマ・ウィートラント(p3p005065)
Enigma
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
Thusxy=Hgla=Azathdo(p3p005090)
モルフェウス
宮峰 死聖(p3p005112)
同人勇者
小鳥遊・鈴音(p3p005114)
ふわふわにゃんこ
ミラーカ・マギノ(p3p005124)
森よりの刺客
村昌 美弥妃(p3p005148)
不運な幸運
カシミア(p3p005160)
森の守護者
ローガン・ジョージ・アリス(p3p005181)
鉄腕アリス
佐伯 昴(p3p005187)
特異運命座標
リディア=フォン=ユーベルヴェーク(p3p005189)
ジーニアスムーブ
美咲・マクスウェル(p3p005192)
玻璃の瞳
イリス・フォン・エーテルライト(p3p005207)
魔法少女魂
津久見・弥恵(p3p005208)
薔薇の舞踏
リアム・マクスウェル(p3p005406)
エメラルドマジック
黒・白(p3p005407)
紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)
真打
飛騨・沙愛那(p3p005488)
小さき首狩り白兎
アオイ=アークライト(p3p005658)
機工技師
グレン・ロジャース(p3p005709)
理想の求心者
ニャンジェリカ・ステュアート(p3p006044)
放浪の騎士
エリシア(p3p006057)
鳳凰
金鯱 統(p3p006085)
特異運命座標
時任・兼続(p3p006107)
ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)
氷雪の歌姫
岩倉・鈴音(p3p006119)
バアルぺオルの魔人
アインザーム=ヴェサリウス(p3p006149)
エキスパートアグレッサー
ティスル ティル(p3p006151)
銀すずめ
氷彗(p3p006166)
決意の雪氷
ガーベラ・キルロード(p3p006172)
noblesse oblige
道頓堀・繰子(p3p006175)
化猫
アニー・ルアン(p3p006196)
鳳凰
華懿戸 竜祢(p3p006197)
応竜
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
イヴ・ヴァレンタイン(p3p006216)
感情あるモノ
比良坂・屍(p3p006231)
伝令役
ロゼッタ(p3p006250)
敬虔なる信徒
コーデリア・ハーグリーブス(p3p006255)
信仰者
舞音・どら(p3p006257)
聖どら
Melting・Emma・Love(p3p006309)
溶融する普遍的な愛
風見・リョーコ(p3p006314)
夢切るハヤテ
水瀬 冬佳(p3p006383)
水天の巫女
パーフェクト・サーヴァント(p3p006389)
完璧な執事を目指す執事
木津田・由奈(p3p006406)
闇妹
ルルゥ・ブルー(p3p006410)
水底の夢
バルザック(p3p006417)
プロ斥候
ピット(p3p006439)
砂塵の中の狙撃手
陽・サン(p3p006440)
平和への祈り
龍宮・巫女(p3p006441)
龍神の巫女
シュタイン(p3p006461)
守護鉄鬼
ムー・シュルフ(p3p006473)
味覚の探求者
No.9(p3p006484)
シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)
ロクデナシ車椅子探偵
レニンスカヤ・チュレンコフ・ウサビッチ(p3p006499)
恩義のために
София・Ф・Юрьева(p3p006503)
おっとりお嬢様ソフィーヤ
クラウジア=ジュエリア=ペトロヴァー(p3p006508)
宝石の魔女
アイラ・ディアグレイス(p3p006523)
生命の蝶
矢都花 リリー(p3p006541)
ゴールデンラバール
河鳲 響子(p3p006543)
天を駆ける狗
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹
藤堂 夕(p3p006645)
小さな太陽
道子 幽魅(p3p006660)
成長中
ハッピー・クラッカー(p3p006706)
爆音クイックシルバー
安里 真弓(p3p006709)
パステルフィルター
フィーネ・ヴィユノーク・シュネーブラウ(p3p006734)
薊の傍らに
宮里・聖奈(p3p006739)
パンツハンターの血を継ぐ者
ノエル(p3p006760)
リウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)
叡智の娘
イ = モウト(p3p006766)
特異運命的妹
ニーナ・ヘルヘイム(p3p006782)
Spica's Satellite
クリストファー・J・バートランド(p3p006801)
荒野の珍味体験者
プラック・クラケーン(p3p006804)
昔日の青年
アルメリア・イーグルトン(p3p006810)
緑雷の魔女
ヨシト・エイツ(p3p006813)
救い手
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘
カンナ(p3p006830)
彷徨人
リアナ・シンクライ(p3p006831)
ドリルブレイク・ドリル
閠(p3p006838)
真白き咎鴉
ミスティル ハーティ(p3p006858)
ストレス発散!
ガルハ・フォルクス・レーツェン(p3p006861)
修羅が如く
茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)
音呂木の蛇巫女
ルチア・アフラニア・水月(p3p006865)
鏡花の癒し
アトゥリ・アーテラル(p3p006886)
反撃の雷鳴
蟻巣虻 舞妃蓮(p3p006901)
お前のようなアリスがいるか
鞍馬 征斗(p3p006903)
天京の志士
シリル=エンフィールド(p3p006919)
緑の癒し手
スー・リソライト(p3p006924)
猫のワルツ
蘭 彩華(p3p006927)
力いっぱいウォークライ
ガヴィ コレット(p3p006928)
旋律が覚えてる
リーリア・フィルデマージュ(p3p006942)
戦う料理人
氷瀬・S・颯太(p3p006973)
影雷白狐
ヴェーゼ(p3p007004)
言の葉に秘めし仮面
ミュリエル(p3p007011)
知らない物語
鷲生 文(p3p007024)
商魂たぬき
ソア(p3p007025)
愛しき雷陣
アルク・テンペリオン(p3p007030)
蒐集氷精
ノーティガル(p3p007038)
ティーナ=レイフィード(p3p007050)
The Third Eye
ネリ(p3p007055)
妖怪・白うねり
ビーナス・プロテウス(p3p007066)
渇愛の邪王竜
シエル(p3p007084)
彼女は刺激的なジュール
P・P・P(p3p007113)
エストレーリャ=セルバ(p3p007114)
賦活
カイト(p3p007128)
雨夜の映し身
アリア・テリア(p3p007129)
いにしえと今の紡ぎ手
ヴォルペ(p3p007135)
満月の緋狐
ハンナ・シャロン(p3p007137)
風のテルメンディル
城火 綾花(p3p007140)
Joker
フィリア・クインラン(p3p007148)
肉食ハンター
ディアナ・リゼ・セレスティア(p3p007163)
月光ミセリコルデ
彼岸会 空観(p3p007169)
グランツァー・ガリル(p3p007172)
大地賛歌
タツミ・ロック・ストレージ(p3p007185)
空気読め太郎
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
生イカが好き
ノエミ・ルネ・ルサージュ(p3p007196)
恩に報いる為に
アウローラ=エレットローネ(p3p007207)
電子の海の精霊
リルカ・レイペカ・トワ(p3p007214)
魔性のちっぱい
物部・ねねこ(p3p007217)
ネクロフィリア
ポムグラニット(p3p007218)
慈愛のアティック・ローズ
天狼 カナタ(p3p007224)
夜砂の彼方に
オジョ・ウ・サン(p3p007227)
戒めを解く者
君影・姫百合(p3p007232)
鈴蘭の花
ミザリー・B・ツェールング(p3p007239)
本当はこわいおとぎ話
アンジェラ(p3p007241)
働き人
チェルシー・ミストルフィン(p3p007243)
トリックコントローラー
ミリヤム・ドリーミング(p3p007247)
アイドルでばかりはいられない
ひつぎ(p3p007249)
ラブアンドピース
ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
運命砕き
レイリー=シュタイン(p3p007270)
ヴァイス☆ドラッヘ
メリエッタ(p3p007272)
光輝なる者
雪村 沙月(p3p007273)
月下美人
スピネル(p3p007274)
特異運命座標
鹿ノ子(p3p007279)
琥珀のとなり
恋屍・愛無(p3p007296)
終焉の獣
シュラ・シルバー(p3p007302)
魔眼破り
仄 火燐(p3p007317)
メインヒロイン
藤咲 燐音(p3p007323)
紫炎妖狐
ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海
ピリム・リオト・エーディ(p3p007348)
復讐者
陰陽丸(p3p007356)
じゃいあんとねこ
アルヴィ=ド=ラフス(p3p007360)
航空指揮
庚(p3p007370)
宙狐
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
ラピス・ディアグレイス(p3p007373)
瑠璃の光
ドロシー・エメラルド(p3p007375)
正義を愛する騎士
エリクシア・ヘブンズフィール(p3p007376)
白の狩人
ネメアー・レグルス(p3p007382)
《力(ストレングス)》
糸巻 パティリア(p3p007389)
跳躍する星
コルウィン・ロンミィ(p3p007390)
靡く白スーツ
アリシア・ステラ・ロゼッタ(p3p007414)
特異運命座標
遠野・マヤ(p3p007463)
ヲタ活
プラウラ・ブラウニー(p3p007475)
普通のソードマスター
ジェーン・ドゥ・サーティン(p3p007476)
一肌脱いだ
ライディス・クリムゼン(p3p007498)
人生のダイスロール
日車・迅(p3p007500)
疾風迅狼
ウィリアム・ウォーラム(p3p007502)
軍医
ニル=ヴァレンタイン(p3p007509)
引き篭もり魔王
御剣 涼太(p3p007510)
プロ転生者
マナ・板野・ナイチチガール(p3p007516)
まな板最強説
橄欖・オリヴィン・ペリドット(p3p007519)
エキストラ
七五三掛・纒(p3p007530)
戦嫌い
カンベエ(p3p007540)
大号令に続きし者
メイ=ルゥ(p3p007582)
シティガール
レリア(p3p007586)
銀氷の魔女
フレイ・イング・ラーセン(p3p007598)
紅楼夢・紫月(p3p007611)
呪刀持ちの唄歌い
ゼファー(p3p007625)
祝福の風
バスト・ハボリム(p3p007628)
黒炎風
日輪 寿(p3p007633)
日向の巫女
森園 ミドリ(p3p007649)
暴羊の嘆

リプレイ

●アジト破壊作戦! みんなで壊せば恐くない!
 ついにその姿を現わした……というか割と前からあったけどいまいち手を出せずにいた秘密結社ネオフォボス。
 しかしひょんなことから王直々に討伐の布告がなされたことで、今こうして大量の冒険者が、もといローレット・イレギュラーズがアジトへ大集結したのであった。
「ローレット・レギュラーズ、か」
「はい。別名混沌戦隊パンドライエト。常に8~10名で戦うことからそう呼ばれております」
「ほう……」
 薄暗い部屋にて目をぎらりと光らせる、ネオフォボス総帥ナンイドナイトメア。
「その割には多いようだな。何組かが手を組んでいるのか?」
「は……それが……」
 言いよどむ幹部怪人。
 そっと耳元に口を近づけると、小声で報告した。
「379名。例年の47倍でございます」

 さて、噂のイレギュラーズは今何をしているのかというと。
 大群ラッシュで門番戦闘員たちを蹴散らしつつ、早速入り口付近で破壊活動を始めていた。
「悪いことしちゃいけないんですよー!
 自分がやられてイヤなことを他人にもしちゃいけませんっ!
 そうお父様お母様や幼稚園の先生から教わりませんでしたかー?
 いけない子にはおやつもあげませんからね!!
 きゃー話通じない! 助けて零くん!」
「お、お前らアニーに手を出すんじゃねぇ!」
 門を制御していた機械の配線を高枝切りバサミで破壊するアニー・メルヴィルと、オラァといってフランスパンで戦闘員を殴り倒す上谷・零。
 緊急閉鎖を行なおうとしていた入り口のシャッターは止まり、それこそ三百規模のイレギュラーズが大挙して押し寄せていた。
 ゾンビ映画でもここまで来ないでしょってくらいの数に、門番戦闘員たちが慌てて逃げ出していく。
 そこへ意気揚々と破壊活動を開始するイレギュラーズチーム。人呼んで【闇のストレス発散し隊】。
 彼らはチェーンソーやら釘バットやらを持ち込んで早速通信装置その他諸々を破壊し始めた。
「愉快な過去を思い出したら闇のストレスが沸いてきやがったのです! オラ、そこを退くですよ」
 その名も雄々しき(?)恋愛乙女のチェーンソーを振り回しあちこち切りつけるイヴ。その前身モデル(?)である純情乙女のチェーンソーを振り回すエリクシア・ヘブンズフィール。
「ふわあぁぁぁぁぁ!!!? あぶないです! どいてお姉ちゃん、そいつ壊せないですぅぅ!!」
「ちょおおおおおおお!?」
 自身の頭すれすれをかすめていくチェーンソーに慌ててのけぞるリナ・ヘルキャット。
「エリクシア危ないからやめなさいぃぃい!? そぉい!!」
 知らない人がいきなり家に入ってきて敵味方構わずチェーンソーで破壊し始めたら、誰だって恐い。怪人たちだって恐い。
 そんな様子を冷静に眺めながら周囲を片付けていくシェリル・クリスフォード。
「おい、イヴとエリクシア。ソレはシャレにならないだろう。で、シエラは落ち着いたか。じゃあこれを持て」
「ん……なんですかこれは……! 気持ちいい! 癖になりそうです!!」
 パスされた釘バットを振り回しあちこちの機械をべっこんべっこん破壊し始めるシエラ・クリスフォード(楽しそう)。
「秘密結社ネオフォボス……くっ、闇市にガラクタを混ぜている危険な組織と見ました! これまでの借り、きっちりと返させて頂きますよ! さあ皆さん心をひとつに!」
 そんな彼らの破壊活動をやめさせようと、十人規模の武装戦闘員たちが駆けつけてきた。
 それぞれ手に剣を持ち飛びかかる戦闘員――を、白い風が吹き抜けた。
 途端、先頭の戦闘員たちが血を吹き出して崩れていく。
「悪の組織だか何だか知らないけど鈴鹿達に喧嘩売るとかいい度胸なの!
 こちとら伊達にイレギュラーとは言われていないの!大暴れしてやるの!」
 振り抜いた幻影刀・朧をあやしく構える悪鬼・鈴鹿。
「輪廻姉様!」
「破壊工作と数減らし、ね。まだ本調子じゃないしそれくらいが丁度良いわ」
 すぐさま黒い風が吹きこみ、仮面をつけた秋空 輪廻が踊るように戦闘員たちをはねのけていく。
 負けじと戦闘員たちが斬りかかるが、輪廻は仮面の下でにこりと笑ってみせた。
「その程度じゃ、私は倒れないわよ。
 私は、この子と昔、ずっと一緒に居るって約束をしたのよ。
 だから私は、絶対死なないわ」
 彼女たちを先頭に組んだチーム【伊哀】。
 メンバーの宮峰 死聖は高機動車いすを器用に操作し、戦闘員を次々に撥ね飛ばしていった。
 片輪スピンをかけて攻撃を跳ね返す。
「まだこの戦い方に慣れて無いんだ、ちょっと手加減してくれると嬉しい、かな?」
 クールに笑う死聖。
 その隙にリアム・マクスウェルが突入。額の宝石を輝かせ、エメラルドカラーの魔力を両手に漲らせた。
「破壊工作か…あまり好きでは無いが、これも任務だ、仕方ない。
 にしても、お前たちは相変わらず緊張感が少し欠けているぞ?」
 言いながら、激しい魔力砲撃を発射。
 戦闘員たちを一気に薙ぎ払うと、宮里・聖奈と木津田・由奈が風のように飛び込んでいった。
 凄まじい機動力と反応速度で戦闘員たちの間をしゅばしゅばと駆け抜けると、聖奈は両手をクロスした状態でブレーキ。
「やってる事は血生臭い戦争なんだよね、これ!
 皆が参加してるから頑張るけど、早くも逃げたいよ、私は!」
 とかいってる後ろで女性戦闘員(?)のスカートがめくれ、どういうわけか爆発した。
「それに、師匠が聖奈達の事大切にしてくれるのはありがたいけど、私達だって師匠の事大切にしてるって事理解してほしいよね、由奈ちゃん!」
「そうだよ死聖お兄ちゃんが行くところにはどこにだってついていくし死聖お兄ちゃんが戦うのなら死力を尽くして守るし死聖お兄ちゃんの敵は皆殺しだよ!」
 包丁を両手で握って戦闘員に突撃を仕掛ける由奈。
(聖奈さんに同意するのは癪だけど…私も勿論お兄ちゃんの事守りたいんだから)

 入り口の大きさもさることながらアジトの中は広大であった。
 トラックが余裕ですれ違えるほどの大型通路を、レニンスカヤ・チュレンコフ・ウサビッチのチャリオットが爆走していく。
「うさはねぇ、こういう誰かを傷つけたり壊すのは苦手なんだぁ。だから……みんなを連れて行くんだね!」
 その先頭に立って、バスガイドのごとく手を翳すレスト・リゾート。
「今日は皆で協力して、大事な施設をド~ンと破壊しちゃいましょ~」
「「おー」」
 停車した馬車から飛び降り、幻影を半実体化させるクロジンデ・エーベルヴァイン。
「起点が向こうじゃなくってこっちから殴りに行くのは何気に新鮮だよねー。
 居酒屋のビールぐらい取り敢えずデストローイー」
 熱をもっていそうな部屋を探し当て、扉を(守っていた戦闘員ごと)吹き飛ばすクロジンデ。
 突入した辻岡 真がナイフと盾を構えて守りを固める。
「おのれネオファボス! 俺の旅路をいつも交通封鎖で邪魔しやがって!
 忌々しいから潰すよ!」
 部屋に沢山並んでいるなんかぴかぴかした機械を守ろうと作業していた戦闘員たちが襲いかかるが、真はそれをナイフの柄で殴り倒すことで撃退した。
「ムーさん、俺の後ろに」
「助かりますメェ……」
 後ろから部屋の様子を観察するムー・シュルフ。
「…ネオファボスの組織は幻想を狙っているんですメェ…。
 …本当は例え敵といえど怪我させたりするのは吐きそうになるくらい嫌いですメェ…。
 …でも、もっと沢山の人を救うためだと思って我慢しますメェ…」
 強い意志を露わに、部屋の奥に続く更に重要な部屋を探し当てた。
「…さて、今回のみは、悪だくみはなしである。純粋な破壊力として、顕現させてもらうとしよう。
 ――そうだろう?我が契約者よ」
 シグ・ローデッドは魔剣状態になって飛び上がると、レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタインと共に部屋へと突入した。
「悪の組織ねぇ…俺らの幻想で好き勝手やるとは良い度胸だなァ。木っ端微塵に捻り潰してやろうぜ」
 レイチェルの豪快な魔術『禁術・憤怒ノ焔』が炸裂し、部屋の中で作業していた戦闘員が血の槍によって機械ごと串刺しにされていく。
 更には飛び込んでいたシグの異想狂論『偽・烈陽剣』によって機械ごと切り裂かれ、激しく爆発した。
 爆風を切り払い、人状態に戻るシグ。
「この部屋は破壊完了、のようですね」
 レリアは爆発によってめちゃくちゃになった部屋を丁寧に探り、何も無いことを確認すると仲間と共に部屋を出た。
 が、それを邪魔する戦闘員たち。
 袋小路においこんだと考えているようだが……。
「甘いですね」
 レリアは霜妖精の力を宿したフロスト・ティアーズを振り込み、部屋をたちまち氷結。
 飛び込んできた戦闘員たちが凍り付き、次々と倒れていった。
「みなさーん! 帰るまでが遠足っす! どうかご無事にっす!」
 200ミリペットボトルに特製(というか角粉入り)ドリンクを詰めてぽいぽいとパスしていくジル・チタニイット。
「飲み物もいいっすけど、こう沢山働いてるとお腹がすくっす。ええっと……」
 馬車に戻って中を覗き込むと、道子 幽魅が膝を抱えてぷるぷるしていた。
「…………」
「あ、あの……」
 リュックサックから包みを取り出す幽魅。
 一個、二個、三個、まだあった。
「え、遠足…と…聞いて…いたので……お弁当……持ってきて…しまいました…」
 卵焼き、唐揚げ、ミートボール、エビフライ、ほうれん草にトマト……。
「い、いっぱい……作ったので」
「いただくっす!」
 チーム名は、【基地遠足】。本当に遠足みたいな気分で、彼らは秘密結社のアジトを破壊して回っていた。

 通路を暫く進んでいくとなんだか禍々しい装置が沢山並ぶ格納庫が発見できた。
 それぞれ奇妙な作戦名と共に明記されているが……。
「まったく、この世界でもこういう『悪の組織』と対峙することになるとはね…。
 しかも私が前線に出るなんて、元いたところじゃありえないことだわ」
 ミシャ・コレシピ・ミライは特殊工具をどこからともなく呼び出しては装置の重要な箇所を的確に破壊。再利用不能に陥らせていった。
「そうだわね…まったく驚いたのよさ、しかも元の世界で暴れてたのよりコテコテな悪の組織」
 一方のリルカ・レイペカ・トワはと言えば、機械刀を使って配電盤のようなものを只管破壊していた。
 刀を握る手をぴたりと止め、振り返るリルカ。
「ん? また邪魔が入ったみたいだねぃ」
 壁から突如現われ、襲いかかってくる戦闘員たち。
 リルカは機械刀に炎を纏わせ、群がる戦闘員を切り払った。
 そこへ。
「加勢するにゃ! チーム【ネコ猫P執事】再結成にゃー!」
「【虎猫P執事】な」
 早すぎる改名。もとい早くもおなじみになりつつある三人組が、ニャーを筆頭に戦闘員たちへと襲いかかっていく。
「ふにー……せっかくのチーム名のネコが虎に……この不満はネオフォボスの施設と戦闘員にぶつけるにゃ! そして帰ったら隣のお爺様にネコに戻す方法を相談にゃ!」
 複数あるしっぽをふわふわ動かし、大量の空想宝石弾を発射していくニャー。
 アンファング=ティガークロスは機関銃を乱射しながら突撃し、その機関銃でもって戦闘員を殴り倒した。
「隣のお爺様って誰だ?このキャラが濃い二人と交友関係があるって何者なんだ……?」
「しっかしこいつらどうやって壁から出てきたんだ? なんかあるな……パーさん、わかるか」
「くっくっくっ……隠されている戦闘員製造施設や組織運営に必要な機材や設備の破壊……そして謎の出撃装置。
 ならばお隣のお爺様がコツを伝授してくれた我が【眼】の力を使うときだな」
 パーフェクト・サーヴァントはかけた眼鏡をキラリと光らせると、温度視覚や透視能力によって壁の向こう側を探り始めた。
「む……そこだ!」
 マジックカードを壁に貼り付け、素早く飛び退く執事。
 カードの爆発によって破壊された壁の向こうから、奇妙な操作盤が現われた。
「ここから先に進めるニャ?」
「そのようだが……簡単には行けなさそうだぞ」
 部屋の入り口側からレーザーガンで武装した戦闘員たちが突入してくる。
 対して、魔銃フォトン・イレイサーを構えて反転するエンヴィ=グレノール。
 突入してくる戦闘員を片っ端から的確なヘッドショットで倒すと、仲間たちに『先へどうぞ』とジェスチャーした。
「戦闘員……それにしても不思議ね。みんな同じ人間みたいに動作して」
「エンヴィさん、あれなんでどうでしょう」
 クラリーチェ・カヴァッツァが天井に並ぶ空調設備らしきものを指さした。
 なるほど、と頷き狙いをつけるエンヴィ。
 クラリーチェは『黒の囀り』を用いて呪いを仕掛け、天井の機材を次々に破壊して道を塞いでいった。
 戦闘員たち道を阻まれ、障害物の除去に時間をtられている。
「今のうちに安全を確保しておきましょう」
「賛成。何が起こるか分からないものね」

「人も機械も片っ端から叩き壊してけばいーの?
 わかりやすくていーね!
 大暴れしちゃお、美咲さん!」
 無数の狐火を出現させ、部屋のあちこちにあるパソコンめいたものへと飛ばしていくヒィロ=エヒト。
 火花が散り、小爆発を起こし、はじけ飛んでいく小さなパーツ類。
「ヒィロってば、許可があってもやり過ぎはダメよ。
 頑丈でも地下施設だからね
 ……より重要そうなのを見つけて壊すと、高得点よ」
 例えば……と(ヒィロによって半壊した)部屋の中を観察していると、階段を駆け上がってくる無数の足音を聞きつけた。
 並び、一斉にレーザーガンを構える戦闘員たち。
「戦闘員とか多……いやマジで多い!? なにこれ」
 振り向くと同時に眼力発動。文字通りのサーチアンドデストロイで戦闘員を爆発四散させた。
 すると、戦闘員たちの先に謎の青白い光。
 近づいてみると、巨大な動力炉のようなものが設置されていた。
「高得点っぽいわね……」
 しかし。いや、だからかもしれない。戦闘員たちが続々と駆けつけ、ヒィロたちを取り囲む。
「テステス、あー……あくのそしきの面々につげるー。
 あなたたちはー完全にー、包囲されているー?」
 が、そんな戦闘員たちを後ろから襲撃する謎の集団が現われた。
「無駄な抵抗はやめてー、速やかにー、投降しやがれ…です」
 いや、謎では無い。マリス・テラが先陣を切ったチーム【蒼翼】の面々であった。
「鈴音、いっぱいがんばりますねっ」
 合流して回復支援にあたる小鳥遊・鈴音。
「いたいのいたいのとんでいけー、ですにゃ!」
「前衛のルナールとテラは突出しすぎないよーに!」
 暴虐の紅玉と痺棘の翠玉を使い分けて戦闘員を蹴散らしていくルーキス・グリムゲルデ。
 ルナール・グルナディエがそんな中へと突入し、海のように透き通った刀『幻刃・蒼碧』によるフェアウェルレターで戦闘員たちを切り捨てていく。
「ところで、ルナール先生も秘密基地みたいな場所って好き?」
「うーん、子供のころは秘密基地とか憧れてた事もあったかもな?
 あぁ、一般的に言えば…男児ならそういうのは大体好きだとは思うぞ?」
 そんな風に雑談を交わしながら、美咲たちと共に動力炉の破壊を開始した。

 浅い階層部分のエネルギーをまかなっていた動力炉が破壊されたことで、アジトの一部が非常電源へと切り替わった。
 薄暗い通路を、機材の破壊や戦闘員の排除をしながら進むチーム【渡鴉達】。
 ツインファミリアーによる五感拡張捜索を行なうNo.9と、それを護衛するメリエッタ。
 めぼしい機材を見つけたら破壊する役目のロゼッタと、邪魔する戦闘員の排除を役割とするティーナ=レイフィードによるチームワークである。
 彼らが順調に破壊と制圧を続けていると……。
「い、いけないことをしている人がいるのですね…止めなければいけません!」
「そうだな。だが無理はしすぎず、ゆっくり地道に少しずつ破壊をしていくとしよう」
「はい、若輩者ですが…出来ることから頑張ります」
 やや狭い部屋にて戦闘員と戦うゲオルグ=レオンハートたちを発見した。
 ゲオルグは竜の呪いを発動させ、幻の毒で周囲の戦闘員たちを一息に薙ぎ払っていく。
 彼の回復支援を担当していた日輪 寿が、戦闘員の射撃によって傷ついたゲオリグに治癒の祈りを捧げ傷口を塞いでいった。
「寿が支えてくれるから無理なく戦うことができる。感謝しているぞ。だが寿も無理はしないようにな」
「はい!」
 彼らは駆けつけたメリエッタたちと合流すると、さらなる破壊任務へととりかかった。

 いくつもの重要そうな設備を見つけ、破壊していくイレギュラーズたち。
 そんな中で、鷲生 文はついに戦闘員製造に関わっていそうな設備を発見した。
「ろーん言うたよね? あのいっぱいでてくるあの人ら。
 あれ、うちも使いたいって思うんよね。うちも色々と商売に顔突っ込んどるけど、まー時々あかん事があるんよね。
 今まではちょいと無茶してなんとかなってきたけど、いつか破綻してしまうやん、そんなん。そういう時に使いたいんよね」
 そんな風に言いながら、薄緑色の筒に詰まった戦闘員(なぜかマスクとスーツを装着したまま浸かっている)たちを眺めていた。
 が、勿論ただ観察させているだけの戦闘員たちではない。すぐさま駆けつけてくる。
 そこで活躍するのが護衛担当の金鯱 統である。
「戦闘員のみなさーん! こっちですよー!」
 統はわざと大声を出して戦闘員をおびき寄せ、駆けつけた戦闘員たちに対して春花導歌を聞かせることでさらなる引きつけを試みた。
(少しでも長く場を維持せねば……)
 と、そこへ現われる二人の影。
 割り込みと同時に抜刀。刀に纏った妖力の大刀身によって戦闘員を切断する枢木 華鈴。
「戦闘員の製造施設か。うむ、これがあるといつまでも敵が湧いて出てくるらしいからのぅ」
 天井の穴から飛び降り、杖で戦闘員を殴り倒す桜坂 結乃。
 敵を引きつけていた統に辻ヒールをかけると、ぱっと肩に掛かった髪を払った。
「おねーちゃん。この機材こわしてもいいの?」
「わらわ達に扱えない機械である以上、壊してしまうのが一番なのじゃ」
「物を壊すの、もったいない気もするけど仕方ないね」
「え、壊すんですか?」
「殺生な」
 文のいる部屋に突入し、機材をしこたま破壊しはじめる華鈴たち。
 文は使えそうな(?)ものや運べそうなだけ回収し、馬車につんで撤収を始めた。
 そんな現場にふらっと迷い込んだ蘭 彩華。
「すごい広さね……壊しがいあるわーっ!」
 片っ端から目に付く機材を破壊していった彩華だが、ふとクローン製造カプセル(?)に目をとめた。
 秘密結社ネオフォボスを示すエンブレム(NFとあるアレ)がはがれ落ち、なんだか見たこと無いエンブレムが内側から現われた。
「何かしらこれ? 骸骨みたいな……?」
 見たことがあるような無いような、微妙なエンブレムである。
「ま、なんでもいいわ。とにかく破壊っと!」
 剣を振りかざし、彩華はエンブレムをたたき割った。

 破壊のついでに使えそうな機材をパクっていく者が現われる一方で、積極的に火事場泥棒を計画した者たちがいた。者たちっていうか、怪盗ノワ・リェーヴルと自称こそどろエマというある意味おなじみのコンビである。
「ひひひ、今日はどさくさに紛れて大事なものを盗んじゃいましょう」
 戦闘員のマスクをすぼっと脱いで顔をぱたぱたやるエマ。
 通気ダクトをするすると通ってきたノワが飛び降り、エマの隣にやってきた。
「重要な倉庫か。おー、ぷん、せさ、み――と」
 四テンポ二秒の早業で鍵を開くと、二人は倉庫の中へ……と、そこには!
「――!?」
 小松菜もぐもぐしていたオカカが!
「はっ! 美味しそうな小松菜が沢山あったからついー!」
「「…………」」
 無言で同時に振り向くと、『ネオフォボス印の小松菜』という段ボールがめっちゃ積み上げられていた。
 しかも『私が作りました』といってナンイドナイトメアのどや顔(?)がプリントされている。
 産地としてここの住所も書かれていた。もしかしてこの人たち真面目な会社なんじゃないかと一瞬思いかけるノワとエマである。
 と、そこへ麦わら帽子とクワを持った戦闘員たちが。
「貴様! 我らが地下菜園で作った小松菜を盗む気だな!?」
「ゆるさんぞ! 我が組織の重要な収入源なのだ!」
「思ってたのと違いましたけど……」
「まあまあ、もうちょっと探ってみようエマ君。おもしろくなってきた」
「戦闘員だねー。やっつけるよー!」
 始まるバトル!
 開く扉!
 チーム名【友達欲しい】総勢一名、庚!
「…………くっ」
 庚は別に一人でチーム組んでもいいではありませんかとちょっと寂しそうな目をして座り込んだ。
「べ、別に誘い合える仲間がいないわけでも皆で集まろうという声に手を挙げる勇気が無いわけでもありません遊撃がしたかっただけです本当です」
「ありますよねそういうこと」
「わかるわかる」
 と、そこへ!
「案ずるな! 仲間をかき集めてきたぞ!」
 棒人間。もとい歳寒松柏 マスターデコイが腕組み姿勢でしゅばーって現われた。
 彼に伴って突入してくるノーティガル、ミーシャ・キュイ、天裂、仙狸厄狩 汰磨羈、羽瀬川 瑠璃、ウルマ・ゼーレ、セイ、ノエル。
 チーム【友達欲しい】総勢10名である!
「皆さん!」
「すごい、本当にかき集めてきた」
「しれっとハイエンドクラスの実力者が混ざってませんか」
「皆さん、この農家だか戦闘員だか分からない人たちを退けるのです!」
「「おー!」」
 退けた。それも秒殺であった。

 さて、ここで閑話休題。
 比良坂・屍は壊れた大型PCユニットの上に腰掛けた。
「秘密結社ネオフォボス……こうして基地の中にいるだけで、身震いしてしまいます。幻想の恒久的な平和のために、一刻も早く、彼らの脅威を取り除かなければなりません。
 しかも逃げ出した輩が別結社とよりそって新たな結社を作るのがおきまりのパターンです。面倒なので、叩き潰しましょう。一人残らず」
「……」
 その一方で、ナハトラーベが見つけた死体にエンバーミングを施していた。
 『自身の仇が倒れる瞬間は、綺麗な身体で見る方が良いだろうから』という彼女なりの優しさの表われだが、見るべき所は沢山あった。
 たとえばこの施設……。
『少し不謹慎だけどこういう敵のアジトってすごくワクワクするね!
 未知のテクノロジーで作られたよくわからない機械……ロマンがあるね!』
 ガスマスクをシュコーシュコーしながらスケッチブックで語る円 ヒカゲ。
 周囲に並ぶ筒状の睡眠チャンバーめいた機材を観察してみると、今し方ナハトラーベが施術している死体とまったく同じ顔の死体らしきものが無数に並んでいるのが分かる。
 試しにチャンバーを開いてみると死体はアイスクリームのようにどろどろと解けてしまった。
『クローン戦闘員っていうか……うーん、コピー?』
「成分は防腐剤とタンパク質。それに……何かしら、砕いた鉱物のようなものが沢山検出されたわ」
 検査キットを振ったリディア=フォン=ユーベルヴェークが熔けた死体(?)の成分を調べてくれていた。
「どうやら私の出番のようですねえへへへへ」
 物部・ねねこが鑑識セットを両手に握り、まだエンバーミングされていない死体を丁寧に解剖し始めた。
「どうやら死因は薬物による脳死みたいですねえ。ガスを無理矢理吸入させられた痕跡がありますし……その割に他の臓器が傷ついてません。ここからは予想なんですが、クローン戦闘員って『人為的に作り出された死人のコピー』なんじゃありませんか?」
「その予想、当たっているやもしれんぞ。ぐふふふふ」
 秘書に設置させたゴールドな椅子に腰掛け、札束(この世界では無価値)で作った扇子でぱたぱた自分の顔をあおぐ諏訪田 大二。
「近隣では拉致被害がごく少数だが報告されておった。
 ネオフォボスの戦闘員が大量に確認されるようになったのはそれから数ヶ月後。戦闘員だ怪人だ『あくのそしき』だとポップなラベリングをしておるが……」
 そして大二は知っていた。住所をオープンにする事務所は大抵ダミーであるということ。しかもガサ入れに対してほんのちょっとそれらしい成果を出させて満足させるのが真のダミーだということを。
「この組織、一筋縄ではないぞ?」
「おい、そろそろここも危ないぞ」
 戦闘員に扮して状況を観察していた七五三掛・纒が部屋へと入ってきた。
 覆面を外し、熱そうに顔をあおぐ。
「必要な資料があるなら確保しておけ。火を放って脱出する」
 調査を行なっていたイレギュラーズたちは纒の指示通り必要そうな資料を確保し、部屋に火をつけて脱出をはかった。

 ネオフォボスのアジトへ突入したイレギュラーズたちは一般施設ばかりの浅階層を抜け、重要そうな設備の多い中階層へと到達しつつあった。
 しかし中階層はまるでありの巣のように入り組み、適当に歩いているだけでは迷ってしまう場面が多い。
 そのため、探索能力をもった仲間の存在が重要となっていた。
「ネオフォボス…このままでは、いけません、よね。
 わ、私にもお手伝い、させて下さい…!」
 メイメイ・ルーはファミリアーによってネズミを走らせ、基地の探索を進めていた。
「あれは……下に続く階段です!」
「ありがとう。ここは任せて貰えるかな」
 黎明院・ゼフィラが階段へ続く隠し通路のギミックを解き明かし、道を開いていく。
「やれやれ、また随分と大掛かりな……色々と興味を惹かれる施設もあるし、可能なら時間をかけてゆっくりと調べたい所なのだがね。
 仕事を受けた以上は全力を尽くすさ。ああ、壊すのは些か勿体ない気もするが……」
「ならば、即刻出て行って貰おうか」
 突入した部屋に待っていたのは武装した戦闘員たち。
 数十人という戦闘員が手足に鋼のブーツとグローブを装着し、カンフーの構えをとる。
「出て行かぬというなら、排除するのみ」
「ま、そう来て貰ったほうがこっちも楽だよネ」
 岩倉・鈴音は軍師能力を発揮して味方を強化すると、仲間たちの後ろに下がって指示を出し始めた。
「ただのネタ集団と思いきや……ハードに熱い展開のようだネ。けど……!」
 入れ替わりに飛び出したニャンジェリカ・ステュアートが襲いかかってきた戦闘員を殴り倒す。
「にしても、これだけのクローン兵を生み出すのはとんでも無い技術ニャ。
 破壊しちゃうのは勿体ないから、クローン兵の製造装置を探してその秘密を持ち帰りたい所ニャ」
「あたしこういう人たち見るの初めてかな。これ、戦闘員とかバシバシ倒しちゃっていいんだよね?」
 宙返りをかけて戦闘員たちへ飛び込むスピネル。
 四方八方からの蹴りや突きを素早い身のこなしで防御しきると、手刀を戦闘員へと突き込んだ。
「今回は折角だし、おじいちゃんに内緒でアレも試しちゃおっと!」
「ぐ!?」
 胸を押さえ、血を吐いて倒れる戦闘員
「あれは……点穴!」
 謎のジジイが突如現われて急に解説を始めた。
「もはやそんな技まで会得しておったとは」
「誰ニャこのひと」
「んなことより、これが終わったら一緒に酒場でポーカーでもどうだい? 嬢ちゃん達」
 ふらりと戦いに混じったライディス・クリムゼンが戦闘員の顔面を殴りつけ、ラッシュからの後ろ回し蹴りでダウンさせる。
「なんのこっちゃかよくわからねえがこれを機にかわい子チャンと縁を結びてぇもんだなっと」
「もうっ! 真面目にやってくだい!」
「へいへい」
 後ろから鋭い跳び蹴りによって乱入してきたアリシア・ステラ・ロゼッタ。
「いいですか。『誠心誠意をもって話せば必ず伝わる』のです。悪い事する人達を懲らしめに、改心させましょー!」
 とか言いながら蹴り倒した戦闘員にマウントをとって顔面をぼっこぼこにしていいくアリシア。
「んー、少なくともアンタに逆らうのはやめるわ」
「へぇ、ここが夏の変な奴らの本拠地か……結構デカいんだな」
 一足遅れて部屋へ入ってきたクリストファー・J・バートランド。
「ここにある機械を全部壊せばいいんだな。了解だぜ!
 最深部の手伝いは出来そうにないが、その分ここで頑張るとするか!」
 SADボマーを投げつけて戦闘員を吹き飛ばすと、すぐ後ろにあった機材めがけてブーストダッシュ。
 屈強なパワーでもって戦闘員の顔面を掴み、機材に叩き付けてもろとも破壊した。
「それにしても悪の秘密結社のアジトに突入ね。なんだかワクワクするわね〜」
 軽く屈伸運動をしたフィリア・クインラン。凄まじい跳躍によって戦闘員の頭を踏みつけると、さらなるジャンプで後方にある機材を蹴りによって破壊。
 反転ジャンプで慌てて振り返った戦闘員を蹴り倒す。
「うおー! クローン戦闘いーーーーーーーん!」
 倒れた戦闘員を抱き起こし、過ぎ去った思い出を回想しはじめる田中・E・デスレイン。
「フフ、こうして戦闘員とも友達になれば称号ワンチャン……なーんてね我知ってるでゴザル世の中そんなに甘くな――ンン!?」
 何か超次元的なものを知覚してあさっての方向を二度見する田中。仏のおっぱい二つまで。三度目はないぞ。
 と、最後の戦闘員が倒された所でミスティル ハーティとアンジェラがやってきた。
 アンジェラはここまでの印をつけたり道順を記録したりして探索を手伝い、ミスティルは現われる戦闘員を片っ端から蹴り飛ばしながら探索を進めていたようだ。
「この通路はアタリみたいね。怪人たちが防衛してるエリアまで行ければ私たちの役目は完了かしら」
「そうですね……」
「どうやら、突破するにはもう一苦労いりそうだけどね」
 腕をギプスでつったシャルロッテ=チェシャが車いすを走らせてやってきた。
 感覚を研ぎ澄まし、脳を最大限にはたらかせて次の道筋を探る。
 そうしたシャルロッテが見つけ出した通路が、この先に続く大トンネルであった。

 両開きのゲートを開くと、赤いライトが点々とついた大型トンネルが出現した。
 そこには馬車をせき止めるためのスパイクバリケードや土嚢を並べた戦闘員たちが待ち構え、それぞれ剣を抜いて走り出す。
「まさか、このUV殺しにアジトの住所が書かれているとは。
 盲点と言うかそこは普通ダミーを用意する所なのでは?
 まあ良いです。速やかに壊滅させて依頼を達成しましょう」
 ナインは自らを加速させると、襲いかかる戦闘員をジグザグに駆け抜けていった。
 二丁のエネルギーソードで切り払い、ターンして射撃。
 戦闘員たちの陣形が乱れたところでリーリア・フィルデマージュが飛びかかり、大包丁で切り払った。
「ネオフォボスの怪人たちが行っていた幻想支配計画にはホント嫌気がさしていたんだよねぇ。
 食材が買い占められていたり、農園が荒らされていたり、見た目と味がランダムに入れ替えられていたり、料理人としては許せない事もやっていたからね……。
 ここでしっかりと潰して、幻想の食の安定を守るよ!!」
 コーヒーにいれた砂糖が塩だった時の悲しみをくらえ! と言いながらさらなる斬撃。
 そこへ暗いところで飲んだコーラがめんつゆだったときの衝撃をくらえ! と言いながら遠野・マヤが切り込んだ。
「グワー!」
 次々と崩れ、泥のように溶けて消えていく戦闘員たち。
 ちゃきっと刀を返すと、それまで小さくうしろで演奏されていた戦隊系BGMの音量があがった。
「ついこの間まで一般人だった私がこんな決戦に参加する事になるなんてね。
 何より、怪人との戦いなんてヒーローものみたいで燃えるじゃない…ッ!」
 土嚢を飛び越え更に追加された戦闘員たちへ、マヤは突撃していった。
「悪しき組織……見過ごせません。私の正義にかけて必ずや撃滅してみせましょう……! 滅びろネオフォボス――!!」
 壁抜けをして突如現われたカンナが参戦。
 戦闘員を切りつけると、返す刀で別の戦闘員を剣で貫いた。
「どうやら数がいるようだね。手を貸すよ」
 魔法剣を抜いて駆け寄ってくるドロシー・エメラルド。
 グリーンの光を剣から解き放って戦闘員たちを射撃すると、そのまま詰め寄って豪快な横一文字斬りを繰り出した。
 エメラルドの光がまっすぐに走り、戦闘員たちをまとめて切り払っていく。
「さあ、ここは任せて先へどうぞ?」
 あとから来た仲間たちにほほえみかけると、ドロシーたちは更に増加する戦闘員たちへと挑みかかっていく。

 紅茶を注ぐティーカップ。ラァト フランセーズ デュテはカップに口をつけ、香る茶葉と染み渡る味わいに息をついた。
「ネオなんとか……この日焼け止めの製造元が……そっか、助かってたのになぁ。
 トンチキ集団に見えても悪の組織。個人的な恨みはないが、紅茶を飲める世界の為にお仕事させて貰うよ」
 通路に仕掛けられていたブービートラップを冷静に解除していくラァト。
 佐伯 昴は彼女の切り開いた道を進み、嗅覚や聴覚を駆使して索敵や通路選定を行なっていた。
「いわゆる『戦隊モノ』だね。悪の組織は正義の味方に倒されるのが一番。
 さぁ、幻想の子供達が悲しまないように頑張ろう!」
 独特の振動や音をかぎづけた昴は、通路の先にあった大きな扉を開放した。
 現われたのは更に下層へと続く階段。
 しかし下層からは武装した戦闘員たちが次々と駆け上がってきていた。
「防衛の堅さがアタリっぽいよね。さあ皆、行くよ!」
 階段の下へ向けて機関銃を乱射し始める昴。
 ミニュイ・ラ・シュエットは援護射撃に紛れるように飛び上がると、近接攻撃の届かないような高高度から羽根による射撃を開始した。
 絨毯爆撃のように打ち込まれる大量の羽根が戦闘員たちを打ち抜き、階段の下へと転がしていく。
「遂にネオフォボスと雌雄を決する時。
 …………。
 …………て、結局どういう組織なのかとか、よく知らないんだよね。
 まあいいか。
 私は雰囲気で悪の秘密結社討伐をやっている」
「要するに、迷惑な奴らをお掃除すればいいのね!」
 モップを振り上げて突撃していくネリ。
 増援に現われた戦闘員めがけてモップを構えると、集めたエネルギーで光の剣へと変えた。
「お掃除!」
 ぱこーんと殴りつけた戦闘員が吹き飛んでいき、返す刀ならぬモップでまた別の戦闘員を殴りつける。
 古木・文は眼鏡の位置を中指で直すと、短銃で戦闘員を射撃しながら回復支援をまいていった。
「小悪党というか、可愛い悪事をする組織だと思っていたんだけど、案外本格的だったんだねぇ。
 うーん、お金がかかっていそうな精密機械を壊せば直すのに時間がかかるかな?」
「みんなー、おもちゃだよー!」
 連れてきた動物たちと一緒に下層へと到着したリトル・リリー。
 あちこちにあった精密機械に動物たちをけしかけ、わんこたちの力を使って精密機械をめしゃめしゃしていく。
 さらには異次元から巨大な蛇やら鳥やらガゼルやらを呼び出して破壊を加速させていく。
「これは……カードデッキか?」
 破壊した色々の中に、森園 ミドリは数十枚組のトレーディングカードを発見した。
 そのうちの一枚を手に取り、目を閉じる。
「このカード……『泣いて』いますね。よほど乱暴に使われたんでしょう」
 ミドリは物体の、とりわけゲームカードの気持ちがよく分かった。
 駆けつけてきた戦闘員たちにカードを抜き、炎の精霊を呼び出すミドリ。
 燃え上がった戦闘員めがけ、アルペストゥスがアルペストゥスが突撃していく。
「グオオオオオッ!!!」
 咆哮をあげ、ルーン・Hの爆撃をしかけるアルペストゥス。
 その過程で周囲の機材を破壊しながら通り抜け、翼を広げてターンする。
 アルペストゥスは高高度を維持したまま魔術砲撃を連射。
 ビームガンで反撃しようとする戦闘員たちを打ち払っていく。
 いつの間にか背に乗っていたリリーが『今だよ!』と指をさした。
 後を追って飛行していたライム マスカットが飛行状態を解いて急速落下。
「どっかーん!」
 自らの肉体の一部を発射し、戦闘員たちを打ち抜いていく。
「戦闘員さん達で遊びましょうか、えへへ…ボールになりたいですか?
 それとも私の朝ごはんがいいですか?
 大丈夫ですよ、好きに暴れて壊せって言うのが命令ですし!」

 一方。
 別働隊は馬車を積み込めるほどの大型エレベーターに乗ってアジト中層階を目指していた。
 ネオフォボスの怪人たちしか知らない秘密のエレベーターを見つけたのは、梯・芒である。
「怪人は所詮は人の延長だから殺った感じは只の人と変わらなかったんだよね。
 だから今回はクローン戦闘員を狙ってみようかなって。
 クローンって言っても溶けて消えるんなら殺した感じが人じゃない可能性の方が高いかな?
 最近は殺人は足りてるし、試して見るのも一興なんだよ」
 なんだかワクワクした様子の芒。
 エレベーターの表示が変わり、大きな扉が開いていく。
 たどり着いたのは広大な芝生のエリア。
 メイ=ルゥはいち早くたかたか走って芝生の中へと入っていった。
 野球場が四つは入るであろう広さに、ところどころ柱のようなものが立っている。
「ククク、ようこそローレット諸君。ここまで来たことを褒めベブラッ!?」
「先手必勝なのですよっ!」
 とんでもない速さで飛びだしとんでもない勢いでドロップキックを繰り出すメイ。
 ゆったりと拍手をしながら小型ゴンドラによって天井から現われたよく知らない人はそのまま吹っ飛んでいった。
「しかしこの地下訓練場に誘い込まれたのが運のヒゲブっ!?」
 地面からせり上がるような装置で現われたまた別の知らない人をアニエル=トレボール=ザインノーンが高機動車いすで轢いていった。
「知っているかい。ローレットには車椅子で轢くイレギュラーズが三人いる。その一人目が私だ」
 あちこちに設置された柱がぱかぱか開き、中からビームガンや剣を装備した戦闘員たちが次々と現われる……が、喋るべき人が両方いきなりやられたせいで困惑したようにきょろきょろしていた。
「結社というものの一番の武器は組織力であるとの認識を得ている。
 例えここで首領を倒したとて、組織自体を潰さねば再起する可能性は大いにあると思われる。
 ……ゆえに、徹底的に潰しておくべきである」
 アニエルの喋りをだれも求められない。仲間たちの進撃もしかりである。
 サイズは早速飛び出し、呪血鎖と魔力撃を駆使して戦闘員の出撃装置を片っ端から破壊していく。
「とりあえず破壊すればいいんだろう。自爆ボタンがあればすぐに押すんだけどな」
 そこへ猛烈な勢いで突っ込んでいく日車・迅。
 上半身を全くぶれさせずに足の力だけで高速移動を仕掛けると、きわめてまっすぐな貫手で戦闘員の胸を打ち抜いていく。
「秘密結社ネオフォボス……なるほど!
 新人ですのでしっかり分かっているか自信がありませんが……。
 先達さんの皆さんがやる気になっているという事は危険な組織なのでしょう!
 ならばこの日車・迅。未熟ではありますが精一杯お手伝い致します!」
「いちおう私も秘密結社員。
 我が焔を以て悪党としての格を思い知らせてやるのです!」
 精霊ジェット推進によってさらに高い機動力を発揮したクーア・ミューゼルが、柱から出撃しようとした戦闘員たちを柱もろとも爆破していく。
「な、なんだこいつらは……まだ名乗ってすらいないのに!」
「名乗る価値のないモブキャラだったと諦めるのです」
 いつのまにか背後に回り込み、頭から酒を振りかけるクーア。
 すったマッチを放り投げ、また精霊ジェットですっ飛んでいった。
「う、うわあ……すごい所にきちゃったわね」
 戦闘員たちを燃え上がるバールで次々に殴り倒していた六車・焔珠が、びゅんびゅん飛び回る仲間たちに驚いていた。
「刀があればもっと戦えたけど……ま、ここは『コレ』に専念しておくわ」
 手のひらに呼び出した仮装鬼火を燃え上がらせ、せーので遠投する焔珠。
 鬼火は柱にぶつかって燃え上がり、木でも切り倒す勢いで破壊していった。

 一方。これらの出撃装置を操作していた部屋にはヨゾラ・エアツェール・ヴァッペンたちが到達していた。
(壊すのが惜しい位に役立つ代物もあるんだろうけど……。
 魔種による暗躍・再利用を防ぐ為、破壊させてもらうよ!)
「ハッ、貴様いつのまに!」
 振り返る戦闘員を殴り倒しつつ、ヨゾラは操作盤を破壊。
 そうこうしていると、ふと視界に別の機械がうつった。
 何でこんな所に置いてあったのかは分からないが、機械には『ねこいじめ機』と書いてある。
 作戦名は幻想ネコロス作戦。にゃんこの癒やしを喪った幻想民が絶望に沈みそこを叩くという作戦である。
「…………」
 ヨゾラは無言のまま槍を構えると、機械めがけて全力でぶん投げた。
 爆発する操作室。
 観察用の窓から飛び出してきた実験体37号はそこそこ使えそうなアイテムを担いで離脱し、芝生へと着地した。
「貴様……それは次の作戦に使う筈だった機材! かせせ!」
 それに気づいた戦闘員が飛びかかってくるが、実験体37号は無言のまましゅばっと巨大な手を振って戦闘員を殴り飛ばしていく。
(……実験施設。前の世界、思い出す。
 悪い人達だっていうのも、同じ。
 だから絶対に許さない)
 機材を抱えてたかたか走って逃げていく実験体37号。
 それを守るように、華蓮・ナーサリー・瑞稀が戦闘員たちに立ちはだかった。
「大丈夫だわよ皆、回復も防御も支援も備えはあるから安心して戦って欲しいのだわ」
 華蓮は周りの味方に強化空間を展開すると、天使の歌による回復支援を開始した。
 そんな彼女の周りに展開する氷瀬・S・颯太と閠。
「久々に迷宮……じゃねえわ、秘密基地探索と行こうか!」
 襲いかかる戦闘員めがけて突撃し、激しいブロッキングバッシュで突き飛ばす。
 彼を取り囲みレーザーガンによる集中砲火を仕掛けてくるが、華蓮の回復力と颯太の防御力によってことごとく跳ね返していく。
「守りが堅くて、敵が多く出入りする場所は、重要な施設でしょうから、敵の動きを観察して、効率よく、です。
 無限に湧き出る敵と、消耗戦なんて、下策も下策、ですから」
 そこへふらりと現われ、ロベリアの花を解き放つ閠。
 素早く離脱した華蓮たちと入れ替わりに打ち込まれた砲撃で戦闘員たちが吹き飛んでいく。
 閠はかわいいぬいぐるみをなでこなでこした。
「それにしても……地下秘密基地、というのは、心踊ります、よね?」

 イレギュラーズたちの砲撃や斬撃によって次々と爆発を起こす芝生のフロア。
 仲間たちの見つけた操作パネルによって開いた道を進んでいくと、彼らはまた再び広大なエリアを発見した。
「ヒャッハー! 待っていたぜローレットぉ!」
「オイラたちをさんざん爆発四散した恨み」
「今こそ晴らしてやるゼェ!?」
「まずはこいつを食らうが良い!」
 崖。
 砂。
 切り立った高い岩の上からポージングをつけて呼びかけてくる四人の怪人たち。
 この採石場みたいな場所に、驚くほど大量の戦闘員となんかよく分からないけど巨大で多分すごそうな機械が現われた。
「ふむ、あれを破壊すれば良いのかのう……?」
 箒を身体の一部のごとく自在に扱ってすいすいと飛行するクラウジア=ジュエリア=ペトロヴァー。
 空中から機械に向けて魔術爆撃を仕掛けるが、それを阻止しようと戦闘員たちがジェット噴射で飛び上がってきた。
「おっと!」
 バレルロールをかけて回避するクラウジア。
 と、そこへ鋭く飛翔してきたフレイ・イング・ラーセンの剣が打ち込まれ、戦闘員が爆発四散。
「こいつら……生き物、とは違うんだな。どうやって作っているんだろうな……と、あんまりジロジロ見ても気持ち悪いな。こいつらを破壊して敵を減らせば良いんだろ。ま、やるか」
 フレイは空中でクイックターンをかけて垂直降下すると、機械を守ろうと展開した戦闘員たちへと斬りかかる。
 彼の刀と戦闘員の剣がぶつかり合う――その瞬間。
 ヒュンと黒い風が吹き抜けた。
 否、河鳲 響子が音も無く駆け抜けたのだ。
 彼女によって負の力が流し込まれ、戦闘員が崩れ落ちる。
「私の名は河鳲・響子、貴方達を屠る者ですっ!」
 負の力を密からの手刀に纏わせ、注目する戦闘員たちへと構える響子。
 四方八方から襲いかかる戦闘員の攻撃を軽やかに回避し、次々にカウンターを打ち込んでいく。
 そこへ、馬をかり突撃するウィートラント・エマ。
 馬上から美しい銃MTG30-FORESTを連射。
「以前から思っていたでごぜーますが…
 何がとは言わないでありんすが、随分な組織でござりんすね?
 愉快というかなんというか…」
 呼び出したブラックドッグが戦闘員に食らいつき、悲鳴をあげた戦闘員を引きずり回していく。
「んもう、狭苦しいわね。こんなところでコソコソやってるからダメなのよ」
 更にアレクシエルが加わり、ドラゴンブレスによって戦闘員を吹き飛ばしていく。
 吹き飛ばされた戦闘員は機械にぶつかり、機械は激しい火花を上げた。
「一応私の仕事は『守護』なんだけど……まあ守る為にも壊さないといけないなら、吝かじゃないわ」
「であれば、専門家に任せて貰おう」
 デーデンというなんだか壮大なBGMと共に天(?)から日傘をさして降臨してきたラクタ。
「待たせたな。人呼んではたらく邪神、わたしだ。戦闘員たちよ、聞くが良い」
 ラクタのささやきが次元を超越して戦闘員個人の脳へと直接響いていく。
 邪神(惑星規模存在)の声を聞いた者がどのような行動にでるものか。
 戦闘員は泣いて許しを請い、膝を突いて平服の姿勢をとった。
 中には自分の喉にナイフを立てて自害する者、わめきながら銃を明後日の方向に乱射する者もあった。
「わたしに従うといい。
 クローンである汝は等しく短い生だが、生き方を選ぶ自由があってよいと思うのだ。
 賛同するものは、わたしの記憶として永遠となる名誉を授けよう。
 ……と、思ったが。まだわたしの『声』は理解すらできぬか」
「なんだか戦闘員たち楽しそうなのです! 私はぼっ――ソロ活動中なのに!」
 アトゥリ・アーテラルがしゅばーっと飛び出してきてファンブった戦闘員たちを次々に切りつけていく。
「これは! 八つ当たりでは!! ない!!!」
 戦闘員を機械に叩き付け、収束魔力爆発を起こして機械ごと破壊するアトゥリ。
「なんども重ねて申し上げますが八つ当たりではないです!」
「フン、ここは壊しがいのありそうな設備がわんさかあるわい」
 ゲンリーは腕をぐるぐると回すと、壊れかけの機械を斧でがんがん叩いて外装を破壊すると、内側に手を突っ込んで配線を切断し始めた。
「もはやストレス解消じゃのう。さて、派手に壊して壊して、壊しまくるとしようかのう!」
「お、よく見ろ。この機械、下に何か隠してやがる」
 ゲンリーに付き合って機械を探っていたウィリアム・ウォーラムが、大仰な機械に隠れて密かに稼働していた『おうこくかんしそーち』とかいう機械を見つけ出した。
「にしても……ここまで設備を整える資金と資源があるなら、真っ当にやっても暮らしていけるだろうによ。
 どうにも理解しがたい原理で動くもんだな、悪党ってのは」
 どれどれ早速破壊してみるか、と手をかけたその時。
「えっあっなんで気づ――そこまでだローレットよ!」
 空から次々と降ってくる戦闘員たち。
「こうなれば施設に残った全ての戦闘員を投入し、貴様らを地獄へと直送してくれるわ!」
「「イーッ!!」」
 戦闘員!
 総勢20名!
 参陣!
「「…………」」
「……少なくない?」
 『百人組手』的な者を想像して身構えていたゼファーが、ぽつりと呟いた。
 それを見下ろしていた怪人(今のところ正体不明の影)が切なそうにうなだれた。
「だ、だが人数では負けてはおらん! かかれぇ!」
「「イーッ!」」
 飛びかかる戦闘員たちをゼファーは次々と殴り飛ばしていく。
「お困りのようですね!」
 高いところから声。見上げると、イースリー・ノースが華麗に飛び降りてきた。
「人類を改造し人類を襲わせるとは、何てことを。
 魔種もまた人類であると言えど、これ以上の被害の拡大は許されません。
 例え何がしかの理由があったのだとしても、ここで潰えていただきます。
 貴方達がネオフォボス万歳! なら私は人類万歳! です」
 仲間に混じり、戦闘員たちを殴り飛ばしていくノース。
 そこへ、巨大な機械の腕から大量のレーザービームを発射したカイトが、戦闘員たちを次々に打ち抜いていく。
「ああ、景気が良さそうだったなァ、けれどもまぁこれも泡みたいな話さ。
くだらねぇ組織の末路は――人魚姫みたいにぱちりと消えちまうのさ。
 残酷か? いいや摂理さァ」
 振り返り、死角から襲いかかろうとした戦闘員をビームで打ち抜くカイト。
 さらなる敵に狙いをつけよう……とした所で、戦闘員がヘッドショットによって倒れた。
 崖の上からライフルで狙いをつけていた花房・てふによるスナイプである。
「へぇ、秘密結社ねおふぉぼす……って言うのかい?
 最近の会社は名前が難しいンだねえ。何してるかも、よく分かんないし。日焼け止めに小松菜? 環境に優しそうじゃあないか」
 泣きぼくろのある頬を歪ませ、てふは深い歴史を感じさせる笑みを浮かべた。
「さて、この歳になると探しモノは腰にクるんでね。一生懸命探索してくれてる子たちを邪魔させないよう、あたしは敵のお相手でもしてやろうじゃあないのさ」
 援護射撃を続けるてふの横から飛び、残り僅かな戦闘員たちへと襲いかかるホロウ。
「何というか…悪の組織だというの分かるのだが……。
 こう……メンバーに絶妙なポンコツ感が漂うというか…。
 ……は!? まさか、同族嫌悪!? いや、我はポンコツでは――ない!!」
 着地と同時に発動させた『漆黒の渦』に戦闘員たちを巻き込んでいくホロウ。
「弱くてもちょっとくらいはお手伝いしなきゃだよね!」
 そこへゆっくりと歩み寄るカシミア。露出させた腕から生えたストレリチアの花が散り、風に乗って戦闘員たちへと集まっていく。
「よーし、がんばる!!」
 カシミアが念じたと同時に花弁が燃え上がり、戦闘員をその足下にあった機械もろとも破壊していく。
「あああああああああ! 大事な監視装置が! 貴様なんてことしやがる!」
「んだんだ! ハロウィンの仮装大会を盗撮するの楽しみにしてたオイラの気持ちを考えるべ!」
「ええいこうなれば――」
「ミーたちのパワーを思い知らせてやる時!」
「「トウ!!」」
 四人の怪人たちがいい加減謎だったローブを脱ぎ捨て、崖からジャンプした。

●登場! ネオフォボス怪人百連発!
「カメコトド!」
「太陽マッチョ!」
「花火ドッグ!」
「トレードシャーク!」
「「我ら、『サマフェス乱し隊』!!」」
 キレッキレのポーズをとって背後で爆発を起こす怪人たち。
「ククク、オレらのクローンを只管爆破された恨み、ここで晴らしてやるぜェ」
「ミーたちはクローンとはひと味違う強化怪人。戦闘員とは格が違……」
 う? て言いながら、四人はぴたりと固まった。
「これはこれは……あの時ボクらのサマフェスを邪魔してくれたネオフォボスの怪人たちっすね!」
「「こ、この声は!?」」
 一斉に振り返る怪人たちが目にしたのは。
「怪人千二百人殺しのレッド!」
「レッドだ!」
「レッドが来たぞ!」
「助けてくれ!」
「殺さないで!」
 怪人たちは恐怖におびえた。
 誰だってねえ、150回くらいクエスト回されたらこうなるよ。
「あの時のリバイバル上映っす。爆発四散させてあげるっす!」
 ズアーッと赤いオーラを漲らせて突進するレッド。
 猛ダッシュで逃げ出す怪人たち。
 が、忘れてはならない。
 あの日悪夢をもたらした者はそりゃもう沢山いたが、鬼のように爆発させまくった者はまだいたということに。
 そう!
「私だ」
 イリス・フォン・エーテルライトが無数の魔法剣を引き連れて垂直降下。スーパー魔法少女着地をキメた。
 彼女を囲むように突き刺さる魔法の剣。
 追って飛来してきた魔法少女剣『アルマスター』と魔法少女バスターが突き刺さり、イリスはゆっくりと立ち上がった。
「あの時は魔法少女が碌に見つからなかったせいで、機嫌が悪かっただけなんだが……」
「魔法少女だああああああああああ!」
「魔法少女が来たぞ!」
「助けてくれ!」
「殺さないで!」
 誰だってねえ。100回もクエスト回したらこうなるよ。
 イリスは魔法少女バスターを魔法少女連結しアンチマテリアルライフル型にすると、側面の魔法メーターがマックスになるまでじっとその場で停止した。
 その間にレッドが『うりゃーっす!』と言いながら岩を投げたりサメを投げたりマッチョを投げたりしながら暴れまくり、ここぞという直列配置になった瞬間にイリス眼前に設置されたデジタルスコープ内のターゲットマークが重なった。
「『魔法少女超殲滅砲A-iris』――ファイア」
 砲撃。
 反動で自らがバックするほどの威力。
 怪人たちは虹色の光に包まれ。
「「ね――ネオフォボスばんざーーーーーい!!!!」」
 仲良く爆発四散した。
「サマフェス四人衆ーーーーーー!」
 あとから駆けつけた怪人が声をあげた。
「おのれ魔法少女め。我こそはファックスカメムシ。迷惑ファックスのウザさとカメムシの臭さを併せ持――」
「魔法少女と聞いて」
 スッ、と無限乃 愛が現われた。
 ハートが可愛いブレスレット型変身アイテム(クリスマス前に発売予定)をシュッとスライドさせると、愛はハートのエフェクトによって変身した。
「『闇を撃ち砕く愛と正義の烈光!魔法少女インフィニティハート、ここに見参!』」
「き、貴様は……」
「そう、またの名を――パンドラストロベリー」
 怪人の背に既に突きつけていたプレンダーオブハートII・ハートテイカー・ライフルモード(娘さんのクリスマスのプレゼントに最適)が、ハート型の砲撃を発射する。
「グワーーーーー!?」
 まだ何もしてないのに爆発四散させられる怪人。
 愛はイリスにビッを親指を立てた。
「ナイス魔法少女」

「俺たちは怪人ウージーフライ兄弟」
「隙の無いマシンガン射撃に全ての者は蜂の巣となる」
 二丁サブマシンガンによる協力射撃をしかける怪人ウージーフライ兄弟。
 対するニル=ヴァレンタインは魔王のオーラをピンポイントに発生させて弾丸を防御。ウージーフライ兄へと急接近をかけた。
「そちよ。分かっておるじゃろうが、足を引っ張るでないぞ?」
「そっちこそ、足……引っ張らないで……ね」
 ジグザグに走り弾を回避したアルヴァ=ラドスラフがウージーフライ弟へ飛びかかり、鋭い跳び蹴りを食らわせる。
「ぐお!?」
「こいつら、俺たち兄弟よりも高度な連携を!」
「僕が……相手」
 集中攻撃を仕掛けようとした兄弟の前に割り込み注意を引くアルヴァ。彼の後ろ回し蹴りが銃を打ち上げ、その隙に二人の間をすり抜けたニルの手刀が怪人たちを切り裂いた。
「貴様、あまり調子に乗るでないぞ。大人しく滅びるのじゃ」
「「グワー!?」」
 爆発四散する怪人。その爆炎を突き抜けて、ウィズィニャラァムの愛刀(?)ハーロヴィットが飛んでいった。
「俺の名は怪人スプーンマルチーズ。スプーンの丸みとマルぐわー!?」
 名乗る最中に巨大テーブルフォークが刺さった怪人スプーンマルチーズ。
「さあ、Step on it!! 私達が通りますよ!」
「彼女には指一本触れさせぬ、我を見よ!」
 反撃をはかろうとした途端、足からのジェット噴射で突進したレイリー=シュタインが怪人をはじき飛ばしていった。
「極めれば何でもシンプルになるもんですよ。ねえレイリーさん!」
「あぁ、ウィズィ殿!1つを磨きし者、それがスペシャリストさ」
 回転しながら飛んでいったスプーンマルチーズがグワーといって爆発四散。
 そんな爆風をかき消すように羽ばたく怪人カラスインク。
 顔料インクガトリングによる絨毯爆撃がベルベット・パイソンとアメリア アレクサンドラのコンビを襲う。
 しかしアメリアは花咲く治癒フィールドを形成してカウンターヒール。
「怪人って知ってるよ。テレビで何度か見たことがあるもの。
 話が通じない戦闘マシーンって感じでちょっと怖いな。でもおばあちゃんと一緒なら大丈夫!」
「アメリアちゃんは物知りね~。ここにいる怪人達は、特に悪い奴らみたい~」
「人は守るものがあるほど強くなれるって学んだんだよ。ボクがおばあちゃんを守るからね!」
「アタシも、アメリアちゃんと一緒なら心強いわ~♪
 アンタ達~、この子を傷付けたら……許さないわよ?」
 対してベルベットは空中のカラスインクへ毒蛇の幻影を発射。食らいついた蛇によって激しいダメージを受けたカラスインクは墜落し、アメリアの放つ桃色のエーテルガトリングに打ち抜かれていった。
「グワーッ!?」
 舞い散る黒い羽根とインク。
 それを振り払いつつも低空飛行で駆け抜けるエレンシア=ウォルハリア=レスティーユ。
「んじゃまぶっこむぜ姉貴! 遅れんなよ! アジト破壊の邪魔はさせねぇよ!纏めてぶっとばしてやらぁ!」
「はい、それでは行きましょう、エレンちゃん。あまり突出し過ぎちゃだめですよ!」
 横に並ぶように飛行するフォルテシア=カティリス=レスティーユ。
 レスティーユ姉妹の後ろを追尾して飛行するのは怪人ハト豆鉄砲ブラザーズである。
「「われら三人一体の豆鉄砲、受けてみるッポ!」」
「へっ――」
 怪人たちの射撃を強引にすりぬけ、戦鬼暴風陣を繰り出すエレンシア。
「薙ぎ払ってやるぜ!」
「だめですよって言ったそばからぁぁぁぁ!!!」
 霊樹の大剣で怪人たちに突っ込むエレンシアと、彼女を治癒しながらドゥームウィスパーで援護射撃を仕掛けるフォルテシア。
「「グワー!?」」
 爆発して羽根を飛び散らせる怪人たち。
 降り注ぐ血と羽根の中を、バスト・ハボリムは凄まじい速度で駆け抜けていく。
「なかなかの速度だな獣人。俺様はチャンリコチーター。チャリの安定性とチーターのスピードを兼ね備えた爪をくらえ!」
「甘い。なんとぬるい筋肉!」
 繰り出した蹴りを、強引に割り込んだネメアー・レグルスのショルダータックルがはじき飛ばした。
 肉達磨巨体から繰り出される突撃は熊をも飛ばす。
 がだそんな彼女の突撃を、怪人クマダンプが受け止めた。
「なんという肉体美。つぶしがいがあるのう」
「――」
 斜め上から鋭く迫るピリム・リオト・エーディ。彼女の性癖を体現したかのような剣『斬脚緋刀』を振りかざし、斬りかかる。
 が、その斬撃は無数の脚によって受け止められた。
「私の名は怪人タコミダラ。美脚が増えれば色気も増える。当然の理!」
「決戦…ああ、此度も多くの魂達がイーゼラー様の元へと還る事が出来るのでしょう…素晴らしいですわ」
 そんな彼女たちの元へゆっくりと歩き、現われるヴェルフェゴア・リュネット・フルール。
 隠した目元をギラギラと光らせて、己の魔力を開放し始めた。
「さぁ! イーゼラー様の元に還して差し上げましょう!」
「むっ!」
 圧縮された魔力の爆発。飛び退こうとしたタコミダラをピリムが素早く捕まえた。
「怪人と言えど、やはり人型ですねー。しっかりと脚ありますねー!」
 狂ったように両目を見開き、足を切り落とすピリム。
 あがる悲鳴をかき消すようにネメアーの信仰バックドロップが炸裂。
 掴まれたクマダンプは石の地面に頭を叩き付けられた。
「好き勝手殺すにはここは便利だからさ。あんた等俺の殺戮衝動の為、ついでにイーゼラー様の為に俺に殺されてくれよっと!」
 火花の散る勢いでターンし、スピンキックを繰り出すバスト。
「さあさあ! その魂をイーゼラー様に捧げるのだ! さすれば良き魂となりてまた生まれ変われるのだ!」
 叩き付けたクマダンプとチャリンコチーターが激突し、大きく頭を歪ませた。
「「グ、グワーーーー!?」」

 次々と巻き起こる怪人たちの爆発。
 そんな中、十人のイレギュラーズたちがずらりと勢揃いした。
「俺は熱血ギャンブルオレンジ――マキーニ=ヴェルツ=ベアール! 伸るか反るかは運次第! 祭りだ! 楽しもうじゃないか!」
「私は大地のセクシーブラウン――ヴェーゼ!大地の精霊を恐れない奴はロックバスターだ! ……決まったな!」
「俺は鮮血のブラッドレッド――ガルハ・フォルクス・レーツェン! 死にたい奴からかかってきな!」
「わ、我は鉄壁のスチールブラック――シュタイン!」
「ワシはセクハラシルバー――黄・太極! 死体とカワイイおなごが大好きじゃい!」
「己はプライドのウルフゴールド――グランディス=ベルヴィント! 大儀無き輩は己の拳で成敗してくれよう! なんだこれは…ふざけているのか!」
「私は秘書パープル……ハイネ・フラウナハ! 好きな物は竜と嫌いな物は雇い主です」
「私はパステルピンク! 悪い夢は塗りつぶしちゃいますよ!」
「俺ぁ斥候ブラウン――バルザック! 偵察ならお任せあれだ! そしてこいつが苦労人ゴールド」
「……アインザーム=ヴェサリウス」
「苦労人ゴールド?」
「ええい――」
 アインザームを中心に、十人のイレギュラーズが一斉にポーズをとった。
「我ら十人戦隊イルミナティ! 十人合わせればその力は十倍だ!」
「ナニィ!? イルミナティだと!?」
「俺にかかる労力も十倍だ」
「大変だな……」
「ううっ…なんですかこのこっそり描いてた漫画を親に見られた時みたいな気分は」
「私は主が残したこの下らないカンペに怒り心頭なのですがねぇ……」
「俺はこういうノリ嫌いじゃねえが」
「よくもこんな名乗りをさせてくれたなネオフォボス、揺るさん!」
 グランディスが咆哮と共に金色の人狼へ変身。まだ名乗っても居ない怪人仏像ウルフへと飛びかかる。
「真弓ちゃん、くっついてもええか?」
「だめです」
「おのれラルフ揺るさん!」
「中二病とはそういう意味か、良いだろう……ぶっ殺させて貰うぜ!」
「人間とは色んな連中がいるのだなー」
「それにしても幻想はイレギュラーズという幸運と共に大きな災厄を次々と招き寄せているな」
「おい話していないで手伝え」
「お、すまん」
「私は救護テントでも作っておこうかな」
 さすが『はぐれ者たちの集会場(+アルファ)』である。協力しているようで全員バラバラだった。
 が、しかし。
「貴様らのような統率のとれていない者たちなどこの大仏ウルフひとり充ぶ――」
「「ん?」」
 十人の殺意がたった一瞬、しかしきわめて鋭くたった一点にのみ集まった。
 全員の射撃が、斬撃が、打撃が、魔法が、仏像ウルフに一点集中する。
「ば、ばかな!? こんな統率力がなぜ――!?」
「ケーッヒッヒッヒ。教えてやろう、それは……え、なんでじゃ?」
「俺が知るか。それより中二病って言った奴出てこい」
「ま、相手が悪かったと思いな」
 ピンとコインを弾くマキーニ。
 仏像ウルフはなぜだーと言いながら爆発四散した。
 ため息をつくフラウナハ。
「全く……まだ気が晴れませんね。皆さん、八つ当たりと行きましょう」
 十人戦隊イルミナティの名が、この日からちょっと幻想に広まったという。

「施設破壊にはフレッシュな新人さんが、最深部には腕に覚えのある仲間が向かっとるさかいね。彼らが安心して暴れられるよう、俺たちは俺たちに任せられた役目を全うしようなあ」
「ん。こんな混戦じゃめんどくさいし敵味方関係なくまとめて吹っ飛ばしたくならないでもないけど……控えるだけの理性もあるさ。頑張ろうねブーケ」
 錫蘭 ルフナとブーケ ガルニがコンクリートの柱が無数に並ぶ地下空洞を走って行く。
「止まれぃ。ここから先はこの怪人ハサミバニーが通さん!」
「あっ見てブーケウサギだよウサギ。これで兎狩りできるね」
「俺もウサギなんやけど……ええわ、いくでルフやん!」
 両手に刀を持って飛びかかってくる怪人の攻撃を、無数の残像を作りながら軽やかに回避していくブーケ。
 素早く背後に回ってがしりと耳を掴むと、ルフナは死霊術による巨大な鳥を顕現させた。
「今やルフや――あっぶなっ」
 飛び退くブーケ、暴風によって吹き飛ばしていく怪人。
 ブーケが避けられることを分かって居てのコンビネーションであった。
 柱に激突し爆発四散する怪人。
 そんな爆風の中をルアナ・テルフォードがまっすぐに駆け抜けていく。
 それを払いのけようと弾幕を張る怪人ガトリングホーク。
 グレイシア=オルトバーンは距離をとって援護射撃を仕掛けながら、帽子を深く被りなおした。
「この怪人とやらは、元は人間らしいが…もはや怪人以外の何者でも無いな…」
「もともとそういう造形だった、ならわかるけど元の形を歪めるのは…好きじゃないな」
「自分達で望んでそうなったのかはわからぬが、元に戻せぬ以上、此処で倒しきるのが最善となりそうだ」
「うん…わかった。倒すしかないんだよね」
「何をごちゃごちゃと。我が弾幕に塵と消えよ!」
 怪人の弾幕が強まるが、ルアナは勇者の大剣を盾にして突撃、距離を詰めて飛びかかる。
 と同時にグレイシアの放った死霊弓が怪人に直撃。
 コンビネーションアタックをうけた怪人は翼を切り裂かれ、地面へと墜落していく。
 グレイシアは爆発四散する怪人に背を向け、小声で呟いた。
「ナンイドナイトメア……お前はどんな『終わり』を目指して、こんなことをした?」
 その一方。
「狂気に落ちた怪人達……その魂だけは輪廻の輪へと送り還してあげなきゃ!」
「非常にふざけた茶番感が強いんだけど、これがわりと厄介なトラブル起こしてたからねー。
 決着をつけれるというならばここでつけてしまうのが一番だよね、うん」
 巡離 リンネと巡理 リインは怪人草刈りバッタの飛翔斬を大鎌Reinterminationで次々に弾きながら接近、怪人と鍔迫り合いに持ち込んだ。
「リンネも一緒だし百人力! 火力ならおまかせだよっ♪」
「だね。二人いるならなんとかなるさー」
 そんな風に言いながらリンネは輪廻転鐘をふるってソウルストライクを発射。
 怪人を爆発四散させるとすぐさま輪廻還しを始めた。

「俺様は怪人ハンマーサイ! 破壊の権化である!」
 凄まじいショルダータックルでコンクリートの柱を破壊して突進してくる怪人ハンマーサイ。
「ルーイくん、離れててくださいねっ」
「キュッ」
 飛び上がって離脱したルーイを確認すると、ノエミ・ルネ・ルサージュは聖なる障壁を展開。両手を突っ張るようにして防御を固めると怪人のショルダータックルを受け止めた。
「怪人は押さえます、援護を……!」
「ふむ……普段は出会う者全てに等しく癒しを与えているのだが、こうして足並みが揃ったのも何かの縁。
 たまには特定の者たちと肩を並べて戦うのも、悪くはないだろう」
 ナイジェル=シンは不敵に笑い『聖書』をぱらぱらとめくっていく。
 強制的に発射された治癒の力がノミエに注入され、怪人の破壊力と拮抗し始めた。
「ぬう!? 俺様の破壊を止めただと!?」
 そんな怪人の背後へ同時に回り込む藤咲 燐音と華懿戸 竜祢。
(緊張はしますが、立ち振る舞いは冷静に、冷静に…)
「くくっ、お前達の内にある眩いばかりの輝き、闘志……あぁ実に素晴らしい! これを目の前に滾らずにはいられるか! なあ狐の!」
「(振ってきた!?)――はい」
 燐音はテンパりそうなのを表に出さないようにすまし顔を作ると、怪人の背に強烈な斬撃を打ち込んだ。
 クロスするように巨大剣から破壊のエネルギーを直接叩き込む竜祢。
「つなげ鳳凰! できるな!?」
「というか、あんたこそ足並みを合わせられるのかしらね?」
 アニー・ルアンは両手に炎を燃え上がらせると踊るように連続で炎を発射。
 怪人を激しい火力で焼却し始める。
「想定より倍のメンバー数っスけど、案外そろうもんっスね!」
 日向 葵はサッカーボールを器用に上げるとシュート姿勢をとった。
「相手の防御を崩すっス」
「ええ、始めましょう! この大一番、女神が微笑むか死神が嘲笑うか!」
 同時に射撃位置に滑り込む城火 綾花。女神と死神の横顔が裏表に描かれたコインを指で弾くと、さした指から博打魔術を行使した。
 女神部分が触れ、激しい破壊の弾丸となって怪人へと発射される。
 同時に命中したコインとサッカーボールに怪人は姿勢を大きく崩し、横向きに転倒。
「今っス、やれぇ!」
「はい!」
 素早く剣を抜き、怪人へと突き立てるノエミ。
「グ、グワー!?」
 爆発四散する怪人。
「葵さんと燐音さんだけでなく、これだけ多くの方と肩を並べて戦えるなんて……これはいつも以上に張り切らないといけませんね」
 ノエミは汗をぬぐい、次なる戦闘へと構えた。

「我が名は怪人シュレッダーカミキリ。高速切断術の前に為す術も――」
「うるせえ」
 黒い暴風が吹き荒れた。
 シュバルツ=リッケンハルトは七十七本の刀を生み出しその全てを一息のうちに怪人に打ち込み、最後の一本を振りきるようにして怪人の横をすり抜けていった。
「ば、ばかな……貴様はまさか、『黑嵐(くろあらし)』……グワー!?」
 自分がなすすべも無く爆発四散した怪人に背を向けたまま、シュバルツは息をつく。
「秘密結社ネオフォボス…巷で色々騒がせてた犯罪組織か。
 確かにやってる事は「悪」なんだろうが………まぁ、考えるのは後だ」
「そうです! 悪い怪人さん達をやっつけるのです! いっぱい倒して活躍するのですよ! さぁ、カーニバルを始めましょう!」
 後ろからぬらりと現われたミザリー・B・ツェールングが原材料不明のミートパイを投げつけてきた。
 肩越しにかわしつつキャッチするシュバルツ。
「ったく。この世界じゃお前も力落ちてんだろ。あんま無理すんなよ?」
「もちろんなのです。れっつごーなのです! えいえい――」
 にっこり笑顔で拳を突き上げ……ると同時に飛び出してきた『黒き森の怪物』が死角から奇襲しようとしていた怪人の上半身だけをムシャッと食いちぎっていった。
「おー!」
 背後でおこる爆発。
 そんな爆発を切り抜けるように転がり出たラピス。
「この子は絶対に傷つけさせない……僕が居る限り」
 光の盾を構え立ち上がるラピスに、怪人ソードカジキが絶え間ない連続突きを仕掛けてくる。
「ラピス。ボクがキミを護ります。だから、キミもボクを、護ってください」
 アイラは両手を組むようにして祈りを捧げると、氷の鎖が怪人の首へと巻き付いていく。
「ラピスが盾なら、ボクは槍です。……キミだけは、失いたくないから」
 首をおさえのけぞる怪人。その隙にラピスの剣が怪人を切り裂いた。
「……大丈夫。きみを置いて倒れたりしないよ。
 皆と、何より二人で戦い抜くよ、アイラ!」

 爆発の音は遠く――桜咲 珠緒はコンクリート通路を駆け抜け、巨大な縦穴へとたどり着いた。
「ここまでたどり着くとは、ローレットとやらは多少は戦えるようですね。ですがここまでです。この私、怪人パイルクマンバチの標本となるのです」
 穴の下から飛び上がってきた怪人が次々と発射する鉄の杭。
「珠緒さん!」
 飛び込んできた藤野 蛍が放った巨大な三角定規が杭をはじき飛ばし、治癒空間を展開しはじめる。
「胸熱の最終決戦なのね…!
 王国の興亡この一戦にあり!」
「桜咲、以前から気になっていたのです
 秘密結社とは、何を秘密にしているのか……」
「え、えっと……住所?」
「公開してるのです」
「じゃあ、公開結社なのかな……」
「それはもうただの会社なのです」
「ええいごちゃごちゃと五月蠅いですよ。まだパイルキャノンしてるところでしょうが!」
 怪人の猛攻撃がまるで意味を成さないかのようにカウンターヒールをし続ける二人である。
「オーホッホッホ! どうやら私たちの出番のようですわね!」
「「その声は!?」」
 同時に振り向いてあげるたまおほたる。
「キルロード家の星! ガーベラ・キルロード!」
「銀の螺旋に願いを込めて! リアナ・シンクライ!」
「今からあっちの暗いところでイイコトしない? ジェーン・ドゥ・サーティン☆」
「これだから巨乳は……オイまな板って言った奴誰だすりつぶすぞ。マナ・板野・ナイチチガール!」
「こんなの聞いてない特撮仕事(一年続くので喜ばれる)だって聞いてたのにこれ実戦じゃんむりむりボクむり死――んでたまるか! ミリヤム・ドリーミングぅ!」
「アハハッ、わかってたけどまた来ちゃった☆ ってか増えてる? 飛騨・沙愛那だよよろしくねー」
「いきますわよ! ハイッ、六人そろって――!」
 六人は綺麗に(と言うか好き勝手に)ポーズをとると、背後で謎の爆発を起こした。
「「特攻野郎Bチーム!!」」
 六人はトウッといって巨大な縦穴へあえて飛び込むと、コートをするりと班脱ぎしたジェーンが隙を作った所に二十歳モードへ変身した沙愛那の将来性キックが炸裂し更にミリヤムが必死のドロップキックが炸裂しやったぜおっぱい大きいしか取り柄無いけどボクはやれるとどや顔した途端修羅と化したマナがキシャーといって全員もろとも巨大まな板で殴りかかりまあそうなるだろうなと分かっていたガーベラが後から飛び込みクワを振りかざし同時にジェーンがドリルを翳し二人のコンビネーション掘削が怪人を打ち抜いた。
「な、なんだこの好き勝手な割によく整ったチームワークは……グ、グワー!?」
 爆発する怪人。
「これぞBチームの神髄……ですわ!」
「ほんとにー?」
 イレギュラーズたちは縦穴を下り新たな階層へと侵攻していく。

 レオンハルトとリースリット・エウリア・ファーレルが降り立ったのは恐ろしく広いドーム状の空間だった。
 壁や天井に風景が投影されていく。
「これは……」
 遠くに立ち並ぶビル群。大型の陸橋めいた場所に意味ありげに存在するゲート上のオブジェ。
 ゲートを潜り、頭が巨大な野球ボールになった怪人が現われた。
「まさかこの階層まで来る奴がいるとはねぇ。俺は怪人野球スラッガー。ここの古参さ。ま、悪いがおいとまいただくぜ!」
 木製バットを構えると、恐ろしい速さで野球ボールをノックし始める。
 防御しながらも高速接近をかけるレオンハルト。
「まさかあの幻想王からの依頼で討伐が組まれるとはな。数奇な運命というのもあるものだな。
 さて、我が剣が狙うは首のみ。ネオフォボス、手合わせ願おうか」
 剣技落椿。怪人の首が切り落とされ、グワーといって爆発した。
 が、次の瞬間。
「よくも相棒を。怪人サッカーシューター見参!」
 陸橋の下からジャンプして現われた怪人がオーバーヘッドシュートでさっきの怪人の首を蹴り出してきた。
「――」
 飛来した首を切断。背後でおこる爆発に長いブロンドが靡いた。
(反転しないまでも、深く影響を受けすぎた者は救う事もできない……。
 怪人といいましたか、この……既にこれだけの狂気を生み出しているなどと……)
「その為にも……ごめんなさい、貴方達は倒さねばならない。
 ――せめて安らかに」
 クリスタル状の刀身が美しい炎の軌跡を描き、怪人を真っ二つに切断していく。
「ネ、ネオフォボス万歳ーーーーー!」
「な、なるほどなあ……あんまり分かりやすすぎて忘れてたけど、ひどい洗脳と改造手術を受けてるのか……」
 剣を携えて駆けつけた新道 風牙が、新たに現われた無数の怪人たちに身構えた。
「でも、ま、世の中の平穏を脅かす存在っていうならオレの討つべき敵だ。剣を振るうに値する。……ですよね、師匠!」
 心の中にいつもいる師匠に呼びかけると、風牙は新たな怪人めがけて飛びかかった。
「オレは新道風牙! お前たちヒトに仇為す者を引き裂く牙!
 この手の中の輝きを畏れぬのならかかってこい!」
「地上の戦士か。よかろう、この怪人ケンドーローニンが受けて立つ」
 激しい鍔迫り合いの末に、歯を食いしばる風牙。
「こんな状態でも戦えるように鍛えてきた! だから大丈夫、負けない! ――ですよね師匠!」
 振り抜いた剣が怪人を切り裂き、怪人は激しく爆発四散。
 新たに駆けつけてきたハロルドが聖剣を水平に構えて凶悪な笑みを浮かべた。
「秘密結社か……ふざけた名前だが、魔種は魔種だ。油断はしない。
 どんな敵だろうが俺のやることは変わらん。“魔”の存在は皆殺しだ」
 垂直降下から宙返りをかけて着地するティスル ティル。
 流体金属がしゅるりと走ってレイピア形状をとると、ティスルはそれを突きだした。
「だよね。どっちにしろ放っておいたらまずい相手なんでしょう?
 なら私は戦うよ。私だって、なんやかんや言って幻想が無くなったら寂しいもん」
 ふわりと着地して横に並ぶセティア・レイス。
「これ以上許せない、たぶん」
 セティアが妖精刀を抜いて鋭く構えると、対抗する怪人たちが一斉に襲いかかった。
「「ローレットよ、ここが貴様の墓場となる!」」
 巻き起こる爆発。
 蝶のような翼を広げて爆発を突き抜けたセティアは光を纏って翻った。
「変身(メタモルフォーゼ)――ミュルグレス、セティア!」
「変身(メタモルフォーゼ)だと!? いったいどこが変わっ――ハッ!」
 何かに気づいて顔を上げる怪人パンツイーター。
「あれはねこさん印のぱんつ工場が新開発したという、『セティアのぱんつ』!」
「「えっ」」
 二度見する怪人たち。
 ――に、ハロルドとティスルの剣が炸裂。
「グ、グワーーー!?」
「はははっ! おら、死にたいやつから掛かってきやがれ!!!」
 怪人を斬り殺し、返す刀で聖なる光を乱射するハロルド。
 水平飛行によって切り抜けたティスルは必死に追いすがろうとした怪人の攻撃を回避し、相手の腕を切断。セティアのひやっこ斬りがクロスし、怪人はグワーといって爆発四散した。

「妙な組織ですが、放っておけば鉄帝の脅威にもなるでしょう。ここで討ちます
 オリーブ・ローレルはかぶとの下から感情を殺した呟きを述べると、怪人ソウジキエレファントへと突撃していった。
 激しい吸引力に耐えながらも距離をつめ、上質な長剣による格闘攻撃を仕掛ける。
 その横を、巻き起こる爆発を振り払うように久住・舞花が駆け抜ける。
(この世界にも慣れてきた心算ではあるのだけど、それでも調子が狂う相手というのは居るものね。
 特撮の悪の組織そのものを相手に『現実に存在する』敵として戦うというのも、なんとも奇妙な感覚ね……)
 斬魔刀の鞘と柄をぐっと掴むと、飛来する無数の爆弾テニスボールを切断しながら駆け抜ける。
 爆発を後に残し、怪人テニスモンキーへと接近した。
「こ、この――」
 反撃にラケットを叩き付けよう……とした刹那、舞花の刀が閃雷を纏い怪人を切り裂いていく。
「それはそれとして、敵手として手応えがあるのは悪くない。
 ――さて、秘密結社ネオフォボスの戦士。いざ、お相手願いましょうか」
「おもしろい。これほど腕の立つ剣士がローレットに揃っていようとは」
「我ら名刀怪人の出番というわけであるな」
「然様、然様……」
 ライオンやパンダ、ゴリラやキリンといった和装の獣種怪人たちがそれぞれ腰の刀に手をかけた。
「おや? 楽しめそうな怪人もいるのですね」
 彼岸会 無量が錫杖から刀を抜き、張り付いたような笑みを深くした。
 額の目がギラリと開く。
「――壱拾弐業之壱・無量業」
「怪人虎徹ライオン、参る!」
 ぶつかり合う刀と刀。
「貴様、知って居るぞ。『点線なぞり』の彼岸会であるな。貴様の斬るべき線を止めるが必勝」
「ああ……」
 無量は仕込み錫杖の鞘部分を怪人に押し当てると、てこの原理で相手の後ろに素早く回り込み首を切り落とした。
「この様な技で雌雄を決するのは命の取り合いとは言えません。斯様な技を体得してしまったのが私の業………………業……? 私は、なにを?」
 その一方では紅楼夢・紫月が歌姫の羽衣を靡かせながら怪人石切丸パンダと斬り合っていた。
 斬撃を打ち払い、幾重にも重なる剣技『桜吹雪』を解き放つ。
「むっ、この技……貴様、異界の剣士か!?」
「さぁ……ねぇ」
 紫月は色っぽく息をつくと、相手の急所を切り裂いた。
「ええい任せてはおけぬ! 怪人子狐丸タヌキ推参!」
「怪人今剣キリン、推参……」
「怪人にっかりカラカル参る!」
「怪人髭切トカゲ、行くぜェ!」
 次々と現われ抜刀しながら突撃してくる名刀怪人たち。
「おうおうおうおうッ! 聞けば不埒な悪行三昧、泣かすは無辜の民ばかりたぁ全く天下に住ますにゃ汚らわしいぜぇ!」
 燕黒 姫喬は羽織を豪快に脱ぎ捨てると高く手を掲げた。
「『八尋火』をもちな!」
「へい、姐さん!」
 どこからともなく現われた一族の者たちが刀を投げ、回転しながら飛んできた耀化鮫牙造御神楽宝刀『八尋火』を抜刀状態でキャッチした。
 ガキンと噛みつき鱗状のきらめきをおこすと怪人たちへと突撃していく。
「そらそらぁ! この燕黒の一人娘が相手してやるってんだ! もっと気合い入れな!」
 四方八方から襲いかかる怪人たちの刀を弾く姫喬。
 そこへ、タツミ・ロック・ストレージが高所から飛び降りる形で現われた。
「助太刀するぜサメの姉ちゃん! 悪はロマンだが不良行為は褒められねえぜ? ぶったおしてやるから覚悟しな!」
 刀を強く握り込み、怪人たちへと飛び込んでいく。
「旋竜翔嵐撃!」
 引き起こされた竜巻が怪人たちを切り裂き、次々と爆発させていく。
「正義だとかなんとかいうつもりはねえ。なぜなら悪の組織を倒すのは、ヒーローの役目って奴だからな!」
「あっ、僕もいくッス!」
 秘想霏霏蒼天を抜刀。鹿ノ子は怪人へと斬りかかると、相手の刀もろとも縦真っ二つに切り裂いた。
 更にスピンをかけて横一文字斬りを加えると、ピッと刀を振り抜いて見得を切る。
「「グ、グワー!?」」
 同時に倒されて爆発四散する怪人たち。
 が、そこへ腕が無数にある怪人が現われた。
「余は怪人千手観音ムカデ。我が猛威を知るがよい」
 無数の腕を振り回して起こした暴風に、イレギュラーズたちはたちまち吹き飛ばされていく。
 広い階段のある通路を転がるカレン=エマ=コンスタンティナ。
「全く、乱暴な怪人じゃ」
 カレンは血液を操り刀を生み出すと、飛来した真空の刃を切り裂いた。
「人が変異した何か、と戦うのは慣れている心算だけれど……。
 人を改造した何か、なんてものと戦うことになるとは……」
 水瀬 冬佳は水の因子を操ると空中に液状の水を呼び出し刀の形状へと氷結。妖術媒体にしていた柄と接続すると、怪人へとかけだした。
「手伝うよ……」
 鞍馬 征斗が細刀【血英-曼殊沙華-】を抜き、周囲に氷の華を生み出した。
「まるで戦争…厭な話だね…一人でも多く無事で済めばいいんだけど…」
「アルプス様達を深部へ送るが使命、果たさせてもらうわ!」
 そこへ現われたアリシア・アンジェ・ネイリヴォーム。
 魔法剣に凝縮した紫電の魔力を纏わせると怪人へと飛びかかる。
「むう――!」
 飛来する無数の氷華を切り払おうとする怪人だが、同時に突っ込んだカレンと冬佳の斬撃が交差。
 さらにアリシアの斬撃が加わり、怪人のもつ無数の腕はばきばきと崩れ落ちていった。
「ば、馬鹿な!? 余の千刀流が破れるなど」
「見せかけよ、そんなもの」
 ――幻雷斬(レイジングスラッシュ)。
 剣を振り抜くアリシアの背で、怪人は悲鳴をあげながら爆発四散した。

 怪人が配置されているのは当然中層から深層にかけてのエリアばかりではない。
 アジトの入り口や巨大トンネル。動力室や訓練場にも怪人たちは送り込まれ、今まさに破壊活動や戦闘員の撃退を遂行中のイレギュラーズたちへと襲いかからんとしていた。
「見た目はこんななのに、強いんだね」
『くれぐれも無理はするなよ』
 馬車が撤収していく中を、ティア・マヤ・ラグレンがしんがりに立った。
 黒い馬に跨がり走ってくる怪人ナイトホース。
「そこをどけぃ!」
 魔術弾を乱射してくるが、ティアはそれを意志の力ではじき飛ばした。
 杖を握り、翳し、『穢翼・白夜』を放射する。
「ぬう……!」
 盾で防御する怪人。だが追撃は既に始まっていた。
「魔種というものは、思った以上に色々なものが居るのですね……。
 冠位のような上位存在の指揮下に無いのは兎も角、自ら組織を構えて勢力拡大に乗り出していた、とは」
 駆けつけたアリシス・シーアルジアが通称『告死天使の刃』を行使。
 アリシスは武器に死に至る呪いの概念を乗せ、怪人へと打ち込んだ。
 直撃を受け、馬上から転げ落ちる怪人。
「哀れな魂達だ…我に出来る事は汝らを終わりを与え、輪廻に還す事のみ……『死』を司る神としてそれぐらいはしよう」
 素早く体勢を整えようとした怪人へ、ニーナ・ヘルヘイムは素早くディスペアー・ブルーの魔術を打ち込んだ。
 悲鳴をあげ爆発四散する怪人。
 ニーナは死した魂に呼びかけ、成仏をはかった。

 一方でこちらは中層へと続く大型トンネル。
 戦闘員から一足遅れる形で到着した怪人たちが破壊活動(のついでに略奪)を続けようとするイレギュラーズの排除に動いていた。
 ゆらり、と精密機械の並ぶ部屋に入るアレックス=E=フォルカス。
「………………ふ、ふふ、ふふふははははははははははは!!!!
 貴様は胴体と泣き別れに! 貴様は縦に裂いて! 貴様はミンチに!!!!
 設備など生ぬるい壁ごと建物ごと壊してやろう!!!!」
 狂ったような笑いを浮かべると、異形化した爪であちこちの機材を破壊していた。
 そこへ現われる怪人カッターウルフ。
「なんという狂乱。だがそこまでだ貴様はこの――むう!?」
 襲いかかろうとした怪人に、ライハ・ネーゼスと陽・サンが割り込むように駆けつけた。
「こんなよくわからない結社があったのですね」
「うん。まぁそういう悪の組織もあるのだろうなぁ。
 何はともあれこれも依頼ならば全力で粉砕するのみ」
「はい。経緯はともかく、見逃す訳にはいきません。私達の世界は、私達が守るのですから」
 ライハは目の色を美しい宝石のように変え、味方を強化するための空間を作り出す。
 一方でサンは甘い花の香りを広げて味方を守る空間を作り出した。
 その中心に舞い飛ぶ蝶の幻影と共に現われるカレン・クルーツォ。
「わたし、そう言う事に造詣は深くないのだけど……。
 戦闘員ってキーって叫んで死ぬのが道理なのでしょ?
 なら立って居ちゃいけないわね。そういう美学に反しちゃいけないと思うの……なんていうか」
「貴様、何が言いたい」
 鋭い爪を突きつける怪人に、カレンはぱっちりと目を開いたまま首を傾げて見せた。
「滅びるものの美しさ」
 途端、無数の蝶が飛び怪人を覆い尽くしていく。
 そこへ狙い撃ったように魔術弾を叩き込んでいくミュリエル。
「秘密結社ネオフォボス……先輩方がたまに話していたよく分からない組織ですね。
 お話だと変な人達という印象でしたが……規模も練度も恐ろしいですね。これは野放しにはできません!
 どこまでついていけるか分かりませんが、精一杯支援させていただきます!!」
「露払いと援護なら任せて」
 更に加わった橄欖・オリヴィン・ペリドットのライトニングも加わり、怪人へ集中砲火を浴びせていった。
「お、おのれ、この私を倒したところで貴様らなど……グ、グワーーーー!」
 爆発四散する怪人。
 カレンは粉と散る蝶のなかで髪を払うと、サッと塵に背を向けた。
「『おとといきやがれ』よ」

「立ち去れ、我ら魔導書怪人軍団に勝てはせんぞ」
 胸に魔導書を埋め込まれた精霊種の怪人が無数の狐火を生み出しては発射してくる。
 妖樹はカウンターの毒炎を放ちながら反撃。
 怪人にBSを次々にしみこませていく。
「実力は確かなんだが……間抜けな見つかり方なのは何とかならないのだろうか」
 アルク・テンペリオンは鳥籠から力を引き出すと、無数の氷柱を天井近くへと生み出した。
「何!?」
「数だけ多ければ良いってものでも無いし、何より――数が多い程、『仕事が出来る』という奴も居る訳だ。諦めてくれないか?」
 言っても無駄か、と首を振り『蒐集者の氷檻』を発動。怪人たちへと氷柱を叩き込んでいく。
「ふふ、駄目よ。貴方たち、悪い人なのでしょう? ……オシオキの時間よ。逃げられるとは、思わないことね」
 部屋を防衛する怪人たちへと突入をしかけるヴァイス・ブルメホフナ・ストランド。
 自然界からエネルギーを引き出すと、手を翳し新たな炎を放とうとした怪人たちを中心に熱運動を起こし、激しい空圧を引き起こした。
 吹き飛ばされ、扉に激突する怪人。
 そのまま爆発し扉を破壊するが、部屋の中からはまた新たに複数の怪人が出現した。
「怪人星詠奉行見参。この部屋にはこれ以上近づけさせぬ」
「そういうことなら……ここは任せて貰おうか」
 施設破壊部隊が応戦しようとしたところで、ウィリアム・M・アステリズムが天球儀のような杖を手に前へ出た。
 星の力がわき上がり、彼の周囲を渦巻いていく。
「その力……もしや『星撃魔術』の使い手か」
「その呼び名は初めて聞いたが」
 ウィリアムは怪人へ手を翳すと青く輝く魔法の剣を作り出し、流星のごとく発射した。
 咄嗟に魔術障壁を展開する怪人だが、障壁を打ち抜いて怪人を貫いていく。
 グワーと叫んで爆発四散する怪人。
 その爆発を突き抜けるようにして無数の怪人たちが身体に魔術の剣や斧を作り出して突撃してきた。
「怪人鉄血聖典マルチーズ、参陣!」
「怪人■■■■サソリ、死に場所はここか!」
「怪人ゼシュテル戦史コング推参!」
「それにしても本当にネタが豊富だね」
 レンジーは飛びかかってきた怪人相手に植物のつるを飛ばすと相手の四肢を縛り上げた。
「迷惑極まりない怪人たちも、そろそろ年貢の納め時……だね!」
 パッと怪人の頭に散った花粉がそのまま火薬となり、激しい爆発を引き起こす。
 『今だよ』と合図を出すレンジー。
「……珍妙な集団だからもうちょっとほっとかれると思っていたけど!」
 配置についていたアルメリア・イーグルトンが怪人たちめがけて突撃。
 魔導書ウニヴェルズムのあるページを解放した。
「その書は――貴様まさか『あの魔女』の!?」
「唸れ雷! 行く手を邪魔するものを討てッ!!」
 怪人たちは魔術の発動を邪魔しようと手を伸ばすが、間に合わず激しい電撃にのけぞった。
「トドメをさします。アルメリアさん離れて……!」
 エーテルワンドをライフルのように構えるシリル=エンフィールド。
(やっぱり怖いけど、勇気を出していかなきゃ……!)
 タイミング良くアルメリアがその場から飛び退くと、シリルの魔力塊の種が怪人たちの中心で爆発。呪いの歌をまき散らした。
「ぼ、僕だって戦えるんだから……!」
「ほう、やるな深緑勢。ではこちらも行こうかアリス勢よ」
「この者はラサ勢だけど……君もそうでは?」
「律儀ですねえ、皆さん。じゃあ今日はラサ三人衆ということで」
 蟻巣虻 舞妃蓮、ロゼット=テイ、オフェリアの三人が一斉に構え、魔法のシャムシールを構えて突撃してくる怪人たちを迎撃した。
「それにしても、悪の組織などせずに真っ当にビジネスをしていたら良かったのでは? 日焼け止めもよく売れたでしょうに……」
「笑止!」
 飛びかかりシャムシールを振り上げる怪人。
 オフェリアは素早く手を翳すと至近距離から魔術砲撃を放った。
 ギャッと叫んで吹き飛ぶ怪人。
 ロゼットは抜いた曲剣に月光の魔法をかけると、青白い輝きをもって切りつけた。
「やれやれ、よくもこんなに戦闘員を用意したものだねえ。
 秘密結社なんて、何かの冗談みたいな話だけれど、そこら辺は流石魔種というべきなのかなあ」
「かもしれん」
 舞妃蓮は赤い王冠のついた杖を振り込むと、怪人の頭にぽこんと叩き付けた。
 その途端、怪人の肉体に埋め込まれていた陽炎千一夜恋物語ノ書が爆発。
「……こういう前線にばかり出ている気がする」
 やれやれと首を振り、舞妃蓮は杖をくるりと回した。
 その直後、София・Ф・Юрьеваが聖光を発射。起き上がろうとした怪人にとどめを刺し爆発四散させた。
「世界平和を恐らく概ね? 乱している悪の組織……看過することはできませんわ。
 不正義は神に代わってお仕置きですの!」
 ビッと決めポーズをとり……つつ、そつなく仲間にメガヒール。
「ふふふ、こうすれば戦うヒロイン主人公サイドは勝利確定とウォーカーさんに聞きましたの。さ、次の戦いへ行く準備はよろしくて?」

 さて、激しい攻撃風景ばかりを見てきたが、イレギュラーズたちがここまで優勢に戦っていられるのは勿論回復を専門とした部隊ができあがっていたからである。
 一度彼らの様子を見ていくこととしよう。
「ネオフォボス……ご当地ヒーローに倒される何かよくわかない悪役といった風情ですが……幻想が混沌内でも一大国家と考えれば、ご当地悪役という枠も相応になるのでしょうか。
 私にはわかりかねますが、相手が魔種である以上、無視するわけにもいきますまい。幻想の未来のために此処で決着をつけましょう」
 時任・兼続は倒れかけた仲間にヒールオーダーをかけると、駆けつけたルルゥ・ブルーに治癒を引き継いだ。
 夏にさく朝顔のような傘をさしたルルゥは傘をくるくると回して治癒の力を引き出し、けが人を治療していく。
「秘密結社。かっこいい響きだけど……悪い人たちなんだ。ざんねん」
「ネオフォボス万歳!」
 ノーマークだった場所から飛び出してくる怪人の奇襲――が、畳んだ傘をサッと向けたルルゥによってぴたりと止まった。
「悪いやつ、きらいだから……負けない」
 発射された魔術で吹き飛んでいく怪人。
 爆発四散していく怪人を見てルチア・アフラニアは顔をしかめた。
「道具と人間の融合だなんて、いつ見ても痛々しい……。
 可哀想だけれど、どうすることもできないのよね。せめて、冥府では安らかに」
 短く祖国に伝わる祈りを捧げると、ルチアは他の仲間へと振り返る。
「私は他の部隊に合流するつもりだけど皆はどうするの?」
「あ、私もいきます。回復は得意ですので」
 ガヴィ コレットが高く手を上げ、ルチアと共に走り出した。
 広い通路の天井には、そこが地下だと思えないくらいに高い天井と青空を模したスクリーンが広がっていた。
 そんな風景を見上げ、ほわーとため息をもらすガヴィ。
「幻想の地下にこんな基地があったのですね。それにあの日焼け止め、私も欲しいのです」
「ある意味夏にしか手に入らなかったわね」
「おい、こっちだ!」
 ヨシト・エイツが手を振り、ガヴィたちを呼び寄せた。
 今まさに怪人とばりばりに打ち合っているところである。
 積んだ土嚢の裏からレーザーガンを撃ちまくるピット。
「へーんなやつらばっかだけど…強さは本物みたいなんだよな。
 どんなやつかもわかんねーけど…気、引き締めていくかっ!」
「おう、気合入れろよ戦友。オメェさんが倒れりゃその分、他のヤツらの負担が増えるかんな!」
 ばしんとピットの肩を叩き気合いを注入すると、ヨシトは前髪をかき上げた。
 横で拳銃に弾を込めていた七鳥・天十里がハンドサインを出す。
「僕が飛び込んで引きつける。援護して!」
「だったらわたしも行くー! ガンガンやっちゃうよ!」
 ガトリングガンをよいしょと担いで立ち上がるクランベル・リーン。
 二人は頷きあうと、いちにのさんで土嚢から飛び出した。
「現われたなイレギュラーズよ!」
「ワシらトカレフシリーズ怪人にカチコミかけるたぁいい度胸じゃのう!」
「蜂の巣にしたれやぁ!」
 両手を拳銃に改造された怪人たちが激しい銃撃をしかけてくるが、クランベルと天十里は銃撃を仕掛けながら突撃。
 土嚢からぴょこんと顔を出したココロ=Bliss=Solitudeが衝撃の青を放って逆侵攻を仕掛けてくる怪人を吹き飛ばし、メガ・ヒールによる回復支援を開始。
 耐久力や防御力に優れていない仲間でも、こうして回復支援が整っていれば安心して突入が可能なのだ。
「訳のわからない災害なんかに負けず皆で楽しく帰宅できるようにしましょう!」
「はい、治癒魔法をかければいいですか」
 君影・姫百合が協力してメガ・ヒールの支援砲撃を開始。
 フィーネ・ヴィユノーク・シュネーブラウは一度土嚢の裏に引っ込んでから『神子饗宴』や『ブレッシングウィスパー』を仲間にかけなおし、スーパーアンコールを仲間たちに配っていく。
「他の皆様の補給に必要な時間を減らす事で、時間あたりの戦力を増やせる……と、良いんですけど」
「ありがとう、かなり助かってるわ」
 たとえば地球のある時代では向かい合って銃撃をしあうことで歩兵の勝敗を決していたが、ここ混沌では射撃によって敵を減らす作業と並行して回復射撃によって味方の減る速度に抵抗することも重要だった。
 勿論敵のヒーラーを潰すことが撃滅の近道なので防衛戦を突破したいだろうが、そうさせないためにシルヴィア・テスタメントたちはいる。
「これが年貢の納め時ってヤツか。
 悪の組織が税金とか払ってたら笑いの種だけどな。
 さぁて、暴れさせてもらいましょうかねぇ!」
 土嚢にドンとライフルを乗せると、特攻をしかけてくる怪人めがけて右から左へ流れるように掃射。
 乱射しているように見えて的確に全員をヘッドショットしていた。
「「グワー!?」」
 爆発四散する怪人たち。
 それに紛れて突撃をしかけてくる怪人もいたが……。
「怪人共を派手に吹っ飛ばしてちょいとド派手な花火大会と行こうぜ。
 何せコイツら倒す度に吹っ飛ぶからな!」
 メル・ラーテが的確なタイミングで手榴弾を放り込み、その更に先にいる怪人たちめがけて携行大砲Hades-RSPを発射。
 まっすぐに飛んでいった鉄の塊が怪人たちにぶつかり爆発のような衝撃を起こした。連鎖的に爆発四散していく怪人。
「えへへ……こんな時のためにドスコイさんを用意したのデス」
 ドスコーイと吠えるマンモスにまたがり、両腕をゴッと突き出すリュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー。
「無敵鉄板暴牛あらため、無敵鉄砲暴象! 突貫しマス!」
 リュカシスは両腕の火砲からガトリング射撃をかけながら突進。
 土嚢をつんで防御を固めていた怪人たちをことごとく爆殺しながら突き進んだ。
「戦線が開いたね、よーし、私に任せて!」
 アリア・テリアはすかさず怪人たちの第二防衛ラインへと襲撃。
 ヒーラー系の怪人たちが逃げだそうとするのを、Ri-a-terriaによって絡め取っていった。
 『アトルガゼットの薄明』をそっと指でなで、更にディスペアー・ブルーを打ち込んでいくアリア。
 総崩れになった怪人たちへと飛び込むのは津久見・弥恵の役目であった。
「月の舞姫、華拍子、天爛乙女の参上です!」
 怪人たちの中へと滑り込み、舞い踊るように暴れる弥恵。
 注意を引きつける扇情的な舞いと大胆に肢体を乱す必殺の演舞『急の段・月華繚乱』によって怪人たちがたちまち壊滅していく。
「ヒュー! ローレットにもこんなグルービーなダンサーがいるとはネ!」
 部屋にミラーボールが点灯し、円形ステージの上で豪華な衣装をきた怪人が天を指さす。
「怪人ミラーボール極楽鳥! ショータイム!」
「怪人サイリウムモンキー! オンステージ!」
「怪人ドルオタウルフ! 俺も鼻が高いよ……」
「「ネオフォボスアイドル部! 参る!」」
「一部おかしな人がいるような」
「アイドル勝負なら負けないよ!」
 マイクを手にステージに飛び乗ったアウローラ=エレットローネ。
「アウローラちゃんの唄に聴き惚れて!」
 チェインライトニングのステップと歌を披露したアウローラ。
 無数のハートとクラップサインがわき上がり怪人たちへと打ち込まれていく。
「くっ、なんというアイドル力!」
「しかし、メカセララなき今我らがステージを守らずしてどうする!」
「俺も鼻が高いよ……」
「ええと……私がやるんですか? 今?」
 仲間からここはおまえがいけと背中を押されたディアナ・リゼ・セレスティア。
 仕方ないとばかりに『Requiem・Allium』の歌を開始した。
 心にしみいるハイソプラノの美しい歌声がステージを支配し、エモに心を満たされた怪人たちはエモーと叫んで爆発四散した。
「ええ……」
 流石異世界。常識が通じませんね……とディアナは軽く引いた。

 トンネルの中を前後左右上下問わぬ三次元機動で飛び回り続ける無数の影。
 それがイレギュラーズと怪人たちであることが目視確認できようか。
 アイリス・アニェラ・クラリッサは自慢の機動力を活かしてトンネルの中を駆け回り、星形の連続ターンをかけながら怪人に獅翔閃を繰り出していった。
「なんて足の速い奴。この高機動怪人一輪車ピエロを圧倒するとは……!」
「油断するな、奴らはアルプスローダーの所属するローレット。反応と機動力のハードルは通常組織の三倍と知れ!」
「そうッス、アタシたちはイレギュラーズッスからね。そう簡単には負けないッスよ?
 もっともっと疾く、駆け抜けていくッスよ!!!」
 一息で高い天井まで飛翔する風見・リョーコ。
 風を自らのものにすると、地上の怪人めがけて狙いをつけた。
「イレギュラーズの力を見せてやるッスよ!!!!」
 急降下突撃。地面を掘削するほどの凄まじい威力怪人を襲い、爆発四散を起こさせる。
 怪人と距離をとった仄 火燐と糸巻 パティリア。
 火燐は地上からソニックエッジを繰り出し、パティリアは海星綱を用いて斜め上からの強襲を敢行。
(影に忍びて敵を討ち、味方を少しでも動きやすくするよう努める。これもまたニンジャでござる!)
 手刀を繰り出し怪人へクロスアタックを仕掛ける二人。
「い、今こそまさに……グワー!?」
 怪人は激しく爆発四散し、パティリアはしゅたんと地面に片手を突く低めの姿勢で見栄をきった。
「御免ッ!」

 ネオフォボスの怪人は改造手術によって常人とかけ離れた外見をしているが、それはなにも怪人だけの特権ではない。
 というより、それはウォーカーたちの専売特許とすらいえた。
 Melting・Emma・Loveはスライム状の全身を細かく震わせて無数の小さな分身を作り出すと、仲間たちへと飛ばして治癒力へと変えていく。
 彼女の回復支援をうけた龍宮・巫女は僅かな怒りの感情によって目の色を赤く、髪色を黒く変色させて怪人へと殴りかかった。
「変な結社みたいだけど…実力は本物、よね。
 安心なさい。油断も手抜きもしないわ」
 巫女の豪快な打撃が自らを中心にミニクレーターを作りだし、周囲の怪人たちを吹き飛ばしていく。
 龍のような翼を広げふわりと飛び上がるクリム・T・マスクヴェール。
 自らの血を操るとそれを大きな鎌へと変えて、怪人たちめがけて斬りかかる。
 ぶつかり合った怪人たちへと、グレイル・テンペスタが投影魔術を行使。
「…日焼け止めが原因で…アジトが分かるなんて…抜けてるね…うん…。
 …兎に角…そのままにしてても良くないものだし…一気に潰しちゃおう…」
 打ち込まれた術式が解放され、黒狼が怪人たちへと襲いかかった。
 同時にマカライト・ヴェンデッタ・カロメロスがティンダロスで駆け抜けながらストライクチェーン(となんでかついでについてきた異界生物)を投擲。
 先端についた刃が怪人を貫き、爆発四散させていく。
「あ!? 今のディープシーか!? なんで生身で爆発してんだ!?」
「さあ……そういう仕様なんでしょうか」
 ヘイゼル・ゴルトブーツは両手を鎌にした怪人から低空飛行で距離をとると、傷ついた仲間にミリアドハーモニクスをばらまいていった。
「この多種多様なのに一律にトンチキな怪人達でも、見納めとなりますと一抹の寂しさが……。
 ……やっぱり無かったのです」
 無念。といって首を振るヘイゼル。
「それじゃあ最後に祭りじゃー! ラストカーニバルじゃー!」
 螺旋回転しながら頭から突っ込んでいくハッピー・クラッカー。
 足(っていうか幽霊系フット)をねじねじ回転させ勢いをつけると、大声を出して怪人たちを引きつける。
「いい感じに私が引き付けるから、いい感じに皆戦って! 必殺以外には無敵だから! 必殺以外には!」
「何!? こいつやけに死なないと思ったらそういうからくりが!」
「なぜ自ら言った?」
「えっノリで?」
「よおしこの必殺の攻撃技を持つ怪人アフロ爆弾魔が――」
「なーご!」
 ハッピーが苦手なタイプの敵を陰陽丸が巨大ネコパンチで殴り倒していく。
「にゃーん!! んなぁ!(破壊作戦の皆さんの邪魔はさせません! 後は体力の続く限り暴れ回っておきますね!)」
「うーん、この怪人なんて目じゃないレベルのカオス……実家に帰ってきたみたいだぁ」
 コラバポス 夏子がなぜかほっこりしながらくるくると槍を回転させ、怪人めがけて構えた。
「秘密結社のアジト突き止められてさ、突入されて戦闘仕掛けられちゃうのって……秘密結社的にどう? 秘密成立する? 秘密なくなってない?」
「他にも沢山秘密があるからいいのだ!」
 怪人スピアーアントが同じく槍を構えて襲いかかる。
「いやぁ~この結社、硬派って言えば聞こえ良いんだけどようするに色気がないっていうか僕くらいの硬派になっちゃうとコレくらいパキポキしてるとやる気がマバラっていうかほら美女や美少女がいれば良いよね。ほらあんなふうな美……あっ」
 丁度いい例があるよっていう意味で振り返ったところで、Azathdo=Hgla=Thusxyと目が合った。
 もう美少女とかそういう次元じゃない何かだった。何かって言うか、え、なんだろう。黒い? 影? 的な? 本当になにこの大宇宙的存在。
「あっごめんイレギュラーズってこういうのもいた」
「私如きも殺せないとは…怪人なんてものも案外貧弱なのですねぇ~…z……」
 喋りなのか寝言なのかわからないことを言いながらこてんと倒れるThusxy。
 謎のジェット噴射で動き回ると怪人に火をつけたり謎の宇宙空間を作って閉じ込めたりとしっちゃかめっちゃかにし始めた。
「もっと美少女っぽいのいないの!? せめて人間の形し……あっ」
「…………」
 ショゴス・カレン・グラトニーと目が合った。女性形ではあるけどさ?
「これは只の『食事』だ、そして貴様は上等な餌である。
 マナーなど不要。只管に喰らい、咀嚼し、呑み込む。実に理解が容易であるが、貴様は不満か?」
 って言いながら怪人をぐわっと包み込んで貪り食らうショゴス。
「あ、そ、そうだ、突入するときにいた美少女が一緒に来てたはず! マテリアっていうあの……」
「…………」
 マテリア・ライク・クリスタルが空中にふーわふーわ浮いていた。
 全長150cmの八面体(双四角錐)の水晶の様な物体が浮いていた。
「なんで今日よりにもよって使徒みたいなひとばかり来たの」
「ボクに言われても困る」
 結晶そのものを振動させて喋ると、マテリアは結晶の先端をビガッと光らせて魔術砲撃を開始。怪人たちを次々に爆発させていく。
「呼ばれた気がしたから来たのですー」
 にこにこして手を振りながら駆け寄ってくる美音部 絵里。
 やった美少女きたこれで勝つるとか言ってガッツポーズとっていると、その後ろからなんかよくわからない悪霊のたぐいみたいなのが大量にくっついてきた。
「今日は怪人のお友達を作れるなんて、素敵なのです!
 たくさんやっちゃうですよー。わはー、みんなもがんばりましょうねー?」
 誰も居ない(と思われる)場所に向けて笑いかける絵里。
「私も呼ばれたような気がしました」
 鶫 四音が天使みたいな笑顔でヌッと現われた。
「物語に登場するような悪の秘密結社が実在するなんて……。
 本当、この世界は面白いですねえ。感動しました。
 この決戦が強く記憶に残る物語になるよう私も頑張りますね」
 って言いながら周囲を大量のキノコだらけにしていく四音。
 キノコの放った胞子が敵を包み込んでぐちゃぐちゃに殺すのかと思いきやこれ味方の体内に侵入して強制的に痛みを取り去ったり治癒力をいじったりするからね。天使の歌の使用シーンだからね。
「…………」
「…………」
 見えないお友達と喋りながら怪人のマウントとってざくざく血のナイフを突き立てる子と、体中から粘菌沸かせながら笑ってる子。
「お兄ちゃん、呼んだ?」
 イ = モウトが現場にトドメを刺しに来た。
「えへへ…お兄ちゃんたちと一緒に戦えるなんて嬉しいなあ…。
 敵は悪い奴なの? すごい! 私もちょうどお兄ちゃんたちにつく悪い虫をバラッッバラにしてあげたいなって思ってたのやっぱり私達考えることは一緒なんだねお兄ちゃんたちはうふふなんでもないパンドラだって私が先に使ってあげるからねお兄ちゃんだから私から離れないでねああお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんあはあはあはははは!」
 両手に包丁持ってすごい速さで突っ込んでくる妹。
 そこへふらっと現われたビーナス・プロテウスが現場にオーバーキルを仕掛け始めた。
「へぇ…こんな所にも悪の組織ってあるんだね…私が昔居た所もこんな感じの悪の組織あったなァ…まあ、私が潰しちゃったけど。
 えへへ♪ じゃあ、ここの人達はどうかな? どうかな? 潰されちゃったりせずに私と遊んでくれるかな?
 じゃあ、いくよー! がおー! 怪獣だぞ!」
 とかいいながら全長3mの肉体を暴れ回らせ触手をはやし翼を広げて飛び回った。
 正気度がどうにかなっちゃいそうなみんなに、ここで癒やしをあげようね。
「ソウ……オジョウサンは戦場に咲ク一輪の……カズラ!」
 オジョ・ウ・サンだよ。巨大ウツボカズラだよ。わーい美少女らー。食虫植物から美少女疑似餌がはえてるゾ(白目)。
 触手をびゃーって伸ばして嫌がる怪人に突き刺すと血をぐいぐい吸い上げていく。
 ンアー吸われてるーといっそ気持ちよくなってしまった怪人をそのままたぐり寄せて『あーん』するオジョウサン。ぼっふんと一瞬だけ膨らむ捕虫袋。
「バンザーイ! アハー、ふぉぼふぉぼバンザーイ! DEATH!」
 悪の秘密結社に絵面の凶悪さで勝つ。
 それがローレット・イレギュラーズである。

 並み居る怪人たちを打ち倒し、施設の大部分を破壊し、今や秘密結社ネオフォボスのアジトは壊滅寸前であった。
 しかし。
「我ら怪人クローンは失った箇所を補うことで何度でも戦える。総帥ナンイドナイトメア様が生きている限り我々は不滅」
 フェンスで囲まれた広い部屋。
 まるで地下闘技場にも似た風景に、一人の怪人が現われた。
 誘い込まれたのはコルウィン・ロンミィとジョージ・キングマン。
 コルウィンの白いジャケットが、ジョージの黒いコートが怪人の起こす風によってそれぞれはためく。
「俺は秘密結社ネオフォボス次期若頭――怪人アーマーヤクザ!」
 上着を一瞬で脱ぎ捨てナンイドナイトメアの入れ墨を見せつける怪人。
「ふむ、地下に闘技場……ここまで規模が大きいとは。ネオフォボスという結社の底知れなさを垣間見れるな」
「…………」
 コルウィンとジョージも応えるように上着を脱ぎ捨て、それぞれタトゥーと流線模様を見せつけた。
「来やがれ、イレギュラーズ!」
「存分に俺たちの技を味わっていけッ!」
「我が木枯らしをもって吹き飛べぃッ!」
 二人と怪人が拳によってぶつかり合う。

 同じく地下闘技場。別のステージ。
 狼牙棒を操って怪人の攻撃を防ぐシクリッド・プレコ。
「この邪悪な魔素の流れから見るに、ほんとに沢山の怪人を従えているみたいッスね。
 ネオフォボス総帥め、在り方を歪めて造った手下で国を奪おうとするその所業、許してはおけない!
 ……ッスけど、無理は禁物。あくまで自分の役割に全部をぶつけるッス! おらぁーっ!」
 至近距離から繰り出す鋭い突きが怪人新宿シャークに突き刺さる。
 反撃の蹴りを飛び退いてかわし、かわりに美面・水城が割り込んだ。
「仲間には手を出させへんで! このうちを倒してからにしぃ!」
「ローレットの古参か……おもしろい」
 怪人の鋭いラッシュパンチを、水城は持ち前の頑丈さでいなし、フットワークを駆使して相手の懐へと潜り込む。
 重く打ち込んだブローが怪人の腹を打った。

 深層手前。イレギュラーズたちはいくつものステージに分断され、現われる怪人と戦っていた。
「当機は怪人ロボットコング。ロボの頑丈さとコングの怪力を併せ持つ……パワーだけでは幹部にもひけをとらない!」
「これが悪の秘密組織との決戦……なんだか燃えてきたぞ、やってやる!」
 モモカ・モカは機械の両手をがつんと打ち合わせ格闘の姿勢をとった。
「そう、ついに決着をつけるときが来たんだね……ネオフォボス!」
 チャロロ・コレシピ・アシタも同じように構えると、機械盾と魔動機剣を展開、装備した。
 ジェット噴射で突っ込んでくる怪人に、対抗するようにジェット噴射でぶつかっていくチャロロ。
「オイラも元いた世界じゃ正義の味方やってたんだ、なめてかかると痛い目みるよ!」
「アタイの鉄拳制裁をくらえー!」
 衝突した二人。チャロロの頭上を飛び越えて、モモカの空圧ブースト宙返りキックが炸裂した。

「フン、どうやら我々の戦いは『かの方々』にご満足頂けているようだ」
 腕の六本あるプロレスラーこと怪人阿修羅レスラーは中央の腕を組んで広く四本腕の迎撃ポーズをとった。
「どういう狙いかは知らないが――」
「ああ、食い破るのみ――!」
 雄々しく吠え、突撃をしかける天狼 カナタ。
「ここまで近未来的施設を作れることには感心するが……ここまでだ!」
 高速でスピンをかけると激しい手刀を叩き込むカナタ。
 銀城 黒羽は身に纏った闘気を凝縮させレスラーへと突撃。
「まーたネオフォボスか、懲りねぇなぁ。…いや、そんなこと言ってる場合じゃねぇか。ちょいと洒落になってねぇしな。さて、なら今回も気張りますか」
 黒羽は振り返ると、仲間に『俺ごとやれ』と叫んだ。
「そういうことであれば」
 メートヒェン・メヒャーニクは長いスカートをつまみ上げ、跳躍宙返りから鋭いキック姿勢をとった。
 まるで流星のごとく突っ込むメートヒェンの蹴りが周囲と地面とフェンスもろとも怪人を打ち抜いていく。
「直接的な恨みなんかはないけど、色々と悪さはしているようだし。
 それに、陛下からのご要望だ。
 悪いけど君達の組織は今日で終わらせてあげるよ」
 全て破壊し、コンクリートの地面を踵でえぐりながら滑り、停止するメートヒェン。
 と、そこへ。
 ぱちぱちとゆっくりとした拍手が響いた。

●出現、幹部怪人!
 途端に明るくなる地下空間。
 そこは広大なコロシアム式競技場だった。
 地面の芝から、それがドーム野球場に酷似した施設だとわかる。
 観客席にあたる場所には無数の戦闘員やノーマル怪人たちが並び、向こう側のゲートへ声援を送っていた。
 そして奥のゲートが開き、見覚えのあるシルエットが現われる。
 腕と一体化した巨大油圧カッター。
 全てを噛み砕くワニの顎。
 そう、秘密結社ネオフォボス幹部怪人にして幻想ナイル川計画の担当責任者、怪人油圧ワニファラオである!
 油圧ワニファラオは顔半分を覆う仮面に知性の光を走らせると、ガフフと笑い始めた。
「さすがは我らが宿敵イレギュラーズ……いや、混沌戦隊パンドラエイトと呼んだ方がいいか? なあ、パンドラレッドよ」
「そう呼ばれるのも久しぶりだな」
 フィールド中央へと現われるエリシア。
「もはや、当時とは強さの格が違うぞ」
「そのようだな。貴様も『影の称号』が多いようだ」
 構える。
 などという段階は必要ない。
 油圧ワニファラオが走り出しエリシアは助走をつけて飛び上がり――。
「クリティカルクルセイド!」
「解華業轟拳!」
 カッターと炎の拳が激突し、激しい風圧を波紋のように吹き広げる。
 が、力は油圧ワニファラオの方が上!
「ククク、強くなったのは貴様だけではない。ナンイドナイトメア様のお力で身体を満たしたオレ……コソ……ギ、ギギ、ギ……グガアアアアア!」
 知性の光を消し、獣のように暴れ始める油圧ワニファラオ。
「力はともかく、だいぶ狂気にやられてるようだな」
 観客席を駆け抜け、フィールド上へと華麗におりたつラノール・メルカノワ。
 同時にふわりと降り立ったエーリカ・マルトリッツが神子饗宴の空間を作り出す。
「みんなが笑っていられるせかいを……わたしは、ラノールとまもってみせるの!」
「ああ、その意気だ。少女が愛し、少女を愛してくれた世界を……必ず守ってみせよう!」
「グググ……!」
 標的をラノールへと移し、猛烈なクリティカルクルセイドを繰り出してくる油圧ワニファラオ。
 ラノールはあえてマトックを油圧カッターに食い込ませるように固定すると、パワー勝負へと持ち込んだ。
 エーリカの治癒がラノールの肉体疲労を取り去り、油圧ワニファラオのパワーと拮抗させる。
「チャンス! いくよシルフィ!」
「うん、がんばるのですっ」
 イリス・アトラクトスとシルフォイデア・エリスタリスが別方向から合流。
 油圧ワニファラオめがけイリスの猛烈なタックルが炸裂した。
 魔神黙示録による空間掌握と天使の歌による治癒フィールドの確保を開始するエリスタリス。
 二人がかりで押さえ込まれた油圧ワニファラオはイリスたちを振り払おうと暴れるが、簡単に振り払えるブロックでは無い。
 そんな怪人へ地道に攻撃を叩き込んでいくラノールたち。

 その一方で、別の屋内型サッカー場では別の幹部怪人がイレギュラーズたちを迎え撃っていた。
「ここまでたどり着ける実力を素直に褒めて差し上げましょう。余の名は陰陽ホトトギス皇帝。幻想を支配、分断した後北方統治を担当する者であるぞ。頭が高い」
 翼を広げ、描かれた陰陽陣を発動させる陰陽ホトトギス皇帝。
「この人、まだ支配すらできてないのになんでこんなに上からくるの」
「なんだろう……けどけど実力は本物みたい」
 飛来する無数の剣をドーム型の聖域によって防御するスティア・エイル・ヴァークライト。
 サクラは聖刀『禍斬・華』を抜き突撃の構えをとった。
「こやつ、余の呪剣をうけても眉ひとつ動かさぬとは。しかし剣の傷まで消せはせぬぞ!」
 巨大な剣を空中に生み出す陰陽ホトトギス皇帝。
「くるよ、スティアちゃん! 私達二人の力、見せてあげようね!」
「オッケー! 頑張ろうね、サクラちゃん!」
 スティアはあえて前に飛び出すと自分を対象に『月虹』の魔術を行使。優しい光が広がり、打ち込まれた巨大な呪剣に対してカウンターヒールを仕掛けた。
「何っ……!?」
 驚く陰陽ホトトギス皇帝へ、サクラが猛烈に斬りかかる。
 超高速で駆け抜けるサクラの剣が、陰陽ホトトギス皇帝の翼を切り裂いた。
「この剣……天義の騎士でおじゃるか!?」
「この世に不正義は栄えない! 天義の騎士がいる限り!」

「インテリ……は被るので毒親ブラック!」
 左腕の砲を展開して構えるラルフ・ザン・ネセサリー。
「本当にこの名乗りやんのかよー親父……アタシは情熱のパッションレッド!」
 明星の剣イシュラークをしなやかに構えてみせるミルヴィ=カーソン。
 一方でノリノリなサンティール・リアンがピッと指を突きつけるように構えた。
「我等こそ混沌に落ちし青天の霹靂、その奇跡の一端をご覧にいれましょう!
 芽吹きのみどりは慈愛のしるし――エンジェル・グリーン! きみのこころも、しびれさせるよ!」
「『「神がそれを望まれる」』……あ、私インテリピンクね」
 召喚した『紅い依代の剣・真秀』を握り込むイーリン・ジョーンズ。
 チーム【霹靂】……あらため。
「四人そろって……我ら、ヘキレキフォース!」
 ラルフたちはわざと背後で爆発を起こすと、対する怪人へとポーズをとった。
 それをじっと見ている怪人ティーガータイガー大佐。
 戦車の攻撃力と虎の雄々しさを併せ持った強力な幹部怪人だが……なんか黙ってこっちを見ていた。
「ンッ……」
 状況のシュールさについ笑いそうになり口元を押さえて顔をそらすイーリン。
「センパイー……。絶対これ敵も反応に困ってるやつだよ」
「なぜだ、完璧なポーズと爆発だったはず」
「そうです、見てください怪人がなにか言いますよ」
「貴様ら……」
 ティーガータイガー大佐は大砲になった両腕を突きつけると、目をぎらりと光らせた。
「格好いいな!」
「だろう!?」
「なんでウケてるの!?」
「クッ……!」
 もっかい口元を押さえて顔をそらすイーリン。
「もうなんでもいいやっ! 幻想の平和はアタシ達が守るからなっ! いくよ皆!」
 ミルヴィは得意の強化フィールドを展開。イーリンをアタッカー兼タンクに、ラルフを砲手に、そしてサンティールに光閃を中心とした援護射撃を任せ、コンパクトな至~中距離陣形で突撃していく。

 長く続く広い洞窟のような岩場を3mはあろうかという巨体が塞いでいた。
「俺様こそがネオフォボス最強のタフネス――採石ゴリラ監督!」
 イレギュラーズたちの攻撃を幾度も受けているにも関わらず、岩のような拳で余裕のドライミングをしてみせる。
「俺様を倒せない限り、この先へは進めんぞ!」
「行きましょうシャハル! 我ら兄妹に斬れぬものなど結構ないのですー!!」
「住所を入れたり目的を示してくれたり、妙に生真面目な組織だね……。
 だが実力は本物だ。……気を付けるんだよハンナ。君が倒れると僕はしぬ。二重の意味でしぬ。くれぐれも慎重に……っていない!?」
 ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズの制止をふりきって猛烈に突撃していくハンナ・シャロン。
 必殺の連続攻撃『殲刃神楽』を繰り出した。
 森の古代遺跡より発掘したという魔剣『Fate of ruin』の力も相まって、採石ゴリラ監督を盛大に切りつけてていく。
 ウィリアムはその後ろからチェインライトニングとパイロキネシスによる炙り攻撃を開始。
「ぐおお!? 貴様、現場は火気厳禁だぞ!」
 怪人は地面や壁を叩きまくり周囲を破壊。
 イレギュラーズたちは降り注ぐ岩に晒されたが……。
「白く舞う君は、今日も綺麗だよ。
 痛切な赤(流血)なんて似合わない。
 情熱の赤い薔薇なら、いつだって贈りたい気持ちはあるけどね。大好きだよ」
「ありがとう、ルーク……私も大好き! 赤い薔薇、楽しみにしてるから。絶対に勝つよ!」
 ノースポールを庇ったルチアーノ・グレコが折りたたみナイフ『コルテッロ・ダ・タスカ』をマスケット銃に変化させ、『月蝕』のウィルス弾を打ち込んだ。
 同時にノースポールも武器を銃『メアレート』に変化させ、『白流星』の弾丸を発射。
 そろって放たれた二人の弾が採石ゴリラ監督に命中し、怪人は怒りの形相でルチアーノへと襲いかかる。
「ミラ様、私達から生み出される恋の火力を見せてやりましょう!!」
「あたしのシエラは強いんだからっ!」
 背後に回り込んだミラーカ・マギノとシエラ・バレスティ。
 プラウラ・ブラウニーは攻撃の隙を作るべくダイヤエッジソードを構えて飛びかかった。
「いいなあ、私もいつか素敵な方と……って今はそれどこじゃなかった。行きます!」
 プラウラが水色の光を纏い、周囲の岩から即席で削り出した魔法剣を連続射出。
 チェルシー・ミストルフィンはうっとりするほど蠱惑的な剣『ヘブンズ・テンプテーション』を構え、シリアスな顔をした。
「相変わらずイチャついてるわね、シエラにミラーカ……。
 羨まし過ぎるわ……!! 当てつけに悪の幹部を責めてやる!」
 背中に並んだ無数の刃が次々と彼女の周りに展開され、まるで石を持ったかのように怪人へと飛んでいく。
 相手を魅了する刃が大量に突き刺さったことで怪人が完全に隙だらけとなった。
「体力バカにはこれが一番! 今よ、二人とも!」
「私達の高鳴りが共鳴し、戦場に恋の音を鳴らす。名付けて……」
 二つの剣を組み合わせ雷を起こしたシエラと吸血鬼のオーラを巨大な矢に変えて発射するミラーカ。
 二人の攻撃がひとつとなり、怪人の巨体を貫いていった。
「「恋鳴斬!!」」

 一方その頃、最深部に位置する巨大水槽へとヴォルペとヨハナ・ゲールマン・ハラタが落下していた。
 ぶくぶくと沈む身体、振り返るヴォルペに迫る巨大なクラゲ。
「ワタシは海の幹部怪人ベニテングサイアネアクイーン……この水槽に落ちた者は生きて外へは出られまセン」
 恐ろしい猛毒の子クラゲを大量に飛ばしてくるベニテングサイアネアクイーン。対してヴォルペは上着を脱ぎ捨てるとあてて子クラゲたちへと突撃していった。
「そうこなくっちゃな――楽しくなってきた!」
「ちょっとっすみませんこの日焼けクリーム不良品だったんですけどっ……てナンジャアコリャアッ!? ここサービスセンターじゃないんですか!?」
「UV殺しのクレーム処理はワタシが受けつけておりマス!」
「やっぱりサービスセンターだった!?」
 ヨハナは自分へ群がる子クラゲを振り払いながらベニテングサイアネアクイーンへと同じく突進。
 毒などまるで意味が無いとばかりに元気に怪人の長い足を引っ張って動きを遮ると、仲間へ攻撃のチャンスを作った。
「エエイ邪魔デス! ポイズンクラゲビームを受けてみるのデス!」
 ヨハナたちを打ち払うべく全方位にビームを乱射しまくる怪人。
 それを盾で乱反射し割り込むアルム・シュタール。
「我が盾は堅牢にして不落。皆様はワタクシがお守り致しまス!」
 白銀の護盾アルジャンでビームを弾きながら急接近し、自慢の護剣アルタキエラを突き立てる。
「ったくちまちまと鬱陶しい奴だねぇ 大丈夫かい?アンタ達」
 水槽に飛び込んできたヨランダ・ゴールドバーグがブレイクフィアーとメガ・ヒールによる回復支援を開始……しながら、怪人のでかいカサめがけて聖なる拳で殴りつけた。
「神様はカジノでギャンブル中だよ。来世ではもうちょっと悔い改めるこったね」
「鯛一尾食べ切れないなら、あなたはその程度なんですよ」
 と、そこへばしゅんと水面を突き破って飛び込んできたベーク・シー・ドリーム。
 猛烈な泳ぎでベニテングサイアネアクイーンへ突撃を仕掛けると、えぐり込むように身体を突き抜けていった。
「さあ、ここからは僕が相手で――うううわあ!?」
 ぼわあっと広がったベニテングサイアネアクイーンの触手と牙(?)がベークへと絡みつく。
 各種毒への抵抗力がなかったら今頃なすすべも無く分解されていただろう。
「ふむ……いい位置だ」
 水槽の上にある天井にはりついて様子をうかがっていた紫電・弍式・アレンツァーが、バリリと青白いスパークを走らせてその場から飛んだ。
 否、発射されたと表現する方が正しいか。
 紫電は青い弾丸となって飛び、ベニテングサイアネアクイーンを全力で突き抜けていく。
「ひいいっ! この剣……まさか『彼女』の言っていた紫電!」
「オレを知っている? 彼女とはまさか」
 振り返る紫電。しかしベニテングサイアネアクイーンは答えを述べる前に水槽ごと爆発四散した。

 一方こちらも巨大水槽。しかし水の一滴もなく、あるのは砂漠を模した砂のみ。
 リディア・ヴァイス・フォーマルハウトはその中心へと降り立ち、きょろきょろと辺りを見回した。
「飛んで火に入る……いや、飛んで砂に入るイレギュラーズ!
 貴様はこのラサ緑地化計画担当幹部怪人、ホスゲンスコーピオンキングの餌に選ばれたのだ!」
 砂の下から現われる全長3mはあろうかという巨大なサソリ。
「どうした娘よ。無力な自分を呪ったか?」
 リディアは身構えると小さく首を振った。
「私一人では恐らくあなたには勝てないでしょう。ですが、私は一人じゃない。頼れる仲間と力を合わせてあなたを倒します!
 あなたの多才な技を抑えることが出来れば、私たちの勝機も見えてくるはずです」
「何……?」
 と、そこへ。
 ひつぎがすとんと着地した。ヘッドホンを片手で押さえ、黒目がちな目を開く。
「二人いれば確実でしょう。手伝いますよ」
 抵抗力には自信もありますしね、とヘッドホン脇のダイヤルを操作するひつぎ。
 さらには海音寺 潮がサメ飛行をかけながらポチと共に空中旋回。
「総帥と戦う若者たちの邪魔はさせんよ。
 ここはわしらが頑張るからお主らは先で頑張りなさい」
 先へ向かう者立ちへ手を振ると、潮は『神子饗宴』を展開。錫杖をじゃらりと鳴らした。
「き、貴様ら……一体何人で毒を防ぐつもりだ! もうそのくらいでいいだろう!?」
「諸君、ゴッドである!」
 光と共に垂直落下してくる御堂・D・豪斗。
「ネオフォボスとやら、ゴッドは嫌いではないが……見逃す訳にも行くまい!
 ヒーローズ&エンジェルズがその力をパーフェクトに発揮するためにゴッドもパゥワーを尽くそう! ゴッドウィズユー!」
 激しい光を放つゴッド。空飛ぶサメ。猫耳ヘッドホンボーイ。そこに平然と混ざるリディア。
 毒や熱をはじめとした状態異常を得意とするホスゲンスコーピオンキングはあからさまに焦っていた。
 素の能力の高さゆえそうそう負けたりはしない自信はあったらしいが、個性を生かせない怪人はもはや死んだも同然なのである。
「待たせたな!」
 そこへトドメとばかりにグレン・ロジャースが到着。
「防御も抵抗も、俺がミスって受け損ねる事は絶対にねえ。防げない場合は、相手に何かあるってことだ。
 そして俺が受けきれないなら、他の連中には余計に受けさせるわけにはいかないな!
 俺の後ろは絶対守護、不可侵の領域ってな!」
「ええいいい加減にしろ!」
 サソリファイヤーと叫んでしっぽから火炎放射をしかけるホスゲンスコーピオンキング。
 グレンは守護聖剣ノルンで炎を切り裂き、仲間たちから『敵が可哀想になるくらい過剰な治癒』をうけて突き進む。
 が、それで終わらないのがイレギュラーズ。どんどん来るぞ。
「聖なる銃を構え聖なる闘衣に身を包み、聖なる感じのクラスでロザリオまで用意した我が聖なる力、悪の幹部なぞには負けないのである!!」
 鋼の両腕を地面に打ち付けるようにして着地するローガン・ジョージ・アリス。
「魔種が関わる以上、彼らの商品から狂気が蔓延するとも限らん。まぁ、彼らが、それを意図しているかはともかく。何にせよ、先へ進む者のために、道を切り開く」
 黒い膜をクッションにしてどふんと砂におりたつ恋屍・愛無。
「それも、らぶあんどぴーすというものだろう」
 巨大な蛇に変化し、相手に食らいつく愛無。
 鋼の拳で殴りかかるローガン。
 そして剣で突撃していくグレン。
「お、おのれーーーー! イレギュラーーーーーーズ!!」
 あまりの完封さに、ホスゲンスコーピオンキングはほとんどいいことなく爆発四散した。

「ねおふぉぼすさん はじめましてだから だれがだれか わからないわね。
 たたかうってことも ほんとうは よくわからないの。
 だから わたしにできる このいちげきに すべてを」
 真っ白で出口の見えない巨大な立方体型のルームにて。
 激しいダメージを受けてもまるで関係ないとばかりに立つポムグラニットが、美しい薔薇水晶から魔術砲撃を発射する。
 球体状になって飛び回る幹部怪人ローラーダンゴ軍曹をはじき飛ばすが、怪人は硬い壁にぶつかって反射、再び狙いをつけてきた。
 別の方向からスティールライフと遠術で援護攻撃をおこなう黒・白。
(そうやって呪い殺してきた者達の重さを味わうといいのです。
 まだ負けてない。なら手を伸ばせる、お前等に勝つために)
 そこへ駆けつけ、回復支援を開始するマルク・シリング。ミリアドハーモニクスや超分析、時にはスーパーアンコールを駆使して味方を救護していたが、猛攻をくぐり抜ける中でついにスタミナ切れをおこしはじめたようだ。
「それでもまだやれる。いわば僕は戦場を駆け巡る救急救命医のようなもの。一刻を争う状況で、優先順位を誤らず、適切な措置を施していくのが仕事だ。最適解を、選び続ける」
 同じく駆けつけたP・P・Pがスーパーアンコールにてマルクの回復をはかった。
(ネオフォボス。やっていることは面白おかしい取るに足りない悪事ばかりのようですが、相手が魔種となれば、笑って済ませる話ではありません。今後のイベントと幻想の未来のために)
「相互理解が不可能ならば、殲滅戦の覚悟を持って挑むべきです」
「貴様ら、なかなかやるようだが……ナンイドナイトメア様のもとへ行かせるわけにはいかんな!」
 突撃を仕掛けながらもカッと激しい光を放つローラーダンゴ軍曹。
 咄嗟にカウンターヒールをかけるマルクたちをよそに、怪人は彼らを巻き込んで自爆した。

 いくつもの部屋に分断されては幹部怪人に狙われるイレギュラーズたち。
 だが次第に罠も減り、総帥ナンイドナイトメアの待つ最下層への道がはっきりと見えてきた。
「これは……」
 いくつかの扉が並ぶ部屋にたどり着いたエナ・イルとイレギュラーズたち。
 扉の上部に設置された大型スクリーンに映るナンイドナイトメアを見て、ごくりと息を呑んだ。
「そうだ」
「可愛すぎるボクとビデオチャットがしたくなったんですね!?」
「ちがう。意図を汲んで『そうだ』と言った我が時間を返せ」
 ドア表面に出現したパネルにそれぞれ怪人の顔が表示されていく。
 ナンイドナイトメアは咳払いをして説明を始めた。
「ローレットよ、我がアジトの最深部までたどり着いたのは貴様らが初めてだ。
 その功績に免じて、我が玉座までたどり着くチャンスをやろう。
 この扉の先にいる幹部怪人たち全てを倒すことができたなら、我がフロアへの道を開いてやる。
 ただし幹部怪人への道は一方通行。死しても屍を拾う者はないと知れ。よいな?」
「いいでしょう……」
 ニッと笑うエナ。
 クククと笑うナンイドナイトメア。
「その勝負、このエナちゃんが受けて立ちますよ! ダンス対決でいいですか!?」
「丁寧に説明をした我が時間を返せ」

 ニーニア・リーカーたちがたどり着いた部屋はまるで大草原のようだった。
「地下にこんな場所があるなんて……どうなってるんだろう?」
「よく来たんだなあ」
 ゴロゴロという音と共に現われる……巨大コロコロ。
 直径3m。柄の所も含めたらもっとありそうなあの、なに、絨毯とか掃除するときにつかうコロコロするやつが転がってきた。
「……」
「僕は幹部怪人、コロコロコロコロコロコロなんだなあ」
「え、なんて?」
「いくんだなー!」
 ズゴオと謎の迫力をだして突撃してくるコロコロ。ニーニアは飛び上がって回避すると、切手流星群を発射した。
 投げた切手が次々とコロコロに張り付いて粘着力を殺していく。
 が、すぐにぺいっと表面のシートをはがして再突撃をかけてくる。
「まけないんだなー!」
「見た目のわりにすごく強いタイプだ、これ!」
 瞬間、大地から巨大な石の柱が飛び出しコロコロを吹き飛ばした。
 オーガスト・ステラ・シャーリーによる石柱魔法である。
「秘密結社ネオフォボス…名前は聞いた事ありますが実際会ったことないんですよね。
 ただ強い方達と聞いてますので油断は一切しません。その……相手がコロコロだったとしても!」
「いたいんだなー! けどまだ転がれるんだなー!」
 ズゴオと突進してくるコロコロ。
 オーガストはメガヒールの術を唱えながら飛び退き――間にズドンと割り込んで着地した矢都花 リリーへ治癒魔術を送り込んだ。
「転がってるだけで仕事になるとかさぁ……羨ましいよねぇ……きれそう」
 矢都花 リリーは秒とたたず『キレたねぇ』と呟いて目をかっぴらくと、手にしたバールを投げつけ始めた。
「世界征服を企む割には回りくどい印象がありましたが、こういうのを見ると大変大きな組織だったのですね、ネオフォボスはー」
 追って駆けつけたユゥリアリア=アミザラッド=メリルナートが美しい歌をとなえて魔術を行使。
 あちこちから飛び出してきた糸がコロコロに絡みつき、動きを封じていく。
「うごけないんだなー。けどこんな糸、すぐにちぎってやるんだなー!」
 拘束を脱しようともだもだともがくコロコロ。
「星見の神子が奉る。我らが気高き英雄に、疾き祝福を授け給え」
 そのチャンスを逃すまいとリウィルディア=エスカ=ノルンが飛び込んでいった。
「君たち怪人に必要なのは、絶対的な“死”だけだよ」
「僕が立ってられるうちに決着がつけばいいな。よし、がんばれみんなー」
 舞音・どらも飛び込み、渾身のディストラクションを叩き込んでいく。
 どれだけHPが高くても純粋な高ダメージを叩き込み続ければいつかは倒れるもの。
 ただしそれをよどみなく行なう正確さも必要とされる。
 ついに拘束を脱して暴れ始めるコロコロ。
 スー・リソライトはそんな現場に乱入し、まっすぐな剣『Dance of death』を突き立てた。
「ああっ! コロコロにそんなに爪を立てたらだめなんだなー!」
「さ、疲れ果てるまで!一緒に踊って踊って踊り狂いましょっ?」
 踊るようにコロコロを切り裂き、毒や炎を的確に打ち込んでいくスー。
「さあ皆、囲んで叩くよ! マイムマイムだ!」

「我が殺戮の間を選ぶとは、どうやら命がいらないと見える」
 両腕のチェーンソーとガトリングガンを唸らせ、怪人はギザギザの歯を見せて笑った。
「我はゾンビシャーク総監督。ゾンビ映画とサメ映画の凶悪さを併せ持つ破壊と殺戮の権化である」
「名乗り、頂やした」
 諸肌を脱ぎ、ダンと足を踏みならすカンベエ。
「ワシぁ生まれも育ちもわかりやせんが、根城は幻想ローレット。
 海の岸辺に打ち上げられたが記憶のはじめ――パンドラ集めが使命でござえます。
 人呼んで――名乗りのカンベエ!
 幹部と名乗るならば、悪と言うならば! この命取って見せい!!」
「むう……!」
 思わず見入り、踏み込んでしまうゾンビシャーク総監督。
 その様子にカイト・シャルラハは小さく唸った。
「あの精度で、強敵の注意を引きつけるか……あいつ、なかなかやるな」
 カイトの主な役割は自慢の緋翼を打ち込むことで敵の注意を一点に引きつけ、そして非常識なほど卓越した回避能力で攻撃を空振りさせ続けることである。
 ゆえに、命中精度の低さからくる『引きつけるまでの手間と難しさ』をよく知っていた。
 言い方を変えれば、カンベエの名乗りに全力をかける姿勢からは、大ベテランにして軍人(自称漁師)の息子カイトにも見るべき所があったようだ。
「いいぜ、俺も手を貸してやる!」
 カイトはガトリング射撃をしかけながらカンベエに突撃するゾンビシャーク大監督との間に割り込むと、飛来する弾丸を全て翼ではねのけてしまった。
「こいつの猛攻を俺とお前で支えきる。仕留める仕事は任せたぜ!」
「なるほど、悪くねえ……」
 亘理 義弘はニヤリと笑い、その辺に落ちていた酸素ボンベを握りしめてゾンビシャーク大僧正へと叩き付けた。
「正義なんて柄じゃねえ、言ってしまえば、お前さんらと左程変わらねえ存在だがよ。任侠の心意気って奴を、見せつけてやるぜ」
「しかしこの基地…随分と深いな…どうやってこんな基地を……後で探索してみたいもんだな」
 反対側から突撃をしかける伏見 行人。
 強靱に仕上げられた肉体から繰り出されるブロッキングバッシュがゾンビシャーク大監督へと命中した。
 両サイドから行人と義弘が掴みかかり、逃れようとする怪人にカイトがツメをたてる。
「ただ、守られてるだけじゃダメなんだ。
 降りかかる火の粉を払ってお互いに守り合うんだ。
 守るための破壊、そのために鍛えた力だ。
 平穏を勝ち取るための力、争いを起こさせない為の力だ……!」
 ムスティスラーフ・バイルシュタインの最大火力むっち砲が発射され、ゾンビシャーク大僧正を貫いていく。

 踊りながら虹色のビームを打ちまくる幹部怪人レインボーレイニープリマ。
 コゼットは砲撃を連続バク転によって回避し、はじける火花をマントによって振り払った。
「攻撃力高くても、当たらなきゃ、意味ないよ…!」
「ちょこまかと……!」
 狙いをつけ直そうとする怪人を、雨宮 利香とヨハン=レームのサンドアタックが押し止めた。
「ついに出てきましたね! 秘密結社ネオフォボス! …こいつらめっちゃ愉快痛快って感じですけどホントに魔種の眷属です?」
「何する会社? 結社? なのかよくわかってませんけどま、真面目に…!!
 ええと、爆発四散するまにえ投降しませんか!」
「笑止ですわ!」
 自らを中心に虹色の爆発を起こす怪人。
 利香たちはそれを剣や盾ではねのけると、残る仲間たちへと振り返った。
「悪いけど、こんなトコで負けてる場合じゃないんだ。
 他の連中の手があくまで…とことん付き合ってもらうよ!」
 ニア・ルヴァリエの風奪いが怪人へと巻き付いていく。
 流れを奪ったニアにレインボーレイニープリマは恐ろしい連続攻撃を放ってくるが、コゼット、利香、ヨハンはローテーションでニアを庇うことでダメージを拡散。一人だけでは耐えきれなかったかもしれない連撃をチームの力で耐えきった。
 そこへふわりと降り立つLumilia=Sherwood。
 『神の剣の英雄のバラッド』を展開し直すと、ニアたちの治癒を開始した。
「あちらこちらに難敵が犇めく状況で、どの場所も予断を許さない状況になりそうですが……。
 私たちは運命得意座標。生きて勝利し、英雄として帰還しましょう。是非、祝勝会で活躍を奏でさせてくださいね」
「僕の回復は、途切れません!
 そして、一つのミスも犯しません!」
 同じく飛び込んできたエストレーリャ=セルバが天使の歌を開始。
 優れたタンクと優れたーヒーラーが手を組んだなら、無敵の城塞となることも可能なのだ。
「幻想を支配なんてさせません。
 誰も、その攻撃で倒れさせたりもしません!」

「ぇと、これは飲み過ぎた夜に見た夢かしらぁ……あっ違うのね。
 でもまぁ報酬ががっぽり出るっていうんですもの、お酒代のため! いくわよぉ!」
 手袋をした右手を鳴らすアーリア・スピリッツ。
 色っぽく投げキスを放つと、幹部怪人シェルタートル大僧正は途端にぐらりとよろめいた。
「ぬぐぐ!? なんという効果……足下がおぼつかぬ!」
 ウェール=ナイトボートとレーゲン・グリュック・フルフトバーはここぞとばかりに追撃をしかけた。
「ギャグっぽい集団と思っていたが、地下にこんなな空間が作れるとは……。
 今回は盾役中心で後ろに守らなきゃいけない一匹と一人がいるし、気を引き締めていかないとな」
「……レーさんだけだったら怖いからこんな最深部に行かないけど。
 ウェールさんにグリュックが一緒にいてくれるっきゅ!
 負けられない気持ちを全力でぶつけるっきゅ!」
 レーゲンの放つMAビーム。ウェールは『ちび梨尾さん次男』を引き連れ襲いかかり、怪人シェルタートル大僧正へと『狂化の残照』を繰り出していく。
 さらなる追撃として『殺す覚悟』で攻撃を仕掛ける主人=公。
「ぐぬぬぬ……舐めるな! ゆくゆくは天義支配計画に組み込まれるこの幹部怪人シェルタートル大僧正がこの程度で負けはせぬ! 破ァ!」
 気合いを入れるとエネルギーの波が引き起こされ、ウェールたちが途端に吹き飛ばされていく。
 飛んできた仲間をひらりと回避し、『にゃははー』と笑う道頓堀・繰子。
「どんだけ硬い相手やろうが関節なんかは脆いモンや。
 クリティカルヒットの防御無視攻撃でそこをついで削ってったろか!」
 繰子は素早く背後に回りこみ、『キャタラクトBS』を仕掛けていく。
「なら正面は任せるんだお!」
 一方でニル=エルサリスが腕をぐるぐる回しながら真正面から突撃。
「クルネーチャン直伝……『怒りの鉄拳制裁』だぬ!」
 うおーといってまっすぐに殴りかかるニル。
「守りの鬼と言われたこの大僧正。受けてみせる!」
 がっちり守りを固めた怪人――の側面から壁を蹴った三角飛びで襲いかかるソア。
「カメコトドとは格が違うけど……でも負けない、皆で力を合わせればきっと立ち向かえる!
 ボク達を止められると思わないで!」
 びりびりを纏った拳を振り込み、怪人のシェルター化したボディを電撃で貫いていく。
「そういうことっ。
 ただの変態さんの集まりじゃないのは分かったけど、悪いことをしてる人達ならお仕置きするよ!」
 その反対側に回り込んだ炎堂 焔がカグツチ天火に炎を込めて、必殺の紅蓮桜を叩き込む。
 雷撃と交差するように炎が怪人を貫き、さらには――。
「このグドルフさまがボコボコにブチのめしてやるぜえ!」
 グドルフ・ボイデルの強引なぶった切り。
 頑丈さが自慢のシェルターが斧によって切り裂かれていく。
「ば、ばかな! 改造手術もうけていない一般人がなぜこんな力を……! グ、グワー!」

「拙者、武者鎧骸骨総大将。義によって貴殿らを抹殺する」
 鎧に包まれた精霊種が無数の霊魂を呼び出し守りの盾とした。
「我が身、我が命、この剣に宿し振るいて撃とする!
 弧注一擲、観光客らしからぬ技さ、とくと味わうがいいさ!!」
 そこへ挑みかかるアト・サイン。観光客流剣術奥義『孤注一擲』による防御を無視した斬りかかり。
 決死の突撃に武者鎧骸骨総大将が目を見張る。
「まさか、陛下が秘密結社ネオフォボスを壊滅させる為、直々に依頼を出されるなんてねっ。
 これは幻想貴族の一人として動かない理由は無いわ!!
 幻想の陥落を目論む秘密結社の壊滅依頼、必ずや全うするわよ!!」
 同時に飛びかかるアルテミア・フィルティス。
 剣に纏わせた青い炎が守りの亡霊たちを次々に切り裂き防御をこじ開けていった。
 そこへさらなる剣技によって追撃をはかるシフォリィ・シリア・アルテロンド。
「幻想を悪の組織の支配下になど置かせはしません、確かにフォルデルマン陛下はちょっと危うい方かもしれませんが、国を思う気持ちは誰にも負けない方です!
 貴方達ネオフォボスになど、思いの強さで負けるわけにはいかないのです!
 シフォリィ・シリア・アルテロンド、参ります!」
 きわめてまっすぐな剣が怪人の鎧の隙を穿つように突き刺さる。
「ぐふ……我が守りを破るとは、さすがは幻想の騎士たち。
 しかし簡単に死にはせぬぞ。伊達に幹部怪人をやってはいない!」
 両手にもった剣を振り回し薙ぎ払いにかかる武者鎧骸骨総大将。
 が、そんな彼の背後に雪村 沙月がゆらりと回り込んでいた。
「防御に自信があるようですね。その鼻をへし折ってみせましょう」
 夢幻――神速の踏み込みから放たれる強力な一撃。相手は打ち込まれた頃にすら気づかず死に至るという。
 鎧を抜いた鋭い突きに、怪人は血のようなものをはき出した。
「ノリの割にガチでヤバい連中だったな。予定通り、全身全霊で挑ませてもらうとすっか!」
 ルウ・ジャガーノートが側面からの豪快な打撃を繰り出していく。
 『超突豪進』と呼ばれた彼女の圧倒的なパワープレイは、防御に優れた怪人を強引に突き飛ばし、壁へと叩き付けていった。
「ぐ、ふ……強い! しかし、ナンイドナイトメア様に忠誠を誓った身。ただでは通さぬぞ!」
 怪人武者鎧骸骨総大将の目がギラリと光った。

 ラダ・ジグリは愛用のライフルSchadenfreudeを構え、浮遊する星形のクリスタル物体へ連射を続けていた。
「サメ怪人が祭で花火怪人になって爆発四散してるのを見た時は思わなかったけど。
 魔種を筆頭に組織化してるって、普通に大事だったな……」
「大事では済まされませぬ。このもの、幹部怪人ダイアモンドスタークリスタルテンペストを前に、国ごと滅び去るがよいでしょう」
 高速回転を始める星形物体。纏った嵐がさらなる射撃を弾き始める。
「みんなを傷付けようとするなら容赦はしないよ……!
 心の臓まで凍て付くような連撃を見せてあげるね」
 氷のように美しい日本刀『雪月花』を手に、氷彗は奥義・雪華乱撃を繰り出していく。
 嵐による防御を打ち崩すべく、幾度もの連撃を叩き込むのだ。
「流石に硬いね」
「むろん!」
 嵐を広げて吹き飛ばそうとする怪人。
 しかし横から割り込んだ清水 洸汰が嵐をバットで振り払い、そして相手に突きつけた。
「どっちが最後まで立ってられるか、オレと勝負しろー!」
「勝負? この人知を越えた私と? おもしろい、受けて立ちましょう!」
 星形のエネルギー体を大量に生み出し、ガトリング掃射のごとく乱射してくる怪人。
 洸汰はそれを次々に跳ね返していく。
「初めてお目にかかったのは去年のシャイネンナハトだったかな。
 今年も来るのかと思っていたけど、それより早く決着が着きそうだね。
 幹部相手にどこまでやれるか分からないけど……鍛錬は積んだし、頑張ってみようか」
 飛来する星を全て刀で切り落としながら突き進み、神速の斬撃を叩き込む風巻・威降。
「お主は何か硬さに自身があるようじゃが……。
 防御力など関係ないお主は妾の不思議な呪いで死ぬことになる」
 デイジー・リトルリトル・クラークが壺を振り上げ悪いあおり顔をした。
「仕上げじゃー! 誘う青き月! 蝕む赤き月!」
 デイジーの生み出した二つの月が星形物体へ放射をはじめ、硬い嵐による防御のうえからじわじわとダメージや異常状態をしみこませていく。
「い、いけません、これはまさか呪殺練り殺しスタイル!」
「今更気づいても遅いのじゃ!」
「その硬い殻をぱっかんと割ってやりましょう!
 一瞬の閃光の輝き! 特と見るが良いです!」
 夢見 ルル家が自らの宇宙力を瞬間的に強化し、必殺の銀河旋風殺を繰り出した。
 限界を超え多重銀河分身したルル家が一斉に宇宙警察忍者武器を繰り出していく。
「この幻想の正義は宇宙警察忍者が守ります!」

 幹部怪人たちを倒したことで開かれる扉。
 扉を抜けると、そこは広い採石場だった。
 青空を模した巨大天井のせいか、まるで野外にいるかのようである。
「我こそがフォボス親衛隊を率いる幹部怪人――GAU8タカジェネラル!」
「同じくツルギキャットアドミラル!」
「同じくサルマーネモンキー博士!」
「同じくドリカンガルー総主任!」
「同じくマッスルベアコング隊長!」
「同じくロボットカピパラレンジャー!」
「同じくポエムアライグマ先生!」
「「我ら大幹部フォボス親衛隊!」」
 ドドーンという爆発を背に幹部会人たちがポーズをとった。
「久しぶりだなイレギュラーズたちよ」
「散っていった仲間たちのうらみ、ここではらさせてもらいます」
「もうモノローグはながれない。ここが最後の戦いだから」
 GO! といって次々に襲いかかってくる。
「名前はファンシーだけど実力は確かのようね。
 惑わされず、乗せられず。いつも通りやりましょう」
 アンナ・シャルロット・ミルフィールは輝煌の水晶剣を水平に翳すと、ツルギキャットの超高速連続斬撃を黒い陽炎のごとくすらすらと回避していく。
「あなたが私を倒すのが早いか、ナンイドナイトメアとかいうのが倒れるのが早いか…勝負といきましょう?」
「けどさすがは幹部怪人ね! オーラがすごいわ……。
 しかし私は聖鳥よ!恐れずに戦ってみせるわー!」
 トリーネ=セイントバードがふわーっと飛び上がり、空に向けてこけぴよソングを歌い始める。
「そうはさせないよ。ここが最後の見せ場なんだ」
 カピパラレンジャーブルーが突然モノローグを語り、仲間をなんとなく治療し始める。
「のじゃのじゃの……ハッ、ここは!? そしてこのポエムは!」
 首を振るフラン・ヴィラネルに聞こえてくる謎のポエム。
「――ああ、愛しのルーナ・プレーナ」
「な、なつかしい! あたしが初めてたたかったアライグマーンだ!」
 フランはキシャーと戦闘の構えをとると、負けじとポエムを詠み始めた。
 互いに展開する『天使の歌』がダメージを拮抗させ、お互いを牽制する。
「これ以上の回復はさせん! 総攻撃だ!」
 タカジェネラルの機関砲とサルマーネが集中攻撃。
 しかし。
「あぶないですのー」
 横からどんと突き飛ばしたノリア・ソーリアがなんでかわかんないけど弾丸や注射器を跳ね返しタカジェネラルたちを迎撃した。
「ぐおおおお!? 厄介な反射能力を……しかし攻撃を続ければ死ぬのは相手の筈!」
「ややっ、待ってくださいジェネラル。奴の最大HPは……キキッ!?」
 サルマーネの装着していたスカウターが爆発した。
「わたしは、『小鉢マアナゴ姫』ですの…いざ、尋常に、勝負ですの!」
「しかも何か言い出したぞ!」
「もしかして……怪人だったのか……?」
 一方でリーゼロッテ=ブロスフェルトがドリカンガルーと激しい打ち合いをしていた。
「わたしは未来の大魔女。つまり大幹部じゃない限り負けはない! はず!」
「ガァッハッハッハ! 俺様はいずれ大幹部になる男! イレギュラーズの娘に負けるはずは無い! はず!」
 リーゼロッテが空中に描いた魔方陣を完成させ、白き雷を発射した。
「覚悟するのだわ! 罪に罰を。罰に愛を――『慈愛神の裁き(ジャッジメント)』!」
「負けん、ドリルドリーム!」
 正面から打ち合った雷とドリル。
 そして威力で勝ったのは……リーゼロッテの雷であった。
「何ぃ!?」
「ウォォ――ホゥホゥッッ!!! ウォォー!! ウッホゥ!!」
 マッスルベアコングがそんな二人に割り込むように突進。
 形成は二対一……かに思われたが。
「ヘヘッ、よりどりみどりだぜ。ネオフォボスがなんぼのモンじゃい! ゴブリンの図太さ見せてやるぜ!」
 キドーはベアコングの背に張り付き素早くよじ登ると、顔面にフォースオブウィルの魔術をべちんと叩き込んだ。
「ホゥホゥッッ!!!」
 それを払いのけようと渾身のパンチを……うっかり自分の顔面に繰り出すベアコング。
「ホゥオオオオオオ!?」
 キドーは素早く飛び退き、キシシと歯を見せて笑った。

 次々と難関を突破していくイレギュラーズたち。
 だがそんな彼らを待ち受けていたのはネオフォボスの大幹部――。
「バズーカライオン大佐、見参」
 赤い扉の前に立ち、バズーカの腕をとんとんと叩くバズーカライオン大佐。
「ナンイドナイトメア様はこの扉の向こうだ。
 だが、そこにいる全員を向かわせるわけにはいかんな」
 ここまでたどり着いたメンバーはおよそ40名。
 これだけの組織を束ねる魔種を倒すにたる規模なのか、どうなのか……。
 ここで人数を減らされるのはまずい。
「ここは任せて先に行くにゃ」
 シュリエが両腕に力を漲らせ、バズーカライオン大佐の前へと立った。
「貴様……知って居るぞ。『爆殺人形』のシュリエだな」
「なんか知らないうちにすごい呼び名がついてたにゃ!?」
「相手にとって不足なし」
「おっと! 一人だけいいかっこはさせないよ!」
 蒼嵐を手に並ぶシャルレィス・スクァリオ。
「何度復活してみせたってよぉ、決着ならもうついてるんだぜ」
 ポケットに入れていた手を出し、ぽきぽきと拳を鳴らすシラス。
「先に行って!」
 シャルレィスは叫ぶと、バズーカライオン大佐めがけて高速連撃を繰り出した。
 両手に纏わせた魔力を行使し、バズーカライオン大佐の弱体化を図るシラス。
「こいつは俺が押さえておく」
 シラスたちに頷き、残る仲間たちはドアをくぐってナンイドナイドメアの待つ最後の部屋へと飛び込んでいく。
「怪人だろうが魔種だろうが言うことはひとーつ! 日向ぼっこの邪魔にゃお前ら!」
 跳躍し、腕に仕込んだ大蛇の力を解放するシュリエ。
 砲撃を放つバズーカライオン大佐とシュリエのパンチが、激しく交差する。

●秘密結社ネオフォボス総帥『ナンイドナイトメア』
 ドアを潜った先にあったのは、王の間であった。
 例えるなら幻想の王フォンデルマンの玉座がおかれた部屋が、そのまま赤黒く塗りつぶされたような空間である。
 広大で、豪奢で、そしてどこか禍々しい。
「よく来た、ローレットよ」
 玉座につき、顎を上げるナンイドナイトメア。
「王の気まぐれとはいえ、本当に我がアジトを攻略できうるとは……二年前とは比べものにならぬ成長速度。やはりローレットは世界征服を前に捨て置けぬ存在、というわけか」
「フン、なにを今更。それに『悪の秘密結社』は貴様の専売特許ではないぞ」
 コートを脱ぎ捨て、衣装を露わにするダークネス クイーン。
「我の断りなく悪の秘密結社を騙り!世界征服を志そう等と言語道断である!
 我こそは悪の秘密結社『XXX』(トリプルクロス)が総統! ダークネスクイーン!
 貴様等に真の悪とは何たるかをトラウマレベルで刻みこんでくれよう!
 行くぞ! 『悪の華』部隊――総勢1名参陣!」
 と、いいながら、ひろーい玉座の間で一人天を指さしていた。
「……くっ、一人か!」
 途端に膝を突くダークネスクイーン。だが、しかし!
「いいや、総統ちゃんは一人じゃないよ!」
 颯爽と現われる透垣 政宗。
「ネオフォボスの一周回ってイベントになる感じ、嫌いじゃなかったんだけどね。
 今日が年貢の納め時ってやつさ。割と善寄りの自覚があるけれど、今日は悪として花を添えさせて貰うよ!」
「ましゃむねぇ!」
 muguetの魔法を仕掛ける政宗。
 相手の思考をとろけさせる幼少の夏の思い出めいた魔法に合わせ、元気百倍となったダークネスクイーンが世界征服砲を発射する。
「ぬう……」
 手を翳し、砲撃を防御するナンイドナイトメア。しかし威力のあまり玉座は破壊され、思わず立ち上がる。
 そこへポテト=アークライト、ノーラ、リゲル=アークライトの三人組もとい一家族が一斉に襲いかかった。
「陛下のご彗眼と行動力、お見事でした。
 こいつを放置しておけば、メカセララ団長が量産されてしまう。
 未来の脅威を防ぐためにも、今ここで打ち倒す!」
「何だか今まで愉快な濃い怪人たちの集まりだと思っていたが……うん。
 危険なことには変わりないし、ここできっちり止めよう!
 陛下とシャルロットの為にも!」
「パパとママが一緒なら安心だし最強だー!! 僕も頑張るー!!!」
 ポテトが彼らを思う祈りが癒やしの力となり、ノーラの放つ魔法がナンイドナイトメアへと浴びせられる。
「今だよパパ!」
「闇あるところに光あり! 俺達は屈しはしない!」
 輝く剣を握りしめ、リゲルの突撃がナンイドナイトメアの防壁を打ち破る。
 絆の力。それは何よりも強い力なのかもしれない。
 夜乃 幻とジェイク・太刀川も、そのタイミングを狙って一斉に攻撃を放った。
「僕は『夢幻の奇術師』夜乃幻」
「俺は『灰色狼』ジェイク・太刀川」
「「二人合わせて幻狼」」
「勇気のステッキを」
「正義の銃弾を」
「「受けてみろ」」
 ジェイクの放つ弾丸に幻の生み出す蝶の奇術がのり、ナンイドナイトメアへと迫った。
「人々を想いを」「人々の願いを」
「「今解き放つ!」」
「「喰らえ! 夢幻の狼牙!」」
 通常の怪人であればとっくに爆発四散している威力である。
 ナンイドナイトメアといえど、余裕でなどいられないようだった。
 張り巡らせたドクロ型の防壁が砕け散り、仲間への道が開かれる。
「ま、ここまでやるんだから、少しぐらい骨のある魔王であって欲しいけどな」
 スキル整理をバッチリ終えた御剣 涼太が無数のエンチャントがかかった『基本攻撃+』を放つ。
 同時に赤羽・大地が紫、黄、白の魔力弾を次々に爆発させる妙技『三色菫』を放った。
 爆発に包まれたナンイドナイトメアが半歩下がるのが見える。
 ここが踏み込みどころ。反撃に繰り出された闇色の砲撃に対抗して赤羽・大地は防御の弱い仲間たちを庇うように立ちはだかった。
「貴重な戦力が何人も倒れるくらいなら……」
「ナイトメアさんのもつフォボスローダーを見せてもらいに来ました!練達で量産しませんか?異世界技術に皆興味津々なんです!バイク!いいですよね、儂もバイク好きです。いや詳しく知らないけど。きっとナイトメアさんのフォボスローダーもいいものだと思うんです。戦闘終わったら譲ってもらいたいんですが、ダメですか?」
 砲撃と爆発の光と闇が晴れた瞬間、死角から剣魔双撃で襲いかかるリアナル・マギサ・メーヴィン。
 同時にグランツァー・ガリルがアースハンマーの精霊術を行使。
「大地に芽吹く人の営みを蝕む者こそは、淘汰せねば、ですよう。
 とはいえ一人で戦える道理もなく。皆様の支援をしつつ、自分のできることをこなしていくだけですよう」
 盛り上がった土が巨大なこぶしとなり、ナンイドナイトメアに殴りかかる。
「悪ふざけにしか見えないような姿と組織と活動内容なのに強さはホンモノだね!
 だけれどオレたちも負けるワケにはいかない! いくぞッ!」
 そして正面から突撃したイグナート・エゴロヴィチ・レスキン。
 必殺の降魔烈火拳が鎧に命中し、恐ろしく頑丈だったナンイドナイトメアの鎧に強くヒビがはいった。
「やはりこの部屋までたどり着くだけの手練れ……強さも伊達では無い、か」
 ナンイドナイトメア黒い仮面の下で笑った、ように見えた。
「ならばローレット、貴様らに敬意を表し……少し本気を出すべきか」
 カパ、と額に設置されたドクロが口を開く。
 途端、誰かが大声で叫んだ。
「砲撃来るぞ! よけろ!」

 世界が闇に堕ちた、ように思えた。
 風景も臭いも、地面に立った感覚も、重力や痛覚でさえ消えていき、何も無くなったように思えた。
 その次の瞬間、イレギュラーズたちは広大な銀河のような空間に放り出され、見えない地面に叩き付けられた。
 重症を負うほどのダメージ……のはずだったが、どうやら仲間が庇ってくれたようだ。
 茶屋ヶ坂 戦神 秋奈は立ち上がり、にやりと笑う。
「……ざんげ、おぜうさま、私、頑張るわ! 私って誰がどうみてもヒロインだし、ね!」
 ストライカーと腰のベルトに接続した戦神制式装備第九四号緋月及び第弐四参号緋憑を抜刀。ストライカーからエネルギー噴射をおこし、猛烈な勢いで斬りかかる。
 かの詐欺師が心から欲した『最高の兵士』。それが戦神――秋奈である。当てるべき一発は、決して外さない。
 と同時に、ある商人が心から嫉妬した剣士。それが黒星 一晃であった。
「ガスマスクイレギュラー一晃、一筋の光と成りて、ネオフォボスの野望を打ち砕く!」 
 跳躍と変身。黒いスーツを身に纏った一晃は極限まで高めた集中から抜刀。
 索敵圏外がからまるで彗星の如く現われた一晃が、ナンイドナイトメアに必殺の斬撃を打ち込みそのまま切り抜けていった。
 二人の斬撃にわずかによろめくナンイドナイトメア。
 一方で、自分を守ってくれたがまだかろうじて戦闘可能な仲間たちをかき集め、村昌 美弥妃が全力の治癒魔術を添発していた。
 意味の分からない空間に放り出されたものの、幸運にも息のある仲間が近くに固まっていたようだ。
「ウワサがいろいろあるようデスけれどぉ…所詮ウワサはウワサデスからねぇ?
 実際に戦ってみないとわからないデスよぉ♪」
「その通り。それに怪人だろうがなんだろうが、悪いことする人はきっちりお仕置きしないとね!
 どれだけ強い相手でも、みんなで力を合わせれば絶対に勝てるはず!
 だから、私も気合を入れていくよ!」
 そこへ駆けつけたアレクシア・アトリー・アバークロンビーが両腕のブレスレット『アキレア』と『クロランサス』を通して癒やしと浄化の空間を展開。
 仲間たちを急速に復旧していく。
「サンキュー。終わったらメシを奢るぜ」
 むっくりと立ち上がり、カマブタとロンティを構えるゴリョウ・クートン。
 チューブから飛び出したエルフ鋼装甲が全身を包み込んだ。
「ぶはははっ、いちオークが最終決戦の一助をさせてもらえるたぁ嬉しい話だねぇ!」
 ナンイドナイトメアをにらみ付け、猛烈に突進する。
「ぶはははっ、名高い総帥の一撃を受けさせていただくたぁ光栄だ! ちょいとお相手仕るぜ!」
 ゴリョウはいわば動く壁である。
 ナンイドナイトメアに突撃を仕掛ける者は、彼を防壁にして接近し、攻撃の瞬間だけ鋭く身をさらすことができるのだ。
 そうした『半径七十センチの攻防』に極めて優れているのが郷田 貴道である。
「どうせ狙うならメインイベントだ、ぶち抜くぜナンイドナイトメア!」
 ギリギリまでゴリョウを壁にし、接近の一瞬だけフットワークを用いて相手の背後へと回り込み、それに感づき腕を払う動きを察知して上半身を動作。
 回避と相手の脇腹に狙いを定める動作を一度に行なうと、拳という人類最古にして最も長く愛された兵器を打ち込んだ。
 ナンイドナイトメアの鎧に激しいヒビが広がっていく。
 そのタイミングを、アオイ=アークライトは決して見逃さなかった。
 メカニックグローブでレジスト・ギアを握り込み、不浄を払うエネルギーが刃を走る。
「まぁやることは変わらない。みんなでこいつらを倒して、人々を守るだけだな」
 ワイヤーをつけて発射された飛び出しナイフがヒビ入った鎧に命中。
 小爆発を起こして鎧の表面装甲を吹き飛ばした。
「今だ、いくよ……メカセララ!」
 セララはカードを握り込み、『新しいお友達』ことメカセララを思い出した。
 肉体がここになくとも、魂はいつも共にある。
 セララはそれを実感し、そして魔法少女の剣『ラグナロク』にそれを反映させた。
「必殺――ダブルセララスペシャル!」
 意志の力によって現われたメカセララの幻影と共に剣を繰り出すセララ。
 同時にHMKLB-PMに跨がって突進していたサンディ・カルタがタクマキシューズを起動させて水平飛行。
 風の悪霊を身に纏い、猛烈なキックを繰り出した。
「俺の道にゃ、お前の『悪』は邪魔なんでな……!」
 防御しようと両手を翳すナンイドナイトメア。
 拮抗する力と力。
 が、力がその二人だけだなどということはない!
「オイラはワモン・C・デルモンテ――正義の味方、『とっかり仮面』だ!」
 ヒューマンフォームにチェンジしていたワモンが専用ガトリングガンを抱えた。
「必殺――海豹牙斗燐具武放猛怒(アザラシガトリングぶっぱなすモード)!!」
 猛烈な射撃。
 悪を許さないというワモンの正義の心がナンイドナイトメアの防壁を破壊していく。
 ここままではまずい。それはナンイドナイトメアも分かっているのだろう。
 どくろ型の防壁を更に複数作りだし、自らの全面を多い始めた。
「まあ、若干頭の痛くなるような状況ですが、魔種は魔種。
 どれほど冗談めいていようがこの世にいていい存在ではありません。
 ここで仕留めさせてもらいましょう」
 コーデリア・ハーグリーブスはアタッシュケースから二丁拳銃を『ホーリーオーダーカスタム』&『HGV-C-15Cカスタム』をそれぞれ取り出すと、ナンイドナイトメアのシールドめがけて猛烈な連射を仕掛けていった。
 シールドが作られるたびに破壊され、両手を突き出すナンイドナイトメアが露わとなる。
 そうして生まれた隙を最大限に開くのが、アベルである。
 通称『インターセプトⅢ』。予めぴったりと狙いをつけていたライフルによる未来予知とすら思えるほどの的確すぎる射撃を放ち、対象の動きを高確率で停止させる狙撃術だ。
「ぐっ……!」
 焦りの声。確実に引き出した隙。
 藤堂 夕はここぞとばかりに召喚ゲートを発生させた。
「相手が悪の親玉となれば、召喚するものは正義の味方に決まっています!
 やはりここはあれだと思うのです! 巨大化に備えておおっきなロボット……!!!」
 ゲートの向こう側で発射姿勢をとる巨大ロボット。
 胸の砲台から発射されたビームが、ゲートを通してナンイドナイトメアへと叩き込まれる。
「ぐおおお……っ!」
 圧倒的な攻撃力を前に、ナンイドナイトメアの鎧が砕けていく。
「シメといこうぜ。俺はラサで生まれラサで育った、熱砂と太陽の申し子!ルカ・ガンビーノ! 手前ェの野望もここまでだ!」
 ルカ・ガンビーノが飛びかかり、ディルクのもつ『黒犬』のレプリカを振りかざす。
 それだけではない。至近距離まで迫った冬葵 D 悠凪の剣が、ナンイドナイトメアの顔面へと迫った。
 直撃。
 粉砕。
 ナンイドナイトメアの鎧が仮面を中心に全て砕け散り、同時に周囲の銀河めいた風景すらも砕けて散っていった。
「よもや、この鎧を壊せる者が現われようとは、な」
 カッと口を開く腰のドクロ。
 何が起こるか察した悠凪は防御を固め、手近な仲間を守るべく盾を翳した。
 真っ白な光が、全てを飲み込んでいく。

 放り出され、地面を転がるプラック・クラケーン。
「痛ってえ……どこだここ……?」
 起き上がると、そこは幻想のはずれ。アジト最深部からいっきに地上へと移っていた。
「皆さん、無事ですか!」
 ブレーキをかけ、プラックの前に止まるアルプス・ローダー。
 そんな彼らの前に立ったのはナンイドナイトメア。
 彼の鎧がはがれ落ち、黒いヘルメットに黒いボディスーツの男が現われた。
 ドクロをモチーフとした方や額のパーツから、それが異界日本世界における『戦隊ヒーロー』のシルエットに近いように見えたが……放つ禍々しさが圧倒的な悪を確信させた。
 そしてイレギュラーズの中で唯一、アルプスローダーだけが『それ』が何かを知っていた。
「あれは……『ブラックエビル』!?
 かつて僕の相棒レッドジャスティスに対抗して作り出された悪の戦士です。彼と同等の力とあふれ出る闇で北海道を溶岩に沈めようとした男……しかし彼がなぜ!? ウォーカーは魔種になどなれないはず!」
「ククク、分からないか? お前と同じだアルプスローダー」
 声がした。ブラックエビルからではない。
 彼の後ろから現われた、黒いハーレーめいたバイク。
 それ情報にあった『フォボスローダー』だと誰もが気づいたが、しかし殆どの者は手を出すことすら出来なかった。
 圧倒的な反応速度で、彼は動くことが出来たからだ。
 バイクはがしゃがしゃとパーツを組み替えると、ブラックエビルをかたどった人型のフォルムへと変形。代わりに、隣に立っていたブラックエビルの姿にノイズが走り、かき消えた。
「交流用アバター……フォボスローダー、あなたは秘宝種だったのですね!?」
「その通り。永き眠りから目覚め記憶も立場ももたなかった我に流れ込んできたのは、異界の記憶であった。
 バズーカライオン大佐、油圧ワニファラオ……奴らをはじめとする異界の怪人たちは世界征服をし損ねた無念とヒーローへの憎しみをこの我へと集め……。
 我は彼らに応えるべく、新なる魔王ナンイドナイトメアとなったのだ」
 再びバイクフォームへチェンジ。ドルン、とエンジン音を響かせる。
「アルプスローダー。まずは貴様からだ。貴様をこの幻想という国と共に葬り去ることで彼らの無念は払われる。
 滅び朽ちて糧となれ――アルプスローダーァ!!」
 突進。
 『交通事故』とすら呼ばれるローレットではきわめて有名な一撃必殺が繰り出される。
「プラックさん、僕に!」
「応!!」
 アルプスローダーはプラックを跨がらせ、全く同時に突撃をしかえした。
 正面衝突!
 が、ヘッドライトが砕け散ったのはフォボスローダーのみである。
 前面に飛び出したプラックが盾となることで、アルプスローダーの破壊を防いだのだ。
 急速にターンをかけるアルプスローダー。エクスマリア=カリブルヌスが飛び乗り、自らの髪を操作して流線型のボディを作り出した。
「秘密結社ネオフォボス。ふざけた組織だが、それ以上にふざけた組織力、だ。潰すぞ」
「はい!!」
 『猛き覇瞳』と呼ばれるエネルギーの暴力。
 エクスマリアの繰り出すそれがアルプスローダーの突撃と重なり、フォボスローダーを破壊した。
 ……が、しかし。
「まだだ! 異界の怪人たちの無念、この世界に生まれこの世界で生きた我こそが晴らす!」
 ヒューマンフォームに変形するフォボスローダー。
 変身バンクの効果によって呼び出したナンイドナイトメアのライトアーマーが彼に集まり、次々と装着されていく。
 腰のドクロが開き、破壊のエネルギーが放出される。
「これで終わりだ!」
「させませんわ!!!!」
 発光! と同時に現われる御天道・タント。
 発射されたファイナルフォボスブラスターが十字に腕を広げたタントによって阻まれた。
「何――ッ!」
 彼女は両手で同時に指を鳴らした。
「「きらめけ!」」
「「ぼくらの!」」
「「タント様!!」」
 どこからともなく駆けつける総勢九名の仲間たち。
 その筆頭クロバ=ザ=ホロウメアが、腰から二丁のガンエッジを引き抜いた。
「――率いる、チーム【暁天】総勢9名参陣! ローレットの頂上を荒らそうような精鋭揃いだ。もう逃がさんぞ、ナンイドナイトメア――いや、フォボスローダー!!」
「笑止!!」
 襲いかかるナンイドナイトメア。腕から生やしたフォボスエッジとガンエッジが交差し、次の瞬間至近距離からのクロスエッジ・フルバーストが放たれた。
「コンボをつなげ、合体攻撃だ!」
「承知致しました」
 眼鏡に指をかけた新田 寛治が、ステッキ傘の先端をナンイドナイトメアの背へと押しつける。
「これでも、当てるだけならそれなりに自信があるのですよ」
 ガンエッジの全力射撃とサンドするように内蔵ショットガンの弾が連続で撃ち込まれる。
 そこへシエルが加わり、全力の魔砲を打ち込んだ。
「敵は強大な一、余力は考えない!」
「我が名は白き英雄…白銀の与一! これより我が軍はナンイドナイトメアを撃破すべく戦闘を開始する!」
 同じく変身バンクによって与一専用カラーのHades04を纏った与一が、Hades03による全力のクリティカルスナイプを発射した。
「敵機は人型、我が砲撃はマンハントに最適化されている!」
「ぐ、ぬううおおおおおお!」
 フォボスエッジに闇の力をあふれさせ、彼らを一斉に薙ぎ払うナンイドナイトメア。
 が、直後に飛びかかるシュラ・シルバーの『デストロイブレード(未完)』が大上段から打ち込まれた。
 未完といえどかつての世界では山をも斬った技である。紅蓮の大剣が顔面へ打ち込まれ、ナンイドナイトメアの頭部を破壊する。
「たかが首を失ったとて……!」
 振りはらおうとするナンイドナイトメアの動きを察知し、リア・クォーツが俊足でシュラと自分の位置を入れ替えた。
 フォボスエッジを剣で受け止めた。
「ネオフォボス、あんた達もここで終わりよ」
 鳴り響く音楽が『友愛のアダージョ』を奏で、薙ぎ払われた仲間たちを立ち上がらせる。
「あいつがどんな威圧感を放とうとも、ローレットは決して負けることは無いわ。
 だって正義の味方って、最後は悪役に勝つものでしょう?」
「だろうな……だが、だが我は……!」
「白百合清楚殺戮拳――秘奥義!」
「焔宮家――秘技!」
 リアと入れ替わるように同時に飛びかかる咲花・百合子と焔宮 鳴。
 美少女力を究極に開化させ究極美少女となった百合子と、狐火を全身に燃え上がらせて力の権化と化した鳴。
 二人の拳が全く同時にナンイドナイトメアへと叩き込まれた。
「ぐおおおおっ!?」
 吹き飛ばされ、鎧がはげおちていくナンイドナイトメア。
「なぜだ、なぜ果たされない! 無念が、敗北が、憎しみが果たされて然るべきこの世界で……なぜ我が偶像に集められた無念だけが果たされない!
 せめて、ここにいる貴様らだけでも――!」
 全てのエネルギーを集め、最後の一撃を放とうとするナンイドナイトメア。
 そこへ!
「どうやらピンチというやつらしいな」
 紫電・弍式・アレンツァーが!
「ワシの力が必要ですごぜえましょう!」
 カンベエが!
「えらい場面に来てしまいましたね」
 ひつぎが!
「悪の力輝くとき!」
 ダークネス クイーンが!
「正義の心が燃え上がる!」
 ワモン・C・デルモンテが!
「不幸も希望の種として」
 村昌 美弥妃が!
「理不尽ってやつをぶっ飛ばす!」
 ルカ・ガンビーノが!
「破壊が、明日を作るなら」
 エクスマリア=カリブルヌスが!
「拳と魂に全てをかけて」
 咲花・百合子が!
「今、必殺の――!」
 シュラ・シルバーが!
 そしてアルプス・ローダーが!
 即席で駆けつけた精鋭たちが全ての力をひとつとし、ナンイドナイトメアへとぶつかっていく。
 それは一台の巨大なバイクのようであり、巨大な正義のようであり、巨大な希望のようであった。
 最後に残った混沌の希望。全ての悲しみを打ち払う、最後の一撃。
 名付けるならば、そう!
「「混沌パンドラフィニッシュ!!」」
 ナンイドナイトメア渾身の力が、巨大な希望に飲み込まれていく。
「フ……フハハ……フハハハハハハハハハ! これが希望だと!? これが! これが……世界を……!」
 高笑いのなかで、ナンイドナイトメアは盛大に爆発四散した。

 エピローグは必要ない。
 悪は去り、幻想支配を企んでいた秘密結社ネオフォボスは潰えた。
 この地の支配を怪人が脅かすことはきっとないだろう。
 だがもし彼らが再び現われ、人々の幸せを破壊し笑顔を奪うとしても、もう恐れることは無い。
 なぜならこの世界には、ローレットがあるのだから。

成否

成功

MVP

クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者

状態異常

主人=公(p3p000578)[重傷]
ハム子
マルク・シリング(p3p001309)[重傷]
軍師
マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)[重傷]
記憶に刻め
黒・白(p3p005407)[重傷]
シエル(p3p007084)[重傷]
彼女は刺激的なジュール
ヴォルペ(p3p007135)[重傷]
満月の緋狐
グランツァー・ガリル(p3p007172)[重傷]
大地賛歌
ポムグラニット(p3p007218)[重傷]
慈愛のアティック・ローズ
御剣 涼太(p3p007510)[重傷]
プロ転生者

あとがき

 皆様の活躍により幻想の平和と王のお肌は守られました。
 ありがとうローレット! 君たちこそが、世界のヒーローだ!

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