PandoraPartyProject

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騎士語り

雪深きヴィーザルの地で紡がれる

『騎士語り』

誰が為に
剣を捧げ

守るべき矜持と誇りを手に


騎士語りシリーズ

 物語の舞台は鉄帝国『ヴィーザル地方、ハイエスタの村』
『ヴィーザル地方とは』
 鉄帝国北東部に存在する非常に厳しい気候に晒され続ける大自然広がる地方です。
・凍てつく峡湾を統べる獰猛な戦闘民族『ノルダイン』
・雷神の末裔を称する誇り高き高地部族『ハイエスタ』
・永久氷樹と共に生きる英知の獣人族『シルヴァンス』
 大きく分けて三つの部族がそれぞれ暮らしており、
 現在では連合王国『ノーザンキングス』を名乗っています。
 鉄帝国主要部は彼らの事をよく思っていません。
 ですが、ヴィーザル地方は資源が乏しく粛清するとしても旨味がないのが現状です。
『ハイエスタのお話』
 騎士語りはハイエスタの村『ヘルムスデリー』に住む騎士
 ギルバート・フォーサイスを中心としたお話です。
 また、アルエットについても関連しています。

スポット紹介

 ハイエスタの村『ヘルムスデリー』
 鉄帝国ヴィーザル地方のハイエスタの村『ヘルムスデリー』は比較的のどかな所です。
 この地域にしては住みやすい場所であるのは、村を統べる村長が『調停の民』の血筋であるグリフィス・ベルターナだからでしょう。
 彼は優秀なドルイドで、村の周囲に結界を張り、危険が迫れば村の騎士達に知らせます。
 騎士達は勇猛果敢に村に迫り来る脅威に立ち向かうのです。
 村の騎士たちのリーダー的存在が、村長の甥にあたるギルバート・フォーサイスになります。

 ヘルムスデリーのヤギのミルクで作ったシチューは絶品です。
 また、特徴的なアクセサリー(トルク)も作っているようです。


 調停の民が住んでいた『リブラディオン』
 ギルバートの従姉妹『アルエット・ベルターナ』一家が住んでいた場所です。
 数年前のリブラディオン戦役でノルダインの強襲に遭い廃墟と化しています。

 近くには見晴らしの良い草原があり、墓標が立ち並んでいます。
 また、ハイエスタの雷神と蛇神クロウ・クルァクの戦いを綴った石碑があります。
 掠れた文字で辛うじてよめるもの。
『――雷光の鉄槌は天を貫く程の輝きを帯びて、蛇神を穿ち』
『蛇神が吐いた毒は地を穢すもの』
『雷神は『リブラディオン』にて眠りにつく』


 ノルダインの村『サヴィルウス』
 ギルバートの仇敵であるベルノが住んでいるノルダインの村です。
 血気盛んな戦士が多いのが特徴です。
 エルヴィーラ・リンドブロムというドルイドが村はずれに住んでいます。
 今のところ、村についての情報は少ないです。

登場人物紹介

 ギルバート・フォーサイス
 ギルバート・フォーサイス(p3n000195)
 ヴィーザル地方ハイエスタの村ヘルムスデリーの騎士。

 正義感が強く誰にでも優しい好青年。
 翠迅を賜る程の剣の腕前。
 ドルイドの血も引いており、精霊の声を聞く事が出来る。
 守護神ファーガスの加護を受ける。

 母方の伯父がヘルムスデリーの村長グリフィス・ベルターナ。
 数年前のノルダインとの戦役で別の場所『リブラディオン』に住む
 伯父(グリフィスの兄、エドワード)一家を亡くしている。
 その際、仲の良かった従姉妹(アルエット・ベルターナ)が浚われ、
 見せしめの様に殺された事に深い悲しみと
 内側に苛烈なる怒りを抱いている。
 当時従姉妹は十歳ほどだったという。

 魔物の群れとの戦いでイレギュラーズに救われ
 ローレットに友好的な姿勢を示す。


 ジュリエット・フォン・イーリス
 ジュリエット・フォン・イーリス(p3p008823)
 虹を司る世界から召喚された美しい少女。
 第一王女であり神官でもあったそうだ。

 一通の手紙から始まったギルバートとの交流。
 初めて会ったその夜に、想像以上に可憐で美しくて
 雪の精霊が舞い降りたのかと思った程だとギルバートに言わしめた。

 嫋やかに見えて芯はしっかりとしており、
 王族としての気概を見せることもある。
 一転、お酒に弱いという一面があり、ギルバートが心配する場面も。
 普段は手紙でのやりとりだが、ゆっくりと逢瀬を重ねている。



 ベネディクト=レベンディス=マナガルム
 ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
 異世界から召喚された王家の血を引く青年。

 現在はドゥネーブ領の領主代行として
 また、黒狼隊として日々忙しく各地を飛び回っている。

 幻想国において、その功績を讃えられ
 フィッツバルディ公の後ろ盾の元、騎士となった。
 故郷で叶わなかった夢を青年は果たしたのだ。

 ギルバートとは、友人のディムナを通して知り合い
 矜持と信念を持った騎士として意気投合し交流を続けている。



 エステル
 エステル(p3p007981)
 記憶喪失の鉄騎種。

 気付いたら召喚され空中神殿に居たのだという。
 見た目からは種族特徴である機械部分を伺う事は出来ない。

 かつてヴィーザル地方に存在した
 遺構集落マギアギアという場所が故郷であるらしい。
 故郷の村は約十年前に焼け落ち、廃墟となっている。

 ギルバートとは彼が窮地に陥ってた時に助けた事が切欠で友人となる。


 ディムナ・グレスター
「この大地で生きていくには、戦って、
 誰かを犠牲にする事が何度だってある。
 でも、出来るなら僕は戦いたくなんて無いんだ」


 ベネディクトの友人であり、ギルバートの親友
 ハイエスタの村ヘルムスデリーの騎士。村一番の剣の達人。
 ベネディクトやギルバートをして、戦場に立つには優しすぎる男。
 輝神フィンの加護を受けており、精霊の声をよく聞く。
 幼い頃から聡明で賢く、首都スチールグラートの学者か役人になりたかったらしい。
 しかし、彼は騎士になる決意をした――

 まだ十代だった頃の話しだ。
 魔物の巣を殲滅しながらも、瀕死の重傷を負ったギルバート。
 ディムナは親友の苦しむ姿を見て後悔をしたのだ。
 力があるのにそれを行使しなかった為に、大切な人が傷ついたという事実が重く伸し掛かった。
 そして、騎士となることを決意する。
 勉学の為の本を燃やし家に在った鎧を磨いた。
 村長のグリフィス・ベルターナに『聡剣』を賜り、ディムナ・グレスターは騎士となったのだ。


 アルエット
 アルエット(p3n000009)
 金色の髪と、翠色の瞳。白い翼を持つ飛行種の少女。

 ――幼い頃に裕福な商館の夫妻に拾われ、
 ゆったりとした優しい世界で育った少女。
 彼女の世界は館と庭園、夫妻が読んでくれる絵本の中だけ。
 世間知らずの少女は突然の召喚に戸惑いながらも、
 夢見ていた絵本の続きを羽ばたき出す。
 突然召喚されたので家の場所が分からない。迷子。――

 というのはアルエットが周りに話した事。
 ローレットの情報屋は優秀だ。
 されど、未だアルエットの両親を見つけられずにいる。

 また、ギルバートの従姉妹が『アルエット』という名前であること。
 双子の妹が『カナリー』だったという情報が、調査で分かっている。

 親友の四音を守る為、剣を振るったことがある。



 鶫 四音(つぐみ しおん)
 鶫 四音(p3p000375)
 褐色の肌に赤い瞳の少女。背中から骨手が生えている。

 その実、死体に寄生して操る粘菌。
 普段は装飾品や家具の中等に潜んで身体を得る機会を待っている。

 思考そのものは人外的な要素を多分に含む。
 しかし、物語を楽しむように、博愛的に人の情緒の揺らぎや営みを好む。
 深入りしなければ、当たり障りの無い良い人である。
 もしも、深く入り込んでしまったら……

 アルエットの羽を毟って食べたことがある。


 ジェラルド・ヴォルタ
 ジェラルド・ヴォルタ (p3p010356)
 覇竜領域デザストルは亜竜集落ペイト出身の亜竜種の男。
 母を幼少期に亡くし、厳しい父の元で育ってきた武闘派。
 母の教えより「弱き者を守り」、父の教えより「誰よりも強くあれ」を志す。

 アルエットの誕生日にパーティを開いてくれたことがきっかけで仲良くなる。
 アルエットに対しての想いが友愛であるのか恋愛であるのか、ジェラルド自身も分からなかったが、最近は自分の気持ちをきちんと自覚しているようだ。
 レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン
 レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)
 銀糸の髪に白磁の肌。特徴的なのは金銀妖瞳と右半身に刻まれた紋様。男性にも見える麗人で、煙管を愛用する元医者。
 本名は『ヨハンナ』だが、双子の妹の名である『レイチェル』を最近まで名乗っていた。

 宿敵ヨハネと妹レイチェルのこと。自分の出自のこと。
 色々と考える事が多いのにも関わらず、その性格からヴィーザルのことにも手を差し伸べてしまう。
 特に『サヴィルウス』の面々には己自身の生い立ちや想いを重ねている。
 サヴィルウスの人々が紡いだ家族愛を知ることで、自分の中に生まれる『何か』を欲しているのだ。



 ペトラ・エンメリック
(――ねえ、アルエットちゃんあなたはどうして私の事を覚えていないの?
 もしかして、何か言えない事情があるのかな?)


 炎堂 焔(p3p004727)の友人
 銀髪青瞳、金色の翼を持つ少女。

 ヴィーザル地方にある『リブラディオン』の生き残り。
 数年前のノルダインとの戦役で怪我を負い震えていた所をヴィルヘルム・ヴァイスに助け出された。
 調停の民の長であるエドワード・ベルターナの娘アルエット・ベルターナの親友。
 ペトラとアルエットは幼い頃から仲良しでいつも一緒だった。

 ヴィーザル地方を離れた今でもアルエットの叫び声を夢に見る。
 助けてと木霊する泣き声にうなされる夜。
「ごめんね……っ、アルエットちゃん」
 後悔だけが募っていく。
 あの時、自分に何か出来ればアルエットは『行方不明』にならずに済んだだろうか。

 再会は突然だった。
 幻想の町でアルエットを見かけた。最初は見間違いかと思った。
 でも、金色の髪と緑の瞳。純白の翼。声まで一緒なのだ。
 間違いない。
「……アルエットちゃん!」
「わわ! えっと、どこかで会ったかな?」
 首を傾げる仕草まで一緒なのに。
 どうして親友である自分の事を覚えていないのだろう。
 何か理由があるのだろうか。そうに違いない。
 調停の民としてお役目があるのだ。他人には言えない何かが。

(――わかったよ。アルエットちゃん。貴方の秘密は私が守るから)

 フェリクス・クレンゲル
「私は鉄帝国陸軍北東支部リヒトホーフェン隊所属
 フェリクス・クレンゲル一等兵であります
 ヘルムスデリーへ行かれるのは初めてですか?
 それなら私が案内いたしましょう
 ヘンリエッタ……あ、妹なのですが。彼女も喜びます」



 鉄帝国ヴィーザル地方、リブラディオン出身の軍人。
 性格は優しく愛嬌があり、よく笑い実直で、仲間に好かれる後輩分である。
 されど、時折家族を語る時だけは寂しそうな顔をする。

 数年程前に故郷である村がノルダインの襲撃に遭い壊滅し、何とか生きながらえた。
 当時、十代後半だったフェリクスは妹のヘンリエッタを守る事に精一杯で、両親が無残に殺される様を兄妹共々見ている事しか出来なかった。
 両親を目の前で失った絶望から妹が心を閉ざしてしまい、兄であるフェリクスも覚えていない状態になってしまう。幸い避難先であるヘルムスデリーの癒やしの巫女セシリア・リンデルンに妹が懐き、彼女の元へ身を寄せる事となった。
 フェリクスは妹を養育する為に、鉄帝軍人として帝都に勤務している。
 夏になるとフェリクスは妹の為に長期休暇を取り、ヘルムスデリーへ戻ってくる。
 最近は少しずつ妹も心を開くようになったらしく、笑顔を見せる事もあるのが、この上なく幸せである。

 深緑閉鎖の知らせを受け、部隊長から調査命令が下されラサへと赴いた事がある。
 その際に、美しく可憐なエルス・ティーネ(p3p007325)を見つけ、一目惚れをした。
 故郷のリブラディオンで片思いをしていた少女に似ていたからだ。
 最初は彼女が生き返ったのかと思い吃驚したが、表情も仕草も強さもまるで違う。
 一時の任務同行だったけれど、フェリクスはエルスに恋をした。

 風の噂でエルスには意中の相手が居る事を知り、悲しみに暮れている。
 同僚からも競うだけ無駄だの、噛み殺されるだの散々揶揄われ、妹にまで慰められる有様だった。

 先日、帝都から鉄帝国陸軍北東支部リヒトホーフェン隊への移動命令が下された。

 『青雪花の精霊』エーミル
 鉄帝国ヴィーザル地方に棲まう青雪花の精霊。
 人が住んでいる近くに出現する事が多い。人好きな精霊である。
 医神ディアンに連なる精霊であり、銀泉神殿のセシリア・リンデルンとは交友がある。
 特にヘルムスデリーの人達の事が好きで、森が騒がしいとセシリアに教えてくれたりする心優しい性格。

 セシリアとは彼女が神殿に入る前から仲が良い。
 それはセシリアが村の外に出て薬草を摘んで癒やす事への関心があったからだ。
 彼女は医神ディアンに祈る事でその加護を得て人を癒すが、其れだけでは成し得ないことがあると幼い頃から理解していたのだろう。
 そんな彼女の優しさをエーミルは見守りたいと思ったのだ。
 だから、セシリアへの協力は惜しまない。
 銀泉神殿の清らかな空気が好きで、よく神殿の中で見かける。
 リブラディオンの生き残りであるヘンリエッタ・クレンゲルと遊んでいる姿もよく見られる。
 また、青雪花の蜜は傷を癒す効果があり、村の薬師魔女クルーエル・エルとは懇意にしているようだ。
 ヘルムスデリーの村にとってエーミルは守護精霊のようなものなのかもしれない。

 <総軍鏖殺>青き雪の導き<騎士語り>にて、クルトと出会う。
 それからは、クルトと親友のように仲良くしているらしい。

 クルト
 ギルバートの仇敵ベルノが住まう村『サヴィルウス』の少年。
 ヴィダル・ダレイソンに囲われている闘奴の一人。

 数年前にリブラディオンで起ったノルダイン戦役でヴィダルに拾われた。
 皆殺しだったリブラディオンの住民の生き残り。
 剣士になるべく修行を積んでいたクルトは、ヴィダルの闘奴を打ち破ってしまったのだ。
 もし、クルトが闘奴より弱くそのまま死んでいたのならば、その方が幸せだったかもしれない。

 ヴィダルに捕まり闘奴にされたクルトの生活は過酷なものだった。
 元から身体を鍛えていたからこそ『生き残って』しまったのだ。
 粗末な食事と冷たい寝床。逃げられないように枷を嵌められ軟禁される。
 戯れにヴィダルは美味しいものをクルトに食べさせた。
 満たされる腹とこみ上げる悔しさで涙が溢れる。
 ヴィダルは飴と鞭の使い方が上手かった。

 拾われてから五年の月日が経っていた。
 何も知らない無垢な少年はもう何処にもおらず、暗い瞳でただ空を見上げていた。
 ヴィダルに気に入られるように強くなり、彼の為に何でもした。
 いつか逃げ出す為に、ヴィダルの信頼を得る事に必死になった。
 首輪や枷も外され、ある程度自由が与えられた。

 クルトは好機を見逃さなかった。
 ある夜、ヴィダルが酒に酔い寝入ってしまった隙にサヴィルウスから逃げ出したのだ。
 されど、何れだけ逃げてもヴィダルは追いかけてきた。
 クルトは知らなかったのだ。知らぬ間に体内に埋め込まれた『発信器』があったことに。
 それでもクルトは逃げ続けた。
 見つかれば、嬲り殺されるに決まっている。
 ヴィダルが酔う度に楽しそうに見せてくる頭蓋骨は『逃げ出した闘奴』のものなのだから。

 逃げている途中で、青雪花の精霊エーミルと出会う。
 エーミルは医神ディアンに連なる精霊でありセシリア・リンデルンとも交友がある。
 そこからクルトとエーミルは共に過ごしているようだ。

関係者やNPC

 関係者やNPCの人物紹介
『ヴィルヘルム・ヴァイス』

 ハイエスタの村ヘルムスデリーに住む騎士。『氷獅』の名を持つ。
 氷の精霊の加護を受けし者。
 この極寒の地において氷の精霊の加護を持つと
 いうことは誉れあることだ。
 剣技では『聡剣』ディムナには引けを取るが、
 氷魔法においては右に出る者は居ない。
 冷静沈着で常に戦場を俯瞰した視点から見ているので後衛に居がち。
 ギルバートとディムナが前に出て行ってしまうので
 見守る形になる事が多い。
 しかし、剣の腕も立つ。

 数年前のノルダインの戦役ではギルバートの伯父である
 エドワード・ベルターナが村長をしていた『リブラディオン』へと一足先に赴いている。
『セシリア・リンデルン』

 鉄帝国ヴィーザル地方、ヘルムスデリーに住む癒しの巫女。
 医神ディアンの加護を受け、人々に安らぎを与える存在である。
 その癒しの力は過酷なヴィーザルにおいて大変重宝された。
 ギルバートが重傷を負い生死の淵を彷徨った時も、彼女は献身的に癒しの力を注いだ。
 ディムナ、ギルバート、ヴィルヘルムとは幼馴染み。

『ルイス・シェパード』

 ハイエスタの村ヘルムスデリーの子供。騎士見習い。
 橙髪黄緑瞳。両足膝より下が黒い義足のように見えるが、
 鉄騎種の証。普段はズボンや靴で見えない。
 両足の機構で雪の上でも走り回れる『橙駆』のギフトを持つ。俊足。

 ドルイドの術を使い、精霊の声が聞ける。
 元気でやんちゃ盛りの子供。大人達に混ざって背伸びしたい年頃。
 ギルバートを慕っており、村の周りに出没する魔物退治に
 着いて行くも、本物の傷みに震え逃げ出した。
 傷を負いヴィーザルの大森林で彷徨っている所を
 イレギュラーズ達に助けられる。

『ジェフ・ジョーンズ』

 ギルバートの村『ヘルムスデリー』を含むヴィーザル地方と
 鉄帝首都スチールグラードを巡回船で行き来する商人。
 ヴィーザル地方に住む人々にとっては貴重な存在。
 ドルイドの加護を受けて雪原を船で駆け抜ける。

敵対する登場人物紹介(序章時点)

 ベルノ・シグバルソン
「俺はサヴィルウスのシグバルドの子、ベルノだ」

 ギルバートの仇敵。
 数年前のリブラディオン戦役で、村を壊滅に追いやった首謀者。
 ノーザンキングス連合王国統王シグバルドの子。

 獰猛で豪快な性格はノルダインの戦士そのもの。
 強い者が勝ち、弱い者が負ける。
 殺伐とした価値観を持っているが、それ故に仲間からの信頼は厚い。

 狼の一族ラグナル・アイデとは旧知の仲だが、
 甘ちゃん過ぎると思っている。
 エーヴェルト・シグバルソン
「俺はサヴィルウスのシグバルドの子、エーヴェルトだ」

 ギルバートの仇敵ベルノ・シグバルソンの異母兄弟。
 ノーザンキングス連合王国統王シグバルドの子にあたる。

 鉄帝国ヴィーザル地方の村『サヴィルウス』に住んでいる勇猛なる戦士。
 性格はサヴィルウスに住んでいる者としては『比較的』冷静で物事の機微をよく読む秀才派であるが、血気盛んであることに変わりは無い。獰猛で狡猾な性格であろう。

 兄であるベルノを信頼しつつも、いつか自分が次期ノーザンキングス連合王国統王になると野心をもやしている。
 ベルノは腕っ節が強く折れることのない剣ではあるが、それでも人間である。
 いつか果敢に戦い怪我を負って命を散らしてしまうかもしれない。
 そういう事態に備えるのも、次男である自分の役目だとエーヴェルトは思っている。

 このサヴィルウスでは強さが一番尊ばれる。
 それは過酷な状況で生きながらえるための信仰に近いものがあるだろう。
 脆弱な肉体を持つものは長生き出来ず、いずれ死んでしまう。
 自然の淘汰に近い場所でもあるのだろう。
 だから、この村では強靱な肉体を持ち、力の強い者が支配者であるのだ。

 村の後継者とされる兄ベルノが村はずれに住む弱きドルイドと子を成したことは一族の恥だが、幸いにもその男児は村の一員として迎えることになった。
 統王シグバルドの血を受け継ぐ、一族の子として兄ベルノのように勇猛に育ったので安心している。
 もしも、ドルイドの血が濃く弱き者だったなら、慢性的な食料問題を抱える村の為にも殺さなければならない所だったからだ。

 数年前のリブラディオンで『鳥籠の雛』を殺したように。

 トビアス・ベルノソン
「俺はサヴィルウスのベルノの子、トビアスだ」

 ギルバートの仇敵ベルノ・シグバルソンの息子。
 ノーザンキングス連合王国統王シグバルドの孫にあたる。

 父親譲りの勝ち気な性格で、腕っ節が強く獰猛な性格。
 血気盛んなノルダインの村『サヴィルウス』においては、その性格がとても好かれる。
 強い敵にも立ち向かい、傷を負いながらも、勇敢に立ち向かう。其れがノルダインの戦士だからだ。

 されど、母親であるエルヴィーラ・リンドブロムにはその勇猛さが蛮勇に見えるのだろう。
 冷静に物事を判断し諭す様に伝えてくる母親とは相性が良くない。
 父親(ベルノ)は母親(エルヴィーラ)のことを一目置いているようだが、トビアスにとって尊敬すべきは統王シグバルドを継ぐ勇敢な戦士ベルノだ。
 こそこそと村はずれに隠れ住んでいるドルイドが自分の母親だと思うと腹立たしく思う。
 エルヴィーラの話が出ると、ばつが悪そうに不機嫌になってしまう。
 つまり端から見れば、反抗期だ。
 幼児の頃、村の一員として迎え入れられてから離れて暮らしている事も反抗期に拍車を掛けているのだ。

 実際の所エルヴィーラの作戦は『戦士らしからぬもの』も多々あるように思えた。
 敵対する者からは、全てを奪い尽くし根絶しなければ。要らぬ遺恨を残す事になる。
 奪うからには、全ての業を背負うべきなのだ。
 それが母親には分からないのだと、トビアスは憤慨する。

 いつかは統王シグバルドや父ベルノのように猛き戦士になりたいと思っている。

 エルヴィーラ・リンドブロム
「さあ、往くぞベルノ。次は何を見せてくれるんだ?」
 ノルダインの青の魔女は氷のような笑みで微笑んだ――

 ノルダインの村『サヴィルウス』に棲まうドルイドの女性。
 血気盛んなノルダインの村において
 冷静かつ鋭い戦略眼で戦場を優位に導く役目を担う。

 されど、彼女が尊重されるようになったのは
 村長の息子『ベルノ』の働きかけのお陰だった。
 エルヴィーラは近寄りがたい存在として疎まれていたからだ。
 直接的な攻撃を受けなかったのは、
 彼女がドルイドで薬学や星読みの力に秀でていたから。
 重宝をされつつも、馴れ合いはしてこなかった。

 それを打ち破ってきたのは、幼いベルノの好奇心。
 怖い物見たさ、肝試しのような意味合いもあったのだろう。
 村では怖がられるような存在であるエルヴィーラは、度胸試しに最適だったのだ。
 エルヴィーラはこのベルノの強き眼差しに、いずれこの村を率いる男になるのだろうと目を細めた。

 だから、多少の悪巧みにも手を貸した。
 か弱い『小鳥』からすれば、さぞ怖かったに違いない。
 されどそれも自然の摂理。この世は強き者が勝者であるのだ。
 何人とも違えぬ真理である。
 ラッセル・シャーリー
「僕は、ベルノさんの為なら何だってするよ」

 鉄帝国ヴィーザル地方のノルダインの村『サヴィルウス』に棲まう学者。
 ある冬に行き倒れていた所をベルノに拾われる。
 虚弱体質なのもあり、回復までには時間が掛かったが今ではとても元気である。

 元々はマルク・シリング(p3p001309)がイレギュラーズになる前、鉄帝から幻想に留学していた時に出来た学友。
 当時は比較的マルクとも仲が良く共に勉学に励んだ。
 留学後、帝都スチールグラードに戻ったが、持病があり虚弱体質だった為に士官になる事が出来ず、親からも勘当されてしまった。
 ラッセルの兄たちは屈強な身体を持ち、頭も良かった分、出来損ないだと罵られたのだ。
 失意のままスチールグラードを去り、ヴィーザル地方へと流れ着く。

 過酷なヴィーザルの冬の森で遭難し死を予感したラッセル。
 遠のく意識の中、其れでも誰かが見つけてくれるかもしれないという望みを胸に抱き。
 手足の感覚もなくなり、もう駄目だと諦め掛けた時、温かなぬくもりに包まれた。
 ベルノがラッセルを見つけ出してくれたのだ。

 その後、優れた能力を認められベルノの参謀としての地位を確立した。
 ラッセルの性格は温厚で少し神経質。
 拾ってくれたベルノの隣家に住んでいる。
 勇猛さが尊ばれるサヴィルウスにおいて、ラッセルのような『学者』は要らぬ誹りを受けるからだ。
 ベルノが矢面に立ち其れ等を退けてくれている。
 命の恩人であるベルノの為に、自分の能力が役につように努力しているのだ。

 血の繋がりは無いが、本当の親子のようにベルノの事を尊敬している。
 帝都にいた頃より余程『家族』のような日々を過ごせていること。
 自分の価値を認められることがこんなにも嬉しいのだとラッセルは笑みを浮かべる。

 ヴィダル・ダレイソン
「狙った獲物は絶対に逃がさねえ!」

 ギルバートの仇敵ベルノが住まう村『サヴィルウス』の戦士。
 勇猛な戦士が揃うサヴィルウスの中でも、ヴィダルは特に気性の激しい性格の男だ。
 戦いとあればその斧を振い、荒れ狂う獣のように戦場を駆け抜ける。
 その戦い振りからハイエスタの間では『獣鬼』と恐れられている。

 獰猛で傲慢な性格だが、ベルノとは義兄弟の杯を交わし仲が良い。
 誰の言う事も聞かないが、リーダーであるベルノには従うようだ。
 かつて、左目に傷を負った際に助けてくれたのが他でもないベルノだったからだ。
 ヴィダルにとってベルノは命の恩人であった。
 それまでは、お互いに疎ましく思っていた。
 しかし、身を挺して助けてくれたベルノに戦士の誓いを立てる。
「――お前が剣を振うなら、俺が斧を振おう。共に戦い勝利をその手に」

 闘奴を何人も囲っており、其れ等を戦わせるのが趣味。
「俺が拾わなければお前らはとっくの昔に死んでたんだぜ? 感謝しろ。俺を楽しませろ」
 ヴィダルの言うとおり、弱い者は極寒のヴィーザルの地で生きて行けず、早々にこの世を去るしかなかっただろう。もし、ヴィダルに認められる程に強くなれば村の戦力として普通の生活も望める。

 <総軍鏖殺>青き雪の導き<騎士語り>にて、逃げ出したクルトを追いかけてイレギュラーズ達と対峙する。

これまでのあらすじ

序章(出会いと交流)

 イレギュラーズとの出会い
 雪深き北の大地ヴィーザルを訪れていたイレギュラーズは村の子供(ルイス)を探して森の中で負傷したギルバートを助けた。
 雪の中での戦いは難しいにも関わらずイレギュラーズが窮地に駆けつけてくれたのにギルバートは深く感謝する。

 その時の縁でギルバートからヘルムスデリーという村へ招待される。
 ヘルムスデリーはハイエスタの村であった。
 冬には厳しい寒さに包まれるヘルムスデリーには時々魔獣が現れる。
 そういった戦いに赴くのがギルバートたち騎士だった。

 調停の民
 村には『調停の民』と呼ばれる一族の末裔が住んでいた。
 村長であるグリフィス・ベルターナ、その妹でギルバートの母であるパトリシア、そしてギルバートだ。
 本当は『リブラディオン』という村に正当な後継者がいたが、数年前のリブラディオン戦役で亡くなっている。

 アルエットのお墓参りとリブラディオン戦役
 数年前、調停の民が住む『リブラディオン』がベルノ率いるノルダイン達に襲われた。
 一方的な略奪と虐殺。
 戦士ではない者までをも手に掛ける非道なやり方で。

 ヴィルヘルム・ヴァイスが一足先に現場へと急行しなければ誰一人として生き残りは居なかっただろう。
 しかし、ノーザンキングスの調停の民と呼ばれたベルターナ家は全員殺され、和平の道は閉ざされたのだ。

 特に、当時十歳だったアルエット・ベルターナの死は従兄弟であるギルバートに深い悲しみを刻みベルノへの復讐心を燃やす原因となった。
 ヘルムスデリー観光
 雪深い冬が終わり、芽吹きの季節がやってきた。
 ギルバートは改めてイレギュラーズをヘルムスデリーに招待する。
 村の人達は気さくで優しく、魔獣を倒したり、手伝いをしてくれるイレギュラーズに好意的だった。
 ヤギのミルクで作ったシチューや、自家製パンやブルストは絶品。
 イングリッシュガーデンでお茶を楽しみ、銀泉神殿で祈りを捧げた。

鉄帝編(物語は大きく動き出す)

 残虐なる暴君

『獰猛なる獣』

   強い者が勝つ。
   単純明快だろ。
   ずべて奪ってやるぜ――

 獣鬼ヴィダルの兎狩り
 ノルダインの村サヴィルウスに住む『獣鬼』ヴィダル・ダレイソンは森の中で獲物を追いかけてた。
 自分が飼っていた兎が逃げ出したのだ。
 兎といっても動物ではない。リブラディオン戦役で掴まえてきた闘奴だ。
 自分の元から逃げ出すなど許されることではない。絶対に地の果てまで追いかけてやる。

『青雪花の精霊』エーミルの知らせによりヴィダルに追いかけられていたクルトを発見。
 イレギュラーズはヴィダルを追い払い、クルトを助ける事に成功した。
 彼はリブラディオンの生き残りであった。  
 ベルノの息子トビアスとの出会い
 不凍港ベデクトの調査をしていたイレギュラーズは血だらけの少年と出会う。
 彼はサヴィルウスからやってきたベルノの息子トビアス・ベルノソンであった。

 イレギュラーズはトビアスを『保護』することを決める。
 それはイレギュラーズが所属する六つの派閥のうちの一つ『北辰連合』の敵対勢力『ノーザンキングス』の統王シグバルドの孫トビアスを手にすること同義であった。和平への糸口となるか、それとも亀裂となるか。この時はまだ誰にも分からなかった。

 一方、仇敵ベルノの息子を自陣に引き入れたことで、ギルバートの心境に影響が出始める。  
 血の繋がらない兄妹、血の繋がった従兄妹
 不凍港ベデクトの調査を終えた北辰連合の拠点ローゼンイスタフは揺れていた。
 敵勢力ノーザンキングス統王の孫を受入れることとなったからである。
 内外から「見せしめに殺せ」「人質にしろ」などの声も上がる中、『餓狼伯』ヴォルフ・アヒム・ローゼンイスタフは手出しすることのないようにと命令を下す。

 そんな中、トビアスは城下町で『妹』と再会を果たす。
 死んでいたと思っていた妹が生きていたのだ。
 その妹こそ、イレギュラーズのアルエットだった。
 本当の名前を『カナリー・ベルノスドティール』と名乗るアルエット。
 アルエットとカナリー
 カナリー・ベルノスドティールということはベルノの娘ということだ。
 詳しい話しを聞くとギルバートの『従姉妹だったアルエット』の血の繋がった『双子の妹』なのだという。
 赤子の時にサヴィルウスの近くに捨てられていたのを拾われ、ベルノ達に育てられたのだ。

 生き別れの双子の姉妹が再会したのは、『リブラディオン戦役』の時だ。
 そして、本当のアルエットを殺したのは、ベルノの義弟エーヴェルト・シグバルソンだと判明する。
 不凍港奪還と仇敵ベルノとの邂逅
 新皇帝派に占領された不凍港ベデクトの奪還作戦。
 軍属でありながら、新皇帝派に異を唱え北辰連合に情報を提供したのはフェリクス・クレンゲルだった。
 イレギュラーズの事前調査と彼の手引きで、ギルバート達はベデクトへと潜入する。

 新皇帝派と戦う中で乱入してきたのは、ベルノ・シグバルソン率いるサヴィルウスの戦士達だった。
 イレギュラーズも新皇帝派も関係無く全てねじ伏せると襲いかかってきたのだ。

 結果、イレギュラーズは新皇帝派を制圧し、割に合わないと悟ったベルノ達は撤退をする。
 その際にトビアスは北辰連合へ残るとベルノに宣言した。  
これまでのお話
<序章>
<鉄帝編>
<バロルグ編>

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