PandoraPartyProject
終焉のクロニクル
「遂に、その時が来るでごぜーます」
空中神殿のざんげから遂に確実かつ最悪の『凶報』が届く。
混沌の滅びを確信的に決定づけてきた『神託』が遂に姿を現すというのだ。
Case-Dと称されたその滅びの概念がこの世界に完全顕現すれば、混沌は勿論の事、混沌に連なる全ての世界も破壊されてしまうという。それは先刻承知の話だが、誰にも衝撃を与える事実に他ならない。
「最悪な事に、顕現先は『影の領域』と確定しているです。
……溜めてきた空繰パンドラで顕現までの時間は稼げているようでごぜーますが。
向こうさんの『滅びのアーク』が顕現先を引き寄せたのかもしれねーですね」
結論から言えば、Case-Dの顕現先は魔種の勢力圏のど真ん中という事になる。
『顕現』をどうすれば世界が救われるのかはイレギュラーズにも誰にも答えは無かったが、敵陣の真ん中では何をするにしても多大な妨害がある事は確実だ。また、そこに辿り着く事も容易ではあるまい。
「ですが、『ワーム・ホール』が複数生きているのは僥倖でごぜーました」
マリアベル・スノウが生じさせたというワーム・ホールは影の領域へと直結している。
魔種陣営はワーム・ホールを通じて自陣の兵力を混沌各地に送り込んでいたが当然その逆も成り立つ。生身でまともに飛び込めば辿り着く前に狂ってしまうかも知れないというその通路の安全はざんげがパンドラで確保するという。
「出たとこ勝負は否めねーですが、もうやるべき事はシンプルでごぜーます」
即ちそれは乾坤一擲の大勝負、そして決戦である。
「……影の領域、影の城のイノリ達を倒し、Case-Dの顕現を回避して下せーでごぜーます」
イレギュラーズを慮るざんげの顔を見ればどれだけ無理な事を言っているのかは知れていた。
しかし、イレギュラーズは座して死を待つような真似はすまい。