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シナリオ詳細

<終焉のクロニクル>炎の残滓、その行く末を占って

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●最終決戦へ
「遂に、その時が来るでごぜーます」
 空中神殿のざんげから遂に確実かつ最悪の『凶報』が届く。
 混沌の滅びを確信的に決定づけてきた『神託』が遂に姿を現すというのだ。
 Case-Dと称されたその滅びの概念がこの世界に完全顕現すれば、混沌は勿論の事、混沌に連なる全ての世界も破壊されてしまうという。それは先刻承知の話だが、誰にも衝撃を与える事実に他ならない。
「最悪な事に、顕現先は『影の領域』と確定しているです。
 ……溜めてきた空繰パンドラで顕現までの時間は稼げているようでごぜーますが。
 向こうさんの『滅びのアーク』が顕現先を引き寄せたのかもしれねーですね」
 結論から言えば、Case-Dの顕現先は魔種の勢力圏のど真ん中という事になる。
『顕現』をどうすれば世界が救われるのかはイレギュラーズにも誰にも答えは無かったが、敵陣の真ん中では何をするにしても多大な妨害がある事は確実だ。また、そこに辿り着く事も容易ではあるまい。
「ですが、『ワーム・ホール』が複数生きているのは僥倖でごぜーました」
 マリアベル・スノウが生じさせたというワーム・ホールは影の領域へと直結している。
 魔種陣営はワーム・ホールを通じて自陣の兵力を混沌各地に送り込んでいたが当然その逆も成り立つ。生身でまともに飛び込めば辿り着く前に狂ってしまうかも知れないというその通路の安全はざんげがパンドラで確保するという。
「出たとこ勝負は否めねーですが、もうやるべき事はシンプルでごぜーます」
 即ちそれは乾坤一擲の大勝負、そして決戦である。
「……影の領域、影の城のイノリ達を倒し、Case-Dの顕現を回避して下せーでごぜーます」
 イレギュラーズを慮るざんげの顔を見ればどれだけ無理な事を言っているのかは知れていた。
 しかし、イレギュラーズは座して死を待つような真似はすまい。
 そう、決戦のときだ……!

●炎の残滓
「鉄帝の全剣王の塔……『コロッセウム=ドムス・アウレア』については知っていると思う」
 『ガストロリッター』アヴェル・ノウマン(p3n000244)は集まった面々にそう切り出した。
 Case-Dの顕現の回避。それについての話は誰もが聞いている。難しい話だ……しかし世界中の人々が今、この難題に取り掛かっている。
 生きているワーム・ホールからの突入、そして防衛。やるべきことは山積みなのだから。
「今回、俺たちガストロリッターも全面的に協力するが……それにあたり、少々問題が出てきている」
 それは玄狐・シュアンフーと呼ばれる存在についてだ。
 幻想や鉄帝に度々姿を現すようになった玄狐はかつて存在した炎の大精霊の残滓と思われるが、魔種ではなさそうなのに人類に非常に敵対的なのだという。
 世界など滅びていいと公言してはばからない玄狐は、今回の戦いでも必ず現れるだろう。
「そろそろあれとも決着をつけねばならぬの」
 『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)の言葉通り、たとえ魔種ではないとしても同等の人類の脅威を放っておくわけにはいかない。
「今回の作戦についてだが……コロッセウム=ドムス・アウレアに対し多数の軍勢でワーム・ホールを急襲し、影の領域に部隊を進軍させる。俺たちはその軍勢の一角となる」
 つまりガストロリッターと共にワームホールへ仲間たちを送り込むための第一の矢となるということだ。
 しかしながら、魔種陣営はやがてこの状況に対応してそれ以上の増援が来ないようにワーム・ホールの再奪還を狙うだろう。全剣王を中心とした幾つかの部隊がこの役目に当たるだろうとされているが、その中で恐らくこちらには玄狐が来るだろうと、そう予測されている。
「そう、俺たちはワームホールから際限なく出現する敵を食い止め、人類側の進軍ルートを確保し続ける役割だ。勿論、退路を確保するという意味もあるが……まあ、そのときは全ての終わりではある」
 つまるところ、希望を繋ぐための剣であり盾。それがこの作戦の肝なのだ……!

GMコメント

コロッセウム=ドムス・アウレアへ進撃し、他の部隊がワームホールの奥へ突入するための一撃を加えるのです!
大多数での攻撃により部隊が突入していきますが、すぐに「それ以上の人員を進ませないため」、ワームホール再奪還のための部隊がやってきます。
そう、つまりこの「再奪還部隊」をどうにかするのが皆さんの役目です。
ワームホールの向こうからやってくる玄狐率いる部隊をやっつけるのです!

●敵一覧
・玄狐・シュアンフー
かつて存在した炎の大精霊の残滓の、その1つ。胡桃・ツァンフオ(p3p008299)さんとその来歴が同じであり、過程が異なるもの。
どうやら魔種ではないようですが、終焉勢力と行動を共にしているようです。
「世界など壊れて構わない」という思考であるようで、皆さんに対しても非常に敵対的です。
攻撃方法は火の玉のような炎を放つ攻撃と、地を走り空を駆ける狐のような形の炎を相手にぶつける攻撃。そして自分の周囲に炎の海を展開する攻撃、そして堅い防御も破断する超高熱の炎剣『大精霊の炎剣』も使用するようです。

・変容する獣『炎の神官』×???
体の中身が透き通っている蒼白い終焉獣です。玄狐の力を受け独自進化したようです。
まるで神官のような姿をしており、広範囲に炎の雨を降らせる「炎の祈り」を使用します。
なお、炎の祈りは玄狐には回復効果をもたらすようです。
初期状態では200がやってきますが、玄狐が滅びるまで随時追加されます。

●友軍
・ガストロリッター×100
太古に滅びたガストロ帝国の遺志を継ぐ者たち。全員がほぼ同じ格好をしており、実力も同じくらいです。
ガストロ帝国流剣術による近接攻撃と、単体回復魔法を使用します。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • <終焉のクロニクル>炎の残滓、その行く末を占って完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2024年04月03日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
胡桃・ツァンフオ(p3p008299)
ファイアフォックス
結月 沙耶(p3p009126)
少女融解
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)
挫けぬ笑顔
ビスコッティ=CON=MOS(p3p010556)
メカモスカ
火野・彩陽(p3p010663)
晶竜封殺

サポートNPC一覧(1人)

アヴェル・ノウマン(p3n000244)
ガストロリッター

リプレイ

●再奪還部隊を迎撃せよ
 コロッセウム=ドムス・アウレア。そこに存在するワームホールの維持は、それを本当に必要とする状況が敗北を意味するとしても、絶対に必要なものであった。だからこそ、無限のようにやってくる再奪還部隊を迎撃するために集まった者たちがいた。
「さーて。逃げてった玄狐捕捉っと。今度は逃がさへんよ。いっぱいあーそびましょー!! ってな! ちょっとお付き合いお願いしますよお姉さん。滅び招かんようにさせてもらうからな。覚悟せえよ」
「なんとまあ。儂に勝てると思っているのか。その傲慢、死をもって償うといい」
 『晶竜封殺』火野・彩陽(p3p010663)と玄狐・シュアンフーのそんな舌戦が早速始まっている。
 そう、この戦いは玄狐・シュアンフー率いる軍団との決戦だ。200はいるその軍団相手に、しかし此方にも『ガストロリッター』アヴェル・ノウマン(p3n000244)を中心とするガストロリッターからの援軍が100……数では不利だが、それでも負ける気はない。
「ぶはははッ、今回も頼らせてもらうぜガストロリッター!」
「ああ」
「わたしもやりますよぅ!」
 『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)にガストロリッターたちも頷き、そのプロらしさをゴリョウに改めて伝えてくれる。そんなゴリョウの連れてきたヨウエンも元気に声をあげている。
「世界など壊れて構わない、か。困るわね、まだまだこの世界は利用価値(知的好奇心を満たす存在がいっぱい)があるんだから、出涸らしにしてからじゃないと勿体ないじゃないの。その企て、阻止させてもらうわよ!」
「玄狐・シュアンフー……世界を壊すつもりなら、倒すしかない。ワームホールの再奪還もさせない、ここで終わらせる!」
「そうだね! ワームホールを再奪還させるわけにはいかないね。全力をもって阻止させてもらうよ!」
 所属している組織の仲間たちである狐達をも引き連れてきた『狐です』長月・イナリ(p3p008096)に『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)と『挫けぬ笑顔』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)も同意するように叫ぶ。
「奪還など許すものか」
 『メカモスカ』ビスコッティ=CON=MOS(p3p010556)もそう宣言する。
「そもそもお主等が勝手に開けたものじゃろうが。勝手に世界を滅ぼそうとして開けたものじゃろうが!! ゆ”る”さ”ん”!!」
 言いながらビスコッティはバイザーをおろす。
「我はまだ見ておらんものも、母上に料理を振る舞うことも、義父上とデートをすることも、叔母上をからかうこともやり足りん! 絶望したなら寄り添ってやる。しかし、それで世界を滅ぼすなど。驕るなーーーー!!!」
「その通りだ……!」
 『少女融解』結月 沙耶(p3p009126)もオーロラの髪飾りに触れながら、確かな怒りを示す。
「世界など滅びて構わない? ふざけるな! 私がこれまで歩んできた嬉しい事も悲しい事も、それ全てを灰燼に帰そうとすることなんて……それにあの子も新しい輝ける生活を送れなくなる……そんなのは、私は絶対に許せない!」
 そんな全員の怒りを代表するかのように『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)も玄狐をしっかりと見据える。
「世界がどうなろうと、どうでもよかった。己以外の全てがどうなろうとも、顧みることもなかった。きっと、今のわたしの中にもそれはあるの。陽中の陰、陰中の陽。わたしの中のそなたと、そなたの中のわたし。それでも、旅路の果てに答えを見つける為に、運命の果てに決着をつける為に……わたしは、戦いに来たの」
「ならば今日どちらかが消えることになるな」
「そうなるの」
「フ……フハハハハハハ!」
 面白そうに、楽しそうに玄狐は笑う。まるでこんな面白いことはないかというかのように嗤う。
 そして実際、玄狐は面白がっているのだ。世界の終わりのこの刹那。互いに譲れない理由を抱えていようとも、その実際はこんな個人的な決着だ。しかしそれは恐らく「自分たち」に相応しいのだろう。
 世界の行く末も、大義も正義も悪も。結局全ては陰陽の理のようなものだ。白か黒か……どれがどうであるかは残った観測者のみが決めるのだ。
「いいだろう。ならば最後の最後までやりあうとしようか! 儂か貴様等か……生き残った方が全てを得るということだ!」

●炎の残滓、その行く末は
 今回の戦いに関しては此方が不利であることは最初から明白だった。無限のように湧いて出てくる敵の軍勢相手に長期戦を仕掛ければ不利になるのは分かり切っているからだ。だからこそ、しっかりとした作戦はすでに建てられていた。
 そう、今回の作戦としては玄狐を釣り出し、炎の神官どもと合流させないよう孤立させてそれぞれ対処する、といったものだ。
 だからこそゴリョウは先んじて沙耶が釣り出した玄狐を追いかける形で押し寄せる炎の神官の群れに対し、ガストロリッターを統治させてもらって壁として止めにかかろうというのだ。これにより炎の祈りによる玄狐の回復を断ち切り、真っ向勝負でイレギュラーズと戦わざるを得ない状況に持ち込むことさえ出来れば……勝機は、ある。
 そんな仲間たちの期待を背負った沙耶の道を拓くべく、ヨゾラがパラダイスロストを放つ。
「炎の神官達、とっとと倒れて道を開けろ……!」
 ハイセンスと広域俯瞰で全体把握と周囲警戒はしている。何かあればすぐに分かるこの状況で、不測の事態を見逃すつもりはヨゾラにはない。
 そして何よりも、この隙こそが沙耶の望んでいたものだ。
「道を切り開いてくれると信じていた……!」
 それは隙とすら呼べないものかもしれない。けれど、沙耶にはそれで充分だ。この小さな隙をつくように乗り込んで玄狐に怪盗リンネの予告状を放つ。
(あとはこのまま……!)
 誘引先はなるべく味方、特に胡桃がいる方向。勿論、敵の真っただ中で沙耶1人ではそれは出来ないかもしれない。けれども、そこにゴリョウの号令が響く。
「今だ! 突っ込めぇッ!」
 陣形指示はシンプルに、誤解の余地がないレベルで響かせる。僅かなズレが敗北に繋がる可能性がある以上は、ゴリョウは一切の油断をしない。
「前後2列! 前衛は切り払い、後衛は回復専念! 俺のオークライと共にスイッチだ! スイッチ時に思いきり踏み込み、勢い付けて押し返せッ! 喝ァッ!」
 その叫び声が響き、ガストロリッターたちが一気に進撃していく。それだけではない。ゴリョウ自身もアムド・フォートレスで自身を鉄壁と化していく。あとは招惹誘導とオークライを交互に行いスイッチをしていくことで、炎の神官たちを抑えるつもりだ。
「敵陣のかく乱は火野が、ヨゾラがやってくれる! 崩れかけてもビスコッティがカバーしてくれる! こいつらの親玉である玄狐はイレギュラーズが仕留めてくれる! 俺らはそれまでこの場を全力で死守する! やるこたぁそれだけだ!」
「ははっ、期待されてる……か!」
 彩陽にもゴリョウの声は聞こえている。そんなに期待されているのであれば応えなければいけないだろう。
「味方が玄狐つり出してくれてるんでその後ろの軍勢止めるのがお仕事ですよっと」
 だからこそ彩陽がすべき事は封殺+機動力削いで足並みを揃えさせないこと。
 糸切傀儡からのアンジュ・デシュで徹底的なBS攻勢をかけていく彩陽はケイオスタイドを放つタイミングも狙っている。。
「とにかく敵を倒しつつ軍勢の足止めしてくで!」
 そのための手段は多数用意している。だから、彩陽は自分に求められた役目を果たすのみだ。
「悪いけどこの世界滅ぼされたら困るんよ。この世界で生きてくと決めた以上はな。それくらいの炎はぬるいぬるい! 地獄の業火ですら自分らは止められへんよ。ほなさようなら。ってな!」
 実際にぬるいかはさておいて、彩陽は自分の役目を果たしている。だからこそビスコッティの動きも自然とキレのよいものになっていく。
「ガストロの者たちはゴリョウと一緒に玄狐を孤立させるために頑張るみたいじゃから。我がやるべきは……ガストロの者たちに被害が及ばぬよう怒付与されておらぬ炎の神官に赤潮をぶちまけ続けることじゃな!」
 炎の神官の数は多い。とにかく多い。しかし、それでもビスコッティは恐れず赤潮を発動させていく。
 勿論、自己回復の手段も持ってはいるが……間に合わない場合はガストロリッターに頼むことも前提だ。
「頼ることを知らぬほど、我は無知でもなければ絶望もしておらぬ。そしてゴリョウという先達が居ようと臆することもない!」
 必ず勝つ。その気合がビスコッティに声を張り上げさせる。
「気合い入れろじゃあああ! 我等1人が100の命を救うと思え!!!」
 事実、そのビスコッティの言葉は大袈裟ではないだろう。この戦いは世界の命運のかかった戦いだ。100人どころか1000人、1万人の命を救うかもしれない。今まさに、そんな戦いの最中なのだから。
「仲間の首1つは敵の首10と同じじゃ、絶対に見捨てんぞ!」
 仲間に接近するやつは通常攻撃で足止めでぐずぐずにしてやる、と。そんな気合が今ビスコッティには宿っている。
 ちなみに当然だが、玄狐を上手く釣りだしたとしても炎の神官との連携をまたさせては何の意味もない。
 だからこそフォルトゥナリアは玄狐を戻らせないようにブロックすることを中心とした仲間のサポートが任務であった。
 SS、FFAを自分に付与し、その後CoHまで使用したフォルトゥナリアの状況は万全だ。
 希望の喊声で味方の行うフォルトゥナリアは、その範囲を活かしてブロックしながら遠くの味方に回復を投げていく立ち回りをしようとしていた。
(回復されながらの消耗戦になったとしても負けるつもりはないけれど、短期決戦を仕掛けられるならその方が望ましいね! できる限り全員生存を目指すよ!)
 そしてイナリはそんな中で優先攻撃目標を玄狐に定めていた。狐達は後方支援に回しているが、この激しい戦いの中ではきっとそれが正解だったのだろう。
 だからこそイナリは突出した玄狐を更に自軍勢力範囲に引き込んで、味方が攻撃しやすいように敵の合流を妨害するべく動いていた。
「駄目よ? この世界を壊しちゃ。お母さんに教えられなかったのかしらね、物は大切にしなさい、ってね! まだまだ利用価値があるのにもったいないでしょうがぁ!!」
 まず放つのは神幸~風~。機動力を低下させつつ、敵集団から引き離す方向に対象を弾き飛ばしてやるのが目的だ。
 ついでにイナリが……ちょっと黒い部分を見せつつもそう叫ぶが、玄狐は意に介した様子もない。
「そんなもの、教わった覚えはないな! なあに、世界など壊れても文句を言う者はいないだろう。全員死ぬからな!」
 なんとも破滅的な思考だ。だからだろうか、胡桃は玄狐に可能な限り張り付きながらも、分かり合えないことを改めて感じていた。
「今まで誰にも言わなかった事実があるの」
 独白のように、胡桃はそれを口にする。
「R.O.Oのアバター、あれはわたしの成長のシミュレーションの一つだったの。彼女やあやつを見れば分かると思うけれども、わたしの不変は、成長する事への恐れの裏返しで。過去(つみ)を悔い、未来(ばつ)を恐れて、燃え残りの火のような現在(いま)を積み重ねて……でも、今なら。違うものになれるかもしれぬの。可能性とは、そういうものであるのだから。だから、騎士さん、一つだけお願いがあるの。どうか、わたしを信じて」
「いいとも、信じよう」
 アヴェルはあっさりとそう頷いて。胡桃の手にはバロックナイツがある。それは命懸けで目的を果たそうとした時、奇跡が起こり得る可能性があるモノ。
「今までのわたしの全てを懸けて、例え不変の個我を失うことになろうとも。それでも、わたしはこの世界の続きが見たいから」
「よおし、やれ胡桃! 安心しろ、切り札は1枚じゃねえ!」
 ゴリョウがそう叫び、胡桃は頷き走る。
「まぁ多分トドメにはならぬと思うけれども」
 そんなことを、胡桃は呟く。
「もしかしたら、わたしたちにしてみれば……ずっと昔からわかっていたはずの事だった。いつか、終わりが来るのなら、それは同類の手によってではなく。想いを繋ぐ、勇者の手によってだと」
「世界を滅ぼす獄炎なんかに負ける私達ではない。世界を救う灯火と共に私達は先へ進むんだ! そうでしょ、胡桃?」
「コャー。まあ、つまりはそういうことなの」
 胡桃の、そして沙耶の一撃が……玄狐にトドメを刺す。それは、玄狐に驚きを……そして、納得したような表情をもたらしていた。
「さようなら、もう一人のわたし」
「さらばだ、もう1人の儂よ。ほざいたならば精々見届けるがいいさ」
 その言葉と共に、玄狐は消えていく。それは炎の神官の増援が止まる合図であり……しかし、まだまだ戦いは終わらない。
 それでも、これは1つの終わりであり……未来への始まりであるのだろう。

成否

成功

MVP

胡桃・ツァンフオ(p3p008299)
ファイアフォックス

状態異常

なし

あとがき

VS玄狐、決着。
ご参加ありがとうございました!

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