シナリオ詳細
<終焉のクロニクル>Pandora Party Project
相談期間中
プレイング募集期間は終了しました。相談掲示板はこちら。
オープニング
●『一つ』の混沌(せかい)
「良く集まってくれた!」
ローレットをお膝元に置くメフ・メフィートの王宮には未だかつてない光景が広がっていた。
凛と声を発したのは言わずと知れた幻想(レガド・イルシオン)の国主フォルデルマン三世。
しかし彼の目の前に立つ人物達はこの場所からして例外的にまるで臣下の礼を取っていない。
それもその筈。
「まさか、アンタから呼ばれるとは思っても見なかったぜ。
こっちは戦勝気分でメイドの飯でも食えそうなトコだったんだけどな」
知己のイレギュラーズとのやり取りを冗句めいて言ったのはゼシュテル鉄帝国皇帝、『麗帝』の武名混沌中に轟くヴェルス・ヴェルグ・ヴェンゲルズ。
「バグ・ホールとワーム・ホールであったか。
此方もあれには中々手を焼いておる。建設的な『話』になれば幸いじゃな」
自慢の白い顎髭を指で扱くのは練達、セフィロトが『探求』の塔主――カスパール・グシュナサフである。
それだけではない。
「……この度の呼びかけを、そしてローレットへの長年のご支援に感謝を申し上げます。フォルデルマン王」
「うむ。魔種とはやはり人類圏の不倶戴天の敵なれば。
彼等には感謝しても仕切れぬものがある。結果として貴国にも」
「おうおう、妾としてはとうにその心算じゃ。海洋は建国以来の悲願を彼等に果たさせて貰ったのでな」
「縁を繋いで貰った。返せない位多くを受け取った。思えば、到らぬばかりの話であったが」
「……………ま、中々面白い連中である事は確かだよ」
最後の人、『彼女』が特異運命座標だろうとは言うなかれ。
普段、勢力圏から出る事はない深緑(アルティオ=エルム)の緑の巫女、リュミエ・フル・フォーレ、更には自他共に厳めしい正義と実直、賢王としての年輪をその顔に刻み付けた聖教国国王にして、教主たるシェアキム・ロッド・フォン・フェネスト六世、海洋王国大号令を成功させた女王イザベラ・パニ・アイスに『新天地』カムイグラの『霞帝』今園賀澄、『世界最強の傭兵』こと砂漠の赤犬、ディルク・レイス・エッフェンベルグ等といった錚々たる面子が揃っている。
国として幻想と付き合いのあるディルクやイザベラはいざ知らず、長年の敵国の王であるヴェルスやシェアキム、我関せずを貫く中立主義のカスパール、外部との交流を好まない幻想種のリュミエや遥かカムイグラに在る賀澄等がメフ・メフィートの王宮に在る事自体を例外過ぎる事実と呼ぶしかなかろう。
そしてその極めつけは……
「ま、ずーりんにお願いされたしね。ユーフォニーやヴィルメイズ、イレギュラーズには世話にもなったし。
話があるってんなら付き合わない位に薄情じゃないわよ」
……ここについ『この間』までの人類未踏の地、覇竜領域の若き姫――珱琉珂の姿さえある事だった。
覇竜観測所、そしてヘスペリデスの大事件……特異運命座標達の紡いできた縁こそがまさに特異点であると言う他なかろうか。
「それで――王サマよ。この集まりは何だい。アンタが仕切ってくれるんだろう?」
「うむ。ディルク殿、私は皆々様に提案をしようと思ってここに来て貰ったのだ」
ディルクの言葉にも最早物怖じせず、フォルデルマンは居並ぶ面子を見回した。
「我々は国王だ。そして、我等が国はそれぞれが様々な事情を抱えている。
私はイザベラ殿やディルク殿とは友誼を結んではきたものの……
例えば我が国は、ゼシュテルとはもう何十年もそれ以上も争っている。
ネメシスと戦争になった事も何度もある。父祖代々より続く因縁は決して小さなものではない。
アルティオ=エルムやセフィロトは他国と関わるをこれまで良しとはしなかっただろう。
遠き地の――カムイグラのお方や竜の姫君からすれば我々はまだ見知らぬ他人やも知れない。だが!」
堂々と言ったフォルデルマンは一層胸を張って言葉を続けた。
「我々がこの混沌に生きる同じ人間である事に変わりはない。
この世界は今、滅びの危機に瀕していると言う。
我々は、我々の力だけで『神託』を回避出来ない事実をこの何年かで痛烈に思い知ってきた事と思う。
世界最強のヴェルス殿やディルク殿も、戦う力のないこの私などはいの一番に。
……特異運命座標は、ローレットは本来民を守らねばならぬ我々の為に傷付き、命を燃やし、魔種共と戦ってくれてきた。
だが、我々は何も出来ない存在であろうか?」
フォルデルマンの横顔を見つめるシャルロッテの大きな瞳が潤んでいる。
「答えは否。断じて否だ!
確かに我々には決まった運命を覆す力は無いかも知れない。
可能性の獣と同等の結果を出す事は不可能だろう。だが、それでも我々は王だ。
彼等には無い力を持っている。我々は――いや、我々を含めた人類は特異点の有無に関わらず抗う力を持っていると信じてやまない!
……そこで、私は――フォルデルマン三世は皆様に提案したい」
――今日、この時を以って全ての恩讐を一旦取り置き、全国家全勢力全力を挙げてローレットを支援し、魔種との決戦に臨まんと!
「一本化した指揮系統は世界最優と名高いザーバ・ザンザ将軍にお預けしたい。
参謀として我が国の『黄金双竜』レイガルテ卿をつける用意がある」
フォルデルマンの言葉にレイガルテが「御意に」と一礼する。
一方のザーバは……後で聞けばさぞ難しい顔をするに違いないが、これを断るような男ではなかろう。
「時間が無い故、その他、細かい調整は進めながら承りたい」
「聞いていた人物像とは随分違うとお見受けするが、良き哉。男児三日会わざるば刮目して見よ。
学べる事、成長出来る事こそが若者の特権なればな」
カスパールが淡く微笑んで、誰より先に拍手を始めた。
「……信じられないもんを見たが、アンタ十年も経てば結構俺のいいライバルになるかもな?」
「異論はない。神も、我々も彼等の先行きと共にあらんと願っていた」
ヴェルスが、シェアキムがそれに続く。
「我が国に出せる戦力はたかが知れておるが是非も無い。支援に輸送にお任せあれじゃ」
「うむ。イザベラ殿と共に可能な限りの助力をする事を約束しよう」
「アンタ達は俺が守るって言いたいトコだけど、今回だけはな」
「その顔で言わないで下さい」
イザベラと賀澄、ディルクの言葉にリュミエが苦笑した。
「勇者王って言うんだっけ、アナタの祖先」
感心したように零した琉珂の脳裏に『竜さえも乗りこなしたその伝説』が過ぎる。
アイオンの名は覇竜領域にも轟いていた。あのメテオスラークが懐かしそうに嬉しそうに話した言葉が浮かんで消えた。
成る程、目の前のもやしの覇気を見れば眉唾な昔話も少しは信憑性を持とうというものだ。
「――感謝する!」
深々と頭を下げたフォルデルマンには確かに混沌の誰もが一度は憧れた勇者王の片鱗が僅かに覗く。
そして、ゆっくりと面を上げた彼はそしてここに宣言する――
「今、この時を以って我等は一丸。
我が為に戦い、誰が為に死のう。
隣人が為に誇りを振るい、世界の為に前に進まん!
これより、乾坤一擲の決戦『Pandora Party Project』発動を宣言する!」
●『例外』という混沌
「――始まったみたいだね」
終焉(ラスト・ラスト)――影の領域、その深くに到る影の城。
人間の王侯貴族が好みそうな居場所を真似るかのように形作られた皮肉な場所で原罪の魔種ことイノリは静かに言った。
運命が望み、神が、世界が否定してきた『神託』の成就はもうすぐそこまでやって来ている。
『見て』分かるのだ。
ただ広く伽藍洞な謁見の間の中心に空間の歪みが生じていた。
外の世界に幾らでも沸いたバグ・ホールと似ていて異なる――
大きさ自体はまだ拳大であり、まるで威圧的なサイズとは言えないのだが。
それは確かに別種のものであった。
余りにも違い過ぎて、イノリにそれが他と同じものだとは思わせてくれない程にも。
「生き汚いクソ爺が恐れる訳だ。正直、これ程に『理解る』ものだとは思ってもみなかった――」
独白めいたイノリは呆れ半分、賞賛半分の苦笑いを浮かべていた。
近付いているという事実のみで『それ』が放つ狂気めいた圧倒的な存在感は影の城の異常ささえも吹き飛ばす位に強烈で、イノリをしても底を見通す事等出来はしない。
そしてそれは取りも直さず、『それが故』にこの大いなる混沌を吹き飛ばし得るのだと教えてくれるかのようだった。
「顕現にはどれ位かかるのかしら」
「分からない。だが、終焉までのカウントダウンは確実に始まってる。
……そうだな、長い時間は無いだろう。例えば君と今年のシャイネン・ナハトを過ごす事は出来そうもない」
冗句めいたイノリに「なにそれ」とマリアベルが唇を尖らせた。
「性格が悪いわよ、イノリ。私に気を持たせるような事はしないで頂戴な。
それで……この後はどうしたらいいの? 待っていれば『神託』は成るのかしら」
「魔王座(Case-D)の顕現は成った時点で不可逆だ。この混沌にアレが引き込まれた時点で全ては完了する。
そうなれば神だろうと特異点だろうとこれを覆し得る事なんて出来はしない。だが」
「邪魔、するわよねえ」
マリアベルの口角が意地悪く持ち上がっている。
「貴方のその言い方だと『顕現する前なら止められる』ように聞こえたわ。
つまる所、あのお節介な連中はその好機を見過ごすような事をしないでしょう。
世界の為だか、大切な人の為だか――それとも自分自身の為だかで。
信じられないような苦労を平気で呑み込んで、不可能に挑むような連中なのでしょう、『あれ』は」
「まるで、君みたいにね」
イノリの切り返しは先刻承知であったのかマリアベルは苦笑いを浮かべている。
「かくて魔種と人類圏の最終決戦は不可避のものになる訳だ。
事これに到れば、お互いに是非も無い。世界が滅ぶのが先か、彼等がこの場に辿り着くのが先か――
尤も、辿り着けた所で僕だって譲ってやる気は微塵も無いがね。
さて、彼等は何をどうするか――」
独白めいたイノリの言葉に応えるではないが、マリアベルの柳眉がぴくりと動いた。
「……成る程ね」
「マリアベル?」
「彼等のやり方が分かったわ。どうも彼等、私のワーム・ホールを辿ってこっちに乗り込んでくるみたい」
憮然とするマリアベルにイノリは「まさか」と問い返す。
「事実よ。私が感知したのだから間違いない。
そうね。ええ、そうよ。貴方の思っている通り――私の通路は原罪の呼び声の煮凝りのようなものよ。
人間が人間のまままともに通過するなんて馬鹿げてる。出来やしない。でもね、あの『前例』は痛恨だったわね」
「乙女が二人か」
「ええ。『前例』は彼等により大きな冒険をさせたということ。
パンドラの奇跡で押し切れば、本来通路ではない通路を利用出来る――侵攻ルートを逆侵攻ルートに変えられてしまった。
人類圏は……ああ、もうすごい多国籍軍ね。
どうも彼等腹をくくったみたい。イレギュラーズを旗印に混沌中の全勢力が影の城への打通を狙ってる。
でもね、イノリ。これは私の問題じゃなくて――貴方の大好きな妹様の所為ですからね!」
「責めてないってば」
苦笑に苦笑で返したイノリが天を仰ぐ。
「……まぁ、最後の最後まで出来た妹だ。ことこれに到っても神のくびきから逃れる心算は無いらしい。
思えば碌に言葉を交わした事も無い妹だ。一度位は話し合っても良かったのかも知れないが。
……しかし、何だ。兄の心も、その逆に妹の心も。『家族』でも案外理解し得ないものなんだな――」
何とも言えない顔をしたイノリにマリアベルは嘆息した。
「……いいじゃない、最初で最後の兄妹喧嘩。それに貴方がどうするって言ったって」
――泣き言を言ったって、どんなに情けなくたって。私は最後まで付き合うから。
彼女はその先を言わなかった。
唯、この後に起きるであろう終焉(ラスト・ラスト)の激闘が生易しいものにならない事だけは知っていたから。
- <終焉のクロニクル>Pandora Party ProjectLv:95以上相談期間中
- ――滅びの運命を捻じ伏せて、かの魔王座を拒絶せよ!
- GM名YAMIDEITEI
- 種別ラリー
- 難易度NIGHTMARE
- 依頼公開日時2024年03月18日 21時45分
- 第4章募集中48人
- 総採用数392人
- 参加費50RC
プレイング募集期間は終了しました。相談掲示板はこちら。
第3章
第3章 第1節
●誤算
「言われてみりゃあそう性格のいい女じゃあ無かったな……!」
バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)の苦笑いは痛恨であり、心底からのものだった。
影の城の直前を阻む敵軍を強烈に押し込み、まさにその一手を次へと進めんとしたイレギュラーズを阻んだのは、
「――高位空間魔術!!!」
口惜しさと高揚を半ばに声を上げたマリエッタ・エーレイン(p3p010534)の言った『大問題』であった。
(そう言えば、ワーム・ホールを作り出したのはマリアベルでした……)
黒聖女の名を持つ大魔種の得手は空間を捻じ曲げる神秘の行使である。
イレギュラーズは影の城の間近まで接近しながらも『それ以上の距離を詰める事が出来ていない』。
成る程、魔種共の目的が神託の成就と世界の完全破壊ならば『戦わない』選択肢は最上であろう。
「これどうするんだよ!?」
楊枝 茄子子(p3p008356)が困った顔をする。
「勘弁しろよ」
「斬って斬れないものはねぇ――」
ルナ・ファ・ディール(p3p009526)は吐き捨て、白薊 小夜(p3p006668)は眉根をハの字に寄せる。
「……理解が出来ぬな」
梅泉は口をへの字に曲げたが、どうやら敵は手段と目的が入れ替わるタイプではないらしい。
「こういうの卑怯だよ!」
「勝てる自信がないって事でいいのかな!?」
珍しく非難めいた炎堂 焔(p3p004727)が抗議し、セララ(p3p000273)は実に分かり易く挑発する。
――戦って負けない事と、確実に問題を解決するのは別って言うのよ?
煽り耐性の案外低いマリアベルの声が空より響く。
空間を捻じ曲げ、イレギュラーズの入城を拒否した彼女はこの状況を嘲り笑った。
――黙ってそこで指をくわえていなさいな。魔王座が成るのを、後ろで仲間達が斃れるのを!
「……クソが」
短く呟いたラダが八つ当たりのように銃撃した。
その弾丸がやはり捻じれた空間の何処かへ消え去る。
(……どうする……?)
アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)は冷静に思考を巡らせた。
突破が不可能であるかどうかは別にして少なくとも時間を使わされるのは間違いなく。
それはこの状況で致命的になるのは火を見るよりも明らかであった。
どうしても手札が足りていない。
アンナの脳裏には幾つかの解決手段が過ぎったが、この場所にそれはない――
――ように、思われたが。
結果としてアンナが考えた手段は何とも珍しい事に自分の方から現れていた。
――解析完了~♪
軽薄過ぎるその声は奇しくもマリアベルと同様に一同の頭の上から降って来た。
「クリスト君!」
「――クソHADES!!!」
マリア・レイシス(p3p006685)とすずな(p3p005307)、親友二人の反応は対照的なものだったが。
彼女等の呼んだ名前こそ、アンナの考えた『幾つか』の解決法の内の一つを示すものである事は間違いなかった。
――うーん、中々メンドクサイ式だけどNE!
俺様changてば解析と計算のスペシャリストな訳ですYO!
お礼はすずなchangのコスプレゲイムでいいとして――あいた!? クラリスchangぶたないで!!!
……まー、時間がない! 俺様changが結界だか術式だかわかんねーけど解除しちゃうから!
イレギュラーズchang達とっとと中にぶっこんで!!!
クリストは練達セフィロトのマザーコンピュータの『兄』に当たる混沌最高の演算装置の一つである。
損傷したマザー、つまり彼の妹クラリスはまだ回復が完全ではないだろうが、この局面には彼が居た。
本人が志願してなのか、クラリスに尻を蹴られたからなのかは分からないが――渡りに船とはこの事だ!
「一気に――」
「――行くぞ!」
ヴェルグリーズ(p3p008566)の言葉をルカ・ガンビーノ(p3p007268)が短く繋いだ。
影の城を目指した部隊は幻想の距離を失い、一気に城内へ雪崩れ込む!
――この、連中は……ッ!
ああ、だからもう、イノリ! これは私が当てにならない訳じゃなくて――
マリアベルも今更に、幾度と無く。
相手が何者なのだかを思い知っているに違いない!
YAMIDEITEIっす。
三章開始です。
プレイングには詳細なルールが決まっておりますので必ず守って記載するようにして下さい。
●依頼達成条件
・Case-Dの顕現阻止
※完全顕現した場合、混沌以下全ての世界が滅び、ゲームオーバーとなります。
●ワーム・ホール
『黒聖女』マリアベルの作り出した人類圏への侵攻路。
おかしな前例を作った華蓮ちゃんとドラマちゃんがいたせいで、パンドラの奇跡でとんでもない横紙破りを食らった結果、逆侵攻ルートにされました。
ここを通過するのにもパンドラを消耗します。
本シナリオはここを通過して『影の領域』に到着したシーン以降を描く事になります。
●影の領域
終焉(ラスト・ラスト)、人類未踏の魔種の勢力圏をそう称します。
薄暗く日の光が弱く、植生等の生態系も歪んでねじくれた『魔界』のような場所です。
混沌と地続きですが、まるで違う法則に支配されているようで此の世のものとは思えません。
また影の領域は原罪の呼び声のスープのようなもので、多くの人類に以下の影響を与えます。
・何時反転してもおかしくない
・イクリプス全身図の姿に変わり、戦闘力が強化される(姿はそのままでも可)
本来ならばここで戦う事は困難です。反転や狂化を免れる事は難しいのですが……
●影の領域(第二戦域)
進軍ルートの彼方に爆発が起きました。
そちらにドラマちゃん、華蓮ちゃん、レオン、ナルキスとその部隊が居ます。
ナルキス隊はフロスベクト、ラーングーヴァの軍勢に比べて小規模です。
●空繰パンドラ
今回は皆さんの代わりにざんげが有する空繰パンドラが使い続ける事で致命的な悪影響を防いでいます。逆に言えば空繰パンドラは皆さんが共有する有限のリソース、即ちHPとなります。
空繰パンドラによる奇跡の支援は戦闘中別の事にも使われる場合がありますが、使用すればする程余力は小さくなる性質です。
ざんげに何をして欲しいと頼む余裕は無いので、ざんげがある程度自分で判断します。
しかしながら彼女は皆さんを見捨てたりはしないでしょう。(目的の為に小を殺すジャッジはあまり出来ません)
●影の城
イノリとマリアベルが存在し、Case-Dが顕現しようとしている決戦の場です。
西洋風の城で、魔種陣営の本拠地。
4/22現在、突入可能になりました。
前章で影の城へを選んでいる場合は活躍にプラスのボーナスがつきます。
又、前章で選択肢4か5を選んでいない人は選んではいけません。(次章から選んでも良くなります)
ルールは後述。重要です。
●敵
影の領域辺り一帯には膨大なまでの低級魔種、終焉獣、アポロトス、或いは何でもないなりそこないが跋扈しており、中心部である影の城に到達しようとするなら非常な困難が立ち塞がり続けるでしょう。
多くが雑兵ですが、強力な個体もちらほらといます。
特に以下の個体はかなり強力な魔種で謂わば指揮官個体なので注意が必要です。
・ナルキス
スチールグラードはリッテラム攻略戦で登場した強力な魔種。
飄々としたタイプでかつて会敵したシラス君曰く「リッテラムでバルナバスの次に強い」とのこと。
影の領域(第二戦域)でイレギュラーズと交戦中。
・『鎧の魔種』フロスベクト
スチールグラードはリッテラム攻略戦で登場した強力な魔種。
ワーム・ホールより攻め入った先で会敵する魔種軍勢を率いています。
・『悪魔の魔種』ラーングーヴァ
スチールグラードはリッテラム攻略戦で登場した強力な魔種。
同様に魔種軍勢を率いており、人類軍を挟み込むような形で猛撃します。
●友軍
オールスターです。
・ゼシュテル鉄帝国の正規軍
指揮官のザーバ・ザンザは全軍の統括も兼任します。
世界最強の軍隊に相応しい精強な軍勢です。
・聖教国ネメシスの聖騎士団
聖騎士団長レオパル・ド・ティゲールに率いられた部隊。
攻防一体で回復支援も可能な前衛主体。継続戦闘ならおまかせあれ。
・幻想精鋭部隊
ザーズウォルカとイヴェットに率いられた例外的に有能な連中です。
幻想には大変珍しく戦えるものが揃っており、ヨハンセン・ヴェイルシュナイダーという騎士の顔もあります。
・赤犬の群
ディルク・レイス・エッフェンベルグ率いる傭兵団。
クライアント(かれんちゃん)がこっちにいる以上、面を出すのは当然の事!
・深緑の癒し手達
幻想種の中でも勇気のある者、支援の得意な者達が有志で集まりました。
彼等の多くは誰かと争う事を嫌いますが、今回ばかりは戦って勝ち取る覚悟を決めたようです。
イレギュラーズを除く全軍の士気はザーバ・ザンザ将軍がとり、レオパル・ド・ティゲールが補佐します。
部隊以外の個人についても腕自慢の連中もきっと許される範囲で参戦している事でしょう!
・封魔忍軍
フウガ・ロウライト(サクラちゃんのお兄ちゃん)一党が参戦しました。
彼等は戦闘力の高い暗殺者集団で奇襲と攻撃力に優れます。
この戦いに勝ったらサクラちゃんが絶交を解いてくれると信じて……!
影の城に行きます。妹が心配だからね。
・レオン・ドナーツ・バルトロメイ
第二戦域に登場。
ローレットのギルドマスター。『絶好調』。
影の城に行きます。絶好調だからね。
・薔薇十字機関(少数)
リーゼロッテwith薔薇十字機関少数
本隊との戦いに援軍として来ました。手勢は少数ですがおぜう様はまあ強力です。
・チームサリュー(旧)
梅泉一行。影の城攻略隊に合流しました。
梅泉、雪之丞、たては、時雨。強力な前衛四人のチーム。
・クリスト
生きてるスパコン(問題児)
マリアベルの術式を解析、解除中。
後続のルートを確保する為に集中しています。
勝手に援護してくれる場合もあるかもしれない。
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
今回のシナリオに関しては普段に比べ死亡率が高いです。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
●情報精度
このシナリオの情報精度はEです。
無いよりはマシな情報です。グッドラック。
●重要な備考
他シナリオとの時系列関係はラリーである以上、どうしようもないので考慮しない方向となります。
選択肢の中から自分の行動に近いものを選択してプレイングをかけて下さい。
又、オープニングには特に記載されていない人間が参戦している場合もあります。
プレイングをかければ登場するかもしれません(しない場合もあります)
本シナリオは返却時等に空繰パンドラの総合値が減少し続けます。
空繰パンドラの残量が0になった場合、事実上の敗戦が濃厚になる可能性があります。
空繰パンドラの減少は本シナリオ以外のシナリオ結果にも左右されます。
尚、一章時点で影の城に到着する事はありません。
但し、選んだ選択肢によってその後のシナリオでの状況が変化する場合があります。
●重要な備考2
選択肢の内容が変化しています!!!
詳細を必ず読むようにお願いします!
頑張って下さい!
第3章 第2節
●キングとクイーン I
昼夜の概念の無きが如し影の領域は常時薄暗い闇色に包まれている。
その癖、全てが見えないとも言えない程度の『奇妙な明るさ』は或いはイレギュラーズの突入した影の城特有の機能であるかも知れなかった。
「クリストの声を聞きながら突入なんて、まるであの時みたいだわ。
いえ、却って縁起がいいのかしら? それなら同じように世界を救ってみせられるから――」
「……ものすっごく頭のおかしい世迷言が聞こえた気がしましたけどね。
城門が開いたならば――成すべき事を成すだけです」
すずなは渋面で言ったが、アンナの言葉にクリストの軽口は返らなかった。
口先は軽いが混沌最高の演算装置(クリスト)が対抗する相手はあの『黒聖女』マリアベルである。
今も続くであろうギリギリの攻防は『この後』に続くイレギュラーズの突入路を維持する意味でも最大に重要な意味を持っていた。
「城内の造りはROOと同じかね。
まぁ、まさか迷路でもなし――迷っても練達の兄妹君達が案内してくれるか」
零したラダの言葉は成る程、合理的だ。
城とは統治の象徴であり、敵からの防御の為の機能を備えるものだ。
さりとて、この城はどうであろうか?
恐らく城主であるイノリは全ての魔種の父であり、王である。
七罪を従え、マリアベルを傍に置く最強の魔種を脅かす者等居なかっただろう。
『だからこの城は防御等最初から考えていないのだ』。
「ここまで踏み込めたのも仲間の支援あってこそ。
ならば託された分だけ切り込まなければね。
必ず――『魔王座』を阻止して見せる!」
「影の城、この先にいるのが……
ここまで送り届けてくれて、今も外で戦ってる皆のためにも
世界を終わらせないためにも倒させてもらうよ!
だって、まだまだ皆とやりたいことはいっぱいあるんだから!」
気を吐いたヴェルグリーズの言葉に焔が強く頷いた。
この最悪の決戦は参加した人間全てにとっての最前線である。
「久しぶりだな。その組み合わせを見るのは、何時ぞや以来か
……いやしかし、相も変わらず前のめりな前衛構成だな、御主等?」
「思えば数奇な『呉越同舟』よな」
「ここは一つ、私が援護役として一肌脱いでやるとするから良く気張れ!」
汰磨羈に梅泉一行、
「ウチらもそろそろメインディッシュの準備しないとな!
ノリがいいほうが勝つらしいからな! ホント今回はちゃんとしてくれよ? ギルドマスター!」
「安心しろって。二十年振り位の絶好調だから」
(無事に帰さなきゃユリーカさんに顔向けできねぇし、お義兄さん呼びする前に死んでもらっちゃ困るんだよ!)
秋奈にレオン、そんな彼を援護する為にここまで来た飛呂……
バラエティに富んだ面子をぱっと見るだけで意図も思惑も様々だ。
参戦理由は星の数程もあろうが――決まり切っているのはこれに敗北すれば明日がないという事実のみである。
混沌のみならぬ三千世界全ての命運がこの一戦に託されている。
「いいじゃねえか、最高だ。
砂漠を越え、滅びを救いいざ――死神クロバ・フユツキ参上仕ったてな!
命ある未来の――緑の守護者として、世界を救いに来たぜ、なんて。
惚れた女への土産話なら『デカい』位が丁度いい!」
クロバの景気のいい言葉にルカがふっと笑みを零した。
硬い石の床を蹴る連続音が響いている。
人智ならざる運命に踏み入ろうとするかのようなこの先に何が待ち受けるか等は誰にも分かる事ではない。
但し、少なくとも今日この瞬間に城内に踏み入った人間には微塵程も迷いは無い!
――バン、と。
分かり易い程に豪奢な城の扉が開け放たれた。
「とうとうご対面、ってね。
ようやく会えたじゃないか、魔種の首魁とやらに――」
「R.O.Oの――君の知らない『またいつか』を果たしにここまで来たよ。
今だって、負ける気は一ミリだってしてないけどね!」
目を細めたジェックの口元に幽かな笑みが浮かび、シキの目に何時にない強気の輝きが灯っていた。
何の妨害を受ける事も無く駆け抜けた石造りの城の中心には玉座が存在している。
「お前がイノリくんだね。初めまして、ざんげくんの大親友だよ」
「イノリ、マリアベル……会うのは初めてだね。
そちらの興味の有無はともあれ、名乗る位はさせてもらうよ。
ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン……
覚えなくてもいいけど忘れさせないよ。君達をぶん殴りに来た特異運命座標だ!」
「よお黒尼、また会ったな。ルクレツィアのことをワーキャー言う割にはお前さんも大概じゃないか?」
声を発した茄子子、ヨゾラ、バクルドの視線の先、奇妙にねじくれ、引き歪んだ空間のその先に一組の男女の姿がある。
「嫌ね。本当に来ちゃったじゃない」
「だから言っただろう? そんなに予定通りには行かないって」
一人――男は悠然と微笑を浮かべ、もう一人――女の方は憤慨した不機嫌面をしている。
『原罪』たるイノリと彼の恋人(?)である『黒聖女』マリアベルはまさにこの戦いの結末を決めるキングとクイーンの駒であろう。
「これが最後の戦い――世界の命運を賭けて勝負、だよ」
「黙って滅べとは言わないわよ。黙っても騒いでも滅ぼすけど」
「『上等』」
相手が『黒』聖女ならば、スティアは天義も認めた『現役』の聖女の一人である。
実に分かり易い宣戦布告は戦いを生じる前の極僅かな猶予の時間に過ぎなかった。
「先日ぶりですね、マリアベル。
ゆっくり話もしたいのですが……時間というのは厳しいものでしょうか?
『お友達』になるなら必要なプロセスだとは承知しているのですが――」
「あら。お喋りに付き合うのは吝かじゃないわよ。時間切れは貴方達にだけあるのだし」
マリエッタの言葉に華やかで毒々しい笑い声が応じた。
その『お喋り』は間合いを図る物差しのようなものであった。
一秒毎に高まる彼我の殺気は爆発する時を待つように――ほんの少しのお喋りを両者に対して許している。
勝つ為の仕掛けのチャンスは――あくまで何処までも一瞬だ。
「ねぇ、イノリ。
私は、君が世界の敵だって構わない。まず話すことから始めさせて。君のことを教えてほしい
それが――それだけが、私の『祈り』なんだ」
「……戦う前に知りたいのです。
貴方達は、何故世界を破壊する事を許容したのですか。
ざんげさんの様に、抗う事はしなかったのか。もう未来は確定したと諦めたのか。
ただ、聞きたいのです」
シキとブランシュの言葉にマリアベルは肩を竦め、イノリは苦笑いを浮かべていた。
「R.O.Oでは一度会っているから――初めまして、というのもなんだか変な感じだけれど。
……今更だけど、あなたのやりたいことってどうしたって世界を滅ぼさないと成し得ないの?」
アレクシアの問いにイノリは肩を竦める。
「分かり合えるなら――何か目的があるのなら、それだって」
戦う覚悟は決めていた。だが、世界を壊す以外でこの魔種の望みを叶え得る何かがあるというのなら。
確かにそれは彼女の求めるに相応しい救済だっただろう。
だが。
「『大本から違うな、それは』」
玉座を降りたイノリに付き合い、マリアベルも一歩を踏み出した。
「僕はこの世界の滅びを『許容』している訳じゃない。
もっと明確にこの世界を滅ぼしたいんだ。滅びという終着こそが目的。
魔王座(Case-D)はその為の最適な状況であり、ツールに過ぎないんだよ」
「何故、かは愚問だよな。初めましての『お義兄さん』」
イノリはルカの声にちらりと視線をやった。
「君やレオン君が『解決』出来るレベルの話だったら良かったんだけどね。
僕にはどうしたってあのクソ爺がまともな結末を用意しているとは思えない。
例えば、例えばだ。この『神託』が完全に回避されたとして、ざんげに『次』が要求されない保証は何処かにあるのかい?」
「――――」
「君やレオン君が……茄子子君だっけ? 彼女も生きている間ならばまだいい。
でも、君達はじきに死ぬ。精々五十年か百年も経ったら残らない。
それなのに何時来るか分からない『次』に何百年も、或いは何千年も縛られて。
あの空中神殿にくくりつけられる妹を僕は許容出来ないんだよ。
それが僕が放り出したから始まった『使命』なら尚更だ」
――この場の全員が理解している話ではないかも知れないが、混沌の創生に『神』はイノリを作り給うた。
この世界を永劫に続ける為の力ある管理者として『非常に人間らしい』彼を作った。
だが、彼はその人間性故にその役割を嫌い、放棄した。つまり『人らしさという原罪』を纏ったのだ。
『神』なる創造者はその失敗から彼の妹(ざんげ)を作り給うた。
よりコントロールのしやすい、自由意思の希薄な――力無き管理者を。
唯それだけの為に産まれ、混沌の創生より空中神殿に佇む孤独で救われない少女を。
「妹に言いたいことはないの? 今なら聞こえているかもしれないけど」
「彼女には『愛してる』だって届かないよ。レオン君達が一番知ってるだろう?」
明らかにレオンやドラマ、ルカの表情が引き攣った。
「本当は世界とかどうでもいいんだよ。私は私の好きな人達と一緒に生きて行ければいいんだ。
その中には、当然ざんげくんもいるからさ、だからこんなのは」
「案外気が合うじゃないか、茄子子君。『僕もこんな世界何てどうだっていい』んだよ。
まあ、僕がもう少し若かったら――マリアベルと一緒に世界を眺める位はしても良かったけどね。
彼女、性質も寝起きも悪いから」
イノリの皮肉にマリアベルは微妙な顔をした。
確かに彼女の目覚めが遅れたのは彼女自身がイノリにかけた呪いが故である――
「兄のポジションでそれってかなり気持ち悪いからね!!!」
「何とでも言ってくれ」
何れにしてもこのどうしようもない兄は妹の為に世界を滅ぼすと言っている。
それは酷い独善で、ざんげがそれを望んでいなくても。
『彼女はそれを望めるように作られていないから、この兄は一切合切に聞く耳を持つ心算がない』。
「君には話した事があったっけ」
朗々と言ったイノリは次にヘイゼルに目をやった。
「『誰かの犠牲なくして成り立たない世界何て滅びてしまえばいい』」
「……何方様かと思えば。あの時の方、だったのですね。
あの時の問の意味は分かりましたが、あの時と同じく私は何方も肯定いたしませう。
つまりは、私が貴方の世界を侵す事も肯定と云う事ですが――酒代の奢りで滅びるのは遠慮させて貰いませう」
「黒髪の女に甘い」
かつて『ニアミス』したヘイゼルとのやり取りにマリアベルが唇を尖らせた。
「好きだから? 馬鹿なの? 死ぬの? ドシスコン」
「何とでも言ってくれ。だが、それを言うなら君だって長い黒髪の女なんだからな――」
「ええと、貴女には色々と恨みも……いえ、ドラマさんも無事でしたし?
意外と無……そうだ、冠位色欲さんの分なのです><」
ヘイゼルも含めた三人のやり取りは滑稽めいているが、事態はそういう状況にない。
「ようやくラストバトルの幕開けだ。
俺は信念の為に来た訳じゃねえ。祭りがあるから来ただけさ。
そっちの言う事も分からないでもないが、こっちの言い分を譲る心算もない。
それなら後は――『腕づく』だろ? 俺のシャウトはこの拳だけで十分だ」
貴道という、イレギュラーズという【穿光】は影の城さえも貫こう。
「マリアベルには言ったがもう一度言うぜ――」
ルカは言う。もう、始まるのだ。それは誰も知っていた。
「――俺はざんげが笑える世界を作る。それをテメェを殺さずに成し遂げる。
テメェが何と言おうとそうするから覚悟しな!」
「そういうの、妹の彼氏としちゃあ悪くないけどね。
宜しい。ではテストしてあげようじゃないか」
――果たして。ルカの一喝がこの戦いを始める号砲となる。
「運命なんざクソくらえだが、運命の一手に繋げる布石になってやる!」
一早く飛び出したルナの一撃を恐らくはマリアベルの作り出した障壁が軽く弾き飛ばす。
「そりゃあ『防ぐ』よな――頼むぜ、主役連中!」
「ボクはこの世界が大好きなんだ。だから滅亡なんてさせない!」
続け様に飛び込んだセララの一閃が同じように弾かれたように見えた――
「絶対に世界の未来を守ってみせる!」
――次の瞬間、『それは錯覚だったかのように』マリアベルのドレスの裾を斬り飛ばした。
「何、今の……?」
「限定的な運命改竄かな。マリアベル、油断しちゃあいけないぜ。この連中、僕達と大差無い位に『何でもあり』だ」
「正直、驚きましたわ。貴女達にも愛や大義があるなんて!
でも、私の――誰かの大切なものを散々奪っておいて? どの口が言っているのかしら!
その口、二度と開けないように叩き潰してあげるから、覚悟なさい!」
「もし、君達の目的が世界の破滅でなく、世界の平和ならきっと友達になれただろうね。
でもそうはならなかった。だから、私達は君達を否定する!
ああ、安心して! 君達が負けたら、負け惜しみくらいは聞いてあげるからね!」
セララの思わぬ動きに幾分か面食らったマリアベルにヴァレーリヤとマリアの連携が襲い掛かった。
「辞めてくれよ。僕の終生の恋人なんだぜ」
イノリのマントが彼女を包み、二人の姿がイレギュラーズの真ん中に移った。
「は!?」
この『理不尽』な展開に咄嗟に反応出来たのはクロバが優秀な戦士だからだったに他ならない。
硬質の音で辛うじて旋回し、薙ぎ払うマリアベルの大鎌を受けた彼だったが――周囲の仲間達共々、硬い石床に叩きつけられる結果となっている。
それで瓦解しなかったのはこの影の領域での能力向上が故であり、彼等の意志が故だったに違いない。
「強いわよ、イノリ」
「だからそう言ってるじゃないか」
「本当に簡単にはなりそうもないわね」
「勝つって部分は微塵も譲らないのが君らしい」
「惚れ直すでしょう?」
多勢の『敵』に囲まれて瀟洒な冗句を口にするキングとクイーンは成る程、これまでとは別次元と呼ぶに相応しい『敵』だった。
※影の領域の戦闘でパンドラ38566が消費されました。
成否
失敗
状態異常
第3章 第3節
●劣勢 I
「引き続き前線で防衛戦の支援に入るわよ!
ええ、ええ! キリがなくても耐えきればこっちの勝ち!!!」
前線で傷付きながらも気を張る星華の声が周りを強く励ました。
「鉄帝国での戦いを思い出しますが、ルチアさんがいるのなら倒れるわけにはいきません。
……まだまだやりたいことたっくさんあるんですからね!」
「鉄帝の……ああ、テルモピュライもかくや、なんて言った覚えがあるけれど……
でも、今回は心強い味方も大勢いるもの。キケロ―に曰く、『Nihil difficile amanti.(愛する者にとって、何事も困難ではない)』かしら」
「……全く、こんな戦闘中だってのにイチャイチャできる二人が羨ましいったらないわ。
誰が戦線維持の為に敵を薙ぎ払ってるか、忘れたらいやよ?」
鏡禍の言葉にマイペースにルチアが応じれば、何とも言えない顔をしたオデットが咳払いをしてみせる。
【鏡花】の三人は努めて気楽にこの状況に構えていた。先の星華も『敢えて違う事を口にした』。
影の領域で時間を稼ぐのは魔種達のプランである事は間違いが無いのだ。魔種の軍勢を自由にする事が敗北につながる以上は、イレギュラーズ側も応じざるを得ないだけで……時間は敵側にこそ味方する。
「長引けばそれだけお姉さんのイライラが溜まってくるわけだけど――どういう訳かそんな時の方が『好調』なのよね!」
とは言え、気を吐いた星華の言葉はあながち強がりばかりではない。
確かに一見すれば時間は敵にばかり味方しようというものだが、或る考え方を逆転すればその意味は逆になる。
即ち、それは。
(影の城に到達できた人達も、いるのかな。
僕等もこの場を乗り切り進む為に、できる事を……みゃー!)
先に進んだ仲間達に思いを馳せ、力を振り絞るようにして仲間達を癒した祝音の思いの通りである。
『魔種陣営は魔王座(Case-D)顕現までの時間を稼げば勝利出来ると考えている。だが、人類軍が影の城に届けた仲間がそれを阻止出来ると考えているのだとするならば、この場所で時間を稼いでいるのは人類側も同じであると言える』。
「ここが踏ん張り処ですよ……!」
愛奈の紡いだ天上の光が突出しかかった味方の兵を優しく包んだ。
「……ええ、もうずっと同じ事を言っていて少し申し訳ない位ですが!」
無理を通せば道理は引っ込む――
魔種は或いはその『甘い』、或いは『無謀な』見通しを笑うかも知れない。
影の城にある原罪と黒聖女の二人を寡兵でどうにかするなどと、どうかしていると笑うかも知れない。
さりとて、この場に立つはイレギュラーズである。
先に進んだもまたイレギュラーズである。特異運命座標はこの世界の可能性を蒐集し、決められた運命を蹴り倒す者達だ。
「戦線を護る者、押し上げる者、どちらがかけても、この戦いは負ける!
いいか、一歩も譲るな。僅かも譲るな。これからの一秒は宝石よりも貴重だぜ。
世界の命運はまさにこれからの瞬間毎に掛かっている!」
故にヤツェクは持てる全てを動員してともすれば緩みかかる戦線を引き締める。
侵食しようとする絶望的な大波を高潔な士気に食い込ませんと声を張り続けている。
現実問題、イレギュラーズの勝ち筋は見えていないのだ。その成就は夢見事のようなものだろう。
『だが、果たして、読みが甘いのはどちらの方か』。
「マリエッタは無事に向かえたみたい。
なら、後は耐えるだけ。もっとも、ずっと足止めされるつもりも無いけど……
妙見子さん、メリーノさん、もう少しお願いね」
「大丈夫よ、セレナちゃん マリエッタちゃんなら大丈夫。
だってあなた達、ジョーカーを持っているんでしょう?」
「マリエッタ様ったら借金なんかしてらっしゃんですか? セレナ様も?
妙見子も長い借金生活をしていた時期があるので同情しますけど!
ええ、『その方』には是非ともこちらに取り立てに来て頂ければなりませんね、メリーノ様!」
セレナ、メリーノ、そして妙見子。【夜守】の三人が連携良く敵に立ち向かう。
セレナが引き付け、メリーノが叩き、妙見子が支援する動きは中々の妙だが、仲間二人が口にした不穏な言葉にセレナは自棄になったように声を張る。
「……いや、ふたりともなに言って……ああ、もう!
パウル! 世界が終わる瀬戸際でも見物だけなんて、格好悪いと思わない!?
それでもアイオンの仲間だった訳!?」
「彼は素直じゃないんですよ」
セレナの言葉に応じたのは話題の当人(パウル)ではなくグリーフだった。
「たとえこの時が永遠であろうとも、苦行には慣れています。生存執着し。明日を掴むまで、抗いましょう。
えぇ、彼に頼るのはあまりに不確実だ。ここに立つ以上。私が、私自身で、明日を手にしなければ。
紅矢の守護者として、彼女が護ったものを、守らなければ」
数多の敵に集られてきたグリーフは既に襤褸の有様だったが、その心は揺れてはいまい。
「以前どの魔種も落としきれていない状況、なかなかに厳しいが……
諦めの悪さだけは魔種より強いぞ、俺は! この戦場にアーマデルがいる限り、膝を折るつもりはない!」
「ヤツェクさん、弾正君、祝音君!また肩を並べて戦えて嬉しいよ。
俺達が居る限り必ずここは――護りきってみせる!」
弾正の、アルムの言葉はまさに強い決意表明のようであった。
鍛え上げられた力も、研ぎ澄ませた技も霞む泥の波に抗おうとするならば最後はやはり『それ』になろう。
「予定だと、そろそバカンスに出かけてるはずだったんだが。楽には逝かせてもらえないようだ。
やれやれ、勘弁してくれ。そうしてついでにありがとうよ。貰った分は働くのが傭兵なら――『仕事』があるのは僥倖か」
嘯いた愛無が広い視野で厄介な敵を引きつける。吐き出した黒泥が彼方の敵を飲み込んだ。
「拒絶する術が万が一、億が一、那由多が一にも存在するならば!
不可能程度の事実知るものか。最早、その『座』、私のものと定めても文句あるまい!」
哄笑を上げたロジャーズが敵の攻撃を吸い込み、尚更にその笑みを深める。
「いつも心は一つ。生きて帰るために死ぬ気で全力を、ってね」
同時に守りに入ったリカの献身が押し寄せる敵勢を自身の目の前で堰き止める。
「何よりこんな姿にまでなってんのよ。最後くらい私にラスボスの面拝む権利くれたっていいじゃないのよ!」
「――今だ! 押し返せッ!」
フェリクスの号令が響き、随分とたくましくなった幻想の騎士達が死力を振るう。
「リースリット!」
「はい! 此処が崩壊すれば、先に進んだ部隊が後背を突かれる……
故に死守します。絶対に守り抜いてみせましょう!」
共に剣を抜き最前線で影と闇を斬り払う弟(フェリクス)と義妹(リースリット)にアベルトが「ふん」と満足したような心地良さ気な笑みを零している。
「そうだ。そうしてこの戦いで――文弱と侮られたフィッツバルディの本当の武威を見せてやれ!」
負けじとザーズウォルカ等を前に出したアベルトの采配で幾分か戦線が押し上げられた。
人類軍は誰がどう見ても『善戦』している。
だが同時に誰がどう見ても『不利』を否めなかった。
幸福ではない事に彼等が踏んできた場数というものは往々にして彼等に優しいものではなかった。
数積み重ねた決戦の悉くは薄氷の上を渡る先の勝利であり、余裕があった事等これまでに一度も無い。
彼等が可能性の獣と称されるその理由の通りに状況は常に辛辣であり、勝利の文字は常に霞んでぼやけていよう。
だが、『幸福な事に』そんな場慣れは彼等に諦める理由を失わさせてもいる!
「ぶはははッ! さぁ、押し込めぇッ!」
レオパルの指揮する聖騎士団(ネメシス)と連携したゴリョウが幻想(レガド・イルシオン)の作り出した空隙に躍動する。
「改めて名乗るわ! 私は騎兵隊の白盾! レイリー=シュタインよ!」
美しい白亜の城塞のような騎士が凛然と戦場に君臨した。
「妬ける位の名乗りだなァ」
「あら、真似してもいいわよ。
……それに、こんな場で貴方達と轡を並べられるのも光栄だわ。
騎戦場にある限り、この勝利は確実よ!」
微笑んだレイリーにゴリョウは「照れるぜ」と不敵に笑う。
戦場に歌を響かせ勝利の舞台へと変えんとする――空気を一変させる存在感にレオパルの口角が持ち上がった。
「騎兵隊も共にあり! 突撃!」
「ちっ、ただでさえ少ない隊を分けるとか無茶もいいとこだろうが……」
一方で脳裏でピースサインをした指揮官(イーリン)に毒吐いたエレンシアは防衛と思えない位に激しく荒々しく敵陣を薙ぎ払う。
「まあいい。あたしはアタシで作戦の範囲内で勝手に動く! 要はこいつ等蹴散らしゃいいってことだからな!」
「終わらない……終わらせない!
怯まず前へ! 明日を掴む為に!
神が、俺たちが――ここにいる皆がそれを望んでいる!!!」
誰かさんの十八番を拝借した雲雀の極光が敵陣を強かに撃ち抜いた。
防衛に攻勢に大忙しの彼等だが、何をすべきかは大将に十分言い含められている。
束ねた力とは別に、一人一人がそれ相応の力と判断を持つのがこの部隊の強味なればエレンシアの言葉は成る程、確かに間違っていない。
『赤備』よりの大暴れに更に呼応するのは謂わずと知れた残る【騎兵隊】の面々である。
「この程度の逆境はいつだって乗り越えてきた。
騎紫の旗に集う英雄等、並べ合わざれば百折不撓なる無敵の騎兵隊。
輝ける流星は今もそこに在り。陰ることは無く何百何千何万字記された『物語』が此の証明!」
乱戦こそ朗々と言った幸潮の対応力がモノを言う。
「生憎と力押しばかりは苦手な性質でして」
何時の間にやら伸び切り乱れた敵兵の配置を冷淡に零した志の殺法円月が無慈悲に挟撃する。
彼女は更に圧力を強めかかった後方の敵に混沌の泥をお見舞いする事も忘れていない。
「今! 今こそ攻め時! 人の意地を示すべき時! 私達で一気に押し返すよ!」
破綻の時を、破滅の時を僅かばかりでも遠ざけようとフォルトゥナリアは無理の上に笑顔を張る。
必死で口角を持ち上げて、味方に安心を、敵に牙を向けるように。『挫けぬ笑顔』は恐らくこの時の為のものだったから!
この人類軍の必死の防戦は本隊の攻撃部隊の為の布石である。
彼等が暴れに暴れ、少しでもこの場を押し止める為の尊い献身である。
そうして産まれる攻撃部隊の奮戦もまた滅び――『神託』を回避せんとする大いなる意志の為の自己犠牲である。
たった一つの目的を果たす為に、誰もが命を張り、誰もが自分を捨てている。
(せめて、あのナルキスを倒せれば戦線が押し上がる筈……!)
アルムの視線は乱戦の彼方を見つめていた。
ナルキス、フロスベクト、ラーングーヴァ……前を預かる魔種の将共を排除出来れば状況は幾らか改善しよう。
「……っ……」
息を呑んだのが誰だったか、正確な所は分からない。
だが、その瞬間大きく強まった敵の圧力の波は確かに人類軍陣営を侵食せんとしていた筈だ。
新手の魔種を先頭にした一部隊は緩急の『急』であり強力に前線に喰らい付く――だが。
「……ああ……」
マリカは思わず溜息めいた声を上げていた。
魔種にとっては予想外な事に――そして人類軍にとっても不可解な事に。
風のように駆け抜けた一人の騎士が最前線の魔種を撫で斬りにして敵陣を切り裂いていた。
硝子に透けた棺に麗しの姫を納めた場違いなまでの人物である。
本来ならば魔種に喰らい付く理由等持たなかった筈の女である――
「アタナシア」
その呼び名はイレギュラーズにとっても、マリカにとっても確かな敵のそれ。
傷付き、疲労し、歯を食いしばり、前だけに推進する彼女は――最早この決戦における最大の『呉越同舟』であった。
この一連の戦いはそういう風に運命の天秤を傾けたというだけの話である。
愛しい人(ルクレツィア)の復讐だけを胸にした彼女は恐らくは『イレギュラーズの味方』ではなく、『マリアベルの敵』であるに違いない。
(どんどんとキャストが揃っていくみたい。
ねぇ、のんびり屋の神様。わたしの神様?
そろそろ、焦れてきたんじゃない? ううん、わたし、そんな予感がするのよね)
メリーノは頭の隅で考える。
それは妄想の類かも知れないけれど、不思議に彼女は自信がある。
(素直じゃないのは鴉も神様も同じでしょう?
でも、わたし思うのよね。貴方の方が『もっと』堪えが利かないタイプだって――)
※影の領域の戦闘でパンドラ52414が消費されました。
成否
失敗
状態異常
第3章 第4節
●劣勢 II
「……っ、ちょっと!? しっかりしなさいよ、ベルナルド!」
「ああ……」
「あ、あんな訳の分からない事しといて……」
「言いたい事を勿体ぶって『この戦いが終わったら』ってのは死亡フラグだろ」
「……っ、こんな所でくたばったら私が十回殺してやるから」
ベルナルドと機嫌が良いのだか悪いのだか分からないアネモネのそんなやり取りは、
(彼女に想いを伝えなかった事を後悔しながら死ぬのはごめんですよ。
僕が一番彼女を想っているんです……! 命運を人任せになんてできませんし、もう独りにさせたりしませんから)
そんな二人を眺めてか、決意を新たにしたジョシュアの誓いの方はさて置いて。
「ようやくここまで追い付いたけども……とてもハードな戦況な事で何よりだよ!
まぁそれでこそ奮戦し甲斐があるという物、そう思って頑張って行かないとね……さぁ、新たな援軍のエントリーだ!」
嘯くカインの不敵さは平素と変わりを見せてはいなかったが、実際の所勝ち筋のない籠城は、釜茹でのようなものである。
(もっと頑張らなきゃにゃ……!
ショウ、生きて戻れるように頑張るから、無茶するのは許してほしいのにゃ!
指切りげんまん、ちゃんと帰るのにゃ――)
ちぐさは頭の中に思い描いた希望(シュウ)に思いを馳せるが、現実は実に辛辣だ。
敵地の領域は常に敵陣を、敵勢力を増幅し続け、反面攻め入った人類軍はその余力をすり減らすばかりであり、戦場を支配する絶対のルールは当初と何も変わっていない。一兵一兵の精強さでは人類軍が勝る。それぞれの連携でも士気でも勝っている。しかしながら押し込まれているのは常に人類軍の側であり、魔種連中は『退屈な物量』という一点のみの優位を消耗戦に生かし続けている状態だった。
「いやはや、とんでもない話です」
轡を並べる仲間の内、防御を中心に立ち回った連中は謂わばこの戦いの潰れ役だった。
「それでも、世界を救わんがため……わしにゃ分不相応な願いですが、偶にはこんなんもええでしょう」
目前の敵の注意を思い切り自身に引き付けた支佐手はそれを理解しているからこそ怯まない。
「どんなに戦況が厳しくたって……乗り越えてきました……! 仲間達と、共に!
……それに必ず帰るって……約束を、誓いを、交わしてきたのです
だから、大丈夫……!」
本来ならざる蝕みの力を纏いながらも、瞳に浮かぶ星の輝きはそのままに――気を吐いたメイメイもまた怯まない。
「数は多い、けれど、あちらも無限ではないでしょう?
さあ、戦い続けます、よ……!」
或いは『無限ではない』というその言葉は自分を騙すにも難しい誤魔化しであったかも知れない。
数に限りこそあれど、影の領域における魔種の兵達は人類側の奮戦を嘲り笑うかのような復活を繰り返していたからだ。
詰まる所、強いられている消耗戦は何かを為したという事実に非ず、猛然たる人の戦いは恐らく戦場の徒花に過ぎなかったからだ。
さりとて、重要なのは『そこ』ではない。
(敵の数を減らして、敵の数を減らして。
ここで敵を引き付けて影の城へ行かせない。
とてもシンプルで自分の後先を考えなければ……これは、とても簡単なオーダー)
目を見開いたЯ・E・Dは何度でもその力を振り絞るだろう。
「もう一回くらいなら行けるかな……うん大丈夫、身体は動くよ」
何度でも似たような言葉を吐いて戦い続けるだろう。ばらばらになるその時まで。
「このままじゃ最後まで足止めが必要になりそうだけど。
先へ進みたいひとが何も気にせず進めるように――ぶつけたいものをぶつけられるように! それだけ!」
叫ぶようにユーフォニーが仲間達の背を押した。迫り来る邪悪な影を強く叩いた。
やるかやらないかの二択は『戦士』にとって簡単過ぎた。
誰もが今為す意味ではなく、あな遠く霞む未来の可能性に向けて力を振るっていた。
魔種は決して理解し得まいが、人が人と手を携える意味はまるでそこにあるかとでも言うかのように。
「お先にどうぞ、は紳士淑女の嗜み、ということで。
我々は引き続き、こちらのボールルームで踊るといたしましょう、お嬢様?」
「『壁の花』も今や昔、ですわねぇ」
似合わない、なんて。そんな事は百も承知で寛治もリーゼロッテも冗句めいていた。
「ところでお気づきですか?」
「何に?」
「お嬢様と私がこうして肩を並べて戦うのは、今回が初めてなんですよね」
寛治の銃口がリーゼロッテを狙った影を撃ち抜いた。
「つまりコレは、初めての共同作業ということです。
この場で負けられない理由は、私にとってそれだけで十分だ。
それにね、私も男の子ですから。好きな相手の前では、良いところを見せたくて張り切ってしまうのも当然でしょう?」
「……まぁ、ここで醜態を見せたら凡そ叶うものも叶いませんわよねえ?」
惚けた寛治の物言いにリーゼロッテは意地の悪い笑みを見せた。
奮闘は徒花、というのは何ら間違いではない。
だがそんな戦場の徒花を本物に変える為の手段も又ハッキリし過ぎている。
「さぁて、随分と戦況は危ういみてぇだが……
だったら心置きなく、イノリたちをどうにかして貰わねぇとなぁッ!!
こちとら別に死にてぇわけじゃねぇんだ! 生き伸びるために、死力尽くすしかねぇよな!」
天星剣舞を従えて、一撃を叩き込んだ零の裂帛の気合の声こそ答えである。
「ええ、分かってはいましたけど……厳しいですね、この状況!
まだ何とか食い止められているから良いですが、城の方へ援軍を出させてしまっては元も子もない。
『兎に角、倒し続けるしかありませんね』!」
チェレンチィの小柄な身体が突き出された闇の槍を紙一重でかわしてみせる。
速力を増した彼女は緩急を越えた瞬時の動きで前のめりになった敵の背後を取り、一撃の下にそれを見事に仕留めていた。
「オレはここじゃただの何でもねぇヤツかもしれねぇっスけど……
オレなりに重いモノ背負って今までも戦ってきたんだ――尚更諦めてたまるかよ!」
声を張り上げた葵に応えるかのように彼が、周囲の仲間達が少し勢いを増していた。
敵は確かに幾ら倒してもきりがない――無限の復元力を誇るかも知れないが、結局はそれにも種はあろう。
正確な答えであるかどうかは定かではないが、全ての魔種の原典たる原罪(イノリ)は魔種の、或いは影の領域の力の源である可能性は高いと言える。
かつて七罪ベアトリーチェ・ラ・レーテが似た能力を発揮していた事からも、これは権能にも似た効果であると考えられるからだった。
イノリの力の正体が麾下の魔種を循環復活させる事なのか、この影の領域を作り出す事なのかは知れないが、何れにせよ彼を倒せば何かが変わる可能性は十分に存在すると言えよう。そしてその撃破はこの混沌を救う最良にして唯一の手段も兼ねる事は言うまでも無い。
「敵は強大、無尽にして雲霞の如くあるも!!
我等の奮戦と執念、その一つ一つが勝利への道筋となる!!
意気軒昂!!武蔵は健在なり! 武蔵は沈む心算はない!
結納もまだ――であるしな!!」
武蔵の一声が砲撃となって友軍と共に全力の火力放射を展開した。
無理難題は分散されるよりも集約された方が余程やりやすいのは確かである。
防衛側が汗をかいた分、彼女をはじめとした攻勢側に幾らかの余裕が出来ているのも事実だった。
食いつかれた分だけお返しするように展開された打撃力は幾度となく展開された状況と同じように今回も苛烈に敵軍を攻め立てていた。
「――迷うな、悔やむな、諦めるな、進め!」
潮目の小さな変化を大きなうねりに変えるのは何時だって『彼女』の声だった。
【騎兵隊】の総大将――イーリンの号令は何時もと同じように旗の下に集う戦士達を動かすのだ。
――無理を道理に曲げ、不利を踏み倒し、騎兵隊(我ら)は常にそうしてきた。
進め――神(かのじょ)がそれを望まれる!
戦場に響いた武器商人の言葉は『それ』を後押しする『無慈悲』な司令に他ならない。
「前へ、只管に前へ、突き進み、捻じ伏せ、何度でも立ち上がり悉くを蹂躙せよ。
私がそれを望むなら――さぁ、奇跡で未来を紡ぎましょう!」
力を紡ぎ、戦士達の背を押して、アンジェリカが謳うように言ったなら。
それは『有情なる』未来(あす)への賛歌に他なるまい!
「うげ、華蓮氏確保したと思ったら……人使いが荒すぎる!
でも騎兵隊は騎兵の隊だから騎兵隊なんスよねぇ……つまりは走るのって仕事なんスよね……」
「相変わらず無茶な事言いはってますわあ……
ま、裏返せば信じられてるという事って事なら……
やったろやないかい! 根性見せたろやないかい!」
「突撃する時こそ! 小器用な後輩が随伴してね、支援する事で隙間産業的な価値を産むと思うんすよ!」
「ええやん、ええやん! そこのけそこのけ騎兵隊が通る! ってなー!」
わざとらしく意図的にぼやいた美咲に応じるように彩陽とウルズが笑みを見せた。
引っ張られた反応速力が抜群の連携を形にする――美咲より連鎖して動き出すのは騎兵隊の得意技である。
「私達は止まらない。止めさせない。私の砲撃で前線を……未来を切り開く……!」
「――さて、俺らの舞台はこっからが正念場だ
そっちのホームだろうが、この為に繋いて来た全て。
押し通る為の物だって嫌でも分からせてやるよ、覚悟しろ!」
騎兵隊の吶喊に先んじてオニキスの全力の砲撃が最前線に爆花を咲かせ、対応しかかった敵の動きを妙錬なカイトの手管が縛り付ける。
前が乱れたならば、ここからは『彼』の見せ場である――
「騎兵隊は常先鞭。
常在先鋒とは俺のこと。鳴神抜刀流の霧江詠連!
易々と潰れる人間(ひと)ではないこと、貴様等にも思い知らせてやろう!」
怯んだ敵陣に正面から斬り込んだエーレンが鮮烈な口上と共に何度目かも知れない大暴れを見せつけた。
「……おい、フロスベクト!」
予想以上に長引き、予想より遥かに手こずる頑強な抵抗と続く乱戦に魔種ラーングーヴァが苛立った声を上げた。
「もっとしっかり抑えつけやがれ!」
「……この状況は其方の打撃力の問題だろう」
「『鎧の魔種』と呼ばれる程の実力者で軍の指揮官となれば相当の相手だろうが。
そうでなくては意味がない。そうでなくては面白くも無い。
その堅牢、我が力でねじ伏せてみせよう――」
冷静に応じたフロスベクトだったが、指揮官格たる彼の前に腕をぶす昴が立ち塞がっている。
「足止め役なんて面白くも無い。
時間切れで死ぬよりKOの方が燃えるだろう?
急がば回れ。即ち、鎧を砕いてお前を正面突破してやるぞ!」
「戦場がこんな場所だからとか、優勢とか劣勢とか、関係ない。
アニキなんだから、やるといったことは最後までやり遂げるのさ。
……ま、そっちも同じかも知れねえから、最後は意地の張り合い――お互い様かも知れねーけど」
イズマが、彼らしく不敵な笑みを浮かべたサンディが食いついている。
(ああ、面倒くせぇ――フロスベクトの野郎、負けるような相手じゃねえだろうが、こうなりゃあ……)
……動き難い。
指揮に専じた方が良いかと思った時にはやや遅かったと言えよう。
人類軍の予想以上の健闘ぶりは魔種のプランを理想から随分と遠ざけていた。
イレギュラーズがそう考えた通りに、フロスベクトの自由を封じる事は全体の戦況に確かな寄与をもたらすのだ。
ましてや、その将軍の駒を取れたなら――効果は絶大だろう。
「おい、フロスベクト! 早く片付けちまえ!」
「……言われるまでも無い。貴様こそ口より手を動かしたらどうなのだ」
『影の領域の復活が全ての魔種に及ぶならばお手上げだが、立ち回りを見るに指揮官級三体は集中攻撃を嫌っている』。
そして要であるのはフロスベクトのみならず。ラーングーヴァも同じである事は言うまでも無い。
「アネモネ。『見てろよ』」
「この程度でイレギュラーズが折れると思ってるなら勘違いも甚だしいな?
こんな状況で諦めたらそれこそシュペルに笑われちまうぜ!」
ラーングーヴァがベルナルドと錬の声に視線を向け舌を打つ。
野心を隠さない錬の瞳は今日も挑戦心に燃えていた。
不可能を目の前にした時こそ『滾る』錬の術式が無差別に敵陣を荒れ狂う。
「どちらが先に音を上げるかの勝負になりつつあるけれどもね。
ここを落とせれば更に先に戦力を送れるのも確か。今、首を落とすつもりで攻めたてるのよ」
間合いを詰めた胡桃の『変則的』な戦い方に翼を開いたラーングーヴァは思わず宙空に逃れるも、獣の如き気合の声を上げ、低い姿勢から食いついた疾風(ゼファー)に『堕とされる』。
「あら、掃除の心算だったけど……
……バルナバス程じゃないけど、貴方強いわね!」
共に地面を転がり、槍を挟んだ至近距離で嘯いたゼファーに生臭い吐息が吹きかかった。
耳まで避けたその口に並ぶ乱杭のような牙はキス出来そうな距離には余りに不適だ。
「『魔種との世界をかけた最終決戦、その反撃の起点となったのは、一台の扇風機だった』。
最高にかっこ良くないっすか? 誰も、惚れ直しちゃう位に」
強かに打ちつけたアルヤンの『風』にラーングーヴァが後退した。
「――このウォリアが此処に在り!」
踏みしめた影の大地より火の柱が噴き上げた。
圧倒的な――そして刹那的な、威圧的なまでもの歩みがらしい爆炎を撒き散らしそれを阻もうとした愚かな敵を焼き尽くしている。
「……てめ……」
「各々方、士気を高め…影の城へ攻め寄せるべく眼前の敵を討て!
この争い、最後に競り勝つのは『気迫』のみなれば。
……ラーングーヴァ、オレは必ずオマエに勝利する!」
ラーングーヴァの悪態を最後まで許す事は無く、言い切ったウォリアの全てが燃えていた。
幾分か気押されたとは言え、悪魔の魔種ラーングーヴァは最強の七罪バルナバス・スティージレッド麾下の最強三騎の一角である。
権能こそ持ち合わせぬとはいえ、まともにやっては早晩及ばぬこの敵を『必ず』仕留めんとするならば。
「――消えちまえ!」
直線的に猛進したウォリアはラーングーヴァから放たれた数多の魔光の悉くを避けすらしなかった。
「!?」
彼の見たのは最短距離。そしてそれに纏わる最適解のみ。
「ゆめ忘れるな。オレ達は必ず――この戦いに勝利する!」
強引に――そして有り得ない形で間合いを詰めたウォリアにラーングーヴァは目を見開く。
――戦士が『誓い』を解き放つ時、流星の如くに『裁き』は降り注ぐ。
猛る『炎』の矜持をそのままに、全ての敵を滅ぼす暴威となりて。
終焉を破り、明日を掴むべく振るわれる必殺剣の連撃。 時を超えて、その名を今此処に。
天命滅焉斬は全ての運命を背負ってラーングーヴァの悪魔の四肢を引き裂いた。
重なり合うように倒れ、燃えて、焼き尽きて――塵も残さないその影は揺らめく運命の先を僅かながらに。
ウォリアという戦士が歪めた証明に他ならなかった。
※影の領域の戦闘でパンドラ33698が消費されました。
成否
失敗
状態異常
第3章 第5節
●ナルキス
「粘りやがるな、この野郎――」
時刻は少し遡り、『第二戦域』。
魔種ナルキスは済し崩しに雪崩れ込んできたイレギュラーズ達にうんざりして舌を打たずには居られなかった。
「まったく、もう……ちょっと、大人しくして貰えないものかしら!」
「手が足りない所へと駆けて、戦線を維持する。やることはいつも変わりません。
……まぁ、どこの戦場も手は足りないのですが。
個人的には当然、まだまだいけますよ。キツいのだって慣れっこですからね……!!」
ナルキスが見据えた先には規格外継戦能力を誇るベークと彼を支援したヴァイスが立ち塞がっていた。
「このあたりが正念場なんでしょうね……!」
「可愛い子ちゃん達を追い回して――ついでに蒼剣の旦那と遊ぶ位の話だった筈なんだけどねェ」
「生憎とレオンは城に用があったみたいだな。
じゃあ――俺はここでしっかりと敵を抑えておくのが仕事って訳で、ナルキスとやら?
俺とも遊ぼうぜ? 地上ばっかり気にせず、たまには空も見上げてみようじゃないか!」
ヴァイスの言葉に薄い唇を皮肉に歪めたナルキスにカイトが空から突っかけた。
それは彼を牽制する程度の意図に過ぎなかったが、彼は彼の言葉の通りの仕事をしているに過ぎない。
「ヒーロー……ヒロインは遅れてやってくるってね!
ここは悪いけど足止めをさせてもらうよ、ナルキス! レオン……いいや、みんなを通すためにね!」
『怪盗リンネ』を気取った沙耶が鮮烈に言ってカイトの作り出した隙を生かす。
「だれひとりだって、欠けるのは、ニルはいやです。
かなしいのはいやなのです……ニルは、みんなで『おいしい』のが、すきだから……
……みんながいっしょがいいから!」
更に瞬いたニルの天光が魔種陣営を灼けば、食えないナルキスの表情も流石に幾らか強張っていた。
(いやァ、こりゃあ想定外だ。たまらねぇな――)
レオンやドラマ、華蓮を『追い回した』余裕も今や昔。
第二戦域を捉え、戦力を束ねたイレギュラーズの対抗は恐らくは魔種の軍勢でも最強を誇るこの一体を十分本気にさせつつあった。
それに、第一。
「甘く見て貰っては困るのだわ……!」
可愛い子ちゃん、だ何て。そんな軽薄、『誰かさん』に言われたら嬉しいのかも知れないけれど。
『そこ』に留まるにはこの場に敢えて残った華蓮は些かにたくましくなり過ぎた。
(レオンさんは更に奥へ……ドラマさんも共に。
あぁ……やっぱり、あの二人が並ぶ後ろ姿は美しいのだけれど。
でも……帰る場所を護る役割は私が頂こうかしら。いいえ、『頂く』のだわ!)
「……お返しは、してあげないとですからね?」
華蓮がここに残ったもう一つの理由は恐らくは――傍らのココロの存在だっただろう。
心配をかけにかけて――それでも何も言わず駆け付けてくれた得難い親友は目の前の敵を見据えて大きな瞳に決意の色に揺らめいている。
(……また会えた。やっと会えた。
此処にはわたしの大切な大切なパートナーがいる。
でも、ナルシスを倒せなければ彼女のみならず皆助からない。
貴女がしあわせであってほしい。今、こころの中にある望みは一つだけ――)
【心華双恋】は互いを想い、目前のどうしようもない程の脅威へと立ち向かう。
「頑張れ、ぱぱ。マリアも、ここでままと頑張る。
……頑張ろう、まま。一緒に、ぱぱを待とう」
「ええ、なのだわ!」
エクスマリアの言葉に華蓮は力強く頷いた。
確かにレオンに付いていきたい気持ちもあったが、華蓮の傍に居て、守り切らんとするのも彼女の矜持だった。
勝つ事は絶対だ。だが、失わず、全ての場所を守り切る事も同じ位に重要だった。
二兎を狙う者は強欲と謗られるのかも知れないが、この強欲は神様だって肯定しよう。
彼等のみならず、そして彼女達のみならず。数多の意志がこの戦いを勝利に導かんと燃えていた。
「ぐぬぬ~。いつまで粘るつもりじゃナルキスよ!
もうこれ……麿たちが勝つ流れじゃろ! あまり疲れさせないでくれるかの!
今日はこの後、祝勝会やる予定なんじゃから! 予定詰まってる感じじゃから!」
抜刀した夢心地の一太刀を硬質な音が受け止めた。
「わ、わ、ワタシだってアトさんとちちち、ちゅーしてエンダアアしてイノリさんをぶっ飛ばすんだからね!
その前にナルキスさんね、ねぇナルキスさん!
フラーゴラ・サインよりアト・トラモントのほうが語呂がいいと思いませんか!
お色直しは何回がいいかなあ!?」
おかしな調子に気を吐いたフラーゴラの詰めに後退したナルキスが苦笑を浮かべる。
「どいつもこいつも、胡乱な感じは――俺の事舐めてやがんな?」
実際の所、二人の調子は『何時もの事』であり敵を侮る話ではまるでない。
確かに魔種本体の物量に比すれば別動隊たるナルキス隊は然程でもないと言えるだろう。
イレギュラーズ全体が受ける圧力は死線を食い止める本隊とは違い、それはナルキスに比較的容易に食いつけている事実も証明している。
だが、しかし。
「舐めちゃいねえよ」
『性格の悪い技(ブルーフェイク)』を牽制に、鳳凰飛天を繰り出した風牙は彼の言葉を一蹴した。
「ただでさえギリギリの戦いしてるところだってのに、横合いや背後から精鋭(おまえたち)にぶん殴られたらたまったもんじゃねえ。
きっちり抑えた上で、キッチリ叩き潰す! そういう話なんだよ、これは!」
「全くだ。第二戦域の戦力がこちら側に流れ込んでしまえばな。
ただでさえ混迷としている状況が悪化してしまうことは想像に難くない。
ならば、零さない――それに尽きるというものだろう?」
成る程、ゲオルグも言う通り、当のナルキスはやはり一つ二つは格が違う。
吠えた風牙やゲオルグも含め、言うに及ばず第二戦域に『詰めた』イレギュラーズもまた精鋭である。
本隊がぶつかり合いで劣勢を極めている所にこれだけ『割かれた』精鋭である。
(戦場で味方を鼓舞する才はなくとも、俺は己を鼓舞する歌を知っている。
俺の相棒、弾正の歌、燦々煌々を胸に抱き、今歌おう――)
――――♪
アーマデルの力ある『声』が攻勢し、或いは決死の防戦を続ける仲間達を統率し、強く励ます。
(支援役の所になだれ込ませるわけにはいかねえからな!
向こうからすりゃ支援班は狙い目かつ潰してえとこだろうしよ!)
その鷹の目で広域を俯瞰する牡丹は実に戦場を『理解』していた。
「申し訳ないけれど、これは最強の駒に死に駒になって貰おうという話なのよ」
「イイ女が出てきたと思ったら」
冷徹にして辛辣な――舞花の切れ長の瞳が細くなる。
「何時までも、貴方達に纏まった精鋭を釘付けにされる訳には行かない……!」
裂帛の気を吐いた彼女の剣戟は当のナルキスを避けるようにして彼の部隊そのものを切り裂いていた。
「しかもフラれてやがる……!」
ナルキスを狙うにせよ、それ以外を叩くにせよ、だ。
無論、この衝力は影の城へ続く意味合いもあろうが、戦い慣れたイレギュラーズの決断は『ナルキス隊を自由にさせない』方を向いていた。
勝利の為の最善手としてこれだけの戦力を支払い、リスクを背負っているのに「舐められている」等、笑止も過ぎる!
「行くぞ、ナルキスッ! 宇宙保安官が相手になる!」
「今度はヒーロー君か。愛とか勇気で戦いのかい?」
「無論ッ!」
膂力を爆発させたムサシは強烈な一撃をナルキス目掛けて抉り込む。
「貴様の戦術がどれだけ優れていても……俺には勇気と!
そう、ユーフォニーからの愛があるっ! そう安々と負けるかよ!」
余りに威風堂々とした『惚気』に流石のナルキスも気圧されている。
「レオンさん達は行ったなら、残された僕達の役目はひとつだ。
――ナルキス、『Heart&Pride』の誓いにかけて此処であなたを倒す!」
男の意地を、誓いを胸に――トールが無我の斬撃を繰り出した。
「――この野郎……!」
切っ先は浅くナルキスの頬を切り裂き、流れ落ちた血を舐めた彼は幾分かの殺気を込めて敵を見据えた。
「ナルキス……っていうんだっけかわいそうに。いいとこをギルドマスターに邪魔されて。
ラスボスと同じステージには連れて行ってもらえない……あっ、マリアベルに大事に思われてないんだね」
「分かってねえな、そんな毒婦っぽい所がいいんじゃねぇの」
挑発めいたリュコスを徐々に熱くなってきたナルキスが笑い飛ばした。
我が身も厭わないイレギュラーズの猛攻に彼はかなりの時間晒されていたが、それでもまだ余裕がある辺りは厄介極まる。
「ナルキス達 抑エ込ム為ノ戦線維持。
戦線崩壊ニヨル 雪崩込ミ 絶対回避……!
美女デハナク 残念カモ知レナイガ……」
「ああ、大いに残念で厄介だね!」
フリークライの言葉にナルキスが吠えた。
「命、巡らせて。僕がいる限り、絶対に誰も倒れさせない!」
流浪の旅の終着が世界を助ける瞬間なんて、奇妙なものである。
ナルキス隊は本隊程ではないが、彼に攻撃を集中出来ているのはこの津々流やフリークライ等支援役達の尽力の賜物でもある。
つまりはイレギュラーズ側もギリギリの攻勢をしているに過ぎないのだ。
ナルキスという指揮官を落とせば何かが変わると信じて、やり抜かんとしているだけなのだ。
「こう見えて、まだ俺は燃えているらしい」
嘯くように、幾分か自嘲するかのようにアルヴィは言った。
余裕は何処にも無い。何処にも無いが……
どの戦場も等しく、やはり最終決戦は誰もの覚悟を、意志の強さを試しているのなら。
「そりゃあさ、闘技場の王者が強いって断言したなら、気になるだろ?
俺って負けず嫌いだからさ!」
このアルヴィにも押し通したい意地があるのなら、『最後の難敵』はむしろこれ位の方が都合が良い!
「調子に乗るなよ」
蓄積したダメージに本気を覗かせるナルキスが猛撃で仕掛けた。
身を翻したアルヴァに代わるようにこれを正面から受け止めたのは、
「重要な物は大事に閉まっておく……考えて見ればごく当たり前の事だ。
だが。逆に言えば顕現場所は易々と変えられない事の裏返し」
重く言って彼方、影の城を見据えたプリンだった。
「我らは果たすべき役割を終えに行かねばらなんのだ、退け!」
深く傷付きながらも彼は『そんな程度』では斃されない。
豪と吐き出した気合でナルキスを押し返し、
「流石の圧力と言った所だが――あくまで此処は押し通らせて貰うぞ」
巨体をブラインドに飛び込んだベネディクトの一撃を呼び込んだ。
(これまで培って来た技術を、経験を、力を! 全てを出し尽くす心算でここに臨む――)
ベネディクトはスローモーションにも感じる世界の中で目を見開いた。
圧倒的な敵の動きを、どうしようもない程の格上の『回避』を。
本来ならばその切っ先は遠く及ばないものかも知れない。だが、届かないものを届かせる事こそが人が辿り着き得る――奇跡ならぬ奇跡である事を、長い修練と戦いを積み重ねた彼は『知っていた』。
「……いってぇなあ!」
初めてと言っていい『手応え』にナルキスの圧力が爆増した。
「……っ……!」
アリシスが小さく息を呑んだ。
(このナルキスという男、冠位憤怒の配下、リッテラムの将でしたか。
この期に及んでまだこのような。ドラマ様と華蓮様が間に合ったとはいえ、流石よくも凌ぎ切ったものですね、レオン様)
敵の力を正確に見抜いたアリシスの表情は何とも言えないものだった。
――『まだ遊んでいた』。
それが彼女の得た結論だ。
(キール様のお姿をお見掛けしませんね。こんなにも貴方様『好み』の相手がここに居るのに)
単純な戦闘技術のみならぬ連携による痛打は戦いのステージを変えた合図になったかも知れない。
「そうだよね、そうこなくっちゃだ」
トン、トンと軽やかに爪先でステップを刻んでいる。
夢のようだった時間を思い出すように動きをなぞれば――
獣のしなやかな肢体は静かに、確実に、この相手を切り刻む為の鋭さを研ぎ続けていた。
「リッテラムの頃のボクとは違うよ。それに今は力が漲ってる」
そして、イノリよりもマリアベルよりも――或いは魔王座よりも、このソアはナルキスを優先してここに在る。
未来とか希望とかそういう野暮な雑味は要らず。可憐で危険な獣は目の前の御馳走にその目を輝かせていた。
「前よりもずっとよくしてあげる」
「ああ、そうだなあ――貧乏籤かと思ったが、いいじゃねえの」
姿勢を低く跳んだソアをナルキスが迎撃した。
ソアは最初から知っていた。彼がこんなものではない事を。
そしてナルキスもまた知っていた。彼の『遊び』は侮りではなく悪癖で、ソアを含めた今日の相手は自身最高にして最後の戦いになるのだと。
※影の領域の戦闘でパンドラ14544が消費されました。
成否
失敗
状態異常
第3章 第6節
●原罪と黒聖女
(最悪ってのはこの事だな)
経験は他人よりも早く、より多くの事をシラスに教えていた。
それが朗報ならば、勝ち筋を見出す意味ならば大歓迎だ。
さりとて、その逆ならば舌も打ちたくはなるだろう。
『黒聖女』マリアベルの能力の根幹は空間干渉である。
長大な距離をワームホールで繋いだりする用途もそうではあるが、彼女がこの能力を戦いに使った時が問題だった。
『過去の戦いからマリアベルは意識外からの攻撃をほぼ無効化する』という結論が出ている。
無論、例外はあるのかも知れないが――試している余裕は無い。
(問題は――イノリの野郎だ)
多芸にして多彩、そして絶対的に強力なイノリがマリアベルをカバーする事で最強のタッグは成立していた。
元より七罪を越える二体の魔種を相手にする局面で、二人の息はダンスをするカップルのようにぴったりと合っている。
「……本当に厄介な連中だな」
『マリアベルの空隙』を突く事に成功したフウガ――サクラの兄――がイノリの手で阻まれる。
まだしも戦闘技術そのものにそう優れていない彼女だけならば何とかなるが、イノリはどうやらそうでもない。
先の空間転移を見れば分かる通り、この組み合わせは間違いなく『最悪』だ。
「焦るな」
「焦ってねえよ」
短く言ったレオンにシラスは応じた。
「俺は並び立ってやるぜ。『斬人斬魔』にだって、『蒼剣』にだって――」
やはり風穴を開けるとするならば『別の可能性』だ。
この戦場に、混沌の運命を決める戦いには実に多様な可能性が眠っている。
その内の一つを――あの、アタナシアの存在をシラスは信じていた。
「粘るは粘るんでしょうけど、タイムアップは私達の勝ちだから。
生憎と焦って仕留めにいったりはしないわよ」
「君って本当に性質が悪いな」
「好きな癖に」
華やかに笑うマリアベルにイノリが肩を竦める。
「破滅願望なんてっ……心の中にだけしまっておきなさいな!
そもその願いで世界の破滅が訪れ、そのせいでざんげさんは縛られる!
ある意味矛盾した願いよね。あぁむしろ、貴方が祈り続けるから妹が懺悔しなければならないのかしら!?」
「安い挑発だな」
レジーナの言葉にイノリは苦笑した。
祈りと懺悔は確かに矛盾の関係にあるのは間違いない。
だが、イノリの結論は長命を生きるが故のものでもあり――恐らくは無為の時間を持ち得ぬ他の誰にも分かるまい。
「我(わたし)がお嬢様と暮らす世界が無くなっては困るもの。青薔薇十字は永遠だと教えてあげる!」
「可愛い仲間のドラマ殿と華蓮殿、あとついでにレオン殿をいじめた分のお返しは必要ですね!
折角なのでお話をしたい気持ちはありますが生憎急いでいるものでして!
なにせ世界がなくなっては新たな恋も見つけられませんから!」
「困難な道でも共に励まし合って進み、未来を勝ち取る!
そういうハッピーエンドが好みなのよ」
レジーナ、ルル家、更には自身の言葉を「ああ、そういうの確かに悪くないな」とかわしたイノリにリアは声を張り直した。
「大体、こちとら新婚なのよ!?
こんな所に引っ張り出されて、諦めきったような話聞かされてる身にもなりなさいな!
いいこと? イノリさん? あたし達の世界をここで終わらせる訳にはいかないからね。
止めさせてもらうでござーますよお兄様!」
「……………」
「アンタもよ、ヘタレオン! アンタ散々やらかしたんだから、もうちょっとちょっといい所見せてよね!」
【乙女同盟】以前に剛腕で『無双』したリアにイノリがやや引き攣った顔で呟いた。
「蒼剣君。彼女は何時もこうなのかい?」
「残念ながら、大体そんな感じだよ」
「どういう意味だ!?」と怒るリアはさて置いて、彼女は『長い黒髪のシスター』である。
影の城は大いに戦力を束ね、精鋭でキングとクイーンを討ち取らんとしているが、それは果たして不可能に霞む幻影であるかのようだ。
だが、諦めない。『そんな事は最初から知っている』。
(マリアベルに……イノリ……!
一見でR.O.O(コピー)とは比ぶべくもないと理解る……ですが)
ドラマは気付かれないように傍らのレオンの横顔を見上げていた。
(怖気付いていたらここで物語が終わってしまう。本当に――終わってしまう。
そんなこと、そんなことは絶対に、許さない!)
レオンは『絶好調』なのだ。恐らく何十年振りか、その霧は晴れている。
ドラマはどうしても考えざるを得ない。
(弟子が貴方のサポートなんて、きっと烏滸がましいと笑うのでしょうけど。
それでも、どうしたって――)
――レオン君に、世界を救わせたい――
こんな時に『それ』を想うのは恐らくエゴに違いないが、恋する乙女の我儘が許される事は。
認めたくないが、目の前で世界を滅ぼそうとしているクソ女が証明しているのだから仕方も無い。
「『頼む』ぜ、ドラマ」
「……はい!」
呟いたレオンの真意は知れないが、ドラマの力はあんまりに単純でも――それで漲る。
「ねぇ、センセ」
「うん?」
「これって――多分、リヴァイアサンを除けば混沌最強クラスの存在だよね」
「で、あろうな」と応じた梅泉にサクラはからかうように言う。
「梅泉センセー、いけるよね?」
何度も稽古をつけて貰った。横に並んで戦った事もある。
だけれど、恐らくこれは『最悪で最高』の場所なのだ。
「誰に云うておる」
「……うん。あの邪悪デブの時は不本意な結果で終わったけど、今度はそうはならないから!」
破顔したサクラと梅泉が剣を構え、たてはがわざとらしい咳払いでそれに続いた。
この戦いは結局の話、最初から絶望的だった。
「出来れば奇跡とかそういう都合のいいイベントは早く起きて欲しいものですね!?」
傷付いたルル家が嘯く。
「ところで彼氏の気を引く為に彼氏の妹のコスプレするの、まぁまぁ痛いと思いますよ!」
「コスプレじゃないわよ!」
大鎌に刈り取られかかったドラマをレオンのマントが包み込んだ。
サクラと梅泉の刃がそれを辛うじて押し返し、ジェックの銀弾が一時前までマリアベルが居た場所を撃ち抜いた。
「おいおい、マジかよ」
『義兄』のあんまりな様にルカが苦笑いした。
率直に言えば「まさかここまで」と言わざるを得ない。
最精鋭をぶつけ、更にはイクリプスの力を生じて尚、力の差は絶大過ぎた。
敵はどうしようもない程にどうしようもなく、全ての想いも何もかも。
魔王座の終焉に、影の城の水底に飲み込むような存在だったに違いない。
それでも。
――ごうごう。
運命の音が鳴る。
ごうごう、ごうごうと。
特異運命座標という存在は何時でも何かを引き起こす。
加速し切った物語の終幕を引き裂く――運命の濁流はもうすぐ誰の耳朶をも震わせるのだ。
※影の領域の戦闘でパンドラ17226が消費されました。
成否
失敗
状態異常
相談掲示板
僕が望む皆に、幸運と奇跡がある事を願って。
【3】で俺も切り札を切らせてもらうぜ!
全部終われば腹はち切れるまで美味い飯食わせてやるから楽しみにしとけぇ!
存外にナルキスの人数が少ないみたいね。
ってことで私はそっちの助太刀に行くわ。フォローに回りますから、決着は任せるわよ。
ここまで来たら滅びも、ハッピーエンドも超えて、完全無欠な結末を目指しちゃおう!
【1】ラスト・ウォー 31人
ロジャーズ、星華、ルナール、ルーキス、ヤツェク、ベルナルド、騎兵隊17人、武蔵、錬、愛無、メイメイ、モカ、零、妙見子、メリーノ、
【2】ジェネラル・ナルキス 8人
ソア、オリーブ、胡桃、フラーゴラ、トール、ジョシュア、夢心地、風牙
【3】キング&クイーン 27人
ヨゾラ、リカ、ドラマ、シラス、フリークライ、祝音、ロド、マリエッタ
【運命砕】
ルカ、新田、クロバ、セララ、スティア、飛呂、ヨゾラ、シキ、リュコス、汰磨羈、サクラ、ムスティスラーフ、ルーキス
【想奏】
ルル家、リア、メイ、アレクシア、牡丹、リュティス
イレギュラーズの先輩にせっかく生かして貰っちゃったんだもの
可能性の力、見せつけてやろうじゃない
ふふ、私の剣がこっちに行きたいわぁ~!と言って聞かないので…
他タグの方も応援しておりますね!
なぜかパス付いているけど気にしないでNUDしてください!
みんなよろしくね!
牡丹殿、祝音殿、リュティス殿、ご協力ありがとうございます!
フリック殿ももしご一緒するようであればよろしくお願いします!
タグの相談場所は↓になりますので、よろしくお願いします!
https://rev1.reversion.jp/room/chat/23922
PASS:NUD
けど、流石にそっちに行くには難しい、ただでさえ何処も危なくって、どうしたって命懸けな戦場だしよ。
だからまぁ、俺の想いの分は全部奥行くやつらに勝手に託す。
……命賭けてもいいからさ、死ぬなよ、全力で祈ってる。
勿論、他の戦場も同じ戦場の奴らも含めて。
…まぁつい前置きしちまったが、俺は【1】で戦う。
他の皆が生きて帰ってくるなら、その戦場をどうにかするぐらいはして置かねぇとよ。……
ナルキスへ向かう人たちも、影の城へ行く人たちも、もちろん、【1】へ向かう仲間達にも、武運を祈ってるわよ!混沌に棲む全員で勝ちましょう
僕は【3】で回復担当予定。
ヨゾラさんから禁書2つ借りてきたから、可能なら【想奏】をテスタメントで支援できればと。
僕自身も非戦やPPPで何かするかも、です。みゃ。
ここがオレの、混沌での最後の戦場と思って! すべてを出し切る!
戦いが終わったら、つづりを練達に呼んで焼肉パーティーだ!
ン。フリック 携行品切札有。(EXA+100)
カナリ回復デキル思ウ。
最前線 支エル予定。
只 【想奏】支援案モアルカラ 組ミ込ンデオク予定。
(そっちメインにするには回復力惜しいのであくまでも上手くいけばいいな、くらいのサブプランだけど)
武運 祈ル。
よう。オレも混ぜてもらっていいかい?
ハイテレパスを拡張するって聞いてな。
非戦なら誰よりも使い込んだ自負があるしよ。
二時間泥棒での自己強化に加えて、てめえらのハイテレパスにテスタメントぶち込んでやるよ。
後まあ魔種が世界の敵にならないで良い世界っつうのはかーさんも喜びそうだしよ。
この世界のルールを変える力になりたい。
わたしは【1】に向かいます。
ルカさま達の目指す未来、想い…わたしも、こちらから、応援させていただきます。
寛治、クロバ、セララ、スティア、飛呂 、ヨゾラ、シキ、参加ありがとうな。
頼りにしてるぜ。
【運命砕】の相談所(想いを託すやつとは別)のスレッドも作ったから良かったら参考にしてくれ。
https://rev1.reversion.jp/guild/885/thread/23923
想いを集めるのも引き続き頼むぜ。
https://rev1.reversion.jp/guild/885/thread/23920
【3】の【運命砕】に参加できれば、と思う。
ルカさんの…ルカさん達の願いが叶ってほしいと思うから。
可能なら僕も尽力できれば、と。
メイ殿、アレクシア殿!ありがとうございます!
勿論大歓迎です!
大樹の精霊としての力、頼りになりそうです!
よろしくお願いします!
元々、隙広げるだの狙うつもりだったんで【運命砕】手伝いに行きたいと思ってる。
『そういう人』に笑顔でいてほしい、なってほしいって気持ちは、わかるしな。
私もお邪魔させてもらってもいいかな?
世界中に声を届けるのでしょう?それなら、大樹の精霊としての力が役に立てられんじゃないかなってね。
ファルカウさんは霊樹を通して世界を見ていたわけだし、その逆だってできるはず!
ルル家君にはファルカウさんの時に協力してもらった借りもあるしね、良かったら協力させてもらえれば!
ありがとう!現在わかってる情報だけで十分だよ。途中経過でもいいから集計したかったの。
行き先表明は現状こうかな?
ワタシはでは【2】に。
【1】ラスト・ウォー 22人〜26人
ロジャーズ、星華、ルナール、ルーキス、ヤツェク、ベルナルド、騎兵隊16人〜20人
【2】ジェネラル・ナルキス 4人
ソア、オリーブ、胡桃、フラーゴラ
【3】キング&クイーン 11人
ヨゾラ、リカ、ドラマ、シラス
【運命砕】
ルカ、新田、クロバ、セララ
【想奏】
ルル家、リア、メイ
ラーングーヴァさん撃破を受けて【2】の方へ移動してナルキスさん相手する予定なの。
こちらにも先に進みたい方いるかもしれぬし。
【騎兵隊】は現状確定ではないけど、大体『16~20人』ぐらいが騎兵隊から参加すると思うわ。前回は16人で更に数人はレベル到達により加わると思うから。詳細人数決まったら、改めて書くと思う。PPP発動が人数とかも未定。
これでOKかしら?
参加先は【2】です。タグへの参加などは追々。
色々と限界ではありますけれど、死ぬつもりはありません。
必ず生きて、全てを見届けてやります!
また今回も行き先人数カウントしようと思う。
なので騎兵隊は今現状で参加予定の人数のお名前を教えて欲しい。掲示板、見た感じレベル参加満たしてなくて参加しないだろう人もいて把握難しかったので。
僕も治癒役に該当するから、【1】は騎兵隊さん達に任せて
僕の行動予定を【3】キング&クイーンに変更するね。
回復役に専念するか、チーム参加するかどうかはまだ考え中です。みゃー。
からの連絡よ。
まずは皆の肌感や行動の宣言に感謝を、大いに参考になったわ。
そのうえで騎兵隊は総力を上げて【1】にて【敵主力を粉砕しつつ、指揮官を撃滅する】ことを目的に行動しようと思う。
その際に「権能封じのPPP発動」を試みて「無限復活」を阻止しようと思う。できるかできないかじゃない。やってみるだけよ。
相談は下記の場所。参加希望はまだ募集中。複数人でのPPP発動を試みるつもりだから。頭数が居るに越したことはないから。気が向いたらよろしくね。
https://rev1.reversion.jp/guild/520/thread/23894
また、装備や携行品も融通するから。欲しいものがあれば連絡をちょうだい。
【個人的な意見】
で、そこで【1】に参加する予定の人の中で「盾、治癒などのサポート役」の人は何人か【3】に回って火力を発揮しやすいようにしてくれると嬉しい。
その穴くらいは私がどうにかするから。
あと、フラーゴラ? リヴァイアサンの大海嘯が狙ったのはイノリであって。【1】の戦場ではないでしょう。
私を焚きつけるのはいいけど。そういうのはちゃんと情報を精査した上で言いなさいな。私じゃなければぷんすこしていたかもしれないわよ(くすくす)
じゃ、まぁ「今回は」こっちを任せて頂戴。勝利への水先案内人は、今回も騎兵隊が引き受けるわ。
前回【5】に行った人たちはみんな【3】でそのまま継続戦闘するという仮定を前提で見ると、火力にかなり偏っていて回復等のサポートが少なめ。
【1】はリヴァイアサンの大海嘯の余波で結構な数吹っ飛ばして"も尚"劣勢っていう状況だから余計にみんな考えちゃうよね。
恐らくこちらはサポート面は足りてて、引き続き火力はもう少し必要なのかも。
ここまできたしいい加減【3】に行きたい人の気持ちは尊重したいけど、どこまで必要かわからないから悩むよね。
とはいえ僕自身のやりたい事もあるし、暫く悩んでどうするか決めるかも。
気持ち的には【運命砕】にのりたいけど、どこも人手が必要そうだしもうちょっとようすを見るね…という意思表明。
ギリギリだがやっと俺が参戦可能になったんでね。
我らグリムゲルデも夫婦で【1】に回らせてもらうよ。
意見を取り入れる、そういう風に読めたので意見させてもらうね
本当に最後の最後だから本人のやりたいことをするべきだと思ってはいるけど、【3】に大人数で大挙するのは【1】【2】の人手が足りなくなってよろしくないなと思う
だから騎兵隊メインは【1】【2】のどちらか、分隊もしくは個人参加など人数調整がききやすいものを【3】に配置するのがいいんじゃないかなって思う
さらにここからは個人の肌感なんだけど……騎兵隊、イーリンさんの目的は依頼の成功だとしても、【1】に行かなくていいの?
リヴァイアサン、大海嘯、縁があるでしょう?気持ちがこもって気合い、入ると思うけど
>ワタシの行き先
人手が足りない所に行きたいな。ずっとそうしてきたし、そのほうがワタシも力を発揮出来るの。
ようやく、これを返済する機会が巡ってきたようですね。
【3】にて【運命砕】に参加します。
「リーゼロッテwith薔薇十字機関少数」にも、お付き合い願いましょう。
というわけで!協力者です!
拙者は【想奏】タグでPPPを使用してハイテレパスを拡張して世界中の人々にパスを繋げます!
今のところリア殿と2人ですが、2人で世界中の人々に声を届けるのめちゃくちゃ無理があるので手伝ってくれる方は大歓迎です!
ただ性質上、PPP使用が前提となってしまうので、それでも良い方だけお願いいたします!
【運命砕】のタグで参加する。
俺はざんげを笑顔にしたい。
だからあいつのアニキのイノリや、その恋人のマリアベルを倒して良しとするなんてのもしたくねえ。
俺が手に入れるべきは、魔王座を叩き返し、滅びの運命を砕き、人類はもちろん、魔種達も生きていける未来だ。
その為のチームだ。
力を貸してくれるなら参加してくれ。
俺のやることは皆から力と想いを集めて、運命をぶち壊すよう試みる事だけだ。
正直、直接的にイノリやマリアベルの相手をする事は出来ねえ。
アイツラもただ見てるだけって事ぁねえだろうからな。
できりゃあアイツらにも協力してほしいが、そっちは未知数だ。
だからアイツラを直接叩いて納得させたり、力と想いを集める隙を守ってくれるやつがいるとそれも助かる。
もし良かったらタグには参加しねえ、あるいは出来ねえってやつもプレイングに想いを記載してくれ。
そいつは多分、力になるはずだ。
あと、協力者の力を借りて世界中に声を届けて、世界中から想いと力を集めようと思っている。
そっちについても良かったら知り合いに宣伝してくれれば嬉しい。
https://rev1.reversion.jp/guild/885/thread/23920
ここに記載してもいいが、直接プレイングに書いた方が効果的な気はするが、判断は任せるぜ。
何もかもぶっ倒して、ハッピーエンドどころかグランドエンドを迎えようってんだ。
それぐらいやらなきゃあ、だろ?
ということで3章のキングとクイーンは、最初の節と最後の節の合計になるので、31名ですね!
他の方がどうする予定かはわかりませんが、この31名はおそらく今からどこか別のところに行くことはないと思って良いかと思います。
ナルキスのところにいらっしゃる方もおそらく同様でしょう。
となるとラスト・ウォーの人数配分をどうするかというところですが。
ぶっちゃけここは何人残れば十分かは何とも言えないですね。
ただ多すぎる人数が移動すると厳しいかなという印象です。
あんまり具体化した人数を言うと他の方の動きを縛ることになるかも知れませんので、そこは言えませんが。
確実性も全然ないですし。
以上、個人の所感でした!
第三章の参加者を流し見た限りでは(選択肢が異なるので大まかな感じですが)ラスト・ウォーの戦場に55名くらい、ナルキスさん取りに行ったのが25名ほど、キング&クイーンのところは5名くらい。25名が流しすぎて戦場がどこだったのかうろ覚えになってしまっています。
K&Qにはもう少し人が集まるかもしれませんが、ラスト・ウォー55人体制で劣勢というのはどうしてよいやら。長引いても個人個人のパンドラが大変ですし、速攻でナルキスさん含め指揮官級を落として【1】の難易度を下げる……無理かなあ……(
【騎兵隊】
からのお願いよ。この最終局面において、人数配分をどうするか非常に悩ましい状況になってる。
そのうえで、何処に何人くらい必要だと思うというのを、皆の肌感でいいから。なんとなくでいいから伝えてくれると嬉しい。
それを考慮した上で方針を決定したいから。
よしなに頼むわ。
【1】予定。
魔王座、嗚呼、理解した。
私がアレに執着するのは。
我々の父よりも父らしい有り様か……。
僕も僕にできることを、最後まで頑張る。みゃ。
現時点では【1】ラスト・ウォーに行く予定。
場合によっては変更するかも。
僕は【3】キング&クイーンで行動予定。
全力で戦うよ…!
No Blood、No Bone、No Ashだっけか。
よく言ったもんだぜ。
オレはまだ燃え尽きる気はねえがよ。
つっても対ナルキス戦力は結構あるし、ソア達が惹きつけてくれてるんで、隊員を引き受ける形だ!
敢えて数を抑えてる3の支援役が狙われねえようにする感じにしたぜ!
アルムや愛奈達を狙わせやしねえぜ!
この分なら、対軍勢も、第二戦域も、きっと大丈夫かしら。
なんとかここを乗り切りましょう!
できれば、皆で影の城に殴り込めたら良いんだけどね……。
あと、微力ですがヒーラーが出来る人に【4】に行って貰いましたので、どうにかなるといいんですが……
https://rev1.reversion.jp/scenario/show_playing/10856/18348?key=d2c2b6a9
【1】対軍勢(攻勢) 17人
メイメイ、ベルナルド、ちぐさ、イーリン、武器商人、彩陽、オニキス、美咲、エーレン、アンジェリカ、ウルズ、カイト、ジョシュア、イズマ、錬、サンディ、武蔵
【2】対軍勢(防衛) 16人
セレナ、愛無、星華、フォルトゥナリア、雲雀、レイリー、幸潮、ゴリョウ、志屍 志、エレンシア、リカ、ロジャーズ、グリーフ、オデット、ルチア、鏡禍
【3】対軍勢(支援) 4人
ヤツェク、弾正、祝音、アルム
【4】第二戦域へ 11人
ソア、トール、プリン、フラーゴラ、夢心地、カイト・シャルラハ、ニル、風牙、沙耶、アーマデル、フリークライ
【5】影の城 13人
飛呂、シラス、ヨゾラ、すずな、ドラマ、リア、レジーナ、ルル家、アンナ、ルカ、マリエッタ、高道、ベネディクト
ン。現状ヒーラー フラーゴラ一人ミタイダカラ。
モウ一体追加シテオケバ 動キヤスイカナト。
ヨロシクネ。
支援は任せてね!
まぁ僕が出せるのはヒレなんですが……
GMコメント
YAMIDEITEIっす。
お待ちかね、ラリー決戦です。
プレイングには詳細なルールが決まっておりますので必ず守って記載するようにして下さい。
●依頼達成条件
・Case-Dの顕現阻止
※完全顕現した場合、混沌以下全ての世界が滅び、ゲームオーバーとなります。
●ワーム・ホール
『黒聖女』マリアベルの作り出した人類圏への侵攻路。
おかしな前例を作った華蓮ちゃんとドラマちゃんがいたせいで、パンドラの奇跡でとんでもない横紙破りを食らった結果、逆侵攻ルートにされました。
ここを通過するのにもパンドラを消耗します。
本シナリオはここを通過して『影の領域』に到着したシーン以降を描く事になります。
●影の領域
終焉(ラスト・ラスト)、人類未踏の魔種の勢力圏をそう称します。
薄暗く日の光が弱く、植生等の生態系も歪んでねじくれた『魔界』のような場所です。
混沌と地続きですが、まるで違う法則に支配されているようで此の世のものとは思えません。
また影の領域は原罪の呼び声のスープのようなもので、多くの人類に以下の影響を与えます。
・何時反転してもおかしくない
・イクリプス全身図の姿に変わり、戦闘力が強化される(姿はそのままでも可)
本来ならばここで戦う事は困難です。反転や狂化を免れる事は難しいのですが……
●空繰パンドラ
今回は皆さんの代わりにざんげが有する空繰パンドラが使い続ける事で致命的な悪影響を防いでいます。逆に言えば空繰パンドラは皆さんが共有する有限のリソース、即ちHPとなります。
空繰パンドラによる奇跡の支援は戦闘中別の事にも使われる場合がありますが、使用すればする程余力は小さくなる性質です。
ざんげに何をして欲しいと頼む余裕は無いので、ざんげがある程度自分で判断します。
しかしながら彼女は皆さんを見捨てたりはしないでしょう。(目的の為に小を殺すジャッジはあまり出来ません)
●影の城
イノリとマリアベルが存在し、Case-Dが顕現しようとしている決戦の場です。
西洋風の城で、魔種陣営の本拠地。3/18現在、一章では到達出来ません。
●敵
影の領域辺り一帯には膨大なまでの低級魔種、終焉獣、アポロトス、或いは何でもないなりそこないが跋扈しており、中心部である影の城に到達しようとするなら非常な困難が立ち塞がり続けるでしょう。
多くが雑兵ですが、強力な個体もちらほらといます。
特に以下の個体はかなり強力な魔種で謂わば指揮官個体なので注意が必要です。
・ナルキス
スチールグラードはリッテラム攻略戦で登場した強力な魔種。
飄々としたタイプでかつて会敵したシラス君曰く「リッテラムでバルナバスの次に強い」とのこと。
何処にいるかは分かりません。
・『鎧の魔種』フロスベクト
スチールグラードはリッテラム攻略戦で登場した強力な魔種。
ワーム・ホールより攻め入った先で会敵する魔種軍勢を率いています。
・『悪魔の魔種』ラーングーヴァ
スチールグラードはリッテラム攻略戦で登場した強力な魔種。
同様に魔種軍勢を率いており、人類軍を挟み込むような形で猛撃します。
●友軍
オールスターです。
・ゼシュテル鉄帝国の正規軍
指揮官のザーバ・ザンザは全軍の統括も兼任します。
世界最強の軍隊に相応しい精強な軍勢です。
・聖教国ネメシスの聖騎士団
聖騎士団長レオパル・ド・ティゲールに率いられた部隊。
攻防一体で回復支援も可能な前衛主体。継続戦闘ならおまかせあれ。
・幻想精鋭部隊
ザーズウォルカとイヴェットに率いられた例外的に有能な連中です。
幻想には大変珍しく戦えるものが揃っており、ヨハンセン・ヴェイルシュナイダーという騎士の顔もあります。
・赤犬の群
ディルク・レイス・エッフェンベルグ率いる傭兵団。
クライアント(かれんちゃん)がこっちにいる以上、面を出すのは当然の事!
・深緑の癒し手達
幻想種の中でも勇気のある者、支援の得意な者達が有志で集まりました。
彼等の多くは誰かと争う事を嫌いますが、今回ばかりは戦って勝ち取る覚悟を決めたようです。
イレギュラーズを除く全軍の士気はザーバ・ザンザ将軍がとり、レオパル・ド・ティゲールが補佐します。
部隊以外の個人についても腕自慢の連中もきっと許される範囲で参戦している事でしょう!
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
今回のシナリオに関しては普段に比べ死亡率が高いです。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
●情報精度
このシナリオの情報精度はEです。
無いよりはマシな情報です。グッドラック。
●重要な備考
他シナリオとの時系列関係はラリーである以上、どうしようもないので考慮しない方向となります。
選択肢の中から自分の行動に近いものを選択してプレイングをかけて下さい。
又、オープニングには特に記載されていない人間が参戦している場合もあります。
プレイングをかければ登場するかもしれません(しない場合もあります)
本シナリオは返却時等に空繰パンドラの総合値が減少し続けます。
空繰パンドラの残量が0になった場合、事実上の敗戦が濃厚になる可能性があります。
空繰パンドラの減少は本シナリオ以外のシナリオ結果にも左右されます。
尚、一章時点で影の城に到着する事はありません。
但し、選んだ選択肢によってその後のシナリオでの状況が変化する場合があります。
さあ、正念場です。
難易度? 知らない子だなあ。
た、戦うぞ。宜しくお願いいたします!
任務方針
イレギュラーズは独自判断を許されており、任意の形での作戦参加が可能です。
この作戦における自分の動き方の方針を以下の選択肢1~3の中から選択して下さい。
【1】ラスト・ウォー
大海嘯の余波でほんの少しだけ押し返しましたが、非常に劣勢です。
魔種の軍勢は指揮官個体以外は復活し続ける為、支える側の余力は限界に近付いています。
しかし、この敵の軍勢を最後の瞬間まで食い止める事は混沌存続の絶対条件なのです。
【2】ジェネラル・ナルキス
世界の破滅を目の前にしても魔種ナルキスは気負っていません。
バルナバス麾下最強の男は、目の前の敵と最高の闘争をする事を最大の目的としたからです。
彼はイノリに然して忠実ではありませんが、貴方達が彼を倒せなければ神託阻止は恐らく失敗するでしょう。
【3】キング&クイーン
影の城でイノリとマリアベルを倒し、混沌を救います。
神託の成就は目の前と思われます。魔王座(Case-D)が顕現した場合、その瞬間にゲームオーバーになります。
イノリとマリアベルを倒しても止まる保証はありませんが、その意志を挫かずして神託を阻止する事は不可能でしょう。
【4】
【5】
Tweet