シナリオ詳細
<終焉のクロニクル>Pandora Party Project
相談期間中
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オープニング
●『一つ』の混沌(せかい)
「良く集まってくれた!」
ローレットをお膝元に置くメフ・メフィートの王宮には未だかつてない光景が広がっていた。
凛と声を発したのは言わずと知れた幻想(レガド・イルシオン)の国主フォルデルマン三世。
しかし彼の目の前に立つ人物達はこの場所からして例外的にまるで臣下の礼を取っていない。
それもその筈。
「まさか、アンタから呼ばれるとは思っても見なかったぜ。
こっちは戦勝気分でメイドの飯でも食えそうなトコだったんだけどな」
知己のイレギュラーズとのやり取りを冗句めいて言ったのはゼシュテル鉄帝国皇帝、『麗帝』の武名混沌中に轟くヴェルス・ヴェルグ・ヴェンゲルズ。
「バグ・ホールとワーム・ホールであったか。
此方もあれには中々手を焼いておる。建設的な『話』になれば幸いじゃな」
自慢の白い顎髭を指で扱くのは練達、セフィロトが『探求』の塔主――カスパール・グシュナサフである。
それだけではない。
「……この度の呼びかけを、そしてローレットへの長年のご支援に感謝を申し上げます。フォルデルマン王」
「うむ。魔種とはやはり人類圏の不倶戴天の敵なれば。
彼等には感謝しても仕切れぬものがある。結果として貴国にも」
「おうおう、妾としてはとうにその心算じゃ。海洋は建国以来の悲願を彼等に果たさせて貰ったのでな」
「縁を繋いで貰った。返せない位多くを受け取った。思えば、到らぬばかりの話であったが」
「……………ま、中々面白い連中である事は確かだよ」
最後の人、『彼女』が特異運命座標だろうとは言うなかれ。
普段、勢力圏から出る事はない深緑(アルティオ=エルム)の緑の巫女、リュミエ・フル・フォーレ、更には自他共に厳めしい正義と実直、賢王としての年輪をその顔に刻み付けた聖教国国王にして、教主たるシェアキム・ロッド・フォン・フェネスト六世、海洋王国大号令を成功させた女王イザベラ・パニ・アイスに『新天地』カムイグラの『霞帝』今園賀澄、『世界最強の傭兵』こと砂漠の赤犬、ディルク・レイス・エッフェンベルグ等といった錚々たる面子が揃っている。
国として幻想と付き合いのあるディルクやイザベラはいざ知らず、長年の敵国の王であるヴェルスやシェアキム、我関せずを貫く中立主義のカスパール、外部との交流を好まない幻想種のリュミエや遥かカムイグラに在る賀澄等がメフ・メフィートの王宮に在る事自体を例外過ぎる事実と呼ぶしかなかろう。
そしてその極めつけは……
「ま、ずーりんにお願いされたしね。ユーフォニーやヴィルメイズ、イレギュラーズには世話にもなったし。
話があるってんなら付き合わない位に薄情じゃないわよ」
……ここについ『この間』までの人類未踏の地、覇竜領域の若き姫――珱琉珂の姿さえある事だった。
覇竜観測所、そしてヘスペリデスの大事件……特異運命座標達の紡いできた縁こそがまさに特異点であると言う他なかろうか。
「それで――王サマよ。この集まりは何だい。アンタが仕切ってくれるんだろう?」
「うむ。ディルク殿、私は皆々様に提案をしようと思ってここに来て貰ったのだ」
ディルクの言葉にも最早物怖じせず、フォルデルマンは居並ぶ面子を見回した。
「我々は国王だ。そして、我等が国はそれぞれが様々な事情を抱えている。
私はイザベラ殿やディルク殿とは友誼を結んではきたものの……
例えば我が国は、ゼシュテルとはもう何十年もそれ以上も争っている。
ネメシスと戦争になった事も何度もある。父祖代々より続く因縁は決して小さなものではない。
アルティオ=エルムやセフィロトは他国と関わるをこれまで良しとはしなかっただろう。
遠き地の――カムイグラのお方や竜の姫君からすれば我々はまだ見知らぬ他人やも知れない。だが!」
堂々と言ったフォルデルマンは一層胸を張って言葉を続けた。
「我々がこの混沌に生きる同じ人間である事に変わりはない。
この世界は今、滅びの危機に瀕していると言う。
我々は、我々の力だけで『神託』を回避出来ない事実をこの何年かで痛烈に思い知ってきた事と思う。
世界最強のヴェルス殿やディルク殿も、戦う力のないこの私などはいの一番に。
……特異運命座標は、ローレットは本来民を守らねばならぬ我々の為に傷付き、命を燃やし、魔種共と戦ってくれてきた。
だが、我々は何も出来ない存在であろうか?」
フォルデルマンの横顔を見つめるシャルロッテの大きな瞳が潤んでいる。
「答えは否。断じて否だ!
確かに我々には決まった運命を覆す力は無いかも知れない。
可能性の獣と同等の結果を出す事は不可能だろう。だが、それでも我々は王だ。
彼等には無い力を持っている。我々は――いや、我々を含めた人類は特異点の有無に関わらず抗う力を持っていると信じてやまない!
……そこで、私は――フォルデルマン三世は皆様に提案したい」
――今日、この時を以って全ての恩讐を一旦取り置き、全国家全勢力全力を挙げてローレットを支援し、魔種との決戦に臨まんと!
「一本化した指揮系統は世界最優と名高いザーバ・ザンザ将軍にお預けしたい。
参謀として我が国の『黄金双竜』レイガルテ卿をつける用意がある」
フォルデルマンの言葉にレイガルテが「御意に」と一礼する。
一方のザーバは……後で聞けばさぞ難しい顔をするに違いないが、これを断るような男ではなかろう。
「時間が無い故、その他、細かい調整は進めながら承りたい」
「聞いていた人物像とは随分違うとお見受けするが、良き哉。男児三日会わざるば刮目して見よ。
学べる事、成長出来る事こそが若者の特権なればな」
カスパールが淡く微笑んで、誰より先に拍手を始めた。
「……信じられないもんを見たが、アンタ十年も経てば結構俺のいいライバルになるかもな?」
「異論はない。神も、我々も彼等の先行きと共にあらんと願っていた」
ヴェルスが、シェアキムがそれに続く。
「我が国に出せる戦力はたかが知れておるが是非も無い。支援に輸送にお任せあれじゃ」
「うむ。イザベラ殿と共に可能な限りの助力をする事を約束しよう」
「アンタ達は俺が守るって言いたいトコだけど、今回だけはな」
「その顔で言わないで下さい」
イザベラと賀澄、ディルクの言葉にリュミエが苦笑した。
「勇者王って言うんだっけ、アナタの祖先」
感心したように零した琉珂の脳裏に『竜さえも乗りこなしたその伝説』が過ぎる。
アイオンの名は覇竜領域にも轟いていた。あのメテオスラークが懐かしそうに嬉しそうに話した言葉が浮かんで消えた。
成る程、目の前のもやしの覇気を見れば眉唾な昔話も少しは信憑性を持とうというものだ。
「――感謝する!」
深々と頭を下げたフォルデルマンには確かに混沌の誰もが一度は憧れた勇者王の片鱗が僅かに覗く。
そして、ゆっくりと面を上げた彼はそしてここに宣言する――
「今、この時を以って我等は一丸。
我が為に戦い、誰が為に死のう。
隣人が為に誇りを振るい、世界の為に前に進まん!
これより、乾坤一擲の決戦『Pandora Party Project』発動を宣言する!」
●『例外』という混沌
「――始まったみたいだね」
終焉(ラスト・ラスト)――影の領域、その深くに到る影の城。
人間の王侯貴族が好みそうな居場所を真似るかのように形作られた皮肉な場所で原罪の魔種ことイノリは静かに言った。
運命が望み、神が、世界が否定してきた『神託』の成就はもうすぐそこまでやって来ている。
『見て』分かるのだ。
ただ広く伽藍洞な謁見の間の中心に空間の歪みが生じていた。
外の世界に幾らでも沸いたバグ・ホールと似ていて異なる――
大きさ自体はまだ拳大であり、まるで威圧的なサイズとは言えないのだが。
それは確かに別種のものであった。
余りにも違い過ぎて、イノリにそれが他と同じものだとは思わせてくれない程にも。
「生き汚いクソ爺が恐れる訳だ。正直、これ程に『理解る』ものだとは思ってもみなかった――」
独白めいたイノリは呆れ半分、賞賛半分の苦笑いを浮かべていた。
近付いているという事実のみで『それ』が放つ狂気めいた圧倒的な存在感は影の城の異常ささえも吹き飛ばす位に強烈で、イノリをしても底を見通す事等出来はしない。
そしてそれは取りも直さず、『それが故』にこの大いなる混沌を吹き飛ばし得るのだと教えてくれるかのようだった。
「顕現にはどれ位かかるのかしら」
「分からない。だが、終焉までのカウントダウンは確実に始まってる。
……そうだな、長い時間は無いだろう。例えば君と今年のシャイネン・ナハトを過ごす事は出来そうもない」
冗句めいたイノリに「なにそれ」とマリアベルが唇を尖らせた。
「性格が悪いわよ、イノリ。私に気を持たせるような事はしないで頂戴な。
それで……この後はどうしたらいいの? 待っていれば『神託』は成るのかしら」
「魔王座(Case-D)の顕現は成った時点で不可逆だ。この混沌にアレが引き込まれた時点で全ては完了する。
そうなれば神だろうと特異点だろうとこれを覆し得る事なんて出来はしない。だが」
「邪魔、するわよねえ」
マリアベルの口角が意地悪く持ち上がっている。
「貴方のその言い方だと『顕現する前なら止められる』ように聞こえたわ。
つまる所、あのお節介な連中はその好機を見過ごすような事をしないでしょう。
世界の為だか、大切な人の為だか――それとも自分自身の為だかで。
信じられないような苦労を平気で呑み込んで、不可能に挑むような連中なのでしょう、『あれ』は」
「まるで、君みたいにね」
イノリの切り返しは先刻承知であったのかマリアベルは苦笑いを浮かべている。
「かくて魔種と人類圏の最終決戦は不可避のものになる訳だ。
事これに到れば、お互いに是非も無い。世界が滅ぶのが先か、彼等がこの場に辿り着くのが先か――
尤も、辿り着けた所で僕だって譲ってやる気は微塵も無いがね。
さて、彼等は何をどうするか――」
独白めいたイノリの言葉に応えるではないが、マリアベルの柳眉がぴくりと動いた。
「……成る程ね」
「マリアベル?」
「彼等のやり方が分かったわ。どうも彼等、私のワーム・ホールを辿ってこっちに乗り込んでくるみたい」
憮然とするマリアベルにイノリは「まさか」と問い返す。
「事実よ。私が感知したのだから間違いない。
そうね。ええ、そうよ。貴方の思っている通り――私の通路は原罪の呼び声の煮凝りのようなものよ。
人間が人間のまままともに通過するなんて馬鹿げてる。出来やしない。でもね、あの『前例』は痛恨だったわね」
「乙女が二人か」
「ええ。『前例』は彼等により大きな冒険をさせたということ。
パンドラの奇跡で押し切れば、本来通路ではない通路を利用出来る――侵攻ルートを逆侵攻ルートに変えられてしまった。
人類圏は……ああ、もうすごい多国籍軍ね。
どうも彼等腹をくくったみたい。イレギュラーズを旗印に混沌中の全勢力が影の城への打通を狙ってる。
でもね、イノリ。これは私の問題じゃなくて――貴方の大好きな妹様の所為ですからね!」
「責めてないってば」
苦笑に苦笑で返したイノリが天を仰ぐ。
「……まぁ、最後の最後まで出来た妹だ。ことこれに到っても神のくびきから逃れる心算は無いらしい。
思えば碌に言葉を交わした事も無い妹だ。一度位は話し合っても良かったのかも知れないが。
……しかし、何だ。兄の心も、その逆に妹の心も。『家族』でも案外理解し得ないものなんだな――」
何とも言えない顔をしたイノリにマリアベルは嘆息した。
「……いいじゃない、最初で最後の兄妹喧嘩。それに貴方がどうするって言ったって」
――泣き言を言ったって、どんなに情けなくたって。私は最後まで付き合うから。
彼女はその先を言わなかった。
唯、この後に起きるであろう終焉(ラスト・ラスト)の激闘が生易しいものにならない事だけは知っていたから。
- <終焉のクロニクル>Pandora Party ProjectLv:95以上相談期間中
- ――滅びの運命を捻じ伏せて、かの魔王座を拒絶せよ!
- GM名YAMIDEITEI
- 種別ラリー
- 難易度NIGHTMARE
- 依頼公開日時2024年03月18日 21時45分
- 第4章募集中48人
- 総採用数392人
- 参加費50RC
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第2章
第2章 第1節
●時間という損耗
混沌の――ひいては外世界も含めた全ての世界の命運をかけた戦いは初動より壮絶を極めていた。
人類圏が辛うじて統合した意志は彼等に持ち得る最高の戦力を集結させている。
最精鋭部隊に運命を捻じ伏せ従える可能性の獣達(イレギュラーズ)を加えた乾坤一擲の進軍は影の領域に食い込み、ジリジリと魔種の軍勢を圧迫していた。
しかし、足りない。
「こいつァ、いい展開とは言えんな」
バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)が言う。
「幾らでも敵が居るのは――」
「――或る意味で、愉しめる話だけれど」
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)が、白薊 小夜(p3p006668)が言う。
「――さっきからあんまり進んでなくない!?」
目の前の敵を一発殴り倒し、叫んだ炎堂 焔(p3p004727)の言う通り!
『人類圏の総攻撃は乾坤一擲のものである』。
つまり、この後に大きな増援の目は見込まれていない。
翻って魔種陣営はと言えば。
「うむむ! 実に面妖奇怪な!」
「……まぁ、ラストステージだし。この位はやってくるとは思ってたけどね」
刀を、全身の膂力の渾身を振るう一条 夢心地(p3p008344)、Я・E・D(p3p009532)の視界の中で先程倒した筈の敵が理不尽な再生を見せていた。
無論即座ではないのだが敵の軍勢は復元する。後の無い人類軍が振り絞った進軍を嘲るように彼等は何度でもその目の前に立ち塞がる。
……単純な力のぶつかり合いならば、押してはいる。
押してはいるが、焔の言は正確で『その割には進めていない』。
「まずいですね、ハッキリ言って」
「……こんな所でモタモタしている時間は無いのに!」
その致命的な事実はトール=アシェンプテル(p3p010816)、レイリー=シュタイン(p3p007270)のみならぬ、誰もの共通認識だ。
この戦いにおいて、時間というリソースが魔種側にしか与しない。
一方的にして理不尽な前提は『魔王座(Case-D)が顕現する前に』それを阻止する事をイレギュラーズに求めている。
つまる所、『神託』が実現してからでは全ての戦いが無駄になるという事だ。
それが成った後、引き返せない領域に届いた後に原罪(イノリ)や黒聖女(マリアベル)を降しても意味はない。
「元から不利だってのに全く――無茶苦茶要求しやがるぜ……!」
「ま、そういう難儀な仕事だったろ。何時も、何時だって」
カイト(p3p007128)が動きを封じた敵をエレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)の一撃が打ち砕いた。
……不可能状況があったとして、ならばどうするかという切り替えの早さは彼等が潜り抜けてきた修羅場の重さを何よりも示している。
「どうかしっかり!」
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)の挫けぬ笑顔が幾度と無く仲間達を励ました。
事これに到っても当然のように諦める者は無く、愚直な進撃が勢いを減じていないのだから筋金入りだ。
しかし。『ずっと』それでも――やはり負けだ。
「そろそろ、頃合だのう」
全軍の将帥たるザーバは各所で展開される猛烈な戦闘をそう評価していた。
イレギュラーズを戴く人類軍はその奮戦で魔種軍勢の陣形を、迎え撃つ防御をかなり攪拌している。
乱戦は言い換えれば綻びの産まれであり、それは雑兵の多い魔種陣営にとっての明確な弱味であった。
ザーバだけではなくレオパル、ザーズウォルカやアベルト・フィッツバルディ、イーリン・ジョーンズ(p3p000854)等、優秀な指揮官を持ち、イレギュラーズはじめ明確な意思を以って戦う人類軍に比して魔種陣営の有り様は隙が多い。総戦力では五分より悪く、相手に復元能力まであるとなれば人類軍がやがて黄昏を迎えるのは確実な事実だが、この決戦の短い時間だけを切り取るならば一瞬の長が彼等にないとは言い切れない。
更に言えば、先程の『爆発』。
「行くわよ、ルル家!」
「ええ、ええ! 拙者は初めからドラマ殿達を信じておりましたとも!」
影の領域の現在において『戦闘』が起き得るシチュエーションは多くない。
人類軍は『この』ワーム・ホールを進撃路とし、進撃にパンドラの加護が必要だった以上は別路はない。
即ち、この進撃路の近辺で別の戦闘が起きているとするならばそれは、先にこのルートを踏破したドラマ・ゲツク(p3p000172)と華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)が『何か』したという可能性を考えるのが一番早い。
「そろそろお迎えの時間でせうか」
ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)が珍しく皮肉もなく幽かに笑った。
どうしようもないお姫様もいい加減目が覚めた頃だろう。物語は、もう佳境なのだから!
「よぅし……」
故にザーバは総合的に状況を『好機』と見た。否。塊鬼将は誤らない。『ここしかなかった』。
「目標は影の城だ! これより精鋭部隊を切り離し、『神託』阻止の作戦を発動する!
……まあ、残る連中は更にキツイが勘弁しろよ。俺も勿論、この場に残るのでなあ!」
人類軍の攻略目標が影の城である以上、遅かれ早かれの決断であった。
「ええ、ええ。まだまだおかわりもいけますからね」
「そうだね。気分も上がって来た所だよ!」
ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)が嘯き、セララ(p3p000273)が何時も通りの堪えない笑顔を見せる。
「《パン屋》、零・K・メルヴィル!全身全霊で行かせてもらう!」
「ここまで来りゃあ――出し惜しみはナシだ!」
零・K・メルヴィル(p3p000277)が、日向 葵(p3p000366)が声に一層勢いを増していく。
元よりの不利を飲み込んで死地を更に死地に変え、信じる仲間をより濃密な死地へと送り込む。
決して嬉しい事実ではないのだが――
「うおおおおおおおおお――ッ!」
獣のように咆哮した郷田 貴道(p3p000401)の拳が魔種の腹に大穴を開けた。
この戦いが誰にとっても最後のものならば、最早是非もなし。
「行くか、アレクシア」
「……うん。後ろは任せて」
シラス(p3p004421)にとっても、アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)にとっても、
「一体一体狙ってる暇も無いし、簡単過ぎるけど。
それでも『当たる』ってのはスナイパー的には悪い気分じゃないよね」
運命をスコープを覗き込むジェック・アーロン(p3p004755)にとっても、
「退けねえ理由が――あるんだよッ!」
喉も枯れよと裂帛の気合を吐き出したルカ・ガンビーノ(p3p007268)にとっても!
退けない戦いの総ゆるコストは妥当なものと肯定されよう。
「サクラちゃん!」
「……っ!?」
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)の警告の声にサクラ(p3p005004)が振り向く。
「だ、大丈夫!?」
「……うん、これでも結構頑丈なんだ。
ヒーラーだって前に出れなきゃ、こんな場所じゃ戦えないからね」
自分を庇ったスティアを今度はサクラの刀がフォローした。
「それにしてもやっぱりお兄様達は……!」
少しの恨み節を思わず漏らした彼女に声が応える。
――これが終わったら許してくれよ?
影が降り、同時に周囲の獣達が撃滅される。
『風の暗殺者』の異名を持つフウガ・ロウライトはサクラの実兄だ。
少し前の事件で溺愛する妹に(暫く)絶交されていた経緯はあるが……
「……今回頑張ったら、少しだけ考えてあげる」
サクラのその言葉は今、参戦した彼にとってはかなりの『励み』になったに違いない!
●可憐なる抗戦劇(ドラマ)
「何を見せられてたんだか」
皮肉に自虐的に笑った魔種ナルキスは目の前の『三人』に嘆息する。
「……んで、蒼剣殿を加えて俺達とやり合おうって訳な」
人好きのする性格をしているようにも見えるが、この魔種は冠位には及ばずとも戦域最強の個体である。
もう加減は無く、冷たい殺気を向ける彼に華蓮の眉が少し動く。
レオンはと言えば、それを察したのか彼女を庇うように前に出て「まあね」とだけ言葉を返した。
「俺は強いぜ?」
「そうだろうな。大体知ってる」
「この軍勢も居る」
「そうだな」
「おまけにアンタ等は三人だ」
「間違いない」
「勝てると思ってンなら、成る程。大した自信家だ」
飄々としたやり取りは二人特有のものだが、それは間合いを探り合うような戦いの始まりでもあった。
(何か隠し持ってやがる……?)
ナルキスはレオンの余裕を疑う。
(黒聖女の姐さんが『特別扱い』する男だろ?)
マリアベルは何故レオンを見逃したのか――それが分からない。
コンタクトし、オファーをして――それ自体が信じられないがレオンがオファーを拒絶したとして。
『何故、マリアベルは彼をそのまま捨て置いたのかが分からない』。
「慎重派だねェ」
「あん?」
「これだけ有利でもまた自分を疑ってやがる。
どうも自分を信じ切れねぇみたいだから俺が『やり方』を教えてやるよ」
レオンは独白めいて、蒼剣でナルキスの方を指す。
「俺が余裕な理由なんて決まってる。『俺は世界最高の冒険者だから』だ」
「……」
「……………」
「何もないって事ね。確かにこりゃあ、俺の方が情けねえ」
ナルキスはレオンの言葉に呵々大笑し、獰猛な笑いを浮かべていた。
「悪いな、兄さん。『アンタを見くびってた』よ」
レオンはドラマと華蓮に言葉をかける。
「ドラマ、華蓮。『まだやれる』よな?」
マントが乾いた風にはためいている。何時にない程に自信に溢れたレオンは何一つ揺れていない。
「勿論! いくらだって――一緒に戦って見せるのだわ!」
「誰に言ってるんですか。いきなり偉そうに……カッコつけて」
言葉は二者二様だったが、この場の結論はどうしようもない位に一つであった――
※影の領域の戦闘でパンドラが30000消費されました。
YAMIDEITEIっす。
二章開始です。
プレイングには詳細なルールが決まっておりますので必ず守って記載するようにして下さい。
●依頼達成条件
・Case-Dの顕現阻止
※完全顕現した場合、混沌以下全ての世界が滅び、ゲームオーバーとなります。
●ワーム・ホール
『黒聖女』マリアベルの作り出した人類圏への侵攻路。
おかしな前例を作った華蓮ちゃんとドラマちゃんがいたせいで、パンドラの奇跡でとんでもない横紙破りを食らった結果、逆侵攻ルートにされました。
ここを通過するのにもパンドラを消耗します。
本シナリオはここを通過して『影の領域』に到着したシーン以降を描く事になります。
●影の領域
終焉(ラスト・ラスト)、人類未踏の魔種の勢力圏をそう称します。
薄暗く日の光が弱く、植生等の生態系も歪んでねじくれた『魔界』のような場所です。
混沌と地続きですが、まるで違う法則に支配されているようで此の世のものとは思えません。
また影の領域は原罪の呼び声のスープのようなもので、多くの人類に以下の影響を与えます。
・何時反転してもおかしくない
・イクリプス全身図の姿に変わり、戦闘力が強化される(姿はそのままでも可)
本来ならばここで戦う事は困難です。反転や狂化を免れる事は難しいのですが……
●影の領域(第二戦域)
進軍ルートの彼方に爆発が起きました。
そちらにドラマちゃん、華蓮ちゃん、レオン、ナルキスとその部隊が居ます。
ナルキス隊はフロスベクト、ラーングーヴァの軍勢に比べて小規模です。
●空繰パンドラ
今回は皆さんの代わりにざんげが有する空繰パンドラが使い続ける事で致命的な悪影響を防いでいます。逆に言えば空繰パンドラは皆さんが共有する有限のリソース、即ちHPとなります。
空繰パンドラによる奇跡の支援は戦闘中別の事にも使われる場合がありますが、使用すればする程余力は小さくなる性質です。
ざんげに何をして欲しいと頼む余裕は無いので、ざんげがある程度自分で判断します。
しかしながら彼女は皆さんを見捨てたりはしないでしょう。(目的の為に小を殺すジャッジはあまり出来ません)
●影の城
イノリとマリアベルが存在し、Case-Dが顕現しようとしている決戦の場です。
西洋風の城で、魔種陣営の本拠地。4/3現在、影の城を目指すプレイングが行えます。
ルールは後述。重要です。
●敵
影の領域辺り一帯には膨大なまでの低級魔種、終焉獣、アポロトス、或いは何でもないなりそこないが跋扈しており、中心部である影の城に到達しようとするなら非常な困難が立ち塞がり続けるでしょう。
多くが雑兵ですが、強力な個体もちらほらといます。
特に以下の個体はかなり強力な魔種で謂わば指揮官個体なので注意が必要です。
・ナルキス
スチールグラードはリッテラム攻略戦で登場した強力な魔種。
飄々としたタイプでかつて会敵したシラス君曰く「リッテラムでバルナバスの次に強い」とのこと。
影の領域(第二戦域)でドラマ、華蓮、レオンと交戦中。
・『鎧の魔種』フロスベクト
スチールグラードはリッテラム攻略戦で登場した強力な魔種。
ワーム・ホールより攻め入った先で会敵する魔種軍勢を率いています。
・『悪魔の魔種』ラーングーヴァ
スチールグラードはリッテラム攻略戦で登場した強力な魔種。
同様に魔種軍勢を率いており、人類軍を挟み込むような形で猛撃します。
●友軍
オールスターです。
・ゼシュテル鉄帝国の正規軍
指揮官のザーバ・ザンザは全軍の統括も兼任します。
世界最強の軍隊に相応しい精強な軍勢です。
・聖教国ネメシスの聖騎士団
聖騎士団長レオパル・ド・ティゲールに率いられた部隊。
攻防一体で回復支援も可能な前衛主体。継続戦闘ならおまかせあれ。
・幻想精鋭部隊
ザーズウォルカとイヴェットに率いられた例外的に有能な連中です。
幻想には大変珍しく戦えるものが揃っており、ヨハンセン・ヴェイルシュナイダーという騎士の顔もあります。
・赤犬の群
ディルク・レイス・エッフェンベルグ率いる傭兵団。
クライアント(かれんちゃん)がこっちにいる以上、面を出すのは当然の事!
・深緑の癒し手達
幻想種の中でも勇気のある者、支援の得意な者達が有志で集まりました。
彼等の多くは誰かと争う事を嫌いますが、今回ばかりは戦って勝ち取る覚悟を決めたようです。
イレギュラーズを除く全軍の士気はザーバ・ザンザ将軍がとり、レオパル・ド・ティゲールが補佐します。
部隊以外の個人についても腕自慢の連中もきっと許される範囲で参戦している事でしょう!
・封魔忍軍
フウガ・ロウライト(サクラちゃんのお兄ちゃん)一党が参戦しました。
彼等は戦闘力の高い暗殺者集団で奇襲と攻撃力に優れます。
この戦いに勝ったらサクラちゃんが絶交を解いてくれると信じて……!
・レオン・ドナーツ・バルトロメイ
第二戦域に登場。
ローレットのギルドマスター。『絶好調』。
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
今回のシナリオに関しては普段に比べ死亡率が高いです。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
●情報精度
このシナリオの情報精度はEです。
無いよりはマシな情報です。グッドラック。
●重要な備考
他シナリオとの時系列関係はラリーである以上、どうしようもないので考慮しない方向となります。
選択肢の中から自分の行動に近いものを選択してプレイングをかけて下さい。
又、オープニングには特に記載されていない人間が参戦している場合もあります。
プレイングをかければ登場するかもしれません(しない場合もあります)
本シナリオは返却時等に空繰パンドラの総合値が減少し続けます。
空繰パンドラの残量が0になった場合、事実上の敗戦が濃厚になる可能性があります。
空繰パンドラの減少は本シナリオ以外のシナリオ結果にも左右されます。
尚、一章時点で影の城に到着する事はありません。
但し、選んだ選択肢によってその後のシナリオでの状況が変化する場合があります。
●重要な備考2
選択肢の内容が変化しています!!!
詳細を必ず読むようにお願いします!
頑張って下さい!
第2章 第2節
●本番開始
「……ああ、もう! どうして私がこんな所に!」
前線に駆り出されたのは『全世界の精鋭』だ。
拘束の聖女として名高いアネモネが四方八方に鎖を放ち、影の獣を縛り上げている。
聖騎士団長のレオパルが奮戦している以上、出ない訳にはいかないのだが――フォン・ルーベルグに残って天の杖を起動したシェアキム閣下の方に残るのがアネモネの第一希望だった事は否めない。
「まったく……!」
目を見開いたアネモネが拘束を抜けた影獣に目を見開いた。
上等だ、一撃位は貰ってやるか――聖女らしからぬ笑みに口元を歪めたアネモネの目前を阻むように一人の男が駆け付けた。
「アネモネ!」
「ベルナルド!?」
互いの名を呼んだのはほぼ同時。
アネモネを庇う格好となったベルナルドが敵の爪を受け止め、一撃でその脅威を振り払った。
「……ベルナルド、貴方弱いのにこんな所まで来たの?」
「『強くなったんだよ』。ギリギリだったけどな!」
互いの言葉は素直になれない女の強がりで、一本気な男の本気に違いなかった。
「ふぅん。今のは……まあ、悪くは無かったわ」
「悪くない?」
「……?」
相変わらずの調子のアネモネにベルナルドは歩み寄り、小首を傾げた彼女に――
「――!? !? !!?」
――一気に口付け、見栄を切る。
「もう二度と離さねぇ。永久の愛をここで誓う。
世界に嫉妬されるぐらい、幸せなお嫁さんにしてやるからな!」
「は? は??? はああああああ――!?」
それ所ではない戦場にアネモネの愉快な――悲鳴じみた――声が響いている。
閑話休題。
正面衝突の戦いはより一層その激しさを増していた。
「次から次へとキリが無いのにゃ!?」
目前の敵を何とか捌いたちぐさが悲鳴めいた声を上げていた。
身体は早々と疲労困憊で、元より戦いにそう向いた気質とは言えない彼にとって現況は余りにも過酷過ぎる。
倒しても倒しても『キリがない』。
一対一の戦いならば人類の最精鋭は魔種陣営を圧倒しているとも言えるのだが、生憎と連中はそんな品の良い戦いを展開していない。
(……でも、だからこそ負けてられないのにゃ! 猫又の執念と矜恃、見せる時にゃ!)
しかし、愛らしい面立ちに珍しい闘争心を浮かばせたちぐさは歯を食いしばるようにして前を向いている。
「他世界、彼女がいる世界まで滅ぶと聞いたからには勝たなければいけません。
……彼女と共に生きて、たくさんの思い出を積み重ねていきたい。
僕たちはまだこれからなはずですから!」
ちぐさにせよ、このジョシュアにせよ同じ事である。
出来る出来ないで言えばこの戦いの勝利はは恐らく『出来ない』に位置する事なのだろう。
叶う叶わないで言ってもその願いは遠く霞んでいるものなのだろう。
さりとて、可能性の獣(イレギュラーズ)はしばしば常識を裏切るものだ。
「さあて、いよいよ本番という事か!
だが不思議と不安はないものだな。
人生万事塞翁が馬、あの塔で学んだ事だ。
こんな艱難辛苦も『良く考えれば』どうって事はないもんだぜ――」
錬の言う所の『過去の経験』は成る程、彼等に不可能に挑む場合の心意気を嫌と言う程叩き込んでいる。
世に遍く不可能なる絶対が存外にあてにならないものだという事を知らしめている。
「でもまぁ、しかし……やってもやってもおかわりが来ちゃうのねぇ。
流石は魔種の本拠ってことかしら?」
師匠仕込みの槍術で目前の影を打ち払ったゼファーが溜息を吐く。
外連味の無い女だが、状況を正確に見る冷静さも欠いていない。
(まあ、大将(ザーバ)は元気そうだし……此処も士気旺盛…飽きる暇もないのは嬉しいものね。
とは言え……どっかでもっと思い切りブチ抜いて行くような勢いが欲しいところよね、ええ!)
切れ長の目がちらりと横目に確認した友軍は――総大将(ザーバ・ザンザ)は武骨な鉄塊で纏めて敵軍を薙ぎ払っている。
「先に進むため、退いてもらうわよ?」
守ってばかりはいられない、と『無理し過ぎない程度』に声をぶつけたヴァイスも然り。
「……もう、怯えて震える仔羊ではいられません!
進むべき人達を、送り出す為に、も。わたしの力は此処で使うと……決めたの、です
わたしの背を押してくれる人達が居るのなら、わたしの力も誰かの背を押すものになる筈、です!」
影の領域でしか帯びえない原罪じみた力(イクリプス)を纏ったメイメイも又然り。
彼のみならず、彼女達のみならず。イレギュラーズにせよそれ以外にせよ今の所は状況に怯んではいない筈だ。
「しかし、改めて見るとスゲェ光景っスね。
ほとんどの国家からの精鋭がこんなゾロゾロと……
それでもまだまだ終わりが見えねぇな、どこで終わりか考えるスキもねぇのは勘弁して欲しいっスけどね!」
嘯いた葵の一撃(シュート)が敵複数を強かに撃ち抜いた。
元より過剰な不利は承知の上であった。
時間と共に強まる消耗戦の圧力は言うに及ばず。
敵地の敵地たる所以はどの方角から眺めても魔種ならぬ誰に与する事も無いのだから当然だ。
その上で、乾坤一擲に全ての力を糾合した『人類軍』はその不利を被った上で為さねばならない事がある。
「魔王座の顕現と空繰パンドラの枯渇、我等にとっては二つの時間制限があるに等しい!
無論、こちら側が壊滅しては元も子もないが、この武蔵、任された以上は切り拓く!
我が砲撃で、諸君らの先行きに華を添えて見せようぞ!」
勇猛果敢な武蔵の砲撃が劈く轟音で敵陣の真中を引き裂いた。
最初から分かっていたのだから――些か偏ってはいるが――今更怯む理由にもなりはしないのも道理であろう。
「真正面からの殴り合い、暗殺者のやる事ではないが。
……今は俺にできる限りを。その、少し先へ」
「やれやれ、これはいよいよ最悪だね。
だが、まぁ……影の城(あっち)まで突っ切る位の時間は稼いでみせるさ……ボクも後から追うから気にせず征け!」
乱戦の中でアーマデルの、ラムダの声が指すのは究極的な目的を持つ友軍である。
『結論から言えば人類軍はギリギリで支えている現状から精鋭戦力を引き抜いた上でこの場を支えなければならない』。
武蔵が、アーマデルやラムダが言った通りタイムリミットの時計を止めるには影の城の攻略が必要不可欠。
「終焉の軍勢なにするものぞ! 正面突破あるのみ!」
「ああ。こんなもんに負けるかよ。全身全霊でッ――この戦場の活路を斬り開くまでッ!」
昴が裂帛の気合を吐く。応じた零もまた万感を込めて一撃と声を吐き出した。
「前へ、前へ、とにかく前へ!
影の城へ到達すべく前進を続けなければならない。邪魔をするというのなら、この拳で打ち砕くのみ!」
倒した傍から『補充』される影の国の住民にそれでも吠えた昴は怯みはしない。
滅びを望まぬ人類軍がこの場に全軍を留め置くのは緩やかな自殺に他ならない。
「道はぼくが切り開く!
……えーと、こういう時は『みずさき案内人つかまつる!』って言えばいいんだよね?」
何処か惚けたようなリュコスの調子が頼もしい。
「あれは……もしかしてレオンさんたちでしょうか?」
「うん、奥には多分――レオンさん達、眼の前には敵の軍勢。
影の城と第二戦域か。なら、わたし達がやるべき事は、眼の前に道を作り出す事だね!」
リュコスが笑う。目前の『シンプル』に挑むЯ・E・Dは余りに迷いようがない。
抗うと諦めるの選択肢しかないのなら、作戦がどんな最悪と困難を極めようと元より彼等のやり方は決まっていた。
『少しだけ本気を出した』Я・E・Dの圧力が――殲滅の光が瞬けば、敵陣に一つの道が出来上がる。
「『騒がしい』のはこの先では更に激しい戦闘になっているということ。
其方に向かう方達の為にも、ここが踏ん張りどころでしょう。
道を切り開いて、希望を託して先に進ませる! 勿論ボクだって、後から向かいますけどね!」
「ニルは、飛呂が前に進めるように、ここでがんばります!
あちらに向かうひとたちが、問題なくたどり着けるように――ニルは、ニルのできることを!」
チェレンチィの動きは更に切れ味をまし、ニルの『願い』に応え、無数の光が敵を撃つ。天上の調べが仲間達を賦活する。
戦いの状況は流動的であり、総戦力に関わらず、局面の有利不利は『緩急』に支配されている。
なればこそ、戦略ならぬ戦術とは動き続ける現場の中で一時、一筋の優位を削ぎ取る(スキャルピング)に他ならない。
「ひょっとしてお得意の話?」
「ファンドですからね」
混沌側の対応に追われていたリーゼロッテもまたこの場に現れ、傍らの寛治に肩を竦める。
「戦場には戦術や論理とは別軸のモメンタムがある。
所謂『流れ』というものは存外に馬鹿には出来ないものなのですよ。
凪の試合よりは無死満塁でも凌いで見せた方が可能性を感じるというものならば……
この機は逃さず、戦力を投入してその流れを後押しする。代打攻勢も乙というものでしょう?」
遅れて参戦した寛治は驚くべき事にアーベントロート派の精鋭を伴っていた。
「私を引っ張り出したのですから、精々しっかりやりなさいな」
リーゼロッテのお返しに今度は寛治の方が肩を竦めた。
『もう少し頼り切ってくれた方が可愛げがあるというものなのに』。
今日のヒロインは赤い爪の軌跡で敵兵を幾つも切り裂いて自身を中心に敵の空隙を作り出している。
「後は時間を稼ぐなら――」
寛治の視線の先には乱戦の中に巻き込まれた二体の魔種の姿があった。
「時間は掛けられないが、しかし焦っても進めない……ならば急がば回れ、だな?
かの魔種がいるなら、満を持しての再戦も悪くない。今回は少し、腰を据えて挑んでみようか!」
「面倒な連中だ」
燕尾服のような美麗な正装に身を包み、力増すイズマが相対する鎧の魔種フロスベクトは魔種陣営の防御の要。
「再戦、受けてもらえるっすよね」
「不敵に笑ってる心算かよ、それで」
面妖な扇風機――アルヤン不連続面に食いつかれているのは悪魔の魔種ラーングーヴァ。
二体の魔種は『あちら』で暴れるナルキスと合わせ、何れも敵側の最高戦力であろう。
「アルヤン 不連続面、推して参るっす。
ちなみに一対一(タイマン)がいい、なんて言わないっすよ。自分、今日は手合わせじゃなくて世界を救いに来たので」
「チッ……数が多い方が面倒な性質してやがる癖によ!」
指揮官と言えば違うのかも知れないが、『流れ』という意味では彼等の余力状況は戦況すらも左右しようか。
「影の城へ向かう者がいるからこそ、此の戦線は放置できぬ!
誰しもが願う明日の為、今の足場を踏み固める――魔種の首級の一つも挙げて士気をさらに高めてくれよう!」
数なら負けじと戦力を目前に叩きつけるラーングーヴァを阻むようにウォリアの天意爆砕礫が荒れ狂う威力を見せつける。
「状況は動いたけれども、わたしはこちらかしら~?
防御が手薄になった所を高火力による一点突破とか、やられると困る感じではある事だし……
これが所謂一つのお礼参りってやつなのね!」
青白く焔を纏う妖狐のように胡桃の狐影が影を灼く!
「てめぇとの決着位はつけないとな。宿題だったもんな」
「……口だけで突破出来るものではないのだがな」
口元を歪めたサンディにも堅牢な防御を見せつけるフロスベクトも猛攻を受け止めているが、
「勿論てめぇは強い。そこかしこで戦う皆だって強いだろうさ。
でも俺だって。俺だって! この場で切られた鬼札(ジョーカー)なんだっ!」
意気込みの分だけフロスベクトを上回ったか続け様に放たれたサンディの一撃が強かに装甲を叩いていた。
イレギュラーズの戦いはいよいよ『急』の色を帯びている。
『この場』に残った彼等は謂わば作戦に置ける捨て石のようなものだ。
最後まで全員が生き残れるかは分からない。先で仲間達が失敗したならば残るのは犬死にばかりであろう。
だが、それでも彼等の勢いは、或いは熱情はここで最高潮に到っていた。
一刻、いやさ一分一秒でも長く敵をこの場に引き付けて――この世界を救うのだ!
――男でも女でも、人類の英雄なんてポジションに収まってそれに滾らない人間なんて居ないだろう?
※影の領域の戦闘でパンドラが27657消費されました。
成否
失敗
状態異常
第2章 第3節
●転機
「先程の爆発音。到底捨て置けるものではありませんね」
ルーキスの言葉は成る程、十分な説得力を持っていた。
両者の主力が激突した決戦は文字通り混沌ならぬ全ての世界の命運を賭けた最大にして最後の一戦である。
極些細な『揺らぎ』が全ての結末を変え得る力を持つ運命の鉄火場において『その変化』は絶大であると言わざるを得まい。
彼方、後方の戦域で生じた轟音はそこで『何か』の戦いが起きた事をイレギュラーズ――人類軍に知らせるに十分だったのである。
元より何処かのタイミングで敵本体を乗り越え、影の城を目指さねばならなかった一同にとってこれは渡りに船の好機であった。
「意図してかは分かりませんが――ああも分かり易い合図を頂いたのですから、少々急ぎませんと」
「ええ。敵陣の真っ只中での孤立は不味い。早急に援護に行きましょう!」
ヘイゼルの言葉にルーキスが大きく頷いた。
この時点で戦場の誰もがそれを確認した訳ではないが、逆に誰もが確信をしていた。
人類は乾坤一擲の侵攻戦力をマリアベルが背にしたこのワームホールの出口に集めている。
それは即ち『そこ以外に影の領域における友軍は居ない』という重大な意味を示していた。
だと言うのに破ってもいない後方戦域で大立ち回りを思わせる騒ぎが起きたのはどういう事か?
「これひょっとして――しなくても、ドラマ氏、華蓮氏生きてまス?
これでドラマ氏も独断専行仲間って訳っスけど!」
何処まで本気か分かり難い美咲の言葉が端的に状況の意味を告げていた。
……繰り返すが人類はこの作戦に原っぱから動かす遊撃を置く余力を持っていない。つまり、その騒ぎの主は力を集合させた人類軍と全く関係の無い事情でそこに在ったという事に他ならない!
後方戦域の混乱がヘイゼルの言う『期せずしての合図』だとするならば敵本隊を回避し、第二戦域を目指す彼等の戦いが始まるのは必然だった。
元より人類軍の目標は影の城の原罪(イノリ)、更には彼の為そうとする魔王座顕現の阻止。
後ろを振り返る事は無く、死地に捨て遺した仲間達に任せた一同は三人と合流し更なるスピードを以って影の城を目指さんとしている。
そしてその『ついで』は存外に大きな意味を持っている。
「さて、ここらでひとつ迷子三名を保護しに行くか。
連中が無事で戻ってきたら――人類軍のテンションもさぞや上がるだろうよ!」
「迷子回収の騎兵隊である! ってどんな名乗りかしら。まるで人類最大の便利屋ね」
エーレンの声に冗句めいたイーリンが応じれば、
「っし! 次行こか。何処までもお供しますさかいにな。イーリンはん!」
「お待たせ、イーリン先輩。
母になったからって指咥えて待ってるつもりはないっすよ。
子を残して死ぬかもしれないってのは確かに怖いっす。
でも……あたし達にはイーリン先輩がいる、だったら怖くない!」
そんな彼女に「大概だわ」と笑みを浮かべさせる彩陽の不敵が、ウルズの強い信頼が浮かんでいる。
三人が――三人のみならぬ大勢が脳裏に描いたのは、先の戦いで行方不明になっていた……より正しく表現するならば人類軍の総力より一足も二足も早く影の領域に踏み込んでいたドラマ、華蓮、そしてローレットのマスターであるレオンの顔だった。
「少しでも……二人を送り出す一端は担った心算。だから、無事で嬉しい――」
彼等は単純計算で言うならば強力な戦士数人分の加算にしかなるまいが、この場で持つ意味はエーレンの、或いはこのユーフォニーの言う通りまるで違う。
「ここは騎兵隊とともに、自称覇竜からの援軍として進みましょうか!」
気力の充実はユーフォニーの唇を滑らかに、冗句の一つも零させた。
不可能だ不可能だと無理難題を投げつけられて、いざこの現場に到ったのならば。
生存不可能と言わしめた最悪の状況から仲間が帰還する意味はいよいよこの攻勢を信じたくなる材料の一つにもなるだろう。
想い等という不確かなものに縋る事を戦術家は時に嫌うかも知れない。
合理主義者はその思惑を殊更に否定したがるのかも知れない。
だが、結局の所『何時でも不可能を可能にしてきた連中』はその不確かが持つ大きな意味を知っていた。
「さあ、一気に行くわよ!」
少なくとも『人類最大の便利屋(イーリン・ジョーンズ)』はそれを信じる程度の戦術家(ロマンチスト)である!
「騎兵隊の護送なら、この世で1番安全だとも。ヒヒ……」
「さぁ参りましょう、前へ……更に前へ!」
何処までも喰えない武器商人は平素の調子のそのままに目前の敵を翻弄する。
気を吐いたアンジェリカの堅い守りが阻まんとした敵影の猛攻を弾いて散らす。
(好きな人の家族まで大切にできなくて、なにが男だ!
レオンさん本人だろうと――『あの人』にまた家族失わせるなんて許さねぇからなッ!)
或る意味で誰よりもこの場に立つ意味を持つ飛呂が前を阻んだ獣の姿を撃ち抜いた。
彼の脳裏に過ぎるのはローレットでレオンの――或いは彼自身の帰りを待つ一人の少女の姿である。
「確実に当てる、止める! 今日だけは――絶対に譲らねえからな!」
【騎兵隊】の大戦力と共に第二戦域へ疾走する部隊は一丸となった吶喊力を有していた。
先述した通り、彼等という吶喊力を作り出す事それそのものが正面部隊を死地に捨て置く無理なオーダーに違いなかったが、果たして。
予想外の攻めに転じた彼等は目前の敵を猛烈なまでに食い破り、自身等の価値を正しく見せつけていた。
「生きてた! 大丈夫だと思ってたけどぉ……!!!」
「よう、迎えに来たぜお三方!」
泣きそうな程の安堵を覚えたシキと、鞍上のエレンシアが晴れやかに言うその先に見慣れた三人の姿が見えた。
「盾じゃなくて矛もいるってとこ良く見とけ!
騎兵隊が先駆け、真紅之備がこのアタシ!エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ! いざ参る!」
敵の数は膨大。狙うそれにも困らない程の乱戦にエレンシアが存在感を見せつけた。
ほぼ同時に。
「この局面で重要戦力の三人を相手取る敵を甘く見る理由はないよ。
使える手札は惜しまない。私たちの全力で撃ち抜くだけだ……!」
気合の宣言と共に瞬いたオニキスの『巨砲』が敵影で埋め尽くされた影の大地に轍を引いた。
「……っ、華蓮ちゃん、助けにきたよーっ!」
「――ココロさん!?」
白金の華を嵌めた手が大きく振られた。
瘴気を裂くかのようなココロの声は何処までも凛然と響く。
怒号と混乱に満ちた戦場の中でもそれを伝えたい華蓮に確実に届くように。
「ヒヒ、漸く見つけたねぇ!」
ゆらりと間隙を駆けた武器商人が横合いより、激しくレオンと競り合っていたナルキスに仕掛けを見せる――
「『遅かったな』」
「それ程でも」
レオンと武器商人は惚けた互いのやり取りを交わしたが――
「見つけた、まま。ぱぱ。ふたりとも、無事で良かった。
まま。もう、離れない。共にいる。何が相手だろうと必ず、ままを守る」
――エクスマリアの淡々とした口調に水気が混ざったのは恐らく気のせいでは無かったのなら。
「悪かったよ」
「……ぱぱ。ぱぱから教わった技で、一緒に戦える。一人でも練習したんだ、見ていてくれ」
「悪かったってば」
轡を並べて敵に相対せんとする娘(エクスマリア)に悪びれる位の余地はあったのか、彼女を狙うナルキスの一撃を青い剣戟が跳ね上げた。
「ドラマ! 華蓮! ようやったのじゃ! これでユリーカに申し訳が立つというもの!」
抜刀した夢心地の斬撃がこれまでよりも鋭さを増して輝いた。
幻惑する技量に舌を打ったナルキスがその場を僅かに飛び退がる。
第二戦域でレオン達を攻め立てていたナルキス部隊に続け様に喰らい付くのは彼等だけではない。
「アンタの旋律、相変わらず『分かり易い』のよ」
リアが傷付き疲れながらも生きているドラマに聞かせたかった憎まれ口を叩いている。
「まったくドラマさんも無茶をしてくれたものだわ!
……善と悪を敷く天鍵の女王として、盟約を違えるような事は絶対にないのだけど。だけど!」
「恋する乙女同盟、推参なり! まあ、今度は間に合ったと言うか……終わりよければ全て良し、という事で!」
「リアさん! レジーナさん!! それに、ルル家さんも!? ルル家さんが!?」
「……何か今、僅かな他意があったような気がするのですが!?」
レジーナにルル家、些か胡乱な話ながら半ば遊び半分に作った【乙女同盟】がこの難局に駆け付けている。
見知った顔を見た事はドラマの動きが更にキレを増している。
「――こんな時程、同志の存在が心強いコトはありませんね!」
気合の声と共に閃いたドラマの一撃に敵の影が散る。
夢見がちな戦術家が肯定する気力というものは中々どうして馬鹿に出来ない。
「……おいおい、現金なお嬢ちゃんよ。さっきより随分いい動きじゃねえか」
レオンと出会った事で一段、【乙女同盟】に合流した事でもう一段。
「ナルキスッ!! 高みの見物を決め込んでいるかと思えば、狡猾な奴!
万全なら面白かった? なら最初から出張ってくれば良かったでしょうに!
ヘラヘラとしたその姿勢、ずっと気に食わなかったのですよ!」
「……こっちが素かよ。さっきの悲壮感のが随分と可愛げがあったんだがなあ!」
『有為と呼べ得るその変化は相対するナルキスに呆れ半分、感心半分の声さえ上げさせていた』。
「ひょっとして俺、最悪の貧乏籤引いてるか?」
「中々勘が宜しいのです」
「――――チッ!?」
げんなりした口調でそう言ったナルキスにヘイゼルの術式が襲い掛かった。
「少々御待たせして申し訳ありませんでした。
その代わりにキスシーンをする間くらいは――止めておいてあげるのですよ」
「ヘイゼルさん!?」
ナルキスを挑発めいたヘイゼルが技術戦を仕掛けている。
「おらあああ! このクソギルマス! てめぇが居なくてこっちは大変だったんだぞ!」
憤慨するリアはさて置いて。
キスシーンと言われても……コホンと咳払いをしたドラマはどうしても緩む表情を力一杯引き締めた。
「……おかえり、レオン君。でも許してあげるかどうかはこの後次第です。
レオン君は『世界で一番の王子様』ですよね……?」
「ははぁん、いつになくやる気な感じじゃないですかレオン殿!
せめて今日一日はその調子でお願いしますよ!」
「ふふ。恋する乙女は世界だって救うのよ。
すっかり目が覚めたみたいな顔をして……この感じなら助け何ていらなかったかしら?」
『お姫様抱っこ』なんて何時までも許さないお転婆なお姫様(ドラマ)と冗句めいたルル家、レジーナの言葉に「期待しとけよ」とレオンが笑う。
「ええ。負けないのだわ。好きな人と……レオンさんと一緒で……
愛する愛娘も、大切なパートナーも、憧れの人が率いる仲間達も来てくれてる!
カッコ悪い所なんて見せられないのだわ! 久しぶりに見せる姿は、凛々しくありたいもの!」
息を切らせて飛んできたココロと、「勝つぞ。あと許された?」と背中をポンと叩いたレオンに華蓮の笑顔が弾けた。
「ええ、ええ! 運命の一手を引き寄せるまで、私達は運命の輪を回し続けるのだわ!
許すかどうかは……後で改めて考えるのだわ!!!」
「レオンも、これで少しは懲りたか……などと聞く意味は無さそうだな。
いやはや、その様子を見る限りでは……」
半ば呆れたように汰磨羈が苦笑した。
「三人共無事で何よりです。絶対に大丈夫だと信じてましたよ!」
「みんな生きて、ぜったい勝つ!」
ルーキスの、秋奈の言葉は総じれば大半の者の代弁になっただろう。
「二人を送り出した選択が正しかったのか、間違っていたのか。
ずっとわからなかった。でも、これが答えなら……そんなの私だって絶好調になっちゃうでしょ!」
シキの言葉は成る程、状況に相違ない。
「ここからは……皆で生き延びて勝たないと、だね! ここが正念場だ! 誰も倒れさせないよ!」
強く気を吐いたヨゾラの賦活の力に背を押され、影の城を目指す刃の一振りとして『寄り道』をした攻撃部隊はドラマ、華蓮、レオンの三人を足し、これまでのお返しとばかりに不意を突いた敵軍相手に大立ち回りを見せ始める。
「ローレットにレオンを連れて帰るまでが最終決戦じゃからな。努々忘れるでないぞ!」
「俺はお姫様じゃねえよ」
奮戦する夢心地の言葉に減らず口を叩く余裕も出てきたレオンが前蹴りからの一閃で魔種の一体を斬り倒す。
「必ず、やり切る!
今回めっちゃ『サービス』しちゃうからさ?
お前達を踏み越えて、滅びを、超えてやんよ!」
秋奈は吠える。
歌姫の歌を、漢の聖職者の咆哮を、ゆるふわ少女の笑顔を、全て無かった事にしたくはないから!
「さて、ここでお節介焼きのエントリーだ。邪魔させて貰うぞ、ナルキスとやら!」
平素の着物姿が黒を基調とした薄手の魔性にその姿を変えている。
更なる力を見せつけた汰磨羈がこの期に及んで余力を残すナルキスに新たに挑み、
「罪な男だね、まったく。
さぁて、いざ本丸目指して前線で暴れ倒してやろうじゃないか!」
呆れと感心を半分に。そしてそれ以上に戦う者の獰猛さを見せつけたクロバが続け様に猛攻を繰り出した。
元やり合っていたレオンはやや距離を取ったが、技巧派のヘイゼルに汰磨羈、鋭利なるクロバまでもを加えれば流石のナルキスにも苦味が浮かぶ。
「蒼剣さんよ、俺とのダンスにあんまり無作法じゃないかい?」
「男と踊る趣味はねえよ」
皮肉に皮肉を重ねた応酬が鉄火場に火花を散らすも。
そのやり取りは更なる一人にとって笑い飛ばされる事になる――
「――だめだめ、ナルキスさん。これ以上は横恋慕だよ。レオンさんは後がつかえてるの」
獰猛なる虎(ソア)は舌なめずりをするようにそう言った。
「待ちわびたディナーの心地だよ。ボクはこの為に、貴方の為に来たんだよ。
――だからボクにしようよ? ボクが、今日はきっと貴方を殺してあげるから!」
かの鉄帝国リッテラム以来邂逅した二人はこれが初対面ではない。
『無尽虎爪』のその名前はかつてナルキスがソアに宛てた『ラブレター』のようなものだった。
「成る程」
汰磨羈の技をすんでで外し、クロバの猛攻を弾いたナルキスは薄く笑う。
「蒼剣さんに乗るのは癪だが、一点だけ同意しておいてやるか。
確かにどうせ踊るなら『俺が本命』、美人の方が具合がいい――」
※影の領域の戦闘でパンドラが32568消費されました。
成否
失敗
状態異常
第2章 第4節
●歪
「――ココロちゃん!」
「はいっ!」
ココロに向いた敵の注意を彼女をカバーしたトールが受け止めた。
「どれだけか細い道でも必ず繋げてみせる――いや、確かに道は繋がったんだ。
だから……この道を途切れさせる訳にはいかない。僕を信じて着いてきて!」
「えっ、と……は、はい……!」
彼にしては随分勇壮なその言葉にココロが幾分かまごついた。
……第二戦域の戦いはトールやココロ等の奮戦もあり、その目的をほぼ達成していた。
本隊より飛び出したイレギュラーズ部隊――つまり精鋭は『先行』していたギルドマスターレオン達一行と合流に成功し、影の領域で一軍を率いるナルキスとの戦いに突入している。
状況はまだ予断を許すものではないが、少数精鋭の遊撃たる彼等を動き出す前に食い止めた意味は小さくないだろう。
一方で、総体としての状況は決して芳しいものであるとまでは言い切れなかった。
局面は既に二つ以上に分かれている。本隊、第二戦域、そして影の城を目指す道――
「明日を生きる為に俺は歌う! 響き渡れ、影の城まで届くほどに――!」
多くの仲間を先へ行かせる為に、声も枯れよと全力を絞り出した弾正の歌唱が力ある音として友軍の背を押した。
「皆、頑張って……僕も全力で癒すから……!」
一歩もここを譲らない祝音の声が傷付いた仲間を癒し励ました。
敵軍の猛攻が黒い津波のように襲い来れば――
「守り抜け! 攻撃隊が機能せねばどの道持たんッ!」
最前線を一歩も動かないレオパルの怒号が響く。
彼の激励も虚しく黒い波を食い止める聖騎士達の白い防壁は亀裂と綻びを見せつつあったが、
「ぶはははッ、レオパルの旦那! 聖盾とオークの助力は必要かい!?」
ここが出番、これが手当と前に出たゴリョウの存在感が踏み留まらせる。
「助かる! 見よ、聖なる盾の輝きが無明の闇を押し止めるぞ!」
「騎士の矜持を見せよ! 黄金双竜の名を汚すな!」
レオパルの声に今度こそ「応!」と答えた聖騎士達の奮戦を、アベルトの指揮を受けた幻想の部隊が援護した。
「フェリクス様、お義兄様! 御身は私が」
自ずと危険に晒されたアベルトと副将フェリクスを狙う敵をリースリットの鋭い一撃が縫い止めた。
「君もくれぐれも無理をしないでくれ」
「……任せる。信頼しているぞ」
「はい」と頷いたリースリットの表情に一瞬だけ温かなものが浮かび、すぐに冷徹を取り戻した彼女は新たな敵を穿ち抜く。
(余計に負けられない理由が出来ましたね……)
思えばあれ程やり合った兄弟だというのに随分と上手く連携しているものだと思う。
予想以上に踏みとどまっている幻想の戦力を支えるものはフォルデルマンも口にした誇りなのかも知れない。
失って久しかった、錆び付いて久しかったレガド・イルシオンの未来を見た気になれば、王党派の娘としてはいよいよここを譲れない。
(第一、私はまだ新婚なのです――)
さもありなん。
「若様は任せた。イヴェット!」
「はい、ザーズウォルカ様!」
ザーズウォルカがフィッツバルディの跡取りの身を他人に任せる事自体がその信頼の深さを物語る。
リースリットの護衛を受け、黄金騎士ザーズウォルカと本望本懐のままに剣を振るう銀のイヴェットが敵を押し返す動きの良い連携を展開している。
無論彼等のみならずその他のイレギュラーズも戦場に赫々たる成果を見せつけ続けていた。
「諦めなければまた立ち上がることができる。前を見れば光が見える。
貴方はどちらを選ぶ? 選びたい? 下を向いてここを諦めることか。それともこの先の世界を手に入れることか――
奮い立て! 終焉を乗り越え、『私達の未来を切り開く為』に!!!」
天翔ける双魂の翼(アルテミア・フィルティス)は伝説にある戦乙女(ワルキューレ)の如く兵達の前を行く。
「きついですがまだまだ負ける気はしませんね!」
「敵は強大、戦力は劣勢。
――いいわね、却って燃えてくる。
史書に名高きトイトブルクに比べれば、この程度なんて事はないでしょう」
「ええ、どんどん行きましょう!」
鏡禍とルチアの【鏡花】『夫妻』も気を吐いている。
「そういうこと。退いたら負けなんだから――退くことなんてこと自体有り得ないわ」
オデットの放った魔力の軌跡はそんな二人の言葉を実現するかのように敵陣を強かに叩いていた。
「我が美しく愛しきヒト、レイリー・シュタイン! 照らすは燦々光輝なるSpotlightと!」
「ええ! 騎兵隊一番槍はここにいるわ! さぁ、いくらでもかかっていきなさい!」
朗々と芝居がかったとも言える賛歌を携える幸潮とレイリーも、
「レオンさん達が無事なら尚更……
さて、いよいよここからが踏ん張りどころだ。みんなの邪魔はさせないよ、絶対に」
「ここに立っている以上、我々も精鋭という事ですからね」
(敵軍の波を読んで――少しでも大きく、少しでも長くこの場を押し返す!)
雲雀の動きを呼び水に連鎖する連携を見せた瑠璃、更にはフォルトゥナリア等、【騎兵隊(分隊)】も敵を食い止め跳ね返し、時には攻め返して騎兵隊なる矜持を見せつけている。
だが、それでも状況は……
「最高の気分! 力と快感が無限に押し寄せてくる!
後はもう本能のままに暴れるだけ――相手に困らないのって最高じゃない!?」
「精鋭が死地に向かうのをワクワクしながら見送るのもその他大勢の仕事だな」
『ハイ』になったリカにサディスティックかつマゾヒスティックでもある恍惚の笑みを浮かべさせ、鈴音にそう嘯かせるようなものであった。
確かに原罪(イノリ)と黒聖女(マリアベル)の両者を相手取る攻略隊に敵軍勢が加われば悪夢を越えた別種の何者かであるには違いない。
それは鈴音の言う所の『死地』であるに違いないだろう。
だが、翻って残った鈴音達の踏むこの局面はどうであろうか?
(これ程までの乱戦ともなると、もはや役割を切り分けて行動するのも難しいか……
特に前線が安定しないのは危険だ。ここは何とか食い止めねば……!)
「押し潰しちまえ! 舐められた結果だぜ。後悔しな!」
「冷静に面で圧せば人間共も決壊しよう」
サングラス越しにゲオルグの鋭い目が見据えた魔種ラーングーヴァ、フロスベクトの評価の通りである。
(魔種を牽制しつつ、此方の消耗は抑え敵の数を減らす。
挙句にこっち側の戦力は減ってると来た。言うは易しだが、無茶苦茶だ。これは如何したもんかな?)
実際の話、二つの魔種に愛無の見立ては全くの正解であった。
第二戦域での戦いは敵軍勢にぶち当たる本隊の戦力を引き抜いてこそ達成されている。
『言い換えれば彼等が活躍し、前に進むだけ本隊の激突は強烈な不利を抱えざるを得ない』。
「チッ……数が多い……!
立ちなさい、我々が倒れ伏せば好機すら掴めない。
気合入れなさい。ここが踏ん張りどころですよ」
舌を打ちながらも周りを広く良く見ている。
友軍のフォローに余念がない愛奈だが、支援役のその身も乱戦に巻き込まれずにはいられていない。
「お姉さん、前に出るわよ!
いや、私って遠距離に作用できるの何も持ってないじゃない――
これなら後方支援より積極的に前に出た方がいいかしら、先に行く人たちの穴埋めもしないとだしね!!!」
深く考えるだに憂鬱な話になろうが、献身的とも言える星華の動きこそ状況の難しさを物語っていた。
「敵も味方も混成軍だけど一丸って感じでそれはそれでいいじゃない! さぁ、アゲてくわよ~~!」
言葉も気合も状況に呑まれたものではなかったが……それは単純に星華が『強い』からに他ならない。
乾坤一擲の力を携えた人類軍は強烈だが、それはまさに神託成就にリーチをかけた迎撃側、魔種陣営も同じである。士気や連携能力こそ人類軍が上回っているものの、物量を見れば苦戦は避けられぬ戦場は戦力分割を前により厳しさを増していた。
第二戦域を取る精鋭、更には『影の城』を目指す精鋭――ローレットという中核戦力の半数を失った本隊の戦いはこれからが本番なのは否めない。
『何せ愛無の考えた通りこの戦いは延々と続くのだ』。
先に進ませた部隊が目的を達成するまで邪魔になる敵軍本隊を引き付けておけねば勝ちは全く有り得ない。
そんな事は分かっている。挙げられた勝利の為の条件がどれもこれも考えるだに不可能である事も分かっている――
「俺は人を護る者として、力を高めてきた……そして人を愛する創造神の一柱と、自己を認識した。
この世界は俺を育ててくれた故郷にも等しい。それをみすみす、滅ぼされてたまるか……!」
――だが、アルムはそれを受け入れられる程、物分かりが良くはない。
この母なる混沌は旅人の彼にも一分の揺らぎも無く前を向かせるだけの深い愛を抱いていた。
「生きて帰るんだ、皆で!」
「ああ、絶望したら、この戦いは負けだ。
戻ってきたらギルマスも一発揶揄してやらにゃならないしな――
やられるばっかりじゃ無いぞ、人間は!」
アルムの降らせた黄金色の恩寵、ヤツェクの『奏でた』無限即興曲に応えるように、
「うぬぼれと言われるかもしれませんが、僕ほど長く戦えるイレギュラーズもそう多くは居ませんから。
こういう時こそ、頑張りたいものです。当然、まだまだ――いや、まだまだまだまだいけますよ」
「何処にも通さない……! 宇宙保安官の名にかけて、押し留める!
いくらでも来い魔種共。最強の竜にも折れぬ男が……ここを守り切るぞ!」
堪えぬベークと勇壮なるムサシが敵の波を押し返した。
頭抜けた継戦能力を得手とする「まだまだ」なベークは兎も角、事実として数と継戦能力の差はあちこちで人類軍の前線を押し込みつつある。
だが一方で状況の評価は『予想以上の奮闘をしている』と評した方がフェアであろう。
元よりゼロコンマを叩いていたような『勝利への道筋』はか細いながらに途切れたとは言い難い。
無論、影の領域での戦闘にパンドラの加護があるからという点は事実である。
空中神殿から援護するざんげが少なからずその力を振るい『不足』を埋め始めたという事実はある。
その見えぬ援護がなかったならば既に大きな犠牲が出ていた可能性は否めない。
だが、それを加味してもかの原罪さえも苦笑いを禁じ得ない程に――イレギュラーズは今日も特異点のままだった。
「たとえ辛くても元気に生意気にハッタリをかまして、ってな!
俺が一秒でも耐えれば仲間がうまいことやってくれるに決まってる! ローレット舐めんなよ!!!」
啖呵を切ったカイトが持ち前の動きの冴えで敵の攻撃を纏めて引き付け全弾避ける。
攻撃に前がかりになったそれらを、
「すまないが、暫くは足止めさせてもらうぜ?」
ビリヤードの球を突くようにアルヴィの一撃が弾き飛ばした。
「頼むぜ、次ッ!」
言わずもがなか、それとも折良く彼の声に応じてか――
『乱れた』敵陣を『ここ』と見た【夜守】の三人が攻め立てる。
「そうね、ここを守り抜かないとマリエッタちゃんもみんなも前に進めないものね!」
見目に似合わぬ死棘を邪道に振るったメリーノが命ならぬ命を穿ち貫く。
「……星の呼び声は高らかに。貴女達を護る星彩になる。
マリエッタ様が行く道を夜守の可愛らしい魔女さんが紡ぐのであれば……
私達は魔女さんのお手伝いをしたいところですよね、メリーノ様。
何れにせよ、北辰の加護がある限り道は見失わせません」
破軍星彩・火球七曜星――流星なる火焔が敵を焦がし、妙見子に言葉にメリーノは「そうよぉ!」と大笑した。
「ちょっと……!?」
「ふふふ! だめよ、セレナちゃん。そんな顔しても可愛いだけだわぁ!」
大切な人(マリエッタ)を先へと送り出したセレナは思わぬ揶揄をした【夜守】の仲間に何とも言えない顔をした。
咳払いをした彼女は負けじと声を張り、魔女の一撃を叩き込む。
「――わたしはセレナ、夜守の魔女! ここから先は通行止めよ!」
セレナは思う。思うと言うより……願う。
(きっと見てるんでしょ、この戦いも。
特大の借りがある身で言えた事じゃないけど、敢えて言うわ
『このまま見てるだけでいいの、鴉殿?』)
悪辣な鴉は大切なマリエッタのお気に入りで、セレナの天敵だ。
(……私はやっぱり、彼を嫌いではありません。
そして、彼の力を。その一端ですら強大なソレを、一度は破ったからこそ、知っています。
代わりに何を求められても構いません。敵わなければ、失くなってしまうんですから。
貴方も願わくば、この世界を失ってしまう前に――)
セレナもグリーフもその『特別』を求めずにはいられていない。
だが、無慈悲に冷淡に。何を求めても、叶わずとも戦い自体は続いている。
「うんうん、ここは行き止まりだわぁ。見える敵は倒しましょう。
倒せない奴は止めて貰いましょう。大丈夫よ、『強い盾』もいることだし!」
「有象無象! 破滅を望むとして!
何故に、私の言の葉を甘受せず、蠢動するのか?
――何度でも謂うのだよ。確信しているのだ。私こそが魔王の座で在るべきだと!」
言葉と同様に実に身を軽やかに翻したメリーノに代わり、狂ったような哄笑を上げたロジャーズが猛然たる敵の反撃の悉くを『吸い込んだ』。
見ての通りと言うべきか――実に妙味ある、見事なる連携を見せている。
普通ならば数度は瓦解してもおかしくない状況にも、人類軍は未だ何ら統制の取れた動きを失っていないのだ。それは無論守りを受け持つ部隊、支援をする部隊、更にはザーバに率いられ無理無茶を承知で前に出続ける攻撃部隊、三位一体の最良を束ねての結果である事は言うまでも無い。
そしてその『最良』は第二戦域に移動した部隊も、先んじて影の城を目指した部隊も同じである。
彼等の為すべきは残した者を慮る事では有り得ない。
彼等は大切な仲間を死地に捨て置く事さえ是認して決して後ろを振り返らない。
この混沌の、或いは混沌の迎える最終章が神託の成就等というバッドエンドにならない事を疑っていない。
持ち場を任せた仲間達が己の役割を果たし切らない事を疑っていないのだ。
可能性の獣がその爪牙を失わない理由等、恐らくそれだけで十分なのだろう――
「それにしても……うちの、引きこもりの神様は一体何をしてるのかしら?
奇跡の一つでも二つでもダース単位でも持ってきたら――思いっきりちゅーの一つもしてあげるのに!」
――だから御免だ、と塔の神が言ったかどうかは知れないが。
『機械仕掛けの神は一体混沌の何処に在る。何を視る?』。
(……ホントに、来てくれたらいいのに)
……実を言えば堪えなく見えるメリーノの言葉は半分位は本音だった。
それが愛や恋かは知れないが。
「シュペルちゃんの顔、見たいなあ――」
――こうして臨む生きる死ぬの現場なら『好きな人』の顔位見たいのは乙女心に違いない。
※影の領域の戦闘でパンドラ40354が消費されました。
成否
失敗
状態異常
第2章 第5節
●振り返らずに
(――ディルクのアニキ、ドラマの姐さんと華蓮は任せます!)
黒き烈風のように片手で大剣を振るうルカは祈るように――そう信じずにはいられなかった。
(……イノリ、いや。ざんげ……待ってろよ)
何時もより大きな力を纏うルカはどうしてか他の誰よりもすぐ隣に寄り添うかのような彼女の気配を感じていた。
それはもしかしたら気のせいであるのかも知れない。
酷い戦場に見たルカの妄想と言われてもそれは仕方のない事なのかも知れない。
だが――
(お前は今も見ているんだろうな)
――あの空中神殿から、俯瞰してこの戦いを。そう思う。
彼女が見ているとするのなら、彼女も戦っているとするのなら。
少なくともルカは無様な姿を見せられない。『好きな女に見せたくないものを見せないのは男の意地だ』。
「――これからが本番だ! だから、押し通らせて貰うぜ!」
何かを捨てなければ何かを得る事が出来ないという絶対的な真理は、こんな戦いにこそ良く似合う。
本隊が激戦を繰り広げる第一戦域、そしてドラマ、華蓮、レオンの三人の救援を果たした第二戦域。
二者の戦いは形を変えたとは言え、敵の大軍、主力とぶつかり合う抑え役――もっと言えば潰れ役である。
翻って影の城を一直線に目指した彼等精鋭部隊は『ギリギリの戦場における遊兵』であった。
彼等が成し遂げない限りは何事にも届かないのは事実だが、成し遂げるまではまるで状況の役には立たない――もっと言えば、敵わぬ大軍に身を晒し、絶望的な状況を凌ぎ続けるのと、この寡兵で七罪を大きく上回る最強の魔種に挑むのは大差無かろうと言うものではあるのだが。
「私はイノリに用があるんだ。
ざんげくんにも結婚式参列してもらうからね。お兄さんに許可取ってついでにぶっ飛ばしとかないとだからね!」
「華蓮さんやドラマさんだって恋する乙女!
ワタシだって恋する乙女! こんな鉄火場だけど愛を叫ぶの! それが力になるんだから!
アトさんと結婚するまで滅びとかいらないの! ううん、結婚してもいらないの!!!」
茄子子やフラーゴラが何処まで本気で言っているかはさて置いて――恐らく茄子子やフラーゴラの事だから十割本気なのだが――二十三人からなるイレギュラーズの先行隊の狙いは早々と影の城に侵入し、まさに今この瞬間にも魔王座を顕現せんとする原罪(イノリ)と黒聖女(マリアベル)を撃滅せしめるものである。
「皆がボク達を援護してくれている。なら信頼に応えないとね。
影の城へ辿り着き、ボスを倒して世界の崩壊を防いでみせる!」
気負いというものを知らないセララの宣言は凛然と鮮烈なる――まさに【穿光】の様相を見せていた。
「滅びを止める為にも先に進まないとね!
皆の信頼には結果で返すしかない!
頑張っていこー! 目指せ! 真っ直ぐ影の城だー!」
同様にメンタルが揺らぐ事がないスティアの存在は先を急がねばならない周りの人間の気持ちを幾分か楽にしたに違いないだろう。
「サクラちゃん! お兄様来て良かったね!」
「……うん、まぁ、これが上手くいったら許してあげなくもないかなって」
親友(スティア)はこれで気が利く所もある。双竜宝冠の事件の時にも兄(フウガ)と通じていた辺り、今回の最高のタイミングの参戦も『もしかしたら』無関係ではないのかも知れないとふと思った。
「フォロー頼むね! 注意はこっちが引き付ける! 敵の不意を突くのは得意でしょ!?」
応答は直接返らなかったが、そこは兄妹。「了解」の気配を受け取ったサクラは前だけを向いて吶喊し続けている。
「相も変わらずの猪ぶり。まあ、心地良くもあるがなあ――」
「――センセーはマリアベルにお礼参り?」
「ま、そんな所じゃ。それに知らぬ所で勝手に世界に滅ばれても具合が悪い。
せめても魔王座(さいきょう)がおるのなら、一目見ねば死に切れもせんわ!」
サクラを狙った敵影をフウガが穿ち、梅泉が斬り捨てた。
「……うぎぎ!」
「どうどう」
歯ぎしりをしたたてはを雪之丞が宥め、相変わらずのその様に時雨が呆れ顔を見せている。
「道を切り拓く事を優先して!」
セララの言葉は実に正しい。
一同の役割は殲滅ではなく突破なのだから。
「突っ込むぞ、もう帰り道なんて知るかよ!」
「ああ! 気合いの入ったメンツじゃねえか、腑抜けなんている訳もねぇ!
上等、ケツ蹴る必要がねえなんて最高だ。あの偉そうにそびえ立ってる城を崩すにはピッタリだろ!?」
「特攻、背水の陣。上等ね。頼もしすぎる仲間がいるなら十分。
次に混沌に戻るのは終焉を止めた時。さあ、伝説を作りにいきましょうか――」
シラスの言葉に応えるように貴道にアンナがその速力をぐんと増した。
「いよいよ大詰めってところだね!
ここまで来て、躊躇うことなんてない!
どんな相手だろうと、世界を救って、みんなで無事に帰るまでだからね!」
無理な強行を取る仲間達をアレクシアの祈子の涙花――そっと差し出した祈りの花が確かに支えている。
(この先は何があるか分からない……!)
スティアと連携を取りながら、アレクシアには油断が無い。月灯の夜花に高められた奇跡の力が彼等の傷を確かに癒していた。
「何だってやってみせるぜ! 空だって割ってやるからな!」
充実した気力は疲労消耗さえも上回ろう。
絶好調のシラスの言はあながち冗談とも言い切れず、【穿光】の輝きは衰える事無くその存在感を増すばかりである――
「此処から先は短期決戦。何と戦い、何を守るか、選び取らなければならないということですのね?
行きましょうマリィ。少しでも早く、決着を付けるために……」
「うん! 行こう! ヴァリューシャ!」
「……でも。私、結局、鉄帝国と同じことをしていますのよね」
――とは言え、応じたマリアにやや物憂げに言ったヴァレーリヤの口元に何とも言えない苦笑いが浮いていた。
格好だけとはいえ、死地に味方を残して進んで「仕方ない」で済むのなら、最初から苦労はないというものだ。
(あんな戦いをして、再生までされたら――そう遠くないうちに皆がすり潰されちゃう!
元々時間をかけられる戦いでもないんだ、兎に角早く影の城を攻略しないと……!)
焔の危惧は不幸な事に『絶対に』杞憂には終わるまい。
繰り返すがこの部隊は目的を果たすその時までは『遊兵』でしかないのだ。
(後はただ、進むだけ。仲間の屍を超えてでも。でも……一人だからこう思ってしまうのかも知れませんね。
『邪悪』な強がりも……これで結構大変なんですよ……?)
そう揶揄される特異運命座標等自分やあの鴉位のものだろう。
後ろに残したのがセレナ達だからなのかも知れない。
(……らしくない)
マリエッタは自分らしからぬ思考に思わず苦笑いを禁じ得ない。
この部隊は支えるべき仲間を持たない。少なくとも影の城に突入成功するまでは最前線程の危険も無い。
『最精鋭を集めているに違いないのに、仲間の為に直接的に、今すぐに出来る事がここにはない』!
「君はきっと辛いよね……! 確かに私達は今鉄帝国と同じことをしている。
けれどね! 私達と鉄帝国は同じじゃない。似ているようで――違うんだ。
私達は、最大の違いは、守る為に選んでいるところさ!
弱肉強食じゃない! 力なき者を!一人でも多くの人を守る為に――命を賭けて選び取るんだ!」
マリアの言葉を受けたヴァレーリヤも分かっていて、その霧をすぐに振り払う。
「ええ、もう! 貴方達に構っている暇なんて無いんですのよ!」
影の城までの道のりを進む一団は薄い敵兵力を突き破る一つの塊に違いない。
彼女等が『仲間を捨て残す事を選んだ』結果、自身等を阻む抵抗力は他に比べれば些細なものである。
これは世界を救うという馬鹿馬鹿しい位に大きな事業の取捨選択に他ならない。
(任せて先に進めと言い続けるには老いぼれが過ぎるってもんだ。
レオンが無事だと分かったなら先陣切るのも老兵の務めだろ? 謂わばコイツも形を変えた『死に役』だぜ?)
目前の敵を前のめりに倒したバクルドはそう考える。
大いなる役割分担に他ならない。混沌で混乱に立ち向かう者も居る。
戦う術なくとも生き残ろうとする者も居る――その中でここに居る人間は影の城を受け持つ事になったに過ぎないのだ。
「ここまで来たのに影の城に辿り着かないなんて――そんな勿体ないことするわけないだろう?」
シニカルに笑ったラダのデザート・ファニングZRが精密危険な銃声で前を阻みかかった複数の敵を制圧した。
「倒れたら背負ってでも連れて行くぞ。どんな状態であっても戦って貰わない事には困るからな」
砂漠の獣の冗談は何とも上手く出来ている――
「てめぇ一人で盤上をひっくりかえせるたぁ思わねぇ。
だが、足並み揃えてちんたら向かって間に合う程度の見た目じゃねぇだろ?
かませ上等。圧かけて。黒聖女様だかの目んたまひんむいてやろうぜ――」
「――ああ! あの黒尼に一泡吹かせんと気が済まんのでな!」
ルナの言葉にバクルドもまた笑う。
獰猛でありながら何とも清々しく覚悟を決めた顔であった。
猛然と進む地上部隊の一方で、空を滑るように飛ぶブランシュが上げた一声が仲間達を勇気付ける事になる。
「もう少しなのですよ! 此処は一気に抜けられる――」
果たして、空よりやや地上に先行するブランシュの視線の先には随分と近くなった影の城の威圧感が映っていた。
天然の要害の如く細まった道の先、焦がれる時間の先に彼等が求める目的地が鎮座している。
「邪魔するなあ――」
ジェックの良く見える目は密度を上げた敵軍の壁を捉えている。
「ここまで来て足止めなんて冗談じゃない。
遅滞戦術が得意技なのかも知れないけど、弾丸を送り出すのもアタシ達の得手だ。
奥へ奥へと突き進まなきゃ――『仕事を果たした』にはならないからね!」
死神はスコープを覗き、運命に響く一打を放つ。
「これでも誰かに託されるだけの研鑽は積んできたつもりだ。
……この先を切り開く必要があるのなら、喜んでその為の刃となろう」
例え、死んでも果てても。
ヴェルグリーズは後ろを振り返らない。この場を託した皆を信じているから。
「この先に待つ滅びを打倒する為に少しでも早く辿り着かなければ――『剣』が振られる理由なんてシンプルすぎるくらいでちょうどいい!」
嘶く銃声を背に敵軍にヴェルグリーズという一振りの刃が斬り込んだ。
「さあ、突破するぞ! 目的、最優先事項は顕現阻止だ!」
プリンの巨体が押し寄せる敵の数をものともせず、物理的な壁になって跳ね返そうとしている。
「すずな!」
時雨が声を張ればすずなは頷く。
「剣に生き、剣に死ぬ。相応しき場に至る前に世界がなくなってしまうのは困りますからね。
――往きましょう、あの魔城へ。邪魔するならば、斬って捨てるまで……!」
「中々言うやないの、犬娘」
最前線に飛び出したたてはがすずなに笑う。
「まさか日和見はしないと思っていましたよ。遅刻だったみたいですけど」と『やり返した』すずなに梅泉が笑う。
「随分といい目をするようになったではないか?」
「まったくね」
同意した小夜も幽玄と微笑みを浮かべ、梅泉と一瞬だけ視線を交わす。
「……主とも随分久し振りよな」
「そうね」
「酔狂よなあ、お互いに」
「ええ。だって、ここまで来ておいて行くところまでいかないなんて勿体ないじゃない」
妖しく危険な妖刀二振りのやり取りにたてはが何かを言いかけ、すずなはそんな彼女に笑みを零した。
影の城は間近。アレに取り付き、突破して――その先に。
この物語はきっと素晴らしいエンディングを迎えるのだ!
※影の領域の戦闘でパンドラ12354が消費されました。
成否
失敗
状態異常
相談掲示板
僕が望む皆に、幸運と奇跡がある事を願って。
【3】で俺も切り札を切らせてもらうぜ!
全部終われば腹はち切れるまで美味い飯食わせてやるから楽しみにしとけぇ!
存外にナルキスの人数が少ないみたいね。
ってことで私はそっちの助太刀に行くわ。フォローに回りますから、決着は任せるわよ。
ここまで来たら滅びも、ハッピーエンドも超えて、完全無欠な結末を目指しちゃおう!
【1】ラスト・ウォー 31人
ロジャーズ、星華、ルナール、ルーキス、ヤツェク、ベルナルド、騎兵隊17人、武蔵、錬、愛無、メイメイ、モカ、零、妙見子、メリーノ、
【2】ジェネラル・ナルキス 8人
ソア、オリーブ、胡桃、フラーゴラ、トール、ジョシュア、夢心地、風牙
【3】キング&クイーン 27人
ヨゾラ、リカ、ドラマ、シラス、フリークライ、祝音、ロド、マリエッタ
【運命砕】
ルカ、新田、クロバ、セララ、スティア、飛呂、ヨゾラ、シキ、リュコス、汰磨羈、サクラ、ムスティスラーフ、ルーキス
【想奏】
ルル家、リア、メイ、アレクシア、牡丹、リュティス
イレギュラーズの先輩にせっかく生かして貰っちゃったんだもの
可能性の力、見せつけてやろうじゃない
ふふ、私の剣がこっちに行きたいわぁ~!と言って聞かないので…
他タグの方も応援しておりますね!
なぜかパス付いているけど気にしないでNUDしてください!
みんなよろしくね!
牡丹殿、祝音殿、リュティス殿、ご協力ありがとうございます!
フリック殿ももしご一緒するようであればよろしくお願いします!
タグの相談場所は↓になりますので、よろしくお願いします!
https://rev1.reversion.jp/room/chat/23922
PASS:NUD
けど、流石にそっちに行くには難しい、ただでさえ何処も危なくって、どうしたって命懸けな戦場だしよ。
だからまぁ、俺の想いの分は全部奥行くやつらに勝手に託す。
……命賭けてもいいからさ、死ぬなよ、全力で祈ってる。
勿論、他の戦場も同じ戦場の奴らも含めて。
…まぁつい前置きしちまったが、俺は【1】で戦う。
他の皆が生きて帰ってくるなら、その戦場をどうにかするぐらいはして置かねぇとよ。……
ナルキスへ向かう人たちも、影の城へ行く人たちも、もちろん、【1】へ向かう仲間達にも、武運を祈ってるわよ!混沌に棲む全員で勝ちましょう
僕は【3】で回復担当予定。
ヨゾラさんから禁書2つ借りてきたから、可能なら【想奏】をテスタメントで支援できればと。
僕自身も非戦やPPPで何かするかも、です。みゃ。
ここがオレの、混沌での最後の戦場と思って! すべてを出し切る!
戦いが終わったら、つづりを練達に呼んで焼肉パーティーだ!
ン。フリック 携行品切札有。(EXA+100)
カナリ回復デキル思ウ。
最前線 支エル予定。
只 【想奏】支援案モアルカラ 組ミ込ンデオク予定。
(そっちメインにするには回復力惜しいのであくまでも上手くいけばいいな、くらいのサブプランだけど)
武運 祈ル。
よう。オレも混ぜてもらっていいかい?
ハイテレパスを拡張するって聞いてな。
非戦なら誰よりも使い込んだ自負があるしよ。
二時間泥棒での自己強化に加えて、てめえらのハイテレパスにテスタメントぶち込んでやるよ。
後まあ魔種が世界の敵にならないで良い世界っつうのはかーさんも喜びそうだしよ。
この世界のルールを変える力になりたい。
わたしは【1】に向かいます。
ルカさま達の目指す未来、想い…わたしも、こちらから、応援させていただきます。
寛治、クロバ、セララ、スティア、飛呂 、ヨゾラ、シキ、参加ありがとうな。
頼りにしてるぜ。
【運命砕】の相談所(想いを託すやつとは別)のスレッドも作ったから良かったら参考にしてくれ。
https://rev1.reversion.jp/guild/885/thread/23923
想いを集めるのも引き続き頼むぜ。
https://rev1.reversion.jp/guild/885/thread/23920
【3】の【運命砕】に参加できれば、と思う。
ルカさんの…ルカさん達の願いが叶ってほしいと思うから。
可能なら僕も尽力できれば、と。
メイ殿、アレクシア殿!ありがとうございます!
勿論大歓迎です!
大樹の精霊としての力、頼りになりそうです!
よろしくお願いします!
元々、隙広げるだの狙うつもりだったんで【運命砕】手伝いに行きたいと思ってる。
『そういう人』に笑顔でいてほしい、なってほしいって気持ちは、わかるしな。
私もお邪魔させてもらってもいいかな?
世界中に声を届けるのでしょう?それなら、大樹の精霊としての力が役に立てられんじゃないかなってね。
ファルカウさんは霊樹を通して世界を見ていたわけだし、その逆だってできるはず!
ルル家君にはファルカウさんの時に協力してもらった借りもあるしね、良かったら協力させてもらえれば!
ありがとう!現在わかってる情報だけで十分だよ。途中経過でもいいから集計したかったの。
行き先表明は現状こうかな?
ワタシはでは【2】に。
【1】ラスト・ウォー 22人〜26人
ロジャーズ、星華、ルナール、ルーキス、ヤツェク、ベルナルド、騎兵隊16人〜20人
【2】ジェネラル・ナルキス 4人
ソア、オリーブ、胡桃、フラーゴラ
【3】キング&クイーン 11人
ヨゾラ、リカ、ドラマ、シラス
【運命砕】
ルカ、新田、クロバ、セララ
【想奏】
ルル家、リア、メイ
ラーングーヴァさん撃破を受けて【2】の方へ移動してナルキスさん相手する予定なの。
こちらにも先に進みたい方いるかもしれぬし。
【騎兵隊】は現状確定ではないけど、大体『16~20人』ぐらいが騎兵隊から参加すると思うわ。前回は16人で更に数人はレベル到達により加わると思うから。詳細人数決まったら、改めて書くと思う。PPP発動が人数とかも未定。
これでOKかしら?
参加先は【2】です。タグへの参加などは追々。
色々と限界ではありますけれど、死ぬつもりはありません。
必ず生きて、全てを見届けてやります!
また今回も行き先人数カウントしようと思う。
なので騎兵隊は今現状で参加予定の人数のお名前を教えて欲しい。掲示板、見た感じレベル参加満たしてなくて参加しないだろう人もいて把握難しかったので。
僕も治癒役に該当するから、【1】は騎兵隊さん達に任せて
僕の行動予定を【3】キング&クイーンに変更するね。
回復役に専念するか、チーム参加するかどうかはまだ考え中です。みゃー。
からの連絡よ。
まずは皆の肌感や行動の宣言に感謝を、大いに参考になったわ。
そのうえで騎兵隊は総力を上げて【1】にて【敵主力を粉砕しつつ、指揮官を撃滅する】ことを目的に行動しようと思う。
その際に「権能封じのPPP発動」を試みて「無限復活」を阻止しようと思う。できるかできないかじゃない。やってみるだけよ。
相談は下記の場所。参加希望はまだ募集中。複数人でのPPP発動を試みるつもりだから。頭数が居るに越したことはないから。気が向いたらよろしくね。
https://rev1.reversion.jp/guild/520/thread/23894
また、装備や携行品も融通するから。欲しいものがあれば連絡をちょうだい。
【個人的な意見】
で、そこで【1】に参加する予定の人の中で「盾、治癒などのサポート役」の人は何人か【3】に回って火力を発揮しやすいようにしてくれると嬉しい。
その穴くらいは私がどうにかするから。
あと、フラーゴラ? リヴァイアサンの大海嘯が狙ったのはイノリであって。【1】の戦場ではないでしょう。
私を焚きつけるのはいいけど。そういうのはちゃんと情報を精査した上で言いなさいな。私じゃなければぷんすこしていたかもしれないわよ(くすくす)
じゃ、まぁ「今回は」こっちを任せて頂戴。勝利への水先案内人は、今回も騎兵隊が引き受けるわ。
前回【5】に行った人たちはみんな【3】でそのまま継続戦闘するという仮定を前提で見ると、火力にかなり偏っていて回復等のサポートが少なめ。
【1】はリヴァイアサンの大海嘯の余波で結構な数吹っ飛ばして"も尚"劣勢っていう状況だから余計にみんな考えちゃうよね。
恐らくこちらはサポート面は足りてて、引き続き火力はもう少し必要なのかも。
ここまできたしいい加減【3】に行きたい人の気持ちは尊重したいけど、どこまで必要かわからないから悩むよね。
とはいえ僕自身のやりたい事もあるし、暫く悩んでどうするか決めるかも。
気持ち的には【運命砕】にのりたいけど、どこも人手が必要そうだしもうちょっとようすを見るね…という意思表明。
ギリギリだがやっと俺が参戦可能になったんでね。
我らグリムゲルデも夫婦で【1】に回らせてもらうよ。
意見を取り入れる、そういう風に読めたので意見させてもらうね
本当に最後の最後だから本人のやりたいことをするべきだと思ってはいるけど、【3】に大人数で大挙するのは【1】【2】の人手が足りなくなってよろしくないなと思う
だから騎兵隊メインは【1】【2】のどちらか、分隊もしくは個人参加など人数調整がききやすいものを【3】に配置するのがいいんじゃないかなって思う
さらにここからは個人の肌感なんだけど……騎兵隊、イーリンさんの目的は依頼の成功だとしても、【1】に行かなくていいの?
リヴァイアサン、大海嘯、縁があるでしょう?気持ちがこもって気合い、入ると思うけど
>ワタシの行き先
人手が足りない所に行きたいな。ずっとそうしてきたし、そのほうがワタシも力を発揮出来るの。
ようやく、これを返済する機会が巡ってきたようですね。
【3】にて【運命砕】に参加します。
「リーゼロッテwith薔薇十字機関少数」にも、お付き合い願いましょう。
というわけで!協力者です!
拙者は【想奏】タグでPPPを使用してハイテレパスを拡張して世界中の人々にパスを繋げます!
今のところリア殿と2人ですが、2人で世界中の人々に声を届けるのめちゃくちゃ無理があるので手伝ってくれる方は大歓迎です!
ただ性質上、PPP使用が前提となってしまうので、それでも良い方だけお願いいたします!
【運命砕】のタグで参加する。
俺はざんげを笑顔にしたい。
だからあいつのアニキのイノリや、その恋人のマリアベルを倒して良しとするなんてのもしたくねえ。
俺が手に入れるべきは、魔王座を叩き返し、滅びの運命を砕き、人類はもちろん、魔種達も生きていける未来だ。
その為のチームだ。
力を貸してくれるなら参加してくれ。
俺のやることは皆から力と想いを集めて、運命をぶち壊すよう試みる事だけだ。
正直、直接的にイノリやマリアベルの相手をする事は出来ねえ。
アイツラもただ見てるだけって事ぁねえだろうからな。
できりゃあアイツらにも協力してほしいが、そっちは未知数だ。
だからアイツラを直接叩いて納得させたり、力と想いを集める隙を守ってくれるやつがいるとそれも助かる。
もし良かったらタグには参加しねえ、あるいは出来ねえってやつもプレイングに想いを記載してくれ。
そいつは多分、力になるはずだ。
あと、協力者の力を借りて世界中に声を届けて、世界中から想いと力を集めようと思っている。
そっちについても良かったら知り合いに宣伝してくれれば嬉しい。
https://rev1.reversion.jp/guild/885/thread/23920
ここに記載してもいいが、直接プレイングに書いた方が効果的な気はするが、判断は任せるぜ。
何もかもぶっ倒して、ハッピーエンドどころかグランドエンドを迎えようってんだ。
それぐらいやらなきゃあ、だろ?
ということで3章のキングとクイーンは、最初の節と最後の節の合計になるので、31名ですね!
他の方がどうする予定かはわかりませんが、この31名はおそらく今からどこか別のところに行くことはないと思って良いかと思います。
ナルキスのところにいらっしゃる方もおそらく同様でしょう。
となるとラスト・ウォーの人数配分をどうするかというところですが。
ぶっちゃけここは何人残れば十分かは何とも言えないですね。
ただ多すぎる人数が移動すると厳しいかなという印象です。
あんまり具体化した人数を言うと他の方の動きを縛ることになるかも知れませんので、そこは言えませんが。
確実性も全然ないですし。
以上、個人の所感でした!
第三章の参加者を流し見た限りでは(選択肢が異なるので大まかな感じですが)ラスト・ウォーの戦場に55名くらい、ナルキスさん取りに行ったのが25名ほど、キング&クイーンのところは5名くらい。25名が流しすぎて戦場がどこだったのかうろ覚えになってしまっています。
K&Qにはもう少し人が集まるかもしれませんが、ラスト・ウォー55人体制で劣勢というのはどうしてよいやら。長引いても個人個人のパンドラが大変ですし、速攻でナルキスさん含め指揮官級を落として【1】の難易度を下げる……無理かなあ……(
【騎兵隊】
からのお願いよ。この最終局面において、人数配分をどうするか非常に悩ましい状況になってる。
そのうえで、何処に何人くらい必要だと思うというのを、皆の肌感でいいから。なんとなくでいいから伝えてくれると嬉しい。
それを考慮した上で方針を決定したいから。
よしなに頼むわ。
【1】予定。
魔王座、嗚呼、理解した。
私がアレに執着するのは。
我々の父よりも父らしい有り様か……。
僕も僕にできることを、最後まで頑張る。みゃ。
現時点では【1】ラスト・ウォーに行く予定。
場合によっては変更するかも。
僕は【3】キング&クイーンで行動予定。
全力で戦うよ…!
No Blood、No Bone、No Ashだっけか。
よく言ったもんだぜ。
オレはまだ燃え尽きる気はねえがよ。
つっても対ナルキス戦力は結構あるし、ソア達が惹きつけてくれてるんで、隊員を引き受ける形だ!
敢えて数を抑えてる3の支援役が狙われねえようにする感じにしたぜ!
アルムや愛奈達を狙わせやしねえぜ!
この分なら、対軍勢も、第二戦域も、きっと大丈夫かしら。
なんとかここを乗り切りましょう!
できれば、皆で影の城に殴り込めたら良いんだけどね……。
あと、微力ですがヒーラーが出来る人に【4】に行って貰いましたので、どうにかなるといいんですが……
https://rev1.reversion.jp/scenario/show_playing/10856/18348?key=d2c2b6a9
【1】対軍勢(攻勢) 17人
メイメイ、ベルナルド、ちぐさ、イーリン、武器商人、彩陽、オニキス、美咲、エーレン、アンジェリカ、ウルズ、カイト、ジョシュア、イズマ、錬、サンディ、武蔵
【2】対軍勢(防衛) 16人
セレナ、愛無、星華、フォルトゥナリア、雲雀、レイリー、幸潮、ゴリョウ、志屍 志、エレンシア、リカ、ロジャーズ、グリーフ、オデット、ルチア、鏡禍
【3】対軍勢(支援) 4人
ヤツェク、弾正、祝音、アルム
【4】第二戦域へ 11人
ソア、トール、プリン、フラーゴラ、夢心地、カイト・シャルラハ、ニル、風牙、沙耶、アーマデル、フリークライ
【5】影の城 13人
飛呂、シラス、ヨゾラ、すずな、ドラマ、リア、レジーナ、ルル家、アンナ、ルカ、マリエッタ、高道、ベネディクト
ン。現状ヒーラー フラーゴラ一人ミタイダカラ。
モウ一体追加シテオケバ 動キヤスイカナト。
ヨロシクネ。
支援は任せてね!
まぁ僕が出せるのはヒレなんですが……
GMコメント
YAMIDEITEIっす。
お待ちかね、ラリー決戦です。
プレイングには詳細なルールが決まっておりますので必ず守って記載するようにして下さい。
●依頼達成条件
・Case-Dの顕現阻止
※完全顕現した場合、混沌以下全ての世界が滅び、ゲームオーバーとなります。
●ワーム・ホール
『黒聖女』マリアベルの作り出した人類圏への侵攻路。
おかしな前例を作った華蓮ちゃんとドラマちゃんがいたせいで、パンドラの奇跡でとんでもない横紙破りを食らった結果、逆侵攻ルートにされました。
ここを通過するのにもパンドラを消耗します。
本シナリオはここを通過して『影の領域』に到着したシーン以降を描く事になります。
●影の領域
終焉(ラスト・ラスト)、人類未踏の魔種の勢力圏をそう称します。
薄暗く日の光が弱く、植生等の生態系も歪んでねじくれた『魔界』のような場所です。
混沌と地続きですが、まるで違う法則に支配されているようで此の世のものとは思えません。
また影の領域は原罪の呼び声のスープのようなもので、多くの人類に以下の影響を与えます。
・何時反転してもおかしくない
・イクリプス全身図の姿に変わり、戦闘力が強化される(姿はそのままでも可)
本来ならばここで戦う事は困難です。反転や狂化を免れる事は難しいのですが……
●空繰パンドラ
今回は皆さんの代わりにざんげが有する空繰パンドラが使い続ける事で致命的な悪影響を防いでいます。逆に言えば空繰パンドラは皆さんが共有する有限のリソース、即ちHPとなります。
空繰パンドラによる奇跡の支援は戦闘中別の事にも使われる場合がありますが、使用すればする程余力は小さくなる性質です。
ざんげに何をして欲しいと頼む余裕は無いので、ざんげがある程度自分で判断します。
しかしながら彼女は皆さんを見捨てたりはしないでしょう。(目的の為に小を殺すジャッジはあまり出来ません)
●影の城
イノリとマリアベルが存在し、Case-Dが顕現しようとしている決戦の場です。
西洋風の城で、魔種陣営の本拠地。3/18現在、一章では到達出来ません。
●敵
影の領域辺り一帯には膨大なまでの低級魔種、終焉獣、アポロトス、或いは何でもないなりそこないが跋扈しており、中心部である影の城に到達しようとするなら非常な困難が立ち塞がり続けるでしょう。
多くが雑兵ですが、強力な個体もちらほらといます。
特に以下の個体はかなり強力な魔種で謂わば指揮官個体なので注意が必要です。
・ナルキス
スチールグラードはリッテラム攻略戦で登場した強力な魔種。
飄々としたタイプでかつて会敵したシラス君曰く「リッテラムでバルナバスの次に強い」とのこと。
何処にいるかは分かりません。
・『鎧の魔種』フロスベクト
スチールグラードはリッテラム攻略戦で登場した強力な魔種。
ワーム・ホールより攻め入った先で会敵する魔種軍勢を率いています。
・『悪魔の魔種』ラーングーヴァ
スチールグラードはリッテラム攻略戦で登場した強力な魔種。
同様に魔種軍勢を率いており、人類軍を挟み込むような形で猛撃します。
●友軍
オールスターです。
・ゼシュテル鉄帝国の正規軍
指揮官のザーバ・ザンザは全軍の統括も兼任します。
世界最強の軍隊に相応しい精強な軍勢です。
・聖教国ネメシスの聖騎士団
聖騎士団長レオパル・ド・ティゲールに率いられた部隊。
攻防一体で回復支援も可能な前衛主体。継続戦闘ならおまかせあれ。
・幻想精鋭部隊
ザーズウォルカとイヴェットに率いられた例外的に有能な連中です。
幻想には大変珍しく戦えるものが揃っており、ヨハンセン・ヴェイルシュナイダーという騎士の顔もあります。
・赤犬の群
ディルク・レイス・エッフェンベルグ率いる傭兵団。
クライアント(かれんちゃん)がこっちにいる以上、面を出すのは当然の事!
・深緑の癒し手達
幻想種の中でも勇気のある者、支援の得意な者達が有志で集まりました。
彼等の多くは誰かと争う事を嫌いますが、今回ばかりは戦って勝ち取る覚悟を決めたようです。
イレギュラーズを除く全軍の士気はザーバ・ザンザ将軍がとり、レオパル・ド・ティゲールが補佐します。
部隊以外の個人についても腕自慢の連中もきっと許される範囲で参戦している事でしょう!
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
今回のシナリオに関しては普段に比べ死亡率が高いです。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
●情報精度
このシナリオの情報精度はEです。
無いよりはマシな情報です。グッドラック。
●重要な備考
他シナリオとの時系列関係はラリーである以上、どうしようもないので考慮しない方向となります。
選択肢の中から自分の行動に近いものを選択してプレイングをかけて下さい。
又、オープニングには特に記載されていない人間が参戦している場合もあります。
プレイングをかければ登場するかもしれません(しない場合もあります)
本シナリオは返却時等に空繰パンドラの総合値が減少し続けます。
空繰パンドラの残量が0になった場合、事実上の敗戦が濃厚になる可能性があります。
空繰パンドラの減少は本シナリオ以外のシナリオ結果にも左右されます。
尚、一章時点で影の城に到着する事はありません。
但し、選んだ選択肢によってその後のシナリオでの状況が変化する場合があります。
さあ、正念場です。
難易度? 知らない子だなあ。
た、戦うぞ。宜しくお願いいたします!
任務方針
イレギュラーズは独自判断を許されており、任意の形での作戦参加が可能です。
この作戦における自分の動き方の方針を以下の選択肢1~3の中から選択して下さい。
【1】ラスト・ウォー
大海嘯の余波でほんの少しだけ押し返しましたが、非常に劣勢です。
魔種の軍勢は指揮官個体以外は復活し続ける為、支える側の余力は限界に近付いています。
しかし、この敵の軍勢を最後の瞬間まで食い止める事は混沌存続の絶対条件なのです。
【2】ジェネラル・ナルキス
世界の破滅を目の前にしても魔種ナルキスは気負っていません。
バルナバス麾下最強の男は、目の前の敵と最高の闘争をする事を最大の目的としたからです。
彼はイノリに然して忠実ではありませんが、貴方達が彼を倒せなければ神託阻止は恐らく失敗するでしょう。
【3】キング&クイーン
影の城でイノリとマリアベルを倒し、混沌を救います。
神託の成就は目の前と思われます。魔王座(Case-D)が顕現した場合、その瞬間にゲームオーバーになります。
イノリとマリアベルを倒しても止まる保証はありませんが、その意志を挫かずして神託を阻止する事は不可能でしょう。
【4】
【5】
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