シナリオ詳細
<終焉のクロニクル>Pandora Party Project
相談期間中
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オープニング
●『一つ』の混沌(せかい)
「良く集まってくれた!」
ローレットをお膝元に置くメフ・メフィートの王宮には未だかつてない光景が広がっていた。
凛と声を発したのは言わずと知れた幻想(レガド・イルシオン)の国主フォルデルマン三世。
しかし彼の目の前に立つ人物達はこの場所からして例外的にまるで臣下の礼を取っていない。
それもその筈。
「まさか、アンタから呼ばれるとは思っても見なかったぜ。
こっちは戦勝気分でメイドの飯でも食えそうなトコだったんだけどな」
知己のイレギュラーズとのやり取りを冗句めいて言ったのはゼシュテル鉄帝国皇帝、『麗帝』の武名混沌中に轟くヴェルス・ヴェルグ・ヴェンゲルズ。
「バグ・ホールとワーム・ホールであったか。
此方もあれには中々手を焼いておる。建設的な『話』になれば幸いじゃな」
自慢の白い顎髭を指で扱くのは練達、セフィロトが『探求』の塔主――カスパール・グシュナサフである。
それだけではない。
「……この度の呼びかけを、そしてローレットへの長年のご支援に感謝を申し上げます。フォルデルマン王」
「うむ。魔種とはやはり人類圏の不倶戴天の敵なれば。
彼等には感謝しても仕切れぬものがある。結果として貴国にも」
「おうおう、妾としてはとうにその心算じゃ。海洋は建国以来の悲願を彼等に果たさせて貰ったのでな」
「縁を繋いで貰った。返せない位多くを受け取った。思えば、到らぬばかりの話であったが」
「……………ま、中々面白い連中である事は確かだよ」
最後の人、『彼女』が特異運命座標だろうとは言うなかれ。
普段、勢力圏から出る事はない深緑(アルティオ=エルム)の緑の巫女、リュミエ・フル・フォーレ、更には自他共に厳めしい正義と実直、賢王としての年輪をその顔に刻み付けた聖教国国王にして、教主たるシェアキム・ロッド・フォン・フェネスト六世、海洋王国大号令を成功させた女王イザベラ・パニ・アイスに『新天地』カムイグラの『霞帝』今園賀澄、『世界最強の傭兵』こと砂漠の赤犬、ディルク・レイス・エッフェンベルグ等といった錚々たる面子が揃っている。
国として幻想と付き合いのあるディルクやイザベラはいざ知らず、長年の敵国の王であるヴェルスやシェアキム、我関せずを貫く中立主義のカスパール、外部との交流を好まない幻想種のリュミエや遥かカムイグラに在る賀澄等がメフ・メフィートの王宮に在る事自体を例外過ぎる事実と呼ぶしかなかろう。
そしてその極めつけは……
「ま、ずーりんにお願いされたしね。ユーフォニーやヴィルメイズ、イレギュラーズには世話にもなったし。
話があるってんなら付き合わない位に薄情じゃないわよ」
……ここについ『この間』までの人類未踏の地、覇竜領域の若き姫――珱琉珂の姿さえある事だった。
覇竜観測所、そしてヘスペリデスの大事件……特異運命座標達の紡いできた縁こそがまさに特異点であると言う他なかろうか。
「それで――王サマよ。この集まりは何だい。アンタが仕切ってくれるんだろう?」
「うむ。ディルク殿、私は皆々様に提案をしようと思ってここに来て貰ったのだ」
ディルクの言葉にも最早物怖じせず、フォルデルマンは居並ぶ面子を見回した。
「我々は国王だ。そして、我等が国はそれぞれが様々な事情を抱えている。
私はイザベラ殿やディルク殿とは友誼を結んではきたものの……
例えば我が国は、ゼシュテルとはもう何十年もそれ以上も争っている。
ネメシスと戦争になった事も何度もある。父祖代々より続く因縁は決して小さなものではない。
アルティオ=エルムやセフィロトは他国と関わるをこれまで良しとはしなかっただろう。
遠き地の――カムイグラのお方や竜の姫君からすれば我々はまだ見知らぬ他人やも知れない。だが!」
堂々と言ったフォルデルマンは一層胸を張って言葉を続けた。
「我々がこの混沌に生きる同じ人間である事に変わりはない。
この世界は今、滅びの危機に瀕していると言う。
我々は、我々の力だけで『神託』を回避出来ない事実をこの何年かで痛烈に思い知ってきた事と思う。
世界最強のヴェルス殿やディルク殿も、戦う力のないこの私などはいの一番に。
……特異運命座標は、ローレットは本来民を守らねばならぬ我々の為に傷付き、命を燃やし、魔種共と戦ってくれてきた。
だが、我々は何も出来ない存在であろうか?」
フォルデルマンの横顔を見つめるシャルロッテの大きな瞳が潤んでいる。
「答えは否。断じて否だ!
確かに我々には決まった運命を覆す力は無いかも知れない。
可能性の獣と同等の結果を出す事は不可能だろう。だが、それでも我々は王だ。
彼等には無い力を持っている。我々は――いや、我々を含めた人類は特異点の有無に関わらず抗う力を持っていると信じてやまない!
……そこで、私は――フォルデルマン三世は皆様に提案したい」
――今日、この時を以って全ての恩讐を一旦取り置き、全国家全勢力全力を挙げてローレットを支援し、魔種との決戦に臨まんと!
「一本化した指揮系統は世界最優と名高いザーバ・ザンザ将軍にお預けしたい。
参謀として我が国の『黄金双竜』レイガルテ卿をつける用意がある」
フォルデルマンの言葉にレイガルテが「御意に」と一礼する。
一方のザーバは……後で聞けばさぞ難しい顔をするに違いないが、これを断るような男ではなかろう。
「時間が無い故、その他、細かい調整は進めながら承りたい」
「聞いていた人物像とは随分違うとお見受けするが、良き哉。男児三日会わざるば刮目して見よ。
学べる事、成長出来る事こそが若者の特権なればな」
カスパールが淡く微笑んで、誰より先に拍手を始めた。
「……信じられないもんを見たが、アンタ十年も経てば結構俺のいいライバルになるかもな?」
「異論はない。神も、我々も彼等の先行きと共にあらんと願っていた」
ヴェルスが、シェアキムがそれに続く。
「我が国に出せる戦力はたかが知れておるが是非も無い。支援に輸送にお任せあれじゃ」
「うむ。イザベラ殿と共に可能な限りの助力をする事を約束しよう」
「アンタ達は俺が守るって言いたいトコだけど、今回だけはな」
「その顔で言わないで下さい」
イザベラと賀澄、ディルクの言葉にリュミエが苦笑した。
「勇者王って言うんだっけ、アナタの祖先」
感心したように零した琉珂の脳裏に『竜さえも乗りこなしたその伝説』が過ぎる。
アイオンの名は覇竜領域にも轟いていた。あのメテオスラークが懐かしそうに嬉しそうに話した言葉が浮かんで消えた。
成る程、目の前のもやしの覇気を見れば眉唾な昔話も少しは信憑性を持とうというものだ。
「――感謝する!」
深々と頭を下げたフォルデルマンには確かに混沌の誰もが一度は憧れた勇者王の片鱗が僅かに覗く。
そして、ゆっくりと面を上げた彼はそしてここに宣言する――
「今、この時を以って我等は一丸。
我が為に戦い、誰が為に死のう。
隣人が為に誇りを振るい、世界の為に前に進まん!
これより、乾坤一擲の決戦『Pandora Party Project』発動を宣言する!」
●『例外』という混沌
「――始まったみたいだね」
終焉(ラスト・ラスト)――影の領域、その深くに到る影の城。
人間の王侯貴族が好みそうな居場所を真似るかのように形作られた皮肉な場所で原罪の魔種ことイノリは静かに言った。
運命が望み、神が、世界が否定してきた『神託』の成就はもうすぐそこまでやって来ている。
『見て』分かるのだ。
ただ広く伽藍洞な謁見の間の中心に空間の歪みが生じていた。
外の世界に幾らでも沸いたバグ・ホールと似ていて異なる――
大きさ自体はまだ拳大であり、まるで威圧的なサイズとは言えないのだが。
それは確かに別種のものであった。
余りにも違い過ぎて、イノリにそれが他と同じものだとは思わせてくれない程にも。
「生き汚いクソ爺が恐れる訳だ。正直、これ程に『理解る』ものだとは思ってもみなかった――」
独白めいたイノリは呆れ半分、賞賛半分の苦笑いを浮かべていた。
近付いているという事実のみで『それ』が放つ狂気めいた圧倒的な存在感は影の城の異常ささえも吹き飛ばす位に強烈で、イノリをしても底を見通す事等出来はしない。
そしてそれは取りも直さず、『それが故』にこの大いなる混沌を吹き飛ばし得るのだと教えてくれるかのようだった。
「顕現にはどれ位かかるのかしら」
「分からない。だが、終焉までのカウントダウンは確実に始まってる。
……そうだな、長い時間は無いだろう。例えば君と今年のシャイネン・ナハトを過ごす事は出来そうもない」
冗句めいたイノリに「なにそれ」とマリアベルが唇を尖らせた。
「性格が悪いわよ、イノリ。私に気を持たせるような事はしないで頂戴な。
それで……この後はどうしたらいいの? 待っていれば『神託』は成るのかしら」
「魔王座(Case-D)の顕現は成った時点で不可逆だ。この混沌にアレが引き込まれた時点で全ては完了する。
そうなれば神だろうと特異点だろうとこれを覆し得る事なんて出来はしない。だが」
「邪魔、するわよねえ」
マリアベルの口角が意地悪く持ち上がっている。
「貴方のその言い方だと『顕現する前なら止められる』ように聞こえたわ。
つまる所、あのお節介な連中はその好機を見過ごすような事をしないでしょう。
世界の為だか、大切な人の為だか――それとも自分自身の為だかで。
信じられないような苦労を平気で呑み込んで、不可能に挑むような連中なのでしょう、『あれ』は」
「まるで、君みたいにね」
イノリの切り返しは先刻承知であったのかマリアベルは苦笑いを浮かべている。
「かくて魔種と人類圏の最終決戦は不可避のものになる訳だ。
事これに到れば、お互いに是非も無い。世界が滅ぶのが先か、彼等がこの場に辿り着くのが先か――
尤も、辿り着けた所で僕だって譲ってやる気は微塵も無いがね。
さて、彼等は何をどうするか――」
独白めいたイノリの言葉に応えるではないが、マリアベルの柳眉がぴくりと動いた。
「……成る程ね」
「マリアベル?」
「彼等のやり方が分かったわ。どうも彼等、私のワーム・ホールを辿ってこっちに乗り込んでくるみたい」
憮然とするマリアベルにイノリは「まさか」と問い返す。
「事実よ。私が感知したのだから間違いない。
そうね。ええ、そうよ。貴方の思っている通り――私の通路は原罪の呼び声の煮凝りのようなものよ。
人間が人間のまままともに通過するなんて馬鹿げてる。出来やしない。でもね、あの『前例』は痛恨だったわね」
「乙女が二人か」
「ええ。『前例』は彼等により大きな冒険をさせたということ。
パンドラの奇跡で押し切れば、本来通路ではない通路を利用出来る――侵攻ルートを逆侵攻ルートに変えられてしまった。
人類圏は……ああ、もうすごい多国籍軍ね。
どうも彼等腹をくくったみたい。イレギュラーズを旗印に混沌中の全勢力が影の城への打通を狙ってる。
でもね、イノリ。これは私の問題じゃなくて――貴方の大好きな妹様の所為ですからね!」
「責めてないってば」
苦笑に苦笑で返したイノリが天を仰ぐ。
「……まぁ、最後の最後まで出来た妹だ。ことこれに到っても神のくびきから逃れる心算は無いらしい。
思えば碌に言葉を交わした事も無い妹だ。一度位は話し合っても良かったのかも知れないが。
……しかし、何だ。兄の心も、その逆に妹の心も。『家族』でも案外理解し得ないものなんだな――」
何とも言えない顔をしたイノリにマリアベルは嘆息した。
「……いいじゃない、最初で最後の兄妹喧嘩。それに貴方がどうするって言ったって」
――泣き言を言ったって、どんなに情けなくたって。私は最後まで付き合うから。
彼女はその先を言わなかった。
唯、この後に起きるであろう終焉(ラスト・ラスト)の激闘が生易しいものにならない事だけは知っていたから。
- <終焉のクロニクル>Pandora Party ProjectLv:95以上相談期間中
- ――滅びの運命を捻じ伏せて、かの魔王座を拒絶せよ!
- GM名YAMIDEITEI
- 種別ラリー
- 難易度NIGHTMARE
- 依頼公開日時2024年03月18日 21時45分
- 第4章募集中48人
- 総採用数392人
- 参加費50RC
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第1章
第1章 第1節
●退路無し
「成り行きも多分である! 不満のある者もおるやも知れんが、このザーバ・ザンザ!
貴殿等の命を預かった! ゆめ畏れる事無く、この敵勢を打ち破れ! 全ての可能性はこの先にしかないものと覚悟せよ!」
雷鳴のような号令が告げている――より厳密に言うのならば『必要としていない』。
この何か月か――元より予告されていた神託の最終章は無慈悲なまでにその圧力を強めていた。
市井の民草ですらこの世界の先行きに不安を感じ、肌感として真実を知る人間は尚更だった筈だ。
「背水の陣、って感じだな。嫌でも覚悟を決めさせられる。
ここで負けたら全てが失われる。なら、負けたときのことなんて考えても無駄だよな。
……立ち向かい、戦って、勝つ。それだけだ」
風牙の言葉は決死の戦いに挑む誰にとってもの代弁になっていた事だろう。
「地獄の窯が開いたら、きっとこんな感じなのかな? なかなかに趣があるよねぇ……いやはや此れは」
「全く。まさか世界が一纏まりになって馬鹿騒ぎを起こす日が来るなんて、ねえ?
おじいちゃん見てる? ていうか生き急ぎなのよ。
暴れん坊な貴方なら死ぬほど楽しいシチュエーションだったのに!」
「これがイレギュラーとして最後の仕事になるか。
不可能も絶死不可避も、知った事では無い。目的を果たす。それが全てだ……!」
ラムダが、ゼファーが嘯きプリンが静かなる気焔を上げている。
「錚々たる顔ぶれとは、まさにこの事だな。
こんな状況であるにも関わらず、心が昂ってくるというものだ……!」
汰磨羈の言う通り、まさにこの一軍の有様こそがこの場の全てを物語っていた。
指揮こそザーバが執っているが、参戦する顔ぶれはゼシュテルに偏っていない。
正面にゼシュテル鉄帝国と聖教国ネメシス、両翼にレガド・イルシオンとラサ傭兵商会連合、後方支援にアルティオ=エルムを中心とした部隊を配した軍勢、更にローレットの腕利きを加えた軍団はまさにオールスターである。
今まさに一丸となった各国とローレットの連合軍は、決死で抜けた先、影の領域に広がる敵勢を前に対決の布陣を敷いていた。
全ての結末を決め得る戦いは混沌の生きとし生ける者の大半にとって不可避であり、不退転の決戦に違いなく。それが故に争ってばかりの人間達は遂に私事を捨てたった一つに纏まったのだ。かつての聖女がもたらした――いや、それ以上の奇跡を紡いだのが特異運命座標の『これまで』だったのは言うまでもないだろう。
「ここが影の領域……ついにここまで来れたんだ。あとは皆を、影の城まで送り届けるだけだね」
「なんだろう、凄く凄く嫌な感じがする。
近づいてきちゃいけないものが、どんどん近づいてきてるような……
これは絶対に止めないと! まずはみんなでここを突破するんだ!」
Я・E・Dの言葉に焔が強く頷いた。
(流石に敵の本拠地ってだけはあって、凄い数みたいだ。
守りながら数を減らしてなんて考えてたら、こっちが先に息切れして押しつぶされちゃうし……
何より時間がない……多少無理してでも突っ切らないと!)
「影の城はいまだ遥か遠く、敵は強大。
タイムリミットも、パンドラも有限……
……ははっ、わくわくしちゃうね!
すぐに会いにいってやるから待っててよ、イノリ、マリアベル!」
果たして、この焔の思案、そしてシキの懸念(ことば)は正しいものだった。
この戦いが絶望的なのは単に敵が多く、強いからだけではない。
敵の本拠地たる影の領域での戦闘はこれまで特異運命座標がかき集めた奇跡と可能性の総量を削り取ろう。
圧倒的に不利な環境は空中神殿の支える支援なしにまともな戦いを許すまい。
更に言うのなら、問題は魔王座(Case-D)と呼ばれる『神託(タイムリミット)』の顕現にもある。
敵の本拠地である影の城に顕現するというそれは『その前に阻止する』以外の勝ち筋を許さぬ絶望であると云う。
必然的に定められた二つのタイムリミットをトドメとばかりに補強するのが『原罪』イノリと『黒聖女』マリアベルの存在だ。
雲霞の如き敵軍さえ、七罪さえも圧倒するこの二つの大魔種に比すれば全く前菜のようなものと言えるだろう――しかし。
「ここまではドラマさんと華蓮さんのおかげ。
ですが、ここから先は私達で道を拓かねばならない。
待っていなさいマリアベル。今、私が貴方を終わらせて……ええ、救いに行ってあげますから」
持ち前の負けず嫌いと、抱かずには居られない個人の拘りをむき出しにしたマリエッタはそれに怯むような人間ではない。
そしてそれは彼女だけに非ず。
「私、打ち切りエンドって大っ嫌いなんですよね。
……ええ、やらせるものですか。精々急いで進みましょう」
「マリエッタちゃんにセレナちゃん、愛奈ちゃん!
いいわねえ、まっすぐ突っ込んでいってぶん殴る。わかりやすくシンプルだわ。
これならぜったい間違わないし――シュペルちゃんみたいにいちいち難しくないし。
行きましょう、まっすぐ。置いていかれないようについていくから!」
愛奈、更にはこんな時でも絶対にマイペースの崩れないメリーノ、
「いよいよここまで来た。滅びの本拠。影の領域。最後の戦いの場……
怖くないと言えばウソになる。
……けど、わたしの隣にはあなたがいて、あなたの隣こそがわたしの居るべき場所だから!」
「あら、セレナ。それは愛の告白ですか?」
「と、兎に角! 行こうマリエッタ!
メリーノさんも、愛奈も。一緒に来てくれてありがとね!
どんな敵も、滅びも。わたし達なら負けたりしないわよ!」
慌てた大声でマリエッタの悪趣味をかき消したセレナの表情を見れば分かる通り、マリエッタ当人は元より、彼女と行動を共にする【死血】の三人も状況に堪えているようにはとても見えない。
「終焉の名に偽り無し、ね…死ぬつもりはないけど。ここなら、巻き込む心配なし、か。
ね、ザーバちゃん、私はここに来なかった事にして欲しいの。
……あんまり恥ずかしい所見られたくないシ」
「オレはザーバ将軍とイッショに戦いたかった所だよ!」
「二人共、力を貸してくれて恩に着る」
リカとイグナートの二人にザーバは一つ大きく頷いた。
「イヤ、思うんだけれどオレたちって無茶苦茶運がイイよね。
だってさ、世界の命運を賭けた戦いに参加出来るなんて今までのゼシュテルの強者たちでもまず経験無いよ!
その上に世界各国の軍が集まってるんだから、世界最強の軍がドコなのかも決められて一石二鳥!
……あ、生き残ったらイイ修行だった事にもなりそうだから三鳥かな?」
続けたイグナートの言葉にザーバは「一理ある」と頷いた。
「ああ、本当に――今日が最初で最後よ。
リカ・サキュバスではなく、瘴気の王として君臨する日。
死の瘴気と魅了を振りまきその殺意を一身に引き受けましょう。
理性も何もかも捨てて大暴れよ、あんた達……息止めてミてなさい!」
成る程、啖呵を切るリカの目の前に広がる『絶望的な』風景は誰も――ザーバ程の将軍を以っても見た事が無い程のものであった。
「本当に連れて来てしまって良かったのかしら……
でも、私達だけでは戦力が足りないのも確かですものね」
「負ければ文字通り皆滅んじゃうからね。それにヴァリューシャ、止めても皆聞かないと思うよ」
マリアの言葉に納得するしかないヴァレーリヤは「確かに」と頷いた。
最悪を絵画にしたような風情だが、生粋のゼシュテル人としてはこれに怯むようでは紛い者である事は間違いが無い。
「被害が大きくなる前に決着を付けましょう。マリィ、準備はよろしくて?」
「そうだね! ヴァリューシャ! さっさと片付けてハッピー エンドといこうじゃないか!」
【虹虎】の二人――最高のコンビは最後の鉄火場にも何時もと同じ、気負わず強く。
「流石は鉄帝の兵達ね。誰も彼もが戦場の華足らんと士気を高めている」
ヴァレーリヤやマリアの懸念も他所に戦意旺盛な鉄帝国の兵達に小夜の唇の端が綻んだ。
始まりはすぐそこだった。
「結局、最強には全然届かなかったけど、闘技場には随分とお世話になったしね。
最後の戦いくらいはゼシュテルの人達と一緒に行かせて貰うよ」
「『力こそ全て』な鉄帝のノリは嫌いじゃない。
むしろ親近感を感じる位です。こちらも負けてはいられないな!」
Я・E・Dは、ルーキスは彼我が激突までの僅かな猶予時間の殆どを使い切った事を知っていた。
「こんな時なのに、いえ、こんな時だからか――今とってもわくわくしてます!
ドラマさんと華蓮さん、レオンさんもきっとこの先に……!」
『こんな時』でも少女の万華鏡は曇らず、暗き影を映さない。
気を吐いたユーフォニーが見つめたその先で蟠る闇が動き出している。
――滅びにどうしても理由が必要であるならば
一つは産みの父、全ての根源たる『唯一』を救いたいだけ――
『分かり合えた』七罪――ベルゼーの言葉を思い出したユーフォニーの瞳に力が燃えた。
かくて戦端は開かれる。
事情も思惑も、希望も絶望も、愛も憎しみも全てを飲み込んで――
正面よりぶち当たる両軍は互いを削り取ろうと死力を尽くす『最後の時間』が始まった!
「世界の興亡がこの一戦にありと来たか!
この武蔵の全霊を以て、滅びに抗うものなれば!
いざ征かん! 戦艦武蔵、果ての先まで鉄帝国軍と共に吶喊する!!!」
華やかなりし最後の戦いの鮮やか過ぎる号砲を奏でたのは『歩く戦艦』が如し武蔵であった。
多数の敵を相手に遠慮は持ち合わせず、唯破壊力を前方に撒き散らすのみという初手の戦いは彼女の得手。
戦列を押し上げ、火力を維持する事は覚悟と共に為さねばならならぬたった一事に他ならなかった。
(……思ったより、いや。それ以上に火力が『出る』……!)
猛烈なその砲火が、武蔵に、周囲の戦士達にも影の領域の戦いの本質を告げていた。
この圧倒的不利を否めない敵地は反転と狂気に狭間にある。パンドラが守る限り人類軍はこれに侵される事は無いが、その副産物としての強化は受け取れているという寸法であった。それは状況に比して僅かな希望の光でしかないが、この期に及べば縋れる藁があるだけ上等である。
「行け!」
「背中を押した手前、矢面に立たないなんざ放浪者の風上にもおけんだろ。
それにあの黒尼にも一発かまさにゃ気も済まんしな!」
ザーバに言われるまでもない。
是非も無し。
「ここが完全に敵の領域なら目指すは電撃戦、一気に突っ込むぞ!」
「さぁ、行こうか。正面から、あの絶望を覆してくれる!」
威容に勢いを増したバクルド、汰磨羈の声に応じるように戦士達が各々の手段で正面より迎撃に出た敵陣全てへ喰らいつかんと動き出す!
ゼシュテルを中心としたこの部隊は正面から受けて立つ人類軍の衝力だ。
この戦争の花が活路を開かねば、全ての勝算は文字通りの反故になる!
「思えば随分遠くまできたものだね。戦うことも、守ることも、この世界に来た時よりもずっと得意になった気がする。
だから、真正面から! 正々堂々ぶつかって蹴散らしてやろう!
混沌を守るんだ! 私もその力のひとつにならせてよ!」
「さて、遊びは無し本気で征くとしようか」
「絶対に外れない神託とか言うからこうなるんだ。
天義の人には怒られるかも知れないが――神なんて信用するものか。
俺は音楽に殉ずると決めている。即ち神託で滅ぶなど願い下げ、つまりはここで戦うんだよ!」
シキの誰よりも優しい業(エゴ)が吹き荒れる。
無念無想――千紫万紅にて煌めくラムダの軌跡を従えて、気を吐いたイズマが影の大地を劈く暁光で敵陣を切り裂いた。
「オレは新道風牙! 人の世に仇為す『魔』を討ち、平穏な世を拓く者!
破滅の未来を覆す奇跡の体現者、その一人だ! 覚えとけ!!!」
「突撃じゃ~~~~!」
砲撃支援を背に受けて風牙と抜刀した夢心地が敵先鋒に切り込んだ。
錬度と連携に関しては圧倒的に長じる人類軍の先制攻撃を表すかのようなその切っ先達は、
「暗くていや~んな場所じゃと、皆の士気も落ちるというもの!
盛大にライトアップじゃ。ピッカピカのキッラキラにの。
なにも心配することはないぞえ!
この一条夢心地がいる限り、未来を照らす光は決して失われぬ!
照らして照らして照らしまくりじゃ。なーーーっはっはっは!」
燦然と『輝く』夢心地の『らしい』高笑いとは裏腹に実に鋭く。
「俺はタナトス! 終焉に死を告げし者!
故に、散れ。退け。雑兵ども。用があるのはあの城だけだ!」
「俺には守りたい人達が守りたい世界がある、破滅を受け入れてなんていられない
だから、この場は押し通る!この意思に踏みつぶされる覚悟のある者だけが前に出ろ!」
更に続いたブランシュの一撃は実に絢爛に只管に華やかに、何とも容易く終焉獣を撃ち、同様に只一振りの剣の如く燦然と清浄なる青き光を纏ったヴェルグリーズは自身と打ち合わんとした魔種の腕を手にした剣ごと斬り飛ばしていた。
やられてばかりの敵陣ではない。
数にして互角以上の敵軍は攻勢に出た前のめりな人類軍をやはり正面から襲撃する。
「道を、開くこと! 前に、進むこと!
それはきっと、今――なによりだいじなことだから……!」
広い視野を生かして前衛が囲まれかかるのを阻止に掛かる。
言葉と共に渾身の力を振り絞ったニルの操る混沌の泥が敵の複数体を飲み込んでいる。
妙手に黙っていられぬ者が居る。
多数の勇者を肌に感じて、これ程までにこの場の誰もが滾るなら。
白薊小夜の剣気はいよいよここに冴え渡る!
「これが最後だって言うのなら。
命を賭して影の大地を踏んだのなら――」
――遥かな昔より刀を抱き、斬る事に生きてきた女が遅れてなるものか。
「咲かせて見せましょう。
こうありたいと、誰もが見惚れる薊の花を」
動きを失した敵影を瞬時に放たれた小夜の『桜吹雪』が斬り散らしていた。
見事な連携と攻撃力は鉄帝国の兵達にも伝播した。
まずはぶち当たって押している――押してはいるが――
「――――」
一方でヴェルグリーズは臍を噛む。
数瞬前に斃された終焉獣、更には飛ばされた魔種の腕。
溶けた闇が地面に飲み込まれ、汚れた土が再び『何か』を形成せんとしている。
それが何か良い兆候である可能性は殆ど絶無だ。
(雑兵には必要以上に構えない……!)
戦い慣れた判断はヴェルグリーズに『鎧の魔種』フロスベクトの行方を探させていた。
「第一、先の一戦、忘れたとは言わせる訳にはいかないっすからね!」
アルヤン不連続面の『首』が振れ、戦場全体を見回した。
状況のシステムは分からないが、指揮官個体を叩くのは少なからず有効足り得よう。
出てこないのならば引っ張り出してやるまでだ。
「世界、終わったら困るんすよね。自分にも恋人が出来たので」
あんまりで――尤も過ぎる『扇風機の言葉に』ゼファーは笑う。
「全く、笑ってる場合じゃないってのに!
どうして此処の連中はこうも活き活きとしているのかしら!
……ええ、ええ。どうせ私も同じ穴の貉ですけれど、ねぇ!」
笑って言う。彼女の――彼女の師匠が愛した酷く自由な風のように。
澱みばかりの影の領域を吹き飛ばそうとでもするように軽やかに。
※影の領域での戦闘で空繰パンドラが9018消費されました。
成否
失敗
状態異常
第1章 第2節
●いや、要らず
「まどろっこしいんだよ、フロスベクトの野郎は!」
正面からぶち当たった魔種の軍勢と人類軍の激し過ぎる激突を半眼で眺め、せせら笑うように吐き捨てる者がそこに居た。
多くの人間が『悪魔』を連想するそのフォルムは特徴的であり、その威圧感は魔種の中でも際立ったものだった。
魔種ラーングーヴァ――通称『悪魔の魔種』は果敢なる人類軍の戦いが余程お気に召さなかったらしい。
「見せてやるよ、殺し方ってやつをな――」
彼の率いる一党が新手として正面鉄帝国部隊の側面を突こうとしていた。
だが、そんな事は先刻承知。
乱戦が上等、総ゆる手を見越しているのは人類側もきっと同じだったに違いない――
――騎兵隊である! ここに騎兵隊はある!
総ての力を尽くし、この難局を打破せよ。全ての敵を悉く食い止めよ。
我等が敵はかの城にあり。我等は矛で盾である!
何人もその歩みを阻める者は無いと知るがいい!
「いいとも。最後まで行こう、イーリン・ジョーンズ」
武器商人は変わらぬ様子に思わずその怪しい美貌を綻ばせ、口元に淡い笑みを浮かべてしまう。
何度何回と聞いてきた。その度に戦場に確かな奇跡を灯してきた――
勇壮なその声は敵も味方も慣れる程に聞いた旗持ち(イーリン)の名乗りである。
「敵に正面より当たるのは最強の軍団の仕事。
そうです、わたし達騎兵隊の出番という事ですね!」
「ぶはははッ! まだまだ食わせ足りねぇ腹ペコどもが居るんでね!
『腹いっぱい』を教えるまで世界を終わるわけにゃいかんのよ!」
ココロの言葉に豪放磊落な笑みを浮かべたゴリョウが『乗った』。
彼女の号令が響くという事はこの戦場に【騎兵隊】一同ありを示している!
「たかが不可能程度、押し返せばいいだけの話!
騎兵隊なら割とそういうの慣れっこでしょう?
それじゃ――今回も頭薩摩の連中と行きましょうかね!」
「そうそう、泣いても笑っても最終決戦。何処まで行こうが問題はなし。
最後まで生きて突っ走るだけよ――我ら騎兵隊。魁となりて戦うのみ、ってな!」
バーベに乗った美咲が嘯けば、彩陽の言葉も実に軽やかなものだった。
「守る為に攻めるなという話じゃあ、決して無い訳だ。
守りやすくする為に攻める。非常にシンプルで『いつも通り』だろ?」
美咲より連鎖した彩陽にカイト、次々と繰り出された攻勢が先手を打ち敵の先陣を封殺している。
「そうそう、でもまだこれからだよ」
恐ろしく素早く戦場を俯瞰し状況を確認していた武器商人も然り。
「ん、いよいよ最後だね。
この世界と、ここに生きる人たちを守るために。
行くよ、イーリン」
持ち前の放火力を展開したオニキス、
「騎兵隊先鋒、鳴神抜刀流の霧江詠蓮だ! 魔種どもよ、一暴れでは済まさんぞ!!」
「私の名はレイリー=シュタイン! こっちだって騎兵隊の一番槍よ!」
「騎兵隊が赤備! エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ! さあ、行くぜ!」
更にはその火力を支援に真っ直ぐ勇猛に斬り込んだエーレン、レイリー、エレンシアもまた然り。
「はっ、アタシの役目は言われるまでもねぇ。見敵必殺!ただそれあるのみ!!!」
愛馬フリームファクシの嘶きは名は体を表す勇壮そのものであり、美貌を歪めたエレンシアは目前の敵を叩き切り獰猛に口角を持ち上げた。
「私が立つ限り誰も死なせない。
だから私は最後まで立ち続ける……絶対に神託を終わらせるわ!」
「ああ。つまりこいつをどうにかすれば、この世界も元の世界も守れるんだろう?
実にシンプルだ。好ましい――」
エレンシア、エーレンとレイリー、何れも早速の乱戦で互いの背中を預けるように大立ち回りを見せている。
「アクセルは踏みすぎないように。
まだ序盤だ、こんなところで脱落させるワケにはいかないさ。
片っ端から脚引っ張って轢き回してあげるよ!」
「失礼。敵は正面から来るものばかりだと教わりましたか?」
堂々と先陣を切る者がいるからこそ、雲雀や瑠璃のように幾分かの搦め手で攻める者も生きて来よう。
「……面倒くせえ連中だ」
短く舌を打ったラーングーヴァは正面主力部隊を守る人類側の準備がかなり手厚い事を瞬時の内に察していた。
「お褒めに預かった御様子で」
「みたいだね」
瑠璃に雲雀は連携良く敵陣をかき乱している。
見ての通りの大暴れ。【騎兵隊】の参戦は敵にとっては悲報でしかないが、味方にとっては大いなる朗報足り得よう。
……とは言え、実を言えば『それだけ』ならば一時咲き誇る徒花だ。
良くも悪くもこの戦場は如何な奮戦重ねても、一部隊の存在だけで覆し得るようなものではない。
彼等の奮戦をしても一筋縄では行かぬが故の『最終決戦』なのは間違いない。
【騎兵隊】のインターセプトは正面主力の当座の危機を救ったが、それは総戦力に劣る彼等がその危険を受け持っているに過ぎまい。
「物量で潰せ。影の領域で『負け』はねぇよ」
冷酷にして冷徹なその指令に応じて動く魔種陣営の殆どは使い捨てとも言うべき雑兵なのだろうが、その猛烈な攻勢は只事では有り得なかった。
「おっと! 騎兵隊を崩したけりゃ、まずは俺を落としてみせるこったなぁ!」
「押されたなら押し返すまで。
さあ皆さん、形成不利こそより大きく声を上げて前に進みましょう。
騎兵隊がここにあるぞ、と!」
吠えたゴリョウが敵の猛攻を一身に引きつけ、ココロがそんな頼れる彼を即座に支援する。
「――させませんッ!」
鋭い声を上げたのはそんなココロを空から狙い撃ちにしようとした魔種を見据えたトールだった。
強烈な多数対多数の乱戦は或る意味で前衛も後衛も無い。だが、騎兵隊の最終ラインに陣取った彼はココロへの魔手を見事に阻んで見せている。
「何が起きてもおかしくない――どんな状況になったってきっと『普通』。でも……」
最初から出し惜しみは無く、渾身の力で稼働するフォルトゥナリアは真っ直ぐに前だけを見つめていた。
「どれほどの絶望にも、呑み込ませたりなんてしない! 誰かが立って戦い続ける限り希望はある筈だから!」
早晩に傷付けられたトールが、友軍が彼女の声に強く暖かに賦活されていた。
ラーングーヴァ麾下の猛攻は確かに強烈極まりない。
それは影の領域の影響を受け、強化(イクリプス)状態にあるイレギュラーズですら気を抜けば飲み込まれる濁流そのもの。
『だが、この戦いは決してイレギュラーズだけのものではない』。
そんな単純な事実は最悪の事態にも一筋の光明を届けて続けている!
「負けるな! 一同前に!」
聖騎士団長レオパル・ド・ティゲールの声に一糸乱れぬ白き鎧の騎士達が呼応した。
「我が国が乗り越えた多くの苦難は、きっとこの時を迎えるためにあったわ!
民を救うために!我らが主の願いを成就させるために、戦いましょう!」
レオパルを補佐するように声を上げたアンナの言葉は魔的な扇動じみて居並ぶ猛者達に特別な加護を与えていた。
「『感謝する』」
「いえいえ。これからよ。この場所は絶対に抜かせない。
私がイレギュラーズに選ばれた、その本懐を遂げるために!」
微笑んだレオパルにアンナは強く言い切った。
まさに今、盾持ちの部隊はその膂力と意思の強さで危険極まる終焉獣の爪牙を、魔種達の手管を食い止めんとしている。
より攻撃的に殺傷力の高い兵を集めたラーングーヴァの猛攻を受け止めんとしたのは聖教国ネメシスの正面防衛部隊だった。
猛攻を受けた【騎兵隊】を援護するように白亜の壁が黒い影達を押し込んでいる!
「このワタシの力は今日だけのものじゃない
日々のワタシの、皆のがんばりのたまもの……!
負けないよ。悲しいやつらいはここで終わり――今日は明日を進めるためのその一歩!」
フラーゴラの力ある百花号令(ことば)が仲間達に更なる力をもたらした。
イレギュラーズが奮戦すれば負けじと聖騎士団が動き、そんな友軍を見ればイレギュラーズにも気が入る。
「あなた達と一緒じゃなきゃこんなところに出られやしないわ。
安全は任せたから、火力は任せておきなさいな」
「槌が敵を破るまで、金床が壊れる訳にはいかないわ。
ザマのスキピオばりに上手く行くかは分からないけれど――癒しについては承ったわ」
「護りながら戦うのが僕には一番向いてますからね。
お二人とも、僕に頼って下さいね!」
『火力』たるオデットと、『癒し手』たるルチア、そして乱戦の渦中で二人を防衛する鏡禍。
ルチアの戦争屋としての見識は【鏡花】の三人に実に良いバランスを与えたかも知れない。
「……おっと!」
ルチアを守る鏡禍はまさにこの戦いを本望に感じているし、
「――この泥を喰らいなさいな!」
オディールの嗅ぎ取った危険に渾身の混沌を叩きつけたオデットの威力もまた目覚ましい。
そして素晴らしい奮戦を見せるのは無論、彼等だけではない。
「アーノルド! 力を寄越せ、貴様!
私自らの手で世界を滅ぼさなければ気が済まない!」
ロジャーズの言葉は実に彼女『らしく』破綻したものだったが、重要なのはそんな彼女が無明とも呼べる大壁である事だった。
哄笑と共に立ち塞がる存在感は影の領域の魔種陣営に負けず歪であり、邪悪であり、同時に彼等とは全く違う方向を向く強い意志を持っていた。
「……ッ……!」
味方の騎士団員を庇ったレオパルが態勢を乱した。
これを好機と見たか、一気に前に出たラーングーヴァが空を滑りそんなレオパルを強襲する。
「――レオパル様! 只今援護に入ります!」
鋭く凛とした声と共にサクラの聖刀が閃き、悪魔の魔種のその爪を硬質な音と共に跳ね上げた。
「世界を滅ぼさせたりなんてしない。
今までやってきた事を無駄にしない為にも!
これでも『天義の聖女』だからね。特にこの場は負ける訳にはいかないよ!」
頼もしく少しばかり冗句めいたスティアが不敵に笑った。
如何な強敵を前にしても親友二人は――或る意味で似た者同士に――折れはしない。
唯の一人では荷が勝つ相手でも、イレギュラーズの横には今も仲間が立っている!
「別働隊が道を切り開くまで支え続ける! それが今日の私のお仕事!」
「やるじゃねえか、小娘共!」
スティアの気迫にラーングーヴァが笑みを浮かべた。
「それはどうも!」
一方で見事な連続の攻防を見せながらも、サクラは内心で臍を噛んでいた。
(リヴァイアサンを除けば――或いは同じ位に状況は最悪!
ここを押し込まれたら一気に戦線崩壊もあり得る!
ああ、もう! こんな時にお兄様達は何やってるの!?)
「実に良い戦い振りだ。恩に着る! サクラ、スティア――勇者達よ!」
「そーだよ。勇者だよ。お姫様だよ。そんなのそーに決まってる!」
何とか態勢を立て直し、サクラとスティアに聖なる一撃で加勢したレオパルに茄子子が応えた。
彼等ネメシスの部隊は王にして教皇たるシェアキム・ロッド・フォン・フェネスト六世が遣わした聖教国の矜持である。
なればこそ、いよいよ茄子子は黙ってはいられない。
「終焉とか知るかよ。こんなんに構ってられるかよ!
私の恋はついこないだ始まったばっかりなんだよ!!
これは実質シェアキムとの共同作業なんだよ、ケーキ入刀の予行演習!!!」
決して他が為ではなく、我が為に。
茄子子は身体を張って敵の猛攻を束ねて受け止め、針鼠のようなその棘で敵陣全体に強かな痛みを跳ね返していた。
「もっとだ! 全部寄越せよ。私は太陽を受け止めた女だぞ!!」
襤褸の少女は堪えない。
こんな痛み、シェアキムに振られると思った時に比べれば何でもない。
これから見られるかも知れない結婚式(ハッピーエンド)の参列者を台無しにされてたまるか!
※影の領域での戦闘で空繰パンドラが8016消費されました。
更に猛烈極まる防衛戦で7593が消費されています!(合計15609)
成否
失敗
状態異常
第1章 第3節
●徹底戦闘
「これが最後の戦いね……実感わかないわ…事のあれこれに置いていかれ過ぎたか。
まあ、七罪とはどうにも縁が無かったからな、最後位、齧らせて貰う事にするよ」
サイズの火線が影の領域を緋色に染める。
「覇竜の更に西の果て、こんな所まで来る日は来るとはねぇ……
あそこより酷い環境で……こんなになっちゃう所に、よく住めるものだといっそ感心もするわよ……!」
嘯いた星華が啓示の乙女の如く戦士達の行くべき先を指し示す。
「おら、皆の者よく聞け! アーカーシュのDJ、アンタらの最強のダチ、ヤツェク様のお出ましだ!」
こんな時でも――こんな時だからこそ荒っぽく、主張の強いヤツェクの言葉と角笛に味方陣営が沸き上がった。
戦闘は続いている。
それは長いようで短い。
この決戦は然したる時間も必要とせず、刻一刻とその激しさと深刻さを増していた。
「ンッフッフ♪ 混沌春のPPP祭りや。
滅茶苦茶だけどイクリプスなせいで本来の力だせているな。ならば回復あるのみ!」
的にも先にも困らない――成る程、鈴音の言葉は或る意味での『やりやすさ』と言えるだろうが。
本質はどうかと言えばこの戦いは支援役にとっても決して簡単なものではない。
(私達はまだ、影の領域に踏み込んだばかり。
決戦の場が影の城であるならば――私達はまだ入り口にすら立てていない状態と言えるだろう。
ここで戦力を減らしてしまうようでは神託成就の阻止など叶うはずもないが……
他の仲間としっかり連携を取り合って皆を支えなければな)
ゲオルグの厳しい表情が物語る通り、状況はかなり厳しいものだった。
後方支援がやりやすい――気楽な場合は余裕がある戦場と言うべきだろう。
本来その性質を考えればそうであるに越した事はない。各々の役割がきちんと切り分けられるという事は状況が整理されているという事実に他ならず、統制の取れた布陣は部隊の連携の効力をより高めるのだからそんな事は言うまでもない。
『前座』たる場所がこの有様ではゲオルグの危惧も当然と言うものだ。
「この程度の戦局を乗り越えられずして何が世界平和か!」
だが、アンジェリカは纏わりつく影を振り払うかのように鮮烈と声を張る。
「意地でも立ちましょう、立ち上がらせましょう。
この身の心の尽きるまで、降り止まぬ祝福を与えましょう!」
「ええ、闇に誘われたとしてもこれは醜悪な毒には成り得ない!
優しさの光を貰いましたから、守るためにこそ毒花を咲かせます――」
アンジェリカに応えるように凛然と。ジョシュアとその楽団が無慈悲に敵陣に鉛の演奏を叩き込む――
――見ての通りの、大乱戦。
現況を語るのならばそれであまりに十分過ぎた。
イレギュラーズが参戦した全ての戦いにおいてもこれ程の大規模戦力がぶつかりあった例はない。正面、戦争の花を受け持ったゼシュテル部隊をネメシス部隊が支える形で始まった戦闘規模は敵味方さらなる部隊の動きにより更なる混沌の様相を呈していた。
『鎧の魔種』フロスベクトが陣取ると思われる正面部隊にラサの傭兵隊が食い付こうとすれば、敵の増援がこれを阻みかかる。
一方で『悪魔の魔種』ラーングーヴァはラサにもその矛先を向けんとするが、幻想渾身の精鋭部隊は簡単にそれを許していない。
猛烈な戦いの結果、戦線(フロント)が不定形に歪んでいる。
「こんなところで臆してたらシュペルに笑われるだろうぜ。
まずは城に辿り着く前にも一暴れが必要みたいだし、一つと言わず二つでも三つでもやってやらんとな!」
「この戦いに勝てば滅びの予言は回避されるにゃ?
なら、勝てばいいのにゃ! ここで難しく考えても仕方ないのにゃ!」
「まずはここを突破せねばならない。相手が強大ならば却って燃えるというもの!」
続け様に攻撃を展開した錬とちぐさに、荒々しいまでの闘氣を纏い敵との距離を潰した昴が剛腕で応じる。
「つーか相手イノリちゃんっしょ? やるしかないっしょ?
Case-Dなんてわからんやつが出てくるってんなら、思い出もベストプレイスも焼き尽くすってんなら!
……わはは、まかせとけって! こちとら慎ましき清楚系JKだぜ! パーリィナイトは任せとけ!」
らしく胡乱に秋奈が気を吐く。
「アニキ! 期待させて貰いますよ!」
「テメェの恋愛に俺様使おうたいい度胸だぜ」
『生意気』なルカにディルクが獰猛な笑みを浮かべていた。
「――ラサの傭兵を舐めるなよ終焉!!!」
裂帛の気合を吐くルカの猛撃は幼い頃から彼を知るディルクをしても目を見張るものがあった。
(焦っちゃいるな。だが、良く落ち着いてもいる。ああ、中々戦い慣れたもんじゃねぇか、お坊ちゃまが)
目を細めたディルクの見立ては果たして正解だっただろう。
「これで負けたらこっちがみっともないってもんだからな」
「この何処かに、ままが居るはず、だ
ドラマも居るのだから、一人死地に居るわけではないとはいえ……放っておけるわけがない」
……見つけなければ、助けなければ。今度こそ離れずにいなければ……まま!
嗚呼、エクスマリアはその内心を隠し切るには適していない。
「ドラマの姐さんも、華蓮もあの蒼剣の弟子と秘書だ。しぶとさとしつこさは折り紙付きだろうからよ!」
少なからず幼い美貌に不安の色を浮かべずにいられないエクスマリアにルカが笑う。努めて、笑った。
「『そん位の奇跡、売る程見てきただろ、俺達は』!」
「ええ、針の穴が通ったのなら前進あるのみなのですよ。
思えば、この所ずっと轡を並べている気もしますが」
口にしたのは事実を確認する為だろうか。
ルカの言葉に幽かな笑みを浮かべたヘイゼルの糸が間合いを奔る。
繰り出された反撃を翻弄するように捌いた彼女に黒犬を振るったディルクが一つ口笛を吹いた。
「思えば変な縁だが一理ある」
「ローレットでレオンさんが始めた戦いからずっと――『この』戦いは続いていると言えるのです。
少々お待ちくださいね。どの様な戦場であろうと私は過程も愉しんで参りますので――」
何処まで本気か『友人』の命運が賭かるかも知れない状況にも涼しい顔なのはヘイゼルがヘイゼルであるが故なのだろう。
「ま、流石にROOの時のように直接城内へ乗り込める程都合良くはいかないか。
とは言えここまで運んでもらえただけでも望外、これ以上を望めばラサであっても罰が当たりそうだ」
「ラダ!」
「はいはい、親分。思えばラサってこんな風に友軍になる仕事多くないから珍しい気分だけど」
ディルクの鋭い声を受けたラダは視線もやらずに彼方の敵を撃ち抜き、そして縫い止める芸当を見せていた。
「敵影いっぱい、強力な個体だらけ、やり甲斐ある戦場にゃ!
赤犬の群れに猫が混じってるとか細かいことは気にしない、にゃ!」
「よぅ、赤犬さんよ。
メテオスラークん時にも見たが、あんたは強ぇ。あんたがいりゃ、怖いもんはねぇな。
……なんて、普段なら下っ腹根性で尻尾振るとこだがよ。
俺にもラサにゃ譲れねぇもんがあるんでな。今日はアンタの風下につく心算なんて無いぜ!」
ちぐさが言えば、ルナがぐんと勢いを増し、ディルクより前に先んじた。
ラサの連中は気付けば支援部隊の間近で戦っていたが、それは幻想の部隊も同じであった。
「僕も一緒に戦います。みゃー。無辜なる混沌、絶対に滅ぼさせない……皆と一緒に勝つんだ……!」
「鎧こそ着込んじゃいねーが。
子守……じゃねぇよ。ピンポイント・ガードといえばサンディ様だぜ。
今回もヨユー……とは言わねぇが。バッチリこなしてやろうじゃねーの!」
祝音に続いたサンディの名乗りが鮮烈に敵の注意を引き付けている。
「俺は海洋の民だけどな。
……ま、ソルベ様も今回ばっかりは許してくれるだろ」
「どれだけ神託が回避不能なのだとしても!
全世界がそれを是とせず、抗う為に立ち上がった――私達がそれに応えなくてどうするというのかしら!?」
今日だけは海洋王国ではなく幻想部隊の麾下として参戦したカイトが十分な機動性を生かした遊撃に撃って出たと思えば、戦いのテンションを素晴らしく加速させ続けるアルテミアの銀閃が目前の影を穿って貫く。
「全ての国が団結して一緒に戦ってくれる……ありがとう……!
今の幻想、間違いなく勇者王の息遣いが継がれた国になってるよ!」
「成程、王様が各国を一丸としたと。
勇者王の血を引く方ですからね。随分と頼もしくなられたようで。
……これでは何の言い訳も利かない。ボクもボクに出来ることをするしかありません」
「うん! フォルデルマンが王様として覚醒したんだったらボクも頑張らないとね。
フォルデルマンのため、そして幻想のため。これはもう世界、救っちゃうしかないね!」
ヨゾラの言う通り、チェレンチィの言う通り。これだけのシーンはこの先の人生にも何度も無かろう。
その上で強敵を目の前にする程に上がるセララの意気は留まる事を知らない状態だ。
「……て言うかさ」
強敵は上等、不利な程滾るのは性が故か。
「あのフォルデルマンが一丁前のお口を利いたんだ、応えられないわけねえだろ」
「それに」とは言わず、シラスはちらりと傍らのアレクシアの顔を見た。
【花鳶】を組む最高にして最良のパートナーの蝕む呪いは元はと言えば彼女の兄の反転を端に発するものだった筈だ。
「――危ない人は下がって!」
痛みを抱えながら、取り返しのつかない問題を抱えながら。
それでも今もまだ自分ではなく他人を慮るアレクシアを守る事が出来るのは、自分自身だけなのだとシラスは良く知っていた。
「ここに集った人たちだって、それぞれに未来がある!
誰一人として失わせはしないんだから!」
「同感だよ」
頷いたシラスはアレクシアに敢えて言わない。
(――君もだ。アレクシアもだ)
言わないからこそ、背を守る彼女に報いる為に彼は最高の爪牙となって敵を穿つ。
「難しい局面は承知です。ですが……」
「ええ」
隣で指揮の補佐を執る妻(リースリット)にフェリクスは一つ小さく頷いた。
ノブレス・オブリージュは譲れない。大貴族の端くれとしても――兄のアベルトが幻想部隊の総大将を仰せつかったというのなら、ここでフィッツバルディが成果を刻めなくて何をするというものである。
「フェリクス! 抜かるなよ!」
「……お義兄様は随分とその気のようですね」
「兄上は元々存外に武人気質なのだ」
傍のザーズウォルカは事実上の指揮者だが、名代はあくまでアベルトだ。
幻想最強の騎士は縦横無尽に暴れているが、アベルトの身の安全にも気を配っている辺りが如何にも『らしい』。
……話を戻せば、この戦いは『見ての通りに難しい』のだ。
支援部隊は後方に陣取るべきだが、その後方が『何処にあるのかが分からない』。
敵味方入り乱れる戦場は先述の通り支援を中心に動く深緑の部隊にとっても非常に難しい舵取りを迫る状況だった。
だが、それは関係ない。最早作戦の難しさを語る時はとうの昔に過ぎている。
「故郷――境界(プーレルジール)も。彼女と過ごした鉄帝(アーカーシュ)も。
新しい同胞を生み出す練達も。ファルベリヒトが眠るラサも。天義も、海洋も、幻想も。全部大事な、守るべき混沌で。
そしてなにより、“ワタシ”が“私”として歩き始めた場所は、あの緑の地だから。
共に戦いましょう。果てるまで、満願の先に――この神託が終わりを迎えるその時まで……!」
強力な二重の防壁で敵を引きつけ、傷付いた仲間を賦活する。
「赤犬よりも高く、それはもう――やってやるぜ!
大樹ファルカウからでも見えるほどに! 巫女(リュミエ)がこっちに気付く位にな。
終焉を葬る口火は派手に斬らせて貰うぜ!」
「間に合わなければ文字通り世界が滅びる、っスか?
ビビるな、焦るな……いつも通りに、まだゲームは始まったばっかり!
こんなんじゃ――アイツらに示しがつかないっスからね!」
グリーフの言葉に沸き立った葵の『シュート』が敵の一体を打ち倒し、
「その目に焼き付けろ! ”死神”の姿を! 不可能なんて踏み倒すに限るからな!」
クロバの黒刃が、また一体と終焉の尖兵を撃ち滅ぼしている。
「折角のお祭り。それなら――
さあさ、ひと暴れ……いや、大暴れしてみせなきゃ嘘になるね」
「全力以上じゃなきゃ戦わせてもやらないってか。上等だ、目にもの見せてやる!
派手に鳴らして、聞かせてやるよ。俺の拳で――お前達に終焉のテン・カウントを!」
ジェックの赤い瞳が見開かれ、視界内の敵の全てを見通した。
全覚の奏者の意思を示すは、魂を捻じ伏せ蹂躙する憤怒そのものたる銃身だ。
鉛の衝撃を展開したジェックの弾幕に乗るかのように――肉弾凶器たる貴道の繰り出した必殺のブローが自身に倍する巨大な獣の横腹を抉り取れば、
「通りすがりの怪生物。
渡世の義理は兎も角、だ。最後の祭りとあれば踊らぬわけにはいくまいな。
そんじゃ、喰い放題だ! 請求書はラサにでも何でもつけといて」
次の瞬間には弱ったそれを喰らい倒さんとした愛無の瞳が爛々と輝きを増していた。
「民放も放映されてなさそうな寂れた田舎が偉そうな顔をしているの!
ここもすぐに火の海にしてやるのよ~~!!!」
「「『ちょっとどいてもらうわよ?』」
物言いは千差万別、惚ける胡桃にも飄々とした調子を崩さないヴァイスにも実際の所それ程までの余裕はあるまい。
唯、勢いだけは止まらない。決して止めてはならない。
「――遊撃手は確実な敵を確実に仕留めるものでさ!」
自身をして「みっともない」と称する戦いは、しかしアルヴァにとって最も重要なものになった。
ハイエナの如き戦り方は戦士の矜持にそぐうまいが、戦争の流儀としては一流だ。
刹那毎に鎬を削り、命で命を削り落とすような戦いが焦れる暇も無い程に展開されている。
足を止めたらば敗北だと分かっているから。
人類軍には前のめりに倒れる以外の方法等無いと知っているから。
全てを犠牲にしても最後の刃を、その匕首を影の城に突きつける以外に未来が無い事を知っているから!
おおおおおおおお……!
「宇宙保安官、ムサシ・セルブライト……ここは決して退きません!」
耳を劈くかのような憎悪の声に敢然と立ち塞がる。
「世界を救うためならばどんな事でも――
傭兵ではないが自分は宇宙保安官……! 世界を守る人間としての覚悟と勇気を見せてやる……!」
ブラスターアーマーを身に纏ったムサシは正面から多数の敵を食い止める。
「混沌の興亡、この一戦にあり!
ドラマ嬢に返せてない恩義もある事だしな――今日この日より、オレという脅威を魔種に刻み込んでくれよう!」
破壊の化身の如き鬼気を纏ったウォリアがお返しとばかりにその暴威を以って敵陣を薙ぎ払った。
「こっち来て、色んな縁が出来た。
……数え切れない位に大事なもんが沢山詰まった世界なんだ!
やりたい事沢山あんだよ、俺達はッ!」
声も枯れよと叫んだ零の拳が一撃する。
ざわざわと蠢く影達は当初より幾分かその支配領域を減じていたが……
事これに到れば倒した敵が時間経過で復活している事は十分という程に知れていた。
例えばそれは『あの』ベアトリーチェ・ラ・レーテの権能『暗黒の海』の如く。
人類の連合軍が雑兵を一時押し込んだとて、それは解決にすらならない事は知れていた。
「まだまだいけますよ。長期戦は得意でね」
だが、ベークはその見た目以上に勇壮に堪えた顔を見せてはいなかった。
『意味があるかないかではなくその手を止める者は最初からこの場所には居なかっただけという話なのだろう』。
(あの人に笑顔でおかえりって言ってもらうためにも――皆でローレット(あそこ)に帰らなきゃ!)
乱れる呼吸と傷む身体は飛呂に自身の限界を知らせようとする程だったが、彼はその言葉に聞く耳を持つ心算は無い。
「……くッ!」
「悪魔の魔種 フリック ツマラナイトシタ。
一番堅牢ナ真正面ヨリモ得意ノ殺傷力デ風穴空ケレソウナ側面 狙ッテキソウ」
前方で孤立しかけた幻想の騎士ヨハンセンを独特の調子で述べたフリークライが素早く救援した。
強靭な防御と支援能力は攻め手に優れた彼の動きを俄然良くする。
「助かった」
「いや、気にすンなよ」
にっと笑ったヨハンナが魔術を繰り、迫り来る敵の複数の動きを食い止めた。
「偶然か何か――他人事にも思えないんでな。乗りかかった船だ。精々援護させて貰うとするぜ」
「幻想軍の強さ、見せてくれよ」と笑ったヨハンナ、
「輝くもの天より堕ちなあッ!」
広い視野で援護を見せ「ホントに頼むぜ。応援もしてやるからいいとこ見せろよ、幻想!」と激励する牡丹にヨハンセンは剣で応じる。
「腕が鳴るな、マサムネ殿!
敵は強大だが、身内同士で刺し合うより億倍マシだ。思う存分、俺の歌を叩きつけてやれる――」
「幻想のお家問題の次は世界の命運ってか。まぁ、付き合ってやるさお前にならこの位!」
マサムネの返答に弾正が笑みを浮かべた。
「かかれッ!」
弾正の音色に背を押され、アベルトの号令を受けた幻想の騎士達が再び勢いを取り戻す。
決戦は攻略不可能状況を示していた。
それは確かに不可能な筈だったけれど――どうしてか、それをそう信じている者はこの場の何処にも居ないのだ。
果たして。
尻軽な奇跡(ドラマ)はそんな時にこそ顔を出す。
意地悪で、酷く安直で、救う気なんて無い癖に思わせ振りに――気のせいか、重く何かの歯車が軋む音がした気がした。
いや、強烈な爆音が響いたのだ。彼我の軍勢がぶち当たるこの場より彼方に。
『そして、かのワームホールから乗り込んだ決戦の地の直下で起きる戦闘の正体はそう数が多くない』。
「今日はお祭りだ。リッテラムを思い出す。
あの日は愉しかったなあ。夢のような時間だったなあ」
遂に見つけた匂い(けはい)にソアは夢見心地のようにそう言った。
「ふふーっ、今日はもっとだよね。今日こそは『最後』までやれるよね……?」
戦場の彼方を熱っぽく見つめたソアはそこに『彼』が居る事を確信していた。
「やっぱりね!」
「当たり前だってーの」
破顔を見せたルル家に言葉面だけはぶっきらぼうにリアが応じた。
「恋の戦いをみんなで応援するのがあたし達の盟約。
あんな殺したって死なないような女が簡単にやられてたまるもんですか」
親友への言葉は悪態じみていて同時に信頼と安堵に満ちていた。
「それにしても……ガ、ガブリエル様、こんなめちゃくちゃ騎士を貸し与えてくれなくても良いのに……」
護衛の騎士達が「お供します!」と声を上げればリアは何とも罰の悪そうな顔をした。
「護られるのも伯爵夫人の責務故!
――では我々のお姫様を迎えにいく事としましょうか、リア殿!」
※影の領域での戦闘で空繰パンドラが15698消費されました。
更に猛烈極まる防衛戦で24123が消費されています!(合計39821)
成否
失敗
状態異常
相談掲示板
僕が望む皆に、幸運と奇跡がある事を願って。
【3】で俺も切り札を切らせてもらうぜ!
全部終われば腹はち切れるまで美味い飯食わせてやるから楽しみにしとけぇ!
存外にナルキスの人数が少ないみたいね。
ってことで私はそっちの助太刀に行くわ。フォローに回りますから、決着は任せるわよ。
ここまで来たら滅びも、ハッピーエンドも超えて、完全無欠な結末を目指しちゃおう!
【1】ラスト・ウォー 31人
ロジャーズ、星華、ルナール、ルーキス、ヤツェク、ベルナルド、騎兵隊17人、武蔵、錬、愛無、メイメイ、モカ、零、妙見子、メリーノ、
【2】ジェネラル・ナルキス 8人
ソア、オリーブ、胡桃、フラーゴラ、トール、ジョシュア、夢心地、風牙
【3】キング&クイーン 27人
ヨゾラ、リカ、ドラマ、シラス、フリークライ、祝音、ロド、マリエッタ
【運命砕】
ルカ、新田、クロバ、セララ、スティア、飛呂、ヨゾラ、シキ、リュコス、汰磨羈、サクラ、ムスティスラーフ、ルーキス
【想奏】
ルル家、リア、メイ、アレクシア、牡丹、リュティス
イレギュラーズの先輩にせっかく生かして貰っちゃったんだもの
可能性の力、見せつけてやろうじゃない
ふふ、私の剣がこっちに行きたいわぁ~!と言って聞かないので…
他タグの方も応援しておりますね!
なぜかパス付いているけど気にしないでNUDしてください!
みんなよろしくね!
牡丹殿、祝音殿、リュティス殿、ご協力ありがとうございます!
フリック殿ももしご一緒するようであればよろしくお願いします!
タグの相談場所は↓になりますので、よろしくお願いします!
https://rev1.reversion.jp/room/chat/23922
PASS:NUD
けど、流石にそっちに行くには難しい、ただでさえ何処も危なくって、どうしたって命懸けな戦場だしよ。
だからまぁ、俺の想いの分は全部奥行くやつらに勝手に託す。
……命賭けてもいいからさ、死ぬなよ、全力で祈ってる。
勿論、他の戦場も同じ戦場の奴らも含めて。
…まぁつい前置きしちまったが、俺は【1】で戦う。
他の皆が生きて帰ってくるなら、その戦場をどうにかするぐらいはして置かねぇとよ。……
ナルキスへ向かう人たちも、影の城へ行く人たちも、もちろん、【1】へ向かう仲間達にも、武運を祈ってるわよ!混沌に棲む全員で勝ちましょう
僕は【3】で回復担当予定。
ヨゾラさんから禁書2つ借りてきたから、可能なら【想奏】をテスタメントで支援できればと。
僕自身も非戦やPPPで何かするかも、です。みゃ。
ここがオレの、混沌での最後の戦場と思って! すべてを出し切る!
戦いが終わったら、つづりを練達に呼んで焼肉パーティーだ!
ン。フリック 携行品切札有。(EXA+100)
カナリ回復デキル思ウ。
最前線 支エル予定。
只 【想奏】支援案モアルカラ 組ミ込ンデオク予定。
(そっちメインにするには回復力惜しいのであくまでも上手くいけばいいな、くらいのサブプランだけど)
武運 祈ル。
よう。オレも混ぜてもらっていいかい?
ハイテレパスを拡張するって聞いてな。
非戦なら誰よりも使い込んだ自負があるしよ。
二時間泥棒での自己強化に加えて、てめえらのハイテレパスにテスタメントぶち込んでやるよ。
後まあ魔種が世界の敵にならないで良い世界っつうのはかーさんも喜びそうだしよ。
この世界のルールを変える力になりたい。
わたしは【1】に向かいます。
ルカさま達の目指す未来、想い…わたしも、こちらから、応援させていただきます。
寛治、クロバ、セララ、スティア、飛呂 、ヨゾラ、シキ、参加ありがとうな。
頼りにしてるぜ。
【運命砕】の相談所(想いを託すやつとは別)のスレッドも作ったから良かったら参考にしてくれ。
https://rev1.reversion.jp/guild/885/thread/23923
想いを集めるのも引き続き頼むぜ。
https://rev1.reversion.jp/guild/885/thread/23920
【3】の【運命砕】に参加できれば、と思う。
ルカさんの…ルカさん達の願いが叶ってほしいと思うから。
可能なら僕も尽力できれば、と。
メイ殿、アレクシア殿!ありがとうございます!
勿論大歓迎です!
大樹の精霊としての力、頼りになりそうです!
よろしくお願いします!
元々、隙広げるだの狙うつもりだったんで【運命砕】手伝いに行きたいと思ってる。
『そういう人』に笑顔でいてほしい、なってほしいって気持ちは、わかるしな。
私もお邪魔させてもらってもいいかな?
世界中に声を届けるのでしょう?それなら、大樹の精霊としての力が役に立てられんじゃないかなってね。
ファルカウさんは霊樹を通して世界を見ていたわけだし、その逆だってできるはず!
ルル家君にはファルカウさんの時に協力してもらった借りもあるしね、良かったら協力させてもらえれば!
ありがとう!現在わかってる情報だけで十分だよ。途中経過でもいいから集計したかったの。
行き先表明は現状こうかな?
ワタシはでは【2】に。
【1】ラスト・ウォー 22人〜26人
ロジャーズ、星華、ルナール、ルーキス、ヤツェク、ベルナルド、騎兵隊16人〜20人
【2】ジェネラル・ナルキス 4人
ソア、オリーブ、胡桃、フラーゴラ
【3】キング&クイーン 11人
ヨゾラ、リカ、ドラマ、シラス
【運命砕】
ルカ、新田、クロバ、セララ
【想奏】
ルル家、リア、メイ
ラーングーヴァさん撃破を受けて【2】の方へ移動してナルキスさん相手する予定なの。
こちらにも先に進みたい方いるかもしれぬし。
【騎兵隊】は現状確定ではないけど、大体『16~20人』ぐらいが騎兵隊から参加すると思うわ。前回は16人で更に数人はレベル到達により加わると思うから。詳細人数決まったら、改めて書くと思う。PPP発動が人数とかも未定。
これでOKかしら?
参加先は【2】です。タグへの参加などは追々。
色々と限界ではありますけれど、死ぬつもりはありません。
必ず生きて、全てを見届けてやります!
また今回も行き先人数カウントしようと思う。
なので騎兵隊は今現状で参加予定の人数のお名前を教えて欲しい。掲示板、見た感じレベル参加満たしてなくて参加しないだろう人もいて把握難しかったので。
僕も治癒役に該当するから、【1】は騎兵隊さん達に任せて
僕の行動予定を【3】キング&クイーンに変更するね。
回復役に専念するか、チーム参加するかどうかはまだ考え中です。みゃー。
からの連絡よ。
まずは皆の肌感や行動の宣言に感謝を、大いに参考になったわ。
そのうえで騎兵隊は総力を上げて【1】にて【敵主力を粉砕しつつ、指揮官を撃滅する】ことを目的に行動しようと思う。
その際に「権能封じのPPP発動」を試みて「無限復活」を阻止しようと思う。できるかできないかじゃない。やってみるだけよ。
相談は下記の場所。参加希望はまだ募集中。複数人でのPPP発動を試みるつもりだから。頭数が居るに越したことはないから。気が向いたらよろしくね。
https://rev1.reversion.jp/guild/520/thread/23894
また、装備や携行品も融通するから。欲しいものがあれば連絡をちょうだい。
【個人的な意見】
で、そこで【1】に参加する予定の人の中で「盾、治癒などのサポート役」の人は何人か【3】に回って火力を発揮しやすいようにしてくれると嬉しい。
その穴くらいは私がどうにかするから。
あと、フラーゴラ? リヴァイアサンの大海嘯が狙ったのはイノリであって。【1】の戦場ではないでしょう。
私を焚きつけるのはいいけど。そういうのはちゃんと情報を精査した上で言いなさいな。私じゃなければぷんすこしていたかもしれないわよ(くすくす)
じゃ、まぁ「今回は」こっちを任せて頂戴。勝利への水先案内人は、今回も騎兵隊が引き受けるわ。
前回【5】に行った人たちはみんな【3】でそのまま継続戦闘するという仮定を前提で見ると、火力にかなり偏っていて回復等のサポートが少なめ。
【1】はリヴァイアサンの大海嘯の余波で結構な数吹っ飛ばして"も尚"劣勢っていう状況だから余計にみんな考えちゃうよね。
恐らくこちらはサポート面は足りてて、引き続き火力はもう少し必要なのかも。
ここまできたしいい加減【3】に行きたい人の気持ちは尊重したいけど、どこまで必要かわからないから悩むよね。
とはいえ僕自身のやりたい事もあるし、暫く悩んでどうするか決めるかも。
気持ち的には【運命砕】にのりたいけど、どこも人手が必要そうだしもうちょっとようすを見るね…という意思表明。
ギリギリだがやっと俺が参戦可能になったんでね。
我らグリムゲルデも夫婦で【1】に回らせてもらうよ。
意見を取り入れる、そういう風に読めたので意見させてもらうね
本当に最後の最後だから本人のやりたいことをするべきだと思ってはいるけど、【3】に大人数で大挙するのは【1】【2】の人手が足りなくなってよろしくないなと思う
だから騎兵隊メインは【1】【2】のどちらか、分隊もしくは個人参加など人数調整がききやすいものを【3】に配置するのがいいんじゃないかなって思う
さらにここからは個人の肌感なんだけど……騎兵隊、イーリンさんの目的は依頼の成功だとしても、【1】に行かなくていいの?
リヴァイアサン、大海嘯、縁があるでしょう?気持ちがこもって気合い、入ると思うけど
>ワタシの行き先
人手が足りない所に行きたいな。ずっとそうしてきたし、そのほうがワタシも力を発揮出来るの。
ようやく、これを返済する機会が巡ってきたようですね。
【3】にて【運命砕】に参加します。
「リーゼロッテwith薔薇十字機関少数」にも、お付き合い願いましょう。
というわけで!協力者です!
拙者は【想奏】タグでPPPを使用してハイテレパスを拡張して世界中の人々にパスを繋げます!
今のところリア殿と2人ですが、2人で世界中の人々に声を届けるのめちゃくちゃ無理があるので手伝ってくれる方は大歓迎です!
ただ性質上、PPP使用が前提となってしまうので、それでも良い方だけお願いいたします!
【運命砕】のタグで参加する。
俺はざんげを笑顔にしたい。
だからあいつのアニキのイノリや、その恋人のマリアベルを倒して良しとするなんてのもしたくねえ。
俺が手に入れるべきは、魔王座を叩き返し、滅びの運命を砕き、人類はもちろん、魔種達も生きていける未来だ。
その為のチームだ。
力を貸してくれるなら参加してくれ。
俺のやることは皆から力と想いを集めて、運命をぶち壊すよう試みる事だけだ。
正直、直接的にイノリやマリアベルの相手をする事は出来ねえ。
アイツラもただ見てるだけって事ぁねえだろうからな。
できりゃあアイツらにも協力してほしいが、そっちは未知数だ。
だからアイツラを直接叩いて納得させたり、力と想いを集める隙を守ってくれるやつがいるとそれも助かる。
もし良かったらタグには参加しねえ、あるいは出来ねえってやつもプレイングに想いを記載してくれ。
そいつは多分、力になるはずだ。
あと、協力者の力を借りて世界中に声を届けて、世界中から想いと力を集めようと思っている。
そっちについても良かったら知り合いに宣伝してくれれば嬉しい。
https://rev1.reversion.jp/guild/885/thread/23920
ここに記載してもいいが、直接プレイングに書いた方が効果的な気はするが、判断は任せるぜ。
何もかもぶっ倒して、ハッピーエンドどころかグランドエンドを迎えようってんだ。
それぐらいやらなきゃあ、だろ?
ということで3章のキングとクイーンは、最初の節と最後の節の合計になるので、31名ですね!
他の方がどうする予定かはわかりませんが、この31名はおそらく今からどこか別のところに行くことはないと思って良いかと思います。
ナルキスのところにいらっしゃる方もおそらく同様でしょう。
となるとラスト・ウォーの人数配分をどうするかというところですが。
ぶっちゃけここは何人残れば十分かは何とも言えないですね。
ただ多すぎる人数が移動すると厳しいかなという印象です。
あんまり具体化した人数を言うと他の方の動きを縛ることになるかも知れませんので、そこは言えませんが。
確実性も全然ないですし。
以上、個人の所感でした!
第三章の参加者を流し見た限りでは(選択肢が異なるので大まかな感じですが)ラスト・ウォーの戦場に55名くらい、ナルキスさん取りに行ったのが25名ほど、キング&クイーンのところは5名くらい。25名が流しすぎて戦場がどこだったのかうろ覚えになってしまっています。
K&Qにはもう少し人が集まるかもしれませんが、ラスト・ウォー55人体制で劣勢というのはどうしてよいやら。長引いても個人個人のパンドラが大変ですし、速攻でナルキスさん含め指揮官級を落として【1】の難易度を下げる……無理かなあ……(
【騎兵隊】
からのお願いよ。この最終局面において、人数配分をどうするか非常に悩ましい状況になってる。
そのうえで、何処に何人くらい必要だと思うというのを、皆の肌感でいいから。なんとなくでいいから伝えてくれると嬉しい。
それを考慮した上で方針を決定したいから。
よしなに頼むわ。
【1】予定。
魔王座、嗚呼、理解した。
私がアレに執着するのは。
我々の父よりも父らしい有り様か……。
僕も僕にできることを、最後まで頑張る。みゃ。
現時点では【1】ラスト・ウォーに行く予定。
場合によっては変更するかも。
僕は【3】キング&クイーンで行動予定。
全力で戦うよ…!
No Blood、No Bone、No Ashだっけか。
よく言ったもんだぜ。
オレはまだ燃え尽きる気はねえがよ。
つっても対ナルキス戦力は結構あるし、ソア達が惹きつけてくれてるんで、隊員を引き受ける形だ!
敢えて数を抑えてる3の支援役が狙われねえようにする感じにしたぜ!
アルムや愛奈達を狙わせやしねえぜ!
この分なら、対軍勢も、第二戦域も、きっと大丈夫かしら。
なんとかここを乗り切りましょう!
できれば、皆で影の城に殴り込めたら良いんだけどね……。
あと、微力ですがヒーラーが出来る人に【4】に行って貰いましたので、どうにかなるといいんですが……
https://rev1.reversion.jp/scenario/show_playing/10856/18348?key=d2c2b6a9
【1】対軍勢(攻勢) 17人
メイメイ、ベルナルド、ちぐさ、イーリン、武器商人、彩陽、オニキス、美咲、エーレン、アンジェリカ、ウルズ、カイト、ジョシュア、イズマ、錬、サンディ、武蔵
【2】対軍勢(防衛) 16人
セレナ、愛無、星華、フォルトゥナリア、雲雀、レイリー、幸潮、ゴリョウ、志屍 志、エレンシア、リカ、ロジャーズ、グリーフ、オデット、ルチア、鏡禍
【3】対軍勢(支援) 4人
ヤツェク、弾正、祝音、アルム
【4】第二戦域へ 11人
ソア、トール、プリン、フラーゴラ、夢心地、カイト・シャルラハ、ニル、風牙、沙耶、アーマデル、フリークライ
【5】影の城 13人
飛呂、シラス、ヨゾラ、すずな、ドラマ、リア、レジーナ、ルル家、アンナ、ルカ、マリエッタ、高道、ベネディクト
ン。現状ヒーラー フラーゴラ一人ミタイダカラ。
モウ一体追加シテオケバ 動キヤスイカナト。
ヨロシクネ。
支援は任せてね!
まぁ僕が出せるのはヒレなんですが……
GMコメント
YAMIDEITEIっす。
お待ちかね、ラリー決戦です。
プレイングには詳細なルールが決まっておりますので必ず守って記載するようにして下さい。
●依頼達成条件
・Case-Dの顕現阻止
※完全顕現した場合、混沌以下全ての世界が滅び、ゲームオーバーとなります。
●ワーム・ホール
『黒聖女』マリアベルの作り出した人類圏への侵攻路。
おかしな前例を作った華蓮ちゃんとドラマちゃんがいたせいで、パンドラの奇跡でとんでもない横紙破りを食らった結果、逆侵攻ルートにされました。
ここを通過するのにもパンドラを消耗します。
本シナリオはここを通過して『影の領域』に到着したシーン以降を描く事になります。
●影の領域
終焉(ラスト・ラスト)、人類未踏の魔種の勢力圏をそう称します。
薄暗く日の光が弱く、植生等の生態系も歪んでねじくれた『魔界』のような場所です。
混沌と地続きですが、まるで違う法則に支配されているようで此の世のものとは思えません。
また影の領域は原罪の呼び声のスープのようなもので、多くの人類に以下の影響を与えます。
・何時反転してもおかしくない
・イクリプス全身図の姿に変わり、戦闘力が強化される(姿はそのままでも可)
本来ならばここで戦う事は困難です。反転や狂化を免れる事は難しいのですが……
●空繰パンドラ
今回は皆さんの代わりにざんげが有する空繰パンドラが使い続ける事で致命的な悪影響を防いでいます。逆に言えば空繰パンドラは皆さんが共有する有限のリソース、即ちHPとなります。
空繰パンドラによる奇跡の支援は戦闘中別の事にも使われる場合がありますが、使用すればする程余力は小さくなる性質です。
ざんげに何をして欲しいと頼む余裕は無いので、ざんげがある程度自分で判断します。
しかしながら彼女は皆さんを見捨てたりはしないでしょう。(目的の為に小を殺すジャッジはあまり出来ません)
●影の城
イノリとマリアベルが存在し、Case-Dが顕現しようとしている決戦の場です。
西洋風の城で、魔種陣営の本拠地。3/18現在、一章では到達出来ません。
●敵
影の領域辺り一帯には膨大なまでの低級魔種、終焉獣、アポロトス、或いは何でもないなりそこないが跋扈しており、中心部である影の城に到達しようとするなら非常な困難が立ち塞がり続けるでしょう。
多くが雑兵ですが、強力な個体もちらほらといます。
特に以下の個体はかなり強力な魔種で謂わば指揮官個体なので注意が必要です。
・ナルキス
スチールグラードはリッテラム攻略戦で登場した強力な魔種。
飄々としたタイプでかつて会敵したシラス君曰く「リッテラムでバルナバスの次に強い」とのこと。
何処にいるかは分かりません。
・『鎧の魔種』フロスベクト
スチールグラードはリッテラム攻略戦で登場した強力な魔種。
ワーム・ホールより攻め入った先で会敵する魔種軍勢を率いています。
・『悪魔の魔種』ラーングーヴァ
スチールグラードはリッテラム攻略戦で登場した強力な魔種。
同様に魔種軍勢を率いており、人類軍を挟み込むような形で猛撃します。
●友軍
オールスターです。
・ゼシュテル鉄帝国の正規軍
指揮官のザーバ・ザンザは全軍の統括も兼任します。
世界最強の軍隊に相応しい精強な軍勢です。
・聖教国ネメシスの聖騎士団
聖騎士団長レオパル・ド・ティゲールに率いられた部隊。
攻防一体で回復支援も可能な前衛主体。継続戦闘ならおまかせあれ。
・幻想精鋭部隊
ザーズウォルカとイヴェットに率いられた例外的に有能な連中です。
幻想には大変珍しく戦えるものが揃っており、ヨハンセン・ヴェイルシュナイダーという騎士の顔もあります。
・赤犬の群
ディルク・レイス・エッフェンベルグ率いる傭兵団。
クライアント(かれんちゃん)がこっちにいる以上、面を出すのは当然の事!
・深緑の癒し手達
幻想種の中でも勇気のある者、支援の得意な者達が有志で集まりました。
彼等の多くは誰かと争う事を嫌いますが、今回ばかりは戦って勝ち取る覚悟を決めたようです。
イレギュラーズを除く全軍の士気はザーバ・ザンザ将軍がとり、レオパル・ド・ティゲールが補佐します。
部隊以外の個人についても腕自慢の連中もきっと許される範囲で参戦している事でしょう!
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
今回のシナリオに関しては普段に比べ死亡率が高いです。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
●情報精度
このシナリオの情報精度はEです。
無いよりはマシな情報です。グッドラック。
●重要な備考
他シナリオとの時系列関係はラリーである以上、どうしようもないので考慮しない方向となります。
選択肢の中から自分の行動に近いものを選択してプレイングをかけて下さい。
又、オープニングには特に記載されていない人間が参戦している場合もあります。
プレイングをかければ登場するかもしれません(しない場合もあります)
本シナリオは返却時等に空繰パンドラの総合値が減少し続けます。
空繰パンドラの残量が0になった場合、事実上の敗戦が濃厚になる可能性があります。
空繰パンドラの減少は本シナリオ以外のシナリオ結果にも左右されます。
尚、一章時点で影の城に到着する事はありません。
但し、選んだ選択肢によってその後のシナリオでの状況が変化する場合があります。
さあ、正念場です。
難易度? 知らない子だなあ。
た、戦うぞ。宜しくお願いいたします!
任務方針
イレギュラーズは独自判断を許されており、任意の形での作戦参加が可能です。
この作戦における自分の動き方の方針を以下の選択肢1~3の中から選択して下さい。
【1】ラスト・ウォー
大海嘯の余波でほんの少しだけ押し返しましたが、非常に劣勢です。
魔種の軍勢は指揮官個体以外は復活し続ける為、支える側の余力は限界に近付いています。
しかし、この敵の軍勢を最後の瞬間まで食い止める事は混沌存続の絶対条件なのです。
【2】ジェネラル・ナルキス
世界の破滅を目の前にしても魔種ナルキスは気負っていません。
バルナバス麾下最強の男は、目の前の敵と最高の闘争をする事を最大の目的としたからです。
彼はイノリに然して忠実ではありませんが、貴方達が彼を倒せなければ神託阻止は恐らく失敗するでしょう。
【3】キング&クイーン
影の城でイノリとマリアベルを倒し、混沌を救います。
神託の成就は目の前と思われます。魔王座(Case-D)が顕現した場合、その瞬間にゲームオーバーになります。
イノリとマリアベルを倒しても止まる保証はありませんが、その意志を挫かずして神託を阻止する事は不可能でしょう。
【4】
【5】
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