シナリオ詳細
    深海リゾート・竜宮の湯
  
オープニング
●
「温泉が出たの!」
 と、ニコニコというのは、マール・ディーネーちゃんである。
 『あなた』たちが招待されたのは、シレンツィオの深海に存在する海底都市、『竜宮』だ。
 竜宮は、まるで夜の繁華街のような風景の広がる不思議な海底都市である。その成り立ちの解説は別に譲るが、とにかく、そんな海の底で――。
「温泉が出たの!」
 という、ことらしい。
 温泉。それは、心と体安らぐ癒しのスポットである。
 マールが言うところによれば、竜宮の土地開発の一環で温泉を掘り当てたのだという。
 面白いことがあれば、騒がずにはいられないのが竜宮の民である。あれよあれよという間に開発は進み、ここに巨大リゾート施設、『深海リゾート・竜宮の湯』が爆誕したのである!
「イレギュラーズの皆さんは、最近は大きな事件続きで特に大変でしょうから」
 と、メーア・ディーネーが言う。
「今日は貸し切りで、皆さんにゆっくり休んでもらいたいと思いまして」
 どうやら、今日は貸し切りで温泉施設を堪能させてもらえるようだ。
「それじゃあ、お姉ちゃんと一緒に施設を案内しますね。ついてきてください」
 と、メーアが言うので、『あなた』たちはこくりとうなづいた。着物で温泉女将風のいでたちのマールとメーアのあんなに従ってみれば、例えばこんな施設がある。
 まず、あなたの前に広がったのは、近代的なホテル風のロビーだ。フロントがあって、どうやらここで受付をして、浴衣やお風呂用具を借り受けるらしい。
「温泉というか、ふくごーしせつ? を目指してるらしくてね」
 マールが言う。
「いろんなのがあるよ! 一日だけじゃ回れないくらいに!」
 楽し気に笑うマールは、宝物を見せて回る子供のような元気さだ。
「でも、まずは温泉ですよね。こっちです」
 メーアに連れられて行ってみれば、まずは室内温泉がある。オーソドックスな温泉から、濁り湯、打たせ湯といったものがあり、ミストサウナやロウリュの楽しめるサウナも存在する。
「ここでは、職人さんが焼いた石にアロマ水を垂らして、リラックスした気持ちの温風ロウリュを楽しめるんですよ」
 バニーさん(男も女も)がにっこりと笑って手を振る。サウナ担当の方なのだろう。
「もちろん、露天風呂もあるよ~」
 奥の扉をマールが開いてみれば、そこには竜宮の空が一望できる露天風呂があった。竜宮の空は、厳密には海底であるが、光を放つ深海生物があちこちで輝いていて、まるで星空のような柔らかな光景を描いている。露天風呂は、そんな雰囲気たっぷりのスポットで、複数の湯舟があり、大勢でも、少数でも楽しめるだろう。
「それから、温泉……とは違うのですが。温水プール設備もあります」
 温泉から出て向かってみると、今度は明るいライトで照らされた温水プール設備があった。広大な其れは、流れるプールとか、波打ち際をイメージして波の出るプール、大きなウォータースライダーなどもあり、まさに大型プール施設そのままといった様子だ。
「もちろん温泉なので、この時期でも温かく遊べます。空調もちゃんとしてますよ。
 ああ、ただ、温泉もプールも、基本的には、どちらも水着を着用してくださいね。その代わり、男女分け隔てなく楽しめるようになっていますから」
 混浴というか、男女一緒に遊べるようにする代わりに、水着は着用してもらう形のようだ。
「ただ、要望によっては、女性だけ、男性だけで温泉を、というのも受け付けますので。気軽におっしゃってくださいね」
 ある程度柔軟に対応はしてくれるらしい。頼んでみるのもいいだろう。
 さて、温泉&プールエリアから離れて、綺麗に整えられた廊下を行く。あちこちで観葉植物などが飾られたそれを行くと、今度は大きな休憩施設が現れた。
「温泉に浸かった後は、こちらでのんびりと休憩できます~」
「ここは仮眠スペースで、のんびりお昼寝とか、練達の映画鑑賞とかができるよ~」
 体を包み込むようなふかふかの椅子に座れば、すぐに眠気がやってくるだろう。寝っ転がったままで、練達で上映されている映像作品なども楽しめるようだ。
「おなかがすいたらこっち! いろんな国の料理が楽しめる食堂!」
 マールに手を引かれていってみれば、広い食堂がある。バイキング形式で好きなものをつまんだり、料理を注文すれば大抵のものは出てくるようだ。力の入れようがなかなかすごい。
「こっちはゲーセン! 練達と協力して、再現性東京なんかのゲームも持ってきてもらったの!」
 休憩エリアにはアーケードゲームの類も置いてあった。少し古めかしいのが、何とも風情というものを醸し出している。とはいえ、どうやら最新のゲームもあるらしく、どんな人たちでも楽しめるだろう。
「あとは、最初に案内した個室もあります。
 和室、洋室。複数人から二人きりまで、人数にも対応していますから、のんびりしたいときに使ってくださいね」
「あとは――んー、屋上かな?」
 と、マールが言う。果たして屋上へと行ってみれば、日本庭園風の装飾の施された屋上から、満点の『竜宮の空』が見える。まるで星空の中を歩くような幻想的な風景が、あたりに広がっていた。
「ここも休憩スペースといえばそうですけれど。ちょっと静かに、雰囲気良く落ち着きたい、という方のための場所になっています」
 なるほど、ここなら、少しばかり静かに楽しめるだろう。日頃の疲れをいやすには、もってこいかもしれない。
「というわけで」
 最初に通された和室に戻ってくる。一回りするだけでもだいぶ時間がかかったが、なるほど、この施設には、丸一日……いや、しばらく滞在しても飽きないくらいのアクティビティがありそうだ。
「今日は貸し切り! それから特別に、あたしとメーアも一生懸命働きます!」
「といっても、少しこの温泉に、竜宮の祈りの力を二人で注ぎ込むだけなのですけれど。
 その分、皆さんもしっかり休めると思います」
 そう言って、メーアも笑った。どうやら今回は、心行くまで休めそうだ。
「どうか、日頃の疲れを落としていってくださいね」
 そう言って笑う、メーアと、マール。
 そんなわけで、あなたたちの休日が始まろうとしていた――。

- 深海リゾート・竜宮の湯完了
- 日頃の疲れを温泉で癒しませんか?
- GM名洗井落雲
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2024年01月09日 23時10分
- 参加人数105/∞人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 105 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(105人)
サポートNPC一覧(11人)
リプレイ
●ある休日
 さて、複合温泉施設である――ということだから、多くは語るまい。
 そこにはレジャーがあり、温泉があり、夢があり、休日があり、癒しがあり、喜びがあるのだ。
 というわけで、さっそく温泉から覗いてみよう――。
「常連になるぞ!!!」
 ぽーん、と飛び出していったのは仙狸厄狩 汰磨羈である。
「いいのか!? マール、メーア! 今日は欲望のねこになっても!」
「うん! 日頃から大変そうだから、思う存分にたぬたぬしてもいいよ!」
「よし! 今日は許す! 許さないけどゆるす! というわけで、洗いっことかしてもいいのか!?」
「お、お背中お流しします、というやつですね……頑張ります!」
 むん、とメーアが両手を握る。
「いいのかな……こんな天国を味わって……」
 ねこがだらぁんとした様子でだらぁんとした。いいのである。みんなはそれだけ、辛い戦いを勝ち抜いてきたのだから。
「酒風呂。これは飲んでいいのか?」
 と、ほのかにアルコールの香り漂う湯舟の中で、恋屍・愛無は小首をかしげる。無論飲んでいいわけではないし、酒風呂といっても酒百パーセントというわけではない。
「ダメなのか。人間はわからないが、郷に入りては郷に従う怪生物だからな、僕は。
 はー……とろける……そうだ、この湯を後でしーてーおんなに持って行ってやろう。きっとあるこーると僕の粘膜で良い出汁が出ているに違いない」
 こまりますし、しーてー型から変更する予定はありません。
 さて、酒といえばこの人、ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤである!
「お酒のお風呂でございますわ〜〜〜〜!!!」
 どばん、と貸し切り状態の酒風呂に飛び込むヴァレーリヤ。
「わー! すごいね! ヴァリューシャ! お酒のお風呂なんて初めてだよ!」
 と、それをほほえましそうに見つめるのはマリア・レイシスだ。おそるおそる酒風呂に入って、ヴァレーリヤの隣に座ってみれば、なるほど、通常の温泉よりも、なんだかポカポカするものだ。
「ふふ、これも日ごろの行いですわね。ねぇ、マリィ。この後は露天風呂のほうにも行ってみましょう?
 おっきな窓からも見えますけれど、星空が綺麗ですわよ」
「ほんとだ! 海の底なのに、不思議だよね……!」
 どこか幻想的な星空に、二人は自分たちの姿をかたどったような星々を見つける。それがたまらなく楽しい。海の底は静かだった。辛いことも、悲しいことも、静かに飲み込んでくれるように。ふと、寂しくなったマリアが、ヴァレーリヤを抱きしめた。
「……ごめんね。ちょっと辛くなってしまって……。
 君と一緒にここまで来られて良かった。
 大好きだよ。ヴァリューシャ……」
 そういうマリアに、ヴァレーリヤは優しく微笑んでうなづいた。
「……もう少しだけ、こうしていましょうか。
 色々なことがあったけれど、ここまで一緒に来られて良かったですわね?」
 きっと、二人でここにいられることは、素敵な奇跡に間違いなかった。
「酒湯、どんなお酒が使われているのかしら?」
 長月・イナリにしてみれば、温泉の効能や水質などのほうが気になるのだろう。説明書きをうんうんとうなりながら目を通す。
「ははあ、再現性東京の酒造から仕入れているのね。ということは日本酒。え、来年は再現性フランスのワインに切り替わるの?」
 ふむふむ、と楽しげに笑う。
「ちょっとサンプルを持ち帰りましょ。あっちの温泉の泉質も気になるし……温泉に浸かるのは、一通りチェックが終わってからね」
 これもまた、休日の楽しみ方だ。
 近くの露天風呂では、郷田 貴道が静かにその身を湯船につからせている。
「はー……」
 日頃の疲れを吐き出すように、息を吐いた。持ち込んだ酒のセットを、ゆっくりとあおる。
「どいつもこいつも何を急いでくたばってんだか……ま、俺が言えた事じゃねえか」
 どこか寂し気に、貴道は言った。それから、くく、と笑って見せる。
「見てろよ馬鹿ども、ハッピーエンドで終わらせてやるよ。
 エンディングに出損ねた事、あの世で後悔してやがれ」
 それは、決意とはなむけに間違いなかった。
「ひたすらに疲れたっす」
 貸し切りの、小さな露天風呂の湯舟につかりながら、ウルズ・ウィムフォクシーは静かにそうつぶやいた。ここは静かだ。周りの喧騒なども聞こえないくらいに。ここにあるのは、ウルズと、星空と、湯船だけ。
「激戦に次ぐ激戦で、先輩達を何人も失って……」
 その言葉に応える者はいない。ただ、胸の内に思い起こせればいい。
 ――後輩だって、騒がしくて元気なばかりじゃない。
 今日は、静かに。
 きっと、明日からまた、元気な後輩に戻れるはずだから。
「星が見えるんだな」
 ムサシ・セルブライトが小さくつぶやく。上空のそれは、ムサシの知る星とは違っていたが、それでも記憶の中の星々に負けないくらいに美しい。
 ふと、父と母のことを思い出す。元の世界では、自分のことを心配してるのだろうか? 湯舟の中に視線を落とせば、戦いで傷ついた体が目に入った。コンバットスーツに身を包んでいても、耐えきれないほどのダメージは体へ確実に傷を残す。
「それでも」
 どれだけ傷つこうとも。危険が待っていようとも。
 イレギュラーズとして。宇宙保安官として。ヒーローとして。
 俺は、止まりはしないから。
 そう、星々に強く誓う。
「激動の時代だな……」
 天目 錬が、露天風呂につかりながらそうつぶやく。戦いは激しく、そして深くなっていく。
「戦士にも休息が必要だな。ま、俺は職人なんだが!」
 職人といえども、休みは必要である。今はゆっくりと、その羽を伸ばしてほしいものだ。
 露天風呂で見上げれば星空。もちろん、本物の空ではなくて、投影されたプラネタリムのようなものだったり、あるいは深海魚の発する光で作られた、海の底に作られた星空だ。
 でも、見上げれば、自分のいた世界のことを思い出す。雪風も、どこかそんなことを思いながら、空を見上げる。
「みんな……おわりました……」
 元の世界の仲間たちのことを思い出す。この世界でつけた決着。世界の悪性を切除できたことを。
「……報告に戻るのは、もう少し先になりそうです。その時は……」
 その時まで、見守ってくださいね、とつぶやく。仲間たちの笑顔が見えたような気がした。
 フローラ・フローライトは、湯船につかって、ぶくぶくと泡をたててみる。
 ほんの短い時間で、あまりにも大きなことが起こりすぎた気がした。クロリス。家族の名前。クローリス。敵の名前。
 家にいては落ち着かなくて、温泉にやってきたけど。それでも、どこか心の中はぐるぐるしていて。屋敷の皆にも、心配されてしまって。
「……ダメですね、クロリス」
 言葉に出してみる。こういう時は、彼女がすべてを世話してくれていたことを思い出した。初めて会った時から、貴方は優しかった。歳が近かったから、わがままを言ってしまうことも多かった。でも……。
「……はやく、起きて。お父様の残したワイン、一緒に飲もうね」
 決意とともに、フローラは、愛する家族のことを思い起こした。
 八重 慧は竜宮の星空を見上げながら、
「なんか竜宮、どんどんパワーアップしてますねえ」
 苦笑するようにつぶやいた。見上げる星空は、深海魚やクラゲのようなものたち営みが描く、深海だからこそ見ることのできる、一期一会の星空だ。
「あれが一つ一つ、命の輝きですか。どんなものがいるのでしょうね」
 それに想いを馳せれば、とても楽しい気持ちにもなる。
「……もうちょい平穏になればなあ。
 故郷の同僚やらお師匠さんやら、主さんもここに呼べるかもしれないのに」
 戦いはまだ続く。だが、きっと皆の働きがあれば、そんな日も必ずやってくるだろう。
 ラムダ・アイリスは、何となく視線を感じている。招待されたイレギュラーズたち以外にも、一般客がいないわけではないが、そういった一般客から見れば、ローレットは英雄である……。
「そういう視線じゃないだろう」
 と、言ってみればごもっともである。ラムダはスタイルがいい……性別はないのであるが。
「まぁ、いいか。竜宮の星空というものも、綺麗だ」
 日頃の疲れを落とすように、深く息を吐いた。その姿がまた絵になる……というか、着ている水着が煽情的すぎるのでは?
 その近くに視線を移せば、のんびりと湯船につかる火野・彩陽の姿も見える。今日は休日。しっかり日頃の疲れを落とそう。そういうわけで、ぼんやりとしながら、暖かな温泉を楽しむわけだ。
 ほかに視線を移してみれば、設えられた長椅子に座って、外気浴を楽しむ亘理 義弘の姿がある。言ってしまえばやくざ者、元の世界では、こういった複合温泉施設に入るのはお断りされてしまう立場の人間だ。
「カタギに迷惑かけるつもりはねぇが、しかし、こうしてのんびりと温泉に入れるのはありがたいことだ」
 ふぅ、と息を吐く。質実剛健としたからだから、温泉の残り湯気が漂っている。これが冷えたら、また温泉に浸かろう。今日は久しぶりに、ゆっくりできそうだ。
 エマ・ウィートラントといえば、シャンパンタワーなんぞを眺めながら湯船につかっている。従業員の方にご用意願ったわけだ。シャンパンはいりまーす、といつもの様子で声を上げるバニーさんたちは、温泉施設でもやっぱり竜宮の人たちのノリであった。
「くふふー、ああ、癒されんすねぇ……」
 はふぅ、と息を吐けば、ほんのりとアルコールとともに呼気が宙に舞う。それがまた、酔いを加速させるようだった。
 毒島 仁郎も温泉に入っているわけだが、頭の紙袋は外さない。俺は防水加工なので温泉でも大丈夫なのだ! というわけで、仁郎はいつもの様子です。
「ぽぽ魅さんはいつものように私の側にいることでしょう。
 ムフフ、超常存在とは言え、美人と寄り添ってお風呂なんて……私、後でハッスルしちゃいそう!」
 なにをハッスルつもりなのか……なんにしても、個室休憩所で仲良くしてくださいね。
「……」
 リディア・ヴァイス・フォーマルハウトは、湯船につかりながらぼんやりと空を見上げる。誰かと過ごすつもりでもなかったので、水着は地味な紺色のワンピースだが、それゆえにどこか、心も落ち着いているのかもしれない。
 星空を見上げれば、これまでの戦いで命を落とした仲間たちのことを思い出す。わずかに目じりが熱くなるのを感じたリディアは、温泉の水で顔を洗ってごまかした。
「今は、ゆっくり……」
 休もう。心も体も。そう考えながら、それでも仲間たちのことを思わずにはいられなかった。
「ふふー、負けた方がなんでもひとつ言うことをきくんだからね?」
 ソアがサウナでそういうのへ、マルベート・トゥールーズはうっすらと笑って見せる。
「ふふ……今からソアに何をさせるか楽しみだよ」
 どちらから言い出したのか、気づけばサウナで我慢大会となっているようだ。好い子はマネをしてはいけない。
 さて、状況といえば、マルベートはまだ余裕そうだが、ソアはいささか辛そうだ。
「ねえねえ、マルベートさん? 無理をしたらディナーだって楽しめなくなっちゃうよ?」
 そういうソアの頬は、すでに真っ赤だ。とろんとした瞳でマルベートに寄り掛かる。ふぅ、とマルベートは笑って見せる。
「無理はよくないよ。ひとまず出ようか」
 はたから見れば、これはソアの負けだろう。どこか色っぽく脱力したソアを抱いて、マルベートはサウナを後にした。マルベートも結構つらかったのは、ここだけの秘密。
「どうも初めまして父ことムラデン様〜お隣失礼いたしますねぇ〜」
 と、突然サウナでムラデンの隣に座ったのが、ヴィルメイズ・サズ・ブロートである!
「いや、父ってなんだよ!」
 当然のごとく反論するムラデンに、ヴィルメイズは、
「えっ!? 母こと妙見子様の婿養子になられると聞いたので、私の父になるのではないでしょうか?
 おやおや! あまりに私が美しいからと言って、そう照れないで下さい。自分より大きい息子がいても良いではありませんか!
 なにせ多種多様性の時代ですからね、家族の在り方だって色々ございますとも。
 ちなみに妙見子様には微塵も血の繋がらない息子娘がウジャウジャワラワラおりますので、きっと楽しい家庭になるかと存じますよ。
 今後とも、どうぞよろしくお願いいたしますね!」
 ぐっ、と手を握って、ヴィルメイズがニコニコと笑う! あの竜種であるムラデンが圧されていた! どこから反論すればいいかわからない!
「井さんって」
 ルーキス・ファウンがサウナ室で井に声をかける。
「性別不明だったんですね……」
「そのほうが夢が……ありますからね……」
 井が言った。そんな理由でいいのか。
「熱さを我慢するなんて修行みたいだな……」
「わかります。もっと厳しくされたい……」
「どっちが長く耐えられるか競争、と言いたいところですけどやめておきましょう。本当に死ぬかもしれないので」
「そうですね! 倒れないうちに出ましょう!」
 ぎゅるん、と井が回転して、そのまま倒れた。
「あつぅ……」
「うわぁ、早くでましょう!」
 ルーキスが、井を抱えながら飛び出していく……。
 そんな大騒ぎの隣で、ボディ・ダクレが心行くままにロウリュの熱風を受けていた。ふー……と息を吐いて、ゆっくりとサウナを出る。そのまま水風呂に入り込めば、体中の感覚が研ぎ澄まされるような思いがするものだ。
「良いですね、サウナ。わざと過酷な環境に身を置いて心身を整えるとは、人も奇特なものです。
 機械にとって高温多湿は天敵ですが、このような心地に浸れるのなら悪くない。耐性もバッチリですし」
 これからも戦いは激化していくだろう。ならば、今は休む時だ。
「それはそれとして、サウナは素晴らしい……」
 今度は龍成と一緒に来てくださいね。待ってます。
 さて、水風呂といえば、エイヴァン=フルブス=グラキオールも水風呂に浸かっている。といっても、エイヴァンはサウナではなく、温泉と水風呂の往復だ。
「ふぅ……やはり、どうも長湯が苦手だな……」
 熱がこもってしまうのだろうか。温泉は好きだが、ままならないものである。
「だが、これも一つの楽しみか」
 時間はたっぷりある。今日はすべての風呂をコンプリートして、湯上りにアイスクリームでも楽しもう、と思うのであった。
 そんなエイヴァンの隣にいた三鬼 昴が、ゆっくりと立ち上がる。
「よし」
 行うべき行動は行った。サウナで体を温め、水風呂へ。これを三回繰り返すことで、いま昴の体は最高潮に整えられた。
「このまま外気浴を楽しむ」
 完璧なプランだ。目を付けておいた長椅子は開いている。ドリンクも用意した。昴は意気揚々と外へと向かった。これから最高の体験が、昴を待っている。
 もう一度露天風呂へと目を向けてみれば、そこではハリエットとギルオス・ホリスが肩を並べて星空を見上げている。
「外の景色を眺めながらお風呂に入れるって、贅沢だなって思うんだ……と言っても、
 ここは海底だから不思議な感じがする、ね」
「そうだね。でも、普段見る星空とも変わらない綺麗さだと思うよ」
「あの、ね。私の将来の夢は『情報屋になりたい』なんだけど。
 『何の情報を集めようか』って思っていてね」
 意を決したように話すハリエットに、ギルオスは優しくうなづいて相槌に変えた。
「『困っている人を助けるための情報』だけじゃなくて。
 『素敵なモノの情報』も皆に共有できたらいいな、て思うようになったんだ。
 例えば今日の私達のように、疲れた人に癒しを齎すような情報、とかね。
 ……変、かな?」
 そう尋ねるハリエットに、
「いいやまさか――素敵な夢だと思う。
 『誰か』の為に動ける事は、とても大事だ。
 ハリエットも考えているんだね。自分で、未来を」
 そう、ギルオスは優しく笑って。
「僕も一緒に探そう。素敵なモノを。今は大変な情勢だけど――遠くない日に」
 君となら。あぁ――
 それこそ僕も。僕自身も。一緒に探したいから、と。
 ギルオスは己の成しえたい未来を語ろうか……
「じゃあ、ゆっくり傷とか癒しましょ」
 そういうレイリー=シュタインへ、エレンシア=ウォルハリア=レスティーユはすこしどぎまぎしながらうなづいた。
「そうだな、ここんとこ戦ってばっかだったしな」
 白の競泳水着と、紺のスクール水着の二人が、露天風呂の湯舟に浸かる。空を見上げてみれば、竜宮の星空が見えた。
「ねぇ、星空綺麗よー! 深海の星も地上と変わらないわねー」
「へぇ。そうだなぁ、こういうもんをゆっくり見る暇もなかったからなぁ」
 空に輝く光は、イルミネーションだったり、深海の生き物たちだったりする。どれも不思議な輝きだ。
「いつも一緒に戦ってくれてありがとうね、エレンシア。
 ……貴女と一緒にいられて、よかった」
 そういうレイリーに、エレンシアは微笑んだ。
「感謝してるのはお互い様だ。こちらこそ、いつもありがとうな」
 友との絆は、強く結ばれている。それがたまらなくれしい。
「ほら、穴倉と森暮らしもいいけど。たまにはこうして、ね?」
 イーリン・ジョーンズが、オリオンとペリカ・ロズィーアンを前にして、そう声を上げる。
「ペリカも私が用意した水着があるでしょ! それを着て。
 オリオンは……鎧は脱いで、お風呂にはこのサーフパンツを着用して」
「サーフパンツ? うむ! これが作法か!」
「作法はまだあるわよ体を洗ってから……」
「ふふっ」
 と、ペリカが思わず笑うのへ、
「……ペリカ、その子供を持った友人を見るみたいな顔で見るのはやめて?」
 気恥ずかし気にイーリンは言う。
「いや、だって! そのままだわさよ!」
「む、余は子供ではないぞ! それはそれとして、貴様はどこのどちらさまだ!」
「あー、オリオン、遅くなったけど、私の友達で私以上の穴掘り屋のペリカ」
「よろしくだわさ」
 そういって手を振るペリカに、オリオンは尊大にうなづいた。
「うむ、ペリカちゃんか! よろしくたのむ!
 ……で、温泉とは!」
「ああ、わかったわかった! ちゃんと説明するから!
 まったく、話したい事、山ほどあるっていうのに!」
 そういうイーリンも、楽しげに笑っているのだった。
「海底に温泉があるなんて珍しいね。
 私はせっかくだし、露天風呂に行ってみたいなー!
 どんな景色なのかは見てみたーい!
 ルルちゃんも見たいよね?」
「そうだね。
 折角だから露天風呂にいこうか。
 竜宮の星空が見えるらしいし、もしかしたら水族館みたいに泳いでるお魚も見れるかも?」
 そう言って笑いあうスティア・エイル・ヴァークライトと夢見 ルル家に、カロル・ルゥーロルゥーは柔らかくうなづいた。
「そうね。なんか変な感じだけど。
 ところで、ルル、ってどっちのことを言っているの? 大名?」
「あ、そうか。ルル家さんの事は大名呼びで良いかな?」
「呼び名は何でも良いよ。
 親しい人はルルって呼ぶけど、それこそややこしいもんね。
 私は変わらずキャロちゃんって呼ぶけど!
 でもキャロちゃんは私の事呼び捨てで呼ぶからキャロの方が友達感あって良いかな?
 私もスティア殿の事をすちーちゃんって呼んで良いかな?」
「私の事はすちーちゃんで大丈夫! ルルちゃんもね!」
 そう言って笑いあう二人に、カロルはなんだか不思議な気持ちを覚えたものだった。
「それより、早くお風呂、行かない? 体冷えちゃいそう」
「そうだね。まずはお風呂に入って……いろいろ済んだら、旅行にも行きたいよね」
「旅行は私も行きたいかなー。
 一緒に色んな事を経験して、普通の女の子ができる事はなんでもやるって約束したしね」
 未来を語る、二人。そこに自分がいることが、やっぱり不思議だ。
「……ま、いいけど。それより、お風呂よ、お風呂!」
 そういうカロルに、二人は笑顔を返すのだった。
「はー……」
 カイトも、日頃の疲れをいやすために、ゆっくりと湯船につかっていた。
「まったく、俺もそこそこいい歳なんだよ」
 冗談めかすように言うが、カイトもここ連続の激戦続きだ。年齢関係なく、その芯にたまったダメージは大きいだろう。
「あ! カイトさんですね!」
 ぎゅるん、となんかが回った。井である。
「カイトさんは、なんか声が似てる気がするんで親近感があるんですよね! どうですか!? これから一緒に性癖を満たす旅に出て痛い痛い痛い!」
 ぎぃ、と井の左下あたりをつかみながら、
「よーしお前は此方で休憩しようかー」
 にっこりと笑った。
「まて、金泉・銀泉って銀が含まれてるのか?」
 ヨハンナ=ベルンシュタインが、珍しくわずかにおびえた様子を見せた。
「いえ、こちらはそういう名前なだけで……」
 と、受付のバニーさんが言うので、ヨハンナは、はは、と乾いた苦笑を浮かべた。
「だ、だよな! ほら、俺は吸血鬼だからさ! 混沌肯定で何とかなってるかもしれないが、やっぱりちょっと苦手でな! まぁ、ここはアリマじゃないから大丈夫だよな! じゃあ、お邪魔します!」
 と、女湯に入ろうとしたヨハンナを、受付が止めた。
「あの、そちらは女湯で……」
「俺は女だよ……」
 珍しく泣きそうな顔を、ヨハンナがした。レイチェルのほうに女子力を全部持っていかれてしまったのが悪いんだい。
 さて、女湯のほうでは、リカ・サキュバスが静かにその体を癒していた。
「……私としては混浴で男の子の一人や二人攫いたい所ですけどやる気が起きないわ……。
 霊石(パンドラ)は……ああ、もうヒビまみれで見てらんないじゃないの。
 これだから慣れない奇跡ってのは苦手なのよ……2回も! 2回よ!? この私が!」
 ぶつぶつと言いながら、湯船につかる。苦手であっても。こうは言っても。後悔だけはしていない。
「今日くらいは、静かにしておきましょ。傷だらけで変なことする気にはなりませんしー」
 そう笑いながら、リカは豊満な体を湯船に沈めた。
「トール、その姿は……そっか。
 私が物語の裏で散歩しているうちに……あなたは自分の物語を走り切ったんだ。
 お疲れ様。
 私はあなたに敬意を表するよ」
 若宮 芽衣子がそういうのへ、トール=アシェンプテルは、真剣な表情で答える。
「僕の物語か……シンデレラへの道を辿る物語という意味では区切りを迎えられたと思います。
 だけど僕を『弟』と呼び、迎えに行くと言った”彼ら”との因縁が残っている。
 彼らとも決着を迎えない限り、まだ物語を走り切ったとは言えないかもしれません」
 男としての姿をさらすトールは、確かに一区切りついたのだろう。だが、まだまだ歩みを止めてはいられない。
「トール! 来てたんだ!」
 結月 沙耶が、手を振ってやってくる。
「芽衣子もいるんだ。久しいね? やっぱ依頼の縁でトールと来た感じ? ……負ける気はないよ?」
「ってゆづさや何言って……ああ。
 私のはそういう好きじゃないから安心して」
「む……ところで、何の話してたの?
 ……物語の終わり、かぁ。
 トールもその姿を堂々と出せるようになったし、私も『幸福な王子』になろうとしてたのが今やこんなキラキラだ。
 そういう意味では私も物語を走り切ったのかも?」
「でも、まだ物語は続くのだと思います」
 そう、トールは笑った。
「戦いは続きますから……そのためにも、今日はゆっくり休みましょう。
 二人とも、一緒にどうですか?」
 そう言って笑うトールに、二人はうなづいた。
「許せねえよ……」
 そんな光景を見ながら、なんかオウムがそうつぶやいた。
「波の下にも都がある、とは言うが、温泉施設まで完備とは恐れ入る」
 大和型戦艦 二番艦 武蔵が楽し気にそういうのへ、レイテ・コロンは微笑んだ。
「うん、武蔵はお疲れ様。
 今日ばかりは守護者とか使命とか諸々忘れて、本当、ゆっくりしてね」
 一緒に温泉につかってみれば(もちろん水着着用だ)、気の置けない友の優しさがより伝わるというものだ。
「貴様は己の力不足を嘆くが、武蔵とて同じだ。
 不沈艦の名が廃るような所ばかりを見せてしまっていた」
 そう、少しだけ悲しそうに、武蔵は言う。
「あはは。ボクとしては大した事はしてないし出来てないと思うけどね?
 うんでも、好きな女の子に感謝してるって言われるのは凄く嬉しいな!
 不肖、レイテ・コロン、今後も『武蔵』の盾として、一層の精進に励ませて頂く所存です!……なんてね?」
 敬礼しつつそういうレイテに、武蔵はすこしびっくりした様子を見せてから笑って見せた。
「そうだな……うまく伝えられぬかもしれぬが、この武蔵の事を護ると言ってくれたのは、嬉しかったのだ。
 そして、妹の件についても武蔵一人ではあの答えを出すことはできなかった。
 本当に、感謝しているのだ」
「ボクは武蔵の友達で相棒だし、それに好きな女の子に頼られて嬉しくない男なんて居ないからさ?」
 そういうレイテに、武蔵はたまらなくうれしくなった。紡いだ縁は続いていくのだと、そう思わせてくれたから。
「四人で一緒に湯治、と聞いたときはどうかと思ったけど!
 そうか、水着か」
 そういうサンディ・カルタに、シキ・ナイトアッシュは笑って見せた。
「ふふ、がっかりした?」
「そうじゃないが! というか、今日の主役はリアだろ?」
 そういう視線の先へリア・クォーツがいる。視線が集まってみれば、申し訳なさそうな表情を浮かべるリアが、
「その……あの……今回は本当にありがとう。あと、ごめんなさい」
 そう、湯船から立ち上がって頭を下げる。
「ボクも本当ならここで、あんまり心配かけさせないでよね! って言いたいところなんだけど。
 ボクも流石にちょっとだけ無茶しちゃったかなって思うから。
 今回はお互い様ってことで!」
 炎堂 焔が、えへへ、とわらう。
「ほんとよ! 無茶しやがって……ああ、確かにあたしにそんなこと言う権利はなくて。
 皆が居なかったら、あたし多分駄目だったわ。
 自分ではもっと上手くやれるつもりだったのだけど……やっぱ、あたしって弱いわ」
「いいんじゃないの」
 サンディが言った。
「一人だけでできることなんて、やっぱり意外と少なくてさ。
 それに、思いっきり冠位に狙われた後でも、こうやって3人プラス1人で乗り越えられたわけだし。
 俺達を邪魔できる奴ぁいないってことだぜ! ……や、竜とか出てきても困るが」
 頭をかきつつ、そういうのへ、シキも笑った。
「リアも、そんなに恐縮しなくていいから。生きてればそれでいいさな。
 それに言っただろ、どこまでも一緒にいるって。助けないわけがないだろ?
 リアも、焔も、サンディくんも。
 みんな、わたしの大切な人だよ。本当に、生きててよかった。
 無茶は今回はお互い様だから不問にしようか?」
「じゃあ、今日はそういうわけで、みんなありがとーってことで洗いっこしようか!」
 焔がそういうのへ、リアはしかしまじめに、
「え、ええと、そうよね! そういうことしたほうがいいかしら!」
 というので、焔は一瞬びっくりした後、
「そうだね! ふふ、みんな、大好き!」
 そう言って、楽しげに笑った。
 大好きな、みんな。それは、ここにいる大切な仲間たちに共通する、優しい思いだった。
「貴様等、私としてはサウナを勧めたい!
 練達でも流行っていると聞く。整うとは如何様な状態か理解せねば」
 と、マールとメーアに言うのはロジャーズ=L=ナイアである。
「おお、サウナだ! なんかすごい自慢のサウナらしいよ!」
「ええと、練達のほうからロウリュの職人さんをお呼びしてまして……」
 と、二人が言ったのも少し前のこと。というわけで、サウナに三人で入ってみれば、程よく蒸される状況に。
「貴様。結局、私は見た通り『正気』では在るが、如何だ。
 万が一、中てられていた場合を考えると宜しくない。
 折角の機会、隅々まで改めようではないか」
「んー……いつもどおり、優しいロジャーさんだと思うけど……」
「そうか? 覗くといい。ぐるぐると、瞳の奥まで」
「えっと、お話はいいのですけれど」
 ふにゃ、とした感じで、メーアが答える。
「サウナの中でお話しすると、多分危ないです……」
「! そうか。蒸し兎の野菜添えとなるところだった。
 水に浸かるか。水に締めて、程よく冷えるがいい」
「はーい! 脱出~! メーアも、ロジャーさんも、出よう~!」
 若干フラフラになりながら、マールが二人の手をつないだ。
 ――湯船に身を預けると、熱が全身に染み渡った。
 緊張からの解放がもたらすそれは俗に言う極楽というにはほど遠く、
 自罰的な思考による戸惑いと居心地の悪さが同居する針のむしろに近かった。
 私は一体何をしているのだろうか。
 彼が望むのなら今すぐにでも舌を噛み千切れよう。
 そう言い切れるだけの罪悪感の象徴の一人が、まさか、どうしてか、
 私の隣で今まさに湯浴みを共にしているのだった。
 ……それは独白である。マリカ・ハウという人物の胸中。隣にいるクウハは知ってか知らずか。されどその心の内を覗くならば。
 ――少しでも慰安になればと誘い出したはいいものの、肝心のマリカの表情を見るにその心境は寛ぎとは程遠い所にあるらしい。
 湯の温もりが齎す心地よさより、マリカの様子が気にかかる。
 記憶を取り戻してからというもの、マリカは以前のように笑わなくなった。
 本人の望んだ選択だ。
 否定する気はさらさら無いが、「過去を忘れたままはしゃぎ回っている方が幸せだったのではないか」と頭によぎる事もまた事実……。
 ……思うはやはり、相手のことか。すれ違うように相手を想う。されど想うということは同じ。
 責められることを望むのか。それを選ぶことを望むのか。二人はすれ違い、けれど。クウハが、マリカの幸せを願っている、それだけは、事実だった。
 さて、水風呂のほうに視線を移してみれば、先ほどサウナから出てきたばかりのフラーゴラとエクスマリア=カリブルヌスが、その温度差に「きゅーっ!」という表情をしていた。
「これは、すごいな、フラー」
 エクスマリアが言うのへ、
「これは、すごいね、マリー」
 フラーゴラもそういう。立ち上がったフラーゴラが、思わず体をぶるぶると振るわせて水しぶきを飛ばしてしまうのへ、エクスマリアが「きゅー」という顔をした。
「わ、ごめん、マリー!」
「かまわない。それより、この後は外へ行くのだろう、フラー」
 そういって、エクスマリアが露天風呂のほうを指さした。
「ゆっくり休もう。そうすると、整うのだ。楽しみだな、フラー」
「……うん!」
 フラーゴラがにっこりと笑う。エクスマリアも、いつもよりも柔らかく、ふわりとした笑顔を見せてくれた。
「浴槽だかじゃなくて、ラコニクムまであるなんて気が利いているじゃない」
 ルチア・アフラニアがそういうのへ、水月・鏡禍が小首をかしげた。
「らこ……? あ、サウナですね。気になります? ルチアさん、お風呂好きですからね」
「温泉は確かに好きだけれど、ローマ人なら皆こんなものよ?
 なんなら混沌中の温泉地を制覇したいと思っている位だけれど」
 それはやっぱり大好きなのでは、と鏡禍は思う。
「サウナ、やっぱり担当している人はバニーさんなんですね。そこは竜宮なんだ……」
「バニーばっかり見ているとのぼせるわよ。
 ……ちゃんと私のことを見てくれないと」
 そういうルチアに、鏡禍はほほを赤らめた。僕は温泉よりも、やっぱりルチアさんが好きだな、とは言えずに。
 この後、サウナで鏡禍が我慢をしすぎてルチアに膝枕をされたりするのだが、それはまた別の話である。
「あ゛ぁー……沁みるねぇ」
 ゴリョウ・クートンがそういうのへ、ジルはその隣でうなづいた。
「そうですね……こういった温泉は初めてです……」
「……オメェさんのことだ。セレスタンについて働きづめだったんだろう?」
 そう尋ねるゴリョウへ、ジルはうなづいた。
「はい。セレスタン様のお役に立ちたいと。……今にしてみれば、それがあの人を追い詰めていた一因なのかもしれません」
 遠い目をする。思い出すのは、憧れだった人。
「気にすんな、とは言わねぇが」
 ゴリョウが言う。
「折角なんで言っとくが、オメェさんを友と思ってる奴は存外多い。
 困った時には遠慮なく声かけてくれりゃ世話焼きどもが喜び勇んで構い倒すだろうよ。
 まぁ俺もだけどな!
 たまにゃこうやって遊ぶこった。
 それを忘れなきゃ奴さんの叶えられなかった道の続きに至る事も出来るさ!」
「そう、ですよね」
 そう言って、笑う。今は、もう歩みを進めることのできない彼の。
 続きを歩むなら、きっと彼らなのだろうから。
「よぉっしジル、頭洗ってやらぁ! 代わりに背中洗ってくれ!」
「はい! ゴリョウ様!」
 ジルは楽しそうに笑って頷いた。それは、彼とはできなかった、彼と紡ぐべきだった思い出だったのかもしれない。
「オレの判断は間違いだったかもしれん」
 紫電・弍式・アレンツァーがぼんやりとそういう。二人きりの温泉では、水着を免除されている。というわけで、二人は実に大胆な姿なのだが――。
「ッハァー! たーのしかったぁー!  もう毎日でも大規模バトルでいいわー……ってそんなワケあるかーい! だはははは!」
 そんな姿でもいつも通りなのが、茶屋ヶ坂 戦神 秋奈だ。それはとても好ましいことだったが、紫電は困っていた。もうちょっとゆっくりするものかと思ったのだが。
「元気ないぞーう? 私ちゃんがぁーどっかに行っちゃうと思ったー? なんつってなー! ぐははー!」
 楽しげに笑う秋奈を、紫電は両手で抱きしめる。
「色々ありすぎてオレも落ち着けないんだよ、ばか。もし本当にいなくなったら許さないからな」
 でも……秋奈といられるのもあまり長くないかもしれん。
 そんな思いを抱きながら。
「まーそのぉ、お疲れちゃん。来年も絶対すっげぇのやっから覚悟しとけよー!」
 屈託なく笑う秋奈に、紫電は確かに救われていたのだった。
「『竜宮の星空』、綺麗だよねー……」
 ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペンは、傍らのフィールホープへとそう告げる。フィールホープは柔らかく笑いながら、
「ええ……海の中の星空、とても素敵ですね」
 そういう。
 お互いを意識してみれば、自然とほほが熱くなってしまうものだ。それは、温泉の熱とは違うもののはずだった。
(……実をいうと。僕ちょっと変なのかもしれない)
 胸中で思う。ドキドキとした気持ちが収まらない。それは自然なことだったとしても、ヨゾラにはまだわからないのかもしれなかった。
「お、温泉以外の施設も後で巡ってみようかー!」
 それをごまかすように、言うのへ、
「ええ、そうですわね」
 フィールホープは穏やかに笑うのであった。
 さて、温泉以外の施設といえば、巨大な温水プールも存在する。
「プールだプールー!
 メープル知ってるよー、地熱っていうんだろ、温泉もいいけど泳いで運動できるのもいいよね!
 というわけで泳ぐよ! ほらサイズもハッピーもいっしょに!」
 メープル・ツリーがそういうのへ、ハッピー・クラッカーとサイズがうなづく。
「冬に深海でプール……竜宮の加護が無ければ凍死待ったなしだな」
 サイズが言うのへ、
「プール……それはひと夏のアバンチュール!(冬)
 竜宮って良いよねぇ……いっそ住みたいよね!」
 ハッピーがうんうんとうなづいた。
「で、どうする? ウォータースライダーとあるみたいなんだけど……」
 サイズが言うのへ、ハッピーがうなづいた。
「いいね! メープルさんと一緒にサイズさんを挟んで、しっかり掴まるという名目の元思いっきりぎゅ~っとしてやりましょう!」
「え、ええ……!?」
 どぎまぎしながらそういうサイズを、二人が引っ張って連れていく。
「さ、いこう、サイズ!」
 メープルの言葉に、サイズはうなづいた。果たして幸せな時間が訪れただろう。
 さて、温水プールには様々な施設があって、例えばここでは、大きなバケツ状の構築物に水をため、一定時間ごとに水を放出する……というアトラクションが存在した。
「というわけで! ここで待機!」
 と、モカ・ビアンキーニがそういうのへ、ストイシャら友人たちがわっと駆け寄ってくる。
「な、なにが起こるの……?」
 ストイシャが小首をかしげるのへ、Lily Aileen Laneが答える。
「えっと、あそこから、水が、ばしゃー、ってくるのです」
「えっ。危なくない……?」
 むろん、ストイシャは平気だが。つまりみんなの心配をしているのだ、と考えると、いささか感慨深いものがある。
「大丈夫よ! なぜなら私は看守だから!」
 と、セチア・リリー・スノードロップが得意げに立つ。
「そう! 私はセチア! 鉄帝の看守よ! 宜しくね!」
「……ふねのせんたん?」
「それは艦首ね!」
「……館の主人」
「館主ね! ねぇ、もしかしてけっこのりがいいの?」
「それだけ人に慣れてくださったのかもしれません。好いことですね」
 うんうん、と風花 雪莉が言う。
「ストイシャさん、楽しいですか? その。結構強引に、ここまで引っ張ってきてしまったのですが」
 雪莉がそういうのへ、ストイシャは笑う。
「う、うん。ちょっとびっくりしたけど、へいき。ふひひ」
 笑って見せるストイシャに、雪莉は胸をなでおろす。
「さぁ、そろそろ時間だぞ!」
 とモカが言った瞬間、素られられたバケツが倒れて、大量の水が流れ落ちてくる。結構な量の水に流されまいと、Lilyはストイシャに抱き着いた。みんながびっくりしたような顔をしながら、でも次の瞬間には楽しそうに笑っている。
「……ストイシャもびっくりするかと思ったけど」
 零・K・メルヴィルが苦笑する。ずいぶんと大所帯になってしまったから、人見知りのストイシャは大丈夫かと思ったが、結構楽しんでくれているみたいだ。
「あのさあ零君……女の子って何してあげたら喜ぶのかな……」
 アルム・カンフローレルがふとつぶやく。そのあと、慌てた様子を見せて、
「いや、その、大した話じゃなくて!
 零君は結婚してるし、女友達も多いから、そういうの詳しいかなって……」
「……アルム、其れは俺の永遠の課題の一つだ……。
 でも、そうだな……、内容以上に『誰がどう想ってしてくれたか』が大事だと思うぞ。
 懸命に考えた内容なら、きっとその子も喜ぶと俺は思うぞ」
 そう、真摯に答える零に、アルムはうなづいた。
「う、うん。そうか……。
 あ、あはは、それより、俺たちも遊びに行こうか?」
 恥ずかしさを隠すように言うのへ、
「そうです!」
 と、シフォリィ・シリア・アルテロンドが、ウォーターガンを構えながら言う。
「せっかくです、遊ばないと損ですよ! というわけで、みんなの分のウォーターガンを用意しました!
 こうなればやることは一つです! 24にもなって何してるんだって? ふふ、大人だって子供に戻りたいときもあるんですっ!」
 楽しげに力説するシフォリィに、零とアルムはうなづいた。
「よーし! みんな! 遊ぼうか!」
 アルムの声に、バケツの下の皆も笑って頷く。
「楽しかったか……なんて、聞くまでもないよな」
 零がつぶやいた。力になってやりたいと思っていた少女は、今、心からの笑顔を浮かべていたのだから。
 温泉やプールから上がってみれば、休憩用の施設で休む仲間たちの姿も見える。
 仮眠室は、程よい照明とふかふかの椅子が心地よく、目の前のモニターで映像作品を楽しむことができた。
「ふふー! 最新のB級サメ映画、シャークアライグマを見ようかな。
 鮫とアライグマの合体事故! どんな映画か楽しみだね」
 と、セララがモニターのタッチパネルを操作しながら言う。どんな映画も置いてあるのがこの設備である。
「んー……? シャークアライグマ、コスプレした女の子が弱点?
 わ、主人公の少女が色んなコスプレしながらシャークアライグマを殴り倒していく!
 シャークアライグマも対抗してコスプレを始めちゃった!
 流石B級映画、展開がぶっ飛んでるね!」
 にこにこしながらつぶやくセララである。どんな映画なんだ。
 その近くでも、やっぱりサメ映画が上映されている。サメ映画、人気なのだろうか。が、雨紅は寝落ちしてしまっていた。疲れていたのだろうか? それとも映画が詰まらなかったのだろうか? どちらにしても。
「あれ、雨紅さん、寝ちゃってる。毛布かけとかなきゃ~」
 と、女将姿のマールが、優しく毛布を掛けてあげるのだった。
 ヘイゼル・ゴルトブーツは岩盤浴のエリアでのんびりと眠っている。そうだね、岩盤浴。あるよ。当然ながらね。
「ふぅ……極楽、なのです。
 温泉といえば覗きイベントですが、まぁ、混浴で水着着用ですからね」
 いささか残念そうにそういうが、ほんとに覗かないでくださいね!?
 個室では、ベーク・シー・ドリームがごろりと寝転がって漫画を読んでいる。
「個室なら、万が一寝てしまっても、誰かにかじられることはないでしょう……」
 確かにその心配はなさそうである。それに、個室のほうが自由にのんびりできるというものだ。
 さて、ゲームコーナーを覗いてみれば、少し古めかしいアーケード・ゲームのスコアランキングに、片っ端からREDと刻まれているのがわかるだろう。というのも、先ほどからЯ・E・Dが、おいてあるSTGに次から次へと挑戦し、ハイスコアを塗り替えているのだ!
「ふふふ、徹夜すれば問題なく行けるよ。
 癒やしに来て逆に疲れるかもとか、気にするほどの事じゃ無いよね」
 まぁ、これも立派な癒しの時間なのだろう。洗井も気持ちはわかります。
「ああ、良い湯だったな」
 個室では、イズマ・トーティスが浴衣姿でくつろいでる。テーブルの上には甘味や飲み物があって、藤井 奏もそれに目移りしているようだ。
「ふふ、どれがいいかなぁ。時間もあるから、ゆっくり食べられるね」
「ああ、今日は久しぶりにゆっくりできるからな。
 ……しかし、休むと気付かされるな。こんなに疲れてたんだ、と。
 最近はずっと戦ってたよ。身体は痛いし、失った命を思えば心も苦しい。
 音楽でも俺の先祖に会ったりと色々あった。でもその影響か、闇の泥に沈む夢をよく見る。
 まだ頑張れるはずだが、しんどいのも確かだな」
 苦笑するイズマに、
「……イズマ君、お疲れ様。さっき、ふと疲れた顔をしているなぁって思ってたんだ。君はいつも一生懸命だから。
 僕? 僕は今日、イズマ君に会えるのを楽しみに頑張ってきたよ」
 奏は笑った。
「そっか。なら……頑張った甲斐があるな」
 そう言って、笑う。奏がいるならば、今日はゆっくりと眠れそうだった。
 ぺちっ、と球が飛ぶ。
 ぺちっ、と球が飛ぶ。
 ぺちっ、と球が飛ぶ。
 あらぬ方向に、ひょろひょろと。
「…………」
 アルヴァ=ラドスラフが困った顔をするのへ、綾辻・愛奈は、むっとした表情を見せた。
「……なんですか。素人ですよ」
「いや……」
 アルヴァが苦笑する。
「愛奈でも、できないものがあるんだな、と……」
「なんですか、それ。ありますよ。別に。べーつーにー」
 ぷい、と顔を背ける。それがかわいらしくて、アルヴァは思わず笑ってしまった。
「……まあほら、できねえことは練習すりゃいいし」
 へたくそなラリーはしばらく続いた。そのあと、アルヴァの顔面に球がヒットして、ぶっ倒れたりしたのは秘密。
「日々の疲れは癒せたか?」
 そういうベネディクト=レベンディス=マナガルムへ、リュティス・ベルンシュタインはゆっくりと一礼した。
「お待たせして申し訳ありません。ゆっくりしてしまいました」
「いや、むしろゆっくりしてもらいたいくらいだ。たまにはな」
 そう、ベネディクトは笑う。
「そうだ、ちょっとゲームコーナーに付き合ってくれないか。さっき気になる物を見つけてな」
「ゲームコーナー、ですか?」
 小首をかしげるリュティスを連れて、ゲームコーナーへ。そこには、クレーンゲームがあって、中にはサモエドのぬいぐるみが景品として入れられていた。
「ほら、この大きい白のぬいぐるみ。ポメ太郎に似ていないか?」
「なるほど。確かに似ていますね。
 ……挑戦してみましょうか」
 そういうリュティスヘ、ベネディクトは笑って頷いた。景品はなかなか取れなかったけれど、二人で遊ぶ時間はかけがえのない楽しさだった。
「良いお湯でしたね、ヴェルグリーズ」
 個室を借りて二人きり。そういうのは、星穹だ。
「星穹はどのお風呂が気に入ったかな、俺は特に露天風呂が好みだよ。
 竜宮にあるお風呂なのに星空が見えるのはなんだかとても贅沢だよね」
 ヴェルグリーズがそういう。
「私は酒風呂でしょうか。普段聞く温泉とはまた違って不思議な心地でしたわ」
 くすくすと笑う星穹へ、ヴェルグリーズはまじめな表情を浮かべた。
「天義決戦でキミが聖女殿のお茶会から戻って聖竜の試練の結果が出るまで本当に心配だった。
 だから、こうして戦いが終わった後にキミがそばにいてくれるのがたまらなく嬉しいんだ」
 そういって、その手に触れる。それがたまらなくうれしい。
「その説はご心配をおかけしました。
 私も帰ってこられないのではないかと思いましたから、安心しましたのよ。
 ……ふふ、同じですね。嬉しいです。
 ほら、傷もこんなに癒えましたから。心配しないで、ヴェルグリーズ」
 そう言って、触れ合う。生きているからこそ、伝えあえる、温かさだった。
「ザビーネさん。温泉はどうでしたか?
 こういう施設の温泉は色々な機能がある温泉がいっぱいあって面白いですよね〜」
 そういう物部・ねねこへ、ザビーネが柔らかく微笑んだ。
「ええ、とても……不思議なものですね。溶岩浴よりも心地よい」
「溶岩はいるんだ……いやいや、それはさておき。
 温泉も勿論良いのですが、私が個人的に推したい施設が休憩施設の漫画コーナーですね。
 温泉でゆったりした後に適当な本を手に取ってふかふかの椅子に座ってのんびり読むがリラックス出来るのです♪」
「なるほど……ねねこは物知りですね。おすすめの本を一緒に読みましょう」
 ザビーネの言葉に、ねねこは笑って頷くのだった。
「先の戦いで疲労したでしょう。休むのも仕事です。じゃあ、私はタバコ吸ってくるんで。自由行動。解散ッ!」
 ぺいっ、と只野・黒子がマッチョ ☆ プリンを温泉に放り込んで喫煙室へ。
「はぁ……最近はタバコを吸うのもうるさいですからね……」
 とぼやいた瞬間、そこにプリンがガラリ、と戸を開けて入ってくる。
「休息って何をすればいいんだ……? 解らない……」
「えぇ……」
 黒子が思わずぼやく。
「今は考えない。考えるのは休憩と言いません。準備と言います。遊びなさい。寝なさい。食べなさい。それが休憩です。じゃ、喫煙所に戻りますんで」
 ふたたび、ぺいっ、とプリンを放り出して、黒子が喫煙所でタバコを吸い始めた。
「寝る。遊ぶ。食べる……」
 プリンはうなづいて、
「いいのか……!? こんなことをやっている間にあいつは……!
 ……黒子!!
 この仕事、難しいぞ!!?」
 少年は吠える。休むのもまた、難しいのかもしれない――。
 さて、食堂では、様々な料理が見るものを楽しませてくれる。
「さ、まずはどの料理から行く? せっかくなら全国制覇しちゃいましょ♪」
 ジルーシャ・グレイがそういうのへ、劉・雨泽はうなづく。
「全国制覇。ふふ、全種、でもいいよ。
 僕は結構食べる方だから余裕」
「今日は雨泽へのお疲れ様&おかえり会も兼ねて。
 アンタも沢山頑張ったものね。
 改めて、お疲れさま」
 乾杯、と杯を鳴らす。帰ってきてくれた友。大切な仲間。一緒にいることが、たまらなくうれしい。
「雨泽のも美味しそうね、どこの料理?」
「これはね、
 海老や貝がたくさん乗っていたパエリア。こっちは……」
「アタシが食べてるこれもオススメよ、一口いかが?」
「うん、ありがと」
「あとは、デザートもかしらね?」
「ジルーシャ
 ……君結構行動力すごいよね?」
 思わず苦笑してしまう。でも、そうしてしまうくらい、素敵な結末を勝ち取ったのだ。これくらいは、役得というものだろう――。
 オニキス・ハートは、ゆっくりと料理に舌鼓を打つ。
 美味しい。おいしいということは幸せで、とても楽しい。好いことだ。
「一人でこれだけおいしいんだから、みんなで食べたら」
 きっと、もっと、素敵だろう。
「今度皆も呼んで一緒に来よう。
 それから、境界で助けたあの子も。武蔵たちと一緒に。
 一緒にごはん食べたら、仲良くなれるかな……?」
 その願いは、きっと、尊くて。
 いつか叶えばいいと、願わずにはいられなかった。
 屋上庭園。静かな和風のそれの上には、竜宮の星空が輝いている。
 そんな庭園の長椅子に座って語らうのは、メイメイ・ルーと建葉・晴明だ。
「めぇ、これが『竜宮の星空』です、ね。海の奥底でしか見られない、沢山の生命の、光……」
「不思議なものだ……一つ一つが生命だと思うと、ことさらに美しく思える」
 二人で星空を見上げる。ふとメイメイが晴明へと視線を移した。
「晴さま。あのです、ね。……聞いて欲しい、お話が沢山あるのです」
「ああ」
 晴明がうなづいた。
 伝えたいことはたくさんある。天義でのこと。プーレルジールでのこと。幻想での戦いのこと……。
「傷だらけにも、なりました、が……ちゃんと……帰る事が出来ました。
 ……『ただいま』です、晴さま」
 笑顔で帰ってきてほしいと、あなたが言ったから。
 あなたの我儘に応えてみたのですよ、と、意地悪く笑う。
 乙女心に鈍いあなたに、届きますように。
「いたたた……。こんなに連続して戦ったのは絶海以来でしたかね」
 エマはそう、つぶやく。空を見上げる。星空と、心地よい気温。
 竜宮は、きっと季節はあまり関係ないのだろう、と思う。
 傷は多少癒えた。次の戦いに備える必要がある。
 今回の戦いでも知り合いが死んだ。古くから知っている友人がどんどんと消えていく。
「……」
 言葉にはならない。ただ、今日は帰ってゆっくりと眠ろう、と、そう思うだけだ。
「ふぅ……こういうのも悪かねえもんだな」
 そう、お茶を飲みながら空を見上げるバクルド・アルティア・ホルスウィングへ、
「お父さん、悪くないじゃ良い風に聞こえない」
 そう、トルハは口を尖らせた。
「悪くない、いい意味で使ってきたがなるほど確かに必ずしもいい意味で捉えられんか。
 じゃあ……良いもんだな、星もよく見える。こういう日が続きゃ良いな」
「うん……星が綺麗だね」
 トルハがほほ笑んだ。バクルドは思う。
 少し前なら適当に温泉浸かって酒飲んで寝るそういう日が過ごせりゃいいという考えだったが。
 人間変わるもんだな、子供のために本気で滅びを回避する気になるとはな。
 存外悪く……いや、存外良いもんだ。
 そんな風に。トルハの微笑みに、思う――。
 サクラは空を見上げる。天義とは違う、空。でも、美しい星空。
「マルクくん、タイムちゃん、グドルフ……アランさん。
 それにお祖父様……。
 セレスタン・オリオール卿も」
 慣れない酒で唇を濡らしながら、信じた道を進み、傷ついた者たちを想う。
「私は、正義の騎士なんかじゃないよ。
 戦いに悦楽を感じ、そんな自分を押し込んでいただけの……。
 スティアちゃんが居なければ、私は私を許せなかったんだから……」
 誰もが、完璧ではなくて。
 でも、そうであろうともがいていて。
 それでもいいんだ、と伝えられれば……何かが、変わっていたのだろうか。
「お疲れ様でした、セレスタン様」
 そう、捧げるように、酒をまた注いだ。
 星空は、誰の下にも平等だ。
 隠岐奈 朝顔もまた、竜宮の星空を見上げる。
「今の私に竜宮に関する記憶はないけど……。
 ゆっくり出来る場所ができるのは良いことですもんね」
 ちょこん、と長椅子に座って、空を見上げる。本当の空ではないとしても、その美しさは変わらない。部分部分に、投影された空であったり、竜宮の深海そのものの光景であったりもする。幻想的な其れは、朝顔の心を穏やかにしてくれるだろう。
「きっと休みが必要だったのは私よりセレスタンさん達で。
 もしまた会えたら……。
 ……ううん、きっと会える。
 あの人は約束を守ってくれる人だから」
 それが、何時になるかわからないけれど、きっと、何時か。
 未来に残したいことを、手帳に記す。それは決して、悪いことなんかじゃなかった。
「おぉ、流れ星。すげぇナ。ここ海底だゼ?」
 玄野 壱和がそういうのへ、水無比 然音は気配を消しつつもうなづく。
「再現のものなのか、海の生き物なのか……すごいですね」
 話し相手が欲しい。そう、壱和に言われて、然音はやってきたのだ。
「ローレットとイレギュラーズはこれまで色欲以外の七罪の大魔種を斃して来タ。
 その内の幾つかの戦いにはオレもお前も間接的ではあるもののの参戦していル。
 だが、どの戦場でも少なくない犠牲が出タ。
 星に因んで、昔ある童話で聞いた話が一つあってナ。
 『星の光は人の命、人が死ぬと星が落ちる』
 もしその話が本当なら、この世界には一体どれ程の星の残骸が降り注いだのだろうナ?」
 ふと、そう、壱和が言う。わずかに迷ってから、然音は答えた。
「確かに私も世界の存続という目的の為に様々な者を手にかけてきました……。
 今でも赦される事だったとは思っていません。それでも、彼らが生きた事に意味はあった……とは願いたいですね。
 しかし、意外でした。壱和さんのお人柄を見ては来ましたが、そういった犠牲等については眼中に無いものと思っておりました」
「似合わない事を言うもんだっテ?
 折角の年の瀬の休みなんダ。偶にはこれまでの事を見つめ直すのにもいい機会だロ。
 ……これから何が起こってもいいようにナ」
 その言葉に、然音は答えられない。
 何が起こるか――それは、神ならぬ身には、解らないことなのだから。
 テアドールとニルは、並んで庭園の長椅子に座っている。
 仲良しの二人は、ぴったりと身を寄せ合って、優しい笑顔を見せていた。
「テアドールと最初に会ったときも、お星様を見たのでした。
 竜宮のお星様は練達とは違うのですね」
 そういうニルに、テアドールは微笑む。
「それから沢山の時間を過ごしましたね」
 いろいろな、思い出がある。直近ならば、プーレルジールにわたったこともそうだろう。
 ニルを信じ、テアドールを信じ。共に信じあい、異世界で戦った……。
「プーレルジールでオルキット様を助けに行ったとき。
 つないだ手があたたかくて、
 ここにテアドールがいてくれると思ったら、
 ニルはなんでもできる気がしました。
 ありがとうございます、テアドール」
 そう、やわらかく笑う。ありがとうの言葉に、いろいろな感情が載せられていることに、テアドールは気づいた。
 いつも一緒に遊んでくれて
 そばにいてくれて
 まもってくれて
 伝えたい、たくさんの、ありがとう。だから。
「僕の方こそ、感謝していますよニル。これからもいっぱいの思い出を作っていきましょうね」
 ぎゅっ、と手を握って。テアドールも、いっぱいの、ありがとうを――。
 セレナ・夜月とマリエッタ・エーレインは、静かに庭園で対峙していた。
「本当にお疲れ様、マリエッタ。
 本当に色んな事があって、大変で……それでも、あなたが無事でよかった。
 ……うん、特別わたしを呼ぶってことは、何かあるんだよね。
 ……聖女と、話したい?」
 聖女。あの時消滅したはずのエーレイン。そのほんのわずかな心の残滓は、セレナの中に写し取られていた。
「……ちゃんと記憶が残ってるわけじゃないみたいなの。話せるとしても、一日にほんのわずかな時間だけ。
 それでも――」
「それでも」
 マリエッタは言った。
「それでも……どれだけ表に出せるかはわからないですけれど、せっかくですからこの景色を一緒に楽しみたいんです」
 そう、笑った。
 奇妙な縁の、三人。いや、四人。
「魔女も。眠ってないで、参加するくらいはしなさい。体は明け渡しませんが」
 そう、笑ってみると、マリエッタの心の内に、わずかに不快げに鼻を鳴らす声が聞こえた。ふ、とマリエッタがもう一度笑う。
「じゃあ、呼び出してみる。エーレイン……応えて」
 セレナがそういうと、その瞳がエメラルドの色に染まった。すると、その心の内に、確かに、エーレインの残滓が浮かぶのが分かった。
「直接、は無理だと思う。わたしが言葉を代弁する形になるけど」
「それでも、いいですよ。話しましょう。時間の許す限り。皆で」
 そう、マリエッタが言った。
 奇妙な四人の休日は、わずかな時間といえど、確かに始まった。
「……まさか、マールにも怒られるとは思わなかったよ」
 と、クロバ・フユツキが苦笑する。マールが、怒ったように口を尖らせた。
「そうだよ! もう、みんな無茶するけどクロバさんは特に、じゃん!
 髪の毛も、ほら……」
「ああ。さすがに戻らないよな……」
 苦笑する。
「でも、まぁ、こうやってゆっくりする時間ができたのはいいことだ。
 マールはどうだ、元気にやっているか?」
「うん! シレンツィオで会議とかに出なくちゃならない時もあるけどね。
 でも、前の……メーアが乙姫だった時に比べたら、ずっと楽しくて、ずっと」
 マールが笑った。太陽のように。クロバは思う。そんな太陽みたいな君とメーアを助けたいとも思えたんだ。……なんてな。
「む、なんか隠し事? ちゃんと教えてよ」
 ぎゅ、と抱き着くマールに、クロバが慌てた。
「その距離感だけは直したほうがいい!」
「えー?」
 腕の中の太陽は、いつも通りに輝いている。
「竜って湯冷めするんですか?」
「んー、確かに人間の体の時はそこそこ冷えるかもなぁ」
 水天宮 妙見子の言葉に、ムラデンはいつものように答えた。でも、ムラデンがこんな風に気を許しているのは、きっと数少ないだろう。
「ねぇ、ムラデン。あっちの、再現した星空のほうを見てください。
 あれが、北極星とりゅう座。二つは近いところにあって。
 りゅうが、北極星を守っているような。そんな風に見えます。
 ……わたしたちみたいに、って言ったら、笑います?」
「別に笑いはしないよ。キミを守るのは、ほら、上位種としては当然だし」
 ふん、と鼻を鳴らしながら、星空のカップのお茶を飲んだ。お気に入りのカップらしい。
「……上位種だから? それとも、友達だから? それとも」
 妙見子が、やわらかく笑いながら、まじめな表情で、言う。
「どうか、今から私が言うこと覚えていてくださる?
 ムラデンは私のことを宇宙だと……この星空のようだと言ってましたよね。
 それだけ貴方の心に私がいると思うと、とても嬉しい。
 同じ想いを抱えているんだと自惚れてしまうくらいに。
 私も同じです。
 それくらい貴方の存在は大きくなって。
 私の心の中にずっと居続けている。
 貴方のこと、誰よりも大好きですよ」
 まっすぐなその言葉に、ムラデンはまず、目を真ん丸にした。それから顔を真っ赤にして、
「僕も、まぁ、その」
 それから、ふん、と鼻を鳴らした。
「……好きだよ。たぶん。そういうやつなんだと思う」
 それが聞けただけで満足だったから、妙見子はムラデンを強く抱きしめた。ムラデンは何も言わなくて、すこし所在無さげに妙見子の着物の裾をつかんだ。其れで、答えで、充分なのだと思った。
「でさぁ、井さぁ」
 と、シラスが言うので、井がうなづいた。
「はい」
「俺もう疲れちまったよ……毎度のように大ケガだし、仲間もやられちまうし。
 だからさ、俺らにはもっと癒しが必要だと思わねえ?
 ここでガス抜き出来ない人間は向こう側に行っちまうんだよ。
 はい、そこで考えたいと思います。
 彼女が出来たら何して欲しいですか?
 何かもう考えるだけで幸せになれそうじゃん? なれよ」
「えぇ~~~~わかるぅ~~~! 僕も寝る前に毎日妄想してるので毎日ハッピーですよ!」
「なんかそれはやだなぁ。
 で、井は何する?
 俺はさあ、膝枕されてえな。
 いや、してもらったことあるけどね。
 恋人になったら何か違いそうだろ?
 雰囲気っていうか、なんていうかさ。
 髪撫でてもらったりして。
 分かる? 分かれよ。
 で、井はどういうシチュがいいの?」
「僕は最近はあっさり系もたしなむようになってきましたね。
 こう、恥ずかしげに笑って「好きだよ」って言ってくれれば、もうご飯食べられますね」
「あーーーなんとなくわかりますーーーー。
 でもこう、なんか性癖のもつ煮込みみたいなこと言うと思ってた」
「僕はあっさりからこってりまで何でも食べられますからね。
 例えばほら、ラミア系の女の子にぎゅーってロールされて朝まで絞殺さん勢いで愛されたいとかもいけます」
「やっぱすげぇよ、お前」
 シラスが引いた。
「カップルばっかじゃねぇか、と思ったら寂しいやつらもいるんだな……」
 そんな光景を見ながら、桐生 雄がうんうんとうなづく。それはそれとして、独り身はさみしい。
「おっ、あそこに影のある美女がいるじゃねぇか。ナンパでもすっか。
 どうしたよお姉さん、一人かい?
 こういう所は男と女揃って楽しむもんだぜ。見ろよあの星。なんていうか知ってっか?
 毒蛇座ってんだけどな。こいつの一番明るい星はポツンと輝いてるから”孤独なもの”って呼ばれてるんだとよ。
 こんな夜に一人ポツンといたアンタみたいじゃねえか。
 それに美しい女性(ひと)には毒がある、とも言うな。
 あんたの毒なら酔ってみてえモンだ。その代わり、今夜は俺が寂しさを埋めてやる……ぜ?」
 そう、キメ顔でいう雄に、影のある美女……ザビーネ=ザビアボロスが小首をかしげる。
「私は、どちらかといえば毒竜ですが……」
「えっ、竜なの」
「はい」
「……」
「面白いものですね。毒蛇……孤独、ですか。お父様のことを思い出します」
 ふ、とどこか遠いものを想う……が、雄にしてみれば、触らぬ竜にたたりなしである。
「じゃあ、俺はこれで……」
「よくわかりませんが、お付き合いいただけると。
 星のことを、教えてくださるとうれしいのですが」
 そう、微笑むザビーネは、確かに美しい。
「ああ、わかった。わかったよ……さすがに竜に手は出せねぇよな、くそ……」
 というわけで、雄の星空ツアーが始まってしまったのである。
(竜宮の星空の中を歩くような、そんな時間を過ごし、いつもアーカーシュの、空の上にあった彼女、ラトラナシュを思い。
 境界での日々を終えて。たくさんの迷い、疑問、憂いを抱きながら、休む間もなく、天義の冠位魔種の件へと繋がり。
 ……私には睡眠や食事は、ましてや呼吸すら必要ありませんが。それでも少し、少しだけ。疲れたかもしれません)
 ふと、グリーフ・ロスはそう思う。心に、重くかかる何か。それは、疲れ、なのかもしれない。
 多くの戦いをこえて、何かを得て、何かを失った。その日々は重く、貴く。
(……けれど、もう。
 見棄てないと。
 諦めないと。
 そう、思いましたから。
 自分も含めて。
 そうしなければ、もう。天之空さんも逝ってしまって、貴女(ラトラナジュ)の守護者は、私だけだから。
 貴女を忘れずに。
 貴女が守ったものを守るために。
 だから、もう一度、もう少しだけ。
 この身に、可能性を溜めて)
 身をゆだねる。穏やかな夜の風に。
 戦いに傷ついた心も体も、少しでも、癒し、休ませるために。
 また、戦いは始まる。
 それでも……今は、ここで、わずかな休息を。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
少しばかりですが、皆様の心と体が癒されますことを。

















































































































GMコメント
お世話になっております。洗井落雲です。
激戦続きの皆さんのために、竜宮から休日のお誘いです。
●成功条件
休日を思いっきり楽しむ
●特別報酬
このイベントシナリオでは、シナリオ報酬のパンドラが『+5』として配布されます。
●お友達や、グループで一緒に参加する場合について
プレイング一行目に【グループタグ】もしくは【お相手の名前(ID)】をご明記ください。
●ご案内
激戦続きで疲労の続く、皆様がたローレット・イレギュラーズ。
そんな皆さんを癒すために、竜宮の民たちが温泉を発掘。そのまま一大リゾート施設を作り上げました。
その名も、『深海リゾート・竜宮の湯』。
複合温泉施設であるこの場所は、様々な癒しと遊びの施設があり、皆様の心と体を完璧に癒してくれるでしょう。
また、今回は、乙姫であるメーア・ディーネと、同じく巫女としての力も持つマール・ディーネーが、皆さんのために竜宮の加護を与えてくれるそうです。
このタイミングを逃す手はないでしょう。これまでも激戦が続きました。これからも戦いは続くでしょう。そんな戦い続きの体を癒すためにも、是非、竜宮の湯へ遊びに来てみてください。
●施設について
下記選択肢にも記載しますが、おおむね以下のような施設があり、遊ぶことができます。
1.温泉
メイン施設でもある、温泉があるエリアです。
まず、温泉は広大な室内温泉と露天風呂が存在します。
室内温泉は、様々な湯舟が設置されており、オーソドックスな温泉から、バブルバスや酒風呂、濁り湯のようなもの。また、各種サウナも設置されており、職人さんが心地よいロウリュを楽しませてくれます。
露天風呂は、『竜宮の星空』が堪能できる景観になっており、大小さまざまな露天風呂が、心も体もリラックスさせてくれるでしょう。
基本的には混浴で、水着を着用して入湯していただくことになります。
ただ、プレイングでご指定いただければ、お友達やご家族と男性のみ、女性のみ、といった形で、水着なしで温泉に入ることも可です。
2.温水プールエリア
流れるプールや波の出るプール、ウォータースライダーなどがある巨大プールエリアです。
およそプールにあるものは何でもあります。プールも何でもあります。ここが最高のプールなのです。
当然のことながら、水着を着用して遊んでいただくことになります。
3.休憩施設
こちらでは、温泉から上がった後の体をしっかりと休めるための設備が存在します。
まずは、仮眠エリア。少々照明を落としてリラックスできる光量のお部屋には、ふかふかの椅子が設置されており、背を倒してベッドのような状態で、最高の睡眠体験ができるはずです。
あたりには、漫画喫茶のように大量の本が無料貸し出しされているほか、練達や再現性東京で放送されている映像作品を楽しむこともできます。
ゲームセンターのエリアも存在し、新旧の様々なゲームを遊ぶこともできるでしょう。
また、和室・洋室などの個室も存在します。
家族だけで、お友達だけで、という方は、こちらの個室を借りてゆっくりと休んでみるのもよいでしょう。
4.食堂
心と体を癒したらおなかを満たしましょう。というわけで、ここは食堂エリアになります。
混沌世界の各国の料理から、旅人たちの世界の料理まで。練達やシレンツィオの協力も得て、様々な料理がお手頃価格で楽しめます。
基本的には、皆さんはもてなされる側ですが、あえて提供側に回ってみるのもいいかもしれません!
5.屋上庭園
竜宮の湯屋上には、日本庭園風に設えられた休憩スペースが存在します。『竜宮の星空』の絶景の下、静かな雰囲気で楽しむことができます。お二人や、親しい人と、静かに語らってみるのもよいでしょう。
●参加NPCについて
洗井落雲が管理しているNPCの内、情勢などを鑑みて参加可能なキャラクターは以下の通りに参加しております。
他のGM・SDのキャラ等に関しては、該当GM・SDに推薦などでご相談ください。
それでは、ささやかながら、休日をお楽しみください。
行動場所
以下の選択肢の中から行動する場所を選択して下さい。
【1】温泉
メイン施設でもある、温泉があるエリアです。
まず、温泉は広大な室内温泉と露天風呂が存在します。
室内温泉は、様々な湯舟が設置されており、オーソドックスな温泉から、バブルバスや酒風呂、濁り湯のようなもの。また、各種サウナも設置されており、職人さんが心地よいロウリュを楽しませてくれます。
露天風呂は、『竜宮の星空』が堪能できる景観になっており、大小さまざまな露天風呂が、心も体もリラックスさせてくれるでしょう。
基本的には混浴で、水着を着用して入湯していただくことになります。
ただ、プレイングでご指定いただければ、お友達やご家族と男性のみ、女性のみ、といった形で、水着なしで温泉に入ることも可です。
【2】温水プールエリア
流れるプールや波の出るプール、ウォータースライダーなどがある巨大プールエリアです。
およそプールにあるものは何でもあります。プールも何でもあります。ここが最高のプールなのです。
当然のことながら、水着を着用して遊んでいただくことになります。
【3】休憩施設
こちらでは、温泉から上がった後の体をしっかりと休めるための設備が存在します。
まずは、仮眠エリア。少々照明を落としてリラックスできる光量のお部屋には、ふかふかの椅子が設置されており、背を倒してベッドのような状態で、最高の睡眠体験ができるはずです。
あたりには、漫画喫茶のように大量の本が無料貸し出しされているほか、練達や再現性東京で放送されている映像作品を楽しむこともできます。
ゲームセンターのエリアも存在し、新旧の様々なゲームを遊ぶこともできるでしょう。
また、和室・洋室などの個室も存在します。
家族だけで、お友達だけで、という方は、こちらの個室を借りてゆっくりと休んでみるのもよいでしょう。
【4】食堂
心と体を癒したらおなかを満たしましょう。というわけで、ここは食堂エリアになります。
混沌世界の各国の料理から、旅人たちの世界の料理まで。練達やシレンツィオの協力も得て、様々な料理がお手頃価格で楽しめます。
基本的には、皆さんはもてなされる側ですが、あえて提供側に回ってみるのもいいかもしれません!
【5】屋上庭園
竜宮の湯屋上には、日本庭園風に設えられた休憩スペースが存在します。『竜宮の星空』の絶景の下、静かな雰囲気で楽しむことができます。お二人や、親しい人と、静かに語らってみるのもよいでしょう。
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