シナリオ詳細
<Stahl Gebrull>ラトラナジュの火
オープニング
●『未来は君を助けず、過去は君を裏切った。今だけが、君を君たらしめる』
最悪の事態だ。
そう、誰かが言った。
もしかしたら、あなたが言ったのかも知れない。
天空の島アーカーシュが形を変え、紅の雷を落とし鉄帝国に巨大なクレーターを作ったのだ。
「ノイスハウゼンに着弾。街が全壊――いや、してないわ!」
魔王城のモニター室にて、セレナ・夜月(p3p010688)がモニターへとかじりついた。
同じくモニターを覗き込むマカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)。
煙のはれたノイスハウゼンの街は確かに壊滅していた。建物やのどかな段々畑の風景が巨大なクレーターへと変わっている。
だが、『半分だけ』だ。
「破壊したのはノイスハウゼンの南半分だけだ。なぜだ? あれだけの威力を持った兵器だ。中心部に着弾させれば全て破壊できたはず……どう思う」
話をふられたルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)はじっとモニターをみつめていた。
「これだけの兵器……狙いがズレたなんてことはないのでして。狙った場所に必ず着弾できたはず」
「パトリック・アネルよ。魔種ではない。人間としてのパトリックが、未だ彼の中で抵抗しているのよ」
レイリー=シュタイン(p3p007270)がモニターを見つめ、悲しげに目を細めた。脳裏によぎるのは、かつてギアバジリカに飲まれたショッケン・ハイドリヒ。皮肉なことに、彼らは悲しいくらいに人間だった。
きびすを返し、歩き出す。
「私はエーデルガルト遺跡の防衛にあたるわ。ここは……彼のことは、お願い」
はるか天空。アーカーシュの砲身のすぐそば。
「砲身――ラン・カドゥールより再び高エネルギー反応!」
オペレーターの叫び声を聞き、御子神・天狐(p3p009798)はハッと顔をあげた。
「『ラトラナジュの火』をまだ撃てるのか!? 一発だけって大佐言っておったじゃろ!?」
うどん屋台を引いて走る天狐。走るっていうか空を駆けていた。屋台からは飛行機めいた翼が展開し、ジェット噴射で推進している。(なのに天狐は前方でバーを掴んでしゃかしゃか走っている) 「言っていない。『少なくとも一発』と言ったんだ。角度計算――狙いは、まずいな。鉄帝首都スチールグラード近郊だ」
声に応えたのは咲花・百合子(p3p001385)。屋台の屋根の上に乙女立ちし、とんでもない速度で飛行しているにもかかわらず長い髪が優雅に靡く以外身体を微動だにさせない。 並走するように飛行する飛空艇ハンドレッド号から、改造屋ハンドレッドはため息まじりに声を発した。
「あそこは良い仕事が沢山あったのに、残念だね」
「諦めるの早すぎぬか!?」
「一発撃っただけで地図を書き換えるレベルの兵器だぞ。人間が束になって間にはいった所で何になる? 掃除機のまえにホコリをまくようなものだね」
ハンドレッドがどれだけ早くこの場所から逃げられるか計算しはじめたところで……キラリと空に光るものが現れた。
白き閃光。真昼の太陽を直視してしまったかのような眩しさについ目を細める天狐。
一方で目を見開き、百合子は大きく両腕を広げた。
「案ずるな。我々の手番は……まだ終わっていない」
それは――大空に広がる翼であった。
「――間に合います。いいえ、間に合わせるのです!」
大空を高速で駆け抜ける、それは『神翼獣』ハイペリオン(p3n000211)であった。
その背にしがみつくように乗っているのは『神翼の勇者』ジェック・アーロン(p3p004755)。そして、『黒冠』セレンディ。
アーカーシュ下部より露出した『砲身』はぴったりと鉄帝国首都へと狙いを定め、次なる砲撃を放つべく紅のエネルギーを先端へと集中させている。
「まもなく射程範囲です。距離70m――60、50、今!」
ハイペリオンの声に併せ、伏せの姿勢でスナイパーライフルを構えていたジェックは砲身へと発砲。
たった一発で常人を殺しきるという、総威力8000をゆうに超える射撃が――紅のバリアによってはじかれた。
「無効化結界!?」
射撃の隙は突かせないというつもりだろう。そして今度こそ砲撃が放たれようとしている。
「大丈夫だよ」
ジェックはそうガスマスク越しに呟いた。
「アタシたちは、これまで沢山戦ってきたよね。
ずっとずっと前から。君が神翼庭園ウィツィロから目覚めた時から。
復活した古代獣と戦って、空を目指して飛んで。アーカーシュを見つけて、いろんな新しい発見があって。
嵐の領域を越えて、アイルと再会して、セレンディと出会って、魔王城を攻略して……」
ジェックは冷静にライフルをリロードする。『次』に備えるのだ。
「アタシたちには、積み上げてきたものがあるんだよ。勝ち取ってきたものが、ある。
こっちにも『切り札』があるとしたら――それこそ」
豪速で回り込んできた巨大な球体と共に、セレンディが砲身と鉄帝国の間へと割って入った。
「通さない――『ブーク・カドゥール』!」
一瞬で展開される黒く分厚い障壁。
それが、紅の砲撃を完全にうけとめたのだ。
「思い、出した……そこに、いたんだね。『紅冠』のラトラナジュ!」
●『紅冠』ラトラナジュとラン・カドゥール
砲身から、紅の結晶を自らの周りに展開した精霊が姿を現した。
ただの精霊でないことは『ラトラナジュの火』を見れば明らかだ。
「『ラトラナジュの火』……確か、アーカーシュに残る文献にあったはずです。セレンディの盾と並ぶ、アーカーシュの超兵器!」
気象精霊ポポッカ&フラペペに両サイドから抱えられる形で飛行していたマリエッタ・エーレイン(p3p010534)が叫ぶ。
ハイペリオンの加護をうけた彼女たちは、簡易的な飛行能力を拡張され自由かつ高度な戦闘機動をとれるようになっていた。
ドラネコクッションに跨がり、臨戦態勢となった無数のドラネコたちに囲まれたユーフォニー(p3p010323)が振り返る。
「あの『ラトラナジュ』も大精霊……あるいは神霊クラスということですか?」
「さしずめアーカーシュの最終兵器専用AI、といったところか」
ムエン・∞・ゲペラー(p3p010372)が炎の翼を広げ、グリーザハートを抜く。
オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)も臨戦態勢をとるべくプリズムの輝きを放射状に散らした。
「だったら、あの子を倒せば大砲を無力化できるのね!」
「その通りです」
ターンして戻ってきたハイペリオンがホバリングをかけ、治癒の光をまっすぐセレンディへと浴びせる。
「ですがもう一つ――『ラトラナジュの火』を防御できるセレンディを倒されても終わりです。見てください」
ハイペリオンに言われて視線を向けると、ラトラナジュの背後にある砲身『ラン・カドゥール』より無数の攻撃精霊が出撃。
人間の子供ほどのサイズがあるピンク色の結晶がとなった精霊たちは次々にセレンディめがけて赤い結晶弾を発射した。
四方八方から取り囲んでの集中砲火――だが。
「つまり、この子のボディガードが俺たちの仕事ってワケだ」
黒騎士フォームとなった耀 英司(p3p009524)がその剣で飛来した結晶を防御。
反対側では澄恋(p3p009412)が血色の巨大な爪を生成して結晶体を粉砕していた。
「子供を寝かしつけたあとは護ってさしあげる……実に花嫁力が試されますね!」
「ハイペリオン様のオーダーだ。それに、こういうフィールドは得意だしな!」
その周囲を紅蓮の炎を渦を巻いた。――否、カイト・シャルラハ(p3p000684)が翼を広げ高速で飛び回り、結晶弾を弾いたのだ。
「わっふー! トリヤデさん、お仕事だよ!」
ミスト(p3p007442)がぱっと両手を広げトリヤデさんを大量召喚。ヤデーと言いながら跳んだトリヤデさんの顔面に結晶弾がメリッとした。
「ヤデー!?」
「うわートリヤデさーん!」
「セレンディさんは、ぼくたちが守るよ」
リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)が空中にできた黒い足場の上に立ち、身構える。
リュコスたちはぐるりとセレンディを囲むように布陣し、その更に外周から狙う攻撃精霊たちを威嚇するように構えた。
●スクラップ&ビルド&スクラップ&――
最悪の事態だ。
誰かがそう言った。
あなたが言ったのかもしれない。
アーカーシュの権限を完全に掌握したパトリックによって、その制御下にある全てのゴーレムたちが強制的に攻撃命令を実行させられていた。
「コワシテ……コワシテ……」
「イヤ……イヤ……」
『ヒンメル・ゴーレム アイン&ツヴァイ』がガタガタと振るえたかと思うと、腕に格納していた槍を展開してジュリエット・ラヴェニュー(p3p009195)へと襲いかかる。
それを阻止したのはジュリエットが新たに製造し量産に成功した量産型ヒンメルゴーレムシリーズたちである。
イレギュラーズが回収し、組み直したゴーレムたちの殆どはアーカーシュのメンテナンスを行うゴーレムだ。戦闘能力こそあれ、戦闘特化型のハイアームズに劣るものが多い。
それゆえ戦闘能力にリソースを傾けたヒンメル・ゴーレムの量産をはかり鉄帝軍と合同で防衛戦力として配置していたのだが……。
「やっておいて正解ね。もし量産が間に合わなかったら、部隊が内側から破られていたわ」
イレギュラーズや鉄帝軍人たちがゴーレムに敗北するとは思わないが、友情を育んだ彼らに(しかも自我を残したまま強制的に)襲われ困惑しない者などいない。
だが幸いなことに、戦力の大半は新型ゴーレム。魔王城内で製造したこれらはアーカーシュから完全に独立したAIをもっているためにパトリックに支配されることがないのだ。
「来るわよ、皆!」
見上げると、黒い雲。
否。大量のゴーレムたちが飛行し魔王城へと向かってきているのだ。
「あれはハイアームズ? いや……魔王城のデータにあった。『アルトラアームズ(天空機将)』だ!」
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)が叫ぶ。アルトラアームズの特徴として記述されていたビット兵器が両肩から発射され、飛行し迎撃を始めたヒンメルゴーレムたちを次々に撃墜していく。
更にはミサイルポットを展開し、発砲。大量のミサイルが空を爆発で埋めた。
それを突っ切って現れたアルトラアームズが巨大なビームライフルを構え、魔王城へと狙いを付けた。
「結界作動――ピンポイントバリア(無効化結界)!」
城の屋根の上で腕組みをし、叫ぶセレナ・夜月(p3p010688)。
予め組み込んだ魔術式によって六角形のバリアが形成され、ビームを空中で無効化した。
「備えあれば憂い無し、ってね。皆、準備はいい? ここを落とされたら終わりよ」
「承知。ここから先は一歩も通さないで御座る」
咲々宮 幻介(p3p001387)が剣を抜き、突っ込んでくるハイアームズ集団めがけ空駆けした。
すれ違ったハイアームズが切断され、墜落していく。
「またつまらぬものを斬って――」
その横を大量のハイアームズたちが抜けていった。
「言ったそばから通してる!」
「数が多すぎるんで御座るよ!?」
慌てて振り返る幻介……とみせかけて。
「なーんて。ここの守りが拙者だけだとなぜ思う」
カカカン――と小気味よい音をたててライトが二つのラインを描いて点灯。
伝声管よりオペレーターの声がした。
『カタパルト解放。準備よし。イレギュラーズ、行けますか?』
「任務了解。発進準備良し」
ルクト・ナード(p3p007354)は自らの体勢をサポートするように伸びた電磁レールの上に立つと、激しい衝撃と共に天空へと高速で射出された。
通常の飛行能力では上昇にかなりの時間を要するが、ゴーレム発進用カタパルトを改造したこれらを用いれば容易に戦闘圏まで急上昇することができる。
鉄帝軍の技術力を併せてつくられたおかげで(?)肉体へのダメージもなしだ。
ルクトをサポートするように次々と発進するガウォークタイプの戦闘機ゴーレムたち。
ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)もまた同じカタパルトで急上昇すると、ライフルを構え魔術砲撃をぶっ放した。アルトラアームズのバスタービームライフルと同じかそれ以上の威力である。
「カタパルトの調子は上々でして」
「壊したらより強く作り直す。スクラップ&ビルドですよ!」
ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)も空へと飛び上がり、ハイアームズたちと交戦を開始した。
『主砲を発射する! 皆、巻き込まれるなよ!』
魔王城から大音量で流れたアナウンスは天目 錬(p3p008364)のものだ。
彼をはじめとして何人もの技術者や専門家たちによって作り上げられた『主砲』――名付けるとすれば『ローレットキャノン』とでも言うべきそれが。
魔王城上部を思いっきり変形させながら出現した。
「変形!?」
二度見するブランシュたち。
突然巨大な腕がはえたかと思うと大砲が出現し、それをあえて巨大なうででがしりと支えた魔王城(?)がそれをアストラアームズたちへと向ける。
「これが、いくつもの世界の技術と知識、そして情熱によって作り上げられた力であります!」
ムサシ・セルブライト(p3p010126)が叫ぶ。
そして発案者であるリュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)が、拳ふりあげ発射ボタンを思い切り殴りつけた。
「ローレットキャノン――発射!」
極太の光線が二重螺旋のエネルギーラインを纏い空を穿ち、はるか彼方の雲までもを撃ち払った。
ぶすんと音をたてて、大砲が下へと向いた。
「あれ、おわり? 二発目は!?」
「浪漫重視で作ったらしいからなあ……クールタイムがとんでもなく長いんだろう」
心なしか大砲も満足してるように見える。
が、ハイアームズたちはそれを待ってくれる相手では勿論ない。次々と着陸し、魔王城の正面にあるゲートへミサイルを集中。激しい爆発によって粉砕した。
「だったら、ここからは私達の出番ですね! ――スタンダップ、『ルナ・ヴァイオレット』!」
九重 縁(p3p008706)は狭いコックピットに滑り込んで人型ロボットあるいは拡張パワードスーツとよぶべきものが立ち上げた。
マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)も『確かに』と呟いて『ティンだダロス』を召喚。背へと跨がり、走らせる。
その様子を城内から見送って、ゴリョウ・クートン(p3p002081)と武器商人(p3p001107)は後ろを振り向いた。
魔王城にはレリッカ村の住民をはじめ非戦闘員たちが大量に詰め込まれ、非戦闘員の保護とこれから出るであろう負傷者の保護を目的として稼働することになる。
「城攻めは何度かしたつもりだけれど……ヒヒヒ」
「まさか籠城戦をすることになるとはなあ。ぶははっ!」
二人は(ある意味魔王城にピッタリの顔で)ギラリと外へ視線を向けなおした。
「戦闘開始だ! 非戦闘員は地下シェルターへ避難!」
「これが終わったらステージをつかって大宴会じゃ!」
一条 夢心地(p3p008344)がここぞとばかりに自己主張し、壁際にある『罠!』て書かれたレバースイッチを入れた。
魔王城各所に再設置あるいは新造された大量の罠(あとミラーボールとかBGMとか)が稼働。侵入をめざす敵ハイアームズたちが次々と足止めをくらしはじめる。
中でも巨大扇風機におされて次々落とし穴に転げ落ちていくゴーレムたちを、隠し扉からスッと出てきたアルヤン 不連続面(p3p009220)が奇襲する作戦はえげつないくらいハマった。
「ローレット魔王城支部は――自分たちが守るっす!」
●鋼の咆哮
「大量の暴走ゴーレム、そして古代獣が魔王城への攻撃を開始したそうです」
「この遺跡へは?」
「侵入する古代獣はわずか。ゴーレムも多くありません。主には特務派――いや、パトリック派として魔種側にのこった軍人達で部隊が構成されているようです」
只野・黒子(p3p008597)は見張りからの情報をまとめ、エッダ・フロールリジ(p3p006270)へと伝達していた。
広大な地下空間である『ジーク・エーデルガルト』。通称エーデルガルト遺跡には『紅冠の矢』が二つ保管され、厳重な警備と防衛設備によって守られている。
これが持ち出されれば何がおこるかは……もう目にしたばかりだ。
エッダは木箱の上に飛び乗り、武装した鉄帝兵たちを見回す。
軍務派と特務派。それぞれの勢力がいま一丸となり結集している。そうでもしなければこの自体を乗り切れないと判断したことも勿論あるが、そうすることを総指揮官であるエッダが暗に求めたのも大きいだろう。
厳密に言えば、特務派が汚名返上名誉挽回をはかるチャンスを与え、それを察した特務派が軍務派に対する最大限の配慮とリスペクトを示した結果と言える。
「幸い、ジュリエットが作った量産ゴーレムのおかげで基地内が混乱せずに済んでるわ。けどここが攻略されたら『ラトラナジュの火』を再び撃たれる。
セレンディがもう一度あの攻撃を耐えられるとは思えないし……つまり、負けられない戦いよね」
レイリー=シュタイン(p3p007270)が武器を腕から展開し、槍を握りしめる。
「あそこで『矢』を見つけてなかったら、こっそり奪われてたって線もあるわけだよな……ゾッとしねえ」
天之空・ミーナ(p3p005003)はちらりとグリーフ・ロス(p3p008615)の方を見た。
今回は二人のお手柄だ。パトリック派の兵達が完全武装でここを目指していると言うことは、いまここに残っている『矢』こそ彼らの把握できる最後の矢ということになる。
「はい……相手も、こちらが迎え撃つことは想定しているでしょう」
グリーフは身構え、佐藤 美咲(p3p009818)はやれやれといった様子で銃を抜く。
「表じゃ神霊と神霊が精霊大戦争したり、魔王城とゴーレムがドンパチやってたりするっていうのに、こっちはバチバチのバチでミリタリー戦争っスか」
ちらりと見れば、固定砲台型のゴーレムが上に向けていた大砲を動かし、遺跡入り口へと狙いをつける。
まわりはアサルトライフルや機関銃を装備した鉄帝兵。加えて多脚戦車のような格好をした拠点防衛特化型ゴーレムたち。
配置を確認し終えてから、イーリン・ジョーンズ(p3p000854)がシニカルに笑った。
「キッチリ図面はひいてあるわ。あとはあなたが最大火力を出すだけよ、大佐殿?」
「いいだろう」
エッダはナックルを装着し、吠えた。
「『鋼の咆哮』作戦――戦闘フェイズへ移行する! 総員、撃て!」

- <Stahl Gebrull>ラトラナジュの火完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別決戦
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年09月02日 22時24分
- 参加人数139/∞人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 139 人
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参加者一覧(139人)
リプレイ
●輝き集いて鐘は鳴る
そびえ立つ魔王城に爆風と煙。展開した障壁がたった一瞬だけ輝きを見せ爆風を凌ぐなか、ごくわずかに切り拓かれた穴をつくように無数の人影が侵入を果たした。全長2m前後といったところだろうか。
全てが不思議な鉱物素材でできた戦闘完全特化型ゴーレム。通称ハイアームズ。
翼を広げジェット噴射で向かうは魔王城。無数にある窓が防護シャッターに閉じられ、パネルが反転する形で現れたミサイルポットが次々に対空射撃を開始する。
直撃を受けて爆発するハイアームズ。対抗するように放たれた熱光線によってミサイルポットの一つが破壊され爆発を起こす。
『準備完了。カタパルトハッチ解放。あなたに世界の運命を託します』
伝声管ごしにオペレーターの声に、『月下美人の花言葉は』九重 縁(p3p008706)はぱちんとウィンクをした。
「まかせて。九重ユカリ……『ルナ・ヴァイオレット』! 出ます!」
カタパルトによって大空へ飛び出した縁のルナ・ヴァイオレットがウィングを展開。胸部の石の輝きによってふわりと浮きあがる機体の中で、縁はマイクをオンにした。
「戦闘機動は……まだとれませんえ。けど、歌うことならできます!」
ルナ・ヴァイオレットは魔王城尖塔のてっぺんに立つと、スピーカーを展開して目一杯歌を流した。
その歌に鼓舞されるかのように、無数のヒンメルゴーレムが出撃。飛行戦闘に特化した形態に変形したゴーレムたちは機銃掃射によってハイアームズたちを撃墜していく。
「つまらないことしてくれたわね、パトリックのヤツ…。
まだアーカーシュの隅々を見て回ってないのよ、遺跡も遺物も。
それを好き勝手にされるのは気に食わない。
なによりも、私の、私達の手掛けたゴーレムに手を出してくれた礼は返すわ。
覚悟なさい?」
ジュリエット・ラヴェニュー(p3p009195)は飛行特化ゴーレムのひとつに騎乗する形で空を飛ぶと、敵陣に突っ込みつつチェインライトニングを発動。
周囲のゴーレムたちがジュリエットに応じて集中砲火を浴びせ、盾を構えたハイアームズが爆発四散する。
その裏から現れたのはヒンメルゴーレム・アインであった。
「……いいゴーレムね」
『♡の瞳』ノア=サス=ネクリム(p3p009625)はメタル・カオス・ワイバーンに騎乗。カタパルトから発進したバイクが変形し飛行形態をとると、ノアはバイザーをおろしてぎらりとピンク色に輝かせた。
「彼女が頑張ってアーカーシュの調査を進めて、ゴーレムを研究した結晶をこんな形で踏み躙るなんて……許せないわ」
バイクから展開した機関銃を発砲。
「私も負けてられない。フライトユニット接続。オニキス・ハート、出撃するよ」
そこへ参戦したのは『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639)。ドローンめいたプロペラ推進による飛行状態を維持すると、早速『マジカルゲレーテ・アハト』を展開。
120mmマジカル迫撃砲凍結弾が放たれ、ヒンメルゴーレム・アインの展開した盾を貫通。破壊する。
「キミたちも命令されているだけだよね。もし私たちと先に出会っていたら……ごめんね」
反撃に出たヒンメルゴーレム・ツヴァイがオニキスを狙うも、『刀身不屈』咲々宮 幻介(p3p001387)がその間に割り込んだ。
「宙を飛ぶ事は拙者には出来ぬが……それでも、此方には此方のやり方での戦い方があるのと見せてやろう。
飛燕の如く、縦横無尽に跳び交う様……とくと御覧頂こう。
空は、お主らの独壇場ではないという事を教えてやる!」
いや、割り込んだというのは正しくない。閃光がかすめ、それが幾度も味方ゴーレムたちを足場にしてターンし、気づけばゴーレムの繰り出す槍を破壊していた。
「紅蓮の神焔に焼かれ、消え墜ちていくがいい。飛翔だけが空戦の醍醐味だと思うなよ!」
そこへ現れたのは皆おなじみ『にじいろ一番星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)。
キラリと光る超特化型アンチマテリアルマジックライフル『IrisPalette.2ND』。
「難しいことは一切を捨てたガチの火力を叩き込んでやるのでして!」
撃たせまいと周囲のハイアームズたちが集中砲火を浴びせる……が、そんなものは望むところである。
「殲光砲魔神――投射(シュート)でして!」
爆発。崩壊するヒンメルゴーレム・ツヴァイを、ジュリエットは悲しげに見つめた。
「ごめんなさい。必ず治すわ」
次々と天空へと出撃するヒンメルゴーレム飛行戦闘型。その背には『燼灰の墓守』フォルエスク・グレイブツリー(p3p010721)が乗っていた。
両手でしっかりと大鎌を握ると、ヒートホークを構えるハイアームズへと接近。
斧の斬撃――は、フォルエスクの頭上すれすれを抜けていく。すれ違うように繰り出した鎌が、ハイアームズのボディを真っ二つに切断した。
「天空を得意とする者たちへの特攻、というわけか」
悪くはない、と呟きながらぴょんと宙返りをかけながらヒンメルゴーレムから飛び降り、華麗に姿勢制御を行いながら別のヒンメルゴーレムへと着地した。
すれ違う『イエスマスター』リンドウ(p3p002222)と『死と共に歩く者』辰巳・紫苑(p3p000764)。
二人は黒い翼を羽ばたかせると、極太のビーム砲撃を左右にわかれて回避した。
「あれは?」
「敵の上位機――アルトラアームズでしょう」
こちらを見下ろすように大砲を構えるルクトアームズ。
「折角楽しそうな戦いをしているんだもの。
巻き込まれないと損だと思わない?
ねぇ、リンドウ」
「イエス、マスター。人形は命令を受理しました」
射撃を開始するリンドウ。紫苑は次の砲撃が起こる前に距離を詰め、至近距離から魔法を解き放った。
「どんなに遠くに居ても狙いは外しませんよ」
「私だって…死は貴方達を逃がすつもりはないんだもの!」
攻撃をうけ、大砲を破壊されたアルトラアームズは大きく後退しビームビットを展開。
熱光線を放つビット兵器が広範囲へ展開し回り込んでくるが、そこへ――。
「待たせたな!」
畳の上にサーフボードのごとく乗った『残秋』冬越 弾正(p3p007105)がビッと二本指を翳して現れた。
その後ろで必死にしがみつく『冬隣』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)。
「どういうことだ弾正! こんな絡繰聞いてないぞ!」
「行ってなかったしな! けど、突いてきてくれるんだろう?」
ウィンクする弾正。取り出したマイクで歌い始めると、心に染み慣れたそれにアーマデルは苦笑した。
「まったく」
蛇鞭剣ダナブトゥバンと蛇銃剣アルファルドを同時に抜き、射撃と鎖斬撃によってビット兵器をたたき落とす。
更に放った鎖剣でアルトラアームズの腕を掴むと、ギュッと引っ張るように力を加えた。
「さあ、空の欠片を取り戻しましょう」
飛行形態のヒンメルゴーレムに横乗りする形で現れる『つまさきに光芒』綾辻・愛奈(p3p010320)。
靡く長い黒髪を手で押さえると、空に指でサインを描くようにキラリと光を放った。
すると無数の光の矢が生成され、アルトラアームズめがけて発射される。
「銃口が増えれば敵は苦しいはず。一気呵成に攻め立ててやりましょう」
「空の平和は航空猟兵が守るですよ!よくわからない機械に空を取られるのは我慢ならんですよ!」
『航空猟兵』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)はそんな彼女たちを先導しひっぱる役割だ。
「いつもの司令官とは違いますが……今回はブランシュが司令塔です。
一つも生かして帰さず、全機帰投する事。
では、航空猟兵、一斉攻撃!」
ブラスターメイスに聖弓改造型接続式滑腔砲を接続。ロングレンジライフルのように構えると、とんでもない威力の砲撃を放った。
「そーらー! 私は空を飛ぶ―! さー舞い上がれ私―大空はお前のものだー!」
『あらぶるりゅう』リリア=リザイア(p3p010432)はシャドウオブテラーの魔術を展開。自らの翼を大きく拡張するかのように影を伸ばすと、その翼でもってアルトラアームズを斬り付ける。
対抗するようにアルトラアームズはビームサーベルを抜いて振り回すが、リリアの影の翼と幾度もぶつかり火花を散らした。
「空は私達が制するぞー!」
「何やら物騒なものが欲しいようだな。我々に勝ったら通行を許可してやろう」
『含牙戴角』イルマ・クリムヒルト・リヒテンベルガー(p3p010125)は龍の嘶きのような音をたて風にのると、ライフルを構えて狙いをつけた。
支援するように周囲にヒンメルゴーレムが集合。『輝きを目指して』ダリル(p3p009658)も加わり目をギラッと開いた。
「ほうほう、このような天にもいるというのか! 見事見事、じゃが我等に察知されたはいかんのう。撃墜してやるぞ!」
なんか端っこのほうがやつれてるのはカタパルトで発射されたときの名残である。あんなのもう使うまいと堅く誓い、ダリルは魔方陣を展開。
「奴らの身や翼を貫き、この天から墜としてやるのじゃ!」
「そういうことだ。一斉射撃」
イルマがライフルを放つと、ダリルと周囲のヒンメルゴーレムたちが一斉に砲撃。
アルトラアームズが爆発四散する。
その爆発の中を、『蒼空』ルクト・ナード(p3p007354)は高速で突っ切っていった。
「『蒼空』ルクト、攻撃を開始する。ゴーレム、続け」
ガウォーク型ゴーレムが陣形を組み、それぞれがライフルを構えた。
対抗するように敵アルトラアームズが飛行に適した形態へと変形し上空へと飛び上がる。
逃がすまいと加速をかけるルクト。
「来い、大槍ファム・ファタール。突っ込むぞ!」
急加速した二機が空で赤と青のラインを描き、幾度も衝突と反発を繰り返した。
戦闘力は互角――いや!
「大佐はルクトアームズをうまく改造したらしい。だが、『改造』ならこっちにもプロがいる」
ウォーク型ゴーレムたちが一斉にライフルを構える。発射したのはルクト動揺の特殊弾頭だ。
「!?」
ビクリと反応したアルトラアームズだがもう遅い。動きを完全に封じられたアルトラアームズの腹を、ルクトの大槍が貫通した。
「『空』を戦場に選んだ時点で、この勝負は決していたな」
天空にて主力ゴーレム部隊を撃滅したその頃、魔王城の場内でも戦いは起こっていた。
「トラップ機動っすよー」
『地獄扇風機』アルヤン 不連続面(p3p009220)がスイッチを押すと巨大扇風機が回転を始め、進軍していたハイアームズたちがつるつるすべる床で転倒しながら穴に次々越知丁行く。
その内側で待ち構えるアルヤン。
「はいこっちは偽物……いや本物? まぁ自分っすよー」
そこへ『ゴールデンラバール』矢都花 リリー(p3p006541)がそれはもうモテる限りのバールを穴の中にぽんぽん叩き込んでいく。
「はぁ…ハイアームズだかラトラナジュだか知んないけどさぁ…。
古代兵器ごときが何イキってんのさ…今は現代だよぉ…?
時代外れも甚だしいんだよねぇ…
今の年代もわかんないようなのはギルティ…
現代兵器で存分に理解らせの刑だねぇ…」
「す、すごい罠です……」
『愛しき影と共に』カスミ・スリーシックス(p3p008029)は仲間達の作った罠に次々ハイアームズがひっかかるさまを見ながら戦いに参加していた。
「えぇ、私達の魔王城は私達の手で守るんです!」
聖なる力で飛行しハイアームズたちを引き寄せ、トラップゾーンに誘い込んでは待ち構えていた仲間達と一緒にタコ殴りにするという手堅い作戦。その要だ。
「貴方達にどんな目的が在るにしろ、皆の居場所である此処は通しません!」
「うわわ、空飛ぶ城だなんて……世界は不思議でいっぱいだったんだなぁ……。
何はともあれ今のお仕事は城の防衛! 得意分野だからね! 頑張っちゃうよっ」
『ちびっ子鬼門守』鬼ヶ城 金剛(p3p008733)は誘い込まれ動きを封じられたハイアームズめがけ思いっきり殴りかかり、抵抗するハイアームズの攻撃を頑丈な身体で受け止めた。
「防御はこちらが行きますー! どちらに誘導しますか!?」
「楽しい魔王城支部…もといお城を守るのですにゃー!」
『お昼寝ひなたぼっこ』もこねこ みーお(p3p009481)は肉球型のボタンをぽちっと押すと、ニャーンという声と共に階段が一斉に斜めになる罠を起動した。
「ねこねこ部隊、出撃ー迎撃ーなのですにゃー!」
更に(多分ジュリエットが作ってくれた)猫型ゴーレムが起動。ニャーンといいながらハイアームズをもこねこと一緒にねこぱんちで殴りつけた。
「この風雲! 夢心地城を落とそうと言うわけじゃな。
彼奴らの狙いは城主たる麿の身体に違いない……。
麿を捕らえ、この肉体の隅々まであんなことやそんなことを……。
させぬわ!麿のピチピチボディを好きにはさせぬ!」
『殿』一条 夢心地(p3p008344)はデカい宝箱からバッと現れ、タライが次々に降ってくる罠を起動。
「覚悟せよ、一体足りとも逃しはせんぞ。なーーーっはっはっは!!」
夢心地の斬撃でハイアームズのボディが真っ二つに切り裂かれ、『アートなフォックス』生方・創(p3p000068)は予め作っておいた大量のスパイクを通路にまき散らした。
「なるほどね、こういう状況になっていたか。
ともあれ、意思ある創造物を掠め取って、自分の意のままに……ましてや縁を結んだ相手を攻撃させるなんてのはあってはならないこと。
許しがたいよねぇ、じゃ、遠慮は要らないってもんだ」
戦いに加わろうとしたハイアームズを妨害している間、ここぞとばかりに『けだもの』蜂八葉 黒丸(p3p009239)が襲いかかる。
「ん、敵、全部やっつける」
みすぼらしいナイフをくるりと逆手に握ると、ハイアームズの懐へと素早く滑り込み腕やボディを切り裂いて行く。
黒丸が駆け抜けたあとは分解されたゴーレムがばらばらとスパイクの上に転がった。
「適材適所、ってね。さ、次のお仕事といこう」
「ん」
「無機物との絆が途切れそうになったり、無辜の民の命を平然と奪おうとするなんて…。
世の中、そういう苦しみを与える愛(ジャンル)もあるとは知っていますが…。
流石に現実でそういう事は許せませんね」
魔王城正面ゲート。破壊されたゲートから次々に侵入するハイアームズたちを迎撃すべく、『お前も愛を知らせてやろうか!』ナズナサス(p3p001053)は堂々と立ち塞がっていた。
砲撃を掻い潜り、愛のパンチで殴り倒す。
「全力で愛を教えて差し上げます。無機物でも、きっと伝わるでしょう?」
「ヒヒ!折角建てた支店をぶち壊されちゃあ堪らない。
名に恥じぬ仕事をしようじゃないか。
サヨイーツが運ぶものは兵糧だけじゃないと知らしめてあげようねぇ」
そこへ駆けつけたのは『闇之雲』武器商人(p3p001107)。
モニター室の『雷龍』ユー・コンレイ(p3p010183)とファミリアー通信を通してこの場所へと駆けつけたらしく、集中砲火を浴びせてきたハイアームズからナズナサスを守って立ち塞がった。
流石ローレットの初見殺しこと武器商人。砲撃などものともしない。
『魔王城ね、いずれ此処も俺に管轄が回ってくるのかね。
ま、それもこの戦いに勝ってからだな。
クソ忙しい仕事だが此処も俺のシマだ、気合い入れていかねえとな』
コンレイのそんな呟きを思い出しながら、『元気なBBA』チヨ・ケンコーランド(p3p009158)が物凄いスピードで現地到着。運んできたのは医務室で一度治療を受けたり別のエリアから移動してきた大勢の味方だった。
「ほほ!走りといえば わ し じ ゃ よ !
味方の送り迎えも、負傷者の回収も任せんしゃい!
ほら、ビシッとせい竜坊! ゆくぞぉ!」
キエエといいながら蟷螂の構えをとるチヨ。
こうして高速展開されたのはそう、『特攻絶対死守防衛縁』チームである。なんかすごい名前なのはなぜだろう。
「あらあら…何やらお困りの様子、人助けに来ましたわ
というか、罠に誘導する?はて、それでこの拠点が守れるのですか?
ともあれ、そういう事でしたら体を張って頑張りましょう…コフ」
軽く吐血しながら笑う『月華美人』香 月華(p3p010546)。
体内で調香した「誘惑香・夜の女王」を散布することでゴーレムたちの誘引を開始。
ふふふと笑い(そして吐血し)場内のトラップエリアへと誘い込む。
目当ては『酒天童子』大江山 伊吹(p3p010779)の仕掛けた『大江山スペシャル』である。
「フハ!まさかこんな早々にこのトラップ群『大江山スペシャル』の活躍の場が与えられるとはな!
愉快痛快! 罠作成者の一人として胸が躍るわ!
さあて、我を楽しませてくれよ、ゴーレム共。実験とついでに防衛の開始じゃ!」
早速酒地獄トラップに嵌まったゴーレムたちが動きを鈍らせる中、伊吹が思い切り殴りかかる。
「フハハハ!どうじゃ! ゴーレムよ! 我の酒は美味いか? 冥土の土産によく味わうといい!」
「うむむ…敵を罠に掛けるなんて…個人的には引っ掛かる様な…
成程! これも「悪」の怪人としてやらなきゃいけない仕事という事かな!
なら、僕も頑張らなきゃね☆
じゃあ、皆よろしくね♪」
『不死身の朱雀レッド』朱雀院・美南(p3p010615)はといえば『BSマシマシ床トラップ』にスキップしながら誘い込み、ハイアームズにタコ殴りにされながらトラップを起動。自分まで巻き込んでBSトラップにはめこんだ。
「ぴえぇぇん!私、本来は空中戦に臨むはずだったのに!どうしてわざわざ不利な城内戦に!?
こんな事なら前回罠作成なんてしなきゃよかった!
というか、一部怖い人が居るんですが!あわわ!
こ、こうなったら死ぬ気でやってやります!」
そこへ雑賀 千代(p3p010694)が『ミサキちゃん(触手)トラップ』を発動。触手がゴーレムに絡みつき拘束していく。(ついでに美南も)
「どうですか! ミサキちゃん(触手)トラップは! 可愛いと思いませんか!」
「わー!?」
「ん…今回はこういう依頼なんだね…あたしに罠の誘導…なんて出来るかな。
…でも…頑張るよ…だって…ここを奪われたら…多くの人が悲しむのでしょう…?
…そんなの…いい気分でご飯食べれないしね…」
誘導と手伝っていた『食べ歩き仲間』龔・巳華(p3p010363)がトラップゾーンからハイアームズが逃げ出すのを防ぐべくスケルトンを召喚しておさえつけ、自分もゴーレムをけとばした。
「触手が美味しそう…終わったら食べてもいい…?」
「ンフフフ!これぞ、正に奇縁!普段は(背後によって)交わる事もない者達によるお祭り騒ぎの防衛線!
いやあ、小生ワクワクですぞ! …と、興奮するのもここまでにしましょう。小生もこの防衛線に微力ながら協力致しましょうぞ」
一度トラップにはめてしまえばこちらのもの。丑三 縁(p3p010789)は禍々しいオーラを湧き上がらせると、ゴーレムたちめがけてそれらを一斉に解き放った。
「ンフフフ!ここから先は通しませぬぞ♪ 汝らはもう助からないゾ♡」
「悪狼たるヘルちゃん達率いるこの絶対死守防衛のトラップ群にようこそなのだ!
フハハハ!飛んで火にいる夏の虫とかそんな感じなのだ!さあ、ゴーレム達にヘルちゃん達の罠の恐ろしさを思い知らせてやるのだ!
……ちょっと人選誤った気もするけどそこんとこは考えないようにするのだ!」
『凶狼』ヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム(p3p010212)はそうしてトラップにやられてボコボコにされつつあるハイアームズを眺め、両手をこそに当ててえっへんと胸を張った。
「フハハハ! どうだ! ヘルちゃんのトラップは!」
それでも抵抗するハイアームズのダメージは痛いようで、ヘルミーナの治癒魔法は大事になるのだが。
「この面子の中で回復役がヘルちゃんしかいねーのやっぱりおかしくない?」
「ぶはははッ、そんじゃ盛大に遅延作戦(いやがらせ)をさせてもらいますかねぇ!」
負傷した鉄帝軍の兵士や非戦闘員たちが収容されている魔王城。
それを守るのは『肉壁』チームこと『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)たちであった。
あえてズドンとシコを踏むと、ゴリョウは歯を見せて笑う。
彼をどかそうとハイアームズ達が熱光線を放つが、ゴリョウの頑強さの前ではコスパの悪い暖房器具にすぎない。
「……男は度胸!」
『鍛えた体と技で』コータ・ヤワン(p3p009732)はなぞのうさ耳を装着して敵の前に出ると、帯を締め直し柔道の構えをとった。
彼をなぎ払おうとヒートホークを手に突進してくるハイアームズ。素早く相手の腕を掴み、投げ飛ばす。
「君たちは、不法侵入というやつかな? そんな悪いことする子にはお仕置きだね」
『都市伝説“プリズム男”』アイザック(p3p009200)も頭のプリズムキューブをきゅるりと回転させ、放つ光でゴーレムたちの意識を自分に集中させた。
皆が力を合わせて手に入れ、改築し、そして今村の人々やけが人たちを守っている魔王城。
その背景を想い、アイザックはチカッと光を点滅させた。
「『良い子』たちだ……護ってあげないとね」
「Nyahahahahahahahaha!!!」
そこへ加わる『同一奇譚』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)。
ハイアームズたちが次々に突っ込んでいって斧や剣を叩き込むが、オラボナの肉体にはほんのかすり傷しか負わせることはできなかった。いや、傷を付けるだけでも一苦労である。
そこへ乗り出してきたのはアストラアームズ。全てのビット兵器を展開し、ビーム兵器を構えオラボナへと全火力をぶっ放す。
「――Nyahahahahahahahaha!!!」
それでもオラボナを突破することは叶わない。さすがはローレットのレイドボスである。
「しかし、今更なんだが……」
コータは左右を見て表情を険しくした。
「魔王城に似合いすぎるな、この面々は」
そこへ駆けつけたのは『紲家』紲 寿馨(p3p010459)と『鏡の中』アレン・ローゼンバーグ(p3p010096)。
「闘えない人がいるんだから、この城は守らなくちゃ。僕は僕にできることをするよ」
「レリッカ村の人とか戦えない人もいるんだし流血沙汰はやめろよ」
薔薇のレイピアを抜き、アストラアームズへ横から襲撃を仕掛ける。寿馨もそこへ式神による援護射撃を開始した。
「アレンもいたのか。じゃあ共闘する? 機械相手ならオレも戦えるからね。」
「うん、共闘しよっか。君がいてくれると心強いよ」
「血は見たくないんだけど……」
「あんまり怪我とかすると心配させちゃうからね。出来るだけ怪我しないでいたいけど……ここで勝たないといけないからちょっと目をつむってね」
寿馨は仕方ないねと花の香りを待とうと、仲間達と共に戦い始める。
中央モニター室兼コントロールルーム。
『夜守の魔女』セレナ・夜月(p3p010688)と『陰陽鍛冶師』天目 錬(p3p008364)は他の仲間達と共に各所の罠や防衛設備をせわしなく操作していた。
オペレーターの鉄帝軍兵士が振り返る。
「中央魔術障壁、B8からD7まで損壊。突破されます!」
「対空装備17から19損壊!」
「兵士を配置してフォローして!」
そんな中、セレナはスクリーンに赤く光るラインが描かれたのを見た。アラートが鳴り響く。
「再び高エネルギー反応! ラトナラナジュです!」
「狙いは鉄帝国!? 違う……この城だわ! ここまで届くっていうの!?」
セレナはパネルを操作。ホーミング機動を描く赤いラインの先を計算。ピンポイントバリアを起動した。
「無効化結界はこの時の為に用意したと言っても過言じゃないの。絶対に防いでみせるわ!」
「その間他の結界が解ける。ゴーレムを中に入れるな!」
錬は隣のパネルを操作し、自らの整えたローレット砲を再チャージした。
「チャージ完了、撃てます!」
「俺達の城をそう簡単に抜けると思わないことだな!」
大空を走る紅蓮の光。ラトナラナジュが遠く離れた魔王城を落とすべく放った光線は、しかし大量に重なった八角形型の障壁によって防がれる。
その隙をつこうと突入をしかけたハイアームズたちを、城から突き出た大砲が極太のビームを放ちなぎ払っていく。
衝撃。そして振動。
会議室やホール、そして『ひとをダメにするベッドルーム』を利用して作られた部屋には村人たちが集まり中には負傷した兵士もいた。
「これが戦場か…これが死地か…。だが誰も死なせはせぬぞ!怪我人はいくらでも連れてくるがよい!」
『白蛇』神倉 五十琴姫(p3p009466)は腕を失って意識をもうろうとさせる兵士に寄り添い、包帯を巻いて治癒の魔法をかけていた。
「大丈夫。大丈夫じゃ。そなたは助かる。わしが死なせはせぬ。じゃから安心して休むのじゃ。国を世界を…守ろうと戦う戦士よ。そなたらは皆の誇りじゃ。胸を張れ」
「しゃおみー、覇竜の外に出てから勉強したから……少しでも助けになれる、と思う…頑張る…!」
『初めてのネコ探し』曉・銘恵(p3p010376)も部屋を走り回り、しっかりと勉強した医術でもって麻酔や鎮痛剤を投与したり消毒や治癒を行っていた。
手当を施した兵士の一人が立ち上がり、銃を手に取る。
「また戦いに行くなら、気を付けてね……絶対生きて帰ってきてね!」
そう声をかける銘恵に、兵士は笑って頷いた。
「うわぁまるでSFみたいな超兵器ー……ってスルーできない衝撃ですよあれはっ」
「大変なことになってしまいましたね。前線に出る皆が心配です……。
私も動物の、ですがお医者さんを目指しているので手伝えるかもしれません」
「はい! いずれは世紀末か末法の世か……なんて事にさせない為に、私達も少しは頑張らないとですね……!」
『夜空見上げて』クロエ・ブランシェット(p3p008486)と『いのちをだいじに』観月 四音(p3p008415)は互いにフォローし合いながら負傷した兵士たちの治療に当たっていた。
「ここに来たからには大丈夫ですからね。消毒液が少ししみるかもしれませんが堪えて下さい」
「死亡フラグなんて吹き飛ばしてやりましょう。いのちをだいじに、です!」
医術の心得があるクロエと治癒魔法を修めた四音。片足を負傷し苦しむ兵士の傷口にエーテル治療薬を塗り込み、包帯を上から巻いていく。
「これ以上は出撃しない方がいいでしょう。ローレットが持ちこたえますので、今はベッドルームでお休みください」
「すまない……」
立ち上がれない兵士にルサルカ(p3p007202)が肩を貸し、広いベッドルームへと運んでいく。
「裏門の防衛部隊がダメージを受けてるわ。また何人か運ばれてくるみたい。ここは頼める?」
ルサルカがファミリアー越しに状況を確認したのだろう。治療を託したのは『死神小鬼』アヤメ・フリージア(p3p008574)と『いつか貴方に届く弾丸』ミズキ・フリージア(p3p008540)のコンビだった。
度別の兵士を治療しおえた所のようで、「まかせて下さい」と頷きつつ血のついた手袋を外して大きなゴミ箱へと放り込む。
「まさかこんなに容易く多くの命を奪おうだなんて…。
元死神として、鉄帝民として絶対に許せません…!
誰も彼も、生かせてみせます!
力を貸して下さい、ミズキ義姉さん!」
「勿論ですよ、アヤメ。私も許せません…!
鉄帝国民として、起こした火種で命を落とす人なんて生み出させる訳にはいけないんです!」
負傷者搬送特化型ゴーレムによって運び込まれたけが人は三人。二人がかりで面倒をみるにはつらい人数だが、内乱直後で医療スタッフの少ない鉄帝軍を擁している以上贅沢は言えないだろう。
「私だって、鉄帝民ですから…誰一人死なせません…!」
持ち前の『死の知識』を使ってより重篤な負傷者を見つけ出し、色分けされたテープをそれぞれの腕に巻いていく。
そして緊急性の高い負傷者の治療を……と振り返るとミズキが既に電撃を打ち込むマジックアイテムを使って心肺蘇生を始めていた。
「アヤメ、驚きましたか?
ずっとアヤメの治療を見ていたんです。
私だって多少の知識や技術は付きますよ」
息を吹き返した兵士に安堵の息を漏らすと、早速次の負傷者へととりかかる。
「ちょっと驚きですがとても有難いです…!」
アヤメは笑い、そして勇ましく負傷者たちに向き合った。
一方ここは休憩室。通称『人をダメにするベッドルーム』。
快適さを重視して設計されたこの部屋は、戦線に復帰可能なレベルの負傷者や、復帰不能になったが治療が済んで寝かせるだけの状態になった兵士たちを休ませる場所として非常に高く機能した。
「本当は怪我人が一人も出ないといいなと思ってしまいますが、そういうわけにもいかないですよね」
『救済の視座』リスェン・マチダ(p3p010493)は覇竜領域で培われた医療技術でもって、起き上がれないほど酷いダメージを受けた兵士を麻酔や止血用の魔法で治療している。一歩里から出れば亜竜に腕を食いちぎられかねない過酷な環境は、どうやらリスェンを魔術医療のエキスパートに育てたらしい。
「この部屋がまさかこんなすぐに使われることになるなんてな」
『黄金の旋律』フーガ・リリオ(p3p010595)は今日はトランペットを置き、サヨイーツによって配達された『医療救護活動マニュアル』を片手に治療を行っていた。
暫くすると『青薔薇の御旗』レイア・マルガレーテ・シビック(p3p010786)が負傷者を一人用担架に乗せて搬送してきた。
場内をくまなく探索し、中央モニタールームで見つけられないような負傷者を発見してはこうして持ち前の運搬スキルで搬送しているのだ。彼女がいなければ人知れず死んでいた兵士がどれだけいただろう。
「負傷者を発見。すぐに治療を」
「でかした! 望乃『姉ちゃん』、出番だ。頑張れよ!」
声をかけられ、『特異運命座標』佐倉・望乃(p3p010720)はびくりと背筋を伸ばした。
「わ、わかりました。治癒魔法を使うので、一箇所に集めてください!」
望乃は魔術詠唱を始めると、集められた負傷者たちの傷を治療していく。
彼女もまた覇竜領域で育った娘。大家族の長女として弟や妹たちを支えてきたバイタリティは、たとえ血の流れる戦場の最前線であっても彼女を怯えさせなかった。
「オラァ!! ぶっ倒れてるのに足を止めんな!! 生きて帰りたい奴は大人しく担がれろ!!!」
そうしている間にも次々と負傷者は運ばれてくる。『歩く禍焔』灰燼 火群(p3p010778)はまだ歩ける程度の兵士に肩を貸し、ベッドルームへと駆け込んでくる。
「うん? この程度なら、唾つけとけば治るわ。次!」
『グルメ・ドラゴニア』アルフィオーネ・エクリプス・ブランエトワル(p3p010486)は運び込まれた負傷者を素早く観察し、腕にカラーテープを巻くことでその緊急性をマーキングしていく。
火群が運んできた負傷者は治癒魔法と多少の医術によって復帰が可能なケースであったようだ。
パスを回され、常田・円(p3p010798)が早速治療にあたる。元々医術の道を志していただけあって、元の世界で学んだ薬学とこの世界で学んだ魔術を組み合わせたハイブリットな治療を可能にしていた。
「医療班が必ず回復させてみせます。戦闘班の方は無理せずに適度に下がってきてください!」
「悪いな。自力で治せりゃよかったんだが……」
兵士が苦笑するが、それだけ心の余裕が出たということだろう。
円は自己治癒能力を高める包帯を巻きながら、『迪ォのうつわ』玄野 壱和(p3p010806)のほうを見る。
「はーい、死にたくないなら大人しくしてネー。
術式起動 闢ャ闔ア 限定行使 はえろ さいせいのめ。
…っと、現状はまぁ、こんなもんだロ。」
壱和はといえば、元の世界で行使していた力を行使して負傷者を治療しているようだ。発揮できる力は元世界にくらべ僅かだが、戦いの中で徐々に壱和も力を取り戻しているらしい。
「召喚されてすぐに依頼ってのは、ローレットって組織は迪ォ使いが荒いネェ。
オレも迪ォも本調子でないし、出来るだけは頑張りますカ」
「なにせ人手不足なんだもの。猫の手どころか邪神の手だって借りたいわ」
アルフィオーネは一通りの選別を終えたようで、自身も治療に参加している。
「ったく、希望ヶ浜の外はどこもこうかよ」
一方の火群は、治療するための手は足りたと判断したようで早速外へレイアと共に負傷者の捜索と運搬をしに戻るようだ。
「流石決戦激しいねー。
いやはやまさか魔王城を戦うことになるとはね。
資料には記録は残っていたけど実物を見るのは初めてだよ。ふむふむ、ここがこうなって…素材は…ってそんな場合じゃなかった!」
『歴史を観る人』カンブリア・フェルグラン(p3p010379)は運ばれてきた負傷者を、手元の本で対応方法を素早く調べつつ治療していた。
知は力、というやつである。
『狐です』長月・イナリ(p3p008096)は大量に呼び出した小鳥のファミリアーを使って五感を大幅に拡張し、運ばれてきた負傷者のトリアージを行っている。
時間制限があるものの、オーバークロックモードを用いることでかなりのマルチタスクが可能になっているようだ。
「流石魔王城……っていうと変だけど、医療設備が整っている分、野戦病院よりは効率的に処理できそうね」
医療班の人数は少ないが、効率化を重ねたことで人手不足自体は解消されているらしい。
これなら脳筋の鉄帝軍を支えるにも充分だろう。
「今のところ死者は出てないわ。けど、油断はできないわね……」
医者がさじを投げきったなら、人は死ぬのだ。
●TOWER DEFENSE
激しい爆発音に続き、分隊支援火器の絶え間ない銃声が反響する。
ここはアーカーシュに隠された地下遺跡のひとつ、その名も雄々しく『ジーク・エーデルガルト』。
「我が名はブレンダ・アレクサンデルッ! この死線を超えたくば私を倒してからにしろ!」
『導きの戦乙女』ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)が風と焔の剣をふたつの鞘から抜くと、交差した魔力の光が更に幾度もターンし交差を繰り返す。それが超高速でふたつの剣が振り続けられているという事実と、彼女に集中し撃ち込まれるサブマシンガンの弾を全て弾いてしまっているという事実を示していた。
「初めてできた親友が必死に別の場所で戦っている……私は絶対にエッダを勝たせる!」
その左右から『欠け竜』スースァ(p3p010535)とがそれぞれ突撃。
ブレンダに気を取られていた鉄帝軍パトリック派の兵士を逆さ持ちした剣の柄部分で殴り倒すと、相手を組み伏せ上から呼びかけた。
「アタシらがどういう奴らか、見てなかったわけじゃないだろ。
一緒に大佐どもぶっ飛ばすか、それが怖いならここでやられたフリしといてもいい」
「アンタ……」
「アタシもまた一緒に酒飲みたいしさぁ」
兵士はどうやら話を聞き入れたようで、ぐったりと力を抜いた。
「火力支援は任せて、集中して向かってくるからイイ的だしね」
『大空の支配者』メリッカ・ヘクセス(p3p006565)が偽眼を発動。バリケードの裏から雷撃の魔術を解き放った。
超硬度ブレードを抜いて次々に突進をかけてくるパトリック派鉄帝兵の中心に着弾した魔術が爆発。
彼らの抵抗力が弱った隙に、『群鱗』只野・黒子(p3p008597)が『奪勢』の術を行使した。
がくんと陣形が乱れた兵士達。
黒子が予め定めていたハンドサインを素早く三つ出すと、後方で控えていた『宝石の魔女』クラウジア=ジュエリア=ペトロヴァー(p3p006508)と『観光客』アト・サイン(p3p001394)が動き出した。
「お残しは許さぬし、遠慮も許さぬ。おかわりもあるでな、死ぬほど食らうてゆけ!」
クラウジアは二十七秒かけてため込んだ膨大な魔力をここぞとばかりに解き放つ。
むき出しにした胸の赤い宝石が輝き、紅の力の奔流が頭上に巨大な球を作る。
逃げることも避けることも、更には味方を盾にすることすらできないと察した兵士たちは詰みを確信する。
魔法はこう呼ばれている。――『魔女の小指』。
着弾、衝撃、渦を巻く破壊。そしてあまりに急激な衝撃が走ったためにおきる爆心地への揺り戻し。
「ふむ。儂が回復に回る必要は、どうやらなさそうじゃな?」
「ん、完璧だね。バリケードの耐久度は? あとどれくらいもちそう?」
アトが黒子に尋ねると、『あと50%程度でしょう』と返ってきた。
「もっと材料が必要だったか? この遺跡はもう既にかなり防御陣地として整ってたと思うが……」
『朝日が昇る』赤羽 旭日(p3p008879)が『スコルピウス』でバリケードのスキマから射撃をしかけつつアトのほうを振り返る。
旭日の言うとおり既に土嚢がぎっちりと積み上げられ、防衛戦闘に特化したゴーレムが並んでいる。多脚戦車型のゴーレムがピックで足場を固定し、タコめいたドシンプルな造形から繰り出すシンプルに強い砲撃が敵重装歩兵をバリケードから遠ざけるという状態をいくとも繰り返している。
「『絶対に落ちない要塞』なんてないんだよ。人類の攻城戦は工夫と蓄積と知恵比べの繰り返しだからね。ルールが変わり続けるじゃんけんみたいなものさ。
要は勝てばいいんだ。バリケードが木っ端みじんになろうと、僕が倒されようとね。ここはほんの『入り口』にすぎないんだから」
パトリック派鉄帝軍兵士はただの軍隊崩れではない。勿論彼らなりの統率力や、鉄帝軍ならではの戦闘能力はあるものの、世界に通用するローレット・イレギュラーズとエーデルガルト大佐率いる鉄帝軍を相手に戦おうとした理由は別にある。
「そこを通して貰おうか」
ゴーレムと見まがうようなパワードスーツ。サングラスのように黒く遮光されたヘルメットバイザー越しに、兵士がくぐもった声を上げた。
アーカーシュ産のパワードスーツを纏った強化重装歩兵である。
両肩に背負ったロケットランチャーが火を噴き、精霊術によって凝固したプリズミックミサイルが防衛用ゴーレムへと着弾。爆発する。
バリケードの一部が破壊され、そこから強化重装歩兵が侵入。素早く『騎兵隊一番翼』レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)が駆けつける。
「巻き込まれるなよ。…我が領域では時すら淀む」
即座に『ステイシス』の術を放ち強化重装歩兵を足止めすると、安定高度を保ちながら距離をとりアイゼン・シュテルンを発動。
「外は派手に展開しているようだが…戦争"らしさ"で言えばここが一番かもしれんな」
そこへ『黒鎖の傭兵』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)が加わり、『フェンリル・ドライブ』を繰り出した。
「さぁ駆けるぞ、ティンダロス」
ティンダロスに跨がり、一対の鋭角がある巨大な狼の頭部を鎖で編み込んだものを魔力推進をかけながら突進するというマカライトの新たなる荒技である。
「己を見失う程の憤怒の炎は悔恨しか残さないと思うんだがなぁ……」
「彼らはもう止まらぬ暴徒なのだわ。ここで敵をとめるのだわ!」
『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)は白い翼を羽ばたかせ、強化重装歩兵によって受けたダメージをまとめて治癒し始める。
一方で、マカライトの突進によって突き飛ばされた強化重装歩兵が、両足からツメを展開することで無理矢理ブレーキをかけた。
「相手が堅すぎる。火力支援を頼む!」
「!」
華蓮はここぞとばかりに『茨姫の指先』を発動。防御の堅い敵を足止めするには充分過ぎる実行力だ。
「拙者が支えます! 鋭い一撃お願いいたしますぞ!」
そこへ加わったのは『洪水の蛇』成龍(p3p009884)。華蓮やマカライトを強化する支援魔法を発動させると、続いて『ディスペアー・ブルー』の魔術を唱え始めた。
「噂に聞き及ぶ騎兵隊! 列なす姿は龍が如く!
龍にも勝る働きをいたしましょうぞ」
堅い敵には堅い敵なりの倒し方がある。強化重装歩兵は成龍の魔術をとどめにして、ずしんと地面に崩れるように倒れたのだった。
パトリック派による侵攻は順調に進んでいる……かのように、表面的には見える。
ただでさえ訓練された鉄帝軍人がアーカーシュの武器を装備し一点突破を狙うのだ。はじめこそローレット・イレギュラーズのしいた鉄壁の防衛陣地にはねのけられていたものの、徐々にそれらを食い破り、おおきな犠牲を払いながらも部隊は遺跡の深部に近づきつつあった。
遺跡内で発見されたという防護スーツを纏い、リパルサーライフルを抱えた兵士たちが進む姿は優勢に見えた。
だが、防壁を食い破られつつあったのは……彼らパトリック派兵士も同じだったのだ。そう、心の防壁を。
「君達の戦いは誰のもの?
パトリック殿の魂は魔種に汚され、君達の戦いも汚された!
この戦いに勝っても君達の勝利ではない。そして、大切な者が紅い雷に撃たれるだろう!
私達と共に戦おう。この戦いを自分達のものにするために!」
白き甲冑を纏った『ヴァイスドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)が兵士達を前に演説をしかけていた。
戦闘中になにを、とはプロならば思わない。思想と思想がぶつかる『紛争』において、相手の主張の穴を突いたり精神的な揺さぶりを仕掛けるのは有効な手であるからだ。
それが過激な思想に染まった暴徒ではなく、弱みを握られ戦う事を強いられた者たちであればなおのこと有効である。
事実、異教徒奴隷を動力にしたカトリック船が漕ぎ手全員にストライキをおこされ破滅したなんて事例も地球にはあるくらいだ。
「君はどうだ! 病気の父を治療と称して軍の施設に捕らえられ、その命を握られているのだろう!?」
レイリーが指さしたのは一人の少女だ。
彼女は銃を取り落とし、ヘルメットも脱ぎ捨てて泣き崩れた。
「あの人達の言葉が真実なら、これ以上大佐の為に戦う必要なんてないじゃないですか!」
彼女の叫びは、周りの兵士たちを動揺させるに充分だった。
ざわめく兵士達。
その中で、ぼんやりと立っている――『合理的じゃない』佐藤 美咲(p3p009818)。
全て彼女の仕込みだ。先ほど泣き崩れた兵士も、『雷と焔の猛犬』わんこ(p3p008288)の変装である。
美咲は存在感を薄くしながら敵兵に紛れ、装備を奪って溶け込み、今まさに内部から『防壁』を食い破ろうとしているのだ。
(特務からの逃げ損ねとかどこにも鈍臭いやつは居るんスねー……)
美咲が内部に溶け込んでから得たのは、彼らの地獄のような状況であった。
行くも地獄退くも地獄。圧迫によって判断力が鈍った彼らはレミングスのように進むしかなくなっていた。悲しいかな訓練で身についた戦闘能力は活かされ、戦力としては十二分なのである。
「貴様等、いい加減にしろ! ここで立ち止まればどうなるか説明したよな?」
辛辣な口調で一人の男が周りを見ると、兵士達はびくりとした。
彼が『防壁』の監視役といったところだろう。緩みそうになったら脅迫を行うことで引き締めるというわけだ。
が、それが少数しかいなかったというのが、この場での敗因だと言わざるを得ない。
後ろからトンッと指でつかれた途端、男が崩れ落ちた。
「全く毎度毎度無茶振りをしてくれる。それに応える私も私か」
『天駆ける神算鬼謀』天之空・ミーナ(p3p005003)がヘルメットを脱ぎ、放り捨てる。
タガが外れた……と言うべきだろう。
近くに潜んでいた『Enigma』エマ・ウィートラント(p3p005065)たちが襲いかかる。
「くふ、くふふ。おー、おー。凄い事になっておりんすねぇ。
でもそれとは別に騎兵隊も久々でありんすから、張り切ってしまいんしょう。
ああ、全員で生き残るのも忘れずに、ね?」
エポナに跨がり神気閃光の魔術をぶちかますエマ。
そこへ『肉壁バトラー』彼者誰(p3p004449)が飛び込み、防御姿勢を固め、更に『与え続ける』倉庫マン(p3p009901)が天翔る掛け布団から飛び降りる形で登場した。
「倉庫バズーカ!」
倉庫マンが構えた大砲から次々に棒とか骨とか知らないおじさんとかが発射され戦意を喪失しかけていた敵兵たちをまとめてなぎ倒す。
そんな彼らを回収すべく、『恩義のために』レニンスカヤ・チュレンコフ・ウサビッチ(p3p006499)が『チャリオット・ヴォードビル改』でもって突っ込んできた。
「いやだよねぇ、うさも戦いたくないよ。だから安心しようねぇ」
スーツを破壊された兵士たちが銃を捨て両手をあげると、ウサビッチは馬車の中に彼らを放り込んでいく。
『葬送の剣と共に』リースヒース(p3p009207)もまた『黒現のアバンロラージュ』で突っ込み、兵士達を拘束し二台に放り込み始めた。
勿論彼女たちが兵士を『持ち出す』ことを敵兵が許すはずはない。なぜなら彼らの身柄を奪われることは脅しの効果が無になるのだ。
パワードスーツを纏った強化重装歩兵が現れ馬車の行く手を塞ぐ……が、リースヒースは構わず『背後の軍勢』を発動。彼女から伸びたおぞましき影が強化重装歩兵へと斬りかかる。
「ここは任せて、どうぞ先へ」
彼者誰が光る大斧を振りかざす強化重装歩兵へぶつかり、翳した剣で防御すると、レニンスカヤへ呼びかけた。
サンキューのハンドサインを出してレニンスカヤは馬車を走らせる。
それを防ごうと大砲を放つ――も、割り込みをかけた『諦めない』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)の魔術障壁がそれを弾いた。
いや、弾ききったわけではない。巨大な半透明の貝殻めいた魔術障壁は砕け散り、余った衝撃でココロもまた吹き飛ばされる。
ごろんと堅い石の地面をころがると、すぐに立ち上がって『フェニックス』の治癒魔法を発動させた。
「さあ立ち上がって! 不死鳥のごとく!」
燃えあがる炎がココロ自身を包み込み、痛みと苦しみを焼き払っていく。
「もう、パトリック大佐を恐れなくてもいいのですよ。この戦いを終わりにしましょう」
ココロがそう呼びかけている間も、オレリア(p3p010777)と『ネクロフィリア』物部・ねねこ(p3p007217)が状況に加わる。
「こちらに来てからは初めての運び屋なので気合入れていきましょうー」
「はい、よろしくお願いします」
オレリアはドレイク・チャリオッツで思い切り強化重装歩兵に体当たりを浴びせると、周囲のけが人の回収を始めた。
「注意一瞬、怪我一生。戦車は急には止まれない、死にたくなければ道を開けてくださいー」
ねねこも『身代わりねねこ人形』と『特攻型ねねこ人形』を箱をひっくり返すことで現場にまき散らすと、状況を派手に混乱させつつけが人を回収。
「出してくださいオレリアさん」
「はーい。捕まっててくださいねー」
オレリアはのんびりした口調で馬に鞭を打つと猛烈にその場から離脱。
馬車の中ではねねこが早速兵士の治療を始めていた。
「なぜ……敵である俺たちを……」
「いやまぁ? 死んじゃったら死んじゃったで私は死体見れるので良いのですが……生きてるなら生きてる方が良いと思いますよ? 一応」
ジーク・エーデルガルト遺跡を強襲したパトリック派の兵士達は瓦解した――と、言い切るにはまだ早い。
説得によって投降した兵士が多い一方、主力となる部隊は『魔種としてのパトリック』によって狂気に飲まれてしまった者たちであった。
彼らは精神力や生命力を大ききく犠牲にするパワードスーツを纏い、邪悪な精霊によって紅に燃え上がる直刀を装備したその姿は幽鬼のようであった。
「投降した兵士からの情報が纏まったよ。あの重装歩兵は特別製だね。通称は――ヴェンデッタ(復讐者)」
速記体でびっしりと埋まった羊皮紙を手に『ロクデナシ車椅子探偵』シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)は薄く笑っている。
「誘導はできた。戦力も配置した。準備は万端。あとは君の仕事だ。任せても良いかな?」
「はい……」
『愛知らば』グリーフ・ロス(p3p008615)がヴェンデッタの前に立ちはだかり、身構える。
自らの探索によって発見した『第二の紅冠の矢』のことを考えた。
「矢が敵の手に渡れば……」
「最悪、鉄帝国の首都の位置が変わるね」
「破壊することや、取り込むことは可能でしょうか」
「ペリカ君ですら『わからない』シロモノを? まず物理的に人間よりも大きいから取り込むことが無理そうっていうのは置いておいても、破壊した際の被害規模がひどいことになりそうだね。少なくとも、この遺跡ひとつじゃ済まないはずだよ」
言外に『ここで守るしかない』と告げられたグリーフは、『そういうことであれば』とある種の覚悟を決めた。
ヴェンデッタは刀を一文字に振り抜くことでエネルギーの刃を飛ばし、グリーフは防御姿勢でそれを受け止める。
腕が吹き飛ぶのではというほどの衝撃だ。
だが――。
「僕は言ったよね。『準備は万端』……って」
パチンと指を鳴らした途端、近くに潜んでいた『星月を掬うひと』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)が凄まじい機敏さで飛び出してきた。
グリーフ一人を相手にするつもりだったヴェンデッタが接近し斬りかかるその一瞬。フラーゴラは光の白刃となり刃を蹴り飛ばした。
「みんな、今だよ!」
大きく狙いがそれ、空振りしたヴェンデッタ。
そのたった一瞬の隙をつくように、仲間達は一斉に攻撃を仕掛けたのだ。
「なるほど、狙うは……お前か!」
『竜穿刃』エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)が黒い翼を鋭く羽ばたかせ、白鞘から美しい大太刀を抜刀。
「防衛戦ってなぁあまり得意じゃねぇんだが……まあいいか。やれってんならやるまでだ」
強烈な斬撃をヴェンデッタへ浴びせ、ほぼ同時に『雨夜の映し身』カイト(p3p007128)が予め仕掛けておいた結界術を発動。ヴェンデッタを氷の壁が取り囲むように展開する。
「さぁ、行軍の最中ですが暫しお付き合い下さいませ――。
我らが『騎兵隊』の、行軍すらも縫い止め『張り付け』にする絢爛たる舞台の幕開けを!!!
……ってな?」
咄嗟にそれらを切り払おうと太刀を振り回すヴェンデッタ。当然それを予期していたエレンシアとカイトは飛び退き、代わりに『覇竜剣』橋場・ステラ(p3p008617)が斬りかかった。
「いつもの如く詳しい話は知りませんが、敵が居るなら叩くのみですとも」
炎天・星火燎原、氷天・凍星。二つの指輪を剣に変え、大上段から斬りかかる。
反応が遅れたヴェンデッタの背を切り裂き、パワードスーツが展開する邪霊装甲を切り裂いた。
まるで氷が弾けるような音がして、パワードスーツを覆っていた紅の光が消える。
完璧な連携だ。『紲家』紲 白虎(p3p010475)と『ファイヤーブレス』スフィア(p3p010417)はその隙を逃すことなく一斉攻撃を叩き込む。
「初めての騎兵隊! 馬ないけど! 頑張るよ!」
白虎は掌底の構えをとると手首に紅焔を宿し、渦を巻いて腕全体を覆った。
「何がどうなっているか分からない…けど、あの人達に…ここをめちゃくちゃにされたくない」
一方でスフィアはスゥッと大きく息を吸い込んだあと、水の竜語魔砲を唱えた。いわゆる『ドラゴン・ブレス(竜の囁き)』である。
二人の攻撃はヴェンデッタに左右から叩きつけられ、混ざり合い激しい爆発を引き起こした。
スーツをパージし、生身となって現れたのは鉄帝軍の中でもエッボやオーリー・バイエルンに並ぶだけの地位をもった特務派の将校であった。
刀を杖のようにつき、よろめく将校。
見上げた彼は、目を疑った。
「矢は……やはり二本あったのか」
「そう、ね。けれどこれを使わせることはないわ」
『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)、そして『鋼の咆哮作戦総司令官』エッダ・フロールリジ(p3p006270)が将校の前に立ち塞がる。
確か名を、ドーラ・グスタフといったか。
騎兵隊の仲間達が集まったその姿は、さながら頑強な城壁のようである。
「エーデルガルトは、貴官らの死を望まない」
「どうかな。これは内乱――いや、『戦争』だ。人が死なぬわけがあるまい」
ドーラはギラリと笑うと、胸から下げていた小型の装置に手を伸ばす。赤く輝くそれが――自爆用の装置であることを、エッダは素早く見抜いた。
「チッ――!」
舌打ちをしつつ、飛び出す。
両腕に装着していたグローブからジェット噴射をかけ加速すると、手を伸ばすドーラの腕を掴み壁際へと相手をぶつけた。
「嬉しいぞ。どうやらパトリックは『チェスの続き』をしてくれるらしい」
パトリック側における今回の勝利条件は、実のところ『ラトラナジュの火』をもう一度撃つことでしかない。
鉄帝軍の中枢を破壊してしまえば、幻想王国やヴィーザル勢力が黙っているわけがない。鉄帝国の戦争がある種ギリギリの状態で均衡を保っているだけだというのは、いつかの砂蠍の陰謀によって明らかになったばかりなのだ。
そうした状況に陥った時点でパトリックが仮に倒されたとしても、状況を『もう一度ひっくり返す手段』を封じてしまえばよいのである。
一度目と同じ手段。つまりは、『ラトラナジュの火』である。
「予備弾をここで始末してしまえば、我々には取り返しがつかなくなる。こちらの切り札を封じようとしたわけだ。
奪うと見せかけて破壊する。確かに効果的だ。我々が気付きさえしなければ」
ドーラを地面に投げ倒し、首を掴んで拘束する。
「貴様は殺さん。魂に刻んでおけ――私が、エーデルガルト・フロールリジだ」
イーリンが仲間達へ振り返ると、どうやら作戦は大方成功した様子だった。負傷者は防衛拠点へと搬送され、残る敵戦力の掃討が始まっている。
「こっちはカタがついたわ。そっちは任せたわね――『神翼の勇者』たち」
勇者から勇者へ。ラトラナジュ戦に赴いた仲間達のことを想い、武器に手をかける。
こちらの戦いを決着すべく、イーリンは勝鬨をあげた。
言葉は勿論、そう。
――『神がそれを望まれる』
●セレンディとラトラナジュ
「さぁ行くっすよ相棒! 初陣が決戦なんて怖気ずく必要これっぽっちもないっす!
派手にブチかましてやるっすよ!」
リトルワイバーンに跨がった『No.696』暁 無黒(p3p009772)が、ハイアームズを真正面から激突する。
インパクトと同時に全方位へ放射される光。
『特異運命座標』四(p3p010736)は黒いバリア足場によって作られた階段を駆け上がり、跳躍してハイアームズの上をとると抱えていたウサギのぬいぐるみから無骨な拳銃を取り出した。ゴシック調の模様が入った美術品のような銃だが、その大きさと銃身の太さと長さは『携行する大砲(ハンドキャノン)』と表現して差し支えない。
「『ラトラナジュの火』、とんでもない威力だな。あんなものもう一発撃たれてはたまったものじゃない。やるだけのことはやるか」
ハンドキャノンを三発発砲。派手にひび割れたハイアームズ――めがけ、『うそつき』リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)が弾丸の如き速度で突っ込んだ。
「『ラトラナジュの火』がうたせほーだいになったらあっという間に街もなにもかもむちゃくちゃになっちゃう!
セレンディにはゆびいっぽんさわらせないよ!」
蹴りひとつの衝撃でハイアームズがついに崩壊。バラバラに散っていく。
が、敵はそれだけではない。赤い結晶がふわふわと宙に浮かび、拡散した光が幻を作り出す。いや、幻などではない。空を踊る赤い攻撃精霊たちだ。
彼らはバレエダンスを披露しながら次々とエネルギー弾を撃ち込んでくる。
リュコスはそれらをなんとか回避――していく一方、はるか遠くの空からギラリと黒い星が光った。
否、星ではない。こちらへ猛スピードで飛んでくる黒く大きな鳥型のメカである。
その背には『怪人暗黒騎士』耀 英司(p3p009524)が仁王立ちし、どこからともなく取り出したベルトを装着する。
「守る…ね。柄じゃ無いが…ふ、そうでもねぇか。
安心しな、ベイビー。俺達がきっちり防ぎ切ってやる。
子供を泣かせねえのが大人の責任ってやつさ。
だからアンタも――任せたぜ」
英司は抜いた剣で攻撃精霊たちのエネルギー弾を次々に切り払った。
振り向けば、周囲に黒いバリアを展開しているセレンディ。
英司を見て、こくりとだけ頷いた。
彼女の手強さは戦った彼らが最もよくわかっている。ちょっとやそっとで潰やしないだろうが……。
「かつて戦った相手が仲間になり命をかけて護る…盛り上がって参りましたね!
天空島で始まったわたしたちの伝説、戦果、そして絆は――らとらなじゅの火よりアツいこと間違いなし。
防衛の命、必ずや果たしてみせましょう!」
バリア足場の上で『花嫁キャノン』澄恋(p3p009412)が腕組み姿勢で立ち、ピッと懐からメダリオンを抜いた。
対する攻撃精霊。赤いクリスタルがぐるぐると回転を始め、ミサイルのようにセレンディめがけ突っ込んでくる。感じられる高いエネルギー反応は、自爆を目的としたものに違いない。
「ぴんちひったー澄恋、参ります!」
澄恋は自らの肩口に爪を立てバリッと乱暴に切り裂くと、吹き出た血で金棒を形成。飛来するクリスタルの一つを乙女打法で打ち返した。
「凄い精霊とか関係なく、可愛い子ちゃんを守るだなんて役得だよなー!
期待に応える為にも…全力尽くさなきゃな!」
『必殺の銃弾』隠岐奈 夜顔(p3p008998)は飛空術によってふわりと足場から浮きあがると、両手に握った拳銃で飛来するクリスタルを撃ちまくる。
「そこの可愛い子ちゃんはな、お前らが触れていい存在じゃないんだよ!」
セレンディへ届く前にいくつかのクリスタルは爆発し、それでも届いた固体を夜顔は空中ハイキックで破壊した。
「お城支部だー!…敵の攻撃受けてるよやだー!?
セレンディさんが倒されるとまずいんだね、わかった!
役立てるかはわからないけど少しでも頑張るよ!」
『おしゃべりしよう』彷徨 みける(p3p010041)はそんな彼が攻撃を受けすぎないようにと前に出て完全防御姿勢。次々とクリスタルが激突して爆発を繰り返すが、みけるはそこから一歩も後ろに下がらなかった。
「すごい数! どうする? 反撃する!?」
「いいえ、そのまま防御を続けてください! 回復で支えます!」
みけるの後ろにみょいんと現れたのは『聖なるかな?』アザー・T・S・ドリフト(p3p008499)だった。
頑丈なタンクにヒーラーをかぶせるというのは鉄板中の鉄板。そう簡単に攻撃精霊たちも突破することができないだろう。
「余りにもやる事が多くて手も触手も足りませんっ。
ですが、私がやる事は決まってます。最後の砦は落とさせませんよっ!!」
だが攻撃精霊たちも単純ではないらしい。一箇所からの突破が難しいと見るや、複数にルートを分岐して四方それぞれからセレンディを狙い始めた。
「色々な戦場があれども、此処が墜とされてしまってはいけない事を理解しました。
その為微力ではございますが、皆様を支える事が出来れば……」
丁度後方に回ってきた攻撃精霊を迎え撃つべく、『料理人』テルル・ウェイレット(p3p008374)が治癒魔法を長尺詠唱。急にこんな長文をそらで唱えられるのかと見てみれば、何もない空間から手がはえてカンペをテルルの前に翳していた。
「さぁ行くぞ!ここが正念場! ここで抑えねば安心して前の連中が攻められんじゃろうからな!!」
空をうどん屋台でぎゅんぎゅん飛びまわる『鉄帝うどん品評会2022『金賞』受賞』御子神・天狐(p3p009798)。
「ならば! 最大限の猛攻で鼓舞をしてやらねばというもの! 殲滅させるつもりで突き崩してやろうぞ!」
自らへの付与効果を三段階に渡って行うことで、うどん屋台を三段変形。翼は生えるわ腕ははえるわデカい口が開くわミサイルポットが大量にはえるわしたあとなぜか急に普通の屋台にぎゅって収まって、最終的に天狐の腰辺りまでを屋台に完全にドッキングさせた謎形態になった。
「うどんびうむオーバーライドじゃ!」
おりゃあと言いながらハイアームズへ自ら突進。なぞの破壊力で粉砕する。
「さ~てさてさて、よーわかんないけどあれっしょ?要は来る敵を全部ぶっ飛ばせばいいんでしょ? おっけーおっけー、そういうのは得意だからさ。任せとけっての!」
『月下の華月』月季(p3p010632)は自慢の翼をばさりとやって、周囲で次々と爆発が起こる中だというのに鼻歌交じりに飛び抜けていく。
「ヒャッホゥ突撃ー!!」
空中でくるんと宙返りをかけ、攻撃精霊の一つをキックで破壊。そのまま流星のごとく突き抜けて行く。
「おー! さめちゃんがすごい飛んでる! 映画で見たやつだ!」
『新米P-Tuber』天雷 紅璃(p3p008467)が陸鮫の背に跨がり、水を得た魚もとい嵐を得たサメ状態で攻撃精霊たちをどかどか食い散らかしていく。ついでにスマホで撮影して動画のネタにした。
「それじゃいくよー!」
相手にスマホのカメラを向けたまま盛りアプリで敵を撮影。映り込んだ敵が突然苦しんで爆発した。
「ははぁ、こんな形で空を飛ぶことなるとは思わなかったのです。
ともあれ、まずはお仕事お仕事。遮蔽物のない空であれば遠隔狙撃で少しは頑張らないとなのですよ」
一方で『鋼鉄の冒険者』ココア・テッジ(p3p008442)はセレンディが展開してくれた黒いバリア足場の上で身をかがめ狙撃姿勢をとると、大きく迂回して右側ルートから突入しようとしてくるハイアームズにライフルで狙いをつけた。
「――そこなのです」
極めて正確な偏差射撃によってハイアームズに見事命中。
そこを狙い撃ちにしたのが『羽根撃ちの』ティーデ・ティル・オーステルハウス(p3p009692)であった。
「ハ、空中戦と来たかよ。面白ェ、長距離狙撃なら俺の得意分野だ。
遮蔽物のない空中なら狙い放題撃ち放題。ぶっ放してやるとするか!」
無数の羽根ナイフを扇状に広げると、ティーデは射撃によって体勢のくずれたハイアームズめがけて次々とそれを放った。
魔力によって推進力を得たのか、羽根ナイフはまるで鳥のように素早く飛ぶとホーミングをかけながら遠くのハイアームズへと次々に突き刺さっていく。
「要はやっこさんに近づかせなけりゃいいんだろ? なら、がむしゃらに撃ってもそれはそれで意味があるってもんだ!」
また逆の、左側方向から突入を仕掛けるハイアームズと攻撃精霊たち。
『禁忌の双盾』阿瀬比 瑠璃(p3p009038)と『禁忌の双盾』阿瀬比 彗星(p3p009037)は顔を見合わせ、頷き合う。
「あら、何かと色々起こってたみたいね?
とはいえ私達が得意なのは1つ。可愛らしい精霊さんを2人で守るとしましょうか、彗星」
「鉄帝人でもない僕達には関係ないと言い切ってしまえばそれまで。
…それでも悲しい結末は見たくないからね。
僕達は可愛らしい精霊を守るとしようか」
二人は力をあわせて魔術障壁を展開すると、共鳴した巨大な盾を完成させた。次々と激突するクリスタル状の攻撃精霊が爆発を起こすが、二人を突破することはできない。
「少々場違いな自覚はあるが、許せよ。あの物騒なモノを自由に振り回されたら俺も困ってしまうからな」
そこへふらりと現れたのはレーヴェ・ブランク(p3p010731)。ブランク貿易の社長である。鉄帝国がひとつ壊れれば貿易業はもしかしたら潤うかもしれないが、大砲が次に自分達にまで向かないとはとても言えない。
『BLANK TRADING』のロゴが入った銃を抜くと、銃身を横にした水平持ちでハイアームズへと構える。
「俺はなるべく客は選ばない主義だが、今回ばかりはお引き取り願おう」
撃ちまくるレーヴェ。『(自称)将来有望な騎士』シルト・リースフェルト(p3p010711)はその勢いにのってハイアームズへと突撃した。
「今回はセレンディさんを確実に守り抜きます! これが騎士の務め!」
黒バリアの階段を駆け上がり、ハイアームズから浴びせられる熱光線を亜竜の鱗から作ったといわれる盾で豪快にうけると、その勢いのまま距離を詰めて斬りかかる。
「ブーク・カドゥール? 何かすっごい障壁! カッコいいね!
ここが守りの要ならシスターさんの私がここで倒れる訳にはいかないね!
絶対にセレンディさんを守り切ってみせるよ!
皆に創造神様の加護がありますように!」
『鋼のシスター』ンクルス・クー(p3p007660)はその隙に背負っていたジェットパックを急速に起動。自らをミサイルのようにしてハイアームズへ組み付くと、相手のボディを掴んでかっ攫い、セレンディが作っていた障壁へと思い切り叩きつけた。
「ゴッドミサイル! からの……ゴッドばりあー!」
大きくターンすると大の字に身体を広げ攻撃精霊たちのエネルギー弾乱射を受け止める。よく見ればジェットパックは完全にンクルスに接続され一体化していた。
『新たな可能性』ミスト=センテトリー(p3p010054)は風の足場を作って飛び、更なる攻撃精霊の特攻を掌底を撃ち込むことで相殺する。
「砲撃はこちらに落とさせない。そのためにもセレンディに傷はつけさせない!」
「あんなもん何発も撃たれたらたまったもんじゃない。
だがバリアを突破しなきゃ近づくに近づけん、まずは突破口を見つけにゃならんな」
『放浪者』バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)はそれに乗じて射撃を開始。
腕に搭載された特殊弾頭を発射。周囲にばらまかれた磁力鉄球がハイアームズたちにすいつき動きを阻害する。
狙いはラトラナジュのいるランカドゥールだ。
が、それを阻むように攻撃精霊が召喚され、立ち塞がる。
邪魔をするなとばかりに『ガウス・インパクト』を発動。攻撃精霊を突っ切って飛んでいく。
「無辜の民に降りかからんとする災禍、巫女として、イレギュラーズとして、必ずや撃ち倒さねばなりません。
行きましょう。”あなた”とわたくしの様な離別を経験する者が増えることなど、断じてあってはならないのです」
それを援護したのは『えにしを縫う乙女』弟橘 ヨミコ(p3p010577)である。
首から提げた小さな骨壺を優しく撫でると、ヨミコは『ナイトメアユアセルフ』の魔術を発動。
どこからともなく現れた刀を掴むと、攻撃精霊を真っ二つに切り裂いた。
「…アンタたちも戦いたいのね。そうね、アタシもこれは黙っていられないもの――全力で行くわよ、準備はいーい?」
『月香るウィスタリア』ジルーシャ・グレイ(p3p002246)が語りかけたのはセレンディの近くで力を貸していた精霊たちである。
風の精霊の力を借りて空へ舞い上がると、踊るように攻撃精霊の弾幕を回避しながら突き進んでいく。
手にした竪琴を奏でると、熱気精霊や冷気精霊たちがジルーシャを援護するように飛び出し攻撃精霊とぶつかり合う。ジルーシャは味方の精霊たちを治癒すべく、美しく勇壮な音楽を奏で始めた。
「お生憎様、アタシたちは誰一人諦めたりしないんだから! 覚悟しなさい!」
彼らの狙いはまっすぐ、ラトラナジュ。
加護のフィールドを拡大しながら上昇を続けるハイペリオンの左右を『太陽の翼』カイト・シャルラハ(p3p000684)と『よをつむぐもの』新道 風牙(p3p005012)が飛行していた。
カイトは自慢の翼で、風牙は空を駆ける靴で。
彼らがにらみ付けるのは、ラン・カドゥールの上にくつろぐように腰掛ける紅き火の神霊、ラトラナジュである。
こちらを見下ろす彼女とのあいだに、障害物もなければ邪魔者もいない。だが容易に倒せるなどとは思わない。それだけ、カイトも風牙も場数というものを踏んでいた。
「左右に分かれるぞ。いくら強くても全方位に意識を散らしてれば弱まるはずだ」
「賛成だ。俺も群れで全方位から来られるのは一番イヤだからな」
カイトは左側へと回り込むように飛行すると、持っていた三叉槍に激しい炎を纏わせた。
「ハイペリオンさまのオーダーだ、『行きて帰ってお茶会(宴会)』だ!」
放つ槍は渦を纏い、もはやひとつの災害となってラトラナジュへと突進する。
一方で風牙も手にした槍に力をこめ、爆発しそうなほど高まった黄金の気をやどしたまま自らラトラナジュへと突進した。
両サイドからの同時攻撃。ローレットが誇るトップクラスの槍使いたちの攻撃は――確かにラトラナジュのボディを深く貫いた。
アッとか細い声をあげ、胸をそらすラトラナジュ。
「まるで超巨大で超威力な龍の吐息、ですね……。
あれを余人が居る場所にこれ以上撃たせてはいけない、というのは誰にだって分かりますわ。
見過ごせない脅威、という奴ですし――それに何より、私の上から撃つというのは許せませんよねっ!!」
『aerial dragon』藤宮 美空(p3p010401)はここぞとばかりに翼を羽ばたかせると、『シャロウグレイヴ』の魔法を短縮詠唱。風の竜語魔法を複合させると羽ばたきと共に解き放った。
それにあわせて銃を抜いた『お師匠が良い』リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)がロンレンジボウガンを構えた。
「撃つ気持ち良さと撃たれる苦しさ。
どうやら君は前者しか知らないみたいだから、ボクが教えてあげるよ。
冥土の土産に一つ賢くなってから逝きな!」
装填した『乙式改造弾』を発射――と同時にドローンを飛ばし援護射撃を開始。
そんな中、『木漏れ日の優しさ』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)はラトラナジュが透明な障壁を展開しカイトたちの攻撃をギリギリしのいでいたことを察知した。
「間にはさまる精霊がどおりでいないと思ったら……精霊力障壁に変えて何重にも張り巡らせてるんだわ! 一枚ずつは脆いけど、数があるから厄介よ!」
そして、種がわかるなら攻略方法もわかる。オデットは周囲の気象精霊やこれまでの冒険で仲間になってくれた精霊達(ソステヌートやディミヌエンド、カルマートの拡張精霊体たち)と共に一斉攻撃を開始した。
光と闇、そして複数の減少が混じり合い色鮮やかな光線となってラトラナジュへとぶつかっていく。
勿論それだけではない。『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)も七種すべての精霊たちと融合すると、支援にやってきたオラージュ、フゥー、ローという三属性の精霊たちの援護射撃をうけながら『紅蓮穿凰』を解き放つ。
「神霊…『紅冠』ラトラナジュ、綺麗ね。大昔の、アーカーシュの人々は、神霊と呼ばれた精霊すらも従えて兵器に運用していたのね。精霊は契約を結べば、契約が破棄されない限りはそれに縛られるものだけれど、私はあの神霊にも自由に生きて欲しい。だから、止めたい…止めるわ」
まるで精霊たちの祭典だ。『砂漠の蛇』サルヴェナーズ・ザラスシュティ(p3p009720)は思わず心が沸き立つのを感じつつも、『イブリースの囁き』を行使した。
「何としてもここで止めなくては。不思議ですね。災厄をもたらすはずの私が、こんなに必死になって駆け回っているだなんて。――でも悪くない気分です」
目元を覆っていた布を外し、魔眼の力を解放するサルヴェナーズ。
「ここで退くわけにはいきません。多くの人の暮らしが、願いが、この戦いに掛かっているのですから」
するとどうだろうか。ラトラナジュを覆っていた薄膜のような精霊障壁が一つずつ破壊され、そしてついにラトラナジュが露わとなる。
「確かにあの兵器を放置しておくわけにはいかぬの。
『紅冠』ラトラナジュ、紅玉の大精霊。蒼火の精霊種たるわたしも相手になるの」
そこへ真っ先に飛び込んだのは『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)。
「魔力を燃やし、侵し、火種となして焼却するの」
両手に炎を燃え上がらせ、『こやんふぁいあ〜ぱんちらっしゅ』を叩き込む。
こうもなればラトラナジュとてくつろいでいるわけにもいかないらしい。
一発目を後方宙返りで回避すると、続くラッシュを両手で弾くように対応し始める。
炎と炎がぶつかり、激しい火花が散り始めた。そこへ――『マリアの決戦兵装』雷光殲姫専用 異能拡張兵装 スレイプニール(p3p010314)が狙いをつける。
「電磁レール形成完了。電力充填完了。対象捕捉。電磁投射砲『神馬』発射」
纏っていたホログラムを解除しキャノンモードとなると、自らの出せる最高火力を叩き込む。
「ラトラナジュ様。貴方のしたいことは本当にこんなことなのですか?
お目覚め下さい。神という名を背負うのならば、その矜持を見せるべきです。私の世界の神々は皆傲慢でしたが愛すべきものを見失うような神ではありませんでしたよ」
直撃――そして、更に飛び退く。
空中に赤い足場をつくって着地したラトラナジュに、二人の男女が挑みかかる。
――『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)。
――『性別:美少年』セレマ オード クロウリー(p3p007790)。
二人は全く異なる構えをとると、しかし全く同時にラトラナジュと距離をつめた。
「ここで失敗すれば鉄帝消滅とは面白い状況になって来たではないか!」
「鉄帝に根城を構えてからこれか。冗談じゃない、ボクの資産の為にも大人しくしてもらおうか」
今度はラトラナジュからの攻撃。拳による突きを繰り出した途端、セレマの腹に大きな穴が開いた。
が、それを気にもとめずに百合子は拳と蹴りの連打をラトラナジュへと叩き込む。半分ほどを凌いだラトラナジュだが、セレマが腹に穴をあけたまま立ち上がったのを見て表情を少しだけこわばらせた。選択を一手誤ったと悟ったのだろう。
が、次は逃さない。両手を組むように構えると『セレマだけを狙って』両手の掌底を繰り出すようなフォームで強烈な熱光線を叩きつけた。ジュッと音をたてて吹き飛ぶセレマ。
が、充分だ。
「よくやった美少年!」
百合子の更なるラッシュ――と同時に、後方に既に回り込んでいた『喰鋭の拳』郷田 貴道(p3p000401)が拳を繰り出すさまが重なった。
「ボクサー!」
「that's right」
ボクサーのフットワークは常人のそれを遥かに凌ぎ、相手の側面をとることなど容易。何かに気を取られた相手であれば後方すら。
貴道はたった一発の、しかし常人の頭を吹き飛ばすほどの威力でラトラナジュの後頭部めがけパンチを繰り出した。
「兵器なんてなぁくだらねぇ、俺にはコイツ(拳)で十分だ!」
ハッとして振り返り、優先順位を変更。身体をそらして直撃をかわしつつ、しかし逃がしきれない衝撃でラトラナジュは空中へと吹き飛ばされる。
そこで待ち構えていたのは『海淵の騎士』フェルディン・T・レオンハート(p3p000215)と『海淵の祭司』クレマァダ=コン=モスカ(p3p008547)。
「あのような火は二度と打たせない――彼女の想い、この剣で叶えてみせよう!」
ワイバーンに騎乗し、剣を振りかざすフェルディン。
刀身に光を纏わせ振り抜くと、光の斬撃がラトラナジュめがけて発射された。
空中でくるりと体勢を整え、手刀の動きで光を相殺するラトラナジュ。
そこへ、モスカの微少聖域を自らの体表にだけ展開し浮いていたクレマァダが絶海拳『消波』を放った。波濤魔術の衝撃が一拍遅れてラトラナジュを撃ち――。
「……お母様! 義父上! 守るぞ!」
メカメカしいモスカウィングを展開しズオーとジェット噴射で飛行する『メカモスカ』ビスコッティ=CON=MOS(p3p010556)がY字ポーズで現れた。
「お母様ではない!!」
「ビスコッティちゃん!?」
ラトラナジュの放つ熱光線をモスカバリアでガードすると、両腕を突き出し肘から先をロケット推進で発射した。
「ゼッカイケン!」
「絶海拳ではない!」
「ビスコッティちゃん!?」
クレマァダはコホンと咳払いすると、モスカロケットパンチを弾いたラトラナジュへ大声で呼びかける。
「のう、お主、なぜこのアーカーシュに矛を貸す!」
攻撃をやめ話しかけてきたことを不思議に思ったのか、ラトラナジュは戦いの手を止めずに小さく首をかしげた。
「ん~? 貸すってぇ、どういうことですかあ?」
想像よりずっとのんびりした口調に驚きつつ先を促してみると、ラトラナジュは手をパタパタ振った。
「わたしはぁ、産まれてからずぅ~っと『紅冠』。『神たる王』に仕えるぅ、王の使徒ですぅ。今の王はぁ…………えぇっとぉ、プリンスパトリックアネルぅ? 可愛い顔のぉ、おじさんですぅ。あ」
ふと、空を見上げた。
いや見上げたのはラン・カドゥールである。
「攻撃命令ぇ~受諾ぅ。矢はないのでぇ、わたしのエネルギーだけで撃ちまぁ~す」
「……は?」
片手を高く掲げ、指をさす。
ラトラナジュはアンニュイな表情のまま、レオンハート夫妻を指さした。
「ふぁいあ」
空が穿たれた。
戦場にくっきりとした赤い線が引かれ、その中にあったものは全て消し飛んだのではと思われた。
攻撃精霊もハイアームズたちも、たまたま戦闘に紛れていた古代獣すらも構わず吹き飛ばし、味方の精霊たちや支援に駆けつけていた鉄帝兵士たちまでもがその被害を受けていた。
「――破硝結界ッ!」
半透明な結界が『未だ遅くない英雄譚』バク=エルナンデス(p3p009253)の眼前に展開される。後ろに仲間達を庇ったバクは、激突した赤い光がみるみるうちに結界を破壊していくのを見た。
「これは……いかん!」
最小限の被害に抑えるべく、結界を自らの後方に庇った仲間達だけを包むように再展開。自らは派手に吹き飛ばされることになった。
「バクさん!」
「さがってください……!」
そこへ飛び出してきたのはセレンディであった。
何重にも重ねた黒いバリアを展開し、ラトラナジュの砲撃を受け止める。
「あれぇ~? セレンディ? 王に仕えないで、サボりぃ? いいなぁ~」
「もう、やめてください。時代は変わったんです。もう、アーカーシュなんていらないんです。
わたしと戦った皆さんは、そのことを教えてくれました。わたしたちはもう、一人になっていいんです!」
必死に呼びかけるセレンディ。
『誰かと手をつなぐための温度』ユーフォニー(p3p010323)はその横顔を見て、確信した。
遥か古代に生まれ、永い永い眠りについていた神霊たち。島をひとつ消し飛ばすような力をもちながら、しかし彼女たちは不自由なのだ。
ここアーカーシュが大量の精霊の力で動くように。天候がポポッカやフラペペのような精霊達に管理されているように。ラトラナジュもまた、この島のシステムのひとつにすぎないのである。
「はぁ~あ……」
ラトラナジュはツインテールめいた結晶を指でいじると、はあと深くため息をついた。
「セレンディ、それはだめだよぉ。この島のシステムみたいに、壊れちゃったのかなあ」
治してあげるねぇ、といってラトラナジュは再び指をラン・カドゥールに翳した。
両手を突き出しブーク・カドゥールを呼び出すセレンディ。
「セレンディさん、何を!?」
『輝奪のヘリオドール』マリエッタ・エーレイン(p3p010534)の呼びかけに、セレンディは勇ましくラトラナジュをにらみ付けながら叫んだ。
「あの子の砲撃は、わたしがとめます。みなさん、その間に……あの子を一度『壊して』あげてください! アーカーシュから、解放するんです!」
「なるほど、任された」
『焔王祈』ムエン・∞・ゲペラー(p3p010372)はグリーザハートにフェニックスの夢焔を宿すと、タイニー・フェニックスを展開。
その横で、マリエッタは浅くだが呼吸を整えた。
「解放……そう、ですね。今のままじゃ、ちゃんとお話できませんから」
腕にナイフを走らせ、吹き上がった血で大鎌を作り出すマリエッタ。
その後ろでポポッカとフラペペが顔を見合わせる。
「解放ってどゆこと?」
「私達もしかしてクビですか?」
「ムシャア!」
ユーフォニーの頭から精霊雑草ムシャムシャくん(お花)が飛び出し、左右にぴっこぴっこ揺れた。
「ムシャムシャくん? 『精霊たちは自由になりたがってる』? 『壊れたアーカーシュに縛られて、みんな苦しそう』? それは……ラトラナジュも?」
「ムシャ」
「ならばやるべき事は一つだ」
ムエンはラトラナジュへと突進する。
「ラトラナジュの生まれを嘆く精霊達よ! 彼女の生まれを嘆くなら我らに力を貸せ! これはラトラナジュを解放する戦いだ!」
黒い翼を広げるムエン。その横に並ぶのは血の翼を広げたマリエッタである。二人はラトラナジュへ急接近すると、剣と大鎌による交差斬撃を叩き込んだ。
「みんな、行きますよ!!」
ユーフォニーは懐から取り出した呼び鈴を振って鳴らすと、今井さんやエイミア、ドラネコたちが一斉に出現しどらねこブレスを放射した。
「ゼタシウム・ストリームッ!」
そこへ突如として『宇宙の保安官』ムサシ・セルブライト(p3p010126)が出現。
フライトユニットからエネルギーを噴射することで飛行しつつ、両腕を十時に交差させることで光線を発射した。
それぞれの攻撃がラトラナジュに直撃する。なぜなら、セレンディとラトラナジュの力が丁度拮抗した状態にあったためだ。元々システムから切り離されて力が弱まっていたセレンディなれど、ムエンたちの呼びかけによって精霊力を格段にアップさせていたのだ。
「わかるであります! 精霊達が……はるか古代から力を受け継いできたものたちが、解放を願っている!」
ムサシは心の中で己の声に耳を傾けた。
炎の精霊、嘆声焔身シェームがスッと拳を突き出す様子が思い描かれた。ムサシは自らの拳を押し当て、心の中で頷き合う。
「シェームさんっ! 熱いやつ、頼みますッ!」
サプレッション・ユニットから展開したAAAが炎の剣に変化。
いまこそ、全ての力をぶつけるときだ。
「ゼタシウム――スラッシュ!」
空域には破壊が飛び交っている。
紅の光線と黒い障壁が大量に拡散し、あちこちで爆発がおこる。
その中を駆け抜ける、白き太陽の翼があった。
「ハイペリオン。まだ飛べる?」
その背に乗るのは、現代の勇者――『神翼の勇者』ジェック・アーロン(p3p004755)。
よく見れば、ハイペリオンのあちこちがちょっぴり焦げ付いている。
「大丈夫です。皆さんが……そう、ローレットの皆さんも、鉄帝軍の皆さんも、レリッカ村の皆さんも、そして精霊や仲良くなった古代獣の皆さんが……私達を応援しているのです。ここで、止まるわけにはいきません」
ジェックはここまでのことを思い返す。
たとえば古代の魔王のように、村人や古代獣や精霊たちを全て駆逐してアーカーシュを占拠することだって、今のローレットならあるいはできたはずだ。
パトリックを追い出したり、暗殺することだって不可能じゃなかったかもしれない。
けれどあくまで皆、この場所を愛していた。
ここで暮らした人々を、この島を回す精霊たちを、時には殺し合いすらした兵士達ですら手を差し伸べ、ここまで来たのだ。
今共に戦っているのは、そんな『愛』の積み重ねなのだ。
「わかった。行こう、ハイペリオン」
直後、ハイペリオンめがけて極太のビームが放たれる。
回避しきれない。ジェックが身をすくめかけた――その時。
全く別の方向から激しい熱光線が放たれビームを相殺。余った精霊力が空中で爆発を起こす。
爆煙の向こうから現れたのは、数隻の武装飛空艇であった。
「お・ま・た・せ!」
拡声器によって聞こえたのは、蜂蜜みたいに甘い少女の声。
一部の者には聞き覚えのある声で、時に『拵え鋼』リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)にとっては――。
「あ、あねうえ!?」
「お姉ちゃまと呼びなさいな」
飛空艇のデッキにて、パステルカラーのぬいぐるみがいっぱいになった椅子の上でヒルディリド・サリーシュガーが足を組む。
「特務派の邪魔が無くなったから、押さえつけられてた軍務派の鉄帝空軍がこの通りよ」
思い返せば、特務派から探索隊のメンバーに推薦されていたのはこのヒルディリド。既に相当のコネクションをもった彼女を特務派で抱え込むと同時に、アーカーシュに進出したい軍務派の空軍戦力を牽制する狙いがおそらくはあったはずだ。
が、そのいざこざがパトリックの反転という形で解決しエーデルガルト大佐のもとに統率された今、追加戦力をいくらでも投入可能となったのだ。その間を素早く繋いだのが、おそらくはヒルディリドなのだろう。
「リュカシスちゃん! 決めちゃいなさい!」
複数の武装飛空艇が大砲を撃ちまくる中、スラスターで飛行していたリュカシスめがけ巨大なミサイルめいたものが飛んできた。
ミサイルは途中でパカッとクルミのように割れ、中から拳が飛び出してくる。
ただの拳ではない。軽トラ程度はあろうかというどでかい拳だ。
リュカシスはハッとして、自らの腕を伸ばした。
がちんと腕がソケットへとはまり、自らの意志に応じて拳が動く。
「リュカシスさん、その拳で――!」
「はい! 全力で殴って叩いて再起動してあげましょう!」
ハイペリオンに頷き、拳を起動。それこそロケット噴射をしかけたそれは、リュカシスの拳としてラトラナジュへと激突する。
「負けられない! スチールグラードには、ノイスハウゼンには、鉄の同朋たちが住んでいるんだもの!」
咄嗟に展開したラトラナジュの障壁を、しかしリュカシスのスペシャルパンチが粉砕する。
「今です、ジェックさん!」
ハイペリオンが叫んだ時には、既にジェックは狙いを定めていた。
周囲の世界が、止まる。静かな、ひどくスローな世界になっていく。
空気の揺れを、爆発を、戦闘を、匂いを、光を、すべてをあるがままに受け入れて、ジェックはただ……自然にトリガーを引く。
――鉄帝国を狙っていた空中砲台『ラン・カドゥール』が、その機能を停止した。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
――魔王城戦、エーデルガルト遺跡戦、ラトラナジュ戦の全てに勝利しました!
GMコメント
■■■プレイング書式■■■
迷子防止のため、プレイングには以下の書式を守るようにしてください。
・一行目:パートタグ
・二行目:グループタグ(または空白行)
・三行目:実際のプレイング内容
書式が守られていないとお友達とはぐれたりすることがありますのでくれぐれもご注意ください。
■■■グループタグ■■■
一緒に行動するPCがひとりでもいる場合は【コンビ名】といった具合に二行目にグループタグをつけて共有してください。
大きなグループの中で更に小グループを作りたいなら二つタグを作って並べて記載ください。
■■■パートタグ■■■
以下のいずれかのパートタグを一つだけ【】ごとコピペし、プレイング冒頭一行目に記載してください。
各パートには最低これだけいないと攻略が難しいよという人数が目安としてついています。
パートによって要求される特徴がことなります。そのため人数配分を均等にする必要はなく、多少偏ってもOKです。『私はここに呼ばれている! 魂で感じるんだ!』といった具合に直感でパートを選んでください。
【紅冠攻撃】
神霊である『紅冠』ラトラナジュと戦います。
ラトラナジュはアーカーシュにおける最終兵器『ラトラナジュの火』の制御を司っている精霊であるため、これを倒すことで兵器を事実上無力化できます。
が、最終兵器を動かすだけあってべらぼうに強いので、このパートだけ戦闘難易度が推定一段階上昇すると考えてください。
つまりは難易度HARD相当の敵であり、相当の人的被害が出ます。
戦場は空中。ここでは『神翼獣の加護』が機能します。(加護の詳細は後述します)
【黒冠防衛】
味方である神霊『黒冠』セレンディを防衛します。
このセレンディが落とされたり行動不能に陥るとラトラナジュはいくらでも首都を砲撃できるようになってしまうため、敵がセレンディに触れる、あるいは届く状態にしないよう立ち回ってください。
ラトラナジュが呼び出した攻撃精霊、加えて少数のハイアームズや飛行タイプの古代獣が敵となります。
戦場は空中。ここでは『神翼獣の加護』が機能します。(加護の詳細は後述します)
また、セレンディが作り出した黒いバリアの足場が展開しているので飛行しなくても戦闘が可能です。
【魔王城・天空】
カタパルトで発射され、魔王城の上空でハイアームズたちと戦います。
ただでさえ高い攻撃力をもつハイアームズにくわえより強力かつ指揮能力をもった『アルトラアームズ(天空機将)』が敵になっています。
ここでは味方として量産型ヒンメルゴーレム(飛行戦闘特化タイプ)が皆さんを支援して攻撃や防御を行ってくれます。
このエリアでは神翼獣の加護がありませんが、そのぶんゴーレムによる支援が強力です。
ジュリエットさんはここでヒンメルゴーレム部隊の総合的な戦闘指揮をとることになります。
【魔王城・城内】
城内に侵入したハイアームズたちの撃退を担当します。
沢山の罠や隠し通路などを駆使してゴーレム部隊を倒しましょう。
大砲やバリアなど城の設備を使って防衛する場合もこのパートタグを使用してください。
【魔王城・医療】
魔王城の中には負傷した鉄帝兵やイレギュラーズが運ばれてきます。
彼らを治療することで前線へと戻したり、死亡リスクを大幅に軽減することが可能になります。
主には医療知識などが役立ちますが、一時的な治癒スキルも今回は医療の助けになるものとします。
【エーデルガルト】
『紅冠の矢』を奪われないようエーデルガルト遺跡にしいた防衛拠点でパトリック派の武装隊を迎撃します。
ここでの敵は(遺跡への侵入が大柄な古代獣やゴーレムには難しいことから)元鉄帝軍の軍人達が主となります。
かれらは反転してしまったパトリックの強硬策に賛同してしまったり、魔種となった彼の狂気にあてられたり、あるいはパトリックに何かの材料で脅されるなどして戦う兵士たちです。
鉄帝軍だけあってかなりの重武装かつ、アーカーシュ内に隠されていた武装も使っているので結構強力です。
エッダさんはファミリアー通信などで全軍の指揮をとりつつこのエリアで防衛戦にあたることになります。
●神翼獣の加護
・『神翼獣の加護①』
このシナリオ内では、ハイペリオン様の加護が働いているため『全ての飛行手段』で空中戦闘が可能です。
ジェットパックでの簡易飛行や箒などでの媒体飛行、普段ちょっと浮いてる程度の人でもそのまま戦闘飛行状態をとることができるようになります。
今回はどの飛行手段を用いるかをプレイングに書くことで加護を受けて下さい。
(※特に飛行手段のない方は軍からレンタルしたジェットパックやレンタルワイバーンに加護をつけてもらえます)
・『神翼獣の加護②』
今回はハイペリオン様の加護を受けているため、空中戦闘時のペナルティが大幅に軽減されています。
●重要な備考
本シナリオは運営都合上の理由により、通常よりも納品日が延期される場合が御座います。
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