PandoraPartyProject

ギルドスレッド

惑いの花酒亭

【酒場/RP-テーブル席2】

午前様だった黒豹はその日の夕暮れまでたっぷりと惰眠を貪っていた。
空腹感を覚え、漸く酒場に降りてきてみれば人が少ない。
まだ酒場も開いたばかりなのだろうと欠伸をかみ殺しつつ気まぐれにテーブル席を陣取る。
程なく訪れた顔見知りの男を見付ければにんまりと唇が笑みに歪んだ。

「ねぇそこの色男さん、こっちで飲みましょうよ」

そんな誘い文句で厳めしい男をテーブルに呼ぶ。
他の客が訪れるまでのささやかな一時、言葉を交わすのも悪くはないだろう。

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お呼びした方とのスレッドです。
カウンターから少し離れた酒場のテーブル席。

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(くぁ、とまた欠伸をひとつ零す。
 近付いてきてくれた相手に向かいの席を指しながら店主に果実水と適当な料理を頼んだ)

ヨシヒロもこれから晩御飯でしょ?一緒に食べましょ。
アナタは何にする?

(勝手に食事を共にすることを決めつつメニュー表を差し出す。
 また欠伸が零れそうになってむぐっと口を噤んだ)

やぁん、ごめんなさいね。今朝帰ってきてさっきまで寝てたのよ。
最近また少し寒くなってきたせいか寝ても寝たりない気分なのよねぇ、そういう時ってなぁい?
おう、リノか。珍しく一人なんだな?
(馴染みの店に訪れた男を待っていたのは金色の瞳だった。招きに応じ、テーブル席へ向かう。)

…なんだ、朝帰りで、寝起きだったのか?
まあ、お前さんに言う事じゃねえが、ほどほどにな。
眠くて仕方ねぇって時は無い事も無いが。
疲れている時に深酒すると決まってヤバいからよ。

…ふむ、なら俺も頼むか。マスター、パンと適当にスープを。
ああ、パンにはチーズを乗せてくれ。

…しかし、朝帰りって事はここ以外で飲んで来たのか?
まぁね、常にここに居るワケじゃないもの。
お客も私も、ね。
(先に運ばれてきた果実水に口を付ける。
 咽喉が渇いていたのか、一気に飲み干せばもう一杯を注文した)

あら、心配してくれるの?嬉しいわね。
でも大丈夫よ、元々夜の方が元気なのよ私。
(注文されるメニューに目を瞬かせる)
そのくらいで足りるの?思ってたより小食なのねぇ、意外だわ。
がっちりした体だし、お肉とか食べないと足りなくない?

(おかわりの果実水を今度はゆっくりと味わう。
 爽やかな果実の香りで漸く目も覚めてきたようだった)
ここ以外でも酒場は星の数ほどあるわ、あちこちフラフラするのが好きなの。
あぁでも昨日はちょっとしたお仕事よ。
たまにはパトロンのご機嫌伺いでもしにいかなきゃね。
(カウンターでは注文を受けたマスターが滑らかに動いている。
 それを頬杖ついて眺めて)
夜の方が得意、か。そういやそうだったな。
まあ俺も夜型ではあるが、お前さんみたいに元気って訳にはいかねぇな。

…ん、ああ注文か?
寝起きの奴の前で肉を食うってのもな。
気持ち悪くならねぇか心配だったんだが、その様子じゃ問題無さそうだな。
ま、後で酒を飲むときにでも頼むとしようぜ。

(店主によって運ばれた豆のスープと、熱く溶けたチーズパン。両手をあわせ、いただきます、と呟き、スープに手をつける。)
いろいろ動いてんだな、リノは。
俺は精々ローレットに顔を出すか、住処の近くを
回るくらいだ。
まあ、リノは元々こちらの人間だしよ、職業柄顔も広そうだな?
何言ってるのよ、まだまだ若いくせに。
(笑いながら肩を竦める。
 気遣いには少し目を丸くして、そしてまた細めた)
優しいのね、ヨシヒロ。
そういう気遣い上手なところは生まれつきなのかしら?
(集団生活の賜物?と小首をかしげてみせる)

(彼の料理と同時に女の元にも注文した品が届く。
 ベーコンや野菜を挟んだサンドイッチに彼と同じ豆のスープ。
 ふっくらとしたオムレツからは湯気が立っていた。
 フォークを抓めば黄色いそれを切り分けてゆっくりと口に運ぶ)
まぁね、ローレット以外でもお仕事は色々あるのよ。
アナタだってここに馴染めばそういうことも増えてくるんじゃないかしら。
(おいし、と柔らかなオムレツに舌つづみを打つ)
異世界を訪れてまだ一年と立たない旅人さんに比べれば広い方だと思うわよ。
ヨシヒロはローレット以外のお仕事、請け負う気はないの?
まあよ、確かに俺の世界でもこの世界でも、俺より年上で随分飲むのもいるようだしよ、
付き合いてえもんだが、質の悪ぃのに絡まれてもいい様に量を抑えてきたからな。
…まあそれでも酔っぱらう時もあったがよ、そういう時に脂っこい肉はちょっと、な。
こいつは経験則みたいなもんよ。
(スープを口に運び、のんびり楽しむ。)

まあ確かに、ローレットでなくとも仕事はあるだろうさ。
他の国に行きゃそこで仕事を仕切っている奴もいるだろうし、
貴族や街や村の代表者から直接頼まれる事もあるだろうぜ。
ヤクザな奴らもいるだろうがよ。

まあ、これに関しちゃ、やりたいようにやるさ。
そういや、昨日の仕事ってなんだったんだ?
あらあら、経験則なんて聞くとお酒で失敗したことでもおあり?
是非とも聞いてみたいわね、色男の失敗話なんて楽しそう。
(人の悪い笑みを浮かべながら彼にならってスープを飲んだ。
 温かな豆のスープが寝起きの体に染み入るようでほっと吐息が零れる)

アナタくらい逞しい男で、かつイレギュラーズとか引く手数多でしょうね。
やっぱり仕事を始めるならある程度の箔は必要でしょうし、その点良いスタートラインに居ると思うわよ。
便利よねぇ、イレギュラーズって符号。
(やりたい仕事があればいいわね、と。
 問いにはフォークでオムレツを掬いながら口を開いた)
ちょっと頼まれものをされたのよ、それを届けたり受け取ったり。
あとはお酒のお付き合いかしら、そんなところね。
それほど面白みもないわよ。
酒での失敗談なんて山程あるしよ、面白くないぞ?
酔っ払って大騒ぎしたり、吐いたりよ、
まあ、一番の失敗と言えば、酔っておやじに喧嘩吹っ掛けた時だな。
俺と同じ量飲んでるのにまるで酔わねえし、
勝ち誇られてイラッとして、思わずグーがでたぜ。
…殴れたはいいが、その後は一方的にボコボコにされたけどよ。
そういうリノはどうなんだ?昔から飲んでるなら、
何かしらありそうなもんだがよ。
(パンとチーズを味わいつつ、)

まあ、ガタイにゃ自信はあるが、この世界だと
俺よりデカイ奴はざらにいるからよ。
そういうのと喧嘩しても負けたくはねぇがよ。

その仕事も付き合いの一環なんだろうが、
お前さんは興味がある、面白そうな事しか
やらないイメージだったぜ。悪く言うつもりじゃなくてよ。
(今までの付き合いからのイメージだがよ、と目を見ながら。)
普段失敗なんてしません、みたいな顔したヒトの話が聞きたいのよ。
(テーブルに頬杖を突きながらそれこど文字通り耳を傾ける。
 零れる失敗談にはクスクスと密やかに笑って)
たまに居るわよねぇ、やたらとお酒に強いヒト。麦酒じゃなくて麦芽ジュースでも飲んでるんじゃないかって疑うレベルの。
オヤジさんってヒト、そういうタイプだったのね。ヨシヒロにも青い頃があったのねぇ。
(サンドイッチを食む。こちらの失敗談も、と強請られ首を傾げた)
そうねぇ、気付いたらいけ好かない腹違いの兄と同じベッドに居たり有り金を全部掠め取られてたり…。
お気に入りのドレスを破いてダメにしてたこともあるわ、アレは後悔したわねぇ。

確かにアナタの倍以上あるヒトだってたまに見かけるものね。
ふふ、まず喧嘩して負けたくないってあたりが…アナタって存外血の気が多いわよね。

(渋みのある錆色と視線を合わせ、金目を笑みに細めてみせる)
そういうお仕事も趣味と実益を兼ねてるもの、言うほどキライじゃないわ。
それに楽しいことだけ求めて生きられるほど自由じゃないの、私。
(サンドイッチに挟まれていたローストビーフを噛み千切った)
誰だって何かに縛られて生きてるものよ、そうじゃない?
まあ、なんだ。若気の至りってやつよ。
だから限度まで飲まないように習慣づけしたんだがな、俺は。
おやじはなぁ、良くも悪くも陽気な人でな。勝負事とか祭りが好きでよ。
飲み比べとか賭け事とか、結構暴れてたぜ。…まあ賭場は経営してた方だが。
(おっと、こいつは言っちゃいけねえ事だったな、とパンをかじる)
しかしドレスか、お前さんなら何でも似合いそうだが…どんなドレスだったんだ?

血の気が多いのは生まれつきだからしょうがねえな。だがつまらねえ喧嘩はしないつもりだぜ。
若ぇ頃は絡まれれば殴り返していたがよ、今はそうでもねえぞ?

まあ俺だって組っていう枠に縛られているがよ。それを息苦しいと思った事はねえよ。
その枠の中で自分に何ができるのか、って事かね。
(今はローレットって枠の中にいるがよ、と再度視線を合わせて笑う。)
あらあら、ヤンチャなオヤジさんだったのね。
(秘密にしておいてあげるわ、と密やかに告げた。
 けれど吹聴したところでどうなることでもない、彼は『ここ』にいるのだから)
でも残念、くだをまくほど酔わせたヨシヒロを拝むことは難しそうだわ。
ドレスはね、燃えるような真っ赤な絹のドレスだったの。金糸で刺繍がしてあって後ろは引きずるくらい長くて――…私によく似合っていたわ。
(いっそ傲慢なほどに言い切って溜息を零す。
 ふと、サンドイッチの間に挟まれたピクルスに眉を潜める。
 引っ張り出して皿の淵に置いた)

若い頃若い頃って、アナタ十分若くみえると思うんだけど。
でも多分、少し我慢強くなっただけで中身はちっとも変わっていないんだと思うわ。
アナタ、とっても喧嘩が好きそうに見えるもの。

組もそうだし、イレギュラーズっていう枠もあるし…。ヒト、男、見た目――…数えきれないほどの枠があるわ。
(絡む視線を外さず、ゆっくりと言葉を口にする)
きっと、そういう全てのしがらみを飲み込んで生きているんでしょう?
だからきっと、アナタ自由なのね。

ねぇ、私はあなたの目から見てどうかしら。自由に見える?
まあ、前後不覚になるほどは飲まなくなったな。
死なない為とはいえ、浴びる様にパカパカグラスを空ける奴らが羨ましいぜ。
ふむ、紅いドレスか…。お前さんのその言い方だと相当気に入っていたみたいだな。
きっと似合っていただろうし、きれいだったんだろう。見てみたかったぜ、俺もよ。

まあよう、俺も好きで喧嘩やってるからな。むこうじゃまとめ役になってたし、
無茶できない立場になってたしよ。
そういう意味で言えば、俺は枠の中にいるが、それは皆同じ事なんだろうな。
お前さんにも家族、というか一族がいるんだろ?
俺と同じだとは思っているんだが…違うのか?
(金色の瞳をじっと見つめながら、尋ねる。)
あぁいう方々の肝臓は違う次元にあるって思うわ、ほんと。
ふふ、前後不覚になるほど酔いたい時は呼んでね。眺めてるから。
(指先についたソースを舐めた。
 果実水のグラスに口を付け残りを飲み干す。
 もう一杯頼もうか、悩むように伏せられる視線)
ありがとう、嬉しいわ。
今度お気に入りのドレスを着た時は見せにくるわ、その時は褒めてちょうだい。

そうね、きっと多分……同じなんじゃないかしら。
(汗をかいたグラス、その滴を指で掬い取る。
 濡れた指先で淵をなぞれば高い声でグラスが鳴いた)
こういう生き方しか知らないけど、でもイヤだとは思わないの。
多分、他の生き方を知ろうともしないからだろうけど。
――ねぇ、アナタの世界って自分で生きる方法を決められるって本当?
(ひやりと温度のない目の色をして問う。
 口元ばかりはゆるく弧を描いていた)
アナタは孤児から、どうしてヤクザになろうと思ったのかしら。
ま、そんな時は頼むとするか。来るかどうかは分からねえがよ。
そんな時は、きっとどうしようもなく荒れているか
心底安心しているか、だろうがよ。
(皿を空にして、水を一杯飲み干す。ふう、と一つ息を入れる)

俺がヤクザになったのは、おやじの強さに憧れたからだ。
俺のいた孤児院が地上げ屋に潰されそうになった時
助けてくれたのはおやじだった。
奴等殴り倒すだけじゃなく、そいつらの上とも話つけてくれてな。
…それで憧れたのさ。無理矢理にでも着いていったよ。

…まあよ、自分で生き方を決める事はできるぜ。
どこまで突き進めるかは、本人次第だがよ。
…リノが言いたい事を、俺がどこまで理解してるかは分からねぇが、
選んだ自由がいいモノかは、終わってみないと分からねえしな。
それでも、仲間と分かり合う事は出来るんじゃねえか?
(相手の視線に何かしら力を感じるも、正面から見据える。)
どちらの時でも歓迎よ、少なくともアナタを害そうとは思わないだろうし。
事実害したとしても私にメリットはなさそうだわ。
(結局もう一杯果実水を注文した。
 残りのオムレツをゆっくりと咀嚼する)

へぇ、少し話には聞いてたけど粋なヒトだったのね。
確かに子供の頃にそんなヒーローみたいなシーンを見たら憧れたくなるかも。
(目を細めて笑う。相変わらず金属染みた目に温度はない)
けれど孤児院のセンセーからは否定されなかった?
そういう道に進んでほしくはない、って。
(正面から合わせられる視線、怯むことすらないその錆色に金目に少し色が滲んだ。
 面白がるような、少し酷薄な色)
聞く限りアナタの世界では真っ当とは言えないお仕事よね。
その道をアナタを養育したヒトは喜んだかしら?

ふふ、理解するとかしないとかは気にしないで。
ただ会話に付き合ってくれればそれで良いの、暇つぶしよ。
こうして質問を投げるのがね、好きなのよ。
(彼から投げられた問いにはあえて答えなかった)
まあ、これに関しちゃ互いにメリットがないってのはいい事だぜ。
別にいじめられるのが好きなタチでもねぇしよ。

まあ園長先生からは猛反対されたな。
その時でもおやじは地元じゃ筋が通った任侠と知られていたし
実際に孤児院は助かったんだがよ、
孤児院の子供がヤクザに、てのは別の話だよな。
何度か話し合ったが…もう心は定まっていたから、よ。
気まずくてあれから寄るに寄れねぇな。
稼ぐようになってからは仕送りはしているが…
使われているかどうかは分からねぇなぁ。
(少し寂しそうに苦笑する。)

まあ、暇潰しと言われりゃ付き合うがよ。
投げてくるのに打ち返されねぇのも、な。
…そろそろ何か飲むか?
(微かに滲む寂しげな気配に笑みが深まる。
 まるでそれを楽しんでいるような、聊か趣味の悪い色)
どんな気持ちでしょうねぇ。
(口を開けば鋭い牙が覗いた)
自分が慈しんだ子供が危ない道へと自ら進むのを見ているしかない気持ち。
どれほど止めても子供に聞き入れられない気持ち。
――…その子供が自分が認めていない道で稼いだお金を送られ続ける、気持ち。
(フォークで添え物のトマトを串刺しにした。
 視線を外さぬまま口へと運び咀嚼し、飲み込む)
そして最後は、仕送りが途絶え最悪の事態に巻き込まれたんじゃないかと思う気持ち。
ねぇ、アナタの園長先生は今どんな気持ちで生きてるのかしら?
(不躾な質問を迷いもなく放り投げて女は酷く楽しそうに笑った)

(酒への誘いに否やは無い。
 片手を挙げてマスターにリモンチェッロを注文する)
アナタもいかが?
……そうねぇ、一方的なのは少しフェアじゃないわね。
アナタから聞きたいことはあるのかしら?3つくらいなら正直にお話しても良いわ。
やれやれ、俺で遊ぶのも程々にな、リノ。
別にまだ怒りゃしねぇがよ、その内火遊びじゃ済まなくなるぜ。
(恩師の事を言われ、僅かに眉間に皺が寄る。
ぐっと圧力を強めたが、すとんと落ちた。)
…まあ、お前さんの性分だ。言ってもしょうがないんだろうがよ。
先生の気持ちは先生にしか分からねぇよ。
今の俺には考えもつかねぇな。
…まあ、強いていうならあの人らが無事ならそれでいいさ。

ん、いいな、俺も同じ奴を貰おうか。
(マスターに同じのな、と注文し、二人で食べる分の肴をついでに)
聞きたい事ねぇ…。そう言われると中々思い付かねぇが。
家族で、てか一族で傭兵だったんだろ。
今でも一族に戻って仕事はしてるのか?
あら、残念だわ。もっと爪を立てるべきかしら?
私、火遊びってだぁい好きなのよ。
(まったくもって人の悪い笑みを口元に浮かべたまま首を傾げる。
 仕草は少女染みているがその目は獣そのものだ)
考えもつかない、なんて――考えることから逃げてるの間違いじゃない?
お金だけを送り続けて自分の気持ちばかりを慰めてるだけよ。
(吐き出す言葉は毒に塗れ、それを丁寧に相手の傷口へ垂らす)
そして結局、何も「わからない」ままアナタはこっちへ来ちゃった。
そのセンセ―の気持ちを置き去りにして。
―――…さっきの怒った顔、とってもステキよ。もっとそうさせたくなるわね?

(運ばれてくる冷えたリモンチェッロを舐めるように味わう。
 問いには軽く肩を竦めて)
基本的にはこっちに居るけど、必要があれば呼び戻されるでしょうね。
特異運命座標になってからはこっちでの仕事を優先して良いって許されてるの。
そうじゃなきゃ今も一族で仕事してたかもしれないわね。
…お前さん、こんなに人をなぶるタイプだったかね。
簡単に怒り出す奴もいるから気を付けろよ。
(心を落ち着けるようにリモンチェッロを一口。)
…ん、中々爽やかだな、これは。

まあ、考えるのを放棄してると言われても仕方ねぇがよ。
兄弟舎弟やおやじはいても、子供はいなかったからな。
それでも言えるんなら、滅茶苦茶心配かけてんだろうな。
金を送っていたのを自己満足と言われても仕方ねぇがよ。
それでもそれくらいしかやりようがなかった。
任侠の世界に身を置いている限りはよ。
不誠実だと言われても、な。

傭兵が必要で呼び出されるなら、大規模な護衛か
戦争か、だろうなぁ。
お前さん、今イキイキしてるように見えるからよ、
特異運命座標の立場を楽しんでるように見えるぜ。

…しかし、怒った顔がいいとはな。言われた事がないぜ。
(ふ、と女の目から獣性が薄れた。
 うすら笑いを消してつまらなさそうに唇を尖らせる)
流石に怒らせようってしているのがバレると怒ってくれないものねぇ。
私は元々こんな性格よ?
(酒を褒められればそうでしょ、と相槌を返してまた酒を味わう)

難儀なものね、せめて一度だけでも顔を見せるかすれば良いものを。
もしくはお金を送るんなら絶対に自分だってバレないようにするか、消耗品を送りつければいいのよ。詰めが甘いのねぇ。
(肩を竦めてグラスを揺らす。酒で濡れた唇を舐めた)
いっそ、そういう風に詰られたいんじゃないの?
そうすることで罪悪感を消そうって全く考えてないわけじゃないでしょ。
……それとも、ニンキョーの世界ってそれくらい不器用な男ばっかりなの?

そうね、少なくとも退屈はしてないわ。
こうして古傷をつつきたくなる可愛い男前も居るし、ね。
(肩を竦める。良い顔じゃなかったら突く訳ないじゃない、と)
普通じゃない立場を手に入れたんだもの、楽しまなくちゃ損よ。
こういう酒は今まであまり飲まなかったからな、
こっちに来て、ここでリノ達と色んな酒を飲んで、こちらに来てもよかったと思えるな。
…名前のまんま、レモンの酒か?
いやよ、今迄皆と飲んでてそれなりに経つが、人をからかう事はあっても
こういう風に感情を昂らせる様な事はしてなかったじゃねえか、それでな。
(マスターからナッツとチーズの盛り合わせの皿を受け取り、二人の中央に置く)

まあ、器用じゃねえのは分かってるよ。それで罪悪感を薄めようとしてんのも本当だ。
自分で選んだ任侠の道だが、それでも合わせる顔がねえと思っていたしよ。
…この世界から帰る事があれば、顔出しがてらそうするかね。ありがとうよ、リノ。
まあ、こんな性格なのは俺も含め、多いんじゃねえか?普通に気が利く奴もいるけどな。
その点、傭兵はそういう機微に敏そうだがよ。

普通じゃないっていうのは納得だがな。ギルドや貴族にも顔が利くし、
他国の重要人物にも知己がいる。イレギュラーズってのは不思議なもんだぜ。
しかし、つつかれるのもまあ、いいがよ。
(首筋を掻きながら、苦笑する)
そうよ、食後には丁度いいお酒でしょ?
(ゆるく目を瞬かせる。
 どうも、と一言おいてからナッツをつまんだ)
大衆の面前でこき下ろされたいっていう願望があるならご期待通りにしてあげるわよ。
こんな話なんて二人きりでないと出来ないでしょ。
それくらいの分別は私にだってあるわよ。
(えらいでしょ、と皮肉を唇に張り付けて笑う。
 かしかしと音を立てて胡桃を齧った)

戻れるかもわからないのに、ね。
中々不毛な話じゃない。
(ナッツの味を舌先に乗せながら薄黄色い酒を味わう。
 ふむ、と少し考えてから今度はチーズをつまんだ)
すぐそうやって柔軟に受け止めちゃうんだもの、つまんなぁい。
……やだ、不器用だらけってニンキョーの世界って面倒ね。
女泣かせが多そうだわ、愛されてるくせにその自覚がないヒトたちなんて。
別に傭兵だからって機微に敏いわけじゃないと思うわよ。
でもそうね、傭兵なんて所詮使い捨てられることが多いもの。
自己防衛、なのかもしれないわ。

(く、と咽喉を鳴らして笑う)
だって世界の終焉を防ぐための存在よ、一目置かれるのも当然だわ。
それで質問はもうおしまいかしら?
つついてくれてもいいのよ。
へいへい、偉い偉い。
(苦笑しながら、言葉に耳を傾ける)
流石にそんな風にいじめられて喜ぶ趣味はねぇよ。
まあ確かに、こんな風に身の上話をできるのは
お前さんくらいかもしれねぇな。
ここの他の仲間も気を使わねぇでいい奴等だが、よ。
(アーモンドを齧りつつ、グラスを傾ける)

不毛でも構わねぇさ。まだこの世界で死んでやる、
って気概はねぇからよ、まだ、な。
まあ、仕事や役割には常に全力だし、体張ってるがよ。
それが昔からいつもの事だったからな。
まあ、堅気の世界で生きられなかったあぶれものだからよ、
器用に立ち回れていりゃ、こっちにゃいねえ、てのもあるがな。
女泣かせかどうかは分からねぇがよ。
むしろ女泣かせといや、傭兵や船乗りなイメージだが。

まあ、世界の終演を防ぐっていっても、イマイチ想像がつかねぇな。
俺達がどちらに向くにせよ、行動すりゃいい方向に進めるそうだがよ…。
リノは喚ばれた時、当然この世界にいたんだろうが、どんな感じだったんだ?
そんなに気を許してくれてたなんて知らなかったわね。
嬉しくてもっと苛めたくなるわ。
(喜ぶ趣味はない、という言葉を聞かないふり)

その言いぐさだとここでの死に甲斐を見付けたら死ぬっていう風に聞こえるわよ。
逆に死ぬ気で戻りたい、とは思わないの?
(置いてきたものがあるんでしょう、と。
 受け入れてしまっている風な彼を訝しむように)
いつでも死が間近にあるような仕事をしてるとそういう風になるんじゃない?
泣かせたって気にもしないか、自分じゃなくても変わりが現れるなんて思ってたり。
誰しもそうなる訳じゃないけどそうなる奴もきっと多いわ。

私が喚ばれた時はラサの家に居る時だったわ、仕事の打ち合わせだったの。
その最中にひょい、とね。あの時は迷惑この上なかったわねぇ。
でもそのお蔭で一族の中でも自由に動ける地位が手に入ったから良いんだけど。
まあ、過剰に弄られるのは勘弁だがなぁ。お前さん以外からは尚更よ。
店で喋るだけで、仕事を一緒にやった事もねぇがよ、
それでもお前さんといるのは楽しいぜ。
周りにあまり居なかったからかもしれねぇがよ、リノみたいのはよ。

体の芯から本気でそう思えたらな。完全に染まったら、とも言えるがよ。
だがこんな俺でも根がガチガチでな、今まで三十数年生きてきたが、
過ごしてきた日や、仲間、おやじの存在は簡単に薄まらねえだろうよ。
…そういうの全部放り出しても構わねぇと思えるようになったらって事だ。
勿論戻りたいとは思うが、検討もつかねぇしよ。
今まで喚ばれた奴はどうしたのかね。
何か特別な方法を探し当てて帰れたのか、それでもここで過ごしたのかね。

まあ、仕事柄そう言うことも多かったろうな。
あくまでも契約社会、信用と約束は大事だ。
(ふと、金目がじっと彼を見つめた。
 何かを探るように、皮肉さを滲ませた口元で笑う)
身の上話が出来るのは私「くらい」とか、私「以外」には勘弁とか。
なぁに、口説かれてるのかしら?
(全ての話を打ち切って問いを投げた)

そういう限定するような言い方、その気がないなら止めておいた方が良いわよ。
それとも本気で口説いてくれているの?
私の受け取り方次第、なんて返答は求めてないわ。
そうだな、こんな言い方だが口説いてるぜ。
リノが側に居てくれりゃいいと思っている。
友人としても、女としてもな。
まあ、帰れるのか帰れねぇのか分からねぇがよ、
それでもこの先を考えたくなるくらいに本気だぜ。
(リモンチェッロのグラスを握りしめながら、
目の前の金色をじっと見つめる。)
(微かに目が見開かれる。
 そしてゆるく細められた)
――そう、嬉しいわ。ありがとう。
(自分で暴いたくせ、素直に告げられるとは思わなかったと微かに笑う)
アナタはステキなヒトよ、ヨシヒロ。でも、女を見る目はないのね。
ダメよ、私なんかに本気になっちゃ。
(だからダメ、と。ほろ苦く、いっそ優しげに微笑む)
アナタに敬意を払う意味でもはっきり言うわね。
私、遊びならともかく本気のヒトとは向き合えないの。
それでも、友人としては好ましく思っているわ。
…そうかぁ。
(握りしめていたグラスをグッと傾け、酒を飲み干す。)
正直に言ってくれてありがとうよ、リノ。おかげでさっぱりしたぜ。
本気で残念だが、な。
(ゴリゴリと首筋を掻きながら、寂しそうに苦笑する。)
…ええい、飲むか。マスター、強い酒をくれ。少し酔いたい気分だぜ。
(飲み干される酒を眺める。
 そうね、と呟いた)
私がもっと賢くて強くて、勇気のある女だったらアナタの手を取ったんでしょうね。
それくらい魅力的だもの、アナタ。
(そんな男に請われた己がそれに見合っていないのだ、と。
 静かに微笑むマスターはきつい火酒をテーブルに運んできた)
今夜は奢るわ、好きなだけ飲んでちょうだい。
そして私に弱みを見せずに眠ると良いわ。
いや、それでもお前さんはいい女だぜ。
人の気持ちを無下に扱わなかった、それだけでもな。
バッサリ切られたが、それは仕方ねぇ事だしよ。

(グラスに注がれた透明な液体、それを一気に飲み干した。)
…すげえな、こりゃ。酒と言うよりアルコールそのものだぜ。
火がなくても、口から出せそうだ。
(喉が、胃が焼けつく感覚に悶えながらも、もう一杯と、空のグラスを差し出す。)
本気のヒトとはできるだけ付き合わないのよ。
返せるものが何もないもの、無償の愛なんてもっとごめんだし。
(私にも、と同じ酒をショットグラスへ注ぐ。
 相手にならって一息に飲み干せばアルコールの強さにぶるりと身震いして)
酔いたい時にね、最適なお酒だと思うわ。
ほら、もっと飲みましょ。
友達と飲むお酒、なんだもの。
(微笑み、請われるままにグラスへと同じ酒を注いだ)
やれやれ、これはマジでキツい酒だな。
アルコールそのものだから酔うのも当然だがよ…。
(注がれた酒を、勢いのままに飲み干す。)
あー…これはあれだな。一気に飲み干さないと、口の中が焼けるな。
ちびちびと飲んでいられねぇわ。

しかし、相変わらず酒に詳しいな、リノ。
もしかして、普段から口にしたりするのか?
(空になったリノのグラスに、一杯注ごうとする。)
(注がれるグラスに揺れる酒。
 零れる吐息に酒精が滲み、酒の濃さを誤魔化すようにナッツを齧って)
そりゃ、スキで飲んでるんだもの。
お酒は良いわ、どんなつまらないことも多少は楽しくしてくれるもの。
(杯を干し、流石に酔いが回りつつある頭でゆるく笑い声を零した)

だから今夜は沢山飲んで、せめて愉快に終わりましょう。
とことん付き合うわよ。
(すでに次の酒の注文を飛ばしながら陽気に女は告げる。
 夜が更け、朝日が昇るまで)

(翌日、流石に酒に負けた黒豹が居たとか)

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