シナリオ詳細
混沌同人誌即売会pants panty project
オープニング
●ヒャッハー! ここは地獄の同人誌即売会だぜ!
時は現代嵐の時代! 同人業界に激震が走っていた!
「見ろよォ! 新鮮な『アルテナがテナテナしちゃう本』だぜェ!」
「白夜昼夢! タコムスコォ! ヴァヴェヴャギャバァ(単語の尊さに言語能力が崩壊しております)!」
「あのときは買えなかったシフォシフォを、今日こそ僕はシフォシフォす――フィギュアだとぉ!?」
「おぜううううううううううううううううああああああああああああああ!!」
「えれのあああああおれだああああああああああああああ! けっこんしてくれえええええええ!」
「サキュバスウウウウウウウウウ!」
「SIDENさああああああああああああああ!?」
「アキナちゃあああああああああああああああああああ!?」
「みんな冷静になって輪廻さんにお願いしろお願フォフォフォオオオオウ!」
「えりすてお姉さんによしよしされるまでは死ねない」
「もうもうミルク! もうもうミルクぅ!」
「スリスリしろぉ! 世界平和を実現しろぉ!」
「ももいろうさぎの新刊ください!」
「リアさんにパンツみせてもらうためなら何でもします!」
「焔ちゃんと触手ぅ!? けしからん! 四冊ください!」
「めすがきでいじーちゃんぺろぺろ!」
「あーりあせんせーーーーーーー! アーーーーーーー!」
「しぇらりゃちゃあああああああああああ! ああああああああ!」
まって、逃げないで。モンスターじゃない。
あるとき開催されたローレットオンリーイベント『パンツパンティープロジェクト』は大成功を収め多くのおっきいお友達の性癖をゆがめるという大事件を勃発し、『ローレット=ぱんつ』『おちゃ=えっち』など様々なミーム汚染をくらった民衆が次の同人誌を求めて町中を爆走するという珍事が巻き起こった。
この事態を重く見たスミール・ウスイホンスキーはボスであるヤミール卿の命令(やくめでしょ)により次なるローレットオンリーイベントの開催を約束した……のだが、しかし!
「フフフ……マネーの匂いがしますわ……」
あくどいハムスターみてえな顔した『有明のドン』シスター・テレジア(p3n000102)が権利書をなんやかんやして会場のショバ代を引き上げ自分にお心付けと称して寄付させる契約を作り上げてしまったのである!
「まずい、このままじゃ……」
『同人誌なら俺に任せろ』山田・雪風(p3n000024)がリュックサックにポスター大量に突き刺した状態で振り返った。
「同人作家に利益が入らず次の印刷所にあてる金がなくなる……つまり! 次回作が出なくなるんだ!」
「「なんだって!?」」
山田とソウルを同じくする者たち(つまりは同人大好きっ子たち)は冷や汗を流して身を乗り出した。
「この事態を打開する方法はひとつですよ……この同人誌即売会場に秘められた同人パワーを高め会場を支配するドン・テレジアに叩きつけるんです! 叩きつけるんですよぉ!」
- 混沌同人誌即売会pants panty project完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別決戦
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2019年12月14日 22時45分
- 参加人数127/∞人
- 相談8日
- 参加費50RC
参加者 : 127 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(127人)
リプレイ
●即売会は魂の戦場
「サークル参加の皆様、見本誌の回収に伺いましたのでご協力をよろしくお願いします!」
幻想西方ヴァルツァーレク領ハルミポート芸術会館。
舞踏会や演奏会、絵画展覧会など様々なイベントに適した巨大平面ホール……の、伝声管拡声器から、新田 寛治の声が響いた。
「イベントで発行された同人誌のアーカイブとして保管される。五年先、十年先に文献を残していくという重要な役割だ。田梶さん船出してください船ェ!」
「学者でもなければ魔術師でもない人々が本を書く。
それを買い求める人々の内訳も様々。貴族、平民、旅人……まるで、そう。垣根のない世界。
そんなことを、この国で、こんな規模で実現する……こんな世界、この間までは知りませんでした」
なんか平和なこと言ってるリースリット・エウリア・ファーレル(ファンド同人誌販売中)。
「即売会は売り手《サークル》・買い手《一般》・そしてスタッフ、それら全てが“参加者”です。
故に、“参加者”が守るべきルール…いえ、言わばハイ・ルールが存在します。
それは老若男女貴賎都鄙の別無く、全ての方に守って頂くべきものです」
シズカ・ポルミーシャ・スヴェトリャカは拡声器から参加者たちにアナウンスをするが、一方の参加者たちはもう目が鬼であった。限りある同人誌をなんとしても手に入れようと、燃えに燃えていた。ゆえにけが人もどっさり出そうなものだが……。
「今日は僕が救護係っす! 他の仲間と相談して救護スペースを確保するっす。
あ、新田さん。もし荷物を置く場所が無ければ此方で幾らかお預かり可能っすから言って下さいっす」
ジル・チタニイットたち救護班がいつでもタンカで運べるぜの姿勢で構えていた。
一方で徹夜待機組やブースチケット転売など悪事を働く者たちを、マカライト・ヴェンデッタ・カロメロスが襟首掴んでひっとらえていく。
「テメェら! 健全(?)なイベントで堂々と悪事働いてんじゃねえぞ!」
「迷惑行為も駄目だよ。特に暗殺令嬢率いる襲撃犯、殺人は他所でやってください」
宮田・ラインバルド・遥華がスキルを活かしてアナウンスをし、参加者たちへの注意喚起や誘導をこなしていく。
こうしたスタッフたちの尽力により、総参加者数百人超えというハルミ会館史上最大級のイベントが幕を開けたのであった。
「こ、これはこの世界の呪のせい、でぇ……え? 良い? 可愛い…? そ、そんな…そんな…」
壁際にでっかく設置されたブース【白百合黒薔薇】ではアイリス・メルクーリが売り子をしていた。その横で同じように売り子をする宮里・聖奈。
「師匠が同人即売会でサークル出店するって聞いたから手伝いに来たんだけど…その…どう見てもエッチな本ばかりなのです…。
いやいや、聖奈のぱんつハントとかは別次元の問題だからね!というか…こんな本の題材にされて恥ずかしくないのかな…皆…」
ちらりと見ると、本の題材になった秋空 輪廻本人が自ら売り子をしていた。
「はいはい♪ 謎の同人作家Aの手掛けた新刊【お願い輪廻さん♪】よん♪ お願い、せめて手に取って…読んで欲しい、かなん♪」
ちらりと脚をみせてウィンクする輪廻。さすが混沌。常識もひと味違う。
そんな彼女の腕にとびついて甘える悪鬼・鈴鹿。
「同人誌即売会…ぱんつソムリエたる鈴鹿としては他愛ないの。すぐさまお目当てのぱんつ本を鑑定眼&コネクションで入手してやるの
けどそのまえに輪廻姉様!今日は輪廻姉様の本を買いに来たの!」
「輪廻さんの……同人誌……」
物陰からちらっと見ていたアルヴァ=ラドスラフが、顔を隠しつつささっと買って逃げていく。
(絶対に本人にバレてはいけません。ミッションインポッシブル…なのです!!)
その言い方だとあとでバレるのでは?
さておき、木津田・由奈。
「うふふふ…死聖お兄ちゃんのお手伝いって聞いて当然お手伝いするのが妹の義務だよ
だから売ってる本がえっちな本でも私は動じないよ?これがお兄ちゃんの立派な仕事だもん。
…ただここに描かれてる同人誌のモデルになった人たちの事は気を付けよう。だって悪い虫かも知れないし…」
売り子をしつつ、怖い笑顔を浮かべていた。
そのお兄ちゃんこと宮峰 死聖は、仮面を被って『もっとシフォシフォにシフォリィ』や『お願い輪廻さん♪』を売っていた。余談になるが病妹たちが売っているのは『スライムでテミアンアン』『冬佳様の見下し本』『ロストレイン家の性技』である。
さすが壁サー。品揃えが鬼。
「死聖に呼ばれて来てみたら…何だ…この風紀の乱れようは…」
「何でも、とある本を買えるだけ買って来て欲しいって事だ、何だそりゃ?」
ファンネルとして呼び出されたリアム・マクスウェルと哀坂 信政。
死聖からの依頼で他壁サークルたちから新刊やフィギュアを買ってくるように言われていた。
「何を大げさな…良いだろう、30分でここにあるものを買って来てやる、待っていろ」
「俺に何の本を……待て。あの暗殺令嬢のR18本を買って来いだと!? 正気かてめぇ…!!!」
尚、彼らはこの後地獄みたいな人混みにおぼれることになる。
その一方で、フルール プリュニエや香宮夜 凪たちが続々とブースに集まっていた。
「決戦?これも決戦なのね、倒すべき敵はいないのに♪
でもね、私見たい本があるの。この本の続き。ここならきっとあるでしょう?」
「うちの初めての決戦がこれだ!!オッケー!!!!何もオッケーじゃないかも!!!!! ってちょっと待って?それどう考えても続き18禁のヤツだよね?」
「えー、子供は読めないの!?大人ばかりずるいわ!」
なんていいながら、手をつないではぐれないように行列に加わっていく。
まさに祭りの熱狂。今日だけはと小銭をマガジンホルダーに入れスキットルで給水しながらどかどかと会場を早歩きしていく大群を見れば、誰とて緊張もするだろう。
あと原稿落としてコピー本の紫電・弍式・アレンツァーさんとか、それをじっと見てるLumilia=Sherwoodやニエル・ラピュリゼルとか。
「我等『物語』――私は此処まで到達したぞ。貴様等に邪道かつ外道だが、美しい世界を読み解き給え――ジョセフ。我々は如何に『育まれた』のだ。ジョセフ。我々は如何に『剥がされた』のだ。皆にも伝えねば成らぬ。忌々しい上位存在どもに叩き付けるのだよ。Nyahahahaha!!!」
「これらは君の為に綴られた言葉であり、脳髄から漏れ出した私の傲慢だ。私は物語の血肉を啜り貪り、綴られる筆の独占を欲した。特別たらんために物語を変質させ、人間へ、そして女性へと変えた。君は我が友から僕のオラボナになった。見せつけてやろう!僕の、僕らのエゴを!」
そしてオラボナ=ヒールド=テゴスとジョセフ・ハイマンの幸せな地獄みたいなブースとか。二人はめっちゃ独特な感性の詩集を売っているようだ。
知り合いにファンネルさせて影からうっとりその様子を眺める沁入 礼拝とか。
(恥ずかしいだけです。別にオラボナ様と直接会ったら不機嫌な対応をしてしまいそうとかそういう風に思ってませんから!
あ……差し入れのオラボナ君弁当も持って行っていただきましょう。嫌がらせじゃないです。これ本当にジョセフ様の好物なんです、信じてください)
そして、あがる悲鳴。
●決戦のステージだぜ
ハルミ会館はまさに決戦の様相を呈していた。
かつてのおぜうオンリーイベントを彷彿とさせる動きで飛ぶ天之空・ミーナ。
「誰よりも早く買い集める。
何をって決まっているだろう?可愛い女の子のエロ同人誌だよ!
……可愛い女の子のだよ!」
競い合うようにして超高速で駆け抜けるイ = モウト。
「ああ、お兄ちゃん…お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん!
えへへ…安心してねお兄ちゃん?お兄ちゃん本は、全部、ぜーんぶ私が買ってあげるからね?
誰にも渡さないよ!」
会場内では死闘厳禁というスタッフの言いつけを守ってはいるが、先に購入した方のものという原則もまた然り。参加者たちは魂を燃やす争奪戦を行っているのだ。あっこうやって言うと決戦っぽい。
「……ところで、関係者にこれが正装と言われてメイド服を着たのだが。…これ、コスプレという奴ではないか…?」
一方で、会場の庭ではルクト・ナードたちがめっちゃいろんなカメラで撮影されたりスケッチされたり肉眼に焼き付けられたりしていた。
場は完全にできあがったと言っていいだろう。
(オイラだって男だ、今日こそ手にするんだ!
そう、え っ ち な 本 を!
でっかいおっぱいのおねえさん…ばいんばいんのやつ…おっきいの…
機械の心臓でもなんだかドキドキするような気持ちだよ)
はじめてアダルトビデオコーナーに侵入しようと試みた中学生みたいな変装をして、チャロロ・コレシピ・アシタがブースへと突き進む。
(……ん?これは……艶、本?しかもどこかで見かけたような人が題材になってない!?ちょっと?え?いいの、これ!?じゃあ……男性同士、女性同士の奴とかも探してみようかな……。顔とか赤くなってる気がするけどきっと気のせい!会場が暑いだけだから!)
一方でBL本のエリアへ向かってずんずん突き進むクリム・T・マスクヴェール。
ここは業のスクランブル交差点。あらゆる人があらゆるモノを求めて突き進むのだ。
「ミルテちゃんやサフランちゃんにどつかれて買い子を任されたんやけど、男と男が抜き差しならずの本買うんはかなり恥ずかしかったわぁ。
折角やし俺もなんか本を物色してみよかなぁ……お?」
ブーケ ガルニがさまよっていると、イグナート・エゴロヴィチ・レスキンを見かけた。軽く挨拶をしてくるイグナート。
「あまりサークル数が多いジャンルじゃないけれど、インディーズ闘士の情報をまとめた本を作っているヒトや、各国のファイターのデータや歴史をまとめて、オモシロイ本を出してくれてるヒトも居るんだ」
言われて振り返ると……。
兄様本を手に書き手にからむ錫蘭 ルフナ。
「ハァ?……ねぇ何これ、兄様を描いたつもりなわけ?
昼は人並みに働いてるくせに、貴重な自分のための時間を他人に使っちゃってさ……べ、別に!心配してるとかそんなんじゃないし!馬鹿、勘違いしないでよね、ホント!
まぁ……そこそこには上手く描けてるんじゃないの?
一冊買わせて貰うよ。」
変装をして本を手に取るカイト・C・ロストレイン。
「ついにこの日がやってきた、戦争の日が!
狙うは。まずは、リースリットちゃんの同人誌、中身がどんなであろうが、リースリットちゃんがかわいければそれでよしだし、新刊を作っていただきたいから、お布施の意味をこめて、可能なら3冊買いたい!保存用、鑑賞用、ってやつだ!」
巨乳イレギュラーズ特集本を食いちぎろうとして連れて行かれるリリファ・ローレンツ。
「ムキャア! ムキャアアアムキャアアアアムキャアアアアア!!!
狩るのです。買うんじゃないですよ。こんな本は存在してはいけないのでムキャアアア!!
あ、ぐわー!!スタッフゥウウウ!!やめろ離せ!!おちちは、おちちは狩るんだあああ!!」
「……大半はあんなカンジだけどね」
「……せやなあ」
「あら……こちらでもこう言った催しがあるのねェ。良いことじゃないか」
ふらりと立ち寄った花房・てふがのんびりと(割と知ってる人たちのあられもない)様子を眺めていた。
「折角のお祭りだ、楽しまないとね」
買う者がいれば売る者もいる。それが同人というものである。
いわば技術と性癖の再分配。本を出すのはローレットイレギュラーズだけではない。
「まぁ私っぽい同人誌は需要無いし誰の得よ、出ない出な――」
アリシア・アンジェ・ネイリヴォームが百合本ごっそりの紙袋を抱えて会場を歩いていると……『アリシアと新婚した本』という業の塊みたいな同人誌を二度見した。
「ふうん、男でもこういう本あるんやね。試し読みしていいですか?」
その横では惑が情熱的なBLを本を試し読みしていた。っていうか顔から煙噴いていた。
ほくろがエロいお兄さんが恋心をごまかしつつも自覚されるまでのお話がこう、その……。
「い、一冊貰えますか…?」
「――なんということである。同人即売会とやらの風紀は此処まで乱れていたであるか……!」
両手で顔を覆うローガン・ジョージ・アリス。
「というわけで我輩離れるである。いかにしてこの乱れを正すかと、ご購入させていただいた母性的なレデー達の同人誌の隠し場所考えなきゃであるから」
そう、この場のみんな、同人誌に夢中なのである。
そんな中を、両手に紙袋背中にリュックというフル装備のキドーが駆け抜ける。
「こんなに買い込んでどーすんのかって?そりゃあ、アレよ
このオンリーでしか手に入らない本もあるんじゃないんすかねえ?当日来れなかったり、買いそびれた連中は喉から手が出るほど欲しいだろうなあ?
え?転ば――ぐえ!?」
「同人誌とは奥ゆかしき文化です…。出されている方、買う方
いずれにせよこれもまた保護すべき文化で繋がる者達なれば
お顔とお名前は覚えておいてきっと損はないでしょう――」
ガブリエル・ロウ・バルツァーレク(の護衛)が、駆け抜けるキドーをとっつかまえてスタッフへ突き出すべく運んでいった。一時はリーゼロッテと権謀術数の激戦を繰り広げた大貴族。彼の前で不正や抜け道は(こと芸術系では特に)難しかろう。
そんな彼のファンも、もちろん多い。
「キャーガブリエル様ー!!! おにくあげます!!!
ベーコンに包まれたハンバーグの中身はもつ鍋なのですよ!!!
ほら。ここの胃袋がぴくぴくしている表情、頑張って描いたのですよ。私もう感激で目を回しそうですね。あひゃひゃひゃひゃ!!!」
襞々 もつっていう人の形をしたバケモンだけど。
「このリアさんに……この本を下さい。そう、全部です。
お金代わりの宝石なら此処に沢山用意しました。
……はい?ぱんつ(5000G)がいい?
ふ、ふざけんなてめぇ!ぶち殺すぞ!」
その一方でサングラスで変装したリア・クォーツがガブリエル本を買いあさっていた。
「もし……」
「ははは伯爵!?いつの間に!? あ、あたしは! 伯爵だけのモノですからっ!!」
もう一度言おう。
みんな同人誌に夢中なのだ。
●平和ってこういうことをいうんだな
たいそうなブースばかりを見てきたので、ここでひとまず全年齢向けのエリアを見てみよう。
サークル【夢現(ゆめうつつ)】ではニコ・マリオネッタ・ベルナールドとそれを膝に乗せた瑪瑙 葉月がごく普通の会話をしていた。
「ええと、他には何を話そうか」
「この前一緒に作った子のお話とか色々するんだよ!」
「そうだね。それとお裁縫のお話とか一緒に行きたいカフェのお話とかお揃いのお洋服とかを買いたいとか……」
その横では。
「ねえ尊鬼くんこれ現実だと思う?それとも集団幻覚かい…?」
「これは確実な現実で幻覚だと思うな!」
最推しカプが顕現した尊さで死にかけているアラクと藍銅 神無がいた。
『たまにはこんな日も』『ニコはづ永遠なれ』『日常的せんせ~しょん!』『二人だけの世界』と……同人誌もそれをしめしている。
「このサークルはだいぶトンでましたね……」
休憩しつつ挨拶回り中のヘイゼル・ゴルトブーツ。
その調子で進んでいくと、次の島はレシピ本エリアだった。
「これを使って料理の輪を広げ、色んな奴が調理というものに目覚めてくれりゃあ幸いだ! 是非とも手に取ってみてくれ!」
【クートンさんち】の『クートンさんちのきょうのごはん』。
ゴリョウ・クートンとノリア・ソーリアが並んでブースに立っていた。
「興味をお持ちになってくださった方に、実際に食べてみた経験者として、どこが美味しかったのかお伝えするという……これはダイレクトマーケティングですの」
ちなみにこれを古い言葉で店頭販売という。
「薄い本の中には飲食物のレポートやレシピ等を扱ったものがあると聞いてやってきました!」
くださーいといって飛びついていくエリス。
「幻想には面白い文化があるよねー。海洋から出てきたばっかりだから、街角で初めて聞いた時はびっくりしちゃったなぁ」
同じようにふらりと立ち寄ったMeer=See=Februarが、ゴリョウたちのレシピ本をしげしげを手に取った。
シュラ・シルバーもまたレシピ本を開いてうんうんと頷いているのだが……。
「ところで…ずーっとなんか、ちらちら見られている気がするんですけど、気の所為、ですかね…?」
何でだろうね? あ、一冊くださいその170センチ。
「いらっしゃいませ、ご令嬢様、ご令息様。
御所望の本はこちらでしょうか?
ご意見ご要望等何かありましたらば、何なりとお申し付け下さいませ」
こちらは【スターライト】の同人誌『美味しい紅茶の淹れ方』『紅茶によく合うお茶請けレシピ』。
執事服で出迎えるリゲル=アークライトと、ヴィクトリアンメイド服のポテト=アークライトの夫妻である。
「お菓子や紅茶に興味がおありですか?
でしたら当サークルの執事お勧めの紅茶や、美味しい紅茶の淹れ方はとても為になりますよ」
その隣では雪村 沙月がサークル【華月】で『お茶のすゝめ』を出品。
「こちらは茶道での作法を初心者向けにわかりやすくしたものとなっております。
簡単にまとめると席への着き方、お菓子の頂き方、お茶の頂き方……それと抹茶に合うオススメのお菓子とかも、でしょうか」
みんなご存じの通り同人誌とは好きを形にしたもの。エロスが目立つとはいえ、奥はもっと深い世界なのだ。
たとえば……。
「同人誌『たい焼き観察日記』、売れないと解放されないと思うのでよろしくお願いしまーす。試食ではないでーす……たい焼きでもー……無いでーす……」
「たい焼きの香りのするベークの魚拓があれば面白いし何枚かページ作っておけば本っぽいし売れるでしょ! ね」
相変わらずベーク・シー・ドリームがタルト・ティラミーに売りもん一歩手前にされていた。
お祭りごとにはよくそろってみかける仲良しコンビである。仲良しコンビなんだよね?
そのまた隣にいくと今度は写真集やファンブックへと移り変わる。
ニーナ・ヘルヘイムのサークル【サテライト】からは『すぴかちゃん非公式ファンブック【Spica】』。
「フフフ…ここにはすぴかちゃんの魅力を沢山詰め込んでみたぞ。
特にこのライブでの決め台詞を呼びかけるすぴかちゃんの笑顔の写真なんて…最高だろ」
そのまた隣ではナハトラーベのサークル【シュワルツシルト】。
「―――――」
出品したのは『エンバーミングオブ世界』という同人誌。葬儀屋らしく、葬送に焦点を当てた逸品だ。
そんな中で特に魂を燃やしているのがマグダレーナ・ティーメ。
サークル【†Kaleidream†】からの新刊『エーデルワイスは微笑まない』が鬼みてえに夢女子たちに売れまくり、蒼剣×女主人公の『午前2時の蒼剣教導』、ソルベ×女主人公の『海の傍で、君は笑う』も鬼売れし、参加者たちからは「うわあ、いき、いきてるぅ」とか言われていた。軽い神扱いである。
もちろん自分自身をそのままネタにする庚のような出品者もいる。
サークル【混沌キツネ村】の写真集がそうだ。
「カノエは可愛いですね? そんな可愛いカノエの可愛い写真集にございます」
隣では【猫福亭】から陰陽丸写真集。かかげるはハンナ・シャロン。
『みゃー、みゃーぅ(同人誌いかがですかー、同人誌ありまーす)』
「こちら当宿の名物猫、陰陽丸様の日常を漫画にしたものを纏めて本にしたものになります!
春のぽかぽか陽気に陰陽丸様が気持ちよさそうに昼寝している見開きや、
夏に蚊を退治しようとして逃げられたのを毛づくろいで誤魔化す場面。
秋に川で鮭を獲っている姿、冬になって近所の猫達が暖を求めて集結し巨大な毛玉となった話などが自慢です!」
一緒のブースで売り出しているのが日車・迅の『ホウロウノート』。故国にいた頃にスケッチしていたものを描き直してまとめた物だ。
「おぉ、盛況ですね!こういった催しは初めてですが皆さん楽しそうに目を輝かせて本を買い求めています。
情熱を注げる対象があるのは良い事でしょう。まあ、ちょっと、凄い方向へ向かっている人もいますが……」
ちらりと見ると、スティア・エイル・ヴァークライトのサークル【ブローディア】から『聖教国の名所 スティアセレクション!』が出品されていた。
「天義で私が気に入ってる場所の紹介とか、オススメのお店とかを紹介してる感じの本になってるよ。
どんな季節にいくのが良いとかそういうのも書いてあるから参考にして観光とかして貰えたら嬉しいな」
そのまたさきのサークル【夜空の猫集会】ではヨゾラ・エアツェール・ヴァッペンが同人誌『ネコは食べない。愛でるもの。』を出品。
「いらっしゃいませー、猫な同人誌だよー!
ふわふわもふもふで可愛い猫達が沢山描かれた一冊だよー!」
好きなものはよきもの。よきものを広めるは、好ましきもの。
●欲望を解き放て
一方こちらはみんなだいすき【イーゼラー教】。
「清らかな御魂をイーゼラー様に帰す、それを愚民達に伝える事が大事…!
この私ブリジットちゃん直々にたくさんの経典を配って布教活動に専念致しますわ!」
ブリジット・ウガラティアが布教もとい配布しているのはもちろん経典である。
同じなが机について経典を振りかざすネメアー・レグルス。
「我々、イーゼラー教は清らかな御魂をイーゼラー様に帰すの目的としているのだ!
この素晴らしい教えを今なら500Gで見れるのだ!
しかも今なら我が書いた効率のいい筋肉の鍛え方を記した「筋肉のススメ」と「ブリジットちゃんに踏まれ隊」に入れる特典付きなのだ!」
そんな濃い人たちの隣でこれまた濃い配布をしているのが、ジェーン・ドゥ・サーティン。
「ハァーイ!ジェーンちゃんの同人誌買ってほしいな~☆…今ならサービスしちゃうゾ♪」
【ももいろうさぎは××中】【ももいろうさぎは××中AV(あにまるびでお)版】を並べてコートの下をチラッチラしていた。
「えー!シャドプロのアイドル、ジェーン・ドゥ・サーティーンの同人誌とAVはいかがっスか! AVといってもあにま――サービスってなんスか!?」
そんな先輩アイドル(?)にぶん回されているミリヤム・ドリーミング。
「お、こう言うのもアリだな……創作欲が沸くぜ。
これも、これも参考に……」
こんなひとらが猛威を振るっているので、スティーブン・スロウの感性に斜め上からざくざくささっていくらしい。
「麻衣の恥ずかしい本っすよー!新刊もあるっすー!乳辱の麻衣、新刊っすよー!」
ふと見ると、謎の圧で同人誌を見せつけてくる中野 麻衣がいた。
「あ……ちょっと麻衣ムネがおっきくなったっすよ。それで胸いじめられる本に」
「エロいやつじゃん!」
いわしじゃないじゃん! といってむりーってなるアンジュ・サルディーネ。
「いわしのやつ! いわしがドババーン! してずしゃー! ってやるやつ。読みたくない? アンジュは読みたい」
「ならこれがお勧めだわさ」
サークル【とわりぼん】のリルカ・レイペカ・トワがそっと本を差し出してきた。
『チャロロくんと遊ぼう!』である。
「ある貴族から「遊び相手になってほしい」と直々に指名されたチャロロ。ショタコン貴族にとことんイケナイ遊びを教えこまれて…」
「エロいやつじゃん!!!!」
「すごいブースに迷い込んでしまったわね」
サークル【ペトラで会いましょう】のイーリン・ジョーンズ。
配布本は『ブッチャー紫髪の、この肉が熱い』。そうつまりは焼き肉グルメ本。
「それにしても、弟子二人とこうして文化的な活動をする日が来るなんて。人生ってわからないものだわ。二人の本は……」
リアナル・マギサ・メーヴィンが掲げるどすけべ同人誌『Love my tenderness』。
「まぁ、なんか儂が作りました感あるけど儂この本とは無関係じゃからな?別人じゃからな?」
かたやココロ=Bliss=Solitudeのどすけべぽい同人誌『かいあわせ』。
「同じ弟子のリアナルと仲良くしたいと思ったわたしが、古来から女性がたしなむ”貝合わせ”という遊びを提案して楽しく遊ぶ内容です!」
「ちょっとまって私だけ浮いてない!?」
その隣のブースにスッと入ってくる那須 与一。
「今日は頑張って書き溜めた先輩(イーリン)の(健全な)イラスト集を売るでござるよー」
「与一!?」
『ゲオルグさんのにゃんたま日和』。
ゲオルグ=レオンハートのサークル【もふもふ本舗】から配布される同人誌である。
すげーほっこりする本だが、その横に委託販売としてアクリルスタンドで立っているのがハイ
『薔薇の褥で眠らせて』ゲオルグ総攻め本
『君の傷跡にくちづけて』ゲオルグ総受け本
TOP申請、まってるぜ!
「なぜ自分で自分の同人誌を……」
そんなブースに集まってくるのがピエリス・アンドロメダたちである。
「私はジャンル問わず何でも嗜むのです…まあ、少々耽美系やメイド物が好きですが、最も重視するのは「こういう物語を書きたい」という渇望…それらの集大成である「作品」であり、「魂」なのです。というわけで買います」
「ふざけるなよ…こんな理不尽が、そんな道理が有ってたまるかぁぁぁぁ!!!」
普通に買っていく横で、白目剥いたまま発狂する男、プラック・クラケーン。問題、この台詞はいついうつもりだったものでしょうか。
1、反転チャンス!
2、パパが巨大化して帰ってきた。
3、自分のBL同人誌をみつけた。
「俺に似たキャラが出る本もなんだか…すごっ…えっ、わっ、うわー…そんな事まで?ひえっ……」
一方でこちらはプリーモの【背徳の賛歌】。美少女(?)シスターが描かれた同人誌『懺悔室』。
「神父のいない教会で神に祈りを捧げ続ける純朴なシスターは実は男だったのです!
肉体はは男であるがその心の有様はまさに聖母!
夜な夜な懺悔室で村人の罪の告白を聞き入れながらその身体でもって赦しを与えるシスターの姿がそこに!」
その横で、高槻 夕子のサークル【やみいちおちしたまつろ】が『乙女のぱんつは5000GOLD ~入手ルートは謎です』をふっつーに売っていた。
この島に突然の度直球JKモノである。
そうJKが闇市にパンツを売ってお金稼ごうとするが……的な……!
そんな島のから通路を挟んで向こう側。百合レズ混合エリアにサークル【ゆりかもね】はあった。アリスとゼファーのブースである。
新刊【クチビルから伝わる微熱】(表紙PPフィルムグロス加工、遊び紙差込み、中綴じ印刷、B5サイズ24頁、無配ペーパー限定頒布)の配布があるということでレズ大好きっこたちが列をなしていた。
「……ゼファーのえっち。
……嗚呼、でも、そうね。キスマーク、付けるの、好きよね」
「ちょっとアリス、中身を読んだ感想はいいから!
そしてさらっととんでもないことオープンにするんじゃあないわ。
……一冊500Gでぇす」
自分の同人誌を売られて虫の息のゼファーであった。
●鴨鍋には鴨が入ってるんだから闇鍋には闇が入ってるに決まってんだろ
全年齢ノマカプBLGLグルメ本に旅行本。この何でもアリさこそが同人誌である。
ということで、よりなんでもありになりすぎた業の極みみたいな猛者たちのエリアをみてみよう。
イカれたブラザーを紹介するぜ。
武器商人、【ナイチンゲール】。
タイトルは『無を取得【POW18禁】』。
無は特定の手順に則った儀式を取り行うことによって取得できる◯である、という書き出しから始まる正気度喪失文書である。
おいおい本を閉じるにゃまだ早いぜ。ここはまだ門前だ。
アト・サイン【産卵同好会】。
ユリーカ産卵本『Dear my egg』。年齢以前に性癖で制限がかかるこのえげつない本で……。
「アルテナ、君にしか頼めないことなんだ。このユリーカの産卵本を、売ってくれ。成年に達した君ならば出来る」
「あの、え。これ、え?
あの!
え、これを売ればいいの?
あの……うん、やってみる…………」
アルテナ・フォルテが売り子をさせられていた。
ズアアっていう効果音とともに駆けつけるタツミ・ロック・ストレージ。
「スケブやってますか?
できたらここにアルテナさん描いてほしいんですけど、いや個人的にファンなんですよ、あの人の心がなさそうな普通感がよくてですね」
「産卵してもいい?」
「スケブありがとうございます産卵はいらないです」
できるだけアルテナだけを見る。
左側を見てはいかん。そこは深淵だぞ。
「趣味で見てきた色々な種族の死体の解剖記録を資料として分かりやすく纏めて私の感想を書いたものです♪ 同じ趣味の人来てくれると嬉しいですね…」
物部・ねねこ【死体愛好会】が正気度ゼロの目ぇして『良く分かる解体新書』を掲げていた。
学術書! 学術書だから! そういうあの、あれじゃないから!
とか思っていたら。
「『邪を砕き愛を高める正義の極光!魔法少女インフィニティハート、ここに見参!』」
無限乃 愛が【魔砲印刷】の旗を掲げて複数のブースの裏でポーズをとっていた。彼女はいつでもぶれない。
彼女の前にはまっピンクで印刷された同人誌たちとそれを見下ろして顔色青紫にしてる人たちがいた。
「皆さんの印刷代を浮かせるため、私が印刷を担いました」
彼女はいつでもぶれない。
大抵のひとは同人誌まっピンクにされたらげっそりするが、あのひとは……あの美少女は違う。
サークル【美少女道場】の咲花・百合子だ!
「見よ、『白百合の書・清楚編』!
白百合清楚殺戮拳の奥義書として基本の乙女受け身から、鉄法、織炎足等の基本の構えから吾の代で編み出した咲花の構えまでを少女漫画タッチで完全解説である!
ウィンクして瞳の星を射出して攻撃する方法とか便利な小技もあるのである!」
「きゃー!百合子さーん!!本物だーー!!
私メッチャファンなんです!百合子さん!ほんとに美少女だーー!きゃーー!!」
かいます! といってフライングクロスチョップ姿勢で飛び込んでくるウィズィ ニャ ラァム。
流れるように握手までもっていく百合子。
その横で、ヴォルペが自分の頭が踏まれてる同人誌を売っていた。
「何故おにーさんはここにいるんだろう。
何故おにーさんは自身の同人誌を売っているんだろう。
何故おにーさんは製作から何からやらされたんだろう。
一冊でも売るまで帰宅するなとかホント、もう、ドS……愛してる……。
……イラッシャイマセー」
「ふ、みなさんまだまだですね」
ヨハナ・ゲールマン・ハラタが掲げる同人誌は『闇市痴姦(やみいちかん)』。
「みんなの共通の友達っていったらやっぱり装備に闇市!
5000Gで11人もの個をとっかえひっかえしたり、気に入った子にデザイアを挿し込むもヒギイそんなレアリティ入らないようげへへだったら俺好みに拡張してやるぜと知らない武器と合――」
「『せららこみっく』だよー、キミが同人誌になるのだー!」
なにかを塗りつぶすようにライブ漫画を書いていくセララ。
余談だが同人誌を書いている彼女もまた同人誌にされていることを、本人はしらない。
●人形汎用同人兵器山田
本イベント最大級の規模を誇るサークル【ゆきりんご】。
「別にホモ百合なんでもOKっす。地雷はないんで! なんでも受け入れる覚悟!」
ブースの中央に陣取り流れる列をさばいていくのはそう我らが同人戦士山田・雪風。
彼をサポートするべく売り子となった上谷・零は、誰かが入れた産卵本をそっとよこに避けた。
(実の所、俺このアニメ見たことないんだよなぁ…うちにTVないってのも有るけど
…ただなんだろう、懐かしさを感じる…元の世界にも似たような奴があったような…)
「えーと、あたしはこのプリ★プリ本を売るんだね!
あたしこれ知ってるよ、闇市で出たから見たんだー。
14話で動物園のゴリラが暴走した後の戦いすごいよね!」
一方無邪気な笑顔で同人誌を売ってくれるフラン・ヴィラネル。
期待(?)に応えてイエローのコスプレをしての売り子である。
「いっぱい売るためには、まずは先輩の本のよさを知らなきゃだもんね……。
よし、先輩の前で音読するね!」
「やめて!?」
「ゴールドを出しやすいようにあらかじめ整理。ルート確認……よし。新刊三冊ください。応援してま…………あ」
アルメリア・イーグルトンとフラン(音読中)の目があった。
「『わたし、気づいちゃったの。この胸のうずき、ほんとは……』」
「「やめて!?」」
一方。
「こういうのは初めてだからドキドキしマスぅ♪アリスの可愛い洋服と乙女心ならぬ同人心? で売って行きマスよぉ」
村昌 美弥妃が色気のある声で「本はいかがデスぅ?」と呼びかけながら列整理をしていた。
「そういえば、あの『スタッフさん』たちはどこへいったんでしょうねぇ? ええと名前は……」
みこみこマフラー武者娘フォームで列整理パネルを掲げる茶屋ヶ坂 戦神 秋奈。
「ふっふっふ、テレジア派なんかに負けたりしねーのですキリッ。
ついでに徘徊してそうなナイチチにも負けねーのですキリッ」
「そうそうテレジア派」
●『テレジア派』っていうタイトルだけでもうどうかしちゃってる
「ねぇ、もっと……ね?」
スカートを捲ってガーターベルトをチラ見せして『ここにお布施ちょうだい』ってする酒瓶片手のエロいお姉さんがいた。ちがうのそういうプロのひとじゃないの。アーリア・スピリッツなの。眼鏡とスーツとガーターベルトでお布施(参加料に上乗せされるなぞの料金)を徴収して回っていた。
ちなみに料金を払うと……。
「オウ、そこのニイちゃん。待ちな。
今ならこの本、一冊たったの1000Gだぜ。実用性たっぷりの一冊だ。一生使えるぜ。むしろ5000Gくらいの価値はあると思うね。
もちろん買うよな? 買え」
グドルフ・ボイデルが親切に(親切に!)販売している即売会カタログブックが買えるんだぞ☆
「私がここに来た理由、分かっていますわね?そう、ショバ代のお話をしに来ましたの。
げっへっへ、悪い奴らから守って差し上げるって言っていますのよ。
少しの対価で安全が保証される、悪い話ではないでしょう?」
あくどいハムスターの顔をするヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ。
そう、彼女たちこそ同人誌即売会にかこつけて高額の利益をちょろまかそうとしているテレジア一派なのである!
会議と称して大量のカタログを売りつけようと語り合う二人のあくどい顔が目に浮かぶようだ!
↓ここに挿絵をはさもうね↓
↑ ここだよ ↑
「いやぁ、マネーの匂いがしますねェ…こりゃ、テレジア派に付くのが一番儲かりそうです♪」
当然マネー大好きっ子たちが群がり、一大派閥を形成していた。
ロべリア・ハンニバルもその一人。「彼女らの同人誌は価値が高騰するでしょう…転売すれば儲けが出ますよ?」と情報を流して商人にカタログを大量に購入させる手際のよさである。
「クハハハハ!成程、顔はハムスターのようだが、中々理には適っている」
リュグナーはニヤリと笑ってルールから大幅に外れたあのなんていうか普通は売っちゃダメなやつをそこら編のガチ勢(チェックシャツに登山リュックのひとたち)へ売りつけていた。
「これは、とある19歳の少女のモノだ。今しがた貴様らが持っている本、その中に登場するモノのリアル感が……欲しくは無いか?」
が、中には裏切りの裏切りをはかる者も。
舞音・どらは『退出時にカタログ見せればカタログ代返金!』の張り紙をあちこちに貼り付けて回っていた。
金を守ることにかけてはIQの高いシスター・テレジアと裏工作大好きな舞音・どらの見えない戦いが繰り広げられている。
その一方ではユゥリアリア=アミザラッド=メリルナートは自主的に帳簿をつけて金の流れをチェックしていた。
「ショバ代だのカタログ代などで色々と収入…げふんげふん寄付があるようですので、
二重搾取・過剰徴収が無いように監視しつつ、必要であれば精算時に還付をー。
このちょっぴり私的にプールしてるように見えるのは…寄付するんですわよね?ね?ね?」
さあテレジア派は即売会に乗じてぼろもうけできるのかできないのかどっちなーんだい!?
●できない!!
「うーん…ドージンシ?っていうのはよくわからないけどとにかくこのうすい本達はすっごい価値があるものなんだね?
それでここを襲撃する人が居るかもだから私が呼ばれたと…えへへ、いいよー!報酬も前払いでもらったしね」
支給(?)されたお酒をぐびぐび飲みつつ、ビーナス・プロテウスは会場門前を守っていた。
「…まあ、俺もこの同人誌って奴の価値をよくわかってねェがなくなったら困る奴等が沢山いるっていうのはわかった!
なら俺がやる事は一つ! …彼らの想いを守るだけだ!」
そう、襟盾・護のいうように目的は会場警備。ものっすげー堂々とテロ予告をしたリーゼロッテ・アーベントロート及び超法規的非合法暗殺部隊第十三騎士団を率いてやってくるっつーからである。なあにその焚書専門イスカリオテみたいな集団。
「ん~~~、素晴らしいであ~る。吾輩も誰かの手に渡り読まれる必要あるのであ~るな。
特にグラマーな魔法使いの美女がよいであ~るなあのテロ予告をしたちんちくりんはノーサンキューであ――」
グリモー・アールと一緒にボッてその場が吹き飛んだ。警備員も休憩中の参加者もなんなら門とその土台も吹っ飛んでいった。
「ああ、こっちの本は箔押しに押し出し!こっちは定番のクリアPP。ああっ!これはグロスに、厚盛りニスで液体を表現しさらに特色インキまで!お金がかかっているんです!こちらの本は黒い特殊紙に白インキでお洒――襲撃!? た、例え無力であっても、ま、守り抜いて見せま」
す、って言う前に三角頭巾の集団にボッてされるヴィクトール=エルステッド=アラステア。
「即売会死すべし。慈悲は無い。
身共は幻想最強の武力。鎧袖一触、邪魔者等敵ではありません!」
そう、いわずもがな。リーゼロッテ・アーベントロートの襲撃である。
だがなぜだろう、会場に入ったはいいが騎士団員たちは急におなか痛くなったり親が危篤になったり死んだはずのおばあちゃんがまた死んだりしはじめた。
柱の裏からあくどいハムスター顔を出すテレジア。
「薔薇十字機関にリーゼロッテ島直通のパスを配布する見返りとして、他には手を出さないよう依頼したのですわ」
「馬鹿な。第十三騎士団は王国の精鋭、私の刃。他でもない私の同人誌なんかで……え?」
騎士団の皆さんがサングラスとアフロカツラで変装しておぜう本を買いあさっていた。
「…ま、まぁこれも立派な文化
焚書で亡くすのもね?
作者の無念もあるし? ……お嬢様にバレる前に買い集めなければ!
こればかりはお嬢様と言えども譲るわけには参りません
お気持ちはわかりますが何卒ご容赦を! 何卒ご容赦を!!」
善と悪を敷く天鍵の女王ことレジーナさんが自分にいいわけしながらおぜう本の紙袋を両手に抱えて走っていった。
「えええ……!?」
「リーゼロッテの同人誌、ヴァンパイアの誇りにかけて、なんとしても確保しないとね」
おぜう抱き枕をロケランみたいに抱えて会場からダッシュで逃げるシャルロット・D・アヴァローナ。
「えええええ……!?」
おぜう騎士団はおぜうに忠誠を誓ういわばおぜうファン。おぜう同人誌がメタで刺さるのだ。はいいま適当なこといいましたよ。
だが中には忠実に即売会を焼こうとしている者たちもいた。
「薔薇十字警察なのじゃー。
悪いやつらをやっつけるのじゃー。
慈悲深い妾は代わりに妾の同人誌(デイジーちゃんが負けない同人誌)を販売する権利をあげるのじゃ」
どうじゃーっていいながら拘束した神絵師の頬に同人誌をつきつけるデイジー・リトルリトル・クラーク。
「リーゼロッテが可愛いのはわかるけど、本人の了承無くそういうの勝手に描いて売るのは良くないと思う」
一方で抵抗する勢力をぼすぼす鎮圧していくティア・マヤ・ラグレン。
そんな彼らの目の前で、キャンプファイヤーに本を投げ込んでいくガーベラ・キルロード。
「オーホッホッホ!リーゼロッテ様が襲撃するというならアーベントロート派キルロード家の一員として襲撃にお供いたしますわ!リーゼロッテ様のHな同人誌は全部廃棄処分ですわ!(でも山田様は健全なのでセーフですわ!)」
(あー…うちのガーベラお嬢はリーゼロッテ様の為とか実にご立派な事で参加してるっスが……)
シュバッて現れたマナ・板野・ナイチチガールが、まな板二刀流でそこらの人らに襲いかかった。
「なーにがおっぱいだ!デカけりゃいいってもんでもねェだろうが!それを求める野郎共もとんだ節穴共だぜ!(リリファさんは同志なのでセーフだぜ!)」
知らないところで許されている山田とリリファ。
かと思えば、割と私情で本を焼く者たちもいた。
「『クローネさんの路地裏事情』……。
人の名前勝手に使って、それでこんなものまで作って…。
…心の臓抉られる覚悟は出来ているんですかねぇ…?」
えちえちな同人誌を火にかけるクローネ・グラウヴォルケ。
「…後、路地裏で露出とかしてませんからね!本当に!」
「貴方達にわかりますか!公式からなぜか薄い本が出版されたら三時間で出版停止になってなぜかプレミアがついて!コミケでおっぱいマウスパッドを売り出され!その次の三日目でも新作がでて!ギルドショップでは秘密裏にフィギュアが出て、しかも他の人のギルドからも私のアイテムが出てきて!つい最近には別人という体で合同本が出てしまって!アリアケクイーンというわからないけど多分アレな方向の異名をつけられた私の気持ちがわかりますか!」
「やばいシフォリィ・シリア・アルテロンドだ! 新田さんを狙ってるぞ!」
「同人誌が即発禁になったシフォリィ・シリア・アルテロンドだ!」
「絶許!」
おそいかかるひめきし。
会場は同人誌をもとめた争奪戦から同人誌を守るための防衛戦へとシフト。
そんな状況をかいくぐって、ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズはアルテミシアンアンを手に取った。
「欲しいものか。そうだね、色々あるけど……アルテミア・フィルティスのグッズの全てかな。
彼女は良いよね。戦場では凛々しいけど中身は気さくでお茶目なお姉さんとても素敵だと思う。すごく良いよね」
「私の名はアルテミア・フィルティス!その同人誌とフィギュアを即刻販売中止しなさい!」
「あっバレた」
「健全版の裏でこんな本を流通させて!生徒の少年をお、襲っちゃうだなんて、私が酷くえっちな人みたいじゃない!それに私はフィギュアみたいなくっころじゃないわよ!」
「あれはアルテミア・フィルティス!」
「くっころイラストがマニュアルにのったアルテミア・フィルティスだ!」
「絶許!」
おそいかかるひめきし。第二弾。
対抗するはテレジア派のお金大好きっこたち。
七割飲んだくれ三割工作員という偏ったメンツによる反撃が行われたが……。
「おいたはそこまでだ守銭奴! 同人パワーよ弾丸に宿れ、本気度の違いを見せてやる!!」
ひめきしを守るべくガスマスクイレギュラーズが現れた。
「あれはクロバ=ザ=ホロウメア!」
「ひめきしのエロゲや同人誌を販売したクロバ=ザ=ホロウメア!」
「絶許!」
おそいかかるプロデューサーの卵。
「『ナースなErstineさんによしよししてもらう本』??
よしよしするだけでなんであーるじゅーはちが付いてるのかしらね??
しかも…しかもよ?何故かあの方に知られていたの、何故なのかしら…?!
不要な本は根絶やし…じゃなくて回収してしまいましょ!」
なんかかえって楽しそうなひとたちをよそに、Erstine・Winsteinが同人誌をキャンプファイヤーにダンクシュート。
「誰だ?こんな本作りやがった奴はァ!!!!!! 販売元を探し出してやらァ!!!!」
同じくカイト・シャルラハのダンクシュート。『カイトくんTS産卵本』は炎に消えた。まだいたのか、産卵勢……!
炎に包まれる同人誌会場。
『わたくしの金! わたくしの金!』て言いながら袋を抱えて逃げ出そうとするテレジア。
崩れゆく景色に、山田はがくりと膝をついた。
「そんな……俺たちの即売会が……こんな形で終わってしまうなんて……」
「まだです、まだ終わっていません!」
ネクタイをほどいて立ち上がる新田 寛治。
「えろい絵をつくる人!」
「僕たちの夢、壊させたりしないよ」
段ボールをかついで目を光らせるアト。
「産卵勢!」
「好きなものを好きと呼ぶ。その力を舐めちゃあいけねえ」
お鍋とお玉を手に立ち上がるゴリョウ。
「ぶたさん!」
「ケケケ、ここで灰になっちまうより、長く続いたほうが金になるんでなぁ」
リュックサックをかつぎあげるキドー。
「転売ゴブリン!」
「まだまだサービスしたりないから、ねん♪」
太ももを見せつける輪廻。
「えろいひと!」
「せっかくできた推し。失ってなるものですか!」
ナイフを振りかざすウィズィニャラァム。
「レズ・シックスパック!」
それだけではない。数々の同人作家や同人スキーが立ち上がり、皆一様に手をかざす。
さあ画面の前のみんなも同人誌を掲げて山田を応援しよう!
「力がみなぎる! 即売会は俺が……俺たち護る―――!!!」
ファーッていう神秘的な効果音とともに謎の翼をはやした山田が光とともに飛び上がり、即売会の会場を隅々まで照らした。
花はさき鳥はうたい空には虹がかかり、同人誌はもっかい印刷されテレジアは『ばかなー!』ていいながら光になった。
そう、これは同人……『好き』を形にした空間。
本が、会場が、人々が、己の『好き』で生み出したリアルな奇跡。
人々は同人誌を手に入れ、まじよかったマジで神と言いながら帰路につく。
「――これにて、同人誌即売会pants party projectを終了いたします!」
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
これにて、同人誌即売会pants party projectを終了いたします!
GMコメント
Hallo world! 同人誌アイテムアイコンに魅了され『どうしよう……私も作りたくなっちゃってる……ち、ちがうちがう! あんなやつのことなんて……でも……』てなってるソウルメイトたちよ!
君の脳をふにゃっふにゃにして参加できる同人誌即売会を用意したぜ!!
■同人パワーをためてテレジアを殴れ
第二次ローレットオンリーイベント、同人誌即売会『パンツパンティープロジェクト』が開催されたぜ! 売り手はローレットのみ! 同人誌ネタもローレットのみだ!
大量のローレットマニアたちが会場に押し寄せるぞ!
だがドン・テレジアが即売会の利益を独占しようとしている。
倒す方法は一つだ。君の同人パワーをためにためてテレジアに叩きつけるんだ。
ほかに方法なんかねえ。即売会ってのはそういう場所(デュエルフィールド)なんだよ!
■同人パワーってなんだよ!
以下のことをプレイングに書くだけで、君の同人パワーがたまるぞ!
●売る側
・きみの出店するサークル名
・きみか友達を題材にした同人誌のタイトル
・同人誌の中身をちょこっとだけ教えて!
●買う側
・自分がほしがっている同人誌の種類。せいへき。
どうだ!? ここらへん(ハート)に同人パワーがたまってきただろう?
みんなの同人パワーが高まればテレジアが『ばかなー!』て言って爆発四散するはずだ。即売会ってのはそういう場所(デュエルフィールド)なんだよ!
■プレイングの書式
ここは過酷な場所(デュエルフィールド)だ。以下の書式をちゃんと守ってプレイングを書いてくれ。
さもなくば……最悪(ハート的に)重要もありうるぜ! ついてきなァ!
・一行目:【売り手】【買い手】のどちらかを書く
・二行目:売り手の場合は【サークル名】、買い手の場合は空白行(もし一緒に買いに走りたい仲間がいるなら【グループ名】を書いてくれ!)
・三行目:同人パワーをためるプレイング
仲間と一緒に参加するのにIDやフルネームはいらない。ちゃんと【タグ】だけで探してみせるから安心してくれ!
さあ行こうぜ、夢の向こう側へ!
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