PandoraPartyProject

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紡ぎ編んだ未来

 アンテローゼ大聖堂――

 妖精郷アルヴィオンから大迷宮ヘイムダリオンを通じ、辿り着いたその場所は寒々しい氷の気配をさせていた。
 ヘイムダリオンより外、深緑の地で戦うイレギュラーズにとって『茨咎の呪い』と呼ばれたタイムリミットが存在する作戦決行となったが此度は成功と呼べるだろう。
「身体が重いのなんのって……」
 嘆息する『光鱗の姫』イリス・アトラクトス(p3p000883)『常夜の王子』ゲーラスと呼ばれた異形なる存在との戦いを終えた所であった。
「その様に影響があるとこれからの活動も阻害されてしまいそうですね。
 大迷宮ヘイムダリオン内には呪いの影響が及んでいないのは、あの地は対象の外だという事でしょうか」
 妖精郷も然り、と呟いた『紫香に包まれて』ボディ・ダクレ(p3p008384)現実とは乖離したシチュエーションに化した迷宮を越えてきたそうだ。
「迷宮の内部に魔種の幻影を見ました。それに、『大樹の嘆き』も……。
 あれが本当の事であれば僕たちは急がねばなりませんね。それを害するのが――」
「こちらも奇妙な存在を相手にしましたが。しかし……害するのは呪いそのもの。厄介極まりない」
『L'Oiseau bleu』散々・未散(p3p008200)の言葉の続きを発するのは『黒のミスティリオン』アリシス・シーアルジア(p3p000397)である。
「解呪もそうですが……それから出現した『オルド種』と呼ばれた存在も気がかりです。
 大樹の嘆きとは森の防衛機構であった筈が、出現した存在を見ると全て此方と敵対する行動を取っています」
『夜咲紡ぎ』リンディス=クァドラータ(p3p007979)に「奇妙だなあ」と『ゴミ山の英雄』サンディ・カルタ(p3p000438)は呻いた。
「こっちも『オルド種』の相手をしたけど、アレは何かに反転させられてるような……魔種の影響をバリバリに受けてますって感じだったな」
「寧ろ、魔種の影響を受けて強化された存在をオルド種と呼ぶべきなのだろうね。
 だが……君が相手にした『フロース』は深緑を根城にする『眠りの根源』とは別の何かの横槍を受けている気さえする」
 アンテローゼ大聖堂の中を勝手知ったる様子で歩き回っていたイルス・フォン・リエーネは嘆息する。
『茨咎の呪い』も、深緑内を包み込んでいる茨そのものも怠惰の魔種によるものであろうとイルスは推測していた。
 例えば、だ。
 この地に蔓延る茨は植物ではないことは証明されている。それらはファルカウの防衛機構である大樹の嘆きとも別の『何らかの魔法道具』によるものだろうと推測されていた。
「オリオン――あ、『冬の王』を封じていた魔法道具が深緑を包む茨だって推測してましたよね。
 むーんんん……『Bちゃん』や他の魔種単体が使えるものではないとなると冠位魔種のものじゃないかって推論がありましたが……」
『離れぬ意思』夢見 ルル家(p3p000016)にイルスは「その通り」と頷いた。
「それも、一人ではないと見ている。……それがフロースの横槍をした奴なのか、それとも別なのかは判断は付かないけれどね。
 けれど、朗報もある訳で。ここは深緑、それもファルカウ内部の『アンテローゼ大聖堂内』だ。けれど、我々は自由に動けているね」
「あ! そういえば」
司書殿』がゴラぐるみを『オリオン』に渡し、吸っていたことを確認して喜ばれた場面を確認して、妙な安堵を覚えていたルル家は失念していたと周囲を見回した。
 この地に集まったイレギュラーズは誰もが肉体的な不安を感じてはいない。
 身体が重くなることもなければ、倦怠感や眠気に苛まれることもない。アンテローゼ大聖堂は安全地帯なのだろうか。
「さ、私の出番ね。アンテローゼ大聖堂の司教ヘクセンハウスさんです。
 この聖堂の地下には庭園があるの。そこに咲いているのがファルカウにも深い繋がりがある霊樹『灰の霊樹(アンテ・テンプルム)』よ。
 シャムス・アマギさんが霊樹『アキレアス』で少しばかり身を守れていたように、どうやら霊樹によって僅かながらの加護を得ることが出来るみたい。……ただ、ファルカウは『呪いの媒介』になっているみたいだけれどね。だから、周辺の霊樹は呪いの余波を受け余り効力を発揮していなかった。
 けれど、聖堂地下に位置していた『灰の霊樹』は難を逃れることが出来た様子だわ」
『灰薔薇の司教』フランツェル・ロア・ヘクセンハウス(p3n000115)は肩を竦める。
 彼女の話を纏めればこうだ。
 アンテローゼ大聖堂は地下に『灰の霊樹』と呼ばれるファルカウに深い繋がりを持つ霊樹が存在している。
 地下に存在したが故にファルカウそのものを利用して、広がった呪いの難を逃れたのだろう。
 それは『茨咎の呪い』を僅かに緩和することが出来るらしい――が、全てをキャンセルすることは出来ない。一先ずは『灰の霊樹』の加護が強いアンテローゼ大聖堂内は呪いの影響を受けていないのだろう、と。
「それから、シャムスさんで試してしまって申し訳ないけれど……、あとでアカツキさんに叱られるかしら。
『灰の霊樹』にアンテローゼの司教全員で祈りを捧げ、『聖葉』を摘み取ったの。それがあれば茨に絡まり苦しんでいる人を救出できるかも知れない。
 ただし、呪いの効果を全てはキャンセルできないから救い出したら直ぐに妖精郷かアンテローゼ大聖堂に逃げてこなくちゃならないけれどね」
 現時点で分かったのはそこまでだと言うが、現状の深緑を攻略するには大きな進歩だ。
「……一先ずは身体を休めましょう。それから、呪いを解く方法を探さなくっちゃ。
 少しの呪いの緩和じゃ、ファルカウまでの進軍は届かない。根本からどうにかしなくっちゃならないもの」
 皆、疲労の色が滲んでいる。
 今は、アンテローゼ大聖堂を拠点として利用できるようになったことを喜ぼうではないか。

 アンテローゼ大聖堂攻略(<spinning wheel>)が終了したようです――!

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