シナリオ詳細
<グラオ・クローネ2021>dolce amor!
オープニング
●『灰色の王冠』
――貴方に幸福を。灰色の王冠(グラオ・クローネ)を。
再現東京風にその日を顕わすならばSt. Valentine's day――愛を伝える日。
混沌世界では深緑に古くから伝わる御伽噺『灰色の王冠(グラオ・クローネ)』の伝承に基づいて大切な人に感謝を伝える日。
灰色の王冠を模した菓子『チョコレイト』を2/14になれば、皆、贈り合う。
ある人は大切な人へと感謝を伝えるために。
ある人は愛しい人へとその想いを伝えるために。
混沌大陸ではお馴染みとなったそのイベントもカムイグラにとってはまだまだ浸透していない。
バレンタインディに馴染みある旅人の霞帝や少数存在した『神隠しに遭った者』たちから伝えられたそのイベントは神使が来るまではローカル的なイベントであったのだろう。チョコレイト菓子なる物が存在しなかったカムイグラではかりんとうや其れに類似した和菓子を贈答し感謝を伝える日であった。
だが、此度のグラオ・クローネは違う。神使によって齎された新たな文化は彼等にとっても新たな感動を与えたことであろう。
……霞帝は久方ぶりのチョコレイトに感激し、宮中の料理番達はその調理方法を憶えることに躍起になっていたという裏話もある。
●画像はイメージです。
「グラオ・クローネね。思う存分チョコレートを食べれる日だと言う人も居るし、感謝を伝える日だと言う人も居るわ。
アンテローゼ大聖堂からすればファルカウへ祈りを捧げる日……なんてね? 人それぞれ、過ごし方も様々だと思うの」
深緑は大樹ファルカウを望む祈りの葉、アンテローゼ大聖堂の司教、『灰薔薇の司教』フランツェル・ロア・ヘクセンハウス (p3n000115)はグラオ・クローネの訪れをイレギュラーズ達へと告げた。
この日のために準備をしてきた者も居るだろう。贈物を購入する? 手作りだって良い。
女性から愛を伝える日だと一説には存在して居る。それを期待して心を躍らせ、期待に胸を躍らせた者達も居るはずだ。
ただ、混沌世界には『ホワイトデー』が存在して居ない。再現性東京にはその文化もあるが、混沌世界では男性からグラオ・クローネの日に贈物をするのは可笑しな事ではないのだ。
それでも女性からの愛の贈物に期待する者も居る。
例えば、毎年『月天』月原・亮 (p3n000006)はチョコレート貰えるかなとそわそわして、この時期が近くなると女性に優しくなる。
因みに今年は『永遠の0・ナイチチンゲール』リリファ・ローレンツ(p3n000042)が独創的で壊滅的な料理スキルを駆使してチョコレートを作ってみたいと提案したサポートに奔走していたそうだ。少しは料理できる亮と全く料理の出来ないリリファのチョコレートがどうなったのかは後で確認しましょうかとフランツェルは笑う。
「皆、今年のグラオ・クローネはどんな風に過ごすのかしら?
素敵な想い出になれば良いな、と思うわ。自宅で過ごしても良いし、カフェなどに行ってみるのも良いわね。
深緑発祥の御伽噺だから……幻想種達もグラオ・クローネを楽しみにしているのよ。普段は気恥ずかしくて伝えられない感謝を、伝えてみるのもとっても良いと思うの」
――皆にとって素敵な想い出の一日になりますように。
- <グラオ・クローネ2021>dolce amor!完了
- GM名夏あかね
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2021年03月05日 22時15分
- 参加人数90/∞人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 90 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(90人)
リプレイ
●
「今年もこの季節がやってきたねぇ」
穏やかな笑み。津々流は柔らかに息を吐く。大樹ファルカウを頂くアルティオ=エルムにはある御伽噺があった。
――グラオ・クローネ。
『灰色の王冠』を大切な人に。その御伽噺は幻想種達も大切にするものだ。チョコレートが並んだテーブルに着席した津々流の傍らで不思議そうに周囲を見回したのは白妙姫。
「ここが深緑か。たいした霊樹じゃのう。このまま育てば天蓋を割りそうじゃ。
あいにく菓子を贈るような縁なぞないが、チョコをはじめとした菓子が旨いからよいのじゃ。くふふふ」
唇に笑みを。にんまりと微笑んだ白妙姫を歓迎するように茶会の給仕は「コチラは如何でしょうか?」と微笑みを零す。
様々なチョコレート菓子が飾られたティーパーティー。大いなるファルカウへの感謝の祈りを捧げる幻想種達は誰もが皆、楽しげだ。
いよいよ明日だから。ディアナは美味しいチョコレートもとっておきの洋服も選んだのだと鏡の前で睨めっこ。
「あ」
ふと、ディアナは考える。セージと明日会う約束はしていないから。
慌てて、彼の元へと走り寄った。「あ、明日のご予定は? 明日も会える?」と飛び込んで、暢気に珈琲を啜っているセージは「明日?」と聞き返す。
はた、と思い浮かんだのはグラオクローネの当日だ。だが、彼は『其れを知らない振り』をしている。先程まで鼻歌交じりで新しい服を見詰めて鏡と睨めっこしていたのだって気付いていても知らんぷりだ。
考える仕草。それが焦らされているような気がしてディアナの唇が引き結ばれ――
「大丈夫だ、空いてるぞ」
不安げな顔が、直ぐさまに輝く笑顔に変化する。そんな表情の変化が愛おしいことはセージだけの秘密なのだ。
「じゃあ明日も一緒。約束よ?」
「ああ」
小指を絡ませて『約束』をすれば、ディアナの戸惑いが表情に滲んだ。そんな彼女が愛おしくて。
「当日はこの程度じゃ済まないから、覚悟しておけよ?」と揶揄えば、「明日、覚えてなさいよ?」と拗ねたように一つ返された。
明日は遂に、と用意を調えたアーマデル。ケーキにチョコプレートを乗せる簡単なお仕事をしているイシュミルと戦力外と言われたアーマデル。
そんな深夜作業のお供はアーマデルがトドメを刺したチョコレートケーキである。
「この色にはグリーンペーストが似合うと思ったのだけれどね……
キミはもう少し加減を覚えた方がいいのでは、相手によって全く加減できていないよね」
溜息を吐いたイシュミルにアーマデルは「装甲が、薄い……チョコプレートを載せただけで潰れるとは思わなかった」と供述した。
「何て?」
「手を伸ばしたらくっついてきて……あんたはこういうの得意じゃないと思ってたぞ……勿体ないから、あんたも食え」
ぶつぶつと繰り返すアーマデルにイシュミルは口を噤んで微笑んだ。野郎と思えば出来るイシュミルはアーマデルが苦労してきたことを知っているからこそ笑うだけなのだ。
「成る程。食べさせて欲しいのかな?」
「誰がそんなことを言って――」
そうして夜が更けていくのだ……。
●
楽しげな妖精達にもチョコレートをお裾分けするのだと張り切るポテト。嬉しそうに空をくるくると躍ったのは小さなソレイユであった。
「今日はパパとママと妖精郷にお出掛け! うれしいなあ! みんなにチョコ配るんだけど、パパとママが作ったチョコ凄く美味しいの!」
「ああ、ポテトのチョコレートは世界一だ」
リゲルの手元をちら、と見遣れば彼は妖精の形を思わせるチョコレートを手にしている。家族として暮らすソレイユは緊張しながらも仲間である妖精達にチョコレートを配り続ける。
「ママのチョコは?」
「ああ、私のは妖精たちも食べやすいように小さな花びら型のチョコだ。味もホワイトと苺で可愛くしてみた。
ほら、リゲルの妖精型チョコに合わせると可愛くなる。ソレイユも食べて良いぞ? ……でも、帰ったら他のお菓子もあるから程々にな?」
「ああ、ポテトと合わせれば可愛いだろう。ホワイトとミルクとビター。好きな色を組み合わせてくれ」
手渡せば嬉しいと微笑む妖精達に、彼女たちには笑顔が似合うとリゲルとポテトは微笑み合う。チョコレート一つ、それだけでもここまで心を躍らせてくれるのならば幸せだ。
「さ、ポテト。グラオクローネの限定メニューを食べに行くんだろう?」
「ああ、有難う! 折角だし、違うもの頼んで交換しないか? ソレイユは私とリゲルのを分けるから、私の分好きなの選んで良いぞ?」
にんまりと微笑んだポテトの手をぎゅうと握ったソレイユはリゲルの手をそっと握る。
皆で一緒でしあわせで。パパとママと、何を食べようかなとソレイユは微笑んだ。
手を引いて、ゆっくり過ごせる場所を探すようにリュグナーは進む。妖精郷は以前来たことあるとソフィラは手を引かれながら鼻先を擽る花の香りに小さく笑みを零した。
「花の匂いがいっぱいで、暖かくて、素敵なところよね! 妖精さん達も小さくて、悪戯っ子で可愛くて……」
心躍らせる彼女の言葉に耳を傾けて、リュグナーはそっと振り返る。
「っと、春の陽気で形を崩す前に、渡しといた方が良さそうだな」
ソフィラは首を傾げる。何だろうかと瞬いて、掌にそっと包むように手渡されたのは何かの包み紙。
「花だ。チョコレートの花。今日は、普段感謝している者にコレを送る日なのだろう? ――受け取るが良い」
「まあ、まあ……! ありがとう、とても嬉しいわ! あのね、聞いて頂戴。実は私も用意していたの。
だっていつもお世話になっているんだもの。感謝の気持ちを込めて……ありがとう!」
微笑んだソフィラは「形は大丈夫かしら? 溶けてしまう前に食べる?」と問い掛ける。らしくないことをした、と頬を掻いたリュグナーに「何処かで食べましょう」と嬉しそうに笑みを零して。
カフェには沢山の限定メニュー。スイーツパーティーをしましょうと誘うジルーシャにボタンの心も躍り出す。
花が飾られ可愛らしい店内に、ちょこりと座ったボタンはメニューを眺めて緊張したようにジルーシャをちらり。
「た、たくさん頼んでも良いでしょうか」
「もちろん♪ 今日は全メニュー制覇しちゃいましょ!」
嬉しいと心躍らすボタンへとジルーシャはスイーツに合う紅茶のセレクトを。ボタンにはミルクティーも如何とオススメしながら並んだスイーツは色とりどりで。
「私はパンケーキから!」
瞳を輝かせたボタンがぎゅっと握ったのはハートのフォーク。甘いチョコレートソースと生クリームが飾られたふわふわのパンケーキは絶品だ。
「んーっ、おいしい♪ ね、こっちも一口食べてみない?」
苺のシャルロットを食べるジルーシャに「はい!」とボタンは頷いた。分け合ったり、食べさせ合ったり。そんな空気が楽しくて。
「一人で食べるよりずっとずっと楽しいです」
そうね、と微笑んだジルーシャに、そっと名を呼んでボタンはチョコレートカラーのラッピングにメッセージカードとボタンを添えて手渡した。
「いただいたマカロンのお返し、です」
此れからもよろしくねと想いを込めて。最高のグラオクローネはまだまだ続いていく。
フラーゴラとウルズ。お互いに一瞬だけ目が有って、擦れ違う。
今日は大切な日だから。この日のために準備をしてきた。しっかりした彼女だからきっと目を見てチョコレートを渡せるだろうと応援して。
「アトさんは、と」
今日は仕事だと教えられた。それでも、乗合馬車の出発時刻は教えてくれているから。少し遅刻してしまったと慌てて走ったせいでボサボサになった髪を気にしながら「アトさん」と呼び掛けた。
「ああ、フラーゴラ」
朝日が差した午前6時45分。出発に間に合ったと肩で息をして「アトさん」と何度も呼び掛ける。
「忘れ物でもしたのかと思った。何だい? 贈物の日に、ローグの僕に新愛の証を送りたいというか、物好きめ」
「ふふ。そういえば手作りの物渡すの初めてかも、迷宮に持って行くには大き過ぎたかな? でもアトさんいっぱい食べそうだし」
どうかな、なんて言い訳を重ねて袋を差し出すフラーゴラにアトは「こいつは昼にはいただくつもりだよ」とぽんぽんと頭を撫でた。
そんな優しく撫でられると、疲れも心配も全て何処かに行ってしまうから。
「あ」
「え?」
ほら、と差し出されたのは白い胡蝶蘭。贈られる側になるなんて考えていなかったから。フラーゴラは絞り出すように「いってらっしゃい」と紡いだ。
●
「やあ、黄龍、瑞さん。『グラオ・クローネ』だよ。ふたりにとっては初めての経験かな?」
にんまりと微笑んだシキは折角だから美味しいチョコレートを用意していた。黄龍が「シキは手作りは為ぬのか」と問うた言葉に「やったことないから」と小声でもごもごと呟いて。
「あ、あの、グラオ・クローネ、ですので、瑞さまに贈り物を、したくて。
ひとの姿でも、本来の姿でも、くつろげるように……これ、宜しければ、受け取っていただけます、か……?」
大きな包み紙を抱えていたメイメイに小さな瑞は「黄龍」と開くことを懇願した。ふかふかとした座布団にいそいそと乗りシキのチョコレートをまじまじと見遣った幼神は「心地よいですね」と幸福そうに微笑み零す。
「瑞さまは、ふわふわと、あたたかな……あ、外見だけのことではなく、こう、内面から。
存在自体が尊くて、ありがたくて……あの、その……わたしは、大好き、なのです」
「わたしも、メイメイ様がとても愛おしいですよ。勿論、シキ様も」
座布団の上で嬉しそうに微笑んだ瑞神をもふもふなでなでと繰り返したメイメイは小さく笑みを漏らす。
「ああ、そうだ、黄龍。ラサでの冒険や、私が知った綺麗なものや不思議なものをたくさん、君たちに話そうと思うんだ!
それに……よければ、春には豊穣でお花見に行ったりしたいね!」
「花見の際に語る事も取って置いて呉れると喜ばしいな」
黄龍にシキは大きく頷いた。世界の広さを教えてあげたい。そうして、この美しい国がもっともっと栄えてゆくことを願って。
大陸産の『ちょこれーと』を持参してルーキスは霞帝の元へと訪れた。
「今日は、お世話になった御方に贈り物と共に感謝を伝える日と聞きました。
賀澄様、いつもありがとうございます。大陸産の『ちょこれーと』です。宜しければ、一緒に召し上がって頂けませんか?」
「ああ、是非」
堂々と頷く霞帝ではあるが彼自身はチョコレートはよく知っているらしい。抹茶や黄粉を使った和風のチョコレートを差し出すルーキスの前で偶々立ち寄った晴明は不思議そうに其れを眺める。
「帝?」
「ああ、セイメイ、普通に茶を淹れてくれれば構わない」
どうにも慣れた様子だとルーキスは首を捻った。
「賀澄様の元いた世界では、こうした『ちょこれーと』やそれに関する催しもあったのでしょうか。ぜひ教えて頂ければ嬉しいです」
「ああ、俺はよく聞くと再現性東京という所にも近しい場所から来たように思えるな。バレンタインデーと言って――」
彼の語る言葉にルーキスは成る程、と頷いた。再現性東京の料理などは彼が好ましいものもおおいのかもしれない。
「帝さんとお茶会したいのだわ! ……お忙しいかしら……」
「そうだな、だが章殿の事を気に入ってくださっているし、声を掛けるくらいなら許してくれるだろう」
鬼灯と章姫の護衛として就いてきていた弥生は「ヒィッ」と声を漏らした。護衛役としてきたが女房も多いために女の数が多すぎる気がするのだ。
(いやしっかりしろ弥生。頭領はともかく奥方に恥をかかせるわけにはいかない……!)
慌てる弥生は他所に霞帝は「良く参ったな」と二人を歓迎した。章姫は「帝さん!」と嬉しそうに笑みを零す。
「お菓子ね! 霜月さんに教わって頑張って作ったのだわ!」
「ほう。其れは素晴らしいな」と頷く父のような霞帝。鬼灯は真剣であった章姫を思い出して小さく微笑んだ。
「あとねあとね、お茶会が出来たらね!晴明さんともお話したいのだわ! それからいっぱいお話したいことがあるの! 忙しいかしら? だめかしら?」
「ああ、セイメイにも俺が声を掛けよう」
――慌ててセイメイが来るのは確かなのだが。鬼灯はこそりと囁いた。章殿も大変なことがあった。帝との手紙が拠り所である、と。
そんなことを言われれば帝は彼女を喜ばせてやりたいものだと晴明を呼び寄せ可愛らしい茶会を開こうと女房達へと提案し始めたのだった。
●
グラオ・クローネ。それが鏡の魔種であったシャルロットに初めて会った時から一年であるとウェールは呟いた。
「会いに行くっきゅ!ベッツィータルトのレシピも用意したから作って、会いに行くっきゅ!」
やる気を溢れさせたレーゲンにウェールは頷いた。久しぶりのピクニックだ。彼女と最後にピクニックをしたときよりも幾分か肌寒いが、それでも折角のグラオ・クローネなのだから共にと望むのは悪いことではない。
「……久しぶり、シャルロット。俺もレーゲンも元気だぞ。
それとレーゲンが今日の為、シャルロットの為に料理を頑張ったり、ここにあった彼岸花を増やしたりしたんだ。どうだ?」
そっちは――と言葉を繋げたウェールは『輪廻転生』が有り得るならば彼女が幸いに溢れて呉れればと願わずにはいられない。
「シャルロット! また楽しい事を教えに来たっきゅ!
グラオ・クローネていう伝承に基づいて大切な人に感謝を伝える日だから、今日はウェールさんと一緒にベッツィータルトを作ったっきゅ!
グラクロらしくビターなチョコカスタードを使った方とシナモンを使った奴の二種類っきゅ!」
レーゲンは楽しげに声を跳ねさせて、そして、次第に小さく振り絞るように彼女を呼んだ。斃さなくてはならなかった、魔種。
「それと、ありがとうっきゅ。今でも思い出すと、涙は止まらないけど、シャルロットとの思い出が、約束があるから……絶望や狂気なんかに負けずに前に進み続けるっきゅ」
涙の混じったその声音に、ウェールはそっとレーゲンの肩を抱いた。小さなグリュッグとレーゲン。二人を抱き締めるようにウェールはその言葉を待つ。
「レーさんは旅人で、ここで生まれたわけじゃないけど、シャルロットに会えたこの世界が大好きっきゅ。
だからイレギュラーズとして頑張るっきゅ! またシャルロットに会う時はすっごい平和で、新しく見つけた楽しいを教えられる世界にするっきゅ!」
だから、頑張る。そう誓うような声に応えるように一つ風が吹いた。柔らかに、花弁を誘う冬の風が。
海が見えるカフェバーは海洋王国では人気のスポットらしい。女子会(?)をしましょうと誘ったアーリアにアンジェリカは大きく頷いて。
「それにしても流石はアーリアさんですね。アーリアさんさんが選ぶお店にハズレが無いのは素晴らしいです、本当に」
「そうねぇ、一応混沌生まれ混沌育ち、美味しい酒場チェックは欠かさないもの!
迷える青年のデートスポット選びにも、ぱーっと仲間内で飲見たい時も、アドバイスくらいできると思うわぁ」
甘いチョコレートに塩気のあるチーズやオリーブ、ワインを合わせれば心も躍るとウィンクをしたアーリアへふと、アンジェリカは声を潜めた。
「ですが、よかったんですか? バレンタイン……じゃなかった、グラオ・クローネなら大切な人と過ごすものと思っていましたが。
私としてはこうしてお酒も飲めて美味しい物もいただけて、楽しくお喋りも出来ていいこと尽くめと言った感じなのですが」
「ふふ、そうねぇ」
グラスの中でワインが揺らいだ。アーリアの瞳が細められて、悪戯めいて笑みが過る。
「勿論ちゃーんと、夜はおうちに帰って、大事な彼と過ごすけど。今この時間は、アンジェリカちゃんと過ごすって決めたの。
お互いちゃんと自分の時間があって、お友達がいて。そういう関係でいたいのよねぇ。だーかーら、これも大事な時間! 気にしないでね」
だから、とアーリアはそっと差し出した。ウィスキーボンボンと真っ赤な石のブローチだ。
「…って、え? はっ?」
「このブローチね、お店で見て『アンジェリカちゃんだわぁ!』ってピンときたの。だからこれ、貴女に」
「あー、もうっ。吃驚するじゃないですかっ! でも……その、ありがとう……御座います。
――コホン。それではお返しを……と、言う訳ではありませんが此方をどうぞ」
アンジェリカが差し出したのはチョコレート。自分で作る気は無かったけれど、作って見たくなってつい、なんて。恥ずかしい事を重ねてからアンジェリカはちら、とアーリアを見た。
「それと、此方も。グラオ・クローネという事でチョコレートリキュールを用意してみたのですが、気に入ってくれたでしょうか?」
其れは勿論とグラスを持ち上げる。おつまみも注文しておかなくては。
●
「リンツさんにグラオコローネのチョコを渡すミッションだー! 私は近くまでついて行って影からイルちゃんの勇姿を見守るね」
「えっ」
「せっかく作ったチョコレートだし、喜んで貰えると良いなぁ。届け!イルちゃんの乙女心&恋心!」
「えっ」
助けを呼ぶような声を出したイルに「来たよ!」と背中を押して見守る構えのスティア。
涙目のイルは緊張で赤いやら青いやらどうしようもないような顔をして背筋をぴんと伸ばした。
「せ、せせせ、先輩」
「ああ、イルか。どうかしたのか? 今日はスティアと一緒だと言っていた――」
「こ、これ、その、あの、グラオ・クローネで、その」
もじもじとするイルにリンツァトルテは瞬いた後「普段から世話になっているからな、俺も用意すれば良かったか」とスティアからすれば大減点の言葉を発した。
(ががーん! 違うよ、リンツさん! 好物を調べようってイルちゃんと約束したし! 何が好きかくらい――!)
慌てるスティアの前でイルは「先輩って何が好きですか!?」と声を裏返しながら聞いた。
「あの、其れを食べに今度一緒に。今日は、それは、プレゼントで、手作りで、つまり、そのス、スティアー!」
助けてくれと走って帰っていくイルの背を見ながらリンツァトルテが小さく笑ったことをスティアは見逃さなかった。
「今日はみんなとお茶会だよ!」
――メンバーを見て、それが和やかな茶会であるとは思えない。サクラの微笑みに、すずなは「茶を嗜むなんて久しぶりです」と瞬いた。
「お誘い有難うございます。それにしてもこの面々が集まって血の匂いがしないなんて……珍しい、けれど――そういう日だものね」
納得したように小夜は頷いた。何せ此処に着く前から甘い香りが漂っていたのだ。
「お集まりいただき有難うございます」と歓迎するのは無量である。刃を振るう者ばかり――そう、確かにこのメンバーは刃を競い合うばかりである。だが、戦場で会う乙女達ばかりだ。この様な催しとて面白い。
「おや?」
無量がふと、視線を送ればすずなが珍しいと首を傾げサクラと小夜は顔を見合わせる。人目に付かぬ場所を選んだつもりだが、普段見つからぬ者の方から飛び込んでくるのは珍しいのだ。
「……梅泉さん? 珍しいですね」
「おや……梅泉さん、どうされましたか。貴方にしては急いて居られる様子」
首を傾いだすずなに、不思議そうな顔をした無量。其れだけ慌てているのも珍しいとサクラは呟くが同時に全員が理解する。
「――って嗚呼、成程」
「あー、はーん。そういう事ね?」
そう、今日はグラオクローネである。彼女たちの『ある種の思い人』は『婚約者』殿に追われている最中なのだそうだ。
「どうでしょうサクラさん、すずなさん、白薊さん。此処ならば早々人は寄り付きません。彼にも一服して頂きませんか?」
「モテる殿方は大変ですものね? ねえ、小夜さん?」
小さく笑ったすずなに「本当にモテモテで梅泉も大変ね」と穏やかに返していた小夜は長い髪を揺らして首を傾げる。
「まあそういう手合がこれだけ集まれば誰も抜け駆けしようがないからある意味梅泉にとっても私達にとっても安全地帯だけれど……ふふふ、随分と含みのある言い方だけれどどうしたの? ねえすずな?」
「いいえ?」
微笑んだすずなは「私は全然良いですよ、姉様のお話とか聞きたいですし」と彼の合流に同意する。
「センセーもこれだけの花に囲まれたら悪い気はしないでしょ?」
「……」
梅泉の表情がやや硬くどうにも返答はないが、サクラは構うことはなかった。
「ああ、そうでした。もうお一方来られますので、梅泉さんにもその旨ご了承頂ければ」
「……何?」
誰とは言わぬ無量である。梅泉の表情が僅かに歪んだ気がするが――和やかに茶会は続いていく。
一方――
「たてはちゃ~ん! いよいよ明日ですよ! 一緒に作ったチョコ、梅泉さんがちゃんと受け取ってくれるといいですね♪ きっと受け取ってくれますとも! 絶対です!」と前日微笑んで居た斬華はたてはと共にグラオクローネの準備をしていた。
勿論、友人だとは思って貰えないかも知れないけれど、斬華が彼女に感じる友情の形は確かなものだ。
「それで、今日は遊びに行きますよ! 良いところに!」
「いややわぁ、それって『どんくらい』ええとこなんやろ?」
……と言うことで、しれっと茶会に合流する斬華に無量は「ああ」と今気付いたとでも言うように頷いた。
「ようこそ、紅迅さん。紫乃宮さんも」
「……なんやのこれ」
むくれ顔のたてはの視線は花々に囲まれる梅泉に向いて居る。渋い顔をした梅泉。「謀ったか」と問い掛けられるその言葉に無量は「さて?」と首を傾いだ。
「まったく――ほんにいけずなお人やわ。……うちがどんだけこの日を待ってたと思ってるん」
「うんうん。たてはさんとは恋敵だけど、恋する乙女から逃げるのは感心しないからねー。
というわけで! じゃあこのチョコレートは私からね、センセー!」
「あら。じゃあ私からも用意しましょうか」
サクラと小夜から差し出されるチョコレートに「つくづく酔狂よな」と返す梅泉に「なんやの!」と再度たてはの声が響く。
「さてさて、何はともあれ、冷める前に頂きましょう。まだまだ時間はあるのですから、ゆっくりと」
無量はそっと囁いた。貴方に想いを伝えたい酔狂な存在は沢山居るのですから――と。
●
――未だかつてバレインタイン当日に女の子と出かけるなんて事があっただろうか? いや無い(即否定)。
待ち合わせ場所に1時間目に到着し、何時もより小綺麗な服を選んだつもりだとaPhoneを鏡代わりに確認する。
(だってそうだろう……これが、その、デー デーなんトかではないにしてもだぜ?
周りから見ればそう見えてしまう事もあるかもしれないんだ、そんな時にヨレヨレの服を(以下ぐだぐだ))
言い訳と、色々な心の迷いを重ねていた定の傍らで「どうかしたのかい?」と声がする。
「え、あ、なじみさんいつの間に来てたの?」
「定くんがaPhoneと睨めっこしてた辺り」
「……へ、へえ、今日もなじみさんに良く馴染む服だね似合ってるぜ」
「勿論。定くんもかっこいいぜ」
――そういうことを言う!!!
早く行こうと手を引っ張るなじみに「そういうことをする!!!」とは叫べないまま定はバレンタインの催事へと向かったのだった。
勿論、結果はと言えば試食をしたら購入し続ける。希望ヶ浜の断れない男とは自分のことだとでも言いたいレベルで購入し続けた。
「ノーと言えない自分が憎いぜ」
「はは、じゃあ定くんが後でなじみさんにそれをくれれば良いんじゃない?」
「まあね」
笑う彼女を見て居れば、それだけでいいやと思えてしまうから。休憩して帰ろうとチョコレートシェイクを飲むなじみに「あのさ」と定は声を掛けた。
「これ。なじみさんに。試食して流されて買った奴じゃないぜ。僕がなじみさんに選んだ奴さ」
「なじみさんも最初から選んでたんだ。はい、これ、定くんっぽい!」
そう言って渡されたのがかっこいい名前のビターチョコレートだったのは果たしてどういう意味だったのだろう――
日頃に世話になった人へ。Suviaは希望ヶ浜学園の生徒や同僚の為に義理のチョコレートを作ろうと張り切っていた。
チョコがプレゼントになるのは御伽噺になるというならばその文化も大事にしたい。
抹茶チョコレートを作ろうと考えて、はたと悩む。あまり東京には詳しくはないから誰か詳しい人が居ると嬉しいけれど、と。
バレンタインデーの準備を行っているアクセルは材料なら調理室に揃っているよと微笑んだ。簡単なカップケーキを作るのだという彼は『ラブ』を主眼にしたイベントは大盛り上がりなのだと街の様子を語る。
「ラブはラブでも親愛、友達もオッケーっていうし、友達とか、再現性東京にいる知り合いに日ごろの感謝とかを詰めて仕上げるよ!」
折角だから色々作って楽しみたいと心躍らせるアクセルにSuviaは「ご一緒しても?」と問い掛けた。
「バレンタイン限定チョコレートパフェ~!」
瞳をきらりと輝かせた真那は胸を躍らせる。カフェで提供されているパフェを食べに行くと準備を整えたのだ。此れが食べ終わったらお土産も準備しておきたい。
カフェにはチョコレートも販売されているようだから――そうして胸を躍らす真那はバレンタインデーを堪能し続ける。
プリティ☆プリンセス2ndの上映会をします。良ければ来てね、とPINEで連絡が来ていたことを思い出しリディアは鑑賞会に臨んだ。
幾人かが誘われていたようだが、その前にと希望ヶ浜でクレープを二人で購入した。
男子一人では辛いと肩を竦めていた彼は嬉しそうにクレープの写真を撮って友人に送信していたようだが、さて。
推しであると言う可愛らしいキャラクターをまじまじと見詰めた後で、後片付けをするという彼と二人でぽつんと教室に。
「今日は私に付き合ってくれてありがとうございました。これ、私の気持ちです」
「ん、ありがとう。あ、俺も用意すれば良かったね」
微笑んだ彼。きっと気持ちは伝わっていないけれど――それでも、言えたことが何よりも嬉しくて、恥ずかしくて。
耳まで真っ赤になったリディアは「それじゃあ、また」と走り出す。
「雪風くん」と影で見ていた亮が揶揄うように呼んだ声に「はへ?」と間抜けな声を漏らした雪風はチョコレートとリディアが走って行った方向を見詰めていた。
「おーい、シロ! ごめんな、遅くなっちまった、渡せて悪い悪い! 電車遅れててさ!」
「オウ、俺は此処だぜ」
手をひらひらと降った風斬に月夜は「こっち」と呼び寄せた。
「そういやシロはグラオクローネのチョコレートとかは貰ったのか?」
「ン。チョコ? ああ、そんな日だったな。俺ァ、2つほど貰ったぜ? 風斬は?」
「うげっ!? 貰ってやがる、シロのくせに、しかもふたつ!? お前が!? 口から暴言しか飛ばないお前が!!!??」
何だよとぶっきらぼうに返す月夜に風斬は「くそう」と呻いた。
「まー、確かにシロは黙ってたら普通にイケメンだしな、羨ましいな……」
「あー。方ねーな、ホラよ。風斬にゃコンビニで買った板チョコをやるよ。別に深い意味とかねェからよ。変なこと考え……て感情爆発過ぎじゃねェか?」
「わ、くれんの!? やったー! コンビニでよく見かける板チョコが今は輝いて見えるな!!! グスッ……ありがとシロ、抱き締めるわ」
感情が大爆発している風斬に若干困った顔を見せる月夜は「混沌じゃ大事な人に性別関係無く渡すらしいぜ」と付け加えた。
「え、シロ、俺のこと好き? キモ」
「だァから変な意味で捉えるなっつーの。馬鹿野郎。いらねーなら返せや、その板チョコをよ!? チッ!!」
「はいはいごめんて! お返し考えるわ、シロのことだ、帰ったら首、噛んでいいぞ」
そうやって、会話を繰り返せば打てば響く関係が実に心地よいのだ。
「バレンタインディだよ、ひよのさんっ! って、いつものノリと勢いでお誘いしちゃったけど大丈夫だったかな?」
「どうしてですか?」
「ほら、今日って一応バレンタインだし。もしひよのさんにチョコレートを贈りたいが人とか、
一緒に過ごしたい人が居るならちょっと申し訳ないことをしちゃったなーって。
って言うか、今迄そう言ったお話した事なかったけど、ひよのさんにそういった人って居たりするのかな?」
「あら? 秘密ですよ」
そう言うと思っていたと花丸は笑った。「花丸さんこそどうなのですか」と問う言葉にううんと首を傾げる。
「そういう花丸ちゃんはどうかって?
んー。今のところ花より団子って感じかな。もしかしたら自分でも気付かない内にそうなってるって事もあるかもだけど」
「何時か、誘ってくれなくなるなら寂しいですねえ」
「ええっ!? そんなこと無いよ!」
そうして微笑み逢いながら、バレンタインの限定メニューと睨めっこ。花丸とは別の物を選んでシェアをするのも何時の間にかお決まりになったとひよのは小さく笑った。
「んーっ! 美味しい……幸せーっ! ひよのさん、これとっても美味しいよっ! って事で、あーんっ!」
「あーん」
その時、花丸は「ん!?」となった。ノリでやって見たが普通にあーんして、あーんされ返したのだから。……ちょっぴり感情が追い付かないのだった。
(よし、準備は整った……。
手紙で呼び出しもしたしチョコも買った。服もメイクも問題ない。今回のルートもばっちりだ。なんの憂いもない。
今日ここでやっとわかった私自身の気持ちを彼に……シルトへ伝えるのだ)
ブレンダはシルトを待っていた。待ち合わせ場所で、心を躍らせ、緊張を滲ませて。
シルトはと言えばグラオクローネだ。余程の鈍感でなければ気付くだろうと緊張する彼女の様子に小さく笑う。
ブレンダはいつも通りのつもりなのだろう。
いつも通りに再現性東京を歩いて、買い物をして、食事を。そんな彼女をちらりと見てはシルトは小さく笑う。
(出会った時から思っていたけどやっぱりブレンダは不器用だ――)
楽な道があっても険しい道を行く。こんなにも緊張している彼女の不器用さが愛おしい。
彼女のそんな在り方が綺麗に見えたし、支えたいと思ってしまった。――だから俺の答えはずっと前から決まってる。
それでも、もう少し彼女の困った顔を見ていたくて。
ブレンダは息を飲んだ。言葉にするのは、難しい。感情を文字にすることがどれだけ緊張するのか。
剣を振っていた方がずっとずっと、簡単だとさえ思う。それでも、戦わずに負けたくなかった――伝えなければ、嘘になって、負けだ。
「私は……どうやら君を好いているらしい。これがその気持ちだ」
顔が赤いだろうか。不細工だと笑われないだろうか。緊張が滲む。チョコレートを差し出す指先が、震えている。
ふと、影が掛った。そっと、手が重ねられて笑みが降る。
「ブレンダらしい告白だ。うん、ありがとう。俺も好きだよ、君のこと」
君を支えたいと思ったんだ、と。その言葉だけでブレンダはかあ、と頬を赤らめた。
●
「いらっしゃい、零くん」
甘い匂いに包まれたアニーの部屋へと緊張しながら「お邪魔します」と踏み込んだ零はテーブルの上に置かれていた彼女の『渡したいもの』をまじまじ見遣る。
(え、なんだろ……この箱か……ハート……あぁ、分かった……中は……!)
今日がどんな日か分かるから。零はアニーが「開けてみて」と緊張したように囁く言葉に大きく頷いた。
「おお……!」
特大のハート型チョコレート。零が歓声を上げればアニーは少し照れたように目を細めて微笑んで。
「ふふ、大きくてびっくりした? 私の気持ちを表現したチョコを作ろうとしたらこんなに大きくなっちゃったの」
それが彼女の気持ちだと思えば喜ばしくて。好きが一杯詰ってると思えば、嗚呼、幸せが溢れ出す。
「ねぇ零くん……零くんは他の女の子からもチョコ貰っているんだろうけど、あんまり他の女の子にも優しすぎると……私やきもち焼いちゃうからね? やきもちって辛いんだからねー!」
少しむくれて頬をむにむにと突いてくる彼女に零は友チョコ何かも含むのかと考えて、彼女の顔を覗き込んだ。
「……分かった、ならその辺はしっかり考え解く……そんで、アニーに好きをめいいっぱい伝え続けるさ!」
黒睡蓮の館へと訪れたLumiliaは「お邪魔致します」と招待に応じてドレスの裾を持ち上げた。
「ああ、良く来たね。今日はグラオ・クローネ。そして愛しき友、Lumiliaの誕生日でもあるんだ。盛大にお祝いしなくてはね?」
揶揄うようなマルベートにLumiliaはぱちりと瞬いた。決まった居住を持たない自分が生誕を祝って貰えるなど考えてもなかったからだ。
気恥ずかしさを感じながら席に着けば、並んだディナーはマルベートの手製であるそうだ。
自家製の蓮葉茶と近くの森で捕えた野兎を宮廷風に調理したものをメインにして、新鮮なレバーのムースや生肉のサラダ、口直しのソルベ――食べきれないものが山ほど。
蓮の茶があるから、共にカップを傾ける分には手土産は不要かも、と考えながらも何か用意しておきたいと林檎茶を用意したLumiliaへマルベートは「勿論チョコレートも用意したよ」とハート型の『灰色の王冠』を差し出した。
「菓子作りは慣れていないので少し不格好で申し訳ないけど、君の為に誂えたハート型の灰色の王冠だ。喜んでもらえれば嬉しいな」
「ふふ。2/14の甘い贈り物には、1ヶ月後の甘いお返しをする風習もあるんだそうです。……楽しませて頂いたお礼は、いずれ必ず」
「ああ、来年も、再来年も一緒に祝える事を願っているよ。その時はワインで乾杯だね?」
グラオ・クローネに感謝をおくって。此れからも共に在る事を願うように、マルベートとLumiliaは微笑み合った。
「あ、雪ちゃん。このチョコレートも美味しいですよ。ぜひ」
ソファーに腰掛けてクラリーチェは箱から箱から一摘まみしたチョコレートを雪之丞へと差し出した。
甘える猫に「あなたはダメ」と囁いて、珈琲を喉へと流し込む。
「あら。こちらも、落ち着いた甘さがとても」
沢山買ったから、食べきらなくてはと張り切るクラリーチェの傍らで、チョコレートを舌先で楽しんでいた雪之丞はふと、悩む。
「……愛称で、呼んでもいいでしょうか」
ぱちり、とクラリーチェは瞬いた。雪ちゃん、と。呼ぶ自分と同じように愛称で親しみ深く名を呼んでくれると言うのだろうか。
「……はい。雪ちゃんの呼びたいように呼んでくださいね」
本当に嬉しいと、笑みを零したクラリーチェ。大切な人に、大切だと想いを伝える大事な大事な日。
「クラリーの友人として、より仲良くなれれば、嬉しいですから」
「私も、もっと仲良くなれたら嬉しいです」
――だから、もっと大切だと伝え合って。雪之丞は「クラリー、あーんもしてみたいのです」とひとつ、ひとつ積み上げる。
少し恥ずかしいけれど、何処か楽しくて擽ったい。そんな穏やかな時を大切にして。
「ふふ、美味しくできた。これで準備はばっちり、ですね!
ずっと練習してきたかいがありました。ふふん、上出来です!」
アイラは胸を張った。ラピスにも買い物を頼んだ。極秘作戦はきっとばれない筈だから!
買い物も早く終わってしまったからと「ただいま」と扉を開けば「えええ!?」と驚いたような声が響き渡る。
「これを片付けておいて、ああ……こっちのお部屋には来ちゃダメです!!」
「アイラ? 焦っているようだけど、どうかした?」
メモと買い物袋を手にラピスはひょこりと顔を出す。来てはいけないと言われても、其れだけ焦られると――つい。
「……極秘作戦は失敗です。もう、ラピスったら!」
「……ああ、なるほど。甘い香りがする。驚かせようとしてくれてたんだね。ごめんごめん」
それでも彼女の考えることが分かると可愛くて、堪らない。それじゃあ、味見させて貰おうかな、とアイラの腰をそっと抱いた。
「でもでも、今年は去年と違って手作りなんですよ? ほら、これなんか上手にできたんで――んむ!??」
甘いチョコレート。味見を下唇を重ねればそれだけで甘さが伝わってくる。
「は、はう……もうっ、もう!! ボクが食べてほしいのはこっち! なの! に! ボクが甘いとかじゃなくて、もう、その……おばか!!」
拗ねたようにアイラが唇を尖らせればラピスはくすくすと小さく笑った。彼女の愛が籠もったとっておきも頂かねば。
愛しているよ、と囁いて。愛しくていじらしい彼女の「美味しく食べて下さいね」に小さく小さく笑うのだ。
●
グラオ・クローネ限定、と飾られた文字にタイムの心は躍った。特製チョコレートクレープ。これを食べないわけにはいかないと夏子を呼んで心躍らせて。
「いやー、最近タイムちゃんに引っ張られて、甘いモノを良く食ってる気がす。
女性って甘い食べ物好きよな……なんでだろ? 不思議だね。嫌いな女子も良そうだけど圧倒的に好きな人が多い感じ」
「そうね。こんなに……」
其処まで呟いてからタイムはかあ、と頬に熱が上った気がした。そういえば、夏子に渡したチョコレートも今年の限定品だった。限定という文字が躍るだけでついつい買いに行きたくなる。ミーハーな自分を自覚しては恥ずかしい。
「大丈夫? ちょっと列離れる? 並んで順番確保しとくよ?」
夏子の気遣いに「やっぱり食べたいっ!」と返したタイム。お花を摘みに行く予定じゃなかったなら良かったと夏子は言葉を濁した。
「女性が多い通りだね――え、ああ……だよね~食べたいよね~食べるよね~」
セクシーなお姉様を見つけてついつい視線がお留守になったがまだまだ気付かれない、セーフだとでも言うように夏子の視線は更に明後日に。
「あ、そういえば夏子さんのと頃に身に覚えもない記憶媒体が届いたでしょ? あれね何も言わずに渡して欲しいの。だめ?」
「あーなんか気づいたらあったヤツ……。気になるから早く見たいんだよねアレ、わあ凄いあの御婦人ぷりんぽよんどぅるん」
「もー夏子さん! ちゃんと聞いてよぉ!」
次の方ーと店員が呼ぶ声に「はあい」とタイムは慌てて進み出し――店員さんが『ぷりん』であったのに気付いた夏子の意識がクレープに戻ったのは直ぐのことだった。
「いらっしゃい」
微笑んだフルールにメルは「可愛くて素敵な部屋だね……♪」と声を弾ませた。グラオ・クローネはメルにとっては初めての日で、贈物をする日だとは聞いているけれど、いまいち実感はない。
「あのね、今日はグラオ・クローネでしょう?」と振り返って微笑んだフルールに小さく首を傾ぐ。
「チョコをあげたりお花をあげたりする日って聞いたの。どういう意味があるのかはよくわからないけれど、感謝と親愛を伝える行事なのでしょう。
私からも、はいプレゼントですよ。どっちが良いかもよくわからないから、両方♪」
ハート型の手作りのチョコレート、真紅の薔薇。その二つ共をプレゼントして貰えるだなんて嬉しくて。
「……えへ、実はあたしからもあるの。チョコと……じゃーん♪ すもものお花!
前、すもも好きって言ってたでしょ? チョコはあたしも手作りなんだ。受け取って欲しいな……♪」
分からないけれど、実感もないけれど、こうするのがきっと当たり前だから。心を躍らせたメルにフルールが次はぱちりと瞬く側。
「メルもくれるの? ありがとう、すももは花も実も大好きなの。すももの花言葉は知ってる?
『誤解』、誤解を解く時にプレゼントすると言われるの。それとは別に『幸福な日々』『甘い生活』もあるの。私はこちらが好き♪」
「お花にも意味があるんだ! 知らなかった。幸福な日々に、甘い生活……あたしは今この瞬間がまさにそうだよ!」
プレゼントを渡し合って、微笑み合って。そんな幸せで甘い生活。そんなの今にぴったりだと幸福に胸を揺らした。
「なんだか、自分のとこに呼ぶってのも緊張するんだけどさ…。
せっかくの機会だしちょっとパーティっぽくしてみたというか。まあ二人だけだから、ほんとに雰囲気だけなんだけど」
頬を掻いたニアに「あ、クロエが居てしまった」と失敗したような顔をしたリヴィエール。そんな彼女にくすくすと笑って、ニアは「リヴィ」と手招いた。
「チョコレートの手作りなんてのも挑戦してみたけど、あんまり上手くいかなかったし。
と、とにかく。いつも、ありがとう。……てれくさいから2回は言わないよ」
「あたしも、いつもありがとう! ニアが護ってくれるから、今日も元気っすよ」
にんまりと笑ったリヴィエールにニアは「ばか」と額をこつりと叩いた。
「あたし、友人とか家族とかって、あんまり縁がなかったからさ。
此処じゃいつも、里長の娘様だったわけだし。だから、ほんとにリヴィには感謝してるんだよ。
あたしと友達になってくれてありがとう。……って、伝えたくて。これからも、よろしくね」
「あたしだって、基本は流浪の民っすから。こうやってイベントを一緒に過ごして貰えるだけでとっても嬉しいっすよ。
だから、とってもとっても有難う! これからもよろしくっすよ!」
久々にあったアネッサはアルメリアの呼び出しに「どうかしたの?」と微笑んだ。
「えっ? 何々? 私にくれるの? ……もらうの初めてかもしれないわね。あ、ありがとう! ありがとう! 何かちょっと、緊張しちゃった。えへへ……」
そんな風に驚いたり、照れたり。まるで『本命チョコ』を貰ったように微笑んだアネッサにアルメリアは「もう」と唇を尖らせる。
「そ、そんなに身構えないでよ。別に愛の告白って訳じゃないんだから。ついでにこれを貸しに無茶頼もうってわけでもないしね。感じとしては……改めて、これからよろしくってね!」
「うんうん。よろしくね」
微笑むアネッサは久しぶりに会えた相手ダ。アルメリアが冒険者として活動していてやっと会えた友人でもアル。
「10年ぶりくらいだったかしら? 久しぶりの故郷はどう?」
「そうねぇ。ちなみにまだ大体6・7年くらいなんだけど……若干気まずい上に、2月の深緑は寒いわね…………」
「え? 寒い……? あぁ……砂漠だって夜は寒いっていうんだから、頑張りなさいよ」
ラサで傭兵として稼ぐためにと飛び出していったアネッサは砂漠の幻想種達とも共に動いていたそうだが――成る程、砂漠の寒さと森の寒さは違うのだろうか。
「あっ、そうだそうだ! 私からもチョコ上げる! 呼び出された時期が時期だからひょっとしたらもらえると思って、実は用意してたのよ!」
「私にもくれるの? なんだ、用意してくれてたんだ。
じゃ、交換ね。……これからも美味しい仕事とか、ピンチとか……何かあったら、私にもいってね。似たような立場なんだから」
勿論と微笑んだアネッサに不思議な関係になったものだとアルメリアはぼんやりと考えた。
●
「あのね、ご厚意で部屋を貸してもらえて二人っきりまではいいんだよ。
そして今日はグラオ・クローネ、チョコ菓子を食べようって話をしたところで今――」
クロバは其処まで続けてから唇に宛がわれた苺に「シフォリィ」と制止するように呼び掛けた。
下宿先のご主人は「グラオ・クローネでしょう」と揶揄うように笑って出掛けていった。チョコレートフォンデュのセッティングをしたまでは良い。
「クロバさん、あーん。ほら、口を開けて。恥ずかしがらなくていいんですよ、今ここには二人っきりなんですから。
とろとろにとけたチョコみたいに心もとろけちゃいますね! ね? あーん。ほら、クロバさん。クロバさんったら」
捲し立てるような勢いで。そんな彼女の『押しの強さ』に思わず腰の引けるクロバは「恥ずかしいだろ!」と彼女の手をぎゅ、と掴んだ。
「仕方ないですねえ」
「飯を食べるときはね、なんていうか救われてn――ってああああああお前俺の果物!」
そっぽを向いたクロバが食べようとした苺を横からぱくりと咥えたシフォリィは「えへへ、おいしーです」と悪戯が成功した子供のように微笑んだ。
「なに可愛い顔しててへってしてやがるんだ……! はぁ、まぁこういうのも悪くはないというべきか――」
悪戯が楽しいと笑う彼女こそ、平和の証拠なのかも知れない。
何時もは一人きりの部屋に彼がいる。それが当たり前になったのはいつからだろうかと鼻歌交じりに蜻蛉はチョコレートを一粒摘まみ上げる。
「ほら、あーん。おくち開けて、大人しゅう堪忍して?」
「あーんって……あのなぁ、いい歳したおっさんをからかうんじゃねぇよ、嬢ちゃん……!」
悪戯っ子の様な甘い笑みに縁は驚いて肩を竦める。遮るための手は宙を彷徨って、この歳でと呟いた言葉にも一枚上手のお返しが。
自分で食えると並べ立てた言い訳は軽く流されてチョコレートが一足先と唇に飛び込んだ。
「誰も見とりませんよって。はよお食べてくれんと溶けてしまう」
微かに空いた口内へ飛び込んだ一粒と共に指をわざと唇に宛がって、悪戯が完了したというように蜻蛉はしたり顔。
味なんざ分かるわけないとぼやいた縁の双眸が蜻蛉の指先を追いかけて――ぺろ、と彼女の唇に吸い込まれたのを見て咄嗟に顔を背けた。
「……ったく、勘弁してくれ……っ」
そんな光景消えるわけもなく。赤い顔を片手で隠した彼を覗いて蜻蛉は小さく笑みを零した。
「今日もお仕事なのつまんない……」
カフェで忙しなく動き回るグレイシアをカウンター席で眺めて居たルアナは拗ねたように頬とカウンターを引っ付ける。
グラオクローネは儲け時。特別メニューで客をもてなすグレイシアはルアナの気持ちは分かれど、流石に店を閉めるわけにも行かないと彼女をちら、と見遣った。
折角の『チョコレートを渡す日』だというのに、彼への不揃いなチョコレートは冷蔵庫の奥でおやすみなさい。楽しげにチョコレートケーキを食べる客達を眺めればじんわりと悲しみが迫り上がる。
「……本当なら、休憩の時にでも渡すつもりであったが」
ルアナと名を呼んで彼女だけのとっておき。特別製のチョコレートをカウンターへとこっそりと置いた。
「これ貰えるの?」
唇が震える。感極まったように滑り出した声は、余りにも間が抜けているようで。「ルアナもおじさまにね! 準備したやつがあるんだけど……」と慌てて言って取り出せば不格好なチョコレートがやっとおはようと笑うよう。
「ふむ……それなら、後でいただくとしよう。休憩時はホットミルクでいいか?」
「じゃあホットミルクと一緒にこれ食べる!」
約束ね、と背伸びしてにんまり微笑んだルアナは「いらっしゃいませ!」と来店を告げるベルに挨拶をした。
イメージトレーニングは完璧。いつも以上にばっちりとドラマは息を吸って吐いて。
「レオン君、こんにちは! ……お仕事中、ですか? そろそろ15時で、良い時間ですし……少し休憩しませんか?」
「何? グラオ・クローネって?」
小さく笑ったレオンに一筋縄ではいかない師匠だとドラマは「ええ、そうですけれど」と目を背けた。
「……どうしたのです? こっちを見て。ほら、食べれば……え? どうして、食べないので……そ、そんな、見つめてどうしたのですか!?
言ってくれなきゃわから……わかりましたよ、もう……こちらに来てください」
目線だけで彼が何を求めているか分かる。屹度こっちの根気負けだ。『ドラマの理想』を知りたいとでも言うような悪戯な視線にドラマは息を飲む。
膝をぽん、ぽんと叩けば彼の頭の重みが掛る。「あ」と口を開いた彼にドラマは「あ、あーん……」とか細い声で一粒摘まみ上げた。
今日はグラオクローネだから。森の小屋へと彼を招いた清はレンが「お邪魔する」と入ってきたその声一つで声を跳ねさせた。
「レン様~~!」
胡座を掻いて座った彼の膝元にすぽりと収まって、嬉しそうに実を揺らした清は「えへへ」と小さく笑う。
遠慮がちだった彼女も今はすっかりと甘え上手だ。「えっと」と「あのね」を繰り返す。
「今日は、その……グ、グラオ・クローネ、ですっ。ちょっとだけ……多く作り過ぎてしまった、ので……」
「ふむ。手作りチョコ、清が手ずから食べさせてくれると更に美味しいのでござるがね?」
え、と慌てた清は「あ、あーん」と頬を真っ赤に染めながら、レンが求めるままに口へと運ぶ。そんな恥ずかしそうな彼女が愛おしくて。
「おっと、清の指に溶けたチョコが」
「ひえっ!? ゆ、指まで舐めちゃ……っ!? うぅ……お、お恥ずかしいです……」
慌てる清はそれを振り払えない。指先のチョコレートをしっかりと舐めとって揶揄うように笑ったレンへと目を伏せて頬を染める。
恋人になってからもう少しで2年。それでもはわはわとしてしまうから。大人な彼に悪戯をしてみたい――けれど、出来なくて。
だから、貴方には秘密の悪戯を考えた。
「ねぇ、チョコはもう満足しました、か?
その……ももう一つ、差し上げたいものがありまして……わ、私……なんていかが、です? この後時間がございましたなら……な、なーんて!」
「はい、今年は生チョコなるチョコに挑戦しみたんです。
でも溶けやすいチョコですからね、早めに召し上がって頂けるとその、嬉しいです……な、なんなら! アーンでも……して差し上げましょうか?! ……な、なーんて! 出過ぎた真似、でしたか?」
照れながらもエルスはもじもじと言葉を紡ぐ。勝利するルートは全く見えないが、ディルクが此方を見て笑っているだけで幸せなのだ。
「ディルク様が求めて下さるのなら、私はどんな事だって構わないのですが! え、いえ! 無理にとかではありませんが?!
どちらかと言うとやってみたいと言う気持ちは?! ハッ! な、何を言わせるんですか! ……むぅ」
「まぁ、お嬢ちゃんならそうだろうな。だってわざわざ誘ってきた位だし?」
分かっているとでも返すから。エルスが唇尖らせればディルクは小さく笑った。
「そ、それで? この……『お嬢ちゃん』の提案には付き合って下さるんですっ?」
「お嬢ちゃんがそうしたいならな」
そんな狡い。エルスは練習したのにと頬を赤らめながら「あーん」とそう言った。食べさせるという行為は優越感を感じるから。
愛しい人だとか、恋人だとか。そうした風には見てはくれないのかも知れないけれど――少しずつでも距離を詰めたいから。
「ディルク様。もっと、あーんしますか……?」
●
エストレーリャの部屋で二人。ごろごろと寄り添ってぬくもりに甘えるように。
手作りのチョコレートを口に一つ運べば「美味しい」とエストレーリャが笑みを零す。
「ねえ、ボクも」
甘えたその言葉におかえしにチョコレートを一つ。食べさせ合いっこだねと揶揄い微笑んで。
ソアはぱちりと瞬いた。「口に付いてるね」とぺろりと口元を舐めとれば、エストレーリャの体温がぐっと上がった。
悪戯なんて、ずるい。
「――ボクまだ足りないよ」
そう言って目を瞑って待つのだって狡い。冒険中だったから、『きちんとした』のをしたくて。
赤らんだ頬に、緊張したままエストレーリャは唇と唇をくっつけた。とびきりの大好きを込めて重なり合えば、溺れてしまいそうなほどに甘い。
「今日のソアは、とっても。甘いね」
ぎゅう、と抱き締めてくれたそのぬくもりに頬を擦り寄せた。とくとくと音を立てた鼓動が、心地よくて。
エスト、エスト、ソア、ソアと何度も名前を呼び合った。そうして、名を呼んで擦り寄って、体温を分ける事が幸せで。
「ねぇ、おかわりは?」
――もちろん、と。『おかえし』をするように甘く囁いて、唇で愛を運んだ。
ハート型のチョコレートを作るぞ!
フランはそう考えた。緑色のエプロンを身に纏い居候先のパン屋のキッチンで懸命に手作りのチョコレート作りに励み続ける。
「えっとえっと、チョコを湯煎して……湯煎? お湯で溶かせばいいのかな? んぎゃー違う! なんでー!」
失敗を繰り返す。パン屋さんは心配してるがフランに最初から最後まで一人で作ったグラオクローネを経験させてやりたいのだろう。
「どうしよ、買っといたチョコの材料あとちょっとしかなくなった……えっとボウルにお湯入れてそれでボウル重ねるんだね!
お湯入らないようにそーっとそーっと……出来たら型に入れて、冷やして、包む!」
無事に其処まで進んだとチョコレート塗れの顔をして安心したフランはふうと息を吐く。
「えへへ、喜んでくれるといいなぁ。大好きなお友達……お友達? あれ……なんだろ、なんかお友達じゃ、ちょっと違う顔も浮かんで。むむむ?」
とても不思議な心地なのだとフランは唇を尖らせたのだった。
これはとても良い機会なのだとリックは銀の森へと里帰りして精霊種達にチョコレートを配布していた。
普通の精霊達にも感謝の証として渡せば嬉しいとひらりひらりと雪が舞い落ちる。幻想的なその空気の中でリックはそっとコチラを覗き込む影に気付く。
「エリス様!」
エリス・マスカレイド――精霊である。彼女にチョコレートを手渡せば嬉しそうに笑みを零す。
リックは絶望の青の攻略やカムイグラの話、英雄譚に参加している精霊種について堂々と語って見せようと微笑んだ。
精霊達は喜ばしいというようにその周囲を踊り、聞かせてとおねだりをして。
●
「お、お嬢様。お茶菓子に丁度よいものが、あ、ありましゅてっ!? うぅ、こ、こんな筈では……!」
噛み噛みでレジレジしてしまうレジーナ。突撃! お嬢様! を遂行したのは何もレジーナだけではなかったようで。
「ハッピーグラオクローネ、リズちゃん!」
青薔薇の庭園――優雅にティータイムを過ごしていたリーゼロッテの元へとルル家は訪れていた。
イレギュラーズが『来る』事が分かっている(小)悪魔は使用人達に招き入れるようにと指示をしていたのだろう。
「……リーゼロッテ様……ワシと面会していただきとても名誉でありますじゃよ……。
いつかワシは強くなりリーゼロッテ様の為に……それまで楽しみにして欲しいと思う……。そ……それと……実は……」
もじもじとチョコレートケーキをラッピングした箱を握ってオウェードはリーゼロッテをちら、ちらと見遣った。
相変わらず表情の色ひとつ変えやしないお嬢様は「皆さんが来て下さって嬉しいですわ」と唇に聞こえの良い言葉を並べている。
「ふふん、リズちゃんにグラオクローネの贈物ですよ! 拙者の手作り!」
「リズ、ボクも手作りでいろんなのを持ってきたんだよ。友チョコ! 受け取って欲しいのだー」
犬や猫、兎と言った動物の型を使用したチョコレートは模様や目をホワイトチョコで丁寧に描いている。セララは「どれが好き?」とにんまりと微笑んだ。
もじもじとしながら箱を抱えたオウェードの傍らで同じようにもじもじとするのはレジーナ。
「え、えーと、フォンダンショコラなど作ってみまして……お、お口に合うとよろしいのですが」
「レジーナさんの事ですもの、其れだけじゃ無いと思って居たのだけれど?」
「――――ッ、わ、我(わたし)を食べてなんて。い、言いませんよ!? もうお嬢様は冗談が過ぎるのですから!」
――因みにレジーナは、ミハイルに『レジーナフィギュア』の作成を依頼していたのだけれど、それは秘密の秘密なのだ。
ジェラシーが滲んだオウェード。チョコレートの紹介をするセララにはっとしたようにルル家が振り返る。
「何者!」
「いやいや、只のファンドマネージャですよ。
おはようございます、リーゼロッテ様、今日はグラオ・クローネですね。ところでカバンには、まだ若干の余裕があるのですが」
小粋なジョークを一つ。小さなチョコレートでも良いのですけれど。眼鏡の位置を正してそう言った寛治にルル家がはっとしたようにリーゼロッテに向き直る。
「拙者もリズちゃんからチョコ欲しい! じたばた。あわよくば手作りが良い! じたばた」
「………」
じろりとリーゼロッテの「お前の所為だぞ」という視線が飛んできた気がするが寛治は気にせずにそっと一輪の青薔薇を差し出した・
「ハッピー、グラオ・クローネ。佳き一日をお過ごしください、リーゼロッテお嬢様」
幻はサリューの主であるバダンデールにチョコレートを送ることを考えた。余りに会えない相手である。チョコレートを手渡すことも叶わず、其れが彼の手に渡ったかどうかも定かではない。
それでも良い。幻にとっては知的好奇心と知的闘争心を満たしてくれる相手だ。滅多に会えないからこそ『思いを募らせるように』贈物を用意したのである。
Aile Der Papillonと名の付けたチョコレート。蝶々の羽を模したチョコレートが羽ばたき届いたのかは――
旅人である青年、クランドを連れてつつじは幻想の街を歩く。親友同士でのグラオクローネの買い物はストリートチルドレン達へのプレゼントだ。
大きな街になれては居ないクランドはどこかそわそわとして居て。
「普段から子供らにあげるお菓子とかクランドと飲むお酒は持っていってるけど、今日はちょっと特別やね。
これは感謝の贈り物やから! ウチだって皆のことを思ったら依頼頑張れたりしてるんやで。やから――」
コレ下さいと次々購入しようとするつつじにクランドは「おいおい」と肩を竦めた。
「おいおい、そんなに沢山食えるかよ」
「ええの。ウチが奢るから! だって高級なチョコやったらウチも食べたいし! ねぐらに帰ったらチョコパーティーするんやー!
ついでにクランドと飲むお酒も買っちゃおう。あ、チョコレート使ったお酒とかある!
皆で好きなもん食べて飲んで過ごす特別な日、素敵やもんな!」
心躍らすつつじを見遣ってからクランドは「まあ、悪くはないか」と小さく笑った。
ダイヤにグラオ・クローネの贈物をした。大地はハードカバーの本に黒猫の栞、チョコレートボックスと準備を整えていた。
勿論、本はダイヤの好みそうな挿絵が多い者を。言葉遣いも柔らかいファンタジー小説ならば喜ぶだろう。
栞はへなへなにならない鉄製を。チョコレートはよさげなものを買ったが、果たして喜んで――「大地」
「うわぁっ!?」
「贈り物は受け取ったゾ。アリガトウ、すごく嬉しい。その上デ、オマエに一つ頼みがアル」
喜んでくれたなら良かったとダイヤをまじまじと見遣る大地。ダイヤは楽しげに亜麻色の髪を揺らして小さく笑った。
「あのサ、大地。オレにその首、クレ。切ったりなんかしないッテ。……今日はオマエを『抱きたくて』仕方無いんダヨ」
「……いや、俺は頼み事に弱いというか」
しどろもどろになった大地にダイヤは恍惚の笑みを浮かべて、その耳元で囁いた。
――ジャア、オマエの部屋で待ってるカラ! ちゃんと来いヨナ!
●
グラオクローネで盛り上がる街をぼんやりと眺める椿に気付いて日澄はぱちりと瞬いた。日澄と言えば鳥カフェから鳥の餌でも摘まもうかと考えていた位ではあったが――
「ね、お兄さん。お連れの方はいるのかしら? もし良ければ、今すぐにでもあなたに触れられる距離まで行っていい?
「そうだねぇ。ふふ君のように愛らしい子なら俺は構わないよ? さ、こちらにどうぞ?」
揶揄うような椿にそっと近づいて日澄はその髪に指先を通し――何かの声が聞こえた。
「……多すぎてどのお店に入るか迷っちゃうかも。助けてトリヤデさん! ……ってちょっと、どこいくのー?!」
グラオクローネを堪能したいミストはトリヤデさんを追いかけていく。
何処へ行くのと慌てるミストは距離の近い椿と日澄に気付いて瞳をきらりと輝かせた。
「わっふー☆ねぇねぇ何してるの!? 僕達も混ぜて☆」
邪魔が入った、運が悪い――とは思わずに此れも得がたき幸運かと微笑んだ日澄。
「あら、ミスト様♪ ご機嫌よー! このお兄さんがメニューの端から端まで全部奢ってくれるって」
「ほんと!?」
ミストがきらきらと瞳を輝かせれば、その背を追いかけてくるのはミスティである。
「やぁ日澄さん、と……誰……? また知り合い増えたの、ミスト?」
「この2人はトリヤデぬいを持ってるから良い人だよ! 安心してミスティ!」
巻き込まれた側であると認識するミスティに椿はくすくすと笑った。瓜二つのかんばせに、トリヤデさんがぱたぱたと翼を揺らしている。
「君たち可愛いね。双子かな?もし良かったら……君たちも一緒にどうかな?」
「双子ではないけど…まぁいいか。はじめまして」
此れはもしかしてナンパと言うヤツなのではないだろうか――そう考えたが、時既に遅しである。ミスティは曖昧な笑みを浮かべて「ああ、どうも」とだけ返したのだった。
ニルは考えた。いつもお世話になっている人になにか、と。グラオクローネをオススメしてくる店員は手作りをオススメしてきたのだった。
「がんばってみることにしました。作るのはチョコケーキです。かんたんなレシピだよって教えてもらいました」
ニルは料理をするのは初めてだ。レシピを見ながら計って混ぜて、きちんと計測すれば時間は掛るけれどなんとか出来る筈だと考えて。
クリームは上手く絞れなかった。飾り付けも不格好。たぶん焦げてはいないけれど、美味しいかはニルには分からなくて。
(おいしいって言ってもらえるといいな、おいしくなかったらどうしよう)
其れを持って、出掛けよう。うずうずそわそわしながら。おいしいと返してくれる事をちょっぴりと期待して。
「二ルがつくったケーキ……おいしい、ですか?」
部屋の窓際でグリジオに膝枕をしながらアセナは外をぼんやりと眺めて居た。グリジオから貰ったチョコレートを頬張りながら街行く人々を見詰めている。
穏やかな呼吸を繰り返して寝ているか起きているかも定かではない空気の中でグリジオは彼女から香るチョコレートの香りに酔い痴れていた。
「グリジオ、チョコレートをありがとうね。この歳になっても、息子から何か貰えるのは嬉しいものね。……寝てしまったかしら?」
問えども答えは返らない。アセナはくすりと微笑んでそっと彼の髪を撫でた。
「ふふ、膝枕が好きなのは昔から変わらないわね。
……あら、美味しい…甘くもなくて、苦味が良い味出してるわね……お返し、楽しみにしていてね」
囁く。息子から母への愛。その中にこっそりと潜めた『特別』はきっと――まだ、必要ない。この関係が今は心地良いからだ。
――皆とお茶会でした。今日も幸せでした。
卯月はそう心に留めていたが「残って欲しいそうですよ」とマッドハッターの研究所の研究員に声を掛けられて首を傾ぐ。
最大級にカワイイ私で来た三月うさぎてゃんは緊張したように待ち続ける。
テーブルの上にはティーセット、紅茶と手作りチョコレートが並んでいる。
そんな好きな人×好きなものという世界一の幸せにこっそり並んでいる三月うさぎてゃんの気持ちを誰か文字にしてほしい。
「ああ、特異運命座標(アリス)――贈物を有難う。君だろう? 三月うさぎてゃん、だったかい?」
そう声を掛けられればひょ、と言う声が出たが、微笑んだ。最大級にカワイイ私、頑張るのだ。
「マッドハッターさん、紅茶とチョコレートはいかかでしたか?」
「ああ、美味しかったよ。また、頂けるかい? 君のセンスは私にぴったりのようだからね」
そんなことを言われたら死んでしまいます――!
●
「幻介先輩いないんだけどぉ!?
なんでフラーゴラ先輩がローレットから逆の方へ行ったのかと思えば……もう依頼に出発してるじゃん! 仕方ないから男衆共が帰ってくる夕方まで待つっす……」
夕暮時まで時間を潰して、皆の様子を眺めていたウルズは溜息を漏らす。早朝から仕事に出掛けた幻介が帰ってきたみたいだと亮が『こっそり』教えてくれたことに顔を上げ、走り出した。
「やれやれ、中々手間の掛かる仕事で御座ったな……まさか、早朝から夕刻まで掛かるとは。
にしても、何やら街中の雰囲気が妙な感じで御座るな……浮き足立っているとも言えばいいのか」
ああ、そんな。近くに来てると思えばシミュレート内容は吹き飛んだ。ウルズの頭がパンクしそうになっているのとは対照的に幻助は何が起こっているかなど分からない様子で。
「ウルズ? 何かいつもと雰囲気が……変なものでも拾い食いしたのではあるまいな、本当にどうしたで御座るか?」
「せ、せん」
言葉が紡げない。ウルズは前に飛び出して、「これ、あげるっす」と絞り出した。帽子で顔を隠してずい、とサス出したのは赤い紙袋。
「……? ……これを、くれるので御座るか? よくは分からぬが……ふむ、尋常でない雰囲気で御座るし。あい分かった、ありがたく頂こう」
受け取った幻介を置いて駆けてゆくウルズ。其の背を見送った後で、亮達に「おめでとう」と囃し立てられたのはまた別のお話なのである。
随分遅い時間になったのだと世界は慌てて境界図書館へと向かった。
「……あれ?」「おやおや」
ジェミニが掛けた声に世界は「ああ」とチョコレート取り出した。日頃の礼である。無茶をしたという彼は知っている全員に渡したいと考えていたのだ。
「クレカなら他の皆と一緒だよ」
「ねえねえ、それってなに?」
問い掛ける双子の星に「秘密だ」と世界は小さく笑った。館長殿に許可を貰ってから日頃のお礼を行おう。図書館は夜も知らずに賑やかな空気を感じさせて。
――一日の終わりがやってくる。
「こんばんは、フランさん! 今日はおつかれさま!
私にとっては、フランさんもルクア君も大事な友だちだから、ちゃんと伝えたくてね」
アレクシアはケーキ屋の包みをそっと持ち上げた。珍しく聖職者らしい衣服に身を包んでいたフランツェルは「有難う」と笑みを零す。
「着替えをしてくるわ。アレクシアさんが良ければルクアを迎えに行って貰っても?」
「勿論!」
一緒に茶会をしましょうと、ルクアが出られる範囲を指定するフランツェルにアレクシアの心は躍った。
不治の病に蝕まれる友人はコチラの姿を見るなり驚いた顔をしてから「チョコは無いわ」と囁くのだ。
「用意しておいたよ。ルクア君も一緒にお茶会をしよう。話したい事は沢山あるんだ。海の向こうの国とか、驚くようなことばっかり!
絶対に、ルクア君にもみせてあげるからね。もういくつか、一緒に見に行きたいなってところ考えてあるんだから!」
君が、目を輝かせて「一緒に行こう」と微笑んでくれる日が来るように。アレクシアはそう願うようにルクアを車椅子へと乗せ替えた。
「アレクシア、その――私はチョコレートは甘い方が好みなのだけれど」
「勿論、とびっきり甘いチョコレートも用意してあるからね!」
だから、君が笑ってくれるようなグラオ・クローネを。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
皆さんの素敵なグラオクローネになりますように!
GMコメント
夏あかねです。自由行動出来ます!
●グラオ・クローネ
グラオ・クローネの細かな御伽噺については特設ページをご覧下さい。
簡単に言えばバレンタインデーです。混沌世界では感謝を伝える日であるとされ、男女関係なく贈物をすることが多いです。
女性が愛を伝える人も言われているので、男性の中にはチョコレートを心待ちにする人も居るのかも……。
再現性東京ではバレンタインデーと呼ばれ、チョコレート催事も盛りだくさんだったようですよ。
●プレイング書式
一行目:【場所】
二行目:【行動】
三行目:【グループ】or同行者(ID)
四行目:自由記入
例:
【ギルド】
【1】
リリファ・ローレンツ(p3n000042)
●場所
※当シナリオでは名声は【深緑】に入ります。
何処へでも行くことが出来ます。大きくは【ギルド】【幻想】【鉄帝】【練達】【ラサ】【天義】【海洋】【深緑】【豊穣】【その他】
妖精郷は深緑に、再現性東京系列は練達にお願いします。
ギルドはご自身の所属ギルドハウスや自宅です。自宅でのんびりと言う場合はギルドをお選び下さい。
●行動
【1】前日(2/13)
前日の準備風景です。チョコレートを作ったり贈物を選んだり、前日の準備の様子を描写します。
自由行動ですので、お部屋をお掃除して当日に備えるぞ! でも良いかと思われます。
チョコレートを作って当日に思いを馳せる……なんてのもとっても可愛いと思います。
希望ヶ浜などではバレンタインの催事が行われているようです。様々なチョコレートが並んでいるのも圧巻ですね。
【2】当日(2/14)
当日です。グラオ・クローネの当日です。各地のカフェなどではバレンタインメニューが楽しめます。
ご自宅で意中の相手にプレゼントを贈るのも良いですし、デートに行くのも良いかと思います。
また、チョコレートを当日に作るぞ!というのもアリだと思います。一緒に作るのとかも楽しいですよね。
基本的に自由行動です。バレンタインピンナップの様子をここで、というのも大歓迎です!
例として深緑での過ごし方を。
アンテローゼ大聖堂ではファルカウへの祈りが行われています。聖堂近くではグラオ・クローネの茶会を開いているそうです。
ファルカウでも様々なグラオ・クローネメニューを出す飲食店が存在して居ます。
また、妖精郷では「楽しいのー!」と甘いチョコレートを楽しむ妖精達の姿がみられるそうです。
【3】その他
上記に当てはまらない&もっと先から準備をして居るぞ!と言う場合は此方をどうぞ。
基本的に何でも受入れる枠です。お楽しみ頂ければ嬉しいです。
●NPC
一応深緑メインです。深緑NPC&夏あかねの担当NPCがおります。
また、担当がついていないNPC(音呂木・ひよの)等もお声かけ頂ければと思います。
各GM担当NPCにつきましては無制限シナリオですので参加者として遊びに来る場合も御座います。
(お声かけ頂くでもOKですが、お返事が叶わない場合もあります。また、書き手が違う都合で記憶喪失になる場合も……)
出来る限りのNPCへのお声かけにお返事差し上げたいと考えておりますが、ご要望にお応えできない場合も御座いますことを予めご了承下さい。
(シュペルや鉄帝上層部等は申し訳ありません……。ローレットに友好的であったり、お会いしやすい立場のNPCであればご挨拶に窺えるかと思います)
●EXプレイング
解放しておりますので関係者さん等とのグラオ・クローネにもご活用下さい。
それでは、みなさんの素敵なグラオ・クローネになりますように。
Tweet