シナリオ詳細
<マジ卍文化祭2020>メインステージ
オープニング
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そこはまるで――《東京》であった。
再現性東京――それは練達に存在する『適応できなかった者』の過ごす場所だ。
考えても見て欲しい。何の因果か、神の悪戯か。特異運命座標として突然、ファンタジー世界に召喚された者達が居たのだ。スマートフォンに表示された時刻を確認し、タップで目覚ましを止める。テレビから流れるコメンテーターの声を聞きながらぼんやりと食パンを齧って毎日のルーティンを熟すのだ。自動車の走る音を聞きながら、定期券を改札に翳してスマートフォンを操作しながらエスカレーターを昇る。電子音で到着のベルを鳴らした電車に乗り込んで流れる車窓を眺めるだけの毎日。味気ない毎日。それでも、尊かった日常。
突如として、英雄の如くその名を呼ばれ戦うために武器を取らされた者達。彼らは元の世界に戻りたいと懇願した。
それ故に、地球と呼ばれる、それも日本と呼ばれる場所より訪れた者達は練達の中に一つの区画を作った。
再現性東京<アデプト・トーキョー>はその中に様々な街を内包する。世紀末の予言が聞こえる1999街を始めとした時代考証もおざなりな、日本人――それに興味を持った者―――が作った自分たちの故郷。
――ならば『故郷を再現するため』『日常を謳歌するため』に『学生として』欠かせないイベントが存在した。
それこそが、学園祭である。
希望ヶ浜学園では例年9月に文化祭を10月に体育祭を行っていた。その二つのイベントは開催時期が近い物の別物として認識されていたのだ。
「折角特異運命座標が特待生としてやって来たのだから、お祭りももっと盛り上げるべきでは?」
そうして、行われたのは二つのイベントを合わせたイベントの名前募集である。
紅爆祭、軌跡祭 『Road to glory』、光明祭、みんな大好きフェス!、爆肉舞闘祭、タイガーVDM祭り、銀杏祭、暁光祭、希掲祭……様々な『提案』を経て――決定したのは当初、実行委員が全力で反対したその名前!
そう! マジ卍祭りである!
●
マジ卍祭り、文化祭――その開催が決定したこの9月26日。
学園内は浮き足だった.例年よりも更に規模が大きく自由な校風も相俟って催し物も様々だ。
メインステージとして校庭に設置された簡易ステージでは『ミス&ミスター&性別不明コンテスト』なる物が開催される。
校舎の各教室でもメイドカフェやお化け屋敷、展示……はたまたこの祭りに乗じて現われた『夜妖退治』等など……。
イベントが盛り沢山。学食でも『学祭オリジナルメニュー』が発表され、食べ歩きが出来るようにと学生食堂による屋台群も立ち並ぶ。
「ほほう」
ぱちくりと大きな眸を瞬かせたのは『猫鬼憑き』綾敷・なじみ(p3n000168)であった。
「ほうほう」
希望ヶ浜地区に存在する『普通』の高校、無ヶ丘(なしがおか)高校に通う彼女にとって希望ヶ浜学園は『イベントがなければ中々入れない場所』だ。それも、これほど華やぐイベント会場に化しているのだ。心が躍って仕方ないというようにスカートの中から二股の尻尾がちらりと見える。
「なじみ、尾が見えてますよ。まあ学園祭でコスプレをして居る生徒もいますから其処まで気にしなくて良いでしょうが……」
外部からやってくる『普通の人間』たちに対しての神秘の秘匿が緩くなるのもこの日だと音呂木・ひよの(p3n000167)はそう言った。
「今日ばかりはなじみさんもとってもとっても馴染んじゃうね! うんうん、とっても楽しい気分。
ひよひよはこれからメインステージに行くの? 私はもうちょっと色んな屋台とか見てみたいなー!」
「ミスコンとかも有りますし、メインステージは見ていて損はないでしょうしね」
『マジ卍祭り・文化祭~どうしてこのネーミング2020~』と書かれたパンフレットを手になじみはぐるっと回ってきますと敬礼一つ。
見送るひよのはふと気付いたようにくるりと振り返った。
「ああ、あなたでしたか。特待生さん。
マジ卍祭り――と言う名前にあなたが納得したかはさておいて――の文化祭が始まりましたね。
校舎内ではメイド喫茶やおばけ屋敷等など、オーソドックスなものから突拍子のないコスプレ体験。それから、各部活動の個展や発表を見ることが出来るはずです。
体育館に行けば運動部のレクリエーションやクラス演劇や軽音バンドの演奏も見られるでしょうね。勿論、幼稚舎から大学までありますから、体育館の数も多いですし校舎の数も多い……のんびりと見て回れば良いと思います。
あ、それから。特待生さんにもこれ、渡しておきましょうか。
……え? 何かって? ああ、メインステージの『ミス&ミスター&性別不明コンテスト』の参加券です。
今、参加者を募ってるらしいですから興味があれば出場してみては? 投票券もセットみたいですから友人を応援しても良いかも。
性別なんて自己申告ですから女装や男装をしての出場も良いと思いますよ。
ああ――最後に……夜妖には気をつけて。何処にだって、居ますから」
- <マジ卍文化祭2020>メインステージ完了
- GM名夏あかね
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2020年10月15日 22時10分
- 参加人数81/∞人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 81 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(81人)
サポートNPC一覧(3人)
リプレイ
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希望ヶ浜学園文化祭――が、マジ卍学園祭という名前になったことはさておいて――は盛大に盛り上がりを見せていた。
「ミスコンか」
そう呟いたのは武器商人。普段は学校で呼ばれ辛いが大体番号で呼ばれるし小鳥も喜ぶだろうからとやる気を見せた彼の傍らでにんまりと『紫月』でエントリーを進めているヨタカ。
「月の光のように艶やかな髪の毛、雪のように白い肌、時折見える瞳はまるでアメジストを彷彿とさせる輝きにため息が出るほどだ。紫月の出番の時は最高の音楽を奏でるよ」
囁くヨタカに武器商人は頷いた。彼が喜ぶなら何だってして見せよう。
「あの、もしかして、どこか行きたいところ、ある?」
白くぴょこりと耳が動いている。フラーゴラを見詰めてオデットは首を傾いだ。
良ければ案内すると告げたオデットにフラーゴラは小さく頷く。
「そういえば、何かステージで見たいものあるの?」
「あの、えっと……気になる人が出るから……」
「! そっか、好きな人が居るんだ! 素敵だね」
にっこりと微笑んだ。まさか本当にミスコンが開催されるなんて、と呟くフラーゴラにくすくすと笑ってオデットは「学園祭って凄いね。楽しすぎて、こんなに楽しくって良いのか心配になっちゃう」と笑み零す。
「オデットさんは人が幸せになるのが好きなのかな……?」
「わたしは自分の意思で幸せを選んでる人が好きなんだ! だから、フラーゴラちゃんのことも好きになっちゃった」
何時か幸せな恋がしたいなあと微笑んで、フラーゴラとオデットはライブステージへと向かい歩いて行く。
「ははあ。ミスコンと聞いて黙ってはいられないわね。ミスコンってことはあれでしょう。
様々な属性、十人十色の可愛い女子が緊張も露わに己をアピールする、こそばゆくも愛おしい素晴らしい催し! しかもそれを合法的に見物出来るんだから、行かない手はないわ!」
強きレズ(語彙が強い)たるゼファーは胸を高鳴らせて直ぐさまにミスコン会場に向かっていた――が、実行委員に丁寧に案内されてあれやあれやとドレスとメイクがチェンジする。
「これはドレスコードってやつかしら? で……なんで私がステージに立ってるのかしらねえ」
出場者に間違えられたのかと肩を竦める。だが、ここで間違いなんて言えば女が廃るのだ。
「よっしゃァ! よく分かんないけど私の歌を聴けェ!!」
その様子に「マジ卍!」とびしりと挨拶したのは月美。折角のお祭りだからこそ皆で楽しもうと心を躍らせたが――「……パパやママ、お兄ちゃん、お姉ちゃん達や友達の皆は元気かな……」とアンニュイな表情を覗かせる。
赤色の『KIBOUGAHAMA 10』と書かれたユニフォームを着用してバスケ部として月美は堂々とコンテストへ参加した。
「戌井月美です! 女子バスケ部に所属しています! よろしくお願いします! 見てください! バスケは楽しいですよ!」
フロントチェンジ、レッグスルー。ドリブルならお手の物。そんな月美へ良ければレクリエーションもどうですかーと観客から声が上がった。
「飛び入り参加ですが大丈夫ですか?」
どうぞ、と司会が一声居れば、中華風のカンフー服を身に纏ったイスナーンがアクロバットに舞台へと飛び上がる。
「シェイシェイ!」
文化祭は楽しいとチケットを手にしていた凛太郎は「朔姉も飛び入り参加しないのか?」と首を傾いだ。
「朔姉なら絶対入賞出来るって! ほら、あの衣装とか可愛……い……い……いや、アレは流石に恥ずかしいよな……」
「よしよし、もっちー君がアレが好きならあれを着てみようかな?
うん。このちょーーーっとセクシーな00年代を感じる露出の高めのメイド服ってやつね。そりゃあ私が着たら似合うけどまあタダで見せるわけにはいかないから……ね?」
朔がにんまりと微笑んだ。じりじり、と迫ってくるそれに凛太郎は「え?、見たくないのかって聞かれたらそれはその」とごにょごにょと呟く。
「じゃあ、出ようね。もっちーも可愛い女の子になるんだよ。いいね?」
「……え? 俺も出る? アレを着て? ……なななななななんでだよおおおお!?!?
にっ、逃げっ……畜生!! こういう時だけ機動力を活かしやがって!!」
――凛太郎の無事はいかに……。きっと、朔ならば凛太郎に素敵な衣裳を着せてくれるだろう。
ざわめきが上がる。ミスターコンテストに登場した謎の褐色艶やか青年X!
浴衣に身を包んだスマートスタイルの『五郎さん(仮)』が壇上に上がったからだ。
アピールポイントは鎖骨と流し目。それだけで女生徒の溜息が聞こえてくるようだ。
何時ものゴリョウ・クートンと言えば食堂で調理の手伝いをしている。今日はゴリョウさんは屋台をせずにステージに出ると言っていたが――!?
あのかっこいい人は誰なのと叫ぶ女生徒は今後彼を見つけられないだろう……。気付けばいつも通りのオークがぶははと笑っているのだから――
女装男装は一先ずはミスコンへとひよのに背を押されてチャロロが間藤はクラシックナース+甘ロリモード。女装ショタをお望みの皆さん歓喜の様子でそわそわと舞台へ上がる。
手芸部は喜び乍らチャロロの衣裳を準備したようで「チャロロくんがんばってー!」と応援が聞こえてくる。
司会の『アピールどうぞ!』の声を聞きチャロロは可愛い雰囲気に歌った後、ウインク一つ。
「御注射しちゃうぞ!」
注射器を持ってウィンク――其方の道の者の皆さんが息を引き取った……。
ヨタカの要望の紫色のベリーダンス。それに合わせてヨタカはピーコックブルーのチャランゴで民族長の音色を乗せる。
「先生の演奏は楽しかろ?ほら、皆も踊ろうじゃないか。どうか我(アタシ)と楽しいひと時を過ごしておくれ」
突然ミスコン会場がダンスパーティーとなったがそれもマジ卍祭りらしくてOKなのだろう。皆、楽しそうに踊り出す。
「もっと見て、俺の紫月を――綺麗だろう…!?」
『えー、紫月さんのサポーター・アルトラルノヴァ先生の圧が凄いようです! でも綺麗ですねー!』
茶化す実行委員の声にヨタカと武器商人は顔を見合わせて笑った。
互いに選んだ衣装で参加するラクリマとライセル。入賞狙いよりは想い出作りで参加の予定なのである。
「ライセルさんは俺にどんな衣装を着て欲しいのかちょっと気になるのです。
ほら、こういうのって好みがでるじゃないですか。あまりライセルさんの好み知らないので――どんな衣装かドキドキするのです……乙女か!」
思わず一人突っ込みをする美しき薔薇(ギャグ)青年ラクリマ――その傍らでにんまりと微笑んだライセルはラクリマなら何だって似合うはずだと色々と衣装を考えたらしい。因みに女装はNGだと言うことで選び取ったのは純白の燕尾服だ。
――以下、ラクリマの脳内である。
王子様(白)とか似合いそうです。魔法使い(白)とかも良いですね。
ああでも、このマントついた軍服(白)とか良さそうじゃないですかね!
片目に眼帯(白)つけたら完成……俺かよ! ←ナルシスト疑惑。
自分の普段着にそっくりの衣裳を手渡すラクリマにライセルは「俺はいつでもラクリマ色なのに」と揶揄った。
「ちが――!」
「二人でお互いの服を選びました。直前まで衣装を知りませんでした!」
叫び、舞台の上でラクリマを抱き抱える「ちょっと!」と非難するラクリマに小さく笑って退場を。こんなにも想い出に残る『ステージ』ないだろうとライセルが揶揄えばラクリマはそっぽを向いた。
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「僕は中等部の溝隠瑠璃! 夢はラド・バウのS級闘士になる事!
僕はいつだって切磋琢磨出来る強者を募集中!
僕を倒せるものは居るか! 居たらいつだって挑戦は受け付けるよ! まあ、何の競技でも僕は負けないから!」
瑠璃が堂々とPRをしている。因みにバニー衣裳である。負けたら何でも一回言うことを聞くと言う宣言も同時に行えば周囲はざわめいた。
「ふふ。そう。ミスコンも戦いだよ」
にんまりと微笑んだラクロス。折角だからとお姫様達を見ていた彼女は「後でお姫様喫茶に来て遅れ」と薔薇を投げ入れた――が。
『そこの男装の麗人! 是非、ステージへ!』と司会より声が掛かる。
「え、衣装はある? ……是非この衣装をって、これスカートじゃないか!!
エスコートしづらいし、そういうのは可愛らしいお姫様が着るから似合うんであって私が着ても似合わないと思うな!? わ、私は王子様になりたいんであってお姫様になりたいんじゃないんだ!!
待って、本当に待って! わー!?」
普段と代わり映えしないなら王子様も今日ばかりはお姫様でどうでしょう――!?
「清楚団(ミルヴィのファンクラブです)のみんなーバックバンドよろしくっ!♪」
マジ卍アイドルを目指すミルヴィ。ダンスを交えたギター演奏のパフォーマンスを見せつける。
女の子は清楚じゃ無くてはいけないと、『清楚(笑)』と揶揄われるが、其れは誰が決めたと歌い出す。
アタシはアタシの清楚道を貫くの~♪ 誰のためでもなく我が為に!
辛くてもまた恋をして人と寄り添いたい……それが清楚じゃないなら 私はそんな清楚はいらないわ♪
清楚! せいそ! SE・I・SO♪ 清楚の道は乙女の嗜み
「さあ、盛り上がってこー!」
ごとん、と大きな音にミルヴィは振り返る。次に出てくる予定であったというメイは手芸部や演劇部に特別なお願いをしていた。曰く――「メイ、あれしたいのですよ! ラスボス!!! すっごく大きくて、派手な衣裳を着て、デデーンと登場するのですよ!」との事である。
舞台の奥を幕で隠して貰ってLEDレーザーで光を発射! 長いドレスにキラキラスパンコール。そして巨大な翼がぶわぁと広がる。
清楚団がざわめきミルヴィが「こ、これがラスボス!」と叫ぶ。
「ドヤ顔なのですよ! これがラスボス!!!!」
――メイはこの間動けなかった。
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「千尋さんがこの学校のトップ決める魂のリリックバトルやるって言った(※言ってない)から、
あたしも参戦しに来たよ! わっつあっぷぶらざー!」
そう言ってマイクをてすてすと叩いたフラン。ハウリングに「んぎゃあ」と美少女あるまじき声が発される。
「ぐぬぬ、手強い……ふ、おもしれーマイクだな
今にあたしが目の前のYOUも! オーディエンスも! このマイクも! ひーひー言わせてやるー!」
此処からマイク総受けステージパフォーマンス合同誌が始まる勢いでフランはリズムに乗った。
「よーちぇけら、深緑生まれ深緑育ち 悪そうなゴリラ大体友達
来たぜTOKYO、入学堂々 気分は上昇、リリファは暴走! おむねはないない、言うやつバイバイ――……あれ? ちょっとみんななんで泡吹いてるのー! ここからが本番なのに、なんでー!? 起きてー!!」
つい意識を失っていたと千尋は危ないと起き上がる。これが他人の精神に干渉するラップバトルーー!
「ステージをジャックしてRAPバトルの開幕すっぞ! (意識を奪わない)一番手は俺達が貰った! 伊達千尋 a.k.a DaTen-Cのお出ましだぜ!
希望ヶ浜に颯爽登場 最高の仲間に圧倒さ諸君! 仲間って誰か? お前らさマイメン! 合縁奇縁に感謝さアーメン!
メインステージ 沸かせる使命 歓声のクエイク 俺こそがメイン
見ろやこのface まるで乙女ゲーム 見ろやこのhead 雄々しきドレッド
聴けやこのvoice 蕩かすポイズン 聴けやこのrhyme 並ぶ物皆無」
「Ai-yo! オレはDusty Lyric 奏でるBeef Junky
魅せてやるぜ最高のBeat! 付いてこいよ永遠にHigh Heads! MC Dusty in da house! Check it out!」
ダスティと千尋のリリックにフランはぐぬぬと唸った。プロです。
「我らこそがローレット これが世界覆すモーメント
狙いすませターゲット 歌い終わるマーメイド
では終わりたくない、泡になるのは俺じゃないむしろお前らに泡を吹かせたい」
何時もとひと味違うのはマッダラー。MADと書かれたTシャツに身を包み練達流行のHIPHOPスタイルで堂々たる振る舞いを見せる。
「マッドな言葉誰にも届かない、でもそれが良い
届きづらい言葉をくみ取ってくれる変わり者との出会い、
隣にいるだけじゃない、目の前で懸命に言葉繋ぎ合う
『好敵手』と書いて『友』と読むそんな関係に思わず笑う。この瞬間が最高」
歌い終われば歓声と共に千尋とダスティ、そしてフランがマッダラーと肩を組んだ。感動が起っている……。
「ラップバトルもいいけど、普通に歌うのもいいよね!」
宣伝の時のように、とほむらの手を引いて彼方はメインステージへと上がった。
『カナタ・ルビーオーシャン』と海紅玉 彼方をイコールさせないようにきっちりと正体を隠して。
天使のモチーフ衣裳の貴方に悪魔モチーフのほむら。手芸部のデザインはバッチリ可愛くて『ファン』受けも上々。
「こ、これは……」
「さ、いこう!」
ほむらが慌てる声が聞こえた気がするが……こうなったからにはきちっとアイドルを頑張って欲しい。
さあ、謳って――!
●
\躍進!ビスコちゃんねる~/
「今日は希望ヶ浜学園文化祭です。同志諸君! ノっているかーい!!
今日の衣装は胸出し肩出しの花魁風和ゴス衣装です! 衣装のスタッフさんに作ってもらいました!」
音ゲー和ロック路線でキャッチーでポップ、誰だって楽しめる演奏をするとビスコはウインク。その豊満ボディをばっちりアピールするビスコちゃん。
その傍らでは雅溢れる緑色――抹茶プリンなマッチョ☆プリンがドラムを叩いていた。
何故ドラムか! 強そうだからに決まっている。
バンド=目立つ、目立つ=強い、強い=己の事。ならば、バンドとは己のことだ!
「ウオオオオ! オレガバンドヲヤルッ! オレガ!オレ達ガ! 滅好御理羅ダ!」
「何だこのバンド名!?」
愕然としたのは「バンドのメンバーが足りねェってか? 照明とかそれくらいしか出来ねェーけど、それでも良いなら……」と手伝いのために参加したアラン・アークライト先生。
「和ロック!? 俺も演奏!? 待て理解が追い付かん!! 俺教員だぞ!!
つぅか俺がギターかよ! しかも和装って! 俺って絵と楽器は全然触ってこなかった人間だぞ!? ええい、クソッたれ! やってやるよ! 剣と同じだろ!?」
剣と同じ(ではない)! だが、それでも何とかしてしまうのがアランだ。
「てめェら見てろや、これが俺の本気だコラァアア!!」
歯ギターで会場のボルテージはマックス。因みに何が何だか分からないが力強いマッチョ☆プリンの抹茶プリンな演奏も追いかけてくる。
「ちなみにバンド名は生徒から公募した。いい名前だと思わないか?
ゴリラは力と智慧の象徴……それがきちんと和風に落とし込まれている」
そう、と目を伏せてそう言ったブレンダ。折角の祭りならば視るだけでは勿体ないとベースとして上半身の着物を開けさせれば男子生徒の叫び声。さらしを巻いているから問題ないと大きなお胸とうっすら割れた腹筋が舞台の上からこんにちはなのである。
「さぁ、アゲていこうか」
舞台で演奏するのは久しぶり。だが、失敗したって問題ないと頷くブレンダの傍らでキラリと輝くビスコちゃんの笑顔が眩しく煌めいている。
「これ、バンド名なんて読むんです……?」
「メスゴリラだ」
「めすごりら、めすごりら。なるほど……?
ま、まあ折角参加させていただく以上はしっかりキーボードとしての大任を果たさせていただきましょう! 義手ですが細かい指の操作は得意ですよ! 伊達にずっと弓をつかってる訳ではありませんからね!」
ふふん、と胸を張った正純。文学少女としてその名を通す大人しい小金井さんが今日はイケイケな姿を見せているのだ。此れには大騒ぎだ。
「え? 21が高校の制服来てしれっと通うのはどうなんですって?
べ、別にいいじゃないですか!! 私だって青春したいんですもん!」
希望ヶ浜学園は性別も年齢も何もかも気にしません! ですから、さあ、キーボードを弾いて正純さん。その音色でビスコちゃんが歌い始めるのだから!
「バンドのボーカル、ビスコちゃんでーす!!(キラッ☆)
この放送はKBH放送の提供でお送りしました! ちゃんねる登録よろしくお願いしまーす!!」
学ラン姿のエクスマリアは腕前はお世辞でならなんとか褒められる程度だが気にしないでくれとドラムの前に腰掛ける。そのドラムを叩く為にスティックを握る手と髪に込められた魂、情熱、根性、ドキドキワクワク、その他素敵なものはいっぱいいっぱい! ――因みに髪の毛でドラムを叩く様子こそが学生達からすれば見世物の一つになった。
「譜面は、覚えた。練習も、した。ドラムの整備も、勿論体調も、万全、だ
だが、うむ。戦場とは異なる緊張と、高揚。思いの丈を、叫びを、楽器に込めて、叩きつける」
任せろとエクスマリアがたん、たんとドラムを叩く。イーリンは嘗てはカタラァナが引き鳴らしたウォーリアータイプのエレキギターを握る。星飾った赤いギター。今はこの舞台で彼女の『妹』と謳うことになる。
「ここにはイレギュラーズ達が大勢集まっている……僕はこう思ったんだ。
皆、己の事をRegulated(制限)されていると。名に反して秩序だとかそういうのにRegulatedされている。
音楽というものは多分僕たちをIrregular(秩序の外側)に飛び出させるものなんだ――あの時の海のようにInfraBLUE(青の外側)へ飛び出そう!」
前口上を堂々と。ベースを担当する後は技量そのものは高くともこの四人では荒削り、それでも響かせたいものがあると告げる。
「さあ、行くぞ――聞け、これがマリアの、マリア達の【InfraBLUE】、だ」
――「……Woooooooo Yeahhhhhhh!!!」
開幕からヴォーカルクレマァダを無視して最大限のアドリブで挑発するイーリン。オルタナで攻めるなら視線を奪わねば負け! エレキのシャウトに負けるヴォーカルなんてこの場には必要ない。
「お行儀よく歌えるかしら? クレマァダ!」
高鳴る心臓の波濤――皆のやりたい音楽をやるなら全力で。クレマァダは目を伏せた。
イントロはイーリンの激しさで。メロディに入るところでスゥと囁く歌で始めた。Bメロでボルテージを上げ、サビでシャウトを――
「クレマァダ! まだ本気じゃないんだろ!?
僕達を縛る檻をそのシャウトでぶち壊せ! それがローグライクな生き方ってもんだ、そうだろ!?」
――「やかましいやつめ!」とクレマァダは小さく笑った。
越えてその先へ その青の向こうへ 流されるのは涙じゃなくて あの日歌った凱旋歌
自分の価値を証明するのは 僕が愛したあの人の ――言葉を嘘にしない ただそれだけの為なんだ ァ ! !
「――さぁ我の歌を聴けぇ!!」
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「お祭りよお祭りー! そうね、何からいきましょうか!
焼きそばとポップコーンとちょこバナナとたこ焼き……あ、一個ずつ? それじゃあ今言った順番にいきましょー!」
えっちらおっちら。歩くトリーネの傍らで結依は「大丈夫か、トリーネ」とそっと歩幅を合わせる。彼女の目的の通りに食べたいものから順番に――けれどその前に人の波にのまれてしまいそう。
「肩、乗るか?」
「おー、すごい! 高いわ! こけー!」
肩乗りニワトリになってトリーネは喜びながら屋台へと。おじちゃん、おじちゃんとはしゃぐ彼女に小さく笑う。
屋台の前に着いたら降ろすぜ
「そういえば、トリーネは熱いとかも平気なのか? 後、甘いの好きか?
俺はなんでも好きだ。……できれば量があるともっと嬉しいが」
「量は種類でカバー! 屋台を制覇しましょう! 美味しい食べ物が私達を待っているのよー!」
さあ、いざ、出発とトリーネが指し示せば結依は行こうかと頷き歩き出す。
「――」
もぐもぐ、と秋晴れの空でナハトラーベはいつもの通り。常に変わらない様子でたこ焼き、焼きそば、フランクフルト……ああ、けれど違うのは此処が学園祭であることだろうか。両手一杯、口いっぱい、食べ物一杯、腹一杯。まさにいつも通りの様子だ。
だが、今回は周囲でモグモグしてるのはナハトラーベと年が近い者も多い。普段は怪奇な鳥女扱いでも学園なら大食いフードファイター属性の無口後輩ポジションで何とかなるかもしれないのだ。
「マジマンジ!! 学園祭もとい文化祭! 希望ヶ浜学園にもそんなのがあったとはねー! いや学校ななだから当然ではあるけどテンションが上がるねー」
紅璃はaPhoneで希望ヶ浜学園祭スレッドを確認している。運動部のパワーにはついて行けないから今日という日は文化部系の展示や屋台を見て回る。
メイド喫茶の活動や『さかさまカフェ』のアピールも怠らず。ついでに夜妖の情報収集もばっちりだ。
……外? 皆にお任せしてスレ主は室内でのんびりが戦略なのである。
「マジ卍祭。いやいや、中々どうして攻めた名前じゃないか。その吹っ切り方、嫌いじゃないぞ。むしろ好きだ」
汰磨羈はうんうんと大きく頷いた。さておき、学園祭の醍醐味と言えば屋台巡りである。
こういう所で食べるものは何故だか美味しく感じるのだ。其れ故に値段なんかは気にしない。食事において大事なのが雰囲気であると言うことがよく分かる。
その手にはチョコバナナにグレープフルーツジュース。甘味だけでもお腹は『良い感じ』だ。
「次なる定番にいこうではないか。そう、イカ焼きと焼きそばだ! この調子でガンガン食うぞ……!」
自身の屋台も一旦は落ち着いた。今度は見て回ろうかと華蓮は周囲を見回した。料理は得意でもそのジャンルが家庭料理に偏れば屋台の料理はまた物珍しいものばかりである。
「たこ焼きとか、チョコバナナとか普段家庭料理じゃ作らないものね……
でもレオンってこういうの好きそうな気もするし、特に変わったものがあったら食べてみて覚えるのだわよ!」
やる気を漲らせる。ジャンクフードもたまには喜ばれるだろうと目で見て、舌でしっかり味わって、自分の料理経験から調理方法を推測し続ける。全く知らない食べ物も此処でチャレンジすれば新たな料理のレパートリーが得られるはずだ。
「うんうん、マジ卍……美味しくって素晴らしい催しなのだわ!」
お祭りと言えば屋台。屋台と言えばお祭り。神様に捧げるモノで無くっても思う存分楽しみたいとイナリは胸を高鳴らす。
飲食物の確認をしたいと心躍らせる。目標は『お残し』せずに屋台の全制覇だ。
「ふふふ、あまり美味しくないけど高い焼きそば、店の看板より薄い肉串、やっぱりお祭りってこうじゃないとね」
勿論、もっと素晴らしい料理を食べることも出来るが。祭りと言えば何だって美味しく感じるのだ。
うおおおお、とリサは叫んでいた。展示物へ向けでずんずんと進んでいく。
「うおおおおおおお!! マジ卍文化祭っすー! 出し物どんだけあるかガシガシ見て回るっすよー!」
マジ卍祭りを此処まで喜んでくれる子が居るだろうか――屹度居ない。
だが、リサは希望ヶ浜の制服を着て楽しげに走り回っていた。大学の車両系統の工学展示物に向けて真っ直ぐに走り出す。
「私の知っている技術・文明共に違うっすからどんな風になっているか、その差異が知られるだけでも十分に面白いっすからね!」
確かに、混沌肯定の下でどれ程のモノが出来るか、というのは興味深い。
「しっかし個人的にはこの椅子!座り心地が私の知っている物と段違いっすよこれ!
めっちゃふかふかっす! これで全部自作ってすごくないっす???」
一応は教師としてやってきた、とグリムは慣れない様子でそわそわと周囲を見回した。
美術の担当である彼は石像を展示していた。普通生徒は石像を作らないのでは、という問い掛けに「あ」と小さく漏らしたがそれはそれでご愛敬だ。
「悪目立ちする気もするが展示するか。一応、天使と鴉と熊の三つを展示してる。よかったら見てってくれ」
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「たしかにマジ卍って感じの規模の文化祭だね。屋台の数も種類も盛り沢山で目移りしちゃう!」
お祭りと言えばフェスタ! ――と言うことでるんるん気分で屋台を見て回っている最中である。
「は~……これが文化祭、というものですか……凄いですね、皆さん本当に楽しそうで、一生懸命で……大人のお祭りでも、これだけ盛り上がるものは、なかなか無いのではないでしょうか」
ぱちりと瞬くリディア。折角共に回れるのならば狙いはチョコバナナだと心を踊らせる。
「うぇーい! マジ卍ー! んじゃ行動開始! 楽しい事探しに行こうぜ!
やべーぞ焔ちゃん! 学園祭だぜ学園祭! もうねアレよ、最高に映えんの。もうこれヤバくない?」
取り敢えずタピろうとにんまり笑顔の秋奈。「わーい!」と両手を挙げた焔。マジ卍って良く分からないけれど楽しい響きと心を躍らせる。
「夏祭りとかじゃなくて、学園祭って初めてだから楽しみ! 映え? よくわからないけどそうだね! ヤバいね!」
とにかくヤバいで通じ合った二人なのである。ふーむ、とミーナは周囲を見回した。リディアが「同年代でおでかけははじめてです!」と微笑んだ言葉に「私は1023歳だぞ」と首を傾ぐ――「え? 気のせいです!」
「季節柄かき氷はなさそうかねぇ。私が立ち寄った世界じゃ10月頭くらいならまだあったんだが。
とりあえず、フランクフルトは確保しとかねーとな。皆に何言われるかわかんねぇ。
……ああ、飲み物も適当になんか買っておくか。変なものはないだろうけど」
「これ、『わさびソーダ』って書いてるぜ!」
秋奈にミーナは「それはやめろ」と慌てたように止めた。わさびソーダにレンコンコーラ、それからetc……ここは危険区域である。
「あそこにあるのはいちご大福? いや、揚げいちご大福!? 面白ーい♪ これは買いだね!」
「フェスタちゃんのそれやばたにえん! あ、こっちのたこ焼き――あっつ、やばたにえん! ぴえん!あっっつい!」
秋奈が騒ぐ様子にフェスタは小さく笑う。たこ焼きを買ってきた下手人・焔は「やばたにえん」と笑ってリディアと共にチョコバナナをぱくり。色んなものを皆でシェアするのはこれほどまでに楽しいのだろうか。
ふふ、と小さく笑みを零してリディアは「こうして皆さんと一緒に遊ぶなんて、お城に居たときは考えられなかったな……」と小さく呟いた。
「皆さん、本当にありがとうございます。私、今日の事は一生忘れません――!」
此れからもっと沢山思いで増やそうね、リディアちゃん――!
「これならひよの先輩誘えばよか――あれ、ひよの先輩と紫電ちゃんじゃん!」
秋奈の指さした先にはひよのに「いってらっしゃい」と送り出される剣道着姿の紫電と亮の姿があった。
「それでは、月原君。娯楽試合とはいえ、互いに戦いの経験を積められて、剣道部の宣伝にもなる。
勝っても負けても『魅せれる』ような、いい試合を期待しようじゃないか。あ、もちろん後でメシは奢るぞ?」
「ノった。俺も手加減はしないぜ、紫電! いざ尋常に――!」
剣道部のレクリエーションを開始したようだ。スキルは封印己の技量のみと日本刀(付喪神)女子と日本刀(神社跡取り)男子でいざ、勝負――!
●
「まじまんじまつり? があると聞いて来ましたけれど、人波に揉まれてしまいましたわ。
まじまんじまつり? というのは皆さん、心待ちにしていたものなのですね」
ぱちりと瞬いたのはユージェニー。そのお陰で『ここ』にた辿り着けたと小さく息を吐く。
「ここは静かで暗くて、とても落ち着きますわ。緑茶も美味しいですし。
妖怪さんや幽霊さんも本物みたいです。いえ、まだ本物を見たことありませんが……。
冥土喫茶、初めて来ました。わたくし、世間知らずでメイドは家政婦さんのことだと思っていましたわ。お恥ずかしい……」
――そんな、所があるのですね……。
「見た事無いたべものや飲み物が屋台に沢山あったから、ついつい沢山買ってしまったわ……。両手に一杯だなんてはしたないかしら?」
こてりと首を傾げるルーナはベンチに座っていざ実食。こんな機会で無ければ食べれないものも山のようにある。
「ここは不思議なところね。平和じゃないのに平和だなんて。あべこべでめちゃくちゃだわ。
……でも、おいしいものや綺麗な服、友達との楽しいおしゃべり、全部捨ててしまえるはずもないのかもしれない」
だから、日常を求めているのだろうかと、ルーナは買ってきたタピオカを吸い込み――
「あ、このタピオカミルクティーという飲み物、なんだか食感が面白くて甘くて、おいしい!」
沢山の美味しそうなモノが売っているのだとクラークは周囲を見回す。こういうのは楽しんだ者勝ちなのだ。片っ端から「此れは美味しそう」とセレクトして購入していく。
「マジ卍文化祭に訪れてみたはいいものの引きこもりボッチの僕にはハードに近しい依頼だよ、うっぷ。そこの君、あぁそこの色彩強めの衣装を着た君だ。僕は肉体疲労かつ、心身負荷が蓄積されて満身創痍なのだよ。簡易的に訳すと、疲れた。おぶってほしい」
「……」
エクレアの言葉に無意式は「俺がか?」と静かに問い掛けた。
「ああ。君が幸運だよ無意式君。
疲れて背を借りる者、女性に背を貸せる者。まさにウィンウィンの関係だと思うのだよ、ぼかぁ。
しかしこの学園は活気に溢れて実に愉快で興味深い学園だ。来て良かったと似合わない事を思ってしまったよ」
無意式が伺い見るようにエクレアを見るが――ふと、その顔の向きが突然変わった。
「いやなに、僕の独り言だ。それよりそこの屋台のタピオカミルクティーに興味を持った。ただちに旋回、急いで急行したまえ」
凄い、とアンジェリカは瞬いた。規模こそ違うがこうした学園祭を確かに知っている。
偽りなのかもしれない。けれど、私達にとっては日常だったもの。――何て、私はもうそこから踏み出してしまいましたが。
自身の姿を見た後に、こんな調子では駄目だと頬を叩いた。気持ちを入れ替え、いざ、マジ卍である。
チョコバナナにポップコーン、たこ焼きにタピオカドリンク……甘いものを何も気にせず購入できるのはこの格好様々である。
「一人……まぁ、仕方ないですよね。こっちで誘えるような知り合いはまだ殆ど居ませんか――!?」
アンジェリカをじいと見る二つの眸がある。それが綾敷・なじみの「友達になってくれそうセンサー」であることに気付いてアンジェリカは盛大に驚いた。
「着ぐるみ部……モーントからの手紙で目的は活動の方向性は知っているが、気を抜くとドジっ子モードになる後輩に部長が務まるのか?」
むむ、と悩ましげなウェール。その傍らで風星 颯弥に会いに行くのを楽しみにしているアクセルがそわそわとしていた。ゆったりと尾を揺らす颯弥は「いらっしゃい!」と微笑む。
「オレちゃん達の展示見に来てくれたんだねっ」
「うん。でもこうして会うと何だか新鮮っ! 不思議な部活……グループ? を部長のヒトと造ったんだね!」
ヒト型ではない面々も自然に溶け込める『きぐるみ部』。どんな接客をしているのだろうとウェールはまじまじと見遣る。希望ヶ浜学園の獣人達の何でも屋や、副部長が機械に強いことでの相談会、そしてストレス発散にちょっぴりモフられたりレクリエーションの参加を行っているらしい。
「初めまして何時もモーントがお世話になってるみたいで」
「あっ、いえ、コッチこそお世話になりっぱなしで!」
慌てる颯弥の様子にアクセルは小さく笑った。もふられ役くらいなら交代しようかとウェールはそっと提案して。
黒影先生も今日は章殿と一緒に見回りである。
「いろんなお店があるのねぇ……」
パンフレットをまじまじと確認する章殿は可愛らしい。妖精姫が舞い降りたようだと感激しながら鬼灯は「何処へ行きたい?」と問い掛けた。
「鬼灯君が衣裳を作ったところは?」
その言葉に頷いて訪れたのはメイド喫茶。仕立てた衣裳を着こなして笑みを浮かべて接客する生徒たちは喜ばしそうに笑み零す。
「先生、何か飲みますか?」
「まあ! みんなよく似合っているのだわ! 可愛いのだわ!」
照れたような生徒は「有難う、章ちゃん」と頬を掻く。生徒達と楽しげに話す章姫が可愛くて、鬼灯は「すまないが、章殿にも紅茶をいただけるかな?」と柔らかな声でオーダーした。
●
新米国語教師のリゲル=アークライト先生は生徒のポテトさんとのデート中。
リゲルと手を繋いでいたポテトは「リゲル、あれは?」と異様な雰囲気の場所を指さした。
「ああ、あれはお化けや……」
「リゲル……?」
彼は何も言わずにんまりと微笑む。此れが社会勉強だというように微笑みは優しげだ。
「……っ、なんだ此処は。リゲル、気づいて……? 知っていたなら言ってくれ……!!」
旦那様の悪い笑顔は愛おしいと伝えてくるようだ。ポテトが恐れるように身を縮め、ぎゅうと手を握るのが可愛らしくて仕方が無い。
「リゲルは怖くないのか……?」
「ああ。俺は怖くは無いよ」
ポテトと一緒だからね、と微笑むリゲルに安堵して、もうすぐ出口だ、と前を向いた瞬間―――「きゃああああ!?」
(おっと! 良い悲鳴だ! これは集客に繋がるぞ!)
もういやだとリゲルをぺちぺちと叩くポテトを宥めながらリゲルは「クレープを奢るよ」と小さく笑った。
深緑歴史科の担当教師である冬月 黒葉――クロバは見回兼教育実習生のシフォリィの教育(と書いてデートと読む)を行っていた。
「クロバ……いえ、冬月先生! 屋台が沢山ですね。幻想出身で、話に聞くだけだった学校生活ですが、教師として関われるなんて夢のようです!」
にんまりと微笑むシフォリィにクロバは「お、たこ焼きとかクレープとかあるぞ、行ってみよう!」と常の様になれた仕草で彼女の手を引いた。
「冬月せんせー、デート?」
揶揄う生徒達に反応したシフォリィは「ええっ!? 教育なんて言って私とデートするために声掛けたんですか!?」と茶化してみる。
「……デートの邪魔とは、お前ら単位を失っても知らんぞ」
単位の死神に自分の査定まで落とされては堪らないと慌てるシフォリィにクロバは小さく笑う。手にはたっぷりと屋台の戦利品。シフォリィは「せーんせ」と彼を呼んだ。
「ん?」
aPhoneで写真を、と強請るシフォリィに俺ので、とクロバは笑みを浮かべる。再現性と右京職の想い出はスマートフォンの待ち受けに。
「すごいね、学校ぜんぶ良い匂いがする!」
手を繋ぎ走り出しそうなソアに「待って」とエストレーリャは小さく笑う。お祭りであればソアのこの格好も仮装の一種だ。
「ねえ、ソア。屋台に行ってみよう。クレープ屋さんが気になるんだ」
「クレープ! ボクはえっと……えっと……!」
沢山メニューがあるでしょう。そう笑ったエストレーリャにソアの指先があちらこちら。目移りして、どれにしようか悩みに悩む。
「僕はイチゴにしようかな。ソアは決まった?」
「ううーん。じゃあ、一緒にする! 美味しいね……甘くて酸っぱくて冷たい」
生クリームもイチゴもアイスも、どれも美味しいけれど、クレープで一緒になれば蕩けそうで幸せになる。
エストレーリャは森に居た頃は精霊達に美味しいイチゴを教えて貰って野イチゴを取りに行ったと告げた。その想い出は褪せず、美味しかったと頬緩む。
「イチゴが好きなの? こんど一緒にとりにいく?」
「そうだね。今度、一緒に、行ってみたいな」
じゃあ、その時はソアがデザートを作るとエストレーリャを約束して。指切りに頬が緩んで、アイスのように溶けてしまいそう。
●
「……はぁ、これで学園祭も終わってしまったわね……マジ卍とか何だか狂気しか感じない名称だったけど」
由奈はがくりと肩を落とした。本来ならば『お兄ちゃん』が一緒に学園祭を回ってくれる予定だった――と言うのに。急用でキャンセルになってしまったのだから仕方が無い。
「ええ、お兄ちゃんは悪くないわ。悪いのは私達の逢瀬を邪魔する世界ですもの。フフフ……ウフフフ……」
呟きながらキャンプファイヤーを眺める。来年は、きっと、お兄ちゃんと一緒に……。
「クヒヒ! 楽しい楽しい学園祭もこれにて終了ですか……マジ卍! な学園祭でした。
……ところで結局マジ卍ってどういう意味だったんでしょうかね?」
あやめが周囲を見回せば皆思い思いに過ごしている――ふと、目が合った亮は「踊って頂けますか?」と揶揄うように言った。
「マジ卍! とっても楽しかったですよ、また来年もやりましょうね」
「ああ、出来たら良いよな」
爆ぜる音を聞きながら廻は虚無の表情をしていた――メイド服を着せられ『さかさまカフェ』をして、暁月が来て恥ずかしい反面、皆とお話を出来たのは楽しかった。
揺らぐオレンジ色の焔を見詰める廻に「貴方が同業者?」と声を掛けた。
「初めまして、ネリはネリ、掃除屋よ。ご活躍は聞いているわ。あなたのおかげで商売上がったりなのだけれどね」
肩を竦めるネリに廻は小さく笑った。互いに『ヒミツのある』掃除屋どうしだ。ネリは伺うように廻を覗き込む。
「同業者同士、うまいお話があれば情報交換なんてどうかしら?
お掃除の手段の明かし合いも……なんてどうかしら……冗談よ。お返事しだいでは、ネリの手の内を少し明かしても構わないけれど……」
さわ、と髪が揺れ動いた気がする――が廻は気にしない。「機会があれば」と目を伏せた彼が浮かべたのは寂しげな笑みだった。
「なら今日はお掃除屋さんの話を聞かせてちょうだい? ネリはまだ、お掃除屋さんを始めて日が浅いの」
廻くんと手をひらりと振って近寄ったのは愛無。炎に照らされる廻君も可愛いね、と優しげな声音でそう告げる。
「メイド服の事は言わないでくださいっ、恥ずかしいですから」
「その姿も、今の姿もとてもよい。とりあえず写真にとっておこう。美しいモノは後世に残さねばなるまい。それが現代に生きる者の義務ともいえる」
もう、と廻はそっぽを向いた。半分は――いや、3分の1は冗談だと愛無はひらりと手を振った。
「何はともあれ、踊ろうじゃ無いか。こういう場所では人間は踊るモノなのだろう?」
そう、と手を伸ばす。エスコートをお願いしたいと愛無は慣れぬ動作のサポートを望めば廻は小さく笑った。
「来年も又、学園祭を楽しめると良いですね」
炎を眺めながら、定はなじみへと話がしたい、聞きたいことがあると言った。
「何時から夜妖に憑かれているのかとか、何で怪異の情報を集めているのかだとか、憑いている猫鬼とは話せるの? だとか。聞きたいことは山ほど在るんだ。……参ったな、これじゃ尋問みたいじゃないか」
「定くんがなじみさんに興味を持ってくれることがとってもよく分かるよ。うんうん、男の子は何時だって興味深々な生き物だからね」
揶揄うようななじみに定は人との距離を探るなんて、出来るわけ無いだろと大の字になって芝生に寝転んだ。
「引きこもりだぜ、僕は。
……怪人アンサーの時にさ、僕は君の事を怪しくないって言っただろう?」
「うん」
けれど、怪しいかどうかを判別するほどに綾識なじみを知らないんだと定は静かにそう言った。
「怪しくたって、なくたって。君は僕の友達だからさ。
それに、今は絶賛ご依頼後の三年間アフターフォロー期間中だからね」
「ふふ。ならさ、定くんが私と三年後も友達で居たくなるように、頑張らないと行けないね?」
「御機嫌よう、無名偲校長。特異運命座標の……えぇと、九尾です」
「ああ。『九尾先生』だな。楽しかったか?」
「えぇ、お陰様でそれなりに楽しく過ごさせて頂きました
騒がしいのから解放されたから最後は静かにと思っていたのですが……これで終わりかって思ったら、ちょっと……ですので、ちょっとエスコートしてくださいますか?」
少しだけだぞ、とやや気怠げな無意式のエスコートでダンスを踊る。近くで彼の旋律に耳を傾ければ――意外にも穏やかな旋律であることに気付いた。
(……まぁ、この人の音色がどうであれ、あたしのやる事ぁ変わらんけどね。
連中の日常の為に、もうちっと頑張ろうと……色々な所から聞こえる幸せそうな音色を守らないとね)
『校長先生』という役割を好ましく思って居るだろう彼は、ダンスは終わりだと生徒の元へとリアを向かわせた。背を押され周囲から聞こえた生徒の笑い声に護らなければと決意を固くして。
「さて、無名偲・無意式校長。やはり此処だったか。私はああいうのには素直に混ざれないでね……貴方もそういう性質では?」
揶揄うようにそう言ったリアナルに無意式は「態々フィナーレに逢いに来るとはなあ」と椅子に凭れたまま愉快そうにリアナルを視た。
「まぁそれはそれ。夜妖が張り切る時間帯に1人にさせるのも心細いかと思うてね?
なに、報酬は晩酌に付き合ってもらえれば良き良き。それに、まだまだ色んなことを知りたいんだ
……できれば無名偲・無意式、貴方のことを知りたいのだけど、それはまだ早いのだろう? だったら少しずつ、ね」
揶揄い目を細めたリアナルに無意式は「知っても得することはないぞ」と缶ジュースを投げて寄越した。
「ソフィリアはキャンプファイヤーって初めてか?」
問い掛ける誠吾にソフィリアは爆ぜる炎を視ながらぱちりと瞬いた。
「焚火なら何度かしてるけど、これだけ大きなのは初めてなのです!」
お爺ちゃんとした焚火の何倍もある炎だと手で表せば誠吾がくすりと笑う。
「そうか、初めてか。炎ってすげーエネルギーだよなぁ。少し離れていても熱い」
「大きい分、熱も強いのです! 強火なのです!」
これだけ大きければお肉も焼けるとにやけるソフィリアの頭をそう、と誠吾は撫でた。
「近づきすぎるなよ? 髪とか焦げたら大変だ。折角綺麗なのに」
「うん、火の粉に気を付けるのですよ!」
――誠吾が何処かを視ている。視線を動かしてソフィリアもぱちりと瞬いた。
あそこに居るのは誰だろうか……いや、見覚えがある。あれは……二人は見なかったことにしよう、と心に決めた。
「ふんふふふ~ん、キャンプファイヤーを言えば妾、妾と言えばキャンプファイヤー!
点火から消火までこの炎の幻想種にお任せなのじゃ! 適度な火加減を維持して皆のダンスを盛り上げて見せるぞ!」
何故か『趣味のキャンプファイヤー』を設置しているアカツキの傍らでしにゃこは談笑しながら歩いてくるひよのと花丸に気付く。
「お、あちらから来るのは笹木さんとひよのさんじゃないですか!
ちょっすー!! お、焼きトウモロコシですか! いいもの持ってるじゃないですか!」
「し、しにゃこ! やめるのじゃー!」
がぶり。楽しかった気持ちもしにゃこによるトウモロコシ泥棒で花丸は冷や水を掛けられたような――食べ物の怨みは凄いのだと言うような――顔をしてしにゃこをずんずんと追い詰めていく。
「花丸さん、私の食べます?」
「駄目だよ! ひよのさんのとうもろこし! 後で貰うかも知れないけど、それはひよのさんのとうもろこしなんだから!
これは許されない行い……アカツキさんっ! 手を貸して、しにゃこさんをマジ卍ファイヤーの刑に処すから!」
「なるほど……では妾が趣味で作っておった小型卍ファイヤーの出番じゃな
しにゃこよ、神妙にお縄についてマジ卍ファイヤーオブジェとなるのじゃ……!!」
マジ卍ファイヤーの刑とはなんでしょうか、と隣でひよのは興味深そうに見詰めていた。ずるずると引き摺られていくしにゃこが叫び声を上げている。
「はっ、違うんです! この焼きトウモロコシが! 焼きトウモロコシが僕を食べてってしにゃに言ってきたんです!! 出来心だったんですー!! いやちょっと待ってください、しにゃを焼いても焼きトウモロコシにはならなっ……! うわああああ、ひ、ひよのさん、助けてください!」
「さあ、見ててねひよのさん! あそこに卍があるじゃろ?
そこにしにゃこさんを括り付けて、アカツキさん……力を炎にっ!」
†避けられぬ罪の王冠†
――オブジェの完成!
ロトは静かに息を吐く。同じ教師や生徒では無いローレットの人ならば、共に行動しても良い。
けれど生徒として活動するローレットの皆に、月原君、リリファさん、ほむらさん、音呂木さん、廻君――それから他校ではあるがなじみさんを巻き込みたくない、と口にした。
彼等は此の希望ヶ浜という日常に埋没するように夢を過ごしている。
(今だけは平穏に、幸せに。日常こそが非日常なら、より長い非日常を。
夢を見る街で夢を見ない皆に泡沫の夢を……彼ら、彼女らに)
目を伏せた。夜妖が紛れていないようにと探すように目をこらし、息を吐く。
「それを守るのは僕ら教師……いや……大人ってもんだからね。あはは。きっと、それは校長先生も同じ気持ちさ」
――けれど、あのオブジェは……どうなんでしょうね。
●
「なじみちゃん、こっちの部屋からよく見えるよ。見てかない?」
手招いてバスティスは空き教室になじみを誘った。ベレー帽を押し上げるように耳がぴこりと上がる。
「そんな緊張しなくてもいいよ。って緊張しちゃうのかなぁ、あたしみたいなのがいると」
「ひえっ、ばれてる!」
「なんでわかるかって?ほら、帽子に隠してても、動きわかるよ、耳。
街に居る子達の方がもっと遠慮が無いし傍若無人だったよ。猫缶請求してくるし膝で寝てくるんだよ」
綾敷さんはそんなに自由なにゃんこじゃないですと尾を揺らす。バスティスは「興味本位出呼び止めたんだけどさ」と窓の外のキャンプファイヤーを見下ろした。
「興味?」
「そう。夜妖憑きって『どう』なのかっていうあたしの中のテストケースだね。
この街は面白いからさ、なじみちゃんほど馴染めないかもしれないけれど……それなりに溶け込んでいる神様がいても、良いよね」
「寧ろ、私は神様と仲良くなれるととっても嬉しいと思うのだ。だめ、かな?」
駄目じゃ無いよ、とバスティスはそっとなじみの頭を撫でた。
「祭りの最後は火を焚くのですね。刹那の光は、短期間で終わる祭りの象徴でしょうか。それを囲んで踊り、終える……素敵ですね」
ほう、と息を吐いた珠緒の傍らで蛍は「良ければ一緒に踊らない?」と声を掛けた。きっと珠緒は初めてだから、自分がリードを、と意気込んで。初めてだけど、屹度、大丈夫とステップ踏んだ。
「こういう日を過ごし、続けていくために、日々を努めておりますものね。珠緒がではなく、共に互いを見ていれば……ほら、するりと合いますよ」
「ふふ、本当だ」
優しい珠緒が合わせてくれたのだろうかと蛍は目を細めて小さく笑う。学園を含めてこの中では蛍に沢山頼ってしまったから、と珠緒は彼女をリードする。
(楽しんで下さいね。それが蛍さんへのお礼となり、喜んでいただけるなら……といっても、珠緒も喜んでいますので)
爆ぜる音、ぱちりぱちりと音鳴らしたその中で笑う珠緒が何時もより綺麗で。重ねた掌のぬくもりを此の儘ずっと離したくは無い――体の奥からこみ上げたこの幸せと、そのぬくもりでずっとずっと、踊り続けられたら良いのに。
レモネードをそっと手渡してリンディスは「お疲れ様です」とマルクへと微笑んだ。
「どうでした? マジ卍文化祭……って、改めて言葉にするとすごいですよね」
何処か擽ったいその名前。食べ物飲み物、演奏会に発表会、体験会に、と指折り数えるリンディスの横顔を視てマルクは「お祭りの名前は兎も角、凄い活気と熱気だったね……!」と微笑んだ。
「学園の中を一日中、思い切り楽しんじゃったね。皆で作り上げたと言うのが体感できたよ」
「そういえば学園祭はキャンプファイヤーの周りで踊ることでフィナーレらしいですよ。……うまく踊れる自信はありませんけれど、行ってみませんか?」
そうリンディスが問い掛ければマルクはそっと立ち上がり手を差し伸べる。まるで王子様がそうするようだ、と絵本を思い出しリンディスはぱちりと瞬いた。
「今日一日案内してもらったお礼に、ダンスの方はエスコートするよ」
ダンスの得手不得手なんて関係ない。心ゆくまで踊れば良い。さあ――お手をどうぞ、お嬢様。
「ほらほら。どうです? ……わからん? 制服でありますよ。見たいと仰るから仕立てたのでありますのに」
む、と唇を尖らせたエッダにヴァレーリヤは「そうだったかしら?」と唇尖らせ思い出す。
「ふふ、よく似合っていましてよ!」
「当たり前であります。しかし……このガッコウという場は、何とも不思議でありますな。どんな立場も考えも、上から被された学生という立場に飲み込んでしまう」
「異世界であれば、こういうのが普通なのかしら。
身分も立場も思想も越えて、一つ所に集まった人々が、共に肩を組んで笑い合う。
この世界にも、そんな未来が待っていれば……いいえ、作れると良いですわね」
そう、と目を伏せるヴァレーリヤの横顔に「今は私も学生です」とエッダはゆっくり立ち上がる。
「ねえ。一曲踊ってくださいますか? ヴィーシャ」
「ええ。そのお誘い、お受けしましょう。だって私達は、今はただの学生ですものね!」
――学生であればどれ程良かったか。貴女の隣は心地よくて、手折れそうに可憐で、でも護るにも強すぎて。
ねえ、ヴィーシャ。私は貴女がとっても大切で――私は、貴女のことが。
言葉にせずに、只、踊る。篝火の爆ぜる音を聞きながら。
その瞬間が、まるで、世界の時間を止めてしまったようだと。
そんな有り得ない感想を、その胸に抱いて。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
お疲れ様でした、マジ卍!
体育祭も楽しみですね~!
GMコメント
夏あかねです。
折角だから文化祭も体育祭も盛大にやろうよ!とSD皆で準備していたら、某黒っぽいSDが「マジ卍祭り」と提案をして――まさか、それが名前にッなるなんて!
ソレは兎も角盛大に楽しんでくださいね! 盛り上げましょう!
※ご同行者がいらっしゃる場合はお名前とIDではぐれないようにご指定ください。グループの場合は【タグ】でOKです。
※行動は冒頭に【1】【2】【3】【4】でお知らせください。
●マジ卍祭り
ネーミングは特異運命座標による大喜利――いえ、公募で決定されました。文化祭です。
幼稚舎から大学まである希望ヶ浜学園の一大イベントです。とても広く様々な催しが行われるために地域や近隣の方々も遊びに来るテーマパーク状態となっています。
高等学校グラウンドにはメインステージが設置され、ミスコンが開催されているようです。
また、バンドや演劇などやメイド喫茶やお化け屋敷など校舎内での催し物等なども自由に行うor自由に見て回ることも出来ます。
学食による屋台では『学食チケット』を使用し、食べ歩きが出来る簡単な料理やタピオカドリンクが頂けますし、普通の屋台を見て回ることも出来ます。
総じて『こんなの有りそう!』が大体叶うので是非、こんなのしてみたい!を提案してみて下さいね。
【1】メインステージ
高等部のグラウンドに設置された簡易ステージです。メインステージとして様々なイベントが進行します。此処ではバンドによるパフォーマンスや時間事の各地のイベントの紹介の他、『ミス&ミスター&性別不明コンテスト』が行われているようです。
>『ミス&ミスター&性別不明コンテスト』
立候補自由! 女装や男装しての立候補もOK。この際お祭りなので細かいことは無視したミスコンです。
「お前出ろよ~」と他薦プレイングは『推薦対象の許可』が分かるようにして下さいね。
折角だからカワイイコスチュームで出るのです。メイド服とか魔法少女とか。衣裳は被服関係の部活動が仕立ててプレゼントしてくれるみたいですよ。
投票券やひよのが皆さんにプレゼントしていたのでご自由に入れて頂くことも可能です。友達をミス希望ヶ浜に押し上げろ!
【2】屋台を見て回る(外)
適当に屋台を確認して回ることが出来ます。外では食事関係の屋台をチェックすることが可能。
チョコバナナにポップコーン、イカ焼きにたこ焼き、タピオカドリンクや手打うどん……。様々な屋台を楽しむことが出来ます。
また、グラウンドなどでは運動部のレクリエーションやチャレンジイベントが行われているみたいですよ。
【3】展示を見て回る(中)
メイド喫茶やお化け屋敷、各部活動の展示等など。様々な展示を見て回ることが出来ます。
体育館ステージでは演劇やバンドなど。出場するのもOKですし、展示をする側でもOKです。
【4】キャンプファイヤー
夜にグラウンドで囲う事ができます。踊るもの良し、遠巻きに眺めるもよし。
教室の片隅でひっそりと後夜祭を楽しむのもいいですね!
●NPC
希望ヶ浜『味方関係者』や希望ヶ浜系NPCで担当が付いていないNPC
・音呂木・ひよの(希望ヶ浜学園高校)
・綾敷・なじみ(外部生)
・無名偲・無意式(希望ヶ浜学園校長)
につきましてはお気軽にお声かけ下さい。特にひよのとなじみは学生なので一緒に見て回るのを楽しみにしています!
その他、クリエイター所有のNPCは登場可能な場合もありますので、お気軽にお声かけください。
夏あかね所有のNPC(月原・亮やフランツェル・ロア・ヘクセンハウス、リヴィエール・ルメス、紅宵・満月)もお気軽にお声かけ頂ければ!
(各国有力のNPC(※王や指導者)や希望ヶ浜にはいないだろうNPCについては申し訳ないです!
また、ご希望に添えない場合もありますのでご了承頂けますと幸いです……)
それでは、楽しんで!
宜しくお願いします!
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