シナリオ詳細
<夏祭り2022>砂上のバニー・プリンセス
オープニング
●シレンツィオ・フェスティバル
シレンツィオ・リゾート。
かつて絶望の青と呼ばれた海に作られた、海上の桃源郷――。
今年のサマーフェスティバルは、そんなシレンツィオ・リゾートで行われることとなった。
海洋王国のみならず、豊穣、そして鉄帝も、その威信をかけた一大事業に発展した、今年のサマーフェスティバル。
シレンツィオ・リゾートにはいつにも増しての人々が訪れ、一番街から五番街迄、多くの観光客でにぎわっていた。
そんな夏祭りの中には、あなたの姿もある。ここは高級リゾートエリアである、三番街セレニティームーン。
あなたがいるのは、そのメイン・ビーチである、シロタイガー・ビーチだ。どこまでも広がる、陽光に煌く蒼の海。その彼方にはヨットやサーフボードなどで、波に揺られて愉しむ人々の姿も見える。まっさらなビーチの上には、多くの上品な観光客が、穏やかな休息の時を過ごしていた。ゴミ一つ落ちていないビーチの砂は、はだしで歩いても柔らかくあなたを受け止めてくれる。そんな、静かなビーチに響くのは、潮騒の音と、
「まって! まって~~~~~!!!」
……と、いう少女の声のみ。
あなたが慌てて振り向いてみると、バニーガールのようないでたちをした、金髪の少女がわたわたとした様子で走り回っている。その前には、真っ白な子犬がいて、口にコインのようなものをくわえていた。
「まって! それだめ! だめなの! それ持ってかないで~~~!!!」
少女=マール・ディーネー。竜宮城なる地より来たという少女だ。少女がはぁ、と息をついて、立ち止まる。白い子犬は、少し離れたのちに、後ろを振り返った。「もう追いかけっこしないの?」というような、もっと遊んで、とねだるような様子で。
「うう、いたずらっこめ……!
あ、あなた! そう、ローレットの、イレギュラーズの!」
マールがあなたに気づいたようで、太陽のような笑顔でこちらに向かって手を振る。あなたが苦笑しながら近づくと、マールは抱き着くように、あなたの手を取った。
「こんにちは! あなたもサマーフェスティバル?」
マールが尋ねるのへ、あなたは頷いた。にぱ、とマールが微笑む。
「あたしも! 大変な時なんだけど、だからこそ休める時は休んでいけ、って、エルネストさんとか、ファクルさんに言われたの。
あ、エルネストさんはフェデリア総督府の偉い人で、ファクルさんは海洋海軍の偉い人なんだって!」
マールの説明は割と大雑把だ。エルネストとはエルネスト・アトラクトス、フェデリア総督府でトップの立場にいるものであり、ファクルはファクル・シャルラハ、今回のシレンツィオ・リゾートに起きた異変の調査を担当する、海洋海軍大佐だ。
どちらも、要人たるマールの応対を任されたのだろう。実際、マールは総督府に保護されているようであり、現在もそこから街を歩き回っている様だ。
「で、じゃあお祭り期間くらいは遊ぼうかー、とおもって外に出たんだけど。
あの白いの……犬? っていうの? あたし実は、本物は初めて見たんだけど。
あの子に、あたしがもってた竜宮弊取られちゃったんだよね……」
しょぼん、と肩を落とすマール。どうやら、いたずらっ子な犬にじゃれつかれ、竜宮弊をとられてしまったらしい。当の犬は、「え、もっと遊ばないの?」と目をキラキラさせている。悪気はないようである。
「あなたは、お祭りを見て回ってるんだよね。
お友達とか、恋人さんと遊ぶの?
ふふー、いいねぇ。たのしそうだねぇ」
えへへ、とマールが人懐っこそうな笑みを浮かべる。と、「はやく追いかけてこい」と言わんばかりに、白い子犬はわんわんと鳴いた。
「わわ、わかったよ! ちょっとまって!
……というわけで、あたしもお祭り見て回ってるから、もしお暇だったら、声かけてくれると嬉しいな。
だって、あなたと一緒に回るお祭りとか、楽しそうじゃん?
……あと、あのいたずらっ子、捕まえるの手伝ってくれると嬉しいかも……」
たはは、と笑うマールに、子犬がわん、と鳴いて見せる。
「わかったよぅ! じゃあね、また会おうね!」
あなたに手を振ると、マールは子犬を追いかけて走っていく。
ぽわぽわと揺れる、マールのバニー耳を見やりながら、あなたは今日の予定を、頭の中に浮かべていた。
- <夏祭り2022>砂上のバニー・プリンセス完了
- GM名洗井落雲
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2022年08月06日 22時12分
- 参加人数107/∞人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 107 人
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参加者一覧(107人)
リプレイ
●白のビーチは大騒ぎ
シロタイガービーチの砂浜は、上品な静けさと、さわやか波の音に包まれ
「まって、まってってば~!」
……と、静寂を裂くように、可愛らしい声が響いた。何か、コインのようなものをくわえてビーチを奔る子犬を、バニーガールのような衣装を着た少女が追いかけている。
マール・ディーネーと名乗ったその少女は、今日はずっと、その子犬を追いかけているらしかった。
「はぁ、もう、元気よすぎるよ、あの子……」
ふぅ、と息を吐きつつ、足を止める。コインをくわえた白い子犬は、もう遊ばないの? と言わんばかりに足を止めて、こちらを見ている。
「大丈夫ですか、マールさん?」
と、そんなマールに声がかかる。和風の日傘をさした正純が、キョトンとした顔でマールを見つめていた。
「あ! この間のカッコいい弓のお姉さんだ!」
ぱぁ、と花咲くように明るくなるマールに、正純はくすりと笑った。
「先日ぶりですね、マールさん。私は小金井・正純っていいます。正純と呼んでください。
あの子、まだ捕まらないのですね」
「うん、正純さん! えへへ、もうへとへとだよ~」
そう苦笑するマール。一方、そんなマールを着にかけていたのは、リディア・T・レオンハートも同じだった。
「うーん……子犬さん、まだ遊び足りないみたいですね」
遊び終わったら、口にくわえた竜宮幣を返してあげて、と子犬に伝えたものの、果たして伝わっているのかどうか。子犬はキラキラとした瞳をこちらに向けるのみである。
「そうなの。犬って凄い元気なんだね!」
にっこりと笑うマールに、嫌気は感じられない。この状況も、何処か楽しんでいるのだろう。
「マールちゃん、良かったら、私たちもお手伝いしますよ」
と、リディアが言うのへ、マールは目を丸くした。
「えっ、いいの? みんなお休みでしょ?」
「ふふふ! いいの、気にしないで? 朱華たちにどーんと任せなさい!」
と、朱華はいう。
「一人よりも二人、二人よりも……って言うでしょ?
さっさとあの子を追いかけて貴女も祭りを楽しんじゃいなさい」
その言葉に、マールは嬉しそうに顔をほころばせながら、朱華の腕に抱き着いた。
「あ、ありがと~! 正直、ちょっと諦めてたかも。でも、皆が手伝ってくれるなら、あたしもまだまだ頑張れるよ!」
「私ちゃんも白いわんこを探すぜ!!!」
そういうのは、バニー姿の秋奈である。
「わ、ありがと! おそろいだね!」
「おそろい! そして私ちゃんも竜宮弊があっておそろい――」
そう言って懐を探るが、なにも出てこない。あれ、と思って顔をあげてみれば、白い子犬の口元には、もう一枚のコインが!
「あはは、そこもおそろいだ」
マールが苦笑する。
「こらー! いたずらわんこめ!」
秋奈が声をあげて、駆けだす。マールや一行が、それを追って走り出すと、子犬も楽しそうに走り出した!
「私が空から追います!」
千代が翼をはためかせ飛翔! 一気に子犬に迫る!
「フフーン! 烏天狗の翼からは、逃げられませんよ!」
得意げにそういう千代が高度を下げて子犬に接近する。大きく手を広げた刹那、子犬はぴょん、と千代の頭に飛び乗って、さらに跳躍して逃亡! 千代はバランスを崩して、落下――したところを、マールのふくよかな胸部に受け止められていた。
「大丈夫!? 怪我してない!?」
「うわーん! 大丈夫です! けど、何なんですか、あのわんこ!」
かなりわんぱくなわんこのようである。
「ワンちゃんも遊んでもらえてるのが嬉しくて持って行ってるだけみたいだし、
別の事で遊んであげたら放してくれるかな?」
焔がボールを放る。子犬はジャンプして、ボールをそのまま頭で、焔へとトスした。
「おー! えらいえらい……じゃなくて、竜宮幣を返してよぅ!」
焔が><みたいな顔で飛び跳ねる。その姿は、マールのようなバニー衣装だ。何でもカジノで後で働くことを条件に借りてきたらしい。正純ちゃんの分もあるから、ちゃんと後で着てね?
「ふふ、困っている様だな」
と、得意げに顔を出すエミリー。日焼け止めも完璧に、日の下に現れた吸血鬼は、己の血の宝石を手に携える。
「わ、すごい、キラキラだ!」
「その通り、マール殿。これは私の誇りの輝き――キラキラが好きな子犬など、ほれこの通り!」
ぴょん、と飛びついた子犬が、エミリーのほっぺたをぺろぺろ舐め始める。
「ふふ、くすぐったいな。こら、放せ。そんなに舐めると日焼け止めが剥がれて痛たたた! 痛みはともかく灰になるだろう!?」
「エミリー様!? いえ、今は、このすきをついて竜宮幣を回収いたしましょう、マール様!」
ライアーがそう叫ぶのへ、「わかった、ライアーさん!」とマールが頷く。とは言え、そこは子犬も織り込み済みなのだろうか。ぽん、と飛び跳ねると、地面に置いてあった竜宮幣をくわえて、走り出したのだ!
「そ、そんな! このワンちゃん、速くありませんこと!?」
「ライアーさん、そっち行ったよ!」
マールの言葉と、慌てるライアーをあざ笑うかのように、子犬がとてとてと走り出す!
「もう、速く捕まえて、マール様と冷たい飲み物をいただこうと思いましたのに!」
「それ、賛成! そのためにも、速く捕まえなきゃ!」
ぴょんぴょんと二人の間隙を縫うように奔る子犬。まるでその動きは猫か何かのようだが、ふわふわの白い毛が、夏の日差しを浴びてキラキラと輝くのはとても可愛らしいものだ。
「おねーさん、休んでて! スピネル、私が追い立てるから、先回りして!」
「分かった――いや、僕じゃルビーには追い付けないって!」
ルビーの声にスピネルは泣き言を言いつつも、しかしルビーの『行く先』を読んで先回りする。そこは流石のコンビネーションというべきだろうか。アクセル全開のルビーが子犬を追い立てる。子犬は楽し気に飛び跳ねながら、ルビーから逃げ回っていった。
「ほら、スピネル! 行くよ!」
「よし、こっちだよ、ワンちゃん!」
スピネルが両手を広げて捕まえようとする――が、子犬はぴょん、と飛び跳ねると、まるで卯木みたいにスピネルの顔面に飛び掛かった。子犬のおなかに視界をふさがれたスピネルが、バランスを崩して倒れてしまう。子犬はそのままぴょん、と飛び跳ねて、また走り出した。
「わ、スピネル、大丈夫!?」
ルビーが慌てて助け起こす。スピネルは笑いながら、
「うん、大丈夫。中々すばしっこいやつだなぁ」
そう言って、ルビーの手を取った。子犬はまだまだ元気なようで、白い砂浜を走っていく。その後を追うマールとイレギュラーズたちの一行は、今日この日、ビーチサイドの名物のようになっていた。自然と、他の観光客たちに笑顔が浮かび、声援を受け取るマールが、ニコニコと笑いながら「ありがとー!」と手を振っている。そこは、マールの人柄もあったのだろうか。
なんにしても、この日巻き起こった大騒動は、人々の声援を受けながら、まだまだ続きそうなのであった。
●少し静かに、波を感じて
さて、マールたちの大騒ぎは続くが、此処で視線を別に映してみよう。
例えば、マリアとヴァレーリヤが、比較的浅い所で水泳の練習などをしている。
「今年こそ泳げるようになって、あの透き通る海を自在に泳いでご覧に入れますわー!
マリィマリィ、放したら駄目でしてよ! はじめはバタ足で、ちょっとずつ、ちょっとずゴボボボボボ」
「大丈夫! 絶対に離さないから安心しておくれ! あ! ヴァリューシャ!? ちょっと力みすぎだよ!?
あああああ!? ヴァリューシャぁ!?」
沈んでいくヴァレーリヤを、大慌てで救出するマリア。想い人に抱きしめられながら、しかしヴァレーリヤの顔はしょんぼりとしたものだ。
「酒場と雪山では怖いもの知らずの私が、手も足も出ないだなんて……」
「ヴァリューシャは片手が金属なのが、左右のバランスが難しいのかも……?
諦めないで! ほら、私がついてるから!」
そんなやり取りが、夏のビーチに微笑ましく響く。
波打ち際でメイメイが、晴明を案内しながら波打ち際を歩く。
真っ白な砂浜を見ながら、メイメイはまぶしそうに目を細める。
「晴明さまは、海水浴ははじめて、でしょうか。
わたしも、山育ちですし、そう何度も遊び慣れているわけでは、ありませんが……」
「俺も遊び慣れているわけではないが、海水浴は久方ぶりだ」
その言葉に、メイメイはなるほど、と頷いて見せた。波打ち際で、静かな波が、二人の脚をさらう。
そのくすぐったい感覚身を委ねながら、
「楽しい、と思ってもらえたら、わたしもお誘いした甲斐がある、というものです」
「ああ、とても楽しく有意義だ。メイメイ殿もそうであると嬉しいが」
晴明は生真面目そうに、そう言ったのだった。
「ねえすごいすごい! 海! これが海なんだね!
近くで見るとすごいよー! 琥珀も早く早くっ!」
蛍がそう呼ぶのへ、
「すごいな、一面の水たまりじゃないか。
蛍、あまり深いところまで行くなよ」
琥珀は少し心配げにそういう。波に戯れる蛍は、どこか幻想的にもみえる。だが、素肌を晒すのは少し――なんて想っていた矢先、波に足をとられた蛍がよろけた。
「おい、蛍。あぶな――いッ」
咄嗟に差し出した腕が、蛍を抱き留めていた。支えられたことに安堵した琥珀が息を吐いて、
「はじめてきた場所で、危ない目に合わないでほしい……」
「……だ、大丈夫だよ! ちょっと波が強くてびっくりしただけ!」
そう言って、心配性な琥珀に、少し唇を尖らせる蛍だった。
アントワーヌと行人は、手をつなぎながらゆっくりとビーチを歩く。行人は、極力女性を目に入れないように。ついこの間に見せた、アントワーヌの独占欲。でもそれは、良い傾向ではあると思っていた。
「それにしてもこうして手を繋いで歩くのも、だいぶ長くなるね」
「もう結構な数を重ねたよねぇ」
のんびりとそういう行人の顔に、勢いよく水がかかった! 驚きながら見て見れば、アントワーヌがいたずら気な瞳で、水鉄砲を構えているところだ。
「びっくりした? ふふっ、驚いた顔も可愛いね行人君。
たまには王子様だってお姫様に悪戯したいのさ」
そういうアントワーヌに、行人は、
「おいおい、撃つってことはこっちもやって良いってことだよな?」
そう言って笑うと、水をすくって、掛け合ってみせるのだった。
「うひょー! 海だよ海ー! でっかーい! おおきーい! ひろーい!」
ユウェルがぴょんぴょんと飛び跳ねるのへ、琉珂も鈴花も楽しそうな視線を送った。
覇竜領域に住んでいては、この様に海遊び等することは難しいだろう。むしろ、海を見るのも初めて、というものも居るかもしれない。
「里の泉で水浴びはあったけど、海ははじめてだもんね」
鈴花の言葉に、琉珂も頷いた。
「そうね! 広い! すごい! 楽しいわ!」
「りんりん、さとちょー! ほら、はやく入ろうよ!」
ユウェルがそう言って誘うのへ、二人は笑いあいながら、波にその身をゆだねる。
「なんだか、ぷかぷかして、ふわふわして、ゆらゆらして、波っていうの? 楽しいけど落ち着かない!」
鈴花が楽し気に、波に揺られている。ふわふわ、ふらふら――気づいた時には、随分と流されてしまっていたようだ。ユウェルと琉珂から、どんどんと離されていく!
「あっ、リュカ、ゆえちょっと離れちゃうじゃないの! え、離れてるのはアタシ!? ちょっとー!」
「鈴花ったら! 自分が離れちゃったらどうしようもない! じゃないわっ、わわ、はやくこっちに!」
「りんりん、あぶないよ! そうだ、皆で手を繋いでおこうか!」
「そうね! ……これは二人がどこか行っちゃわないようにってことだからね!?」
そういう鈴花に笑顔を向けながら、三人は固く手を結ぶのだった。
「こんにちは、ウィリアムさん。少し待たせちゃったかしら?」
水着姿のアルテミアが、ウィリアムの前へ現れる。好きな子の水着姿。直視するのは恥ずかしい。以前の自分は、どんなふうに彼女を見ていただろう?
「……どうしたの? そんな顔をして」
「いや、水着姿が綺麗だなと思って。アルテミアにすごくよく似合っているね」
そういうウィリアムに、アルテミアは顔を赤らめる。
「あ、ありがとう……そ、それにしても! 流石は南国リゾート! 日差しがとてもあついわね!」
顔が赤くなったのは、暑さのせいだと、恥ずかしさを隠すように。アルテミアが、あはは、と笑うのへ、ウィリアムは微笑む。その微笑に暖かさを感じながら、アルテミアは言った。
「一時でも色々な事を忘れて、またこうして貴方と楽しくはしゃげる時間を過ごせて良かったわ……」
「そうだね、深緑ではどうなる事かと思ったけど、またこうして一緒に遊べるようになって良かった」
また一緒に遊ぼう、というウィリアムの言葉に、アルテミアは胸中で想いを沈めた。
いつか来る、貴族令嬢の務めを果たすとき。それが待っている以上、この暖かさに、身を委ねてはいけない。
でも、それでも……。
今はまだ、この暖かさに、触れて居たかった。
「んふふ、ゼノ〜……せっかく貴方が選んでくれた水着、着てみたのだけどどうかしら、似合ってる?」
そう言って妖しげに笑うノアから、ゼノは視線を逸らす。
「姉さん……だからアレは選んだんじゃなくて、姉さんが勢いだけで買っただけだって……ちょっと、近いって……」
「……こら、目を逸らさないで。
ね、日焼けオイル、塗ってくれない?」
身体を押し付けるようにいうノアに、ゼノはくらくらするような感覚を覚えながら、その豊満な体にオイルを滑らせる。
「……ん……オイル、冷たくて、気持ちい……あん……♡」
悩まし気にそう声をあげるノアに、ゼノはまたいっそう、くらくらとした感覚を抱くのであった――。
「ユリーカさん、い、一緒にビーチ行きませんか!」
飛呂がそういうのへ、ユリーカはひまわりのような笑顔を浮かべて、「いいですよ!」と頷いたのであった。
かくしてビーチに並ぶ二人。ユリーカは子供のようにあたりに視線をやっている中、
「えっと、ビーチコーミング、っていうのやってみません?
浜辺で流れ着いた、貝殻とか、流木とか。そういうのを見つけたり観察したりする遊びらしいんです」
「いいですね! どっちが凄いのを見つけられるか、競争するのです!」
ユリーカと共に、ビーチを歩く。足下の宝物と、隣にいる宝物へと視線を送りながら。
(いうぞ……水着にあってて、可愛いって! これくらいは……!)
その勇気を、飛呂がふり絞るまで、もうすこし。
「ちょっと歩きましたけど、ここなら他の人は居ないので、思い切り羽を伸ばしても大丈夫だと思います。まるでプライベートビーチですね」
そういうマルクに、テレーゼは柔らかく微笑んだ。ブラウベルクで真似るのは難しそうだ、そんな風にマルクは思いつつ、心に秘めて。
「ありがとうございます。とても静かで、綺麗な海で……」
そう言って瞳を輝かせるテレーゼに、マルクは穏やかな微笑を浮かべる。
「どうでしょう、その海に、身を委ねてみるのは」
マルクの差し出した手を、テレーゼはとった。エスコートするように、その脚を波にさらしてみれば、心地の良い冷たさが、太陽の熱に火照る体を冷やしてくれる。そのまま深い所まで進んでみると、波に揺れて、穏やかな心地が身体を揺らしてくれた。
「青い空とエメラルドの海の間で、世界に二人きりみたいですね」
そういうマルクに、テレーゼは、
「ええ、本当に……」
そう言って、笑うのだった。
ごろごろ、ごろごろと転がる。波打ち際をそんな風に楽しんでいるのは、おじぎだ。
平和を取り戻した静寂の青。その平和を享受させてもらうのも、悪くはない――。
「むぐっ」
おじぎがうなる。そのまま、ぺぺっ、と砂をはいた。
「転がっていたら、口に砂が入ってしまいました……。
うう、海の方に転がってしまって、塩水が目に染みて……酷い目に遭いましたね、眼球だけに」
ふぅ、と空を眺める。暖かな太陽が、おじぎの体を温めてくれた。
四は波打ち際から波を感じつつ、ゆっくりと深い所へ足を進めていく。脚から、腰に、おなかに、徐々に冷たさが身体を撫でていくのを感じながら、ふぅ、と息を吐いた。
「綺麗な海だな、砂もさらさらで気持ちが良い」
ゴミ一つもあるはずがない、あまりにも綺麗な、白と青の世界。その世界の中心にいるような、感覚。心地の良いリラックス感が、四の身体を包んでいた。
あ~~~~素敵~~~~~。
ああ、失礼いたしました。地の文をジャックいたしましたメイドのクロリスでございます。フローラお嬢様に、「いつものお礼に」とこの様な地にお連れ頂いただけでも満足大満足で御座いましたが、大胆な水着に身を包み、勇気を出して波と戯れるお嬢様を見ていると、まさに感無量で御座います。
「クロリス?」
きょとん、とした顔でフローラお嬢様が私の顔を覗きます。おっといけません。
「いえ、とてもお似合いです、お嬢様」
そう申し上げますと、フローラ様が頬を朱に染めて、嬉しそうの微笑んでくださいます。
「ROOの中なら、ワタクシをみて、なんて言えたのでしょうが……。
でも、アバターという仮面をかぶらず、外の怖いものも減ってきて……自分の脚で、歩けて。
今まで見守ってくれて、ありがとう、クロリス。これからも、どうか一緒に、歩んで頂戴」
もちろんでございます~~~~~! ああ、お嬢様、ご立派になられて……。体中の水分が涙になって出てゆきそう……。
「白虎大祭なんかは二人にとっても馴染みがあるだろうし安心感もあろうが、せっかく異国まで遊びに……いや仕事にきたのに、豊穣風というのももったいない。
やはりここは海水浴……はじめての水着、海水浴、異国の海の眩しい日差し、楽しい思い出……。
うむっ、これしかない!」
と、うんうんと頷く風牙の隣には、つづりと、そそぎの二人が、苦笑しつつ立っている。
「……ありがとうございます。お誘い、うれしい、です」
つづりが言うのへ、風牙が頷いた。
「うむ! あ、ちゃんと思い出はaPhoneで撮影しておくからな!
後で印刷して、ちゃんとアルバムにしような!」
「それはいいんだけど……さっきからあっちで騒いでる人たち、気にならない?」
そそぎがそういうのへ、風牙は大きくバッテンを腕で作った。
「バニーは接近を禁ずる!
二人にそういうのは、まだ早い!」
そういう風牙に、二人は小首をかしげて見せた。
「こら、ヴユーったら、アッシュちゃんを睨むんじゃありません!」
アイラがそういうのへ、アッシュは柔らかく笑った。
「いえ、先ほどの子犬も気になりましたが。
……わたしにはヴユーさんがいたのでした」
ぎゅ、とヴユーを抱きしめる。腰のあたりまでを濡らす透明な海の水は、二人の体温を心地よく冷やしていく。浮き輪に身を委ねて、ゆらゆらと揺れてみれば、さわやかな海風が頬を撫でて、童心に帰る様に誘っている。ふふ、と笑うアッシュに、ヴユーがツンツンとほっぺたをつついた。
「ヴユー!? アッシュちゃんのほっぺになんてことを!」
あわわ、と慌てるアイラに、アッシュは頭を振った。
「大丈夫ですよ。それより、一度あがって休みましょう。
海に来たときは、かき氷を食べるのだと聞きました。食べてみたいです」
そういうアッシュに、アイラが頷く。
「勿論!
折角ですからなにかご馳走したいところ。
ボクってば、おねーさんですから!」
そう笑うアイラに、アッシュは嬉しそうに微笑んだ。
「バニー・プリンセス……略してバニ★プリか……いや、略してどうする?」
暑さにくらり、としたのだろうか。アーマデルがふとそう言うのへ、弾正はふむ、と頷いた。
「バニ★プリ……それはかつて豊穣の山で悟りを開いた一族の暗殺拳法の名だと聞いた気がする……」
「いや、暑さで疲れているんだ。忘れて欲しい」
苦笑するアーマデル。ビーチに刺さる、パラソル。ビーチチェア。カジキマグロ。当たり前のビーチの光景が、そこに広がってカジキマグロ?
「大変だ、弾正! 領地からカジキマグロが!」
「ああ。まかせろ。これからカジキマグロを埋めていく。手伝ってくれるな――」
「何言ってるんだ」
「ふふ、少し地獄みのある作業だが……アーマデルとの共同作業だと思えば悪くはないか。
なぁ、無辜なる混沌が救われた後、争いのない日常が訪れたら、一緒にカジキマグロ農家でもやらないか?
アーマデルの領地のゲーミングカジキマグロも、きっと喜ぶ……いやまさに今喜んでいるな。俺も段々、こいつらに愛着がわいてきたぞ」
「ははあ、なるほど、記念植樹。
良かろう、ではこの砂浜に並べて……やろう弾正、何度目かの共同作業だ。
おおきくなれよ……」
oh……カジキマグロが植えられていく……。
「それで、何用じゃ?」
シロタイガービーチの一角。物々しい警備を引き連れて、ビーチチェアに腰かけるは、イザベラ・パニ・アイスだ。
「イザベラ女王陛下、本日はお目通り叶い光栄です。さて、私事ですがこのたび1月9日に冬宮の姫と結婚いたしました。未熟な二人ですが、今後ともよろしくお願い申し上げます。私人としては冬宮の姫の物となりましたが、公人としては変わらぬ忠誠を海洋へ誓います」
そういう史之の隣には、営業スマイルを浮かべた睦月の姿があった。
「そうか」
ふぅ、と興味なさげに言うイザベラ。塩対応には慣れている。むしろここで嫉妬だの何だのと言ったリアクションなど、史之は求めていない。問題は。
(あ……。あー……。あー、あー……。背が高くて強気で偉そうな美人、しーちゃんの好みドンピシャだね……。あーあ、改めて忠誠なんか誓っちゃってさ。おっと笑顔笑顔)
心中穏やかではない、睦月なのだが。
「しーちゃんのことは僕に委細お任せください。ほら、行くよしーちゃん」
少しだけ不機嫌そうにいう睦月に、イザベラに一礼して下がる史之。その背を見やりながら、イザベラは、ふ、と笑った。
「まぁ、幸せにな」
耳を引っ張られ、愛を誓う史之の後ろ姿が、イザベラの瞳にうつっていた。
「しかしまぁ熱中症になる奴の多いこと多いこと……。
澄恋もすまねぇな、手伝ってもらっちまってよ」
聖霊がそういうのへ、澄恋がうんうんと頷く。
「目の傷を診てもらったお礼です、沢山頼ってくださいな!
びーちでもお仕事しててえらいのです。
手当される方々が「ねっ、ちゅうしよー……?」と仰っていたので、
てっきり最初聖霊様が患者に爆モテでなんぱされてるのかと思いました。
いきなり接吻とはお熱いなあと思ったのですが……。
熱中症という物理的に熱い状態だったのですね……」
ほぅ、と頷く澄恋に、聖霊は苦笑した。
「「ねっ、ちゅうしよう……?」
ああ……そういやなんかそんなボケあったな……。
この状態になってもナンパしてくるなら相当な根性だな、尊敬はしねぇけど。
ああ、暑くねぇか? 体調悪くなったらすぐ言えよ。
ただでさえ澄恋は我慢しちまうタイプなんだからよ」
そういってスポドリを差し出す聖霊に、澄恋が微笑む。
「聖霊様こそ疲れていませんか? すぽどり初めて飲みます、美味しいですね〜!」
微笑む澄恋の笑顔。
(笑顔が多いことはいいことだが……。
――頼むから、俺の前で我慢なんかしてくれるなよ)
胸中でそう呟きつつ、聖霊は次の患者に視線を向けた。
青い海と、白い砂浜。空もまた抜けるような青。そこに天敵や外敵は存在しない。
「過酷な自然や魔物を気にせず、心から水遊びを楽しめる場所が世の中にはあるのですね。
とみかさんがいれば、あそこの監視員の方みたいな事をしているのでしょうか……」
アーカーシュで出会った友(ゴーレム)の事を雪莉は思い出す。あの子は空で、またプールの管理をしているのだろう。青いシロップとフルーツの乗せられたかき氷を齧れば、体の芯から、熱を冷ましてくれる。そんな、雪のような食べ物を見ながら、ふふ、といたずらっぽく笑ってみせた。
「……そうだ、この夏の日差しの中で舞い降りる雪はどんな景色になるでしょう。きっとすぐに溶けて消えてしまうでしょうけれど……ふふ、偶には悪戯も良いですよね?」
真夏に降った、ささやかな雪は、夏の日差しに溶けて、いつも以上にキラキラと輝いていた――。
●バニーと子犬とひと時の冒険
さて、視点を子犬とマール、そしてイレギュラーズ達の追いかけっこに戻そう。
「もう、元気だなぁ、あの子……」
マールがそうやって、肩で息をする隣には、同じく肩で息をするココロの姿もあった。
「そ、そうですね……」
困ったように笑う二人。その容姿は、何処か共通するものがあった。その、一部を除いて。
「ココロさん、ちょっと休もう……無理しちゃだめだよ?」
似通っているところに、親しみを覚えたのか、マールの言葉もいつも以上に着やすいようだ。
「で、でも……あの子も、待ってますし……!」
ココロの言う通り、子犬はまだ追いかけてこないの? と言いたげにこちらを見つめている。可愛いが、小悪魔的でもある。
「じゃあ、リリーにバトンタッチ!」
リリーが微笑んで、駆けだす。砂浜を走るのは、結構バランス感覚が必要なものだ。リリーはその感覚を楽しみつつ、子犬に向かって走り出す。まだまだ遊んでもらえると悟った子犬が、嬉しそうに飛び跳ねてから駆けだした。
「まてまてー! でも、追いかけてるだけじゃ、追い付けなさそうなくらい元気な子だよね!」
苦笑するリリー。その通り、小さな体のどこに爆発力があるのか、子犬はまだまだ元気そうである。
「ふぅむ、では、袋小路に追い詰めるのはどうであろうか?」
ティアドロップがそんな事を言う。
「流石に、行き止まりに着けばそこからは逃げられないだろうな!
如何であろうか、マールさん?」
「いいとおもう! ナイスアイデアだね、ティアドロップさん!
というわけで、みんなお願い~!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねるマールに、皆は頷いた。
「よっし、まかせな? 水鉄砲で進路を誘導してやるよ!」
ニコラスがウォーターガンを構えた。水が吹き出せば、子犬の進路を邪魔するように、海水が飛び散る!
「すごいすごい! 結構有効かも!」
マールが喜ぶのへ、ニコラスが笑った。
「だろ? こいつをこう……撃って行けば……!」
一発。二発。水が飛び散り、子犬が道を変える。三発。四発。かしゃん、かしゃん、とウォーターガンが悲鳴を上げた。
「あら、もう水切れか!?」
ニコラスが唸るのへ、誠司が続いた。
「後は追いかけよう、マールさん!」
「うん、誠司さん!」
隣に並んで、二人が奔る。誠司の視線は、知らず知らず、ついつい、マールの胸部あたりに吸い寄せられていた。何せ走ると揺れるので。
「……? 大丈夫? あたしの胸元、何かついてる?」
マールが小首をかしげながらそういうのへ、誠司は慌てて前を向いた。
「いえ! 大丈夫大丈夫! 何でもないから!」
男の子だからしょうがないよね。
「えっと、あらためて、子犬さんを誘導しますね」
そういうリディア・ヴァイス・フォーマルハウトに、マールがこくこくと頷いた。
「うん、おねがい! えーと、ティアドロップさんが言うには、あっちの方が行き止まりだから……!」
「わかりました。さぁ、あっちですよ~!」
ぴゅうぴゅうと音のなる、子犬用のぬいぐるみをぐにぐにしながら、リディアがいう。つられた子犬が、道を変えた。その後を追う、イレギュラーズ達一行!
「だぁ! 逃げんなこの愛玩動物風情が!!
白いなりでコロコロ動き回りやがって、調子のってんじゃねぇぞグルァ!」
吠えるその声にすら喜ぶように、ルナの前をかける子犬。ラダは申し訳なさそうな顔をしつつ、並走する。
「……すまん、もう少し簡単に済むと思ったんだ。
いや、原因は分かっている。水着だからな、いつもの四足歩行にはなれない……。
くっ、二足歩行がもどかしい!」
全力を出し切れない二人、それの速度も愉しむように、子犬がころころと転がるように走っていく。
「こっちだ、そのまま追い込んでくれ」
マッダラーが声をあげるのへ、ルナが頷く。
「おう! 頼むぜ! ラダ、もうひと踏ん張りだ!」
「やれやれ、家畜を追い立てるより厄介だな!」
ふ、と笑いつつ、二人がマッダラーの方へと子犬を追い立てる。マッダラーがさらに、横から進路をふさいだ。
「こっちには行かせない。だが、この道は――」
マッダラーが笑うのへ、飛び出してきた雄が言葉を続ける!
「行き止まりだぜ! さぁ、バニーちゃんのために、諦めてくれよ、ワンころ!」
飛び込むように、身体をほうる。覆いかぶさるように、子犬に近づく――。
「どこに行こうか無駄だぁ、こちとら神翼獣ハイペリオンの加護があるんだよ! もらった――」
叫んだ瞬間、マールが声をあげた!
「あっ、突然空っぽのフードワゴンが!」
そう! 空っぽのフードワゴンが転がってきて、雄を吹っ飛ばしたのだ!
「なんでだぁぁぁぁぁ!!」
吹っ飛ばされる雄!
「そんなことある……?」
困惑するマッダラー!
「くぅーん」
流石の子犬もびっくりだった!
「よいしょ、っと」
愛奈が、その隙をついて、子犬を抱き上げた。
「ふふ、もう充分に遊んだでしょう?」
そう言って笑う愛奈に、子犬が「ひゃん!」と鳴き声をあげる。その瞬間に、子犬がくわえていた竜宮幣が砂浜に落下した。愛奈がそれを拾い上げると、慌ててやってきたマールに手渡した。
「この子、遊んでほしかっただけなんですよ。満足すれば、ちゃんと返してくれます。
だから、怒らないで上げてくださいね?」
そういうのへ、マールはきょとんとした。
「え、怒らないよ? えへへ、けっこー楽しかったからね」
屈託なく笑うマールに、愛奈は穏やかに笑った。
「どうやら捕まったみたいだな」
クロバが追いかけてくるのへ、マールは笑顔で頷いた。
「うん! ありがと、クロバさん! 皆が手伝ってくれたおかげだよ!」
そう言って、感激するようにクロバの手を握って、ぶんぶんとふる。クロバは少しだけ顔を赤らめながら、
「あ、ああ。役になったなら良かった」
「うん、すっごく! ほんと嬉しいよ~!」
そう言って、ぐいぐいと距離を詰めてくるのは、マールの距離感がバグっているからである。クロバ君にとっては、バニーガールが距離を詰めてくるなど、とんでもない事ですよ。
「って近い! 近いのはやめて!! そんな恰好で近づくのは女の子としてどうかと思う!」
「なんで? ぴったりくっついてた方が楽しいよ?」
屈託なく笑うマールに、邪気は感じられない。天然純真に、こう言う事をしているのだろう。
「相変わらずですね」
苦笑するルーキスに、マールが手を振った。
「あ、ルーキスさん! この間ぶり! えへへ、ワンちゃんおいかけるの、手伝ってくれてありがとう! 挨拶おくれちゃった」
「いえ、お気になさらず。
それにしても……妹の危機に、たった一人で助けを求めに行くとは。妹さんとは仲が良いんですね。メーアさんは、どんな方なんでしょうか?」
ルーキスの言葉に、マールは笑った。
「うん! とってもいい子で、あたしより可愛いくて、もう、ずっとぎゅーって抱きしめたいくらい! 竜宮幣が集まったら、竜宮に戻るから……その時、ちゃんと皆にも紹介するね!」
マールの言葉に、ひゃん、と子犬が鳴いた。
「そうだねぇ、キミにも紹介してあげるね」
ニコニコと笑って、子犬の頭をなでる。
果たしてビーチの騒動は、イレギュラーズ達の力を借りて解決した様子だった――。
●蒼く、深い海で
ビーチから少し沖合に出てみよう。此処ではボートや遠泳にでている客たちが多くみられる。アンジュもまだ見ぬいわしを求めて、アクアマリンの海を泳いでいた。
「いわしを獲るのは許せないからね! 密猟者はバシバシ摘発しちゃうよ!」
と、決意を胸に、美しい青の海を泳ぐ。幸いなことに密猟者はいないようだ――まぁ、いわし密猟者も、アンジュの姿を見れば黙って逃げ出すに違いないのだが。
「あとは、新種のいわしと会えるといいなぁ。保護しないとね!」
アンジュが海の中で瞳を光らせている間も、イレギュラーズ達のバカンスは続いている。
ビニールボートの上では華蓮の姿があって、波間にちゃぷちゃぷと揺れながら、横になって暖かな陽光を浴びている。
「誰かと遊ぶのはとってもとっても大好きだけれど、偶には一人でゆっくりするのも悪くないものだわね」
とは華蓮の言だが、しかし確かに、一人でのんびりする時間は時には良い休息をもたらすだろう。
ボートから身を乗り出してみれば、澄んだ透明の海が、青い海底までを映し出している。
「カメラを持ってくればよかったかしら…それともこういうのは、カメラではなく心に刻み込むのが粋なのかしらね」
くすりと笑ってあたりを見て見れば、同様にビニールボートを浮かべてのんびりとした様子を見せる、グリムの姿もあった。ふと目があったので、手を振ってみると、グリムものんびりと手を振って返してくれる。
グリムは海難救助も行うつもりだったようだが、しかし今回に限って言えば、そのような事は起きなかったといえる。ので、グリムも心行くまで、ボートの上の休日を堪能したはずだ。
とはいえ、静かなばかりでもない様だ。フロラがレンタルしたスチーム・ジェットスキーがご機嫌なエンジン音と蒸気をあげる。
「ブイブイ言わせますわ〜〜!!! うおうお私が音速の貴公子ですわ!!
あっお嬢様でしたわね失敬」
ぶおんぶおんと鳴り響くエンジンの下では、訂正の言葉も遠くに聞こえる。
「そこの貴方!!! 目が合いましたわね!! レースバトルですわ〜〜〜!!!
くお〜!!! ぶつかりますわ〜!!! アクセル全開、インド人を右に!!! ですわ!!!」
別のジェットスキーの集団に、ノリノリでレースを申し込みに行ったフロラだったが、数秒後にはなんか転覆してぶくぶくと沈んでいた(スタッフが安全に救助しました)。
そんなこともありつつ、されど沖合は穏やかで静かなものである。アンリはドラちゃんを抱きかかえながら、上空から海を見つめていた。
「キラキラしてるな。上にも下にも、空があるみたいに、一面真っ青だ」
アンリが少し、顔をほころばせながらそういう。このまま、水中にもぐってみてもいいかもしれない。そんな風に思う。
その近くにはクルーザーが止まっていて、京とギルオスの姿が見えた。
「クルーザー操縦の経験があるなんて。頼もしいな」
ギルオスがそういうのへ、京は気恥ずかしそうに笑う。
「まぁ、昔ね。ギルオスさんはお酒でも飲んでてよ。ついでに、つまみになる魚でも釣ってみましょ。捌くのも、アタシできるからさ」
その言葉に、ギルオスはさらに驚いた顔をして見せた。
「捌くのも出来るのかい!?
京は多芸だなぁ。凄いよ!」
感心したように言うギルオスに、しかし京は気まずそうに言う。
「あー……その、アタシ、お魚を捌くまでは出来るんだけど、調理はまだ練習中だから……くっ……!」
「凄い凄いと思っていたけれど――可愛らしい所もあるんだね。
はは。それじゃ調理は僕が担当しようか。
うん、ここまで色々任せっぱなしなのもアレだったからね。
まずは、大物が釣れるように頑張ろうじゃないか」
ギルオスの言葉に、京は頷く。静かな海の上で、二人は並んで釣り糸を垂らした。
そこから少し離れてみれば、一隻のボートがあって、そこにはクウハやフーガ、望乃の姿があった。ダイビングスーツ姿の三人は、これからまさにダイビングに挑もうとしているところだ。
「晴れ渡る空に穏やかな海。
薔薇の香る麗しのレディも一緒と来れば、
いい日にならない訳がねェ。
これでフーガもレディなら両手に花だったんだがなァ?」
そう言って笑うクウハに、フーガも笑ってみせた。
「クウハ、よしてくれ……いや別にかまわねーけど……。
クウハが王子様なら望乃は姫様で、おいらは兵士だな」
「照れますが……コホン。
それでは、レディーをしっかりエスコートして下さいね、クウハ王子様?
兵士のフーガさんも、しっかり守ってくださいね?」
冗談めかして言う望乃に、二人は楽しげに笑ってみせた。
三人は蒼の海へとダイブする。柔らかなマリンブルーの海には、宝玉のような珊瑚や、花のような魚たちが躍っている。
「おいらの住んでた所も海は身近にあったけど、
深くまで潜ることはなかった。
深海がこんなに美しいなんて知らなかった」
「とても綺麗で……あら、あのお魚、クウハさんの方に。
……ああ、あの珊瑚がお目当てだったんですね。お魚のお家なのでしょうか?」
「さぁて? だが、いい珊瑚だ……持って帰りゃいい金に……。
……わーかってるって。やらねーよ」
頭を振るクウハに、二人は笑ってみせるのだった。
もう一度海上に視点を移せば、大きな波の上で、サーフボードの上でポージングを決めるアンドリューの姿があった。
「鉄帝では波乗りなど出来ないからな! 南国の海は新鮮で楽しいぞ!」
大胸筋をぴくぴくとさせるアンドリューに、カイトは負けじとサーフボードの上でポージングを決めて見せた!
「うおおおおおお今日ばかりは勝たせて貰うぞおおおおおおおお」
「その意気だ! 何に勝つかは知らんが、その覇気は、イイ!
このビックウェーブにのるしかないだろうカイトォ!
行くぞ!!! ウオーーー!」
「……海遊びをな、当日までな! 我慢してたんだよ俺は!!!
楽しいなアンドリュー! 波は! イイな!」
「ああ、最高だな、カイトォ!!」
荒れ狂う波も、或いは二人の男には物足りないものなのかもしれない……!
さて、少し離れた場所では、トストがヴィルメイズを乗せたフロートを引っ張って泳いでいる様だ。
「重いので大変でしょう……ご無理はなさらず」
ヴィルメイズがそういうのへ、トストは頭を振った。
「ふふ、これくらい平気平気。風もほとんどないし……あったら翼が帆みたいになったかもしれないけど。
それより、どうだい? この辺の海は透明度が高いんだねぇ。
水面からもカラフルな珊瑚が見える。なんだか花畑を空から見てるみたいだ」
「ええ、なるほど、これが珊瑚なのですね。色とりどりで綺麗です。フフッ、魚も元気に跳ねて……。
そうだ、先ほど、ウミガメを捕まえたのです。ほら」
そう言って、フロートの上を指させば、そこにはとぼけたような顔を見せるウミガメの姿があった。
「これで巷で有名なウミガメのスープを……」
「い、いや、かわいそうだから、後で放してあげないと」
苦笑するトストに、「おや、残念です」と、ヴィルメイズは笑ったのだった。
……そんな、賑やかな沖合から、少し離れて。あまり人のいない海の中、縁は不意を突かれたような表情をした。
「……アズマ……」
呟きに、アズマはひょうひょうとした様子で手をあげて見せた。
「よう、休日みたいだねぇ? いやぁ、おっちゃんも、”たまたま”、”気まぐれで”、ダイビングを楽しんでいた所でね?」
そう言って笑うアズマの真意は、縁ははかれない。いや、誰であろうとも、その笑みの内側を覗き込むことは、困難なはずだ。
「ヒレ休めが必要なほど働いてるとは意外だな。どういう風の吹き回しだい?」
平静を装って聞いてみれば、アズマは、ふ、と笑う。
「ただの息抜きだって、ほんとほんとー。ギャングの頭はってると疲れる事が多くてさぁ、おっちゃんも偶には羽休め……いや、ヒレ休めしないとねー?」
こちらに渡す情報ない。そう言いたいのだと、縁は判断した。
「さて、おっちゃんは先に上がらせてもらうよ。無番街の方を見て回らないとねぇ。
――ああ、そう言えば」
酷く冷たい笑みを、アズマは浮かべた。ギャングの頭としての、冷たいそれだった。
「蜻蛉ちゃん、だっけ。あの子にもよろしくねぇ」
その言葉に、背筋が凍る。お前の弱点はお見通しだ、と言われたかのような感覚。
縁が言葉を紡ぐ前に、アズマは姿を消していた――。
●シーサイド・ショッピング
さて、ビーチから少し離れてみよう。ビーチサイドに設置されたエリアは、白を基調とした洗練されたデザインのカフェや商店、レストランの並ぶ、ショッピングエリアだ。賑やかであれど雑然としているわけではない、ある種上品な賑わいが見て取れるだろう。
Я・E・Dは、先ほどの騒動を終えたばかりのマールを連れて、レストランへとやってきていた。この街の情報も、Я・E・Dに取ってはお手の物だ。あまり肩ひじを張らず、されど上等な食餌の楽しめるこのレストランは、このエリアでも人気の一店だ。
「ありがと、Я・E・Dさん。お店案内してくれて。
で、でも、あたし浮いてないかな?」
ぴょこぴょことうさ耳を直すマールに、Я・E・Dは笑いかけた。
「大丈夫だと思うよ。それから、マールさん、先日ぶりだね。
あの時は敵に追われていたりして大変だったから、
あんまり詳しい話とかできなかったけど、
良かったら竜宮城がどんな所なのかとか教えて欲しいな」
「うん! 竜宮はね、豊穣の近くの海底にあるんだ。
見た目は……此処でたとえると、カジノの建物みたいなのが多いよ。
深海は暗いから、キラキラした光の魔法で、たくさん照らしてるんだ~」
二人は雑談と一緒に、食事を楽しんだ。
さて、そんなレストランには、汰磨羈とローレット情報屋三人の姿もある。
「悪いわね、奢ってもらうなんて」
プルーがうっすらと微笑んで言うのへ、汰磨羈はうむ、と笑った。
「私達がここまで確りと仕事をこなしてこれたのは、情報屋達がより正確な情報を届けてくれているお陰だ。
その礼を、今此処でしておこうと思う。
なに、金の心配は無い。
依頼をたくさんこなしているからな、懐は十分に温かいぞ。領地の経営も上手く行っているし」
「さすがだね」
ショウがわらった。
「でも、俺たちが情報を持ってこれるのも、皆の力あってこそだよ。こちらこそ、皆に感謝を……でも、せっかくだから、ご飯はいただくけれどね?」
冗談めかして笑うショウに、
「うむ! たくさん食べてくれ!
ああ、そういえば。ユリーカは成人したのだったか?
……少々、不思議な気分ではあるが。
酒はもう飲んでみたか?
まだなら、私が初心者向けの酒を紹介してやろう」
「むむむ、確かにボクももう大人の女なのです! 此処は一つ、大人のボクをお見せするのですよ! ……初心者向けのお酒で!」
そう言って笑うユリーカに、汰磨羈は楽しげに笑った。
少し離れた席には、紫電とフェールニクスの姿もあった。
「フランボワーズソース&ギリシャヨーグレットのリコッタダッチベイビーケーキを一つ」
「フェルはー、フライドチキンと、このすっごい美味しそうなアイスクリーム!」
等と注文してみれば、少しの時間をおいて注文通りの料理が並ぶ。
「フェルは……相変わらずチキンが好きだな」
「んーーー! きっけりき! おいしいよしでん!」
にこにこと、フェールにクスが笑う。
「アイスクリームもフェルの熱でちょうどい感じに溶けて食べやすい……!
……? ……なんだかほわほわしてきたよ……しでぇん……」
なにやらとろんとした表情を見せるフェールニクスに、紫電は首をかしげる。
「どうした、フェル……げっ! よくメニュー見たらこのアイス、アルコール入ってる!?
やっべ、酒の入ったフェルは録なことにならない! 早く離れ……!
( ‘ᾥ’ )うわぁぁー!!!」
虹が舞った――。
……さて、レストランから離れよう。先述したとおり、飲食以外の、『少しばかり高級なお土産』を取り扱ったお店も多いのがこの辺りの特徴だ。
Tricky・Starsの稔は、そんなお高いお土産を眺めていた。知り合いと、家族へのお土産だ。
「……?」
店の外にふと視線を移せば、マールの姿が見える。子犬を抱いてあちこちに視線を移す彼女は、興味深げにあたりを見回していた。
「朝からあんなに走り回って、疲れないものなのだろうか。
……何か、水分でも差し入れしてやるか」
そんな独り言に気づいたのか、マールがふとこちらに視線をやって、ニコニコと笑いながら手を振っていた。
マールの歩いていた商店エリアでは、ハリエットの姿もあった。目に留まったのは、ガラス細工を販売するお店。部屋が殺風景だから、何か欲しい、と想ってイルカの置物を手に取って。視線を滑らせば、ペアグラスが、ハリエットの思考を奪う。
「……お客様用の食器類、何一つないんだよね」
この間、紆余曲折逢ってはじめて部屋に人が訪れた時に気づいた。誰かをもてなすためのものが、何もないのだ、と。
「これも、ください」
イルカのガラス細工と一緒に、ペアグラスも。みずいろと、みどりいろの、涼しげなペアグラス。
誰かの為に、使えたらいいな、と暖かな気持ちを抱くのだった。
その近くでは、エルスとファレン、そしてフィオナが並んで歩いている。エルスが声をかけたのだ。
「今日はラサへのお土産を買おうかと思ってねっ」
そういうエルスに、フィオナは少し、からかうように、
「えー? ”ラサへの”っすか? ”あの人”への、じゃなくて?」
そういうと、エルスは分かりやすく顔を赤らめた。
「ぇ、あ、まぁ……あの方へのお土産も選びたいけれど!」
「ふふー、やっぱり!」
「フィオナ、あまりからかうものでは」
ファレンが苦笑する。
「しかし、彼、ですか」
「ええ。その、お酒……が好きなのは知ってるのだけれど。逆にそれだけしか確信が持てないというか……送るのも、いつも無難なお酒になってしまいがちというか。
ねぇ、二人は何か知ってる? アドバイスとかあったら――」
「え、それはもちろん」
フィオナが悪い笑顔で言うのへ、
「フィオナ、そういうのはなしです」
ファレンが再び苦笑した。
「しかし、好み、ですか。確かにむずかしいですね。
少し品物を見ながら、一緒に考えましょうか」
ファレンの言葉に、エルスは感謝するように頷いた。
そんな三人が覗く店の近くのお店には、ブラッドとサンティールの姿が見えた。
「……サンティールに合う物を俺が選ぶのですか?」
アクセサリのお店だ。普段使いのものから、少し特別なものまで、色々なら部その店で、ブラッドがいう。
「俺にセンスの良い女性ものを選ぶ自信が無いと言いますか……ご自分で選ぶ方が確実なのでは?」
「ブラッドが思う、僕に似合う可愛いってどんなのかなあって思って。
……その、こう、……すきなひとの理想になりたいって! おもったり! するの!」
少し顔を赤らめてそういうサンティールに、ブラッドはふむ、と真面目な顔をして見せた。
(彼女からの『好き』がどういうものかはまだ測りかねるし、
もし男女的なものであれば俺から見てあまりにも若すぎる彼女の気持ちは受け取り難い……。
しかし自分で思ったなりたい姿があるのなら俺が口出す事ではない、か)
胸中で呟きつつ、
「君がそう言うのならできるだけ考えてみます……」
「ほらほら、しっかりえらんでくれたまえ!」
そう言って笑うサンティールのそれは、何かをあきらめた顔ではなかった。
このエリアには様々なお店があって、化粧品を扱うお店もある。わんことコルネリアは、そんな化粧品店に顔を出している。
「……なんか寒いわね。冷房きいてるの?」
と、コルネリアがいう。シロタイガービーチ。その名をきくだけでなんだか身震いがするものだが、それはさておき。
「お店を見ると確かに全体的にLuxury…….中々お値段張りマスネ、至る所にブランド物デス!」
流石のわんこもたじろぐ店内。『お高い』品物が並んでいる。
「確かに値は張るけどこういうのはね、金を落としてその時を楽しむのが正解なのよ。それに、此処はモノは確かみたいだしね?」
「なるほど! 望むところデス! ……が! わんこ化粧とか全然わからないわけで!
姉御、どうすればいいんデス? やっぱファンデーション? とか言うのを買うんデス?」
尋ねるわんこに、コルネリアはふむ、と唸った。
「そうね……ファンデーションもだけど……アンタ肌綺麗だから軽めにパウダーでいいわね。
口紅と……爪を守るマニキュアも買っておきましょ。
帰ったら塗ってあげるから、好きな色教えなさい。それに合わせて選んであげるわ」
「愉しみだぜ! そうデスね~~姉御とおそろいがいいデスね!」
「アンタとアタシじゃ似合う色違うでしょ。
ま、悪い気はしないけどねぇ?」
そう言って、コルネリアは笑った。
店から出て大通りに視点を戻せば、メイ、蜻蛉、雪之丞、エンヴィの姿があった。
「ねーさまたち。今日はよろしくお願いしますっ!」
メイがそう言って、楽しそうに笑う。でも、その心の内に、何か喪失感を隠しているように感じるのは、気のせいだろうか……。
「お久しぶりです。今日は、よろしゅうね」
蜻蛉が、優しく笑った。心に抱いた思いは隠して。此処にいるだれもが、同じ喪失感を抱えて……でも、分かっているからこそ、それを尋ねることも、表に出すこともしない。
「メイ様。人も多いですから、迷わぬよう、手を繋いでいきますか?」
雪之丞がそういうのへ、メイは顔をほころばせて、頷いた。
「さぁ、行きましょう? 妬ましいくらいに素敵なお店が、いっぱいあるらしいわ?」
エンヴィの言葉に、皆は頷いた。小物やアクセサリの並ぶ、可愛らしいお店が目に付く。
「これは……イルカかしら。イヤリングね」
エンヴィが手に取るそれを、メイが覗き込む。
「ほんとなのです。かわいいのです」
「色々あるんやねぇ。ね、この髪飾り、夏の浴衣にも似合いそうやわ」
蜻蛉の言葉に、雪之丞が頷いた。
「こちらの、腕輪も可愛らしいですね。迷います」
むむ、と唸る雪之丞。エンヴィが笑った。
「あら、まだまだいろいろなお店を巡るのよ? 一件目でこんなに悩んでいたら、時間が足りないわね」
「ふふ、そうなのです! でも、こう言う時間って、たのしいのです」
メイの言葉に、皆は頷く。四人の時間は、まだまだ続くだろう。
さて、そんなショッピングエリアには、弥恵とカヌレの姿もある。
「ふふ、今日はありがとうございました」
カヌレが満足げにそういうのへ、弥恵は笑った。
「いえ。カヌレ様がおススメの水着を着てくれる日を楽しみにしていますよ」
その言葉に、カヌレは赤面する。
「……アレ、すこし大胆過ぎませんこと?」
「そうでしょうか? よくお似合いだと思います」
くすくすと笑う弥恵に、カヌレは「もう!」と声をあげる。
「そうです、カヌレ様。此方の指輪を」
そう言って、弥恵はカヌレの右手の指に、翡翠の指差をつけて見せた。
「今日の思い出に……左手の方が良かったですか、カヌレ」
そう冗談めかして笑う弥恵に、カヌレは再び、「もう!」と声をあげたのだった。
ここらで休憩はどうだろうか。いくつか点在するカフェからは、心地の良いコーヒーの香りが漂ってくる。もちろん、それぞれが店自慢にして通も唸るという一品たちのかおりだ。
「どうじゃ? 美味しいか?」
開放的な、真っ白なカフェ。その一テーブルに着いたクレマァダが得意げにそういう。
つづりとそそぎの前にあるのは、大きな皿に洒落っ気いっぱいの演出にのせられた、ケーキやアイスクリームだ。ストロベリーのようなピンクのアイスを口に含むと、つづりとそそぎは目を丸くした。
「おいしい、です……!」
「氷菓は豊穣にもあるけれど、国外のもすごく美味しいわね」
嬉しそうにデザートを口に運ぶ二人を、クレマァダは嬉しそうに、うんうんと頷いて見るのだった。
近くの席では、芳醇なコーヒーの香りに満足げに目を細めるグレイシアと、キャラメルマキアートを愉しむルアナの姿もあった。
「おじさま、やっぱりすごくうれしそう。珈琲って、そんなに奥が深いの?」
そう尋ねるルアナに、グレイシアはうむ、と頷いた。
「そうだな……焙煎から始まり、豆を挽き、抽出する。
全く同じように作っても、色んな条件で味が変わってしまうからな」
「ふーん……。わたしは苦いの飲めないけど、飲めるようになったらおじさま好みの一杯、
淹れられるようになりたい!」
無邪気にルアナがそういうのへ、グレイシアが、ふ、と笑う。
「その日が来ることを、楽しみに待つとしよう」
ルアナが、ミルクなしにコーヒーを飲めるのはいつになるのだろうか。だが、ルアナの淹れたコーヒーを楽しむことのできる日が来るとしたら、悪くはない、とグレイシアは想うのだ。
別のカフェのテラス席では、ジルーシャとプルーが、ケーキとコーヒーを楽しんでいる。
「んーっ、ホント、すっごくおいしいわこのコーヒー! ケーキにもよく合うわー♪」
「ええ。ランプブラックの澄んだ苦みは、ミルキーホワイトの甘みを洗い流して、何度でも食べてしまいそうになるわ」
プルーが満足げに笑う。思わず見とれてしまいそうなその姿から、名残惜しそうに視線を外しつつ。
「お土産でも売ってるみたいね。帰りに買って帰りましょう?」
「ええ、是非」
午後の暖かな陽光と、潮騒の音を聞きながら、馥郁たるコーヒーの香りに身をゆだねる。最高の贅沢に思えた。
「ね、この後はウインドウショッピングなんてどうかしら? どこか行ってみたいお店はある?」
「そうね。ホリゾンブルーの今日に似合うようなお店を」
柔らかく笑うプルーに、ジルーシャは頷いた。
「ふふ、楽しみね」
今日がすばらしい日なのは、間違いない。
近くのカフェでは、マールと愛無がテラス席に座っている。マールはおっかなびっくり、コーヒーを飲んでみた。
「おいしい! ふふ、そう言えばコーヒーって飲んだことなかったなぁ」
「そうなのかね?」
尋ねる愛無に、マールは頷いた。
「うん! おなかに良くないですよー、ってね」
「そう言えば、君はお姫様でもあったな」
うむ、と頷く愛無に、マールは苦笑した。
「乙姫は妹のメーアだから、あたしはおまけみたいなものだけどね。
で、深怪魔についてだっけ?」
「ああ。あれらの生態やら信仰やら。戦うのは嫌いじゃないからな。狩るには面白そうな相手だ」
「愛無さん、強いんだねぇ。あたしは怖くて震えちゃうよ~。
えっとね、あたしも詳しくはないんだ。メーアは勉強できるから、詳しい事は知ってると思うんだけど……ごめんね」
「いや、いいさ。楽しみは後に取っておこう。何にせよ、祭が成功して、竜宮幣が集まるとよいね」
そう言って、愛無は静かに微笑してみせた。
店内では、弦月と孝臥が、席についてコーヒーを楽しんでいるところだった。
「確かに、いい香りのコーヒーだ」
弦月はそう言って、コーヒーをひとくち。そのまま、に、と笑って、
「ま、俺にとっては孝が淹れるコーヒーが一番だがな!」
そう言った。孝臥は、少し嬉しそうに笑った。
「そう言ってくれると嬉しいな。けど、確かに美味しいコーヒーだ。
土産に豆も買って行こう」
午後の穏やかな時間を、二人で過ごす。贅沢な、至福の時間と言えた。
「さて、少し休んだら、ショッピングにでも行こうか、弦」
「ああ、のんびり買い物もしたいな! 行くか、孝!」
二人の休日は、まだまだ始まったばかりだ。
●白虎大祭の夜
日は沈み、夜へ。シーサイドには豊穣様式の屋台が並び、洋の世界に並ぶ和の雰囲気が、エキゾチックな印象を楽しませてくれる。豊穣文化をアピールするためという側面もあるが、とくに海洋側からの観光客は、安全に、手軽に楽しめる異国文化として、非常に魅力的に映った事だろう。
さておき、そんな屋台の中には、ゴリョウの出すかき氷の店もある。シロップは、そんじょそこらのモノとは違う。果物の果肉をミキサーにかけて作った、ゴリョウお手製のシロップだ。
「ゴリョウさん! お店やってるんだね!」
マールが子犬を抱きかかえながら、ぱたぱたとやってきたのへ、ゴリョウはぶはは、と笑った。「おう、噂の竜宮のお嬢ちゃんか! かき氷、食ってくか?」
「ありがとー! あ、お金もちゃんと貰ってるから、お支払いはするよ?」
得意げに言うマールに、ゴリョウは愉快気に笑った。
「おう! しっかりしてるねぇ、お嬢ちゃん! さ、何が欲しい?
苺、レモン、キウイ、マンゴー、桃、スイカ、ベリーといった果物類、
無論、定番の練乳や抹茶、小豆といった和風な代物も取り揃えてるぜ!
あとはサイダーにパイナップル、レモンの果汁を混ぜた本格的なブルー・ハワイとかだな!
存分に味わって、そして涼しんでくれや!」
豪快に笑うゴリョウ。マールはわくわくした様子を隠そうともせず、店先に並ぶシロップに釘付けになっていた。
「へぇ、イレギュラーズが屋台をやってるのか」
スースァが、ベビーカステラなどを齧りつつ、店に顔を出す。
「おう! どうだい、他の屋台とは一味違うぜ?」
そういうゴリョウに、スースァは笑ってみせた。
「確かにそうだ。屋台の食べ物はとくにおいしく感じるものだけど、此処のはとくにおいしそうだ。
……アンタ、マールって言ったっけ。まだ悩んでるのか?」
呆れたように尋ねるスースァに、マールはむぅ、と唸った。
「たくさんあって選べないよ~」
わーっ、と嬉しそうに悲鳴を上げるマールに、スースァは、ふ、と笑ってみせた。
祭には、他のイレギュラーズ達も見物に訪れている。
「お祭りー! 楽しそうだな! いっぱい食べ物があるぞ!
フリアノンにないものばかりだ! 全部食べてみたいな!
アウラは全部食べきれるか?」
そう、はしゃぐ様子で尋ねる熾煇に、アウラスカルトは、ふむ、と唸ってみせた。
「可否を問うならば可能だが、姿を晒す訳にもゆかんのが難点か。だが日を改めれば完全なる踏破も叶おう。それでは不服か、小さき者よ」
とはいえ、その言葉も、はしゃぐ熾煇に届いたのやら。目を輝かせてあちこちの屋台に視線を移す熾煇は、次々と食べ物を買い込んでいる。
「たこやきってタコが入ってるのか! タコをそのまま焼くんじゃないんだな! 焼きそばはそばを焼くのか!? かき氷ってなんだ!? 氷を食うのか!?」
はしゃぐ熾煇の姿には、さすがのアウラスカルトも苦笑を浮かべただろうか。とはいえ、二人の食べ歩きも始まったばかりであった。
スティアとイルは、おそろいの浴衣を着て、手を繋いで屋台路を歩いている。
「うん、私は豊穣に渡った事が無いからとっても緊張するな……」
言葉通りに緊張した様子を見せるイルに、スティアは笑った。
「ふふ、大丈夫だよ。
さて、まずは綿あめとリンゴ飴を買うね。
飲み物はラムネかな?」
んー、と思い描きながらそういうスティアに、イルは苦笑した。
「ふふ、スティア。それじゃあ持ちきれないかも知れない。
袋に入れて貰えば大丈夫だろうか……あ、私、たこ焼きも買ってみたいな」
「じゃあ、たこ焼きも買おうか! もうすぐ花火だから、それを見ながら食べようね。
花火が良くみえるっていう秘密の場所、もうリサーチ済みだから!」
そういうって笑うスティアの表情は、花火にも負けないくらいに、明るく可愛らしい華のようだった。
そんな二人が通り過ぎた屋台の前で、セージとディアナが座り込んでいた。アクセサリのお店のようだ。シレンツィオで売っているものに比べたら随分とリーズナブルなものだが、それでも、ものがいいのは豊穣の職人気質のなせる業だろうか。
「おもちゃのアクセサリーだけど、どれも可愛いわ」
ディアナがそういう。目についたのは、小さな指輪。子供っぽかったけれど、それ故に愛らしさを覚えるような、そんな指輪だ。
「ね。そろそろ予約しておいてもいいのよ? セージの可愛い恋人の、ここ」
からかうように、自分の薬指を指してみる。さて、どんな反応をするだろうか。しかられるか、呆れられるか。でも、反応は予想に反して。
「んじゃ、これで予約だ」
そう言って、その指輪を、薬指に優しくはめる。
予想外の出来事に、顔から火が出る位に赤くなって。
「本物に変わるまで、大事にする……」
そう、いうのだけで精いっぱいだった。
そんな二人の後ろで、ひよのと花丸が、おそろいの浴衣に手を繋いで、りんご飴を片手に、楽し気に歩いていた。
「えへへ、カムイグラはちょっと遠いからお誘いできないけど、
こういう形でなら花丸ちゃん達が冒険したカムイグラを、
ひよのさんにも体験してもらう事が出来るからねっ!」
屈託なく笑う花丸に、ひよのは少しだけ笑みを浮かべて、頷いた。
「此処からならばカムイグラは近いのでしたっけ?
それでも、リゾートで体験できるのならば一石二鳥ですね、何せ作法を知らずとも堂々と振る舞えます」
なんともひよのらしい言葉に、花丸も笑ってみせた。
「何かお土産になるようなもの、買って帰ろうか」
その提案に、ひよのが、頷いてから、むぅ、とうなった。
「おみやげですか。
……花丸さんとお揃いの浴衣ですから、おそろいの品が良いかと。
髪飾りや、アクセ……んん、aPhoneのストラップも良さそうですよねえ。
いつも持っていられますし」
その言葉に、花丸も頷いた。
「えへへ、そうだね。カムイグラっぽいもの……根付とかかなぁ。
色々見てまわろうか。時間はあるからね!」
そう、二人の時間は、まだまだ始まったばかりなのだ。
清水 カイトとサラの二人も、祭の喧騒に身をゆだねる二人だ。
「サラちゃんの浴衣……肩とか、お、お胸が出てて何だか目のやり場に困るけど……すごく綺麗だ……」
どぎまぎしながらそういうカイトへ、サラも少し頬を赤らめて、微笑む。
「……さらのゆかた……きれいって……えへへ……。
カイト君も……かっこいい……よ……」
そう言われると、なんだか気恥ずかしくなってしまうものだ。幼い二人は緊張でカチコチになって、でも、やっぱり触れ合いたくて。
「えっと、手、繋ごうか、はぐれないように……」
そういって、差し出した手を、サラは優しく握った。
「て……つないでいいの……? うれしい……!」
手袋越しではない、直接触れあう手と手が、お互いの熱を伝えてくれた。離れないように、人ごみにはぐれないように、強く握った手が、ドキドキと心地よさと嬉しさをもたらしてくれて、二人は顔を赤くしながらも、幸せそうに、その手を絡め合うのだった。
さて、そんな祭の風景に、ルカとマールの姿もあった。
「ありがとールカさん! えへへ、誘ってもらえるとは思わなかった!
それに、その。奢ってもらっちゃって……」
申し訳なさそうにいうマールに、余裕の笑みを見せるルカ。
「こういう時は素直に奢られとけ。それが男に対する気遣いになるってもんだ」
「そうなんだ……なんかルカさん、かっこいいね! 大人の男の人って感じ!」
キラキラした瞳でそういうマールに、ルカは笑ってみせた。
「素直に受け取っておくよ。さて、最後だ、神社に参拝でもするか」
そういうふたりを、白虎大神神社のまばゆく照らされた連立鳥居が向かえてくれる。
「わぁ、幻想的!」
「海の底の姫がそういうなら、本当にそうなんだろうな。
参拝の作法は忘れたけどカミサンもそんな細かい事気にしねえだろ。
さ、行こうぜ」
そう言って差し出した手を、マールは優しく握り返した。
そんな鳥居の中を、メープルとサイズが歩いている。少しだけ、硬い表情をしたサイズを、メープルはからかうように声をかけた。
「せっかくステキな浴衣を作ったのに、お祭りに呼んだ男を一人でぼーっとさせとくのも悪いじゃん、なあ? サイズ」
笑うメープルに、サイズは真面目そうな顔で頷いた。
「浴衣のメープル……色々と新鮮でとてもいいと思うよ……」
サイズの言葉に、メープルは笑う。
「ふふ、ありがと。でも、大丈夫? なんか辛そう」
そういうメープルに、サイズはたまらず、身を寄せた。
「近くに居てくれメープル……逸れない様にね……」
そういうサイズの腕を、メープルは優しく抱き留める。
「ん……大丈夫だよ、サイズ」
身を寄せ合う二人を、花火が照らしていた。
「狛犬……狛白虎? もかわいいね」
ヨゾラが、境内の狛犬ならぬ狛白虎を眺めながら、そういう。両手には、先ほどの祭りで購入した『猫』をモチーフにした色々なものが抱えられていた。肉球まんじゅうとか、猫の値付けとか、そう言ったものだ。
「狛犬って、神様の使いなんだねぇ。あ、昼間の子犬も、神様の使いだったのかも」
たまたまヨゾラと出会って同行していたマールが、そういう。
「昼間は大変だったみたいだね。子犬はどうしたの?」
「うん、島で飼ってる人がいてね、一緒に帰っていったよ。また遊ぼう、って言って約束したんだ!」
笑うマールに、ヨゾラもつられて笑顔になってしまう。
「ねぇ、おみくじ、ひいてみない?」
マールの言葉に、ヨゾラは頷いた。賽銭箱にお金を入れて、からからと箱をゆすると、数字の描かれた串が飛び出してくる。その数字の描かれた箱に入ったおみくじが、自分の運勢、らしいのだが。
ヨゾラが取り出したおみくじに、ヨゾラは目を丸くする。
「虎吉、だって」
「あはは、なんだかすごそう!」
笑うマールに、ヨゾラも柔らかく笑った。それからおみくじを胸に抱くと、社の方に向かって、心の中で一つ、お願いをして見せた。
(どうか僕等がそれぞれ望む道へ行けますように、望む道への切欠を得られますように。シレンツィオ・リゾートと、関わる人達に幸あれ)
と。
境内は神聖な場所故か静かで、祭の喧騒と花火の明かりに照らされつつも、何処か落ち着いた空気を保っている。キイチはそんな境内の椅子に腰かけながら、華やかな花火を見上げていた。
自分が混ざり、大勢で騒ぐのは得意ではないが、賑やかな人の出を見るのは嫌いではない。そんな自分に苦笑しつつも、しかし遠い祭囃子と花火の音に、心地よさを感じるのもまた事実。
「さあ、帰って剣の練習練習」
キイチはそう言って立ち上がった。
休日が終わり、またいつもの一日が始まる――。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
ご参加ありがとうございました。ひと夏の休日、お楽しみいただけたでしょうか。
白紙を除き、皆様登場させております。
万が一漏れや抜けがありましたら、ご一報いただけますと幸いです。
GMコメント
お世話になっております。洗井落雲です。
フェデリア島、三番街での休息となります
●成功条件
休息を目いっぱい堪能する
●プレイング書式について
以下の書式でプレイングを記入していただけると、非常に助かります。
また迷子防止にもなりますので、ご協力お願いいたします。
一行目:【向かう場所】(数字でご指定下さい)
二行目:【グループ】or同行者(ID) ※なしの場合は空行
三行目:自由記入
例:
【1】
【あたしと子犬探してくれる人募集!】
も、もー! 何で竜宮弊もって行っちゃったの~!
●シレンツィオ・リゾートとは?
元々は『絶望の青』に閉ざされていたフェデリア海域。しかし大号令の成功と、東に発見されたカムイグラとの活発的な交流の狭間で急速に発展した観光地――それがシレンツィオ・リゾートです。
所謂リゾート地。詳細は特設も是非是非ご覧ください!
特設:https://rev1.reversion.jp/page/sirenzio
●いける場所
今回は、三番街はシロタイガー・ビーチが舞台です。
シロタイガー・ビーチには、以下のようなスポットがあります。
【1】メインビーチ
白い砂浜と、青い海の広がる美しいビーチです。
サラサラの砂浜はパウダーのように足を優しく包み、蒼く透き通った海は、程よい冷たさで夏の暑さを忘れさせてくれます。
砂浜にはゴミ一つなく、仮にマナーの悪い観光客が捨てたとしても、すぐに清掃員によって片づけられるでしょう。
ここでは、砂浜と浅瀬の海で、海水浴を楽しむことができます。
【2】沖合の海
砂浜よし少し離れた、十分な深さのあるあたりです。この辺りでは、ビニールボートなどを浮かべてのんびり海上で過ごしたり、ダイビングで南洋の美しい海を楽しむことができます。
サンゴや熱帯魚などが宝石のようにきらめく、美しい海を堪能できるでしょう。
練達や鉄帝製のジェットスキーのようなアクティビティも楽しむことができます。
【3】ショッピング・レストランエリア
ビーチより少し離れて、買い物と食事を楽しむことができます。
アーティスティックな洗練されたデザインのカフェで楽しめる淹れたてのシレンツィオ・コーヒーは、コーヒー通も垂涎の一杯です。
ショッピングエリアもラグジュアリーな志向が高く、ここでしか買えない、各ブランドの限定商品などを購入することもできます。
ビーチで泳ぎ疲れたならば、此方で穏やかに過ごしてみてはいかがでしょうか?
【4】白虎大祭
此方は夜の描写となります。此度のサマフェスでは、シロタイガー・ビーチを利用し、カムイグラ文化を楽しむための、和風の屋台ストリートが、夜間に開催されています。
ここではいわゆる縁日を楽しむことができます。高級リゾート故に、縁日屋台ながらモノは非常に良いもの揃っていますが、観光客が異国情緒を楽しむのにちょうどよいのです。
ここに設置されている白虎大神神社では、狛犬ならぬ狛虎と幻想的な鳥居が迎えてくれます。お参りや願掛けなど、夜の静かな神社での観光が楽しめるでしょう。
また、ビーチでは大きな花火が上がります。白のビーチに咲く、大輪の和の華を、ぜひお楽しみください。
●同行可能NPC
洗井落雲の担当するNPCは、お声がけいただければ登場いたします。
また、オープニングにも登場したマール・ディーネーも、お声がけいただければ登場いたします。
まだ子犬を探しているようですので、手伝ってあげてもいいかもしれませんね。
また、各国の要人・旅行者として、
海洋:
ソルベ・ジェラート・コンテュール
カヌレ・ジェラート・コンテュール
イザベラ・パニ・アイス
カムイグラ:
月ヶ瀬 庚
つづり
そそぎ
建葉・晴明
ラサ:
ファレン・アル・パレスト
フィオナ・イル・パレスト
ローレット情報屋:
ユリーカ・ユリカ
ショウ
プルー・ビビットカラー
も登場が可能です。是非お誘いください!
以上となります。
それでは、素敵な休暇をお過ごしください。
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