シナリオ詳細
くらえ! 皆幼児になってしまうビーム!!
オープニング
●くらえ! 皆幼児になってしまうビーム!!
突然だが説明しよう!
君達は幻想王都メフ・メフィートを歩いていたら――何者かの襲撃を受けた!
謎の光がイレギュラーズ達を襲う……躱せた者もいるが、しかしうっかり光に包まれてしまった者も少なからずいた。さすれば光を受けた者は直後より己が体に異変が生じて。
「な、なんだこれは――!? 体が、体が縮んでいる――!?」
やがて、幼少とも言える姿になり果てていた――!
その被害を受けた一人がギルオス・ホリス(p3n000016)だ。彼の今の身長は……幼稚園児ぐらいだろうか。不思議と服も身長に応じたサイズになっているので脱げたりはしていないが……
しかし明らかに小さい手。
明らかにいつもより低い視界。
呂律が微妙に回らない口調など異常事態が生じている! と、その時。
「ふふふ。私は子供大好き大精霊……
突然ですが皆さんを幼少ぐらいの姿に変えさせてもらいました」
現れたのは先程の光を放った存在だ――え、大精霊? こんなのが? マジで? なんかオレンジ色でまぁるい形をしているが……
まぁあくまで自称なので実際どうなのかはともかく……しかしイレギュラーズ達に危害を加えたのは確かなようだ。くっ! こんな姿にして一体何を企んでいるつもりだ――!!?
「――おっと勘違いしないでください。私は皆さんが小さい体になって狼狽えるのが見たいのであって、小さい子に暴力を振るうつもりは一切ありませんから。ふふふ。あっ、もののついでに能力を説明すると、これは肉体も精神も幼少に近付けるもので――滑り台とかを見つけると滑りたくなる身体にしてしまうぐらいですよ」
「えっ、それ以外の害は?」
「ないですよ! あ、ちなみに人によりますが大体2~3時間ぐらいで解除されますから安心してくださいね。多分ですけど。まぁすぐ戻りたいなら私を倒せば――倒せれば――能力が解除されて戻りますよ。尤も、この街には遊具が多いんですけどね……それらの魅力に抗いながら私を倒せますか? ふふっ」
なんだコイツ!! マジでなんだコイツ!!
くっ、しかし厄介だ――奴を追いかけようにも歩幅が小さい! 腕も短いので殴りかかろうとしても届かない! どころか、大人と同じような感覚で走ろうとすれば、差異に慣れず転んでしまいそうになるぐらいだ――!!
上手く躱せた者……つまり大人状態の者であれば奴を追えるだろうか――?
当然の疑問が浮かんだが、しかし。
「ではおさらばです皆さん。存分に幼少の体を楽しんでください――私も楽しみますから」
「こ、この野郎――!!」
逃げた! 超速度で逃げやがったぞあの大精霊!!
くそー! と追いかけるイレギュラーズだが、転んで足をすりむいたり、目の前を蝶々が飛べば何故か気を取られてしまったり……ううっ、追いかけ辛い!! なんて面倒な能力なんだ――そう思った直後、現れたのは。
「はっ!! こ、ここは――公園!!?」
ジャングルジム。滑り台。砂場。なんかよく分かんない半分埋まってるタイヤ。
その他色々な遊具が充実している――公園が存在していた!!
一目見た瞬間から魂が疼く。あ、あぁぁ、体が勝手に……!!
「く、くそー! こんなものに、こんなものに僕は屈さないぞ――!!」
ジャングルジムに登りながら声を荒げるイレギュラーズが一人。くそー! 幼児の本能が――!
幼児の力が解除されるまでこの状態のままなのだろうか! 大精霊をぶちのめしてもいいし、或いはとにかく無事で在り続けたい所である――! うわージャングルジムに絡まったー! たすけて――!
- くらえ! 皆幼児になってしまうビーム!!完了
- GM名茶零四
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2022年05月11日 00時45分
- 参加人数124/∞人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 124 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(124人)
リプレイ
●
いみゃみゃでのあらすぢ!
――チルさま、危ない!
(シュインシュインシュイン)
――まあ! ヴィクトールさまが!
いじょう! ちる様をかばったボクは10才ほどのすがたになってしまいました。
そのけっか……げんざい。
「可愛い! ヴィクくん、何かやりたい事は御座いますか?
今日はぼくをママだと思って遠慮なさらずに! ええ。ママですよ~ぉ?」
「あの、ちるさま。あの……じつはですね、ぼく、あの、きいてます?」
「――はっ! 成程。ふふ。さてはティーパーティーがお望みですね?
ヴィクくんは小さくなっても大好きですものね~! ほらタピオカですよ~!」
ちる様のひざの上からかいほうされていません。しかもはなしを聞いてくれません。
――見た目と口調がおぼつかないだけで、中身(精神)はいつも通りなのに!
まぁ、でも随分とお楽しそうですし。ぜんぶおえてから、おはなししましょうか……口を挟むのは無粋なものです。そう思うヴィク君だが、斯様な光景は此処だけではない。
「ルチアちゃん、どこにもいっちゃやだよ? ま、まって」
「なにいってるの! はぐれたくないなら、わたしについてきなさい!
ほら! こっちよこっち!! どーしたの、はやくきなさい!!」
小さき鏡禍は先往くルチアの服の裾をぎゅーっと掴み……ながらも目を輝かせる彼女の歩みに引きずられている。勝ち気たるルチアは気の弱き鏡禍を連れながらジャングルジムを制覇せんとよじ登るもの……! スカート? 知らない子ですね。
下では『あわわ、だめだよ、あぶないよ』と眼を逸らしながら鏡禍が呟くも。ルチアからは高所に怯える彼を叱咤する声が響くばかりだ――
「うう、わかったよぉ……まってぇ……」
「ほらはやく! つぎはあっちのすべりだぃよ! いっけー!」
が。大好きなルチアちゃんに呼びかけられれば往くしかない。
涙目になりながらもなけなしの勇気を振り絞り。眩しい彼女に引きずられる――
「んんぅ……う、えーじしゃ、ま?
……あえ? かぁだ、すみえとおなじくあい。おなじくあーい! ん~ふふぅ~!」
「……おー? すみぇ、すみぇー、こっち。こっちいこ」
更には澄恋と英司も『ちび化』していた。
しかしちび化したが故にこそぎゅーとしやすくてご満悦のちび澄恋。ちび英司に手を引かれながらぺたぺたと走り回る――それはもうなんとも楽しそうに。が。
「ま、まさかこれが澄恋様と英司様? こ、これは一体……どうしたんですそのお姿……」
「なんでだ? そいやさっき変な光が……あっ、どこ行くんだてめぇら、せめて俺らと手ェ繋げ! こーら暴れんなっての! 痛っ! 力強ッ! ちょ、ぐーはやめろ、ぐーは!!」
「ああ、こら! 走り回っちゃいけませ……速ッ!? 占い、占いして解決策図りますから、それまで私達の腕の中で大人しく……あぁ逃げた! ほら、いい子ですから大人しくして……!」
近くで無事だったヴァイオレットと聖霊からしてみれば、どこへ行くとも知れぬ二人の確保が最優先であった……! しかし捕まえようとすれば『んう゛! ふ、ぅんん゛――! んぁ~~あぁ゛――!』と、ちび澄恋は必死の抵抗。
奇声とじたばた、保護者の手から離れんと全力だ――さすれば。
「嫌か〜! そっか〜! つーかめっちゃ泣くじゃねぇかお前! 大人の時はあんな大怪我しても笑ってる癖によ! 大人の時も素直に泣けよお前――ぐぁ!」
「ぴ゛え゛え゛え゛! おねーちゃ! ばいおぇっとおねーちゃ~~!」
「あ……澄恋様……そんな、上目遣いで此方をなんて……」
偶然アッパーカットみたいなグーが聖霊の顎に直撃。緩んだ抱っこから抜け出し、ヴァイオレットの包囲は涙目上目遣いで突破するものである――刹那に見えた、幼子に綻んだ表情の色をその目にしかと記憶しながら。
……しかし躱した腕だが、なんとも今動きが鈍かった様な。
幼子を掴まんとした狭間に見えた『ぎこちなき』笑顔は……一体……
「いこ、すみぇ。こっち、わやがし、あったよ」
「えーじしゃま! おてーてつなぎまーしょ!」
だが、往く。同じく保護者ズからの手より逃れた英司と共に。
ベイビーズ抜群のコンビネーションが大人の追撃より逃れる――
タイヤの下を這いずり回り大人が入り込めない場所を駆け抜ける……その光景。正にヴァイオレットらの手をすり抜け遊ぶ洗練された幼子の秘儀が此処にあった。果てには一瞬の隙を突いて完全に振り切り目指すは、いざや綿菓子屋へと!
――それは澄恋からすればあり得ぬ幼少期だ。
望まれぬ形で産まれ、故にこそ親の目を気にして迷惑かけまいと感情を殺すように。
泣き笑いしない肉塊のような幼少期こそが真なる一端。
その彼女が、笑っている。
英司と共に。仲間と在れる――この場に。
自由を謳歌する様に駆けながら。さぁどこぞへと走って行こうか。
直後。ドゥルルッと回転させ放り出す英司の鉄面――
澄恋と手を繋ぎ往くその顔には笑顔の色が――浮かんでいたとか。
「だっこいいな、わたしもだっこしえー?」
「ん? 抱っこか? いいぜ、怖かったらいえよ――そら」
そして。あちこちで抱っこしたり手を繋いだり様子があらば……小さくなったアルエットが、ジェラルドへと懇願するものである。高いのは怖いけれど、彼ならば安心だと……
さすれば一気に昇る世界の光景。ぎゅう、とジェラルドを抱きしめ掴めば。
「よぉ、どうだい――それにしても弟や妹を持つ気持ちっつーのはこんな感じなんかね。
アルエットには兄弟はいるか? 俺の方は、生憎といないんだけどよ」
「わたしのきょーあい? いない。ママとくらしてう……あっ、なーしょ、なーしょ」
「なーしょ? ああ、内緒か?」
理由は分からないが分かったぜ――と。口元で×印に指を組むアルエットに笑顔をジェラルドは見せるものだ。ママの事はあんまり言っちゃいけないから、なーしょと。
そして彼自身あまりその事に追及する気もなかった。
彼女に無理をして、曇った顔はさせたくないから。
「でもよ。なにかあったら言ってくれよな――必ず助けになるからよ」
「たすけ? うー、う! あーと! じぇー、あーと!!」
故。短く言葉を切り上げ、それでも『助けになる』と言った彼に――アルエットは感謝のハグを。つたない口調の中にも確かに存在する感謝の気持ちが、彼に伝われば良いのだけれどと……願いながら。
「……また変なビームに巻き込まれてしまいした。はぁ、どうして」
同時。ため息をついているのは――ジョシュアだ。
ダメージ的な意味での損傷はない様なので、元に戻るまで大人しくしておけばいいだけではあるのだが……しかしどうしたものかと。ふと視線を巡らせれば――おっと? なんだ……ドーナッツ屋?
「…………じゅる」
チョコレートが掛かっているモノが特に美味しそうだ……
じーっと見てしまう。じっーと。
……買ってもらえる子いいな、うらやましいな。ぼくはガマンできますけど。うん。
でも、いつまでがまんすればいいんでしょう?
「……ぼくにも父さまや母さまがいたらよかったのかな」
ふと零した言葉。なんとなし目尻の端が――熱かった気がした。
「ヨゾラだよ、よろしくねー! みんな、なかよくあそぼうねー!!」
「こんにちは、ルシールです。ヨゾラさま、みなさま、いっしょにあそびましょ?
あっ――このこたち(猫)もあそびたいって!」
そしてヨゾラと彼の知りあいたる『銀月の騎士』ルシールもビームを浴びていた――
さすれば当然その姿は幼稚園児程度に。連れている猫達も加わっててんやわんや。
(……まぁ実を言うと、僕『本体』は縮んだだけで精神? そのままっぽいんだけど。黙っていた方が面白いかもね――こういうのは楽しむのが一番だし)
が。実の所二人とも内面はそのままであった……
しかし構わない。皆小さくてかわいくて。
それらが猫と戯れると――もっと可愛いのだから。
「たのしくあそぶの、いいですよね! ヨゾラさま!」
「そうだね――あっ! アイスもあるみたいだよ! たべる?」
さっきおこづかい貰ったから、と。
自分の財布を取り出しアイス屋へと直行しよう――うーん甘美なる味わいである!
「ちぃちゃん、精霊さんを探そうか――お兄さんやお姉さん、すごく困ってるみたいだし」
「――うん」
そして別の場所ではセレマもまた、小さくなっていた。
その近く。セレマに『ちいちゃん』と呼ばれたのは百合子である。
彼女もまた、同じ程度の身長になっていて……しかしその口端から零れる言は対照的だ。
セレマは喋り続けるが、百合子はほとんど言を用いない。
時折反応を示してもオウム返しの事も多々であり……
「――だいじょうぶ?」
「けほ……ん、ごめんね。ぼく体がよわいんだ。ずっとだから、だいじょうぶだよ」
と、その時セレマが咳き込むもの。
咳や喘息を持っており、体の弱い幼児。走れば五分で息切れし、二時間以上歩くと熱が出る。幸か不幸か、脳みそまで完全に幼児になっているので――邪悪たる面も失われているものだが。
「あとでなにか御礼させてね――そうだ、絵本でも読もうか――」
「……絵本」
「うん。何がいいかな、なんでもいいよ?」
みんなのことをもどしてあげてください、ってお願いした後?
……なにがいいのかな。わたしは『やさしい』だから一緒に探してもあげるけど。
その後に――一体何をよんでもらおうか。
セレマの『絵本』と言った声色に、微かに百合子の感情の色が――動いた気がした。
「……ジュリエットと待ち合わせしたのだが、さて、これは何というか……」
「ギリュバートしゃん、私はここにいましゅ」
ギルバートの視線の先にいるのは――ジュリエットだ。
ただし。袖口に精一杯背伸びしなければならない程に縮んでいるが、だ。
あぁ身長の縮みに伴って思考がぼやけてきた、だけれども。
「ジュリエットなのかい? 随分と可愛らしくなって……
ん? なんだい? あぁ――恋人ごっこか。ふふ、構わないよ」
彼女は彼女の望む儘に動くものだ。
――この様なしゅがたでしゅが、いっちょに遊んでくだしゃい。
――ギリュバートしゃん、恋人ごっこをしまちょう。今から私の恋人でしゅよ?
呂律がどうしても回らない。
けれど恰好が付かなかったとしても――仕方ないのだ。
だってこれは精霊さんの悪戯だから。
指先引かれて一時の心地に身を委ねよう。巡らせる視線に映る世界はどこまでも煌めいていて……だから。口の端も緩く、軽くなり。
「私が大人になったりゃ、結婚してくれましゅか?」
――それに彼はなんと答えただろうか。
買ったアイス。一口食べて、同じスプーンを差し出した先にいた――彼は。
子の記憶。大人へと戻れば曖昧なる欠片となりて。
しかし泡沫に消えるとは限らぬものだ。
いつか。その指先の触れあいに幸多からんことを。
●
「……あっ? ど……何処だここ? さっき光を浴びてからなにかおかしいような……
てかなんだこの髪邪魔! いつの間にこんなに伸びてんだ、クソ!!」
続いてバクルドは幼き頃の、髪が長髪だった時代へと戻る――
とりあえず後ろに縛りて視界を確保。同時に己が体を確認すれば……おろ!? 何だこの腕は、かっけぇ事になってる!? 今の一瞬でマジで何があったんだ――!? 師匠、師匠もいねぇ!! くそ、またどっか消えてやがるのか!!
――彼の精神と記憶は混濁している。
街並みが知っている筈なのに違うし、懐には見知らぬ金があるし。
「いっしっし! 多分こいつは師匠の金だな……
やりっ。なんだか祭りかってぐらい屋台が出てるしよ、楽しんでいくか!」
だから彼は彼自身の金と共に飯を食いにゆくものだ……! 後に元に戻った時、何か妙な夢を見ていた気がするのと――財布が軽くなっていたのは、必然と言えた。
「精霊……精霊を倒せばいいんですよね! 分かりました――あっ」
そしてレナートは己が体の変質を感じながらも、元凶を打ち倒さんと駆け抜ける――
しかしその眼前に出現したのはジャングルジムや砂場にシーソー……
幼き日々を思い出すようなそれらから目が離せぬ。なんだこれは――いつの間にか風に揺れるブランコの鎖に手を伸ばして、ゆったりと体を委ねるものだ。何をしたかったか、もうそれは忘却の彼方に至りて……
「えーと……んーと、そうだぼくおすなばあそびする!
どーろだんご、どろだんご~♪ おーきなぴかぴかどろだんご~♪」
やがて精神も当時の領域へ。
しってる? おだんごつくってさらすなつかえばぴっかぴかのおだんごになるんだよ――あっ、そうだ! せーれーしゃんにも教えてあげなきゃ!
ぴかぴかの泥団子が出来たら追いかけようと――レナートは思いを馳せてゆく。
「ふふっ~ほら、見てみて? きょうはいろいろもってきたんだぁ。
これは( ・◡・*)にんぎょう! ほら、おなかおすとなくんだよぉ〜『ふふっ』」
「はわっ! ( ・◡・*)にんぎょ! ぼくももってきた、えす。
おなかおすと、なくの、えす? ふちぎえす……なじぇでしょ?」
「うーん……? まぁだいじょうぶだよぉ、ただのかわいいもみじだから」
子供心のままにボタン連打すると『ふふ、ふっ、ふっふふふふ』って壊れた感じに紡がれるのホント怖いし、なんか時々押さなくても鳴く事があるという噂の( ・◡・*)にんぎょ――持ってきたのはシルキィと廻だ。
「シルキィさんのおみみ、かぁいね? なぁーでなで」
「んん~ぅ♪ ありがとぉ。あ、おやつもあるよぉ? たべるたべる?」
「たべゆ!」
そして共に触れ合う廻とシルキィ。
可愛いシルキィさんを撫ぜ撫ぜ。一方のシルキィは更に――オレンジいろのまあるいあつのつよいあめ(ふたりぶん)&『M』のかじつしゅ(おとくよう)(ノンアル)〜! を独特なリズムと共に取り出すのであった。
舐める飴。綻ぶ顔。にょきりと生えてくる廻in猫耳……
ひぃ。( ・◡・*)の神秘術、すごい……と、その時シルキィは想った。
「そういえばさ、よくみたらあのだいせいれいさん……にてるかも」
「にてゆ? なににえすか?」
「う~ん、なんていうか、これにねぇ……めぐりくんはどうおもう?」
此度の事件を引き起こしているあの大精霊に( ・◡・*)が似ていると――
いや気のせいかもしれぬが、なんとなしそう思ってしまうのだ。
どこかに。何か繋がりがありそうだと……『ふふっ』……あれ?
「あれ? いま、まぐりくん、おにんぎょうさんおした?」
「え、しるきぃさんえすよね?」
「えっ?」
えっ? あれ。おにんぎょうさん、さっきまで手の中にあったのにどこに行って……
『ふふっ( ・◡・*)』
「……んっ? 今何か声が聞こえた様な……気の所為かしら?」
なんぞやの恐怖の声。ビームに直撃したきゐこの耳に届いた気がしたが、気のせいかと頭を振るものだ。彼女は人と喋らぬし、表情も真顔の儘に――難しげな本を只管に熟読している。邪魔立てする者は許さぬとばかりの雰囲気も放ちながら……
「まったく。下らないわね、何をそう騒いでいるのかしら……」
いざなれば子供特有の容赦のなさで神秘の術すら行使するであろう――
誰ぞも近づけさせぬ、孤独で良いとする彼女の本質。
それが解け始めるのは、今暫くの時を擁しそうであった……
「さく! あそぶわよ!! 鬼ごっこ! さくが鬼ね!
はい決まり――! ひょ――!! にげろぉ!! さく、おせ――ぇ!!」
「は? いや待てお前なにちっちゃくなって……おい人の話聞けぇ!? 待てぇー!?!? そんな前視ずに走ってったら危ない……あー! 早速ぶつかる奴がいるかよ!!」
更には光に飲み込まれたコルネリアが元気一杯に。朔へと言を紡ぎながら駆け抜け――そしたら鉄棒の隅っこに額をぶつけた。ごつーん!!
「いだぁい……鬼ごっこはいいや、肩車して! ねー、さく! あれ、あれ食べたい!!
いーでしょ買ってよ買ってよ買ってよ~~! さーく!! さぁああーくぅぅぅ!!
チョコバナナクリ~~~ム~~~!!」
「おいおいおいおい俺の服で鼻水拭くな!! せめてこっちのハンカチ使えって!!
で、何……あぁクレープ屋? イデデデ!! 分かったから髪引っ張るなって!!」
子供は傍若無人。肩車したかと思えば降ろせと、服の裾を引っ張ってクレープ屋直行。
そしたらやれやれ。チビネリアがまた別の『いちごくりーむ』にするかで悩んでいる――困ったもんだ。
『あとで一口くれよ』『仕方ないなぁ、一口だけよ?』
そんな事を言えば、今度はチビネリアが『さくは仕方ないわねぇ』という顔をするのであった……
「ん、ん……? なんか、えと……なに、してたっけ……?
あっ、蝶々(ひらひら)きれぇ……」
「わ、わ、紫月がこんなにちっちゃく……!」
そして幼くなった武器商人――は蝶々を追いかけながら花畑の方へと。
見守るのはヨタカだ。まさか一瞬でこれほど幼児化するとは……と、あれ?
「あっ、紫月? わっわ、そっち行ったら危ないよ……! 怪我しちゃうから待って……ってあわわわそれは食べ物じゃないからぺっ、ぺっだよ……! ほら、ぺっ……!」
「……あ、ことり、ことりぃ……どこにいたの……? そばはなれないで……わ、だっこ? しぃ、ことりのだっこはすき……あ、ね。ね。あっち、あっちいこ……ん。ことり、あったかい……」
しまった一瞬目を離しただけで危ない所だった――
武器商人は花をわしっ、と掴んで口の中に入れていたのである。記憶が混濁しているのか、いや精神そのものも幼くなっているのか……あちらこちらにふらふらと。興味の行く末が目まぐるしく変わっている――
だからヨタカは共に往く。抱っこして背中を叩きながら一緒に散歩を……と。
「ここ、どこ? 眩しい。外? お外……! ……あれ?」
歩き回る瑠藍。亜竜種たる彼女は尻尾を引き摺ってのろのろと――
光の影響で記憶に乱れがある様だ。その証拠に……
「あ、二哥! お外居たの? お外、お家より重いねぇ」
「……おや? これはこれは……えぇそうですねぇ。その尾は重そうです。
しかし普段はどのように?」
近くにいたセスを、瑠藍は己が次兄の二哥と間違えている。
どうしたものか――と一瞬セスは悩むのだが、泣かれても困るものだ。だから彼女が元に戻るまでは話を合わせておこうと……平静を装い演技がバレぬ様に。そして。
「んー? りゅうりゅうはまだお水の中で遊んでなさいって言ってたよ。二哥、変なの」
「……えぇ、そうでしたね。
それよりも、慣れない外は疲れたでしょう。今は少しお眠りなさい」
それとなし話に矛盾が出ぬ様にと探るものだ。
なるほど。水中生活中心の集落出身ですか――膝元に彼女を誘いて。
『――夜になったら星を見ながら物語を聞かせて差し上げますよ』
そのように言を紡ぎ、安心させるものだ。
……あぁやっぱり二哥だよね。
だって。お星さま好きなんだもん――夜もお外で遊びたいなぁ。
閉じられる瞼。ゆっくりと、睡魔が彼女の瞼を閉じていくものだ……
「んぅ……なんだかぼく、からだが小さくなってしまったみたいです」
「不思議な事もあるものだね……あの大精霊は一体なんなんだろう」
まぁいいかな――とっても可愛いしね、と。アイラへと紡ぐのはラピスである。
普段は同じ背丈。なのに今はこんなにも目線が違う……だから、と。
「うわぁん! わ、わわ、だ、だっこ?」
「うん――? 目線が遠いんだよね? だから、ほら。こんなに近いよ」
「んん~! でもこれは、およめさんじゃなくて……!」
まるで妹みたいです……! と、アイラは少しばかりふくれっ面だ。
――そうです。ぼく、およめさんなんですよ? だから。
「ぎゅうってして、それからちゃんとだきしめていてくれないとだめなんです」
「うん。離さないからね――僕の可愛いアイラ」
どこまでも永久に。温かい腕の中で。
包んで寝よう――世界で一番、安心できる場所だから。
「うーん……お前のご主人様はどこにいるんだろうね」
――あん! 小さくなってしまったポメ太郎を抱えながらベネディクトは歩く。腕の中で全く警戒せずに腹を見せるポメ太郎――小さな尻尾がぺしぺしと腕を叩いているが懐いてる証だろうか。
「あ、そこの君。この子犬、見た事ないかな?
さっきすぐそこで僕の近くを歩いていたんだけど、飼い主が見当たらなくて」
「んー? しらない。はじめてみる。
おーそうだ! わんわん、おまえのなまえわからないからなまえつけてやるぞ!
おまえはわんびーのだ! いーな! ほら、おて!! おーて!」
あん! 差し出された掌に顎を乗せてご満悦のわんびーの。ちがーう! おて!
――さてもうお気づきかもしれないが、彼はルカ・ガンビーノだ。彼も幼くなっており……わんびーのが身に着けていた首輪(既にぶかぶか)に書かれている文字が読めない。くっそー! と、その時。
「びええええんここどこ! やだー!! おうちかえるー!!
おとーさぁぁあん! おがーさぁあああん!!」
声が響いた。近くの草陰で盛大に泣いていたのは――フランだ。
幼少の姿。ポメラニアンのぬいぐるみ抱えて半べそでとぼとぼと歩き。このままおうちに帰れなくてわるい人に売り飛ばされちゃうんだ。大きな目玉がくるんだー!
突然の事態。幼少の彼女は困惑している様だ……だから、ベネディクトは彼女の下へと往き。
「今日は迷子でいっぱいだなあ。大丈夫だよ、ちゃんと探してあげるね。君も、それでいいよね?」
「いいぜ! でもおれはよーへーだ! ただじゃないぞ! あとでおかしかってくれよな! うめー棒いっぽんじゃ、なっとくしねーからな! ごほんはよこせよ!! いくぜーわんびーの!」
「ううっ……探してくれるの? このわんわんも迷子なの? わんびーのっていうんだ、つよそうだね!」
あん! あん!!
……あれ? なんかわんびーのがすんごい『ちゃうねん』って顔してるような……まぁいいか! べねでぃくとおにーさんと、るかおにーさんと一緒にフランは公園を巡るものである――
「何じゃこの面妖な空間、奇怪な展開は……これもこの世の未知が一端と?」
げに怪よな――
何故己が此処にいるか分からぬ梅泉だった、が。しかと理解している面も二つあった。
それは下手に動くと碌でもない予感がする事。
そして下手に動かねば碌な目に遭わぬ確信があるという事――八方塞がりではないか!
こと『武』に関しては百戦錬磨たる梅泉も思わず額を抑えそうになった……その時。
「ばいせんさま、おいそがしいなか来てくださってありがとうございます」
「……む? 主は……よもや空観か?」
「とつぜんのおてがみ、たいへん失礼しました……なんともはしたない事を……」
足元。小さき子が一人こちらを見上げている……
……間違いない、これめは空観だ。なんとなし雰囲気が残っておるわ。
彼女の瞳には不安の色だけが宿っている。やれやれ全く――
「ばいせんさま。ばいせんさまは、手間のかかる子はおきらいですか……?」
「――知れた事。幼子に手間のかからぬ者がいようか。好いも嫌うもない」
在りのままに在るがよい。心に幕を張るのは大人のやる事ぞ。
やむを得ず。近くにあった椅子に座りて空観も誘え――ば。
「んびゃああああああああああああああああ。゚(゚இωஇ゚)゚。
母上ぇぇぇええええええええええええええ。゚(゚இωஇ゚)゚。
梅泉母上ぇぇぇええええええええええええ。゚(゚இωஇ゚)゚。
おっぱああああああいいいいいいいいいい。゚(゚இωஇ゚)゚。
梅泉母上のおっぱああああああいいいいい。゚(゚இωஇ゚)゚。
おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおぱお、ぐぼべら!!」
先の言を聞いて『成程、在りのままに在ってもよいのじゃな!!』と超曲解したミニ夢心地がスライディングしながら飛び込んできたので、足で掬ってどこぞへと弾き飛ばした。さすれば『たわけ』という一声だけが――梅泉からは零れていたとか。
「わぁ、夢心地にーちゃんが飛んでる……! あのね、あのね梅泉おにーちゃん!!
えーと、ぼく、すごく強くなりたいんだ! 強くなるにはどうすればいいのかな?」
「……精進せよ。強きに悩む? 主では、そも年が足りな過ぎよう」
続いてはコータも梅泉の下へ至るものだ。
走ったり、重いもの運んだり、嫌いな食べ物も頑張って食べたりしてる――? あぁ幼子にしては立派やもしれぬが、その年ではまだ強者への道が『見つかって』すらおるまい。道に『迷う』までは精々今の儘励めと、吐息一つ零しながら流す様に言を紡いで……
「ぴぃ!?!? ……ピヨッ! ピヨ! ピッ~~!」
「……今度はなんじゃ。鳥か? 幼き鳥の音色は甲高過ぎるな」
そうしたら今度はいつの間にか、なんぞやの鳥の雛――ではなくカイトがいた。
が、普段の緋色とは異なり羽毛が白い。理由は知らぬが、そういう代物なのかと。
視線を落とせば、あぁ綿毛を追いかけて飛ぼうと賢明に羽ばたいたり、落ちた花びらを突いたり。ふむ。まぁ新たな鳥の生命も春の華の一つかと――微かに思えば。
「お腹空いた! みてくれー! これ、結構いい枝じゃね!? ところでなんか喰いてー!」
普通に喋りおったわ、こ奴。
なんなのだ本当にこの状況は――いい加減謎の疲労感が襲ってくるものであれば、思わず彼も虚無の顔色。そもそも子らが喜ぶ所作などよく分からぬ……草笛一つ作りて吹かすも場に合っているか否か。
「わ、わ……なんだか、懐かしい音色がした様な……」
――と。その草笛の音に連れられ至るは小夜だ。
彼女は何も見えていない。記憶も幼少の折へと退行し――まるで知らぬ場所に一人で放り出されたかのような状態だ。父上も母上もおらぬ。周りに何があるかも分からぬ地で……しかし草笛の音だけはしかと聞こえて。
「なんじゃ、ふらつきおって……座るがよい。暫し耐えれば元に戻ろう」
「――ぁ。こ、これはご丁寧にどうも……」
武家の教育の賜物か、或いは本人の気質が故か泣きはしなかったが。
内心穏やかならざる場にて、一時の安住を得た彼女は、心に平静を取り戻しつつあった……
「……ゆっくりお花見をする気分にもなれませんか?」
と。それはそうと溜息を零しそうな梅泉に語り掛けたのは舞花だ。
「如何でしょう、お疲れの様ですし、お茶でも一杯……
すみません、この身にては指先の動きが鈍く、お口に合わないかもしれませんが……」
「……うむ。いや、結構な手前よ」
彼女もよく分からないが10歳前後の少女へと変じていた。
体の感覚が違和感ばかり――茶を煎れようにも普段に比べ加減が出来ぬ。
それでも。恐縮しながらも梅泉へと茶を一つ。さすれば、返した言が幼くなった舞花を慮ったが故かは――分からぬが。温かき茶の味わいが梅泉の身に広がりて……
……早く元に戻らぬのか彼奴らは。
喉の奥より至る深き吐息が一つ――零れるものだ。
●
「スヤァ……はっ! ゴラ眠っちゃってたみたい……あわわよだれがぁ」
と。穏やかな陽光にうっかり寝てしまっていたのはフラーゴラだ。
よだれを拭いて周囲を眺めれば、遠くには梅泉の姿も見えるか――
たてはしゃんはいるかな? ときょろきょろしていれば……その前に見つけたのは、花畑だ。閃いたフラーゴラはアトしゃと同じ色のお花がないかと探すもの。茶色の髪に銀の眼の色……お花……美味しそうもぐもぐもぐもぐ……
「ペ、ぺっ……まじゅい……草の味、土の味がしゆ……」
当然だよぉ。あ、でもアトしゃだったら美味しく食べる方法も知ってるかな……?
えっと。えっと。こういう時は――そうだ。
「アトしゃ。にんちしてー。にんちにんちー」
こ、こらゴラ! そ、その言葉は迂闊に口に出すと危ないゴラよ! どこで覚えたの!
じゆうけんきゅう
タイドプール学えん しょとうぶ 2年Cくみ やどかリリー
わたしは、はるやすみのしゅくだいで、子どもすきなせいれいをけんきゅうしました。
子どもがすきで、大人を子どもにしてしまうみたいです。
でも、できるのはそれだけみたいです。
あとはどこからかながめていました――ああいうのを『ろりこん』というのだとおもいます。
『――ふふ、違いますよ。私はショタもいけますので』
とんでもないこころのこえをぶつけてくる大人でした。
わたしは、あんな大人にはなりたくないとおもいました。
さて――そんなリリーの自由研究帳が付けられていれば、大精霊を追う者らも幾ばくか存在しているものだ、が。
「はわ……! シャ、シャルティエさま……! おいしそうなものが、いっぱいです!」
「……え? あ、あぁ屋台? あー……えと……じゃあ、少しだけだよ……?」
しかしどうしても幼少の効果に引っ張られてしまう以上、ネーヴェは抗えない……! だって、目の前にクレープ屋さんが……! そして身長の関係から上目遣いの形でお願いされればシャルティエだって抗えないよ。仕方ないね!
「あのクレープ、たべたいです! あと、あれもきになります。あ、あっちも!
わぁなんでしょうかこれ……! りんごあめ、ですか? おいしそうですよ!
シャルティエさまはやくー! これも、あれもためしてみたいです……!」
「あっ、こら。とりあえずクレープを食べてからね! 詰まっちゃうから急いで食べちゃダメだよ……! ゆっくり食べようね? って、あぁほら、頬にも付いちゃってる…… 拭いてあげるからこっち向いて?」
クレープを小さな口に、しかし一気に頬張るネーヴェ――彼女の瞳は輝いているものだ。
目移りする興味。屋台から屋台へ駆けまわる度に広がる高揚が止められぬ。
……子供の頃に、病弱だからこそ成せなかった光景が此処にあるのだ。
「あふ……なんだか、ねむたいような……もうだめです。うごけないです」
「──ぅえ? 眠く、って……うぐ、可愛い……」
けれど。高揚の儘に巡れば体力が先に底を突くものだ。
シャルティエの腕の中に収めるネーヴェ。
抱擁の中に包まれれば、きっとすぐ夢の世界へ……
「はわわ……なんたる惨劇……やだやだ子供になんてなりとうない!
子供になったらお酒呑めないのであるぞやだー!
まぁこの辺りお酒の出る屋台が無いようであるが……はっ、まさかこれも陰謀!?」
同時。かの大精霊の被害を受けたくないのは――峰風だ!
どーしてもやだ! だってお酒が……ってうわ、また光が――!!
「あっビームこっち向いt……山口シ――ルド!」
「あぁ、山口が!!」
故にこそあの光を受けぬ様に――山口を犠牲にしたのだ! 山口――!!
此処に爆誕する幼少山口。くっ、なんて犠牲が……! カティアも思わず目を逸らす程である。ところで今盾にした山口って誰? まぁいいや首魁の( ・◡・*)を今こそ追って――!!
「幼児化した子達に目移りしてる……やるなら今ッ――
と思ったんだけどさ、いまやろうとしたら間違いなく反撃されるよね」
が。カティアは咄嗟に己が本能に疼いた危険信号を感知するものだ……!
何故だろう、絶対に返り討ちに合う気がした。だからきっと誰かがガッてした時に便乗するのが良いと思うんだ――だからそれまでは幼児の世話でもしようか……あっ! 幼児が転んでる! あーもーほら仕方ないなぁ……痛いのとんでけ!!
「俺は通りすがりのごく普通の暗殺者……なんだこの騒ぎは。
尋常じゃない気配を感じるぞ……って、なんだあれは? 弾正?!」
次いでアーマデルも『どうした( ・◡・*)、落ちつけ( ・◡・*)、アラブる魂を鎮めたまえ……』と、絶対に失敗する願いを込めながら場に至るものだ。さすればそこにいたのは弾正だ――ただし幼児化している弾正だが!
彼はアシカールパンツァーでズドーンしてる。
( ・◡・*)の加護と共に……大人達をビビらせる為に! と、思っていれば此方をじっ……と眺めてる笑ってない( ・◡・*)がいて……待って、今弾正の視界ってどうなってるの? ねぇ!
「……ん? あーまでる? あーまでるなのか!?
やったー! あーまでるならあんしんだぜ! ふぅーひとやすみするか……」
「くっ! まさか、こんな……小さい弾正をこの目に収める事が出来ようとは……
かわいい……かわいいぞ弾正……はっ、これが( ・◡・*)人( ・◡・*)という気持ち……?」
いかん、危険だぞアーマデル! それ以上進んだら危ない!!
だけれども彼らは止まらない。胸の内で渦巻く心臓の鼓動と共に。
マント脱ぎ捨て両腕広げ――互いを抱擁に向かいいれるのであった。
さてさてしかし『ぴかー! うわー!』その被害は多くの者が受けており――それは偶々近くを訪れていた琉珂や玲樹も例外ではなかった――うわー! 互いに目線がとても低く。なんともあたふたしそうになる、が。
「あ! あそこに丁度良い公園があるよ、琉珂一緒に遊ぼう。
あれ? これ……おままごとセットかな? 琉珂! いっしょにおままごとしよう!」
「おままごと!? おままごとすき!!
あのねぇ、あのねぇ。わたしはお料理が得意なのよ!
うふふ、ほーら芋虫のステーキよ! たーんとお食べ!!」
その前に幼児としての本能が疼いた――! 行うは(亜竜式)おままごと。
大好物の芋虫さんをメインに。ニコニコ顔の琉珂は玲樹と共に語らいて――
「モグモグ……あ、濃厚で結構いけるよ。これ。おいしい!
よーしじゃあ次は、でっかい骨つき肉をすなばでつくろ! ばーべきゅーだー!」
「じゃあ、わたしも大きな骨付き肉を作るから玲樹と勝負ね! 負けないわよー!
勝った方がもっとおーきいご飯を食べましょうね! よーい、ドンッ!!」
更にそのまま砂場に直行第二ラウンド。
小さなお手てで懸命に。子供らの夢を形作る――おっきければ大きい程、とっても凄いのだ!
「……いやもう何事ですかこの事態。はぁ、ほらタイムさん泣かないで。
このハンカチにちーんしなさい。ちーん」
「ママぁー! くりすとと焔ちゃんがわたしのことからかうのー!! びえええ!!
子供だからって(スビ) わたしのようなしゅくじょを(ズビビ)
もてあそぶなんてひどいわ!(ちーん) ママもそう思うでしょー!!」
「にゃぁぅ、ふにゃ~ぁ。ぐるぐるぐるぐる……にゃ~~ぉ、なぅなぅ、なーご」
しかし未だ戻らぬ幼児化現象。正純は思わず頭を抱えるものである――
タイムは幼少ビームに直撃し。汰磨羈は毛玉の様な可愛らしい子猫になってるし(なんでタヌキじゃないんだろう?)。クリストはいつも通り皆の事態を、腹を抱えて見ているだけだし――もう! なんですかその顔。やろうってんならやりますよ。
『ひえ~正純changこわーい!』って、ホントにクリストは……いえ本気で疑ってるわけではありませんけれどこんな頭おかし……不可思議な事態は経験上貴方が絡んでたことが多いので。ていうか信用ですよね信用の問題。
一発ぐらいこっそり殴っても許されるのでは――そう思っていれば焔がタイムへと言を紡ぎ。
「からかってなんかないよ! ほら、このスモック着てよ! 幼稚園で着る様なアレだよ! なんであるのかって? だってさっきまで練達のお仕事してたから……ね、いいでしょタイムちゃん!」
「そうだYO! 体が園児なら、服装もそうじゃないとね――というわけで、こうかな!」
直後には焔が幼児の衣装たるスモックを手に持って……いたので。面白がったクリストが指を鳴らせば――直後。タイム達の服装がそのスモックに変じたぁあああ!?!?
「わあああん!! クリストがいじめるうううう!! やぁだみないで! もおお! いくらわたしが花のように愛らしくたって安易な『なで』はおしおきよぉ! かたぐるましないとゆるさないんだから!」
「わわわ! タイムちゃん、暴れちゃだめだよ! とっても可愛いよ、似合ってるよ!」
余裕顔かつ腹を抱えて笑うクリスト。そのクリストに放つタイムの一撃――(ぽこぽこ)
「……まったくもう。クリストも、あんまりからかってはダメですよ。
今回のこれ、ほんとに貴方が原因じゃないんですか?」
「酷いなぁ。俺様changの事、もしかして信用してない? な、タヌキチ!」
「なぁぅ、ふなぁーお!」
汰磨羈。クリストへ怒りのたぬぱんち! 間違えた、猫ぱんち!
クリストにだけ手厳しい! 服を噛んだり、かりかりと引っかいたり。あまつさえ肉球を目に当てんと……するが流石に届かないようですね。ぷるぷるしておりますし、クリストに猫じゃらしで遊ばれてます。ふにゃあああ!!
「はぁ、はぁ、こんなにもみんながかわいくなっちゃったなんてねぇ……
たまらないわぁ……このまま持って帰っちゃおうかしらぁ……」
そんな光景を影より眺めるは――一つの影。
アーリアだ。おねーさん、いえママがみぃんなお世話してあげましょうねぇ――
ふふ、ふふふ、ふふふ。憲兵に逮捕されそうな笑みを浮かべていれ、ば。
「あらあらうふふ。ねぇ見てモミジーヌ夫人。天の国が顕現したわよ」
「あらあら、ヘベレーケ夫人もきてたのね――流石ね、うふふ」
更なる邪悪……もとい幼児を愛でる者達が近く、現れた馬車の中より視線を……!
――モミジーヌの館の者達だ!
迷える子羊達の声を逃さぬ彼女らの顔は不思議と視えぬ、が。
「ほほほっ。可愛らしい子羊達がこんなにも……素晴らしいわ!
あら。あら。泣かなくていいのよ――さ。この人形でもお抱きなさい?」
「あら、あら、お茶も幼児化してしまったのね。しまったのよね? ( ・◡・*)ふふ」
えっ。やめろ! 次元の壁を越えて幼児化なんて、うわー!【しばらくお待ちください】
ともあれ現れた夫人達が夫人達の儘に行動していれば――次の標的となったのは。
「……おねえさんたち、だれですか? どうしててをつなぐんですか?」
「ふふ。ゴリョウ君は何も気にしなくていいのよ――えぇ。大丈夫だからね――
ふ、ふふ。サラサラの髪……褐色少年の素足……はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
ゴリョウだ。その姿は――なんとハーフエルフ系男児と言える美の塊!
彼の普段のオークが如き姿しか知らぬ者にとっては『誰!?』となるやもしれぬが、しかしゴリョウは……実はかつての世界においてオークの父と宇宙エルフの母を持つ(自称)オークなので、幼少期はこうなのだ!
更には精神も当時に引っ張られているのかインドア派に近き雰囲気。
――こんなの夫人達は我慢できませんよ? 『きれいなおねえさん』に持たされた( ・◡・*)人形を腕の中に抱きながら、若干不審げな目線を、アーリアを含めた面々に向けるもの――としていれば、すごく頭を撫でまわしてくるぞ、うわーめがまわるー!
「これはまずいです。みんなをあつめないと……えい」
「あ、ゴリョウ君まって! どこへいくのー! もうあと二百時間ぐらいこのままでー!」
だからゴリョウは一瞬の隙を突いて不審者……げふん。もといアーリアから逃げるもの。
なんだか事情はよく分からないが、己も含めて子供達を集めた方が良さそうだと――さすれば。
「おじいちゃん、どこ……? うぅ……
そもそも……ここどこ……? おうちどこ……うう……なんでぇ……?
いいこに、いいこにしてるよ……? なか、ないもん……」
「あねご……? あねごココどこ……? 早くあねごのところに帰らなきゃいけねえのに知らないところに来ちまった……きょうは荷馬車にしのびこんでねえのに。なんで……? う、うぇ……帰らなきゃあねごに殴られる……うえぇん」
その視線の先には今にも泣きそうな愛奈やキドーがいた――愛奈は、きっとお迎えが来てくれると信じて象と鼠が表紙に描かれた絵本を読み、涙をこらえて待つが。キドーはまた怒られてしまうと混乱と恐怖の渦の中だ。
一つが決壊すればまた一つの涙が連鎖していくであろう――故に。
「あらあらまぁまぁ。大変ねえ。わたしがお世話してもいいのよね?
いいえ、イヤって言ってもするわよ。絶対逃さないわよ、ふふふふふ」
「だー! くそ、なんでこんな事態になってんだよ……! もう分かったよ!
暫くの間なんとかすればいいんだろうすれば! おら! クレープ欲しい奴はこいや!
一人一個だかんな!!」
「うぅ……マジで……? じゃあこの生クリームマシマシバナナチョコ・特選イチゴ山盛りスペシャルセットがいいな……」
「テメー! 図々しくねーか!!?」
無事であったアルフィオーネや瑠々が子供達の収集に動くものである――! 瑠々はあっちこっちにいく幼児達をなだめたり、様々なクレープで幼児らを集めたり……あー! 数が多い! クレープ代がバカにならない!! こっそり一番高いver頼んでくるキドーにはサイフの中の小銭を確認しながら、言を紡ぐものだ……
だけどアルフィオーネは子供達が多ければ多い程喜び勇むものだ――まぁビームが直撃したのに何故か幼児判定され(まさかつるぺたか? つるぺた寸胴幼児体型だったからか?)効果が無かったのは、淑女に対する無礼だと思うが。それはそれとして。
「さぁ貴方も遊びましょ? 大丈夫よぉ、お父さん達が来るまでの間だからねぇ?」
「……ホント? おとうさん、おかあさん、きてくれる……?」
「えぇいい子だったら大丈夫よ」
泣きそうな愛奈をあやすものだ。そう――わ た し が マ マ で す 。
その誇り(?)を胸に――子供達をなだめていくものだ。
「おば……おねえさん、わたしにもごはんちょうだい……いいにおい……
あむあむ……おいしい……もっとちょうだい……もっと、もっと……」
「だめだよ、おねえさんを困らせちゃ。ひとり一つだからね?
ボクとあっちで一緒に遊ぼう? 体を動かしてれば気にならないよ」
さすれば更に瑠々のクレープ奢りに引き寄せられ、足元へと寄って来た巳華。お腹が空いているのか、服を引っ張りながら更にねだるものだが……そこは10歳前後の姿になっているモカが世話を焼くもの。
折角の機会。以前いた世界の物語(アニメや漫画)にたまに登場するボクっ娘を想起しながら――巳華らの様な更に幼少の者達の相手を務めて……
「あそんでなんていられないよ……ぼくは、またものをうらないと、ごはんぬきなんだ……」
と。そんな様子を眺めているのは――ヤツェクだ。
彼もまた子供の姿だが……しかし、些か健康的とは言えぬ身体と雰囲気。
一心不乱に金になりそうなモノを探しているその姿は――
「ごはん……? ごはんが欲しい、のですか? なら、アイスクリームいるのです?」
「い、いらないよ……! そもそも、そんなので釣って……なにするつもりなんだ? 売る、つもり? え? 見返りなし? そんなこといって、まただましてどうにかするつもりなんだろ。どうせ」
そんな彼を見た、木陰に座っていたLilyは――世話をしていた子供達の為にと買ったアイスクリームを一つ、差し出すものである。が、警戒するヤツェク。そもそも……一度した贅沢は心に残り続けるのだから。
――こっちにいたくなり続けてしまうのだと。
けれど。それでも。抗いきれぬ誘惑に――冷たきアイスクリームを一口。
「……美味しい。初めて……」
「ん、ゆっくりとしても良いと……思いますです。さぁ、どうぞ?」
ポンポン、と。己が膝を指し示しのんびり過ごす提案をするLily。
偶然にもビームを躱す事が出来た自分はきっと保護者として頑張るべきなのだと――思うからと。沢山の子供達と共に、ゆっくりと時を過ごして。
と。どこを見ても子供達だらけの環境に――蝋梅は思いを馳せていた。
大人のままの私の子供達
幼き頃になった私の子供達
こ こ は お 母 さ ん (わ た し)の 楽 園 か し ら ?
「あぁ、懐かしさが溢れて皆とっても可愛いわ……っ!
さ。泣いてる子達がいるわね? 保護しないと……!
ええ、一人たりとも悲しい想いなんてさせないからね……! ふふっ!」
故に彼女は往く。大人が近くにいない子供達を探し保護をするのだ。
必要なら、抱きしめたり。背中をぽんぽんしてあげたり。
「子供のお世話なら任せて。私、お母さんだもの」
ああ――屋台の方に行ってみれば子供達は嬉しいだろうかと、思考もしながら。
「う、うーむ大変な事になってますね……ま、やれるだけやってみましょうか。
――さ。皆さん、僕とババ抜きする子はいませんか? 僕に勝てたらお菓子をあげますよ」
わぁい! とババ抜きを提案した九郎の下には沢山の子供達が……まぁ彼に宿りしギフトの力で、最後は絶対に勝つことも出来るのだが――え、皆を纏めてて偉いって?
「ええ偉いわぁ。ふふふ、貴方も子供なのにねぇ」
「違いますよ、こんな見た目ですが、もうニ十歳ですよ」
「まぁまぁ! 成人してるのね――なるほどぉ、ジュルリ」
そしたら顔の見えない夫人? が九郎を撫でに来た。
……なんかニ十歳超えてるって言ったら更に興味を抱かれた様な? なんで?
「むっ? きさま……『ふしんしゃ』というやつだな!
タシはおりこうなのでな、きさまとはあそんでやらんぞ。
あそんでほしければ名をなのれぇ!」
「おおお、お姉様が幼女にっ……!? た、たまにはこういうのも……いいかも。
あぁ! 見知らぬ人への対処もバッチリ……!! なんていうお利口さん……!!」
別の場所では小さくなったレーツェルが――ラルフェの魔の手から逃れていた。
小さくなったレーツェルの姿に思わず興奮。だからこそ『ふしんしゃ』と断じたレーツェルは彼女に近寄らぬ……ぬるりと抜け出し、好奇心の儘に駆け抜ける!
「ああー!? ま、待ってください! レーツェルちゃーん!」
「まて、といわれてまつやつがいるものか! ふふん!」
色がいっぱいな場所。記憶に無き新鮮な場所。
触手の塊ではない自身の体へ違和感もどこぞへやら――レーツェルは思いの儘に往くものだ。
「オーホッホッホ! 琉珂様! 琉珂様は何処ですの~!
……はて。しかし今日はお子様がいっぱいいっぱいいらっしゃいますわね?
なんのイベントでしょうか? ん~~気になりますわ!」
そうしてれば今度は元気のいい声が鳴り響いた――麗姫だ。
ちなみにその琉珂は先程、麗姫の後方足元側を駆け抜け通り過ぎていた。事態を正確に把握してない麗姫……だからこそ、彼女はピーンと来るものだ。この子達の面倒を見るべきなのだと! なんか皆物珍しそうに寄ってくるものだし!
「まあまあ! 私の溢れ出る姫力にやられてしまったのですわね?
いいでしょう! 姫たる私が子供達の子供達の面倒を見てあげましょう!
オーホッホッホ! さあ! 皆様も姫力を高める為に鍛錬をしましょう!」
姫力を極めればなんでもできる――! きっと大精霊も倒すことが出来ると、彼女は意気揚々に子供達を光り輝きながら連れて公園を練り歩くのであった。
「あんまり走り回るなよー転んで怪我しちまうと大変だぞー……
ってあぁ、言わんこっちゃない! あっちの方で転んじまってる……!」
「はわわ……みなさんが、今はとってもとってもちいさくなってるのです……
かわいいのです。でも、だからこそ見守っていないと、いけませんね……!」
更にはフーガやニルも子供たちの世話役に奔走するものである。
彼方。転んだ様子の子供があらばフーガが駆け寄り治癒の術を。無き止まぬ様ならニルが『あまいもの』でも食べませんかと誘おうか――クレープやアイスクリームなどなど。
「なにがいいですか? おいしいもので、いいですよ?」
「いいのー! あのね、あのね、さくら、このイチゴがいいなぁ!!」
と、ニルに手を引かれながらサンプルを指差すのは小さくなった咲良だ!
見た目は五歳ぐらいだろうか。精神も引っ張られ、完全に幼少……覚えているのはまぶちぃひかりで身体がちっちゃくなっちゃったのみ。ぱぱもままも見つからないし……だけど今はクレープを頬張るもの。
「あのね、あのね、さくら、まいごになっちゃったのぉ。だからね、んっとね、じゅうしょは、(ピーーーーーッ、混沌での咲良の住所だ!)です! しってる?」
「あわ、あわわ。だめですよ、そんな大声で、大事な事をいっちゃ」
ん?? なんで???
小さくなった咲良にその辺りの事はよく分からない――まぁいいか、それより遊ぼう!
「ねぇねぇ混ぜて混ぜてー! なにしてるの?」
「ん? いいよ。りでぃあはね、おままごとするの。りでぃあがままなの。かいん、きょうはなかなかパパかえってこないわねぇ。けいびたいのおしごとがいそがしいのかしら。ねぇ、どうだったかしら、さくらー」
直後には元気一杯の咲良――向かった砂場の方ではリディアがおままごとで遊んでいた。
白いクマのぬいぐるみを『カイン』と呼び、赤子代わりにして話しかけている。
皆で一緒に『家族』の一時を、此処に。さすれば段々疲れたのか眠くなってきて……
「あらあら! 眠っちゃうのはいいけれど、ここはちょーっと汚れちゃうわよ!
ほら! そのお人形さんも! こっちのベンチで眠りなさいな――」
「このこはわたしのなの! だれにもわたさないんだから! うー!!」
「あら? 大事なモノなのかしら? 安心なさい! 誰も盗ったりしないわよ、フフフ」
その様子を察した美鬼帝がリディア達を誘導せんとするも――伸ばした手が『カイン』を奪うモノと勘違いしたのか、突然激怒して威嚇するリディア。カインを力強く抱きしめ庇う様に。
しかしママたる美鬼帝は斯様な子らの激情にも慣れたもの――
作って来たドーナッツの様なお菓子を見せて彼女らの心を絆さんとしながら、面倒を見るものだ。甘えてくる子は慈しみながらなでなでして抱っこしてあげても良いだろうかと……
「わぁ……やっぱり、ギュっとされると、温かいですもんね」
ニルも、ぎゅってしてもったり、なでなでしてもらうの、いいなって思うのです。
きもちが……胸のあたりが、ほわっとするのです。
だから、ニルも指先伸ばす。みなさまをぎゅってしたりなでなでしたり――する為に。
「……ここどこ……? ……早くちかろうにもどらないとおじ様にまたぶたれてオシオキされるのだ……ヒィ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……何でも言う事聞くから……ぶたないで……!」
しかし、幼子になったヘルミーネは――恐怖の渦中の中にいた。
幼少期の記憶がありありと彼女を占めているからか。
ソレは、大人に振るわれる暴力の恐怖。彼女にとって大人の手は痛みの象徴。
「うふふ……安心なさい? 幼児に暴力なんて、美しくないから……ね? 一緒に遊びましょ?」
「……ほんとうにぶたないの……? いたいこともしないの……?
……わかったのだ……したがいます……ヘルちゃんはいい子だから……」
しかしモミジーヌ夫人はそんなヘルミーネへと優しき言を。顔は見えないけれど嘘は言ってなさそうだと――ヘルミーネは感じ取るものだ。尤も、ヘルミーネの心は閉ざされている様に……未だ堅いものだが。
「ほーら皆さん高い高ーい! ふふふどうですか? あまりの感動に声も出ませんか?」
そしてその直上では――ヴィルメイズが『高い高い』をしていた。
――ただし飛行高度レベルでだ! ジャングルジムの刺激を遥かに超えるダイナミックで臨場感ある『高い高い』をご体験いただけるかと……フリアノンの方では好評で、騒がしかった子供も皆最後はスヤスヤ眠ってしまうんですよ。あの、それ気絶……
「ふふ。うぷ……しかし先程のタコ焼きとハイボールが中々来ますね……
まぁ気分よく飛べるのが一番かと思いますし、このまま行きましょうか!」
おろせー! いますぐおろせー!
抗議が始まる幼子より。おっとっと。そんなに暴れたらふらついちゃいますよ――
元からブレブレの飛行だったけど。あー大丈夫かなぁ。あーあーあー……あー!!
●
墜落するヴィルメイズ。その様子がジャングルジムからは派手に見えていた――が。
「だいじょうぶ? たぶん……あしのほうから、おりたら……いけるとおもう……
いっしょに、おりて……あそぼ?」
「うん。いいね! よい、しょ。よい、しょ……わぁ!」
ジャングルジムに絡まって遊んでいたリュッケやギルオスはそれ所ではなかった。両者共に五歳程度の身長と精神。互いに声を掛けながらジムを降りんとするもの――
リュッケは記憶喪失だ。だから、小さい頃の記憶もないのだけれど。
……こんな風に明るい穏やかな場所に、憧れていた、気もする。
でも。とにかく遊び方が分からないのでギルオスと共にジャングルジムに挑戦していたのだが――今度は降り方が分かんなくなった! 子供の目線には結構高いものであり、涙目にならんとする勢いだ……と、瞬間、ギルオスが足を滑らせて!
「わ、わ。ギルオスさん……大丈夫?」
「見つけたー! って、ギルオスさん!? えー、うそー、縮んでる!?
なにこれカワイイー!! 小さい頃ってこんな感じなんだ――!!」
そこへと即座に至ったのがハリエットと京だ――!
落ちんとするギルオスを支える。さすれば、その腕の中に納まるぐらいのギルオスがいるものだ……うぅ! 普段はそれなりに身長が高いが故にこそ、この姿は新鮮……! お目目がキラキラしている気がする……!
「もう大丈夫だよ……がんばったね、ごほうびあげる」
「んー? わぁ、おねえちゃんありがとー!」
ハリエットより飴を受け取るギルオス。笑顔の色が満面に広がるものだ……
……もしもギルオスさんに息子さんがいたらこんな感じなのだろうか?
仮に。将来そんな光景があるとして――その隣には、一体誰がいるのだろうか。
指先で幼少ギルオスの髪を撫ぜながら、名の付かぬ感情を――ハリエットは感じていて。
「うっへへ……かぁいいね、かぁいいね……!
もう辛抱たまんなーい! むりー! ん~ちゅっちゅ!」
「わぁ! なに!? なにいったい――!!」
と、頬ずりする京。ギルオスは咄嗟の事態に逃げんとしてジャングルジムによじ登り、まーた滑って落下。それを己が自慢の胸で受け止めながら再びもみくちゃにする京――ふかふかクッションで怪我はない。やれやれ、まだ放してもらえそうな気配は遠いものだ。
「なんや都会は怖い所やなぁ……おっちゃん、たこ焼き三つくらい包んでくれや」
「あいよぉ! ウチのタコ焼きは一番だよぉ!」
そんな光景を遠目に見据えながら雷霧はタコ焼きを買うもの。
よく分かんないが、変なビームが元凶な事だけは分かる。
「……巻き込まれん内にはよ離れた方がええか」
そう思考しながら一個、あつあつのタコ焼きを頬張りて――ん、何か光が。
小さくなった茄子子はメモを付けていた――
「きうりおいしい」
きょうはおやさいをいっぱいもってきました。おうちにいっぱいあるからです。ぽりぽり。
「だいこんおいしい」
まよねーずがいいとおもいます。かたいです。
「なすおいしくない……」
なすはおいしくなかったです。ぐにゅぐにゅしてたです。もうたべたくないでした。
「あめおいしい……!」
せんせいがあめくれました。あまくておいしいです。かたいです。ぼりぼり。
おなかいっぱいでたのしかったです。
あしたもこんなひだと、いいなぁとおもいました、まる。
「うっ、うっ……服が汚れたぁ……ソフトクリームがぁ……」
と、その時。泣きべそ掻きながらとぼとぼと歩いているのは樹龍だ。
どうも三段アイスクリームに眼を輝かせたいたのはいいのだが――うっかり走って零してしかも服に落としてしまったらしい! なんてこった……! さっきまでブランコたのしー! とはしゃいでいたのに!! うおー!! これも全部大精霊が悪いんじゃー!
「なぜかビームにあたっても幼児にならんかったし……! なんたる事じゃ、有名人も幼児化する地獄絵図で儂も幼児化して遊びたかったというのに! 是非も無し! 癪に障るわー! 必ずひっ捕らえてくれるぞ、大精霊――!!」
憤慨する樹龍。辛うじて残っていた最後の段のアイスを舐めようと……したらまた零れて服に掛かった。うわあああああ!!
「ぼびー、どぉだんご、なげたぁ、いたいかあね。おしおつくお」
「ん、わかった」
そして龍成とボディは共に砂場で遊んでいた。
ボディはどうやら泥団子を投げ合いたかったようだが――意外とアレは痛いんだ。
しょんぼりしてるけど、しかたない。あえ? ぼびー、おかぉ!
「ぼびー、おかお、どぉだぁけ! ふきふきしてあえゆ。ん、かあぃね」
「むえっ、ありがとうございます……かわいい、なぜ? であ、おかえしです」
おしおを作れば――しかし共に顔が泥だらけ。
故にポッケのハンカチでボディの顔を拭く。むにむに~
終わればお返しに龍成の頬もいっぱいふく。もみもみ~
「うーぼびー、あぁがと! あっ、またついらった……んっ? ぼびーわぁてる?」
さすれば。折角拭いた所に龍成の泥の手がまた付いちゃって――もう一度拭き直しだ。
だけど。なんとなし、ボディの心には暖かな『何か』が広がっていた。
……笑顔は出来ないけれど、うれしい。なんでかな。
分からないけれど、こうして在れるのが――きっと嬉しいのだと。
もう一度ハンカチ片手に、拭き拭きしてあげるのだった。
(!! まわりにこどもがいっぱいいる、あれ? なんでぼくもいるの?
どうしよう、おにいちゃんもいない、ひとりぼっち、かくれなきゃ)
そして幼児の繁茂は影ながら公園の様子を見ていた。
事態は把握できていない。ただ、沢山の人がいるなぁ……というだけだ。
みんなと遊びたいけど、ぼくといっしょにあそんでくれるかな。
めいわくじゃないかな。やっぱりどこかでひとりでくさでもちぎってあそぼうかな……と、思っていればその時。上の方から何か声が聞こえてきた気がして……
「……むぅ、ぐぅ……木の上、おちつく……すやぁ……」
そこには、公園の木の上でうとうとと眠気眼になっているムエンがいた。
どうやって登った。分からぬが、ふと気づけば木の上の高さを認識してしまったようであり……
「う、ぅ〜…降りれない……降りれないぃ……! た、たすけてぇ……!」
「わ、わあ……! たいへんだぁ……ど、どうしよう……!」
まるで高い所に昇るだけ登って降りれなくなった猫の様に。
太い枝に捕まりながら泣きわめき始める――! 誰かー! 大人の人――!
繁茂は焦る。小さき彼ではどうしようもなく……と、その時。
「ヨォヨォヨォヨォ! 天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ! 非道な悪を憎み悪のあるところ必ず現れ闇を照らして悪を討つ! 宇宙保安官ムサシ・セルブライト――参上であります! いざ物語の結末を決めにゼンリョクゼンカーイ!!」
そんなムエンを救ったのは――ムサシだ!!
助走を付けて大ジャンプ。ムエンを掴んで華麗に地へと!
着地と同時に光り輝く変身の秘儀からの名乗り上げ――!!
そう、ここから始まるのはヒーローショーだ!
「……せいぎの、ひーろー……?
すごおい、へんしんした……! かっこいい……! が、がんばえー……!
むさしおにーちゃ、がんばえ……!」
「だぁだぁ、ばーぅ。きゃっきゃ! むーさしにぃに、にぃにー!」
「わっ……すごい……! ひーろーってかっこいいなぁ……がんばれ、ひーろー!」
その勇ましき姿に感動しているのは幼児に至っているチェレンチィやエル、そして繁茂だ――最前列にちょこんと座っているけれど。ヒーローの姿には心が躍るもの……!
最初はかくれんぼをしていた繁茂だったけど、ショーに誘われこっちに移動を。
さすればあまりの迫力に思わずヒーローを応援してみるものだ――と、直後。
「フハハハハ! 宇宙保安官ムサシ! また現れたですな!
しかーし!! 貴様も吾輩の骸骨兵へと変えてくれよう!」
「ワーッハッハッハッハ! 吾輩は悪のキョンシー!
今宵はガイコツのヴェルミリオと共に参上あるよー!」
「やー! わるもの、やー! こわいー!
ガイコツやだー! キョンシーもやー! ムサシたすけてー!」
陰より現れたのはヴェルミリオと黒龍である。その腕には三歳児ぐらいだろうか――のチャロロが捕まっていた! くっ、なんと卑怯な!! と、黒龍は前面にいるチェレンチィを見つければ。
「や、チェレンチィ殿! 随分愛くるしい雛鳥の様になったあるな! ワハハ!
しかーし! 悪い子は攫って壺の中にしまっちゃうあるよ〜!」
「ひぃ……! へ、へいろんおにーちゃも、がんばえ……!」
脅かす。さすれば、自分と同じ大きさのねこぬいぐるみを強く抱きしめるものだ――
「さぁ良い子のみんなー! ヒーローショーの始まりだよー!
みんなで宇宙保安官ムサシを応援してねー!
小さなお友達を浚った骸骨・キョンシー連合を、ムサシは倒せるかなー!?」
「うぉぉぉ!! 熱いぜ! 頑張れ! ムサシィィィ!!!
骸骨男爵やキョンシーなんかに負けるな―!! ヒーロー!! 頑張れ――!!」
「ムサシイイイイィィィ!!! がんばえ――――!!!!
ムサシィィ!! 後ろ後ろ――!!!! がんば、がんばえええええええ!!!」
同時。司会進行を務めるマリアが集まった子供達に言を投げかければ。
姫太やオラン達が更に声を張り上げる勢いで――ムサシを応援するものだ! 姫太とかは大きなお友達だけど、魂が燃え盛るのに光の被害は関係ないよね!
それよりも――骸骨男爵ヴェルミリオ。キョンシー大王黒龍の力は……強い!
皆の声援が必要なのだと――更に場を盛り上げんとしているのは、裏方で動いているシューヴェルトや五郎八だ。シューヴェルトは『ヒーローショー』が行われていると、各地に宣伝を行い会場を設営させ、五郎八は裏の方で音響を担当しており。
「うむ。園児の集まりも想像以上だな……
子供たちを楽しませるためだ、皆で精いっぱい頑張るとしよう!」
「音があれば空気マシマシで子供達にも楽しんでもらえますよね~!
……あっ。でもどうなんでしょう。ヒーロー物ということは……
やっぱり最後は爆発シーンとかもあった方が良いんでしょうか!!?」
うわしまったどうしたものかと、五郎八焦る! だがそんな裏の動きがあろうとも表の方では戦いが進んでいくものだ――アクロバティックな動き。倒される骸骨兵。憤慨する男爵ヴェルミリオ。妖しく笑う黒龍に、囚われながらもムサシを応援するチャロロ達――
「ムサシー! がんばえー! わるものやっつけちゃえー!」
「――おおお! これはだめだ、いくぞカイト! おれたちも、きんにくまつりだ!!
ほら、カイトも来るんだ! いっしょにきんにくをみせつけよう!
じしんをもて――お雨のきんにくは、いいぞ!!」
「ねぇ、なんですてーじにあがろうとするの! いろいろと! あぶないから!!! ( ・◡・*)とアライグマのたたかいがはじまるから!!! にいちゃ、おれは、しないから、たのむから、ああああああ」
その瞬間! ステージに乱入したのは――アンドリュー(と、彼に引っ張られたカイト)だ!! 二人ともショタ化しており、カオトの脇になんて抱えたるは荒ぶる( ・◡・*)! ひぃ。怖い、怖いよぉ……さっきから激しく荒ぶってるし、気のせいか荒ぶる度にアンドリューの行動も荒ぶっている気がする……大人しくヒーローショー見てるつもりだったのに!
アンドリューは更にアピールせねばならぬと――天からの啓示を承る程だ!
「ほら、カイトもいっしょに! おれたちのきんにくを、見ろ!!
くっ、ガイコツめ……じゃまだ!!」
「にーちゃ! それ、わるものだから! ショーのわるものだからあああ!」
いい汗かきながら骸骨(モブ)を狩るアンドリュー。そんな彼に振り回され精神的に疲労全開のカイト――! 彼がステージ脇に沈むまで、あともう少し――!!
「あっ……ひーろーが、あくやくにたおされそう!
たいへん!ひーろーがたおれちゃうのはいやだ!
ひーろー、がんばえー! ひーろぉぉー!!」
――が! アンドリューやカイトの援護があっても尚、ムサシは窮地に陥っていた! なぜならお約束だから!! その光景に気付いたのは、昼顔だ! 最初はひーろーかっこいい! と思っていたけれど……ひーろーがピンチだ!
各地より生じるムサシへの応援。それを察したマリアが更に囃し立てるべく――
「ああ! ムサシのピンチよ!
でも大丈夫!! みんなの応援がムサシの力になるわ!
お願い! ムサシを力一杯応援して!」
『せーの!』と、音頭を取るものだ。
『『『『『ムサシー! 頑張れー!』』』』』
轟く声援。会場の外にすら響かんばかりの声は――確かにヒーローへ届き。
「はぁ、はぁ……皆の声が、力になるであります……!!!
そう!! ヒーローは!! 負けないでありますッッッ!!」
イヤーッ!
グワーッ!
アイヤーッ!!
直後に生じるはムサシ無双! 小さい子供達(一部大きいお友達)からの声は無限の力となるのだ――! 骸骨男爵の投げた骨をキャッチして投げ返し、キョンシー老子を体当たりと共に吹き飛ばせば!
「お、覚えてろでありますぞ――!!」
「今だ! えーい、爆発音ッ!! どーん!!」
負け台詞と共に――二人が吹き飛んでいく。と、同時に頑張ってなんとか空砲用意した五郎八が絶好のタイミングで音を鳴らせば、場の盛り上がりも最高潮へと至るもの!
打ち倒される怪人達!! 解放される子供達――そう、正義は勝つのだ!!
「ムサシー! あくしゅしてあくしゅー!!
おいらもムサシみたいなヒーローになりたいよ!」
「ムサシキック、です! ムサシキック、です!!」
さすればチャロロがサイン求めてムサシへと駆け寄り、エルはムサシの必殺技の真似をしながらきゃっきゃと喜ぶものだ――
「ククク……中々の良き熱さだったぞ、ヒーローよ! 我が混沌も大いに荒ぶったものよ! ――次回があれば我も参戦しよう。その時まで精々精進する事だな」
「混沌卿……負けないでありますよ!」
次いで握手会が始めれば姫太は、サングラスに黒コートを着た『混沌卿』スタイルでムサシへと挨拶に行くものである。あまりの熱さに彼のパトスが燃え上がったか……! へっ、解放されたかよ、お前の力(中二病)が……!
「あいやー負けちゃったある。さぁ負けた証に飴ちゃん配るあるよー」
「わるものも、ひーろーもみんななかよしがいちばんだよね!」
なにはともあれ。飴ちゃん配るキョンシーにジョブチェンジした黒龍から、昼顔は甘味を受け取って。最後は皆で――笑顔になったとか。
●
謹啓
春嵐も南空に去ったころでしょうか。茶零四さまにおかれましては、お健やかにお暮らしのことと存じます。以前、奈々様にお持ちいただいた、刀という遊び道具が、とても気に入りまして、私も家の者に言いつけて、一振り持っていこうと思います。
振ってよし、突いてよし、斬ってよし。
安全に気をつけて遊ばせてやって下さいと、お母様も仰せです。
どうぞよろしく、お願い申し上げます。
かしこ
「おかあさま。よくわからないけど、おてがみ、これで……いい?
……へへ。おでかけ、いってきま、す……う?
んうぅ……それ、もうもったよお……わすれないもん……」
「しとーちゃん、しとーちゃん! はやくいこーっす! あそぼーっす!」
「う、うん……!」
待ち合わせていた奈々が至れば、至東も急ぐものだ。
これより至るはかっこいいぶきの見せ合いっこ。ふふ、今回はお揃いだったか。
怪我もしない範囲で軽くチャンバラも交えようか――
あぁ楽しみだと両名の顔には笑顔が溢れている。
……その一方で。
( ‘ᾥ’ )あう……
( ‘ᾥ’ )だぁーう……
( ‘ᾥ’ )おししょ……おししょー!
( ‘ᾥ’ )おししょ……どこ……
( ;ᾥ; )おししょう……
( ;ᾥ; )ピエ……
ビャアアアアアアアア!! ――公園に轟く鳴き声。『おししょおおおああぁぁ!!』 それはリコリスだ! ちびすけになったリコリスは知り合いが一切見えぬ事に不安になっており……
「あ! おししょ! いたー! おししょ、だっこ! だっきょー!」
「ふぅ、やれやれ……なんとかこっちの事は分かってくれるようですね。」
しかし師匠たるリーディアとの合流はすぐに成せた――てちてち走りて足に飛びつく。抱っこされる前に抱っこ出来るポジションまで上がっていく勢いだ。が、そこにいたのは彼らだけではない。
「ゆ、行人君! わわ、こんなに小さくなってしまって……!!
すまない、プリンセス……! 私が君を守らなくてはいけなかったのに……」
「……あう? だぇじょぶ、あんちょ……あんちょ、ぶじ? よかった。うん……」
近くには知り合いたるアントワーヌや行人もいた。どうやらこちらは行人が小さくなってしまったようである――くっ! だ、抱っこして? のポーズをする行人君……かわいい!!
せっかく本当に王子様とお姫様の関係になれて初めてのデートなのに不運な事だ――と一時は想ったアントワーヌだが、しかしこんな貴重な姿を生で見れるのであればこれはいっそラッキーかと……!?
いつもの大人の状態とは全く違う彼の様子。
いつかこの時代の事も教えてくれるかな――と思考を巡らせていれば。
「……あれ? あっちにいるのはリーディア君と、もしかしてリコリス君かな? ふふ、狼同士だけあって親子みたいで微笑ましいね――はっ、もしかして今は他人から見れば、私達も親子に見えたりとか……?」
「……? あれ……だえだろ。あんちょ、だれ?」
ぎゅ、と。アントワーヌに抱きかかえられながら服を掴む行人。
どうやら人見知りな気質の様で、リーディア達を警戒……していれば。
「!! ふちみゆきと! いつものおかえし! えいえい! どうだ、まいったか!」
「った、やめ、やめてよ……あんちょ……うう……わぁぁぁぁぁぁん!!!!!
りこりしゅぶった! りこりしゅがぶったああああ!! あ”あ”ー”! あ”ー”!!」
「……!? わっ、わっ行人君泣かないで、びっくりしたね!
大丈夫だからね、うんうん……! ほーらだっこだっこ! はいはいはい大丈夫だよー」
「こら! 駄目だよ、リコリスさん! お友達には優しくしないとね?」
ほらごめんなさいしようね――
行人にちょっかい掛けるリコリス。泣き出しアントワーヌに抱き着く行人がいれば、彼女はあやす様に。だっこして背中を叩いて落ち着かせんとすれば、リーディアはリコリスに『めっ!』して注意するものである――
おししょにおこられた……ふちみしゃん、ごめんちゃい( ;ᾥ; )
涙ぐむ両名。ああこれも子供達によくあるトラブルだろうか……
そんな事を思っていれ、ば。
「ふふ……伏見君をぺしぺししているリコリスも獰猛(爆笑)で可愛いね!
これも今後の実験の為。幼児化したキミの行動パターンを記録させて貰うよ!」
その様子を影ながら見据える――謎の男がいた。彼は『不定の男』
リコリスが撒き散らしている( ‘ᾥ’ )の回収に来たのである――え、あれって顔文字表現じゃなくて、( ‘ᾥ’ )の亜種だったの? と、思考していれば彼の足元を(((( ꒦ິᾥ꒦ິ)ピエピエが通って……あっ、虫かごに入れられた!
「……なんだか妙な気配を感じるな。
誰かに見られている様な……警察に通報しておくべきか」
いざとなれば氷で障害物でも作ろうかと……
どこぞに潜む怪しげな男の感情に、リーディアは注意を向けるのであった。
「蝶々、蝶々が飛んでる……あっ、お花畑だ」
次いで、近くの花畑の方ではアレンも走り回っていた――
お花っていいにおい。だから蝶も寄ってくるのかな……ひとに語り聞かせるには面白い体験をしているから、暫しこの本能の儘に楽しんでみようかと彼はしゃがみ込み、王冠作りに励むものだ――と。そうして周囲を眺め、他に誰かいないかと見てみれば。
「わたちだァァァァァァ!!! 赤ん坊だァッ!!! Eleven monthッ!!!
生後二か月と三時間十一秒ッッッ!! 新鮮な空気が好物!!!!!!!!
突然だがッッッ!! BABYに必要な物とは何かわかりまちゅか!!!??」
なんかいた。盛大な赤ちゃん詐欺と共に現れたのはRoad=Rollerだ! お前みたいな赤ちゃんがいるか! ツッコミを無視して紡がれるのは『オムツ』『おしゃぶり』……そして。
「筋肉』ッッッッッ!! ちゅッ!!! ラリホォォォォォォォッ!!!!」
大暴走の車!! 誰かー! この車引き取って、誰か――!!
「べうふらうしゃん……? あにょ、こんにゃすぁた、ひみちゅぃ……」
「ははは。エルス、心配しなくても大丈夫だ――それより、ほら御覧。可愛らしい花が咲いているよ」
そしてRoad=Rollerが公園内で大暴走している間に、エルスとベルフラウはお花畑にいた。花冠でも作って愛しのディルクにでも捧げたらどうだろうかと。ついでに二個作ればおそろいでグッドだ――
「おーかん! でぃうくしゃまに、おーかん、つくりゅの!
でぃうくしゃまは、かっこいーおーしゃま、だから……おーかん、ひつよーでしょっ?」
「その通りだエルス! いい目をしている――いいか、エルス。
その気持ちは大事だぞ。押してダメなら更に押せ、だ。なんなら押し倒せ」
「ぴっ!?」
「好きなのだろう?」
「もちろん、だいしゅき!!」
――でぃうくしゃまはね、でぃうくしゃまはね!
――せかいで、いーっちばん、かっこいーおーしゃまだもん!
――とーってもちゅよいのよ!
大声で、こーんなに凄いのよ! と腕を一杯広げてアピールするエルス。
残念ながらこの場に本人こそいないものの。
しかしめっちゃ大声で叫んでいれば――本人の耳に入ったりするかもしれないんじゃないかなぁとはおもうのでした。まる。
「ししょー、すごーい! ししょー、みてみて、どんぐりみつけた!
でっかいどんぐり――!! あっ、エクスカイバーもみつけた――!!」
「ほう! エクスカイバーか。
強そうな名前だな、そして良い形をしている! 何処で拾ったのかな?」
「そこ!! そこのねーひみつきち!!」
言うは誠司だ。指差している先にあるのは、ただちょっとだけ深い草陰の中。
子供からしてみれば確かに秘密基地と言える場所だろうか――聖剣(小枝)を手に入れ、倒すべき魔王である大精霊をやっつけるため、ししょーと小冒険が今始まったのだ! 多分。
「ひっさつわざ! ひっさつわざおしえて! びゅーんってなるひっさつわざー!」
「良かろう! ならば、こうだぞ……! エクスカイバーと叫びながら――振り下ろすのだ!」
「こう! こう! わーすげー! これなら……わーいぬだー!!」
そして、旅に必要な必殺技を請う誠司! 携えた聖剣(小枝)でぶっとばせ!
眼を煌めかせながら何度も何度も振るう――だけど散歩中の犬と遭遇して、思わずベルフラウ先生の後ろに隠れる辺り。まだまだ公園の外にまで出る冒険には早そうだと――思うのであった。
「ユカリくん、いないいない……どこぉ? ユカリくん……」
そしてラズワルドはユカリという、とある――親の様に慕っていた者を探していた。猫耳幼児化している彼はユカリを探してあっちへこっちへ。表面上はぼんやりとした様子だが……ストレスは掛かっているのか、自分のもふもふ尻尾を度々噛んでべしょべしょだ。
探しても探しても見つからねば、耳がしょんぼりしてくるものであり――
「わぁ、遊ぶところがいっぱい!! おいしそうなのもこんなに沢山……!!
うーん、どれから巡ろうかな……あっ! 独り占めしないでそれ、私にも貸してー!」
「んわぁ! なにぃ……? ここは僕がお昼寝してた所だよぉ」
「そうなの? じゃあいっしょに遊ぼう!!」
と、そこへ至ったのが浩美だ。普段と異なる口調は幼児化が故か――半分埋まってるタイヤでぼよんぼよん。その一角で休憩していたラズワルドを誘いて往くものだ。ユカリが見つからず寂しかった事もありラズワルドも付いてゆけば――なんとなし、楽しいものである。
……なんか大事な事を忘れている気もするが、まぁいいか!
大事なのは知らない大人などには付いていかない事――危ないからね!
ただし。
「やあ、ぼくはエクレア。
好きなものはチョコレートで、きらいなものは苦い草だよ。
ケーキはいちごからたべるんだ――おいしいよね、アレ」
むしろ悪者(ふしんしゃさん)の敵意(いやらしいしせん)へと近付いていく者もいるにはいるのであった――それがエクレアだ。ふふふ。そういう輩は保護者さん達に打ちのめされるからね。そういうのをおうえんして安全にたたかうのさ……ふふふかしこいだろう?
「謝るのならいいよ――そう、これで友だちさ。ふ、ふふふ」
一緒にアビス財団に行こうか。残念だけどもう離さないよ――ふふふふふ。
悪が除かれる現場。その片隅では――トストが目をしぱしぱさせており。
「お、おみゆ……うぇ……か、かわいらゆ……」
その彼は完全なオタマジャクシ人魚状態であった。
陸地だとぴちぴちしたり、ずるずる這うのが精一杯――でも今日は快晴。ううっ。
「も、もうらめ……うきゅう……」
「やれやれ――何があったかと見に来てみれば、いきなりピンチかよ」
遂にぶっ倒れそうになった、その時。
トストがバケツに入れられる。お水一杯、ぷかぷか。
それは彼の知りあいたる占卜大全だ――写本というか、人の姿を得た魔導書と言うべきか。『何やってんだよ』といううんざりとした顔をしているが、見捨ててはおけなかったのだろう。干からびる事が無いようにはしてくれるようで。
「あー、あーぁーと。やー、あれ、なぁにぃ?」
「ん? ありゃ蝶々だよそれぐらいなら知ってるだろ――っておい! そんなに乗り出したら!」
無事になったトスト。一息ついて周囲を見てたら――今度はひっくり返ったとか。
「しゅね・ねこのみ・きたん……です……よろしく……みゃー」
「あそぶー! しゅねくん、しゅねくん! すべりだい、いこー! いこぉーよぉ!!」
そして知り合いが来てくれていたのはトストだけではなく祝音もであった。本来ならばこの幻想で交流するつもりだったのだが――幼児化ビームを受けて二人まとめてこの状態! 『大精霊さん? 可愛いね、見たことあるような……あっ』なんて思ってたらビーム直撃しちゃった。
白髪のおとなしい幼児化を果たした祝音と、黒髪ストレートのちっこい可愛い幼児化の伊都羽。うう、かわいい!! しゃー、と滑りて楽しい、楽しい!! ジャングルジムでも遊んで、疲れたらちょっと休憩。ふー。
「あ、ねこさんもいる……すなばのところに、いるね……」
「あー! ねこかわいい! なでたい! なでる! スゥー……! んにゃー!!」
「みゃ!? ……みゃ? みゃー……みゃみゃみ? ふみゃー」
大人しい祝音とは対照的に伊都羽は元気一杯である――ちなみに吸ってる対象はイレギュラーズのみーおで、みーおもまたいきなりビーム喰らってしまった勢である。さらに可愛い雉白子猫状態。思考も完全に子猫化している感じだ! 100%猫!
「みゃー! みゃー! ……みゃー?」
「あれ……ジャングルジムに、登りたいの?」
「みゃー……みゃあー、みゃあぁー!」
あちこちチャレンジするみーお。
でもあまりにも子猫らしい小ささで登れたものじゃあない。ジャングルジムは飛びついても登れないし、滑り台ならころころと。あまつさえはタイヤによじよじしたら、登れるには登れたのだが――今度は降りれずに鳴く!
かわいいなぁ。猫はかわいい。かわいいなぁ。
大好きな猫。ああ猫素晴らしい! そんな事を思っていれ、ば。
「んにゃー? じゅんすいな心があれば生えたネコミミをピコピコできるはずにゃ。
一緒にピコピコするのにゃー。ほら、遠慮せずピコピコさせるのにゃー」
「わぁ……! ねこみみだ! ねこになっちゃったよ、いつばちゃん……!」
祝音に触れたのはティエルだ。彼女のギフトが触れたと同じ時間だけ猫耳をはやす――あれ? いつばちゃん? なんだか目がこわいよ? わ、わぁ!! 吸われる――!!
戻ったら全部多分覚えてる。
祝音はともかく伊都羽はちょっと、皆に忘れてほしい記憶かもしれなかった。
「……あれ? ここ、どこ? ……弦? どこにいるの?」
「孝! 俺はここにいるからな、もう大丈夫だ。一緒にいような」
孝臥、弦月の両名は共に肉体が10歳前後に戻っていた――
いや。孝臥の方は精神や記憶も、か。あの頃……他人が怖い孝臥は、弦月がなくば話す事すら出来ぬ。この状態が解けるまでの数時間――さて如何に乗り切ったものかと思いて。
「くれーぷ、やさん? 弦、あそこにある……くれーぷってなあに?」
「クレープか――甘味の一つだな。孝、食べてみるか? 中々に旨いぞ」
ん。弦が食べるなら、食べる。
頭の中は弦月とおいしいもののことでいっぱい。予想外の事態に戸惑いこそあるが――弦月が近くにいるからだろうか、孝臥の様子も段々と落ち着いてきており……だから。
「弦、傍にいてね。孝、弦のこと守るから、だから」
「――あぁ。孝、俺が傍にいる。俺が守る。だから、俺を一人にしないでくれ」
互いに約定を交わすものだ。
大人は皆汚いけれど。きっと綺麗なままでいようねと。
――誰にも渡さない。誰にも俺たちの世界を汚させたりなどしない。
一番大事なものだけは守るのだと――弦月はその手に抱く孝の姿を、しかと目に焼き付ける。
「まーったく。あっちを見てもこっちを見てもガキだらけかよ……」
同時。現場付近をうろついているのはルナである。
彼はなんとあのビームを避けていた――獣種としての特性と、彼自身の足がそれを可能としたのか。しかし無事だったからと子供の世話は勘弁である。ましてや中身が特異運命座標の面々など……故に精霊を探すという名目で周りを探索して。
「んっ? チッ、たく……公園から外れるんじゃねぇよ。迷子になったら困るだろ?
ほら。背中に乗せてやるからとっとと戻るぞ――おいコラ!!
俺の自慢の毛並みを乱すんじゃねぇ!! イテテテ!!」
さすれば、集団から外れている子供がいたので送ってやるぐらいはしてやるものだ。
ただし子供特有の乱暴さが――彼に襲い掛かるものだが。
「……これは、どういう……」
そして。レジーナは己が身に受けた不幸な偶然を見据えていた。
体が縮み、角が無くなり、髪は黒く、瞳は青く。
普段の女王(レジーナ)を知るならば別人のような姿。
――眼帯を外せば金色の瞳は無く左目と同じく青。
それは本来あり得べからざる『レジーナの幼少期』だ。『彼女』の存在が確立したのは混沌に召喚される直前だった故に、その歳は実は大召喚からの年月とほぼ同じ……ならばこの姿は? 『善と悪を敷く天鍵の女王』となる前の……
「ん? なっ! 何故我(わたし)は持ち上げられて……!?」
「ふふっ――貴女にはビームが足りない様ですからね。
もう少し念入りにして差し上げようかと( ・◡・*)」
と。不意に体が浮いたかと思えば――大精霊だ! いやもうこれ( ・◡・*)だな!?
レジーナを連れ去らんとした大精霊! いやまて我(わたし)を何処に連れていくー!?
と、遂に捉えた大精霊の姿があらば、しかし挑む者もいるもので。
「子供大好きな変態大精霊をぶちのめす依頼ですね任せてください!!
こんな事態はですね、とにもかくにも殴り飛ばせば全て終わるんですよ――!!」
( ・◡・*)ふふっ無謀な事を言いますね、ラクリマさん?
なんだか変な声が聞こえてきた気がするがラクリマは臆さない! ( ・◡・*)人形を両脇に抱え、頼りになる友達(※肉盾)でビームを防ぎつつ――大精霊を討伐するのだ! なんか両脇から変な笑い声が歌のように輪唱している気がしますけど気にしたら負けですよね。
( ・◡・*)ふふっ( ・◡・*)ふふっ( ・◡・*)ふふっ( ・◡・*)ふふっ
「あ、これホラーだわ。でもホラーのジンクスを打ち破る! 俺は絶対負けない!!」
( ・◡・*)ふふっ( ・◡・*)ふふっ( ・◡・*)ふふっ( ・◡・*)ふふっ
いくぞ変態!! ( ・◡・*)パーンチ!!
――その後。ラクリマが猫耳半裸幼児の姿で発見されたという噂が流れたとか流れてないとか。
「うわー! やっぱりだいせーれーのせいなのね! ならひまわりは……
だいせーれーを、ぶっとばす!! いくじょ――!! えいえい!!」
だがラクリマの意思を継ぐ者はいた……朝顔だ!
彼女はビームを受けた上で大精霊に挑む! ( ・◡・*)ふふっ
しかしなぜか攻撃が大精霊に届く前に掻き消える……なんで!?
――それはこっそりと『こんな場がそうそうに解決したら面白くないよね!』とクリストが場を掻きまわす為に仕込んだ手段の一つ。くそー! こいつ碌な事しねー! でも諦めない!
「だいせーれー、おまえがまちがったのは、たったひとつだ……!
なぜ、ここで、ようじかびーむをうったのだ。ほーじょーではないのだ!!」
「お答えしましょう――それはお茶が適当に『幻想で良いか』ってしたからです( ・◡・*)」
お茶ァ!!!!! ほーじょーなら、しゃなくんがようじかしたかもしれないのに!!
しゃなくんがようじかしたのを、ひまわりはみたかったのに!!
うおおおおおお!! 朝顔、渾身の一撃を放つ――
その一撃には『次は絶対豊穣にしてよね!』という望みに満ち溢れていたとか。
●
「いやぁー悲鳴悲鳴の阿鼻叫喚、偶には外も良いもんだね!
俺様changも面白かったYO!」
なんとなく参加したクリスト。あまつさえ大精霊を倒そうとする勢力の邪魔を数々弄すとか……やはり控えめに申し上げても、彼は最低なのでは???
ともあれ遂に時間が来た。
個人差はあるが、段々と元の姿に戻りつつあるようだ……
これで混乱は解消されよう――子供達の姿を見れて満足している夫人達や、意外たる未散の姿を見れたヴィクトールなどはある意味被害は少なく。逆に精神的に死する未散などは被害甚大であるなど、様々な人物達がいるようだが――まぁ些細な事だね!
それよりも!
「――あ、そうそう! 今度今回のディレクターズカット作成するNE!
な、テェム。正純! 楽しみにしとけよな!」
やっぱ殴っておこうと、正純は心の底から思ったのでそうした。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
うおおおおお待たせしました!!!!!!!!!
ふふ。子供達が元気よく遊ぶのは良いものですね……ありがとうございました!!
GMコメント
●依頼達成条件
幼児状態が解除されるまで無事に過ごしましょう!
おまけ:子供大好き大精霊をぶちのめす事!
(割と容易く倒せるぐらい弱いです 多分)
●フィールド・シチュエーション
突然ですが皆さんの中には幼児になってしまった人がいます――!
全員ではないです。偶然にもビームを躱せたり、或いはビームが放たれた跡から合流した人――つまり大人状態の人がいてもいいです。保護者枠ですね。ぱぱー! ままー!
現場は幻想王都メフ・メフィートの一角に存在する公園付近です。ジャングルジム。滑り台。砂場。なんかよく分かんない半分埋まってるタイヤ……色んな遊具が存在していて結構な広さがあります。
近くにはなんの偶然か、アイス屋、たこやき屋、クレープ屋などなどの甘味の屋台が出ています。なぜこのタイミングで!!? 幼児にとっては非常に魅力的な場所に移ったりするかもしれません。
●幼児化ビーム!
後述する『子供大好き大精霊』の放った魔術です。
姿が幼児化します。幼児と言ってもちょっとブレはあるみたいで、最大で12歳ぐらいの姿の人もいたりするかもしれません。
場合によっては精神も段々と幼くなっていきます。人によっては記憶も幼少時代ぐらいになったりするかもしれませんね。(この辺りの被害具合は、各々自由に設定して頂いてOKです!)
身体能力も一時的に幼児化しますが、仮に大精霊をぶちのめさなくても2~3時間ぐらいで効果は消えるらしいのでご安心ください。
●子供大好き大精霊(自称)
幼少の姿が大好きな大精霊(自称)です。皆さんに幼児化ビームを撃った犯人です!
でも別に危害を加えたりすることはしません。ただただ子供が大好きなだけです。こう書くとそれはそれで危なそうだな……シナリオ開始以降はどっかに隠れ潜んで皆さんを観察してるかもしれませんが、放置していてもいいです。
なお戦闘能力の類はないので容易く倒せます! 多分。
●ギルオス・ホリス(p3n000016)
幼児化ビームを喰らってしまった一人です。うわー! 体が縮むー!
ジャングルジムに登って降りれなくなってます。たすけてー!
●他NPC
茶零四担当NPCは、他にもいたりするかもしれません。
幼児化してるかしてないかは状況によります。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
Tweet