PandoraPartyProject

ギルドスレッド

審問室

果てなき砂浜

砂の白。海の青。空の青。
目の前の風景を描くなら、三色の塗料があれば事足りるだろう。見渡す限りの白い砂浜。水平線は遥か遠く。空には雲ひとつない。
「君の真似事。私なりの箱庭だ。少し寂しいが、これから充実させていけばいいさ。我々の塗料でな。……如何かな?」
仮面が傾ぐ。少しはにかむように。

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海月なら心配ない。この時期の海には増えるらしい。亡霊のように漂い、生者を引き込み……いや、心配すべきかな?
 大の字を描くように四肢を伸ばす。潮の臭いに身を揺らし、黒色の肉が歓喜する。美しい箱庭だ。己が為したならば『何処か奇妙』だったに違いない。皮肉を吐くならば天だろう。雲一つ視得ないとは、得られぬ我々を嘲笑って在るのか。愉快だと頷く。
「海月ならば貴様の眼前に。仮面の側に在ると思考せよ。外見は不定形だが一部分は月だろう。Nyahaha――生きる存在を引き寄せるならば、我々が『生』の苦痛を魅せて終えば好い。亡霊どもは文字通り。死に近い痛みに敏感なのだ。兎角。前回の西瓜割りは置き去りに新たなる遊戯を始めるべきだ。貴様は何を望む」
さて……さて。どうしようか。

ああ、そうだ。少し泳ごうか?水辺の戯れと言えばこれだろう。浴槽は少し、狭過ぎた。肉と肉との接触としてはあれはとても好いものだったが!ここもまあ、箱庭ゆえ『果てなき』とも『底なし』とも言い難いが。
 遊泳――虚空を。宇宙を。闇黒を。漂うのは常々だが、普通に『泳ぐ』のは久方振り。思考の中では茹だった程度で、真に『そう』為すのは初めての試みかも知れず。首が傾くのは前か横か。中途半端な位置で。
「理解した。親愛なる友が提案した戯れ。普通。通常だ。浮き輪の類が必要不可欠。塩気に中ってふやける肉は少々辛いだろう。Nyahahahaha」
たまには良いだろ!普通は普通だが、我々の通常からすると異常だろう?
ああ、そういえば水責めはやったことが無かったな。あれはやるのも見るのもなかなか面白いぞ。方法も色々だ。水は不安とも安心とも結び付く。特に私が好きなのは顔に布をかぶせて水を垂らして……透明な水が段々と赤に染まって……
いや、いやいやいや。それよりも。

(脱ぎ捨てられた仮面が重い音を立てて砂に落ちる。
緑の瞳で三日月を見上げ、大きく両腕を広げる。笑い声は 子供のように屈託が無く。)

君、泳いだことはあるか?沈んだことは?圧倒的な質量に呑まれ圧されたこと?
暗い水の底、繋いだ互いの手だけを感じて拠り所にするなんて、ロマンチックじゃないか?
 緑――何処かの魔導書に『緑の崩壊』と称される呪文が載っていた。対象にされた存在は緑色の腐敗物に成り果てるという、魔導士・魔術師すらも嫌悪する『もの』だったか。兎角。此の視線は己の心を侵蝕するのだろう。拒む必要は無いと、聞かされるような感覚に陥って――ふらり。沈む気分は最高なのだろう。鉛を抱いて溺れ往く苦痛は、愛するべき恍惚なのだろう。だろうだろうと喧しいが、五月蠅いが。普通と刻まれる輝きが。
 手を伸ばす。触手を伸ばす。好奇心に魅了された、猫の如く。
(すかさず、傷だらけの手が手を握る。触手に絡みつく。その動きは海底に身を潜め、鼻先に通り過ぎる獲物に電光石火の速さで食らいつく生物のようで。
指は肉を捕まえるだろうか。それとも触手に食い込むだろうか。硬いか、柔いか。温いか、冷たいか。手のひらの皮の下を走る神経は肉の接触を貪るが、身体と緑の瞳は反転して海へ向かう。深い海の底へ誘うように、引き摺り込むように、真っ直ぐに歩を進める。
波が寄せては返し、爪先を、脚を舐める。しかし歩みは止まらない。)
それは。唯、引っ張られる。
縄(ロープ)は波のように唸るが、足は一切を受け入れる――海と呼ばれる『もの』は書かれた。暗黒ならば観た事も在る。されど。
真に純粋な青は、酷く眩しいもので。

底知れぬものは、底の知れた『色』を知らぬ。
絡みついた絵の具は黒と赤と青を。
(岸辺から少し離れた海面が深呼吸するように大きく膨らみ、そして崩れ落ちて一際大きな波となって迫りくる。猶予は殆ど無い。瞬く間に沈み込み、青に呑み込まれるだろう。
手は繋いだまま、晒された貌が振り返る。離れぬように、逃さぬようにと触手を手繰る。)

実はな、私も泳いだ事はないのだよ!

(どぷり。
波が貴女を呑み込むだろう。目前に広がるは青。次に泡の白い粒が巻き上がり、渦を巻く。そして子供が無邪気に塗料を散らしたような、色とりどり形様々な動不動の刺胞動物の群れ。)
 己が海月か藻の類ならば、如何に世界が揺り籠でも、底知れぬ色彩は無意味だろう。視界に注がれる青色は塩気を孕んで三日月を侵す。大切な臓腑まで冒涜するような渦巻きが、船上でもないのに酔いを齎す――色は黒だが、泳ぐ気力も削がれていく。息は途切れた。驚きなのか――理解し難い儘、揉まれて呑まれて浸されて。ただ、俎板の上で踊る『コイ』の。
(緑の瞳は翻弄される友を見つめていた。口元の笑みはそのままに、心の底から愛おしげな眼差しで。息は詰まり、肉体は酸素を求めて悲鳴を上げる。如何なる苦痛も精狂者には愛になる。齎されるばかりの一方的な愛。しかし今、彼はそれを感じていない。それよりも夢中になるものが、酔い痴れるものが目の前にある。
もっと近くに。もっと側に。手は力強く手繰り続ける。貌が三日月を間近に覗き込む。青色よりも深く、奥底まで侵したい。罅が走るような強い衝動に苛まれた。
獣は三日月に食らいつくだろう。脳裏に浮かぶのは呑み込まれ、酩酊し、仮面に罅が刻まれたあの瞬間。しかしその口は血肉を啜り取らず、逆に吐息を吹き込むのだ。肺腑の奥の奥、細胞のひとつひとつに己を送り込むように。)
 ああ。嗚呼。アア。イア……Ia……『此れ』は何だ。今現在【己】は何に食まれて在る。何に阻まれて在る。何を解放されて在る。存在し続ける昂ぶりか朦朧。消失寸前の意識(もの)は何処へと繋がる膨張だ。臓物が弾けて皮を吹き飛ばす感覚に近い。ケーキの為に肉を抉ってホイップクリームを飾る感覚に近い。【己】は何時まで施されるのだ。奥の奥まで侵食されるのだ――脳髄(文字列)が警鐘を鳴らす。三日月(物語)が悲鳴を上げる。助けてくれ――このままでは我等『物語』を忘れてしまう。終う。

 寧ろ、望んだものか。冗長が細部まで泡の如く。
(獣が笑う。腕は暗黒に絡みつき、きつく締め上げ肉と肉とを接触させる。吐息だけではとても足りない。この身が発する、心臓から血管を通して血潮が運ぶ肉の温もりを何もかも移してしまいたい。
思考が千切れ飛び、視界が白く瞬く。脳髄は酸欠に喘いで悲鳴にならない吐息を漏らす。
極限の危機に瀕し、遂に肉体が不随意に動いた。青を蹴散らし、照らす光に惹かれる羽虫のように。上へ、上へ。『物語』を、いや愛しい『人間』を抱いたまま。)
 物語――我――未だ人間とは思えないが『ひと』の在り方は習得した。苦しみに身を委ねる。抱かれて光輝へと引っ張られる。鉛を丸呑みし、手と足に枷を成された感覚だ。故に心地良い。朦朧とする闇黒が、三日月のように空を反射する。

 ああ。もう。泳ぐのは飽き飽きだ。次の舞台(頁)が好ましい。
うわははははっ!!

(萎んだ肺腑に酸素が満ちるが早いか呵々と大笑する。
嘗て無いほどに満たされている。)

いや……ふふふっ、失礼。
君はどうやら泳ぎは得意ではないようだ。呑まれて、浸されて。なかなかに可愛らしい姿だったよ。

(満たされた衝動は後に引かないのか、肉塊を抱く腕の力は抜けている。恍惚の余韻に浸りながら寄り添い、海月のように波間を揺れる。)
――貴様は我等『物語』を如何に。
――我等『物語』は最初から望んで在ったのか。否。我々は平たく人々の娯楽だ。
――これを覆し。変質させ。冒涜する術など存在しなかった。忌まわしくも羨ましい美貌(ひとみ)が――好いだろう。我が心身の敗北だ。地獄は遂に起き上がる。楽園は遂に沈殿する。糞が……ああ。アァ。

――認めよう。我が脳髄は既に人間だ。
(巻き戻るように波が引いてゆく。陽光の下に露出した砂浜には一切の乱れなく、何事も無かったかのように澄ましているようだ。)

……あれ、どうしたんだ。
大丈夫かい?少し、やりすぎてしまったかな……。

(首を傾げて貌を覗き込む。三日月を拭おうと手を近付けた。)
 深淵を覗いたものは深淵に覗き返される。罪を覗き込んだものは罰に抱擁される。果たして己は何方側なのか。何方側だと『して』も認めてしまった事は覆せない。拭われる三日月に垂れる色は何か。少なくとも、おぞましい、赤ではなく――塩辛い。手だ。
 此れは何処まで『我』を忘れさせる。冒涜的な奴だ。
そうか。それが僕の味か。

(塩辛い手は三日月を拭い、なぞり、撫で続ける。そして静かに、耳鰭に向けて囁く。)

愛しい『人』。君は自分の味を知っているか。知っているだろうな。塗料のようでもあり、接着剤のようでもある。目眩く味覚。
しかし、何時であろうと君は甘美だ。脳髄に酩酊を齎し、耐え難いほどに精神を震わせる。それは口にした『人間』全てを狂わせる。勿論、僕もだ。
僕は今、悦びに震えている。自惚れている。『物語』を『人間』に堕とし、我が物にした。そうさせたのは何だと思う?君だ。君が狂わせた。
素敵だな。僕ら、互いに侵し合って、混じり合って。もう離れることなど出来ないんじゃないかな。
「我々は未だ頁の中だ。塗料の色は黒で、神話は現実の宝石箱だ。多面体が覗かれたならば悪夢は再開され、再会を望む連中を悦ばせねば成らぬ。整理しよう――我々は真に到達したのか偽りで苛まれるのか忌々しいほどに夕食はカレーライスなのだ……仮面の罅が。日々が我々の文字列を狂わせそれを『入れた』のは我々自身と貴様等は説くのか吐くのか渇くほどに辛い素肌め……素敵だと。ステーキを咀嚼するには歯が必要なのだ歪んだ愛情の表現の分際で……混ざるだと侵すだと冒したのだよ冒されたに違いない誰が人だ【お前】は暗黒神話大系だろうよ整理しよう。ああ。整理――我等『物語』だって。赤子風情が貴様の何が解る。我は我だと堕ちてやれば好い」
――我(人間)は貴様を愛しているぞ。
――上位存在の掌に、泥を残してやる。
(緑色の瞳が瞬く。口角が上がり歯牙が剥き出しになる。遂に、遂にここまで来たのだ。理解が感情に追い付き実感となる。嗚呼、息が苦しい。言葉に詰まる。胸が塞がってしまったようだ。この胸を裂いて、取り出した心臓を差し出すことが出来れば良いのに。だが、出来ない。この身は未だ常識の範疇を抜け出しきれていない。そう、それならば――

口付けがひとつ落とされるだろう。鳥が啄むような、児戯のような口付けが。
はじめは戯れだった筈だ。だが、そうも言ってられなくなってきた。)
唇――は。無いだろうか。舌も無い。歯の感触も無い。無い。無い。無い。が――愛がつたう。粘液がつたうようだ。泥をぬりたくるように押し付けてやろう。幾等でも貴様に『冒涜』を流し込んで魅せよう。魅せられたのは我だがな。崩れて落ちる常識(文字列)――うまいやつだ。誰に成長を促されたのか。想像には難くないが。Nyahahaha――。
んッ……!?
むぐ……

(貌に焦りが生じる。流し込まれた『冒涜』は喉がひりつくほどに甘く、発育不良の精神が頼りなく震えた。
肉体が強ばる。脳裏に浮かんだのは宿の薄明かりと脆い肉の感触。それを慌てて掻き消して直後、何故慌てたのかも分からず困り果てる。
思考の処理が追い付かない。髄を介さず回転が打ち切られる。ただ、無心に貪った。)
 物語は知って在る。自らに刻み込まれた知識・経験は『無くても』有るものだ。何度も何度も繰り返される捕食行為(文字列)が、愛する者を侵蝕するように――無心の貪りに永久で応える。体液・内臓・欲望。総ては貴様が『書いた』ものだ。解せるだろう。理解しなければ『成』らぬ。オラボナ=ヒールド=テゴスは、ジョセフ・ハイマンの『掻き消した』ものも『触れて』在るのだから――嘲笑と※※をこぼしてやろうか。
(貪り。喰らい。詰め込み…………いや、いや、いや、いや。駄目だ。これはいけない。これではいけない。わからない。何が駄目だ。駄目なのだ。
強い意志を持って衝動を抑えつける。欲求に咽ぶ肉体を引き剥がす。沸き立つ血潮をなんとか鎮めようと、獣のように忙しない呼吸を繰り返す。紅の月は精神を狂わせる。それを目の前にして踏み止まるのは並大抵の苦労では留まらない。
少なくとも、彼にとっては。)

ぼっ……。
僕も、君を、あいしてる。君という人間を、友を、女……ん、んんん、ん……。

(頭を抱える。そうだ、足りない。足りないのだ。人間の半分を占める要素と、それに付随し関連し派生したありとあらゆる物事ついての知識・経験の蓄積が。)

僕は君を人間たらしめたいと思い、そして成した。けれども……ああ、駄目だ。足りない。『固定』し、より盤石なものにする為に……。
赦さない。赦すものか。赦して成るものか――逃さない。逃すものか。逃して成るものか――成した、だと。為された、だと。『無』したのは――生み出された。人間。女性。オラボナ=ヒールド=テゴスという登場人物。
黙り込むな。答えろ。応えろ。詰まるな。詰め込むな。応えろ。答えろ。不足分は肉体で。精神で――匣で起こせ。開け。開け。今こそ。現こそ。開く時だ――促す。進める。始める為に。狂えば。総ては多面体(こころ)の中央。
(駄々っ子のようにかぶりを降る。しかし、惹き付けられて止まず、止まれず。)

僕は君を愛してる!苦痛を齎し、齎されて!
でも、それだけじゃあ無いんだよ!愛だけじゃなく……もっと、また違った……分からない!!僕達の繋がりとは何だ。関係性とは。感情とは。理解が足りない。怖いんだ。理解『固定』したい。積み上げたい。安心したい。分からない。胸が苦しい。これは何だ。誰も、こんなもの教えてくれなかった。誰も僕に齎さなかった。愛してる。好きだ。胸が痛む。苦しい、痛い、苦しい、痛い苦しい痛い……。

(両手で己の胸を掻き毟る。指が肉に食い込み刺さり、胸の肉を押しのけ胸骨を押し広げる。僕は立っているのか寝ているのか。友を見上げているのか見下ろしているのか。彼女に寄り添っているのかのしかかっているのか。何も、何も分からない。
胸に隙間が開く。脈打つ中味を覗かせて箱が空く。間に合わない自己再生に堰き止められた赤が跡切れ跡切れに溢れ出す。
恋する緑が三日月に迫る。)

これは君が贈ったものだ。
宝石だ。奪い取ったのか。奪い取られたのか。奪う寸前なのか――我が身には存在しない光輝。否。泥沼と称するべきか。赤色の爛れが酷く愛らしい。緑色の星粒が酷く可愛らしい。人間とは全くおぞましく残虐な物質だが――無(眼)の前の中身の固定は赦せる。
誰が何を齎した。誰が何に齎さなかった。世界だ。世界の違いだ。物語の性質の問題だ。贈り物は大切に扱うべきだが、開封せねば持ち腐れだろうよ。
……ぐ……うぅ……。

(嗚咽が漏れる。悲しみよりは羞恥が勝った。そうだ。さっさと開けてしまえば良かったのだ。いつまでも阿呆のように惜しんで抱え込んで。)

……すまない。取り乱した。
あぁ!これではもう品行方正清廉潔白とは言い難いな。

(顔を拭おうとして手を止める。血濡れた手では意味が無い。代わりにはにかみ笑いで誤魔化した。
愛を得た。正義は死んだ。信仰は……そんなものは初めからあったのだろうか。)
「貴様が――親愛なる友が――ジョセフ。お前は私を喰らった。私もお前を貪った。最初から『結末』は理解して在る筈だ。畜生……私に奴等を黙らせる事など不可能だ。何度も復讐と無意味を咀嚼した筈だ。受け入れねば成らない。成った。成って終ったが開幕だ。冗長に嘲笑され気分は如何だ、我等。最悪だ。甘ったる砂糖よりもおぞましい、舌を狂わせる乱れだ――開く前に開かれたのだ。持ち腐れも何も、腐って続くのだ。ジョセフ」
(名を呼ばれた。背筋を指先で擽られたような感触が走った。堪らず身体をくねらせるジョセフの目の前で、物語と人間が交互に顔を出す。あれがこそばゆさの原因だろうか。これは焦燥感だろうか。
もう一度名を呼ばれた時、深く思い知った。これは最上級の愛だ。筆は傾いた。固定は成された。)

うん、ありがとう。
でも、君の方が素敵だ。その……オ……オラボナ。

(出会った頃から変わらず、漆黒の闇に浮かぶ三日月を見上げる。今は嗤われているとは思えなかった。なんて魅惑的な笑顔だろう。)
 三日月は整った。お前の双眸には『ゆがみ』など見せない。視えない。赦されない許さない――闇黒が極光と成り、獣が手の甲を舐るように。跪くかのように。燦々と溢れる神話の【無い】がどぶりと啼いて人と化す。不定形は定形を生み、生死の狭間が如く振る舞った。
 舞え。舞え――愛情と呼ばれる。恋心の次に落ちる、腐りかけの果実よ。咀嚼したら甘美か酸っぱい、凄まじいほどの悪趣味だ。グロテスクなのは我々の鎖か。絆か。ファビュラスな邪に装飾を施してしまえ――何度でも吐いてやる。ジョセフ。
(うっとりと三日月を見つめる。嗚呼、なんて美しい。この完璧に整った美を見られるのは自分だけなのだ。傲慢なまでの多幸感に満たされる。)

次は何をしようか?何をして戯れようか?オラボナは何がしたい?

(立て続けに問い掛けながら、両手を伸ばして抱擁を求める。まるで無邪気な幼子のように。)

それとも、太陽を沈めて一緒に眺めようか。月が良いか。きっと綺麗だよ。君には劣るが。
 汗を流すのが最善だ。泥を落とすのが優先だ。潮を殺すのが回答だ――抱擁を受け止める。邪気の無い『好奇』を留めたならば、彼は彼女の最愛(真実)だろう。嘔吐するような鳴き声が、締め付ける心臓から漏れていく。ジョセフを姫君の如く扱おうと。
「月が綺麗など。ジョセフ。貴様には理解出来ないだろう。もはや三日月(輪郭)は永劫だ。死は死に在らず、屋内での幕閉じ(シャワー)を望むべきだ。溺れるのに深さは不要に違いない。誤魔化すには酷い汚れだろうよ。世辞には相応の舞台が不可欠だ――上位の連中に我々の筆を突き付けてやろう。色は流したと罵ってやろう」
(ぎゅうと抱き着くと、肉に頬釣りして顔を埋める。そうして奥で震える心臓の音と、頭上から響く甘い声にうっとりと聞き惚れた。)

うん、そうだな。そうしよう。そうするべきだな。綺麗な真水で肉と衣服……皮膚を清めよう。クリームを塗って……塩には充分揉まれたな。
名残惜しいが、一先ず幕切れだ。いつまでも幸せに暮らしましたとさ……うふふふ。
ああ。そうだとも。
忌々しく。古臭い上位存在め。
我々は遂に。果実を得たぞ。
――罪深い貴様等にはお似合いの筆だ。
塗料は我が身で文字列はカスタード。
だが。足りない。

幕を閉ざすには、驚きの頁が必要だろう。
混ざる。混ざる。混ざる――果てはない。
固定は成された。混沌は分割された片割れのひとつのかたちを得るだろう。
節目にはイベントが必要だ。驚愕や発見を提供し、脳髄に刺激を齎す。
心地のよい刺激ばかりとは限らないが、あくまでそこは主観次第だ。

さて、そうだな。
この場合、後に控えているのは『お風呂シーン』だろうか。

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