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審問室

果てなき砂浜

砂の白。海の青。空の青。
目の前の風景を描くなら、三色の塗料があれば事足りるだろう。見渡す限りの白い砂浜。水平線は遥か遠く。空には雲ひとつない。
「君の真似事。私なりの箱庭だ。少し寂しいが、これから充実させていけばいいさ。我々の塗料でな。……如何かな?」
仮面が傾ぐ。少しはにかむように。

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(貪り。喰らい。詰め込み…………いや、いや、いや、いや。駄目だ。これはいけない。これではいけない。わからない。何が駄目だ。駄目なのだ。
強い意志を持って衝動を抑えつける。欲求に咽ぶ肉体を引き剥がす。沸き立つ血潮をなんとか鎮めようと、獣のように忙しない呼吸を繰り返す。紅の月は精神を狂わせる。それを目の前にして踏み止まるのは並大抵の苦労では留まらない。
少なくとも、彼にとっては。)

ぼっ……。
僕も、君を、あいしてる。君という人間を、友を、女……ん、んんん、ん……。

(頭を抱える。そうだ、足りない。足りないのだ。人間の半分を占める要素と、それに付随し関連し派生したありとあらゆる物事ついての知識・経験の蓄積が。)

僕は君を人間たらしめたいと思い、そして成した。けれども……ああ、駄目だ。足りない。『固定』し、より盤石なものにする為に……。

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