PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<夏祭り2021>再現性ベイサイドリゾート

完了

参加者 : 51 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●
 大理石のエントランスホールが、硬質で角張った印象を与えてくる。
 いかにもな高級感に、普久原 ・ほむら(p3n000159)は少々尻込みした。
「うわぁ……なんか緊張してきた……」
 なんかすごく陽で映(ば)える感じだ。SNSはもっぱら呟き派のほむらは若干挙動が怪しい。
 逆光めいたガラス窓の向こうにはパラソルやプール、その先はビーチと広大な海が広がっている。
 波打つプールに、輪のような流れるプール。インフィニティープールはまるで海と繋がっているように見える。それから屋内の温水プールはスパが併設されている。そういえばほむらの出身世界では、大磯あたりにこんなホテルがあった気がする。
「あー、でもあれはやってみたいかも。ナイトプールでソファみたいな浮き輪でお酒飲むやつ……」
 夜のプールでは、ライトアップやお洒落なカクテルも楽しめるようだ。
 このリゾート施設は佐伯製作所が二泊三日を貸し切ったらしい。名目はPROJECT IDEAの慰労であり、要するにR.O.O関係者が自由に利用出来るということだった。そこには希望ヶ浜の一部学生や、当然ローレットのイレギュラーズも含まれる。要するに『タダでリゾートホテル遊び放題』ということだ。

 時刻は昼前だった。
 アーリーチェックインは十三時頃と聞いたほむらは、そのままホテルマンに荷物を預けると、どこか所在なげに歩き回った。それから手近なソファへ腰掛けてaPhoneを覗き込むが――だめだ。光に背を向けたらちょっと画面が見えにくい。何度か席を変え、光が柱で遮られた場所を発見出来た。
 さてどうしよう。客室が利用出来るようになるまでは、あと二時間ほどかかる。
 人が少ないのはありがたい。人混みというのはどうにも苦手だった。
 それに苦手といえば、外がかなり暑そうだ。
 屋外の気温は――aPhoneの画面をスライドさせたところ、現時点で三十二度と表示されている。
「……うっわ、最高気温三十六度って、きっつ。体温だし。さすがに、これは無理めっていうか」
 ちょっと陽の者向き過ぎる。根っからのインドア派が、外に出て良い感じではなさそうだ。
「いやまあ……プールに入っちゃえば丁度いいんだろうけど。いやぁ……」
 今年は勢いで水着を買ったのだが、まだちょっと着る勇気が出てこない。
 だから検索ワードは『ランチ』となるが。
「あ。てか、直で見ればいいのか……現地なんだから」
 ついこぼれる独り言は、エンジニア時代に染みついた癖だった。
 それはさておき、館内のランチは――軽めにカフェ&バーにしようか。
「……どうしようかな」

「すずしー! 練達ってすごいのね。あ、ほむらさんこんにちは! どこにいくの?」
「ぁ、ぁー……どうも」
 やばい。陽の者(アルテナ・フォルテ(p3n000007))に見つかった。
「その、こんにちはです、えっと何か食べに、って。ぇ……?」
「がおぉーう! 遊ぶよー! マリアが水着を選んでくれたから!」
「ホテルなの! テンションぶちアゲMAX↑↑↑↑で、飲みまくるの!!」
 やばい。それどころじゃない奴等(白虎(p3n000193)とストレリチア(p3n000129))が居る。
「ふふーん、いいじゃない! 今日はとことん遊ぶわ!?」
 どこからどうやって来たのだ。リーヌシュカ (p3n000124)は。夏期休暇か。
「あれってさすがに部外者すぎじゃない?」
「う、うーん、まあ……なんで居るのかもわかんないですが。たぶんイレギュラーズ関係者? とか?」
「佐伯製作所ってとこ、懐が広いのね」
「あ、は、は……詳しくはわかんないですけど、そうなんですかね」

 なにはともあれ、あの賑やかなのには関わらないようにして、ランチにしよう。
 サンドイッチかパスタに、後は紅茶でもつければいいか。
 そうしたら、それから――

「……え、マジ、ヤバ」
 失敗した。
 このカフェ&バー、プール併設で水着着用だ。
「あー……」
 仕方が無い。いよいよ覚悟を決める時が来たのだ。
 水着に着替えなければ!

GMコメント

 pipiです。
 夏のリゾートホテルで遊びましょう。ぷちラグジュアリー。

●出来ること
 自由! リゾートホテルで楽しく過ごしましょう。

●ロケーション
『昼の部』
 燦々と降り注ぐ太陽の下で、浜辺を眺めながら贅沢な水遊びが出来ます。

A:昼のプールで遊ぶ
 絶景のインフィニティプールや、楽しい波打つプールとか流れるプール。
 他には度胸試しの飛び込みプールや、ガチな競泳プールなんかもあります。
 圧巻の全長140mウォータースライダープールは最大二人乗りの浮き輪で楽しめます。
 疲れたらプールサイドのパラソルとチェアなんかで休んだり喫食したり。
 身体が冷えたら温水プールや水着着用のまま入れる温泉に、ジェットバスのコーナーなんかも良いでしょう。

 少し高い場所にあるハート型のプールはホテルとの間にあり、カフェ&バーからカクテルなんかも持ち込めます。あと座れるあの映(ば)える感じの、貝殻みたいなおっきな浮き輪とかも貸してくれます。

B:昼のお食事
 カフェ&バーで軽食が楽しめます。
 昼からビールとかモヒートって最高じゃないです?

『夜の部』
 ライトアップされたプールで、ちょっとオトナな水遊びが楽しめます。
 20時頃からは花火があがります。

C:夜のプールで遊ぶ
 ホテルに近くて、少し高い場所にあるハート型のプールで遊べます。
 カラフルにライトアップされています。
 例の座れるあのおっきな浮き輪も貸してくれます。
 隣のカフェ&バーからカクテルなんかが持ち込めます。

D:夜のお食事
 早い時間には洋食中心にブッフェが楽しめます。
 温かなローズトビーフが絶品。好みに応じて切ってくれます。
 遅い時間はバータイムになります。

E:その他
 お部屋でくつろいだり、スパや岩盤浴を楽しむなど。
 出来そうなことが出来ます。

●諸注意
 未成年の飲酒喫煙は出来ません。
 UNKNOWNは自己申告。

●プレイング書式
 一行目:A~Eの記載をお願いします。
 二行目:他の同行PC名とIDかグループタグの記載をお願いします。
 三行目:以降は自由に記載下さい。

 例:
  A
  飲酒部
  バー直行なの! アルコールしか勝たんの!

●メニュー
 昼~夜(11:00~21:00)は水着推奨。バータイム(21:00~)は普通の服。
 書かれてないものも、言えばなんとなく出てきます。
 ビュッフェスタイルで食べ放題&飲み放題です。
 オムライスとハンバーガー、ローストビーフは、シェフがその場でやってくれます。

『Food』
 ポケ
 新鮮野菜のサラダ
 近海魚のカルパッチョ
 鯵のスモークと合わせサラダ
 近海魚のポワレ
 特大海老のグリルと温野菜
 オマール海老とホタテと野菜のグリル
 子羊グリルのバジルソース
 ローストチキンのローズマリーソース
 牛フィレ肉のカルパッチョ仕立てトリュフソース
 チーズバーガー&ポテト
 クラブハウスサンド
 エッグベネディクト
 ローストビーフ
 タコライス
 ロコモコ丼
 オムレツ
 オムライス
 カレー(スパイシーチキントマト/ポークキーマ/欧風ビーフ)(ナン/ライス)
 各種サンドイッチ(鯵のスモークやローストビーフなど)
 各種パスタ(ジュノベーゼ、からすみとキャベツ等)
 各種パン、ライス
 オリーブ
 チーズの盛り合わせ
 ソーセージ盛り合わせ
 ジャーキー盛り合わせ
 ドライフルーツ
 季節のフルーツ盛り合わせ
 フラッペ(苺、レモン、珈琲、柘榴、宇治金時、ブルーハワイ)
 シャーベット(マンゴー/ブラッドオレンジ/カシス)
 アイス(バニラ/抹茶)
 紅茶のシフォンケーキ
 その他、ありそうなもの

『Drink』
・ソフトドリンク
 各種フレッシュジュース、コーヒー(ホット/アイス)、紅茶(ホット/アイス)

・カクテル
 スタンダード各種、スモーキング、ナイトロジェン
 お好みに応じます。

・ウィスキー
 ブラックウォーカー、ブルーウォーカー、グレイクラウン...
 グレンローレット、アドバーグ、ハイランドガーデン、ザ・サントヒル、ベイサイドデプレッション...
 アールスローズプラチナム、ビルダーズエンブレム...
 エコーズ...

・テキーラ
 ラサブランコ、ラサレポサド、ネフェレストアネホ、ブルースパイダー...

・ラム
 ムルシエラゴ 、ロンリッツパーク、キャプテンドレイク...

・ジン
 ビーフイーター、エルダートム、スカイブルー、No.10...

・ウォッカ
 スチールグラード、バニラ、シトラス、バイソングラス...

・ブランデー
 フォルデルマン、フィッツバルディ、バルツァーレク...

・カルヴァドス
 バルツァーレク...

・ベルモット
 マルセイラン、フランセスコ...

・ビール
 メフ・メフィートペールエール、パドラディ、ミットヴォッホカッツェ、ヘイローEX、ルーベルグ...

・リキュール
 カシス、ラズベリー、等々各種。

・ワイン
 フィッツバルディ(赤、白)、アーベントロート(赤)、バルツァーレク(赤、白、ロゼ)、フルネメシス(白)、デモニア(赤)、ブラックキャット(白)、ポルタ(強化)...

・スパークリングワイン
 バルツァーレク(ロゼ)、エストレージャ(白)...

・薬草
 修道院系、草系、アニス系、ルート系、各種...

・ノンアルコールカクテル
 各種...

・オリジナルカクテル
 トーキョーマティーニ2010、トーキョーモヒート...

『他』
 各種シガーあり(バーカウンターのある分煙ルームにて)。

●同行NPC
 声をかければ同席します。
 複数居たらみんな適当に一緒になります。
 誰も居なければ、特に描写されません。

・アルテナ・フォルテ (p3n000007)
 水着。

・リーヌシュカ (p3n000124)
 水着。

・普久原 ・ほむら (p3n000159)
 水着。

・白虎 (p3n000193)
 水着。

・ストレリチア (p3n000129)
 バーに入り浸り。

●備考
 再現性東京2010希望ヶ浜扱いとしますので、aPhone等は使用可能です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
 水着だからです。

  • <夏祭り2021>再現性ベイサイドリゾート完了
  • GM名pipi
  • 種別イベント
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2021年08月10日 22時10分
  • 参加人数51/50人
  • 相談7日
  • 参加費50RC

参加者 : 51 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(51人)

ワルツ・アストリア(p3p000042)
紅き弾道は真実に導く
十夜 縁(p3p000099)
結んだ縁
クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者
シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
フェルディン・T・レオンハート(p3p000215)
海淵の騎士
シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)
明日を希う
ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
アリシス・シーアルジア(p3p000397)
黒のミスティリオン
アレフ(p3p000794)
純なる気配
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
ネメシス聖王
咲々宮 幻介(p3p001387)
刀身不屈
クィニー・ザルファー(p3p001779)
QZ
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
グレイル・テンペスタ(p3p001964)
青混じる氷狼
スティーブン・スロウ(p3p002157)
こわいひと
十夜 蜻蛉(p3p002599)
暁月夜
霧小町 まろう(p3p002709)
その声のままに
リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日のフルール
ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク(p3p003593)
キールで乾杯
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
建葉・メイメイ(p3p004460)
繋いだ意志
アレクシア(p3p004630)
大樹の精霊
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
ジェック・アーロン(p3p004755)
冠位狙撃者
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
アオイ=アークライト(p3p005658)
機工技師
ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)
甘夢インテンディトーレ
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
リウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)
叡智の娘
シャルティエ・F・クラリウス(p3p006902)
花に願いを
冬越 弾正(p3p007105)
終音
アリア・テリア(p3p007129)
いにしえと今の紡ぎ手
城火 綾花(p3p007140)
Joker
ネーヴェ(p3p007199)
星に想いを
恋屍・愛無(p3p007296)
終焉の獣
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
ニコラス・コルゥ・ハイド(p3p007576)
名無しの
メイ=ルゥ(p3p007582)
シティガール
ロロン・ラプス(p3p007992)
見守る
散々・未散(p3p008200)
魔女の騎士
しにゃこ(p3p008456)
可愛いもの好き
クレマァダ=コン=モスカ(p3p008547)
海淵の祭司
冬越 アーマデル(p3p008599)
灰想繰切
Binah(p3p008677)
守護双璧
花榮・しきみ(p3p008719)
お姉様の鮫
海紅玉 彼方(p3p008804)
扇動者たらん
ウルズ・ウィムフォクシー(p3p009291)
母になった狼
コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)
慈悪の天秤
アリス・アレスト(p3p009742)
素敵な人生の始まり

サポートNPC一覧(5人)

アルテナ・フォルテ(p3n000007)
冒険者
リーヌシュカ(p3n000124)
セイバーマギエル
ストレリチア(p3n000129)
花の妖精
普久原・ほむら(p3n000159)
白虎(p3n000193)
武神

リプレイ

●
 目映い青空の下、じりじりと焼けるほどの陽光を浴びながら。
 グレイルは手をかざして辺りを見渡した。
「これは……思っていた以上に……凄いな」

 これまで体験したものと、規模感が違う。
 学園の皆に話せばうらやましがられるに違いない。けれど普通に遊びに来たら、お金が足りるだろうか。
 ともかく、さっそく水着に着替えてインフィニティプールへ。
 きらきらと光を反射する水面は、海へそのまま繋がっているように見える。映えるやつだ。
 まずはaPhopneで想い出作りを。お土産話を沢山するために。
 流れるプールに波のプール、レジャー味溢れる施設の中でも、とりわけ目を惹くのは――
「リーヌシュカ発見!」
 星形のサングラスをくいっと上げ、ターゲットをロックオン。
「エッダ、エッダじゃない!」
「騎士流の大人のリゾートというものを教えてやる!!」
「望むところよ! こう、捕まればいいの?」
 8の字を描く二人乗りの浮き輪に乗って、スタート。
 水を切るように滑る二人の声が空に溶け――プールへ向けてうねり加速する。
 しかしオールドワン(我々)というものは、泳げるものなのだろうか。
 そんな疑問が浮かんだ直後、みるみる迫る水面へ二人は投げ出され――
 意を決して滑り始めたリディアの視線の先で、そんな悲劇が起きた。
「「ボガボボガボボ!」」
 ひょっとしてこの人達、泳いだことないのか。
 ともあれ、リディアは友人やカップル同士の周囲を前に、平静を装う。
(一人でも、寂しくないもん! 一人でも、こ、怖くなんかないし!)
 専用の浮き輪を付け、いざ滑り出す。
 スピードは速いが、意外と気持ちよく、そのままプールへ突入。
 白黒ギンガムチェックのタイサイドビキニはかなり大胆だが、果たして。
 布は、ある。では紐は――あっ! 水中で確かめたリディアの頬がそそっと青ざめた。

「わーい、リゾートホテルだー!」
 スティアは目を輝かせた。ホテルに沢山のプールがついてるなんて。
 お姉さまの様子に目を細めるしきみは「一緒に水浴びを! します!」と力強く頷く。
 お揃いの水着に身を包み、向かう先はやっぱりウォータースライダー。
「しきみちゃん、早く早く!」
 手を引くスティアの美しさは、真夏の太陽のように苛烈だ。
「こ、これは……人工物の滝ですか? す、すごい」
「二人で乗れるみたいだし、一緒に乗ってみよっか? もしかしてしきみちゃんは怖いのかな?」
「その、一人では怖かったのでお姉様にそっと掴まらせて頂いても。その、何というか……真面目に怖くて人生、初です」
 浮き輪に乗り込んで、スティアに掴まるしきみの高鳴る鼓動は、果たして。
 無事に生き残ったらアイスティーを貰いに行こう。
「それでは、いざ――!」

 ネーヴェが見つめるシャルティエは、以前より背が伸び大人な雰囲気を感じる。
 シャルティエもまた、二年前よりも随分と美しくなったネーヴェを前に、頬を赤く染めた。
 けれどネーヴェを見る事がいけない事のような気がして視線を逸らしてしまう。


「どうか、しましたか?」
「……へっ? あっ、いえ! 何でもない、です……! そ、それより! プールは初めてですよねっ!
 あ、あれ行ってみませんか? 楽しそうですし!」
 シャルティエはウォータースライダーを指差し話題を変える。
 二人乗りの浮き輪。
 少し怖いけれど、シャルティエが居るなら大丈夫だとネーヴェは青年に掴まった。
 ひんやりとした体温が背にあたり、しがみつく腕がくすぐり――。
「……ひえ、ぇぇ!? はや、はやいです!」
「わぁっ!? お、思ってたより速いっ勢い強いっ!!」
 シャルティエはしっかり、浮き輪とネーヴェを支えグルグルと滑った。

●
 遊ぶ前にも後にも、ご飯はやっぱり欠かせない。
 プールサイドにはブッフェスタイルのカフェ&バーが併設されている。
 しかしリゾート施設の貸し切りとは、佐伯製作所も大胆なことをするものだ。

(とりあえず泳ぐのは後回しにして、まずは食事でも……アイスとシフォンケーキで十分ね)
 感嘆した綾花は、まずはアイスとケーキを持って席を探す。
「あら、あなたは普久原ほむらさんよね? 相席いいかしら。ふふ、何かの縁だし、あたしと遊ばない?」
「あ、ど、どうも、えっと。遊ぶ、って」
 すいと身を寄せた綾花に、後ずさるほむら。恥ずかしがり屋さんか。
「……え、何ってトランプだけど……何を想像したのよ」
 食事の片手間にポーカーをしながら、綾花はほむらとの会話を楽しむ。
「ところでほむらさんはみんなと遊ばないのかしら? いえ、その可愛い水着から、みんなの注目の的かなと思ってね。無理強いはしないけど、もじもじしたって始まらないわよー?」
「え、あ、いやー、その」
 にっこりと微笑んだ綾花に、ほむらはちょっと口ごもり。

「リーヌシュカ君は、今日も元気だな。水着も、とても可愛らしい。やはり彼女には夏が良く似合う」
「ふふーん! 当然じゃない! でも褒めても何も出ないわ!? でも、ありがと」
 愛無に褒められたリーヌシュカが、頬を染める。
(……こんな顔が出来るんだな)
 ともあれ栄養補給も大切。軽食としよう。
「当然、僕の奢りだ。その程度の甲斐性はあるのでね。それに君の好きな物は知っておきたい」
 チーズバーガーとポテト、デザートはマンゴーのシャーベット。
 リーヌシュカが選んだのは、意外にも野菜の煮込み料理だった。素朴な食べ物を好むらしい。
「ねえ、ドリンクはどうするの?」
「ドリンクは……アルコールがやめておこう。リーヌシュカ君がはたちになるのを楽しみにしているよ」

「美味しそうなご飯いっぱいだね。ここで食事していこうよニコラス」
「っておいおい。はしゃぎすぎるなよ、シキ!」
 水着を着用してのランチはなんて開放感なのだろうと二人は笑う。
「ニコラスは何食べる?」
「俺はそだなぁ。ローストチキンのローズマリーソースと」
「じゃあ私、子羊グリルのバジルソースとー……お酒飲んでいい?」
 ブッフェを前に、バーカウンターを指差すシキ。
「あ? そりゃ酒くらい構わしねぇがよ。昼間っから酔い潰れるんじゃねぇぜ?」
 ソーセージとチーズの盛り合わせ。酒とシャーベット。
 じゅわりと溢れる肉汁に、シキの頬がついついほころぶ。
「付き合ってくれてありがと、私の友達!」
「そりゃこっちのセリフだぜ、俺の友達。楽しい時間をありがとうよ」

「うわー、流石にお昼時は混雑してるね!」
 アリスを連れたミルキィが感嘆した。
「あ、アリスちゃんあそこの席あいてるからそこに座ろう♪」
 沢山並ぶ料理を前に、どれにしようかまよってしまう。
「よーし、ここは!」
 ミルキィはカレーのスプーンをぱくり。スパイシーに煮込まれたカレーが夏にぴったり。
「……おいしい」
 ジェノベーゼのグリニッシュな香りに、アリスがくすぐられる。
 それから、交換しあいっこは欠かせない。
 二人で分け合って食べれば美味しさも楽しさも二倍。
「やっぱり女の子とのでーとも……素敵……一緒に遊んでくれて……ありがと……!」
 あとはデザート。シャーベットにシフォンケーキ。それから紅茶だ。

(ほむらちゃんがいると聞いて駆けつけたはいいけど)
 彼方は水着を借りてその上に浴衣を身に纏う。
「アイドルとしてちょっとだけ歌も歌うね!」
 カフェの前で息を吸い込んだ彼方は、自分の歌声だけで周りの人を魅了した。
 夏らしい選曲。ノリが良いものカワイイ曲。
「すごい」
 パチパチと手を叩くほむらに彼方は頬を染める。
 ほむらが聞いてくれるなら、もっと情熱的に歌うことが出来る――
 歌声は焔の耳にも届いた。視線を上げればほむらの姿が見える。
「あれ? あそこにいるのって……ちょっと雰囲気が違う気がするけど、そうだよね? おーい! ほむらちゃーん!」
「あ、焔さん、ども。ダブルになりましたね(?)」
「やっぱりそうだ! 前と随分感じが違うから一瞬わからなかったよ! 水着とってもかっこいいね! 凄く似合ってるよ!」
「え、あ。その……ありがとうございます」
 カフェの前に居るということはこれからランチだろうか。
「もしかしてこれからご飯? だったら一緒に食べようよ!」
 焔とほむらは共にランチを頂く。並べられた料理はどれも美味しそうで。
「一口ちょうだい! あーん!」
「えっ……」
 何だか逃げられない雰囲気を察したほむらは、さっと焔の口の中に料理を入れる。
「お返しにこっちも一口あげる! ほら、あーんってして!」
「いや、それは……」
 けれど、観念したように口を大きく開けたほむら。
「……おいしい」

●
 太陽が徐々に傾き――盛夏の午後。
 気温は予報を越えて三十八度を差している。

「す、すごい、ところですよ、ね。色んなプールがあって……キラキラしてて」
「うん、一杯あるし、迷っちゃうけど、どこに行く?」
 ほわほわと目を輝かせるメイは、ウォータースライダーを指さした。
「同感!」
 浮き輪に入って、いざ。
「めぇ……!!」
「わわわ!」
 片手はアルテナと手を繋ぎ、もう片方の手は浮き輪をしっかりと掴んで滑り降りる。
「す、凄まじかった……で、でも、クセになります、ね」
 ふらふらと目を回す二人。
 今度はハートプールで記念撮影。緑とピンク、二人の水着が映える。
 バランスを崩さないように寄り添って、ポーズをキメ!
 光と影、燦々とレンズフレアのエモーションが映える。

「ねえマリィ、私、あれに乗りたいですわー!」
 ヴァレーリヤが指差す先もまた、大人気ウォータースライダー。
「君が泳げないのは知ってたから、私もちょっと不安だったけれど、楽しんでくれてるなら嬉しい」
「ふっふー! 私にも泳げないけどと思っていた時期がありました。でも、いざ来てみたらとっても楽しいですわね!誘ってくれて有難う、マリィ!」
 浮き輪を嵌めたままくるくると回るヴァレーリヤが、あまりに可愛くて。
「良いですこと、絶対に離さないで頂戴ね! 溺れたら一巻の終わりですのよ、私!」
「勿論さ! 何があっても離さないよ! 任せておくれ!」
 彼女が見せる不安で楽しげな表情を愛おしく想うマリア。
 滑り出した浮き輪は出口でポンと弾んで――
「アァァア――!?」
 プールの底に沈んでいくヴァレーリヤをマリアは慌てて掴まえる。
「だ、大丈夫かい?」
「し、死ぬかと思いましたわ……でも、楽しかったですわね?」
 ぜぃぜぃと荒い息を吐きながら、それでもマリアに笑顔を向ける、この尊みよ。
「楽しんでくれたなら良かった!」
 ひとしきり楽しんだあとは、腹ごしらえだろうか。焼きそばとフランクフルトを求めいざ。

「あー!! なんか貴女どこかで見たことあります!」
 ほむらを指差してぴょんぴょん跳ねるしにゃこ。さっそく腕を組む。
「わ、わわ、わぁー、えああ」
「どこかで会いませんでした?いやナンパとかじゃあないです! ほんとに会った事ありません? しにゃの顔覚えてないです?」
「あー、わたし人の顔、覚えないタイプで、そのって、その空気感! ひめにゃこさん!?」
「こっちでも覚えてってください! しにゃこです! ヨロシクネ!」
「え、あ。はい」
「げぇっへっへ、お姉さん可愛いですねぇ! しにゃと遊びましょうよー。あのウォータースライダーで一緒に流されましょうよぉ~」
「あ、あー、えと、さっきから無理めになんか当たってるっていうか、わたし魂がおっさんなので、おわ」
 よろめき、そのまま流れるプールに落ちた二人。流され遠ざかるしにゃこが手を振る。
「あー!! ま、また遊びましょうねー!! 約束ですよー!」

 アーマデルのチャイナ風の水着から太股がチラチラと見え隠れ。
(それはアレか、誘っているのか!?)
 弾正が唇を引き結ぶ。
(……いや、落ち着け俺よ。心頭滅却すれば火もまた涼し。スリットもまた然り……という訳にはいきそうにないな! やっぱりセクシーだ畜生ッ!)
 弾正の心の叫びにアーマデルは不思議そうに首を傾げた。
「弾正、泳ぎを教えてくれ。一応、浮いて移動するのは辛うじて出来るが」
 引き締まった筋肉と体脂肪の関係でアーマデルは水に浮きにくい。
「分かった」
 一メートル程の竹筒を取り出した弾正はそのままそれを加えて水中に潜る。
 その水から出ている尖端にアーマデルは指を入れた。
「ぐぉっ、ゲフ!? な、何故塞いだアーマデル!」
「隠密じゃなくてな……それが水面から突き出してたら怪しいのでは?」
 忍者は水の上を歩くものだと聞いたがと弾正を見つめるアーマデル。腹筋割れてるな、なんて観察しながら存外にプールを楽しんでいるのだ。

 照りつける太陽にミディーセラは手をかざす。
 ブルーキュラソーを手にするアーリアと二人、大きな浮き輪でのんびり浮かぶ、リゾート日和。
 ――が。この暑さはさすがに絶好調すぎやしないだろうか。
 何だか妙に揺れているような気もするし。おかしい何かがおかしい。
 ぐったりと顔を真っ赤にしているミディーセラにアーリアはビックリして額に手を当てる。
 必死に浮き輪で泳ぎ、プールから引き上げパラソルの下に寝かせた。
 大急ぎでドリンクを持ってミディーセラの元へ引き返し、膝枕と濡らしたタオルを額に乗せる。
 そっとドリンクを口元へ当てれば、こくりと飲み込む音が響いた。
 口の端から零れた雫を掬い上げ、冷たい手を頬に当てる。
 涼しい場所で、ゆっくりと休まねば。
 それに――心配ではあるけれど。
「何か嬉しそうじゃありませんこと?」
「んふふ。何でもないわぁ。もう少しゆっくり休みましょ」
 弱った姿を見られる特権と悦びについては、秘密だぞ。
 そんな二人の様子を、海へ沈む夕陽が赤々と照らした。

●
 日は海の向こうへすっかり沈み――宵。
 プールは色とりどりのネオンカラーが水面に揺蕩い、煌めいていた。
「私、ナイトプールに来るのって初めて!」
 そう、映(ば)えるやつだ。
 アレクシアは未散に笑顔を向ける。
「……場違いじゃ、ないでしょうか?」
「大丈夫だよ! 気にせずに、目一杯楽しんでいこう!」
 こくりと頷いた未散はじゃあと大きな貝殻を指差した。
「ぼく、ぼく、あれに乗ってみとう御座います」
「良いね! 行こう!」
 意外とバランスを取るのが難しい浮き輪に悪戦苦闘する二人。
「未散君は大丈夫?」
「はい……あ、アレクシアさま!」
「うわわっ!?」
 未散はアレクシアが浮き輪の上から手を滑らせてプールに落ちて行くのに咄嗟に手を伸ばし、自分も浮き輪の上からするんと転げ落ちる。
「あはっ! 落ちちゃった」
「えへへ、アレクシアさま一枚お願いします! 水も滴る何とやら、です!」
 二人で微笑み合うのを記念に残し。

「ライトに照らされた水面、何ともゴージャスでエレガントですわね!」
 タントとお揃いの水着を纏ったジェックは、夜のプールを彩るライトにキラキラと照らされていた。
 二人乗りの浮き輪に乗り込もうとジェックが手を掛けるけれど。
「あ、あれ、意外と浮き輪にのぼるの難しくない? 手が滑るんだけど……!」
「ほっ、んぬっ! た、確かに昇るのが意外と大変……ちょやっ!」
 ジェックが悪戦苦闘する隣、タントは――
「秘技! ローリング昇りですわ!」
「あれっもうのぼれたの!? す、すごい……」
「さぁジェック様お手を拝借……あ、あわわ!? 落ちますわ落ちますわ~!?」
 楽しげにはしゃぐ声が夜空に溶ける。
 見つめ合い、ひとしきり笑い合って。
 きらきらとした光に包まれた二人は寄り添い、それから空を見上げれば。
「まあ!」
「わ……!」
 満天の星空に、大きな月が輝いていた。

「ふぉぉぉぉぉぉ!? これが噂のナイトプールですか!!」
 メイの声がプールに反響する。浮き輪に浮かびサングラスを掛ければメイも大人の雰囲気を醸し出す。きっと周りの皆もメイの大人っぽさに吃驚しているはず。
「むふー、すごく都会な事をしてるのですよ」
 しかし。
「…………じっとしてるの飽きてきたですね」
 じっとしているなんて勿体ない。やっぱりプールに来たからには泳がなければ!
「それそれー!! キャッキャッ!!」
 シティーガールがレンズに映える。おとな。おとな……。

 シフォリィとクロバは夜のプールサイドでカクテルを手にのんびりと過ごす。
「フッ、泳ぎが”苦手”にまで成長したとは言えまだまだ縁は遠い話さ」
「あ、私お酒おかわりしてきますね」
 美しいシフォリィに引き寄せられるように男どもがやってくるのをクロバは見逃さない。
 彼女に纏わり付くハエの肩を掴んだクロバ。
「夏の海辺で美人に声を掛ける時は気を付けた方がいい。……もしかしたら人の女を口説く奴を刈る死神が付いているかも」
「ヒィ!」
 クロバに肩を掴まれ飛び上がる男共は、一目散に逃げて行く。
「やれやれ、”ようやくの休み”を邪魔されたくはない」
「酔っ払っちゃいけませんよ? 酔っちゃったら何をするかわかったものじゃないですからね」
「いやいや、酔ってないれすよ~ふへへ~」
「でもさっき私を助けようと現れた時はかっこよかったですよ!」
 頬染めるシフォリィは照れ隠しのように声を張り上げた。

 夜のプールは地上にも星空が瞬き宝石箱のようだった。
「やっぱきれいだな~ドキドキしちゃうよ!」
 アリアは後ろから抱きかかえてくれるBinahに身体を預ける。
 この胸の奥で疼く感覚は夜景のせいなのだろうか。
 浮き輪から足を出して考えてみるけれど、答えは出なかった。
「アリア君、お誘いありがとうね。アリア君と一緒にいるのは飽きないし楽しい」
 Binahは酔った勢いという訳でもなく、ふいに言葉を紡ぐ。
「好きだよ、アリア君」
 その表情は見えないけれど、きっと――

「ふう……そこそこ満足じゃ」
 朝から延々と泳いでいたクレマァダは水から顔を出してフェルディンを見つめた。
「はぁ、はぁ……ご満足頂けたようで、何よりです……」
 肩で息をする青年はそれでも笑顔で彼女に応じる。
 水の中では到底適わないけれど、精一杯ついていくと決めたから。
 彼の周りを回るクレマァダは彼を自分が翻弄しているのではないかと複雑な思いを抱く。
「……我と居られて楽しかった?」
 悪戯ぽく首を傾げるクレマァダ。
「はい。とても楽しかったですし……嬉しかったですよ」
 フェルディンはクレマァダに耳元で囁く。誰かに聞かれるのは、気恥ずかしいから。

●
 徐々に深まる夜。
 時刻は八時を迎えようとしている。

 この八月でQZは二十歳になる。
 まろうと付き合い始めて三年目。
 ようやく大人になって最愛の人とお酒を飲みかわせるようになるのだと。
 二人が寄り添うこの夜は、なんだか予行演習するみたいに。
「ふわふわしてしまうのは、アルコールのせいでしょうか。浮き輪が優しく揺れるせい?」
 夏の日差しとは違い夜のライトは涼やかで、グラスを傾けるQZの横顔は美しく、大人びて見えた。
「そう、もうすぐ一緒にお酒も飲めるようになるのですね」
 見つめ合う二人の視線。お互いの姿が瞳に焼き付いて離れない。
 そっと唇を重ねれば、どんと重い音が胸の中心に響いた。
「一発目の花火、見逃しちゃったね」
「ふふ……つい、QZさまに見とれてしまいました」
 お互い笑い合いながら、水面に揺れるまま身を任せ――

 それにしても去年の水着が着られるとは、鍛え方が足りなかっただろうかとアオイは自分の腹を擦る。
「まあとりあえず、何するにしてもその前に飯にでもすっか」
「料理の質も良さそうだし、楽しみだね」
 リウィルディアは驚きと共に特大海老のグリルと温野菜を迎え入れた。
「……びっくりしたね。本当に大きい。こんなに大きい海老があるものなんだ」
 ぱくりと一口食めばぷりぷりとした歯ごたえが口の中いっぱいに広がる。
 アオイはスパイシーチキントマトのカレーライスだ。
「んー、こっちも辛さとトマトの酸味のバランスがいい感じ」
「ふふっ、ほら、アオイも。あーんだよ」
 リウィルディアがひとつまみした海老をアオイの口に持ってくる。
「普段こういうのあまり食べないだろう? この機会に慣れておこう?」
「むぐ……確かに結構うまいな……それじゃこっちもお返し、これもなかなか美味いよ」
 美味しい料理に合う最高の隠し味は、なんといっても二人でシェアすることなのだ。

 水着に馴染みが無いと、違和感にビキニの紐を直すアリシス。
 対して目の前のアレフは堂に入ったもので。
「今年の水着もよく似合って居るよ、アリシス。他の男には見せたくないくらいには」
「……随分と慣れていらっしゃるのですね?」
 隣のバーからカクテルを持ち込んだアレフにアリシスは視線を向ける。
「聞く限りでは、一応は人間社会で生きてきた私よりも余程こういうものには縁のない生き方をして来られた筈ですが……」
「偶にはこう言った場所で時間を過ごすのも悪くは無いだろう?」
 肩を竦めるアレフは夜空を見上げる。
「何時も居る教会も嫌いでは無いが、偶には環境を変えるのも良い事だ。もう少しもすれば花火も上がるらしい……ほら」
 アレフが指差す方向へ顔を上げれば、花火がドンと咲いた。
「綺麗な物だ。夜空に広がる花火の景色、夏の風物詩という奴だな」
「見事なものです。此処までのものは、この世界では練達ならではでしょうか」
「勿論、君には適わないが」
「ふふふ、お上手ですね」
 けれど悪く無いとアリシスはカクテルを傾けた。

 ワルツはずっと緊張していた。
 夏のリゾート、それも水着必須。
 昼から夜まで、どこを見渡しても水着を着た人ばかり。即興で適当なものを借りても似合わないかもしれない。ならば――そう、この準備をしていたのだ。

 ――†昏き闇の眷属†降臨!

「わわわ!?」
 突如現れた暗い影に、ほむらが慌てふためく。
「私よ!」
 ズタ袋を破いて顔をだしたワルツ。
「ほむらちゃんかわいい!!! 素敵!!! 大胆!!! 似合ってる!!!
「え、えええ、あ、ありがとうございます。めっちゃびっくりしたっていうか。あー、あの、折角なので飲みません? 一人だとちょっとつらみ深いっていうか、さすがに……」
「ひゅぇっ!」
 思わぬお誘い。
 フロートの上、ちびちびと二人で飲むフローズンダイキリは、とても甘酸っぱくて。

●
「あ~~あづい……やっぱ水遊びは良いわぁ」
 コルネリアは黒いビキニを来てバルツァーレク(ロゼ)を煽る。
「フフ……優雅な大人の時間だねぇ、コルネリア」
 ストレートのラムを一口飲んではチェイサーをごくごくと飲むウィズィに眉を寄せるコルネリア。
「優雅……だけどアンタダメなら無理すんじゃないわよ?」
「……いいの! こんな名前の酒には負けられないの!」
 ぐいと煽ったウィズィは酔った振りでコルネリアに身を寄せ部屋の鍵をちらつかせる。
「ダブルベッドの部屋、もう押さえてあるんだけど」
「用意周到なこと……良いわよ、今夜は寝かさないんだから」
 大人な雰囲気を漂わせ。
 いざ特別な夜、背徳の宴――カロリーガン無視お菓子パーリーの開催だ!

「今回はゆっくりと、初心者向けのお酒をご紹介しようと思いまして」
 静かな酒へと誘う。
「え、嬉しい、いいの?」
「もちろんです」
 定番のカルアミルクから、飲みやすさではカシスウーロンもまた良し。
「これ、おいしい。なんだろ」
「紅茶のリキュールが、自然とカシスと烏龍茶の味を繋げていますね。腕の立つバーテンダーの仕事だ」
「次ものみたーい、ねぇ、いいでしょ?」
「おっと。ならばそうですね……レディキラーは飲みやすい割に酔いやすい」
「ん……これ、すっごく美味しーい。ねぇ……もっと、教えて」
「これはこれは……悪い男には気をつけてくださいね」
「なあに、悪い男って。どんな人なの? ねぇ」
「アルテナさん?」
 寛治がアルテナに振り向けば、ひらりと妖精の鱗粉が視界に入り込む。
「げぇ! ストレリチア!」
「新田さん! 発見したの、バーにかちこみぶっこんでくの!!」

 ロロンはプールサイドでお酒を試していた。
 酔えはしないけれど、カラフルなカクテルには興味があったのだ。
 スライム体であるロロンは自分の身体が透けるのを利用してどんな飲み合わせにすれば、綺麗な色になるか実験のように遊んで居た。
「ロロンさんなの……虹色になりたいの?」
 頬を薄桃に染めたストレリチアがふらふらと飛んでくる。
「簡単になれる方法が、今なら、ある、の」
「え、本当かい?」
 ストレリチアはしゃっくりしながら、ロロンへ顔を近づける。
「まってくれないかなストレリチアくん、ボクはバケツでもエチケット袋でもな――」

 浄化中。
 ――ナイトプールの映像をお楽しみ下さい。

「サーフィンつーのを初めてやったが、中々面白ぇもんだな」
 興が乗ってサーフィンを何時間もやっていた幻介がふとプールサイドを見遣るとストレリチアとウルズが見えた。
「およげないアタシをお、ほおっておいてぇ~」
「はー、ひどい男もいるの! ここはもうズイっと行くの!」
 何本も転がる酒瓶。幻介は見つからない様にそーっと横を通り抜けようとするが。
 酒瓶に躓いて「あ゛っ」と声を上げてしまう。
「……よ、よおストレリチア。奇遇だな、こんな所でよ……じゃ、俺はこの辺で……」
 逃げようとする幻介をウルズが掴まえて。
「あたし酔ってるっす。酔ってるんだから、ぎゅって抱きついても……お酒のせいにしていいっすよね?」
「待て待て待て!? 何がどうなって!?」
 幻介は必死に首を振るも、ウルズの腕が背に回り――

 ――夏の夜は深まる。
 ゆったりと流れるジャズに身を任せれば、グラスを転げる氷が澄んだ音を重ねた。
 飲み交わすのは、いつもの読めない顔。
「旦那は、お酒強いんね。酔うたとこ見た事ないよって……」
 蜻蛉は細いグラスを指で摘まんで隣の十夜に視線を流す。
「引き際を心得てるってだけの話さね。俺まで酔い潰れたら、嬢ちゃんを送ってやれるやつがいなくなっちまうだろ?」
 蜻蛉が飲んでいるのは甘酸っぱい白ワインのブラックキャット。
 黒猫だなんて、頼まずにはいられなかったのだけれど――
「うちは、洋酒には弱いみたいで……でも、美味しいから好きよ」
 色づく赤い頬。蜻蛉の瞼は次第に落ち。
 ゆるりとしなだれかかる蜻蛉を、十夜はそっと支えるように肩を貸す。
 彼女の髪から柔らかな匂いが香る。暖かさは十夜の中に広がって。
(――肩、抱いてはくれへんのよね)
 けれど一年前よりは近づいたと、言葉は飲み込み。
 でも。本当は。
「……こうやって、お前さんに触れる口実を作るため
 ――なんて言ったら、またずるいって怒るんだろうな」
 薄目越しに映るのは、からりと笑う顔だった。

 バーカウンターに腰掛けるラダとスティーブンの、浴衣姿が良く映える。
「昼間の賑やかさが嘘のように静かな夜だ」
「そうだね。よし、カンパーイ……お、カクテルも色々試してみるかい?」
 手始めにスパークリングワインをよく冷やしたものを傾けるスティーブン。
 ラダは彼が勧めてくる酒を訝しげに一口流して、大丈夫だと思ったものをチビリと飲み干す。
 騙されやすい酒を挟んでくる巧妙な罠に警戒しているラダをスティーブンはケラケラと笑った。
「飲み過ぎたらちゃーんと寝床まで運んどくぜ。慣れたもんさ」
「水だけを信じるよ。先日の二の舞は御免だね。ところでナイトロジェンというのは?」
「いいねぇ。ジェラートみたいで美味いぜ?」
 美味しく頂ける割に度数が高いのだけれど、可愛いから黙っておこう。
 そんな風に想いながら、『こわいひと』はグラスを傾け。

 ――今夜も、夏が過ぎて行く。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 夏のリゾートでした。
 のんびりとした日を、お楽しみ頂ければ幸いです。
 それではまた、みなさんとのご縁を願って。pipiでした。

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