PandoraPartyProject

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鋼の咆哮

「エーデルガルト大佐にけーれー、ッス!」
 魔王城大広間。ステージに並ぶそうそうたる顔ぶれ。
 なんとも気の抜けるトーンで『合理的じゃない』佐藤 美咲(p3p009818)が言うと、近衛兵として整列したフロールリジ騎士団がまず最初に、続いてオーリー・バイエルンやエッボといった特務派の代表として選抜された五人の軍官。更には軍務派から『ローレットに寄せたい』という感情的な理由から選抜されたセレナ・シャヴィー曹長ら三名が慣れない様子で敬礼する。
 並びの比率から、『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)――もとい『Stahl gebrüll作戦総指揮官』エーデルガルト・フロールリジ大佐がどのような采配を行ったのか。その断片が見て取れる。
「なるほど――大佐殿はこの作戦、特務派に華を持たせるつもりですか」
 『群鱗』只野・黒子(p3p008597)が呟くと、周りの仲間達が『どういうこと?』と顔を向けた。
 黒子はあえて黙り、代わりに説明を始めたのは『黒鎖の傭兵』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)だった。
「鉄帝軍特務派の元々の目的はアーカーシュを使って国を豊かにすることだ。
 凍らない大地。未知の作物や動物。食糧事情の抜本的解決だな。
 けれどパトリック大佐の反転によって、自体が急変したんだ。
 魔種となった大佐はアーカーシュを乗っ取り、自らを王に君臨し他を暴力によって排斥するという行動に出てしまった。魔種の本能に沿うなら、このまま鉄帝国の破壊もありうるだろう」
「それと今回の采配にどう関係するんですか?」
 『ドラネコ配達便の恩返し』ユーフォニー(p3p010323)が頭からお花をぽこんと出して振り返った。花が急に『ムシャア!』とか言い出したのでビクッとする黒子。
「あっわかりました! トクムハの人達を多くすることでバランスをとったのですね!」
 冷気精霊のフラぺぺがぽんと手を叩くと、隣で熱気精霊のポポッカが『あつくなり過ぎたら冷たくするのは常識よね』と付け加える。
 なんか急に解りやすい話になったようで、『輝奪のヘリオドール』マリエッタ・エーレイン(p3p010534)はなるほどーと唸った。
「つまり、今回は特務派の人達に活躍の機会をあたえると……けど活躍できるのでしょうか」
「ああ、『できた』みたいだぞ。この前早速魔王城の会議室を使って話していた」
 マカライトが見ろと指をさす。

「まずは作戦を説明する。まずは特務派がなしとげたぞ。
 アーカーシュ内部にて姿をくらませていた魔種パトリックの居場所を、特務派たちが解明。発見した!
 これより精鋭部隊を組織し襲撃をしかける! 次に――」
 ローレットらしく分担しようではないかと手を水平にかざしたエッダによって、『陰陽鍛冶師』天目 錬(p3p008364)『拵え鋼』リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)たちが前に出た。
「先日手に入れた魔王城こと『エピトゥシ城』の改築および改造が完了した。アーカーシュが完全に操られたとしても、スタンドアローン化したエピトゥシ城を相手は操作できない。これを作戦拠点としてアーカーシュへ攻撃する」
「非戦闘員と負傷者の収容と、その防衛もこのお城で行います! 医療班と技術スタッフの皆さんは宜しくおねがいします!」
 次に出てきたのは『蒼空』ルクト・ナード(p3p007354)『航空猟兵』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)たちだ。
「敵の兵力は戦闘用ゴーレムである『ハイアームズ』かその発展機。そして支配下においた古代獣たちなのですよ! 時に前者は空中での戦闘が予想されるのですよ! 航空猟兵の出番なのですよ!」
「飛行戦闘に秀でた者はこの作戦に加わってもらいたい。ワイバーンも充分な数を揃えている。必要なら空戦班に連絡するように。もし空戦になれていなくても安心しろ」
 ルクトがパチンと指を鳴らすと、彼女の背後にビュンと数体の飛行戦闘特化型ハイアームズ(通称『ルクトアームズ』)が集合した。
「我々とこのゴーレムがサポートする。魔王城の空の守りを固め、更には相手の空中戦力を壊滅させる」
「戦闘が行われるのは主に結界の外側よ。直接城に集中攻撃をうけなければ、今回修復した結界とピンポイントバリアで防げる……いいえ、防ぎきってみせるわ」
 『夜守の魔女』セレナ・夜月(p3p010688)が前に出ると、魔王城の結界へ新たに施した防御機構の魔術式を翳して見せた。
「飯の心配はいらねえぞ。いまや魔王城はセントラルキッチン方式! 最新調理機と古代遺跡の道具であらゆる料理を効率的に作れる仕組みができあがってる」
 『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)が大鍋を翳してぶははと笑ってみせると、『闇之雲』武器商人(p3p001107)がその横に並んだ。
 後ろにはなんかまあるい軽配達特化型ゴーレムが並び、ボディにはSAYO EATSのロゴがペイントされている。
「魔王城全体。場合によっては最前線まで食事を届けてみせるからねぇ。ネットワークの広い『サヨナキドリ商店街』の面目躍如だねぇ、ヒヒヒ!」
「もし魔王城に侵入されても心配はないっす。大量に仕掛けた罠で足止めして、ゴーレム戦力でカンペキに撃退してみせるっす!」
 『逆式風水』アルヤン 不連続面(p3p009220)がぶいーんと誇らしげに扇風機を回転させる。
 もうお気づきかもしれないが、この作戦の立案背景にはいくつもの特化型ゴーレムが加わっていた。
 運搬、戦闘、偵察、移動壁や固定砲台といった特殊なものにいたるまで――アーカーシュに存在するゴーレム製造技術がいくつもの世界の技術と知識によって先鋭化し、あろうことか量産化まで成功させてしまったのだ。
 『紅蓮の魔女』ジュリエット・ラヴェニュー(p3p009195)はその技術主任として八面六臂の活躍をみせ、そしていま最前線に立とうとしている。
「相手にハイアームズがいるけれど、こちらにも量産化したヒンメルゴーレムがあるわ。
 それだけじゃない。これまで皆は、アーカーシュという島の上で沢山の出会いや発見をしてきたわよね。
 可愛い生物を見つけたり、綺麗な花を見つけたり、美しい景色や建物、そしてはるか永き年月にわたってこの島を維持し続けてきたゴーレムたち。
 今、それらを結集させる時が来たわ。パトリックが形だけの王様になったというなら、この島で得た全部をつかって革命をおこすまでよ!」
「得たものならもう一つあるぜ」
 『天駆ける神算鬼謀』天之空・ミーナ(p3p005003)『愛知らば』グリーフ・ロス(p3p008615)が並び、前へ出る。
「私達はエーデルガルト遺跡から『紅冠の矢』を発見しました」
「それも二つ、だ。こいつがアーカーシュの切り札になりえる兵器の『弾』だということは察しがついてる。こいつを奪われないように守るだけで、相手の手数を封じることができるってわけだ」
「エーデルガルト遺跡の防衛設備は必要充分。完璧に守ってみせるわ」
 『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)はそう言って屋内防衛用にカスタムされたゴーレムをコツンとノックした。
 そして……『神翼の勇者』ジェック・アーロン(p3p004755)
 彼女はいつかの幻想王都で開かれた勇者表彰式のように、舞台に立っていた。
 傍らには『黒冠』セレンディとハイペリオン(p3n000211)がついている。
 ジェックにエーデルガルト大佐より託されたのは『ある任務』だ。先ほど話にでた『紅冠の矢』。二つが手中にあるとはいえ、少なくとも一つはパトリックの手にあるだろうとされていた。どのような力が行使されるかわからない。セレンディですらそれは未知であるという。
 であるならば、相手の必殺の一撃を対応できるだけの力と人脈を持った勇者。つまりは極少数精鋭に任せなければならないのだ。
「大丈夫ですか? ジェックさん……いいえ、『神翼の勇者』」
「うん」
 ジェックは小さく述べ、そしてハイペリオンを見た。
「また、君の翼を貸してねハイペリオン。そしてセレンディ」
 次にセレンディを見て、手を差し伸べる。
「今度は、一緒に戦おう」
「……はい」
 その手を握るセレンディ。
 戦いの火蓋は、切って落とされようとしている。
 最後にエーデルガルト大佐にマイクが戻り、彼女は力強く叫んだ。
「始めるぞ。作戦名――鋼の咆哮(Stahl gebrüll)!」

※アーカーシュにて『鋼の咆哮(Stahl gebrüll)』作戦が決行されました!
 魔王城を拠点とし、アーカーシュを支配するパトリックとの戦いに備えて下さい!


※シレンツィオにて、マール・ディーネーの導きにより、竜宮城へ向かいます!
 ですが、竜宮城は敵に襲撃されているようです……救援に向かってください!
※幻想では、アーベントロート動乱に変化があった模様です!

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