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シナリオ詳細

<終焉のクロニクル>凶星の落ちた日

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●世界を救う物語
 話は実にシンプルだ。
 滅びを齎す怪物が現れた。
 倒さなければ、世界が破壊されるのだ。

●希望の少女曰く
「…………!」
 遠く世界の果て、プーレルジールの一角で、一人の少女が顔をあげた。
 彼女の名はステラ。滅びを見守る少女。
 一度は世界を滅ぼそうとし、イレギュラーズたちのパンドラを喰らったことでその性質を反転させてしまった少女。
 彼女は知っていた。
 世界を滅ぼすひとつの方法を。
 とてもシンプルで、強大な、それでいて不可逆なそれの名を。
「『大いなるもの』が……目覚める……!」

●絶望の少女曰く
「もうすぐ目覚めるわ。みんな、準備はいい?」
 遠く世界の果て、『影の領域』にて、一人の少女が顔をあげた。
 彼女の名もまた、ステラ。滅びを見守る少女。
 世界を滅ぼそうとし、星界獣たちを次々に目覚めさせ世界中へと降り注がせた少女。
 彼女は知っていた。
 世界を滅ぼすひとつの方法を。
 とてもシンプルで、強大な、それでいて不可逆なそれの名を。
「『大いなるもの』が……目覚める……」

●大いなるもの
 凶星が煌めき、それが強く燃えた夜。
 『それ』は天より降ってきた。
 地面に突き刺さる衝撃と爆発。周囲の星界獣すべてが吹き飛ぶ中、それはまるで痛みなど感じていないかのように悠然と頭をあげた。
 見上げるほどの巨大な体躯。常人を容易く切り刻むような爪。そして竜のごとき牙。
 あまりにも巨大なそれは、史上すべての星界獣と比較にならぬほどの巨大さを持ち、世界を滅ぼせるだけの純粋なパワーを持っていた。
 それが大地に降ることは、すなわち世界の滅びを意味している。
 ゆえに名前などなく、ただ一言――『大いなるもの』と呼ばれていた。
 大量に集まる星界獣たちの中で、ひときわ巨大なそれは咆哮をあげ、天空を睨むように頭をあげる。
 それを見下ろしていたのは、空中に浮遊するステラであった。
「…………」
 大いなるものの召喚は、それ即ち世界の滅びを意味している。
 やり方はシンプルだ。『大いなるもの』を影の領域から覇竜領域のワームホールを使って解き放ち、覇竜領域を皮切りに人類圏のすべてを蹂躙するのだ。
 『大いなるもの』が持つ圧倒的なパワーはすべてを破壊し、すべてを喰らい、すべてを終わらせるだろう。
 誰の目からも分かるほどの滅びを人類へともたらし、この世界を終わらせてくれるだろう。
「そう、すべてが終わる。もう誰も、生まれてこないようにする……」
 ステラはどこか悲しそうに地上を、星界獣たちで埋まった地獄のような地上の風景を見つめて首を振った。
「この世界は悲しみに満ちているわ。
 貴族に搾取されて飢えていく貴族たち。
 強者に虐げられて寒さに震える弱者たち。
 小さな罪で腕を落とされ涙する罪人たち。
 金に換えられ売られていく子供たち。
 穴蔵へ閉じこもり震えて暮らす亜竜種たち。
 みんなみんな、かわいそう。こんな世界に生まれてこなければ、苦しむことなんてなかったのに。
 けれどもう大丈夫。わたしがすべて終わらせるわ。
 悲しいことも、苦しいことも、これで最後。
 それがわたしから世界に贈る、餞別よ」
 囁きかけても、しかし答えは返ってこない。
 大いなるものは黙ったまま空を見上げ、周囲に戻ってきた星界獣たちもただ沈黙するのみだ。
「…………」
 そう、沈黙のみ。
 ここにはもう、ステラはある意味で一人きりになってしまった。
 そうなったときに思い出すのだ。
 自分ではない自分の記憶を。
 滅びを見守る端末として繋がっている、『プーレルジールのステラ』の記憶を。
 蒼い薔薇を貰った。素敵な花束や、飴細工の花も貰った。
 『彼女』は言うのだ。この世界は素晴らしいと。この世界は美しいと。
 素敵で、優しくて、楽しくて、わくわくすることでいっぱいだと。
 だからこの世界を、救ってほしいのだと。
「ちがうわ。そんなはずない」
 ステラは見てきたのだ。この世界の醜さを。苦しさを。絶望の数々を。
 生まれてこなければよかった。そんな、最悪な世界なのだと信じている。
「この世界は滅ぼすべきなのよ。あなただってそう思うでしょう?」
 大いなるものへと語りかける。すると、大いなるものはグルルと喉を鳴らして振り返った。ただそれだけだ。
 答えてくれるひとはどこにもいない。
 この暗くて寂しくて、どこか冷たい影の領域に、まるで自分がひとりぼっちになったような感覚におそわれて、ステラは自らの膝を抱いて丸くなった。
「大丈夫。大丈夫よ。わたしはやり遂げてみせるから。
 この世界を、ちゃんと滅ぼしてみせるから」
 それが、この世界のためなのだから。

●世界を賭けた決戦
「そう……ついに、この世界の『ステラ』は滅びを実行に移したんだね」
 静かに語るのは、アルム・カンフローレル(p3p007874)。
 自分で淹れたコーヒーをマグカップに移すと、ちびちびと啜りながら会議室の棚に背を預ける。
 ここは覇竜領域の小集落。
 隠れ集落アスタの民を避難させ、逃げ込んだ先である。
 いまもアスタの上空には影の領域へと続くワームホールが開き、危険な状態は続いているのだろう。それを思えば、この環境は天国のようだ。
 アルムに対して頷いたのはローレットに長年貢献してきた情報屋、『黒猫の』ショウ(p3n000005)だ。
「そうだね。それまで観測されていた凶星が燃え、地上へと落下したという報告が上がってる。まず間違い無く、言い伝えにある『大いなるもの』だ」
 凶星輝く時、大いなるものきたれり。
 覇竜の古い文献に存在する伝説の存在だ。もし地上へおりたなら、それは不可避の滅びを齎すという。
 伝説級の怪物がその姿を見せ、その力を奮うのだ。どれだけの被害がでるか想像もつかない。仮に言い伝えが本当だとするならば、誰もかなわないような強大な存在が世界中を蹂躙し尽くし、世界は終わってしまうのだというが……。
「落ちた場所は?」
 鵜来巣 冥夜(p3p008218)が眼鏡の位置を指で直しながら問いかける。
 もし滅びが迫っているのだとしても、冷静さを失うことはない。
 なぜなら自分達はいつだって『それ』に立ち向かってきたのだから。
 前人未踏の地に踏み込み、前代未聞の強敵に挑み、そして成し遂げてきた。その始まりはいつも、こんな冷静な一歩だった。
「前人未踏の危険地帯。『影の領域』だ」
「影の領域……!」
 そのことに誰よりも強く反応したのはユーフォニー(p3p010323)だった。
 ムサシ・セルブライト(p3p010126)がちらりと彼女を見て、頷いて見せる。
 なにせ知っているのだ。ユーフォニーが影の領域というものにどれだけ執着しているのかということを。一時は自分一人だけで影の領域へと踏み込もうとまで考えていたほどだ。
 影の領域と言えば魔種たちの住まう危険極まりない土地だ。踏み入れただけでも身体にさわる。もしそんなことをすれば、ユーフォニーの命だって危うかったことだろう。
「ユーフォニー。君があの場所を目指していたことは知ってる。あのワームホールに目を付けていたことも」
「はい。以前目撃したとき、覇竜領域のアスタ上空に開いたワームホールは人が踏み入れることのできるようなものではありませんでした。少なくとも私の見た限りでは……」
 執着しているというだけあって、ユーフォニーはアスタ上空に開いたワームホールにアナザーアナライズをかけていた。未知の存在ではあるものの、それを漠然と調べることができていたのだ。その結果、どうあっても立ち入りはできない危険な存在だと分かったのだが……。
「それが、できると言ったら……?」
「!?」
 それはユーフォニーの言ったように覇竜領域の端、隠し集落アスタの上空に開いた『影の領域』に通じるワームホールである。
 一見して、それは敵側がこちらに侵攻するためだけのものにも思えたが……。
「あれを、利用できるのカ」
 身を乗り出したのは赤羽・大地(p3p004151)だった。
 一方的な侵攻ルートとしか思っていなかったものが利用できるとなれば、それはこちらから攻め込むという作戦が使えることを意味している。
 上空にあいていることの不便さは多少あるものの、そんなものはワイバーンにでも乗って飛び込んでいけばいい話だ。
 こくりと頷いて見せるショウ。
「だね。ざんげの話によると、生身でマトモに飛び込めばたどり着く前に狂ってしまうかもしれないらしいけれど、パンドラの力でその通路の安全を確保してくれるらしい。
 ま、出たとこ勝負は否めないけれど……ね」
「なるほど、そうなってくると話が変わってくるナ。こちらから攻め込むことができるってわけダ」
「えーっとつまり? その『大いなるもの』がこっちに出てくる前に、攻勢をかけられるってこと?」
 ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)が言うとルナール・グリムゲルデ(p3p002562)が頷いて返した。
「偵察隊の話では、アスタに展開していた星界獣の軍勢は一度ワームホールの向こう側に退いたそうだ。多少は残っているらしいが……まさか突入してくるとまでは思っていなかったのかもな」
 アスタの民を避難させた甲斐があった、とルナールは続ける。
 そこで声をあげたのはアスタの民たち、その代表である巫女アドプレッサであった。
「であれば、ワームホール周辺に展開しているという星界獣たちは私たちが対処しましょうう。話によれば、各国の方々も兵を出して協力してくださるのでしょう?」
 アドプレッサの言うとおり、この乾坤一擲の作戦は全世界が注目し、そして協力している。
 アスタの民とてそれは例外ではないのだろう。
「だが、折角助けた命だ。ここで失うつもりはないぞ?」
「分かっております。危険になれば戦士達を退かせますし、無茶をするつもりはございません。けれど……あそこは元々私達の里。取り返すくらいの気持ちで挑まなくてどうしますか。
 私達が露払いをしますので、影の領域への突入を任せたいのです」
「とはいえ。その『大いなるもの』の戦力は計り知れないのでしょう?」
 そう声をあげたのは、それまでずっと腕組みをして聞いていたヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)だった。
「私達の倒した特殊星界獣ギャラド。そして別働隊が戦ったというドラゴニック。それすらも凌駕する存在となれば……もはや数十人でこなせるミッションとも思えません」
 特殊星界獣と呼ばれる協力な個体が星界獣の中にはいて、その戦力は精鋭たちが束になってかかってやっとというレベルだ。しかし『大いなるもの』に関してはそれどころの話ではない。世界を滅ぼすほどの強敵となれば、数十人が死力を尽くすというレベルの話ではもはやなくなるだろう。
「ああ、その通り。だからかなりの人手がいる」
 イズマ・トーティス(p3p009471)がぎゅっと拳を握って力を込めた。
「それも、大規模な、な……」
「それにその場所には、ステラがいる。この世界のステラが、ね」
 アルムが声をあげると、冥夜もこくりと頷いた。
 彼らはしっかりと覚えているのだ。
 『プーレルジールのステラ』から託された願い事を。
「『あの子を助けてあげて』……か。今度こそ、言葉を届けるチャンスだね」
「ええ、というより、今回をおいて他にはありません」
「ステラさん……」
 メイメイ・ルー(p3p004460)は思い出した。『混沌のステラ』が見せた悲しげな瞳を。
 この世界に絶望し、苦しみと悲しみから救うべく世界を滅ぼすのだという主張を。
「けれど、ステラさんは知っているはずです。わたしたちのことを、『覚えて』いました」
「そうです。そこが、大事なところなんです」
 鏡禍・A・水月(p3p008354)はステラと過ごした思い出を心の中に刻み直しつつ、胸に手を当てた。
 鏡型のチョコレートクッキーを選んで微笑んだ彼女の顔を、グラオクローネにプレゼントした軌跡の欠片を、今でもはっきりと思い出せる。
「『滅びを見守る少女』は世界の端末。端末として記憶は根っこの所で繋がっているようでした。だから、プーレルジールのステラさんの感じた世界の素晴らしさや思い出を、混沌のステラさんも知っているはずなんです」
「そうです。たくさんの『おいしい』を、一緒に経験したのですから」
 ニル(p3p009185)が声をあげ、紅花 牡丹(p3p010983)もまた頷いた。
「オレは一緒にお菓子作りをした。大切な誰かにプレゼントするんだって言ってな。そうなる前に世界が滅んじゃもともこもないぜ」
「ああ。この世界は護る。そして、『混沌のステラ』も助ける。すべてを成し遂げるんだ。オレたちは」
 ファニー(p3p010255)もまた強く頷き、蒼い花束を贈ったあの日のことを思い出す。
「ステラ。知っているはずだ。この世界の素晴らしさを。それを、オレたちが思い出させてやる」
「そして見せ付けるんだ。この世界が滅びないってことを」
 アルムはカップを置くと、ぎゅっと杖を握りしめて歩み出た。
 握った手の温かさを。暖かな微笑みを。自分達は覚えているから。
「だから……君だって笑えるはずなんだ。ステラ。世界の滅びと絶望が邪魔をするなら、それを壊してあげるから」

GMコメント

 ついに最後の戦いが幕を開けました。
 アスタ上空のワームホールを抜け、『大いなるもの』へと戦いを挑みます。
 現場には大量の星界獣が陣取っており、それらを倒しながら戦うことになるでしょう。
 詳細は各章の説明をご参照ください。

●Danger!
 当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。

●『パンドラ』の加護
 このフィールドでは『イクリプス全身』の姿にキャラクターが変化することが可能です。
 影の領域内部に存在するだけでPC当人の『パンドラ』は消費されていきますが、敵に対抗するための非常に強力な力を得ることが可能です。

■■■プレイング書式■■■
 混雑防止のため、プレイングには以下の書式を守るようにしてください。
一行目:【パートタグ】
二行目:【グループタグ】
三行目:実際のプレイング内容
 書式が守られていないとお友達とはぐれたりすることがありますのでくれぐれもご注意ください。

■■■グループタグ■■■
 誰かと一緒に参加したい場合はプレイングの二行目に【】で囲んだグループ名と人数を記載してください。(人数を記載するのは、人数が揃わないうちに描写が完了してしまうのを防ぐためです)
 大きなグループの中で更に小グループを作りたい時は【大チーム名】【小チーム名】といった具合に二つタグを作って並べて記載ください。
※タグによってサーチするので、キャラIDや名前のみを書いてもはぐれてしまうおそれがあります。ご注意ください。
例:【ナントカチーム】3名

  • <終焉のクロニクル>凶星の落ちた日完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別ラリー
  • 難易度VERYHARD
  • 冒険終了日時2024年04月16日 21時10分
  • 章数3章
  • 総採用数331人
  • 参加費50RC

第2章

第2章 第1節

 暖かな光に包まれて、ステラはつい手を伸ばしていた。
「わたしも、なれるのかしら……『旅の仲間』に、あなたたちと、一緒に……」
 いいえ、と首を振る。
 もう正直になるしかない。ずっとずっと、分かっていたことじゃないか。
「なりたい。わたしも、この世界が、本当は――」
 『だいすき』だから。

 世界は確かに悲しみに溢れている。
 苦しみと絶望がいつまでも消えやしない。
 けれど、それを拭う希望の光がここにある。
 ステラは確かに罪に塗れている。
 世界を壊し、滅びそのものを呼び寄せてしまった。
 けれど、それを許す光がここにある。
 だから今なのだ。今しかない。
 ステラは決意を胸に抱いて、その光を受け入れて――。

『許さぬ』

 それは頭の中に直接響く声だった。
 耳に響いたのは巨大な咆哮。
 咆哮をあげたのは、今まさにワームホールへと進んでいた『大いなるもの』。
 滅びの化身にして最強の星界獣。空に光っていた凶星そのもの。
 突然ステラの身体が禍々しい光の球体に包まれたかと思うと、高速で引き寄せられ大いなるものの手へと掴まれた。
 内側から破壊しようと球体を叩くが、びくともしない。
「「ステラ――!」」
 アルム・カンフローレル(p3p007874)が叫び、飛び出そうとする。
 機動力や反応速度に優れた仲間たちもステラを助けるべく飛び出そうと動いた――が、それよりも早く大いなるものは動いていた。
 手にした球体を口元へと持ってくると、そのままぱくりと呑み込んでしまったのである。
『これが可能性の力、か。なんとも奇妙で、厄介な力よ。我が端末がこうも惑わされるとは。やはり、この世界は滅ぼさねばならぬ』
 そう人々の脳内へと直接語りかけると、大いなるものはワームホールへと歩き出した。
「ステラさんを返せ!」
 妖力をみなぎらせて走り出す鏡禍・A・水月(p3p008354)。だが、その眼前にまたも巨大な影が舞い降りた。
 咄嗟に飛び退くと、その姿がよく見える。
「あいつは――ドラゴニック!」
 最初に叫んだのは紅花 牡丹(p3p010983)だった。
 以前ステラたちがアスタの里を襲撃した際に投入した特殊星界獣。竜種のエネルギーを喰らって進化したというこの個体は、あまりにも強い戦闘力を保有していたために倒しきることができなかった。
 カッカッ――とドラゴニックが喉を鳴らす。
「ブレスが来る! 備えろ!」
「ならおいらたちが……!」
 その叫びに合わせ、青薔薇隊のフーガ・リリオ (p3p010595)が前に出た。トランペットを構え、青薔薇のマーチを奏で始める。それに伴って青薔薇隊の面々が一斉にカウンターヒールを開始。吹き付けられる破壊のブレスをギリギリで耐え凌ぐ。
「このままでは、大いなるものがワームホールを抜けてしまいます! なんとか止めなくては!」
 ユーフォニー (p3p010323)が叫ぶと、仲間たちもまた頷いた。
 大いなるものの足を止めさせつつ、ドラゴニックを撃破する。両方を同時にこなさなくてはならない。そして可能なら、ステラを大いなるものから取り返すのだ。

 戦いの第二章が、幕を開ける――!

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※システムアナウンス

 第二章が開始されました。
 この章の目的は『大いなるものへダメージを与え足を止めさせる』『特殊星界獣ドラゴニックの撃破』の二点となります。

●パートタグ
【大いなるもの】
 ワームホールへと向かう大いなるものを止めるべくとにかくダメージを与えていきます。
 足元への攻撃を警戒しているのか、残った星界獣たちは大いなるものの足元へ集まって防御を固めているようです。これらを蹴散らして進むか、飛行などの技術を用いて胴体や頭を狙うなどの対策が有効となるでしょう。
 また、ステラは大いなるものに取り込まれており状態は不明です。
 大いなるものの戦闘力は不明ですが、圧倒的な強者であることは間違い無いでしょう。

【ドラゴニック】
 イレギュラーズたちを殲滅するためについに投入された特殊星界獣です。
 竜種のエネルギーを喰らって進化した特殊個体で、竜種並の力を有しています。
 これを撃破しなければこの先の戦いが非常に厳しくなるでしょう。
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第2章 第2節

スガラムルディ・ダンバース・ランダ(p3p000972)
竜の呪いを受けしおばあちゃん
ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)
アネモネの花束
アイザック(p3p009200)
空に輝くは星
ムサシ・セルブライト(p3p010126)
宇宙の保安官
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘

 最強の星界獣、『大いなるもの』。
 実力も定かで無い、ただただ巨大なその存在に、立ち向かう者たちがいた。
 その中で誰よりも先陣を切ったのは、『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)であった。
「手荒にしたことを謝ろうと、そう思った矢先に……」
 表情を険しくするユーフォニー。
 ばっと手をかざすと、召喚されたリーちゃんが高く飛び上がり状況を観察。
 透視をはかろうとするが、大いなるものを見通すことはできなかった。つまりは、これ自体が巨大な生物であるということである。
「あのなかにステラさんが……ならせめて傷つけないように。今井さん!」
「はっ!」
 ロケットランチャーを構えた今井さんが大いなるものの顔面を狙って砲撃を開始。
 それと同時に『宇宙の保安官』ムサシ・セルブライト(p3p010126)がブラスターアーマーを使って跳躍した。脚部ユニットからジェット噴射がおき、豪速で星界獣たちを飛び越えていくムサシ。
「ふざけるなよ……ッ!
 ようやく分かりあえたステラさんを勝手に飲み込んで、その上……大好きな人が好きなこの世界を滅ぼすなんて!」
 掲げた両腕に連動し、アーマーの両腕が掲げられる。そこには巨大な剣が握られ、燃え上がる焔はそれ以上に巨大な刀身を作り出した。
「させてたまるものかよ、そんな事ッ!」
 燃え上がる炎の剣が大いなるものの足元へと叩きつけられ、同時に顔面へと砲撃が浴びせられる。
 そこへ更に、『アネモネの花束』ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)がイクリプスの姿を解放。蒼き翼を広げると、空中に突如として極彩色の作品を描き出す。
「ああまでしてステラを隠すって事は、奴がステラを守らなきゃいけない理由があるって事か。
 そういう事情差し引いても、彼女を救わねぇとな。さぁ、バチッと重いやつ食らわせてくぜ!」
 作品が極彩色の光を放ち、大いなるものはその目を僅かに細めた。
「今だ!」
 呼び出した杖を握りしめ、それを槍のように構える。突き出した先端から蒼き光が迸り、大いなるものの胴体へと命中、魔術的爆発を引き起こした。
「悪い子のお星さまだったけど、反省したなら許すのが僕というお話だからね」
 プリズムキューブ型の頭をくるりと回しながら、『空に輝くは星』アイザック(p3p009200)が戦場へと降り立つ。
「その反省を許さない君は、悪い子だね」
 眼前に並ぶ星界獣の群れを一瞥すると、頭のプリズムキューブから虹色の光を放射した。
 光を浴びた星界獣たちがおびき寄せられ、アイザックはそれを引きつけるようにふわりと飛び上がる。
「プーレルジールのサハイェル迎撃拠点でも、こうやって防衛の時に飛んだね。お星さまみたいにさ」
 そうしながら星界獣たちの上を通り過ぎると、アイザックはパンドラの加護を用いその光をました。
 壮絶な光が周囲の星界獣と大いなるものへと浴びせられる。
 『竜の呪いを受けしおばあちゃん』スガラムルディ・ダンバース・ランダ(p3p000972)はワームホールを抜け、そんな光景を前に目を細めていた。
「あら、あらあら。かわいいお嬢さんだったのに……。
 大いなるものさん、おばあちゃんは怒りましたからね~!」
 手にしていた杖を振ると、込められていた力が解放される。
「頑張ってお話をして、踏み出そうとしてたのに。
 私自身はお話をしたことなくたって、そんな子たちが悲しい思いするのは許せないわよ~!」
 空に虹でも描くように振り込まれた杖は魔法の光を無数に放ち、それらは流星の如く大いなるものへと飛んで行く。
「さあ、もっとよ~」
 スガラムルディはパンドラの加護を発動。元世界で見せたような膨大な魔力を迸らせると、それを巨大な光線に変えて大いなるものの胴体へと叩き込んだ。
 無数の攻撃を浴び、咆哮をあげる『大いなるもの』。
 その巨大な目でユーフォニーたちを睨むと、口をがぱりと開いた。
「何かが来ます!」
 そうユーフォニーが叫ぶが早いか、破壊の力を帯びたブレスが放たれる。

成否

成功


第2章 第3節

イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
あい・うえ男(p3p002551)
ほよもちクッション魔王様
一条 夢心地(p3p008344)
殿
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
マリエッタ・エーレイン(p3p010534)
死血の魔女

 大いなるもののブレスが吐き出されたその瞬間。
「めんどくさ……でも滅びたくない……」
 ぼてりとワームホールから落ちてきた『ほよもちクッション魔王様』あい・うえ男(p3p002551)が呟いた。
「それ、自分が使うねー……」
 突如ぷくりと膨らんだうえ男は周囲の仲間を庇うようにブレスを引き受けた。
(攻撃も回復もめんどくさいから人任せにしたい……だからそれ任せる人は倒れちゃ困る……。
 自分……一応、怠惰の魔王だから……歴戦とは程遠いよわよわなワケ……。
 大ダメージ受けるだろうなー……絶対倒れる……)
 直撃を受けたうえ男は衝撃によって吹き飛ぶ――が、その分の激しいダメージは大いなるものへと反射能力によって弾き返されていた。
 忌々しげにうえ男を睨む大いなるもの。
 その隙に『殿』一条 夢心地(p3p008344)がワームホールより飛び込んできた。
「なーにが大いなるもの、じゃ。麿は殿なるもの、じゃぞ?」
 夢心地は額に手をかざし夢心地ビームを発射。ビームは大いなるものの顔面へとヒットした。
「ここでの役割はあくまで足止め。
 「それ」が何であれ、生物である以上、顔への衝撃は何より嫌がるハズじゃ!
 そりゃー! もう一発!」
 夢心地が更なる攻撃を放とうとした瞬間、大いなるものは腕を振るった。
 巨大な腕のその先端。鋭利な爪は膨大な魔力を帯び、回避行動をとろうとした夢心地をワイバーンごと切り裂いて行く。
「ぬう!? この距離で当ててくるじゃと!?」
「一度引いてください! 『大いなるもの』に死角はありません!」
 今井さんと共に飛行し、大いなるものの様子を観察する『竜域の娘』ユーフォニー(p3p010323)。
 更なるブレスが放射されるが、ユーフォニーは『アトラスの守護』を発動させて負傷した夢心地たちを庇った。
(私は外から来た身なれど――竜域の娘ここに在りと!)
 瞳を虹色に輝かせたユーフォニーは、竜の姿をとるとパンドラの加護をもって大いなるもののブレスを引き受けた。
 翼を大きく広げ、威嚇するように咆哮をあげる。
(どうか照らして万華鏡。
 ここにいるのは共に戦ってきた仲間たち。
 その後ろには大好きな地。
 ぜんぶ、ぜんぶ。私の「大切」。
 譲れない!)
 パンドラを燃やしブレスを凌ぎきったユーフォニーは、万華鏡の如き美しい光のブレスを放射した。
「凶星――。あなたは何から生まれたの。
 滅びの後にどこへ向かい、何を望むの?」
『知れたこと。世界のすべてを喰らい、そして共に滅びるのみ。産まれなど、無意味』
 ユーフォニーに護られる形となった『死血の魔女』マリエッタ・エーレイン(p3p010534)。
 彼女は血の翼を広げて羽ばたくと、大いなるものの胴体側面へと回り込んでいった。
「成程、この私──アタシの前で奪うなんて、やってくれるわ。
 本当にですよ。このまま奪われたままとはいきませんね」
 一瞬だけ瞳を紅く染めたマリエッタは巨大な血の大鎌を作り出すと、その胴体めがけて斬りかかる。
「しかし、何故あれはステラを取り込んだのか……プライドか、許せぬという怒りか。
 そんな単純なものであれば殺せばいい話。取り込んだという事は必要性がある……彼女を奪い返す事が鍵となるのでしょう」
 斬り割いた胴体から血が吹き上がるが、その傷口はすぐさま修復されていく。
「自己回復? いいえ、自動回復――!」
 ならば攻撃を畳みかける必要がある。最低でも、こちらが『無視できない存在』にならなくては……。
「ステラ、聞こえる?」
 『流星の少女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)が錫杖を鳴らし前へと出た。
「覚えていないか……。こっちの貴方には会わずじまい。
 向こうの貴方とは一緒に仕事をしただけ。
 けど、だから分かるの。
 今騎兵隊でない。ただ一人としてこの戦場に立っているから」
 『騎紫再臨』の姿をとると、ふわりとした後光を纏う。
「貴方は一人ではない。私は、それをみんなと同じように、伝えたいと思う」
 魔力回路、全段直結。侵蝕率無視、最大出力――!
「貴方を飲み込む【大いなるもの】に【貴方のためのマイク】を用意させるわ」
 紫の光の波動が巨大な光線となり、大いなるものの腹へと突き刺さる。
 対して、大いなるものはそれを爪の一撃によって振り払った。
『無意味――もはやこの娘に意識はない。我が糧となるのみ』
 頭に響く大いなるものの声。
 だが、その言葉に反してかすかに頭に響くものがあった。

『――けて』

『――たす、けて』

成否

成功

状態異常
あい・うえ男(p3p002551)[重傷]
ほよもちクッション魔王様

第2章 第4節

メイメイ・ルー(p3p004460)
祈りの守護者
アルム・カンフローレル(p3p007874)
昴星
鵜来巣 冥夜(p3p008218)
無限ライダー2号
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
囲 飛呂(p3p010030)
きみのために
柊木 涼花(p3p010038)
絆音、戦場揺らす
紅花 牡丹(p3p010983)
ガイアネモネ

「声が……!?」
 頭に響いた聞き覚えのある声に、『昴星』アルム・カンフローレル(p3p007874)は目を見開いた。
「ステラ君! そこにいるのかい、ステラ君! その手は必ず掴むから! 取り込まれないよう、気をしっかり持って!」
 呼びかけるが、それ以上の声は聞こえてこない。見れば大いなるものの腹についた傷は塞がっていく所だった。
『小癪な――』
 大いなるものは再び口を開く。破壊のブレスの予備動作だ。
「誰も倒させない! 俺達も、ステラ君も!
 お前はここで止まれ! ステラ君を返して貰う!」
 アルムは対抗するように治癒の魔法を唱え始める。
 それと同時に前に出たのは『ガイアネモネ』紅花 牡丹(p3p010983)と『夜鏡』鏡禍・A・水月(p3p008354)だった。
 二人は同時にパンドラの加護を発動させた。
「ステラアアアアアアアアアア!
 ステラは今、中で一人ぼっちだ。
 一人で戦ってるかもしれねえ。
 それを応援する!
 オレ達がいると伝えてみせる!」
 スピーカーボムで声を拡張しながら、牡丹は天に手をかざす。
 天空より愛の光が舞い降りたかと思うと、一本のパラソルとなって牡丹の手に収まった。
 握りしめたその瞬間、炎がパラソルを覆って巻く。
 赤き左翼と、愛の右翼。その二つを羽ばたかせ、牡丹は浴びせられるブレスへとパラソルを広げた。
「星のように輝き、彼女の居場所を教えて。そして孤独ではないと光で以て彼女に伝えて」
 一方でエイドスを握りしめ、祈るように唱える鏡禍。
 鏡禍の身体には赤い茨が伸び、血のように赤い刀が右手に握られる。
 それは或いは鏡禍の呪いであったかもしれない。だが今だけは、紛れもない鏡禍自身の力だ。
 二重の結界を発動させ、ブレスの前に立ち塞がる。
 一瞬で結界は崩壊したが、それでも鏡禍は引き下がらない。
「ステラさんは奇跡の力を受け入れてくれた。だから――!」
 牡丹と鏡禍はブレスの破壊力に身体を焼かれながらも直感した。大いなるものの中に、まだステラの気配を感じる。確かに助けを求めていると。
 だが同時に、時間の問題でもあるだろう。完全に大いなるものに取り込まれてしまうまでの――。

 大いなるものは尚もワームホールへと歩を進めている。
 このままワームホールを抜ければ、即座に覇竜領域の破壊を始めることだろう。
「ホストクラブのトップスターが凶星を打ち砕くというのも悪くはないでしょう
 ステラ様の悲しみを、この手で打ち払う!」
 『無限ライダー2号』鵜来巣 冥夜(p3p008218)は大いなるものの足元に集まっている星界獣たちへと走ると、スマホにスワイプ操作で呪印を入力。発動した術式が星界獣たちを蹴散らし、道を切り開いた。
「そこです――!」
 大いなるものの足元めがけ、『獄門・禍凶爪』を発動。素早いスワイプ操作によって発動した術式が巨大な爪を形成し、大いなるものの足を切りつける。
「ステラ様を返してください。
 ステラ様は、ニルたちの仲間です……仲間になろうとしてたんです。
 それを邪魔するなんて、ニルは絶対絶対ゆるしません!」
 そこへ走り込む『願い紡ぎ』ニル(p3p009185)。
 集まってくる星界獣たちに対して『パラダイスロスト』の術をばらまくと、『ミラベル・ワンド』を強く握りしめた。
「ステラ様、今助けますから……まけないで!」
 ワンドに強く魔力を込めると、ニルは巨大な魔力の刀身を作り出した。
「えい!」
 冥夜が斬り付けた傷口へクロスさせるように、魔力の剣で斬り付けるニル。
 そうして出来た傷口から大量の血が吹き出ていく。

「あいつ喋れるのか……いや、端末も会話できるんだし当然か。なら、あえてこう言うぞ」
 『点睛穿貫』囲 飛呂(p3p010030)は高い岩の上によじ登ると、ライフルを構えてスコープを覗き込んだ。
「『ステラさん』を『返して』もらうぞ!」」
 飛呂の姿は徐々に蛇へと近くなっていく。畏怖すら感じさせるその姿で、飛呂はライフルのトリガーを引いた。
 攻撃は大いなるものの首元へと命中。それを鬱陶しく思ったのか、大いなるものはまたも爪に魔力を灯し振り込んできた。
「おっと……!」
 岩の上から素早く飛び退き、背を向けて走る飛呂。岩が一瞬にして粉々になり、破片がバラバラに飛んでくる。
 咄嗟に飛んで転がることで衝撃から逃げ切ったが、そうでなければ岩と同じ目にあっていたことだろう。
「ステラさんが手を伸ばしてくれたのに――」
 先ほどの『爪』によってダメージを受けた仲間達を治癒すべく、『灯したい、火を』柊木 涼花(p3p010038)が演奏を継続する。
「アルムさん! 支援役の負担を独り占めにはさせません。
 できた余裕はステラさん奪還に使ってください。
 ……それと。
 わたしの可能性もどうぞ。
 燃料は多い方がいいでしょう?
 お代はステラさんの奪還で、なんて」
 涼花は小さく笑い、死せる星のエイドスを空に放り投げた。
 光が放たれ、影の領域の暗い空が一瞬だけ眩く照らされる。
 そんな光を背に受けて、『約束の力』メイメイ・ルー(p3p004460)は走り出す。
「ステラさまは、選んでくれた……!
 手を伸ばしてくれた!
 わたし達は、その手を掴みに行きます……!」
 『黄金色の護り』と『全覚ノ奏者』を自らに付与すると、パンドラの加護を発動。
 自らを柔らかな魔力で包み込むと、『カペラの道行き』を握りしめて突きつけた。
「ステラさま! 必ず助けます! どうか、諦めないで!」
 召喚された無数のミニペリオンがステラのようなドラスを身に纏い、星の形のモーニングスターやハンマー、杖や剣を振りかざして星界獣へと襲いかかった。
 そうして切り拓かれた道を突き進み、杖に魔力を込め始める。
 涼やかに鳴る魔力の響き。腕にはめた『常磐の結わゑ』が反応し、しゃらりと綺麗な音をたてる。
 ぱきりと懐のなかで一個のエイドスが割れ、光に加わった。
 メイメイの放つ魔力が爆発し、大いなるものへと叩きつけられる。

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※システムアナウンス
 イレギュラーズたちの活躍により状況に変化が生じました。

【大いなるもの】
 ステラは大いなるものに取り込まれかけているものの、パンドラの力を受けて今のところ抵抗ができているようです。
 また、大いなるものは今だ歩みを止めず、ワームホールに向かっています。

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成否

成功


第2章 第5節

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
片翼の守護者
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師
マッチョ ☆ プリン(p3p008503)
目的第一
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)
挫けぬ笑顔
ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)
指切りげんまん

 大いなるものとは別に、イレギュラーズたちの作った陣地を目指して進み始めるドラゴニック。
 竜にも匹敵するというその強敵を前に、勇敢にも立ち塞がった者がいた。
「目には目を、竜には竜を――ってね!」
 『挫けぬ笑顔』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)は杖を天に放り投げるとパンドラの加護を発動。黒龍のごとき手足と翼を備えた竜人の姿をとると、ドラゴニックをにらみ付ける。
「先の戦いのリベンジ! 今の私は竜とだって渡り合ってみせる! 前と同じように無視できるとは思わないで!」
 その圧倒的な存在感は、ドラゴニックをしてやはり無視できるものではなかった。
 咆哮をあげ、爪を繰り出し襲いかかるドラゴニック。
 対してヴェルーリアは漆黒の結界を作り出し爪の一撃を耐えた。
「竜種の力を吸い取ったって聞いたら捨て置けないね!
 オレの目標は最強の竜種をタイマンで倒せるようになること!
 イイ修行の場になりそうじゃないか!」
 そこへ殴りかかったのは『黒撃』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)。
 ヴェルーリアが一瞬だけ押さえ込んだドラゴニックへ横合いからパンチを叩き込み、その顔面を、脳を揺らす。
「イレギュラーズと星界獣、どちらが強いか決めよう!
 混沌最強の竜種を超えたイレギュラーズの力を見せてやるよ!」
 威勢良く更に殴りかかるイグナート。
 ドラゴニックはそれを鬱陶しそうに防御すると天空へと舞い上がった。
 カッカッと喉を鳴らす。ブレスの予備動作だ。
「来るぜ! 俺から離れなぁッ!」
 そう叫んだのは『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)だった。
 ローラーダッシュで仲間達の前へ出ると、聖盾を翳して『アムド・フォートレス』『ルーンシールド』をそれぞれ発動。
 温度視覚を通したゴリョウの目には、ドラゴニックの喉がカッと熱くなった様子が見て取れていた。
 素早く『金銀蓮花の炯眼』を発動させドラゴニックの意識を自分へと集中させる。
 吹き付けられるブレスの衝撃を、聖盾は見事に防いでくれていた。
「ぶはははッ! 豚一匹丸焦げに出来ねぇたぁ随分とヌルい火吹きじゃねぇか!
 で、俺ばっか見てて良いのかい!?
 オメェさん、『誰に』囲まれてるかまだ理解してねぇようだなぁ!?」
「――!?」
 ゴリョウの言葉にハッとしたドラゴニック。その背後には『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)たちが回り込んでいた。
「ステラさんを助ける……にはお前が邪魔だな、ドラゴニック。
 アスタを襲ったのもお前だよな?
 アスタの民の分までパンドラの力を叩きつけてやるから、受け取れ!」
 イズマが剣を抜くと、五線譜の光が後をひく。燃え上がる蒼き炎は不思議な音を奏で、それはオーケストラの演奏へと変わっていった。
 ワイバーンのリオンへと騎乗し、ドラゴニックの背へと突っ込んでいく。
 イズマの繰り出した剣は巨大な五線譜の如き光を作り出し、ドラゴニックの強固な鱗を斬り割いた。
「おーおー、出てきた出てきた。
 前回のギャラドとよく似てるけど……あっちは亜竜、こっちは竜種か。
 大いなるものも叩かないといけないんだろうけど。こいつを放置するのも流石にね。
 という訳で大物相手だ、頑張るよルナール先生!」
「またこの手の類か…大きかろうが小さかろうが叩くことに違いないな?」
 更に『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)と『片翼の守護者』ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)が背後から攻め込み、次々に攻撃を仕掛けていく。
「やれやれ、次から次へと……ま、泣き言は言ってられないがね」
「やっほー竜種! 遊びに来たよ!」
 ルーキスはイクリプスの姿を発動させ、『ケイオスタイド』の魔術を叩き込む。
 更にドラゴニックの背にとりつくと、『禍剣エダークス』を発動させた。
「んー……虎の子ってやつかな、これ倒したら次は無いと思いたいね。
 さあて、派手に最大火力ぶっ放すかー!」
 堅い鱗を引き剥がし、破壊し始めるルーキス。
「うちの可愛い奥さんは後ろに下がってるだけの後衛じゃないからな」
 そこへルナールは絶妙なタイミングで『レオパードヴァラー』を叩き込んだ。
 温存していたイクリプスの姿をさらし、黒き翼を広げながら白銃を傷口につきつけ、零距離で打ちまくる。
「さっさと片付けよう、まだまだ後が控えてそうだ」
 仲間達による猛攻。そこへ更に『指切りげんまん』ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)が加わった。
「竜種並の力ですか〜……つまりこの星界獣を倒せば実質竜種を倒したことになるのでは!?
 亜竜種が竜種を倒す下剋上、美しい私に相応しいですねぇ」
 ヴィルメイズはパンドラの加護を使用しイクリプスの姿へと変わっていく。
 そしていつも通りに扇を広げると、世にも美しい舞いを踊り始める。
 発動した魔術は『ヴェノムジュエル』。更に『恒常性グランギニョル』。
 これらを叩き込んだ後に、『極彩アポトーシス』と『蚩尤血楓舞』の舞いを踊るヴィルメイズ。
 舞いによって発動した術はドラゴニックの傷口を大きく広げ、血を吹き出させた。痛みに吠えるドラゴニック。
 その一方で、『陰陽鍛冶師』天目 錬(p3p008364)はちらりと大いなるものを観察していた。
「ああやって隠すという事は奪還すれば良いと言ってるようなもんだ。
 とはいえ、真正面からだと質量に押しつぶされかねないからまずは懸念事項から対処していくとするか!」
 振り返り、吠えるドラゴニックを見やる。
 錬は懐から無数の式符を取り出すと、それぞれを発動させていく。
 『五行占刃』で自己を強化しつつ走り込み、群れを成す星界獣に『式符・陰陽鏡』を発動。
 範囲攻撃によって星界獣たちを蹴散らすと、切り拓いた道を押し通すように『式符・青龍槍』を叩き込んだ。
「今は擬きに構ってる暇はないからな! 素材だけ置いてさっさと倒れて貰うぜ!」
 槍の突き刺さったドラゴニックが首を振る。
 そこへ『目的第一』マッチョ ☆ プリン(p3p008503)が飛びかかった。
「また厄介な邪魔が入ったな。
 あの少女も引き抜きまでほぼ王手だった所で、元凶に再び取り込まれるとは……だが、逆に言えば、元々限界まで燃え上がっていた者たちが、再び燃料を注がれて奮い立つか。
 どうやら、それは悪手だったかもしれんぞ?『大いなるもの』よ」
 強化された拳がドラゴニックの頭部へと直撃し、またも脳がゆさぶられる。
 ドラゴニックはプリンの拳による衝撃にぐらりと身体をゆらし、そしてなんとか踏みとどまった。
 振り返り、食らいつこうと首を伸ばすドラゴニック。
 対してプリンは両腕と両足を突っ張るようにして顎を押さえ込み、ドラゴニックの牙へと対抗した。
「オレ個人を狙いにかかるか。だが潰せるか? このオレを……!」

成否

成功


第2章 第6節

サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
ムサシ・セルブライト(p3p010126)
宇宙の保安官
マリエッタ・エーレイン(p3p010534)
死血の魔女
セレナ・夜月(p3p010688)
夜守の魔女
水鏡 藍(p3p011332)
解き放たれた者

「助けを求める声が聞こえた……わけじゃ、ねえけどさ。
 単純に耐久力が足りなくて、例えば言葉が届かなかった、なんて。
 面白くもなんともねえじゃん?
 届いたら、どうなるのか、知りてえじゃん?
 だから、俺はここに来たのさ。
 必要な時間は俺が稼ぐ。だから、その間、みんなには「好きにしてて」もらうんだ」
 風が吹き、そこには彼がいた。
 『金庫破り』サンディ・カルタ(p3p000438)。彼は大地を揺らし進む大いなるものの前に立ちはだかり、己の内から湧き上がる風をナイフの形にして握り込んだ。
「俺は……あのアイオンを見送ったサンディ・カルタだぜ?
 誰だろうが、どこまでも、送り出してやるのさ。
 てめえらが! その先に!! 進むためなら!! な。
 だから、走りきるまで、決して、振り返るんじゃねえぞ」
 大いなるものが爪を振りかざす。凄まじい衝撃を伴って繰り出された爪を、サンディは一人で受け止めた。
「様子見して策略を練っている間にユーフォニーは……ためらってたのは私でしたか。
 進まねば何も進まず、時間はない。ふふ、そうですね。
 魔女。思考は任せます。私は、突っ込みますので」
 『死血の魔女』マリエッタ・エーレイン(p3p010534)はパンドラの加護を発動。一瞬だけ瞳を血色に染めると、死血の魔女の姿をとった。
 周囲に大量の血のナイフが作り出され、手には血の大鎌。
「ステラを奪い返す力を、寄越しなさい!」
 握りしめたエイドスを砕けさせると、マリエッタは大いなるものへと跳躍。血の翼を広げて飛行するとその顔面に鎌を叩き込む。
「声……?
 ステラさんの声なのか……!
 取り込まれていないなら、まだ望みはある……!」
 『宇宙の保安官』ムサシ・セルブライト(p3p010126)は高出力レーザーリボルバーキャノン『ゼタシウムブラスター』を構え、大いなるものの胴体へと向ける。
「一点集中で傷を広げていけば体内への侵入手段になってくれるはずだ。世界は滅ぼさせはしないぞ……大いなるもの!」
 ゼタシウムブラスターから放たれる高精度・高弾速・高出力のレーザービームが大いなるものへと直撃する。
 そこへマリエッタの血の刃が大量に突き刺さり、大いなるものを出血させる。
「そこだ……!」
 ムサシはバックパックからジェット噴射をかけながら跳躍し、『焔閃抜刀・焔』を発動。焔を光剣へ纏わせ、胴体へと斬りかかる。
「まったく、本当に! ユーフォニーも、マリエッタも、無茶ばっかりするんだから!」
 それを箒の上から見ていた『夜守の魔女』セレナ・夜月(p3p010688)。
「でも……『そこ』に居るのね、ステラ
 あなたが助けてと祈るなら。未来を願うのなら。
 きっと助けてみせる!」
 セレナは帚星を加速させると大いなるものへと突っ込んでいく。
「祈願結界『vis noctis』!
 わたし達を、そしてステラを護る力となって!
 祈りを、願いを。命を、希望を。絶やさせはしないと!」
 セレナを包み込む球状の結界がマリエッタたちを包み込み、大いなるものが再び繰り出す爪の一撃を防御した。
 ばきりと結界にヒビが入り、セレナが痛みに呻くような表情を浮かべる。
 そんな彼女たちを見上げ、『解き放たれた者』水鏡 藍(p3p011332)は歩き出した。
(この世界を存外割と気に入ってる身としては世界を滅ぼされる訳にはいかないよ。
 少しばかりの力でも合わされば強い力になるだろう。
 さあ行こう!)
 手には焔を浮かべ、それを大いなるものの足元に群がる星界獣たちへと放つ。
 意識を自分に向けさせると、『神気閃光』の光を放ち星界獣をなぎ払った。
「まだまだ――!」
 懐から護符を引っこ抜き、腰にさげた剣を抜く。
 護符をばらまくと妖精たちが具現化され、剣を振り抜けば神気が放たれる。
「この連中は引き受けた。さあ、戦ってくるといい」

成否

成功


第2章 第7節

冬越 弾正(p3p007105)
終音
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
フラーゴラ・トラモント(p3p008825)
星月を掬うひと
ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)
人間賛歌
ウルズ・ウィムフォクシー(p3p009291)
母になった狼
ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)
闇と月光の祝福
ルブラット・メルクライン(p3p009557)
61分目の針
アレン・ローゼンバーグ(p3p010096)
茨の棘
秋霖・水愛(p3p010393)
雨に舞う
フーガ・リリオ(p3p010595)
青薔薇救護隊
佐倉・望乃(p3p010720)
貴方を護る紅薔薇
レイア・マルガレーテ・シビック(p3p010786)
青薔薇救護隊
常田・円(p3p010798)
青薔薇救護隊
玄野 壱和(p3p010806)
ねこ

 竜種のエネルギーを喰らって進化した竜に匹敵する特殊星界獣ドラゴニック。
 その進路はまっすぐ、青薔薇隊の後衛陣地へと向けられていた。
「このままじゃ負傷者が狙われる。おいらたちで止めないと……!」
 『君を護る黄金百合』フーガ・リリオ(p3p010595)は戦闘用トランペット『日向の百合』を手にドラゴニックをにらみ付けた。
「皆、行ける!?」
 振り返れば、フーガを筆頭とした青薔薇隊14名が応じる声をあげた。
 いくつもの決戦の中で紡がれた出会いと絆。それが青薔薇隊だ。
 その力を今、見せる時だ。
「青薔薇隊陣地を拠点に味方の支援と救護活動を継続! そのうえでドラゴニックの撃破支援を行うよ!」
 そしてトランペットが鳴り響く。勇壮なその音楽に背を押されるようにして、『終音』冬越 弾正(p3p007105)たちが飛び出していく。
「奴のブレスは尋常ではないな。怯んではいられない……守る為の戦いを始めよう!」
 弾正は『絶歌極彩』と『カシャームの栄光』を発動させて仲間達を支援範囲に収めると、平蜘蛛から伸びたマイクを握りしめる。
 対して、ドラゴニックは集まった弾正たちを狙うようにしてカッカッと喉を鳴らした。ブレス攻撃の前兆だ。
「ドラゴンを退治してお姫様を助け出す。いいね、ヒロイックに盛り上がってきた。」
 『最強のダチ』ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)は楽器を手に演奏を開始。
「喝采を、そしてハッピーエンドへの道のりを切り開け!
 皆、今までの勝ち戦を思い出せ。大罪も、危機も、乗り越えて無茶なハッピーエンドを掴んで来たおれ達だ。これくらい、やれる!」
 ヤツェクの声は仲間達の気分を高揚させ、そして同時にカウンターヒールの準備を整えた。
 浴びせかけられる破壊のブレス。
 ヤツェクの演奏に合わせ弾正が歌い始め、『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)が前に出て治癒の魔法を発動させる。
「青薔薇 奇跡 夢叶ウ。ステラ 縁起ガイイ。
 フリック 験担ギスルトシヨウ」
 身体から青い薔薇を咲かせたフリークライはパンドラの加護を発動。巨大な双頭の青鳥に騎乗すると、フリークライは身体に埋め込まれたクリスタルを強く発光させた。
 ドラゴニックによる激しいブレス攻撃に対抗し、『デウス・エクス・マキナ』と各種治癒魔法を使い分ける。
 そのおかげだろう。ブレスが収まった時、倒れた仲間は一人もでなかった。
 『ひとさじの勇気』ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)はその隙を逃さず継続してパンドラの加護を発動。
 美しい髪色をそのままに、手にした矢に膨大な魔力を込める。
「混沌のステラ様が光へ手を伸ばすのに、どれほどの勇気がいったと思っているのですか。
 後に続く仲間のために、毒としての務め、果たさせていただきます」
 弾正やヤツェク、フーガたちの支援を受けたジョシュアの力は一回りも二回りも大きい。
 その力をそのままドラゴニックへぶつけるのみだ。
 放たれた矢は見事にドラゴニックの身体に命中。巨体に対して小さな矢なれど、込められた毒は確実にドラゴニックの身体へと浸透していく。
「毒と言うのは後から効いてくるもの……。逃がしはしません」
 『青薔薇救護隊』レイア・マルガレーテ・シビック(p3p010786)が更に戦旗を掲げ、その青き星空の如き旗をはためかせた。
「陣地は守り抜きます、それが青薔薇隊隊員の役目ならば!!」
 騎乗していたドレイク・チャリオッツの御者席から飛び降りると『Code Red』の魔術を発動。青き薔薇の幻影を纏った魔法の風がドラゴニックへと吹きつけ、その巨体を巻き込んでいく。
 そして、返す刀で負傷者を回収すると再びチャリオッツへと飛び乗った。
「負傷者の皆さんは陣地へと運び込みます。援護をお願いできますか!」
「任せてください! わたしも後から陣地へ行きますので!」
 走り出すチャリオッツを追ってドラゴニックが動き出すが、それを阻むように立ちはだかったのは『生きて帰りましょうね』佐倉・望乃(p3p010720)だった。
「世界もステラさんも全部救って、皆で笑顔で帰る為に――!」
 『英雄叙事詩』の魔法で周囲の仲間達を支援すると、『静寂とバラード』と『ブラックドッグ』の魔法を両手にそれぞれかけ始めた。
 よぎるのは沢山の冒険の思い出。
 突然召喚された戸惑いと、仲間達との出会い。そして初めての恋と、愛し愛される幸せ。夢みたいな今日。それを、今まさに目の前の強敵は奪おうとしている。
 そうは、させない。
 妖精たちが召喚され、ドラゴニックへ一斉に襲いかかる。
 それを振り払おうとドラゴニックが再び喉をカッカッと鳴らすが、『雨に舞う』秋霖・水愛(p3p010393)はその前兆に気付き声をあげた。
「またブレスが来るよ! 体制を整えて!」
 仲間たちと息を合わせるようにして範囲治癒魔法を発動。
 幻影の本が水愛の手元に現れると、風が吹いたかのようにぱらぱらとページがめくれていく。それは水愛の経験したいくつもの思い出のページに見えた。それらがページから舞い上がり、無数の光となって周囲へと広がっていく。ドラゴニックの浴びせたブレスを防ぐには充分な治癒力となって。
 そうして仲間たちと強力して再びのブレス攻撃を防いだ水愛。今度はページから妖精を召喚するとドラゴニックへとけしかけた。
 羽の生えた妖精たちが望乃のそれと混ざってドラゴニックを覆い、身体のあちこちを槍や剣で突き刺していく。
「こちらも上手くやっているようだね。ふ、頼もしいよ」
 そこへ『61分目の針』ルブラット・メルクライン(p3p009557)が合流し、懐から短剣を抜いた。
「……ステラ君。
 この世の哀しみを知って、なお愛していると手を伸ばせるならば、私は貴方の往く道を見てみたいよ。
 なぜなら、私も、同じ……いや、それは驕りだな」
 ドラゴニックがブレスではラチがあかないと察したのか、爪を構え急降下を仕掛けてくる。
 対抗するようにルブラットはドラゴニックの爪をかわすと、相手の身体を駆け上がりながらいくつものの斬撃を叩き込んでいった。
 そんなルブラットを振り払おうと暴れるドラゴニック。
「ここに来てこんな展開だなんて! けど、絶対に諦めはしません! ステラさん、見えていますか!
 僕たちは、イレギュラーズは、世界は! まだ諦めていません!」
 救急馬車をとめ、『青薔薇救護隊』常田・円(p3p010798)が駆け下りてくる。
 先ほどのブレスによって傷付いた仲間を救急馬車に収容するためだ。
「さあ、青薔薇の名の下に奇跡を起こして見せます!」
 積み込んだ仲間に対して全力の『ミリアドハーモニクス』をかけ、治療を行う円。
 その間にも仲間たちは戦い、ドラゴニックを翻弄しつつある。
 怒り狂ったドラゴニックはルブラットたちを強引に振り払い、救急馬車をにらみ付けた。
 が、狙わせはしない。
 『茨の棘』アレン・ローゼンバーグ(p3p010096)が颯爽と現れ、薔薇のレイピアを抜き放った。
「友達が頑張っていると聞いて助太刀に来たよ。ステラを助けるためにはまずドラゴニックをなんとかしなきゃってことだよね?」
 あまりにも巨大な敵を前に、レイピアは小さい。が、アレンが引くことなど決してなかった。
 パンドラの加護を発動させ、奇妙な両翼を展開。黒衣に包まれた彼の周囲を花弁が舞っている。
 レイピアに小さく口づけをすると、たちまち薔薇の幻影が咲き乱れ風となった。
「この世界は守らなくちゃいけないから。倒して、生きて帰るよ。僕の薔薇に誓って」
 振り抜いたレイピアに伴って薔薇が暴れ、ドラゴニックの顔面に吹き付ける。
 『惑わす怪猫』玄野 壱和(p3p010806)が動き出したのはそんなタイミングだった。
「悪いナ。ちょっくら行ってくル」
 継続してパンドラの加護を発動させると、[いかり]を展開。
「術式起動!
 射程内全罪確認!
 判決:死刑!」
 壱和の発動させた術式が正常に機能し、ドラゴニックの顔面から血が吹き出た。
 いや、よくみればその片目がえぐられている。
 それだけではない。ここまでの仲間たちの攻撃によって全身のあちこちから血が吹き出し、鱗の多くが剥がれ落ちている。
「白き言の葉、罪摘積詰、猫の諸手に七十五と二振りの。
 つみをつみつみつめ、くいもてほし×す、
 slaughter,auto,all! クイにてクイろ!
 汝執行するもの[すろうとーる]!
 制裁執行!
 いっけエェェェ!!!」
 壱和の更なる追撃。『星月を掬うひと』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)はそこへ更に『怒りの日』を発動させた。
「皆のステラさんを助けたいって気持ち、見ててワタシも手助け出来たらって思うよ! そして誰一人倒れませんよう……!」
 白く美しい光がフラーゴラを包み込んだかと思うと、それは巨大な魔方陣へと変わり眼前に展開。巨大な光線となってドラゴニックへと突き刺さる。
「皆のBS、お腹いっぱい食らっちゃえ!」
 痛みにもがくドラゴニック。少しでも痛みから逃れようと暴れたドラゴニックの尾がフラーゴラへと直撃する。
 否、フラーゴラの構えた『バリスティックシールド』によってギリギリで防がれ、派手に吹き飛ぶも空中で回転。両足でザッと地面をけずるようにして着地した。
(うちからも攻撃するメンバーが出るならあたしも参加してみるっす!
 あ、でも負傷者を回収できるのはあたしくらいっすか?
 本業も忘れないっす!)
 『狼救急便』ウルズ・ウィムフォクシー(p3p009291)はざっと周囲を見回して回収すべき負傷者がいないことを確認すると、『戦甲 烈華』に力をこめた。
 深紅色の手甲が僅かな力の光を帯びる。
 もがくドラゴニックの尾を踏みつけて駆け上がると、身体に刻まれた無数の傷口に炎を纏った拳を思い切り叩き込む。更には蹴りを、手刀を、ウルズの優れた肉体能力から繰り出される連撃がドラゴニックの身体を激しくえぐった。
「さてと! 一通り痛めつけたところで、一旦陣地に引くっすよ! 負傷者たちが待ってるっす!」
 見れば、ドラゴニックは様々なBSと傷を受けて吠えていた。あとは仲間たちに任せておいても大丈夫だろう。青薔薇隊の面々は頷くと、自分達の陣地へと馬車を使い舞い戻っていった。

成否

成功


第2章 第8節

古木・文(p3p001262)
文具屋
アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)
無限円舞
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
八重 慧(p3p008813)
歪角ノ夜叉
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)
挫けぬ笑顔
夢野 幸潮(p3p010573)
敗れた幻想の担い手
火野・彩陽(p3p010663)
晶竜封殺

 傷付いたドラゴニックは荒れ狂い、再び喉を鳴らしブレスの兆候を見せる。
 だがそれに気付かない『歪角ノ夜叉』八重 慧(p3p008813)ではない。
「竜種並みの敵の攻撃に耐えきれたなら、帰った時に自慢話に出来そうっすね」
 あえて前に飛び出すと、『アトラスの守護』を発動。
「やらせねえっすよ!」
 ブレスの攻撃が慧を直撃するが、その後ろに集まった仲間達には一切のダメージを通さない。
 それだけではない。事前に仕込んでいた再現『苦反』の力が発動し、ドラゴニックの身体へと激しい衝撃が走る。
 慧がうけたとてつもないダメージの実に30%だ。並大抵のことではないだろう。
「――っ!」
 しかし慧も慧で無事では済まなかったらしい。がくりと膝をついて腕を押さえる。
 翳していた腕は血塗れになっていた。
「下がって! あとの攻撃は私が抑えるから!」
 『挫けぬ笑顔』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)が杖を手に前へ出ると、バンド仲間の『晶竜封殺』火野・彩陽(p3p010663)もまた前へ出た。
 仲間達が猛攻を仕掛けてくれたおかげだろう。今なら攻撃も通りやすそうだ。
「さーて、あれ止めなまずい奴やな。
 竜種相当やとしてもやれん事はなし。
 ほないきましょかー!」
 ぎりっと弓に矢をつがえ、構える彩陽。
 放たれた矢は見事にドラゴニックの首へと命中し、矢継ぎ早に繰り出した無数の矢が更に身体へと刺さっていく。
 痛みに暴れるドラゴニック。やめさせようと爪を繰り出すも、それをヴェルーリアは魔力障壁によって庇った。
 姿は勿論、パンドラの加護を得た『黒竜魔人』のものだ。
 突き出した手を中心に広がった障壁はドラゴニックの強力な爪の一撃を阻み、押し返しさえする。
(まだ仲間は倒れてない。こちらの守りが堅いおかげだよね……。けど、もし『大いなるもの』が本気を出したら、こっちの被害もタダじゃ済まなくなる。
 そうなる前に、ドラゴニックは倒しておかなくちゃ)
 ヴェルーリアは『希望の喊声』をあげて傷付いた仲間たちを治癒すると、その仲間と共に攻勢へと移った。
 黒き魔力の奔流が迸り、『ヴェノムジュエル』の魔術がドラゴニックの傷口へと染みこんでいく。
 そこへ乗じるようにして『敗れた幻想の担い手』夢野 幸潮(p3p010573)もまた動き出した。
「悲劇も 喜劇も。
 不幸も 幸運も。
 等しく存在するのが人生といふ物語。
 ならば方やのみに目を向け絶望の病を感染させるは何たるか。
 其なる決まり切った運命を覆すが故の『特異運命座標』。
 無論我も美しき、素晴らしき物語を望んでいる」
 翳した万年筆で宙を描くと、『舞台掌握』を宣言。更に『帳の王』に『描写編纂』、『幻想讃歌』と『混沌朗吟』を使い分け仲間立ちのフォローを開始した。
「だってよ、喰らうなら不味い飯より美味い飯だろ?
 その為に我は"万年筆"を回すのだ。
 アゲていこうぜ皆の衆。
 我は汝らの自己利益の追求たる『悪』、その全てを肯定しよう。
 Ne-World存在定義概念拾伍項『悪魔』なる『悪縮魔羅』として」
 フォローを受けて飛び出したのは『無限円舞』アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)だった。
「竜種相当、ね。恐るべき戦力ではあるけれど。
 敢えて言いましょう。私達を今さらその程度で殲滅しようだなんて、舐めているのかしら?」
 『イモータルクロス』を美しく翻しながら、『夢煌の水晶剣』で斬りかかる。
 刀身に魔性の氷を纏わせ踊るように繰り出すその連撃が、地上へと降り立ったドラゴニックの身体へと幾度も刻み込まれる。繰り出した爪がアンナをかするも、仲間のフォローによって傷口はすぐに治癒された。
「さあ、まずは『前座の』ドラゴン退治、派手にいきましょうか!」
 不敵に笑い、ドラゴニックを挑発するアンナ。
 その挑発に乗る形で暴れるドラゴニックに、『狐です』長月・イナリ(p3p008096)は更なる攻撃を敢行した。
「あれは私は観測した事が無い敵だわね。
 ブレス攻撃はかなり強力みたいだけど……倒さないと進めないわね!
 さてと、叩き潰すわよ!」
 パンドラの加護を発動させて膨大な力を湧き上がらせると、『デスティーノ・コイントス』を発動。強化された肉体で跳躍すると、大太刀を大上段から振りかぶり、そして繰り出した。
 ドラゴニックの強固な鱗を易々と斬り割き、その肉体から激しい血を吹き上げさせる。
 『結切』古木・文(p3p001262)は眼鏡にそっと指をあて位置を整えると、パチンと指を鳴らした。
「随分と物騒な存在だね、あれを撃破するんだって?
 なら人手は多い方が良いのかな」
 文の手の中に生まれた万年筆が血の色のインクを滲ませ、空中に不可思議な文字を描き出す。
 パンドラの加護を発動させ、イクリプスの姿を顕現させたのだ。
 彼の描き出す文字は強力な魔法の力をもち、仲間たちのエネルギーを急速に回復させていく。
「弱っていたとは言え一度はリヴァイアサンと相対した身だからね。
 今更何を恐れる必要があるっていうんだい。
 今迄色んな戦場を視てきたけど、結局、立ち続けていた方が勝つんだ」

成否

成功


第2章 第9節

オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)
鏡花の矛
アルム・カンフローレル(p3p007874)
昴星
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
オラン・ジェット(p3p009057)
復興青空教室
囲 飛呂(p3p010030)
きみのために

 いまだ歩みを止めぬ大いなるもの。再集合をかけた『昴星』アルム・カンフローレル(p3p007874)率いる【昴星】の面々は再び大いなるものへの攻撃を開始していた。
「足を止めさせなきゃ、ステラ君の救出は難しい。
 そしてあいつは、自動修復機能がついてる……。
 それなら!止まるまで全員で攻撃し続けるだけだ!」
 『黄金色の恩寵』を展開、更に『ステラ・フォルティス』で仲間たちの傷を癒やすと、アルムは傷を徐々に修復させていく大いなるものを睨んだ。
「とにかく隙を作るんだ。そして足を止めさせる!」
「わかった――クソ、まずは止めねぇと話になんねえ」
 『点睛穿貫』囲 飛呂(p3p010030)はパンドラの加護を継続して発動。
 ライフルで大いなるものの胴体に狙いをつけ、連続発砲をしかける。
「目を狙いにいく。付き合ってくれ」
 『ジャケット:C-P』の効果を借りて飛翔すると、飛呂は大いなるものと同じ高さまで上がり、片目を狙って撃ちまくった。
 あそこまで鬱陶しそうにしていたのだ。ノーダメージということはないだろう。
「雨垂石を穿つ、だ! 絶対に穿ち貫いてやる!」
「片目だな、了解! こっちは抵抗できないように抑え込む!」
 『復興青空教室』オラン・ジェット(p3p009057)は以前に冥夜が開いた傷口を狙うべく走り、剣を構えて跳躍した。
「ったくレディ、ステラの扱いがなってねえな!
 そういう奴はモテないぜ? 何てな。
 まっステラは俺たちにとっては大事なビッグゲストだ
 助けてみせるぜ!」
 今なお修復が進む傷口を更に開くように斬り付けると、大いなるものはそんなオランたちをにらみ付けた。
「ホストクラブ・シャーマナイトのキャスト、オラン・ジェットだ! 覚えておきな!」
 あえて注意を引くように名乗りを上げるオラン。
 ステラの位置はなんとなくだが分かっている。今は大いなるものの腹の中だ。
 話しぶりを聞く限り、どうやらステラの力を糧にしようとしているらしい。
 大いなるものは咆哮をあげ、地面をずどんと踏みならす。
 するとどうしたことだろうか。空中に巨大な魔方陣が大量に出現。そこから魔力の槍が無数に生まれ、降り注いできたではないか。
「また新しい攻撃を――!」
 『夜鏡』鏡禍・A・水月(p3p008354)は継続してパンドラの加護を発動。アルムたちを庇うと、治癒をアルムに任せて大量のやりを防御した。
 特に庇うべきは飛行して攻撃を行っている飛呂やオデットだろう。大いなるものの巨大さからして、低空飛行というわけにはいかないのだから。それだけ無防備になっているはず。
 と同時に、鏡禍は『死せる星のエイドス』を握りしめ、願いを込める。
 どうか奇跡の力よ、ステラさんを守って欲しい――と。
「守ると助けると約束したのだから、僕はそれを果たしたい!」
 そんな彼に護られ槍の雨から逃れた『優しき水竜を想う』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)。
「呼ばれたんじゃしょうがないわね。この妖精の素敵な火力、お見舞いしてあげるわ」
 槍の雨がやんだ瞬間を狙って飛び出すと、『ティタノマキアの閃光』を発動。更にパンドラの加護を発動させると見目麗しい大人の妖精めいた姿へと変じた。
「目玉を潰すつもりでやってあげる。
 羽虫だからと馬鹿にすれば痛い目を見るわよ。
 御大層な態度だけどここまで傷つけられて、いっそ恥ずかしいわよね」
 ビッと指を突きつけると、無数のプリズムの輪が生まれ収縮していく。それらは強烈な光の束となり、大いなるものの眼球へと叩き込まれた。
 グオオと声をあげる大いなるもの。その声に、オデットたちは不敵に笑った。

成否

成功


第2章 第10節

サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
紅花 牡丹(p3p010983)
ガイアネモネ
水鏡 藍(p3p011332)
解き放たれた者

(ステラ様の声が消えてしまわないように。
 飲み込まれてしまわないように)
 傷は塞がり声は聞こえなくなったものの、ステラの気配は今も未だ感じ取ることができた。
 『願い紡ぎ』ニル(p3p009185)は声に力を込め、呼びかける。
「ステラ様が諦めてしまったら、きっと届かない。ニルたちを信じて……!」
 握りしめた『ミラベル・ワンド』に力を込め、自らも跳躍。魔法の翼を広げて飛行する。
 暴れる大いなるものの眼前へと迫ると、その眼球めがけて全力の『フルルーンブラスター』を叩き込んだ。
「ステラ様に手を伸ばせるよう支えてください、「おねえちゃん」!」
 そんな願いを叶えるようにして、『金庫破り』サンディ・カルタ(p3p000438)が『いと白き太陽の翼』を纏って飛翔。
「中々しぶといな、『滅びの定め』ってやつも。
 まぁ、本丸落ちないんじゃどうしようもないか。
 飛ばそう。とにかく飛ばそう」
 サンディが任された仕事は飛行能力の無い仲間たちを飛行させること。『空想』の術を用いて駆けつけた仲間たちに風の翼が展開する。
「一人でも多く届けてやろう。人の思いってやつを」
 勿論ただ飛行させるだけではない。纏った加護を展開して飛行ペナルティの軽減も忘れていない。
 暴れる大いなるものの攻撃を受けて墜落しかけた仲間がいても、すぐに飛び込んでキャッチしてみせる。
「一度落ちた位で諦めるやつァ、ここにはいねえのさ」
 一方で地上を攻める『解き放たれた者』水鏡 藍(p3p011332)たちは、大いなるものの足元へと迫る。
 それを振り払おうと巨大な爪と大量の魔方陣で迎え撃つ大いなるもの。
「まだまだ! 諦めないさ。最後まで目的を果たすまではね!」
 藍は降り注ぐ槍の雨をかわしながら『ブレイズハート・ヒートソウル』を発動。
 群がっている星界獣たちを引きつけると、『神気閃光』をぶっ放した。
 式神として作った小さな狐の子は周囲をきょろきょろと見回し、囲まれていることを知らせてくる。百も承知だ。
 藍はキッと大いなるものの足元を睨むと、剣に纏わせた邪悪な怨念の力をそのままに斬りかかった。
 そこへ更に攻撃をしかける『虚飾』楊枝 茄子子(p3p008356)。
「しょうがないなぁ。牡丹くんに呼ばれたからね。特別だよ」
 ライアーメイク、レイヤープロテクト、フェイクシフト、レッド・ヘリング、ブラフアデプト――と様々な付与術を自らに施すと、『羽衣賛歌』を歌ってまだ飛行が付与されていない仲間たちに付与していく。
「罪は消えない。だから“良い子”になって全部上書きしちゃえばいいんだよ。
 私はそうした。これからもそうする。
 キミもそうしなよ」
 その言葉は、ステラに向けられたものだろう。
 茄子子は微笑み、『スカルダガリー』の術式を発動。不可視の何かが大いなるものの足に刻まれた傷へと打ち込まれていく。
「ありがとうな!」
 『ガイアネモネ』紅花 牡丹(p3p010983)は茄子子たちに礼を言いつつ空へと飛翔。
 継続して発動させたパンドラの加護によって握りしめたパラソルに炎を巻き付けると、大いなるものの眼球へ突き立てる。
 目の前でみるみると修復されていく眼球が忌々しいが、相手も相手でこちらのことが邪魔で仕方ないはずだ。
 なにせこの攻撃によって流し込まれた効果によって茄子子たちの攻撃もまた効果が出やすくなっているはずだから。
「この調子でダメージを与えていけ! 『大いなるもの』もステラを取り込みきれてない。どころか持て余してるはずだ。ダメージを与えまくればそのうち吐き出す!」
 確信をもって、牡丹はそう叫ぶのだった。

成否

成功


第2章 第11節

ウォリア(p3p001789)
生命に焦がれて
メイメイ・ルー(p3p004460)
祈りの守護者
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
柊木 涼花(p3p010038)
絆音、戦場揺らす

 付与魔術を受け、次々に飛翔していく仲間たち。その姿はさながら流れ星のようであった。
「我 繋がり共に歩む者(フリッケライ)
 コノ名二託サレタ願イノモト アルム達ステラ結ンダ縁 我モ護ロウ」
 イクリプスの姿を継続した『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)もまた飛翔し、騎乗していた双頭の青鳥を羽ばたかせる。
「死せる星のエイドス ヨ。縁ヲ辿リ 我ラガ癒ヤシ 星ノ少女ヘト届ケタマエ」
 フリークライは握りしめたエイドスに願いを込めると、継続して大量の槍を降らせる大いなるものの魔法を前に治癒魔法を展開。
 自らの巨体も盾にしつつ、仲間たちの攻撃を継続させる。
 それは風の翼をはやし飛行する『灯したい、火を』柊木 涼花(p3p010038)も同じであった。
「とにかく、あいつを止めないことにはステラさん奪還は難しそうでしょうか。なら、まずはそこに集中……!」
 大いなるものの周囲を飛び回りながら次々に降り注ぐ槍を回避。その最中もギターを鳴らし演奏を続け、治癒の魔法を展開していく。
「傷がまだ開いていますね。なら……!」
 音楽を途中から苛烈なものに変え、魔法の槍を生成。音楽の力が凝縮された槍はまっすぐに大いなるものの足へと飛び、突き刺さった。
「まだ、まだ……! わたし達も、止まりはしません……!」
 『約束の力』メイメイ・ルー(p3p004460)はパンドラの加護を発動。黒きもやのようなものを身体に纏うと、フッと笑って腕のブレスレットを見た。
 願いが、想いが、言葉に出来ない情熱が籠もったそれを。
「ステラさまは絶対に絶対に……返して貰います、から!」
 付与効果を受けて生まれた風の翼を羽ばたかせ、味方が切り拓いた星界獣たちの間をすり抜けるように飛んで行く。
 そして『カペラの道行き』に力を込めると、白い光と黒いもやが混ざり合った巨大な力へと変化していった。
 叩きつけたと同時にその力を解放。
 そこへ『生命に焦がれて』ウォリア(p3p001789)が剣を掲げ突っ込んでいく。
「少女を取り戻さんとする想い、諦めない心。
 ならばオレもまた、焔として共に往こう」
 パンドラの加護を発動。巨大な竜の如き姿へと変化すると、その内側から溢れんばかりの炎を燃え上がらせる。
 払いのけようと繰り出された大いなるものの爪をその身で受けると、ガキンと硬質な音をあげて攻撃を受け止めた。
 ダメージは激しいものの、むしろそれは望むところだ。
 『鏡の少女へ』『偉大なる魔女へ』そして『チートスキル』の効果がそれぞれ発動し、炎が更に大きくなる。
 そして、-SIN-『火斬熔剣』にそれらの炎を纏わせ巨大な炎の剣に変えると、思い切り大いなるものの足元へと叩きつけた。

成否

成功


第2章 第12節

Lily Aileen Lane(p3p002187)
100点満点
リョウブ=イサ(p3p002495)
老兵は死せず
カシャ=ヤスオカ(p3p004243)
カイカと一緒
安宅 明寿(p3p004488)
流浪の“犬”客
ネクタル・S・ライム(p3p006674)
サキュバスライム?

 戦場に降り立つ、三人の影。
 その先頭に立つのは、『老兵は死せず』リョウブ=イサ(p3p002495)であった。
「最後くらい、少しは役に立って見せないとね。
 老兵でも、英雄の道を切り開くくらいはしてみせるとも」
 杖を握り、魔術を込める。そして悠然と大いなるものへと歩き出した。
 それを阻もうと迫る星界獣を魔法の衝撃で吹き飛ばすと、治癒の魔法を展開。
 飛び込んでいく『カイカと一緒』カシャ=ヤスオカ(p3p004243)を補佐する。
「これじゃ……誰も、安らかに眠れない……。
 ボ、ボクは、墓守だからこそ……こ、こんな死に方も、終わりも……絶対やだ……!」
 大いなるものにすべてを蹂躙されるさまを想像し、カシャは首を振る。そしてそばに寄り添ったカイカをちらりと見た。
(弱くて、なんにもできないボクでも、今は少しだけ踏み出して……皆さんを、助けたい)
 その勇気はカシャを星界獣の群れへと突撃させた。
 杖を握り、『ディスペアー・ブルー』の魔術を発動。黒き魔力の奔流が星界獣たちへと叩き込まれ、爆発を引き起こした。
「カイカ、見守ってて」
 そこへ更に現れたのは『流浪の“犬”客』安宅 明寿(p3p004488)。
「某はしがない剣客、いや、犬客にて
 なればここで、最後に一花咲かせてしてなんとする!」
 抜刀した刀をキラリと光らせ、星界獣の群れへと突進。
 爪や牙を繰り出す星界獣の攻撃を受けながらも、リョウブの治癒を受け強引に斬り込んでいく。
 繰り出した剣は星界獣を真っ二つに斬り割き、『名乗り口上』は周囲の星界獣を引きつけさせる。
 一斉に無数の星界獣が食らいついてくるが、明寿の巧みな剣術によって次々と反撃が仕掛けられる。
「某は、少々反撃の術も心得ておってな。無傷では済まさんさ!」
 そうして切り拓かれた道を、『100点満点』Lily Aileen Lane(p3p002187)が飛行しながら突き進む。
「ステラさんは“端末”じゃない! 一人の感情のある人なのです!」
 装備した『執行兵器・薊』を、邪魔しようと飛びかかる飛行型星界獣に叩きつける。
 突き出た杭が星界獣を貫いた。
「ステラさんが本当に生きたいと願うなら、それに応えるのがイレギュラーズ
 ならば使うよ。助ける為に『パンドラ』の加護を!」
 Lilyの背から翼がはえ、黒いドレスが身を包む。
「ねぇ知ってる?
 北極星って、迷い人を導く希望の星なんだって。
 私ねステラさんを導く星になりたいな」
 ついにたどり着いた大いなるものの胴体。そこへ『執行兵器・薊』を叩きつけ全力を込め杭を打ち込む。
「聞こえたのなら願って! 皆と歩みたいって!」
 瞬間……確かにステラの想いが伝わった。こちらに助けを求め、手を伸ばそうとする意志が。
 それに更に答えようと攻撃を再会しようとしたLilyに、大いなるものの爪が襲いかかる。
 が、それが直撃することはなかった。
「先輩の事だから無理するつもりだったのでしょうけど、先ずは生き残る事を優先にして下さい!
 それを守った上でステラさんを救出しましょうよ!」
 『サキュバスライム?』ネクタル・S・ライム(p3p006674)がカバーにはいり、治癒魔法でなんとかその場を凌いだらしい。
 間一髪だったLilyを改修し、一度後退するライムたち。
「どうです、『声』は聞こえましたか?」
「声は……聞こえなかった。けど、確かに『願い』は受け取ったよ」
「願い……ですか。それなら、充分ですね」
 抗うのも、戦うのも、それさえあれば事足りる。
 ローレットとは、そういう組織だったじゃないか。

成否

成功


第2章 第13節

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※システムアナウンス

 イレギュラーズの活躍によって状況に変化が生じました。

【大いなるもの】
 右目と左足に大きな傷を負っており、現在これを修復中です。
 ステラがいまだ腹の中にいることがわかっています。
 また、大いなるものはステラの力を持て余しており、本体を攻撃し続ければいずれステラを吐き出すであろうことが分かりました。

【ドラゴニック】
 全身に大きな傷を受けており、このまま行けば倒すことが可能になるでしょう。
 ただしドラゴニック側も必死の抵抗を始めており、こちらにとっても危険な状態となっています。
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第2章 第14節

チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)
炎の守護者
エマ(p3p000257)
こそどろ
ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
祝音・猫乃見・来探(p3p009413)
優しい白子猫
マリエッタ・エーレイン(p3p010534)
死血の魔女

 『大いなるもの』の様子は明らかに変わっていた。右目と左足に傷を負い、今もなおその傷口は徐々に修復を始めている。
 そして傷付いた足をなんとも思わないかのように、大いなるものはワームホールへと進み続けていた。
「邪魔が入った……ッ! まだステラさんは助かるんですよね!?」
 そんな巨体を前にして、『こそどろ』エマ(p3p000257)は随分と手に馴染んできた剣『メッサー』を鞘から引き抜いた。
 シャランという涼やかな音と共に、『近未来観測』のスキルを発動。目を僅かに見開くと、エマは大いなるものめがけて走り出す。パンドラの加護を使用し、エマの姿は可能性の果てにあるそれへと変化する。
「どうにかあなたの助けを呼ぶ声に応えたいので、私もここは命を懸けますよ!
 あきらめないでくださいね! 今何とかしてますからね!!
 絶望の泥の中でこそ、希望は強く……輝くものですよ!」
 大いなるものに呑まれたステラに呼びかけるように叫びつつ、仲間が切り拓いてくれた星界獣たちの間を抜けてメッサーで足へと斬りかかる。
 吹き上がる血は、確かに大いなるものが傷を受ける存在であることを示している。
 血が流れるなら、それは神とて死ぬということだ。
 そこへ『炎の守護者』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)が駆け寄ってくる。
「こんにゃろ、ステラさんを返せ!」
 忌々しげに叫ぶと、『機煌重盾』と『機煌宝剣・二式』をそれぞれ構える。
 狙いは再び集まってくる星界獣たちだ。
「おまえたちの相手はオイラだ! さあ、かかってこい!」
 チャロロが叫ぶや否や、目の色を変えた星界獣たちが襲いかかってくる。
 幼体たちの攻撃ではチャロロはびくともしないのだが、問題は強力な人型星界獣たちだ。
 彼らは腕を剣に変え、チャロロへと斬りかかってくる。それを盾で受け流しながら、絶妙なタイミングで剣を叩き込む。
「これで足元をあけられれば攻撃できる場所が増える!
 露払いはオイラに任せて、みんなはあいつをやっちゃって!
 この世界を滅ぼさせてたまるか。
 オイラたちで守るんだ!」
 そうして切り拓かれた道を駆け抜けるのは『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)と『祈光のシュネー』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)だ。
 ヨゾラは飛行士、大いなるものの胴体へと『星の破撃』を叩き込む。
「ステラさんを返すまで! 何度だってぶんなぐってやる!」
 そんなヨゾラへ飛行型の星界獣たちが群がるが、『パラダイスロスト』の魔術をばらまくことで次々に撃墜していった。
「邪魔だ……とっとと通せ!」
 怒りを浮かべた表情で星界獣たちを睨むと、大いなるものの腹……もといその向こうにいるであろうステラへと呼びかける。
「希望を持って、諦めないで……絶対に助けるからね!」
 その一方で、『祈光のシュネー』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)は大いなるものの足へと攻撃を連続させていた。
「ステラさん……猫さんは可愛いよ、撫で心地や温もりを思い出してって言いたくて……。
 猫さんの縫い包みも渡そうと思ってたけど……。
 間に合わなくてごめん。絶対、助けるからね……!」
 チャロロが引きつけてくれている星界獣たちには『糸切傀儡』を使って排除を試みつつ、その隙をついて大いなるものへと倍加した『アイン・ソフ・オウル』を打ち込んでいく。
「ステラさんを解放しろ! ばかーーー!!」
 祝音の力は通常のものとはまるで違う。『球掴希端』によって攻撃力を増しているためだ。
 その一方で、チャロロがダメージを受けるたび手持ちの治癒魔法でフォローをかけておく。
「誰も倒れさせない! 皆でステラさんを助けるんだ! みゃー!」
 そんな光景を横目に、『死血の魔女』マリエッタ・エーレイン(p3p010534)は血の翼を広げ大いなるものの周りを飛行していた。
 パンドラの加護を発動させ、『死を血の願いで超える魔女』の姿をとったマリエッタはまさに死血の魔女そのものだ。表情も、しぐさも、そして言葉遣いすらも。
「いい顔になったじゃない、大いなるもの。
 でも正直呼びづらいわ。名前かなにかはないの?
 無い、なんて可哀そうなことはないでしょう。教えなさいよ。
 ふふ……お話しながらその顔、潰してあげるわ」
 手をかざし、大量の血の剣を作り出す。それぞれ造形の異なる無数の剣が一斉に大いなるものの眼球へと向けられ、そして一斉発射される。
 それだけではない。血の大鎌を作り出すとマリエッタは倍加した『真影血華』を繰り出した。
 強烈な斬撃が大いなるものの顔面をはしる。

成否

成功


第2章 第15節

レッド(p3p000395)
赤々靴
ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)
白き寓話
マッチョ ☆ プリン(p3p008503)
目的第一
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘

「理不尽な終焉は……ブレイクするに限るっす!」
 赤い靴を鳴らし、現れたのは『赤々靴』レッド(p3p000395)。
 点々と続く赤い足跡が、彼女の存在をくっきりと残している。
 そして、レッドは重火砲魔導具『トラブルシューター』を担ぎ上げた。
「守るとこは傷つけられたくない所ぉ! そこをぶっ壊すのがぁ! ボクの役目ぇ!!」
 目を見開き、パンドラの加護を発動。露わとなったその姿は、もはや赤い靴の女の子ではない。おぞましき肉と骨の様相と、流れる血の化粧。悪魔のごときその姿はしかし、今世界を救うために現されていた。
「さあ、我に続けーっす!」
 足めがけて砲撃をぶっ放し、激しい魔力爆発を引き起こす。
「混沌のステラさんにはあのわくわくhouseを見て堪能してもらう予定! それも無しに悲劇なお別れなんてのはナッシングっす!」
 そこへ飛び込んでいったのは『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)だった。
「大いなるものよ、お前の好きにはさせないぞ。
 この希望ある世界は喰わせないし、滅ぼさせない!」
 ワイバーン『リオン』へと騎乗したままパンドラの加護を継続発動。五線譜の光を引き連れ、まるでオーケストラを指揮するかのように美しい音楽を鳴り響かせる。
 狙うは大いなるものの腹部分。繰り出した剣から光が放たれ、巨大な音の魔法となって叩き込まれる。
 それを邪魔に思ったのか、それともイズマの強さに危機感を抱いたのか。大いなるものは爪に魔力を燃え上がらせ衝撃と共に繰り出してくる。
「――ッ!」
 対抗して剣を振り、爪の一撃を受け止めるイズマ。巨大な五線譜の光が爪に灯る巨大な魔法を相殺させ、爆発を起こした。
 『白き寓話』ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)は白き魔法の翼をふんわりと羽ばたかせると、大いなるものの遥か上空から急降下を仕掛けた。
 手には儀礼用短剣『トレーネ』。周囲に結界術『虹色庭園』を展開し、更に複数の付与術を用いて自らの力を増加させる。
「ちょっと、止まってもらうわよ……!!」
 短剣に込められたのは『可能性』の力。それを全力で解放し、大いなるものの頭部へと振り下ろす。
 凄まじい衝撃をうけた大いなるものが頭をふり、そしてヴァイスをにらみ付けた。
 途端、空中に巨大な魔方陣が大量に出現。そこから無数の槍が放たれるが、ヴァイスはそれらをギリギリで回避していく。
 そうして大いなるものの意識が上へ向いているなか、『目的第一』マッチョ ☆ プリン(p3p008503)は足元の反対側へと回り込んでいた。
「手負の強者は恐ろしい。竜にトドメが刺された事を確認してから加勢に向かうつもりだったが……それもまた心配はいらない様だ。
 早めにこちらの加勢に回るとしよう」
 冷静に呟くと、『環境踏破’PM』を発動。更に自らの持つ複数の付与術を全力発動させると、拳に強烈な力を込めた。
「左目共々潰すのも手だが……確実に。今のアドバンテージを。じっくり踏み固ませて貰おう」
 狙うは足の傷口。いまだ塞がっていないそこへ叩き込まれた拳は、確かに骨の感触をとらえた。
 こちらの攻撃を受けながらも歩を進め続けていた大いなるものが、その一瞬足を止める。
 それを確認しながらも、マッチョ☆プリンは握っていたエイドスを砕けさせた。
「扱い切れないなら早々に手放してはどうだ?
 諦め切れないからと駄々を捏ねてしがみついていると……リターン以上の痛い目をみる羽目になるものだぞ」
 その一方で、『竜域の娘』ユーフォニー(p3p010323)は竜の姿をとりながら大いなるものの眼球めがけ砲撃をくり返していた。
(竜域は譲らない、食い止める! ステラに手荒くしたのは謝らなきゃ)
 そう考えつつも、脳裏をよぎるのはかのベルゼーとの交流だった。
 ベルゼーさんは他国を襲ったけれど覇竜を愛し守り続けた。
 だから助けたいと思うひとがいた。
 私もそうだった。
 ならステラと凶星の違いは?
 手を差し伸ばされるひととそうでないひと。
 あなたは……。
「攻撃は充分に与えた、一旦退くぞ!」
 マッチョ ☆ プリンの呼びかけにこたえ、仲間立ちが退いていく。ユーフォニーもまた、攻撃を一度中断して後退することにした。

「ユーフォニーさん!」
 ワームホールを一度抜け、比較的安全なアスタ上空へと戻ってきたユーフォニー。
 彼女を待っていたのはアスタの長を務める星の巫女アドプレッサであった。
 何事かと彼女のもとへ降り立つと、アドプレッサも駆け寄ってくる。
「そちらで何か進展が?」
「はい。皆さんの戦力を脅威とみたのでしょう。星界獣の殆どが影の領域側へと移動していきました。そのおかげでアスタを一次的に奪還することができたのです」
「それは……!」
 よい知らせだ。だがなぜ今? という疑問がユーフォニーに浮かんだが、それはすぐに
解消されることになる。
「私達は長年『星の祠』と共に生きてきましたが、その本性までは知ることはありませんでした。ですが皆さんの持ち込んだ奇跡の石……エイドスを調べるうち、これが同種のものであると分かったのです。
 星の祠は星界獣の一部であり、同時に奇跡を助ける力の結晶でもあったのです」
 そう言いながら、アドプレッサは鍵のようなものを取り出し、ユーフォニーへと差し出した。
「『然るべき時』が来たら、この鍵が光を放ち伝えるでしょう。これを、あなたが盛っていて下さい。『大いなるもの』へ、奇跡の一撃を与えるための力となるはずです」
「……これを、私が持っていてもいいのですか?」
 おそるおそる手に取るユーフォニー、どこか温かい、鍵の形をした石だ。
「それはマーカーの役割を果たし、祠の射程圏内にあるものへ力を送り込んでくれます。幸いワームホールによって影の領域まで繋がっていますから、『大いなるもの』だけであれば射程圏内に納めることができるでしょう。発動は、あなたにこそ任せたいのです」
「ですが」
 何か言おうとしたユーフォニーに、アドプレッサは微笑みかける。
「あなたは、私達の気持ちを考えてくれた。そして、私達を見つけて、救ってくれた。あなたは私たちのヒーローなのです。だからこそ、預けたい」
 その言葉を受けて、ユーフォニーは強く鍵を握りしめた。
「わかりました。これは……私が預かっておきます。然るべき時まで」

成否

成功


第2章 第16節

マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)
涙を知る泥人形
ルブラット・メルクライン(p3p009557)
61分目の針
大和型戦艦 二番艦 武蔵(p3p010829)
レイテ・コロン(p3p011010)
武蔵を護る盾
星華(p3p011367)
焔竜の頌歌

 翼から血を流し、咆哮をあげる特殊星界獣ドラゴニック。
 竜種のエネルギーを喰らい進化した、竜にも匹敵する強力な個体というだけあってここまでのダメージを受けてもまだ戦えるようだ。どころか、攻撃はより苛烈になっている。
「目標確認! 行こう武蔵! ドラゴニックを落とす為に!」
 ゴーグルを装着し、『武蔵を護る盾』レイテ・コロン(p3p011010)は三種の付与スキルを一斉展開。
 大和型戦艦 二番艦 武蔵(p3p010829)の能力『連合艦隊旗艦』を用いて共に空を滑るように飛ぶと、地を滑る武蔵とちらりと目を合わせる。
「まさしく手負いの獣か……!!
 だが、仕留めるにこの機をおいて他はなし、往くぞ!!」
「ああ!」
 そんな二人を迎え撃つように、ドラゴニックは喉を鳴らし炎のブレスを放射。
 凄まじい熱と衝撃がぶつかってくるが、前方に位置取ったレイテがそのダメージをすべて引き受けた。
(武蔵や皆がお前を倒すまで、何度叩きのめされてもボクは立ち上がり続けて武蔵を護る。
 PPPなんて頼らない。
 あんなもの無くても、立ち上がり続けられる力が今のボクにはある!)
 そう、この想いこそがすべてを護る力となる。
 レイテはぶつけられた衝撃を【茨】の力で反射しつつ、両腕を翳して防御を固める。
「無茶してるのは解ってるよ。
 でもその無茶を通し切る! 武蔵と生きて帰る為に!」
 その想いに答えるようにして、武蔵は艤装の砲をすべてドラゴニックへと向けた。
「奴の重厚な装甲にも傷がついているが、そこを抉れなくとも貫通を狙えるようにしておくべきか……。
 徹甲弾装填よし、主砲、一斉射!!」
 ドッという音と共に放たれる大量の砲撃。それは携行品の力によって底上げされた強力な一撃としてドラゴニックの肉体に突き刺さる。
「確かに奴のあの暴威、盾にするに不安にならないと言えば嘘になるだろう
だが、信じよう。
 そして、守りは任せたからには、使わせてもらおう!!」
 その一方で、『焔竜の頌歌』星華(p3p011367)が空を泳ぐように飛行しドラゴニックの側面咆哮へと回り込んでいた。
「うぉぉ、ヤバくなってきちゃってる!!
 パノラミックだかエレクトロニックだか知らないけど!!」
 翳した杖から立ち上る炎のドラゴン・ロア。
 その炎を仲間達に分け与え先ほどのレイテや武蔵たちを支援すると、その合間に炎を攻勢術式に切り替えてドラゴニックへと放射する。
「お姉さんやること多いと思うんだけど!!」
 傷付いたドラゴニックの翼を燃やしながら、星華は次なる術式を準備する。
「竜種のパチモンの咆哮なんて、私の頌歌(うた)でかき消してやるわ~~!!
 へへ、やればできるって、こういうことを言うのよね」
 そうした支援を受けた『61分目の針』ルブラット・メルクライン(p3p009557)が、短剣を抜いてドラゴニックへと突撃していく。
「……さて。
 私も個人的な感情で、前線に舞い戻ってきたよ。
 ドラゴニックに恨みはないが、この戦いが一人の救いを求める者の手を取る英雄譚に帰結するのであれば、私も応援したくなってきてね。
 此方は私たちが対処しよう」
 握りしめたのは人々の想いがこもった短剣。パンドラの加護を発動させ、イクリプスの姿をとるとルブラットはドラゴニックの巨体を駆け上がった。
 振りほどこうと暴れるドラゴニックの身体に剣を突き立て、強引に斬り割く。
 吹き上がる血がルブラットの白衣を赤く塗らした。
 そこへ更に飛行した『涙を知る泥人形』マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)が追撃を仕掛けた。
「世界の命運を賭けた戦いだ、竜ごとき仕留めてみせずして何が英雄か! 何がイレギュラーズか!!」
 吹き上がる血を目印にして、『カータライズ・アセンション』の術式を叩き込むマッダラー。
「そこに助けを求めている少女がいて、それを守るために懸命に戦おうとしている仲間がいて、お前さんがそれを邪魔している。
 だったら何をしなければならないか決まり切った話だ!! 邪魔をするな!! とっとと地に落ちろ! このトカゲ野郎!!」
 更に翼の付け根に狙いを定めると、マッダラーは『ナイトメアユアセルフ』を全力で連射した。
 傷付いた翼が歪に曲がり、ドラゴニックが悲鳴にも似た声を上げる。

成否

成功


第2章 第17節

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)
鉱龍神
多次元世界 観測端末(p3p010858)
観測中
マリオン・エイム(p3p010866)
晴夜の魔法(砲)戦士
ピリア(p3p010939)
欠けない月

 ドラゴニックとの激戦が繰り広げられるその一方、大いなるものとの戦いもまた激化していた。
「この世界は酷い世界だから滅ぼす?勝手に決めつけるお前達のほうが酷いぞ。
 問題があるなら皆で世界を今より良く変えていけばいいんだよ。それは世界に生きる者の権利だ。
 だから、終わらせてなるものか、無辜なる混沌も、数多の多元宇宙も!」
 『鉱龍神』ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)がパンドラの加護を使用し、かつての世界で見せたような神々しい力を発動させる。
「征こう、ェクアリゥム。アレを倒してステラと世界を救おう」
 その声に応えたのは『観測中』多次元世界 観測端末(p3p010858)。
「ええ。滅びの力等、押し退けステラさんを救いましょう。ェクセレリァス、愛する貴女と共に!」
 飛行するくェクセレリァスを庇うように観測端末が触手を伸ばし防御を固める。
 対する大いなるものは大量の魔方陣を展開。そこから大量の炎の鞭を出現させるとェクセレリァスたちへと放った。
 それらの攻撃を一手に引き受け、攻撃を絡め取っていく観測端末。
 観測端末はかつてプーレルジールの拠点でステラと握手を交わしたときのことを思い出していた。確かに言ってくれた、友達という言葉。
 それを、この世界のステラにも教えてあげたい。あの温かさを。手を取り合うということを。
「どうかステラさんが、ステラさんのままで居られる様、彼女に加護を」
 エイドスを握りしめながら祈ると、観測端末は自らの治癒を開始。
 ェクセレリァスはその間に『RRR・終光』を備えた。
 臨界状態の魔導金属「ェクセレヴォラナイト」の粒子を目標内部に転送し重力崩壊させる疑似波動砲。つまりはェクセレリァスのドラゴンブレスだ。
 眩い銀の光が大いなるものへと突き刺さり、その身を焦がす。
 『欠けない月』ピリア(p3p010939)はその攻撃にあわせるように、『晴夜の魔法(砲)戦士』マリオン・エイム(p3p010866)と共に動き出す。
「あったことないけど、がんばる子のじゃま、いけないのー!
 マリオンさん、いっしょにステラさん、たすけるの! だって、やり直すことって、みんなできることだもんね♪」
 そう言いながら発動させたパンドラの加護。イクリプスの姿をとったピリアからは泡のようなエネルギー体が湧き上がる。まるで自らが世界に溶けていってしまうかのような、その姿。
「声を喪ってしまったかもしれない未来の自分を、今力に変えるの! ピリア、パンドラいっぱいだから、がんばっちゃうの!
 こんどは、なかないよ? だって、マリオンさんがいっしょだもん! ね、うみちゃん!」
 そうして、本来ならばありえない歌を歌い始めるピリア。オパールの煌めきが広がり、『ワールドエンド・ルナティック』の魔術へと形成されていく。
 それが打ち込まれるのとほぼ同時。
 マリオンは『殲光砲魔神』を連続発射した。ハーフ・アムリアを使用しながら打ち続けた耐火力の砲撃は、魔法と混じり合って大いなるものの焦げ付いた胴体へと打ち込まれていく。
「本体を攻撃し続ければステラさんを助けられる……なら、僕がやる事は1つ!」
 そんな攻撃にさらに合わせるようにして、『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)が『星空の魔術紋』を自らに付与。
 跳躍し大いなるものへと流星の如く迫ると、大火力の『星の破撃』を叩き込んだ。
「ステラさんを吐き出せ、とっとと皆の所に帰せ!
 彼女は……大切な人達とこれからを幸せに過ごすんだぁぁぁ!!」
「僕は星空の星に手を伸ばし続ける魔術紋…星に、友達に……ステラさんに手を伸ばし、絶対に救い出す…救う助けになる!
 アルムさん達がステラさんを救えるように!
 僕自身が、僕自身を賭けるって決めたんだ!」
 その想いは力となって爆発し、大いなるものの強固なる肉体をえぐるような破壊力へと昇華していく。
 大いなるものはまた僅かに足を止め、ヨゾラたちをにらみ付けた。

成否

成功


第2章 第18節

モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)
闇と月光の祝福
フーガ・リリオ(p3p010595)
青薔薇救護隊

(陣地で一旦休もうかと思ったけど……あと一押しなら、もう少しひと働きする。
 一生懸命戦う人が休めるように。少しでも誰かを救う可能性を高めるように)
 青薔薇隊のリーダー、『君を護る黄金百合』フーガ・リリオ(p3p010595)は戦闘用トランペットを手に再びドラゴニックの前へと舞い戻っていた。
「負傷者達や愛する妻達……ステラを助けようとする人達を潰すなっていう、個人的な怒りってヤツ! くらわせてやる!」
 拳を握りしめ、そして魔術を展開した。
 パンドラの加護を使用し、神々しいほどの青き波動を全身にみなぎらせると、ドラゴニックめがけ思い切り拳を突き出した。
 それは巨大な魔術の砲撃となってドラゴニックの顔面へと繰り出され、ドラゴニックは思わずのけぞる。
「フーガさん!」
 舞い戻っていたのは彼だけではない。『ラストドロップ』ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)もだ。
「手負いの獣は恐ろしいもの。狩りにおいて忘れてはいけない事です。
 ええ……ドラゴニックはここで仕留めましょう」
 弓を握りしめ、『茨の鎧』を展開。先ほどフーガが叩き込んだ砲撃と同じ場所を狙って、一発の弓をはなった。
 それはたった一発なれど、強力な魔力と毒を込めた矢である。
 それがドラゴニックの右目へと突き刺さり、ドラゴニックは激しい悲鳴のような声をあげた。
 反撃とばかりにドラゴニックが炎のブレスを放射してくるが、ジョシュアの纏っていた【棘】のエネルギーがドラゴニックへと更なるダメージを浴びせていく。
「これからステラさんとの再会という、いいシーンが始まるんだ。
 野暮なあなたは邪魔なので、早くご退場くださいませ」
 そんな彼らと混じるようにして、連携をこなす『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)。
 偶然居合わせた仲間とのマッチアップもまたローレットの長い歴史のなかで学んだことのひとつだ。
 そしてモカは『デスティーノ・コイントス』『狂イ梅、毒泉』の付与術で己の肉体を強化すると、蹴りに『ブルーフェイクIII』の力を込めて解き放った。
 ドラゴニックの巨体が大きく揺れる。
 翼を羽ばたかせ上空へ逃げようとするも、ドラゴニックの翼は歪んでうまく飛べないようだった。
 ならばと爪を繰り出しモカへと攻撃をしかけてくる。
「おっと、世界は救いたいが、私もまだ死ぬわけには行かない。
 まだ混沌世界でやる事が色々と残ってるのだ!」
 モカは素早く身を退くと、他の仲間と共に素早く撤退を選んだ。なにせ、あとからくる仲間は大所帯なのだ。まかせておいて不足はないだろう。

成否

成功


第2章 第19節

志屍 志(p3p000416)
遺言代行業
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
武器商人(p3p001107)
闇之雲
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)
流星と並び立つ赤き備
シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)
ロクデナシ車椅子探偵
オニキス・ハート(p3p008639)
八十八式重火砲型機動魔法少女
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)
挫けぬ笑顔
佐藤 美咲(p3p009818)
無職
刻見 雲雀(p3p010272)
最果てに至る邪眼
夢野 幸潮(p3p010573)
敗れた幻想の担い手
火野・彩陽(p3p010663)
晶竜封殺

「追い詰めて地面へ落とす手もあると思っていたけれど……これは仲間たちの功績に感謝ね」
 折れた翼から血を流しながら吠えるドラゴニックを見上げ、ラムレイの馬上から戦旗を掲げる『流星の少女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)。
 実に12名の仲間を揃え、『騎兵隊』がやってきたのだ。
「まずは総攻撃! いくわよ!」
 イーリンが先陣を切る形で『月読狩』と『後弾機』を駆使しながらドラゴニックへ攻撃を開始。
 フリームファクシに騎乗した『真紅之備』エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)が同時に飛び出していく。
「はっはっは、いやまあ、出遅れたもんだ!ま、ここから遅れた分は取り返す。先陣は任せな!
 で? おあつらえ向きにでかいのがいるじゃねぇか! 早速だが刈り取らせてもらうぜ!」
 ぐるりと回した槍に力を込めると、『慟哭のジ・アース』を発動。ドラゴニックの肉体に槍を突き立てると、そこから更に追撃を加える。
「竜種なんざなんぼでも相手してきたんだ。今更この程度!」
 その一方でワイバーンに騎乗した『最果てに至る邪眼』刻見 雲雀(p3p010272)が側面方向から回り込み、傷付いた翼めがけ『恒常性グランギニョル』を連打した。
「どんなに硬い相手でも総じて内側は弱い。
 体内を焼かれる感覚はさぞ苦痛だろう。
 盛大に吐いてもらおうか、ブレスじゃなく体内の血液を片っ端からね!」
 攻撃が有効とみた雲雀は更に『ヴェノムジュエル』の術式を発動。
 血の呪印を天空に大きく描くと、毒の術を流し込んでいく。
「まだまだ――」
 天空の呪印がひとりでに形を変え、更なる術式を発動していく。
 『極彩アポトーシス』と『完全掌握プロトコル』の術式がドラゴニックの翼の付け根に打ち込まれ、ドラゴニックが苦痛に首を振った。
 何かと思えば、翼にむけて治癒の魔法をかけているようだ。
「エレンシア! 攻撃を畳みかけて! とにかく大火力でおねがい!」
「トドメにとっておいたヤツなんだが……まあいいか、任せな!」
 エレンシアは『終焉のレーヴァテイン』を発動させると『コードレッド・オーバーゾーン』をたたき込み、ドラゴニックの翼を決定的に破壊してしまった。
「悪いわね、竜を模して相手にしてきた時間は、私達の方が長い! ――ゴリョウ、反撃に備えて!」
「おう!」
 『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)が飛び出し、聖盾を構える。
 いくつもの想いと物語の詰まったこの盾は、そう容易に突破できるものではない。
 ドラゴニックの繰り出す爪の一撃を、ゴリョウはしっかりと仲間を庇う形で受け止めてみせた。
 あまりの頑強さにドラゴニックがうなりを上げる。
「悪いが俺ぁオメェさんをナメちゃいねぇ!
 こちとら『フリ』の可能性すら想定して動いてんだよ!」
 ゴリョウはドラゴニックがこれまで散々見せてきたブレスの予備動作をしっかり記憶していた。故にどう護るかも理解しているのだ。ブレスとみせかけてこちらを退かせようとする動きすらも、当然見通している。
 ドラゴニックはならばと喉を鳴らす。ブレスの予備動作だ。
「『騎兵防御陣』!」
「まかせて!」
 ここぞとばかりに飛び出したのは『挫けぬ笑顔』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)だ。
 パンドラの加護を使い『黒竜魔人』の姿をとると、全体の陣形が一斉に変更されヴェルーリアの後ろに隠れる形となる。
 ヴェルーリアはドラゴニックが炎のブレスを放射するその瞬間を狙い、巨大な魔術障壁を展開してみせた。
「絶対に見逃さない。今度は私が受ける!
 稼いだ時間で騎兵隊が必ずドラゴニックを倒す! それだけだよ!」
 ヴェルーリアが一人で引き受けたドラゴニックのブレス。それを仲間たちが治癒の魔法でサポートする。
 そうしてドラゴニックのブレスを受けきってみせると、ドラゴニックは忌々しげにヴェルーリアをにらみ付けた。大勢の敵をなぎ払えると思ったらヴェルーリア一人で引き受けられてしまったのだ。大損も良いところである。
「お返しだよ!」
 ヴェルーリアは『SoB』を発動。三頭身のヴェルーリア軍を召喚したが、今回はなんといってもイクリプスバージョン。全員黒竜魔人の姿でドラゴニックへ襲いかかり、魔力の爪で鱗をべりべりと剥がしていく。
「反撃開始! とにかく大火力で!」
「承知した」
 『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639)は空に向けてマジカルライフルを発砲。するとどこからともなくやってきたドローン戦車とドローン戦闘機が分離しオニキスへと装着されていく。
「竜種並みの大型星界獣……。
 強敵だけど退く理由はない。あいにくこっちは対竜種戦闘経験は豊富。
 ステラを助けるみんなの邪魔はさせない。フルパワーで撃ち抜かせてもらう……!」
 低空飛行状態となりながらマジカル迫撃砲を連射しながらドラゴニックの側面へと周り、無数の爆発を起こしていく。
 仲間たちの一斉攻撃によってドラゴニックの動きが鈍っていることを確認し、『∞.∞』へと移行した。
「インフィニティモードに移行。マジカルジェネレーター、フルドライブ。バレル接続。固定完了。超々高圧縮魔力充填、120%。ターゲット、ロック。マジカル☆アハトアハト・インフィニティ―――発射(フォイア)!」
 凄まじい砲撃がドラゴニックの脇腹へと直撃。天に向けて吠えるドラゴニック。
 連発は難しいのだろうが、無理矢理に喉を鳴らして再びのブレスを放とうと構える。
「幸潮!」
「ああ――」
 再び『騎兵防御陣』を発動。
 今度は『敗れた幻想の担い手』夢野 幸潮(p3p010573)を先頭にした陣形だ。
「汝誇る絶対の耐久は、本当に『絶対』なのか。
 一度問いただしてみるとしよう。
 其なる傷らを睥睨すれば──如何やら否であったようだな、ん?」
 挑発するように言う幸潮に、炎のブレスが吹き付けられる。
 対抗してパンドラの加護を発動させ、幸潮は空間に巨大な障壁を描きだした。
「ならば恐るる事などないぞ英雄共よ。
 振るう刃に放つ術、聳えし大楯から掲げる旗まで。
 我が『舞台掌握』せしこの物語に於いて。
 汝らの働きが無為になる事などあり得ん。
 思うがままに進め。
 思うがままに戦え」
 ブレスをまたも受けきった騎兵隊。ドラゴニックは無理にブレスを連射したせいで喉から血を吐いていた。
「子供を騙して安楽死を勧める悪い医者、のように見受けられますね。
 違う見解があるのかもしれませんが、死体にすれば分かる事です」
 忍法瑞雲に騎乗した『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)が再び陣形を展開した騎兵隊の先頭にたって攻撃を始めた。
 『紅イ月』を発動させ、『魔光閃熱波』と『ゴールディ・ロア』を連続発射。
 仲間たちの一斉攻撃によって動きが鈍っていることもあってか、ドラゴニックには瑠璃の攻撃は有効であるようだ。抵抗力が鈍り、ドラゴニックは苦し紛れに爪を繰り出してくる。
 それを素早く受けたのは『闇之雲』武器商人(p3p001107)。
 【麗しの覇王】ギネヴィアに騎乗した武器商人は自らに『拝謁せよ、瑠璃の骸套』と『レガリア・レガリア』を付与させ力を増大させていたらしく、ドラゴニックの爪を受けてもヒヒヒと笑うばかり。
(いいね、もう少しで堕とせそうだ。一気にぶち抜いてやろうじゃないか)
 笑顔の下でそんな風に言葉を転がすと、『頭を垂れよ、緋色の罪杖』を発動させドラゴニックへと反撃を始めた。
 影の茨の権能が巨大なそれを生み出し、ドラゴニックの脇腹にできた傷口に突き刺さる。
「さあ進もう! 殲滅し蹂躙するのは我々の方だと教えてやれ!
 我々が引導を渡してやろう!」
 ここまで仲間たちの攻撃が見事にハマっているのは、イーリンの指揮もさることながら『ロクデナシ車椅子探偵』シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)のサポートあってのことであった。
 『クェーサードクトリン』『タクト・オブ・グレイゴースト』『英雄奇譚ラグナロク』『グロリアスレギオン』と豪華に付与をばらまき、高燃費大火力の砲撃を行う仲間にはAP回復も忘れない。
 その合間に、メイドとバト等を中心とした戦闘人形部隊を展開。一斉射撃によって隙を作りにいく。
 更に言うならば、『無職』佐藤 美咲(p3p009818)の連鎖行動によって多くの仲間がドラゴニックより先んじて動き、時にはブレス攻撃に対して事前に陣を組むなどという離れ業もこなしていたのである。
 これまでいくつもの戦線を支えてきた歴戦の猛者、騎兵隊の本領発揮というところだろう。
「結局、最後まで騎兵隊でしたねー……。
 最初様子見のつもりだったんスけど。
 最後でもやることはいつもと変わりません。
 それじゃあ突撃と行きましょうか……!」
 美咲は苦笑し、そして黒き左腕を翳した。
 そういえば大きな戦いに初めて出た時も騎兵隊に混じって戦ったのだったか。敵軍に潜り込んで将を暗殺するなんていう、今から考えても狡い作戦であった。
 あれからいくつもの戦場を渡り歩き、無職になったり義腕になったりと大きく変化してきたつもりだが、そこだけは変わらなかったらしい。
 義手のブーストをふかして力を高めると、ドラゴニックめがけて殴りかかる。
 そうしていくつもの攻撃が重なったことで、『晶竜封殺』火野・彩陽(p3p010663)の出番がやってきた。
「――諦めない。皆で頑張れば何とかなるんよ。
 何とかするんよ。何度でも立っている限り。この体が動く限り。
 自分の持てる力を叩きこむ!!」
 彩陽が放つのは勿論封殺の矢。『ゼピュロスの息吹』を用い連射しドラゴニックの胸に突き刺さったそれは見事に封殺効果を発揮し、その圧倒的な強者の動きを固まらせる。
 フゥ――と彩陽は息を吐き、そして叫ぶ。
「今!」
 騎兵隊すべての攻撃がドラゴニックへと殺到。
 最後に放たれた紫の閃光が、ドラゴニックの首を見事に切断したのだった。

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※システムアナウンス

【ドラゴニック】
 イレギュラーズたちの活躍により、特殊星界獣ドラゴニックの撃破に成功しました!

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成否

成功


第2章 第20節

Lily Aileen Lane(p3p002187)
100点満点
胡桃・ツァンフオ(p3p008299)
ファイアフォックス
星影 向日葵(p3p008750)
遠い約束
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘

 ワームホールも間近。大いなるものは歩みを止めることなく、覇竜の地をめざし進んでいる。
 そんな強大なる存在の前に再び立ちはだかったのは、『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)であった。
「そういうわけもどういうわけもないのだけれども、助けに来たの。
 燃やす事しかできないとは言ったけれども、つまり、これを燃やせばいいのよね?」
 胡桃は自らの周囲に青き焔を無数に展開すると、それらを狐の形へと変化させていく。
 その炎は周囲の仲間たちへと付与され、『Dragonsong』の術式へと昇華した。
 周りへの支援はここまでだと言わんばかりに『デスティーノ・コイントス』を発動させると、大いなるものへと突進。更に『完全逸脱』と『天衣無縫』を重ねがけして自らを極限まで強化すると、拳に無数の炎を集約させ大いなるものへと殴りかかる。
 巨大化した炎が大いなるものの足を覆い、修復されつつある傷口を焼いた。
 そこへ更に激しい砲撃が浴びせられた。
 パンドラの加護を得た『竜域の娘』ユーフォニー(p3p010323)のドラゴンブレスと、それに騎乗し銃撃を行う今井さんによる集中砲火だ。
「ありがとうございますアドプレッサさん」
 ユーフォニーの手の中には『星の鍵』が握られている。
「私は大切な場所の為に好き勝手していただけ……なのに、ヒーローか……」
 『だいすきなひと』の影響かもしれない。そんな風に思いながら、ユーフォニーは連続してブレス砲撃をしかけていく。
『忌々しい――』
 大いなるものは頭の中に直接響くような声をあげ、腕を動かしユーフォニーたちを振り払う。
 そんな大いなるものの感情を、ユーフォニーは読もうとした。
(凶星――。どんな思いで世界を喰らおうとしているの?
 悲しい? 虚しい? 怒り? 私、あなたを知ろうと思う)
 ユーフォニーが大いなるものから読み取ったのはイレギュラーズたちへの憤怒と、そして世界を喰らおうという果てしない欲望であった。
「皆が繋いだ思いを、想いを……繋げて行く。
 助けてと言ったその手を掴むまで、私は諦めない!」
 『100点満点』Lily Aileen Lane(p3p002187)はパンドラの加護を継続して使うと闇の姿をとり、腕を振る大いなるものの背後へと回り込んでいた。
 時限効果を発動させ、『執行兵器・薊』をその背へと叩きつけるLily。
「いい加減、ステラさんを吐き出せー、なのです!」
 至近距離で放たれる『クリムゾン・インパクト』はパイルバンカーの杭と共に打ち込まれ、大いなるものの強固な鱗を破壊する。
 そこから側面を回り、腹めがけ杭のリロードと打ち込みを連発していった。
 常人ならば幾度も死んでいるような衝撃が大いなるものへと叩き込まれ、流石の大いなるものとてその痛みを無視することはできないようだ。
 そこへ更なる追撃を仕掛けたのが『未来への陽を浴びた花』隠岐奈 朝顔(p3p008750)である。
「あの化物の中に、先輩方にとって、大切な人がいるんですね?
 なら、彼女を吐き出させる為のお手伝い。私もさせて貰います!
 ……大切な人を失った人を、これ以上増やしてたまるもんですか」
 パンドラの加護を発動させ、常人を遥かに逸脱したオーラを発すると刀を握った手に力を込める。
 放つべきは『灰被りの祈り』。 ある聖騎士が教え、星影の禁術として伝わっていた技のアレンジだ。
「ステラさん、聞こえますか!
 私は初めましてですが、先輩方の声は聞こえたんでしょう?
 貴方が大切だって!」
 仲間たちが打ち込んでできた傷を更にえぐるように刀を打ち込み、肉を斬り割く朝顔。
 多くの攻撃が重なったためだろう。大いなるものはついに足をとめ、朝顔たちをにらみ付ける。
 だが、朝顔はひるみもしない。だって、後ろには大切な世界があるのだから。
「大切な人がいない世界は本当に生きるのが苦しいんですよ。
 死にたいぐらいに。
 お願いです、もうすぐ助け出しますから。
 貴女ももう少し頑張って下さい!」

成否

成功


第2章 第21節

オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)
鏡花の矛
サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
ウォリア(p3p001789)
生命に焦がれて
メイメイ・ルー(p3p004460)
祈りの守護者
アルム・カンフローレル(p3p007874)
昴星
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
囲 飛呂(p3p010030)
きみのために
柊木 涼花(p3p010038)
絆音、戦場揺らす
紅花 牡丹(p3p010983)
ガイアネモネ
水鏡 藍(p3p011332)
解き放たれた者

 ついに足をとめた大いなるもの。その巨体に向けて、チーム【昴星】の面々が一斉に襲いかかる。
 無数の流星の如く飛ぶ彼らに飛行能力を付与しているのは『金庫破り』サンディ・カルタ(p3p000438)と『虚飾』楊枝 茄子子(p3p008356)の二人だ。
「こんどこそ、今度こそもうひと踏ん張りって奴だな?
 本体に分からせてやろうぜ!」
 『いと白き太陽の翼』で周囲の仲間の飛行能力をサポートしつつ、サンディはナイフの形に固めた風、『心の内より湧きし刃』を握りしめる。
 敵は強大。最強の星界獣にして滅びの代名詞。
 しかし彼の『人助けセンサー』でも感知できるほど、ステラの助けを求める感情が溢れている。
 ならば、退く理由などひとつもない。
「サンディは、レディを救う存在の名だからさ」
 そうサンディは呟き、『流転の砂時計』を駆使しながら『滅棘ミストルティン』を叩き込んだ。
 一方の茄子子は『完璧なる福音の預言書』を手に微笑んだ。
 『ライアーメイク』『レイヤープロテクト』『フェイクシフト』『レッド・ヘリング』『ブラフアデプト』――茄子子のもつ強力な付与能力をすべてアクティブ状態にすると、仲間たちにかけた『羽衣賛歌』をかけなおす。
「まぁ、お膳立てはしてあげるよ。多分、見てる方が面白いし」
 そんな茄子子たちを狙って、大いなるものは咆哮をあげた。
『そこを退け、矮小なるものどもよ』
 咆哮がそのまま魔法となり、巨大な魔方陣が大量に出現する。
 そこから流星が生まれ次々と降り注ぐが、茄子子は防御の弱い仲間を庇う形で前へ出た。
「ほら、みんなこんなに言ってくれてるんだからさ。気合い入れなよ。待ってるんじゃなくてさ、キミがこっちに来るんだよ、ステラ」
 そんな風に言いながら、茄子子は流星の衝撃を受け流す。
 展開した結界が破られるが、その程度で退きはしない。
(私は頑張ってる人が好きなんだ。無理やりにでも這い出てこいよ。みんな待ってるよ)
 そんな彼女たちの支援を受け、空を舞う『願い紡ぎ』ニル(p3p009185)。
 ニルが狙うは大いなるものの右目だ。
「そこです!」
 『ヴェノムジュエル』の魔術を完成させ、毒の槍を作り出すと大いなるものの眼球めがけ発射。
 更に『極彩アポトーシス』の魔術を槍状に作り上げ、発射。
 二発の槍は大いなるものへと突き刺さり、グオオと声をあげさせた。
「みんながステラ様を助けたくて今頑張っているのです。
 だから。あともうちょっとだけ、待っててください!!」
 ニルは更に『ミラベル・ワンド』に力を込めると、顔面めがけ殴りかかる。
 そんなニルは流星の打撃を受けて傷だらけとなっていたが、その傷はいくつもの結晶によって塞がれていく。傷ついても壊れても、前へ進むニルのカタチだ。
 その一方で足元へと回り込んでいた『解き放たれた者』水鏡 藍(p3p011332)が『ブレイズハート・ヒートソウル』を発動。手にしていた護符をばらまき意識を塗り替える魔術を行使すると、足元に集まっていた星界獣たちが藍へと集まっていった。
「みんなの攻撃を邪魔されちゃ困るんだ。さあ、相手になるよ!」
 背中に翼を生やした人型星界獣たちが次々に飛びかかり藍へ斬りかかるも、藍は握った刀でそれらを次々に受け流していく。
 反撃とばかりに護符へ『フェアリーズゲイム』や『神気閃光』の力を込めて発射。激しい閃光と妖精の群れが星界獣たちを蹴散らし、更に大いなるものの身体へと傷を深めていく。
 そこへも流星の砲撃が浴びせられるが。『夜鏡』鏡禍・A・水月(p3p008354)が間に割り込むことで妖術結界を展開。
 継続してパンドラの加護を使用した鏡禍は茨のような幻影を広く結界へ絡みつかせると、流星の砲撃を受け止めてみせた。
 そのまま大いなるものの顔面近くまで飛び上がると、他の仲間を継続して護りながら鏡の破片のようなものを握りしめる。
「ステラさんを吐き出せ!」
 それは長く鋭利な剣へと変わり、大いなるものの顔面へと斬り付けられた。
 衝撃、そして吹き上がる鮮血。
 『優しき水竜を想う』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)は引き続きパンドラの加護を用い氷の妖精の姿をとると、複雑に入り組んだプリズムと氷塊の群れを呼び出した。
「傷が即座に治らないってのは気分がいいわ。
 そのまま完全に目玉一つ潰してやりたいわね。
 それを嫌がるなら私たちを倒さなきゃいけない、思い通りにできないって最高の気分ね」
 突き出した腕に伴うようにして光と氷の複合した光線が大いなるものの眼球へと叩き込まれる。
 ただでさえ傷付いた目が焼かれ、大いなるものは激しく首を振った。
「効いてるわ、そのまま畳みかけて!」
 オデットが叫ぶと、隣を飛行していた『君のもとに』囲 飛呂(p3p010030)がライフルを構える。
 パンドラの加護によって蛇神の力を顕現させた飛呂の銃撃は、もはやただの銃撃では収まらない。
 『狙撃銃:P-BreakerⅡ』の引き金をひけば、放たれる衝撃は空を穿つ。
「ステラさんをヤツから取り返す!」
 顔面に叩き込まれた弾丸が蛇神の力をもって爆発を起こし、大いなるものは無事な片目で飛呂たちをにらみ付けた。
 カッと口を開き、ブレス攻撃を開始。
「ブレスが来る、今だ!」
 飛呂の叫びに応じて、仲間たちが動き出す。
「それを待ってた! 大口を開けて吐き出す行為! 今しかねえだろ!」
 『ガイアネモネ』紅花 牡丹(p3p010983)、そして『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)が飛び出しそれぞれ防御を開始。
 牡丹は愛に満ちたパラソルを広げると、炎を纏った片翼と愛を纏った片翼をそれぞれ羽ばたかせて障壁を展開した。
「ン――」
 『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)もまた両手を突き出しつつ、継続してパンドラの加護を使用。双頭の青鳥に騎乗したまま両腕の結晶を輝かせると、巨大な樹木にも似た魔術結界を展開する。
 大いなるもののブレスが吐き出され、二人は激しい衝撃に包まれる。
 炎とも光とも異なる、星の瞬きともいうべき衝撃は派手に二人を吹き飛ばしたが、しかし受けきれないダメージではない。
「吐かせるならよ、喉奥を突くのがお約束だろがあ!」
 牡丹がパラソルを畳み剣のように握りしめると、フリークライもそれに伴って拳を構える。
 打ち出したのは巨大な炎の渦と、光の柱。
 牡丹の炎とフリークライの光はそれぞれ大いなるものの口内へと叩き込まれ、その突然の攻撃に思わず大いなるものはのけぞった。
「オオオ――!」
 『生命に焦がれて』ウォリア(p3p001789)は竜の如き外装から炎を燃え上がらせ、パンドラの加護を継続使用。ガパッと開いた口から炎のブレスを放射する。
 相手のブレス砲撃時にひっそりとダメージ圏内に入っていたウォリアは『鏡の少女へ』『偉大なる魔女へ』そして『チートスキル』の効果を既に発動していたのだ。それ故に更に燃え上がった炎は大いなるものの喉を焼く。
 大いなるものはむせかえるように血を吐くと、ウォリアたちをたたき落とそうと腕を振る。
 が、それを仲間の防御担当たちが一斉にぶつかっていくことで押さえ込んだ。
 ウォリアは鎧を変形させ人間形態となると、『-SIN-『火斬熔剣』』を握りしめ炎をそこへ纏わせた。
 巨大な炎の剣となったそれを手に、アフターバーナーの加速によって大いなるものの喉へと突撃。
 同時に、『約束の力』メイメイ・ルー(p3p004460)もまた魔法の翼を羽ばたかせ短杖『カペラの道行き』を振りかざした。
「ステラさまとの約束が、わたしに力をくれるのです……! 必ず、助けます! だから…だから!」
 パンドラの加護を用い奇跡の力を高めると、『界呪・四象』の魔術をたたき込み口を閉ざそうとする大いなるものの動きを鈍らせた。
「今一度、最後の力を振り絞って――!」
 メイメイは杖に白き奇跡の力を集めると、それを巨大な剣へと変えて握りしめる。魔法の翼の羽ばたきで加速し、大いなるものの口内へと突進。
 ウォリアとメイメイによる光と炎の斬撃が、大いなるものの口内を激しく傷つける。
 そこへ更に、仲間立ちの一斉攻撃が浴びせられた。
「アルムさんが今度こそ、ちゃんとステラさんの手を掴めるように……!
 わたしの全霊を懸けます!」
 天空へと浮かび楽器演奏を続け防御担当の仲間たちを治癒していた『灯したい、火を』柊木 涼花(p3p010038)。
 彼女もまたパンドラの加護を発動させ、周囲に巨大なスピーカーめいた幻影を出現させた。
 拡張された旋律は魔法の力となり、凝縮されたそれは渦巻く槍へと変化する。
 発射に伴って、突撃していた仲間たちが一斉に離脱。
 涼花の過激な演奏はそのまま攻撃の魔術となって大いなるものの口内へと突き刺さった。
「グオオオオオオ――!」
 声を上げ、天をあおぐように上向く大いなるもの。
「必ず、取り戻す……。
 ステラと約束したから、だけじゃない
 俺達を信じてくれた、この手を取ろうとしてくれたから!」
 そこには、パンドラの加護を発動した『昴星』アルム・カンフローレル(p3p007874)が飛行していた。
 鍵のような形をした杖をかたわらに浮かべ、黄金の神を靡かせた彼の姿こそ、『かみさま』となったアルムの姿だ。
 星の瞬くようなその姿は、どこかステラのそれにも似ていた。
「ステラくんを――かえせ!」
 握った杖に神々しい力が宿り、雷を天より振り下ろす。
 その衝撃は大いなるものの顔面へと直撃し、そのまま全身を巡った。
「オ、オオオオ――!」
 大いなるものが叫び、そしてその口内より光が走った。

 そして、赤き光の球体に包まれたステラが、大いなるものからついに吐き出されたのだった。

成否

成功


第2章 第22節

 ――そして戦いは、最終局面を迎える。

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