PandoraPartyProject

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それはひどくささやかで、けれどとてもあたたかな

 年の瀬、月末――大晦日の昼。
 今日のラド・バウは近隣住民の他に新皇帝派の軍人さえ迎え入れ、さながらパーティー会場のように賑わっている。そんなアリーナの中心に立ち艶やかに微笑んだビッツ・ビネガー(p3n000095)ほど、この場に相応しい警備は居るまい。治安は驚くほど良く、平素の緊迫感などすっかりなりを潜めていた。
「賑やかで和やか、いいじゃない」
「それじゃボクはライブの準備にいくね」
 一時間後にはパルス・パッション(p3n000070)のライブが予定されている。
「ぱっぱぱぱっぱっぱっぱるっぱぱぱぱ」
 パルスは顔から火が出そうなほど真っ赤になった炎堂 焔(p3p004727)の手を握った。
「ほら行こう、控え室で着替えもしなくっちゃ」
「きききききがっきっ」
「ぶんつくぶんつく! ボイパみたいになってるよ! 焔ちゃん」
 このあと再び一緒に歌うことになってしまったが、焔はどうなってしまうのか。
「あとでメイク講座も、お願い」
「任せなさいな」
 レイン・レイン(p3p010586)の提案に、ビッツが快く頷いた。
 ここラド・バウ独立区に限らず、帝国内の主要派閥は『アイアン・ドクトリン』という対冬政策を実施していた。今回の課題は、シャイネンナハトから新年を迎える休暇期間について、民達に何をしてやるべきか、何をしてやれるかといったものだ。
 この時期、多くの場合。人々は親族や友人と集まり、楽しい休暇を過ごすことが多い。
 だが大寒波がもたらした厳冬は、ただでさえ分断された帝国内の人々から、物資の流通を奪っていた。故に自粛ムードが広がっていたのだ。こうした状況はストレスとなり、人心を蝕むもの。
 ――だったらラド・バウに呼んでしまえばいい。これが彼等の決断だったのだ。
「最終的な収支はプラスになる」
 三鬼 昴(p3p010722)の言葉通り、今日のために拠出した労力は人々の心に深く刻まれるだろう。

 そんな帝都から西へ向かえば、帝政派が陣取るサングロウブルグへたどり着く。
 昼前から人々はマーケットに設けられた配給所に殺到していた。
「これは手伝ったほうがよさそうだな」
 イズマ・トーティス(p3p009471)が腰に手をあてる。
「なかなかに骨が折れそうだ」
 恋屍・愛無(p3p007296)も言う通り、当局職員だけでは手が回らない様子である。
「だったらすてぃあ・すぺしゃるだ!」
 スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)が美味しそうに焼き上げたプディングを住民に手渡した。思いっきりバケツサイズだけれど、それはそれとして。
「すちー先輩のスペシャルが必要とされている!?」
「そう、今、この国にはきっと」
 驚きを隠せないフラン・ヴィラネル(p3p006816)も手伝い始め。
「人々が少しでも豊かに生活出来るなら、それが一番であります」
 ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)が、生真面目そうに一つ頷く。
 広場にはなぜかチヨ・ケンコーランド(p3p009158)の足湯が設けられ、人集りが出来ていた。
「少しでも足しになってくれたらいいよな」
 レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)に頷いたチーサ・ナコック(p3n000201)は、無言でひたすら蕎麦を茹で、餅を切り分けている。こんな新しい食文化も根付くのだろうか。
 彼女達帝政派は、備蓄の一部を人々に解放することを選んだ。
 有限な資源ではあるが、人々の心はそれ以上の支持として返ってきているように思える。

 南部戦線――バーデンドルフ・ラインを治めるザーバ派はどうか。
 雪原に一発の銃声が響いた。
「要は『一狩りいこうぜ』ということだ」
 硝煙漂うゲルツ・ゲブラー(p3n000131)のライフルが撃ったのは、大きな鹿だ。
「こちらも任務完了であります!」
 ムサシ・セルブライト(p3p010126)もまた、多くの獲物を仕留めていた。
「ぶはははッ! こいつは腕の振るいがいがあるってもんだ!」
 獲物を前に笑うゴリョウ・クートン(p3p002081)は、どう料理しようかとさっそく頭の中でレシピを組み立てていた。砦に向かう解・憂炎(p3p010784)には生ハムの原木だってある。
 南部とて事情は同じではあったが、彼等の選択は雪中の狩りだ。兎や鹿、はてや熊まで。人々に食料がないなら賄えば良いという、ある種明快な答えである。
「しっかり集まってきたな」
「なかなかに良い感じだね♪」
 狩りから戻ったエーレン・キリエ(p3p009844)が辺りを見渡し、ラムダ・アイリス(p3p008609)が同意した。この分なら、かなりの量が期待出来そうだ。
 まだ昼過ぎだが、砦の周囲にはバーベキューの用意が始まり、人々が肉の焼ける香りに惹かれて集まり始めていた。徐々に宴となり、夜通し続くに違いない。

「ま、ため込むってのは、こういう時のためにあんのさ」
 ヴァルフォロメイ(p3n000289)がギア・バジリカの鉄床を踏みしめる。
 ここ帝都東部の元スラムに鎮座する革命派の本拠地でも、さっそく大規模な炊き出しが始まっていた。
「『我等はこのために居る』なのですよ」
 ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)が一つ頷き、早速作業を始める。
「そっちをおねがいね!」
「任せてよ、それじゃ片っ端からいくからね!」
 アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)マリア・レイシス(p3p006685)が頷いた。
 ニシンと貯蔵南瓜のパイが一人に一つ。イラクサのスープに、少々の乳粥。おまけに大人には一人一本の蒸留酒だ。小さな子供達は楽しそうに笑いながらパイを頬張った。一方で暗い瞳をしているのは十代前半の少年だ。二つ目のパイに手をのばそうとして、首を振って引っ込める。
(まあ、そりゃ足りねえよな)
「……」
 シラス(p3p004421)は配給を手伝いながらそんな様子を眺めていた。クラースナヤ・ズヴェズダーの『教え』を守った少年を見たグドルフ・ボイデル(p3p000694)も、やはり何も言葉にはせず。
「やるべきこと、なすべきことは、まだまだ山積みですわね」
 ひとしきり働いたヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)が、椅子に腰を下ろす。
 生きることが出来るのと、豊かであることはずいぶん違う。
 けれど今日ばかりは、いつもよりもずっとずっと良い食事であることは間違いない。

 ポラリス・ユニオン(北辰連合)の本拠地、ローゼンイスタフ領の街でも配給が開始されていた。
「あとはベデクトにさっさと船が入ってくりゃ、言うことはねえんだがな」
「……そうですね」
 ルカ・ガンビーノ(p3p007268)の言葉に、リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)が頷く。北辰連合は不凍港を抑えており、西進作戦によって物資供給を期待されている。
 流氷を砕いた今、停滞していた貿易は再開されたが、船の数はまだ多くない。
「交渉が成立した以上は時間の問題――ではあるが、もどかしいものだ」
 ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)の言葉通り、父ヴォルフは租界を通してシレンツィオに働きかけている。帝政派のバイルも通し、早速海洋王国に親書が送られたらしい。ソルベ卿の返事は快いものだったが、物理的な距離というものは致し方のない問題でもある。早速商船団が向かってきているらしいが。はてさて、いつになることか。海洋とて氷海の航海は未知でもあるのだ。
「後は今できること……よね」
「千里の道も一歩から。王道決めるには、まずはここからだ」
「そうだな。俺達も手伝うとしようか」
 燦火=炯=フェネクス(p3p010488)の言葉に、エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)秋月 誠吾(p3p007127)も応じた。
 倒すべき敵を失った北辰連合だが、西進を成功させ帝都に再び国旗を掲げるため。
 為さねばならないことは山積みだ。

 それから空に浮かぶアーカーシュ。
「技術力は強みだよね」
 ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)が述べたように、ここでは古代遺跡を利用して食品の生産量を上げることを選んでいた。
「それじゃあ配給を始めようか」
 マルク・シリング(p3p001309)の号令に、皆が仕事を開始した。
 空中港近くのマーケットには、早速加工品が並び始めている。小金井・正純(p3p008000)は、カートに満載されたエリザベスアンガス正純という川魚の缶詰からは目をそらし、別の加工食品を配り始めた。
「アーカーシュは技術の塊、なんでもヘンテコmachineが解決しますわ」
 魚の命名はともかくとして、リドニア・アルフェーネ(p3p010574)の言葉通り、困難は技術で解決するというのはいかにも独立島アーカーシュらしいと言える。
「さっそくお手伝いするね」
 アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)が、加工食品を集まった人々に配り始める。
「これを配ればよいのか」
「当方 艦姫島風 参戦 v(over)」
 弥多々良 つづら(p3p010846)島風型駆逐艦 一番艦 島風(p3p010746)も手伝う。
「みんな和やかな顔してる。備蓄があれば人は安心するってことね」
 真剣な表情で何かを学んだ様子のリーヌシュカ(p3n000124)の肩に、アーリア・スピリッツ(p3p004400)はそっと手を乗せて労った。くすぐったそうに振り返ったリーヌシュカが微笑む。歯車卿(インフラ屋)のやり方は、軍人である彼女に様々な知恵を与えているようだ。
 いずれベデクトへ到着するであろう海洋からの船団には、キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)の手配通りであればいくらかの人員も乗っているはずだ。

 ――こうして日が暮れ、窓から温かな灯りが零れ始める。
 質素だけれど温かな心がたっぷりこもった休暇の季節が始まった。

 ※各派閥にてアイアン・ドクトリンの結果が反映されています。
 ※ゼシュテルの空には太陽が二つ浮いている……ようです?


 ※アドラステイア最終攻略作戦が敢行されています……!

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