PandoraPartyProject

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二つの太陽

「うーん……」
 カタラニア・ローゼットは小さく唸った。
 考えれば考える程に知恵熱の一つも出してしまいそうだった。
「……うーん……本当に、本気で訳が分かりませんわね、これ……」
 そうなった理由に思い当たる事は無い。
 乱れたゼシュテルにおいて比較的平穏を維持するラド・バウでの日常は然程変わっていないから。
 酷く国が荒れれば異常の一つも起きようという話には納得出来ても、即座に実感の伴うものでは無かった。
「太陽が二つ、か。噂話で済むならいいが、『見て分かる』ようじゃな。
 ……まぁ、理屈は兎も角、これが現実ってのは間違いない――よな」
 ジェイビー・コクーンの言葉に正しい回答を返せる人間は恐らく居ない。
『何時からそうだったのか誰も知らない』。
 最初に気付いたのが誰だったのかは分からない。
 ただ、単純な現実として――鉄帝(ゼシュテル)の空に浮かぶ『太陽』は今、一つだけでは無かった。
「あー、こりゃあ。とんでもないな。
 デイ・ゲーム日和っつうか何つーか。
 オマケにも一つあるんなら、雨天中止はいよいよ心配しなくていいねぇ」
 わざとらしく胡乱な冗談を言ったタイタン桜沢の気楽さは兎も角として、異常事態は異常事態である。
 まさか本当に太陽が分裂した筈もあるまいが、地上から確かに視認出来る光の球は人間の世の乱れを一顧だにしない晴天に二つ仲良く浮かんでいた。
「まぁ、お寒いゼシュテルがちっとでもあったかくなるってぇなら歓迎するトコだけどな」
「そ、そんな感じで納得していい所なのでしょうか……?」
 楽天的に言ったダリア・クリシナの一方、シェラ・シィラは心配が勝るのかおどおどといった風だ。
 とは言え、この『奇妙な出来事』はそれ自体が『何か』に作用している訳では無かった。
 国の乱れはより『人為的』なものであり、『太陽』のもたらしたものでない事は確実だ。
 天変地異や異常気象でもあれば別だが、今現在においては物理的な異変は『増えただけ』。
 太陽が二つになったからと言って気温は上がっていないし、ゼシュテルの冬の寒さが解決した訳ではない。
 つまる所、見て分かる不思議は現状唯の天体ショウの一つでしかなく、切迫した危機を間近に置くこの国では然して重要な事件とは見做されていないのだ。
 故に人々は多少ざわめく事はあれど、それを現在殆ど気にしていない。
『それは彼等にとって重要な事では無かったから』。
 唯、どうしても気にするならば、気に掛かる――
「どうして二つになったのでしょう……?」
 シェラは自身の言葉が酷く胡乱なものである事を知っていた。
 知ってはいたが……それは小首を傾げた彼女の心からの言葉に違いなかった。

 ※ゼシュテルの空には太陽が二つ浮いている……ようです?
 ※派閥勢力パラメータを使用できる『アイアン・ドクトリン』が制定されました!
 ※ポラリス・ユニオン(北辰連合)による西進作戦『エウロスの進撃』が開始されました!

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