シナリオ詳細
M運営事務局
完了
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
オープニング
●M運営事務局
「ん、さあああああああああ皆さん!
とっつぜんですが、ゲームの始まりですよお!
皆さんどーして此処に呼ばれたのか、心当たりはありますよぉねぇ?
え、ない? ないってことは無いでしょう、ねぇええええ?
借りたモノは返さないといけないんですよおおおお!
と、言う訳で返せないなら、身体で支払ってもらいましょうかああああ!
生きてればお客! 死んでれば商材!
楽しませてくださいねぇ、んふふふふふ~~!!!」
そこがどこかは分からない。朝起きたら突然連れ去られていた。
――眼前にいるのは『M運営事務局』を名乗る面々である。
借りたモノを返す……? はっ、まさかスパチャ額の事!!?
「あ、M運営事務局の方々ですね?
お世話になっております。洗井落雲です。
これは社の指示なので、僕は悪くないです。
……って、ひぃぃぃぃぃ~~~!! そ、そんな!
僕はちょっとマールちゃんに愛を捧げていただけなのに!!」
「オラ、借りたモノは返すんですぞ!!
お前の負債額はもうとんでもね―ことになってるんですぞ!
ジャンプしてみるですぞ、オラァ!!
と言う訳で負債額に心当たりのある面々!! お前らにもチャンスを与えてやるですぞ……M運営事務局主催の『ですげーむ』に参加したら負債額をある程度免除してやるですぞ!!
くっくっく。奥方に連絡してほしくなかったら、分かってるですぞ?
そこの零・K・メルヴィル!!(※調査時、負債額-104000000)
あと御子神・天狐ォ!! なんですぞこの額は!!(※調査時、負債額-88000000)
ムサシ・セルブライトも何に使ってるんですぞ!!?(※調査時、負債額-52000000)」
鞭を使ってアライグマを叩くザントマン。
くそ~~~! 押しに注いで何が悪いんだ~~~!!
そんな嘆きが聞こえてきた――その時。
「M運営事務局です! 新イベント『ですげーむ』が始まりました!!
このげーむに参加すると、負債額が多少免除されますよ!!
借り過ぎた方。是非参加をご検討くださいね!
ところで全然関係ないんですが。
低身長童顔成人男子良いですよね。
ゲームを開催すればきっと沢山集まって頂けます。
座敷牢を用意しましょう。
赤い紐で繋ぎましょう。
男子だけを沢山集めましょう。
花蜜漬けにしてあげましょう。
ふふふっ
当然、何も起きないはずはなく。
ふふふふふっ
あ? 私?
壁の染み、漂う空気
そこは不可侵の聖域ですよ
触れることは許されないのです
ふふふふふふふっ」
――なんか天の声が聞こえてきた。
まさか今のがM運営事務局の……ボスか……?
うっ。この声、なにか聞き覚えがある様な……
と、とにかくゲームに参加すれば負債額がある程度免除されるらしい。
くそ――! M運営事務局の陰謀なんかに負けないぞ!
またマールちゃんの配信にスパチャする為に……頑張るんだ――!!
- M運営事務局完了
- GM名茶零四
- 種別ラリー
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2023年04月02日 01時30分
- 章数1章
- 総採用数85人
- 参加費50RC
第1章
第1章 第1節
「――分かった、全部お前が悪いんだなM!!!
あ、待って。連絡は止めて!! 止めて――!!」
足掻く零だが、奥様に連絡しないかは君の頑張り次第ですねぇ……?
M運営事務局の陰謀(※借金は零が悪い)に巻き込まれた彼はしかし、決意していた。こうなったら是が非でも逃げてやると――!! この、屋台の力で!!
「ん~~~~! 屋台じゃないですかぁ!
なんですかこの何らかの基準法に違反してそうな戦闘バイク形態は~~~!!」
「うるせぇ! 遍く借金から俺を逃がしてくれ、唸れ俺の全てよ――!!」
もうなりふり構ってられるか! 零は往く――!!
ビーバーに追いつかれないように。借金をあのアライグマに押し付けて。 何としてでも生き残るんだと――!! うおおおお邪魔するならビーバーも吹き飛ばすぞ――!! こんな事もあろうかと用意していた罠を起動させ、煙幕代わり。今の内に距離を稼いで――くらえビーバー!! PPP(パーフェクトプライムプロジェクト)発動!!
「やったか!?」
奴を弾き飛ばしてやる。フッ。これだけやれば奴も生きてはいまいと……
あ、ビーバーがなんかめっちゃ正確な投擲でバイクに石を!!
あ、ビーバーが跳躍して来た! 普通に生きてる! あ、やめて、アアア――!!
「よくわかんねえけど借金減らしてまでマールちゃんに捧げる金減らしたく無いんだわ――付いてこれるか? この『反応』に。お前らみたいなデスクワーク事務局如きが、よ」
零に馬乗りになるビーバー。だが、そんなビーバーを嘲笑う様に――ブランシュは駆ける。
混沌最速なんだよ、こっちは。うっ、何人か対抗してきそうな謳い文句だ……!
が、ブランシュは構わない。常に先手を取って逃走せんとするのだ! はははビーバー如きが我が逃走経路に追いつけるはずが――あっ。ビーバーすごい。ビーバーはやい! ビーバーこわい!! アッ、怒り付与して来た嘘、あっ!
「……んまぁ逃げるだけでいいんだろ? 他にルール解説されてないもんな?
だったら、バーリトゥード、だよな? 正に『なんでもあり』だよな?」
次々捕まっていくイレギュラーズ。こわいよぉあのビーバー。
だがミーナには勝算があった――壁? んなもん透過すればいいんだよ!
「んんんんん~~~! ちょこまかと逃げますねぇ~~~!! 無駄な抵抗を!」
「知ってるか――暗殺者って逃げるのも一流じゃなきゃやってられないんだぜ?
ぶっ殺すだけで終わるのは二流以下、ってな」
まぁやってることは『ですげーむ』に参加してるだけなんですけどね!
ビーバーが手元のスイッチ、ポチッとなすればミーナの行く手を阻む様に分厚いシャッターが下りてくる――だがこんなもん乗り越えればいいのだと。砂駆のパカダクラと共に跳躍。某緑の恐竜ばりに乗り捨てジャンプすれば、悲痛な表情を見せてくるが、ミーナは振り返らない……!
これぞ一流の土管作業士のやり方なのだから。いや違った暗殺者だったわ!
成否
成功
第1章 第2節
――此処は何処だ? 記憶が混濁としている?
何?
お呼びではない?
3m無貌unknown女子は帰れ?
何の話だ……?
オラボナは困惑していた。謎の空間に放り込まれたかと思えば『貴方は違いますよね?』とか言われるのである。まあ良い。私は彼女のチャンネルを応援する為に貌を晒したのだ。此処で躓いている場合ではない――
「貴様、其処を退け、ま、待て。何をする。私は貴様に用事など――
嗚呼――画面に! マールチャンネルの画面に――!」
ノイズが走る! 刹那に見えた何者かの表情は――M!?
ええい邪魔をするな! 私は適当にマグロか何かでも獲りに行く。其れで十分だろう――? スナズリオウの刺身をお偉い方に提供するのだ。これで借金など即座に帳消しよ。Nyahahahaha――!!
「……何ィ? マグロやスナズリウオでは足りないだと。仕方がない。私のホイップクリーム、血肉も追加しておく。これで問題ない筈だ。何ィ? むしろ価値が下がった? なんと失礼な! 貴様の眼鏡には適わなかったが、私は……!」
ああ、オラボナがボッシュートされていく!! Mに、Mに!!
「ていうかちょっと待つのじゃ。これって上限超えて使える決済システムが10000%悪いと思うんじゃが!! もっと言うとなんで買い物リスト晒されたのじゃ!!? なにかおかしゅうないか!!?」
直後。続け様に連れて来られたのは天狐である――おお借金上位陣。
ま、待て! 待って! わし無実。真っ白じゃ!!
「ほれこの純真無垢な瞳を見よ! な!? わかるじゃろ!?
わしはついちょっと課金しまくってしまっただけで――!
ちょっとだけ! ちょっとだけ! 部屋の空気! 吸ったらワシ頑張るから! あ、待つのじゃ待て待て待て、低身長童顔成人男子じゃないからってボッシュートは早いのじゃああああ!!」
問答無用でボッシュート。天狐、借金上乗せ~!
「むぅ……なんと恐ろしい空間じゃ! しかし……この一条夢心地!
あの不憫なアライグマを救い出すまでは――死ねぬのじゃ!」
と、その時だ。新たにデスゲームに参画するのは夢心地か。
殿的存在として彼を見過ごす事は出来ぬと……なあに麿が本気になれば、負債なぞ一気にゼロまでもってゆけるぞえ。かっかっか!(※フラグ1)
「うむうむ。一気に消せそうなのは……この部屋で在るな!」
挑むのは無論――『低身長童顔成人男子』の部屋! あ~あ。
低身長童顔成人男子と言えば麿。(?)
麿と言えば低身長童顔成人男子じゃからな。(???)
本来であれば祓い屋のヒロインとして起用されるハズだったのが、この一条夢心地という噂もあるくらいじゃ――もみチェックヨシッ!( ・◡・*) そうじゃろモミー? 次回では麿を救い出す展開待ってるからの!
「なあに、遠慮はいらぬ。
この結果はすべて洗井落雲の負債に使ってもらって良し。
なーーーっはっはっは! むっ。なんじゃこのテレビ画面は?
おお。映像に何か顔が映って……」
――その後。夢心地の記憶はあやふやである。
気付いた時には借金がなんか増えてたのは、はたしてMの陰謀だったのであろうか。なにゆえ――!
成否
成功
第1章 第3節
「ふふ。ハビーブさん、現場の切り盛りはよろしくお願いしますね」
「無論。こういった催事の運営はわしの本業よ――任せておくが良い」
ボスである『M』からハビーブは命を受け、運営を取り仕切るものだ。
配下の黒服達を統制し、デスゲーム巻専用のラグジュアリーなパーティー会場を用意。
こういうのは参加者ではない。そう、ソレを眺める者達の接待が重要なのだ……!
(だが――真に重要なのは、その折でも自らの存在を示す事)
そう。例えば。
上客がいらした時、ミスをする黒服がいれば……わし自身が率先して頭を下げるっ……! 見せるのは誠意だ……! 部下の失敗の責任は上司が負う事、これぞ人心掌握術の秘訣っ……!
そして勿論忘れぬ……! 此度の催事がいかにお客様の人生を充実させるかをスピーチするかも……! お客様の気が大きくなる……そこが狙い時……!!
故に、得るっ……利益をっ……!
利益とは……稼げるときに稼ぐ……その機を逃さぬ事……!
Mから許諾も得ている……この一時こそ、わしの全てを注ぐ時なのじゃ……!!
「へへ。おうそこのディーラーさんよぉ! 酒だ酒ェ! もってこいよオラァ!」
「はは。只今、こちら86年物のワインとなっております……」
「おう気が利くじゃねぇか!!」
そしてそんなハビーブを呼びつけたのは――グドルフである!
へっ、なんだよオイ。画面の向こうで呆けた顔しやがって。
おれさまの事だ、借金ダルマでヒーコラデスゲーム漬けだと思ったかい?
「残念だなあ! 画面の向こうのオンナに興味なんざねェのさ! 大体よぉ、なんだぁ? 触れもしねえモンに貢ぎまくってる連中なんぞ気が知れねぇぜ! あまつさえ借金漬けになってこんなゲームに参加する必要がある連中なんてなぁ!」
ヒャア! グドルフは浴びる程酒を飲みながら、プレイヤーたちの右往左往をじっくりと見下ろしてやるものだ。たまんねぇな、自分は安全圏にいながら何かを見るってのはよぉ! おっ? そう考えると画面の向こうの女にハマるのも分かんねぇこたぁねぇか?
「……あぁ? オイ、ちょっと待てやそこの目玉野郎」
「ンっふっふ? あれ、なんですかお客様、ぐぁおああえ!?!」
「カネやるから一発ブン殴らせろよ――おっと悪いな、その前に手が出ちまってたぜ。待てや逃げんなァ! ザントマンオラァ一か八かのぶった斬りオラァ!!! もっと苦しめェ!!」
「ひぃ~~~!? 私が何したって言うんですぞ~~~!!??!」
色々してぇんだよお前はこらああああ!! 全力でボコボコタイムである。オラァ!!
成否
成功
第1章 第4節
阿鼻叫喚の借金地獄が発生しているが――一方でシルキィは賢い蚕であった。
そう……生活費には手を付けていないのである!!
「うーん、それにしてもですげ〜む観戦にはMの果実酒(お徳用)(ノンアル)(ワイングラス入り)とオレンジ色のまあるい圧の強い飴が欠かせないよねぇ……えぇ? こんなのが某ギルドで随分お安く買えるってぇ……!?」
くっ。一体誰に宣伝しているんだ! ダイレクトマーケティングかこれは!? 皆、絶対にギルドショップ検索で『M』の果実酒を検索してはいけないぞ! 100~250GOLDで帰る超お得特価品だけど、検索してはいけないぞ! いいね! M運営事務局との約束だ!(※M運営事務局はご覧のスポンサーの提供でお送りしております)
「あっ、低身長童顔成人男子の部屋だ!!!! 大人気コーナーだ!! ほら持ってきた( ・◡・*)人形さんも( ・◡・*)さんも荒ぶってきたよぉ!!! 嬉しいねぇ( ・◡・*)さん!! ふふふふふ!」
ふふっ( ・◡・*)
ふふっ( ・◡・*)
アアッ!( ・◡・*)
ひぃ! 怖いよぉ!!
で、でも只の( ・◡・*)だよね? 害はないよね? あれっ。なんだからシルキィの頭がやや大きくなってオレンジ色でまあるく圧が強くなってきたような気が……( ・◡・*)フフッ。
「やはり生活費をアイドルに使い込むなんて愚かな人が成す行為ですよねぇ……
私は決して斯様な真似などしませんよ。ええ――私は既に美人で賢いので」
あっ。残念な美人のエルシアさんだ! あ、なんでもないです許して!
ともあれエルシアも賢い。使うなら、利益を期待出来る事に挙げるのが筋だ……
そう、例えば――『ですげーむ』への投資など。
「ふふ。私の推しは、もう決まっているんですよ」
イケメン寡黙細マッチョ。汗臭そうなタイプよりも爽やかなタイプが好みですね。
参加者の中にいるだろうか? ――ん? 尻軽女? いいえ違います。
「投資の基本は分散させてのリスクヘッジ。
もしも一人に入れ込んでしまえば――彼が『出られなかった』時に無駄金となります。
でも対象を増やせば誰かは当たる可能性があるんです……!
そう。従順で、跪くペット……一体今回はどんなのが手に入るのでしょうか。
楽しみです。ねぇ――Mさん」
「流石エルシアさん、お目が高い。常連さんなだけはありますね」
いつの間にかエルシアの隣に座しているMと共にドリンクを貰うものだ。
ああ――やはりこの観戦の美味はなんど味わってもいいものだと思いながら。
成否
成功
第1章 第5節
なぜ。
こんなことに。
なってしまったでありますか――
ムサシは心の中で辞世の句っぽいのを詠んでいた。ち、違うんであります。これは決戦で大破してるコンバットスーツの修繕とか次の対竜種を見据えた新型コンバットスーツ開発の資金源で……
「レオンさん!! ユリーカさん!! これ経費で落ちるでありますよね???
え、落ちない? そんなーー!!! うう、どうして強制労働だなんて……
惑星間労働組合が見たら黙ってないでありますよ!!」
「うるせーですぞ! この世界に惑星間労働組合の声は届かないから安心するですぞ!!」
「ぐあああああ!! くそ! 事務所にダンプ宇宙船突っ込んでくるでありますからね!! M運営事務局覚悟しておくですぞ!! ところでザントマンさんって誰でありますぞ!! ぎゃー!」
そういえばムサシと出会った事はないザントマンであった。でも初対面は容赦しない。ビシバシ叩いて強制労働させていく――そう。わたあめをしっかり洗うんですぞ――!!
「うっうっうっ。わたあめを洗うなんて……なんて……なんて拷問……あれこれわたあめが溶けるから洗っても洗っても意味が……ないのでは……? ぎゃーー!! なんか気分で鞭叩いてきませんか!!?」
「意味を考えるな! あらえー! 洗う方法は自分で考えるんですぞー!」
「めちゃめちゃブラックな事言ってくるよね……
さぁわたあめ洗うかーエイプリルフールエイプリルフール~♪」
理不尽に拷問されるムサシ。一方でヨゾラはこの展開に『ですよね知ってた』と遠い目もするものだが――まぁともあれ鼻歌と共になんとか洗わんと試みるものだ。思い返すは去年のエイプリルか……過去の世界を1日だけ楽しめた日。
(僕が召喚されるよりずーっと前で若いレオンさんもユリーカさんのご両親もいて。途中でガブリエルさんが攫われて色んな人が助けに行ったりもして。覚えてるかなぁ伯爵。『何もなかった日』だから覚えてないかな。僕もね『エア』って偽名で助けに行ったんだよ懐かしいなぁ)
『エア』という偽名は、ミドルネームのエアツェールからとった。
だけど同時に『エア(Er)』で『彼』という意味も――込められている。あぁ、あの時は本当に、本当に楽しかったなぁ……あっ。わたあめ溶けちゃった! あー! 鞭はやめてー!
「えっ。借入1000円からでも入れるですげーむがあるんですか?
仕方ありませんね……でもわたあめ洗うのってこれ皆言ってますが無理では?
ザントマン様すみませーん。追加オーダーって可能ですか?」
「可能ですぞ! 沢山あるからどんどん洗うですぞ~~! ほら働け~!」
更にボディも参戦しようか。ザントマンが調子こいてボディのお尻に何度も鞭を当てるが……しかしHP鎧1125が全て阻む。何かしました? 『構えですぞ~!』ってやかましいけど無視です無視。
ああいや、そんなに構ってほしいなら――
「ふぎゅ!」
「クリア条件って『綺麗になるまで』ですよね」
「な、なにを! 目玉を離すですぞ――!!」
「ご安心を。何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度もしましょうか」
ヒッ。溶ける度にボディがオーダーする。
何度も何度も何度も何度も――狂気が如き微笑みを携えながら。
その度にザントマンに永遠に……『お願い』しながら。ニコッ。
「めぇ……勢い余って、マールさまを応援し過ぎてしまいまし、た……うう。これを洗えばいいんですね……? わ、わわ、美味しそうなふわふわわたあめ……あ、溶けてしまいます……」
「ひぃひぃ、やっと逃げれた……おっと。しょんぼりしてもダメですぞ。借金を返すまではわたあめを洗うんですぞ。 ほら! お前達の賃金より高いわたあめですぞ! 大切に洗うんですぞー!」
「え。これってそんなに高いわたあめなんです……? わわ、またじゅわーって」
更にわたあめを洗うのはメイメイもだ。メイメイちゃん、君も課金し過ぎたのか……ザントマンに背後から監視されながら、めそめそ洗い続けようか。うう。負債が減りますように……でも。
「食べ物を粗末にするのは良くない、です」
「ん、今何か言ったですぞ――ぎゃああああ!?」
「溶けてしまったわたあめの分、ザントマンさまを洗うことで負債を減らしてもらいます、ね。てやーわしゃわしゃ、きれいになーれ」
「まて、待つですぞ! 私は別に洗わなくてい……ぎゃー浄化される――!!」
水掛けてデッキブラシでごーしごし、わしゃわしゃわしゃ~
なんだかちょっと楽しくなってきたメイメイなのでした。ふふっ。
成否
成功
第1章 第6節
――航空猟兵を運用するための資金を全て使い果たしました。(※調査時負債額-319000000) 団員にばれないように借金を返していきたいと思いま……え、このデスゲーム、全国放送されてるんですか!!?
「どうしても……どうしてもお金が必要なんです……!」
「なるほど――しかし貴方は17歳ですね?」
「せ、成人はしてないけどセーフじゃないですか!!?」
アルヴァは必死だった。理由は先述の通りである、いつのまにかイレギュラーズ屈指、っていうかブッチ切りの負債額。なにしてんだアルヴァぁ!! だからもう何かに構っている暇はない。低身長も成人も当てはまらないけど――許してもらえますか? 成人するまでになんだってやります。自分好みへ路線変更だって可能なことを考えると、俺が『この部屋』に入れない訳がないと思うんだ……!
「ふむ……残念ですがアルヴァさん。今回は不採用と言う形で……」
「ま、まって! 締め出そうとしないで!!
三億の借金を返せるなら――なんでもやるから!!」
「その言葉が聞きたかったんです」
「えっ?」
扉がロック。あれ、出られないぞ?
ま、待って。なに? なに? ちょっと待ってなに!!?
ひどいことはしないでぇ~~~!!
成否
成功
第1章 第7節
「こういう催しは盛り上がるからねぇー。サヨナキドリもかき入れ時だとも。アッスルターンの旦那はどうも上客狙いのようだけど……それなら別の所に手を入れていくとしようかねぇ」
観客席側。こちらで武器商人は動いていた――やれやれ。生活費が足りないなら作り出さねば……尤も、我(アタシ)は借入するほど貢いだりなんてしないけど。ともあれ――はぁい。ジュエリー・フルーツ・スイート・コレクションの出張販売だよぉ。
もーちろん『M』から許可はとってるからねぇ。
レモンサワーとかミルク酒もあるよぉ。
軽食のパンケーキやカニクリームコロネなんかも美味しいよぉ。
「商人ギルド・サヨナキドリをよろしくねぇ」
「ふふふ。こういうのもイイものですよね。コロネを一つお願いします」
「おぉ『M』じゃあないか。いいよ、はいどうぞぉ」
「ふぅ。意外に働く側のスタッフも多いんだな……でもまぁ鞭とか電撃ビリビリ棒を提供するだけでお金貰えるだけで割りのいい仕事だな。生活費苦に陥らなければ、悪くないんじゃないか、この運営事務局」
同時。スタッフ側として動いているのは――サイズもか。
彼は裏方として動いていた。あっちこっちにモノを運んだり。
時々隙があれば道具を強化せんとしたりして……
まぁ誰しもが楽しめるのが一番だよな、と。
「ま、流石に怪我はしないように……ええとトリモチランチャーとか運び込めるだろうか。ちょっと後で運営の『M』辺りにでも確認してみるか」
故にサイズは視線を巡らせながらスタッフルームを進むものだ――
そしてゲームの合間に流れる画面には、斯様な文字が流れようか。
――サヨナキドリ。
――鍛冶屋『黒鉄の刃』
※M運営事務局はご覧のスポンサーの提供でもお送りしております。
成否
成功
第1章 第8節
「良いことを思い付きましてよ! 低身長童顔成人男子だったら許されるのであれば、変装してなってしまえば良いのでございますわ〜〜〜!! どうして皆さんこんな簡単な手段を思いつきになられないので?」
「はっ……! そうよね、私だって楽しみたいと思っていたけれど……
変装すればいいのよね! 低身長童顔成人男子に――!!」
ヴァレーリヤの天才的な発想が走る――! ふふふふふ! どれだけこだわりがあるか分からないけれど、所詮あんなボスなどオレンジ色の饅頭。この程度で十分に違いございませんわ〜〜〜!! 更にその動きはレイリーも同様であった!
男の子が魔法少女になれるのなら――乙女も男の娘になれるはず――
QED。それから演技もしっかりとしておこうか。
「――ボクみたいな男性がサービスされるのってここ?」
受付のスタッフに、色仕掛けする様に。
男の娘だって……人の心を堕とせるんだ! そうして中に入り込んでしまいさえすれば――うふふふふ。入ってしまえばこっちのものよ!
「ここからは余裕よ。中に同士がいるわ――いざとなれば袖の下で黙らせるし。
私ったらサイキョーね! ( ・◡・*)なんて余裕だわヨユー!!」
「あーっははは! 私たちの時代が来ましたのね――!
それでは参りましょうか、夢の彼方へ――ん?」
「――ヴァレーリヤさん、レイリーさん。協力者はもう『始末』してますよ。此処までです」
が。レイリーが意気揚々と部屋を進んだ、その時。
――部屋がロックされた。そしてその部屋の中央には、ワイングラスを持つ『M』がいて……はっ。これはまさか!?
「あ、あら? 運営様、いつから其処に……え、あ。違いますのよ? 私は本当に低身長童顔成人男子で……お許しくださいまし! あ、スタッフの皆様、お放しになられて!? ちょっと! そんなアームロックなんて……がああああ!!!」
「え? ちょ、ちょっ、まtってえええええええええええええ! お楽しみは!? お楽しみはここからでしょ!!? そんな――!! お慈悲を――!」
こんなことなら、最初から他の人のお財布でやっておけばよかったですわー!
別室に連れていかれるヴァレーリヤとレイリー。扉が閉まると同時に『お仕置き中』の札が扉に掛けられる――直後に響いてくる音は悲鳴か? その後、彼女らの借金が尋常ならざる勢いで増えていたのは……言うまでもない!
「……ニルはなんだかよくわからないのですけど。
ですげーむ? できました。
座敷牢? とか赤い紐? とかですくわれるいのち? がある?
よくわかりませんが、だれかがたすかるんですね?
なら、ニルはいっぱいいっぱいがんばります、ね!」
そしてレイリーやヴァレーリヤがお仕置き部屋に連れていかれるのと入れ替わりで姿を現したのは――ニルであった。低身長……ヨシ。童顔……ヨシ! 成人……製造年月20年……男性……??? うーーーん。総合判定、可愛いからヨシッ!
「でも、ニルはなにをしたらいいんでしょう? え。この首輪をつけて、この座敷牢にはいって、鎖に繋がれてめをとじてればいいんですか? かんたんですね! なんでもしますよっ」
ニコニコのニル。でもダメだよ――軽率に『なんでもする』なんて言っちゃ!
……その後。何があったかは不明だが、謎の理由によりニルには大量の生活費が舞い込んだとか。
成否
成功
第1章 第9節
美咲は潜入を果たしていた。
ここに入ればジェネリックショタを楽しめると聞いて……しかし。
「やめろ! 離せ! 私は、私はただ欲望に従っただけだ! 追い出しにかかるならロリ化して『おねぇちゃんお外いこ(はぁと)』ってやってください! 私はロリもショタも両方行けまス! そうでないと抵抗し続けますよ――!」
「ええぃ、さっさと摘まみだせ!」
「低身長童顔成人男子も可! でも高校上がりたての18-19歳もいいと思うな!
あの年ごろからしか摂取出来ない栄養ってありますよね!!」
スタッフに見つかっちゃった! ええいでも空気になんてなっていられるか!
往くのだ、楽園へと。スタッフを振り切り駆け抜ける――! こちとら百合の間に入って「俺も混ぜてよ」って言うタイプのクソオタク! この程度はノルマなんスよ! なにいってんだこの美咲!
「こうでもしないと汚れ役キャラが保てないんスよぉ……!
汚してくださいよぉ……! 初期は『でしてー』にセクハラしてたのに……
気がついたら『でしてー』の方がセクハラの代名詞に……!」
「連れていけ! 奥の部屋で監禁しておくんだ!!」
くそー! なんとか戻らんとする美咲――の前に。
「ああっ〜! 何だかおかしなところに迷い込んでしまいましたよぉ〜?」
なんか怪しげなヴィルメイズの姿が現れた!
――いや君は低身長童顔とは言えなくない!!?
「ノンノン。確かに――あいにく私は高身長非童顔年齢不詳男子(?)でございますが。
顔が美しいので何も問題はないはずですね。
イケメンは全てが許される……それこそが混戦世界の法則の一つでは?」
断言した! 断言したぞコイツ!!
顔が美しいと言うことは美観維持となっている……つまり生きているだけで結果的に社会貢献しているということ……! あぁ美形であるが故の社会福祉。ですからもみ……M運営事務局の方もなんか良い感じに配慮して減額してくださると信じ――
「あっっ!!? 離しなさい!! こら!! 彫刻の如く美しい私に何をするつもりですか!! な、なんですかそれは!!? お、おやめください!! ああ〜!!!」
悲鳴? 嬉鳴? わかんないけど目隠しをされて別室へと連れていかれるヴィルメイズ。借金増やしておくね!
「今の奴はアウトかもしれねーけど、俺はセーフだろ!? おら! 納品されたイラスト見てくれよ! 幼少カイトくんの愛らしさ――分かるだろ!!?」
次いで姿を現したのはカイトである。褐色赤髪元気っ子がお兄ちゃんの手を引っ張っているイラストですね。うーん、尊い。今度命のやり取りをしてもらおう。
ともあれとりさんも子供の頃はとてもかわいかったと自負するカイトは――なんか今、不思議な力によって『そう』なっていた……! これが、M氏の呪詛……!?
「つまるところ好き勝手にしてもいいってこと……いや違うからな!! 待って! M! く、来るな! うわ、なんかいつの間にか手枷と首輪が!! 兄ちゃん――!! 助けて!!!」
ふふ。騒いだって誰も来ませんよ――ふふ。
成否
成功
第1章 第10節
……なんでこんなことになってしまったのでしょう。各地から聞こえるは阿鼻叫喚――アライグマ? あのアライグマが悪い。ピカピカがデフォルトになってしまったのが悪い。ていうか即座にスパチャ上塗りすぎでしょ。
「まあいいわ、鬼ごっこなら負けな……」
「ふふふ。ようこそ低身長童顔成人男子の部屋へ――ところでアンナさ」
(がちゃ)
…………(部屋の中身を見る)
…………(一旦出て部屋名を見る)
「ご機嫌よう、低身長童顔成人よ?」
「嘘をつかないでください――連れていけ」
「待って待って、三要素当たってるから許して。違うの此れは……陰謀よ!」
故意ではないわ――! 取り押さえに掛かるスタッフに抵抗するアンナ!
間違えた、間違えたのよ、決して何が起こるのかなとか思って手が滑ったわけじゃない。落ち着いて情状酌量という概念を持ってほしい。もしもどうしてもダメだとしてもせめて増えた負債は全てまーるちゃんへの投資という形d
「問答無用。M運営事務局に――慈悲と言う心はないんですよ」
「鬼ィ!! きゃああああああ!!」
奥の扉へとガッチリ拘束されて連れていかれるアンナ――
扉が閉まると同時。ホラーゲームでよくある悲鳴が聞こえてきた気がした……
「うぉー! ヒトの金で焼肉が喰えるって聞いたぜ!!
俺あれ食ってみるのあこがれだったんだ! あれ!!
よくアニメとかでもやってるよな!!」
一方で――サンディは部屋の中で生活を謳歌していた!
この部屋は低身長童顔成人男子を満たす為にあらゆるものが備えられている。
そう例えば焼肉設備なども……故にサンディは果たしたい事があったのだ。
焼肉屋といえば……
焼肉屋といえば……
「そう! 焼肉屋といえば――アイスクリーム!!
うめー! なんでこんなうめーんだろうな、焼肉屋のアイスって!!」
それでいいのかサンディよ――! でも満足そうだからヨシ!
然らばファニーも乗っかるものである。乗るしかない、このビッグウェーブに……!
「……とはいえここにくる連中は多かれ少なかれ借金まみれなんだよなぁ」
しかし四月馬鹿達の宴は楽しんだモン勝ちだろう?
――それに。どうやらギフトで人型になっていればこの部屋と相性はよさそうだ、と。
「だが特に指示がねぇのはどういうこった……?」
「ふふ。すぐに意味は分かりますよ?」
「んっ!?」
刹那。ファニーの背後で何者かの声がした――!
即座に振り向くが、誰もいない。い、今のは一体……おや?
壁にある( ・◡・*)って顔した染みが今少し動いた様な……
「本当に此処にいりゃあ負債額が減るのか……? おっと? なんだこの部屋……なんか薄暗くて、座敷牢が――うわッ! な、なんだ手枷が飛んできた!? んぐ、ぐぐぐ――!!」
と、その時だ。妙な部屋を見つけたファニーが部屋に入った、ら。
中から手が伸びてファニーを超速拘束。口を塞がれ問答無用で引きずり込まれ……助けを求める手は伸びても気付かれず……扉は何故か自動的に閉じたとか。
成否
成功
第1章 第11節
リカは聞いたことがあった。24億ゴールドを持って逃走する活劇があると――!
もしかしてあのビーバーから逃げきれれば24億設けられるのでは??
「上等です、この借りてきた負債で見事逃げおおせましょう!
ふっ。たかがデスゲーム司会のビーバーになんて追いつかれる筈が」
「みぃつけたぁあああああ」
うそん。あのビーバー、めっちゃ足早いんですけど?
はぁ、はぁ! リカは駆ける。車に乗ってでも。何を使ってでも――!
が。その頼りになる筈の車がいきなりエンストした。何故!!?
「これも――M運営事務局の陰謀!!? ふっ……もしかしたら逃げつつ主催者を轢いたらチャラにならないかなと思ってたんですが……むりか……リカだけに……利香だけに……」
それちゃんと掛かってる? 疑問が生じるよりも早く――車のフロントガラスに、ビーバーが張り付いていた。
と言う訳でここは鬼ごっこの場面。逃げているのはリカだけではない――!
「うわああああ! くそう、ついマールちゃんの魅力に負けて貢ぎすぎちゃったよ……オイラのパーツを売ればなんとかなるかもしれないけど、ハカセに怒られるだろうし……でも鬼ごっこで逃げればいーんだろ? ならこれしかないじゃん!」
チャロロもだ。めっちゃお金に困ってるチャロロ。流石に身売りする訳にはいかないと、ビーバーから逃げる――反応に自信がある訳じゃないけれど、追って来る感情を探知すれば近くにいるかいないかぐらい分か――
「ど~~~こにいるんでしょ~~~ね? ここですかね? それともこっちですかねぇ?」
「ひぃ……! な、なんだこれ……ビーバーの……群れ!!?」
だがその時、チャロロは見た。
――量産型ビーバーが列を成している光景を!
なんだあれ、なんだあれ!? ビーバーって沢山いたの!?
見つかったら一巻の終わり――あ、目が合った――
「俺借金した覚えはないんだけど、なんでこんな恐ろしいゲームに呼ばれてるの??? デスゲームでバズりを求めてこないでほしいなぁ??? って、ビーバーがすぐ傍に!! うわあああ!!」
ビーバーの群れに呑み込まれるチャロロ。次いで雲雀がそのビーバー群から逃走する――いや本当に借金背負ってないから逃げろって言われるなら全力で逃げさせてもらうだけだ! 多分アレ捕まったら逆に借金増えるんじゃないか!!?
「くそ、勝手に増やされてたまるか――! 増やすなら洗井さんのでしょあの人この半日でどんだけマールさんに注ぎ込んでると! あっ、道端にそのアライグマが落ちて――うああああああ!!」
「ぐぇ! す、すみません! これも社の指示で……僕は悪くないんです!!」
刹那。なぜか都合よく道に転んでた洗井に躓く雲雀――! そんな。ここまで障害物やらを全力で利用して気配まで押し殺して、物陰を縫うように逃げれてたのに……アライイイイイイ!!
「( ・◡・*)( ・◡・*)( ・◡・*)( ・◡・*)( ・◡・*)」
「( ・◡・*)( ・◡・*)?」
「( ・◡・*)! ( ・◡・*)~♪ ( ・◡・*)!!!」
同時。鬼ごっこの片隅で――秋奈がビーバーと何やら独自交信をしてた
なんだあれは……バベルでも解析できないぞ……はっ、まさか。
アレが噂の――M交信!!? 低身長童顔成人男子なら聞き取れると噂の……!
「( ・◡・*)( ・◡・*)( ・◡・*)( ・◡・*)( ・◡・*)」
「( ・◡・*)( ・◡・*)( ・◡・*)( ・◡・*)( ・◡・*)」
「( ・◡・*)!( ・◡・*)!( ・◡・*)!( ・◡・*)!( ・◡・*)!」
そしてなんか分かんないが意気投合してるみたいだ……あれ、秋奈ちゃん? 運営側になろうとしてる? 待つんだそれはMの罠だ! 正気を取り戻すんだ、秋奈ちゃーん!
成否
成功
第1章 第12節
――『ですげ〜む』には茶屋:猫之森も(勝手に)協賛しております。
(M運営事務局は新たなスポンサー、いつでもお待ちしております!)
「しかし身を切るまで貢ぐかネJK……
しかも半端な額じゃねーシ。霞でも食って生きる気かヨ」
宣伝も行った壱和は改めて状況を見据えるものだ。金は払うより稼ぐ方がよっぽどイイってネ。ま、そういう訳で『稼ぐ』ためには……だ。ン"ン"ッ。
「え〜、綿あめ〜、綿あめ〜、観戦のお供に綿あめは要らんかネ〜。
美味しいヨォ〜、綿あめ洗いを見ながら食べる綿あめは愉悦の味だヨォ〜。
他にも色々取り揃えてるヨォ〜。ですげ〜む観戦のお供に茶菓子はいかがかネェ〜。
なんならお茶もあるヨォ~おいし~いお茶だヨォ~」
営業声作って売り歩こうか。綿あめ洗いという苦行を身ながら綿あめを喰らうなど……悪魔的発想! 所詮この世は遊戯、愉悦こそ全てってナ――せいぜい、この狂宴を楽しもうゼ。どうせあと何時間かだけ、だロ?
「やれやれ、負債を抱えている者達は厄介なことだな……命……ん、命賭けてるか……? まぁいい。私を見てみろ、まだ5000しか使っていないんだぞ――まだまだ生活費に余裕はあるものだ」
そして綿あめを買い取りながら紡ぐのは沙耶である。まぁいつスパチャしてしまうかも分からない……明日は我が身かと思いつつも、今は観戦しておこうか。ただデスゲームと言う割にはひどい目に合ってるものが少なめなような……?
「綿あめ洗いも……苦行だが、別に命に別状はないよな……
ともあれ間違ってもこれは『あいつ』に知られてはいけないな」
綿あめもぐもぐ。食べながら、映像を記憶の内に留めるものだ。
……あと。一応周囲に自分を見る目とかがないか確認だけしておこうか。あいつ、いないよな? いやーまさか…な……?
「負債背負うまで貢ぐとは馬鹿な奴らだ。後先考えないからこういうゲームに参加しないと行けなくなる……いやまあ、俺も相手が相手なら借金して貢いでたかもしれねーんだけど」
次いでゲーム会場を見るのはクウハか。マールは確かに可愛いし、乳もデカイが……借金まみれになる程貢ごうとは思わない。関りが深かったらどうだったか分からないが……ま、この光景を見ると幸いだったと思うべきだろうか。
「あのショタを狙う魔樹の趣味も混じってるこったしな――危険なゲームが混じってるもんだぜ。てかわたあめ綺麗になるまで洗うってなんだ? 水に溶けるだろどー考えても。まぁ鞭でケツしばくのが主目的なんだろうが」
なんか知り合いを思い出すなと――彼は吐息一つ零しながら、しかし。安全圏から負債者共の哀れで惨めで滑稽な姿を楽しませてもらおうと――席に付いてゆっくりと眺めるものであった。
「しかしよぉ、オイ。どうすりゃあんな負債額になるんだ……?
なんか億単位ぶち込んでるヤツいねーか? スパ……チャ?」
なんだそりゃ、と。缶ビール片手に既に席に付いて眺めていたのはバクルドである。
『スパ』ゲッティに『チャ』ーハンの略か……? いや何、投げ銭の意味?
「ああ……練達の映像作品だったかで見た事あるな。
警吏が銭投げるあれだろ? 犯人捕まえる為の……え、違う?
応援したくて金を送る……おひねりの類か。あいにく金は酒に使っちまったな」
宵越しの金も持たぬ主義。刹那の酔いが人生を彩るのだ、と。
彼は近くを歩いていたスタッフに新たな酒を求めようか。
誰ぞに億を貢がなくても――十分に幸せになれるのだから。
「…………この( ・◡・*)、Pの( ・◡・*)なんだよな」
直後。観客席の一角で呟いたのは――カイトか。
……? なんか、こう、不穏な気配がする。
画面に見せたりしていいかな? うーん、あれ、今なんかちょっと動いた様な……
「まぁあんなゲームに巻き込まれなくて一安心、と思うべきなんだろうなぁ。
……朝方にショタになる夢を見た気がするが、まさか正夢じゃないだろうし」
あと『お茶』ってヤツになんかした方がいいんかな――? いや何をどうやってどういう干渉をするかなんて考えてもいないけれど――なんかそういう天啓が湧く気がして――
と、その時。
「カイトさん」
「ん? おわ!? M!!?」
「カイトさん――今日と言うこの日は」
望めばどんな姿にだって――なれるんですよ?
背後にいたのはMだ。いつの間に接近していたのか。
……その後のカイトは記憶があやふやである。
何かあったような。座敷牢にいたような……いやいなかったような……
思い出すのはやめておこうと――思うものであった。
成否
成功
第1章 第13節
「た、たいへんなの〜! かりいれって、しゃっきんだったの!
あわわわ。きづかなかったの! ついポチポチしちゃったの!!」
可愛らしい声で紡ぐのはピリアである。あーあこんなに借金まみれになっちゃって!
『わああん、ピリア、がんばってはたらくの!』と意気込みは良い、のだが――
「えっと、あれ? わたあめ、あらえないの」
「ほら、何してるですぞ! 洗えないと借金は返せないですぞ!」
「ふぇえ。くもみたいでふわふわだけど、あまくておいしいわたあめ、あらわないといけないの、つらいの! というより、きえちゃうの! どうしようなの~! ごめんなさいなの~!」
「うわ! ちょ、そのベタベタした手で目玉を触るのはやめ、ぎゃー!!」
当然だが綿あめを洗うなど無理難題。涙目になってザントマンの目玉をべとべと触れる純真のピリア――なんて恐ろしい子!
「…………わたあめおいしそう……」
「あ、こらそこも何してるですぞ!」
「ぇ? ボクの口の中であらったんだよ! かんぺき! みっしょんこんぷりーと!」
「それは依頼失敗というのですぞおおおおおお!!」
同時。綿あめ洗いにチャレンジしたメイは――食欲に抗えず食べちゃった! ザントマンの制裁! びしーばしー! ついでに借金も増やしておくね、綿あめ代!
「はぁ、はぁ。射幸心を煽るスパチャ、簡単に借りれるお金……
瞬間的なモノ程信じちゃいけないんだね。本当によくわかった。
後学の為に覚えておくね……」
そして祝音――は、無表情のチベスナ顔になっていた。遠い目だ……! きっと辛い目にあったんだろう……! その辛い目を忘れる為に彼は洗う。そう……『洗う』のだ……!
「綺麗になる《なくなる》まで――ね」
「うぉぉぉぉい!! 消えてるじゃないかですぞ!!」
「こういう事でしょ? ところでわたあめ綺麗に《なく》なったから次をください。次もちゃんと綺麗にするので――って鞭は危ない! 人に向けちゃいけないって教わらなかったの、ザントマンさん!」
「ぎゃー! 借金してるのに反撃はズルいですぞ――!!」
ザントマン、怒りの鞭。躱して返しの神滅の一撃を叩き込む――! ガチの一撃だー!
「祝・領主の生活費がプラスになった――さぁそれじゃわたあめ洗いますよ」
「ちゃんとお給金入るんですのね、このですげーむ……」
「今日は何もない日で終わる日。だから猫がわたあめ洗っててもエイプリルフール」
次いでメテオール、コメート、ミニマールも参戦しようか。わたあめ洗いに! 彼らの領主たる者の収支がプラスになった記念も込めてだ――わたあめ洗うぐらいなら楽勝と洗い始めて……溶けてく!
「あら、わたあめが溶けて消えて……
行ってしまわれましたわ、水溶の(水に溶ける)理に導かれて……
これがわたあめの解脱なのですね! おかわり! おかわり!
わんこわたあめなのですわ! もういっちょお願いしたいですわ!」
「わたあめなくなっちゃった。また溶かそう。
わーすぐ溶けてく。すごいね。溶かすのはわたあめだけだけどね。おかわりー」
「お前ら楽しむなですぞおおおお!!」
ハリセンに持ち替えたザントマンがコメートとミニマールの頭を叩いていく。鞭? 今ちょっと休憩中。ツッコミが追いつかないの!! そもそも綿あめ洗えとかいう意味不明な事させてるのはザントマンの方だけど!
なにはともあれ報酬はきちんと支払われるのであればメテオールにとっても満足である。
これで自分達の領地取得にもきっと一歩近付くと信じて……おっと。
「ところで自分の方もわたあめが消失したのですが。
わたあめとは洗うと浄化され天に召されるものなのでしょ」
「違うですぞ! お前らイジメに気付けですぞ、この、この!」
スパン、スパーン!! ハリセン一閃、ザントマンが穿つ!
成否
成功
第1章 第14節
ちょっと投げ銭しちゃったから追加でまた投げ銭したいな!
――そんな思考と共にフラーゴラは至るものだ。だってあわよくばお金も稼げるかも? そうしたらそうしたら……
「お肉屋さんの拡大に……アトさんとのデートに着る服とか!」
ほわんほわんゴラゴラ〜ふふ。彩られるフラーゴラの未来!
なので頑張って綿あめ洗いしてみます――! えっ、綿あめ洗い?
「うーん……??? うん???」
溶ける。一瞬で溶ける。当たり前だ、だって砂糖の塊だもん!
――でもそれを洗うって何か意味がある筈。ならば!
「よし、やりまあーす! えいえいっじゃぶじゃぶ、とりゃー! だめだー!」
ああ――っ、普通に消えたあ……! やっぱ無理だよコレ!
「焼け石に水みたいな……わたあめの水洗いだよ!!」
「上手い事言ってないで、綿あめ無くしたらダメですぞ!!」
「そんなー!」
フラーゴラの頭がハリセンで叩かれる。理不尽だー!
フッ、しかし……借金返済と言えばその道のプロ、水天宮妙見子ちゃんがいるものだ。いや待て、本当に妙見子で大丈夫か? 妙見子だぞ?
「な、何の天の声ですか今のは!
借金の一つや二つどころか……わたあめだって簡単に洗ってみせますよ!!」
――そう言ってたのが二十秒前の事である。そして現在、ご覧ください。
「アイター!! 防御無視はちょっと酷くないですか!!?
なんですかそのハリセンと鞭の両刀!!? おやめください!おやめください!
こんなか弱い女の子を痛めつけて楽しいんですか!?」
「楽しいですぞ! これが生きがいですぞ!!」
「あー! 可哀想! 妙見子ちゃんのHPがゴリゴリ減っていくのが分かります!!」
こんな有り様です。そりゃあわたあめ洗ったらすぐ無くなりますよね……妙見子ちゃん知ってた。妙見子、お砂糖が溶けるぐらい知ってます! 調子乗っただけです許して~! えーん! もう借金はゴリゴリです〜!(そーして繰り返す消費者金融通い! ヘイ!)
「えっえっ! だってわたし、マールちゃんを応援しただけだもの! 悪いことしてないわぁ!」
「幾ら注ぎ込んだか、言ってみろですぞ」
「大したことはないわ――2000000ぐらいよ!」
メリーノも大概である。ザントマンが遠い目をするものだ……!
ともあれ綿あめは沢山ある。やったあ! わたあめ! ふわふわねぇ!
「とにかくさっさと洗うですぞ! それが仕事ですぞ!」
「洗うの? やぁよ、せっかくこんなにいっぱいあるんだもの、食べちゃえばいいのよ! ふふふ! おいしいわ~~!」
「あ、こら! 其れは商品ですぞ――!!」
「ザントマンちゃんも欲しいの? じゃあこれあげるわ! 目薬!」
ぎゃああああ――!! あ、間違えてタバスコあげちゃったわ!!
転げまわるザントマン。涙めっちゃ流してる。
メリーノは頬を綿あめで膨らませながら――味を楽しむものであった!
ところでついつい課金額が膨れ上がってしまったのは……ネーヴェもである……!
「違うんですだってマールちゃんが配信してたら課金するじゃないですか!!! ありがとうマールちゃん今日も貴女の声が聞けて幸せです!!! 貴女の声が聞こえるなら3000000ぐらい大したことはありません!」
「重病ですぞ! 隔離して、即刻わたあめ洗いに連行するんですぞ!!」
なんとかタバスコの痛みから立ち直ったザントマンがネーヴェを捕らえる。ネーヴェも抵抗はしないものだ……だって。これ以上借入するとマールちゃんに貢げなくなるのも事実だから……! だめだネーヴェの脳内はどこまで課金できるかに染まってる!
「わたあめ洗うくらいわたくしにもできます! ちゃんと見ていてください! わたあめはですね、こうしてこうしてこうしたら、ハイッ消えますね!! ……えっ。えっえっ、な、なくなっちゃいました……!?」
「無くしたらお仕置きですぞー! ウチの商品をよくもー!」
「あー! いたいけな兎に鞭打つなんて酷いと思わないんですか!
動物愛護団体に訴えてマールちゃんへの費用……もとい慰謝料を頂きますからね!」
ズ、ズルイ発想ですぞコイツ――!!
転んでもタダでは起きない。マールちゃんの買ったものと同じモノを買って、同じモノを摂取したい夢もあるのだ――ネーヴェは止まらない。彼女の課金の旅は――まだまだ続くのだ!
成否
成功
第1章 第15節
「楽しいゲームって聞いてきたんだけどここどこー?
にーちゃん達何か知らない? 迷っちまったんだけどさー」
語るは洸汰だ。分からない、朝起きたらいつの間に妙な部屋に連れ込まれていて……なんかここで待ってろって言われたけど……それから係の人全然こねーじゃん! つまんねーの! 不貞腐れてしまっているのである――
仕方ないのでボール遊びでもしていようかと思え、ば。
手からすっぽ抜けてしまった! 黒服サングラスの人の頭に、ジャストーミート!!
「ちょ、大丈夫かー!? (多分)M運営事務局のひとー!!」
「――あーあ。やってしまいましたね、これは。借金が増えてしまいますよ、ふふふ」
「だ、誰だぁ!? うわっ!!」
刹那。洸汰が駆けよらんとすれば、手を引っ張られた。
離せ―! 叫ぶ暇もなく、どこかに連れ去られていく――!
「ッ!? 今のは――!? まさか、アレが噂の『低身長童顔成人男子』を連れ去る怪異……!?」
同時、その光景を視界の端で捉えたのはユーフォニーだ。
彼女……は、今日と言う日の不思議な効果なので男子になっている……! 茶髪のちょっと穏やかにチャらい感じだ……! はっ。でもここにいるという事は借金漬けの茶髪男子……?
「なるほど。そういう属性も悪くありませんね――」
「うわっ! くっ、ここはひとつ賭けてみようかと思っていたが、まさか本当に……!」
攫われる。どうやら低身長童顔成人男子の枠組みとして捉えられたようだ!
うわあああどんどん人が消えていく。ていうか一体どこに!?
不思議に思っていれば、しかしその動きを調査せんと――既にアーマデルが動いていた。
「M運営事務局……如何なるメカニズムと理論を以てここを訪れると借金が減るのか……いや俺借金無いけどな。とにかく調べてみる必要がありそうだ。俺は天井になる――」
こういう所ではそれが作法なのだろう?
こっそりと、攫われた面々を追わんとするアーマデル。
……しかし何ぞやの気配を感じる。敵か!?
「はっ。ならば……にゃーん」
「なんだ猫か」
「シャー!」
「なんだ蛇か」
故に気配を押し殺して妖しい者じゃないアピール。
不審者でもないぞ。かべ。そう、俺はかべだ! 古代からどこにでもあるかべだぞ。
「ふぅ。なんとかこれでバレなさそうだな」
「そうですね、ふふふ」
「――はっ! これはオレンジ色の気配」
が。やはりと言うべきか事はそう単純では無かった。
いつの間にかオレンジ色の球体が迫る――!
……そこから先にアーマデルの意識はなかった。
ただ目覚めた時には部屋から逃れられない借金が何故か、背負わされていたとか……
成否
成功
第1章 第16節
わたしちゃんは しょうきに もどった!
「うおおおおお!! 私ちゃんは『M』ゲーム一周目経験者だ!
なめるなよぉぉぉぉぉぉお!!! 私ちゃんの底力を見せてやる――!!
ってのはまぁいいとして。ねえねえ見てみてこの写真。良い感じにいい感じに撮れてる空でしょ? 雲がない青空だぜ? きれーすぎ! こんなん取れるの奇跡っしょ! バイブス上げてかんとな〜〜っ!? え? 何か写ってる? またまた~、冗談っしょー」
リプレイ書いてて疲れたんじゃね? 大丈夫? 姫騎士のおむねもむ? もむ~!
――って。この写真、みんなこの世にいないじゃん! 冥土の集いじゃん! うっ、泣ける……秋奈ちゃんどうしてこんな写真をもって……あ、やべビーバーが来たぞ隠れろ隠れろ!
「生活費 獲得遊戯 内容……当方 得意分野」
義母 期待推奨(まっててね)――』
同時。そんなビーバーの群れから逃げんとするのは島風である。
空の道をカッ飛ばす。ビーバの群れ? そもそも追いつかれなければ問題ないのだ!
加速、加速、加速ッ――!!
「くぅ~~! なぁんて速さなんでしょうか! ひぃひぃ追いつけない……!」
「身体 調子 共良好……!」
――もう なにも こわく ない。
「超加速!(ぶっちぎる!)」
ああこれで義母の生活費を何とかできそうだ――
と、思ったその瞬間。
「んふふ。健気ですね~でも私、そういうのが潰れちゃうのが好きなんですよ~!」
「――何?」
眼前。無数のビーバーが――島風を捕らえんと跳躍。
しまった。回り込まれていたのか。なんとか回避せんとするが、足を掴まれて……あー!
「おやおや。逃げるだけでよいとは優しいですねぇ。
……まぁどうにもキナ臭い気配があります。
それだけでカタが済むとは到底思えませんね」
更にバルガルは斯様な気配を察しようか。ここは敵の領域である、と。
だが挑むなら全力だ。足音を消して気配を極限まで殺す。
障害物のあるエリアを中心に逃走し――ビーバーを振り切ろう。
「んんんん、何処に行ったんですかねぇ~!?」
「――では。予定通りに参りましょうか」
ごちゃごちゃした所を追って来れば、ビーバー達もそこを中心に探し出す。
故に、それが狙い目なのだ。
持ち込んだバイクでかっ飛ばして――ぶっちぎる!
「に・っがしませんよー! 待て待て――!」
後ろからビーバーの大群が負ってくる気配がするが、振り向かない。
一目散に駆けていく。油断すれば――借金地獄に塗れられそうなのだから!
成否
成功
第1章 第17節
「ついつい夢中になってスパチャしてしまいました――拙者うっかり」
「テヘペロしてもダメですぞ。わたあめさっさと洗うですぞ!」
成龍。膨らんでしまった借金を返す為にいざや働く――!
ふふふ……ここまで膨らませた借り入れを一気に返せば! 拙者かっこいい!
まさに竜! いや借金漬けの竜とかカッコ悪いですぞその時点で!
「という訳で一発逆転させていただきますぞ!!
……誰ですかザントマン殿と口調が同じなんて言う輩は!
ええいまぁ外野はともかく。
ふわっふわのわたあめ……このまま洗えば消えてしまうもの。なんと儚い」
しかし秘策があるものだ。
「こうやってぎゅ、ぎゅ〜〜っと圧縮して……そして取り出しますは、ガスバ~ナ~!」
「えっ」
「これをこうしてこう炙るとですね。べっこう飴のごとく固まります!
これを洗えば……完っっ璧な作戦です!!
解けぬわたあめを洗う――これぞ竜の叡智!」
「いや商品変わってるですぞ! 何してるんですぞ――!!」
ハリセン一発。認められなかったらしい、そんなー! ザントマン殿は器が小さい!
――一方でE・Eは。なんか頬が膨らんでた。
「……」
「食べましたですぞ?」
「マアマアハジメマシテノ大目玉サン、イヤ小目玉サン? ハッ(蔑笑)」
「むきー! 生意気な口をきいてると叩くですぞー!」
「オットシツレイ。マアオ聞キナサイナ」
綿飴ナル食ベモノハ雲ノゴトクふわふわふかふか。故ニ航空戦力トシテノ運用ヲ主要トスル当機トシテハ、ソレハモウ超エナイト――アッ、ダメ? アッ。鞭ガ!
「スキアリデスヨ、目玉にソウルストライク!」
「ぎゃー! ガチ抵抗はやめるですぞー!」
「ザマァwww オット当機ハ無表情キャラデシタ。コレハ失礼」
くっ。エイプリルの力なのかE・Eの様子がおかしいぞ!
ザントマンをおちょくりながら往く。
あっやめてください、逃げる己をそんなに見つめられると……
「メーザーアイガ……ア――……」
魔砲一閃。ザントマンを吹っ飛ばした!
「あーん、ちょっと課金をやりすぎちゃったわ……
可愛い子が画面に映っていたものだから、つい……」
でもね? と紡ぐのはルミエールである。
「私の負債は父様や紫苑の月が――何とかしてくれるんじゃないかと思うの」
「そういう他力本願なの、どうかと思いますぞ!?」
「ふふ、そうかしら? だって私、父様の可愛いムスメで紫苑の月の永遠の妹ですもの」
自信満々! ……まぁそれは別にして、少しは頑張るのだけれど。
と言う訳で綿あめを食べる。食べ……ん?
「いやちょっと」
「ねぇ色がついたものはないの? 写真映えするような可愛いものがいいわ」
「いやそうじゃなくて何食べてるんですぞ!?」
「え――? 違うわよ。これはね、洗ってるの」
私のお腹の中で、わたあめを――
わたあめも水より私のお腹の中で洗われたいって言ってるわ。そもそも溶けるし。
この子達は私に愛されたがってるの。それなら愛してあげないと可哀想でしょう?
「――邪魔するならその目玉、洗ってあげるわよ?」
「ひぃ! 脅してくるですぞ、この令嬢!!?」
微笑み一つ。なんとも脅し圧力の強い――笑みであった。
成否
成功
第1章 第18節
く……遂に借金は大台の1100000000に到達……!
参加するしかあるまい…ッ! デスゲーム……ッ! 一発逆転の一手を……ッ!
( ざわっ… ざわっ… )
「いやどこまでやってんですぞ天狐は!!?
11億!!? 11億って、もう運営側が先に潰れるですぞ!!」
「しかし普通に洗ってしまっては溶けてしまう……これは……罠……!
考えろ……ッ! 考えるのじゃ……ッ!」
「いやこっちの話を聞けですぞ!! もうこれチャラに出来るもんじゃないですぞ!!」
ザントマンがやかましいが集中している天狐の脳髄に――電流迸る。
そうか……見えたぞ……ッ! 巧妙に張り巡らされたブラフ……!
天啓……っ! 圧倒的天啓……っ!
(ヤツは洗えとは言ったが、水を使えなどと一言も言うとらんではないか……っ!!
此処……! 此処にこそ勝機がある……! 針の穴程の勝機……!!)
つまり『洗う』の定義とは……水ではないもので成せばよい……そう!
「……風! そう、風で洗うのじゃ……ッ!
今、貴様の牙城をわしが……っ! 崩す……っ!!
王は……刺される……今、奴隷の手によって……!!」
「埃がつくに決まってるですぞそんなの――!!」
「まぁまぁ。どうせ水だと溶けるのですから――ね? 私も『こう』していますし」
綿あめ掴んで天に掲げる天狐――その隣では瑠璃の姿もあった。
彼女が成しているのは……そう。フィジカルだ。
力いっぱい握りつぶして手のひらサイズの糖分の塊になるまで圧縮。
――これなら容易に水に溶けて消える事もありませんので、安心して洗えますね。
「ひぃ。これヤベーですぞ……超圧縮とか言うレベルじゃねーですぞ……」
「おや、何か問題でもありましたか?」
「ヒッ! なにもないですぞ!」
にっこりと。微笑みながら彼女は糾弾する手を両手で包むように握る――
脅しだ。脅したよこのイレギュラーズ! 何か口を挟めば『これと同じになるかもしれませんね――うっかり』という瞳だ! こわいよぉイレギュラーズ!!
「はぁはぁ。もうだめだ、俺は借金を返せねぇ……
返せねぇどころか運営のヤツ、アニーに領収書送りやがって……!!」
次いで零が憤慨していた――ビーバーに蛸殴りにされてヘロヘロ状態である。
所で師匠が来てる事に気付いた俺です、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
俺はもう体力も精神力も限界です。家に帰れるのかなぁ?
「とりあえず綿あめ洗うわ……でもさ、これだけは言わせてくれ」
「拝聴しましょうですぞ」
「――エイプリルフールの祭りに乗っかっただけで本編でここまでの事しねぇよ!! アニーに対してならいつだってオールベッドからの人生捧げコースだば――か!! 俺はアニー一筋だからな!! そこんところ忘れるなよ――いいな、俺との約束だからな――!!」
叫ぶ。大事な事だ、かなり大事だったので――腹の底から叫びまくった。
覚えて帰ればそこの君も億万長者だ。いいな、皆約束だぞ!
……と、その時だ。綿あめを洗うウォリアがザントマンへ声を掛ける――
「ふむ。ここで小話を一つ……
わたあめをな、潰して平たくして炙るんだ。
焦がさない様に上手くやるとパリッパリの飴が出来るんだ。
そう、先程成龍が作ったようなモノの一種だな。
これをケーキとかソフトクリームに乗っけると美味いんだ」
「うんうん分かりますですぞ。あそこが美味しいんですぞ!」
「そうだろうそうだろう――で、だ。この話自体に意味はなくてだな」
「えっ?」
「本題は……お前の注意をこうして退いている内に、事務局を爆破する事なんだ」
えっ? ――そうウォリアは……わたあめを洗っていた謎の鎧Wは事務局へ潜入したレジスタンス。もとい抱えた負債ごと自爆炎上する事でうやむやにしようとする叛逆者だったのである――!
フハハハハハハ一切タメにならない話術に引っかかったなザントマン!
「わたあめライン爆破の準備は既に整っていたのだよ――大☆爆☆発!」
「あー! あああああー! やめ、アーッ!!!!!」
直後――轟音一つ。
わたあめ工場でとんでもない爆発が生じたのであった。
成否
成功
第1章 第19節
さて。わたあめ工場が地獄に包まれている頃。
『低身長童顔成人男子』の部屋でも――動きがあった。
高身長童顔成人男子だから安心してこの部屋に行くことが出来るよ、フフ……と呟くのは伏見 行人――まて、正気か。そこに低身長以外が入り込めば……生きて帰れないぞ……!
だが彼は最早止まらない。さて、この部屋では一体何が行われているのか……
「デスゲームだからね、助け合わないとね。いけないよね。
人は一人じゃ生きていけないから」
胸躍る感覚を抑えきれない。眼前の扉の先では何があるのか――
「え――っ!!!」
その時、特派員が見たものとは!!
「――見ましたね。それならもう、生きては返せません」
刹那。行人の背後に回り込んでいたMが、手刀を繰り出した。
気絶する行人……! そう、見てしまったのだ彼は。
会場の地下に設置されている――座敷牢を!
「うわー助けてください! Mに監禁されていて……うわぁまた出た!」
「つ、次はなにをすればいいですか……いたいのはイヤです……」
そこには鏡禍やアルヴァの影もあろうか。どこか怯えているようにも見える。
だがアルヴァは逃げれない。あと二億ちょっと……返さないといけない金があるんだ!
それさえ返せば航空猟兵隊長としての面子は保たれるんだ。
「ふふ可愛らしいですね――まだ隊長としての面子が残ってるつもりなんですか」
「な、なに……?」
「今、航空猟兵に領収書を送る準備をしてるんです。嫌なら――
こーんな恰好をしてもらいましょうか。あ、あと上着は半脱ぎでお願いします」
「あ、嫌、ちょっと待って、そんなことしたら俺の隊長としての尊厳が!」
でも何でもするって言いましたよね――?
屈辱。屈辱だ。だけど従わないと、航空猟兵の皆に……くっ!!
「お、覚えてやがれよ……借金全部返し終わったらフル武装でこんな組織ぶっ壊してやる><! 俺は本気だからな!」
「ふふ――逃げられるとおもってるなんて本当にかわいいですね」
「ひぃ……ここは伏魔殿か何かですかね……?」
Mの視線が鏡禍の側を向く。なんてこった……
妖怪としては何百年と生きてきた。だから成人……と言っていいのだろうか。
顔は……不本意ながらカッコいいよりかわいいって言われる事も多い……
だからだろうか。毒牙に掛かりそうになっているのは――!
くっ。そもそも、僕がこんな部屋に入っていてもいいんでしょうか?
「いいんですよ――エイプリルですし」
「はぁ、はぁ。なんだかさっきから動悸が激しいような……一体何を」
「ふふふふふ」
同時。なぜか心臓の鼓動が早くなり始める。なんだこれは……!?
熱い。体が熱いのだ。くそ、これもM運営事務局の陰謀か……!?
あぁ――服がはだける――
「へー、これが座敷牢かぁ〜テンション上がるなぁ〜」
瞬間。現れたのは――ブランシュだ!
ビーバーにやられたブランシュだったが、今度はこの部屋で低身長童顔成人男子をイカサマ賭博にかけてこの借金を減らしてやるぜ……と思っていったら座敷牢の所にまで来てしまった! へっへっへ、まぁいい。これでまたマールちゃんに捧げられる訳よ。
「幸い俺は低身長童顔男子にもなれる。この部屋にも入出可能ってワケ――
あっ。Mの御顔が! あ、いや、その、これは違うんです」
「何が違うんですか――言ってみなさい」
「お、お前は未成年だろってのは確かにそうなんですが、これは決して邪な感情があっての策謀ではなく……お、お慈悲を」
「お黙りなさい。私は間違えません。私の判断は絶対です――
ブランシュさん。借金を少し増やさせてもらうとしましょうか」
「そ、そんな!!」
ただマールちゃんに貢ぎたかっただけなのに――!!
絶叫響く。あぁスパチャの呪いはどこまでも――
成否
成功
第1章 第20節
ごめん! 生活費ちょっと余裕なくなってきた♪
「――じゃ、ないんだよ! 僕まだ、使ってないんだが!!?
なのに僕がツケを払うの??? なんで? どうして?
なにがどうなればそういう事になるの???
ファニアス、彼者誰、出たら覚えておきなよ!!!」
怒り狂っているのは京司だ。知古の面々に憤怒しながら彼はこの部屋にいる――
『ちょうど良いから』って何?? 売ったな僕を!?!?
「くっ。しかたない、とにかく何とかしなければ……んっ?」
視線を周囲に。とにかく状況の把握に務めんとし……て。
なにやら奥から会話の様な声が聞こえてきた――こっそりと覗いてみれば。
「何かよくわからねぇけど、借金減らしてくれるんだってな。
ありがてえ、これカジノで負けが込んでも平気だぜ!」
――まぁ金なんて使ってなんぼだしな、と言うのは雄である。
どう見ても低身長ではない。が、彼は構わず突き進まんとするものだ。あーあ。
「あ? 俺は入るな? 何言ってんだこちとら成人男子だぞ。
半分あってるんだから別にいーだろ、ケチケチすんなって。
大したちげーはないんだからよ」
そう知って制止を振り切って入ろうか――然らば。
Mの力に囲まれる。まずい。このままでは雄の命が危ない――が。
「ホレ、こいつでどうだ」
低身長童顔成人男子を差し出すものだ。
まるでそれはアクセサリーを貸す様に。ひぃ、この外道!
「使えるもんはなんでも使っていいだろ――
じゃーそういう事で。借金の件よろしくなー」
「ふふ。考えておきましょう――」
Mともwin-winの取引だ。人身売買の様な気がするが……問題ない、ヨシッ!
「はわわ、生活費が無くなったらここに来なさいって言われたけど、これから何が始まるんだろう。俺はただ、一度でいいからナイスミドルになった恋人にキュンキュンしたかっただけなのにっ……どうしてこんな事に。これが四月一日の魔力だというのか……!?」
紡ぐのは弾正である。年に一度のビッグイベントに、わざわざ低身長童顔成人男子になり変わるような物好きが――此方の男になります! ふふ、ショタは可愛いですね!! ですねえええ!!
こほん。取り乱しました。
とにかく今日と言う日は弾正は美味しそうな感じである。間違えた、子供である。
――故に此処で稼げる。イケオジになってもお腹が冷えそうだった相方のために布代を捻出できるかもしれない……! だから!
「歌唱でも料理でも、やれる事は『何でも』します。
大好きな人のために、お……お金をください! お願いします!!」
「じゅる」
「ん!?」
なんか変な効果音が聞こえた気がしたが……気のせいか!?
「んにゃ~? ここはどこにゃ? マールちゃんの配信を楽しんでたのに……」
同時。部屋の一角で起き上がったのは――ちぐさだ。
困ったにゃ。気付いたら多額の借金をしてたみたいなのにゃ……マールちゃんの配信に熱を入れ過ぎたのにゃ。このままじゃ闇市回せないどころかお家追い出されたりするかもだし、ショウに顔向けできないのにゃ……
でもなんかゲーム? に呼ばれて気付いたらこの部屋に。
何したらいいのにゃ? それにしてもこの部屋、紐とか縄とかあるし、服がいっぱい入ったタンスもあるし、なんなら首輪とかもあってなんか不穏なのにゃ。しかも使った跡があるにゃ。どうしてにゃ?
「んにゃ? 今扉が開くような音がしたようにゃ?」
誰か来たのかにゃ? 僕、そろそろ帰りた……にゃ!?
「な、なにするのにゃ! 痛いにゃ! 縛っちゃいやなのにゃ! 誰かたすけ――」
――そうしてちぐさは奥の部屋へと連れていかれる。
何があったかは……ここでは示さない事にしよう!
成否
成功
第1章 第21節
「わーい。座敷牢でとってもとってもよくしてもらったので、マール様たちの応援に使ってきました! そしたら、もっかいですげーむ? に行ってらっしゃいって言われたのです。だから来たのです! またやれる事はありますか?」
まさかのニル、二連続である。
ダメだよ、デスゲームの前に勉強した方がいい……! ていうか誰に言われたの!
「……? 生活費に手を付けてはいけない……? スパチャは借入てするものって洗井様が言ってましたけど、違うのですか? ニルは、なにか間違っていたのですか? ニルは、ニルに出来る事ならなんでもしますよ? ……そういうのも良くない?」
洗井ィ! 澄んだ瞳が其処に在る……うう、眩しい。こんなニルちゃんになんてことを……
ニルは純粋だ。
ニルはそれがマールたちのためになるのならと、善良の塊で動く。
キラキラとした瞳と魂が宿っているのだ――
でも生活費稼ぐ為ってのはダメだよ! 自分を大事に、ね!
「負債額を減らす――何を言っている運営CHAN!
スパチャは推しの為に僕らが捧げるパンドラ砲だぞ!
負債はその為に捧げた命の軌跡、つまりはPPP。
――減らすなんて とんでもない!
僕達の魂を侮辱するのか! 僕達は――減る事こそが嬉しいんだ!!」
そんなニルとは真逆の方向に突っ走るのがこのクロバである!!
クロバは心底疑問だった。これは減らすためのですげ~むであってなんで稼ぐなんてするのか? だからがですげ~むに励む間僕はそれを応援しながらスパチャをしようと思いま~す!! 最低だコイツ!!
「俺は国家権力にすら負けない、倍プッシュだ!!
全ての金を上乗せする!! オールインしなきゃ生きてる意味がない!!」
レジェンド級に捧げる(自称)古参ファンのそこぢから――思い知るがいい”M”!!
お前如きに俺達の魂の行く末、理解する事など出来まいよ!! 誰か止めてこの人―!
「やれやれ……流石に趣味で生活費を消し飛ばすなんざ死んでもやらんよ。
まぁ諸々の事情を無視すれば、赤スパは投げてみたいけど」
心に一線ぐらいはあるものだ――と。述べるのはマカライトである。
欲求自体は分からないでもない。だが、クロバ程暴走する程のものでもない。
……しかし妙な見せ物小屋の案内が来たと思ったらなんだこの……なんだ。
同僚が面白おかしく作業して……借金?
「あ、入り口で貰ったこれ受刑者リストか。ご丁寧にどうも……えっなにこの数と金額は。全員正気かよ……上位者とかもう、千万とかいう単位じゃなくて億じゃねぇか……」
最早国家予算級が投入されてないか?
それでこの賽の河原? やってんのか? まじで?
「……うん、来てよかった。人の底を見た気がする。
一線を越えたらああなっちまうんだな――」
マカライトは再度会場の映像に視線を滑らせるものだ。
もう負債ってレベルじゃない資料を記憶の中で反芻しながら。
反面教師にでもしようと。
――限度を超えた浪費は、やめようね! 文字通り身を亡ぼすぞ!――
「……そういえばアライグマにだけは手加減しなくていいんだよな?
なんかそんな感じの話を運営から聞いてはいたが……」
同時。裏方側では火群が動いていた。
ビーバーの会場の手伝いに行こうかと。不意打ちで飛び蹴りするだけでも効果はあろう……しかし借金背負うまで何したんだ。スパチャ? 正気か? 特にあのアライグマの負債はもう数えきれないほどだって?
「まぁ俺にとっては割のいいバイトだからいいんだけどな。
一人捕まえれば100万だったか……?」
「ふーん、なんだか面白そうなことしてるのね。もう少し開催を早く知れてればゲームのアイディアを出してもよかったけど……今度あったら応募フォーム送ってね、ここ連絡先」
然らばオデットも会場の様子を見据えようか。
妖精の悪戯は一級品。いいものを提供してあげる――と。
まぁ今回はもう仕方ないので、領地からもってきた林檎でも売って回ろうか。
妖精印の元気の出る林檎――観戦しやすいように林檎ジュースにでもして、っと。
「スタッフの人達もいかがかしら? 美味しいわよ、味も保証する!」
「――なぁこれって爆発するヤツじゃないよな?」
「――そうそう、爆発する林檎ってのもあるのよ」
それを知ってるなんてやるわね、スタッフさん。
やはりM運営事務局はタダ者の集まりではないとオデットは確信するものだ。
負債を抱えた人たちに幾らでも使い道があるでしょう――?
専属契約? 大歓迎よ。
成否
成功
第1章 第22節
俺は大地! 推し活をしていたら早くも今月の生活費がカツカツなんだが……
俺ん家に、やけに時給がいいバイトの募集広告が入ってたんだ!
これは行くしかない、推しへのお布施&ゆとりのある生活を確保するために!
――そんな気軽に訪れたら、あんなことが起こるなんて――
「なんだ……? 妙に床がびしょびしょだったりその辺がめちゃくちゃに荒れてたり……一体ここで何が行われてるんだ? これって清掃の仕事……でいいんだよな?」
大地は胸騒ぎがしていた。このビル、なにかおかしいと……!
……まあ一介のアルバイトには関係ないか。
俺はとにかく推しへの御布施代が稼げればそれで――あっ!!
「うわ! なんだこの像……割れちゃった!
やべぇ……わわわ。なんか割れた( ・◡・*)がこっちを見てる気がする……!」
とにかく上司に報告せねば……! そう思い駆けださんとした、が。
「あれ、なんか視界が急に暗く」
「弁償はいいですよ――身体で支払ってもらいますから。文字通りの意味で」
「だ――」
れだ、という言葉は続かなかった。大地は連れ去られたからだ。
彼は知る。( ・◡・*)こそが――このビルの支配者であった事を――
そして彼もまた――その毒牙に掛かってしまった事を――
「ふぅ。裏方作業も大方終わったな……
相変わらず阿鼻叫喚が続いているが、道具に帰線はないからな。
まぁなんか爆薬の量が多い事だけはちょっときになるけれど……」
同じ頃。別室ではサイズが作業を続けていた。
やっぱり色々妖しい地であるが、しかし報酬が良かったのは確かである。ならば長居は無用だと……うちの家族達にプレゼント買って帰る方が重要だ。美味しいケーキに玩具にデートに使えそうなチケットと……
「子供のための貯金もしないといけないし、やりくり大変だな。
スパチャしてる場合ではなさそうだ――」
堅実に行こうとサイズは思考を委ねるものだ。
うっかりスパチャなどに手を出せば――あの阿鼻叫喚の渦に巻き込まれてしまう事だろうし。
成否
成功
第1章 第23節
「やぁM。キミの『例の部屋』だがもっと迫力のある視点の絵があればいいと思わないかい? ――例えば中に居る人間での視点とか」
「ほう……面白い意見ですね。続けてください」
M運営事務局の中枢にて武器商人とMの密談は行われていた。
勿論。我(アタシ)が景観を汚す気はないよ。ただ、ね。
「ここに丁度よく低身長童顔成人男子奴隷がいる」
「いますね」
「このコにカメラを持たせて……色んな角度で……録画を……ね?
その価値はMならば分かる筈だ――画質を保つ為にこのコへのちょっかいは控えめにしてほしいが、お願いとしてはたったその程度だ。その程度一つで、君は新たなる境地を切り開く事が出来るだろう」
「そして貴方はそのダビングを私に――とでも?」
話が早い、と武器商人は口端に微笑みの色を灯そう。
あぁやはりだ。やはりMとはお互い良い取引相手になれる――
堅く交わす握手は、魔術の契約であるかのように……荘厳あらたかであった。
「みなさーん、頑張ってくださーい! もうちょっとで生き残れますよー!」
一方、外の方ではマリエッタが声を張り上げていた。
なんだか楽しい催しがあると聞いて観戦しに来たのだが――こんな事が行われていようとは! 皆さん必死。ふふ。負債の返済の為なのでしょうね……! 実際の依頼よりは遥かに安全で……けれど無視もできなくて。
「けど……こう、見ているだけというのも悪いですね」
だが。マリエッタは魂が疼いていた。
――なんだか気持ちが抑えられないのだ。あぁザントマンの使ってる鞭と同タイプを手に取って、参加者たちを囃し立てようか。どうしてこうまで惹かれるのか……きっと烙印のせいですね、ええ!
「うふふ」
「ふふ。いいですよマリエッタさん――欲望は解放するものですから」
いつの間にやらMの後押しもあった。
では行こうか、心の儘に。荒井さんなら――叩きやすそうでもあるし!
成否
成功
第1章 第24節
ジルーシャはしばかれていた。誤字ではない。文字通りしばかれていた!
「なんで!? ちょ、アタシお金借りてないんだけど――痛ったぁ!?
なになになに!? せめて理由を……え、推しへの愛が足りない?
そんな事言われたって……自分が健康でいてこその推し活だと思――痛ー!??」
訳が分からない! もう絶叫挙げようかと思った、その時。
フリップ→(語尾に)です(をつけないとシバかれる)げ~む。
「えっ? えっ? 何これどういう意――あ痛ァ! ――です!?」
なんか出てきた。これ? これなの? どういう事なの? どういう陰謀なのよM!!
アタシがそんな喋り方してどこに需要があるの――ぎゃあ!?
「あ、あるのです……? うう、もう分からないです。 ていうかわたあめ洗いとか鬼ごっこに比べたらきつくないけれど、めちゃくちゃ恥ずかしいわ……! んぎゃ!! ちょっと判定細かくない――です!? 覚えておいてくださいね――ザントマン!!」
「え、私!!?」
後で顔面にレモンぶっかけてやるからなです。
憎悪に燃えるジルーシャ。焦るザントマン。その一方でミルヴィは――
「あ~ザントマン! お前が犯人か、この騒動全て!」
「いきなり人を犯人扱いしてくるのはなんですぞ!!?」
「うるさい! 悪のM運営事務局なんてこうしてやる――!!」
ザントマンを見つければ――強襲した! 涙流しながら逃げるザントマン!
まぁ関係あろうがなかろうが全員畳んじゃえば借金帳消しだしね! 本編でぶん殴れ勝った思いもあるし金的ぶち込んでいこうか――! その思惑もあって彼女は破壊行動を続けていく――しかし。
(M運営事務局……? M……?)
なんだ……私はそのワードを知っている……?
あ。もしかしてこれ、気付いちゃいけない事に気付いたかも? もみ……
「ミルヴィさん。アウトですね」
「あ――ワタシハナニモシリマセン、ナニモミテイマセン」
その後。ミルヴィは行方不明になったとか――
(4月2日に発見されました!)
成否
成功
第1章 第25節
バクは己が此処にいる事を不思議がっていた。
生まれてこの方、施しを求める為に街頭に立つ事はあったが。
「借金などはしなかったはずなのだがのう。何があって斯様な地へと……
まぁよい、か。事態も分からぬし、些か待たせてもらおうか」
されど困惑の感情は永くは続かず、今は静寂と共に在る。
――神職者としての苦行として良きものであることに期待するとしよう。
この機もきっとその一端なのであろうと思えばこそ……落ち着くものだ。
茶を啜り菓子を摘まみながら……しかし何故このような茶まであるのだろうか?
「ところでじゃが。どうもこの部屋には滞在の条件があるようじゃな。
こんな枯れた爺が居ても良いかとも思うがのう……
流石に些か不安じゃな。やはり何かの間違いではなかろうか」
「ふむ……ショタジジィ属性ですか。成程、このタイプは中々ないですが……ふふ」
「むっ? 今なんぞや邪な気配を感じたような」
周囲の気配を探るバク。しかし誰もいない――声は確かにしたというのに。
なんだったのだろうか、首を傾げていれ、ば。
――貴方は成人男子なの? 未成年なの?
なんだか声が聞こえてきた。その問いに、応える者もいる。
「両方だ」
それは――ムサシか!
「間にいるからこそ、見えてくるものもある」
そう。彼の年齢は19。20ではない。
法的には成人した年齢であると同時に飲酒喫煙等は不可能と、ある視点では成人。
しかしある視点では未成年……自分はその間にいる人間……
奇跡の存在だと言えるのではないだろうか?
だからこそ彼のみが成しえる事もある。そう――!
「成人していると同時に成人していない人間! つまりここの部屋に入って成人男子として負債の返済をしつつ未成年男子として安全に離脱することができる……そうでありましょう? 自分にだけ出来る――完璧な作戦であります……これぞ完全勝利!」
ガッツポーズを決めるムサシ! 一時はスーツ修繕のために莫大な負債を抱えてしまって慌てていたでありますが……これでなんとかなるであります! もう助かった!! 第三部完!!
「あ。ちなみに私、いざとなればストライク範囲は広げられるので」
「えっ?」
なんかムサシにとって不利になる声が聞こえてきた気がする。えっ?
あ、待つであります。ちょっと、待っ……く、来るなであります――!!
「少しだけ洗井くん殿と張り合ってみたが――
なんとまぁ自力で返すにゃあ恐ろしい額になっちまったなぁ! ハッハッハ!
首が回らねぇっていうのはこういう事を言うんだろうなぁ!」
そして――ルエルだ。どうもスパチャし過ぎたらしい。まぁでもマールちゃん殿の懐が潤ってくれたなら構わないさと前向きだ! 自分はですげーむ現場に堕ちてるけど!
「けどまぁ、この負債を俺くんは堅実に返していくなんてしたくねぇし……これで行くしかねぇよなぁ。リリには内緒だぜ? かんわい~い頃の俺くんの姿――お披露目してやるからよ」
チャラにしておけば問題ないだろうとルエルは、男の姿で至るものだ――!
ほう。可愛らしさを内に秘めつつ体つきは男の子……いいですね。じゅるり。
「ではこちらに来ていただきましょうか――先達は既にいらっしゃいますよ」
然らばMは案内するものだ……地下へ。座敷牢へと。
が、そこには既に幾人かの姿があった。その一つが――ファニーだ。
(なるほど……あの部屋はフェイクで、こっちの座敷牢がメインディッシュってわけか。口は塞がれてるし、手も拘束されてる……厳重だな。逃げようと藻掻けば藻掻くほど、この赤い紐が……身体に、食い込んで……悪趣味な事だぜ)
捕まっている。借金がチャラになるならどうでもいいが――中々人には見せられない姿だと思考を巡らせるものだ。この牢、先程脱出できないか試してみたが妙に硬い。どうも特別製の牢の様だ。
(あーめんどくせー……Mめ、さっさと出てくりゃいいものを、と?)
「お?? ヘイヘイヘイ、何で俺はダメなんだァ!? 視点を高くしようぜベイビー。ほら。こうして跪けばこじんまりとしたもんさ。人間誰しも他人と目線を合わす事出来る要素はあるんだぜ――?」
その時だ。なにやら声が聞こえてきたと思えば……英司である。
眼前にいるのはMか。Mの前に跪き、そして。
「綺麗な枝先をしてるな……アンタが努力家だってわかっちまう。
枝の甲へのキスを許してくれるかい? アンタへの敬愛さ――」
「面白い方ですね。しかし……」
「借金なんざどうでもいい。全部アンタに会うための口実さ……」
その為に全てを用意して来た。仮面はそのままに園児服を着てるのが――その証!
除毛クリームですね毛も対処済みだ。キッズの動きもパーフェクトッ!!
天才。正に天才である。それ以外の何者であろうか――英司、それでいいのか!?
「ふふ。そうですね、では忠誠の証を見せて頂きましょうか。
今から私が秘儀をだします――正真正銘少年へと変じる術です」
「それを受け入れればアンタの信頼を得られるんだな――?」
「ええ――そうですね――」
少年になってしまえばMに何をされるか分からない!
仮面少年……はたしてMの食指に沿うのか……!?
いざや英司に放たれんとし――しかし、その瞬間。
「うおー! 皆、今助けに来たぞ――!!」
壁をブチ破って乱入して来た者がいた――プリンだ!!
「ってあー!? おまえ、ザントマン!! またおまえの仕業だったのか!」
「いえ、私は無実ではないけど主犯ではないですぞ。主犯はMで」
「問答無用! あの時とは違うんだってとこ、見せてやる!」
「こやつ!! 話聞く気ないですな!!? ってぎゃ――!!」
全力一閃。ズドンと行くぜ!!
ザントマンを吹き飛ばして――んっ? 『低身長童顔成人男子の部屋』?
よくわからないけど、『合ってないヤツ』は無事じゃすまないんだな?
「なら、しなばもろともぉ! 皆、俺に力を貸してくれ――!!」
ここで、どんな事が待ってようと!
ザントマン、絶対にお前をここから逃がさない!
――PPPを使って消し飛ばしてやる――!!
「おれと一緒に地獄に堕ちろッ――!!」
「いやあああああああ話聞いてくれない人類嫌いイイイイイ!!」
「待って――私も手伝うわ!」
更に。チビザントマンを蹴り飛ばしながらノアも至った。
彼女も此処で全力を尽くす気満々である――PPP発動!
「時間を稼ぐのよ。そうすれば運営は破産する!」
ギリギリのタイミングでの借り逃げを想定しなかった落ち度を突くのだ。
今日一日はあらゆる可能性が混在する日。なりたい自分も、なってしまうかもしれない未来も、どんなに幸せな世界も、どんなに狂った世界も、どんなに夢のような世界も今日一日だけの魔法で実現する日。ならば、私達の齎す可能性が未来を紡いだって――
「いいわよね。誰かが笑顔になれるなら、いくらでも可能性を捧げてあげますとも!」
「ふっ、面白い! 皆で全てを消し飛ばそうか!」
「成程。なら……M運営事務局は倒す為に手伝うッス」
ていうか返済が間に合いそうにないっす――語るはライオリットだ。
故に彼も最終手段を行わんとする……それは。
「オレはオレ自身の生活費を生贄に。
PPP(PromptlyPaymentProject)を発動するっス!」
「な、なんですと!? やめるですぞ、それは!!」
「もし足りなかったらそこらへんの人の生活費も巻込んで、生活費そのものをなかったことにするっス! 生活費なんて概念があるから――こんな事態が生じてしまうんっス!!」
ライオリットの決意は固い。いやなんて決意を固めてるんだ!!
彼のイメージからするとアレである。某ゲームであるたいらの……ゲフンカード。
まぁ最悪吸収しきれないのは洗井さんに押し付ければいいし。
「明日からは鉱山に籠って一攫千金を狙うしかないっスね!
まぁ――安全は保障できないッスけど!!」
「こいつらが一番後先考えてないと思うですぞ! これだから人類はきらいですぞ!!」
「んんんん、人間の業って凄いですよねええええ!!」
泣き叫ぶザントマン。腕組みながらうんうんと頷くビーバー。
――M運営事務局の中枢で、膨大なパワーが発生する。
今にも爆発せん勢いだ。その光景を視つつMは――
「ふふ。ですが、私達は決して滅びたりしません。
いつかまた――お会いしましょうね」
にっこりと。いつものように微笑んでいた。
爆発する。全てを呑み込んで、ああ――
4月1日。何もない日の騒動が――大爆発と共に終焉するのであった。
成否
成功
GMコメント
と言う訳で始まりました、4/1限定の『ですげーむ』です!!
くっ、M……一体何者なんだ!!
と言う訳で本ラリーに参加・採用されると現在負っている負債額が減っていきます。
(やや特殊な処理を挟むので、減少にはタイムラグが発生する事があります)
参加出来る『ですげーむ』には以下の種類があります。是非参加してみてくださいね、ふふふふふ!!
●登場人物
・ビーバー
デスゲーム司会者みたいなビーバーです。何者なんだ……
・ザントマン
なんかちっこくて調子に乗ってるザントマンです。鞭持ってます。
おらー! ゲームするですぞー!(ビシバシー!)
調子乗ってるので隙みて思い知らせると、負債額を減らしてくれます。
・M
M運営事務局のボスと思わしき人物です。何者なんだ……
ですげ~む
以下の選択肢の中から行動する場所を選択して下さい。
【1】わたあめ洗い
わたあめを洗って頂きます。綺麗になるまで洗うんですよ。
無くしたりしたら……分かっていますね……?
(ザントマンが鞭を用意しております)
【2】おにごっこ
ですげーむびーばーと鬼ごっこ(貴方は逃げる側)してもらいます。
んふふふ~逃げればいいだけですよおおおお~簡単ですねぇ~~~!
じゃあ十数えたらおいかけますね~~! い~~~ち、にぃ~~~! さ~~~しごろくななはちきゅ(略)
【3】『低身長童顔成人男子』の部屋
低身長童顔成人男子が入出する事が出来る部屋です。
何が起こるか不明ですが、低身長童顔成人男子なら負債額がとんでもなく減ります。
低身長童顔成人男子以外が入ると負債額がとんでもなく増えます。
( ・◡・*)
【4】その他
自由枠です! 上記以外に何か用意されてるゲームがあったりするかもしれませんね。
或いは別に負債負ってないけれどゲームの観客としての参加もOKです。
ご自由にどうぞ!!
Tweet