シナリオ詳細
<夏祭り2022>夏めくアクアピアノ
オープニング
●
シレンツィオ・リゾート三番街、ネオフロンティア海洋王国の港街に多く見られる、色とりどりのタイル道は、海洋本国よりも幾分か淡い色彩に整えられているようだ。
コロニアル様式の壮麗な建築物は背が高く、けれど圧迫感を感じないのは建物同士の間がずいぶん離れているからだろう。それぞれが自慢の庭園に囲まれながら、夏の陽光を燦々と浴びている。
蒸気タクシーから時折現れる人達は日傘をさしながら庭を眺め、それから波の寄せ返す砂浜を振り返り、大理石のホテルへ進む。それを見たアウラスカルトもまた、慎重に彼等の真似をした。
白亜の床を歩き、色とりどりの花が飾られた、背丈ほどもある花瓶を仰ぎ見る。広大なロビーに人はそれなりに居るはずなのだが、そうした調度品によって視線が隠れるようになっており、ジャジーで控えめなピアノ演奏も話し声が聞かれぬようにと、プライベートを守る構造になっているようだった。
「お嬢様、お父様かお母様はどちらにお見えでしょうか?」
フロントでかけられた、第一声がこれだ。きっと幼く見えたのだろう。
「おらんが、二百五十余の歳月を生きた身では不服か」
「これは失礼致しました」
ホテルマンが丁寧に腰を折った。この世界では外見と年齢が一致しないことも多い。それにしても金竜たるを童女のように扱うとは、まったく失礼極まりないやつだと、アウラスカルトは思う。
「それではこちらにご記帳ください」
そう言われたアウラスカルトが、一瞬固まった。
(――お名前、ご性別、ご種族、ご年齢と来たか)
性別は女と書けばよい。年齢もよいだろう。だが名前と種族はまずい。
仕方がない。とっさに思いついたもの――忘れもしないもの――を記載する。
あとは呼ばれるまでロビーのソファーに腰掛けて、待っていれば良いらしい。
人間は金というものを必要とするらしいが、幸い彼女は財宝には困っていない。
「広いな!」
熾煇(p3p010425)が、思わず感嘆する。
「会長は思うよ、ここには莫大な資金が投入されているね」
楊枝 茄子子(p3p008356)が胸を張った。
「確かに、これはまた」
リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)は、ホテルの調度が幻想貴族的だと感じたが、事実ここグランド・バルツ・ホテルは幻想資本経営のホテルだ。リゾート&ラグジュアリーに定評がある。
三千点を越えるアンティークや絵画が見物で、客室は全てがスイートルームとなっている。レストランさえテーブル同士が離れており、調度品などによってプライベートな空間となっている。ホテル客だけが利用出来るプライベートビーチまであるのだが、いずれも全て海洋王国の『祝祭』に誘われたイレギュラーズが無料で利用出来るように整えられていた。
「これはこれで興味深いわね」
燦火=炯=フェネクス(p3p010488?)が幻想と随分違うと感じたのは、明るい南国風であることや、鉄帝国の蒸気技術がふんだんに取り入れられていることだろうか。空調が効いており、夏とは思えないほど涼しい。
「セララ様、セララ・ドーナツ・マナガルム様はいらっしゃいますか?」
――ん?
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)とリュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)が、思わず顔を見合わせた。ホテルマンは今、なんと言ったのだ。
「ご種族ジェックのセララ様。合わせて花丸印をご記帳頂いたセララ様。お部屋のご用意が整っております」
「……!?」
「んっくッ!」
スーツケースを引くジェック・アーロン(p3p004755)が固まり、セララ(p3p000273)がドーナツを喉に詰まらせて、胸を叩いている。
「可愛いの居るじゃないですかー!」
しにゃこ(p3p008456)が駆け寄った先に居たのは、人型をしたかのドラゴン――アウラスカルト。
その両手を握った笹木 花丸(p3p008689)が微笑んだ。
「お久しぶり、花丸ちゃんだよ!」
「な、なぜかような場所に汝らが居るのか」
サマーフェスティバルに呼ばれたからであって、というか、それはこちらの台詞だと思う。
驚く一行を見回したアウラスカルトが続けた。
「我はふ……冠位ベルゼーなる怪物と袂を分かった。これまでの行いを許せなどとは言わぬ……だが信用はせよ。竜の血に賭けて誓い約束しよう。我はもはや汝等の敵とはならぬと」
オリオンもそうだが、竜や大精霊というものは、約束だとか契約だとかにやたらと律儀な所がある。
おそらくベルゼーを見限ったアウラスカルトは傷を癒やしていたのだろう。こんな所にいる理由はよく分からないが、『人間に興味がある』のは確からしい。
「お部屋のご用意が出来ております」
ホテルマンが『さっきの名前』でアウラスカルトを呼びに来た。こいつの仕業(偽名)か!
そんなロビーから、瀟洒な調度品が点々と並ぶ白い廊下を通った先に、レストランがある。
「白虎君もリーヌシュカ君も本当によく食べるね! ヴァリューシャは飲み過ぎないでね」
「がおーう」
「さすがにその虎ほどじゃないわ」
「ペースは守っておりますのよ!」
ホテルレストランでは、よく食べるリーヌシュカ(p3n000124)、よく食べ良く飲む白虎 (p3n000193)と、それから大変良く飲むヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)を、マリア・レイシス(p3p006685)がニコニコと見守っていた。
提供される食べ物は、幻想風をベースに南国の食材がふんだんに使われており(旅人風に言えばフレンチやクレオール料理、ケイジャン料理)、ソースなどにも現地の果物を使用するなど工夫されている。
「だはは! あっちいなあ! 帝国た大違いだぜ! 後でバーにでも行きてえよな」
外では酒瓶を片手に庭園を歩くヴェガルド・オルセン(p3n000191)が大声で笑う。
「酒! お酒なの! お酒しか勝たんの!」
ストレリチア(p3n000129)は真っ先に向かうのだけれど――
客室――ロイヤルスイートルームのソファは深く、そのまま倒れ込んだ普久原・ほむら(p3n000159)は、もうここから一歩も動きたくないと思った。ほむらは根っからインドア派であり、だらだらとソシャゲでもしようとスマートフォンを覗き込む。
「あー……、それは、たしかにっていうか」
圏外の文字に絶望し、窓の外に見える庭園とビーチを眺め、それから部屋を見渡した。六人ぐらいでパーティーしたって、まだ広いだろうと思う。隣室のベッドもキングサイズで天蓋付きだ。寝転ぶと、お姫様にでもなったような気がして面映ゆい。それからほむらは目を閉じて二次元美少女達の女子会を妄想した。
「なんだろうこれ、アロマオイルかー」
部屋の香りを選べるらしい、よく知らないから適当にいくつかかいでみるのだが。
「うわなんかこのイランイランて、いけないかおりがする、うーん」
人を呼ぶといっても人見知り、とはいえこんな高級ホテルに来たなら、家に帰るつもりもない。
「行くしかないか」
水着に着替えて、夏の海へ。
「ええ、オリオン。これが南国の海よ。気に入ってくれたかしら?」
「夏や良き! 誘いに感謝しよう! 我が友等よ!」
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)に、オリオン(p3n000257)が答える。
「いやなんかすごい取り合わせではあるのですが」
夢見 ルル家(p3p000016)は、どこか呆然としていた。
「そうやって、色々なことを経験するのがいいんだ」
ジェイク・夜乃(p3p001103)が呟く。オリオンは、あれは子供だ。芽生えた自我を大切にしてやりたい。
人が父となるタイミングは、母とは少し違うこともあるのかもしれない。ジェイクはとっくに父であるが、さらに周囲に父という存在であると認められる瞬間というものもまたあるものだった。
そんな彼等の視線の先。
きめ細やかなパウダーサンドが足裏を撫でるから、アルテナ・フォルテ(p3n000007)が笑った。
「くすぐったい!」
そのままエメラルドグリーンの波打ち際へ駆け、寄せる波を両手ですくって散らせれば、日差しに煌めく水滴が虹を架け、ピアノの音のようにぽろぽろと踊った。
- <夏祭り2022>夏めくアクアピアノ完了
- GM名pipi
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2022年08月06日 22時10分
- 参加人数45/45人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 45 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(45人)
サポートNPC一覧(7人)
リプレイ
●10:14 AM
アーリーチェックインを済ませたなら、まずはお部屋の見聞と行こう。
とにかく空間が広く開放的であり、部屋を飾る調度品は埃一つも許さない。
窓という窓が海か庭園を見せるようになっており、庭自体が人という存在が要るにもかかわらず、それらを巧妙に隠している。プライベートな空間を演出しているのだろう。
部屋が変われば、声はおろか物音一つさえもしないのだから、徹底している。
「これだけ広いベッドだと、二人でも余裕ありそうね」
「何を言ってるんですかルチアさん!?」
ルチアの呟きに、鏡禍の頬が薄紅に染まった。
ていうか。ていいますか。二人っきりでホテルのロイヤルスイートに居るのならば、これはもう恋人として次の段階に進んでも良いとかこうそういうそのあのあの――鏡禍は目をぐるぐるさせて拳を握り締める。
その隣でルチアは、マイペースに食べ物を注文していた。
「あ、ルームサービスで頼んでくれたんですか、ありがとうございます」
「どうせ貴方はサンレッドでしょ、私の色だし」
サマーティとホットコーヒー、二人分のケーキをバルコニーで頂く、ゆったりとしたブランチ。
潮風が香る海を眺めながら、コーヒーをのむのも味わい深いとルチアは微笑んだ。
そんなルチアの横顔へ鏡禍は誘いを投げる。
「後でビーチに泳ぎに行きませんか? せっかく水着も揃えたのですから」
「じゃあ、日焼け止めは塗ってくれるのよね?」
「えっ!」
艶やかに微笑んだルチアに、鏡禍はとうとう顔を真っ赤にして――さあ、海に行こう。
宝石箱一杯のエメラルドが満ちている。
ついでにアクアマリンとラリマーもこぼしたような遠浅の海に、降り注ぐ太陽が眩しい。
花丸とセララは手をかざして遮りながらひとしきり眺め、ほどなく見つけた少女に両手を振った。
「えへへ。ボクの名前を覚えてくれてたの嬉しいな」
セララが照れくさそうに微笑み、「ねぇねぇ」と両手を合わせる。
「ねぇねぇ、ボクもキミの事をアウラちゃんって呼んでいい?」
「あ、花丸ちゃんもよびたい!」
勢いのあるセララと花丸に気圧されながら、アウラスカルトは小さく頷いた。
「琉珂のような呼び方をするものだ。元よりこの名は、かつて人が呼び伝承へ刻んだもの。好きにせよ」
「ヨシ、決まり! 今日は三人で思いっきり遊んじゃおうっ!」
アウラスカルトの水着姿を二人は見つめ、竜少女の手を両側から掴む。
「水着って自分で選んだのかな? 最初に人型の姿を見た時も思ったけどあのドレスとか似合ってたし、今の水着もアウラさんにとっても似合ってるよ! ねっ、セララさんっ?」
「うん! アウラちゃんも一緒に泳ごうよ! もし泳げないようならボクが教えてあげるから。ね?」
「これは見繕わせたもので、その、えっと。ドレスもフリアノンの」
アウラスカルトは二人に連れられて、ビーチの波打ち際まで歩いて行く。
「ボートも持って来たから大丈夫だよ。ドラゴンフロートなのだー」
目を輝かせるアウラスカルトの足下に花丸は海の水を掛けた。
お返しとばかりに、アウラスカルトも水をすくって花丸へきらきらと散らせる。
「ひゃー!」
「へへん! こっちは水鉄砲だよ! それー!」
「ええい、小癪な」
三人の柔らかなはしゃぎ声が、ビーチの水面に反射した。
「まさかこの様な場所で会えるとは思わなかったぞ、アウラスカルト。怪我は良いのか?」
「我は竜ぞ」
この様子では安心そうだ。
竜の治癒能力があれば傷の治りも早いのだろうかと問うベネディクトに、アウラスカルトはどこか得意げに頷いたから。ベネディクトはかき氷を指差して奢りだと微笑んだ。
「我はこれ、このレモン味と書いてあるのがいい」
アウラスカルトはベネディクトからかき氷を受け取る。
黄色い(金色に近い)から選んだのか。一口食べ、ふわふわな尾の先を振った。
「人間界に興味があるのでしたらいっそのこと御主人様の養子にでもなりますか?」
ベネディクトからかき氷を受け取ったリュティスはアウラスカルトの隣に座り問いかけた。
堂々とマナガルムを名乗れば融通も効くだろう。マナーも教える事が出来る。人間に紛れるのならば後ろ盾というものは便利であろう。
「もちろん便宜上だけでも良いとは思いますが……」
「なぜ人は皆、我を雛のように扱うのか……今日だけだぞ、いや今日だけでなくてもよいが……」
ともあれ、手っ取り早く食文化から初めてみるのも悪くないだろう。
「料理はあまりされませんよね? 甘い物の後ですが、タラの唐揚げ、ソーセージ盛り合わせ、ヤギのスパイスシチューなどは如何でしょうか?」
「構わん。食えぬものはない。しかし人の料理というのは手がこんでいるのだな」
アウラスカルトは、食う分だけ亜竜を屠り、そのまま腹を満たしていたと言う。
料理という文化は、ずいぶん違うのだと続けた。フリアノンの民との交流で、文化自体は知ってはいたが、これまで深く考えたことはなかったことも。
少し分かったことがある。アウラスカルトは表情の起伏が薄く感情が小さく見えるが、おそらく内面はそうではない。人の姿で表情を変えるコミュニケーションをほとんど学んでいないか、必要性を感じてこなかっただけなのだろう。喜怒哀楽そのものはしっかり存在し、思いの外に瑞々しい。何よりも好奇心が旺盛だ。
「これからは多くの知らない世界に触れる事が出来る機会が増えるだろう。これから貴方が良き出会い恵まれる事を祈るよ、アウラスカルト。ほら、さっそく――」
「やぁ、君と話すのは初めてだがいいかな?」
「汝は」
クロバはパインジュースを手にアウラスカルトの元へやってくる。
「俺はクロバ。聞いたんだ。君が”父”からの独り立ちをしたと」
「独り立ちか……そういうと聞こえは良いが、あれは父でなく怪物だ。美しい話ではない」
「そう言われると俺も似たようなものかもしれないが。いやなんていうかさ、タイミング的にも、どうにも似た者、とは言わないけど父親に思うところがある者同士仲良くできるのかなって。そうは思わないか?」
クロバの問いかけに「そうかもしれない」とアウラスカルトは波に視線を落とした。
「実はさ、相棒の夢だったんだ。ドラゴンと友達になるの」
どこか、遠い目をして。
「俺の憧れにもなってたけどな。だってカッコいいじゃないかドラゴン」
だからとクロバは手を差し出す。
「俺はクロバ・フユツキ。深緑の地から始めた駆け出し錬金術師さ」
「我はアウラスカルト。父祖を捨てた裏切り者の、ただの竜だ」
「めちゃ可愛いじゃないですかその水着! 自分で買ったんですか!?」
しにゃこはアウラスカルトを見つけて、ずずいと顔を近づける。
「そうだ。店の者に選ばせた。いつもの装いでは訝しまれると思ったのでな」
「もしかしてアウラスカルトさん、自身が可愛いって自覚してらっしゃいます!?」
「落ち着け。汝が何を言っているか、理解が難しい。我は猛き者」
「してないにしろ、しにゃと一緒に可愛いを極めませんか!? 世界を狙えますよ!」
勢いの良いしにゃこにアウラスカルトは困惑したように言葉を詰まらせた。
「さて冗談はさておき、せっかくビーチに来たんですから海で遊びましょう!」
浮き輪を被せ「しにゃが色々教えてあげます」と――しかし。
「それは、なんだ」
「つ、角が邪魔で浮き輪が頭から通らない……足から通しましょう」
浮き輪を付けたしにゃことアウラスカルトが、えいっと海へ跳ね、水滴がきらきらと踊った。
「ねー、アウラスカルトくん遊ぼー」
「な、汝か」
その引き気味の反応、なんだよドラゴン。
殺し合った仲だから。いや一時は茄子子が一方的に殺されかけたとも思うが、気にしない!
「ほらほらみてみて古竜語魔術」
流星が海に吸い込まれる。
爆発はしたが、周囲を少し驚かせただけだった。小魚一匹、傷一つない。
「だからそれは、何、何なのだ」
茄子子が盗んだ我流だが、似せ方が良くなかったのだろうかなどとぶつぶつ自問自答し、
「ってことだから教えてよ古竜語魔術」
「わかった」
アウラスカルトは意外にも素直に理論を教えてくれたが、正直に言えば少々落胆した。
要するにメルトフレアだのアイゼン・シュテルンだの、或いはマグナス・オーケストリオンだとかカータライズ・アセンション辺りの正統派魔術に酷似しており、それを無詠唱かつ大魔力で放つというものだ。いずれにせよ、似たことはイレギュラーズなら既に出来る。多少の研究(特殊化やアクセルカレイド化)をすれば、そのまま行使することも可能だろう。転移もあまりに不便なもので、行使者が物理的に死ぬという代物だ。あまりに『物理』すぎる。だが希望はある。アウラスカルトが二百五十年かけて取得したものを、イレギュラーズであるならば十年や二十年で、より完全な形でモノに出来る可能性はあるかもしれないとも思えたから。
「あ、リーヌシュカちゃん! やっほー!」
「サクラ! サクラじゃない!!」
サクラはリューヌシュカに手を振りビーチバレーへと誘う。
慌てた様に追いかけて来たスティアも追いついて。
「スティアちゃんもいいよね!」
「そうだねー、せっかくだしリューヌシュカさんも一緒にやろー!」
人数が多いほうがこういう遊びは楽しいものだ。誰かいないかと辺りを見渡したサクラは金髪の亜竜種らしき少女の前に走っていく。
「ねぇねぇ、キミ。私達とビーチバレーして遊ばない?」
突然話しかけられ、驚いたアウラスカルトが小首を傾げる。
「私はサクラだよ! アナタは?」
「アウラスカルトと呼ばれている」
「そう、アウラスカルトちゃんっていうんだ。長いからルーちゃんかな!」
「ルーちゃん……よい、汝等であれば好きにせよ」
「私はスティアだよ! 琉珂ちゃんともお友達だから仲良くできたら嬉しいな!」
手を握り絞めぶんぶんと振り回すサクラに困惑しながらもアウラスカルトは応じる。
「じゃあスティア&サクラチームVSリーヌシュカ&ルーチームで勝負だ! いくよー!」
「どんなに仲良しでも勝負事では手を抜かないよ! 全力で勝負だー!」
太陽にビーチボールが反射した。アウラスカルトは飛んで来たビーチボールを追いかけて。
「ど、どうすればよい」
軽く弾くが、ボールはあらぬ方向に飛んでいった。
「そういう時はこんな感じで『力一杯』えいってやるんだよ」
「そうか、ならば」
再チャレンジ。力一杯と聞いたものだから。
アタックを受けたビーチボールが宙空に爆ぜ粉みじんになり、暴力的な風圧が浜へクレーターを穿ち、ホテルの窓硝子がびりびりと振動し、海が幾重もの深い波紋を描いて一気に引き、最後に大波が押し寄せた。
「ががーん! なんでどうしてええええええええ」
水しぶきを浴びたスティアの叫び声がビーチに響き渡る。
※サクラちゃんのせいです。
「何、これは、この生き物は、何……?」
リーヌシュカが呆然と呟いた。
三人は後で知ったのだが、ああ、これが噂の竜の……。
いやまあイレギュラーズが『全力で』やっても、似たようなことは起きるのだけれど。
言葉の掛け違いは、時に悲劇を生じるものだ。
「さあ、お手を。足元に気を付けて」
「ありがとう。未散君も転ばないようにね」
お揃いの水着を着たアレクシアと未散は手を繋いで浜辺を歩いていた。
砂浜に落ちている貝殻や石を求め、海揚がりを散策するお散歩は心地よい。
「これってビーチコーミングって言うらしいよ」
海に焦がれたピンクの貝殻は乙女の頬のようで。
珊瑚の欠片はまるで翼の欠片だ。
浪漫溢れる流木は渇いているものを選ぶ。
海から流れ着いたであろう花を、アレクシアはふと思い立って拾い上げた。
「寂しくないようにね」
「良いハーバリウムはができそうです」
きっと忘れられない思い出の形になるとアレクシアが微笑んだ。
だって、何の変哲も無いただの石すら綺麗な海の宝物にみえるから。
「後はあの、綿飴みたいな白い入道雲も、手に入ったら良いですのにね」
「ふふ、雲まで欲しがるだなんて、ワガママさんだ」
けれど、それぐらい思い出を詰め込んでみたい。
夏の魔法のように、不思議な時間。解き明かすは魔女の使命。
だから、アレクシアは未散の手を引いて、もう少しだけと微笑んだ。
この想い出を――『忘れ』なんて、するものか。
庭園の渡り廊下を抜け広がる海の色にメイメイは感嘆の声を上げる。
「はやくはやく、いきましょ」
「はいっ」
メイメイの腕に腕を絡め、アルテナが砂を踏み込んだ。
柔らかく少しひやりとした肌に、メイメイは少しだけ鼓動を高めた。
水面に浮き輪を投げて、思い切って座るとずいぶん揺れたから二人してくすくすと笑う。
暑いから、少し水をかけあって。
「そろそろ休憩する? 喉かわいちゃった。あと、お腹も!」
「そうですね」
お昼になり、お腹も空いてくる頃だ。ちょっとした軽食と飲み物を頼んでみる。
可愛らしい花が飾られた二種類のモクテルに、二人は顔を合わせ、目を輝かせた。
「たくさん遊んだ後の一杯、最高、です」
南国らしいパイナップルの果汁の奥から、甘いピーチの風味がする。鼻腔に抜けるオレンジの香りと、全体の調和を引き締める微かなレモンの酸味が心地よい。
「あ、ねえねえ。一口いる? そっちも飲んでみたい!」
「ふわ……ではわたしも、アルテナさまのをひとくち、いただきます、ね」
こっちも弾けるソーダの爽やかさと生ライムの芳香。それからミントの清涼が美味しかった。
●01:17 PM
午後の日差しの下で、イーリンがオリオンに小瓶を押しつけてやる。
「とりあえずこの水中呼吸のポーションを飲んでおきなさい」
「これは、お薬か?」
「あんた絶対海水飲むでしょ! 溺れるでしょ! ていうかそこ『お』を付けるのね」
「なるほどな! ありがとう我が友イーリンちゃん!」
「いい? ちょっと遊んだら日陰でちゃんとジュースを飲んで、それからまた遊ぶの」
「ジュースか、あれは良き文化だな!」
「文化……それはそうね。とにかく、でないと熱中症になるわよ?」
イーリンはオリオンへと言い聞かせるように、視線を合わせた。
そして冬の王を海へと送り返したイーリンは遠くから彼を見守っている。
「水遊び一つできないようじゃこの先生きのこれないしね。ほんとに大丈夫よね?」
目を離すのは怖いから。日陰でお茶を飲むのを装い、サングラス越しに視線を隠す。
シフォンケーキと紅茶で久々の休暇。
今先程まで、そこで遊んでいたはずのオリオンは何処へ行ったのだろう。
心なしか胸がざわつく。もしも、キノコる(?)ことが出来なかったとしたら。
イーリンの叫び声がビーチに響き渡った。
――友達に対する反応、重(ママ)すぎ問題。
「あー、やったか」
ジェイクはひとまずイーリンと共にオリオンを引き上げ、泳ぎ方を簡単に教えてやる。
「ポーションの効果を試したかった!」
オリオンは、そうは言うが、犬かきのような見よう見まねしか出来ないのも忍びない。
あと延々と沈んだままサンゴとか眺めているのも、割と心臓に悪い。
いざ教えてやれば、運動神経自体は良いらしく、小一時間ほどで簡単に泳げるようになった。
ジェイクはオリオンとの接し方を、模索している最中だ。
なにせ幼い子供のようなものであり、対するジェイクは父だから。
オリオンの父とまで言えば(遺伝子だの何だのという)物理的語弊はあるが、少なくとも碧という存在にとっては間違いなく、その周知は些かの社会性も帯びる。つまり『父という存在』として認知され、信用や信頼を受けるということ。それらはオリオンという『子供』に対する振る舞いにも適用され、父として振る舞うことが期待される。無論ジェイクは、それを受け入れる決意を済ませていた。
一方で。子という存在にとって、一般的な母性がリラックス大臣なら、父性はエンターテイメント大臣といった風情もある。必ずしもそれだけではなく、個々人同士により全く違うこともあるが、ともあれ。第一に、過保護はあまりよろしくないのだから、ならばジェイクなりにやるだけだ。
「てか、お前はそもそも海を見るのが初めてなんじゃ?」
「海は知っているぞ! 遠い過去だがな!」
「まあ、いいか。思いっきり遊ぶぞ!」
ウォーターガンを取り出したジェイクは、オリオンの顔に思い切り水をぶちまけてやる。
「ぶっは! 奇襲とは、やるではないか!」
突然降り注いだ海水に笑う冬の王へ、ジェイクがウォーターガンを投げて寄越した。
「ほら、こうやって使うんだ」
「なるほど理解した! ならばこうだ!」
仕返しとばかりにオリオンは、いたずらげに舌をぺろりと出し、ジェイクへ水を撃つ。
遊び疲れた二人が休憩を取っている頃、尋ねてきたルル家が優しげに微笑んだ。
「ここかなり暑いですけど、オリオン殿は暑いのは平気ですか?」
「それならば問題はない!」
意外と物理的事象には、(イーリンとジェイクのお陰で)常識的な対応が出来るようで安心する。
「暑かったらアイスでも買いますか? 冷たくて美味しいですよ!」
ルル家の提案に、オリオンは素直に頷いた。
「オリオン殿はお得ですよ。まだ何も知らないですから」
ちょうど無辜なる混沌へとやってきたばかりのルル家のように。
「外の世界は何を見ても新鮮で楽しめると思います!」
もう、五年前になるだろうか。
「確かにな! 余は知らんことばかりである! うまいなこのアイス。うまい!」
「このアイスを食べたらあそこに見える島まで泳ぎましょう! 泳ぎ方を知らないなら教えますよ!」
振り返って島を指差すルル家へ、オリオンが力強く頷く。
「その意気や良し!」
ビーチパラソルの下で体育座りをした美咲は隣のほむらへと語りかける。
「ほむら氏もここに来ましたか」
「あー、美咲氏、ど、ども……ご無沙汰してますっていうか」
日差し下で遊んでいるのは結構キツい。
「それにしても若い衆は元気があっていいスねー。私はHPが低すぎて今年はダイエットに失敗しましたよ」
お陰で水着の上からTシャツを着ることになった。
運動と食事のバランスというけれど、それも結構難しい。
「あー……まあ、健康であれば。けどちょいぷにってるほうが需用とかあって。夜中に渋とかいいねしてるとき、お腹の描き込みすごいのとか、実際」
「いやいや、お褒め頂き恐縮ながら、嬉しみのコスパ低めと言いますか。腰ほせえ人に言われると来るものがあり。それより、ほむら氏は今年の夏はどうっスか? 爆死以外の思い出は出来そうですか?」
「実は水着衣装ですり抜け地獄に溶かしたあと、急に推しカプのスチルが出て……実弾で天井……。てか、それで食費と光熱費削るために、ここに来た所があって……」
「ははあ、実は私もちょっとやばめの金額溶かしました」
「あー……お互い、やっちゃいましたね……」
「このまんまじゃ『カチャで爆死して終わりの夏』になりそうなんで……陽の者たちがパーティ始めたあたりでしれっと混ざりに行きましょうか」
「あー……ですね、たまには」
ゆっくり立ち上がる二人を、眩しい砂浜が包み込んだ。
「夏です! 海ですよ、シュカさん! 一緒にあそびましょう!!!!!!」
「すずな! いいじゃない、いきましょ!」
久々にあった友人すずなはリーヌシュカの瀬を押して海へと走っていく。
「!」
「折角来ましたからね、まずは海! シュカさんって泳げ――って、カニさんですか」
「そう、これを見なさい! なぜか横にしか歩けないのよ!」
とことこ波打ち際を歩くカニを見つめる二人。
「どうしたの?」
「あああああ、ちょっ、カニさん、尻尾はやめ!」
すずなの背後を取った別のカニが彼女の尻尾をハサミで掴んでいた。
「シュカさんでも誰でもいいから助けてええええええ><」
ぷるぷるしっぽを振って、追い払うすずなにリーヌシュカは指を指して大声で笑う。
「……うぅ。カニさん嫌い……って!」
カニを外してやったリーヌシュカは、いたずらな笑みですずなの尾をくすぐった。
「ぷっふ。す、すずな。ほら、あっちで休憩しましょ」
「もー!」
パイナップルのフラッペを頬張るすずな。リーヌシュカはマンゴー味。
二人で美味しく頂けば自然と笑顔が溢れてくる。
「あれ? あそこにいるのは……おーい、ほむらちゃーん! この前のお仕事の時以来だね!」
焔は手を振ってほむらへと近寄ってくる。
「あ、あ、ども焔さん。ダブルほむらですね、へ、へへ」
遊びに来たのはいいけれど、丁度ほむらが居てくれてよかったと安堵の表情を浮かべた焔。
「よかったら一緒に遊ぼうよ!」
「あーはい、だいじょぶです。たまには陽の者に混ざらないとなんで」
「陽?」
ともあれほむらは焔と共に砂の城を作り上げる。以外と良い出来映えで二人して喜び合った。
「そういえば、ほむらちゃんって泳げる? それなら泳ぎの練習にも付き合ってもらいたいんだけど」
「水泳ちょっとしてたんで、一応大丈夫ですけど。ちょ、ま、手つなぐんですか? あー練習だから……」
一息ついた二人は、写真を撮らねばとセルフィーの姿勢に。
「ほら、もっと寄ってくれないと入らないよ!」
「あ、あー、肩ってか全体的に、あの、めっちゃ近いんですが。百合感半端ないっていうか」
「よく分からないけど! そういえばほむらちゃんて、いつもこういう感じで女の子同士がくっついてる絵が描いてあるゲームしてるよね!」
「えっ!? なんで知って――」
「はい! チーズ!」
「今日撮った写真は今度送るね! そういえば連絡先とか交換してなかったよね、交換しておこっか」
「あ、え、えっと。はい」
スマホのカメラで連絡先を撮ってにんまりと笑う焔。
「よしっ、これでいつでも遊びに誘えるね!」
ノンアルコールのスパークリングワインと携帯を手に、ココロはビーチでほむらを探す。
ココロの見立てでは、ほむらはこんなアウトドアに来てさえ、インドアな事をするはず。
「ほむらちゃーん、おーひさ!」
ほらやっぱり!
「――!?」
驚いたほむらの眼前に差し出されるは百合ゲームのID表示画面。イノチ感じる物語。
「始めたばっかだからフレになってよ~」
「ま、まじですか。それは大丈夫ですが、えっ……てか、はじめたんですかこれ」
ほむらが申請ボタンを押す。
ココロの画面に表示されたのは、ほむらが設定した推しキャラな訳であり。
「この水着どうですか? こういうの好きですか?」
着ていた水着が似ているものだから、思わず聞いてみた。
「あー、あー!? え、ええっ、と」
「わたしじゃ、ダメですか?」
「い、いやそういうことでなく、すごい可愛いとおもいますし似合ってますし好きです」←超早口
「……んふふ。せっかくだから、泳ごう?」
「あ、ちょ」
赤面するほむらと腕を組んだココロは強引にプールへと引っ張って行き、勢い良く飛び込んだ。
実はこういうのが好きなことなんて、友人のことなんだから、とっくの昔に知っている。
「残念だなぁ……お姫様と一緒に来たかったのだけれど」
嘆いていても仕方が無いとアントワーヌは海へと顔を上げる。
「それにしても綺麗な海だなあ、こんなに透き通った色……宝石みたいだ。エメラルドグリーンの海、ロマンチックでいいじゃないか!」
笑顔を浮かべたアントワーヌはビーチをゆっくり歩く。
そこへ声を掛けるのは見知らぬ男。
「……おや、私に何か用かなプリンセス」
男はアントワーヌに一人出来たのかと問いかける。
「そうだね、今日は一人だよ。ああ、なるほどデートのお誘いわかりやすく言えばナンパだね? お誘いありがとう、でも申し訳ない。私には可愛いお姫様が居てね、君のお誘いには乗れないな」
男の前を通り過ぎるアントワーヌは「よい相手が見つかることを願ってるよ!」と手を振った。
そんな頃、陰陽丸は涼しい日陰で海を眺めていた。
波打ち際ではしゃぐ仲間は楽しそうだけれど、陰陽丸は猫であるから近づくことはない。
「ここの風はいつもとちょっと違いますが、気持ち良いですね」
船を漕いだ陰陽丸は丸まって目を閉じる。
「ねこ……」
アウラスカルトは丸くなった陰陽丸のふわふわの毛並みを撫でた。
少女からは小さい身体の中に大きいを秘めている感じが伝わってくる。
『お姉さんは泳げますか? ボクは無理です。猫なので』
「誰に問うておる。我は竜ぞ。浮き輪があれば……ちょっと、泳げる」
そんな涼しい日陰でのできごと。
●18:06 PM
「お前さん、竜としちゃあまだガキなんだろ? しっかりメシ食ってデカくならねえとだからな」
ルカはアウラスカルトと共にホテルレストランのメニューを開く。
「我はとうの昔に雛ではない、未だ年若いのは認めるが……」
「まああれだ。覇竜領域で育ったんなら海の幸はあんま食ったことねえだろ」
興味があるものはどんどん頼めというルカが、何を選ぶのかとアウラスカルトは見つめる。
「どれがどんなものなのか?」
簡単に説明してやると、アウラスカルトはいくつかを選んだ。
「タラの唐揚げ、タコのスパイス煮、特大海老のグリルと温野菜、あとはサーロインステーキだな」
「我は不慣れゆえメニューがわからぬ。見立てに敬意を称し、見合った財を与えよう」
「いいよ、そのうちタイマンでやりあってくれりゃあそれでいいぜ」
「汝等とは、気がすすまぬのだが……汝は戦いが好きなのか?」
「何も殺し合うわけじゃない。腕試しは心躍るもんだ」
「そうか、我は蹂躙が嫌いではないが、戦いには少々懲りている」
「気が向いたらでいいぜ。無理強いは趣味じゃねえ」
剛毅に笑うルカはラサブランコを一口煽る。
「地元の酒が一番口にあうな。アウラスカルトは……飲めるのか?」
「飲んだことはない。フリアノンの者共も、なぜか我を雛のように扱うゆえ、気にはなっていた」
いつも出されるのは果実を絞ったものとかだったから。
「だったら弱めのカクテルでも試すのがいいだろうな。マスター、カシスオレンジをやってくれ」
朱華もまた、ルカとアウラスカルトが揃って食事をしている所へやってくる。
話しには聞いていたが、覇竜に住まう金嶺竜をイレギュラーズは友としたのだと驚きを隠せない。
亜竜種の朱華にとって衝撃は計りしれないものだった。
いずれにせよ、こうして繋がった縁は大切にしていきたいと感じる。だから勇気を一握り――
「初めましてね、アウラスカルト。それともセララ・ドーナツ・マナガルムと呼んだ方が良いのかしら?」
くすりと微笑んだ朱華に首を小さくふるアウラスカルト。
「まさか、本物が居るとは思わなかったのだ」
「偶然って恐ろしいものね。それは兎も角、私は朱華よ。貴女も知ってる琉珂の……まぁ、友達ね」
「そうか、琉珂の」
「こうして出会ったんだもの。私もご一緒していいかしら?」
「汝の成すべきは、汝自身が決めれば良い。我はとがめ立てせぬ」
そんな席の向こう側で、愛無はリーヌシュカを見つめて「久し振りだ」と手を振った。
「愛無! 愛無じゃない! 最近どうしてるの? ていうか、お腹空いたんだけど!」
「浮遊島では随分と活躍していたらしいじゃないか。話には聞いているよ。海洋でも鉄帝も動いているらしいし。八面六臂の活躍とはこの事かね」
慰労も兼ねて奢ってくれるらしい愛無に、リーヌシュカが喜びの声を上げる。
「嬉しい! 遠慮無く頂くわ!」
「僕は、ジャークチキンと牛フィレ肉のカルパッチョ仕立てトリュフソースとオマール海老の唐揚げのサンドイッチにしよう。飲み物は……」
「それ、一口だけ! ね?」
カシスリキュールを選ぶ愛無は、流石にこれは一口あげるわけには行かないと頷いた。
「さて。彼方此方で大きな動きはありそうだけど、次は戦場で会いたいね」
「ええ、そうね! 味方でも敵でも、絶対に面白いんだから! 愛無だってそうでしょ!?」
「敵でもいいのか?」
「もちろん! でも味方のほうが、もっともっといい!」
「冬の王様、じゃなかった。オリオンお兄さん! お久り振りです!」
「うむ。キルシェちゃんではないか!」
良かったら一緒に食べようと誘うキルシェにもちろんだと笑顔を見せるオリオン。
「お料理はね、場所によって全然違うから美味しいがいっぱい見つかるの! あ、果物も寒い所と暑い所だと全然違うの! リチェはマンゴーお勧めだって!」
「ほう……マンゴーか。甘くて美味いな!」
マンゴーを頬張るオリオンにキルシェは今が楽しいかと問いかける。
「そうか、確かにな。これは楽しいという感情であろう!」
「ルシェは辛いこともあるけど、大好きな人もいっぱいいて、面白いこととか美味しい物もいっぱいで」
窓の外に咲く花を見つめたキルシェは感慨をこめて。
「楽しいわ、だからオリオンお兄さんにも楽しんで貰えたら嬉しいの。見たことがない景色、食べたことがない食べ物。わくわくがいっぱいだもの!」
「その意気やよし! 褒めてつかわす!」
●20:06 PM
ジェックは、アウラスカルトをバーに呼び出すため部屋を訪ねていた。
「やぁ、アウラスカルト。種族ジェックのジェックだよ」
「その節は、その。本物が居るとは思わなかったゆえ、どうか許せ」
「いいよ、嫌じゃないから。ちょっと理由が気にはなるけど」
「亜竜種を名乗るのは、癪に障るからだ」
なのに『ジェック』なら、癪には障らなかったのか。
返答に微笑んだジェックは、バーに案内し、カウンターでお酒を選ぶ。
「アタシさ、こないだお酒が飲める年になったんだよね。付き合ってよ、飲めるでしょ?」
折角のリゾート地。人が飲む酒も色々と試してみないかとジェックは誘う。
ジェックは酒を飲むのがこれが初めてなのだ。
折角だから竜の酒とか飲み方を教えて欲しいとジェックは告げた。
何だか怖がられている気がするし、この機会に少しでも打ち解けられれば嬉しい。
「さっき初めて飲んだ。たしかカシスオレンジと称するが、たしかに美味かった」
意外な返答。
じゃあ、とりあえずそれを頼んでみよう。
甘酸っぱく香り高い果物の風味の奥から、喉へ落ちる微かな熱が新鮮で。
マスターに好みを尋ねられながら、他愛もない会話と共に、カクテルを数杯楽しむ。
「ねぇ、今日は──楽しかった?」
「そうだな、これは……楽しいのだと思う」
「思う、って。けど嬉しいな」
アウラスカルトはあまり表情を動かさないが、雰囲気が和らいで見えたから。
なんとなく『過去の自分』を見ているようでもあり、放っておけない気もしてくる。
十夜もまた煌びやかなホテルの中を彷徨い、バーのドアをそっと開ける。ホテル自体のお高くとまった内装はまるで落ち着かないが、それでもここはダークトーンに纏められていて居心地が良い。
「お前さん、小さい割にいい飲みっぷりだねぇ。おススメはあるかい?」
「これ、これなの!」
「へえ」
ブランデーと来たものだ。エグい価格のやつを瓶ごと入れるじゃないか。
「これに氷を大量にいれてもらって、じゃじゃーん! ミストなの!」
ある種、なんというか、こう。冒涜的な飲み方をする奴らしい。
「ほー、嬢ちゃんは妖精郷から来たのか」
「なの!」
つまみにジャークチキンをやりながら、十夜はストレリチアと会話を弾ませる。
「俺は海洋からほとんど出ねぇんでな、他の国のことはよく知らねぇのさ。またこっちに来ることがありゃぁうちの店にも寄ってくれや」
「最の高のお酒、飲ませてくれるの? 秒でかちこむの!」
バーのドアを開けたアーリアは見知った顔に笑みを零す。
「調子はどぉ? ぶちあげまくりすてぃ的な?」
「聞いて! やばいの、やばばばなの。いえすくりすとふぁーころんぶすあめーりか発見なの!」
「あら、どうしたの?」
「ここ基本的に高いお酒しかないの。動悸が止まらないの」
「それは……!」
駆けつけは、大人の余裕。瓶のビールにカットライムを押し込み、さながら金色をした大人のラムネで夏を味わう。だって、聞いてやらなければならないことがあるのだから。
タラとコンク貝のぷりっぷりなスパイスソーセージに、お次は海洋王国の風を感じるタコのスパイス煮を頬張れば、どこか子供の頃を思い出すノスタルジーに胸の奥がくすぐられた。そうして魚貝をつつきながら、アーリアは相変わらず問答無用に酒を煽るストレリチアに、心の中で胸をなで下ろす。
「これでも心配してたのよ、帰れないって泣いてるんじゃないかって」
妖精の時間の流れはアーリアには分からないが、故郷に帰れないのはきっと寂しいだろうから。
「帰れないのは、別にいいの。でもフロックスにもう会えないって思ったら……」
「でもまぁ、そうねぇ。寂しくなったらいつでもお酒は付き合うわ! どんなにふさぎ込みたい夜だって、アルコールしか勝たんの、でしょ?」
「そうなの! ぶちあげなのー!」
「ボクも一緒にいいかな?」
ロロンはアーリアとストレリチアの隣に座る。
「もちろんなのー!」
一緒に酔えるわけではないが、こういう雰囲気は嫌いではないから。
せっかくだからシレンツィオ・マティーニ――ドライベルモットの代わりに別の薬草酒を使っているらしい――を頂いて、ちらりとストレリチアを横目で見る。
彼女の性格からして。このあとどうなるかなんて予想がつくけれど。
しかし、ここは高級リゾート。酷い姿は見せられないだろう。
水着で体の一部に着色する技を覚えたのはこのためではないが、中身が見えないのは好都合だ。
「……はい、エチケットスライムはここだよストレリチアくん。ボクの胸にお吐き……」
「うぷ」
ロロンの内を刹那に染めた虹色の輝き(妖精のいたずら)は、決して誰の瞳に映ることなく――
●21:58 PM
アウラスカルトが取ったスイートルームには、次から次へと人が訪れる。
「アウラー! 傷は良いのか?」
「誰に聞いておる、我は竜ぞ」
熾煇はアウラスカルトに会えてうれしいと身体中で表現する。
「アウラのこと、大好きだからなー! アウラ、美味しいものたくさん食べるか? 俺とたくさん食べよう! ここの全メニュー制覇してみないかー?」
「汝は一体何を……人の食べ物は味わい深いが」
元気になっているアウラスカルトの様子に熾煇は嬉しそうに羽根を広げた。
「無理はするなよ? アウラが決めたなら何も言わない。でも、苦しいのはやだからな。皆も、ドラゴンも、苦しくなったりするのは同じなんだから」
熾煇は一生懸命アウラスカルトを気遣い、大好きなのだと伝える。
「こ、こんにちは……! 私、繧花っていいます!」
繧花はスイートルームでケーキを頬張るアウラスカルトを前にして鼓動が高鳴る。
「えっと、貴女がアウラスカルト――その、竜……なんだよね?」
正真正銘のドラゴンが目の前にいるのだ。恐ろしくて強い存在だときいていたから。
「いかにも」
しかし、こうして戦場ではない場所で出会い、他の皆とも会話して食事を共にしているのを見て、その認識はちがうのだと繧花は思った。
「あ、あの――いきなりこんな事を言って本当にごめんなさい! だけど私、貴女の事を――竜の事を! もっと、知りたいんです! 私とも、お友達になってくれませんか!?」
「……それは構わぬが、よかろう」
差し出された手を、アウラスカルトはふにゃりと握った。
「入っても良いかね……?」
繧花や熾煇と共にアウラスカルトはオウェードを出迎える。
「どうぞ入ってくださーい!」
元気よく繧花が手招きして、わいわいと輪の中に加わるオウェード。
「失礼する……久し振りじゃな……いや初めましてと言うべきかね?」
一言礼をしてオウェードはソファに腰掛けた。
「手紙でも書いていると思うが実はファルカウの所にも居たが……その時は準備が整っていなかった事から戦えなかった……笑うなら笑え……。でもブレイズハウルと戦ってた分、お前さんにとって複雑な状況じゃと思うが……」
オウェードの言葉に耳を傾けるアウラスカルト。
「それと一つ感謝したい事がある……あの時の流星でワシは何か乗り越えた様な……まあ分からないが」
「事情はうかがいしれぬが、壁を乗り越えたのは良い事だと思う」
「その様子を見るに、怪我は治ったみたいね」
けれど油断してはだめよと燦火はアウラスカルトへウィンクをしてみせる。
「師曰く、『病み上がりは油断大敵』! そうねぇ、まずは美味しい物を一杯食べましょ」
人間の食事は今日一日で沢山知る事が出来た。
ルームサービスで頼んだ大量の料理たちが、大きなローテーブルに並んでいる。
「ここの食事すごいでしょ! 私も初めて見る料理が多いのよ」
「そうなのか……」
「ほら、このスパイスソーセージとか美味しそうじゃない? ヤギのスパイスシチューも中々……」
探求の一環としても知見を得られると燦火はアウラスカルトと共にシチューを頬張った。
アウラスカルト横目に、少し警戒しながら様子を伺っているのはゼフィラだ。
自分の家族が住む街を襲った相手なのだから無理もない。
それはそれとして、折角のリゾートだ。辛気くさいのは無しだと笑顔を見せてやる。ある種の決意や、あるいは覚悟に――許しに似た感情も滲んでおり、それよりも何よりも――
「どこで魔法を学んだんだ?」
「父祖――いや、今や袂を別った軽蔑すべき怪物に教わったのは事実だ。あとは本を読んだ」
――素直に答えるアウラスカルトに、ゼフィラは知的好奇心を抑えきれない。これは性分(本能)だ。
「すごいな。それであんなに魔法が使えるのか」
こくりと頷いたアウラスカルトは、妙に子供っぽい印象を与えてくる。
ゼフィラはぶんぶんと頭を振る。おさな子のような見かけと、自身の知的好奇心で警戒心が緩んでしまい(絆されやすくて嫌になる)と溜息を一つ。
ごく最近まで、親という存在に依存していた子供が犯した過ちと見るか、二百五十年を生きた存在が成した災厄と見るか。あまりに難しいのは確かでもあり。けれど、未来というものを信じたいのは事実で――
「こんにちは、アウラスカルト。戦場の次に会うのがホテルの一室なのは、何か妙な感じだけど……」
ルーキスは賑やかな室内に少々面食らったが、室内に招かれる。
「戦場で対峙した者として、あの日の……練達や深緑への侵攻を忘れる事は出来ない」
「当然であろうな。我とて忘れよとも許せとも思わぬ」
「……けれど。君が人の側に立ち、人間を『識ろう』としているのなら」
胸に秘めていた言葉をルーキスはアウラスカルトへと伝える。
「俺は、君の選んだ新しい生を、応援したいと思う」
「そうか。汝の選択に感謝しよう」
「さて、真面目な話はここまで。これより、アウラスカルトとの親交を深める為のゲーム大会を行う!」
持参したボードゲームを出したルーキスの元へ仲間達が集まってくる。
「アウラスカルトさんが来てる、って聞いて、つい来ちゃった」
リリーはモカと一緒にスイートルームを訪れる。
自分達人間の事を知りたいと思っているアウラスカルトならば、友達になれると思うから。
「せっかくだから、リリー達も竜についてもっと知りたいって思うのっ」
「歓迎しよう、人の子等よ」
アウラスカルトはリリーとモカをパーティー(なぜかこうなった)へと誘う。
「それに、リリーはリーベルタースにも行ったからねっ。もっと知りたくなるのも……当然だよねっ」
それじゃあとリリーはアウラスカルトに質問を投げかける。
「早速だけど、好きな食べ物はっ?」
「さっき食べた肉が美味かった。たしかサーロインステーキと呼ばれていた」
「サーロインステーキ! じゃあ、酒はどうだ?」
モカは果実酒の瓶をアウラスカルトへ傾ける。
「変わった味がするが興味深い。酒もさきほど初めて飲んだ。いずれも複雑怪奇で興味深い味わいがする」
「ふふ、もっと美味い酒もあるから。今度私の領地にくるといい。いつでもどうぞ」
愛奈もまたアウラスカルトに、ヒトの食べ物を知って欲しいのだとお皿を渡す。
「私が紹介せずともご存じだとは重々承知の上ではあります。でも、知ってほしいのです。ちっぽけで儚い命の私たちも、懸命にその短い命を楽しんでいるのだと」
「あの日、思い知らされ――今は学んでいる」
ただ生きるために食べるだけなら、一皿の料理にここまで手を掛ける必要は無い。
けれど、そこに価値を見出し幸せを作り出しているのだと愛奈はアウラスカルトに語りかける。
「ヒトの社会と交わることを決断した貴女に、ヒトが『どうやって』生きているか、知ってほしいのです」
「我は、それが知りたい」
「……さ。頂きましょう。美味しいですよ?」
お皿の上に乗せられた料理から、フォークでコンク貝をつついたアウラスカルトが一口。頬を緩ませた。
同じく、皿の上の山盛りステーキとエビを頬張りながら風牙はアウラスカルトを見遣る。
リヴァイアサンにメテオスラーク。どちらも、人の手に余る存在だった。
若い竜であるアウラスカルトはどうなっていくのか。見極めなければならないと風牙は決意する。
「……よし!」
勢い良く立った風牙はアウラスカルトへ料理を差し出す。
「土地を知るには食文化。ヒトを知るには美味い料理。つまり、美味いメシをたべるんだ!」
「人の食事は興味深い。ここまで複雑なプロセスを踏むとは、あたかも魔術のようではないか」
というか、さっきから食事も酒も、どこに入るのかといったほど飲み食いしているが。本来は二十メートル程という情報を思い出す。まるで酔った気配さえ感じない。
アウラスカルトはエビをフォークに刺し、掴んで殻のまま、ぱくり。
「あ、それは殻を剥いてだな……こっちのステーキはナイフとフォークでこう……」
「そ、そっちは知っておる! さっき学んだ! それに箸と匙は幾星霜も前に学びきり、使えるが!」
使えるのか。ああまあ、フリアノンには顔を出していたのか。
そうして夏の夜は緩やかに更け――
「わぁ……! すごい! ヴァリューシャ! 白虎君! 全室ロイヤルスイートだって!」
海で泳ぎ終わりホテルへやってきたマリアとヴァレーリヤ、それに白虎は豪華な部屋に目を輝かせる。
自身が経営するVDM・レインボーフェデリアだって負けていないと敵情視察の名目で、マリアはここまでやってきたのだ。
流石はロイヤルスイート。ルームサービスも充実しているとヴァレーリヤはメニューを手にする。
「マリィマリィ、私、これが飲みたいですわー! 良いでしょう? これも! あとこれもっ!」
「ふふ! 流石はロイヤルスイート!お酒も食事も最高級!」
「すごいね! 我も無限に飲めるよ!」
ヴァレーリヤと白虎が次々に酒の瓶を空にしていく。
「白虎君、呑む量も速度もすごいね……!」
「虎だからね!」
「あぁ!? ヴァリューシャ!? 対抗してそんなに呑まないの!」
「だってマリィ、せっかく注文したのに悔しいではありませんの!」
「後で大変だよ!?」
「ほらっ、放しなさい! このお肉あげるから!」
ヴァレーリヤが取っておいた肉の燻製が宙を舞い、白虎が口で受け止めた。
三人で飲み明かしたあとは、二人だけの時間。
酔ったヴァレーリヤを抱き上げルーフバルコニーへ運ぶ。
「えへへ、何だかふわふわして良い気持ちでございますわあ……」
ふわふわと夢心地で運ばれるヴァレーリヤの頭にマリアは頬をくっつけた。
「いつか鉄帝の人々皆がこんな風に幸せに暮らせる日が来るといいね……」
いつしか日付も変わり、静かになったバルコニーへリースリットが姿を見せた。
「お疲れ様、です、アウラスカルト。……人の世界、文化は如何ですか?」
「騒々しく、いくさばのようだったが、嫌いではなかった」
言葉を選んでいるなと感じる。
きっとこのおさな子は、静かに時を過ごすことを好むだろう。だが言葉自体に嘘はあるまい。
やや疲労を滲ませながらも、穏やかな表情が物語っていた。
「管理者の関係で閲覧に手間かかりますが、図書館などは如何でしょう?」
幻想には彼女が居た覇竜で見てきたものとは違う、多種多様な蔵書があるから。
「それは興味がある」
心なしか瞳が輝いているように思えた。
やはり、そこに描かれている知識や物語がどんなものか気になるらしい。
「傷は、もう大丈夫なのですか?」
「皆、口を揃えて聞くのだな……。問題ないが、汝こそどうなのだ」
「この通りです」
「そうか――『良かった』と感じるから、尋ねるのだな……」
「ええ」
リースリットの口元がほころんだ。
「……偽名、ちゃんと決めた方がいいですね。確か、琉珂さんは貴女の事をアウラと呼んでいましたか」
亜竜種か旅人のアウラと名乗れば、何処に行ったとしても『只の一人の人間』になれる。
「悪くない」
答えた少女はバルコニーの手すりに腰掛ける。
そして足をぷらぷらとさせながら、海に映る満天の星空を覗き込んだ。
―― 02:13 AM
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
依頼お疲れ様でした。
夏!!!
MVPは高級リゾートのエチケットを守り抜いた気高さへ。
それではまた、皆さんとのご縁を願って。pipiでした。
GMコメント
pipiです。
立て続けに夏っぽいやつ。
高級リゾート&ラグジュアリーホテル『グランド・バルツ・ホテル』で遊びましょう。
●目的
遊ぶ。
●ロケーション
A:プライベートビーチ『バルツ』
穏やかで透明度の高い遠浅の海です。きらっきらなエメラルドグリーン。
ビーチには、色とりどりの花が咲く庭園から渡り廊下が続いています。
屋外ですが日陰は大変涼しく、渡り廊下にはきちんと屋根があり、心配ありません。
B:ホテルレストラン『エメロード』
幻想風+南国風(旅人っぽく言えば、フレンチやクレオール料理、ケイジャン料理)。
白磁の大きなお皿に、ちょこんと乗った料理を、重たい銀のナイフやフォークで頂きましょう。南国ならではの工夫がこらされており、とても美味しいです。
C:ホテルバー
ワインやカクテル、蒸留酒などが幅広く楽しめます。
D:客室
全てロイヤルスイート。
パーティーでも出来そうなほど広いリビングと、これまた広い寝室に別れています。
ベッドはキングサイズの天蓋付きで、お姫様気分が楽しめます。
バスルームではシャワーや、泡々のお風呂も楽しめます。
蒸気テクノロジーによって空調も涼しく、また冷蔵庫にはミネラルウォーター(ガス/ノンガス)の他、シャンパンなどが良く冷えています。
ルームサービスで飲食物をお願いするのも可能です。
開放的な窓や広大なバルコニーからは、庭園と海が眺められます。
E:その他
ありそうなものがあり、出来そうなことが出来ます。
●プレイング書式
一行目:A~Eの記載をお願いします。
二行目:他の同行PC名とIDかグループタグの記載をお願いします。
三行目:以降は自由に記載下さい。
例:
C
飲酒部
バー直行なの! アルコールしか勝たんの!
●同行NPC
・アルテナ・フォルテ(p3n000007)
皆さんと同じローレットのイレギュラーズ。
物理的距離に頓着しない系の陽の者です。
手に取り過ぎたサンオイルとかを、勝手になすりつけてきます。
食べ物や飲み物を、何の気なしにシェアする傾向があります。
水遊びも大好きです。陽の者だからです。
・リーヌシュカ(p3n000124)
鉄帝国軍人にして、ラド・バウ闘士。バカンスです。
ジュースとかアイスとかを、勝手に一口奪う系の陽の者です。
こちらも食べ物や飲み物をシェアする傾向があります。
カニとかアメフラシとかを、つついたり眺めたり、波打ち際では水などをかけてきます。
・白虎(p3n000193)
豊穣の四神の一柱です。遊びに来ています。
肉に目がない食いしん坊。陽の者です。
酒も(お供えされてきたため)好みますが、いわゆるザルです。水と一緒。
水遊びも大好きです。猫は水が無理ですが、白虎は真の虎だからです。
マリア・レイシス(p3p006685)さんの関係者でありつつ、NPCです。
・普久原・ほむら(p3n000159)
一応、皆さんと同じローレットのイレギュラーズ。
陰の者です。キョドりますが雑魚いので、引っ張ればついて行きます。
趣味はアニメ、漫画、ゲーム好きのオタクで、ハマっているのは百合ソシャゲです。
・ストレリチア (p3n000129)
バーに入り浸り。いつものストレリチアです。
パリピ上等の陽の者っぽいのですが、意外と陰の者です。
・ヴェガルド・オルセン(p3n000191)
休暇中のラドバウ闘士です。ヴィーザル出身のバイキング。
魚釣りをしたがります。
肉と魚と酒に目がない陽の者ですが、ちょっと陰な所もあります。
・オリオン(p3n000257)
知識を何でも吸い込む、元大精霊の精霊種です。
芽生えたての人格を形成する最中であり、まるで子供のよう。
皆さんに連れてきてもらったんだと思います(たぶん)。
陽の者ですが、本来的にはちょっと分からないところもあります。
・アウラスカルト(p3n000256)
皆さんと交戦の末、冠位暴食陣営を裏切ったドラゴンです。
今までは姿をくらませ傷を癒やしていました。
人間をより深く理解したいと考えています。
好奇心が強く、知識を重んじる魔術師的な性格です。
間違いなく陰の者です。
●メニュー
『Food』
鶏肉と海老と野菜のスープ
タラの唐揚げ
豚肉のブラッドスパイスソーセージ
タラとコンク貝のスパイスソーセージ
ハヤトウリの詰め物
カニの詰め物
ヤギのスパイスシチュー
魚のトマトソース煮
タコのスパイス煮
コンク貝のスパイス煮
ジャークチキン
ジャンバラヤ
ローストチキンのローズマリーソース
牛フィレ肉のカルパッチョ仕立てトリュフソース
サーロインステーキ(グリーンマスタードソース)
近海魚のポワレ
特大海老のグリルと温野菜
オマール海老とホタテと野菜のグリル
オマール海老の唐揚げのサンドイッチ
キャッサバのお団子ココナッツ風味
各種パン、ライス
オリーブ
チーズの盛り合わせ
ソーセージ盛り合わせ
ジャーキー盛り合わせ
ドライフルーツ
季節のフルーツ盛り合わせ
バナナフランベ
フラッペ(シトラス、マンゴー、パイナップル、珈琲)
シャーベット(マンゴー/ブラッドオレンジ/カシス)
アイス(バニラ/チョコレート)
紅茶のシフォンケーキ
その他、ありそうなもの
『Drink』
・ソフトドリンク
各種フレッシュジュース、コーヒー(ホット/アイス)、紅茶(ホット/アイス)
各種サマーティー(ライトブルー/サンレッド/サマーイエロー)
・カクテル
スタンダード各種、スモーキング、ナイトロジェン
お好みに応じます。
・ウィスキー
ブラックウォーカー、ブルーウォーカー、グレイクラウン...
グレンローレット、アドバーグ、ハイランドガーデン、ザ・サントヒル、ベイサイドデプレッション...
アールスローズプラチナム、ビルダーズエンブレム...
エコーズ...
・テキーラ
ラサブランコ、ラサレポサド、ネフェレストアネホ、ブルースパイダー...
・ラム
ムルシエラゴ 、ロンリッツパーク、キャプテンドレイク...
・ジン
ビーフイーター、エルダートム、スカイブルー、No.10...
・ウォッカ
スチールグラード、バニラ、シトラス、バイソングラス...
・ブランデー
フォルデルマン、フィッツバルディ、バルツァーレク...
・カルヴァドス
バルツァーレク...
・ベルモット
マルセイラン、フランセスコ...
・ビール
メフ・メフィートペールエール、パドラディ、ミットヴォッホカッツェ、ヘイローEX、ルーベルグ...
・リキュール
カシス、ラズベリー、等々各種。
・ワイン
フィッツバルディ(赤、白)、アーベントロート(赤)、バルツァーレク(赤、白、ロゼ)、フルネメシス(白)、デモニア(赤)、ブラックキャット(白)、ポルタ(強化)...
・スパークリングワイン
バルツァーレク(ロゼ)、エストレージャ(白)...
・薬草
修道院系、草系、アニス系、ルート系、各種...
・ノンアルコールカクテル
各種...
・オリジナルカクテル
シレンツィオマティーニ2010、シレンツィオモヒート...
『他』
各種シガーあり(バーカウンターのある分煙ルームにて)。
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
実際のところ安全ですが、情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
夏だからです。
●シレンツィオ・リゾート
かつて絶望の青と呼ばれた海域において、決戦の場となった島です。
現在は豊穣・海洋の貿易拠点として急速に発展し、半ばリゾート地の姿を見せています。
多くの海洋・豊穣の富裕層や商人がバカンスに利用しています。また、二国の貿易に強くかかわる鉄帝国人や、幻想の裕福な貴族なども、様々な思惑でこの地に姿を現すことがあります。
住民同士のささやかなトラブルこそあれど、大きな事件は発生しておらず、平和なリゾート地として、今は多くの金を生み出す重要都市となっています。
https://rev1.reversion.jp/page/sirenzio
Tweet