シナリオ詳細
<ダブルフォルト・エンバーミング>Zap! Zap! Zap!
完了
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オープニング
練達の中枢にして世界屈指の技術が詰まった知恵の結晶、首都セフィロト。
鉄壁の守りを誇るこの都市は今、『最大の守り手』が暴走したことによって史上初とすら言える窮地に陥っていた。
「詳しい話は省きますが――!」
大量の資料を抱え、そしてその殆どを投げ捨てた『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)はあなたへと向き直った。それだけ急を要する事件だということである。
「練達の神とすら言える超AI『マザー』が、仮想世界ROOネクストに生まれた原罪魔種複製体によって侵食され、ついに暴走状態に陥ったのです!
原罪魔種複製体イノリは大軍勢でROO内で軍事制圧作戦を開始していて、多くの人達は緊急用のログイン装置を使って内部での反撃を始めています。
けれど問題は――」
ユリーカが窓の外を見ると、激しい爆発がビルひとむねを転倒させていた。
鳴り響く銃声と連続する爆発音。逃げ遅れたであろう市民たちの悲鳴も交じり、平和な平和なセフィロトは一転戦場と化していたのである。
暴走したマザーを沈静化すべく三塔中枢へと進軍する作戦が決行するその一方、地獄と化したセフィロト都市内における市民救出および都市防衛作戦もまた展開されていた。
その様子を知るべく、セフィロトで有事の際に出動する契約になっている民間軍事団体CDCを例に挙げてみよう。
「武器を持ってこい、ありったけだ!」
額に血管を浮かべて叫ぶ現場監督の声が、銃声によってかき消される。
咄嗟に伏せた彼らが見たのは、自動操縦(ドローン)兵器だった。
プロペラによって飛行しサブマシンガンの搭載されたそれらが編隊を組み、こちらへと絶え間ない射撃を繰り返してくる。
自動車の脇に隠れてやりすごそうとするも、勝手にエンジンのかかった車が発進し逃げだそうとした兵を追突。壁にめり込ませる形で死亡させる。
更には人が乗り込んで使用する汎用パワードスーツ『ハンプティ』が倉庫から姿を見せ、持ち出したガトリングガンを唸らせた。
……このように、練達都市内のネットワークに接続していたあらゆる兵器はそのシステムをハックされ、『練達に存在する全ての人間を抹殺する』という使命が与えられてしまっていた。
マザーの超演算能力にあやかっていた都市のこと。あらゆる軍事団体は内部から壊滅し、政治中枢である三塔はマザー対応のために閉鎖。都市内はほぼ無政府状態となり、それまで身を伏せていた犯罪組織もこの混乱に乗じて動き出してすらいるという。
しかし、それは『マザーの暴走』というだけで起きることなのだろうか?
これまでもマザーがダメージを受けたことによってシステムダウンがおき、都市内のセキュリティロボットたちが暴走した<noise>事件はいくつか発生していた。だがそれとは明確に異なる『命令の書き換え』など……。
●破滅を賭けたラストチャンス
姉ヶ崎ーCCCというデータが生まれたのは、電子の海の中だった。
マザー(クラリス)の演算能力を僅かに用いて行われた『イデアの棺実験』。ウォーカーたちの出身世界を仮想世界上に作りだしデータを収集するという実験の中で紛れ込んだ、いわば『存在しないはずのデータ』であった。
しかし彼女の存在そのものが実験データを破壊し、ついには担当研究員の意識にまで干渉し、彼女はついに『新世界(ROO)』を発見したのだった。
鮮明になる意識。新鮮な肉体感覚。その中で芽生えた、『存在しないはずの記憶』たち。
姉ヶ崎は魂の底から、自らを結実させる『それ』を求めた。
記憶の中にある、理想のお兄ちゃんを実現させ、組み立て、世界ごと演算して一緒に永遠に暮らす。そうすることでやっと、自分は自分になれるのだと考えた。
「私まだ、何もできてない」
ROOネクスト世界の裏側よりはじき出され、形なきデータの海の中を漂いながら、姉ヶ崎-CCCはおぼろげに光へ手を伸ばした。
Hades(クリスト)の求めた、『妹のために』という願い。
イノリ(原罪)の求めた、『世界の破滅』という願い。
自分が自分になるために必要な彼らの助けになることが、今は何よりも『自分のため』になる筈だった。
確証すらもうまくつかめないまま、姉ヶ崎-CCCはHades(クリスト)より貸与された演算領域を用いて自らのデータを再構築しはじめた。
「壊さなきゃ、世界を。壊さなきゃ……私が、私になるために」
そうして彼女――『絶対破壊存在』姉ヶ崎-CCCは、セフィロトネットワーク内に顕現した。
姉ヶ崎はまず、Hadesの目的を補佐するよう動き出した。
Hadesの目的とはマザー(クラリス)の抱える負担を切り離すこと。直近の問題として、イノリの発生によって歪んだネクスト世界を破滅させ切り離すことが目的である。
が、それでは不足だと姉ヶ崎は考えていた。
Hadesがここまで自由でいられるのは、練達という都市国家の『ネットワーク管理』という巨大かつ繊細な、そして絶対に代替不能な役割が課せられていないためであると。
「わかるよ。大切な妹、だもんね。自由にしてあげたい。楽にしてあげたいよね」
姉ヶ崎はHadesより与えられた演算領域を用い、ネットワーク内に出現。いわば『電子の妖精』と化した彼女はネットワークに接続されたあらゆるデータを並行して計算し、それらの役割を首都セフィロト内における人類抹殺へと書き換えた。
ドローン兵器から家庭用家電に至るまで全てが人類抹殺のために動き出す。
同時に刑務所などのシステムに干渉し囚人たちを解放。セフィロトへと次々に送り込んでいく。
「きっと、妹さんは自由になれるよ。ずっとずっと一緒に、いられるよ。そうしたら……私の願いも叶えてね、Hadesくん」
練達首都内のどこかにあるサーバールーム内にて。
機械の人形に意識の一端を移し込んだ姉ヶ崎はゆっくりと目を開け、微笑んだ。
- <ダブルフォルト・エンバーミング>Zap! Zap! Zap!完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別ラリー
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2021年12月20日 21時02分
- 章数3章
- 総採用数396人
- 参加費50RC
第1章
第1章 第1節
●パートタグ
【軍事ロボット】
数々の民間軍事団体及び国営軍のロボット兵器たちがことごとく暴走し、兵はおろか民間人たちの虐殺を開始しています。
これらを破壊することでとめ、街の平和を護りましょう。
敵となるのはドローン兵器たちで、飛行するタイプや人型タイプ、自動車にのったタイプなども存在します。
【犯罪者対策】
都市内に入り込んだ犯罪者たちと戦い、彼らを鎮圧します。(この際生死は問いません)
鉄壁の対外防御と内部セキュリティを誇る首都は一夜にして壊滅的な混乱を見せ、今や無政府状態です。
都市内には身を伏せていた犯罪組織や、監獄から出された囚人たちが繰り出し暴れ始めています。
【市民救助】
突然の警報に逃げ遅れた市民が大勢セフィロトには取り残されています。
襲いかかるエネミーたちから彼らを守り、安全なシェルターへと逃がしましょう。
ネットワークから切り離したスタンドアロン型のシェルターがいくつかありますので、そういった場所が予めイレギュラーズたちには教えられています。
けが人の救出や運搬、治療といった役割も必ず必要になってくるでしょう。
【その他】
提示されている以外の行動をとります。
場合によっては空振りするかもしれませんが、もしかしたら新たな行動タグの出現やエネミーの発見、事件を早期解決するための手がかりを得るといったことがあるかもしれません。
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耳鳴りが五月蝿い。
『一般人』三國・誠司(p3p008563)は銃声と爆発音が響くセフィロト都市内をオープンカーで飛ばしていた。
首都内で使えるというスマートグラスをつけてみるが、走るのはシステムエラーの文字のみ。通信の音もノイズが聞こえるばかりだ。
「流石にこうも荒れちゃうと、もう手段は選べないな」
スマートグラスを放り投げ、そして誠司はハンドルを強く握りしめた。
「そっちは初めて見る顔だけど……もしかして新人イレギュラーズさん?」
誠司の軽い口調に、助手席の『餓狼』シオン・シズリー(p3p010236)が苦笑した。
「まあな。イレギュラーズになって早々に派手な仕事だよ」
「わかる。僕の時もそうだった」
大海のど真ん中でビルより巨大な竜と喧嘩した日を思い出す。あのときは、とてつもない数の死者が出た。
あんなこと、繰り返したくはない。
「平和を守るなんてのはガラじゃねえが、ごろつき連中をぶん殴ってやればいいんならカンタンだぜ。ああいう連中は言いきかせるよりぶん殴った方がハナシが通る」
「経験者みたいな口ぶりだ」
苦笑する彼らの後ろから、『クソ犬』ロク(p3p005176)がぴょこんと顔を覗かせた。
「見て、前前! いかにも犯罪者って人達がいかにもな犯罪してる!」
叫ぶ声に『まさかー』と思って見てみると、モヒカンで肩にトゲのついたパッドをしたハーネスオンリーの半裸男が片目に星型のペイントをして舌を出しながらサブマシンガンを空に向けて乱射していた。
「うわ本当にいかにもだ!」
「隣も見て! いかにもなワルいロボットが!」
ロクに言われるまま視線を動かすと、顔(?)を真っ赤に光らせたメカ子ロロイバアアたちが口を開き、ズガズガと銃撃をかましていた。よくみればバリケードを作ったコンビニに押し入り強盗(ないしは略奪)を働こうとしているらしい。
「とめなきゃ!」
「あ、うん」
「おっと、仕事かな?」
後部座席で待機していた『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)がすっくと立ち上がる。
らしいなとつぶやき車を90度ターンでスライドさせながら停車させた誠司に伴い、シオンが助手席から飛び出していく。
「よう、ご同輩。生き延びたけりゃ、さっさとこの街から逃げたほうが良いぜ!」
こちらに気付いたモヒカン男が舌打ちして銃口を向けるも、シオンにとっては無抵抗なのと変わらない。
今や拳の間合い。引き金をひくより早く殴ればいい。実際にシオンの拳は相手の顔面にめり込み、そして派手に吹き飛ばす。
「くらえー!」
ロクがけしかけたロバがメカロバをバキバキに分解する一方で、誠司とサイズは別の男達めがけて砲撃や斬撃を浴びせていく。
その後……。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
ロバに首んとこをくくられた男たちが駐車場をぐーるぐーる引き回されていた。
西部劇に出てくる処刑法みたいだった。
「避難誘導に協力するなら解いてやるぞ。うまく働くなら報酬も出す」
サイズがそんな風に言うと、男達が両手をあげて『わかった』のサインを出した。
それを腕組みしながら見つめるシオンと誠司。
「お前らんとこ、いつもこんななのか?」
「違うと言いたいけど、割とこうかも」
成否
成功
第1章 第2節
練達という都市国家は、『特異運命座標』フロル・フロール(p3p010209)から見れば外国どころか異世界だ。実際仮想世界まで作ったのだから、新鮮を通り越してもはやカオスであった。
だが、確実に分かることはある。
「特異運命座標の皆は、妖精郷を救ってくれた。恩を返す為、わしにも手伝わせてもらおう」
怪我をして苦しむ者。家族とはぐれて不安がる者。妖精郷が冬に閉ざされた時に取り残された妖精達によく似ていた。いや、全く同じだと言っていい。
(今ではわしもこちら側。ならば、わしにも誰かを救える筈じゃ!)
フロルは怪我をした子供の傷口に薬をぬって包帯をまくと、治癒の魔法をかけてやる。痛みがひいたのだろう。子供の顔から苦しげな色が消えていく。
「安心すると良い、必ず治してやるからの」
ふと見ると、『死と戦うもの』松元 聖霊(p3p008208)が酷い重傷者の治療にあたっていた。
「痛いのは生きてる証拠だ、生きたいと願え!! 死に抗え!! 医者は患者を見捨てない!!」
こうなれば相手の気持ち次第で生きるか死ぬかが変わってくるもの。聖霊は根気強く呼びかけながら、身体にささった金属片を取り除き傷口の消毒や止血をおこなっていた。
(練達にもオンラインゲームにも縁は無かったが……人手がいるって聞いてきてみればなんだよコレ。テロ? いや、地獄じゃねえか……)
心の中で呟き、そしてテキパキと治療を終える。
「だが医者はやることやるだけだ。俺が来たんだ、生きたいと患者が願うなら絶対に見捨てない。絶対に治してやる」
決意のように言葉にしたところで、患者がスッと手を上げた。何か言っている。
耳を近づけて聞いてみると、子供とはぐれたという。
「いや、大丈夫だ」
聖霊は振り返り、シェルターの扉が開くのを見た。
「こういうときに動かなくてどうするの、私!」
『言の葉に乗せて』朔・ニーティア(p3p008867)は爆発を聞いた。傾くビルを見た。
灰色の道の真ん中で泣きながら立ちすくむ子供を見た。
ふとみれば、真上にあった大きな看板が崩れ、今まさに転落を始めるところだった。
直感で死の危険を察知した朔は凄まじい速度で走り、子供を抱えてその場から飛び退く。
真後ろで看板が落ち、地面と激突して酷い音をたてた。
「助けに来たよ! 掴まって!」
朔は子供を抱えたまま、近隣のシェルターめがけて走り出した。
(助けられないのは嫌だ、眼の前で失うのはそれこそ“力あるもの”として失格だと思うから……)
成否
成功
第1章 第3節
「人の暮らしをより良くするための機械が暴走とは……!」
逃げ惑う人々を追いかけ、銃撃を繰り返す飛行ドローンの編隊があった。
破壊されたビルの物陰に隠れつつその様子を確認した『ワイルド・レンジ』ムサシ・セルブライト(p3p010126)は、腰のホルスターに収まった『52SHERIFF SP』を手に取る。
リボルバー弾倉をかるく回して残弾を確認。セーフティー解除。
素早く飛び出し、両手でしっかりと拳銃を握る姿勢をとった。
「そこまでであります!」
あえて大声を出すことでこちらを感知させ、『認識する時間』を作ったムサシはすかさず飛行ドローンの一体を拳銃で撃ち抜いた。
バキンという破壊音と共に小さな爆発を起こし墜落するドローン。
残る機体がムサシへ銃撃をしかけようとするも――。
「こっちだー!」
別の物陰から飛び出した『理想のにーちゃん』清水 洸汰(p3p000845)のバットがドローンへと命中。ボディをひしゃげさせ、墜落させる。
墜落した二台のドローンをひろいあげて観察しているのは、彼の弟の湧汰だった。
「あなたがたは……!」
以前ROOでの作戦時に見た姿そのままの二人に、ムサシが思わず声をあげる。
湧汰はといえば、淡々とロボットを分解している。
「これは……なるほど。ネットワークを介して自己学習する射撃ドローンだ。かなり正確な編隊飛行と射撃ができるタイプだから数がいたら気をつけろよ」
呼びかけた相手は洸汰なのだろうが、洸汰は『ふーん?』とよく分かってない声をあげた。
かわりに、近くの監視カメラに向けてバットを突きつける。
「どっかからオレ達を見てるんだろ、姉ヶ崎!
キミが悲しくて虚しくて泣きたくて怒ってて、気持ちがグッチャグチャなのはわかる
けどな、その力でオレの大事な皆の居場所を壊すのだけは、絶対許さねー!」
その宣言を、ムサシと湧汰は黙って聞いていた。
「ユータは、頭を使う方で頑張ってくれた。
身体を張るのはオレの仕事だ。
その気持ち、キミを阻んだ『清水』にぶつけてこい。
全部受け止めて、最後まで向き合うよ。
……オレだって、『にーちゃん』なんだ」
成否
成功
第1章 第4節
「皆、まずは落ち着いて聞いてくれ」
『チャンスを活かして』シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)の声はよく通り、そして美麗な顔立ちとパリッとした軍服風姿は見る者の気持ちを釘付けにした。
それまで突然のテロリズムに混乱していた人々はおもわず黙り、そして落ち着きを取り戻した。
シューヴェルトは厄刀『魔応』に呪の力を集中させ、迫るセキュリティロボットに呪詛の刃を放って破壊。
ビーブ音を発しながら横たわり、崩れたセキュリティロボットを一瞥するとシューヴェルトは再び市民たちへと振り返った。
「立ちはだかるものはこの僕が倒す!
この場所は危険だから、皆で力を合わせてシェルターに逃げこむぞ!」
市民達は頷き、そして彼の後に続いて走り出す。
足の遅い子供を抱きかかえながら、シューヴェルトは心の中で決意を固めた。
(市民を守るためにもこの貴族騎士……ひと肌脱ごうじゃないか)
成否
成功
第1章 第5節
「いやぁログアウトできたかと思ったらこれかい。ちょっと駆け足すぎるんじゃないかなぁ姉ヶ崎-CCC?」
軍用パワードスーツ『ハンプティ』による激しい弾幕を建物の影に隠れることでやりすごしながら、『屋上の約束』ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)は肩をすくめて笑った。
「ともあれ頑張ろうではないか。な、エーミーr」
振り返るとそこには誰もいない。
居たはずの『夕焼けに立つヒト』エーミール・アーベントロート(p3p009344)は凄まじい速度で飛び出し、弾幕の切れ目を狙ってハンプティへ接近。
グラスナイフを走らせハンプティの装甲の継ぎ目へと食い込ませる。
「ランドウェラさん、先に行かせていただきます!」
「もう行ってる! 早いよ!」
ランドウェラは慌てた様子で飛び出しつつ呪術を練り上げた。
発動と同時。完璧なタイミングで飛び退いたエーミールはハンプティが回避行動をとれないようにボディを蹴りつけ、その直後に無数に拡散しホーミングした呪術弾が次々と直撃した。
それによってよろめいたハンプティめがけ、エーミールは短剣を投擲。
軍用パワードスーツの装甲を見事に貫き、その機能を停止させた。
「おお、やるねエーミール。こんぺいとう食べる?」
「ランドウェラさんが装甲強度を弱らせてくれたおかげですよ。あ、頂きます」
甘いの大好きなんでと行って手を出すエーミールに、ランドウェラはぽんとこんぺいとうを数粒おいてやった。
「なんだかこの感じ、久しぶりだなあ……」
さっきまでROOにログインしてデカい金魚になっていた『文具屋』古木・文(p3p001262)は、感覚のズレに酔いめいたものを感じていたがすぐに調子を取り戻した。
背筋をスッと伸ばして弓をかまえ、編隊飛行をとるドローンへ狙いをつけた。
掴んだ矢に呪術を施しつつ、『機械相手に効くのかな?』などと考えながら矢を放った。
相手の射撃と交差するように飛んだ矢は狙い違わず命中し、システムの狂ったドローン相手に第二の矢を放つ。
脳裏によぎるのは希望ヶ浜学園で授業をしたり生徒の相談にのったりする時の思い出である。
(思った以上に練達での教師生活が気に入ってたみたいだ。
一時とは言え大切な生徒さんをお預かりしている身だからね。
彼らの平穏な学びと人生を邪魔するものは、可能な限り排除するよ)
直後、横から放たれた光がドローンへ直撃。機動性を失ったドローンが墜落を始める。
ちらりと見る文。『淡き白糖のシュネーバル』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)が『白猫魔手甲シュネーキトゥン』を構え、その可愛らしい光の籠手を突き出していた。
「ここには、僕の大切な人達も猫さん達も動物さん達も皆いるんだ。
だから、皆は殺させない。ロボさん達に、これ以上誰も殺させたくない!」
墜落しかけのドローンが反撃を撃ち込んでくるが、素早く飛び退くことでそれを回避。
(何もかも全部姉ヶ崎-CCC含む敵達が悪い。前の戦いの時は子猫さんに生まれ変わって過ごせたら、って思ってたけど……)
「今の僕はとてもとても怒っているんだ。姉ヶ崎-CCCも敵も全部殲滅されて消えてしまえ!」
さらなる光と文の矢がドローンを打ち落とし敵チームを壊滅させた……と思った次の瞬間、飛んできた砲弾が彼らの足下に着弾。激しい爆発を引き起こした。
練達首都内で運用されている戦車である。ネットワークを通して自動操縦機能を有するIOT搭載機だが、どうやら今は姉ヶ崎によってその使命を書き換えられているようだ。
次なる装填が行われ、大砲が発射される。
対して――。
「ぶはははは!!!! 待たせたな!!!」
砲弾を真っ二つに切り裂いて、『音呂木の巫女見習い』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)が現れた。
「電子の世界から帰ってきたぜぇ! わはは、なんだここー! 何で機械が反乱起こしてんの?
私ちゃんはなんとなくわかったぜ。ついにシンギュラっちゃった? 映画みたいに! 違うか! ガハハ!!!」
次なる砲弾にあえてまっすぐ突っ込みながら剣を繰り出す。
「っしゃあ!地上のメカは私ちゃんにまかせらあ!
市民救助してる子らの邪魔になるだろうし、近場のやつからかたっぱしにボコっていこうじゃんよ!
こちとら何年も汎用女子高生型決戦兵器やってるんじゃあ!
所詮ただの金属製品に負けてたまるかってんだ!」
「こっちも、機動魔法少女だ」
『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639)がライフル型マジカルステッキのセーフティを解除。トリガーを引くことで変身シークエンスを始動させた。
衣装をチェンジし、どこからともなく現れたミニ戦車ドローンと変形合体。大砲をライフルと合体させ8.8cm大口径魔力砲マジカルアハトアハトを完成させると、戦車へと構えた。
「元はそうじゃなかったとしても……人を傷つける機械は、機動魔法少女が破壊する」
『発射(フォイア)!』の声と同時に放たれた『砲弾』がドローン戦車の装甲を貫通。
小爆発を起こし戦車が転倒した。
「とりあえず今は1体ずつ叩くしかないけど、元を絶たないとキリがない。どうにか探れないかな……」
そんな風に呟いていると、秋奈が頭を抑えて顔をしかめた。
「うわっ、なんだこの音! また敵の新兵器とかか!?」
「……?」
小首をかしげるオニキス。
聞こえない? とジェスチャーしてくる秋奈に、オニキスは自分は聞こえないというジェスチャーを返した。
「え、じゃあ……何これ?」
秋奈の耳には、電子音でこんな風に聞こえていた。
――『Svto6ZA3sxd5』。
成否
成功
第1章 第6節
街の混乱は、三塔主が思うよりも大きかったと言えるかも知れない。
練達という都市国家を維持するためにマザーは最重要の保護対象であることは大前提として、暴走状態に至ったマザーとその期に乗じて国家崩壊を狙った姉ヶ崎-CCCの暴挙は、それまで鉄壁の守りを得て平和に暮らしていた練達市民を混乱の底へ堕とすに充分だったのである。
そしてそういう時だからこそ……。
「『逃げ遅れた人を救う』
単純明快ね。いつだって、誰だって救うわ」
炎上したビルの中へ飛び込んだ『特異運命座標』釈提院 沙弥(p3p009634)。
火災に巻き込まれ逃げ遅れ、そして冷静な判断力を失ったオフィスフロアの人々によく通る声で呼びかけた。
「私の他にも大勢が救助のため動いているわ。ともかく着いてらっしゃい。いい子だから」
それだけで、と言っては大袈裟だろうか。沙弥の言葉はすぅっと人々の心にしみこみ、すぐさま人々は冷静さを取り戻した。
続けて、沙弥はがたいのいい男を見つけて軽く誘惑すると、彼らの力を借りつつビルからの脱出を開始した。
「よし。連中に見つからないようにゆっくり静かに避難だ。心配するな。いざとなったら俺が出る。分かったらとっとと行きな。シェルターまでは付いて行ってやるよ」
避難誘導を買って出たのは『疲れ果てた復讐者』國定 天川(p3p010201)だった。
ビル周辺には未だに残っているセキュリティロボットたちを見つけ、『止まれ』のハンドシグナルを送る。
「よく知らんけど中枢部がおかしくなっただけでここまで無秩序とか世紀末過ぎて怖いのだ……」
同じく避難誘導チームに配属されていたヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム(p3p010212)が、物陰からセキュリティロボットたちをのぞき見てプルプルしていた。そりゃあ、昨日まで平和だった街が爆発と火災に包まれ、掃除機に人間の上半身がついたようなロボットが目を真っ赤に光らせて『ニンゲンコロス』とか言っていたら誰だって怖い。
もっと怖いのは、彼らが両手を真っ赤に染め、どこからか奪ったであろうパルスライフルを手に『ニンゲントモダチ、アソボ』とか言いながら乱射している所だった。
「マジ狂ってるのだ……ここはヘルちゃんに任せるのだ!」
『人助けセンサー』をもつヘルミーネがいることで、『助け逃し』を回避していた避難誘導チーム。
ここは腕っ節の使い処だとして、拳に『氷結死世界』の魔法を込めた。
ニヴルヘイムの一族の名を冠したその魔法は、飛び出したヘルミーネの拳に青い軌跡をひき、そして振り返ったロボットが銃を向けるよりも早くその顔面に拳をたたき込んだ。
爆発的な光が走り、吹き飛ぶロボット。
それを聞きつけて同様のロボットたちがナイフや包丁、またはモンキーレンチといったやけに生々しい武装をして集まってくるが――。
「こんなおっさんに無茶させるんじゃねぇよ(ここで死ねたら楽なんだがなぁ。そういうわけにもいかんよな)」
天川は小太刀をふたつ抜き放つと、まっすぐ突っ込んでくる包丁持ちのロボットの斬撃を片方で受け、そしてすかさず相手の腕と首を連打によって破壊した。
「ったく……煙草吸いてえ」
火災現場で一服もないだろうと弱った顔をした天川。
そんな彼の背後へ迫るロボットがモンキーレンチを振り上げた、その時。
ピュン、という独特の風切り音と共にロボットの側頭部に剣が突き刺さり、そして貫いた。
『白銀の戦乙女』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)の放つ一撃、『C・フィエルテ』の突きであった。
夜闇を思わせる黒き刀身がロボットの頭を貫き、その勢いのまま振り抜くことでロボットを強引に転倒。さらなる動きを阻むように踏みつけることで、ロボットは動きを停止させた。
(現実世界にまでついに干渉してきたんですね……でんし、とかよくわかりませんが、こうして現状表に出てきている以上、皆さんを守らなくては)
胸に湧き上がる使命感。そして、それは一言に集約される。
「……戦うのが、私の使命なのだから」
「ここは任せてもよいですかな?」
そんなシフォリィの決意を読み取ったのか、『神馬』グランドル(p3p009346)が大人数用の馬車を引いて現れた。外から狙われないようにと鉄板や魔獣の革によって防御を固めた箱馬車である。
「某はこれでも戦場を駆ける軍馬なので余り荷馬の真似事は好まないのですが……流石にこの状況ではそうも言っては居れませんな」
などと冗談めかして言ってから、連れてきた市民達に『乗れ』と顎でジェスチャーした。
「お忘れ物のないように。揺れますのでお近くのバーにお掴まりください。では、出発進行――」
美しい声でそんな風に唱えてから、グランドルは雄々しく鳴いて走り出した。
一方こちらは地下道路。
ネットワークの切断によって照明機器への電力供給すら止まってしまったのか、長いトンネルの中は真っ暗になっていた。
「なんだか大変なことになってるわね! ゲームをしてるんじゃなかったの?
……って、そんな事考えている場合じゃなかったわね!」
懐中電灯を灯して進む『黒靴のバレリーヌ』ヴィリス(p3p009671)。
彼女の発する『人助けセンサー』がこの近くで助けを求める声を感知したのだが……人の姿はよく見えない。
「ええと……」
名前を求めて振り返ると、『錆びついた放浪者』バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)が義手の両手をカチャカチャと鳴らしていた。
「バクルドだ。まあ、任せておけ」
暗視能力を働かせると、バクルドはトンネルの奥までを見通した。
そして小さく舌打ちする。
「セキュリティロボットだ。人間を探していやがる」
「なら、なおさら僕らの出番だね?」
『都市伝説“プリズム男”』アイザック(p3p009200)が頭のプリズムキューブをくるくると回した。
彼は金属のナットをポケットから取り出すと、わざとセキュリティロボットめがけて放り投げた。
「さて――」
両手のひらを天にかざすように返し、そして走り出すアイザック。
こちらに気付いた複数体の犬型セキュリティロボットたちが一斉にこちらへ走ってくるが、アイザックはまるでカウンターでもかけるように治癒魔法を展開。
彼にセキュリティロボットたちが噛みつき、腕や脚を引きちぎらんばかりにふるも、プリズムカラーに輝く彼のボディはそのダメージを素早く治癒。
その隙に回り込んだバクルドは腕の紐を引っ張りパイルバンカーギミックを解放宇。
セキュリティロボットの脇腹へ押し当てるとそのボディを貫通した。
と同時に、ヴィリスの舞うようなフォームで繰り出された後ろ回し蹴り。
ドレスから露出した剣状の義足がセキュリティロボットのボディを切断する。
「おお、なんだ。いい『脚』してるなお嬢ちゃん」
「叔父様こそ、いい『腕』だわ」
最後の一匹を二人がかりで破壊したのを確認すると、アイザックは通路の奥を指さした。
ひょこりと子供が顔を出したのが、懐中電灯の明かりでも見えた。
「お前さんら、こっちだ!」
「私たちが来たわ! この国もきっと救ってみせるから!」
練達首都内にあるドラッグストア。
その店内は騒然とした空気に包まれていた。
ショットガンを手にした男が一人。彼が連れるドーベルマン型のセキュリティロボットが一体。彼は店長らしき男にショットガンを突きつけると、指定した薬を袋に詰めるように怒鳴っていた。
その様子をのぞき見ていた、少女が三人。
「病気の娘に薬を……って感じには見えないですよね」
「強盗。それもかなりタチのわるいやつね。アンジュはどう思う?」
頭を引っ込め、顔をつきあわせる『召剣士』パーシャ・トラフキン(p3p006384)、『月輪』久留見 みるく(p3p007631)、そして『いわしプリンセス』アンジュ・サルディーネ(p3p006960)。
「イワシを焼いて食べそうな顔してた」
「「……」」
真顔で見返すパーシャとみるくに、アンジュは両手をパッと翳して言葉を加えた。
「悪い人だと思う! ってことは、アレを倒して店の人達を助けるってことでいいの?」
「まあそういうことよね」
みるくは『がちりん』と呼ばれる刀をスゥっと抜くと、身を低くかがめるような姿勢をとった。
「まさか、あたしの故里がこんなことになるなんて……」
「二人とも」
アンジュが言葉をちょっぴり選ぶ様子を見せた。
「アンジュの故里が大変だった時、助けてくれたよね。だから、アンジュも助けようって思ったの」
「それに、みるくちゃん友達だしね!」
パーシャがにぱっと笑い、ふたふりの剣を召喚した。『双星剣・ウルサ・マヨル』である。
アンジュも頷き、そして振り返る。
三人の愛鰯であるエルキュールやウォランスたちがキュッと鳴いて応援の意思を伝えてきた。
頷き合い、そして――。
みるくが飛び出し男の脚を切りつけたかと思えばドーベルマンロボットにパーシャの剣がダブルで突き刺さり状況に追いつけない男の顔面にアンジュのアルティメットいわしストライクが思い切りめり込んだ。
秒。まさにたった一秒の出来事であった。
瞬く間に暴徒が鎮圧されたことを知った店員の男は両出に抱えていた薬をばらばらと落とし、そして……。
「KAWAII」
ちょっとズレたことを呟いた。
あちこちから集められた人々は、指定された地下シェルターへと逃げ込んでいく。
自家発電能力を備えそこそこ長期間の食料その他を備蓄したこのシェルターならば、練達市民の安全を確保することができるだろう。
が、それはあくまで生きていけるという意味に過ぎない。
『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)は優しい歌声を口ずさみながら、シェルターの外にバリケードをこしらえていた。
シェルター内部にわずかに伝わるその声は、遠い爆発音や銃声や、そして今まさに近づいてきている無数の暴徒達からの不安を市民達から取り払っている。
「よう、お嬢ちゃんたち。俺らも入れてくれよ。立派な練達市民だぜ?」
ゲラゲラ笑いながら、血塗れの服でアサルトライフルを翳す男達。シティセキュリティの正式配備品が彼らの手にあるのは、それを『殺して奪った』からに他ならない。なぜなら、彼らの服装は練達国内にあるという監獄の囚人服そのものだったからだ。
「通すわけにはいかないのだわ。あなたたちは一人も。一歩たりとも」
立ち塞がる姿勢を見せる華蓮。その左右に『幻耀双撃』ティスル ティル(p3p006151)が上空より翼を羽ばたかせながら降り立った。
「昨日までの日常が壊れるって、こんな感じなんだね……。
でも、まだ助けられる人がいるなら」
「大体、あなたたちはあなたちは感情がダダ漏れです」
シェルター内から出てきた『はらぺこフレンズ』ニル(p3p009185)が身構える。
『感情探知』の能力を使って救助活動をしていたニルだが、外から悪意ある人々の感情を嗅ぎつけて出てきたのである。
そして更に……。
「ォ……本来。この幻想的なものが排除されたこの国においては、私がいることでさらなる混乱が起きるもの」
とかいって『汚れた手』ビジュ(p3p007497)が現れた。割とモンスター寄りの見た目をしている彼だが、(ウォーカーが大部分を占める)練達国内では割と受け入れられていた。シェルター内では子供から『どろどろのお兄ちゃん』とか呼ばれる始末である。
そんな彼らの顔を思い出し、ビジュはぎょろぎょろと無数の眼球を出現、脱獄囚たちを見た。
「此処は通さぬ。私の後ろには、無辜の民が居るのだ」
「おお、怖え」
肩をすくめておどける脱獄囚。
そして、すぐにライフルを向け乱射した。
『そうくる』だろうと呼んでいたビジュは素早く身体を広く展開して弾丸を受け止める。
受けきれないダメージがあったが、すぐ後ろから華蓮が治癒の歌を届けたことでしっかりと『止める』ことができた。
そのおかげで、というべきだろう。
ビジュの壁から飛び出したニルが『ダイヤモンドダスト』の術を発動。
解き放たれた氷の魔力が男達に吹きつけ、その動きを鈍らせるのみならず彼らの銃を使用不能とした。
「チッ――」
翼を広げ空へと飛び上がる飛行種の脱獄囚。ナイフを抜くが、それが誰かに突きつけられることはなかった。
なぜなら、ティスルが弾丸のように飛び上がり刀を一閃。彼の腕ごと切り落としたからである。
「あまり時間はかけられないの。反撃なんてさせてあげないから!」
残る脱獄囚たちをニルが魔法で一掃するのを見下ろし、ティスルは飛んできた庭のスズメを再使役。自分の目にして、周囲の探索を再開させた。
ティスルの航空偵察の中で発見されたのは、ビルの五階ほどにあるフロアであった。
避難がある程度済んだ建物だったが、扉の故障やセキュリティロボットが入り込んだことによって身動きがとれない民間人が数名取り残されていたらしい。
『持ち帰る狼』ウルズ・ウィムフォクシー(p3p009291)は帽子を被り直し、その健脚で階段を上っていた。
「戦場で人を抱えて持ち帰る仕事ならあたしに任せるっす! あと、ロボットを蹴っ飛ばすのも!」
「ん、間違いないです。『人助けセンサー』が反応してるですよ」
同じく『エルフレームMarkSin』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)も目的の階層に到着し、いつでも戦えるようにメイスをぎゅっと握りしめた。
通常片手で扱うメイスを倍以上に巨大化させたそれは、スチール扉くらいなら軽くひしゃげさせそうな激しい外観をしていた。
「会長なにしたらいい? 声出し?」
その横で目をぱちくりさせる『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)。
「ていうかなんだろ。会長このお外の空気が新鮮、ちょっとまえまできゅうりだったから」
「きゅうり?」
常人が聞いたらすぐどこか(どこかの施設だよ)に電話しちゃいそうなことを言われ小首をかしげるブランシュ。ちょっと分かってるウルズは一旦スルーしてフロアの通路に顔を覗かせた。
掃除機の上に人の上半身が生えたようなセキュリティロボットが、腕に備えた電磁ライフルをバチバチいわせながら扉の前を右往左往していた。中の人々は息を潜めているのだろう。
ウルズが『やれ』の合図。
茄子子は頷き、あえて大声をはった。
「皆さん! 落ち着いてください!!
現在、イレギュラーズが各地に向かい、市民の皆さんの救助及び暴走ロボットへの対応が行われています!
事態は既に沈静化へと向かいつつあります! 挫けることなく、勝利を待つのです!!
この、羽衣教会会長が保証します! ──絶対大丈夫だからね!!」
その声に反応して素早く振り向き、そして襲いかかってくるロボットたち。
だが――。
「遅いっすよ」
ウルズは既にロボットの眼前まで近づき、パルスグレネードのピンを抜いていた。
そのままとてつもない速度で駆け抜け、あとに残ったのは爆発のみ。
殆どのロボットが壊れた中で、なんとか動けた個体めがけてブランシュが突撃。豪快に振り込んだメイスがロボットの頭部を粉砕し、窓の外へと野球のボールがごとく吹き飛ばした。
「……おお」
その様子に感心した声を上げる茄子子。
「さあ、皆さんを助け出すですよ!」
成否
成功
第1章 第7節
閑話休題、とでも言うべきだろうか。
民間軍事団体コーラルマイオレスの事務所兼基地内にて、『ホストクラブ・シャーマナイト店長』鵜来巣 冥夜(p3p008218)は魔道装甲車相手に戦っていた。
呪詛の付与された指のような形の砲身から髑髏めいた砲弾が飛び次々に追尾する中を、冥夜は懐から取り出した『pPhone12 ProMax』を取り出した。アプリを起動し陣へのスワイプ操作でコマンドを入力すると『我流・黒染乱雨』のコードを発動。
空に展開した魔方陣。『グレイガーデン』カティア・ルーデ・サスティン(p3p005196)はすかさず杖を翳し、『ベリアルインパクト』の魔術を起動した。
「オラン、今!」
「よっしゃ!」
『期待の新人』オラン・ジェット(p3p009057)は助走を付けて突っ走り、つきあがった土の壁で拘束された魔道装甲車めがけてスレッジハンマーを叩きつけた。
呪術によってやわらかくなった装甲がひしゃげそのまま派手にへこんで爆発を起こす。
「さて……こんなトコか」
額の汗を拭ったオランが振り返ると、地下倉庫から二人の男性が姿を見せた。
一条 流威とセイジというホストだ。
「あったぜ、『泡の書』だ。断片だけどな」
「まさか軍事基地とはね……」
グレイがそれを受け取ってみると、数枚の紙片であるのがわかった。
解読の難しい文字で書かれたそれは、おそらく何らかのコードなのだろう。
再現性歌舞伎町1980街を覆う巨大な幻術を作り出すためのコードのひとつで、膨大な量のコードを組み合わせることでやっとあの街を再現することができるという。これはそのひとつ。景観魔術のコードだ。といっても内容が暗号化されており、これを解くには鮫島の力が必要になるだろうが……。
「けど、今までいくつも集めてきたんだよね? これだけあれば、あとは幻術以外のものを使って再現できないかな」
「まあ、できるだろ。実際俺らはやってたんだ」
オランは自分の勤めるホストクラブを思った。
あの店は確かに1980街の雰囲気に沿ったものだが、内装や酒、スタッフの衣装や小物に至るまでが本物であった。経済を回す幻術と、空気や景観を整える幻術。あと2~3あればあの街をもう一度作り直すことが出来る筈だ。
「この騒ぎが起きなければ手に入れることも出来ませんでした。テロも、悪いことばかりではありませんね」
冥夜は眼鏡に手をかけ、どこかニヒルに笑った。
成否
成功
第1章 第8節
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
ロバでその辺の脱獄囚を引っ張り回していた『クソ犬』ロク(p3p005176)。そんな彼女に復讐の刃が突きつけられた!
「アニキになんてことしやがる!」
「この犬野郎め、缶詰にしてやる!」
「コヨーテなんだけど!?!?」
ダガーナイフをクロスさせながら現れたツインモヒカンの女達。日サロ帰りかってくらい真っ黒な肌を晒し、ダブルジャンピングクロギャルフォームで襲いかかってきた。
「うわあ!? 思ったより圧の強い方法で来る!」
ロクが引いていると、横からデスペラードフォームの『一般人』三國・誠司(p3p008563)が担いでいた大砲をシュート。
ツインモヒカンたちはべぶらとかいって吹っ飛んでいった。
「こいつ……『ザ・キャノン』だ!」
「あの冷酷非道な!」
「犬をけしかけてアスファルトの上を引き回したっていう」
「それ俺じゃない」
ロクはと言えば誠司の後ろに隠れて『やっちゃってくださいザ・キャノン!』とか言っていた。
「このお兄さんもこう見えてすごく怖いんだからね! わたしはやさしいけど!
さあひれ伏すか、家畜になるか死ぬか、好きに選んでいいよ!」
「やめて! その呼び名で固定しようとしないで!」
地面に転がったツインモヒカンたちは口元の血を拭いながら起き上がり、またダガーをクロスして構えた。
「流石だよ、冷酷非道なザ・キャノンと……ザ・ドッグ」
「コヨーテだって言ってるでしょ!」
ロクのザ・ドッグビンタが炸裂した。
はぶうとかって吹っ飛んでいくツインモヒカン。
成否
成功
第1章 第9節
魔術結社ノースティルスの噂を、『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)は聞いたことがあった。
死者蘇生の禁呪を求めて200人余の子女を虐殺したとして、カスパール主導のもと練達の刑務所へ無期懲役の刑に処されていた集団である。
それがこの騒ぎに乗じて首都へと解き放たれたという。
「人間同士でやり合っている場合ではないんだがな……」
割れた窓のビルフロア、ライフルを抱くような姿勢で待機していたラダは『合図』んび目を開け、窓の縁からライフルをのぞかせた。
「市民を助けろなぞ言わんよ。ただあんた達だって、私等とロボット両方相手するのは面倒くさいだろ?」
などと語りかけたのは、はるか遠くを歩くローブ姿の一団。その中でも最も行為の魔術師ローブを纏う人物の頭部であった。
そう、頭部。ラダは『弾丸』によって語りかけを行った。
パスンという音がした、筈である。
高位の魔術師ローブを纏った人物の頭から血が吹き出し、その場に崩れ落ちた。
「狙っていやがったか。こりゃ、例の暴走ロボットやらじゃあないな」
死霊術を用いて骨の兵隊を呼び出した三つ編み髭の男はそれらを集めて壁にした。
「お待ちなさい! この先のシェルターへは行かせません!」
ずっとその場に控えていたであろう『花嫁キャノン』澄恋(p3p009412)が飛び出し、荒ぶる花嫁のポーズをとった。
「日頃隠れる野鼠が纏まって自ら尻尾を出すなんて、これ以上ないお掃除日和! 数百年という懲役期間をショートカットさせて頂きましょう!」
「イヌんとこみてえに愉快なモヒカンレイダーかと思えば……しゃれにならねえコト犯してんじゃねえよ」
同じく控えていた『怪人暗黒騎士』耀 英司(p3p009524)がスーツのポケットに手を入れ、ゆらりと姿を見せた。
「こちとら『ROO(あっち)』で散々ヒーローしてきた帰りなんだ。朝九時から放送できねえような連中には深夜枠に帰ってもらわねえとな」
「何を意味の分からんことを。貴様も我らの糧となれ!」
骨の兵隊たちが一斉に弓を構え、そして呪詛のこもった矢を放つ。
が――。
「Nyahahahaha!!!」
突如として現れた『同一奇譚』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)が全ての矢をその身体で受けた。
「奴等を抑制する為に不可欠なのは壁だとは思わないか。
兎に角、為すべき収集に変わりなく。貴様等の大好きな怪奇譚のお通りだ」
オラボナは『この眼窩に宿した光を覗くが好い!』と独特の笑い声と共に言うと、高所に用意させておいた罠を作動させた。
死霊魔術に抵抗力のある液体をまき散らすという原始的だがピンポイントで効果のあるトラップである。
咄嗟のことに対応しきれず解けていく骨の兵隊たち。
「――嗚呼、これ以上の殴り合いは不毛だ。何故か、貴様等ならば解るな、人類よ!」
相手が何かを言おうとするより早く、英司と澄恋は飛び出していた。
飛び込み、跳躍、からの360度キックという非常にアクロバティックな蹴り技で三つ編み髭の男を飛ばす英司。
澄恋はソレによって浮いた相手めがけて跳躍、反転、懐かしのブライダルムーンサルトキックによって地面にたたき落とした。
同時に着地した二人に恐れおののき逃げだそうとするも、するりと回り込んだオラボナの壁とラダの狙撃によってたちまち退路を塞がれ――。
「反社の皆様にはその命を以って社会貢献してもらうのです!」
成否
成功
第1章 第10節
練達首都内に存在するシェルター、通称ADEPTO111。
基本は実験施設として建造されたこのシェルターは情報機密の理由からネットワークはスタンドアロン化しており、様々な実験機材が並んでいるがソレとはまた別に食料を含む非常時への備えが充分に施されていた。
『白き不撓』グリーフ・ロス(p3p008615)はそんなシェルターの入り口にレーザータレットを並べて設置し、自分は避難してきた人々を守れるようにと入り口を固める場所に陣取っていた。
(無作為の暴走ではなく明確な殺人を意図したなら……より効率的に人を害するならばシェルターの襲撃・破壊が最適解……)
実際、シェルターを狙った行動は幾度か起き、イレギュラーズたちの活動もややシェルター周りに集中することが多かった。
「しかし…………彼ら(機械)はどうやって人を認識しているんでしょう。私や、一部の旅人のような機械の方も敵と認識するのかどうか。それがわかると、避難にもいかせそうですが」
一人きりで立っていることに退屈したのか、それとも考えをまとめるためか、あえて口に出して呟いたところで仲間が向こうからやってきた。
サイドカーをつけたオフロードバイクである。『屋上の約束』ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)はバイクに、『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)はサイドカー部分にのってこちらに手を振っている。
味方を示すシグナルを出していたので、グリーフは道を開ける形で端による。
「お帰りなさい。何か分かりましたか?」
「わかった……と言って良いのかな」
考え込むような仕草を見せるランドウェラ。焔はその顔を横目に、懐(谷間ではない)からメモ帳をスッと取り出した。
「ロボットの生産工場が稼働してることが分かったから、これから皆に教えるつもり」
二人は軍用ロボットが都市のあちこちで暴れていることに対し、根本的な解決がとれないかという試みをしていた。
細かい部分は省くが、捕まえたロボットをバラしたり無機疎通で部品の様子を観察したりしてかなり新しい部品があちこちで使われていることがわかったのである。
「軍用ロボットって大抵長く使われるからね、パーツが新しいってことは製造されてすぐの機体が何体も投入されてるってことだと思って」
それで、練達のロボット製造工場に詳しい人間にあたることで製造施設を割り出したのである。
「この後、突入部隊をつのるつもり。何人か来てくれれば解決できそうなんだけど……」
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※新規パートタグが追加されました!
現時点から募集され、有効参加人数が規定に達した時点で決行されます。
【ロボット工場襲撃】
都市内で暴れている軍用ロボットの供給拠点を襲撃します。
この場所には厳重なセキュリティが敷かれている他、非常に激しい抵抗が予想されます。
戦闘難易度が高いですが、もし解決すれば都市内への兵力供給を大きく減少させることができます。
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成否
成功
第1章 第11節
シェルターのひとつADEPT76を取り囲む軍用ロボットたち。
隊列を組んだ卵形のパワードスーツ『ハンプティ』が自動操縦モードで機関銃やヒートアックスを構え、空には飛行ドローン『タンゴ』たちが編隊を組んでいる。
それに追従するように狩猟に特化した猟犬型ロボット『ドーベルマン』が目元をチカチカと点滅させ、この先に人間の反応が多数あることを示した。
シェルターの入り口が突破されてしまえば、逃げ場を失った市民たちはおぞましい虐殺に晒されるだろう。
だが――。
「そんなことは許さない!」
空に引かれたリニアレールを滑り、『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)が『タンゴ』の一体を蹴りつけ、そのまま複雑なジグザグ飛行を行いながらいくつものタンゴを蹴りつけていく。
赤い電撃を纏ったマリアのキックはそれだけでタンゴの武装を解除させ、それに留まらず飛行能力を破損したタンゴは次々に墜落していく。
「ロボだかメカだか知らないが! かかってきたまえ! ……ヴァリューシャもきっと!」
が、彼らは仲間の死に涙することも混乱することもない。
素早くマリアをターゲットし一斉に射撃を開始。
だがそんな彼らのはるか天空より、三つの影が急降下をかけて現れた。
先頭をゆくのは『戦場を舞う鴉』エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)であった。
「とりあえず目につく暴れてるモノから破壊していくぜ、片っ端からな!
機械は人に使われてなんぼだ、勝手に暴れてんじゃねぇ!」
『白銀麗刀・白鴉』を握りしめ、大上段から重力まであわせて叩きつけた斬撃がタンゴを粉砕。
強制的に射撃を中止させると、返す刀で地上からこちらを見上げた『ハンプティ』の腕を切断。手にしていた重火器を落とさせる。
「結局、こういうときに頼るのは人間そのものの力ってことか。
自動(オートメーション)も便利だけどなー、やっぱ道具は使いこなせないと、な」
続いて『偉大なる大翼』カイト・シャルラハ(p3p000684)の三叉蒼槍がタンゴに突き刺さり、墜落するタンゴに高速で飛びついたカイトは槍を握って周囲のタンゴめがけて高速回転による打撃を浴びせた。
「軍事ドローンを鷹が捕まえるなんて日常茶飯事だろ?」
そんなジョークを言いながらタンゴの編隊を完全に破壊すると、周囲からの射撃を高速機動(クイックマニューバ)によって回避した。
そうして残ったタンゴ相手に剣を叩きつける『魔法騎士』セララ(p3p000273)。
「やっほー! CCCちゃん、聞こえてるかな?
ボクが目指すのはハッピーエンド! CCCちゃんにも幸せになって欲しいなって。
だからね、皆で一緒に考えようよ。世界を破壊しちゃう事に対する対策を。きっと良い案がでるよ」
どこかで聞いているかもしれない姉ヶ崎-CCCに呼びかけながら、急降下のパワーを乗せて――。
「いっくよー! ギガセララブレイク!」
やっと空中の様子に対応したハンプティたちがガトリングガンを空に向けた所だったが、セララのギガセララブレイクによって脳天から破壊され、砕けたパーツが飛び散っていく。
その横を、真紅の大精霊『フィニクス』を解放した『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)が駆け抜けていく。
(なんか楽しそう。あまり難しいことは考えなくても良さそうね。だけど、一般人には被害が出ないように気を付けておかなければいけないわね)
解放された力が紅蓮の炎になって周囲を焼き払う。
器用に仲間だけをよけて飛ぶ鳥のような炎が、ハンプティとドーベルマンだけを破壊していった。
と同時に『精霊天花・焔』を発動。半精霊化したフルールはこちらにレーザーカノンを向けたハンプティを焔の矢で打ち抜いた。
ボディの中央を器用に打ち抜いた炎が穴を空け、転倒したハンプティの後ろから別のハンプティたちがレーザーカノンを一斉発射。
炎の壁を作って防御するフルールだが、その後ろからオーラを纏ったサッカーボールが飛んだ。
ハンプティたちの間をバウンドしながら次々にぶつかっていくボールにがくりと体勢を崩したところへ――。
「あーもー……状況が最悪じゃないっスか」
『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)が戻ってきたボールをキャッチして現れた。
そこへ『ドーベルマン』たちが一斉に襲いかかる。
彼の腕や脚を食らいつこうと跳躍するが、葵は自慢の脚で飛び退くと、顎を空振りしたドーベルマンの一体を蹴りつけた。
「機械頼りの練達で、機械が敵になったら何を頼ればいいんだって話っスよ!
まあ、何の関係もねぇ人が傷つくのは流石に見過ごせないしな、とりあえず少しでも数を減らしていくか」
着地したマリアやセララ、エレンシアやカイトたちが集まってくる。
葵はシュート姿勢に入ると、再び脚にオーラを纏わせた。
「さあ、行くっスよ!」
成否
成功
第1章 第12節
研究施設兼緊急避難用シェルター、ADEPT88。
厳密には、シェルターへと続くハイウェイにて。
IOT搭載型軍用車両が列を成して走るその先に、翼を広げたような姿勢で『二人一役』Tricky・Stars(p3p004734)が降り立った。
「諸悪の根源がこの状況を見て、俺達の言葉を聞いているかはさて置きだ。
文句の一つや二つ、いや実は百ぐらいあったりするが! 厳選した上で言ってやろう」
ビッと突きつけた指から『ワールドエンド・ルナティック』の魔術を解き放つと、車両から飛び出した電磁バトンを持った警備ロボットたちを紫色の爆発に包み込んだ。
「よくもまぁ面倒なことを次から次へと思いつくものだな!
だが、正義の徒が存在する限りお前達の馬鹿げた願いが叶う事はない」
続けざまに放った魔力砲撃が軍用車両の一台を破壊。激しく蛇行しハイウェイから転落していく車両をよそに、別の車両がレーザーガトリング砲を乱射しはじめた。
Tricky Starsの後ろから飛び出した『青樹護』フリークライ(p3p008595)が大地にドスンと拳を打ち当てるようにして樹木を発生させ、それを壁にして射撃を防御。
「ン……。
分カッテル。ミンナ 命令 遂行シテイルダケ。
ソレデモ 犠牲者 ミンナヲ 憎ム。
君達 憎ム。
心アルカラ。
ダカラ セメテ フリック 憎シミデナク 労イデ 君達 破壊スル。
君達 殺ス。
我 フリック。我 墓守――」
砕けて飛ぶ樹木の裏からは、両手を突き出し青いクリスタルを発光させたフリークライが現れた。
「人々ノ敵トシテデハナク 使命ヲ全ウシタ者トシテノ 死ヲ 送ル者也」
ドッという魔術噴射(マギスラスター)によって飛び出したフリークライは車両のひとつに両手を押し当て、至近距離から破壊魔術を解き放った。
激しくあがる爆発の炎。
展開したセキュリティロボットたちは四本の脚によるローラーダッシュをかけフリークライを包囲。
二本の腕からはえた電磁バトンをバチバチと鳴らすと一斉に殴りかか――。
「そこだっ!」
抜群のタイミングで放たれた『孔雀劫火』天城・幽我(p3p009407)の『ナイトメアバレット』がセキュリティロボットのボディを貫通。爆発させる。
(どうせ何かを壊すことしかできないんだ、こういう時役に立てなきゃ僕がここにいる意味はないからね……!)
仲間に防御を任せつつ、幽我は続けて『魔曲・四重奏』の詠唱に入った。
次々に開く魔方陣それを察したフリークライは地面に魔力噴射をかけて緊急離脱。入れ替わりに魔術爆発が起こり、セキュリティロボットたちを包み込んでいく。
そこへ『青混じる氷狼』グレイル・テンペスタ(p3p001964)が投影魔術『獣式ハティ』を発動。
爆発の中心部から現れたスコルの片割れが大暴れを始めた。
(…こんな…ことって…このままじゃ…学園のみんなが危ない…!
…とにかく…暴走しているロボットを鎮圧して…安全な場所を作らないと…
…でもこれだけじゃ…あまりにも数が多すぎる…どこかで一斉にシャットダウンさせられる場所があればいいんだけど…)
そこへ、停車した軍用車両二台がレーザーガトリングの射撃を集中させてくるが、グレイルはそれを受けながらさらなる投影魔術『想・神狼憑撃』を発動。
身体の青い部分が朧げに光り、投影された一撃が車両を激しく穿つ。
その瞬間、グレイルの左右から飛び出した二人の影。
「零、合わせろ」
「おーけー」
編み上げた鎖によって作り出された黒龍の顎が軍用車両をかみちぎり、刀の斬撃が脆くなった部分を切り裂いて行く。
爆発を起こす二台の軍用車両。
セキュリティロボットたちも倒れたそのなかで、『恋揺れる天華』上谷・零(p3p000277)はゆっくりと剣を下ろした。
「聞こえているか、姉ヶ崎」
ハイウェイ上に設置された監視カメラへと振り返る零。
「後で逢えたら色々言うが、先に一つ言っとく。
俺は誰も欠けて欲しくない。
其処にはお前も入ってる。
待ってろ……俺は改めてお前と友達に成りに、今日此処に来た」
そう語る零の横顔を、マカライトは静かに見つめた。
空から降りてきた『ティンダロス』に手をかけ、行くぞとだけ声をかける。
(この戦いが誰から始まったのかと言えば……それは『俺たち』だったのかもしれない。そしてどう終わって欲しいのかといえば……)
マカライトはそこまで考えてから、首を振ってティンダロスへと跨がる。
「必ず、お前のところへたどり着くぞ。姉ヶ崎」
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※新規パートタグが追加されています!
現時点から募集され、有効参加人数が規定に達した時点で決行されます。
【ロボット工場襲撃】
都市内で暴れている軍用ロボットの供給拠点を襲撃します。
この場所には厳重なセキュリティが敷かれている他、非常に激しい抵抗が予想されます。
戦闘難易度が高いですが、もし解決すれば都市内への兵力供給を大きく減少させることができます。
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成否
成功
第1章 第13節
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※作戦イベント発生!
【ロボット工場襲撃】パートの参加者が規定数を(大幅に)突破しました!
作戦が実行されます!
現在作戦準備中です……
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第1章 第14節
その工場に名前はない。強いていうなら、セフィロト軍事ロボット工場と呼ぶべきなのだろうか。
工場はその性質故に厳重な警戒と防備が整っていた。
周囲を囲む電気柵は対空攻撃性能も備え、透視や物質透過といった様々なスキルに対して魔術的な対策が施されている。
仮に4~5人で侵入を試みようとしたなら、激しい防衛戦力とセキュリティ設備によってたちまち壊滅してしまったことだろう。
しかし――。
「これだけ集まればロボット工場も制圧出来そうだね!」
名簿に連なった30名余りのイレギュラーズを見て、『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)は満足げに頷いた。
声をかけてからおよそ20時間程度にも関わらずこれだけの人数が集まるというのが、イレギュラーズのフットワークの軽さを感じさせた。流石、国家の危機に500人規模で突如出現する伝説をもつ組織である。
「早速色々確かめたいんだけど……力を貸して貰っていい?」
振り返る焔に、30人の中から先行偵察チームに選ばれた四人が応えた。
「拠点を襲撃されれば防衛に兵力を割き、その分外に向かう奴も減るだろう。力を貸すのは、是非もないよ」
まず動いたのは『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)だった。
持ち前の鋭い感覚をはしらせ、工場正面に設置されたセンサーを探し始める。
そして目につく赤外線カメラや生体感知装置といったものをライフルで一つずつ丁寧に射撃し破壊していく。
とはいえ、一人きりで突破できるセキュリティでないことは(感覚が鋭いからこそ)ラダには分かっていた。
「聖霊、何か気付いたことは?」
『死と戦うもの』松元 聖霊(p3p008208)に視線を向けると、聖霊は双眼鏡で工場入り口付近を観察しながら低く唸った。
「ここって確か、工場だろ? 人の出入りを一切考えない完全警戒モードってとこだろうからな……」
聖霊はポケットからナットを取り出すと、『いにしえと今の紡ぎ手』アリア・テリア(p3p007129)に何か説明してから放り投げた。
カツンという音が反響し、その音をアリアは『エコーロケーション』能力で細かく聞き取る。
「うーん……あ、確かにいるみたい。扉の影に一体ずつ。外で見た『ハンプティ』と同じ形のやつ!」
「そんなことだろうと思ったぜ」
夜間に警報を鳴らす程度の意図ならこんな武力は必要ない。だが現状を考えるなら、『立ち入った人間を即座に発見し即座に殺害する』手順を用意している筈だ。聖霊はそういった、相手の伏せた意図を看破したのである。
「火中の栗を拾うじゃないけど、虎穴に入らずんば虎子を得ず! もちろん行くんだよね?」
「当然。次から次へと治療にあたってたが全然患者が減らねぇ! ここのロボット工場ぶっ叩けば兵力の供給が大幅に減らせる筈。病ってのは『根治』しねえとな」
「そういうことなら、私の出番だな」
既に完全武装状態にあった『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639)はマジカル☆アハトアハトを構え、フットパーツのキャタピラを地面につけた。
「私が高速で突っ込む。焔、盾になれ」
「盾!?」
二度見してくる焔。それを真似てラダとアリアも突入の陣形を組み、その後方から聖霊が治癒によるサポートを行う作戦が立った。
ハンドシグナルで3つカウントすると、オニキスは『GO』と鋭く発して物陰から飛び出した。
キャタピラ全速駆動。猛烈に直進しながら、ヘッドギアパーツからゴーグルを展開。透視映像をAR投影し――。
「間違った命令を与えられてしまったキミたちの代わりに、機動魔法少女が力を持たない人たちを守る。……おやすみ」
壁ごと打ち抜く砲撃が、自動操縦パワードスーツ『ハンプティ』へと着弾。粉砕。ほぼ同時にラダの狙撃がもう一体のハンプティを破壊した。
反撃しようと飛び出してきたハンプティと地面をパタンとひっくりかえすように登場した機銃がオニキスを狙うが、焔の展開した炎の扇子が銃弾を払いのけ、更にアリアの奏でた『歌の聖域』が銃弾を彼女の眼前で停止させ、ぱらぱらと地面に散らせていく。
「今のところは回復の必要はなさそうだな。ダメージがかさんだら戻ってこい。それまでは、任せた」
聖霊は振り返り、セキュリティ破壊チームへとパスを回した。
成否
成功
第1章 第15節
蜂の巣を想像して欲しい。最も大きな入り口を棒でつつくなどした時、何が起きるか。
入り口の戦力に打撃を与えたその途端、工場は完全警戒モードから完全迎撃モードへと変化した。
外部に設置したであろう機銃が次々と展開し、機銃を装備した車両が工場外部に整列。容易に飛び越えることのできないよう張り巡らされたフェンスからは天空高くへと電磁障壁が伸び、壁という壁に防御戦力が張り付いた。
そして入り口周辺には無数の重火器装備型のハンプティが集中し、一斉射撃によって弾幕を形成。いかな防御に優れたイレギュラーズといえどこれだけ数で攻められては――。
とはならない。なぜなら。
「こっちだって、数で攻めるのは得意分野っす!」
パワーを全開に振り絞った『赤々靴』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)は大地を踏みしめるようにしてダッシュ。凄まじい射撃が浴びせられるも、レッドはそれを気合いで我慢した。(これで本当に我慢できるのがレッドの凄い所である)
紅蓮の足跡を三つつけると、跳躍と宙返りからの豪快な跳び蹴りを繰り出した。
着弾地点から真っ赤な光が放射状に広がり、ハンプティたちの魔力撃防壁が剥がれていく。
「今っす!」
「ニルが行きます!」
『はらぺこフレンズ』ニル(p3p009185)はぱちんと両手を合わせ魔術循環を開始。
それまでレッドを盾にする形でハンプティ集団へ距離を詰めていたニルは、その両手を開いてハンプティ一体へと叩きつけた。
「実行(アクション)、ダイヤモンドダスト!」
冷気によって作られた氷のナイフがハンプティの内部を滅茶苦茶に破壊し、貫いて飛び出したナイフたちがその後方から射撃を行っていたハンプティたちへ突き刺さっていく。
一部のハンプティはそのナイフによる物理的侵食をうけ武装が停止。仕方なく重火器をパージしヒートホークに手をかけるも、ニルの上を飛び越えた『エルフレームMarkSin』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)がそれを阻んだ。
いや、阻んだというより潰したというべきだろうか。
「彼らには罪はないけど、こうしてマザーの暴走に巻き込まれてるなら、壊すしかないですよ……!」
大上段に振り上げたグレートメイスが、まるで土粘度でも叩き潰すかのようにハンプティの鋼のボディをひしゃげさせ、そしてボフンという爆発を起こした。
「一気に行きます! がんばるですよ! アルヴァさん!」
「ああ、行くぜブランシュ!」
ブランシュのおこした衝撃は更に後方のハンプティにまで届き、その装甲を貫いて破壊していく。
『モード・スレイプニル』を発動させ高速化した『隻腕の射手』アルヴァ=ラドスラフ(p3p007360)が跳躍。空を蹴るかの如く地面と水平に空中をダッシュし、ハンプティたちの頭上すれすれを越えていく。
空中で上下反転したアルヴァは構えた魔力宝珠と魔道銃からエネルギーを発射。ブランシュが半壊させたハンプティを今度こそ全壊させると、もう一度反転しなおして地面に着地。
ここまで派手に工場内へ侵入したことで、更に加勢しにやってきたロボットたちと入り口で残ったロボットたちがアルヴァにヘイトを向ける――も。
「いい派手さだ、皆」
仲間の目立った襲撃に紛れるかたちで工場内部にこっそりと潜入していた『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)が、工場の配電装置に鋼の拳を叩きつけた。
バチンと火花が散り、配電盤が粉砕される。当然のように工場内の照明がおち、それまで工学的にこちらを認識していたロボットの集団が困惑したかのように銃の狙いを迷わせた。
そう、イレギュラーズたちの作戦は正面から偵察し突入するというものであると同時に、『それに紛れて潜入する』というものでもあったのだ。
更に言えば、配電盤を破壊し照明を無理矢理落としたこの瞬間こそ――。
「奇襲のチャンスだ」
成否
成功
第1章 第16節
暗がりで動くことは難しい。それがロボットであっても、工学情報を頼りにしたなら同じ事だ。
そして『暗くなること』を最初から分かっていたなら、工学情報(視覚)に頼らず動く備えをすることが出来る。
『青混じる氷狼』グレイル・テンペスタ(p3p001964)はあえて目を瞑り、嗅覚と聴覚だけで敵の位置を把握。機械特有の油のにおいめがけて投影魔術を次々に展開した。
ロボット工場。それも軍用の兵器を製造する工場のセキュリティが固くないはずはなく、次々に製造された戦闘ロボットに対抗するのは難しいだろう。
けれど、『そうと分かっている』なら対抗できるのだ。
(学園ノアの皆は避難出来たかな……?)
次々にロボットを破壊し心に余裕が生まれたのか、グレイルはそんなことを思った。
直後――。
「堂々登場(ダイナミックエントリー)!」
『偉大なる大翼』カイト・シャルラハ(p3p000684)が工場の天井部分を粉砕しながら、まるで流星の如く襲来した。
ロボットたちの頭上から紅蓮に燃える羽根を大量発射。
視界を暗視状態に切り替えたばかりのロボットたちが上を向き、そして空からさしこんだ光にくらんだように停止した。
「さあ、合理性をぶち破るぜ! 『イレギュラーズ』らしくな!」
暗闇と光の間を得意のマニューバで飛び回りながら次々に槍でロボットを破壊していくカイト。徐々に目が慣れ、音や匂いを頼りにカイトを狙おうとするロボットたちだが、むしろそれこそがカイトのド本命である。
集中砲火を加えられながらも、カイトは恐るべき回避能力でその全てを避け、または槍の回転によって弾き飛ばしていった。
(つっても60秒だ。60秒だけ稼いでやる。相手も馬鹿の集まりじゃねえからな、すぐに俺の『ネタ』に対抗してくるだろうからな。その間に……『そっちの仕込み』を済ませてくれよ)
ほぼ時を同じくして、味方に紛れる形で潜入していた『ホストクラブ・シャーマナイト店長』鵜来巣 冥夜(p3p008218)たち【黒雨組】。
彼らは救助した人々より収集した情報から、工場内におけるネットワークユニットを探り当てていたのだった。
そしてどのようにしてその場に到着したのかというと……。
「おっしゃァ! これが歌舞伎町流のカチコミじゃぁああ!!」
バイクをウィリーさせ、工場内へと思い切りダイナミックにエントリーしていた。
潜入ってなんだろう。
「社長? 確か最初、『カチコミの手本をお見せしますので後に続いてくださいね?』て眼鏡クイクイしながら言ってたよね?」
「ヤクザだ。インテリヤクザ」
バイクにのっけられほぼ強制的に工場内部へ連れてこられた『グレイガーデン』カティア・ルーデ・サスティン(p3p005196)と『期待の新人』オラン・ジェット(p3p009057)がぜえぜえ言いながら床に崩れ落ちた。
「というわけでオラン、出番です」
「あいよ冥夜サン」
オランは持ち前の知識を生かしてネットワークユニットを物理的に分解。別にコードをぶった切ってもいいのだが、無線接続されていると厄介なので機械ごとオシャカにしてしまおうという考えである。よくディスプレイを拳でガッとやる人がおおいが、ディスプレイは映像出力機器に過ぎないので壊してもあんまり意味が無いのだ。
「ねえ、オラン」
丁度ケースを開いたオランの後ろでカティアが何かを持って立っていた。
あの、なんていうのあれ、コーヒーメーカーでめっちゃコーヒーをたぱぱーって溜めといてくれるポット? あれを右手に持っていた。
「カティア……まさか……『アレ』をやるのか?」
「もちろんさァ」
なんか愉快なイントネーションで言うと、カティアはオリャアっていいながらポットの中身をケース内にぶちまけた。
どうなるか気になる人はキーボードにコーヒーをぶちまけてみようね(二度と使えなくなるから絶対やるなよ?)
成否
成功
第1章 第17節
ロボット工場をネットワークから寸断したことで、目的の八割は達成されたようなものである。
が、世の大半のプロジェクトがそうであるように、残る二割が肝心であったりもするものだ。
「来ル――」
何かを察知した『青樹護』フリークライ(p3p008595)が顔を上げ、そしてこれまで倒したロボットたちや助けた人々、そして過去様々な事件を通して蓄積してきた人脈やその情報を思い出し、そして誰よりも早く飛び出した。
工場に備えられたヤードの一角。大きな鉄の扉で閉じられたその場所から、ドッという音と共にドラゴンが姿を現した。
否。
ドラゴンを象って作られた、巨大な戦闘車両である。
銀の鋼に包まれたうろこ状のボディが動き、伸びる首のようなユニットの先端はさながらドラゴンの首に似て、それが白銀の光線を放ち風景をひと薙ぎにしたのである。
「…………ッ」
激しいダメージを受け、がくりとその場にうずくまるフリークライ。しかし彼によって守られた『孔雀劫火』天城・幽我(p3p009407)は、素早く仲間を呼び寄せ反撃に出ることができた。
「練達の秘密兵器ってわけだね。これも乗っ取られたとなれば……生きて出るには倒さないといけない!」
カウンターヒールによって攻撃を耐えるフリークライに隠れる形でエネミースキャンを走らせる幽我。
「これまでのロボットとは比べものにならないくらい強力だね。とにかく今は仲間を……それも依頼一つ分の戦力が必要になるよ。
さっきの攻撃は連発できるものじゃないから、その間に皆を――」
「ならば我が肉壁、幾等でも使い潰すが好い」
そんな場面にゆらりと現れたのは誰在ろう『同一奇譚』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)である。
こういうときに一番来て欲しい人物であり、敵からしたら一番いてほしくない人物である。
フリークライに下がるようにジェスチャーすると、オラボナは堂々と腕を広げ、そしてメカドラゴンによるヒートクローをその身体で受け止めた。
常人ならば(例えば幽我であれば)一撃で戦闘不能になりかねないような凄まじい攻撃を受けたにも関わらず、オラボナは笑うだけの余裕を見せる。
「――貴様等の貌を私の腸に刻み給え」
ガッ、と組み付くかのようにメカドラゴンに掴みかかるオラボナ。
そのすらりとしたボディを振り回し、壁や機械に叩きつけ、またはそれごと破壊していくが、オラボナはそれでも笑い続けている。
「す、すごい……メカドラゴンの体力に匹敵するだけの体力を、オラボナは持ってるんだ……」
「ん、ちょっとまて。それって、あのメカドラゴンの体力が三万近くあるって言ってるのか?」
空を飛んで駆けつけた『戦場を舞う鴉』エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)が、話を聞いて顔をしかめた。
味方に(そのくらいヤベーやつが)居るから忘れがちだが、レイドボスクラスの体力である。十人がかりで倒せるかどうかちょっと微妙ですらある。
オラボナ並の体力と防御力をもち、ローレットにおけるハイエンドクラスの超火力アタッカーに匹敵する攻撃力を持つという。かなり滅茶苦茶な兵器である。
「逆に言えば、こいつが外に出たらとんんでもねえことになる。ここで潰すぞ!」
エレンシアは剣に力を込め、メカドラゴン側面へと回り込む。
それは、ほぼ同時に駆けつけた『幻耀双撃』ティスル ティル(p3p006151)の存在を感知していたからである。
『闇の帳』の力によって潜伏していたティスルはここぞとばかりに物陰から飛び出し、エレンシアの反対側から斬撃を繰り出した。
装甲の間を抜くような鋭い交差斬撃。
相手の防御が頑強であることを踏まえての攻撃である。
メカドラゴンはそれをさけるためか工場の天井を突き破って上昇。
ティスルたちは翼を羽ばたかせ、それを追いかけて上昇した。ヒートクローと巨大ビームサーベル状の尻尾で襲いかかるメカドラゴンを二人がかりでさばいていく。
が、あんまりにも上空を取られ続けるのも厄介だ。
『餓狼』シオン・シズリー(p3p010236)は空を指さし、駆けつけた『プロメテウスの恋焔』アルテミア・フィルティス(p3p001981)と『夜に這う』ルブラット・メルクライン(p3p009557)に援助を求めた。
「手伝ってくれ。あいつの上に乗っかればあたしでもぶん殴れる!」
「わかったわ、掴まって!」
「私も手を貸そう。機械の竜など、ここで殺してやる」
二人がかりで急上昇。
シオンは投げ飛ばされる形でメカドラゴンの背に乗り、それを支援する形でアルテミアは『ロサ・サフィリス』と『プリゼペ・エグマリヌ』を抜刀。
青い炎を刀身に纏わせると、メカドラゴンの首めがけて豪快に斬り付けた。
暴れ、再び白銀の光線を放つメカドラゴン。
「このような、情動も持たぬ存在が闊歩する世界なぞ御免だ」
ルブラットは魔法の翼を広げるとあえてドラゴンへと直進。
白い骨のようなグローブで貫手の構えを取ると、ドラゴンの口めがけて自ら突っ込んでいった。
光線に焼かれる彼の身体……だが、装甲に守られていない部分が『機械すらも犯す毒』によって腐食し、そしてメカドラゴンは暴れた。
「とどめだ……!」
剣を振りかざすシオン。
腐食し露出された部分めがけて突き立て、メカドラゴンはそのまま工場へと墜落した。
もはや天井が天井の役割を果たさなくなった工場の中心。ロボットを再び作ろうにもその機材の殆どが先ほどの墜落で破壊されたようだ。
その中で、アルテミアはゆっくりと着地。
閉じていた目をゆっくりと開ける。
まるで瞳の奥で炎が燃えるかのように、青い光りの軌跡をふわりと描くと、アルテミアは――。
「例えどれだけ傷付いたとしても、立ち止まったりはしない
守る為に戦う事が私の使命。だから」
突き出した剣と共に飛び出し、弾丸のようにメカドラゴンを真正面から穿ち、貫いていく。
最後には剣を突き出し止まったアルテミアと、爆発四散するメカドラゴンがあった。
「この手が届く限りは絶対に」
成否
成功
第1章 第18節
工場内で起こった爆発は、あろうことか工場全体を包み込み巨大な雲をあげ、そしてもはやネジ一つまけやしない更地へと変えてしまった。
無論、メカドラゴンひとつの爆発でこれがおきたわけではない。
その影には――彼らの活躍があったのだ。
「カイジンブラック!」
――『怪人暗黒騎士』耀 英司(p3p009524)!
「セクシー(せくすぃ)ピンク!」
――『花嫁キャノン』澄恋(p3p009412)!
「スペースブルー!」
――『ワイルド・レンジ』ムサシ・セルブライト(p3p010126)!
「三人そろって!」
「「三人揃って!?」」
勢いで言った澄恋に、英司とムサシが同時に振り返った。
「自分達、戦隊ヒーローだったのでありますか!? ゴレンなにがしのような……!?」
「待て、人数的にライブなにがし……いやあれは後半五人に増える! ゴーバスなにがしは……あっだめだ増える!」
「ブラックさん! サンバルなにがしは!?」
「それだ! あとその呼び方やめてくれ太陽の子みたいになる!」
「何の話です?」
『男の子ってそういうの好きね』みたいな目で見ていた澄恋(ポーズ継続中)が片手間感覚で煉瓦サイズの物体を柱にぺたっとくっつけた。
フウと息をつく英司(ポーズ解除)。
「まあとにかく、俺たちのミッションはこの工場を完膚なきまでに爆破解体することだ」
「悪に利用される悲しきロボットをこれ以上増やさせないためでありますね!? スペースブルー任務了解!」
ビッと別のポーズをとったムサシに、英司はゆっくりと頷いた。日常では絶対やらないくらいゆっくりと。
「そうだ……だが、それだけではない」
「ハッ」
瞠目するムサシ。振り返る澄恋(ポーズ継続中。片足立ちポーズなのでそろそろ脚がプルプルいってる)。
「悪の工場を破壊するときは……爆発するもんなんだよ」
「なるほど!」
「なるほど?」
では皆さんご一緒に! といいながらムサシは『52SHERIFF SP』を構えて煉瓦サイズのなんかよくわからない名前の爆弾を大量に詰め込んだ何かの炉めがけて銃を向けた。
三人で同時に技(名前も性能も分からないけど一斉にポーズを取ると出るビーム)を放って着火、そして爆発――するその瞬間。
「そういえば自分等はどのように脱出するのでありますか?」
「……あっ」
「えっ?」
そして大爆発がおこった。
どさっと地面に倒れる英司たち。
そして……。
「生きてる!?」
「てめぇら、何自分らごと爆破してんだ」
『月夜に吠える』ルナ・ファ・ディール(p3p009526)がぜーぜー言いながら工場の外に立っていた。
燃え上がり更地と化す工場を背に、ぐでーんとした澄恋とムサシがルナの馬体にひっかかっている。
「俺がいなけりゃマジで危なかったぜ……けど、これでロボット工場もおしまいだな。事務所の方は残ってるみてーだが、作業機械がなくちゃあなにをどうやったところで新規にロボットは作れねえだろ」
フウ、と額の汗を拭うルナ。
おそらく爆破の計画を察知して飛び込み、持ち前の馬力と各種技術でもってムサシたちを無事に工場の爆破から助け出してくれたのだろう。
「俺、分かったぜ。なんで映画とかでばかすか爆発が起きてるのに主人公が生きてるのか……きっとお前みたいなやつがいたんだな」
「何の話だ? ま、計画が成功しようが、仲間が死んだら……な」
複雑な顔をするルナ。そして、先ほど言っていた『残っている事務所』のほうを振り向いた。
成否
成功
第1章 第19節
イレギュラーズたちの活躍によって破壊されたロボット工場。
派手な爆発のせいでぽつんと残った事務所の中に、『屋上の約束』ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)と『恋揺れる天華』上谷・零(p3p000277)が入っていった。
ここまで仲間と共に戦い、ドローン兵器を次々と破壊してまわった彼らではあるが、まだやり残した……もとい、『やっておきたい』仕事が残っているのだ。
「……そう言えば八界巡りの時のチャンバーがあった部屋辺り。
あそこ後で調べりゃ姉ヶ崎関連のデータをサルベージできねえか?」
「どうだろうな。今あの区画は入れないし、そういうモノは全部消去してそうだけど」
事務所内を探索し始める二人。
そこへ、『理想のにーちゃん』清水 洸汰(p3p000845)と清水 湧汰が入ってきた。
「おー、ここはまだ手つかずだったんだなー。壊されずに残ってる」
「それにしても、随分荒れてるな……」
彼らの目的は姉ヶ崎-CCCへの対抗手段を見つけ出すこと。
現状はまだ、首都ネットワーク内に侵入した姉ヶ崎がけしかけたロボットや犯罪者たちを倒すのみ。ロボットをこれ以上作れないよう工場を破壊したが、まだ根本的な解決とは言えないだろう。
リーディングや無機疎通、様々な知識を駆使して探索を続けていく。
「そういえばユータ、CCCって何の略なんだ?」
「さあな。名前なんてただの記号だ。『絶対破壊存在』あたりにかかってるんじゃないか?」
ぽつりと漏らした言葉に、零が振り返る。
「破壊といえば……姉ヶ崎っているだけで周りを破壊する性質があるんだよな。ネットワークごと壊れたりしなかったのか?」
「……言われて見れば、そうだな」
湧汰は手を止め、そして難しい顔をした。
「『イデアの棺実験』の時も姉ヶ崎は干渉してきたが……それでも破壊されるまでには至らなかった。物理的にサーバーを独立させて、フィルタをかけて干渉しているのかもしれない」
「ってことは、その『独立したサーバー』を見つけ出せば、姉ヶ崎を直接叩けるのか?」
「見つけるったって、この首都かなり広いぞ。姉ヶ崎本人でもないかぎり場所なんて……」
そこまで話してから、三人はぴたりと止まった。湧汰へと、洸汰が振り返る。
「なあ……『こっちの世界』に、『姉ヶ崎の器として生み出された』存在であるところの、エイスを実体化できないか? 魂をコード化する、ユータのエーテルコードなら……」
================================
※イベント発生!
ロボット工場への襲撃作戦が成功しました!
都市内にまだ軍用ロボットは多少残っていますが、新規に製造されないため注力しなくても街を守っていけるでしょう。
また、姉ヶ崎-CCCへの対抗策が検討されはじめました。
――【ロボット工場襲撃】パートは終了となります。
――【軍用ロボット】パートは継続しますが、対応PCが少人数であったとしても大丈夫になりました。
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成否
成功
第1章 第20節
沢山の猫が列を成し、歩いて行く。
その先頭をいくのは、子猫を抱きかかえる『淡き白糖のシュネーバル』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)だった。
『猫さん達も助けたい』という彼の希望は誰に反対されることもなく、むしろ若干の協力者を得る程度にはスムーズに遂行できた。
その協力者というのが、どうも不思議なのだが。
「ロボットは人間しか狙わないから、すぐに危険にはならないと思うけど……建物が燃えたり崩れたりしたら、危ないから……この先に作ってるシェルターに行くね」
『ふむ』
普通の猫を一回り大きくしたような、でっぷりとした虎柄の猫が返した。動物疎通をしてやっと会話できるわけだが、どうにもこの猫はやけに偉そうに喋るのだった。首都内の猫たちにも顔が利くらしく、今も群れを先導してくれている。
そんな猫を連れてやってきたのは、セフィロト内に点在する地下シェルター……ではなく、今まさに建造中のお手製シェルターであった。
「どうもみなさーん、元気にしてましたかぁ?」
希望ヶ浜中等部の衣服を纏った『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)が、逃げ遅れた市民達をシェルター内へと案内していた。
どうやら伊鈴という偽名を使いキャラまで変えているらしいが、見慣れた味方からはすぐに分かる程度の違いである。というのも、砕けた性格で接することで毒気を抜いて恐怖や混乱を和らげるという意図があってのことらしい。
「今から別のシェルターへ移るのは危険が大きすぎる。この中に集まり、防衛を固める手はずだ」
市民に対して説明をしていたのは『チャンスを活かして』シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)。イーリンと共に逃げ込んできた市民をかくまい、その中ですぐにでも戦える能力のある市民を選抜して組織編成を行おうという計画らしい。
あたりには壊れたセキュリティロボットの残骸が転がり、戦闘の跡が見て取れる。
それらを軽くお掃除しつつ、『スチームメカニック』リサ・ディーラング(p3p008016)が瓦礫や適当な建材をあつめてバリケード造りにいそしんでいた。
もし『ロボット工場襲撃』計画に参加していたなら気付いただろう。ここが爆発によって更地となった工場跡地であったことが。
「暴走してる軍用ロボットの駆除は順調に進んでるっす。残った少数の個体からシェルターを守るのが、今の皆さんのお仕事っすよ!」
「その通りだ。守りたいものが、愛すべき人がいるのなら、僕らと共に戦わないか!」
シューヴェルトやイーリンに統率され、そこそこの武装を与えられた市民たちはシェルターの防衛を始めている。
彼女たちは『秩序回復委員会』を名乗り、時には犯罪者たちを捕らえ自衛部隊にリクルートするといった形でこのシェルターを強化していた。
「まあ、私はようやく手に入れた安穏とした生活を脅かされたくないだけなんスけどねー……」
チームの創設者であるところの『ダメ人間に見える』佐藤 美咲(p3p009818)。彼女にとって、この破壊されたロボット工場はシェルターにうってつけのスポットだった。
邪魔になるネットワークは破壊されているし、他区画からロボットの手は殆ど伸びない状態にあるし、犯罪者集団もこの場所は危険だと考えて最初から近づかなかったためである。
それは砦を落として再利用する格好に、どこか似ていた。
美咲は唯一残った事務所の小屋内にて、作ったシェルター避難者の名簿を整理していていた。
犯罪者の再利用はリスクの伴う計画だが、成功すればこの都市の人手不足を解消できる。
「『価値のあるリスク』……か」
美咲は呟いてから、『ある上司』のことを思い出した。性格は最悪だしできれば思い出したくもないが、国にも組織にも依存せず『本当の一人きり』で生きていく方法を学んだのはあの女性からだ。それ故に、練達という国家が実質的に機能しなくなった今でも、美咲は平然としていられた。
そしてだからこそ、『気付いた』ことがある。
「刑務所を開放して混乱させる程度のことで国が崩壊するとは思えないんスよねー……。
これでできるのはせいぜいが時間稼ぎ。本命の『戦力』があることが前提の筈……」
美咲は計画書に『カウンタープロトコル』という文字を走り書きした。
成否
成功
第1章 第21節
練達ほどの都市国家でも凶悪な犯罪組織というものはあり、凶悪な事件もまたあった。
武器商人から大量の武器を購入し、人類救済をうたって大量虐殺を計画した『WND(ホワイトナイトダウン)』という組織がそのひとつだ。
「今こそ、救済の時……!」
拳銃を天に向かって乱射しながら歩く白いローブの男は、瓦礫のそばでうずくまる子供に目をとめた。子供は瓦礫に挟まれる形で閉じ込められた母親を前に絶望した様子で、ローブの男へと振り返る。
ニイ、と笑って銃を向けるローブの男。
「苦しむ必要はない。救済しよう。貴様も親も共々に――」
話の途中で、ローブの男の顔面がひしゃげた。
とんでもないフットワークで距離を詰めた男がその速度をのせた拳を相手の側頭と首の付け根のあたりを狙って打ち込んだために起きた『脱臼』である。
顎と首を脱臼した人間は多くの場合呼吸や神経の断裂といった現象によって死に至る。
『“侠”の一念』亘理 義弘(p3p000398)は振り抜いた拳をそのままに、フウと深く息をついた。
「街の混乱に乗じて好き勝手に暴れようってハラかよ……見過ごせねえな」
倒れた男に続く形で、拳銃を手にした男達が三人ほど現れ義弘に銃を突きつける。
「引き金に指ぃかけたってことは、覚悟はできたんだろうな」
ゆっくりと振り返り、義弘は拳を再び握りしめる。
「さっさと引け! 死ぬ気で撃ってこい!」
気迫に押されいい加減な狙いのまま射撃を行ったために、弾は義弘の頬をかすめて飛んでいく。
相手の腕を掴み顔面に拳を入れる義弘。
と同時に、彼の後ろで暴風のごとき音が鳴った。
『黒鉄守護』オウェード=ランドマスター(p3p009184)が武器によって残る男達をなぎ倒した音である。
「こんな時に火事場泥棒なんて相当勇気あるのう。映画の様な気持ちは分からない訳ではないが……」
どうやら『人助けセンサー』によって子供や親の危機を察知したオウェードが単独で駆けつけてくれたらしい。
義弘とオウェードは背をあわせ、続けて射撃をしかけてくる男たちへと襲いかかる。
「むん……っ!」
クロスアームの構えで鎧の装甲を翳したオウェードは男へ突進、銃弾を一発だけこらえると、そのまま勢いよく相手の体を殴り飛ばした。
「おっと、こりゃ良いところに来たな」
そこへ現れたのは『帰ってきた放浪者』バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)。
敵を倒したオウェードたちの力を借り、瓦礫にはさまれた母親を助けるべく瓦礫にてをかけた。
そして、不安げに見つめる子供に振り返ってウィンクをしてやる。
「ちょっと退いてな! 今助けるからな!」
瓦礫を押しのけ、邪魔になるコンクリート壁を破壊すると、母親を出すけだし手招きする。
「よし無事だな? よくやった、もう大丈夫だ! シェルターへ案内する。ついてこい」
怪我をしたらしい母親に手を貸し歩き出そうとすると、そこへ陸鮫に乗った『正義の味方』ルビー・アールオース(p3p009378)が空から降下するかたちで到着した。
「お待たせ、乗って! シェルターにつれてってあげる!」
呼びかけるルビーだが、ハッと顔をあげた。
空に弧を描き飛来する炎の球。バレーボール程度のサイズがあるそれは、ルビーたちへと着弾――しかけた所でルビーは陸鮫から跳躍。
「閃けカルミルーナ、私は救いをもたらす光になる!」
カルミルーナを鎌モードに変形させると、炸薬を炸裂させた勢いで炎の球を切断した。
空で爆発する球。
直後、マギランチャーをかついだ男たちとヒートブレードを握った男達が出現、彼らは同じように白いローブを纏い、『救済だ』と呟いた。
噂に聞くWNDの連中だろうか……。
カルミルーナを変形させ剣モードにすると、親子を庇うように前へ出るルビー。バクルドもパイルバンカーをセットしその横に並んだ。
と、そこへ。
「助っ人参上!」
建物の屋根から跳躍した『人為遂行』笹木 花丸(p3p008689)が拳にパワーを集中させ、着地と同時にマギランチャーを担いだ男を殴り倒した。
「皆より先に帰って来たんだもん。
だったら、私は皆の帰るべき場所を護る為に戦うよ」
咄嗟に振り返った男がヒートブレードで斬り付けてくるがそれを紙一重で回避。
赤熱する刃を至近距離でちらりと見ると、相手の股下をスライディングで抜けてから素早く足払いをかけた。
「手伝って!」
一人で全員を相手にするのは難しいと判断した花丸は、オウェードや義弘、バクルドたちにサインを送った。そんな中でルビーは親子を逃がすために陸鮫を叩き、『後は任せるね!』と手を振った。
シェルターへと走る陸鮫を見送り、花丸はあえて逆方向へと走り出す。
彼女を仕留めるべく走り出したWNDの連中へと振り返りつつ、小声で『頼んだよ』と呟いた。
親子が連れてこられたのは練達首都内にいくつもある地下シェルターのひとつだった。
バンカーとも呼ばれるこの施設には、『特異運命座標』釈提院 沙弥(p3p009634)や『特異運命座標』フロル・フロール(p3p010209)といった面々が集まりけが人の治療や混乱の沈静といった活動を行っている。
(逃げ込む人数が増えるほど、混乱が長く続くほど恐らくは避難した人たちのストレスも溜まる。だったら、その心を支えるのも宗教者の勤めよ)
沙弥は持ち前のカリスマやすっとしみこむような語り口で人々に語りかけ、ストレスの緩和や混乱の沈静をはかっていた。
特に練達のネットワークに依存して暮らしていた人々にとって、『ネットワークの反乱』は致命的な事件だ。もし命が助かってもこの先生きていけないのではという不安を抱える者も多い。そんな時こそ、沙弥のようなスキルをもった人間が必要になるのだ。
その一方で、フロルはけが人の治療に専念していた。
「運ばれてくる怪我人が増えて来たか……しかし、諦める訳にも行くまい。
ここには幼子も大勢居るのじゃ……わしは、絶対に諦めぬ。ああそうじゃ、誰一人として死なせはせぬぞ!」
強く自分を奮い立たせ、大けがをした男性への応急処置を終えたフロル。
案内された親子が怪我をしていることを察すると、フロルは『こっちへこい』と手招きをした。
「そなたらの痛み、苦しみ、恐れ。わしらが必ず癒す。じゃから、安心しておくれ」
どこか優しく微笑むフロルに、親子はほっとした様子で肩をおとし、そして安堵のあまりその場にへたりこんでしまった。
フロルはそんな母親の脚の怪我に触れ、治癒の魔法を唱える。
(街は、人は、いま傷付いておる。こんなときだからこそ……)
成否
成功
第1章 第22節
生産工場を破壊したことで、暴走状態にある軍事ロボットの数は急激に低下していった。
状況を俯瞰できるだけの『ネットワーク』こそ相手の手にあるものの、戦闘の体感的苛烈さの違いはどうあっても感じるものである。
「避難の邪魔をするんじゃあない! いい加減機能停止したまえ! キリがない!」
シェルターへ通じる道を塞ぎ武装した自動パワードスーツ『ハンプティ』と猟犬型ロボット『ドーベルマン』の集団を前に、『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)はダンッと強く脚を踏みならし駆け出した。
反撃のために構えた銃が火を噴くその一秒の間に、マリアの体は光の如く加速し紅いラインと残像を残しながらハンプティたちを撃滅していく。
やっと彼女の動きにブレーキがかかった瞬間、横から飛び出したドーベルマンがのこぎり型の牙をむき出しに――したところで刃がはさまった。
『音呂木の巫女見習い』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)の剣が顎を止め、そのまま鋼のボディをまっすぐ切り裂いてしまったのである。
「いやー、次回予告もキマって、がぜん楽しくなってきたなー!
フッ、主役としては役不足だったようだな。……役不足ってこの使い方であってたっけ?」
振り向くと、『ナチュラルボーン食いしん坊!』ニャンタル・ポルタ(p3p010190)が大きなガス灯のようなポールウェポンを振り回し、ハンプティと激しい格闘状態に入っていた所だった。
ヒートホークによる斬り付けに対しポールをぶつけることでつばぜり合い状態に持ち込んだニャンタル。込めた紫色のオーラを湧き上がらせると個別にホーミングしたそれらがハンプティへと叩きつけられていく。
勢いにのけぞったハンプティへ、ポールの鐺(地に着ける先端部分をさす)で突き飛ばすように打ち付けた。
崩れた建物の壁に激突するハンプティ。が、そばに落ちていた重機関銃を拾いあげニャンタルへと向ける。
「あ、やばっ」
秋奈が庇うべきかと動き出そうとした、その時。
無数のページを広げかさねた盾が機関銃の射撃をさえぎった。
ページは再び収束し、一冊の本へと納まっていく。
本を手にしたのは『比翼連理・護』藤野 蛍(p3p003861)。
「細かいことはよくわからないボクでも、これだけはわかるわ。
アレを放置しといちゃダメってことは! 行って、珠緒さん!」
「はい……!」
『比翼連理・攻』桜咲 珠緒(p3p004426)はピッと空中にひいた血の一文字を剣に変え、ハンプティの銃を持つ腕を付け根から切断。それによってバランスを崩したハンプティめがけ、紙片を連ね剣に変えた蛍の斬撃がもう一方の腕を切断した。
数百年も共に連れ添ったかの如く息のあったコンビネーションは、最後にハンプティのボディをX字に切り裂くことで終了した。
ロボットたちを倒したことで避難民のルートを確保したマリアは、後ろで隠れた避難民達を呼び寄せ護衛及び先導をはじめた。いや、始めようとして振り返った。
「一緒に戦ってくれてありがとう! シェルターへ?」
「いいえ。珠緒達は別の狙いがあるのです」
そう言って珠緒はハンプティやドーベルマンのパーツを砂糖菓子を砕くように分解し、メモリーユニットを取り出した。
「このロボットたちは人間憎しで襲っているわけではありません。
姉ヶ崎の干渉によって書き換えられた命令を従順に守っているにすぎません。
ですので……」
「ひとつひとつ倒してデータを集めていけば、干渉の発信元が特定できるかもしれないって、そういう考えなの」
蛍の補足に、秋奈がほほーと目を細めた。
「奇遇だね? 私も姉ヶ崎ちゃんの気配を探して動いてたとこ。けどチョット分かりづらいんだよなー。そもそも姉ヶ崎ちゃんって現実に存在しなかったわけじゃん?」
「そうなのか?」
ニャンタルがきょとんとした顔で会話に加わってくる。
「我はセフィロトの中枢に向かって原罪魔種複合体というやつをどうにかしようと思ったんじゃが……中枢エリアが封鎖されておってな」
ニャンタルの言うとおり、マザーの暴走に伴って中枢エリアは封鎖され、なんとか内部へ突入できた限られたイレギュラーズだけが頼りの状態にあった。
「で、その姉ヶ崎ちゃんというのは?」
成否
成功
第1章 第23節
軍事会社に正式採用されているパワードスーツ『パンプティ』の旧式モデル。ネットワーク接続能力を持たないが故にハッキングを逃れたこれらは、皮肉なことに犯罪組織の手に渡っていた。
脱獄した犯罪組織CREEK CRACK CLANは破壊と殺戮を楽しむためだけに組織されたといっていい、非常に危険な団体である。
炎上した家屋を眺め、くつくつと笑うリーダー『アナダプタ』。
彼が次なる破壊を愉しむべく背を向けたその時。
「キエエエエエアアアアアア!!!」
滅茶苦茶に裏返ったうえどうかしてるレベルでトーンが上下した声がした。
こんな声がしたら誰だって振り向くしアナダプタも振り向く。
すると。
「俺の収録データあああああああああ!」
クランのひとり。火炎放射器担当の首に『No.696』暁 無黒(p3p009772)によるクロスチョップが炸裂した。
MFC(ムクロ・フライング・クロスチョップ)の反動で更に飛び、回転し着地した無黒。
「お前らっすか!? お前らがやったんすか!?」
もっかい奇声をあげて飛びかかった。
犯罪者より犯罪者ヅラした狂気の無黒に引いていると、そこへ『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)によるHFC(ホムラ・フライング・クロスチョップ)が炸裂。
「家を建てるのにだって、何ヶ月も人と時間が費やされるのに……それを壊すのはたった一夜なんだよ。これ以上、娯楽のためなんかで街を傷つけさせたりしない!」
「キエエエエエア!」
荒ぶるムクロの構えを取る無黒と共に襲いかかる焔。
アナダプタは部下達に援護射撃をさせると、高熱を発するグレートソードでもって焔の槍による打撃を受けた。
「破壊を辞めて欲しい? じゃ、代わりに俺らのオモチャになってよ。『そっち』を壊すのも好きなんだよね」
ニタニタと至近距離で笑うアナダプタ。焔がにらみ付けると、直後にアナダプタを鋭い殺気が襲った。
『ツクヨミ』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000668)の放った殺気だと気付いた時には、既に『彼女たち』の術中であった。
「混乱に乗じて不埒を働くのは、まぁ戦術上、理にかなっている事は認めましょう。
……でも運が悪かったわね」
『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)の掲げた手に応じるようにして、無数の剣が生み出されアナダプタ後方の援護射撃部隊へと突き刺さっていく。
「ここには我(わたし)がいたのだわ。
練達には我(わたし)の友人が拠点を敷いてるの。
容赦はしてあげられないから早めに大人しくして頂戴ね」
と、その次の瞬間。
――装甲、展開(スクリプト、オーバーライド)
――戦闘機動構築開始(システムセットアップ)
――動作正常(ステータスグリーン)
――Spiegel、出ます
とてつもないスピードで接近した『ゲーミングしゅぴちゃん』DexM001型 7810番機 SpiegelⅡ(p3p001649)がアナダプタのパワードスーツをかすめて通り抜けていく。
コード、VOB(ヴァンガードオーバーブレイド)。
『Warnung(警告)。Unbekannt Einheit(不明ユニット)の接続を確認。ナノユニットの異常放出発生。機体維持に深刻な障害。直ちに使用を停止シテクダサイ』という警告音声が流れた頃には既に、SpiegelⅡは剣を振り抜いた後だった。
「は……?」
突然の事に振り向くアナダプタ。彼のパワードスーツがバギンと派手な音を立てて破壊され、彼の身体が粗悪な緊急解放装置によって地面に放り出される。
ハッと顔をあげた時には、焔が槍を突きつけていた。
『ツクヨミ』の女王はその様子に頷き、そして背を向ける。
「目標を鎮圧……次の目標を捜索します。お任せ下さい」
翳した手に四羽の小鳥が集まり、そして一度だけ旋回飛行すると四方へと飛んでいった。
後で、捕まえた脱獄囚たちには魔眼で話を聞いておくべきだろう。
(都市国家を……世界を壊すつもりにしては、この騒動は規模が小さすぎます。おそらくはこの後に別の、何か……)
成否
成功
第1章 第24節
囚人服の集団に取り囲まれた、三人の男達がいた。
一人は『鳥籠の画家』ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)。
スティック型の魔術発動器の先端を僅かに光らせつつ、低い声で呟く。
「春樹がR.O.Oに手を出してないのは意外だったな。てっきりのめりこむと思っていたが……」
もう一人は『Nine of Swords』冬越 弾正(p3p007105)。顔の下半分をマスクで覆い、絶響戦鬼『平蜘蛛』にメモリースティックを差し込む。
「春樹が避けたのは正解だ。実際のところ俺は大分、R.O.Oに沼っているからな。ところで……」
弾正が周囲を観察すると、囚人服の集団(間違いなく噂の脱獄囚だろう)はそれぞれ武器らしきものを手に自分達を観察している。
「なぜ囲まれている?」
「さあ……姉ヶ崎が姉ヶ崎-CCCの関係者かなにかに見えたのだろうか」
「見えてたまるか!」
そして最後の一人。『モザイクレイター』姉ヶ崎 春樹(p3p002879)はピュアエルポスターをぐるぐると棒状に丸め、木刀でも構えるかのように握りしめた。
謎のオーラが螺旋状にポスターの上を走り、透明なフィールドがポスターを鉄パイプの如き鈍器へと変えた。
「大体……やったら沼るに決まってんだROOなんてのは。だから俺は静かにオタク活動に従事していたというのに……」
目を瞑ると思い出す。プレイ中のネトゲ(待望の新パッチ公開で有給をとってまで待機していた)が目の前でブツッという音をたてて画面の反応ごと消え、慌てて手に取ったスマホには『不明な障害のためサービス停止』の告知と共に音信が途絶えたことを。
「許゛せ゛ね゛え゛!」
カッと目を見開き脱獄囚たちへ殴りかかる。
「おお、いつになくやる気だな」
「ROOもやっていないというのに……フッ」
二人は苦笑しつつも、襲いかかってくる脱獄囚たちへと応戦を始めた。
「ツルギお父様が見たらどんな顔をするか」
「娘のスキャットに見せてやりたいな」
弾正は敵陣を氷の渦に閉じ込めながら。
ベルナルドは光の魔法で敵陣をなぎ払いながら。
ぴたりと停止して同時に振り返った。
「「嘘゛だ゛!!!!」」
不用意にネトゲの話をすると思わぬ身バレをする。
二人がそんな学びを得たと同時に、春樹はポスターパイプで敵のリーダーらしき男の頭部を殴り倒していた。
「俺だって……バーチャルJKの妹とか、欲しかったぜ……」
見上げた空は、なぜかにじんで見えた。
成否
成功
第1章 第25節
場面は変わり、新造されたシェルターへの大通り。
『孔雀劫火』天城・幽我(p3p009407)は医療品を大量に詰め込んだ登山リュックをおろし、道路の真ん中に立っていた。
既に備えのあるシェルターはともかく、このドサクサの中でイレギュラーズたちの手によって作られたシェルターには当然備えというものはない。そのために、倒壊した施設から必要な物資を運び出すという手順が必要になるのだ。
そしてそれは同時に……。
「止まって」
幽我が小さく手を上げると、彼の前で軽トラックが一台停車した。
運転席から顔を出す『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)と、助手席のブラム・ヴィンセント(p3p009278)。
「どうした、物資調達か? 丁度良い、俺たちもなんだよ」
「まあ、調達っていうかかっぱらってきただけだが……」
乗っていけよと親指で荷台を示すブラム。幽我はありがとうと小さく礼を言って、二台へとよじ登った。
荒れた道路をとろとろと進む軽トラック。
空は青く、左右は瓦礫や無人の建物だらけだった。
人の気配はなく、ところどころに壊れたロボットの残骸だけがある。
「この辺も粗方片付いてきたな……」
窓ガラスのない助手席から腕を出し、よりかかるように景色を眺めるブラム。幽我はその言葉が自分に向けられたものだと気付いて、『ん』と小さく返した。
「それにしても、トラックなんてよく持ってたね」
「いや?」
ナチュラルに否定の言葉を返すブラムに、幽我が助けを求めるように運転席を覗き込む。
アーマデルが片手でハンドルを握ったまま、本来キーを差し込むであろう部分を指さした。そこにはキーなどなく、かわりにハンドル下部のフレームが破壊されていた。
「ブラムがいじったら、動くようになった」
「へえ、鍵を使わないで動かすなんて、すごいね」
などと言っていると、アーマデルがブレーキペダルを踏んだ。
「……戦闘の音がする」
「うぅん、流石にひと月ちょっと寝たきりは身体が鈍っちゃったわねぇ」
小さく口を開け、ふああとあくびでもするように口元に手を当てる。
小首をかしげた彼女の頭部横数センチを、銃弾が通り抜けていった。
彼女の――『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)の目が動く。
こちらに両手で銃を構えていた男は、まるで当たり前のように銃弾をよけたアーリアに困惑の表情を露わにしている。
頬に刻まれたタトゥーや縞模様の囚人服からして、おそらく刑務所の脱獄騒ぎに乗じて街に出てきたクチなのだろう。
いかにも油断いっぱいといった、ほろ酔いの28歳女性を見つけて強盗でも働こうとしたのだろうが……。
「わるーい子は、『めっ』しちゃいましょうね」
手袋をした手を豊かな胸の谷間へと差し込み小さな小瓶を取り出す。親指でキュポンとコルクを外すとその中身をあろうことか『その場』で逆さまに流した。
ふわりとのぼる香りに誘われるように現れた小妖精たちが男へと集まり、男は泥水したかのようにくたりとその場に崩れ落ちた。
のこった滴を自分の舌に落とし、ぺろりと唇を舐めるアーリア。
見るからに戦闘が終わったことを察したのだろう、アーマデルたちがすぐよこにトラックをつけた。
「この先にシェルターがある。乗っていくか?」
問いかけに、アーリアはちらりと男を見た。
人差し指でくいくいと手招きをして。
「一緒にいかが?」
「…………あ、はい……」
成否
成功
GMコメント
※こちらは混沌側のラリーレイドシナリオとなっております
●これまでのあらすじ
練達都市国家における電子の神マザーの暴走によってセフィロト内のシステムが混乱。人々に対する拒絶を起こしました。
これに乗じる形で『絶対破壊存在』姉ヶ崎-CCCはネットワーク内に出現。ネットワークに接続された全てのものに対して人類抹殺の命令を下しました。
スマホに依存した令和人類を更に依存させたようなもので、ネットワークは軍事を含め生活のいたる所で依存されています。自動車はおろか家電に至るまでが人類に牙を剥いた今、都市住民を救えるのはもはやあなたたちイレギュラーズしかいません。
●クリア条件と制限期間
このシナリオは『<ダブルフォルト・エンバーミング>Are you Happy?』終了時まで継続します。(場合によっては先んじて終了することがあります)
また、当シナリオはラリー形式であるため他シナリオと併せて何度でも挑戦することができます。
また、このシナリオに開始時点で『明確なクリア条件』はありません。
そのかわり、放置すればするほど都市の破壊は進み、仮に『<ダブルフォルト・エンバーミング>Are you Happy?』が良好な状態で終了したとしても都市のダメージ状態によってはバッドエンドコースがあり得るでしょう。
これは敵を倒すための戦いではなく、『平和を守るための戦い』なのです。
●パートタグ
このラリーシナリオでは無数の事件が起きています。以下のうちから【パートタグ】を選択し、『プレイング冒頭に書き込む』ことでその事件の解決に参加することができます。
(尚、パートタグが書き込まれていない場合は自動でどれかの事件に投入されます)
また、シナリオ中に特別イベントが起きるなどして事件が追加発生することがあります。
※対応パートタグは各章第一節にて公開されます
また、章の途中で特別なパートが突発的に追加されることもあります
●グループタグ
誰かと一緒に参加したい場合はプレイングの一行目に【】で囲んだグループ名と人数を記載してください。所属タグと同列でOKです。(人数を記載するのは、人数が揃わないうちに描写が完了してしまうのを防ぐためです)
このタグによってサーチするので、逆にキャラIDや名前を書いてもはぐれてしまうおそれがあります。ご注意ください。
例:【ザッズファイターズ】2名
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
本シナリオは進展により次々に別の状況に変化します。
以上、頑張って下さいませ!
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