シナリオ詳細
【SHARK WARS】ニシレモン宙域防衛戦
オープニング
●
結論から言うと、これは夢である。
キミたちが見ている夢であるのか、キミたち以外の誰かが見ている夢であるのか。それはどちらでもよい。
重要なのは、これから語る物語は、あくまで夢の世界の出来事である、という事だ。
●エピソード489 シャークの復讐
~前回までのあらすじ~
時は超銀河鮫帝国時代。銀河を支配する鮫帝国SSS(スペースシャークソサイエティ)へ抵抗する反乱軍PPP所属のイレギュラーズ達は、第27次ニシレモン宙域艦隊戦において、勝利。同宙域を一時的に支配下に置いた。
だが、ニシオンデン銀河へ向かう銀河回廊であるニシレモン宙域は、SSSにとっても要衝である。SSSはすぐさま大規模な宙域奪還艦隊を編成、ニシレモン宙域へと進軍を開始する。
迎え撃つは、イレギュラーズ・ローレット部隊の精鋭たち。
ここに、第28次ニシレモン宙域艦隊戦の幕が上がるのであった……。
●ローレット部隊旗艦、『ギルド・ローレット』にて
「注目! 注目なのです!」
『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は、ブリーフィングルームに集まったイレギュラーズ達に向かって言った。
ここはローレット部隊の旗艦、『ギルド・ローレット』。ローレット部隊は、正規の軍人ばかりではない反乱軍の中でも、とりわけバラエティに富んだ出自を持つメンバーばかりが集められた、いわゆる『はぐれ者』部隊であった。その名の通りに『規格外(イレギュラー)』なメンバーが集うイレギュラーズ達は、出自はさておき、いずれも腕利きの猛者たちばかりである。
「野郎ども、今回の作戦はニシレモン宙域奪還を狙うサメどもの迎撃なのです!」
ばんばん、とディスプレイを叩きながら、ユリーカが声をあげる。ディスプレイには、現在こちらに迫りくるSSS艦隊の情報などが大量に記されていた。
「敵の部隊数はこちらをはるかに上回るのです! とはいえ、それはいつもの事。まさかここにきてビビっちまうような奴らはローレットには居ないはずなのです! でしょう!?」
ユリーカの言葉に、イレギュラーズ達からやんややんやと声が上がる。むふー、とドヤ顔で決めるユリーカ。
「はいはーい、ファーリナさんですよー!」
と、パタパタとやってきたのは、『小さな守銭奴』ファーリナ(p3n000013)である。
「いつも通り稼ぎ時です野郎ども! 報酬はいつも通り、戦闘機が5! 駆逐艦が100! 巡洋艦は200! 戦艦・空母は300です!」
イレギュラーズから、笑いとブーイングが飛んだ。安すぎるぞ、くたばれ守銭奴、などなど。
「ふははー! ティッシュペーパーよりも安い命、せめてしっかり稼いでおっ死ぬがいいです! それはさておき、いつも通り装備が欲しければ、金次第でなんでも取り揃えますよ!」
めっちゃいい笑顔で煽り返すファーリナである。とは言え、これでも部隊の補給を支える立派な死の商人だ。この程度のやり取りなどいつもの事。
「と言うわけなのです! 野郎ども、サメ共に一発食らわしてやるのですよ! 以上! 解散なのです!」
ユリーカの言葉に応えると、イレギュラーズ達は戦いへの準備を始めたのであった。
●SSS艦隊旗艦、『シックスギル・ソーシャーク』にて
「ニシレモン宙域への到着はまだかね」
と、優雅に笑う鮫がいた。
艦隊総司令、シャーク・モールである。
「はっ。標準時であと3時間ほどとなります」
と、部下の鮫が答える。
シャーク・モールはワインの入ったグラスを傾けつつ、笑った。
「薄汚い哺乳類どもめ。一度ばかりまぐれ勝ちをしたところで所詮は哺乳類。格の違いと言うものを教えてやろう」
シャーク・モールは立ち上がると、なんかビーム的なセイバーをぶおんぶおんと振り回し、檄を飛ばした。
「行くぞ、皆の者! 今日この場で、生意気な哺乳類どもを殲滅せよ!」
その言葉に、部下の鮫たちは敬礼し、答えるのであった。
●開戦
かくして、宇宙の海に、新たな戦いの歴史が紡がれる。
勝つのは果たして、人か、鮫か。
- 【SHARK WARS】ニシレモン宙域防衛戦完了
- GM名洗井落雲
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2018年04月12日 19時45分
- 参加人数85/∞人
- 相談0日
- 参加費50RC
参加者 : 85 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(85人)
リプレイ
●ゆめのはじまり
無限広がる大宇宙。その片隅で、今まさに、人類と魚類の戦いの火ぶたは切って落とされようとしていた。
ここはローレット部隊の、とある宇宙戦艦の一室。やたら豪華なその部屋で、セティアは他の提督たちに、今回の作戦を説明しようとしていた。
と言っても、わざわざ懇切丁寧に説明するのは優雅ではないからやらない。セティアは鰯の大量に入った水槽へ、鮫をもした麩を投げ入れた。鰯が麩をめっちゃ食べる。つまりそういう事である。分からない? 分かったかな? よし分かったぞ。
作戦が伝わったことを確信すると、セティア達はかっこいい乾杯をした。プロージット! と言って、グラスを割るアレである。かっこいい。
「キングローレット発進せよ!」
超弩級宇宙戦艦キングローレット艦長代理見習い補佐の隣部屋で寝泊まりしている食堂の皿洗い担当のアカツキが心の中で叫ぶ。そう、皿洗い担当が心の中で叫んだのである。当然何も起こらなかった。起こらなかったけど、まぁしょうがない。心の中で叫んだだけだからね。
「俺この戦いが終わったら、旨い料理を皆に食わせる為に皿をピカピカに磨くんだ……」
呟いた。ちなみに、今は仕事をさぼっている。
それはさておき!
「進路オッケー! 発進どうぞ!」
オペレーターのスティアの明るい声が、通信回線にこだまする。状況は、今まさに戦闘の渦の中。宇宙の海を舞台に、大規模な艦隊戦が繰り広げられている。
「一番カタパルトからM・IWASIで出るのです!」
宣言したのはマナである。乗機が一番カタパルト施設内へと移動。周りにいた整備士たちが一斉に退避した。
「えぇと……こちらがハンドルで、こちらが緊急脱出ボタンで……」
わたわたと動作方法の確認をするマナ。
「一番カタパルト、何かあった?」
尋ねるスティア。しまった、後が詰まっている。そんなわけで、マナは慌ててしまった。
「あわわ、大丈夫なのです! エンジン、点火です!」
と、スイッチを押した途端。がこん、と音をたてて、キャノピが吹っ飛んだ。と同時に、座席も吹っ飛んだ。乗っているマナもろともに。そう、エンジンと間違えて、緊急脱出スイッチを押してしまったのだ!
「うわーっ! マナさーんっ!」
スティアの悲鳴がこだました。一番カタパルトはしばらく封鎖されることになった。
不幸な事故があったが忘れよう。多くの戦闘機が様々な戦艦から出撃し、ドッグファイトを繰り広げている。
「ふふん。獲物が寄ってきたね。そんな攻撃、ボクには当たらないよ!」
セララは何やらきゅぴーん、と音をたてて敵の攻撃を察知した。背後から迫りくる敵を、高機動マニューバで回避。逆に背後を取り、片っ端から撃ち落としてやる。
「敵の戦艦に攻撃を仕掛けるよ! ついてきて!」
無線で呼びかけ、飛翔。追従する宇宙戦闘機たち。
「了解! 行くよ! 上上下下ーっ!」
古より伝わる加護の呪文を唱えながら、シャルレィスが飛行する。ちなみにその呪文、偶に自爆するから注意だゾ。
「! おい、後ろだ!」
タツミが叫び、シャルレィスの背後へと回る。シャルレィスの背後についていた数機の宇宙戦闘機を撃ち落とすが、反撃に一発貰ってしまったらしい。機体が火花を散らす。
「ちっ、ドジっちまった……!」
「タツミさん!」
シャルレィスが思わず声をあげる。
「らしくねぇことしちまったぜ……! 俺のことは気にするな! 先に行け……!」
同時に、タツミ機が爆発した。
「くっ……今は振り返っている時間はないのだわ!」
ジェーリーが操縦かんを押し込む。目標の敵戦艦は目の前なのだ。気をそらしていては無残な屍が追加されることになる。泣く事は後でもできる。生き残ってさえいれば。戦場では、生き残る事を第一に考えるのだ。
「メインエンジンに叩き込むわ! 続いて!」
舞花が戦列から突出する。対空砲火を潜り抜け、敵戦艦の動力部へ爆弾をお見舞いする。果たして派手な爆発音をあげて、敵宇宙戦艦の外装が吹き飛んだ。
「了解よ、全弾撃ち込んでやるわ!」
ジェーリーが叫び、ありったけの弾丸と爆薬を撃ち込んだ。各戦闘機たちも、同様にありったけをお見舞いしてやる。
この攻撃には、戦艦と言えどひとたまりもない。ついに耐え切れず、敵宇宙戦艦は宇宙の海へと沈んだ。爆風と衝撃波を躱しながら、宇宙戦闘機部隊は飛翔した。
●宇宙艦隊戦どんぱち
「私のAPは895ある上に毎ターン15回復するぞー!! つまり無限と言うことだ!!!!」
スペースウィッチクラフトをはためかせ、ドラマは甲板の上に立ち、そう宣言した。勢いが凄い。
ドラマはその豊富なAPを生かして、ひたすらにスナイパーをし続けた。具体的に言うとスペース始まりの赤を使ってバフした後、スペースマギシュートで超遠距離から狙撃し続けたのだ。その姿はスペーススナイパー。でもその場から一歩も動かないので、いわゆるスペース芋砂だ。
生身で戦っているのはドラマだけではない。レオンハルトもまた、対戦闘機用散弾銃を撃ち放ち、敵戦闘機に攻撃を仕掛けていた。手持ちの対艦砲を設置し、チャージを開始。撃ち放ち、敵艦船にダメージを与える。凄い、宇宙空間で戦艦相手に生身で戦っている……。
とは言え、流石に宇宙で生身で戦っているものは少数である。大体は戦艦だったり、戦闘機だったり、ロボットだったりに乗っているのだ。
「という事でー。機雷とかセントリーキャノンとか、モロモロ設置済みだよー」
「ナントイウカ エグイハイチ デスネ」
コリーヌの言葉に、正宗くんが返す。ちなみに正宗くんは巨大化して、人を乗せられるようになっているのだ。まぁ、これは夢だからね。いつも以上に何でもありだよ。
コリーヌは鼻歌交じりで、宇宙に様々なトラップを仕込んでいた。
「ふっふーん。戦争の勝敗っていうのはね? 準備の段階で、大体決してしまうのだ!」
「ホントカナー」
「本当だよー。という事で、ぽちっとな☆」
お気軽な調子でそう言いながら、コリーヌはスイッチを押した。すると設置したトラップが一斉に起動し、敵宇宙船団を迎撃し始めたのである。
右肩にイワシのエンブレムを付けた人型兵器を駆る部隊、それがイワシ・ショルダー隊である。そのイワシ・ショルダー隊に所属するルア=フォス=ニア。ルアはある時味方の基地を(以下略)であるのだ!
「フカヒレをよこせ――」
脳裏に直接語り掛ける声。鮫に恐怖を植え付けるためか。スペースハイテレパスを駆使し、ルアは戦場を駆け抜ける。イワシの最低野郎達。彼らの進軍は止まらない。死神の行進を止められるものなど、この世には存在しないのだ――。
「なんかよく分からないけどイワシに乗るって?」
レイの言葉に、トゥエルはうなづきで返した。
正確に言えばイワシ・ファイター。いわゆるロボット兵器である。複座型で、機体操縦と射撃をそれぞれが担当する。
「操縦はレイ君に任せるのです! それでは出撃です!」
やや行き当たりばったりではあったが、2人は出撃。割と軽快に、バッタバッタと敵をなぎ倒していく。
「……ちょっと激しい操縦なのです! 安全運転を頼みますのですよ!」
「安全運転って、そんなことしたら負けちゃうじゃないか!」
と、言い合うものの、2人の息は割とぴったり。
「なんで私こんなことしてるんだろうか」
レイの呟きに応えるものはいない。それは誰にもわからない。
宇宙戦艦アナゴ。それは、宇宙の彼方『生簀ん樽』へ、運命背負って飛び立った、宇宙戦艦である。
本来はこの戦いに関係のない船ではあったが、SSSの横暴を知った艦長ノリアは、ローレットへの支援を決定。この戦いに参戦したのである。
「艦長、ナンカスゴイ波動砲の発射準備を!」
オペレーター、ミシャの言葉に、ノリアは頷く。
「波動砲発射、用意ですの」
ノリアの言葉に、乗組員が了解の意を告げ、各発射シーケンスを完了していく。
「エネルギー充填、120%になりました!」
「皆様、対ショック、 対閃光防御をお願いしますの」
その言葉に、乗組員たちはシートベルトとサングラスを付けた。
「最終セーフティー、解除ですの……波動砲、発射ですの!」
「波動砲、発射!」
ミシャの言葉と共に、宇宙戦艦アナゴの艦首に取り付けられた砲口から、ノリアの尻尾みたいなものが伸び、敵をべしん、と引っ叩いたのであった。
歌が響く。戦場に歌が響く。
「詩を奏でましょう。絶望の詩を。勝てると思っていたのですか? 魚類の貴方たちが、彼ら運命特異座標と呼ばれる最強の存在に?」
それは絶望の歌である。ある一方にとっては、希望の歌でもある。Lumiliaの歌う【剣の英雄のバラッド】は、人に希望を。鮫に絶望を。それぞれ与えるのだ。
歌が響く。戦場に歌が響く。
「無益な戦いはわたしが終わらせてみせます! わたしの歌を聴いてー!」
アンプを搭載した戦闘機に乗り、星玲奈が歌うは愛の歌か。戦いをやめ、共に手を取り合い生きて行こう。そう言った歌。それが届くかどうかはわからないが、星玲奈は歌い続けるのだ。
歌が響、
「僕達の歌を聴けー☆」
理性が蒸発しきった感じで言うのは、マジカルノワちゃんである。説明しよう。ノワちゃんはコズミック魔法少女である。今回は相棒のBloodちゃんと円環の理に導かれて、コズミック・デストロイ・アイドル・ユニット「シャークギア」として、宇宙を股に掛けて歌って踊って、憎いあんちくしょうをデストロイするのだ☆
当のBloodと言えば、些か困惑した様子だが、だがその内心はまんざらでもない。どうせ夢だ。夢なら遊ぼう、思い切りね。
そんなわけだから、Bloodも歌うのだ。似合わない服装。慣れない靴。縁のない歌。でもすべてが新鮮で、楽しいから、思い切り、心の底から、歌うのである。
「待ちに待った復讐の機会というやつね……長かったわ」
『……あぁ、そうだったな』
イーラの言葉に、コルヌが返した。ここは失われた船と俗称される高性能宇宙船のブリッジ。イーラとコルヌは、その宇宙船の艦長であった。
「復讐は何も生まないといいますが、私に生きる気力は与えてくれたのですよねぇ」
『……そうか、それでもかまわないのだろう』
射撃手、ルクセリアの言葉には、レーグラが返す。
復讐。4人に何があったのか、それは分からない。その過去は胸の内に。今はただ、戦うだけだ。
「慣性制御装置作動、各部を高速戦闘形態に変更」
『慣性制御開始。主動力炉稼働率正常、高速戦闘機動可能』
イーラの宣言。コルヌがシーケンスを完了させるや、船が変形した。
「高速戦闘形態に移行完了、主砲及び特殊兵装の展開開始ぃ」
『転移弾頭準備完了。副砲、実体弾装填完了』
ルクセリアがコンソールを操作し、レーグラが状況を報告する。
「じゃあ、はじめましょう」
艦長の号令の下、一隻の船が、鮫の群れへと飛び立つのであった。
「しょくーん! 我々に敗北は許されないのである! 具体的には尻尾撒いて逃げたら船員全員の黒歴史が大公開確定なくらいに! だから鮫を殲滅して大事なものを守り抜くのであるよー!」
と、宇宙戦艦ボルカニック号の船長、ボルカノはそう宣言した。その言葉に、乗員たちの間に緊張が走る。なんと恐ろしい事を。かくしてボルカニック号は、敵艦隊へと突っ込んでゆく。
「デカブツ以外には構うなー! あっでもまとわりついてくるやつは追い払うのであるよ!」
アバウトな指示を出しつつ、しかしボルカニック号はしっかりと戦果をあげていた。
「ボルカニック・キャノン、発射よーい! てぇー!!」
ボルカニック号の最大砲撃が、敵艦隊に直撃する。爆炎。爆風がモニタに表示され、視界が遮られる。
「やったか、である!」
あ、それ言っちゃだめな奴です。
「いわしをこのむねに! こうきにたたかえBe nobleなの!!」
踏み台に乗って身長をカバーしつつ、とある船の船長リピィーが高らかに宣言した。
「こちら、ギルド・ローレット。リピィー、聞こえる?」
と、ギルド・ローレットのオペレーター、コゼットより入電。
「かんどりょうこうなの!」
リピィーが言うのへ、
「そこから、10時の方向で、味方が、孤立、してる、の。救援に、いける?」
「まかせるの!」
コゼットの言葉に、リピィーはどん、と胸を張った。
「いざというときは、ぼくみずからでるのよ! きゅーそ、さめもかむ、なのよ!」
ライドなセーヴでビームな剣をぶおんぶおん振り回し、リピィーが言う。
「おねがい、ね」
コゼットがそう告げる。リピィーはぶおん、とビームな剣で前方をびしっ、と指すと、
「ぜんそくぜんしんなの! Be nobleなの!!」
号令一下、リピィーの船は、孤立した味方を救援すべく、動き出した。
「うう、どうすればいいの、これ……」
なりゆきで艦長になってしまったタルトであったが、その命は風前の灯火だった。気づけば孤立し、敵からの砲火に晒されている。
「艦長、対シャークバリアーが起動しない!」
オペレーターの大地が驚きの声をあげた。
「えーと、それが作動しないとどうなるの!?」
思わず叫び返すタルトへ、
「このままじゃ、敵に接舷される……乗り込まれるぞ!」
正面モニターには、今まさにこちらへ取り付こうと突撃してくる船の姿があった。万事休すか。と、その時。
「てやんでい! 私がまもってやるのです!」
と、通信回線に何者かの声がこだました。同時に、目の前の船が爆発する。
「大丈夫ですか!?」
再び通信。声の主は、ココルであった。旧型ながら威力の高い大砲を装備した戦艦の主である。
「間もなく味方がやってくるのです! それまで耐えるのです!」
その言葉通り、レーダーには味方の艦影が写るのであった。
さて、この宙域に存在するのは、何も両軍所属の艦隊だけではなかった。
例えばこの船。商船「グラルヴァイン」。Morguxの所有する船であるが、運悪く戦闘に巻き込まれてしまったのだ。
「さて。どう動くか……」
吹けば飛ぶような商船である。戦闘に巻き込まれてはひとたまりもない。Morguxは考える。どうやってこの場を切り抜け、生き残るかを。
一方で、この戦闘を最大の好機ととらえる者もいる。
例えばオロディエンと言う商人。これは実にしたたかであった。上手く両軍に武器を売りさばき、利益を得ている。両者に絶妙にふるまう事で、着かず離れず、攻撃対象になる事を避け、商売を続けていた。
例えば行人と言う商人。こちらはストレートに、どちらにつけば得か、と言った事を考えていた。どちらが生き残るか、そしてより多くの借りを作り、今後とも利益となる陣営はどちらか。
(――まあ、サメ野郎に手を貸すよりかは、マシか)
行人は内心、呟いた。どうやら今回は、イレギュラーズへとつくことを決めたようだった。
ムスティスラーフは修理屋だ。口八丁手八丁、あれやこれやと言いくるめ、多くの修理依頼を勝ち取っている。
とは言え、その修理方法は割とずさんと言うか。
「ぎゅおーんばりばり、あ、壊れちゃった、てへぺろ。君は本当に運がないな」
なんというか。ちなみに責任は取らないらしい。あ、悪徳だ!
さてさて、この宙域には様々な勢力が存在する。前述したSSS、PPP両軍、商人たち、そして彼ら。
「ふはははは! 我は宇宙海賊『黒の星団』なり!!」
「なっのっです……(※含み笑い)」
利香の高笑いに、クーアが含み笑いで追従した。そう、利香達は宇宙海賊である。このご時世、こういう輩はどこにでもいるのだ。
「えすえすえす製薬だかSSRだか知らないけれど、その船体、バラバラにして財宝全てもらって貴様らの魂と肉体ごと主砲の素材にしてやるわ!!! 覚悟せい!!!」
と、鮫たちの戦艦に一斉砲撃をぶちかます黒の星団。この海賊たちの目的は、船に搭載されている『魔黒(まぐろ)砲』と言う主砲をより強力に改造するための素材あつめであるのだ。つまりおいはぎ。
「私の最終兵器をみるのです! 108本のDHAを束ねて作成した、名付けてねこさん…………あれ? ないのです? え、「別のシナリオで使用済み」? い、意味が分からないのです! 一体全体何が起こっているのです!?」
うろたえるクーアであった。すまない、こちらにも何が起こっているのかはわからない……。
「宇宙山賊グドルフ参上! ゲハハハハ! 漁夫の利はすべて頂くぜ! 両軍がしのぎを削ってる間に、横から全部かっさらえ! これだから山賊家業は止められねぇな……宇宙に山はない? うるせぇ! 行くぜ野郎ども!」
~数分後~
「イレギュラーズ達には勝てなかったよ。もうこりごりさ。二度と山賊なんてやらないよ」
完!
「こちら本船。ティミさん、状態はよろしいですか?」
ルミの声がコクピットに響く。ティミは息を整えて、応じた。
「はい……まだ、やれます」
ロボット型の戦闘機に乗って、既に相当の時間、戦い続けていた。ティミは、元奴隷である。いや、今も奴隷であるのかもしれない。海賊船船長の気まぐれで救われたティミは、今こうして、船長のために戦っている。それは、奴隷としての忠誠心なのか。或いは。
「貴方の気持ちは分かりますが……くれぐれも無理はなさらず」
オペレーターのルミが、心配する様に言った。ティミは首を振って、
「私は船長のために戦います……逃げません……!」
力強く答えるのだ。
一方、ルミは通信を終了した後、疲労ゆえに眉間に思わず手をやった。ローレットに恩を売るべく介入したわけだが、果たして正しかったのか……いや、船長の判断に口をだせる立場ではない。
気を取り直し、顔をあげたルミの瞳に飛び込んできたのは、なんか辺りをあさっているルルリアの姿だった。
説明しよう! ルルリアは海賊たちのたくわえをこっそり頂くべく、こうして侵入しているのだ!
「あ」
「あ」
2人の目が合った。思わず口を開く。それも一瞬。
「し、侵入者! 侵入者です!」
ルミの声が響く。
「わははは! 正解です! ですがルルは貰うものは貰ったのでオサラバします!」
と、笑いながら退散するルルリアであった。
オクトは言う。
「愚かな鮫よ、人よ、我々は火星人、火星人だ。
蛸では無い火星人だ。
このUFO艦隊により双方への武力介入を行う!!!
何? 1人では無いのかって? 仲間はいるよ!! くるさ!!
【マーズピープル】は俺1人じゃない!!
1人だったらUFO艦隊総出で自爆して良いぜ!!
賭けてやるよ!!」
その日、UFO艦隊は消滅した。
●決戦、肉弾戦
さて、両軍とも激しくぶつかり合い、艦船は互いに距離を詰めていった。こうなると、お互いの船に接舷し、突撃兵が相手の船に乗り込み、乗員同士の接近戦となる事もある。というか、皆接近戦しすぎでは。
「アラン、行きまーす!」
イワシ・オーダー所属のアランの駆るイーワシタル・フレームが宇宙の海を駆ける。目的は露払い。これより来る本隊が、敵戦艦へ接舷するための道筋作りだ。
「人類を無礼るな!!」
敵地の中心で機体の装甲をパージし、構える。すると、機体を中心に緑色の爆発が発生し、周囲の敵戦闘機やロボットを飲み込んでいった。
その爆発を縫うように、イワシ・オーダー旗艦が敵戦艦へと接舷する。
「これより本艦は、対鮫バリアを全開にして現状維持。隊長、団長、将軍、――ご武運を!」
びっ、と敬礼なぞを決めるのは、イワシ・オーダー旗艦の航海士を務めるカイトである。
敬礼に頷きで答えたハロルドは、通信回線を開き、
「これより我がイワシ・ナイト隊はイワシ大隊とリィゲール騎士団と共に【イワシ・オーダー】を結成、我らの戦艦を敵旗艦にぶつけて乗り移り、白兵戦にて敵将シャーク・モールの首を狙う! 鮫共を光剣DHAの錆にしてやれ!」
檄を飛ばす。兵士たちは鬨の声をあげた。
かくして、兵士たちは敵旗艦へと次々と進入していく。
「デボン紀の英雄とか言った奴は誰だァ! フカヒレに調理してヤルァ!!」
Svipul率いる鰯槍騎士団(持っているのはスペース斧)が怒号をあげ、鮫たちに向かってなだれ込んでゆく。あっという間に辺りは血とフカヒレの舞う戦場となった。鰯槍騎士団が侵入したのは、敵旗艦だけではない。直掩艦隊それぞれに侵入し、それぞれ制圧戦を繰り広げているのだ。
「白兵戦ならば、この俺に任せてもらおうか! 宇宙聖騎士騎士団長であるこのレオパル・ド・リィゲールが纏めて薙ぎ倒してくれる!」
蒼銀の鎧に身を包み、名乗り口上をあげて剣を振りかざすは、リゲルである。
「ここは俺に任せてもらおう! なあに、全てを倒してしまっても構わんのだろう? さあ行け! 俺の屍を、超えてゆけ――――!!!」
多くの敵を引き付け、リゲルの剣戟が舞う。一方、道を作るべく奮闘するのは、リゲルだけではなかった。
「うおおお! 行くぜ野郎ども! 俺に続け!」
ゴリョウが叫び、突撃する。Horseを盾と片腕に溜め込み、ひたすらに、愚直なまでに、ただひたすらに突き進む。
己の使命は道を作る事。やがて来る英雄の為に、この身をささげて道となす。噛ませ役のオークが、英雄の為に働けるなら。そうゴリョウは言う。いや、いや、今のゴリョウを英雄と呼ばずして、誰を英雄と呼ぶというのだ――。
「ぶははははっ! お前ら! 止まるんじゃねぇぞ!!」
ゴリョウもまた、確かに英雄であったのだ。
「魚が群れるのは弱さの証──それ即ち、鰯以外の何物でもない。つまり、だ。群れた鮫共もまた、鰯でしかないという事だ」
汰磨羈が笑いながら言った。
「そんな貴様等に刻み込んでやろう。魚類を喰らう絶対捕食者──『ねこ』の恐ろしさを!」
にゃあ、と笑う。鮫たちが悲鳴をあげた! 本能的な恐怖が、鮫達を襲ったのだ! ねこ! ああ、なんと恐ろしき捕食者! これには鮫たちも逆らえない! にくきゅうさわりたい!
「貴様等全て、イワシ・オーダーの夕飯にしてくれよう!」
そして捕食者が舞う。
「はい、こんばんは。こちらでも完全で瀟洒なメイドの、弓削 鶫と申します」
と、カメラ目線でにっこり笑う鶫である。所で今は何をしているのですか?
「フカヒレの調達──といった所でしょうか?」
と、言うや、宇宙モップ型超ロングレンジライフルで、帝国兵を撃ち抜いた。
「さてさて。あのような稚魚ではなく、大物のフカヒレを狙っているのですが。ええ、シャーク・モール。アレのフカヒレでないと、ローレットの重役達は満足しないでしょう――と」
ふふっ。と、鶫は笑った。その視線の先には、何とも異様な雰囲気を漂わせる一匹の鮫。
「来たようですね、本命が」
そして、イワシ・オーダーたちとシャーク・モールの激闘が始まった――。
一方、様々な場所で、様々な白兵戦が繰り広げられていた。
例えばウィルフレドは強かった。強いし強い。なんといっても強かったし、それに強かった。何せ強いものだから、強いのも頷けるだろう。強いし。強いのだから、強いのだ。強い。本当に強い。強いよぉ…………。
「やはり艦隊戦は乗り込んで乱戦に持ち込むが華だよなーーー!!!」
DHAを振り回し、鮫を片っ端からきりみにしていくのは、クロバである。
「敵陣へ斬り込んでいくばかりが『戦い(じんせい)』さ!! 最高だな!」
その近くでは、銀河系最強の宇宙ボクサー、郷田貴道が宇宙ボクシングパンチで鮫を殴り飛ばしていた。
「HAHAHA! サメどもなんざフカヒレにして食ってやるさ!」
鮫が殴られる。宙を舞う。吹っ飛ばされる。宙を舞う。
「サメはこの世にいちゃいけないんだ! 生まれちゃいけないヤツなんだ!」
黒羽もまた、鮫を殴っていた。一心不乱に。ひたすらに。ただひたすらに鮫を殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。殴り続ける。怖くない?
ニゲラはチェーンソー型DHAを振り回し、辺りをカマボコとフカヒレ塗れにしている。
「こいつは良い、どっちを向いても敵ばかりだ」
ニヤリと笑うニゲラ。怖くない?
「宇宙よっぱらいの私の出番のようねぇ」
と、宇宙酒瓶……ではなくて、対サメ打撃光酒瓶ライトサーケーを片手に、琴音は船内を徘徊する。鮫を見つけ次第、酒瓶で頭を強打。ボッコボコに殴った後は、酒のつまみにして一杯やる。
「たまらないわねぇ……」
笑う琴音。怖くない?
「po ppi po poo(意訳:抵抗は無意味だ)」
電子音を鳴らしながら、アニエルは倒した鮫との融合を図った。宇宙海戦にすら耐えうるサメ生命の特性を同化する。それがアニエルの目的だったのだ。ちょっと何を言っているのかよくわかりませんね。
「po pipopo popo pu(意訳:すべてが一つになる)」
鮫が悲鳴をあげながら、アニエルに取り込まれていく。アニエルは鮫を取り込むと、新たな鮫を求めてぴこぴこと進み始めた。怖くない?
「ふふふ。こういった場で飲む紅茶もまた格別ですわね……」
メイファースが紅茶を片手に行った。そうだろうか。生臭くないだろうか。でも、当人がそういうのだからそうなのかもしれない。と、一匹の鮫が、メイファースに襲い掛かった。メイファースはそれを華麗に避けると、思いっきり殴り返した。鮫が吹っ飛ぶ。紅茶はこぼれない。凄い。優雅。
バキ! ゴキ! ゴシャ! 恐ろしい音があたりに響く。
「水棲哺乳類ごときが! いい気に! なってますね! こちらも! 陸上哺乳類としての! プライドにかけて! ボコボコに! してやりますよ!」
殴る。蹴る。殴る。偶に斬る。凄まじい暴行を鮫にくわえているのが、狐耶である。ちょっと待って、それ以上はゴア表現になっちゃうから……。
「関係ないですね、ここで格付けしておかないとすぐに反抗してくるんですからね! それからじゃおそいんですからね! リプレイが掲載できるかはそっちの考えることですからね!」
は、はい、すみません……。
「ツリリリリリ!!(警戒の鳴き声)」
一羽のシマエナガが、戦場をはばたいている。シマエナガ。え、何故に。
どうやら紛れ込んでしまったらしい。ノースポールは羽ばたいて、逃げ惑う。
「ジュリ、ジュリリッ!(意訳:だ、誰か助けて~!)」
ノースポールの平穏はどこにあるのか。
香澄はhorseとhorseとhorseを使い、鮫を次々と射抜いていく。
「皆さん、horseと共にあらんことを」
香澄のhorseがhorseを高め、horseのhorseをさらにhorseした。高められたhorseはhorseとなり、horseを超えるhorseとなる。そして、そのhorseは辺り一帯の鮫を吹き飛ばしたのだった。
「おばさんはギルド・ローレットの凄腕の宇宙観光客なの」
と、レストが言う。つまり……どいう事なの?
こちらの困惑を意に介さず、レストは宇宙観光ガイドブックを広げ、SSSの戦艦内部へとやってきた。宇宙観光ガイドブックには、SSS戦艦内部の様々な観光スポットが記されている。戦艦を歩くには必携の書だ。
「ふう、そろそろ休憩かしらぁ」
と、レストはスペースレジャーシートを広げ、スペースランチバスケットから、スペースサンドウィッチを取り出した。ぱくり。一口かじる。美味しさに、顔がほころんだ。
「うふふ~。次はどこを観光しようかしら~」
レストさんの観光ツアー、次はいずこへ。
「世界樹隊突撃じゃ~!」
『おおぉ~~!!!』
「ロクスレイ隊突撃ー!」
『うおおお~~!!!』
クローン世界樹の軍団と、ロクスレイ率いるシャーク・トルーパー(フードをつけている同じ服装だけど一応みんな別人)がわちゃわちゃと突撃。世にも恐るべきクローン大戦争(片方はクローンではない)が巻き起こっていた。世界樹がロクスレイを襲い、そのロクスレイをロクスレイが救った。と思いきや世界樹と世界樹の連携攻撃により、ロクスレイが倒れる。ロクスレイたちは怒りの声をあげ、世界樹たちに襲い掛かった。一方世界樹も世界樹と世界樹の仇をとるべく……終わらないよぉ……。
「ふふふ、あーはっはっ! 怯え、竦みながら逃げ惑いなさい!」
と、高笑いなぞをしつつ、片っ端から鮫を切って回るのは竜胆である。竜胆の強さは圧倒的だ。それ故の慢心か。竜胆は自身に近づく敵の姿を見落としていた。
ぶおん、とビーム刃が煌き、竜胆の身体を切り裂く。
「そ、そんな……この私が……がくり」
「俺はシャーク・レーム卿! 来るが良い反乱軍よ!!」
ヨハンじゃないか!
「俺はもはやヨハン=レームではない!」
ヨハンじゃないか!
「大将首となれば戦場の誉れ。稼ぎ頭。拙は宇宙海賊の傭兵、スペースイワシサムライ。一手交えさせていただきまする」
雪之丞が刃を手にし、ヨハ……シャーク・レームへと対峙する。
「良いだろう、来い、スペースイワシサムライ!」
「いざ、いざ尋常に!」
雪之丞が駆けた。一閃。二振りの刃が交差し、激しく火花を散らす。
「オレの名は「ウォリ=アン・セノービ」。本来の主人公の師匠ポジションかもしれない。シャーク・モールと因縁があるのかもしれない。名前通り背伸びしてる感があるぞ。全てはhorseと4/1の魔力とDHAの賜物だ」
と、突然ウォリアが自己紹介したので、
「私の名前はプティエミニョン。故郷ル・モンドの言葉で「小さくて可愛い」という意味の名前だよ。ん? なんで自己紹介したかって? さあ? 弟子のウォリア君が急に自分語りし始めたから乗ってあげただけだけど……ところで何の弟子なんだろう?」
と、ミニョンも自己紹介した。
ちなみに、どういう師弟関係なのかは本人たちにもわからないらしい。まぁ、しょうがない。そういうものだからね、4月1日って。
「おい、ウォリア! それはきっと妖怪サメ男じゃな!(超高音)」
と、片っ端から鮫を指さし、適当な事を言うミニョンへ、
「それは師匠と言うか、もっと違うムーブなのでは……?」
と、首をかしげるウォリアである。
天之空・ミーナは暗殺者である。今日も鮫を暗殺するため、1人戦艦内部の通風孔へ潜む。
「鮫の首ねぇ……鮫って首があんのかねぇ。ま、殺せるならどうでもいいけどな」
音もなく、しかし素早く通風孔をはい進む。目的地へと到着した。ミーナは器用に体の向きを変えると、通風孔から飛び降りた。
「よーぅ、大馬鹿ども。ご機嫌如何かな?」
瞬間。刃が煌き、隊長格のサメは、その命を散らしたのであった。
~これまでのあらすじ~
いっけなーい! 遅刻遅刻ー!
私、アマリリス! 14歳! 嘘なにそれ花の名前じゃん草はえるw
本名ジャンヌクロードロストレイン21歳! 訳あって聖女やってます☆ ネクロマンサーだけど。
「ヒガシメロン戦で宇宙(そら)をかけるJKとして頑張ったおr……わたしの出番……! ミディーとアマリリスと一緒に今回も頑張ってサメを倒すよ……!」
と、シオンが言うのへ、
「偵察兼斥候みたいな部隊かもしれませんし、そうじゃないかもしれません」
と、ミディーセラが虚空を見つめながらそう言った。どこを見ているのか。そしてそんな適当でいいのだろうか。
「細かい事ばかり見ているようなら沸騰させた炭酸を鼻から飲ませますこと。よろしくて?」
怖い。
とにかくいつもの仲良しJK☆三人は、今日もフカヒレを手に入れるため、鮫をボコボコに狩っているのである!
「今こそ天義騎士よろしく悪は討つ!! 戦艦・空母だろうが、全部滅多切りにしてやんよ覚悟しろー!」
アマリリスが鮫をみじん切りにし、ミディーセラが食べる。シオンは魚肉を回収する。帰ったらフカヒレパーティだ!
次週【たこ焼き食べたい】、また見てね!!
~これまでのあらすじ~
いっけな~い遅刻遅刻!
私、女子高生のQZ! こう見えても16歳! いやこれはホントに。マジで。
今日は始業式なのに、うっかり寝坊しちゃって大わらわ!
大急ぎで戦艦の中を走ってたんだけど……しぇ?! 始業のチャイムぅ!?
いそげー! ダッシュよQZ!
きゃあっ!(ドシーン!)
「もぉ、どこ見て歩いてんのよ! このサメ!」
って、喧嘩してる場合じゃないわ! 急がないと!
えぇ~うそぉ! この時にぶつかった鮫が、生徒会長のシャーク・モール先輩だったなんて!
それに、私に生徒会に入れだなんて! 私これから、どうなっちゃうの!?
スリー・トライザードは記者である! 今日も上司からの無茶振りに従い、戦地へ突撃取材に向かうのだ!
東にローレット所属のイレギュラーズが居れば!
「お忙しいところ恐縮です! 先ほどは見事なセイバー捌きでしたね! 格好良い!! 海兵歴は長いのですか!?」
西にSSSの鮫が居れば!
「突撃取材です! 本日は今までにないほど大規模な戦いですね! やはり意気込みは普段にも増して強いのでしょうか!? 何か一言、お願いします!!」
と、戦場を駆けまわる。危なくないのかって? 大丈夫、星座占い一位だったから。うん、大丈夫。
「暗殺すれば良いんだよね?」
『早い話はな』
「ん、了解ー」
ティアは「独立宇宙海賊暗殺部隊」の所属である。ある人物からの依頼を受け、ティアはSSS艦隊旗艦に潜入。シャーク・モールの首を狙い、こうして行動しているのだ。
ふと、近くに無警戒で突っ立っている鮫が居た。絶好の獲物である。ティアは素早く後ろに回り込むと、
「おやすみなさい」
と、ライトデスサイズでその首を刈り取った。音もなく、静かに。素晴らしき暗殺業である。
『本番もこのようにうまくいけばいいのだがな』
『神様』が嘆息する。ティアはこくり、と頷くと、再び潜伏した。
エスラは仲間たちを案内しながら、スペースマギシュートをぶっ放し、鮫を一匹、ミンチにした。
「間違いないわ、敵の司令はこの先にいる」
エスラの言葉に、イレギュラーズ達は頷いた。そのまましばらく廊下を進むと、ひときわ大きな扉が現れる。この先に、この船の司令がいるのだ。意を決して扉を開く。と。
「よく来たな、裏切り者め」
「貴方は……潮さん!? 何故……」
驚くエスラに、潮は笑った。
「お前から機密が漏れることなどお見通しじゃ。なればそれを逆に利用するまで」
「しまった! 皆、撤退や! ここはうちが!」
水城が盾を構え、潮の前に立ちふさがる。
「ふふ……もう守るもんもなくなったおもっとったけど……最後に守るもんが出来たか……」
水城は笑い、じりじりと潮と距離を詰める。一触即発の距離。だが。
「う、うわあああ!」
突如叫びながら、ルクスが駆けた。その手には光るビーム剣を持って! 全くの虚をつかれた潮に、その刃は突き刺さる!
「ば、馬鹿な……だが、このような結末も……わしらしいのかもしれんな……」
潮が崩れ落ちる。
「わ、我は死にたくない! 投降する! 何でも言う事を聞くし、知っていることはすべて話す! 命だけは助けてくれぇ!」
ルクスが喚いた。
その様子を、水城は呆然と見つめていた。
ウェールの息子は、先日のSSSとの戦いの時に、反乱軍の上層部が貴族を乗せている宇宙船を優先して逃がしたせいで避難が遅れ、戦いに巻き込まれた……。息子は未だ、目覚めない。
ウェールは変わった。SSSへと寝がえり、力を得た。復讐。その為に。
「こんなことをして目が覚めた息子さんが喜ぶと思うの!? ……反乱軍なんてチャチな勢力を潰した程度で!」
ウェールと対峙したアクセルが言う。いや、チャチって言わないの。
「ウェールさん! 裏切ったら駄目っキュ! ウェールさんが裏切ったら、居候先の家事をする人がいなくなるっキュ……家賃をちゃんと払うから
裏切らないで欲しいっキュ!」
と、涙ながらに訴えるのは、レーゲンだ。うーん、我欲。
「そこをどけ! アクセル、レーゲン! 俺はこのミニミニ宇宙鮫拡散装置を軍部に設置し、復讐を完遂せねばならん!」
だが、説得の言葉はウェールには届かない。
「ここは最大手の勢力であるSSSを潰した方が父親の偉大さを見せつけられるよ! 危ない装置を破壊したりとかしたらさらにだよ!」
「息子さんのお見舞いに行ったら、寝言でフ、カ……ヒ、レと言ってたっキュ! 多分起きたらフカヒレを食べたがるキュ。長い間寝てるからいっぱい食べるはずだっキュ……。お腹いっぱいフカヒレを食べたら、息子さんもパパ大好き! 言ってくれるはずっキュ!」
なんだか滅茶苦茶な事を言う2人ではあったが、その言葉に、ウェールははっとした様子を見せた。
「そうかな……?」
呟く。
「そうだよ!」
「そうだっキュ!」
そうだよ!
さて、メリーは一人、船の動力部へと進入していた。
「これがこの船の心臓ってわけね」
呟き、動力部へ思いっきりDHAを突き刺す。火花が散り、動力部が小規模な爆発を連続して起こす。
「ふふふ……私達の勝ちよ! ……って、あれ? これ私も吹っ飛ぶのでは?」
そうだよ!
「あれ? もしかしてこれがオチ?」
そうだよ!
「うーん、また爆破オチかぁ……」
そして、閃光と爆音が、メリーを包み込んだ。
●ゆめのおわり
さて、良き夢は見れただろうか。
あるいは、悪夢だったろうか。
いずれにしても、これは夢。
現実ににじみ出る事なき、誰かの悪ふざけが生んだ一夜の夢。
夢は必ず、覚める時が来る。
目覚めの時は今。あなたがこの夢の内容を覚えていようといまいと。
いつもの騒がしい現実がやってくるのだ。
それでは、また来年。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
ご参加ありがとうございました。
それでは、また来年……はイベントあるんですかね。
よくわかりません。
GMコメント
お世話になっております。鮫井写悪です。
君も宇宙回廊の戦いに参加しよう!
●このシナリオは嘘です。
細けぇ事はいいんだよ!
●やれる事
宇宙海戦が舞台です。
あなたはギルド・ローレット所属の宇宙戦闘機乗りかもしれませんし、宇宙艦船船長とか、オペレーターとか、そいうのかもしれません。
もちろんギルド・ローレットの宇宙海兵隊として、敵の戦艦に乗り込んで、光るビーム的なセイバーで白兵戦を仕掛けても構いません。
SSS側に寝返った裏切り者でも構いませんし、宇宙海賊かもしれません。
とにかく、宇宙海戦が部隊なら何でも構いません。考えるな。感じろ。
●お約束
お友達、グループでの描写を希望する方は、一緒に描写を希望する【お友達の名前とID】、【チーム名】と言った書式でプレイングに記入してください。
もし書かれていない場合、描写が出来かねる可能性があります。
シナリオの性質上、アドリブや、単独参加でも他キャラとの絡みが非常に多くなると思われます。
もしもアドリブ禁止や、完全に単独での参加をお望みの方は、その旨をプレイングに書いていただけると対応できます。
●注意事項
本シナリオは、他の【SHARK WARS】シナリオとの同時参加制限はありません。同一のキャラクターで、複数の【SHARK WARS】シナリオへ参加することができます。
以上となります。
それでは、皆様のご参加お待ちしております。
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