PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<ダブルフォルト・エンバーミング>Behemoth

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●『behemoth』
 それは万物を狂わす不吉の象徴。この世に存在してはならぬ狂気の象徴。
 跫音は遠離ることはなく。

 ――終焉の地(ラスト・ラスト)より至る、厄災の象徴。その名を『終焉獣』ベヒーモス。

 虚ろなる世界よ、人々によって虚構と断じられた仮初めの箱庭よ。
 終ぞ報われることなき0と1で構成された生き物よ。その泡沫全て、飲み干して見せん。
 其れは狂気より生まれ落ちた終焉獣(ラグナヴァイス)。
 無機質なる人の心に宿りし狂気全てを清濁併せ飲み込んだ世の末――

 醜悪なるは人の心か、それとも獣そのものか。
 地を、世界を蹂躙し、死を宣告す。

●Happily ever after!
 ある物語に一人の女の子が居ました。
 彼女は主人公<アリス>と呼ばれる事となりました。
 其れは物語の中で付けられた物語にいる間の彼女の役割です。

 彼女は物語の登場人物。
 彼女には語られる過去もなければ、あるべき設定も存在してはいません。
 作者が作り上げた薄っぺらい『主人公』という札だけが彼女の全てでした。

 ――そんな彼女に転機が訪れました。

 彼女の世界は軋んだのです。混沌世界に認められず、軋轢を生み、崩れていくのです。
 私が主人公だったのに。私だけの世界だったのに。
 そんな彼女を救い上げたのはとても素晴らしい女性でした。
 彼女は世界を深く愛していました。彼女は箱庭を愛していました。

「ねえ、お母様。私の世界は認められなかったの。
 だから、お母様は言ったわよね。この世界で居場所を見付けて幸せに暮らしなさいって。
 ……そうするとね、お母様の『お兄様』がこう言ったわ!
 けれど、『お母様』は不幸せ。
 動くことも適わず、泣くことも適わず。人々に搾取され続ける日々。可哀想だって。
 だから、私は『お手伝い』をすることをしたわ。そんな世界からお母様を解放してあげるって。
 ねえ、デッカ君。そうでしょう? ふふ、言葉がなくったって分るわ。
 あなたは私のお友達だから。特別に教えてあげる」
 彼女の名前はアリス。いいえ、それは彼女の役割の名前です。
 ならば、彼女は名無しの少女(ジェーン・ドゥ)と呼ばれるべきでしょう。
「お友達はデッカ君だけなんですか? て、言うか何でデッカ君なんですか?」
「ふふふ、ひめ。でっかいからデッカ君よ。可愛いでしょう?」
 ジェーン・ドゥにひめにゃこは問いかけます。彼女はこの世界に生み出されたバグ・データ。
 それも、クリミナル・カクテルの一欠片でしかありません。だから、この秘密を教えても悲しませるだけだとジェーン・ドゥは知っていたのです。
「ベヒーモスにだけとは寂しいですね、教えていただけますか?」
 肩を竦めて九重ツルギは笑いました。ジェーン・ドゥはもじもじと体を揺らします。
「怒らない?」
「ええ。怒りませんよ。レディの……いいえ、ジェーン・ドゥの言葉に怒るものですか!」
 とびきりの優しさを込めてツルギはそう言います。
「この世界を壊したら、デッカ君、わたしと二人で外に出ましょう。大丈夫。
 ひめやツルギにはできないけれど……『私はそれくらいなら出来る』わ。
 そうしたら、次こそ誰にも邪魔されない場所を探しましょうね?」

●天國への跫音
 砂嵐に突如としてその姿を現したのは終焉(ラスト・ラスト)の使徒――狂気を塗り固めたかのような怪物であった。
 人に非ず。さりとて、人では無いとは言い切れぬ狂気の象徴。
 広がる砂漠地帯は虚と化す。
 それが終焉の獣と呼ばれた存在の足跡か。残されたのは空白と呼ぶほかにない。

「あれが星読みキネマで見たと言う――」
 そう呟いたのは誰であったか。外部、現実世界ではセフィロトの機能が停止し、最早観測する者も居ない。
 この有様を把握しているのはこの箱庭、R.O.Oの内部に居る者達だけであった。
 天を仰げどもその全容は知れず、身は薄く透き通り全てを貪り喰らう終焉の獣。
 地を鳴らし一歩進むたびに世界が軋む。
 獣と呼ぶべき存在の脚、その向こうに広がる空白を見て誰もが言葉を失った。
 相手は何と称するべきか。
 世界を喰らう者? 驚異の獣? それとも、『終焉』を欲しい儘にする怪物か。
 動き、蹂躙する様、其れは地獄の列強に授けられし名を欲しいものにしていた。
 それが連れ従えたのは地獄とはほど遠き『天国』と名付けられた者達だった。

「やっとのお披露目なんですね! 『石花の呪い』があれば、世界中の人だってもっともっと、殺せますよ。
 いやー、ひめより可愛い子って好きなんですけど害なんですよね! あ、アリスちゃんは違いますよ? 特別ですから。
 でも、他の可愛い子は許せないんですよね。だって、ひめより可愛いってあり得ない筈なんですから!」
「はは、『プリンセス』。君より可愛いのは主人公(アリス)位なものではないでしょうか。
 ああ、いえ……この場で誰が一番輝いているかでいえば……そうですね、貴方だ。ベヒーモス」
 軽口を交わし、まるで感激しているかのような二人の『天国篇(パラディーゾ)』
 彼らは終焉の獣が地を蹂躙するさまを良しとしている。それ所か、それそのものを許容しているかのようだった。
 翡翠で彼らが行ったのはアレクシア・レッドモンドと云う神官を拐かし、石花病の治療試薬の破壊であった。
 アレクシアはイレギュラーズにより奪還されたが、石花病の治療試薬はまだ実践段階でしかないらしい。
 それでも間に合わせたのはイレギュラーズの協力のお陰なのだろうか。それが『プリンセス』は気に食わない。
 石花病、それは罹患した者の体を石へと変貌させて、一等美しい花を咲かせて崩れるように散る奇妙な病だ。
『現実にも』存在する其れはR.O.Oでは終焉獣(ラグナヴァイス)達の能力の一つに組み込まれたというのか――

「あまり、おしゃべりをしてはいけないわ?」

 くすくすと。鈴を転がすように彼女は笑った。
「お仕事は覚えているしら。ええ、ええ、忘れたとは言わせないわ!
 だって、これも『お母様』の為だもの。状況は出来る限りシンプルであるべきだから、聞いて頂戴。
 私たちは『世界を終焉へと導く』の。
 つまりは、来るべき終わりを、物語の最後を彩るために進軍している!
 ねえ、とってもとっても――絵本のように簡単でしょう?」
 ジェーン・ドゥの目的は終焉の獣『ベヒーモス』と共に伝承へと到達すること。
 そこから先は沢山の『お友達』による『世界破壊』に合わせて各国を蹂躙するだけ。唯の其れだけなのだ。

「ああ、神光での戦いはとっても楽しかったわよね。
 私、『神異』のデータを誰が仕込んだのかは知らないのだけれど……ちょっとだけ親近感があったのよ!」
「それは、アリスちゃんは『外』に出られるからですか?」
「そうね。それもあるけど……あの子ったら、とっても優しくって、とっても慈愛に溢れていたでしょう。
 私もそうよ。この箱庭のことは嫌いじゃないの。だから、まずは伝承までは全てを壊し尽くして……。
 あのピエロ達に『これからどうしたい?』って慈悲深く聞いてあげようと思って!」
 くすくすと。彼女は笑う。ジェーン・ドゥを掌に乗せて、恭しく姫君を運ぶかのように歩むベヒーモスが蠢いた。

 ―――『■■■■■■』!

「あら、デッカ君。如何したの?」
 そんな風に呼び名まで付けて其れを可愛がる。その空間はまさしく異質であった。
 異質でありながら、彼女は何食わぬ様子で歩を進める。
 それがそうするべきであると知っているからだ。
 高度な知性を有するわけではない。神になど程遠い。所詮は『狂った者』の末路だ。
 それでも『終焉の獣』は貪欲に世界を喰らい、蹂躙し、全てを空白にし続ける。

 ――――『■■■■』!!

「ええ。行きましょう。もうすぐ、私と貴方の素晴らしい未来が開けるわ。
 物語の最後はいつだって――『そうして二人は幸せにいつまでもいつまでも暮らしましたとさ』でおしまいなのだから!」

GMコメント

 夏あかねです。

●作戦目的
 ・終焉の獣『ベヒーモス』の討伐
 ・ジェーン・ドゥ及びパラディーゾの『活動停止』

●重要な備考
 当ラリーはベヒーモスが『伝承王国』に辿り着いた時点で時間切れとなり、失敗判定となります。
 皆さんは<ダブルフォルト・エンバーミング>系ラリーのどのシナリオにも、同時に何度でも挑戦することが出来ます。

 ・参加時の注意事項
 『同行者』が居る場合は【チーム名(チーム人数)】or【キャラ(ID)】をプレイング冒頭にご記載下さい。
 ソロ参加の場合は指定はなくて大丈夫です。同行者の指定記載がなされない場合は単独参加であると判断されます。
  ※チーム人数については迷子対策です。必ずチーム人数確定後にご参加下さい。
  ※ラリー相談掲示板も適宜ご利用下さい。
  ※やむを得ずプレイングが失効してしまった場合は再度のプレイングを歓迎しております。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はEです。
 無いよりはマシな情報です。グッドラック。

●重要な備考
 <ダブルフォルト・エンバーミング>ではログアウト不可能なPCは『デスカウント数』に応じて戦闘力の強化補正を受けます。
 但し『ログアウト不能』なPCは、R.O.O4.0『ダブルフォルト・エンバーミング』が敗北に終わった場合、重篤な結果を受ける可能性があります。
 又、シナリオの結果、或いは中途においてもデスカウントの急激な上昇等何らかの理由により『ログアウト不能』に陥る場合がございます。
 又、<ダブルフォルト・エンバーミング>でMVPを獲得したキャラクターに特殊な判定が生じます。
 MVPを獲得したキャラクターはR.O.O3.0においてログアウト不可能になったキャラクター一名を指定して開放する事が可能です。
 指定は個別にメールを送付しますが、決定は相談の上でも独断でも構いません。(尚、自分でも構いません)
 予めご理解の上、ご参加下さいますようお願いいたします。

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 R.O.O_4.0においてデスカウントの数は、なんらかの影響の対象になる可能性があります。

●フィールド
『砂嵐』の砂漠地帯。終焉(ラスト・ラスト)から少しばかり離れた位置からのスタートです。
 巨躯を誇る終焉の獣は移動を行っており、皆さんはダメージを与えることでその移動を遅らせることが第一目標となります。
 第一目標を達成した時点で状況は変化し、終焉の獣をその場に止めての撃滅作戦が行われます。
 周辺には村やオアシスが存在しています。終焉の獣が通った後は更地となりデータが全て捕食されて元には戻りませんので注意して下さい。

【サクラメント】
 近隣のオアシスに点在しています。ベヒーモスの位置により、サクラメントとの距離が変動するため戦線への復帰時間は一定ではありません。

●『終焉の獣』ベヒーモス
 終焉(ラスト・ラスト)より現れた終焉獣(ラグナヴァイス)の親玉に当たります。
 天を衝くほどに巨大な肉体を持った悍ましき存在です。神(クリスト)の傑作(コレクション)。
 世界の終焉を告げるそれは元々は温厚な生物でありましたが、狂化しており言葉は通じません。

【データ】
 ・非常に巨大な生物になります。飛行していない状況だと『足』のみが戦闘部位です。踏み潰されないように注意して行動して下さい。
 ・『飛行』を行った場合でも『脚』までしか届きません。ダメージ蓄積により膝を突くことでその他部位を狙えそうです。

【主だったステータス】
 ・終焉の呼気:広範囲に対して『石花の呪い』を付与すると共に、ダメージ(中)を与えます。
 ・ロスト・ベニソン:複数対象に対して封印、及びランダムで何らかのBSを5つ付与。強烈なダメージ(大)。
 ・ディバインシール:フィールド上の飛行中の対象に対して『不吉、混乱、麻痺系列』の中からランダムで付与。

 ・狂化:???
 ・終焉:???

●終焉獣(ラグナヴァイス)
 ベヒーモスを好み、それに付き従う終焉獣たちです。それらは石花の呪いと呼ばれた歪な病を振りまきます。
 また飛行している存在、地を歩く存在など様々な終焉獣が無数にフィールド上に存在しているようです。

○石花病と『石花の呪い』

 ・石花病とは『体が徐々に石に変化して、最後にその体に一輪の華を咲かせて崩れて行く』という奇妙な病です。
 ・石花病は現実の混沌でも深緑を中心に存在している病です。
 ・R.O.Oではこの病の研究者アレクシア・レッドモンドの尽力により『試薬』が作られました。試薬を駆使して、『石花の呪い』に対抗できます。(プレイヤー一人につき、誰か一名による1Tのギミック解除時間が必要)

 ・『石花の呪い』はバッドステータスと種別を同じくする特殊ステータス状態です。
 ・敵の攻撃がクリーンヒットした時に20%程度の確立で『石花の呪い』が付与されます。
 ・『石花の呪い』に感染したキャラクターは3ターン後に体が石に転じ死亡します(デスカウントが付与される状態になります)

●『物語の少女』アリス(ジェーン・ドゥ)
 遍く世界の『アリス』がまじりあった存在。便宜上彼女はアリスと名乗りますが、本来の名前は無くマッドハッターはジェーン・ドウ(名無しの権兵衛)と称する。物語と全ての人の思い描くアリス像を塗り固めた存在です。
 髪は脱色されて白く、憎悪の色の赤い瞳を乗せた『イレギュラー』の娘
 主人公であった形跡が残るのは青の大きなリボンと白いバラのチョーカーだけ。
 黄泉ちゃんに協力する理由はマザーのためのようですが……。
 攻撃方法などは不明です。彼女の護衛として二名のパラディーゾが付き従っています。

●『パラディーゾ』
 ・『天国篇第九天 原動天の徒』九重ツルギ
 スマートに微笑む穏やかな青年です。内心に抱えた焦燥は感じさせず、任務を淡々と遂行します。
 タンク。全戦で戦います。とても強力な存在であり、『プリンセス』ことひめにゃことアリスのサポートを行っています。

 ・『天国篇第八天 恒星天の徒』ひめにゃこ
 はいぱーぷちりーな女の子です。自信満々に自分が一番可愛いと自慢げに宣言します。とてもおしゃべりさん。
 遠近両方得意としており、前に出てタンクの役割もこなせます。攻撃は全てハートやピンクのエフェクトで彩られているようです。

○味方NPC
 当シナリオでは『各国のNPC』が援軍に訪れる可能性が大いに存在しています。
 具体的には『砂嵐』『翡翠』『神光』『航海』のNPCなどが皆さんと共に戦うためにこの戦場へと向かっています。
 シナリオの進行により援軍は変化します。詳しくは『ラリー各章 の 一節目』を参照して下さい。

 一例ですが、
 ・ハウザー・ヤーク、イルナス・フィンナ及び配下傭兵団
 ・森林警備隊や森の神官、アレクシア・レッドモンドと護衛のシャルティエ・F・クラリウス
 ・『霞帝』今園 賀澄、『星穹鞘』Muguet(無幻)、『因果の魔剣』ヴェルグリーズ
 ・『御庭番衆』暦(頭領・鬼灯をはじめとした忍集団『暦』です。十二の月と呼ばれた幹部及びその部下達)&今園 章
 ・ソルベ・ジェラート・コンテュール&カヌレ・ジェラート・コンテュール(補給要員)
 等……一例ですので状況次第では援軍が増加するでしょう。

 ・Miss (p3y000214)、ファーリ (p3y000006)、紅宵満月 (p3y000155)は戦場でのお手伝いをしております。
 援軍味方NPCは皆さんの指示に従います。何かあればお申し付け下さい。

  • <ダブルフォルト・エンバーミング>Behemoth完了
  • GM名夏あかね
  • 種別ラリー
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2021年12月20日 13時50分
  • 章数4章
  • 総採用数487人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

 ――迫り来る終焉の気配。
 それは怪物(ベヒーモス)と名付けられた負の象徴であった。
 終焉より踏み出せし者。
 其れは、終焉(ラスト・ラスト)より来たれし世界の終わりを告げる者。

 終末。
 其れを予感させた怪物と共に進むのは二人の少女と一人の青年であった。

「共に戦わせては下さいませんか。いえ、この戦場だけでは無く我々は広く援軍として活動することとなるでしょう」
 そう告げたのは傭兵団『レナヴィスカ』の頭領イルナス・フィンナであった。
 砂嵐では実質的権力者であるディルク・レイス・エッフェンベルグが喧嘩を売られたとして終焉の獣らに立ち向かうことを決めたらしい。
「幸いにして、航海の船舶を使用してこの『砂の海』にまで援軍が訪れたようです」
 然うして振り向いた先に立っていたのは神光、時の権力者たる霞帝のお庭番衆『暦』であった。
「主上より先に偵察に参りました。……先のご恩、忘れておりません」
「だってさァ。まあ、今回は味方って事でさ?」
 微笑む神無月の背後にて、霜月がにんまりと微笑んだ。
「それで、頭領はどないするんや? ……行くか?」
「章殿は主上と共に待機して貰っている。故、此の儘、神使との共闘を選ぶ。
 ……主上達が此方へ到着するまでの時間を稼ぐのも役目であろう?」
「だ、そうや。指示あれば『賢く』使(つこ)てや?」
 笑う長月に頭領、鬼灯は「その様な事を」と肩を竦めたのだった。

===第一章援軍===
 砂嵐(傭兵団『レナヴィスカ』、傭兵団『凶』)
 神光(御庭番衆『暦』)

 Miss (p3y000214)より――
「――歩み寄る終焉の獣ベヒーモスにダメージを蓄積させましょうねぇ!
 奴を狙えば終焉獣(ラグナヴァイス)にパラディーゾが障害になるでしょうね。
『アリス』はまだ様子見でしょうが、話しかけるくらいはできるでしょう!
 ああ、気をつけて下さい。『九重ツルギ』さんも『ひめにゃこ』さんも、何らかの権能を隠し持っている可能性がありますからねえ!
 ……それでは、気をつけて挑みましょう!」


第1章 第2節

蒲公英(p3x005307)
迷いを捨てて
玲(p3x006862)
雪風
リゼ(p3x008130)
熊大将
ゼスト(p3x010126)
ROO刑事ゼスティアン
天川(p3x010201)
國定 天川のアバター

「な、なんという大きさでありますかあの怪物……!」
 息を呑んだゼストはアイアンソードを手に眼前より来たる終焉の獣『ベヒーモス』を見上げていた。否、見上げるなどと簡単には言えまい――地より、そのかんばせを見遣ることは出来ないのだ。
(……いや、ここで怯んでいられない。ここで自分が下がればこの世界に済む人々の多くが危険に晒される……
 それはなんとしても止めなくてはならないであります……!)
 終焉の獣。その様子を眺めれば蒲公英は『滅海竜』リヴァイアサンを思い出さずには居られなかった。R.O.Oではあの海域で眠っているという嘗ての強敵とは手合わせする機会は無かったようだが――それ以上を敵は準備してくれていたとでもいうのか。
「ベヒーモスでけぇな……。いや、でかすぎんだろ。なんだあれ」
 見上げて肩を竦める天川は何を狙うと蒲公英へと問いかけた。ベヒーモスだけでも驚異だが、其れに付き従うように迫り来るラグナヴァイスらも驚異でしかない。
「本命たるベヒーモスを狙いたくなる気持ちもありますが――ラグナヴァイスとやらが邪魔ですね。まずは此方に注力させて頂きましょう……!」
 地を蹴った蒲公英がすらりと刀を引き抜いた。
 さて、と。その様子を一瞥したのはリゼ。背負い上げた輝海伝説アトランティスサーディンはきらりと輝きを返す。
「あーあー、うん。ごほん。
 ……さーて、いっちょやったりますか!
 狙うはベヒーモス! の脚! 小さいラグナヴァイスもちょろちょろしてるけど、どうせなら大物だよね!」
 分担し、ベヒーモスにもダメージを与えて行かねばならぬのだとリゼはアトランティスサーモンで勢いよく飛び込んだ。
 仲間達の進軍。其れを見遣って怯んでいる場合では無いとゼスト、いや、ゼスティアンは頷いて。
「この世界を守るために……! 電装ッッ!
 さぁ行くぞ怪物! このROO刑事ゼスティアンがお前を止めるであります! ――ゼスティアン、任務了解ッ!」
「でっか君ボコるのじゃ」
 玲の手にした二挺。ドレッドノートは黒。デザートホークカスタムオートマチックは白銀に。かしゃん、と音を立てたそれを手に小さな少女は走り出す。
「ふん、簡単に『ジェーン・ドゥ』とは話をさせてはくれぬなら古くから現世に伝わる会話方法で対話するしかないのじゃな! 暴力という方法でのう!」
 非常に単純明快だというように。玲は命を省みない。
 玲のATHGAMBR壱式の弾丸が零距離で放たれる。同じく、ベヒーモスの大木のような脚へと飛び付いたのは天川。
「何にせよ……あんなデカブツを街へやるわけにゃいかんよな。ゲームったってよ……。
 本物と変わらねぇじゃねぇか……。誰だよ。こんなもん作った奴ぁ。これじゃ守らんわけにはいかんだろうよ」
 練達当主等に恨み言を呟いて放つのはアクティブスキル。己が身を削れば削るほどにダメージは瞬間風速で伸びゆくのだから。
 二人が命を削るならば出来る限り戦場で生存重視を掲げて状況を把握しておきたいリゼ。
「……オラッ! 何高度下げてんだ! 気合入れて浮くんだよシャケェ!」
 なんでもかんでも引き裂くために。叩きつけたべあくろー。サーモンは『ちょっと勘弁して下さい』と高度を下げ――
「ベヒーモスを相手取る誰かを狙うというわけですね」
 中々に狡猾か。それとも親を護る子の気持ちか。さておき蒲公英はアクィテブスキルを叩きつけた。
「連携して行く方が無難でしょうか。何せ、敵の数が多いので……」
 蒲公英の言葉に「その通りでしょうね」と返したのはお庭番衆『暦』。そして、砂の幻想種こと『レナヴィスカ』の面々か。
「ありがたい。こんな絶望的な戦いでも援軍が来てくれるのじゃな。
 であればこちらも勝利で応えてやらぬのは無礼というもの! さあ往くぞ皆の者、獣狩りじゃあ!
 ――見ておれ『ジェーン・ドゥ』! ふんぞり返っているのも今のうちじゃ!」
 ベヒーモスに抱えられて姫君のように戦場を俯瞰していた少女はくすくすと笑った。
 玲は知っている。先遣隊としてやってきた暦に、レナヴィスカ。これより神光の援軍も多く到着することだろう。
 ならば、彼らと戦うために『でかい風穴』を開けてやらねばならぬのだから。

成否

成功

状態異常
玲(p3x006862)[死亡]
雪風
ゼスト(p3x010126)[死亡]
ROO刑事ゼスティアン
天川(p3x010201)[死亡]
國定 天川のアバター

第1章 第3節

すあま(p3x000271)
きうりキラー
アンジュ(p3x006960)
いわし天使
きうりん(p3x008356)
わるいこ
カノン(p3x008357)
仮想世界の冒険者
デイジー・ベル(p3x008384)
Error Lady

「山よりも巨大な魔獣――なんて、月並みでまるで神話の例え話の様な威容がそのまま当て嵌まる、笑える程に強大な相手です。
 ですが、だからと言って臆する訳には行きません――正に世界の危機、ここで心を奮い立たせず、立ち向かわずして何が冒険者、ですので!」
 そう。物語に語られるようなモンスターを相手取る。それこそが冒険者の在り方なのだとカノンは心を震わせた。
 まずは状況を整理しよう伝承にでも語られた。はたまた物語の登場人物か。あの終焉の獣ベヒーモスにダメージを与えるのが現時点での最大目標
 魔物知識を活かして見遣ればラグナヴァイス等は様々な種別があるが翼を有する者は打たれ弱い。
(……まずは周辺のラグナヴァイスを掃討し此処を突破するべきでしょうか)
 冷静に現状を見極めるカノンの傍らで『ぜったい鰯を食べてる』ベヒーモスを眺めてアンジュは嘆息した。
「無茶苦茶だけどさあ、アンジュたちはもっとヤバイのと戦ってきたワケ。
 でかいだけで偉そうにするのやめたら? どれだけ大きくて強くても、自分ひとりじゃ届かない世界があるってこと、教えてあげるよ」
 そう、彼女はあの海に生まれた少女。空へと飛び上がれば、カノンが周囲の終焉獣を叩き落とす。一撃、ベヒーモスに届くか。
「……アンジュひとりじゃ絶対勝てっこない。
 でも、いわしのように。大きく皆で集まって群れを為せば、お前みたいなでかいのだって倒せるんだ!!
 リヴァイアサン──あの成功体験が証明してくれたから!!」
 そう。いわしは弱い。それでも無数に集まれば。いわしセイバーを振り下ろしたアンジュは言う。
「お前に負けるわけがない!」
 アンジュを狙うように飛び上がったラグナヴァイスを前にしてデイジー・ベルは荷電粒子砲を放った。
 目を細め、地を爪先で叩けば狂気(エラー)が燃え上がる。具現化し、巨大な骨の手がずるりと地より伸び上がる。それは彼女の狂気そのものだ。
 モザイクに濡れ、半壊し、それでも尚も力任せにぶん殴る。
「世界を喰らうのでしたら、この拳ぐらい味わってみろ」
 狂気をも全て飲み干さねば、この世界は食い切れぬ。
「――ベヒーモスが消化し切れないくらいのデータの塊をはち切れるまで食わせてやるよ!
 あ、これ懐かしい!ㅤ竜域でやったやつだ! アリっちにも言いたいことがあったんだよ!ㅤ待ってろよ!ㅤすぐそっち行くかんね!!」
 それはまた別の狂気か。データの塊こときうりんはベヒーモスに膝を突かせて己を口の中に詰め込んでやると憤慨していた。
 デイジーが気を配る石花病。その気配がきうりんへと纏わり付く。イルナスが「石花の呪い!」と呻いた刹那、
「私がどんな奴か、アリっちが一番良く知ってるでしょ!ㅤ私はこういう奴なんだよ!!」
「あ」
「あ……」
 すあまとイルナスが顔を見合わせた。ものの見事に爆発するきうりん。呪いもへったくれもありゃせずに、残ったのは驚愕だけだ。
「と、兎も角。こないだは敵同士だったけど、そこは傭兵だもん。
 昨日の敵は今日の味方。そういうの、そっちのラダもできるよね?
 ついでに言えば堅い守りをぶち抜くの得意だよね? 前はわたしが行くから、よろしくねー!」
 手をぶんぶんと振ったすあまをラダが抱え上げる。全身鎧に抱えられた可愛らしい少女は靱やかに地を蹴り飛び上がる。
 猫の如く。叩きつけた爪はラグナヴァイスを切り裂いて。パラディーゾはその様子を見ているか。
「こっちに降りておいでよ! 話したいことがある人が居るみたいだよ?
 石花の呪いなんて怖いものまで用意しちゃってさ。ちょっと気になっちゃうよ。わたしは何のお花が咲くのかな?」
 叫んだすあまの言葉にイルナスが「どのような花が咲くのでしょうね」と呟いた。誰も彼も、何が咲くかは最後の時まで分らない。
 この世界の、イレギュラーズは死を『体験』できる。……まだ、そのときでは無いけれど。
「気になるけど、まずは露払いだね!」
「ええ。お任せ下さい。砂の幻想種は貴女に協力します。行きますよ、『ラダ』」
 呼ばれたのは褐色の肌の小さな幻想種。射手を護るのは前衛の役目だとすあまの爪先は鋭く研ぎ澄まされた。

成否

成功

状態異常
アンジュ(p3x006960)[死亡]
いわし天使
きうりん(p3x008356)[死亡]
わるいこ

第1章 第4節

シフォリィ(p3x000174)
クィーンとか名前負けでは?
夢見・マリ家(p3x006685)
虎帝
ホワイティ(p3x008115)
アルコ空団“白き盾持ち”
スイッチ(p3x008566)
機翼疾駆
エデンス(p3x009253)
バク=エルナンデスのアバター

 ――ワレラ、エデンス。エデンノ地ヲ守護スル者ナリテ。
 終焉ヲ司ル獣ハ 刈リ取ル。ワレラガ教エ ワレラガ守護スベキ地 汚染サセル等許サン――

 エンデスはベヒーモスを見上げた。敵は強大だ。協定を侵す者には容赦は不要。
 被弾するのも最も効率的な戦い方だと報復は鋭い棘を潜めて己の内側に。有象無象だというならば、其れ等は分霊と共に薙ぎ払う。
 ならばこそエンデスは前線へと歩を進める。其れが己の在り方だと、戦い方だと示すかのように。
「ワレラは弱かれども、ただ無駄死にするに非ず。少しでも敵を削り倒そう」
 世界を護るための戦い方は様々だった。ホワイティにとって――彼女が夢想する未来は『この世界』にしかなかった。

 ――ねえ、■■■■。

 あの優しい声を思い出す。彼女はこの世界で生きていた。大切な片割れと静かに暮らしていた。
「わたしは、あの子が暮らすこの世界を守ってあげたい。だから、わたしは……!」
 リスクなんて顧みることは無かった。ホワイティは世界を背負っているのだと陽光の魔力を輝かせる。
 痛みなど気に掛けない。退くわけには行かないのだから。無数に居る終焉獣(ラグナヴァイス)にどれだけ群がられようと。
 あの子の、笑顔を護るためだから――
「さ、て。まさにラストステージといったところかな。
 ゲームはあまり詳しくないけれど事態が佳境なのだということは分かるよ。
 ……化け物は倒されて平和が訪れる、そういう結末のめでたしにしようじゃないか」
 足を止めさせるために膝を折らせろ、か。スイッチは実に合理的なステージ展開だと判断した。
 巨大だというならば、膝を突かせろ。次に俯き、そして心の臓を狙え。最期に至るまでその獣を蹂躙せよ。
 足下しか見えぬのならばあの悍ましき終焉の声さえも遠い――ターゲットスコープを覗け、ターゲット設定完了。
「行くよ」
 背面すらスターで飛び上がり、勢いよく切り込んだ。固い、刃が通らぬか。それでも僅かな傷を開けば致命傷へと至るはず。
「お任せあれ!
 大きいですね……ですが、負けませんよ! リヴァイアサンをも降したのですから!」
 夢見・マリ家は唇を吊り上げた。遣ることは決まっている。ただ、ただ、愚直にベヒーモスのリソースを削り落とす。
 その巨体に一体幾らため込んだか。がおー、と勢いよく飛び込めば猛虎魂に火が付いた。
 マリ家やスイッチを支えるのはシフォリィ。スキル4は仲間達を支えるためにある。
「……この世界に終焉をもたらす獣……生まれた世界を滅ぼすために生まれたその存在、悲しくはありますが、止めなくてはいけません。
 ……この世界には、辛い歴史を歩んだ人がいても、一方で幸せをつかんだ人もいるんです。
 なら、私は後者を残すためにも戦わなくちゃいけないんです! 止めて見せます!」
 石花の呪いを解くのもサポーターの役割だ。戦いに注力する者が居る一方で、誰かを護る戦いを展開する者も居る。
「……護らなくちゃいけないんです、私が皆を!」
 シフォリィが祈れば、スターダストピアスが光を帯びた。その気配に身を包みマリ家がベヒーモスへと飛び込んで。
「10万? 20万? 100万? そんなことは知ったことではありません!
 拙者は拙者の最大の特技で戦うことしか知りませんからね! ふふ! 長期戦? 望むところですとも!」
 イレギュラーズは死亡してもサクラメントから復帰も出来る。マリ家は「援軍のことは任せるよ!」とシフォリィへと叫んだ。
「ええ。お任せ下さい。……皆さんを護って見せます!」
 彼らはこの世界に生きている。『もう一度』同じデータ、同じ人間になることはないのだから。
 斯うして命を賭してまでやってきてくれたなら。護らなくてはならないと彼女は真っ直ぐに援軍達の背中を見つめたのだった。

成否

成功

状態異常
ホワイティ(p3x008115)[死亡]
アルコ空団“白き盾持ち”
エデンス(p3x009253)[死亡]
バク=エルナンデスのアバター

第1章 第5節

ヴァリフィルド(p3x000072)
悪食竜
シラス(p3x004421)
竜空
アレクシア(p3x004630)
蒼を穿つ
イデア(p3x008017)
人形遣い
澄恋(p3x009752)
もう一人の私

「……横文字の多く状況理解に時間がかかりましたが、ようは害獣駆除、お掃除ですね?」
 澄恋は『べひぃもす』と呟いた。『ぱらでぇぞ』に『じぇえん・どぅ』、それから『らぐなう゛ぁいす』がやってくる。
「それならわたしの得意なことです、プロ花嫁にお任せください!
 一番危険なベヒーモスを叩きたいのですが、周りに邪魔がいますねえ……まずは彼らの駆除を致しましょうか」
 お掃除もお料理も、お洗濯もそうした家事全般が出来てこそのプロ花嫁。その身に降ろした全盛は自身の世界を知らしめる。
 石花病に罹患したならば自爆して時短し、皆に気を遣わせないという気遣いも花嫁らしい。
 掃除と言えばメイドとでもいうような。イデアの指先が糸を手繰る。
「さて、これだけ大きいのならやはり足から崩していくのが定石。長丁場になりそうですがやらねばいけませんね」
 アクティブスキルの使用をONに。自身に纏った反射の盾はぴたりと張り付く糸の鋭さの如く。
 イデアはベヒーモスの脚を鋼糸で巻き付け、その動きを止められぬかと考えた。どうせ、千切れるくらいの耐久力でも少し気になれば隙が生まれるはずなのだ。
「イレギュラーズと終焉の獣の根競べ――勝たせてもらいます」
 糸がぴん、と張る。僅かに俯くベヒーモス。その膝へと向かって飛び込んだのは。
「本気で飛ぶぜ、舌噛むなよ」
「もちろん、最初から全力で行って!」
 得意とする機動力。そして、天を穿つように飛ぶ竜の体。
 シラスの言葉に返したアレクシアは天穿の弓を構えた。少しでも手傷を与える。どれ程の傷をも厭わぬ強い決心と共にやってきた。
 シラスはアレクシアを落とすつもりはない。彼女を乗せて、彼女と共に天を翔る。
「こんな化物を伝承に、あの街に入れてたまるかよ」
 ゲームの世界だなんて関係はない。死んでも退けない。彼には理由が出来た。
 それは彼女だって同じだった。沢山の人と出会ってきた。沢山の人の希望によって繋がったこともある。
「消させるわけにはいかない! ――この世界には、繋いだ『希望』と大切な『想い出』があるんだ!」
 放つ雲居。荘厳なる雲を纏わせるが如く。その弓に続く煌めく天を穿つ一矢。
 ベヒーモスの周囲に飛行していた終焉獣がシラスの翼を折らんと飛び込んでくる。
「アレクシア、伏せて!」
「うん……っ!」
 振り落とされぬように。身を屈め、二人はもう一度の機を狙う。
 咆哮が響き渡った。ヴァリフィルドが終焉獣らを呼び寄せる。ずんずんと進む地竜。それは友達のゴリラと共にやってきた。
「世界を喰らうなど我の御株を奪うような行為を見過ごせるわけが無かろう。
 なれば、最終的にやるべきことは一つ。世界を喰らうあれを喰らうことであるな」
 成程、実に単純明快。世界を喰らうあれを喰らえば全てが丸く収まるのだ。ものは試しだと放つ息吹はデータを侵食して行く。
 それぞれの個体に差があるか。バッドステータスを感じて動きを止める者も居れば、動き回る者も居る。
「パラディーゾはどこに居るのだか」
 見上げれば、ベヒーモスとイレギュラーズの戦闘を眺めている姿が見て取れた。澄恋は「様子見でもしているのでしょうか」と囁く。
「いいえ、屹度此方の苦戦具合を楽しんでおられるのでしょう。ですが――」
 イデアの糸が伸びれば『原動天』が小さく笑った。
「お相手してくださるんですか?」
「『本気で相手をする気は』ないが……喰らっておくか? 我が息吹」
 ヴァリフィルドの竜頭より放たれた息吹が広がって行く。その気配を見下ろした『原動天』九重ツルギは小さく笑うだけだった。

成否

成功

状態異常
シラス(p3x004421)[死亡]
竜空
アレクシア(p3x004630)[死亡]
蒼を穿つ
澄恋(p3x009752)[死亡]
もう一人の私

第1章 第6節

蕭条(p3x001262)
叩いて直せ!
ハルツフィーネ(p3x001701)
闘神
九重ツルギ(p3x007105)
アルコ空団“輝翼”
イズル(p3x008599)
夜告鳥の幻影
カナタ・オーシャンルビー(p3x008804)
正統派アイドル

「破壊、白紙、セーブしないままの全消去……あまり好きな言葉ではありません。
 そういう『めでたしめでたし』は、えっと解釈違い? ですね。
 なにより伝承って、ほぼ見た目が幻想なんですよ見知った景色を壊されると聞いては黙っていられませんね……」
 蕭条はそう呟いた。ベヒーモスに攻撃したいが、姿を見せた『原動天』を見ると強者であることをひしひしと感じてならない。
「本当に似たお顔なんですね」
「ええ。『そのまま』なので似ていると言うよりも同じ顔と仰っていただきましょうか」
 ゆったりと宙にソファーを浮かして腰掛ける原動天に蕭条は「むむむ」と呟いた。
「何が何だかよくわからないけど、とりあえずあの女の子たちを倒せばいいんだね……まずはあのお姫様っぽい娘を私は狙おうかな!」
 うーんと首を捻ったカナタ・オーシャンルビーに「もしかしてひめの事です?」と恒星天が首を傾いだ。
 彼女と彼、『原動天』と『恒星天』はパラディーゾと呼ばれる存在だ。アバターを元にして別個体がバグのように動き回っているらしい。
 彼女のもとになった可愛らしいイレギュラーズが口にしても気にならないが世界を壊そうと目論む悪党が戯れ言を口にすることが気に食わないとハルツフィーネは呟いた。
「貴女の権能は知りません。ですが、世界で1番可愛い……ですか。気に入らないですね。
 ええ、何故ならばその座は人ではなく――クマさんにこそあるべきものですから」
「私の方が可愛いんだからね! そこはアイドルとして譲れないよ!」
 びしりと指さしたカナタとハルツフィーネ。世界一可愛いの座を巡っての戦いが今、始まったのである。
「なんですとー!?」
 恒星天がびしりと指させば、原動天と共に降りてくる。どうやら本格的に戦闘に参加した、と言うことか。
 タンクもできると言うならば、彼女には体勢があるはずだ。絡め手など不要だとハルツフィーネはひたすらにクマさんの力強さとキュートさで戦うことを決めていた。
「良いでしょう。相手してあげます」
「プリンセスは煽りに弱いですね」
「そういう風になれってアリスちゃんが言っていましたからね!」
 恒星天が放った桃色のハートが飛び交うビーム。寸での所で避けたハルツフィーネは叫んだ。
「先程からきらきら、ぺらぺらといちいち癪に触りますね。素朴で寡黙なクマさんを少しは見習 って下さい」
「それから――『ツルギさん』は余所見しないでね?」
 囁いたイズルに九重ツルギは「おや、余所見なんて」と返す。「そっちのツルギさんじゃなくて」とイズルは肩を竦めた。
「ジェーン・ドゥさんと原動天の俺は、とても仲が良いのですね。
 俺も、貴方とのお茶の時間は楽しい時間でした。だからこそ原動天を倒させて戴きます。
 ――大切な人の過ちを正す。それは心を通わせた相手にしか出来ない事だから」
 ツルギは原動天を睨め付けて、迫り来る終焉獣らを受け止めた。イズルがやる気なら、原動天へ、そしてベヒーモスへ続く道をこじ開けて見せるのだ。
「やる気ですね、イズルさん。容赦なく好きなだけボコボコにしてください……原動天の俺の事ですよ?」
「……ああ、わかっているよ。まずはあのデカブツの足を止めないと、ね」
 原動天は手を伸せば届く。だが、そちらへと戦いを挑めば、ベヒーモスの膝を突かせるのが更に遅れるか。
 此処が正念場だと感じているイズルは「待っていてよ、ツルギさん」と囁いた。
「――『俺』も待っていますよ、イズルさん」
 原動天のその言葉に、イズルはぞわりと嫌な気配を感じずには居られなかった。

成否

成功

状態異常
ハルツフィーネ(p3x001701)[死亡]
闘神
カナタ・オーシャンルビー(p3x008804)[死亡]
正統派アイドル

第1章 第7節

アダム(p3x006934)
いちばんの友達
陽炎(p3x007949)
影絵舞台
入江・星(p3x008000)
根性、見せたれや
流星(p3x008041)
暦広報部隊
エイラ(p3x008595)
水底に揺蕩う月の花

「なんやあの国が援軍に来るならウチも気合い入れとけばよかったわ。
 とりあえず、本隊が到着するまでに少しくらい片付けて見栄良くしとかんと行かんやろう。忍び諸君はそういうの得意やろ、手伝ってや」
 笑ったのは入江・星。彼にとって『あの国』は大切な場所だ。それが世界を違えようとも何も違わない。
 此れよりこの地にやってくるのは御庭番衆『暦』だけではないらしい。頭領・鬼灯は小さく頷いた。何せ、彼らにとっては主君たる霞帝もやってくるのだ。
 周辺に蔓延った終焉獣へと叩き込んだのは星の瞬き。逃れることの出来ぬ呪縛が獣らの動きを苛んだ。

 ――動きを止めるのは一瞬でいい。星の瞬きはその一瞬で輝き燃えるもの。その一瞬に全てを尽くす。

「……なんて言ってもここで死ぬ気はないけどな! どんどん行くで!」
「サポートはお任せ下さい」
 一歩踏み出したのは神無月。彼を初めとした神無月隊は回復役である。「心強いなあ!」と微笑んだのはアダム。
 フレンドリーな彼女は神無月等初め、暦の面々の命の危機の際には離脱を願った。イレギュラーズはリスポーンできるが彼らはそうではない。
「砂嵐で出会ったジャスティーンさん達、無事かなぁ……。
 この世界を、この世界で出会えた人達を守るために、絶対に負けられないね。暦の皆さんと、今度は一緒に戦えるのも心強いな」
「ああ。敵ならば厄介だが……この上なく頼もしい援軍だな」
 アダムへと頷いたのは流星。神光で彼らに刃を向けたがそれに対して後悔はない。此度、共に戦場を駆けられる機会を得れたのならばお安いご用だ。
「そう感じてくれたのならば光栄だ」
 そう返したのは神光の流星か。暦は先の戦いで戦死者を一人出した。それは神無月隊の少女であり、流星にとっても同胞であった彼女だ。それは神の権能より離れた場所で『おなじかんばせの娘』による凶行であったと聞いている。
 友を失えど、家族を失えど、主君のために戦うのがこの忍び舞台か。
「……多少の無茶はしても生きて帰るのが忍の仕事だ」
 言い含める流星に、流星は頷いた。水無月と共に戦場の『目』となる彼らが居れば終焉獣の位置の把握は容易に進む。ベヒーモスに攻撃を当たる為の隙をも把握できるかも知れないのだ。
「『暦』かぁ。せっかくならぁエイラぁ『暦』の睦月とぉ組むなりかばうなりしたいかなぁ?
 なにせぇ神異でぇ延々戦い続けた相手だからねぇ。
 互いに手の内や癖は知り尽くしていてぇいいコンビになれるんじゃないかなぁって。
 ……それにぃエイラみたいなの対策としてぇ何か新技とか身につけてるかもだしねぇ」
 ちら、と睦月を見遣ったエイラに「勿論、計算はしておきました」と睦月はズレた眼鏡の位置を直した。終焉獣を引きつけて、タッグを組んで攻撃を。
 石花の呪いに対してはタッグであれば両者が使用し合えばそれに蝕まれる必要も無いか。
「それじゃぁ、いこうかぁ」
「あの存在は非常に気に食わないのですよ! 何せ、あんなものが存在するなど『計算』になかったのですから!」
 行きましょうとずんずんと進む睦月にエイラはくすくすと笑った。個性豊かな忍集団。
 味方になればこうも心強いのか。
「非常にシンプルな内容のミッションでございますね。只管殴る、嫌いではございません……いささか大きすぎませんかねこれ」
 呟いた陽炎はよく通る声で『暦』を――そして鬼灯を呼び止めた。
「某は踏み潰されようと首から上が離れようとそのうち戻って参りますが……鬼灯様、暦の皆様は違うでしょう。ご無理はなさらず……」
「驚いた。神使の――嘗ての戦いで相対した貴殿が心配などを」
「え? いえ、何かあれば章姫様が傷ついてしまいますので、ええ。あの方を悲しませたら地獄まで追いかけて連れ戻しますので、ええ」
「……」
 鬼灯と陽炎は見つめ合った。自分を見ているようで居心地の悪い陽炎は「章姫様がいらっしゃる準備をなさいませ」と彼を一蹴する。
 言わないが、彼らとの『異世界での共闘』は陽炎にとっても楽しくて堪らないのだ。

成否

成功


第1章 第8節

Siki(p3x000229)
また、いつか
ユリウス(p3x004734)
循環の天使
P.P.(p3x004937)
いとしき声
にゃこらす(p3x007576)
怪異狩り
タイム(p3x007854)
希望の穿光

「わ、おっきいねぇベヒーモスってやつ。まぁデカい獲物を狩るのは浪漫があっていいよね?
 攻撃は任せてよ。そっちもよろしくね、ニコラス。……あぁ、今はにゃこらすだったかな?」
 こてんと首を傾げたSikiににゃこらすはわざとらしく嗄れた声で「にゃあ」と鳴いて見せた。
「ジェーンドゥも気になるが……先ずはベヒーモス。お前をどうにかしねぇとな。
 ……うん。あの化け物、マジででかいな。まるで蟻にでもなった気分じゃねぇか。今の俺は猫だがよ」
「私は竜だけどあれは大きいよ」
 揶揄うようなその声音ににゃこらすは頷いた。竜だろうが猫だろうが、あの終焉の獣の前では蟻の気分なのだ。
「だがまぁそれだけだ。……こっちは任せろ。そっちは任せたぞ、シキ」
「さぁ、大物狩りといきましょうか――どうやら、『友達』が『友達』に逢いに来たみたいなんだ」
 其れを手伝うのも友人の役目だと笑うSikiのブレスが焔を纏い広がった。続き、引き抜かれた刃が翻される。
 その前で終焉獣を受け止めるのはにゃこらすだ。油断をしてあの大足に『ぺちゃんこ』にされては堪らない。
「目標はあの巨大な獣を止める事。分かりやすいけど簡単に出来るかって言われると……」
 戦う二人を追いかけて、タイムは走った。ベヒーモスの前で挑発を仕掛けて、出来るだけ進行方向をずらす。出来れば、何もない方へ。
 砂漠であれば極端な人死には起こりにくい。だが、点在する集落やオアシスが進行方向にあればそれは残らず消え失せることとなる。
「……ううん、自分の力だけで考えてちゃ駄目よ、タイム。みんながいる。それだけでうんと勇気が持てる。でしょ?」
 だからこそ、タイムは一度や二度くらいなら死んだっていいと攻勢に転じながら、ベヒーモスの気を引いた。
 終焉の吐息。その気配――ぐわりと口を開こうとするそれに「何か来るわ!」とタイムは叫んだ。石花病の解除はこの世界のNPCを優先に。
 指示をする彼女に頷く気配が幾つも存在している。
「ふふ、こわーい」
 振ったのは少女の声か。ユリウスは「アリス」と彼女を呼んだ。
「前に混沌世界で出会って、話をしたことがあるんだ。覚えているかい?」
「姿が違うもの。わからないかもね?」
「……それを知ってるからこそ君は『バグ』なんだろうね」
 ユリウスは呟いた。「あの時多くの人が君の怒りと悲しみを理解して手を差し伸べてくれたのに、たくさん忠告をしてくれたのに、結局こうなってしまったんだね。残念だよ」と。
「いいえ、違うわ。皆は同情した。解決はしてくれていないの。どうしようもないから――!」
 彼女にとって、この世界がハデスやイノリによる侵食を受けなければ安寧の地であったのかもしれない。そう感じずに居られない彼女の願い。
 P.P.は唇を噛んだ。意図は分らない。願いは分る。いや、ひょっとすれば――『母を救いたいだけ』だったのかもしれない。
「アリス! 来てやったわよ! スコーンでも用意して待ってなさいよ!
 生憎、今回ご馳走してあげるのはティーシャワーじゃなくて拳だけどね!」
「驚いた。直ぐに私に会いに来るかと思ったのに!」
「いいえ。今回はね。あのでっかいのをぶっ潰せば、クソハデスに一泡吹かせられそうだしね!」
 P.P.は向き直る。砂嵐が伝承に戦闘を仕掛けてきたことは忘れない。それでも、此処に居る人々には此処でだけの命がある。
 ただのデータと言うならば笑ってやりたいほどに個性もある。笑って呉れる。
 だからこそ、護らなくてはならないのだ。
「……待ってなさいよ、クソハデス! まずは『終焉の獣』なんていう格好付けたデカブツの膝を突かせてやるわ!」

成否

成功

状態異常
Siki(p3x000229)[死亡]
また、いつか
ユリウス(p3x004734)[死亡]
循環の天使
P.P.(p3x004937)[死亡]
いとしき声
にゃこらす(p3x007576)[死亡]
怪異狩り
タイム(p3x007854)[死亡]
希望の穿光

第1章 第9節

グレイ(p3x000395)
自称モブ
梨尾(p3x000561)
不転の境界
ロード(p3x000788)
ホシガリ
アズハ(p3x009471)
青き調和
ルージュ(p3x009532)
絶対妹黙示録

 ――お久しぶりです春さん。状況が状況なのでどうしても伝えたい事を言わせてもらいます。
 パラディーゾの理弦、貴方には002番の方が分かりやすいですかね?
 もしくは手駒の事なんて全然知らないかもしれませんが、我が子に会わせてくれてありがとう。
 そのおかげで俺はもっとこの世界を守りたいと思いました……それではまた後で。

 梨尾の念話が届いてからジェーン・ドゥは面食らった。恨まれるばかりだと思っていたのに、自身に感謝をするのだ。
 何とも言えないと行った表情をした彼女にルージュは「アリスねー」と声を掛ける。
「あんたもマザーに自分の生きられるセカイを貰ったんだな……。
 マザーを想うその気持ちはよく判る。けどな、おれはねーちゃんを止めるぞ、このセカイは絶対に壊させねー!!」
「……」
 お人好しばっかりだ。それでも、ジェーン・ドゥはこの世界の敵。ルージュはこの世界を護るべき使徒。ならば、姉と呼ばれようと道は違えているのだから。
 梨尾は息子が砂漠でどのような表情をするのだろうかと考えた。彼がこの世界を少しでも楽しんでくれるならば、時間稼ぎぐらいお安いご用だ。
 ベヒーモスの脚を燃やし続け、攻撃には多くの終焉獣を巻込んだ。
 飛来する終焉獣を見上げながらロードは嘆息する。それらを打ち落としながらも感じるのは声が聞こえる『彼女』の事ばかりだ。
「アリス、アリス……まあ、遅かれ早かれこうはなってしまってたんだろうな。うん。どうしようもない。相容れない。悲しいなぁ」
 彼女とは何時の日か、敵対するだろうとは感じていた。だが、こんな終わりとはもの悲しい。
 ロードが狙う終焉獣の下を抜けて、ルージュが前線へと走り行く。空を彼に任せればベヒーモスを狙うのは攻撃隊の役目だとでも言うように。
 ああ、それでも。まだ足りない。マザーを助ける力にならなければ。
 たとえこの身が砕けても――何度でも何度でも死んで。この力を神に届かせる。
 ルージュは悔しいと唇を噛んだ。梨尾のように、この世界に感謝した者。ロードのようにアリスとの敵対を感じ取った者。誰もが『マザー』を護るためにあの獣と相対しているのだから。
「君の事はアリスって呼ぶけどそうじゃないみたい。でも名無しのジェーン・ドゥっていうのも呼びづらい。
 っていうことで、新しい名前付けて好き勝手に呼ぶ。……決めた!」
「何だか、イレギュラーズって変な子ね。貴方たちは私に名前をつけるもの」
 グレイは石花病に罹患すれば自爆して死に戻る予定であった。それでも、先に告げておきたかったのだ。
「今から君個人の名前、今後からシエルって呼ぶから。青いリボンが青空、白い薔薇が雲を連想したからシエル、シエル・ブルーね」
 シエル・ブルーと呼ばれたアリスはまたも面食らったような顔をした。春だとか、シエル・ブルーだとか。居場所を与えてくれるのだから、妙な奴らなのだ。
「そんなことを言ったって、この子は止まらないわ? 私だって制御できないもの。ねえ、デッカくん」
 後は飲み喰らうだけだとでも笑うジェーン・ドゥにアズハは「制御できない、か」と呟いた。
「そうか……それがアリスさんの望む物語か。達成されたらきっと貴女は主人公だな。
 大きなことを成し遂げて物語を終わらせた、主役。そして俺たちはその敵か。世界を存続させようとする、敵役」
「ええ、ええ、そうだわ!」
「でもね。俺たちも俺たち自身の物語の主人公だ。
 ――だから俺は自分の望む結末を導く。貴女には譲れない」
「知っているわ。だから『あなた達が憎たらしい』んじゃない!」
 ジェーン・ドゥと向かいってアズハは終焉獣を撃ち払う。無尽蔵に沸いてくる。そう思わせるのはベヒーモスのその巨体の後ろにそれらが隠れているからか。
 初動、飛来する其れ等を打ち払い、援軍を更に呼び寄せる土台を作らねばならない。
 その為に、アズハは戦い続ける。

成否

成功

状態異常
梨尾(p3x000561)[死亡]
不転の境界
アズハ(p3x009471)[死亡]
青き調和
ルージュ(p3x009532)[死亡]
絶対妹黙示録

第1章 第10節

シフォリィ(p3x000174)
クィーンとか名前負けでは?
シフルハンマ(p3x000319)
冷たき地獄の果てを行くもの
ヨハンナ(p3x000394)
アガットの赤を求め
グレイ(p3x000395)
自称モブ
P.P.(p3x004937)
いとしき声

 石花の呪い。其れに罹患しても『砂の幻想種』達が協力してくれる――其れだけでも安堵できるとグレイはベヒーモスへと向かうと決めていた。
 周りの終焉獣は退けようとも増援が増えていく。だが、それは『こちら』も同じ事だろうか。
 ……ただ、その為には出来る限りベヒーモスの歩みを遅らせて時間を稼がねばならないのが苦慮の一つ。
(それにしてもベヒー……デッカくんの進める一歩はほんとにでっかい。私……俺の1歩の何倍だろう?)
 そんなことを考えながらグレイはまずは少しでも歩みを遅らせることを考えた。足下だと蹴られるか、踏み潰されるが関の山。
 だが、それさえも覚悟の上――命がけで止めるのが自身等の役目なのだから。
 グレイの背を支えるようにシフォリィは立っていた。沢山の人々が一度は撤退した。イレギュラーズは『NPC』を護ることを優先し、己の命を軽く扱う。
 そんな彼らを長く戦場に止めることこそがシフォリィの在り方なのだから――
(私はまだ立っています。なら、私がここで退く訳には行かないんです! それが私がやらなくては行けないことなのだから!)
 シフォリの眼前には終焉の獣が。そしてその背が護るのは、沢山の仲間達や伝承王国。『彼女』にとっては故郷を模倣した王国が、其処にはある。
「……正直な所、世界を壊すとか、そういう事を望めるのが羨ましく思えます。でも、私は願えません、どんなことがあっても、願えませんでした」
 唇を噛みしめて、少女はジェーン・ドゥを見上げた。その青き瞳が空を見通すように真っ直ぐと穿つ。
「アリス、そして終焉の獣。物語はいつか終わるでしょうが、その後も世界は閉じられずきっと続いていきます!
 創る人間と登場人物がいる限り、たとえ創造神の手から離れた物語であっても、可能性がある限り必ず!」
「……ふふ」
 ジェーン・ドゥはくすりと笑った。その声音一つでヨハンナはぴくりと指先を動かして。
「……おい、アリス。ピクニックで言ってただろう? 『わたしの世界を返して』って。
 イレギュラーズが活動した事によって、そうなっちまった事は詫びる。詫びて済む事じゃねぇが……だがな、この世界をこのまま壊される訳にはいかねぇ」
「どうして?」
「俺が望むのは……マザーもハデスも喪われない未来。
 彼らが欠けたら、シュペル先生が友人の『忘れ形見』を喪ってしまう。だから、俺は俺のエゴの為に戦う」
 ヨハンナは声を張り上げた。ハデスの言によればマザーを『解放する』にはこの手しかない。故に、ジェーン・ドゥにとってはヨハンナの考えは夢見がちだと捉えられただろうか。だが、それでも構わない。
(――戦わないで済む道、ないんだろう? もう)
 ヨハンナとグレイを支えるシフォリィは己の後ろに暦の『神無月隊』が布陣していることに気付いた。此処がベヒーモスへと進軍する仲間達を護るための最後の一線だとでも言うような。
「アリス……いや、俺はペリジストと呼ぶべきかな……世界を壊された君が世界を壊す側に回るとはね。
 己の世界を壊された時の苦しみを自分のお母様にも体験させるつもりかい? それともマザーに世界を壊してくれと頼まれたか?」
「違うわ。『この世界がある限り母は練達に捕われた儘、思考さえも奪われて人々の糧になる』のよ?」
「まあ、どちらでも、この世界の俺の為に妨害だ。
 ……ROOサイズが1つの命でROOメープルさんをバグから救う為に頑張ってるだ、俺も絶対に死ねない!」
「可笑しなことを言うわよね。だって、バグに犯された存在よ? 『この世界がなくなれば綺麗さっぱり』そんな履歴さえ消せるじゃない」
 シフルハンマを見つめてジェーン・ドゥは嘆息した。成程、彼女と彼の考えは違う。生存を優先とするスフルハンマより前にP.P.は立っている。
「あたしがやるべき事は、ハデスご自慢のあのデカブツを倒す事! あと、我儘クソアリスに拳をプレゼントしてあげる事!
 ――なん、だけど……」
 P.P.は頭を抱えて「ああああああ」と叫んだ。
「でもやっぱりNPCの人も気になる! この世界のあたし、殴るばっかりで癒してあげられないから……うーーーん、そわそわする!
 あぁもう! ねぇ、そこの鬼灯さん! じゃなかった、知らない暦の頭領の人!
 この猫《ネコロマンシア》って言うんだけど、この猫をお嫁さん……えーっと、章殿? に渡してあげて」
「……!」
 鬼灯が驚いたようにP.P.を見遣る。デフォルメされた猫型霊魂は鬼灯の側で「にぁー」と鳴いて見せた。
「これ、近くにいる人たちの怪我を治してくれる能力があるから、怪我した人は章殿の所へ連れて行ってあげて」
「――承知した。水無月、前線を離れる。俺は章殿と……いや、砂嵐へと到着して居るであろう主上を前線へとお連れする」
 P.P.は見送った。神光より訪れた更なる援軍の気配を感じながら、一先ずは――「ぶん殴る!」

成否

成功

状態異常
ヨハンナ(p3x000394)[死亡]
アガットの赤を求め
グレイ(p3x000395)[死亡]
自称モブ
P.P.(p3x004937)[死亡]
いとしき声

第1章 第11節

梨尾(p3x000561)
不転の境界
ロード(p3x000788)
ホシガリ
ハウメア(p3x001981)
恋焔
鬼丸(p3x008639)
鉄騎魔装
ルージュ(p3x009532)
絶対妹黙示録

『春さん、『外』に出られるのは君だけじゃない。
 うちの理弦も外に出て、父さんを守るって……すごい無茶で引き止めたくなるけど。
 弓のように自分を貫ける子って名付けた父兄として、引き止めながらもいってらっしゃいって言おうと思ってる。
 苦しくてもつらくても、あの子の選択を尊重しないのはお節介になるから、春さんがお母様をお手伝いするように、それに理弦が迷子になったら俺が迎えに行けばいい。絶対に迎えに行く。だから――』
 梨尾はジェーン・ドゥを睨め付けてる。この世界を終わらせて堪るか、と叫んだ彼を酷く冷ややかな瞳が見下ろした。

「どうして?」

「え?」
「どうしてお前の息子とやらが外に出るの? どうして私以外はそうやって『世界に認められようとするの』?!」
 錯乱したように少女が地団駄を踏む。ひゅ、と息を呑んだハウメアは「認められなかったから……」と呟いた。
 彼女は世界に認められず、召喚さえされなかった少女だった。詰まり、自分たちとは正反対の位置に立っている。

 ――『二人にとって、この世界――このR.O.Oとは何?』
 ――『混沌』には存在が確認されていない貴方達にとっては、ここはなに? 仮想世界? 遊び場? それとも、貴方達にとっての『現実』?

 唯一、と。答えたその言葉の意味は分らない。それでも、この世界が唯一であった事は確かだった。
「この世界が壊れれば、この世界で生きていた、救ったあの子達は消える。
 例え同じように再構築出来ても、それは『似ているだけの別人』なのだから――だからこそ……えぇ、だからこそです。この世界を壊させる訳にはいきません、絶対に!!」
 ハウメアのその声音にジェーン・ドゥは悲痛な表情を浮かべて見せた。彼女は、世界に愛されなかった存在だった。
「なくなれば、みんな、一緒よ。私は、本当は混沌を滅ぼしたかった。――けれど、それが駄目ならッ!」
 どういう意味だろうかとロードはまじまじと見上げた。もっと彼女と話せたならば何を話しただろうか。とりとめも無い好きな菓子や色。お茶のこだわりなんかだろうか。それだけでも、楽しかったのかも知れない。
 飛行タイプの終焉獣が天より飛来する。それらを穿ちながらロードは「まあ、はぐらかされるんだろうな」と呟いた。
「アリスねー。この戦いが終わったら、ねーちゃんが主人公の本を書いてやるよ。ただし、結末はこれからだし、おれが生きていたらだけどな」
 もちろん、自分達が悪役で、主人公(アリス)が不思議な世界を旅をする。最期は終焉の獣と出会って『いたずら世界』を滅ぼして逃げるお話にしよう。
 それは、生き残らねば描けやしない。ルージュは地を蹴って、ベヒーモスへと狙い定める。
 物理的に脚を折るか。相手が足を止めなくてはならぬと言う危機感を与えられるか。どちらかを為さねば勝利はできない。
 ルージュの決意を感じとったか、ハウメアと梨尾を見下ろしてからジェーン・ドゥは笑った。

「ここまでいらしてね。待っているわ。腹立たしい言葉は耳に蓋をして――此処から『貴方たちの世界』を壊しに行くために準備をするから」

 笑った彼女の声を聞きながら、鬼丸はロードが打ち落として開けた車線をまじまじと見遣った。
 標的、敵超大型終焉獣。
(たとえ作られたものだとしても。――人々が生きるこの世界を……終わらせたりなんかしない)
 鬼丸が狙い定めれば、その照準がブレぬようにと迫り来る終焉獣をロードが撃ち落とす。鬼丸の一撃に遭わせて飛び込んだのは梨尾。
 僅かずつ。それでも脚に攻撃を響かせれば徐々に理解できる。『固い』この肉体は少しずつ削り取るようにして傷を付けねばならないのだ。
 鱗と呼ぶべきではない固い装甲の奥へと届けとルージュは愛の力をその武器へと湛える。
 つまり――『何度死に戻っても』良いくらいに決死の一撃を届けるのみだ。

成否

成功

状態異常
梨尾(p3x000561)[死亡]
不転の境界
ハウメア(p3x001981)[死亡]
恋焔
鬼丸(p3x008639)[死亡]
鉄騎魔装
ルージュ(p3x009532)[死亡]
絶対妹黙示録

第1章 第12節

スキャット・セプテット(p3x002941)
切れぬ絆と拭えぬ声音
アダム(p3x006934)
いちばんの友達
九重ツルギ(p3x007105)
アルコ空団“輝翼”
崎守ナイト(p3x008218)
(二代目)正義の社長
イズル(p3x008599)
夜告鳥の幻影

 ベヒーモスの足をくじくためにタッグを組んでいたイズルと九重ツルギ。二人を見下ろしている原動天は楽しげだ。
 ベヒーモスに追従するように進むイズルは悩ましげに呟いた。
「下部に潜り込んだり足の間に入り込むのは危険だね、攻撃の意図すら無く巻き込まれる恐れがある。
 …が、外向きよりも内向きの方が柔らかく脆い傾向があるから、迷う所だ。通り過ぎざまに後方寄りを攻撃するのが妥協点かな」
「ええ、そのように――ですが、足を止めさせるのも……」
 難しそうだとツルギが見上げたのは原動天の自分自身。『きうりん』が基になった原動天はアクセルカレイドを出鱈目に強くしたようなものだった。
 ならば、自身の原動天はサイコメトリーを強化してリアルタイムの思考を読み取る――
「可能性は十分に」
「――ッ、」
 やはりと見上げるツルギを見下ろした原動天は何かに答えるように「振られてしまいましたか」と呟いた。
「ああ、確かに私は、今こう思ったよ。
 私の中の『俺』はヒトの気持ちを慮るのが得意でないから……私が何度も死に戻れば、原動天のツルギさんの傍に立つパラディーゾの私が出来るかも……と思ったけれど、改めて考えると、それは誰も幸せになれない、と。
 だって私のツルギさんはキミだけだ――私が『彼』の立場でもきっとそう」
「イ、イズルさん? ……駄目ですよ、イズルさん。コピーなんて生み出させません。貴方は俺だけのものなんですから!」
 そんな二人の側で聞き覚えのある声が聞こえたのは、屹度、気のせいではない。
「うちのSAME映画の主演が敵にまわってると思ったら原動天(Turugi)じゃねーの!
 スキャット、殴りづらいなら俺が……oh! 杞憂だったみてーだ。
 守りたい女がいて、それがたまたま敵陣側だった。そんなら拳(passion)で語るだけだろ?」
 にいと笑った崎守ナイトにスキャット・セプテットは肩を竦めた。『お父様そっくり』である事を呟けば彼は気にした様子だったがスキャットにとっては寧ろその逆。日頃、振り回されているのだからお礼が出来ると思えば楽しみすぎて堪らないといった調子だ。
 二人はイズルとツルギにも気付いていたのだろう。まずはベヒーモスだと足並みを揃え、攻撃へと転じる。
「Hey! ベヒーモス、図体デカいだけじゃ今更俺達は怯まないぜ!」
 ナイトは周囲の村には行かせまいと挑発し、その後方からスキャットが神託が降りることを感じながらも攻撃を重ね続ける。
「覇竜への道だって根性で切り開いたんだ。今回だって変わらない。
 人生、泥水に伏してからがスタートだ……そうだろう、ナイト!」
「俺達は社長だ。データがあるほど戦える……その時が来たら、頼んだぜ!」
 ――故に、ナイトは『航海にいる自分自身へ』と救援の要請を送った。言いたいのは『金魚掬ってる場合じゃねぇぞ!』である。
 そうして、仲間達が集う。それだけでアダムの心は躍っていた。
「それにしても、ベヒーモス、おっきいねぇ。元々は温厚な子だったんだよね?
 元に戻してあげられたらいいんだけど……とにかく、先ずは止めなくっちゃ! 君の歩む道が、これ以上終焉を生み出さないように!」
 癒やし手であるアダムは後方に控えている神無月隊の――神無月へと視線を送る。淡々と責務をこなすのはさすがは忍び、だろうか。
「神無月さん、引き続きの回復支援、お願いできる、かな?
 あっ、でも、自分達の命を守るのを最優先にしてね! 絶対だよ! 約束!」
「承知しております。この場にて、我ら『暦』の――いえ、援軍の命が失われることは神使様にとって不利益となる。
 その様に認識しております故。アダム様のご用命の通り、此処は支え続けましょう」
 神無月の静かな声音にアダムは頷いた。彼らがいれば、何度だって立ち上がれるような気がしたからだ。

成否

成功

状態異常
スキャット・セプテット(p3x002941)[死亡]
切れぬ絆と拭えぬ声音
九重ツルギ(p3x007105)[死亡]
アルコ空団“輝翼”
崎守ナイト(p3x008218)[死亡]
(二代目)正義の社長

第1章 第13節

リュート(p3x000684)
竜は誓約を違えず
ソール・ヴィングトール(p3x006270)
雷帝
夢見・マリ家(p3x006685)
虎帝
真読・流雨(p3x007296)
飢餓する
いりす(p3x009869)
優帝

「ふふ! 来てくれたようですね! 我が友であり皇帝達よ!」
 ゆっくりと振り返った夢見・マリ家の笑みを受け止めてソール・ヴィングトールは猛る気持ちを抑えられずには居られなかった。
 手にする天頌旋ヴォルガノンは鮮やかなるエフェクトを散らし、彼の戦意を表すように。『雷帝』はこの地にやってきた。
「終焉か!! これが終焉!!
 かかる事態に我らが臣下は何としている!! こんなものに槍をつくのはきっと、とても、すごく楽しいというのに!!」
 雷の如く決意を乗せた彼を見遣って『虎帝』は心を躍らせる。
「そうです! そうですとも! 世界の危機! それは即ち鋼鉄の危機でもあるのです!
 鋼鉄の闘士達よ! 他人事ではありません! 今こそ馳せ参じる時ではありませんか!?」
 鋼鉄に、そして砂嵐。兵を分断する判断は彼女と彼と――そして『優帝』に委ねられているか。否、鋼鉄はヴェルスが代行してくれる。
 心優しきいりすは「そうですね。彼を止めないと、世界が終わってしまう……」と独りごちた。
「戻してあげたいけど言葉が通じない、ならば! 終焉にはまだ早すぎるよって、みんなで止めて伝えなきゃ……!
 たとえ自分のところだけ解決しても、どうにもなりませんからね。
 それに相手はかつてこちらを滅ぼそうとした人の仲間です。だから無関係ではありませんし……その敵のしたい事、止めたいって思いませんか?」
 三人の演説は、兵士達に届くだろう――まだまだ落ち着かぬ彼の国が落ち着いた暁には合流を叶えることだろう。
「行こう!」
 虎帝の言葉に「ああ!」と雷帝は返す。街に到達する前に、止めよ。朗々と、語り戦士に力を与えるのだ。
「主君が主君たらねば臣は臣たらず。逆も然りである――我ら三人の立つところが、即ち『鋼鉄』だ。
 そう、我らは一人では戦えぬ。故に三人並び立つ。然れば汝らもその列に加わるが良い」
「私は皇帝である前に、一人の人間です! 独りの力では限界があるのです!
 だから! 力を貸してください! 共に戦ってください! ――ここが『鋼鉄』なのだから!」
「たくさんの想いの力で、強大な敵も倒せます。そう『わたしたち』はそれを一回証明してるんですよ!
 今度は色んな国の人との共闘です。それに立ち会えるのってなんだか素敵じゃないですか? 『鋼鉄』を見せ付けましょう!」
 彼女達は向き合った。ベヒーモス。それがどれ程に強大であるかは肌で感じる。畏れを抱く。
「万夫不当のつわものどもよ! 世界を護るという手柄を他国の者どもに総取りさせる気か!! ――鬨の声を上げるは、今ぞ!!」
 それでも、止まらない。三人の言葉を受け取り水無月隊の忍は方法へと届けに走る。鋼鉄へ、皇帝が『出兵』を命じていると。
「データでも美味しいご飯多いっす!リュート、ご飯のためならマケないッス!
 それに、皇帝三人を支えられるなんて役得っす! リュートは膝にどーんっとするっすよ!
 デスカウントもリソースッス!ちょっとでも長く足止めして状況を変えていくっす!」
 リュートは前行く強者共を支え続ける。色とりどりの光弾ブレスを追いかけたのは真読・流雨。
 今の流雨にとってデスカウントが増えるのは都合が良い。どうせ、今を越えられない者に未来はない。故に、力を手にするならば死さえも越えてみせるのだ。
「さて、稼がせて貰おうか」
 汎用型ぱんだすきるをその身に纏い流雨はリュートが『どーんっ!』としたその脚へとぱんだくろーを叩きつける。成程、固い。だが、イレギュラーズの攻撃で傷が『装甲』を――人間に例えるならば皮膚を抉り、肉へと届く為の前準備だ――削っているだろうか。
「回復するっす! 三帝の皆さんは集まってほしいッス!」
「ならば、その間の時間稼ぎをしようか。僕は死んだ方が強くなる。ああ、これをなんと言うんだったか。
 凌駕するとでも言うべきか。全盛の自分を超えるなど――実にゲームらしい」
 流雨が前線へと飛び出した。リュートは純白なる竜魂に宿る癒やしの声音を響かせる。るぅー、と可愛らしい小竜の鳴き声は心と共に傷を癒やして。
 流雨はその領域には入らずに、真っ直ぐにベヒーモスへと飛び込んだ。彼ら彼女らを『立たせ続ける』為には盾が必要なのだ。

成否

成功

状態異常
真読・流雨(p3x007296)[死亡]
飢餓する

第1章 第14節

ヴァリフィルド(p3x000072)
悪食竜
すあま(p3x000271)
きうりキラー
アンジェラ・クレオマトラ(p3x007241)
女王候補
エデンス(p3x009253)
バク=エルナンデスのアバター
シャルロット・デュ・シェーユ(p3x009811)
甘味聖女

「あらあらデカ物と少女の取り合わせなんてわかってるわねぇ。キャッチ―で良いわよぉ☆」
 頬に手を添えて微笑んだのはシャルロット・デュ・シェーユ。支援を行うシャルロットはこれでもかと聖なる爆弾を投げて仲間達の心を落ち着けることを意識した。
「それに世界を終焉へと導くとか誰にも邪魔されない場所に行くために今いる世界をぶっ壊すとかなんとなく親近感あるわねぇ。まぁ邪魔するけど。
 ……どうしてって? それはこのアバターのモデルのシャルロットちゃんが悪を倒すヒーローを助ける健気なヒロインだから。
 つまりぃ貴女たちのようなのの逆を張る立ち位置ね。私そのRP中だから敵同士なの、ざーんねん♪ あと一番かわいいのはシャルロットちゃんだから」
 ふふんと胸を張ったシャルロットが石花の呪いの解呪に勤しむ一方でヴァリフィルドは飛行してベヒーモスへ近づいた。最大高度にまで飛び上がれども胸上まで登ることは出来ないか。それだけ強大であるということか――ジェーン・ドゥ等も上空に控えていると考えれば弱点を探す前に此方が叩き落とされそうでもある。
(データを咀嚼し、囮に使用できれば良いかと思ったが……終焉獣共も一筋縄ではいかぬか)
 ヴァリフィルドは呻く。だが、上空から見ることで歩くベヒーモスは体の内側に当たる部分の装甲が薄いのでは無いかとさえ思えた。
(足裏や膝裏……そうした関節部位か。だが、そこを狙うにもリスクは多そうだな……)
 リスクを考えるよりもまずは引付けることこそが己の役目であるとエデンスはシールドを手に立ちはだかった。

 ――ワレラ、エデンス。エデンノ地ヲ守護スル者ナリテ。
 ワレラ 協定ヲ管理スル者也テ。背キシ物ラヲ 許容セヌ 例エ 幾度倒レヨウト ワレラ 難敵ヲ討チ倒ス者也。

 報復するが為。エデンスの元に集まる有象無象はばちり、ばちりと音を立て跳ね返された痛みの一部を分け合った。傷を負うことさえもエデンスにとっては慣れたもの。自身が膝を付いたとて、誰かが進んでくれるならば其れで構わない。
「ねえ……こんな時にサイコパスっぽいこと言うの悪いなとは思ってるんだけどさ、ちょっと私の新ビルドに付き合って終焉獣たち!」
 エデンスの元へと集った終焉獣へとアンジェラ・クレオマトラはそう叫んだ。ゲームの世界である以上、自分自身で組み上げたステータスは活かして行きたい。
「具体的には、これまでEXF100にしてれば死ににくいかなーって思ってたんだけど、
 R.O.Oだと必殺つきの敵も多いから、突貫でEXFを回避に振ってみたワケね……私、死んでログアウトしたくないの、わかる?」
 現実に戻りたくはないアンジェラにとって、この地で死に続けるのはある意味では『チャンス』なのだ。終焉獣をベンチマーク役と定義して、死ぬまでの時間を計測し続ける。
「こんな実験、死んでもどうせすぐに再ログインすることになる今しかできないんだもの……あ、もちろん勢い余ってログアウト不能にしてくれても可よ!」
 彼女のその言葉を聞いていたジェーン・ドゥが「クスクス」と笑った気配を感じてすあまは頭を上げた。回復役の手を煩わせず自力で戦って死に戻る。そうするイレギュラーズにジェーン・ドゥが注目しているのは確かなのだろう。
「うーん……パラディーゾもベヒーモスもまだ遠いかな? 手が届くんならしがみついてかぶりつけるのにねぇ。
 届いたとしても直ぐにアッチいけってされると寂しいからラグナヴァイスをぶん殴るよ! ね、小さくて耳の長いラダ」
「支援はする、あ、します」
「えへへ、そんなに畏まらないでよ! だいじょーぶだよ、ラダ。一緒に行こう!」
 小さなラダが弓を撃てばそれをすあまは追いかける。手を伸すためにパラディーゾへの道を開く。大きく振りかぶって思いっきり薙げる。
 すあまの背後でラダとシャルロットは解呪を行ってくれている。
(此の儘真っ直ぐ――!)
 飛び込んで、ラグナヴァイスの向こう側に見えた『ひめにゃこ』に狙いを澄ます。パラディーゾへと『本物の彼女』が走って行く道を開いたのは紛れもなく自分だとすあまは小さく笑みを浮かべて。
 アンジェラが一人で受け止め続ける終焉獣の数は多い。肉壁のように立ちはだかった彼女の元に集う全てをすあまが蹴散らせばそれだけでも数は減る。『死ねば戻ってくる』のだ。彼らは、そうして戦い続ける。
「此の儘、蹴散らそう!」

成否

成功

状態異常
ヴァリフィルド(p3x000072)[死亡]
悪食竜
すあま(p3x000271)[死亡]
きうりキラー
アンジェラ・クレオマトラ(p3x007241)[死亡]
女王候補
エデンス(p3x009253)[死亡]
バク=エルナンデスのアバター

第1章 第15節

ヨハンナ(p3x000394)
アガットの赤を求め
梨尾(p3x000561)
不転の境界
ロード(p3x000788)
ホシガリ
神谷マリア(p3x001254)
夢見リカ家
シャル(p3x006902)
青藍の騎士

 梨尾は『春』への念話は今は止めておこうと考えた。
(それにしても世界に認められないのに俺達の世界を壊しに行くとはどうするのか。姉ヶ崎-CCCが練達で暴れてるらしいし……。
 データとしてなら現実への移動は簡単にできるのかね。できたとしても肉体が無いと色々壊すのは難しいだろうにロボやドローンだと動けるイレギュラーズがすぐ対処す、る……)
 そこまで考えてから梨尾は息を呑んだ。ログアウト不能となっているイレギュラーズの肉体が、危険だと言うことだろうか。
 デスカウントにより、肉体が狙われる可能性もある。悍ましい想像に息を呑んだ梨尾の傍らでロードは頭を抱えていた。
「んんん。だめだな。せっかくアリスがいるのにもったいない。頑張れば手が届きそうなのに。
 そういえば誰かが言ってたな、思いの強さは全てを救う。今がまさにそれか? イデアとエイスが助かった。
 だったら、アリスも救ってやろう。俺は欲張りだからな」
 ロードはうんうんと唸る。彼のようにアリスを救いたい者が居る一方で、神谷マリアのようにアリスには鉄拳一発お見舞いだと考える者も居る。
「おかしいにゃよねえ、ここまでやっといてどいつもこいつも救おうとか止めようとか!
 にゃーなら可愛い女の子だろうと何だろうと、お構いなしでグーなのに!」
「私もそう思うわ。だって、私は『世界を壊す敵』じゃない?」
 自分の立場を理解している彼女にマリアは肩を竦めた。積極的に手を伸すつもりはない。マリアの狙いは『お宝』でっか君の皮膚――その向こうの肉を断つことだ。
「……でもさ、ちょっと位貴女もその気持ちわかってあげてもいいんじゃないの、ねえ? カワイ子ちゃん?」
 呟いたマリアに肩を竦めたアリスは何も言わない。マリアはベヒーモスの脚をちくちくと狙い続ける。そう、彼女の言の通り『痛がればバランスを崩す』を狙うのだ。何も筋を断つことを狙うのではない。傷を気にして動きを止めればそれでいいのだ。梨尾は、マリアと共にベヒーモスを相手取った。
 アリスが黙りこくった様子を眺めてからヨハンナは「はは」と小さく笑みを零して。
「なぁ、アリス。俺は夢見がちな甘ちゃんだがなァ。諦めの悪さは天下一品なんだぜ?
 マザーが『不幸せ』なら、不幸せな原因を正す。俺が望むのは──マザーもハデスも不幸せなじゃねぇ未来でもあるからだ――だから、世界は壊させねぇよ」
「『どうやってそれができるのかしら』」
 彼女の問いかけに、本心が込められているような気がしてヨハンナは「さぁな」と呟いた。分らなくてもやるだけだ。
 不退転の決意を持って此処にやってきた。此処で挫けてなるものか。
「――遊ぼうアリス! それとも皆みたいに名前の方が良いか? 俺にネーミングセンスはないぞ?
 あのさ、ぐちゃぐちゃのアリスが嫌なら、お前が思う『アリス』になれば良いんじゃねぇの?
 現状が思うままの『アリス』というのなら全力で受け止めてやる。代わりに痛いのが飛ぶけどなっ」
 金平糖を投げつけるような仕草を見せてロードが笑う。彼女は、立場しか持たない少女だった。そんな彼女が唇を噛んだ様子にシャルは息を呑む。
(……ジェーン・ドゥか。……変わらないな。あの怒りも、憎悪も。
 それに、それ以外もきっと……助けてやりたい、と思う。
 彼女のした事は許されない事で、俺達が守り切った希望の芽を摘もうとしていた事だったとしても。選ばれなかった彼女の想いは、あんまりにも……)
 諦めきれない。この世界も、彼女の事だって。シャルはそれ故に、今は『彼女』に届ける為に事態を好転することを狙った。
 ベヒーモスの膝を折れ。そして、『彼女』を引きずり下ろすのだ。
「――ジェーン・ドゥ! ……必ず、そっちに行く。だから……待っていろ」

成否

成功

状態異常
ヨハンナ(p3x000394)[死亡]
アガットの赤を求め
梨尾(p3x000561)[死亡]
不転の境界

第1章 第16節

ハルツフィーネ(p3x001701)
闘神
リュカ・ファブニル(p3x007268)
運命砕
リュティス(p3x007926)
黒狼の従者
ひめにゃこ(p3x008456)
勧善懲悪超絶美少女姫天使
現場・ネイコ(p3x008689)
ご安全に!プリンセス

「そっか。それが君の望む結末なんだね。だけど、私達は……私はそんな結末は望まない。
 私の望みを叶えるために、全力で貴女を止めさせてもらうよ。――それに、ぶっ飛ばしたい顔も見えたし……ね」
 現場・ネイコはジェーン・ドゥから視線を『恒星天』へと映した。その姿には見覚えがある。そして、彼女を見つめて『何時も通り』の様子のリュティスの姿を目の当たりにして小さく笑う。
「何やら騒がしいのがいるようですね。やはりデコイ役なのでしょうか?
 それはそれとして敵であるならば排除しても構いませんよね? 後悔を刻みつけて差し上げましょう」
 躾の時間だと言わんばかりの彼女に「ちょっとー!?」と叫んだのはデコイ役(本体)である。
「なーんか違くないですか? 可愛い子の為に頑張るのはひめっぽいですけど、上に認めちゃうのはらしくないですよねぇ!?
 鬼メイドも違和感感じましたよねぇ!? ひめが一番可愛いですけど貴女も可愛いので従っちゃいます! ならOKなんですけど……やはり劣化コピーですか!?」
「従わないと死ぬなら認めるしかないじゃないですかー!?」
「……」
 うるさいのが増えたと言わんばかりのリュティスがひめにゃこの背後に立っていた保護者を一瞥する。保護者、ことリュカ・ファブニルは別人だと分っていても知った顔はぶん殴り辛いと肩を竦めた。
「むきー! 違うというのなら貴女の力、見せてください。どんだけ殴られても目は反らしません。
 可愛さを目に焼き付けます! リュカ先輩も目に焼き付けといてくださいね!」
「ああ、まあ、そうだな……自信満々で鬱陶しい。そういうところは本物と変わらねえなパラディーゾ」
 どちらかと言えば恒星天は対話に重きを置いている。其れがどういう意図であるのかは分らないが彼女には判明していない権能であるのは確かなのだ。
「どうやらあちらのラブリーパワーも、なかなかのものであるようですね……」
 いきなり遣られてしまいましたと嘆息したハルツフィーネ。諦めの悪い方である彼女曰く『クマさんは不滅の可愛さ』なのだ。つまり、何度でも戦いにやってくるのだ。
「クマさん、一時間会わざれば刮目して見よ……です。技巧派クマさんの、意外ないぶし銀的可愛さに、注目です」
 ドヤ顔のハルツフィーネは趣旨を変えて封殺を狙わんとセイクリッド・クマさん・フォームでクマさんを恒星天へと嗾ける。
「良く分からないけど、ひめにゃこさんを殴れば良いんだね!?」
「ひめじゃなくて恒星天の方ですよ!」
 ネイコはオーケーと返してハルツフィーネと共に恒星天へと接近する。その権能を一欠片でも引き出せれば『攻略』の役に立つ。
 彼女達が進むのならば、眉間に矢を穿って一発即死を狙いたいリュティスは『道』を開くことに注力する。周囲の敵が、やたらめったら邪魔をするのだ。
「別に私情は挟んでおりません。気に食わないから狙うなどと言ったことはありません。
 目障りだから排除する、ただそれだけのことですので――それではご覚悟を。私は奴に言いたいのです。ただ、死んで下さい、と」
 物騒メイドの言葉にハルツフィーネは首を傾いで。ネイコは可笑しいと言わんばかりに小さく笑った。
「ラブリーパワーに更なる権能があるなら、クマさんも気をつけて下さいね」
「さて、アイツの『権能』か……」
 リュカは偽にゃこと呼んだパラディーゾを眺めうる。ニャコニウムビームを撃ち合いに飛び込んだひめにゃこは彼女の周りにやけに終焉獣が多いことに気づきながらぷりてぃなたいふーんを巻き起こしていた。
「このビームは己の可愛さの体現! 中途半端な可愛さでは威力減衰!
 ほらほら集めるならもっとたくさんです! 貴女の輝きならまだ集まるはずです!」
「いや、まて、ひめにゃこ。……アイツの権能はもしかして――」
 リュカははっと息を呑む。ひめにゃこのアクティブファンタズムは『ひめにゃこはー、今日も~超絶カワイイー☆』と叫ぶことで注目を浴びる。平伏してひめにゃこの可愛さにやられる側面もあるのだ。もしや、それを活かして使役を行っている可能性が……?
「っは、そこまでコピーとは畏れ入ったな。お前が可愛いかどうかはどうでもいい。やめる気はねえか?」
「可愛いがどうでも良いことは無いんですよ! 取りあえず、そっちの『ひめ』を倒して可愛い頂上決戦をしないと気が済みませんから!」
 むきーと地団駄を踏んだ恒星天・偽にゃこにリュカは「そうかよ」と呟いた。そう言われれば後は戦うしかないのである。

成否

成功


第1章 第17節

ハイタカ(p3x000155)
誰彼
ユグゴト・ツァン(p3x000569)
全ては愛
縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧(p3x001107)
不明なエラーを検出しました
イズル(p3x008599)
夜告鳥の幻影
レンゴク(p3x009744)
炎獄の聲

 恒星天との戦闘が行われる中で、イズルは「権能」と呟いた。
「パラディーゾの権能、強化されたアクセスファンタズム。
 ……もし私のパラディーゾが居たら、ポーションの輝きが凄い事になっていたね。具体的には色数。グラフィックボード大丈夫かな?」
 ゲーミングポーションの輝きに耐えきれるグラフィックボードのことを考えながらベヒーモスの脚部への攻撃を繰り返す。
 自身の相棒であるツルギとの合流を目指し、原動天を眺める。
「私にとって原動天のツルギさんは私のツルギさんの双子の兄弟のようなものかな。
 ある時点まではひとつで、今は道を違えたもの……キミは面白くないだろうけれど」
 それぞれが道を違えたのならば。イズルのつぶやきに「ツルギ」と紡いだのは縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧。てけりてけり、紡ぐ言葉にハイタカは「ん」と首を傾いだ。
『小鳥 原動天 ツルギ いるって』
 ――我(アタシ)たちも知らない仲ではないからねぇ、手助けしてあげたいね。
 縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧に「紫月」とハイタカはぱちりと瞬いて。
「ツルギって……前に斬りかかってきたあの……んん、前のことがあるけど……知った顔、折角だ……助けようか」
 ハイタカはしっかりと縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧の思考を感じ取る。出来るならば原動天に近づきたいが彼は高みの見物だ。ベヒーモスへと攻撃をするのが良いか。
 ちくちくと攻撃を与え続けるのが良いだろう。それに、縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧は飛行状態の終焉獣への攻撃を交えた。二人は互いに大事な番だ。故に、相手に何かあることは許せない。
「紫月……終焉獣が飛来する……気をつけて……」
『ああ そうだね 小鳥』
 二人で息を合わせれば怖いものなどないというような。ハイタカが石花の呪いを警戒する背後で「協力します」と声を掛けたのはレナヴィスカの傭兵か。彼女達の支援をウケながらベヒーモスへと限界まで接近すると決めたレンゴクがずんずんと前へと飛び込んだ。
「例え貴様がどれだけ大きく、強大な存在だとしてもオレは一切怯まないしビビらない!
 何故ならオレが神だからだァ! 輝き、燃やし尽くせ! ――紅蓮の炎!!」
 叫ぶレンゴクは全てを灰にすると決めていた。一番の得意は攻撃を無我夢中に、ぶつけること。少しでも傷を広げられたら本望なのだ。
「母親(わたし)の為す事は現実でも此処でも変わらず、ただ肉の壁として聳えるのみ。
 単純明快な如何物だ、この味わいに抗える術は無い――おいで、子供達。
 悉くの痛みを抱いてやろう。貴様だけが食卓に並べられると思うなよ、ベヒーモス」
 ユグゴト・ツァンは笑う。レンゴクへ迫った終焉獣を受け止めた『母』は醜悪さと慈愛を混ぜ込んで笑っている。
「NYAHAHAHA――母親は此処だ。胎のぬくもりを感じ給え」
 ユグゴトが笑うそのかんばせを前にして戦いやすくなったと言わんばかりにイズルとレンゴクが前へと進む。
「母親(わたし)がその病全てを解き放ってやろう」
 ユグゴトが石花の呪いに罹患した患者を護ると決めればハイタカは頷いた。「紫月」と愛しき番を呼べば、その脚は自由に動く。
「終焉獣を撃ち払おう」
『ああ そうだね そうしよう 小鳥 気をつけておくれよ』
 ――互いを失わぬように。二人は力を合わせて戦い続ける。

成否

成功

状態異常
ユグゴト・ツァン(p3x000569)[死亡]
全ては愛
レンゴク(p3x009744)[死亡]
炎獄の聲

第1章 第18節

ゼロ(p3x001117)
よう(´・ω・`)こそ
シューヴェルト(p3x008387)
シューヴェルト・シェヴァリエのアバター
Λ(p3x008609)
希望の穿光
カナタ・オーシャンルビー(p3x008804)
正統派アイドル
神父(p3x009186)
復讐の

 神父にとって、気になるのは石花の呪いであった。R.O.Oの宿敵が利用していた其れを調べるために彼はこの戦場にやってきた。
「これは『本来存在した病』を元にしたのろいか……」
 成程、と呟きながらも彼はラグナヴァイスの前へと相手取る。
「いいぞ、来い……撃って見せろ。この憎悪が消えない限り、俺は何度でも此処へ戻ってくる」
 宿敵による攻撃に石花の呪いが反映されていた。神父はそれにより考え得る可能性を考慮する。
 ――例えば、その呪いをベヒーモスへと付与することができるのではないか、と。
「どうやらあの巨大な怪物に膝をつかせるのが優先になったようですね。
 ……なら、今度は標的を変えて、あいつに向かいましょう。さあ、師匠もついてきてください!」
 カナタ・オーシャンルビーが微笑めば、シューヴェルトはまじまじと見遣った。
「ふむ、カナタに連れられてきたはいいがあの巨大な怪物の足を止めろ、か……。
 大変なことかもしれないが、僕の方も手を尽くそう。さあ、かかって来い!」
 カナタとシューヴェルトは前線にまで飛び出さないように時を配りながら戦い続ける。
 シューヴェルトが懸念したのはR.O.Oでのレベルの低さだ。それにより、自身等が終焉獣の餌食になる可能性は十分にある。だが、それでも為し得なくてはならぬ事があるのだ。
「師匠、行きましょう!」
 師匠と慕うカナタの言葉にシューヴェルトは大きく頷いた。
「厄災を呼ぶ獣よ! この攻撃で膝をつけ!」
 無数に迫り来る終焉獣。ゼロは「ふむ」と呟いた。見上げるほどに大きな、まさにあれは山が地より動くかのような姿ではあるまいか。
「うーん、アレを攻撃しろとか無茶言うね。
 しかしまぁやれと言われたらやらないといけないのがイレギュラーズ。
 ……剣の腕比べどころじゃない相手なのが残念だが、この手合いにはこれで相手をしよう」
 ゼロが用意したのはアトラス対戦車砲。装甲車モードに転換し手法を発車。それは『ゼシュテル』を体現したかのような威力を叩き込む。
「伝承にたどり着かせなければ良いって話だ。目測を見誤る事もあるまい。
 倒せるなら討ち、倒せないなら撃ち続けるだけだ。物事は至ってシンプル。
 焦らず、冷静に、一発でも多く! 終焉獣だろうがベヒーモスだろうがまとめて燃やしてやる!」
 その言葉に頷くのはΛか。
「……また随分と巨大な……正直呆れるぐらいだね。
 ちょっとした質量兵器どころのさわぎじゃないよね~まぁ、出し惜しみはしないよ?
 全ミサイルラック開放……全弾持ってけ連装魔導噴進砲ファイア!」
 Λは魔導鋼翼で空を駆りながら拡散魔導砲を放ち続ける。前段発車。魔力を収束させた魔道砲と使い分け――放て!
「さらに……魔力極大まで収斂……有象無象の区別なく全てを薙ぎ払え魔導砲フルドライブ!」
 ベヒーモスの膝を突かせるためだ。一撃でも多く叩き込め!

成否

成功

状態異常
シューヴェルト(p3x008387)[死亡]
シューヴェルト・シェヴァリエのアバター
カナタ・オーシャンルビー(p3x008804)[死亡]
正統派アイドル
神父(p3x009186)[死亡]
復讐の

第1章 第19節

グリース・メイルーン(p3x000145)
灰の流星
♱✧REⅠNA✧♱(p3x000665)
薔薇を追う
Teth=Steiner(p3x002831)
Lightning-Magus
玲(p3x006862)
雪風
アクセル(p3x007325)
クリムゾン・ドラゴニア
タイム(p3x007854)
希望の穿光
天川(p3x010201)
國定 天川のアバター

「ふぅ……。死ぬ経験ってのは中々貴重だな。
 しかしこれじゃあダメージが入ってるかすら分かったもんじゃねぇ。敵の数も多すぎる。さて……どうする」
 天川は思考する。さて、やる事なす事数は多けれど、その中で自身の進むべき道を選ばねばならないか。戦況に応じて小物を斬り殺し、あの『デカブツ』の歩を少しでも遅らせる。
 天川の掌に滲んだのは汗か――気合を入れろ。ここじゃ俺達の命は替えがきく。文字通り死んでもここは通さねぇ。
 息を飲む天川の傍らでアクセルはくつくつと喉を鳴らした。
「R.O.Oのラサ……砂嵐。ここがやられてるってのに出てこねぇわけにはいかねぇよなァ?
 終焉の獣だかなんだか知らねーが……この紅の槍で片を付けてやるさ――この砂嵐を選んだ事、後悔させてやるぜ!」
 青年の瞳がぎらりと獰猛な色を乗せる。ここ砂嵐を蠢いた漆黒の巨人、其れを眺めればグリース・メイルーンは「これはこれは」と笑みを浮かべた。
「眺めよ。戦場と呼ばれしは途方もなき砂の海。
 対峙する魔物は終焉の名を関した山々のようだった……入りで言うならこんなところかな?」
 揶揄うように笑ったグリースは「しっかしでっかいなぁ」と囁いた。『でっかい』ならば雑に打っても当たりそうだと笑う彼女にTeth=Steinerは確かにと肩を竦めた。
「片や現実にはリヴァイアサン。対になるベヒーモスもいるだろうなと思ってはいたが……
 いやぁ、実に自重レスな規模じゃねーか。やり過ぎって言葉、御存じ?
 ……まさかとは思うが。リアル側にも全く同じヤツがいたりするんかね、これ」
「それは困るなあ」
 グリースに「同じ感想だ」と告げたTethが地を蹴り上げた。アクセルと共に目指すは前線だ。
「よし。仕事だ。頼りにしてるぜ。先輩方よ!」
 天川に笑みを一つ零してからグリースは周囲に迫る終焉獣を撃ち払う。傷を負えば負うほどに。彼女は強くなる。それをグリースは死に戻りマラソンと称した。
「さあ、我慢比べを始めようか!」
 V&FH137『karma』は『父』の剣筋を模倣する。それは模倣でありながらオリジナルへと昇華した一撃だ。
 続く刃Teth。St.Elmo'sFire――双子座はその身にリンクした。災厄の嵐を鎮める力はARC(高等放射性呪詛)として『呪雷』へと変化する。
「お前達はみんな俺の獲物ってわけだ。
 この隙に逃げてぇやつは逃げてな! 勿論、共闘する奴ァ歓迎するぜ。
 なんせ未知の存在だ、下手に前に出る訳にも行かねぇ。
 まぁでも砂嵐の民が危険にさらされて居たら中のヤツの意思で前に出ちまうかもしれねえけどよ。そん時はあれだ、お嬢ちゃん譲りの死も砂嵐の為ってんならね」
 くつくつと笑ったアクセルのその言葉に「ならば前へ行くのじゃ!」と飛び込むのは玲であった。二丁拳銃、黒と白銀より放たれたのは反動の強気弾丸。特殊弾頭は彼女にしか扱えぬ代物だ。
「でっか君の足をまずは止めるのじゃ! さっきも踏まれてしもうたからのう! 腹いせじゃ!
 皆も脚を狙っておるしのう、妾も一役買わせてもらおうではないか!」
「あら。じゃあ私も! よーし、次々っ!」
 リスポーンすることでタイムは自身のデータが『どうにかなる』可能性を感じていた。
 それでも、これ以外のやり方はない。リスポーンすれば良いからと守りがおろそかにならぬようにと引付ける。
「もおぉ! 固すぎでしょ!」
「脚か……でかい風穴を開ければいいのじゃろう? ならば、一点集中じゃ! 攻撃は任せよ!
 これでも得意じゃからのう! ……すべて、骨ごと肉を削ぎ落してくれるわ!」
 拗ねたように叫んだタイムがベヒーモスの巨大な脚を受け止めることを狙う。その傍らから玲が弾丸を放つ。
「ふむ、どうやらじわじわ聞いて居るようじゃの」
「本当!?」
「少し脚を引き摺ってるのじゃ!」
 玲にタイムは何かに気付いたように笑った。決して無駄ではない。ならば、なんどでも繰り返すのみ。少女の華奢な体は巨大生物を受け止めることには適していない。それでも、だ。
「――ここでは蛮勇だって結果に繋がる。死ねる体を持ってるわたし達が有利よ。このまま続けて行くわ!」
 そうして、傷を負う終焉の獣を眺めては♱✧REⅠNA✧♱は笑う。
「終焉の獣、陸上の覇者、その名を誰が呼んだかベヒーモス。
 ……成程ね。正しくグラウンド・ゼロって感じだな。
 世界が滅びるっつーなら英雄様の存在は不可欠だろう ――まぁオレは世界を閉じる側の人間なんだけどさぁ!」
 からからと笑った♱✧REⅠNA✧♱は敵の手の内側を晒させたいと挑発し続ける。足下に立てば、その大きさは良く分かる。
(相手の隠し種は、まあ、攻撃だろうけどよ……さて、それを放ってくれても良いんだぜ?)
 ダメージの蓄積により攻撃パターンが変わることも考えられる。ベヒーモスの体が僅かに震える。♱✧REⅠNA✧♱は「来るぞ!」と叫んだ。
 広範囲へと広がる終焉の呼気――その気配に「処置してやるから名乗り出ろ! 呪われた奴は誰だ!」と♱✧REⅠNA✧♱は振り返ったのだった。

成否

成功

状態異常
♱✧REⅠNA✧♱(p3x000665)[死亡]
薔薇を追う
玲(p3x006862)[死亡]
雪風
アクセル(p3x007325)[死亡]
クリムゾン・ドラゴニア
タイム(p3x007854)[死亡]
希望の穿光

第1章 第20節

アイ(p3x000277)
屋上の約束
シフルハンマ(p3x000319)
冷たき地獄の果てを行くもの
吹雪(p3x004727)
氷神
壱狐(p3x008364)
神刀付喪
デイジー・ベル(p3x008384)
Error Lady
カメリア(p3x009245)
氷嵐怒濤

「こうして見ると、思っていた以上に大きいわね……本当に攻撃が効いているのかしら。
 それでも止めなくてはいけないのよね、これ以上世界を壊させないために」
 そう呟いた吹雪に「効果はあるみたいですよ」と壱狐は頷いた。効果がある、なしを考えていられるほどに悠長な時間が無いというのは確かだ。
「――それに、この国にはお友達の住んでいる場所に繋がっている道があるの。だからこれ以上滅茶苦茶にされるわけにはいかないわ」
 吹雪のこの世界での友達はこの砂漠が唯一の安全通路だった。それを台無しにされるのは我慢ならない。
「効いています。少し脚を引き摺っているから……! 此の儘!」
「ええ。ならば、私は広域を担当するわ。皆にお任せしても?」
 吹雪の指先が凍て付く冷気を湛えた。その気配に頷いたのはデイジー・ベル。
 同様に、広域での戦いを意識するシフルハンマはベヒーモスに近づくことは出来ないだろう。それに近づけば生存優先というのは無理がある。それでも、彼女に――ジェーン・ドゥに言葉を届けずには居られなかったのだ。
「『この世界がなくなれば綺麗さっぱり』そんな履歴さえ消せるじゃない……か……。
 なら聞こう、ぺリジスト…何故君は『ROO』に居る! なくなった世界『黄金色の昼下がり』の住人であるキミが! ROOや混沌に消えない位に甚大な影響を及ぼしておいて、履歴さえ消せるといえるのか!?」
「この世界はデータでしょう? 馬鹿なことを言わないで。『私は現実世界に生きていた』じゃない」
 シフルハンマを睨め付けるジェーン・ドゥは「死にたくないのならば前に来てはいけないわよ」と囁いた。それが彼女なりの優しさなのだろう。無情にも、この戦場では生存の優先を歌っても生き残れぬ事は多くあるのだから。
「ベヒーモスはお任せを。さてさて、終焉の怪物何するものぞ。
 むしろここでそのデータを出した以上混沌での戦いは有利になるというものです。
 ……まあROOのイノリと混沌のイノリは別物だろうからさもあらん、といったところでしょうか。
 ですが、混沌は勿論こちら側でも負けるつもりはありません。いざ、勝負です!」
 壱狐は『混沌側のイノリとの戦いの予行演習』を行うようにベヒーモスへと距離を詰める。
「ベヒーモス、君達の動きは阻むサ! 大事な友人の居る世界だからネ!」
 アイは水無月隊へと頼み正義国の多次元侯爵へと連絡を入れておいた。彼ならばこっそりと何処へでも援軍に来てくれるはずだ。
(鋼鉄の方でも手伝って貰ってるけれド、あのZEROなら何だかんだこっちにも来てくれるデショ。ちょっと黒歴史見てる気分になっちゃうけどネェ!!!)
 アイの金色の瞳が闇色の海を泳いだ。天星で未来を切り開くために。
 逆境のために此処に居る。アイの眼前へとずるりと現れたのは巨大な腕。デイジーの『Error』。
 圧倒的な巨体を前に、彼女の腕はちっぽけに見えたかも知れない。それでいい。皮膚が薄い、または攻撃が集まった場所を狙えば良い。デイジーの瞳にばちりと、光が宿された。
「此処を終わらせはしない。まだ大切な友達が此処に囚われているんだ。
 助ける為なら石花病とかデスカウントだとかは関係ない。
 燃やせ、私の意志の一片まで。全霊を、この攻撃に――止まっていけベヒーモス......!」
 そうだ。此処で止めねば。その先には『彼女がいる』
 カメリアはガントレットに包まれた指先に力を込めた。纏う、蒼と赤。氷と焔。
「この戦いに馳せ参ずる理由を用意するのなら、ただ一つ。
 極めて私情ではありますが──あの子の、日向の名を冠するあの子の生きる世界を守る。
 それだけで十分でしょう」
 頑張ろうなの。そういって笑った彼女の笑顔が『もう一度』失われる可能性があるのだ。
 そんなこと、許してなるか。カメリアの攻撃が降り注ぐ。触れるモノを蝕む焔は相反する冰を使用するカメリアの指先を焦がすようにして放たれる。呪術は『彼女』の方が得意だっただろうか。
 笑う彼女の平穏を護るために攻撃を重ねるカメリアに「支援致します」と壱狐が囁いた。
 手にするは神刀『壱狐』。血も呪いも怨念も。何もかもを併せ呑む。その刀身より放たれたのは術式を纏った一太刀か。
「へいベヒーモス! 狂化しっぱなしじゃ疲れるだろウ?
 まずは落ち着いて深呼吸……しようゼ! 一旦落ち着かせるかラ……サァッ!」
 アイは笑みを噛み砕いて一閃。
 続き、脚へと放ったのは己のありったけ。此の眼は、此の手は、此の力は、此の魂は。
 友人と護った世界を子供の癇癪のように壊されてなるものか――!

成否

成功

状態異常
アイ(p3x000277)[死亡]
屋上の約束
吹雪(p3x004727)[死亡]
氷神
デイジー・ベル(p3x008384)[死亡]
Error Lady
カメリア(p3x009245)[死亡]
氷嵐怒濤

第1章 第21節

蒲公英(p3x005307)
迷いを捨てて
陽炎(p3x007949)
影絵舞台
きうりん(p3x008356)
わるいこ
カノン(p3x008357)
仮想世界の冒険者
スイッチ(p3x008566)
機翼疾駆
エイラ(p3x008595)
水底に揺蕩う月の花
ルージュ(p3x009532)
絶対妹黙示録

「はい帰宅!ㅤはやいやすいうまいがモットーのきうりんDAYO!!」
 きうりんはびしりとベヒーモスを指さした。「デッカくんだな!ㅤ覚えたぞその名前!!」と指さして睨め付ける。本来の名前よりも愛称の方が覚えやすいのだ。
「とりあえず美味しくなくなるからその石花やめない?ㅤ私もう花咲いてるからさ!
 歯ごたえも十分だからさ!!ㅤきうりだからさ!!!
 ……あだめだ聞いてない!ㅤまぁいいやウィークネス!!ㅤこっち向け!!ㅤ私もそっち行くから!!」
 びしりと指さしてからきうりんは空を飛んだ。勢いよく地を蹴った彼女の『雑草の一撃』がじわりとベヒーモスの脚へと染みこんだ。
「効くか効かないかどっちでもいいや顔見せろ顔!!」
 お怒りの彼女は石花病だ! と叫んで自爆した。その様子を呆然と眺めるのは睦月か。
「あれぇ? 睦月ぃまだ大丈夫ぅ?」
「あ、ああ……」
「大丈夫だよねぇ。君がとてもタフなのを戦い続けたエイラぁ知ってるよぉ。
 もしかしたらその根気こそ計算以上に君の強みなのかもねぇ。
 それはそれとしてぇ良い計算結果が出たらぁエイラやみんなに教えてねぇ? 君の計算が活かせるよう護り続けるからぁ」
 にんまりと笑ったエイラのその言葉に睦月は「さて」と肩を竦めた。勘定方として無数の計算を行ってきたが、第一に相手の巨大さは計算外だ。エイラの講堂については『確認』で来ている範囲は理解している。互いに試薬を使い合い、エイラが離脱した場合は睦月も戦線を離脱する。
「『暦』ではないというのに相方が出来るなどとは奇妙な――」
「ふふ~、それは、計算とは違ったかなぁ?」
 笑うエイラから視線を逸らした睦月にカノンは「旅は道連れですよ!」と微笑んだ。
「だからこそ、様々な事情に触れることはある。
 彼女らにとって破壊しなければならない檻の様な物かもしれませんが、私達にとっては壊させられない世界なんです。
 気持ちは理解できる、なんて傲慢な事は言えません。しかし、互いに譲れないのなら、後は力と力でぶつかるしかないでしょう!」
 戦いは手段なのだと言うようにカノンはベヒーモスの脚を狙った。エイラのくらげ火がゆらりと揺らぐ。エイラが盾になっているからこそ、カノンは後方から魔弾を放ちやすい。
「エイラさん、ルージュさん、スイッチさん。ベヒーモスの脚の一部が僅かに脆く見えます!」
 それはデータのほころびかルージュは「おっ!」と瞳を煌めかした。打鍵検査のように少しずつ。
「かったい!! 硬すぎるぜ、このベヒーモス!! マジで生物か? いや普通の生物じゃないかもしんねーけどさ!!」と叫んでいた彼女は音の違いと併せ、カノンの知識と共に内側を責め立てた。

 ―――――■■■■■!

「脚の内側にはいったらぺっしゃんこってか! こっちは死んでも構わねぇんだぞ!
 にーちゃん、ねーちゃん、みんな! 『体の内側』と『関節』、『足の甲』だ! そこを狙ってくれ!」
「足の甲? 成程、堅いけれど皆で狙えば削れる――合理的だね。それでも諦める俺達じゃないよ。何度だって切りつけてやる」
 スイッチはただ真っ直ぐに切りつけた。スイッチが狙うのは膝の裏側。つまり、関節などの攻撃を行うだけでも危険な箇所を狙うのだ。
「にーちゃん、気をつけろよ!」
「ああ。死ぬ度に立ち上がってまた切りつければいいだけさ。
 ここを防げなければデスカウントどころじゃないんだ、絶望にはまだ早すぎるよね……!
 だから、行ってくるよ!」
 膝裏を狙わんと飛び上がったスイッチを狙う終焉獣へと蒲公英は「援護します」と叫んだ。
「私の刃は未だ折れていませんからね……!
 此の儘、戦場の露払いをすれば援軍の方達も続々と参戦して頂けるでしょう。
 それまでに少しでも多くを斬って捨てておきたい所! ――さぁ、気張って行きますよ……!」
 蒲公英は多勢に無勢。足並みには気をつけて。そう願う。蒲公英ビームの軌道に乗せられたのは霜月の援護射撃か。
「頭――じゃなくて、感謝するよォ!」
 手を振った霜月に頷いたのは陽炎。楽しくて堪らないのだ。油断をすれば『素』が出てしまう。霜月とて何かを感じて言い間違えたのだろうか。頬が緩むような気がしながらも陽炎は援軍へと指示を回る。
「霜月様、引き続き宜しくお願いします。
 まあこれだけ大きな敵なら当てるなという方が難しいでしょうが――やれますか?」
「勿論」
「卯月様と師走様。ヒーラーでいらっしゃる神無月隊の護衛をお願い致します。
 御二方とも優秀な大盾の使い手、桜吹雪の連携楽しみにしていますよ」
「……!」
 自身等のことをよく理解している様子の陽炎に卯月と師走が顔を見合わせた。
「任せて下さい」
「……ああ、神無月には、拒否されるかも知れないが……」
 これも神使からの指令だと頷く二人に陽炎の唇は緩んだ――そうして背後から伝令を叫ぶ水無月隊の声を聞く。
 援軍がもうすぐ到着する。怪我人は航海の拠点に居る章姫の元へと一度後退し体制を整えよ、と。

成否

成功

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